ユカイ工学と共同開発、STEM通信教育「ワンダーボックス」にロボットの組み立てを通し学べる「メカニクスラボ」登場

EdTech(エドテック)スタートアップのワンダーラボは、STEM領域の通信教育プログラム「ワンダーボックス」のための新しいトイ教材「メカニクスラボ」を、ロボティクス領域スタートアップのユカイ工学と共同で開発し提供を開始する。

ワンダーボックスは、4歳から10歳の児童を対象に、遊びを通して思考力・創造力・意欲を育てる通信教育プログラム。その教材として新たに提供される「メカニクスラボ」は、自分で簡単なロボットを組み立てることで、電池とモーターの関係を学んだり、単純な構造のため試行錯誤が楽しめたり、多くの発見や探究心が引き出されるというもの。

ワンダーラボは、2021年12月末から2022年1月にかけて、ワンダーボックス会員向けに「メカニクスラボ作品コンテスト」を開催しており、子どもたちが自由に遊んでいる様子が見てとれる。

 

ロボットが人の手を借りずに豚の腹腔鏡手術に成功

Johns Hopkins(ジョンズ・ホプキンズ大学)の研究者たちは今週、彼らが開発した「Smart Tissue Autonomous Robot(STAR、スマート組織自律ロボット)」システムが、人間の誘導なしにブタの組織の腹腔鏡手術を完了したことを記したレポートを発表した。この手術は、2つの腸管端部を縫合するもので、動物での手術に成功し、人間が行った場合よりも「格段に良い」結果が得られたと、研究者チームは述べている。

このような手術を完全に自動化するためには、いくつか越えなければならないハードルがある。その筆頭には、人間や豚などの組織は柔軟であり、予測不可能な性質を持っているため、プログラムを組むのが非常に難しいという事実がある。

人間の外科医は長い時間をかけて組織を扱う方法を学んできたが、ロボットの外科医にとってはさらに大変な仕事になる。今回のロボットシステムは、2016年に開発されたシステムがベースになっており、すでに豚の手術を上手くやり遂げたことがあるものの、これまでは人間の手による誘導や大きな切開などの補助が必要だった。STARの誘導システムのアルゴリズム構築には、3次元マシンビジョンが使用されている。

本論文の筆頭著者であるHamed Saeidi(ハメド・サエディ)氏は「STARが特別なのは、人間の介入を最小限に抑えながら軟部組織での手術計画を立案し、適応し、実行した初めてのロボットシステムだということです」と、リリースの中で述べている。

システムの開発者たちは、この技術がさらに高い精度と再現性を持って、このような手術に使えるようになると確信している。ロボット手術は、これまで高度に専門的な技術が必要とされた手術を、より多くの人が均等に受けられるようになるために役立つ可能性があるとして、ここ数十年の間に多くの関心と資金を集めるようになっている。

画像クレジット:Johns Hopkins, Axel Krieger, Jin Kang

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「人間のような振る舞いが、スマートデバイスをもっと魅力にするかも」というMITの研究

2019年にJiboのロボットは最後の息を引き取ったのかもしれないが、MITの研究者は、このソーシャルロボットは何かを掴んでいたかもしれないと考えている。確かに数年前、世界は高価なソーシャルロボットに対する準備ができていなかったが、だからといって、その経験から得られたポジティブな要素がないわけではない。スマートホームの製品に、より人間らしい特性を持たせることには価値があるかもしれない。

MITのメディアラボチームは最近、スマートホームのインターフェースに人間の簡単なジェスチャーを付けることの価値について研究した論文を発表した。Jiboの前CEOであるCynthia Breazeal(シンシア・ブリジール)氏は現在、メディアラボに勤務しているが、本研究の共同執筆者4人の1人で往年の家庭用ロボットとGoogle NestやAmazon Echoを比較している。

この研究によると、ユーザーが何らかのかたちでソーシャルなヒントを提示することで、ユーザーとデバイスはお互いにより深く関わりを持つようになるという。これは、デバイスの顔 / スクリーンが回転して話者の視線に合うようになるという単純なことでもいい。

MITによると「最初の実験では、参加者はJiboのロボット、Amazon Echo、Google Homeと、何の変更も行わず対話しました。その結果、Jiboの方がより積極的で頼もしく、親しみやすいという意見が多くありました。ユーザーはJiboがより人間らしい人格を持っていると認識したため、Jiboと対話する可能性が高くなったと研究助手のAnastasia Ostrowski(アナスタシア・オストロフスキー)は説明する」という。

画像クレジット:Jibo

将来の研究では、ロボットが追加される可能性がある。AmazonのAstroは、人格を持ったローリングEchoのような存在で、有力な候補になると思われる。しかし、ロボットの機能をフルに発揮させるには、より高いコストがかかることは明らかだ。1500ドル(約17万1000円)のロボットは、大成功を収めたEchoシリーズにすぐに取って代わることはないだろう。

Echo Show 10のように、オブジェクトトラッキングを使って部屋の中でユーザーの後をついて回るデバイスもある。しかし、この技術は、Wall-Eのようなロボットと同じような温かみのある感情を呼び起こすものではない。「ユーザーは、改良されたAmazon Echo SpotがAmazon Echo Showよりも魅力的でないことに気づき、社会的な要素をともなわない反復的な動きは、ユーザーエンゲージメントを高める効果的な方法ではない可能性を示唆しています」とこの研究は指摘している。

また、ブランディングも、ユーザーのデバイスに対する認知に影響を与えることがわかった。

画像クレジット:Amazon

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

倉庫のストレージ密度を高めるロボットシステムExotecが約383億円を調達

フランスのスタートアップExotec(エグゾテック)は、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)のGrowth Equity事業がリードするシリーズDラウンドで3億3500万ドル(約383億円)を調達した。これによりExotecの評価額は20億ドル(約2292億円)に達した。

Exotecは、通常の倉庫を部分的に自動化された物流プラットフォームに変えるための完全なエンド・ツー・エンド・ソリューションを販売している。人による作業の一部を代替するハードウェアとソフトウェアのソリューションだ。

83NorthとDell Technologies Capitalも資金調達ラウンドに参加した。Exotecのこれまでの投資家には、Bpifrance、Iris Capital、360 Capital Partners、Breegaが含まれる。BreegaやBpifranceのLarge Venture fund、Iris Capitalなどは2回目の投資となった。

画像クレジット:Exotec

Exotecシステムの主要コンポーネントは、Skypodsと呼ばれるものだ。この目立たないロボットは自律的に床を動き回る。目指している棚に近づくと、棚を登って容器を取り、それを持って降りてくることができる。地上数メートルの場所に商品を保管できるため、倉庫のストレージ密度を高めるのに特に有効だ。

その後、Skypodは人間のオペレーターが容器から正しい製品をピックアップできるよう、容器をピッキングステーションまで運ぶ。そしてロボットは棚に行き、容器を元のところに戻すことができる。

このシナリオでは、人間はもう倉庫内を歩き回る必要はない。ピッキング、パッキング、そして製品の入出庫の確認に集中することができる。新製品、新しい棚、新しいSkypodを追加する場合、Exotecは可能な限り柔軟に対応するよう心がけている。

新しいラックを追加したい場合、もう一度ゼロから始めることなくインフラを拡張することができる。同様に、ExotecではシステムにSkypodを追加することが可能だ。そして、商品の配送を受けるとExotecはここでもSkypodsを頼りにフルフィルメントセンターに商品を保管する。

SkypodsからSkypickersへ

標準化された容器システムにより、Exotecは1つの容器に複数の製品を収納することができる。その容器の中には18個の商品が入っているかもしれないが、顧客はおそらく全部ではなくその中の1個、2個、3個を求めている。Exotecは注文をまとめるために大きな容器の中の小さな容器を単純に空にすることができないのはそのためだ。

Exotecは、注文プロセスのもう1つのステップから人間を排除するために、新しいロボットを作った。Exotecの顧客はSkypickersを使って、在庫の容器から商品を自動的にピックアップし、出荷準備の整った容器に入れることができる。

動作は以下の動画で確認できる。

「現代における最も重大なサプライチェーンの崩壊を受け、イノベーションの余地しか残されていません」と、共同創業者でCEOのRomain Moulin(ロマン・ムーラン)氏は声明で述べた。「ロジスティクス分野全体に不確実性が満ちている中、最も一般的な課題の1つは継続的な労働力不足です。Exotecは新しい道を切り開きます。それは、人とロボットのエレガントなコラボレーションによって、耐久性のある、はるかに持続可能な方法で倉庫の生産性を実現することです」。

Exotecは、自社製品を人間に完全に取って代わることのできないサービスとして常に位置づけている。同社の倉庫は、人間とロボットの組み合わせで運営されている。しかし、Skypickersのおかげで同社は厳しい労働市場においてロジスティクスで優位性を持っている。

今回の資金調達で、同社は2025年までにエンジニア500人を雇用し、引き続き北米事業を推進する予定だ。最近、GapやGeodisなど北米地域の大口顧客8社と契約した。DecathlonもモントリオールのフルフィルメントセンターでExotecを使用している。

画像クレジット:Exotec

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソーシャルロボティクスFurhatがSpheroのスピンアウト企業Misty Roboticsを買収

Misty(ミスティ)はとんでもない旅をしてきた。Foundry(ファウンドリ)とVenrock(ヴェンロック)から1150万ドル(約13億1600万円)を調達し、自社のパーソナルロボットでクラウドファンディングをした後、同社は一連の難題にぶつかった。現地時間1月17日、スウェーデンのソーシャルロボット企業であるFurhat Robotics(ファーハット・ロボティクス)は、同社によると、全額現金での取引で、この低迷するスタートアップに安らかな終着点を提供する。Furhatはこの買収の金銭的詳細について口を閉ざしているが、この買収は Furhatにハードウェア面での優位性を与え、同社のソーシャルロボティクスソフトウェアを新しいプラットフォームで活用することを可能にするためのものだという。

Furhat Roboticsという不思議な名前の会社は、Misty Roboticsがあるコロラド州を米国での事業拠点とする予定で、2つの技術を統合する方法を模索するため、同社のシニアスタッフ8人を残しておくそうだ。

Furhat RoboticsのCEOで共同設立者のSamer Al Moubayed(サマー・アル・モバイード)氏は「我々はシニアチームを維持し、オペレーション、エンジニアリング、ビジネス開発、そしてシニアソフトウェア開発者の責任者が参加します。Mistyは、中国の有名なパートナーによって製品を製造し、非常にスケーラブルな生産オペレーションを構築する上ですばらしい仕事をしてくれました」と語っている。

両社は「統一されたビジョン」に基づいて運営されていると主張し、Furhat RoboticsがMisty Roboticsブランドを引き続きサポートし、製品群の開発と拡大を支援するとともに、FurhatとMistyの機能を統合して将来のソーシャルロボットを強化すると語っている。

「ソーシャルロボットの世界では、買収は非常に珍しいことです。実は歴史上初めてのことかもしれません。まだ業界の初期段階ですから」とアル・モバイード氏はいう。「この会社は、Sphero(スフィロ)からスピンアウトした会社です。このロボットのユニークなところは、おもちゃのように見えるかもしれませんが、とても好感が持て、親しみやすいところです。それでいて、非常に高度な機能を持っています。Misty Roboticsが成功したのは、世界最高の技術を、非常に親しみやすいロボットに搭載したことです」。

Furhatチームは、自社の背面投影型アニメーション顔のロボットが、空港や駅、医療用途など、大人の人格を必要とするソーシャルロボットに最適であると提案している。Mistyが加えるのは、はるかに拡張性があり、小さな腕と表情でより表現力のあるものだ。しかし、Furhatのチームは、この2つのロボットは見た目はまったく違うが、共通点も多いと説明する。

「Mistyは、私たちに欠けていたパズルのピースなのです。例えば、教育分野に特化したより大きな市場にアクセスするのに役立ちます」と、アル・モバイード氏は買収の経緯を説明しながら語っている。「技術は非常によく似ています。しかし、Mistyはハードウェアに強く、私たちはソフトウェアに強いのです。教育用に新しいロボットを作るのではなく、Furhatは別のソリューションを探し始めることにしたのです」。

「Furhat Roboticsはこの分野における真のパイオニアです」。とMisty Roboticsの創業者で製品責任者のIan Bernstein(イアン・バーンスタイン)氏はコメントしている。「私たちは、ロボットアプリケーションの未来を現在にもたらすために力を合わせます。私たちの専門分野の組み合わせにより、近い将来、このすばらしい技術の実生活におけるさらに驚くべき応用を目にすることになるでしょう。ソーシャルロボットはすでに私たちの生活の中で重要な役割を果たしており、私たちの専門知識を組み合わせて現実世界の問題を解決することで、まさに無限大の可能性を秘めているのです」。

画像クレジット:Furhat Robotics

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

トラッカー、プロジェクター、ロボット、可動するルーター、CESのガジェットについて語ろう

CESが真の意味で「Consumer Electronics Show」(消費者向け電気機器展示会)の略だった時代はとうに過ぎ去った。主催のCTA(全米民生技術協会)は、そのことを小さく表記することであれこれ配慮している。スマートフォンなどが主役だった時代を振り返るには、先日の「10年前のCESベスト」記事がおすすめだ。各社が自社イベントでフラッグシップモデルを発表する傾向が強まり、Mobile World Congress(モバイルワールドコングレス)がCESの勢いを削いできた。

2022年は並行して開催されたイベントで、Samsung(サムソン)の廉価版フラッグシップとOnePlusの最新機種のプレビューが行われた。もちろん、LGとHTCも今回のショーに参加はしていたものの、スマートフォンのゲームからほとんど、あるいは完全に撤退してしまっていたことは状況の改善には良い影響を与えなかった。また、ほんの数年前まではショーで大きな存在感を示していたHuawei(ファーウェイ)も、すぐにはCESに復帰することはないだろう。

こうした空白の多くは「輸送技術」によって埋められた。この10年間で、CESは主要な自動車ショーへと変貌を遂げた。自動車メーカーは、自動運転や車載システムをはじめとして火星のメタバースへのロボットの派遣など、最先端の技術を世界に証明しようとしている。もちろんこのショーのおかげで、Kirsten(カーステン)記者とRebecca(レベッカ)記者は今週とても忙しかった

CESは、かつてのように携帯電話が多くないにもかかわらず、コンシューマーハードウェアの面でも大きなイベントであり続けている。PC、コネクテッドヘルス、スマートホームガジェット、アクセサリー、さらにはロボットの主要な展示会であることに変わりはない。また、業界がどのように進化しているかを知ることができるのも魅力だ。フィットネスを例にとると、ウェアラブルの数は減少しているものの、各社はリング(指輪)のような新しい形状を試している。一方で、Peloton(ペロトン)やMirror(ミラー)のような企業に対抗しようとする企業も急増してる。

画像クレジット:Garmin

ウェアラブル製品の展示はかなり控えめなものではあったが、Garmin(ガーミン)はハイブリッド型スマートウォッチSport(スポート)で注目を集めた。ハイブリッドスマートウォッチは、確かに長年にわたってさまざまな課題を抱えてきたが、Garminはウェアラブルカテゴリーにおいて驚くほど強いブランドであることを証明してきた。そしてVivomove Sport(ビボムーブ・スポート)は、派手なスマートウォッチを敬遠している人にもアピールできるすっきりとしたデザインで、かなり見栄えがする時計だ。

Tile(タイル)やApple(アップル)のAirTag(エアタグ)といった製品の人気を受けて、トラッカーはちょっとしたブームになった。2022年は、Tileが新しいPCパートナーを獲得した。ThinkPad X1(シンクパッドX1)がTileトラッキングに対応し、電源を切った状態でも最大14日間、紛失したノートPCを探すことができるようになった。一方、Targus(ターガス)は、AppleのFind My(探す)サポートを 最新のバックパックに直接組み込んでいる。

画像クレジット:Chipolo

しかし、CARDを発表したことで、Chipolo(チポロ)が一歩先に踏み出した。このデバイスは、クレジットカードよりもわずかに大きく、財布の中に入るようにデザインされていて、Find Myにも対応しているため製品を置き忘れると警告が表示される。現在、私はAirTagを1つ所有しており、鍵に使用している。大人になってから何度も財布を失くしたことがある私にとって、これはもう1つの購入しようと思わせる、かなり説得力のあるユースケースだと思う。

画像クレジット:TP-Link

Devin(デビン)記者は、「もし私が独立して裕福になったら、自宅での仕事のセットアップはどのようになるだろうか」(これは私の言い換えだが)という記事の最後に、AXE11000 Tri-Band Wi-Fi 6E Routerを紹介している。この製品は、ルーターの世界ではかなり異色な存在だ。このシステムには、より強い信号を得るために調整できるモーター付きのアンテナが搭載されている。価格は未定だが、今でも高価なTP-Linkの価格にこの贅沢さを上乗せすることになるだろう。しかし、より速いWi-Fiに値段をつけることができるだろうか?

画像クレジット:Anker

それよりもはるかにリーズナブルな価格で提供されるであろうリモートアクセサリーに拍手を送りたい。とりわけAnker(アンカー)はコストを抑える方法を知っている。220ドル(約2万5400円)で手に入るVideo Bar(ビデオバー)は、一種のオールインワンのウェブカムソリューションだ。これはAIによるピクチャーフレーミング機能を備えた2Kカメラと、内蔵のライトバーとスピーカーを搭載している。高度なスタジオ設備(あるいはOpal[オパール])に取って代わるものではないが、(比較的)安価にホームビデオのレベルアップを図りたい人にとっては、堅実なプラグ・アンド・プレイ・ソリューションと言えるだろう。

画像クレジット:Labrador Systems

今週初めには、ロボットショーとして進化しているCESについての記事を書いた。最大の難点は、家庭用ロボットは、ルンバをはじめとするロボット掃除機以外には、実用的なものがないことだ。しかし、今週Labrador(ラブラドール)のシステムを詳しく見ることができたのは幸いだった。なぜならこのシステムは、特に動きが不自由でありながら独立した生活を模索しているひとたちの、非常に現実的なニーズに対応しているからだ。このシステムは実質的に、家庭用のモバイル・ヘルプ・ハンドだ。

画像クレジット:Asus

楽しく新しい形状が登場しなければCESとはいえないが、2022年のCESでは、折りたたみ式の携帯電話の形状をノートPCにとりいれたAsus Zenbook 17 Fold OLED(エイスース・ゼンブック17・フォールドOLED)が圧倒的な存在感を示している。何よりも驚かされるのは、同社が実際に発売を予定しているということだ。レンダリング画像を最初に見たときに、この製品は単なるコンセプトだと思ったのは私だけではないと思うが、Asusはこのシステムを2022年の第2四半期に発売する予定だ。この写真にどれほど近いものが商品化されるかは、ほどなくわかるだろう。

画像クレジット:Samsung

Samsungは2022年、いつものような五感を刺激するような演出をしなかった。ロボットはなく、特注の洗濯機や格安の電話機などがあったが、楽しいプロジェクターが紛れ込んでいたのが良かった。比較的限定的な魅力しかないものの、各社はプロジェクターを実現しようと努力を続けている。少なくともこのプロジェクターは、小さくて、よくできていて、見た目も良い。ただ価格が900ドル(約10万4000円)であることから、ニッチな分野にとどまる可能性が高い。

画像クレジット:ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

「高齢者に役立つテクノロジーはすべての人の役に立つ」とスタートアップはCESで示す

2022年のCESではエイジテックのスタートアップが可能性の広さを示した。テクノロジーが高齢者の生活をもっと快適にする助けになるなら、他の多くの人々の助けにもなるだろう。移動のサポート、健康状態をモニタリングするプラットフォーム、長期的な資金計画などが役に立つのは高齢者に限ったことではない。

米国時間1月5日、筆者はAARP Innovation Labsのバーチャルプレゼンに登場したスタートアップの記事を公開した。このプレゼンではファイナンスのリテラシーに関するプラットフォームから更年期対策プロダクトを開発するD2Cのスタートアップまで、さまざまなテーマが取り上げられた。

TechCrunchでは他にも、開閉式のトレイシステム、棚、オプションの冷蔵庫を備えたLabrador Systemsのロボットカート「Retriever」を紹介した。最大25ポンド(約11.3kg)を運搬できるRetrieverは移動に制限のある人の助けとなり、家庭で洗濯物や食事などを運ぶことができる。このカートはAlexaの音声コントロールにも対応している(同社はAmazon Alexa Fundの支援を受けている)。

関連記事:Labrador Systems、高齢者や不自由がある人を助ける支援ロボットの手を2023年までに家庭へ

Sengledは心拍数や体温、睡眠の記録などをレーダーでセンシングして健康状態を把握できるスマート電球を発表した。スマートモニタは新しいアイデアではないが、Sengledの電球は極めて控えめだ。TechCrunchのハードウェア担当編集者であるBrian Heater(ブライアン・ヒーター)は「転倒検知など、高齢者介護に役立つ可能性のあるアプリケーションを搭載している」と記している。

関連記事:この電球はユーザーの健康状態をモニターする

テック大手が家庭用ヘルスモニタリングに参入する傾向も続いている。LGは、2021年と2022年の同社の全スマートテレビにリモートヘルスプラットフォーム「Independa」のアプリをインストールすると発表した。これにより、ユーザーはLGのテレビで遠隔治療の予約を取り、薬剤給付のプランを利用できる。

医療機器スタートアップのEargoは、最新の補聴器「Eargo 6」を発表した。新機能として自動で設定を調整する専用アルゴリズムの「Sound Adjust」を搭載し、ユーザーは騒がしい環境で手動で切り替えをして会話を聴きやすくする必要がなくなる。また、Eargoのアプリで選択できる環境設定の「マスクモード」も追加され、マスクをつけている人の話がこれまでよりクリアに聞こえるようになる。

Sensorscallは、Apple WatchやFitbitなどのヘルストラッキングデバイスと統合されたリモートモニタリングアプリ「CareAlert」のアップデートを公開した。家族や介護者は新しい健康状態ダッシュボードを通じて、毎日のルーティン、睡眠パターン、衛生の状況、キッチンの使用に関する傾向を見ることができる。CareAlertを開発したのは、自立して生活する(つまり住み慣れた家で生活し、その多くは家族と離れている)高齢者だ。

BOCCO emoロボット

BOCCO emoは介護施設での見守り用に作られた最新のロボットだ。開発したのはクッション型ロボットのQooboを作ったユカイ工学で、テーブルに置ける小型のBocco emoは医療用のIoTデバイスと接続して患者のバイタルを監視し、状態を看護師に通知する。患者が助けを必要とする場合は、看護師が到着するまでBOCCO emoが患者に話しかける。患者の状態を家族に知らせることもできる。BOCCO emoはすでに日本で試験運用を実施し、現在は日本国内の病院で使われている。この小さなロボットは「emo言語」を使う。ユカイ工学はこれについて、ユーザーの話と感情を理解し、それに応じて「効果音、顔の表情、ジェスチャー」で反応するものと説明している。

IoTセンサーを活用して自立した生活を支援するスタートアップには、Nodeus SolutionsのKoKoonがある。これはモバイルアプリに接続された小さなIoTセンサーのネットワークで、介護者や家族を対象としている。アルゴリズムが個人の習慣を学習し、行動に変化があれば介護者に知らせる。

IoTセンサー、AI技術、モバイルアプリを組み合わせたスタートアップとしては他にCaregiver Smart SolutionsUnaideSmart Macadamがある。

画像クレジット:Marko Geber / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

AIロボットが何をつかんだかを判別可能に―九州工業大学、マテリアルベースのリザバー演算素子を開発

AIロボットが何をつかんだかを判別可能に―九州工業大学、マテリアルベースのリザバー演算素子開発とロボティクスへの応用に成功

九州工業大学は1月6日、ロボットアームのハンド部分から得られる感触信号から、ロボットが何をつかんだかを判別(把持物体認識)することに成功したと発表した。把持物体認識には、人工ニューラルネットワークの一種であるリザバー演算(RC)が使われるが、九州工業大学は、そのリザバー演算を、「単層カーボンナノチューブとポルフィリン、ポリオキソメタレートの複合体」(SWNT/Por-POM)からなる素子で行わせるという、画期的なアプローチをとった。

人間の脳を人工的に模倣するには、ランダムに接続されたニューロンとシナプスの動的な貯蔵庫(リザバー)を模倣する必要があり、それを実現したのが人工ニューラルネットワーク(ANN)だ。その一種であるリザバー演算は、貯蔵庫内での信号のランダムなフィードバックを忠実に再現して時系列データの学習を可能にしており、深層ニューラルネットワークに比べて、効率的・高速・シンプルで、生物の脳の仕組みに近い機械学習アーキテクチャーとされている。

AIロボットが何をつかんだかを判別可能に―九州工業大学、マテリアルベースのリザバー演算素子開発とロボティクスへの応用に成功

ところが、リザバー演算を既存コンピューター上でソフトウェアだけで行うことは技術的に難しく、ハードウェアからアプローチするパラダイムシフトが不可欠とされる。そこで、ソフトウェアと並行して物理的な挙動を演算ツールとして用いる「物理リザバー」が研究されている。なかでも九州工業大学の手法は、物理的挙動を示すマテリアル自身に演算を担わせる「マテリオRC」という新しい試みだ。

研究では、SWNT/Por-POMによるリザバーからなるランダムネットワークを作り、トヨタ自動車の生活支援ロボット「ヒューマンサポートロボット」のロボットハンドから得られた物体把持のセンシングデータを入力信号として使用した。それにより、異なる物を正しく分類する「インマテリオRCタスク」に成功した。

現在、画像による物体認識は広く行われているが、光量が少ない暗い場所では誤判定が生じる。そのため、特に介護の現場などでは触覚センサーによる把持物体認識の併用が重要になってくる。九州工業大学では、「生物学的なインターフェースで効率的な計算を実現できる、マテリアルベースのRCが賢い選択だということが今回の結果で示されました」と話している。SWNT/Por-POMは近い将来、「脳と同等の情報処理能力を持つと期待され、時系列予測や音声認識など他の複雑なAI問題に応用すること」が可能になるということだ。

この研究は、九州工業大学ニューロモルフィックAIハードウェア研究センターの田中啓文教授、田向権教授らからなる研究グループと、大阪大学の小川琢治元教授、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のジムゼウスキー教授との共同によるもの。

Labrador Systems、高齢者や不自由がある人を助ける支援ロボットの手を2023年までに家庭へ

CES 2020の会場で、Labrador Systemsの共同創業者でCEOのMike Dooley(マイク・ドゥーリー)氏は、「今年は(展示会で)偽物のロボットが少なくなっていると思う」と話していた。ここ数年、CESではロボットを目新しいものとしてではなく、本格的なホームデバイスとして扱い始めている。当時、同社はスイートルームを借りて、後に「Retriever」と呼ばれることになるシステムの初期バージョンを展示していた。

2021年初め、初のバーチャルCESの開催後、同社は一部のユーザーにプロトタイプの配布を始めた。この度の展示会では、その初期テストの成果を、体験談動画という形で見ることができる。Retrieverは、私が2年前に見たものをより洗練させたものだが、基本的には同じ原理で動作する。高齢者や移動に不自由のある人を支援するロボットバーカートのようなものだ。

画像クレジット:Labrador Systems

高齢化が進む日本では、ロボットによる高齢者介護が大きなビジネスになっていることは、この業界を見てきた人なら知っているだろう。しかし、米国ではそれほどでもないようだが、それに続く企業が出始めている。Retrieverは、このように人々を支援するために目的を持ってロボットを製造している米国の企業としては、私がこれまで見た中で最も良い例の1つだ。自立した生活を送れるが、ロボットハンドを追加することで恩恵を受けることができる人々を主な対象としている。

ドゥーリー氏は、ニュースに関連したリリースで「私たちの社会には、十分なサービスを受けていない人がたくさんいます。痛みや他の健康上の問題で、自分自身が動けなくなると、たとえ短い距離でも、自立や生活の質、健康全般に大きな影響を与える可能性があります。Retrieverは、そのギャップの一部を物理的に埋め、個人がより活動的になり、より多くのことを自分で行えるようにすることを目的としています」と述べている。

画像クレジット:Labrador Systems

このシステムは最大25ポンド(約11.3kg)まで運ぶことが可能で、洗濯物や食事といった家の中にある荷物を運ぶのに使用できる。カウンターや棚、同社が提供を予定しているという特注の冷蔵庫などから、カートの上に物を移動できる開閉式のトレイシステムを搭載している。その下には、食品や薬などの収納スペースと、携帯電話を充電するためのポートがある。

本システムはAlexaによる音声コントロールにも対応している。SOSV/HAX、iRobot、全米科学財団とともに、Amazon Alexa Fundが同スタートアップの支援者の1つだ。次のベータテスト期間を経て、Labradorは2023年後半までに、機能に応じてさまざまな価格帯で商用販売を開始する計画だ。アーリーアダプターはRetrieverを1500ドル(約17万4000円)で購入することができ、月額サービス料は資金調達次第で99〜149ドル(約1万1500〜1万7300円)になる。

また、Labrador Systemsは、Alexa FundとiRobot Venturesが共同リードする310万ドル(約3億6000万円)のシードラウンドも発表している。この資金は、エンジニアリングの人員増強と生産の加速に充てられる予定だ。

Alexa FundのPaul Bernard(ポール・バーナード)氏は、このニュースに関連した声明の中で、「Labradorは、高齢で移動に困難を抱える人々に支援を提供することの意味について、最先端の技術を進歩させています。彼らは、私たちの社会における重要な問題に取り組んでおり、消費者向けロボット工学における数十年の経験を生かし、人々がより良い生活を送るための力を与える製品を提供しています」と述べた。

画像クレジット:Labrador Systems

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

指を「はむはむ」噛ってくれるユカイ工学のかわいいぬいぐるみ型ロボ

CESのシーズンには、少なくとも2台の風変わりなロボットが登場しなくてはならない。しっぽクッション「Qoobo」のメーカーであるユカイ工学は、ユーザーの指先をかじるソフトロボットを公開した。この「ちょっと気持ちいい感覚」が、ユーザーの1日を明るくしてくれることを同社は、期待している。

甘噛みハムハム(Amagami Ham Ham)は「Hamgorithm」と呼ばれるアルゴリズムによって、20種類のかじり方のパターンから1つを選択するため、ロボットの口に指を突っ込んだときに何を感じるかはわからない。ユカイ工学は、赤ちゃんやペットが自分の指を齧る感触を再現するために「Tasting Ham」「Massaging Ham」「Suction Ham」などのパターンをデザインした。

画像クレジット:Yukai Corporation

株式会社りぶはあとのぬいぐるみ「ねむねむ」シリーズのキャラクターをベースに、ユカイ工学はロボットの外側をつくった。指でムシャムシャ食べるモデルは、三毛猫と柴犬の2種類を用意される予定だ。

「ほとんどの人はかじる感覚が好きですが、子どもやペットにそれを止めることを教える必要があることを知っています。そうしないと、最終的には、子どもや動物が強い力で噛むようになるからです」と、2021年初めに行われたハッカソンでこのロボットを生み出したユカイ工学のCMOである冨永翼氏はいう。「甘噛みハムハムは、『噛る』という禁断の快楽を『追求するか、しないか』という難問から人類を解放するロボットなのです」。

価格は未定だが、ユカイ工学とりぶはあとは2022年春にクラウドファンディングを実施する予定だという。それまで、CESに足を運ぶ人は、会場で甘噛みハムハムをチェックし、ユカイ工学のブースから少し柔らかな指になって帰ることができるかもしれない。

ユカイ工学がCESで発表する他のデバイスの中に、Bocco Emoがある。同社は、オリジナルのロボットBoccoをスマートな医療機器として機能するようにアップデートした。ユカイ工学によれば、日本の病院では、パルスオキシメーターや体温計などのセンサーを接続して患者のバイタルをモニターし、看護師に患者の状態を通知するために使用されているという。

また、試験運用期間中は、患者家族への連絡にも利用された。さらには看護師が来るのを待つ間、効果音や表情、ジェスチャーで、患者とコミュニケーションをとることも可能だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のKris HoltEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Yukai Engineering

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(文:Kris Holt、翻訳:Katsuyuki Yasui)

大阪大学が昆虫用VRシステムを用いて生物が匂いの発生源を探る行動を解明、効率的な探索には複数感覚の情報統合が必要

大阪大学が昆虫用VRシステムを用いて生物が匂いの発生源を探る行動を解明、効率的な探索には複数感覚の情報統合が必要

大阪大学は12月15日、生物が匂いの発生源「匂い源」を効率的に探索するためには、複数の感覚の情報統合が必要であることを、世界で初めて解明したことを発表した。この行動解析は、ガス漏れ探索機や人命救助ロボットへの応用が期待されるという。

生物は、生存に欠かせない匂い源の探索に風や視覚情報を使っていることは前から知られていたが、その情報が、どのような状況化でどのように行動に反映されているかは未解明だった。そこで、大阪大学大学院基礎工学研究科大学院生の山田真由氏らによる研究グループは、匂い、風、光を同時に連続的に提示できる昆虫用VRシステムを開発し、カイコガの雄が雌を探す様子を観察した。すると、匂い情報と風の情報は歩行と回転の速度調整に、視覚情報は姿勢制御に寄与していることがわかった。

さらに研究グループは、生物学的データからモデルを構築し、シミュレーションにより機能評価を行ったところ、これまでに提案されていた匂い源探索モデルよりも高い探索成功率が示された。また、生物と同様の探索軌跡が発現されることも認められた。

研究グループでは、このVRシステムを他の生物にも応用することで「生物の生存戦略についての知見が深まる」としている。同時に、ガス漏れ源探索ロボットや人命救助ロボットといった工学分野への応用も期待されるとのことだ。

同研究は、大阪大学大学院基礎工学研究科大学院生の山田真由氏、大橋ひろ乃特任研究員、細田耕教授、志垣俊介助教、東京工業大学工学院システム制御系の倉林大輔教授らによるもの。

倉庫用ロボットのスタートアップForwardXがシリーズCで約35億円調達

倉庫内に設置されたForwardXのAMRロボット

北京に本社を置き、自律移動型ロボット(AMR)を製造するForwardX Robotics(フォワードX・ロボティクス)は、世界的な事業拡大を目指し、シリーズC資金調達ラウンドの最初のトランシェをクローズしたことを米国時間12月14日に発表した。

同社の最高執行責任者(COO)であるYaxin Guan(ヤクシン・グァン)は、TechCrunchのインタビューの中で、投資家が中国の倉庫業や製造業のロボットメーカーに声をかけている時期に、同社はシリーズCラウンドの残りの資金を調達していると述べた。

今回の新たな投資により、Oracle(オラクル)の元副社長であるNicolas Chee(ニコラス・チー)氏が2016年に同社を設立して以来、ForwardXの調達総額は約1億ドル(約113億円)に達した。同社は、資金調達後の評価額や、シリーズC全体でいくらかき集める予定なのかについては明らかにしていない。

C1ラウンドは、中国の保険会社であるTaikang Life Insurance(泰康人寿)が主導し、Qualcomm Ventures(クアルコム・ベンチャーズ)と、業界のアップグレードに焦点を当てた中国のアーリーステージの投資会社であるStarlight Capital(スターライト・キャピタル)が参加した。

2014年、Qalcommは、インターネット、eコマース、半導体、健康、教育などのモバイル技術を推進する中国のスタートアップ企業に1億5000万ドル(約170億円)を出資することを発表している。

ForwardXは現在、別の大手サプライヤーのチップを使用しているが、チップメーカーの大手が参加することで「5G技術のリーダーと協力して、スマート倉庫や製造プロジェクトでの5Gの使用をさらに進めることができる」と同社は述べている。

今回の資金調達により、中国のスタートアップ企業は、研究開発のタイムラインを加速し、米国などの「主要市場」での展開能力を高め、新しい市場での販売を拡大する計画だ。

現在、同社の収益の大部分は中国からのもので、eコマース大手のJD.com(JDドットコム)や、DHLと提携している物流大手のSF Supply Chain China(SFサプライ・チェーン・チャイナ)が主な顧客となっている。グァン氏によると、このロボットメーカーはこれまでに、JD.comの倉庫で500万件以上のピッキングを行ってきたという。

他の中国のロボットベンチャー企業と同様に、ForwardXも海外市場への進出を着実に進めている。すでに東京にオフィスを開設し、米国支社の設立を予定している他、2022年にはヨーロッパへの進出も計画している。

つまり、Locus Robotics(ローカス・ロボティクス)や6 River Systems(6リバー・システムズ)などの米国企業を狙っているのだ。競合するために、同社のソリューションは「競争力のあるハードウェアコストと、そのソリューションにおける1人当たりに必要なロボット数」により、競合他社よりも少ない初期投資で済むと主張している。同社のロボットは、1台あたり最大1200kgの荷物を運ぶことができる。

ForwardXは、AMRソリューションを販売するだけでなく、自動車送迎のプラットフォームがドライバーの生産性を最適化するために使用しているアルゴリズムのように、ロボットが倉庫内をどのように歩き回るかを決定できるフリート管理システムも売りにしている。

LiDARとディープラーニングを搭載したロボットのおかげで、作業員は歩き回るよりもピッキングに時間を割くことができ、新入社員は倉庫内のどこに何があるかを覚える必要がなくなるとグァン氏は説明してくれた。

中国のハイテク企業は、海外で規制当局の監視を受けることが多くなっている。「ビジネスの観点」から見ると、同氏は米中関係の悪化が同社の米国進出の足かせになるとは考えていない。

「米国では人手がさらに少なくなっているので、物流の顧客が米国で必要としているのはロボットなのです」と語った。

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ソニーが整地・不整地を安全かつ効率的に移動できる6輪ロボを開発、清水建設と建設現場で共同実証実験

ソニーが整地・不整地を安全かつ効率的に移動できる6輪ロボを開発、清水建設と建設現場で共同実証実験

ソニーは、アクチュエーターを備えた6本の脚それぞれに車輪を配した、6輪ロボットを発表した。平地では車輪で走行し、階段などの段差では脚移動と車輪移動を併用する。そのため、整地と不整地が混在する場所でも、安全かつ効率的に移動が可能となる。ソニーグループの研究開発組織であるR&Dセンターが開発した。

このロボットには、ソニーがロボット関連の国際学会「IROS 2021」で発表した4脚歩行ロボットの設計思想が継承されている。作動中・停止中の脚部にかかる負荷を分散することで、最大20kgの重量物を、高いエネルギー効率で運搬できるほか、静止時は自重を支えるために必要なエネルギー消費量も削減できるという。ソニーが整地・不整地を安全かつ効率的に移動できる6輪ロボを開発、清水建設と建設現場で共同実証実験

脚の間接部にかかる力は、ソニー独自の全身協調制御システムにより柔軟に制御され、不安定な路面でも動作を安定させられる。また外部から力を受けたときは、衝撃を最小限に抑えるための自律的な回避行動がとれる。さらに、移動時に瞬間的な大電流が必要になった場合に、電気二重層キャパシタ(EDLC)がピーク電流に対応するため、バッテリーを小さく抑えることができ、機体が小型化できた。ソニーでは、さらなる小型化を進めると話している。このロボットは、清水建設と共同で、工事現場での実証実験が行われる。期間は2021年11月から2022年6月(予定)。

同実証実験は、清水建設が施工中の虎ノ門・麻布台プロジェクト(虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業) A街区のタワービルにおいて、ソニーの移動ロボットの検証機を動作させるというもの。従来は管理者が行っていた施工現場の巡回・監視業務、工事の出来高確認検査業務などの代替を想定し、歩行性能、監視(撮影)性能、操作性能を検証する。

仕様

  • サイズ:
    全高720〜1220mm(500mmの可変ストローク)
    全長912mm
    全幅672mm
    総重量(バッテリーを含む):89kg
  • 可搬重量:最大20kg
  • 移動速度:最大1.7m/s
  • 移動可能段差:最大30cm
  • 連続稼動時間:約4時間(動作パターンにより変動)
  • 自由度:
    駆動軸16軸(直動6軸、Hip回転6軸、駆動輪4軸)
    受動軸2軸(独自開発シングルオムニホイール)

【コラム】私たちが自律型ロボットを設計できなくても、ロボットが自らを設計できるかもしれない

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が先に発表した、人間型で「人間レベルの手」と特徴的に楽観的な納期を備えたTesla Bot(テスラ・ボット)は、当然のことながらそれなりの批判を集めている。

関連記事:テスラはロボット「Tesla Bot」を開発中、2022年完成予定

このロボットは最終的に、単独で食料品店に行くなどの用事をこなすことができるようになるとマスク氏は述べている。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は、これまでで最も高度なヒューマノイドロボットを開発中だが、Atlas(アトラス)プラットフォームへの取り組みに10年以上を費やしてきた。Atlasは、何千万人ものYouTube視聴者の前で走ったり、ジャンプしたり、踊ったりするなど、目覚ましい進歩を遂げているものの、同社はこのロボットが複雑なタスクを自律的に実行するにはまだ長い道のりがあることを即座に認めている。

ロボットの進化のポテンシャル、そして果されていない約束に関する最も良い例の1つが、2010年にPLOS Biology(プロス・バイオロジー)誌に発表された研究である。この研究の執筆者たちは、モーターとセンサーを搭載した物理的なロボットを使って(単なるシミュレーションではなく)、衝突のないナビゲーション、ホーミング、捕食者と被食者間の共進化など、いくつかの進化モデルとフィットネス目標を実行した。

彼らは結論の中で「これらのロボットによる実験的進化の例は突然変異、組み換え、自然選択による進化の力を証明している。すべての場合において、ロボットはそのゲノムにランダムな値があるために、最初は完全に非協調的な行動を示した」と記している。

要約すると、この研究は「広範囲の環境条件下で効率的な行動の進化を促進するには、数百世代にわたるランダムな突然変異と選択的複製が必要にして十分である」と結論づけている。

この非常に多くの世代にわたる進化の必要性は、Alphabet(アルファベット)が最近リリースした、Google(グーグル)のオフィスの清掃作業を行う100台を超えるEveryday Robot(エブリデイ・ロボット)のプロトタイプに示されている。そのぎこちなく、たどたどしい動きは、依然として進歩途上の域を出ない

「進歩」対「完全」

マスク氏がロボティクスのフィールドで競争に勝つことは実際にあり得るかもしれないが、ロボット自身の助けが必要になるだろう。進化的コンピューター分野の多くの専門家によれば、一定のフィードバックや学習ループを必要とする複雑なタスクを実行できるロボットは、人間が自ら直接設計するには複雑すぎるという。それよりむしろ、ロボットによる開発と設計の未来は、特定の結果に最も役立つ機能をロボットが選定する「進化」の産物になる可能性を秘めている。

進化的ロボティクスはSFのように聞こえるが、新しいコンセプトではない。1950年代初頭でさえ、Alan Turing(アラン・チューリング)氏が、インテリジェントな機械の創造は人間の設計者には複雑すぎるだろうと考え、より良い方法はそのプロセスに「突然変異」と選択的複製を導入することかもしれないと仮定していた。もちろん、進化的ロボティクスの背景にあるアイデアはかなり前から形になっていたが、そのコンセプトを実行に移すために必要なツールが利用できるようになったのは最近のことにすぎない。

現代史上初めて、私たちは進化的ロボティクスを促進する上で必要なあらゆるビルディングブロックを手にしている。3Dプリンティングを使った迅速なプロトタイピングと物理的な複製、学習と訓練のためのニューラルネットワーク、改善されたバッテリー寿命と安価な材料などだ。

例えば、NASAはすでに人工進化技術を使って衛星用アンテナを開発している。それ以上にエキサイティングなのは、バーモント大学とタフツ大学のクリエイターが2020年に「xenobot(ゼノボット)」を発表したことだ。これは「進化的ロボティクスの技術を使ったコンピューターシミュレーションで初めて設計された小さな生物機械」である。

この自己修復型の生物機械はカエルの幹細胞を使って作られたもので、ペイロードを動かしたり押したりする能力を示している。この「ナノロボット」は、いつの日か血流に注入されて薬を運ぶことに使えるようになると考えられている。

しかし、これらすべてのブレークスルーが存在するとしても、物理的ロボットの進化的反復は依然として時間を要するものであり、その理由の一部は、それにともなうリスクに起因している。食料品を買いに行くような作業でさえ、信じられないほど複雑で、クルマが往来する道路を横断してしまうようなロボットのさまざまなミスが人間を危険にさらしかねない。

多くの可能性

マスク氏が既存のTesla(テスラ)車を単なる車輪付きロボットだとするのは間違ってはいないが、あまりにも単純化しすぎている。Teslaは1つのタスクに特化しており、直接的な監督なしでは複雑な世界をナビゲートする自己学習はできない。同氏はスーパーコンピューターを自由に使えるようにし、すでに高度なロボットと驚異的なAI専門家チームを手に入れているかもしれないが、独立して人前に出ることのできるヒューマノイドロボットの実現はまだ遠い先のことだろう。

自力で動けるロボットを作るためには、ロボットが突然変異を起こし、2つの異なる親の最も望ましい特性を組み合わせていく、数百「世代」の進化が必要となるであろう。

有用な現実世界のアプリケーションを空想するなら、セキュリティと偵察のラインに沿って想定してみよう。安全検査やコードコンプライアンスの構築、消防支援、さらには捜索救助支援なども考えらえる。

2021年6月、フロリダ州サーフサイドのビーチフロントにあるコンドミニアムの塔が崩壊し、100人近い命が奪われた。ドローンの大群が有用であることを示す好例は、建物の建築とコード検査かもしれない。老朽化したマンションの最上階から最下部、内部、外部まで、センサーやカメラを使って防水性の問題、コンクリートのはく離やひび割れ、沈下などの問題をチェックする、より定期的で頻度の高い検査を行うことができる。これは、人間のエンジニアチームの何分の1かのコストで実現可能である。

他にも、警備や医療支援など、イベントに役立つアプリケーションがある。ヒューストンのアストロワールドの悲劇を思い出して欲しい。10万人規模のイベントでは、人間の警備員が広大で混雑した地帯をカバーするのは難しいことが多い。ドローンやロボットの群れは、セキュリティ上の問題や闘争、発作を起こしている人あるいはその他の医療上の緊急事態を監視したり、自動体外式除細動器のような医療機器を人間のスタッフよりもはるかに迅速に運んだりするといった点で、極めて有用である。

なぜドローンは群れを成し、1機ではないのか。多くの理由があるが、主としてレジリエンスと冗長性が挙げられる。1機のドローンが故障しても、オペレーションは途切れることなく継続する。これは「ミッション」を中断できない高リスクの状況で特に有用である。

より良いロボットの創造

「進化的ロボティクス」という用語は、有機的な進化から学んだプロセスを非有機的なデバイスに複製することを意味しているため、少し誤解を招きやすい。より良い記述子は「人為的進化」あるいは「具現化進化」かもしれない。ロボットが進化しているというよりも、プロセスそのものが進化を生み出しているのである。

同じアプローチは、2つ以上の親由来の突然変異とそれに続く組み換えの両方を介して「子孫」を生成するニューラルネットワークと進化アルゴリズムを装備可能な、任意のエンティティに適用することができる。実際、進化には物理的な形さえ必要ない。これらと同様のプロセスをスーパーコンピューターの内部に配置して、大規模な問題を解決することもできる。進化のより良い理解は、私たちが何を成し遂げるのに役立つだろうか?

1つは、自律的な現実世界のインタラクションである。進化的ロボティクスは、複雑かつ自律的な現実世界でのインタラクションを可能にする唯一の方法だ。そのようなロボットの利点は列挙するには長すぎるが、ユースケースは、ロボット消防士、捜索救助ロボットから、核廃棄物浄化ロボットや在宅介護ロボットなどにまで及ぶ可能性がある。

私たちはまた、有機的進化についてもさらに理解を深めることができる。進化についてのより微細な知識は、推し量るのが難しいほど幅広いアプリケーションを生み出す可能性がある。病気の治療や免疫の確立、寿命の延長、生態系へのインパクトの軽減など、地球上の未来をより正確に把握するための最善の方法について、信じられないほどの洞察を得られるかもしれない。

生命の起源を知る手がかりを得る可能性も秘めている。人工的な進化を研究し、習得することにより、他の惑星で生命が形成され進化し得るあらゆる方法について理解を深めることができるだろう。科学の専門家の多くは、宇宙の他の場所に生命が存在する可能性は低いとしているが、進化に関するより深い理解と、ミクロスケールで大進化を再現する能力は、地球外生命の探索の指針となることは間違いない。

もろ刃の剣

最後に太陽系の探査について考えてみよう。完全に自動化され、自己複製し、進化するロボットがあれば、これまでの想定をはるかに超える距離で、宇宙の奥深くまで無人ミッションを送ることが可能になる。これらのロボットは、着地した惑星に適応し、コンポーネントを再利用し、環境に応じて進化し、最終的にはデータや子孫を地球に送り返すことができるかもしれない。

ロボットが街を歩き回るというアイデアが「ターミネーター」のようなロボットの蜂起のイメージを想起させるのであれば学習、再生、環境観察、進化が可能なロボットが現実からまだ遠いという事実に慰めを得ることができる。

むしろ、複雑な現実世界のインタラクションが可能で真に自律的なロボットを習得する上での最大の難点は、人間のワークフォースが必然的に移動することだ。マスク氏は、この問題の解決策はベーシックインカムの普及であり、将来の仕事は完全に任意だと考えている。

同意できそうにない。人間は仕事と創造から自尊心と価値を得ており、それを取り除くことは、潜在的な経済的影響に加えて、広範囲にわたる心理的インパクトが生じる可能性がある。これは複雑な問題だが、進化的ロボティクスは、最大の成果の1つとなり得るとともに、人類が直面しなければならない最大の課題にもなり得るだろう。

編集部注:本稿の執筆者Gideon Kimbrell(ギデオン・キンブレル)氏は、InListの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:NanoStockk / Getty Images

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(文:Gideon Kimbrell、翻訳:Dragonfly)

宇宙ロボットのGITAI、トヨタの月面モビリティ「有人与圧ローバ」向けロボットアームの開発に着手

宇宙ロボットのGITAI、トヨタの月面モビリティ「有人与圧ローバ」向けロボットアームの開発に着手

宇宙ロボットスタートアップのGITAI(ギタイ)は12月13日、トヨタが開発を進めている月面用モビリティ「有人与圧ローバ」(Luna Cruiser。ルナ・クルーザー)向けのロボットアームの開発に着手したことを発表し、開発中の試作機を公開した。

GITAIとトヨタは、2021年6月25日にLuna Cruiser向けロボットアームの開発を進める共同研究契約を締結している。今回公開されたのは、ロボットアームの先端ツールを着脱するシステム「グラップルエンドエフェクタ」(本体側インターフェイス)と「グラップルフィクスチャ」(受け手)のブレッドボードモデル(宇宙機における初期段階の設計実証用試作機)。

グラップルエンドエフェクタ

グラップルフィクスチャ

月面での探査・点検・メンテナンスを行うためには、ロボットには複数の仕事を行う「タスク性能」と、広範囲での作業を可能にする「移動性能」が求められる。この2つの課題を解決するのが、グラップルエンドエフェクタを両端に装着したロボットアームだ。ロボットアームは、片側のグラップルエンドエフェクタを有人与圧ローバ壁面のグラップルフィクスチャに固定して、反対側のグラップルエンドエフェクタに様々なツールを着脱して、いくつもの仕事をこなすことになる。移動は、ローバー壁面の別のグラップルフィクスチャにアームの先端を嵌合(かんごう。軸と軸受けがはまり合っていること。はめ合わせるといった意味)し、反対側を切り離すことで行う。フラップルフィクスチャをローバー以外の建造物などに設置すれば、移動範囲は無限に広がる。

床や壁面に設置されたグラップルフィクスチャと嵌合(かんごう)することで移動するロボットアーム

床や壁面に設置されたグラップルフィクスチャと嵌合(かんごう)することで移動するロボットアーム

グラップルエンドエフェクタとグラップルフィクスチャは、嵌合すると、機械結合、電力結合、通信結合がなされる。またアームには充電器があり、グラップルフィクスチャに充電機能を備えれば、移動しながらの充電も可能となる。

今後は、2029年のLuna Cruiserの打ち上げを目指し、自律制御技術と、低重力・真空・極低温~高温・レゴリスといった月面特有の過酷な環境への対応に取り組んでゆくという。

 

京都府と連携、次世代ロボットエンジニア支援機構が3D CAD・ロボット分解組立講座やロボットプログラミング講座

京都府と連携、次世代ロボットエンジニア支援機構が3D CAD・ロボット分解組立・ロボットプログラミング講座開催

一般社団法人次世代ロボットエンジニア支援機構(Scramble)は12月4日、京都府と連携し、中級以上のロボット技術を学びたい子どものためのロボット講座の開催を発表した。開催日時は、2022年1月9日が「3D CAD講座」および「ロボット分解組み立て講座」。2022年1月15日および16日が「ロボットプログラミング講座」。場所は、京都府精華町のけいはんなロボット技術センター。応募締め切りはそれぞれ2021年12月26日。

Scrambleは、初心者向け講座では満足できない児童を対象に、ロボット競技会で世界一を目指す学生たちが講師を務める講座を2020年から展開。2022年も、3D CADの基本を学ぶ「3D CAD講座」と大型ロボットの分解と組み立てを体験する「ロボット分解組立講座」、ロボットの制御を学ぶ「ロボットプログラミング講座」の3つを開催する。なお、3D CADとロボット分解組み立て講座はセットで受講することになっている。

3D CAD講座とロボット分解組立講座

3D CAD講座では、企業での機械設計でも用いられる3D CADの基本的な使い方を学習する。ロボット分解組立講座では、Scramble所属の学生がロボット競技会用に作成した大型ロボットの分解・組み立をて実際に体験し、ロボットの機構や作り方について触れながら学ぶ。

申し込みは「3DCAD・ロボット分解組立講座 参加申込書」から。新型コロナウイルス感染対策を行った上で開催される。上の動画は去年の様子。

  • 内容:
    3DCAD講座
    ・3D CAD(Fusion 360)、CAEの使い方を学ぶ
    ・3Dプリント用パーツのモデリングを行う
    ロボット分解組立講座
    ・ロボットコンテストに出場するロボットの構造を学ぶ
    ・同機構が製作したロボットの分解と組み立てを行いロボットの構造を学ぶ
  • 対象年齢:13歳~18歳
  • 応募人数:最大8名(応募者多数の場合は抽選)
  • 日時
    ・3DCAD講座:2021年1月9日10時~12時
    ・ロボット分解組立講座:2021年1月9日13時~18時
  • 会場:けいはんなオープンイノベーションセンター内けいはんなロボット技術センター(京都府相楽郡精華町精華台7丁目5−1)
  • 参加費:3D CAD講座は無料、ロボット分解組立講座は3000円(SNS投稿により1000円割引)
  • 持ち物:3D CAD「Fusion 360」が動作するノートPC(Wi-Fi対応)、充電ケーブル、昼食。PCの動作環境は「Autodesk Fusion 360 の動作環境」参照
  • 応募締め切り:2021年12月26日

ロボットプログラミング講座

ロボットプログラミング講座では、DJIの教育用インテリジェントロボット「RoboMaster S1」を用いてロボット制御の基礎から画像処理の基礎までを2日間で習得する。RoboMaster S1は、Scratch 3.0およびPythonに対応している。

申し込みは「ロボットプログラミング教室参加申込書」から行う。

  • 内容
    ・ロボットを指定通りに走行させる
    ・ロボットに搭載されたカメラでマーカーを画像認識させる
    ・フィードバック制御を用いたマーカーの自動追従させる
  • 対象年齢:9歳〜15歳
  • 応募人数:最大6名(応募者多数の場合は抽選)
  • 日時:2022年1月15日と16日、いずれも10時〜16時
  • 会場:けいはんなオープンイノベーションセンター内けいはんなロボット技術センター(京都府相楽郡精華町精華台7丁目5−1)
  • 参加費:3000円(SNS投稿により1000円割引)
  • 持ち物:ノートPC(Wi-Fi対応)
  • 応募締め切り:2021年12月26日

Scrambleは、日本のものづくりを担う次世代のエンジニアの育成、およびものづくり業界・文化の活性化をミッションに掲げる組織。ロボットコンテストを人材育成の場として活用し、様々なロボットコンテストに出場する学生・児童への製作費やメンター提供、ものづくりスペースの提供など多岐に渡る支援事業を実施している。また、学生・児童から現役エンジニアまで全世代のスキルアップ、初学者の参入障壁を下げる取り組み、非エンジニア層に向けた広報活動などを展開し、エンジニアに憧れてカッコいい職業に感じてもらい界隈の人口増加を狙う事業を展開している。

北海道大学が水中を泳ぐ1ミリ以下の分子ロボットの創出に成功、光をエネルギー源に屈曲運動で自立遊泳

北海道大学、水中を泳ぐ1ミリ以下の微小な分子ロボットの創出に成功

北海道大学は11月29日、動物のように体を動かして水中を泳ぐ、大きさが1mm以下という微小な分子ロボットを作り出すことに成功したと発表した。変形を繰り返す、水中を泳ぐという分子ロボットの2つの大きな課題を克服した、世界初の研究成果とのこと。北海道大学、水中を泳ぐ1ミリ以下の微小な分子ロボットの創出に成功

北海道大学大学院理学研究院の景山義之助教らの研究グループが今回作り出したのは、青色の光をエネルギー源として体を動かし、体の一部をヒレのように使って水中を泳ぐという分子ロボット。化学的に合成した分子「アゾベンゼン」とオレイン酸を混合した結晶からできている。大きさは、縦が数十µm(マイクロメートル)、横が数百µm、高さが1µm(1µmは、0.001mm)。同グループは、2016年、すでに「「屈曲を自ずから繰り返す分子ロボット」を発表している。今回の課題はそれを「泳がせる」ことだった。

分子ロボットのサイズの世界では、人が泳ぐときとはまったく異なる力が作用する。いちばんの要素は水の粘性。人間のように体重を活かして勢いをつけて進むことができない。体を動かして移動できても、元の形に戻すと、位置も元の場所に戻ってしまう。ボートをこぐときに、オールを水中から出さずに前後に動かしているようなものだと研究グループでは表現している。そのため、微小なものは屈伸運動では泳げないというのが定説になっていた。

同グループは、遊泳方向を決める因子、遊泳速度と遊泳距離を決める因子について力学計算を行った。その結果、分子ロボットの上下運動が制約される平面状の狭い空間なら泳げることが示された。今回作られた分子ロボットには、ヒレが前にある「犬かき型」とヒレが後ろにある「バタ足型」の2種類がある。遊泳速度は、秒速10µmほど(1秒間に体長の1/10ほど進む)。速いものでは秒速15µm(時速500mに相当)と、定説を覆す結果となった。北海道大学、水中を泳ぐ1ミリ以下の微小な分子ロボットの創出に成功北海道大学、水中を泳ぐ1ミリ以下の微小な分子ロボットの創出に成功

今回の成果は、血管などの狭い空間を移動できる自動運転型分子ロボットの開発につながるほか、小さな生命体の狭い空間での動き方に関する理解が深まる可能性もあるということだ。

Preferred Networks、自律移動ロボットの開発・販売を行うPreferred Roboticsを設立し20億円調達

Preferred Networks、自律移動ロボットの開発・販売を行うPreferred Roboticsを設立し20億円を調達

アマノのロボット床洗浄機「EGrobo」(イージーロボ)

深層学習とロボティクスのスタートアップPreferred Networks(プリファードネットワークス。PFN)は11月26日、自律移動ロボットの研究、開発、製造、販売を専門に行うPreferred Robotics(プリファードロボティクス。PFRobotics)の、会社分割による設立を発表した。またPFRoboticsは、普通株式を新規に発行し、そのすべてをアマノに割り当てることで20億円の資金調達を実施する。

「すべての人にロボットを」の実現を目指すPFNは、ロボット事業を迅速に展開できる最適な組織作り、適切なパートナーとの協業の推進、資金需要への柔軟な対応を加速する目的で、ロボット部門をPFRoboticsとして独立させた。

精密機器メーカーのアマノとのパートナーシップにより、アマノの顧客基盤、営業力、サポート力を活かして早期にロボット製品の販売体制を整えると同時に、業務用清掃ロボットを共同開発するという。アマノは、AIを活用したロバスト性の高いSLAM技術を採用し、自律移動性能を高めた次世代型業務用清掃ロボットをPFRoboticsと共同で開発し、両社で年間1000台以上の販売を狙うとしている。

2022年中には、PFRoboticsが単独で開発を進めている、さまざまな分野向けの自律移動ロボットも発売を開始するとのこと。

PFNは、今後もロボット関連基礎技術の開発と既存パートナーとの関連事業は継続し、「あらゆる場面でロボットが活躍する未来の実現を目指します」と話している。

【インタビュー】CMUロボティクス研究所の新ディレクターが語るロボット研究の未来

カーネギーメロン大学のロボティクス研究所では、2年間にわたって暫定的にポストを担ったSrinivasa Narasimhan(スリニヴァサ・ナラシマン)教授が退任し、この度6人目となるディレクター、Matthew Johnson-Roberson(マシュー・ジョンソン=ロバーソン)氏が着任した。2005年にカーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学部を卒業した同氏は、ミシガン大学の海軍建築・海洋工学部および電気工学・コンピュータサイエンス部の准教授を経て同ポジションに就任することとなった。

関連記事:フォードがロボティクス研究でミシガン大学に研究者やエンジニアら100人を配置

ジョンソン=ロバーソン氏はUM Ford Center for Autonomous Vehicles(ミシガン大学自動運転車Fordセンター)の共同ディレクターも務めており、今回はそのオフィスから新しい役職における今後の計画や、ロボット研究の将来像について語ってくれた。

TC:今はミシガンでFord(フォード)関連に取り組んでいる最中なのですか?

MJR:そうですね。数人の生徒とともにロボット関連の研究をして楽しんでいますよ。

TC:そこでの主な取り組みは何でしょうか。

とても多くのことを進めています。Fordのための長期的で既成概念にとらわれない研究です。Argo(アルゴ)のように、できれば半年から3年以内に道路を走れるようになる予定のものを対象に多くの研究を行っています。道路を走れるようになるのが5年から10年先のようなものに対しても長く取り組んでいます。新タイプの奇妙なセンサーから人間の予測や安全性の保証まで、あらゆることに非実際的なアプローチをとることができるのが大学の良いところです。

TC:Fordとミシガン大学がとっているような連携システムは、多くの大学にとっての手本のような存在になるのだと感じます。特にCMU(カーネギーメロン大学)のような大学には、裕福な資金提供者との長い歴史があります。こういったパートナーシップは今後大学研究のモデルになっていくとお考えですか?

これは、過去20年間にわたってロボット工学が通り抜けてきた変革を反映しています。90年代、00年代に開発された技術の多くが成熟して商用製品として展開されるようになり、多くの産業の未来に大きな変化をもたらしています。企業と大学が徐々に関係を持ち始めるようになったというのは、自然な流れだと思います。ピッツバーグという街を見ても、天然資源や鉄鋼を中心とした重工業からの転換が進んでいますが、この転換はさらに加速するでしょう。

関係性を継続し、新しい関係を築いていくことが私の目標の1つです。産業界だけでなく政府や政策など、これからのロボット工学に関連するあらゆることを考慮し、そうした関係を築いて研究所ですでに行われている技術的な仕事の強みを生かしていきたいと思っています。これは私が特に楽しみにしていることです。

TC:ピッツバーグでは地元スタートアップ企業が数多く存在する一方で、Google(グーグル)のような大企業も研究や法廷を学んだ卒業生の近くに進出してきています。このような関係をさらに深めるため、CMUはどう取り組んでいるのでしょうか。

CMUのある教授と共同するためにWaymo(ウェイモ)のオフィスを開設しています。このような関係は、教員とだけでなく学生に対しても見られます。高度な訓練を受けた新しい従業員こそがこういった企業の生命線です。採用活動で優位に立ち、人々が来たいと思うような文化を築くためにできることは、これらの企業にとって大きな利点となります。また、企業が共同研究を行ったり、研究のスポンサーになったりして、新しいプロジェクトを開発したり、入学してくる学生との新しい関係を築いたりしています。大学の最もすばらしい点は、毎年世界で最も賢い人々が新たに入ってきてくれるという点です。

TC:大学という幅広い文脈の中で、これらのスタートアップ企業の成長を支援するというのはあなたのタスクの1つとお考えですか。

そうですね。私自身、スタートアップを立ち上げる機会がありましたし、知識に大きなギャップがあることを知りました。非常に賢く、世界に対して大きな野心を持っている学生が大勢いるため、彼らがそれを実現できるように支援する方法を考えることが私の役割だと思っています。今あなたが強調したのもスタートアップですし、エコシステムという言葉がよく聞かれます。その地域に他のスタートアップ企業があるということもありますが、それに加えて一緒に何かをしたり、何かを作ったりする気の合う仲間を見つけることができるコミュニティがあるということです。

TC:現在ミシガン大学にいらっしゃるので、デトロイトで起きている変革を目の当たりにしていると思います。スタートアップコミュニティの育成という点でデトロイトはピッツバーグほど進んでいないかもしれませんが、そこには多くのチャンスがあります。CMUが惹きつけた人材を維持するために、学校はどういった役割を果たせるでしょうか?

いくつかのことがあります。近年ますます重要だと感じることの1つは、まずチャンスがそこにあることを認識するということです。ロボット産業のスピードと規模は、私たちの誰もが予想できないほどの速さで加速しています。そのために重要なのは、そのことを認め、じっとしていようとしないことです。業界は変化し、ロボットを取り巻くエコシステムが変化し、またこれらの企業を取り巻く規模やスケールも変化しています。これを実現するための方法をともに考えていきたいのです。

TC:ロボット工学は歴史的に最もインクルーシブな分野ではありません。その中でCMUはどのような役割を果たしていけるでしょうか? CMUのようなところに入学する多くの人は、入学する前からロボット工学に慣れ親しんでいる人たちなのではないでしょうか。

今回私はCMUにいる間に2つのことを残したいと思っています。1つ目は機会を増やし、参加者の幅を広げ、各分野における多様性を高めるということです。そして2つ目はもっと重要なことだと思います。大学は若い人たちの心を形成するのに適した場所です。私がロボット工学に多様性と包括性を持たせるための変革を起こすためには、第一級のロボット研究機関にいるということ以上に効果的な方法はありません。次世代のロボット工学者の誕生の場にいるということなのですから。

TC:あなたはCMUに入学した当初、ロボット工学を専攻していたわけではないので、良い例ですね。

まったくその通りです。さらにもう一歩踏み込むと、CMUに入学したとき私はとても苦労しました。みんなが自分よりも賢いという場所に足を踏み入れたのは初めてのことでした。それこそがあの場所の特別なところだと思います。何があってもロボット工学を辞めることにはなりませんでした。それは当時も今も、あの場所にいる人々のおかげだと私は思います。

TC:最近のロボット工学において最も楽しみにしていることは何ですか?

世界各地で展開されている大規模なロボット工学分野のシステムは、現在まさに変曲点に来ています。いつか、米国や世界のどこにいても、窓の外を見ればロボットが何か役に立つことをしているという状況になって欲しいと思っています。今の世界はそうではありません。工場の現場などに行けばロボットを見ることができますし、もしかしたらロボット掃除機を持っているかもしれませんが、私は窓の外を見るとロボットがいるというレベルにしたいと思っています。

画像クレジット:CMU

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

66の国・地域から200チーム以上が参加、小中高生の国際ロボットコンテスト「WRO 2021国際大会」で日本の4チームが入賞

66の国・地域から200チーム以上が参加、小中高生の国際ロボットコンテスト「WRO 2021国際大会」で日本の4チームが入賞小中高校生のための世界最大規模のロボットコンテスト「WRO」(ワールド・ロボット・オリンピアード)に日本から7チームが出場し、4チームが入賞を果たした。シンガポール・サイエンスセンターの提案で2004年から始まったこのロボット競技会には、7万5000人以上の参加者があるという。今回の「WRO 2021国際大会」は、66の国・地域から200チーム以上が参加した。

日本では、2008年にNPO法人となったWRO Japanが、科学技術振興財団と協力して子どもたちの科学技術への興味と意欲の向上や、ものづくり人材育成を目的とした活動を行っている。

WRO 2021国際大会は、11月18日から21日の4日間、コロナ禍の影響でオンラインで開催された。入賞したチームは以下のとおり。

レギュラーカテゴリー

レギュラーカテゴリーは、自律型ロボットをチームで製作し、それを使って競技を行うというもの。SSS(名古屋市立猪高中学校、名古屋市立香流中学校、名古屋市立守山北中学校)がジュニア部門5位、YTHS 60 tomes(愛媛県立八幡浜工業高等学校)はシニア部門5位を獲得した。

ジュニア部門5位入賞:SSS(名古屋市立猪高中学校、名古屋市立香流中学校、名古屋市立守山北中学校)

SSS(名古屋市立猪高中学校、名古屋市立香流中学校、名古屋市立守山北中学校)

シニア部門5位入賞:YTHS 60 tomes(愛媛県立八幡浜工業高等学校)

YTHS 60 tomes(愛媛県立八幡浜工業高等学校)

オープンカテゴリー

オープンカテゴリーは、テーマに従ったロボットを製作し発表するというもの。Y&E(札幌市立西野第二小学校、札幌市立平岡公園小学校)がエレメンタリー部門4位入賞、Deer Japan -Memories-(奈良教育大学附属中学校)エレメンタリー部門4位入賞となっている。
エレメンタリー部門4位入賞:Y&E(札幌市立西野第二小学校、札幌市立平岡公園小学校)

Y&E(札幌市立西野第二小学校、札幌市立平岡公園小学校)

ジュニア部門6位入賞:Deer Japan -Memories-(奈良教育大学附属中学校)

Deer Japan -Memories-(奈良教育大学附属中学校)

またDeer Japan -Memories-は、大会プレミアムスポンサーであるレゴデュケーションから、Creativity Awardも受賞した。