都市インフラを自律的に構築するMITのロボットボート

MITの研究者たちは、新しい自律型ロボットのボートのプロトタイプを作成した。嬉しいことに、その名は「Roboats」(ロボート)だ。これらはボルトロンスタイル(日本では「百獣王ゴライオン」というアニメだった)のように、お互いに組み合わされて新しい構造を作り上げることができる。

新しい構造としてはより大きな船になることもできるが、MITはもう少し創造的に考えている。彼らが思い描いているのは、一群のロボットたちがオンデマンドで組み合わされて都市のインフラを生み出すことだ。例えば、コンサートのステージや、歩行者用の橋、さらには屋外マーケットなどが想定されている。

ロボットはもちろん自律的に運行される水上タクシーやフェリーとしても機能することができる。これはアムステルダムのような環境では特に役に立つかもしれない。それこそが、MITのチームがアムステルダムのInstitute for Advanced Metropolitan Solutions(先進メトロポリタンソリューション研究所)と提携した理由だ。センサー、潜行可能エンジン、GPS、カメラ、そして小さなコンピューター頭脳を装備したロボートたちは、現在は、予め決められた道筋をたどることができる。だが新しい3Dプリントされたプロトタイプのテストでは、より多くのことを達成できる自律性のレベルが達成された。

新しいテストでは、カスタムラッチシステムに焦点が当てられた。非常に高い精度のもとに、このラッチシステムは特定の箇所同士をミリメートル単位で接続することができる。相手と正しく接続することを確かにするために、トライ&エラーアルゴリズムに基いた自律的プログラミングが採用されている。MITが採用した、アムステルダムでの最初のユースケースは、夜間のゴミ収集である。住民や店舗のオーナーたちが残したゴミを、素早く簡単に取り除くことができる、運河の小さなはしけとして利用するのだ。

長期的には、どのような追加構成が可能なのかを見極めようとしている。例えば人間を乗せることができるより大きなプラットフォームや、見かけは恐ろしいがラッチ機構を改善する「イカが獲物に巻き付くように鈎をしっかりと掴む、タコのようなゴム製の腕」などだ。

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(翻訳:sako)

アマゾンが20万台以上のロボットを世界に展開中

Amazon(アマゾン)はロボットに真剣だ。他のほとんどの企業にとっては縁の遠いこの技術だが、アマゾンはすでにロボットシステムを一斉に導入している。ロボティクス部門でバイスプレジデントを務めるBrad Porter氏は、アマゾンがすでに20万台のロボットを世界に展開していると、ラスベガスで開催されたre:MARSのカンファレンスにて発表した。

今年はじめ、アマゾンは自社製、あるいは他社製の10万台以上のロボットシステムを約25カ所の米国内の配送センターに展開したと発表した。アマゾンのステートン・アイランドの配送センターを最近訪れた際には、Kivaベースのロボットが中心的な役割をはたしていた。

そして米国時間6月5日、アマゾンはXanthusとPegasusという新型ロボットを発表した。イベントでの発表によれば、米国の配送センターでは800台のPegasusがすでに展開されているという。

Porter氏は、失業に関する質問を事前に防ごうとした。「これらのロボットは拠点にて重要な役割を担いますが、すべての作業を自動化しているわけではありません。同時に、30万人以上のフルタイムジョブを世界中で追加しています」

アマゾンによれば、同社のロボット・パレッタイザーは20億台以上のパレットを積み込んだという。しかし、Prime会員の翌日配送の標準化に向けて、同社がさらに前進しようとしているのは明らかだ。このような動きは、現在労働環境によってストレスにさらされている倉庫従業員に影響することは間違いない。この手の仕事についてネガティブな報道が登場する中、アマゾンはロボットによってその負担を軽くしようとしているようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

可動式家具のOri LivingがIKEAとタッグ、2020年にまずは日本と香港で展開

未来的なロボティックベッドルームが2020年にまず香港と日本の小さなアパートの部屋に登場し、ゆくゆくは世界展開される。

IKEAはストレージと座席のユニットをベッドとクローゼットに変身させ、そしてまた元に戻すことができるというロボティックな家具を売り出そうとしている。

同社のPLATSAストレージユニットを元にした新たな家具のラインナップの名称はROGNANだ。部屋の空間を有効活用できるようにデザインされている。世界中で毎週150万人が都市部に流れ込んでいるが、そうした人たちが暮らすことを想定して小さくなっている部屋用に作られている、とIKEAは発表文で述べている。

「小さな居住空間に合う家具の開発に我々は長い間取り組んできた。住まいに関する大きな課題が、ストレージとやりたいこと全てを行うスペースの確保だ」とスウェーデン企業IKEAで新製品の開発を手がけるSeana Strawn氏は発表文の中で述べている。「家の機能で妥協しなければならない大都市においては特にそうだ。我々はそれをなんとかしたかった」。

Ori LivingのCEO、Hasier Larrea氏によると、Ori LivingとIKEAの交渉は水面下で2年間にわたって行われ、2020年に始まる香港でのコラボ商品展開はほんの始まりにすぎない。

「我々は初の商品を2年前に発売し、米国の人たちはOriのロボティックインテリアを使って狭い部屋に広々と住んでいる。時期を同じくして、ロボティック家具を世界に紹介するためにIKEAと話し合いを始めた」とLarrea氏は発表文で語っている。「人々が生活空間を最大限活用できるようにしたいというIKEAの情熱に我々は共感していて、次世代のためのリビング空間の開発を継続することで人々がそれを実感できるようにすることを楽しみにしている」。

Larrea氏とMITのKent Larson教授が同大の有名なMedia Labで行なった研究に端を発しているOriは、都市部における生活空間を小さくする方策として2015年に立ち上げられた。

この2人はUrban Land Instituteのかなり注目を集めた研究“The Macro View on Micro Units”に刺激を受け、タイトな空間で多くのことをしようとする人たちの需要に応えようと、ベッド・ストレージ・ワークスペースを備えたユニットをつくるために著名デザイナーYves Béharと組んだ。

最初のシステムは、壁に取り付けたコントローラーのボタンを押してスライドして引っ込めたり引っ張り出せたりできるベッドと、スマホのアプリで構成される。またはプログラムされたAlexaのスキルを使っても操作できる。

IKEAとの提携では、Ori Systemsは技術をライセンス契約で提供し、製造をIKEAと同社のかなり洗練されたサプライチェーンに任せる。「このコラボではライセンス契約している。テクノロジーのモジュール性のおかげで、Ori はパートナーと協業できる」とLarrea氏は電子メールで述べた。

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「ROGNANを活用することで、狭い居住空間に住む人は多機能な居住環境を優先させるためにニーズや夢、快適性で妥協しなくてもよくなる。実際ROGNANではベッドルームをウォークインクローゼットやワークスペース、リビングルームに変えるロボティクスを使って居住空間を8平方メートル増やすことができる。シンプルなインターフェースのタッチパッドを通じて動かせるオールインワンのソリューションだ」とSeana Strawn氏は話している。

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(翻訳:Mizoguchi)

自律海底マッピング技術コンペの勝者が4億円超を獲得

この星の上には広大な海がある。だが私たちはその底に何が横たわっているのかをよくは知らない。だがそうした状況もOcean Discovery Xprizeコンペティションの中で生み出された船や技法によって変わるかもしれない。この国際コンペティションでは複数のチームが、海底を素早く、正確に、そして自律的にマップするために競い合った。勝者は400万ドル(約4億3000万円)を手にした。

海のマップはもちろんそれ自体でも価値がある。しかし、それを作り出すために使われた技術は他のさまざまな用途に利用することができる。海面下数千メートルの片隅に、どんな生物学的あるいは医学的な発見の可能性が隠れているかは、誰にもわからないことだ。

このシェル主催のコンペティションは、2015年に始まった。究極の目標は、数百平方キロメートルの海底を、5メートルの解像度で1日以内にマッピングできるシステムを構築することだ。おっと、それから全ての機材は出荷用コンテナに収まる必要がある。参考までに言うなら、既存のシステムは、こうした要求を満たすことはできず、また非常にコストがかかる代物なのだ。

しかし、課題の難しさが参加者たちの士気をくじくことはなかった(この種のコンペティションではよく見られることだ)。それは単に彼らを奮い立たせただけだったのだ。2015年以降、参加チームたちは自らのシステムに取り組み、そのテストのために世界中を駆け巡ってきた。

もともと参加チームのテストはプエルトリコで行われることになっていたが、2017年の壊滅的なハリケーンシーズンの後で、全体の運用はギリシャ沿岸へと移された。最終的なファイナリストが選ばれると、彼らはカラマタ沖の海に自作の船を投入して、マッピングを行うように指示を受けた。

チームGEBCOの水上船

「これは非常に困難で大胆な挑戦でした」と、プログラムを率いたジョティカ・ビルマニ(Jyotika Virmani)氏は語った。「テストは24時間で行われましたので、参加チームは皆起きていなければなりませんでしたし、その直後48時間でデータを処理して私たちに提出しなければならなかったのです。従来の企業なら、生データを入手して処理するのにおよそ2週間以上は必要なはずです。私たちはそれを、よりリアルタイムに処理するように要求しました」。

これは実験室の水槽やプールでのテストではない。実施されたのは海で、海は危険な場所なのだ。だが驚くべきことに、事故は一切起きなかった。

「破壊されたものも、爆発したものもありませんでした」と彼女は言う。「もちろん、天候の問題には出くわしました。そして私たちは一部の部品を失いましたが、それは数日後にギリシャの漁師によって発見されました。まあこれはまた別のお話です」。

コンペティション開始時には、ビルマニ氏は、参加者たちから要求されたタスクのうち、自律的な部分はただ実現不可能だろうというフィードバックを受け取っていた。だがこの2、3年のうちにそれが可能なことは証明され、優勝したチームは要求に応えることができただけでなく、それを超えることさえ可能だったのだ。

「優勝チームは24時間以内に、最低5メートルの解像度で250平方km以上のマッピングを行いました。しかしそのうちの140平方kmは5mより優れた解像度だったのです」とビルマニ氏は語る。「それはすべて無人で行われました。無人の水上船が潜水艇を取り出して海中に投入し、海上で回収して、無人のまま港に戻るのです。彼らはそれをとても上手くコントロールしていました 。必要に応じて24時間の間、その経路やプログラミングを変えることができたのです」(「無人」は必ずしも完全にノータッチであることを意味していわけではない。参加チームは船のソフトウェアや航路を修正あるいは調整するために、一定の量までの介入は許されていた)。

5mの解像度というものが、ピンとこないとしたら、このような説明はどうだろう。それは建物や道に関してははっきりと示すことができるが、車や道路標識を識別するには粗すぎる程度の解像度だ。だが、地球の3分の2をマッピングしようとしている場合には、この解像度は十分すぎるほどだ。そして現在のようになにもない状態よりは、無限大に優れている(当然のことながら、シェルのような石油会社が新しい深海資源を探査するためには十分だ)。

優勝したのは、ベテランのハイドログラファー(海洋マッピングの専門家)たちで構成されたGEBCOチームだった。極めて優れた無人船「Sea-Kit」は、すでに他の目的のためにEnglish Channelを巡航した実績がある。加えて、チームはデータ処理面で多くの作業を行い、地図を素早く構成するのに役立つクラウドベースのソリューションを作成した(それは将来的には、市場性のあるサービスであることも証明するかもしれない)。彼らは、ファイナリストに選ばれたことによる現金に加えて、さらに400万ドルを獲得した。

準優勝は日本の黒潮だった。解像度は優れていいたものの、気象問題のため250平方km全域をマッピングすることはできなかった。彼らは100万ドルを手にした。

水中で、化学信号をその発生源に向かってたどるボーナスプライズには勝者はいなかった、しかし善戦した参加チームがいたため、審査員たちは100万ドルの賞金をTampa Deep Sea XplorersとOcean Questに分けて与えることを決定した。驚くべきことのこのチームの構成員はほとんど中学生だったのだ。後者は80万ドルを獲得したが、それは店で新しい道具を購入するための役に立つに違いない。

最後に、英国からやって来たTeam Taoに20万ドルのイノベーション賞が授与された。競合する他のチームのほとんどが、海底から一定の距離で「芝刈り機風」に移動する船を選択したのに対して、Taoの船は垂直に移動し、潜航と浮上の際に海底との距離を測定しては次のスポットに移動するものだった。ビルマニ氏は、この手法はこれは重要な海洋学試験のために、さまざまな機会を提供してくれるものだと説明した。

賞の授与を終えた組織には、まだ2、3の秘めた企画があるようだ。優勝したGEBCO(General Bathymetric Chart of the Oceans)は、日本財団のSeabed 2030プロジェクトと協業する予定だ。このプロジェクトは次の10年ですべての海底のマッピングを行い、そのデータを世界に無償で提供するというものだ。

そしてこのプログラムは、海底のマッピングというアイデアに触発された、ショートSF短編集も刊行する予定だ(当然だよね?)。

「私たちの現在の技術の多くは、過去のサイエンスフィクションからやってきたものです」とビルマニ氏は語る。「なので私たちは、著者の方々に私たちが高解像度の海底のマップを得たならば、海の中での次の技術はどんなものとなり、またどちらへ進むのでしょうか?と問いかけました」。南極を含む7つの大陸すべてから集まった19編の物語は、6月7日に出版予定だ。

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(翻訳:sako)

人間の器用さから両手の動かし方を学習するロボット

ロボットが家事、そして怪我人や高齢者の介護などを本当に手伝うのなら、少なくともと2つの手を必要とするだろう。しかし2つの手を使うというのは、見た目よりも難しい。なので、このロボットコントロールシステムは同じような動きを試みる前に人間から学習する。

ウィスコンシン大学マディソン校の研究の背景にある考え方は、ゼロから2つの手を持つロボットを作るのではなく、単純に人間が考えることなく行なっている手の動きと同じことを理解して実行するシステムを作るというものだ。

たとえば、瓶のフタをあけなければならないとき、あなたは片手で瓶をつかみ、所定の位置に動かして固定し、もう片方の手でフタをねじったり外したりする。2つの手を使ったこの動作は初歩的だが、たくさんの要素を含んでいる。これをロボットに今すぐに自律的に行ってもらうというのは望むべくもない。しかしウィスコンシン大学のロボットなら瓶のフタをあけるという操作がなぜできるのか概念を取り込むことができ、試行錯誤できるかもしれない。

研究者はまず人に動きをとらえる装置を身につけ、日常のタスクの動きをとってもらった。その動きとはカップを重ねる、容器を開けて中身を注ぐ、積み重なったものの上にあるアイテムを取りあげる、といったものだ。手がどういう動きをして、どのように相互作用するのかといった全てのデータが機械学習システムで分析された。これにより、両手を使って以下の4つのうちの1つを行う傾向にあることがわかった。

片手からもう片方の手への持ち替え
物をつかんでどこかに置きやすいように別の手に持ち替えたり、最初に使った手で何か別のことをしようと手を空けるために行う

片手での固定
片手でしっかりと握って物体を固定する。そしてもう片方の手でフタを取り除いたり、中身を混ぜたりといった動きをする

両手を使う
物を持ち上げたり、回転させたり、動かしたりするために両手を一緒に働かせる

片手で探す
正確には両手を使う動きではなく、基本的には片手に物を持っている間、もう片方の手は必要なものを探したり別のタスクを行う

ロボットはこうした知識を、その動きそのものを実行することなく、人間のコントローラーの動きの解釈で取り込む。繰り返しになるが、こうした動きは現在のAIが実行できない複雑なものだ。

人がリモートでロボットを操作するとき、それは人の動きを忠実に反映させるだけではないか、とあなたは思うだろう。テストではロボットは“2つの手を使った動き”についての知識なしに、いかにそうした動きをとるか基本的なところを示すために人の動きを反映させている。しかし、動きの多くはできていない。

例として、瓶のフタを開けるという行為を考えて欲しい。瓶のフタを開けるとき瓶を片手でしっかり握らなければならず、そしてもう片方の手でフタをあける際には瓶を持った手を後ろに引かなければならないかもしれない、ということを我々は知っている。もしロボティックアームを使ってリモートでこれに挑戦したらそうした情報は存在しない。持っている瓶をもう片方の手で強くたたいてしまったり、つかみ損ねてしまったりするというのは大いにあり得る。

研究者たちが作ったシステムは上記の4つのアクションのうちのどれかを行われていることを認識し、そのアクションがうまくいくよう策を施す。これは、たとえばバケツを2つの手で持ち上げる時、それぞれの腕に別の腕からの圧力がかかっていることを認識する。または、片手がフタに取り掛かっている時、物を持っている腕をしっかりと動かないようにする。1つの手だけが使われているとき(何かをさがしているとき)、このシステムは使っていない手の優先順位を下げ、リソース(体の動きや計算能力など)を動かしている手により多く配分する。

デモンストレーションのビデオでは、卵を(擬似で)割って、かき混ぜて、物を動かし、グラスがのったトレイを持ち上げて水平に保つという、朝食の準備を真似たタスクをリモートオペレーターが行うことで、こうした知識がロボットの試みの成功率向上に貢献していることが見て取れる。

もちろん、これは多かれ少なかれまだ人間が全てを行なっている。しかし人間の動きが増幅され、単に機械による再現以上の要素が含まれている。

これらタスクを自律的に行うようになるまで、道のりは長い。しかしこうした研究はその基礎となる。ロボットが人間のように動くように試みる前に、ロボットはいかに人間が動くかだけでなく、なぜ人間が特定の状況で特定のことを行うのか、さらにはどのような重要なプロセス(手の動きの計画や握る位置を決めたりといったもの)が隠されているのかを観察して理解しなければならない。

マディソン校のチームを率いるのはDaniel Rakita氏で、このシステムについての論文は専門誌Science Roboticsに掲載された。

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(翻訳:Mizoguchi)

EkasboのMatebotは最高にかわいいネコロボットかも

シュレックがこのMatebotに会ったら、長ぐつをはいたネコのプスはどんなに悲しげな目をしても勝ち目はなかっただろう。深圳のロボット会社、Ekasbo(亿家智宝)がつくったMatebotは、黒と白のマンガっぽいネコで、触れると反応して耳を小刻みに動かしたり、大きなLEDの目の表情を変えたり、首を傾けたりする。

台湾で開催されているComputexで、クリエイターのZhang Meng氏はTechCrunchに対し「Matebotは、音声認識機能と赤外線、7つの可動パーツを備えています。ペットを飼えない人にとってもインタラクティブなパートナーになるようにデザインしました」と語った。

Matebotはスマートフォンのアプリでコントロールし、Androidの音声コントロールシステムと統合できる。価格は4999円。

画像:Catherine Shu

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(翻訳:Kaori Koyama)

iRobot最新の掃除ロボとモップロボはデバイス間通信によりシンクロ掃除可能に

iRobotから、新しいお掃除ニュースが発表された。米国マサチューセッツ州ベッドフォードを拠点とする同社は、汚れた床にタッグチームで対応する新しいペアロボットを公開した。発表されたRoomba s9+とBraava Jet m6は、どちらもiRobotのマッピング技術とImprint Linkを組み合わせたもので、2つのデバイス間で交信しながら順番にフロアを掃除することができる。

s9+はRoomba(ルンバ)の新しいプレミアムスタンダードだ。間違いなくロボット掃除機の17年の歴史の中で、初めて根本的な設計見直しが行われている。開始時からその製品を特徴付けてきた、円形の平たい形状からは離れて、少なくともその正面はBraava(ブラーバ)のデザインを借用している。

掃除機の正面はフラットだが、これは壁に近づくことを可能にする新しいPerfectEdge技術の一部だ。おそらく最近のRoombaの機種たちに対して最も要求されたものだったのだろう。コーナーブラシは、初期のモデルでは届かなかった汚れに対処できるように、5本の30mmアームを備えている。しかしフラットな側面を持つことの欠点は、より多くの動作を行わなければならないということで、結果的にバッテリーをより多く消費する。

発表では詳細は示されてはいないものの、iRobotはそれに応じてmAHを強化したと語っている。一方、その上部はブラシ仕上げの金属製円盤となっていて、そこを開けてフィルターを取り出し、交換することができる。昨年発表のi7+と同様に、システムにはオプションのClean Baseが付属していて(ただし、これらのClean Baseはコネクタ形状も違う別物なので、お互いに利用することはできない)、ドッキングしている最中に内部の埃が吸い出される。

新しいモデルは、システムマップとナビゲートに役立ち、毎秒25回障害物をスキャンする、アップグレードされた3Dセンサーを備えている。さらに新しい機能が、同社の床掃除支配計画ための次のステップであるImprint Linkテクノロジだ。この技術により、Roombaは新しいBraavaと通信できるようになり、床をお互いに協力して清掃することができる。

これまで同様に、清掃はHomeアプリを使って開始される。まずs9+が清掃のために送り出され、その後をm6が追うことになる。CEOのコリン・アングル(Colin Angle)氏はTechCrunchに対して、この新しいロボットたち(そして新しい芝刈りロボットTerra)は、社内でiRobot 2.0と位置付けられていると語った。

「これは機能性の水準を引き上げるように設計された、デザインとコミュニケーションの観点からも一貫したトップエンドロボットたちなのです」と彼は説明した。

確かにそれは、スマートホームの一部になるという、同社の長年にわたるホームロボットのビジョンを(特にマッピングがAlexaやGoogle Assistantの機能と組み合わされた場合に)1歩前進させるものだ。

一方で新しいBraavaは、床掃除ロボットのScoobaが使っているような洗浄液タンクを用いるのではなく、これまでのように水スプレーと乾燥パッドを利用して動作する。またフロアプランを作成し、障害物を回避するために、同様のマッピングテクノロジを使用している。清掃システム自身は大幅にアップデートされていて、改良されたスプレーと様々な素材を採用したパッドが用いられている。

当然のことながら、これらはどれも安価なものではない。そして実際のところ、お手頃価格路線をこれまでiRobotが打ち出したことはないのだ。s9+は、Clean Base付きのものが1299ドル(約14万2000円)、なしのものが999ドル(約10万9000円)となる。Braava m6は499ドル(約5万4500円)で、7枚入りクリーニングパッドは8ドル(約900円)になる予定だ。いずれも6月9日に発売予定となっている。掃除機は、高度な部屋マッピングならびに物体検出のために新しい3Dセンサーを利用している。これまでのモデルとは異なり、このRoombaは前方にあるものを知るために部屋の中を1秒間に25回の速さでスキャンしている。

これは、部屋の隅をよりよく移動するために設計された、iRobotの新しい独自のPerfectEdgeテクノロジーと組み合わされる。ブラシや他の清掃パーツも同様に手を加えられている。

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(翻訳:sako)

飛行機と綱引きをする四足ロボHyQReal

さかんに開発が進む四足ロボットは、確かに力強く、機敏に動く。しかしそうした四足ロボットに何ができるのか、実際のところまだよく分からない。それでも、四足ロボットが動く様子は、何度見ても飽きないものだ。その最新版は、HyQRealと呼ばれるイタリア製のロボットが、なんと飛行機と綱引きをして力比べに勝つというシーンだ。

このビデオが、HyQRealにとってのデビューとなる。これは、数年前にイタリア工科大学と、その関係者によって作成されたより小型のモデル、HyQの後継機だ。それ以来、それほど大きく育ったわけではないものの、市場もそれなりに進化してきた。そして目の肥えた観客は、今や頑強なアメフトのラインバッカーのようなロボットまで見たがっている。

HyQRealが狙っているのも、ちょうどそのあたりだろう。このビデオは、ロボットの太いチタン製の脚部と、頑丈そうなカメラケージをクローズアップするところから始まる。重心の低そうな身体つきは、チーターのような俊敏な捕食動物というよりも、ブルドックを思わせる。こいつを蹴飛ばしてみようとは、なかなか思わないだろう。

このロボットは、米国時間の5月23日、International Conference on Robotics and Automation 2019(ロボットとオートメーションに関する国際会議)で発表された。そのワークショップで、チームはHyQRealの特徴を詳しく説明した。内容はIEEE Spectrum誌にも掲載されている。

体長は約4フィート(約1.2m)、全高は3フィート(約90cm)で、体重は130kg(約287ポンド)ある。そのうちバッテリーは15kgで、それで約2時間働き続けることができる。防塵、防水仕様で、倒れたり、ひっくり返ったりしても、自分で起き上がる。このロボットは、特別な高出力の油圧駆動装置を提供するMoogの協力を得て開発された。

こうした仕様を見ると良さそうに思えるが、ビデオを見れば分かる通り、実際このロボットは、小型の旅客機を引っ張るだけのトルクを持っている。とはいえ、飛行機を牽引するために、このタイプのロボットが作られているわけではもちろんない。さまざまな状況の中でも、多用途性と堅牢性を発揮し、人間に都合の良いように作られた世界の中を巧みに移動して、役立つ働きをする、ということが求められる。

現状では、まだHyQRealは基本的に実験機に過ぎない。すでにSpot Miniのようなロボットがもてはやされている状況を考えると、HyQRealがそれなりの地位を築くためには、もっと色々なことができるようになる必要がある。腕を取り付けたり、荷物を運べるような仕掛けを加えることも、真剣に検討すべきだろう。それはともかくとして、ほんの数年前ならかなり珍奇なものに感じられたはずだが、この種のロボットの競争を見るのは、やはりワクワクする。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

自動運転車と2足歩行ロボがタッグを組んで配達するフォードの近未来構想

自動運転車は、混み合った街の通りを走り抜け、食料品、ピザ、その他の荷物を、やがて人間が運転しなくても配達できるようになるかもしれない。しかし、それだけでは、フォード自動車のCTO、Ken Washington氏が言う「最後の50フィート(約15m)の問題」を解決できない。

フォードと、スタートアップのAgility Roboticsが共同で取り組む研究プロジェクトでは、2足歩行ロボットと自動運転車を連携させて、道路からドアまでの問題に対処する方法を検討する。このプロジェクに採用されたのは、頭の部分にライダー(Lidar)を取り付けた2足歩行ロボットであるAgilityのDigitだ。このロボットは、40ポンド(約18kg)までの荷物を持ち上げることができる。荷物と一緒に自動運転車に乗って移動し、配達先で車を降りて荷物を運ぶ。

「私たちは、利用する人の視点で自動運転車の可能性を検討しています。初期の実験で、最後の50フィートに課題があることはわかっていました」と、Washington氏はTechCrunchの最近のインタビューで語った。その解決策を見つけることは、2021年からの運用を計画しているフォードの商用ロボタクシーを差別化するための重要な要素となる。

Digitと、フォードの自動運転車の間のコミュニケーションが、おそらくこの研究プロジェクトの中でも最も感動的な部分だろう。下に示したGIFのように、車が目的地に到着すると、フォードのワゴン車、Transitのハッチが開く。Digitは手足を伸ばしてそこから降り、荷物を持ち上げてドアまで歩くのだ。

Digitはライダーとステレオカメラを装備している。基本的な動作には、それで十分だろう。

興味深い話はまだ続く。自動運転車も、各種の強力なセンサー類と複雑な意思決定能力を持ったコンピュータを備えている。そして、Digitが歩き出す前からデータの共有を始める。それによってDigitは、「目覚め」た時点ですでに今どこにいるのかを理解できている。そして、万一Digitが問題に遭遇したら待機中の自動運転車と通信して、より優れた知見に基付いた判断を仰ぐのだ。

これによって、AgilityのCEOであるDamion Shelton氏が「ロボットの古典的な弱点」としている問題を解決できる。つまり、スリープ状態から目覚めたときに、自分が今どこにいるのかわからないということがないようにする。

「もし、周囲を完全に見渡せるような状態で、走り回っている車に乗っていれば、起き上がって歩き始めるのもずっと簡単です」と、Shelton氏は説明する。「しかしそうはできないので、このデータ通信によってロボットが周囲を認識できるようにするのです。ロボットが目覚めて車から降りてから、最初の30秒間は混乱している、というようなことが起こることはありません」。

Washington氏によれば、車からドアまでの問題を解決するためにフォードが実験している手段は、AgilityのDigitだけではないという。しかし、2本足のロボットには、それなりのメリットがあることは、Washington氏も認めている。たとえば歩道の溝をまたいだり、階段を歩いて登る能力を持っていることだ。そのあたりは車輪式ロボットの弱点となりうる。

フォードとAgilityの合意は、今のところ研究プロジェクトに分類されるもの。フォードは、まだAgilityに株式出資をしていない。しかしWashington氏は、「しかるべき時に、そのような選択をしないというわけではない」と付け加えた。

Agilityにとって、このプロジェクトは新しいビジネスの転換点、というよりもむしろ、それを加速させるものだ。このロボット工学のスタートアップは、2015年後半にオレゴン州立大学からスピンアウトしてできた会社。同大学のDynamic Robotics Laboratoryによる2足歩行の研究成果を商業化することを目的としている。2017年には、ダチョウを模して設計されたCassieロボットを、2足歩行の研究プラットフォームとして発表した。Digitは、Cassieに上半身、腕、センサー類、そしてより強力なコンピュータを付加したもので2019年2月に発表した。

Agilityには20人の従業員がいて、そのうち約半数がロボットの製作に携わっている。同社は、シードラウンドとシリーズAラウンドによって、880万ドル(約9億7000万円)近くの資金を調達した。さらに今、この新たなパートナーシップを念頭に業務を拡張するため、新たなラウンドによる資金調達をもくろんでいる。

Agilityのオフィスは、米オレゴン州アルバニーとピッツバーグにある。同社は、これまでに第1世代のDigitロボットを2体作っている。夏までには第2世代のDigitを発表することを計画している。Shelton氏によれば、この2足歩行ロボットの最終型となる3世代目のDigitも、夏から秋にかけて登場する可能性があるという。

Agilityは、このDigitの最終バージョンを6体製作するつもりだ。そこからは、月に2体という安定したペースでDigitsを製造できるとShelton氏は見積もっている。最終的にAgilityは、2021年までに50体から100体を製造できるペースをつかむことになる。

これらの研究と実験は、すべて商用のロボタクシーサービスを立ち上げるというフォードの最終的な目標の一部だ。そして、例の最後の50フィートは、自動運転車を利益の生み出せる事業に育てるためにには、どうしても避けて通ることのできない課題なのだ。その目標を実現するための準備として、フォードでは2つの仕事を並行して走らせている。1つは、自動運転車の事業を運営する手法について、テストしながら磨きをかけること。もう1つは、それとは独立に、子会社のArgo AIを使って自動運転車の技術を開発することだ。

Argo AIは、ピッツバーグを拠点とする会社で、フォードは2017年に10億ドル(約1100億円)を投資した。フォードの自動運転車用に設計された仮想運転者システムと、高精度のマップを開発している。その一方で、フォードは地元の企業だけでなく、ウォルマートドミノ・ピザ、Postmatesといった大企業のパートナーを手を組んだパイロットプログラムによって、市場進出戦略を試行している。

フォードは、自動運転車のビジネスを構築することに専念したLLCに対して、2023年までに40億ドル(約4400億円)をつぎ込む覚悟だ。その40億ドルのうちの10億ドル(約1100億円)が、スタートアップArgo AIへの出資として計上されている。

フォードは、現在デトロイト、マイアミ、ピッツバーグ、およびワシントンDCでテストしていて、オースティンにも拡大する準備ができている。

画像クレジット:フォード提供/写真=Tim LaBarge 2019

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Amazonは倉庫の仕事をゲームにした

Amazonのフルフィルメントセンターの仕事はつらくて退屈だ。問題多い労働条件をめぐるさまざまな記事が、同社をもう何年も悩ませている。それでもなお同社は、配達を今よりもさらに早くしようとしているから、プレッシャーは増すばかりだ。

同社の名誉のために言うなら、労働条件の改善には努力している。最低時給を15ドルに上げたし、一部の仕事はロボットで自動化した。しかも同社は、仕事の一部を文字通りゲーム化しようとしている。

ワシントン・ポストl紙(ちなみにこれもAmazonのCEOであるジェフ・ベゾス氏がオーナー)の記事が、顧客の注文を処理する労働者のモチベーションを上げるための実験的なビデオゲームを紹介している。このゲームは、参加は義務的でなく自由のようだが、 ワークステーションの画面上に展開され、受注を処理した件数が得点になり、チーム同士が対戦する。

記事によると、それはAmazon独自のアイデアではない。UberやLyftのようなギグ企業は、運転距離の長さでドライバーを報奨している。今やFitbitなどを使って自分自身のウォーキングの歩数をゲーム化するぐらいだから、企業が退屈な単純労働に同じ手口を用いても不思議ではない。

しかし、それでもなお、この話全体がちょいとおかしい。というか、むしろ仕事のきつさと退屈さを、なお一層際立たせている。最近本誌はスタテンアイランドの巨大なフルフィルメントセンターを取材したが、そこでは、ギグワーカーの「ピッカー」(Picker、棚から目的品目を拾う人)と「ストウワー」(Stower、その品目を箱に詰める人)が、棚と遊んでいるAmazonのロボットと一緒に配送の仕事をしている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

一般市販部品で誰でも作れるオープンソースの四足ロボ

政府からの100万ドルの研究助成金がなくても、わずか数千ドルと確かな技術力があれば本格的なロボティクスプロジェクトが可能だ。スタンフォードの学生たちはDoggoと名付けた四足ロボットでそれを証明した。その最大の特徴は、一般市販の部品だけでできること。もちろん肘や膝などの関節部分には、大量のグリースが要るけど。

ロボットとオートメーションに関するIEEEの国際会議でプレゼンするために作ったDoggoは、Stanford Robotics ClubのExtreme Mobilityチームの作品だ(彼らのペーパーがここにある)。その目的は、ほかの人たちでも作れるような現代的な四足ロボットを最小の費用と最少のパーツで作ることだ。

このかわいいロボットは、一見ごつごつしているけど、その多角形の脚は意外なほどしなやかで、きびきびと歩き、1m近く垂直ジャンプもする。スプリングやショックアブソーバーはいっさい使っていないが、脚にかかる力を毎秒8000回サンプリングすることによって、素早く反応する。まるでモーター自身が(仮想的に)スプリングでもあるかのように。

動く(前進と上方ジャンプ)ことだけが目的で、自律能力はないし、自分のまわりの世界を理解する能力もない。でもすてきなのは、誰でも作れることだ。特殊なモーターや部品は何も使ってなくて安上がりだから、一般的にロボット工学の最初の教材になるだろう。Doggoを自分で作ってみたい人のための、設計と必要な部品の詳細はGitHubのここにある

チームのリーダーのNathan Kau氏はスタンフォードの学内紙で「四足ロボットは研究でよく使われるが、研究プロジェクトごとにゼロからそれを開発しなければならない。このStanford Doggoはオープンソースのロボットとして、比較的少ない予算でも各研究者が自分なりの四足ロボットを作れる」とコメントしている。

Extreme Mobilityチームは同大のRobotic Exploration Labとコラボレーションして、Doggoの改良に取り組むつもりだ。改良作はDoggoの倍ぐらいの大きさになり、Wooferと呼ばれる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Flying STARは地上を走り空を飛ぶ小さな変身ドローンだ

災害救助などの場面を考えると地上走行と飛行が同時にできるデバイスがあれば便利だということは明らかだ。しかし従来のドローンは走るか飛ぶかどちらかしかできないのが普通だった。そこでどちらもできるFlying STARが登場した。メカニズムは呆れるほど簡単なので「今までこれを誰も考えつかなかったのはなぜだ?」と思う読者もいるかもしれない。

イスラエルのベングリオン大学の研究者が考案したFlying STARは、飛行・折り畳み・自動走行ロボットだ。アイディアはローターも車輪も回転するという初歩的な事実に気づいた結果生まれたという。それなら両者を兼用させる手だてがあるのではないか?

実現までにはいくつもの困難があったが、David Zarroukが率いるチームは現代の軽量、強力なドローン部品の助けを借りて空陸ハイブリッドの実現に向けて努力を重ねた。その結果、必要なときには一般のドローンのように空を飛び、着陸した後、ローターを載せた4本のアームを下に曲げ、動力を車輪に伝えて地上を走り出すロボットが完成した。

もちろんドローンの下部に車輪を取り付けてもよかったわけだが、ベングリオン大学のチームのアイディアのほうがいくつも点で優れていた。まず第一に、ローターを駆動するモーターがそのまま車輪を駆動するのでメカニズムがはるかにシンプルで効率的だ。もちろん車輪駆動の場合にはローターの場合よりモーターの回転数を低くする必要があった。しかしアームを下向きに曲げる方式はホイールベースと地上最低高を大きくし、安定性と走破性をアップさせる。不整地を走行する場合に非常に有利になる。

下のビデオでFSTARが空を飛び、着陸し、トランスフォーマーのようにアームを動かして地上走行モードに変身するところを観察できる。これはモントリオールで開幕するIEEEのロボティクスとオーテメーションに関するコンベンション向けに用意された。

Flying STARはごくわずかのエネルギー消費量で毎秒2.43メートル走行し、障害物を乗り越えたり階段を上ったりできる。そしてもちろん空を飛べる。開発チームのリーダー、Zarroukはプレスリリースで以下のように述べている。

我々は地上を走り空を飛ぶこのタイプのロボットについて、利用範囲を広げるために大型版、ミニ版を開発する計画だ。またアルゴリズムの改善とスピード、コストの削減にも取り組んでいく。

見てのとおり、現在はプロトタイプでプロダクト化するまでには数多くの作業が必要だろう。しかし実用化されれば撮影やパッケージ配送などの一般的商業用途に加えて農業用、災害救援用、軍・警察用としても利用できるはずだ。

【Japan編集部追記】地上走行中もデバイスのローターは回転しているので車輪とローターで動力を切り替えることはしていないようだ。正面から見た映像ではローター下部にモーターが設置され、ギアトレーンで回転数を落として車輪に動力を伝えている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

現実でも仮想現実でも殴ってくるロボットが爆誕

ロボットエンジニアでユーチューバーのJames Bruton氏が現実でも仮想現実でも殴ってくるロボットをポーツマス大学の学生たちと共に製作した。VRの格闘ゲームで相手に殴られると現実世界でもロボットに殴られる。

ロボットはArduino Megaを使用しており、ロボットのアームと土台、そしてプレイヤーの剣と盾にはHTCのVIVE Trackerが取り付けてある。

このロボットがゲーセンにあれば面白そうだ。ニューガンダムでサザビーと対戦してみたい。

ロボットを製作するBruton氏やロボットと対戦する学生を見たいなら以下の動画を。

Amazonは社員に300万円相当の資金と3カ月ぶんの給料を与えて自営配送企業を育てる

Amazonプライムで翌日配達をするというニュースに続いてAmazonは米国時間5月13日、同社の配達サービスのパートナー事業としてDelivery Service Partnerプログラムを拡大した。Amazonに在籍中の社員が、独自に自分の手荷物配送企業を始められるための奨励事業を展開することになった。昨年始まったこのパートナー事業は、参加者がAmazonの配送配達技術にアクセスでき、実習訓練に参加し、車両のリースや保険などを安く利用できる。社員の場合はさらに1万ドルの奨励資金が付く。

創業資金1万ドルのほかに社員は、軌道に乗るまでの生活資金として、Amazonを辞めたときの給与の3カ月ぶんをもらえる。

Amazonによると、昨年人びとは自分の配送企業をわずか1万ドルの資金で立ち上げることができた。その時点では、退役軍人には既存のスタートアップ支援事業の一環としてその1万ドルを後払いしていた。

今度の奨励事業では同じことをAmazonの一般社員に対して行い、それプラス給与額の3カ月ぶんが付く。かなり手厚い奨励策だ。でもAmazonは配達時間の半減という、思い切った野望を持っているから、これぐらいは当然かもしれない。

配達パートナーになりたい社員は、側面にAmazonのスマイルロゴが描かれているAmazon特注のブルーのデリバリーバンをリースでき、燃料や保険、ブランド入のユニホームも割引料金で提供される。

このパートナー事業の前にはAmazonは、Amazon Flexというクラウドソースの労働力に頼って安い配送コストを確保していた。しかしそういういわゆるギグワーカーたちは、ガソリン価格の変動や保険がないこと、自前の小さな車両しか使えないなどの悪条件により、労使双方にとって不安定性が大きかった。

一方デリバリーパートナーの方は、順調に成長して年俸30万ドルを稼ぎ、車両を40台も持つというところも出てきた。Amazonの昨年の予測では、これらの小企業が全米で数万人のドライバーを雇用する、とされた。

しかしそれは、推計ではなく事実だった。Amazonの今朝の発表では、この2018年6月にスタートしたパートナー事業は、今では200社を超える小企業が参加し、計数千名の地元ドライバーを雇用している。今年は参加企業がさらに数百増えるだろううという。

この社員奨励事業は、Amazonの倉庫における自動化の拡大と時期的に一致している。自動化によって、一部の倉庫労働者が職を失うのだ。今朝のロイターの記事によると、Amazonは現在数千人の労働者が担当している受注品の箱詰め作業を自動化する。こんな人たちの一部も、次の職としてデリバリーパートナー事業がいい候補になるだろう。

Amazonにとって、社員たちを新しい企業に移行させるためのこの投資は、長期的には会社の利益になるだろう。なぜなら同社は現在、USPSやUPS、FedExなどへの依存から卒業して、自分でコントロールできる自前のデリバリーネットワークを持とうとしているからだ。そして短期的には、翌日配達を米国のプライムのデフォルトにするために8億ドルを投じると言われているから、それはデリバリーパートナーにとっても利益になる。

この社員奨励事業は米国に次いで英国、さらにスペインで展開される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロボット掃除機の最高級品と最低品の違いは猫でもわかる

ロボット掃除機を買おうかと心が動いているが、一流ブランドの円盤型掃除機の、まるでアルファベットスープのようにアルファベットを羅列した名称を山ほど目にして、恐怖のあまり気持ちが萎えてしまった人はいないだろうか。そんなときは、取っ手のない掃除機を自由に操れるようになるまで、消費者行動分析に頼るのもひとつの手だ。

Amazonは、AからZまでの「トップブランド」の製品リストを提供しているが、そこに記載されている名称は実は略称で、本当の名前はアルフェベットがもっと長く続く。ああ、恐ろしい。

ロボット掃除機は欲しいが、あまりよく知らないという人たちが、インターネットで長時間にわたる機種選定の情報収集に身を投じる覚悟を固めた先に見るものは、無限とも思われるロボット掃除機のレビューやまとめ記事の数々だ。

だが不幸なことに、機種が非常に多いために、これらの記事はすべて、貴重な時間を吸い込むブラックホールを成長させる餌にしかならないことが多い。そしてそれは、ロボット掃除機の記事を時間をかけてもっと読めと迫ってくる(そんなことをするぐらいなら、自分で掃除機をかけたほうが早い)。その結果、得られるものは空虚な情報ばかりで、ロボット掃除機の購入は本当に正しい選択なのだろうかと不安を抱くはめになる。

私にはよくわかる。なぜなら、私はその穴に落ちたことがあるからだ。地獄のようだった。なので、他の人たちが利便性に振り回されて決断できなくなる不幸に陥らないよう、先に謝っておくが、そうした記事の山の上に、ちょっとだけ比較レビューを載っけたいと思う。これが、ゴミのような情報をかいくぐって前に進む助けになることを願う(というか祈っている)。

結論はこうだ。安いロボット掃除機はナビゲーション能力が低く、率直に言って、代金に見合うだけの価値はない。まったくもって時間の無駄。安いとはいえ、ロボット掃除機は、まだまだ普通の掃除機に比べれば高価なのが現実だ。

だから安価な機種は、不必要に高すぎる掃除機ということになる。性能が低いために、人がやらなければならない仕事のほうが多い(例えば、普通の掃除機で掃除するとか)。これはまさに、ロボティクスの間違った最悪の応用例だ。

最も安い機種で、代金に見合う価値を少しでも得ようなどと期待してはいけない。私は実体験から言っているのだから間違いない。愚かにも私は、最終的に近くの有名量販店で売られていたものを選んでしまったのだ(言い訳になるが、実質的にゴミのような情報を調べまくった挙げ句に頭がおかしくなりかけて、いちかばちかの賭けに勝てる気がしてしまったのだ。それに、失った時間を取り戻したかった)。

それは、お買い得の安価な機種だったが、真面目な店員が頑張って、平均よりもよい機種を選んでくれたのだと私は自分に思い込ませた(というか祈った)。少なくとも、埃を吸うぐらいはやってくれるだろうと。

その掃除機(Rowenta)は、もっと有名な(そしてもうちょっと高い)iRobotと同じ棚に並んでいた。それだけの価値がある製品だと思うよね?深く考えなかった。思うツボだ。

iRobotの掃除機は個人的に使ったわけではないので、それと性能を比較することはできない。だが、180ユーロ(約2万2000円)もしないRowentaのロボット掃除機と、もっと高価な猫のおもちゃとなら胸を張って比較できる。

このロボット掃除機は、猫を楽しませることにおいては目覚ましい性能を発揮した。おそらく、そのお馬鹿な性質のためだろう。ナビゲーションにおけるインテリジェンスを完全に欠いたその掃除機は、家具に何度も頭をぶつけるというアホさ加減だ(ロボットがどれだけアホかを知るには、物へのぶつかり方が大きな手がかりになる。たとえ人間の姿をしていたとしても、頭をがんがんぶつけることがインテリジェンスの証とはならない)。

猫の目には、さらに興味を引く機能がある。そのロボットには、白くて猫のヒゲのようなサイドブラシが左右に付いている。それが前に突き出て、ちょうど猫がちょっかいを出しやすい距離で回転するのだ。つまり、完全なるロボットマタタビだ。

猫は、そのロボット掃除機が作業を終えるまでずっと、その「ヒゲ」を攻撃し続けていた。つまりそれは、進行方向にわざわざ障害物を招き入れる機能でもある。だが、本当に困った問題は、あまり埃を吸わないことだ。

最初の運転が「クリーン」ということで終了して、危なっかしい足取りで充電ハブまで戻ってきて、最初はぶつかり、やがてなんとかドッキングした後、私はゴミ容器を取りだして思わず笑ってしまった。中には小振りの猫の毛玉が入っていた。部屋の隅には、もっと大きな毛玉がごろごろ転がっている。つまり、猫のおもちゃという意味においては満点だが、掃除機としては最低ということだ。

この時点で私は、残念な不良品に対して良識ある消費者が当然とるであろう行動に出た。返品して返金してもらったのだ。もしかしたら、私と猫とロボット掃除機の相性の、問題だったのかもしれない。それでも、利便性の馬鹿馬鹿しいほどのわずかな差のために、大金や時間を費やすのは考えられない。猫の毛がどんどんまき散らされているとしてもだ。

ところがラッキーなことに、Roborockの担当者が、最新の最上位機種を使ってみないかとメールを送ってくれた。549ユーロ(約6万8000円)という、3倍の価格差で悲しきRowentaを圧倒するものだ。もちろん私は、ロボット掃除機をもう一度試すこのチャンスに飛びついた。もっとスマートな機種なら、猫を喜ばせるだけでなく、私も満足させてくれるのではないか。

一番高いものと、一番安い物との違いはハッキリしている。だけど、フェラーリの3分の1の価格の車を買ったとしても、当然、ハンドルがちゃんと付いているし、行きたいところにちゃんと運んでくれる。ひどい車酔いもなく早めに着けるだろう。

これに対してロボット掃除機を買うときは、もっと慎重にならなければいけない。

そして、最上位機種から得た結論はこうだ。ロボット掃除機は素晴らしい。現代の利便性の驚異だ。だが、ここが重要なのだが、望み通りの仕事をきちんとやってくれる機械に大枚を投じる覚悟があればの話だ。

Roborock S6は、モフモフのお友だちのフケをバリバリ食べてくれる獣だ

Roborock S6とRowenta Smart Force Essential Aqua RR6971WH(これが本名、名前も凄い)を比べるのは、最高級電気自動車と子ども用のゼンマイおもちゃを比べるようなものだ。

Rowentaの場合、よほど予算が厳しいのか、取り扱い説明書に文字を入れることすら惜しんだようだ。邪推するに、翻訳料を節約するためにわけのわからないイラストの漫画を製作した。何を表しているのか意味不明な図解は、それが完全な欠陥商品であると断定する購入者を、とりあえずなだめる役割しか果たさない。一方、Roborockの箱には言葉と明解な図解が使われた丁寧な説明書が入っていた。なんと贅沢なことか。

また、Roborockの操作を理解するために頭を悩ます必要もない。1回使えば、うれしくなるほど簡単に使えるさまざまな機能に慣れてしまう。ときどき声で、作業の状況を知らせてくれたりもする。たとえば、掃除が終わったのでベースに帰りますといった具合だ(これは、掃除機がベッドの下で迷っているのではないかと心配するユーザーへの配慮だと思われる。黙っているやつは、人間への奴隷的奉公に抵抗するロボット反乱軍のリーダーだ)。

ボタンひとつ押すだけで部屋は完全にきれいになる。それは、リアルタイムで部屋のマッピングを行う内蔵のレーザーナビゲーションのお陰だ。これにより、整然とした針路が割り出され、頭をぶつけることも最小限に抑えられて掃除のし忘れも減る(S6が見逃してしまった場所や、掃除中に汚してしまった場所を掃除させるためのボタンもある。ロボットを持ち上げて、掃除させたい場所に置くだけでいい)。

特定の部屋を掃除させたり、掃除のスケジュールを登録したり、入ってはいけない部屋を指定するといった追加機能を使いたいときはアプリが対応している。しかし、もっとうれしいのは、本来の仕事をさせたいだけならWi-Fiに接続する必要が一切ないことだ。基本の作業は、苦労してインターネットに接続しなくても行える。知らない誰かが自分の部屋のマッピングデータを盗み見るといった心配もない。プライバシーに敏感な人には、Wi-Fiもアプリも使わずに済む操作は、大きなプラス点だろう。

硬い床の小さなアパートなら、充電ケーブルや靴下が床に落ちていないかを確かめるだけで準備は完了だ。もちろん、椅子をテーブルの上に載せておけば、もっときれいに掃除してくれる。しかし、ナビゲーションがとても賢いので、椅子の脚の周りを回って掃除してくれるのを私は目撃した。残念なのは、ソファーの下に潜るには背が高すぎることだ。

S6には水拭き機能もある。リノリウムの床では、これが大活躍する(カーペットの部屋では使えない)。水拭きを行うには、タンクアタッチメントに水を入れて、湿らせたモップ布をその底に面ファスナーで取り付ける。これを本体後部にスライドさせて取り付けるだけだ。後は掃除開始ボタンを押すと、掃除機がけとモップがけを同時に行ってくれる。

私の狭いアパートでは、S6は1時間もかからず、問題なく掃除を終えてくれた。途中でベースに戻って充電することはなかった(Roborockによると、S6は1回の充電で6時間動けるとのこと)。

私のアパートの比較的暗い色の床でも、迷うことがなかったように思える。いくつかのレビューには、ロボット掃除機によっては暗い床で段差センサーが混乱することがあると書かれていた。

最初の掃除の後、私はS6の透明なゴミ容器を開いて内容物を確かめてみたところ、びっくりするほどの量の綿埃が、ほぼぎゅうぎゅうに詰まっていた。これはまさにロボット掃除機ポルノだ。しかし、ピカピカの床が、その掃除の質の高さを物語っている。

S6とRowentaが集めた埃の量を見れば、最高級品と最低価格のロボット掃除機の違いは明確だ

Rowentaのプラスティックの甲羅は、吸い込み損ねて巻き上げてしまった埃を瞬く間に吸着してしまう。一方、S6の輝く白いボディーは驚くほど塵が付かない。何日間か使った後で、わずかに猫の毛が付いた程度だ。だが、それが掃除してくれる床には、目に見える埃も猫の毛も落ちていない(猫がせっせと床を汚しにかかるまでは)。

高い吸引力、高性能なブラシ、高品質な一体型フィルターがすべての違いを生み出しているようだ。しかもS6は、掃除中の騒音もずっと静かだ。Roborockによれば、ひとつ前の機種(S5)の50%静かになったとのこと。現在あるロボット掃除機の中で一番静かだと自慢していた。

めちゃくちゃ静かというわけではない。床を掃除している間、同じ部屋での仕事や動画の視聴などを邪魔しない程度の静かさだ。だが、新しいものにはどうしても目が奪われる。

S6は、ロボット工学のスマートさも前面に押し出している。中央に出っ張ったレーザーのカバーは、細長いサイロンの目を思わせる。

さらに、ひと目見て驚いたのは、Rowentaの本体の下にはしっかりとしたブラシが2つ固定されていたのに対して、S6は、どちらかと言えば華奢に見えるブラシが1つだけ付いていたことだ。だが、ここでもS6は賢く作られている。掃除する状況に合わせて回転速度が変化するのだ。半端な糸くずや、猫の砂のような塊は、吸い込み損なうことがあった。とはいえ、床をきれいにする性能では突出している。

猫は、S6の回転ブラシにもちょっかいを出した。しかし、Rowentaのときに比べると、その攻撃回数は少なく、あまり積極的でもなかった。S6の適格なナビゲーションに対して、猫も敬意を払い、より慎重な行動を心がけているようにも見える。猫の目に、プレミアムなS6はお馬鹿なおもちゃとは違うとわかるようだ。

S6が床掃除をしてる間、別の待ち伏せ作戦を練る猫

実用面として、S6のゴミ容器は480mlの容量がある。Roborockでは、毎週、ゴミ容器とダストフィルターの清掃を推奨している(毎週、ロボット掃除機を使った場合)。フィルターの予備が付属してるので、水で洗って乾かしている間に、もうひとつのフィルターを使うというローテーションが組める。

水拭き機能を使うときは、モップ布も使用後に洗う必要がある(使い捨てのモップ布が数枚付属しているが、ちょっともったいない。再利用可能な布でも簡単に装着できるし、それなら洗濯機に入れられる。付属の布を手でさっと洗ってもいい)。そんなわけで、何から何までロボットが自動的に完璧に掃除してくれることを夢見ている人は、すべてを滞りなく行うには、まだ少しだけ人間の手間が必要であることに注意してほしい。それでも、S6のような最高級ロボット掃除機なら、間違いなく掃除の時間を節約してくれる。

最高級ロボット掃除機の購入への相当額の投資を正当化するなら、残った部分を効率的に掃除して、ロボットが与えてくれた時間を有効に使う方法を考えるべきだろう。くれぐれも、足を床から上げて、小さくて賢いロボット君が働く様子をずっと眺めていたい誘惑に負けないように。

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(翻訳:金井哲夫)

レゴがSTEM教育用Star Warsキットを発売へ

レゴほどのシナジー効果を持ったブランドは、他にはまったく見当たらない。 レゴは長年にわたりStar Warsの最大のライセンシーの1社として知られている。そして今回初めて、そのライセンスを同社のSTEM教育用キット、レゴブーストに適用した。

デンマークに本拠を置くレゴは、今年のスターウォーズデーに合わせて、LEGO Star Wars Boost Droid Commanderセットの発売を明らかにした。レゴブーストシリーズに共通する教育的な性格は活かしつつ、Star Warsに登場する伝統的な3体のロボットを組み立てるものとなっている。

子供たちは、このキットを使ってR2-D2、ゴンクドロイド、マウスドロイドを組み立て、全部で40通りのミッションに沿って命令を与えることができる。その過程で、組み立てとプログラミングが学べるようになっている。史上最も人気の高い映画シリーズを前面に出すことで、勉強臭さを和らげようという効果的な手法だろう。似たようなアプローチは、数年前に登場したlittleBitsのDroid Inventor Kitも採用していた。しかしレゴは、Star Warsのキャラクタをうまく利用することにはずっと長けている。

このセットには、全部で1177ピースの部品と、カラーセンサー、距離センサー、そしてロボットを動かす制御付きモーターが含まれている。これらすべてを、Android、iOS、さらにはFire OSを搭載したデバイス上で動作する新たなBoost Star Warsというアプリで動かすことができる。このアプリには、Xウィングの戦闘を手助けしたり、潜んでいる反乱軍を探し出すといったミッションが仕込まれている。

このシステムの発売日は9月1日に設定された。続三部作の最終話「スター・ウォーズ/ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー」の封切りに合わせたものだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

壁を登る点検ロボを手がけるNZと米の2社が資金調達

ニュージーランドのクライストチャーチを拠点とするInvert Roboticsのロボティクスチームが、点検用のロボットを商品化した。このロボットはトレッドについている小さな吸盤と特殊な薬品を使って文字通り壁を登ることができるように作られている。

一方、クライストチャーチから遠く離れたピッツバーグのGecko Roboticsも同じ課題に取り組んでいて、強力なマグネットを使った点検ロボを手がけている。

両社とも最近新たに資金調達し、InvertはFinistere VenturesYamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valleyなどを含む投資家から880万ドルを調達した。一方のGecko Roboticsも、米国証券取引委員会に提出された書類によると、昨年6月に始まった資金調達が900万ドルで間もなくクローズする。

食品に特化した投資ファンドFinistere Venturesにとって、壁を登るロボットのメリットは言うまでもなくサプライチェーンの問題を検査するのに使えることだ、と同社の共同創業者でパートナーのArama Kukutai氏は説明する。

「食品や飲料を安全で病原体のない環境で保管して輸送できるようにすることから、農業薬品を含む容器やプラントでの破滅的な失敗を回避することまで、グローバルの食品サプライチェーンにとってInvert Roboticsの価値は紛れもなくものすごいものだ。そして、応用の可能性はほぼ無限だ」とKukutai氏は声明で述べた。

投資家や2社の起業家によると、食品、化学、航空産業におけるプラントの点検は危険であり、細心の注意が必要で、企業が重要な機能の質をいかに確保するかという点でオートメーションはその改善に大きく寄与する。

「産業サービスのテクノロジーにおいては事実上、何十年もの間イノベーションがなかった」とFounders FundのパートナーTrae Stephens氏はTechCrunchに対し語った。「Geckoのロボットは、重要なパーフォーマンスデータを集めたり、起こりうる致命的アクシデントを防いだりするのに施設を閉鎖しなければならない時間を大幅に減らす。彼らがつくっているものに対する需要は莫大だ」。

Geckoはロボットが表面にくっついていられるよう強力なマグネットを使用する一方で、Invert Roboticsはロボットが壁をのぼれるよう強力な吸盤を活用している。

「プランジャー(吸引式下水掃除棒)は表面にぴたりとくっつき、表面から離すのはかなり困難だ」と最高業務責任者のNeil Fletcher氏は語る。「我々はそのコンセプトを取り入れ、真空状態をなくすことなく表面をスライドできるようにした。真空の維持と、ユニットがスライドできるだけの空気を真空状態に送り込むという絶妙なバランスを取りつつ、摩擦を減らすために特殊な薬品で吸盤をコーティングしている」。

農業と化学の分野におけるテストマーケットは10億ドル規模だとFletcher氏は語る。そして同社はすでにDow ChemicalBASFといった企業と協業していて、設備が使用に適しているかといった点検にロボットを活用している。

ヤマハはこうした種類のロボティックスシステムの開発に戦略的関心を寄せていて、シリコンバレー発の同社の最先端技術・投資の部門が出資した。

「作業の効率と安全性の向上を改善するための高度なロボットの開発をサポートするというヤマハの長期的ビジョンの一環として、我々の投資委員会にはInvert Roboticsのテクノロジーとバリュープロポジションにポジティブな印象を受けた」とYamaha Motor Venturesのオーストラリアとニュージーランドでパートナーを務めるCraig Boshier氏は話した。「重要なこととして、異なる環境や産業でのロボティックテクノロジーの応用は専属チームによってサポートされるということが挙げられる。適切な資金注入でもってInvert Roboticsはグローバルマーケット拡大で成功を収める」。

ピッツバーグのGecko Roboticsも似たような野望を抱えていて、投資家にはMark Cuban氏、Founders Fund、The Westly Group、Justin Kan氏、Y Combinatorが含まれる。

2012年以来、同社はボイラーの壁をスキャンするための超音波トランデューサーと高解像度カメラを使ったテクノロジーの開発に取り組んでいる。

何十億ドルという需要や、救命につながる可能性のある応用法を考えた時、投資家がこうしたマーケットに関わろうとするのはなんら不思議ではない。

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(翻訳:Mizoguchi)

カーネギーメロン大学のチームがハグするソフトロボットを編み機で制作

人がロボットやオートメーションを恐れるのは、おそらくかわいくないからだ。かわいさは、発展しつつあるソフトロボティクスの分野においてまだ探求されていない側面である。カーネギーメロン大学のチームは編み機を使ってソフトロボットを作ることで、この課題に挑戦している。

かわいさはさておき、この挑戦の本当の目標は、コストがかからず危険性が低く、場合によってはウェアラブルになるロボットのフォームファクターを設計することだ。研究チームは腱を追加する自動化プロセスを設計している。腱によって、動きをつくるための固いモーターをつなぐことができる。たとえば「おなかをつつくとハグするぬいぐるみや、袖が自動で動くセーター」などが冗談ではなくなる。

研究が進めば将来的には、衣類用の市販の編み機で作れる、さらに本格的なソフトロボティクスにつながるかもしれない。

カーネギーメロン大学の博士課程の学生、Lea Albaugh氏はリリースの中で次のように述べている。「私たちの生活の中にある柔らかい物体の多くが、この技術を使えばインタラクティブになる可能性がある。衣類が個人情報システムの一部になることが考えられる。たとえば注意が必要なときにセーターが肩を叩いてくれるかもしれない。椅子の布が触覚インターフェイスにもなり得る。リュックサックが自分で開くようになるかもしれない」。

これは、これまでにもあった3Dプリンタなどの付加製造法の一種であるともいえる。腱として使える可能性のある素材には、ポリエステルが巻かれたキルト糸、絹糸、ナイロンの単繊維などがある。一方、導電糸を使えばロボットに動きの感覚を与えられるかもしれない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルのWWDCで華々しくデビューしたロボットのAnkiもついに倒産へ

消費者向けロボットなんて簡単だと言った人はいない。それでもAnkiは、いろいろな意味でかなりうまくやっていた。アップルの2013年のWWDC基調講演で、ロボットカーDRIVEをデモして世界をアッと言わせた後、AnkiはまずCozmo、そしてVectorといったロボットを次々と世に送り出してきた。

米国時間4月29日朝に、CEOのBoris Sofman氏によって開かれたミーティングは、悲痛な雰囲気だったことが容易に想像できる。それに関するニュースが流れた後、同社は今週中に従業員を解雇する予定であることをTechCrunchに明かした。以下がその全文だ。

Ankiが従業員を解雇することにしたことを発表するのは、とても重苦しい気持ちです。実効はこの水曜日です。私たちはこれまでに何百万台もの製品を出荷し、世界中のお客様に幸福な体験をお届けしてきました。また、多様なAIとロボット工学を駆使したアプリケーションの未来を見据え、非常に優れた技術を開発してきました。しかし、ハードウェアとソフトウェア両方のビジネスをサポートし、当社の長期的な製品ロードマップにつなげるような多額の資金がなければ、現時点では計画を実現できないのです。

これまでの成功にもかかわらず、当社は常に、将来の製品開発とプラットフォーム拡張のための資金を獲得する手段を模索してきました。ある戦略的な投資家との大きな融資の契約が最終段階で不成立となり、結局合意に達することができませんでした。当社としては、すべての従業員とその家族のために最大限の努力を払うつもりです。経営陣は、今後もすべての可能性を検討していきます。

Ankiは、同社製品の将来について、これ以上のことはコメントしていない。このスタートアップは、いくつもの魅力的な製品を開発してきた。もっとも印象深いのはCozmoだろう。これは大ヒット商品となった。同社はベイエリアに拠点を置き、昨年8月の時点では、創業以来150万台のロボットを販売したと語っていた。そのうちCozmoが数十万台を占める。

Crunchbaseによると、同社は全活動期間の間に、総額1億8200万ドル(約203億円)を調達した。ただし、それなりに出費も多い。Cozmoや、その大人向けの後継機Vectorの個性を際立たせるために、作曲家や、PixarやDreamworksでの経験もあるアニメーターを雇っていた。

断末魔の話の展開は、最近閉鎖した工業用ロボットのRethinkや、やはり家庭用ロボットのKuriの状況とウリふたつのように見える。いずれの会社も、ついに投資家も買い手も見つけることができず、夢を実現できなかったのだ。残念なことに、ロボットのスタートアップの世界では、こうしたことはまったく珍しくなくなっている。

ロボット工学のスタートアップを運営することの難しさは、おもちゃ市場が絶え間なく変化し続けていることから来るのは間違いない。Spheroも、ディズニーの著作権に依存している間は、同様の経過をたどった。ただし、Boulderに拠点を置くこのスタートアップは、最終的に教育市場にターゲットを移し、利益の出やすいモデルに方向転換することに成功した。Cozmoは成功だったとはいえ、結局はその価格設定がさらなる普及を妨げたのだろう。

結局のところ、これはAnkiが経費を使い過ぎたことに対する罰なのか、ロボットのスタートアップに資金を注ぎ込もうとしているベンチャーキャピタルに対する一般的な警告なのか、ロボットを家庭に持ち込もうとしてきた企業の数が多いことを考えると、判断が難しい。おそらくその答えは、両者を組み合わせたところにあるのだろう。

それはどうであれ、可愛らしいロボットを作った将来有望と思えた会社にとっての悲しい結末には違いない。そしてさらに深刻なのは、多くの有能な従業員が失業したということだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

食品配達のPostmatesが上場を控え1000都市に進出

Postmates新規株式公開を控えて猛烈に拡大している。食品配達のスタートアップは昨年12月以来1000都市に進出したと米国時間4月24日に同社が発表した。

サンフランシスコ拠点のPostmatesは、地域のギグ・エコノミー労働者ネットワークを活用して全米50州3500都市でオンデマンド配達プラットフォームを運営している。Postmatesはメキシコシティーを除き海外進出していない。

「誰もがどんな物にもオンデマンド配達を利用できることがわれわれの目標であり、今回の拡大によって全米50州でその約束を果たすことができた」とPostmates共同ファウンダーでCEOのBastian Lehmann氏が声明で語った。

同社はこれで米国世帯の70%をカバーし、50万軒のレストランの料理を配達することで、食品配達大手のUberEatsやDoorDashとの競争力を強化したと言っている。最近Postmatesは、隣人同士で注文をまとめるPostmates Partyという新機能も発表ししている。

これでPostmatesは株式市場でもUberを追いかける準備が整った。これまでにベンチャー資金6.7億ドル集めている同社は、1月にプレIPO資金調達で1億ドルを集め、企業評価額は18.5億ドルだった。そして2月に米国でのIPOを非公開で申請した

同社は毎月500万件の配達を実施し、2018年には12億ドルの食品販売に対して、新記録となる4億ドルの収益を上げると推測されている。一方Uber Eatsは、2018年中に米国世帯の70%をカバーし、ドローンによる配達を2021年までに計画している

対するDoorDashはロケットのようだ。現在3300都市で活動し、前年比325%で成長していると言っている。最近同社は4億ドルのシリーズF調達ラウンドを完了し、企業評価額は71億ドルだった。同社も来年には上場する可能性が高い。

Food delivery service Postmates confidentially files to go public

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook