Facebookが動画内に挿入できる広告ブレークを導入へ―、広告収益の55%がクリエイターのもとに

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Facebookは本日(米国時間2月23日)、数社のパートナー企業を対象に、動画の最中に表示される広告ブレークのテストを開始したと発表した。広告収益のうち55%はビデオを提供している企業が受け取り、残りの45%がFacebookのポケットに入ることになる。広告ブレークの導入により、Facebook向けコンテンツをつくる人が増える可能性があると共に、ユーザーに広告を最後まで見せるため、今後動画の構成が変わっていくかもしれない。

動画をアップする企業や個人は、どこに広告を挿入するか選ぶことができるが、少なくとも20秒の尺をとって各広告の間隔は2分以上空いていなければいけない。ちなみに広告ブレークの導入については、先月Recodeが報じていた。

サードパーティーアプリで広告を表示するためのAudience Networkでも、昨年から今年にかけて行われたテストが終わり、利用者は動画内広告を使えるようになった。

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動画内広告の例(Matt Navarraのツイートより引用)

さらにFacebookは、昨年8月に発表した通り、現在行っている広告ブレークのテスト範囲をライブ動画にも広げていく。現在のところは、アメリカ国内のFacebookページや個人のアカウントの中で、フォロワー数2000人以上かつ最近のライブ動画配信で同時視聴者数が300人を超えたものについては、広告ブレークを使えるようになった。

同時視聴者数が300人を超えた状態で4分以上動画を配信していると、「広告ブレークを挿入できます」というお金のマークがついたアラートが、視聴者からのリアルタイムコメントと並んで表示される。メッセージをタップすると、最大20秒間の広告が表示され、さらにそれから5分以上経つと新しい広告が表示できるようになる。

広告ブレークの導入によって、ライブ動画を配信する人も、予め準備した動画をアップする人も視聴数に応じて広告収益をあげられるようになる。その結果、Facebookはオープンな広告収益プラットフォームとしても機能するようになり、クリエイターをFacebook Liveにひきつけることができるかもしれない。

収益面に限らず、広告ブレークはライブ動画を配信する側にとって便利な機能だ。というのも、動画配信中にちょっと一息ついたり、髪型をなおしたり、セッティングを変えたりしたいと思ったら、彼らは広告ブレークを使って、カメラから離れることができる。さらに広告ブレークは縦向き動画にも対応しており、FacebookがSnapchatの陣地へさらに攻め込もうとしているのがわかる。

また、Facebookが広告営業や集金を行ってくれるので、動画配信者はマネタイズに関して何か特別なことをする必要がない。大手報道機関やエンターテイメント企業を除くと、ウェブ上の有名動画クリエイターの多くは自分の部屋で動画を撮っているティーンやヤングアダルト層にあたり、彼らは必死に自分たちの趣味を仕事にしようとしている。

だからこそ、彼らに広告収益をもたらしているYouTubeが、若いビデオグラファーの拠点になっているのだ。しかしFacebookの広告ブレーク導入により、たとえYouTube上のコンテンツと共食いすることになるとは言え、彼らには動画を拡散させる以外の目的でFacebookに動画を投稿するインセンティブが生まれた。そしてライブ動画へも広告が挿入できるようになった結果、まだ有名人との大型スポンサー契約をはじめたばかりのPeriscopeから、Facebookはライブ配信者を奪うことができるかもしれない。Facebookも、大手エンターテイメント企業にライブ動画機能を使ってもらうための単発の取引を過去に行っていたが、同社の新しい広告システムは、もっと広い範囲の人々を対象にしている。

広告ブレークによって動画の数が増えると共に中身が変わる

これまで、Facebook上の動画広告は、ユーザーが自分で選んで見た動画が終わった後に関連動画として表示されるか、フィード上に単独で表示されていた。しかし今後Facebookは、1日合計1億時間も視聴されているという動画コンテンツから、直接広告収益をあげられるようになる。しかもこの1億時間という数字は1年前のもので、そのときFacebookはまだ有力なビデオプラットフォームとして認知されていなかった。さらに同社は、ストリーミングボックス用アプリ(今のところ広告表示は予定されていない)のローンチによって、これまで主戦場としていたモバイル端末を超えて、動画の視聴数を伸ばすことができる可能性もある。

live-ad-break一方で心配なのは、動画をつくる人が盛り上がりどころを広告ブレークの後に持ってきてしまい、そもそも動画の視聴数が減ってしまうということだ。これまで動画クリエイターは、視聴者が求める面白い部分を最初の数秒に詰め込むことで、フィードをスクロールしていくユーザーの目を引こうとしていた。

今後彼らは、最初の20秒間で緊張感を高めてから広告ブレークを入れ、収益を確保した後に、動画の面白い部分をおくようになるかもしれない。そして自動再生時のデフォルト音声設定がオフからオンに切り替わったように、Facebook向け動画作成のルールは大きく変わっていくだろう。

Facebookでパートナーシップ担当VPを務めるNick Grudinは「Facebook向けであろうが他のプラットフォーム向けであろうが、私たちはパートナー企業と強力して、デジタル動画用の新しいマネタイズ方法や広告商品の開発に力を入れています。まだこの分野でのビジネスをはじめたばかりですが、本日のアップデートによって、一歩ゴールに近づけました」と話す。

諸々の施策によって、Facebookはニュースフィードのスペースはそのままにして、売上を拡大できるかもしれない。彼らが優秀なクリエイターを集めることができれば、ユーザーはこれまで目もくれることのなかった写真広告よりも収益性の高い動画広告を最後まで見るようになるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

お気に入りのアーティストと”共演”―、合成動画作成アプリのBlin.gy

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クロマキー合成(またはブルーバック/グリーンバック合成)は昔からある技術だ。この技術は1930年代に初めてハリウッドで導入されて以降、現在でも映画やスポーツ報道、そしておなじみの天気予報などで利用されている。一方で、クロマキー合成を実現するには、緑色の幕や固定されたカメラ、さらにスタジオで使われているような照明機器を準備しなければいけないため、コンシューマー向けの技術とは言えない。

しかし、もしもバックグラウンドが動く動画を作れて、それをソーシャルメディア上で友だちとシェアできたらきっと楽しいだろう。

そんな思いを実現するために誕生したBlin.gyというアプリを使えば、スタジオ機材なしで「モバイルクロマキー合成」を再現できる。

Blin.gyのチームは、以前Chosenと呼ばれるアメリカン・アイドル風のアプリを開発していた。ユーザーが自分の才能を披露するために、短い動画を作成・シェアできるようになっているこのアプリは、The Ellen Show(2001~2002年にかけてアメリカで放映されていたコメディ番組)とのパートナーシップを通じてトラクションを獲得していったが、しばらくすると、彼らのメインターゲットであるティーンエイジャーは、Musical.lyのように音楽が中心のコンテンツを好むということがわかった。screenshot_20170215-205645

そこで彼らは一歩下がって、若者がこれまで体験したことがないような表現ができるコンテンツを作るためのツールを開発することにした。

彼らの狙いは、Blin.gyにしかできないような、ユニークで新しいタイプのコンテンツを作ることだった。Musical.lyなら音楽に合わせて早送りしたような映像を作ることができ、SnapchatにはフィルターやAR風のエフェクトがあり、そしてInstagramにはBoomerangがあるように、Blin.gyも独自の「っぽさ」を見つけようとしていたのだ。

最終的にBlin.gyのチームは、モバイルクロマキー合成を使ってユーザーを音楽ビデオに登場させるというアイディアを思いついた。今日のテクノロジーを使えば、昔からあるクロマキー合成の技術をモバイル化するのなんて簡単なはずだと思う人もいるかもしれないが、実はこれはかなり複雑なプロセスだ。

特許出願中のBlin.gyのアルゴリズム(詳細はこちらの白書参照)は、昔ながらのクロマキー合成と物体検出や輪郭検出、色操作といったコンピュータビジョンのテクノロジーから構成されている。つまりBlin.gyは、動画が撮影されている環境に合わせて、複数の技術をダイナミックに使い分けたり併用したりできるのだ。

そのため、AppleのPhoto Boothではカメラが動くとエフェクトも崩れて(しまいには背景まで歪んで)しまうが、Blin.gyであれば、撮影中にカメラが動いてしまっても問題なく合成されるようになっている。

もちろん、コンピュータビジョンのテクノロジーはまだ誕生して間もない(かつ動画を撮影している携帯電話の処理能力に左右される)ため、Blin.gyのチームは、アプリの効果を最大限発揮するために、「撮影時は後ろに何も置かないようにする」といったアドバイスを提供している。

実際にBlin.gy上の動画を見てみると、「本物の」緑色の幕を使って撮影されたような素晴らしい出来のものから、ほとんど合成が上手くいっていないものまであり、全ての動画が完璧なクオリティというわけではないことがわかる。

しかしBlin.gyのチームは、アップされている動画の中には、アプリの機能を完全に発揮できないような処理能力の低いAndroid携帯によって撮影されたものもあると説明する。さらに、アプリを初めて開いたときには、撮影時の背景の選び方やライティングについての説明文が表示されるが、Blin.gyの主なユーザーである若者が、全ての説明文を読んでいるとは思えず、それが原因で一部の動画は合成が上手くいっていない可能性もある。

現在アプリ上には何万という数の音楽ビデオが準備されており、長さは全て15秒に設定されている。最終的にはレコード会社と協力し、例えばDrakeの横にユーザーが入れるスペースを空けた動画のような、独自のコンテンツを作っていきたいとBlin.gyは考えている。実は同社は既にこのアイディアを試しており、ユーザーはMigosのBad and Boujeeに「出演」できるようになっている。この動画の中にはジャンプカットがなく、ユーザーが入るスペースも空けてあるため、ユーザーはなかなかリアルな映像をつくることができる。

アプリはiOS版Android版があり、どちらも現在公開中だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ビジネス向けYouTube―、CRM統合の動画プラットフォーム「Vidyard」が日本上陸へ

C Chanelをはじめとしてソーシャル上に拡散することを狙う「分散動画」を扱うスタートアップ企業が伸びているが、その一方で、プラットフォーム側にもイノベーションは引き続き起こっている。

2011年創業のカナダのスタートアップ企業のVidyardは、CRMなどマーケティングオートメーションを統合した企業向けの動画配信と解析のプラットフォームとしてビジネスを拡大していて、現在日本市場への展開をうかがっている。

視察のために2016年12月に来日していたVidyard共同創業者のマイケル・リット(Michael Litt)氏がTechCrunch Japanに語ったところによれば、現在Vidyard上での動画視聴数は1日に5000万回。2016年秋にリリースした新機能の利用において、Vidyardの日本からの利用シェアが7%と伸びつつあることから、本格参入を検討しているのだという。

アニメーション制作ツールで創業し、プラットフォームへ転換

Vidyardは当初からビジネス向け動画を主軸に創業しているが、当初は動画の請負制作を手がけていた。動画制作とはいえ、カナダのウォータールー大学でエンジニアリングを学んだリット氏も共同創業者も2人ともエンジニア。当時伸びつつあったアニメーション動画をソフトウェアの力で安価に制作するというアイデアで創業して、これを軌道に乗せたという。

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Vidyard共同創業者のマイケル・リット(Michael Litt)氏

収益性の高いビジネスではあったものの、2011年にY Combinatorの夏バッチに参加した前後から動画制作はやめて、動画解析プラットフォームに転換。動画のA/Bテストや、CRMと統合した形でリード生成を行うビジネス向け動画プラットフォームとしての成長の道を選び、直近2016年1月の3500万ドル(約40億円)のシリーズCラウンドの資金調達を含めて、Y Combinator、Andreessen Horwitz、SV Angel、Battery Venture Partner、Salesforce Venturesといった著名VCから累計6065万ドル(約70億円)を調達している。

「最初は動画制作で得たお金でプラットフォームを開発していました。でも、それだと結局プロデューサーの数でしかスケールしないんです。それが動画制作というものです。でもソフトウェアは違います。小さなチームでも何百社という顧客にスケールできます。Y Combinator創業者のポール・グレアムは我々Vidardのことを『YouTube for business』だと言いました」(リット氏)

企業から請け負って動画制作ビジネスをしていたときに、どうやれば視聴者の60%が途中でドロップせずに最後まで見るのかという改善をし、「60%達成保証」をやっていたという。どういう動画だと最後まで見てもらえるのか。例えばイントロが無駄に長いものは冒頭でのドロップ率が高いというのは動画制作に関わっている人なら誰でも知っていることだろう。Vidyardでは簡易動画編集機能を使って長すぎるイントロを削ったり、ドロップ率の多いところに補足説明となるアノテーションを付けるといったことができるそうだ。

スプラッシュ画面のA/Bテストも簡単に

Vidyardの「Splash Screen」も面白い機能だ。動画のリンクをクリックするかどうかを、サムネイル画像で決めていないだろうか? 動画の中身と同じくらいサムネイル画像は大切なものだが、VidyardではA/Bテストができる。Splash Screenを使うと、動画中から好きな部分を静止画として抜き出し、4〜8つ程度の候補画像として、どの画像がいちばんクリックされるかをテスト可能だ。十分なデータが集まったところで最も成績の良いもの1つを残せる。

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こうした機能はYouTubeにはないが、YouTubeから動画をVidyardに持ってきたり、逆にエクスポートして戻すといったことができるので、「YouTubeはインバウンドのプラットフォームで補完的な存在です。VidyardにはYouTubeの創業者も投資していますしね」とリット氏は説明する。Vidyardは動画配信、簡易編集、アナリティクスのプラットフォームだが見え方としてはWebサイト制作サービスのWeeblyやWix、Jimdoのように、企業向けに動画ホスティングをまるっと提供している形だ。

ドロップ率を見たり簡易編集をすることならYouTubeでもできるが、Vidyardはビジネス向けプラットフォームとしてCRMとの統合で威力を発揮する。

例えばSalesforceが展開するマーケテイングオートメーションプラットフォームのPardotと合わせて使うと、どの動画を誰が、どこまで見たかが分かるようになる。誰が、というのは社名と肩書きなど本人が入力したものに限るが、それでも営業案件のリードとしては強力だ。さらに、Vidyardでは動画の任意のポイントに問い合わせフォームを表示する機能もある。一般消費者向け動画としてはウザい話だが、動画コンテンツをリード生成に利用するという法人ニーズにはピッタリだろう。法人向け機能としては、ほかにも各動画についてドメインやパスワードによる視聴制限や、タイマーによるエクスパイア機能が利用できる。マーケティングオートメーションのプラットフォームとしては、PardotのほかにMarketoやEloquaなどもサポートする。

テクノロジー企業らしいエッジの効いた新機能として2016年秋にローンチしたものが、ちょっと面白い。例えば動画中の登場する誕生日ケーキに利用者の名前やブランド名を埋め込む機能だ。動画解析によるモーション検知を使っているそうだ。

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何かソリューション導入を検討中の特定ユーザーに対してプロダクトの説明するとか、導入直後のユーザーサポートをするというとき、そのユーザーにのみ向けたスクリーンキャストを作りたいということがあるだろう。説明員の顔を右下に表示したままプロダクト画面を見せながら説明する、というものだ。VidyardではPCやAndroid端末で特定ユーザー向けのスクリーンキャストを作成できる。URLリンクをメールすれば、実際にスクリーンキャストが対象顧客に見られたときにノーティフィケーションを受け取って「いかがでしたか?」と顧客とコミュニケーションを続けることができるというわけだ。

統合プラットフォームとしてのVidyardの強みは多くのデータが集まっていること。MailChimpを使ったことがある読者なら分かるだろうが、何曜日の何時にメールを送ると開封率が高いかだとか、業界ごとの平均開封率と比べて自社のメールの開封率は高いのか低いのかといった知見が得られる。Vidyardでは、どのタイミングで動画を出すべきかといったことも教えてくれるのだそうだ。CVRや最後まで動画を見た人の比率などが競合他社と比較できる。

Vidyardは現在アカウント登録数は約5万。LenovoやSalesforceといった大手企業のユーザーは約1000社で、顧客の平均単価は年額2万〜3万ドル。もっとも、中堅向けサービスは料金が安いが、中には年間約1億円の利用料をVidyardに支払っている顧客もいるという。ちなみにリット氏にエグジットについて聞いたところ現在はIPOを目指していて、ちゃんと高い利益がでてビジネスが回るプラットフォーム構築を目指しているのだそうだ。

動画制作「Viibar」が新たに4億円調達、日経との資本業務提携でメディア事業を本格化

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FacebookでもTwitterでも、料理動画やガジェットの紹介動画が流れてくるとついつい見てしまう。どのSNSもすでに動画に対応していて、多くのメディアや企業は動画コンテンツに関心を持っている。だが、テレビ局や制作会社でない会社が自社で高品質な動画を制作してマーケティングするのはそう簡単ではない。Viibar(ビーバー)は、その課題を解決するため、プロの動画クリエイターと企業とをつなぐクラウドソーシングサービスを提供している。

Viibarは本日、日経新聞社との資本業務提携を発表した。同時に日経新聞社、電通の100%子会社である電通デジタル・ホールディングス、そして既存投資家のグロービスから総額4億円の資金調達を実施した。

Viibarには審査を通過したプロクリエイターが登録している。企業は指名やコンペ形式で、自社のニーズに最適なクリエイターに動画制作を依頼できる仕組みだ。

Viibarは単に動画に特化したクラウドサービスというだけでなく、プロクリエイター向けの動画制作支援ツールも提供している。動画制作に関わるグループのスケジュール管理やチャット機能などがある。また、クリエイター同士が交流したり、プロジェクトを行うのに必要なスキルを持った他のクリエイターを募ったりする機能なども備えている。

現在3000名以上のプロの動画クリエイターがViibarに登録し、実写はもちろん、アニメやCG、ドローンを使った撮影やVR動画の制作にも対応できるとViibar代表取締役、上坂優太氏は話す。これまでに600社以上のデジタル動画マーケティングを手がけてきたという。

今回の資金調達では、クリエイターがより働きやすくするためのシステム開発を進めること、そして新たに立ち上げたメディア事業に投資していくと上坂氏は言う。Viibarはこれまでクラウドソースによる動画制作と動画マーケティングを主に手がけてきたが、今後はメディア向けの動画コンテンツ制作事業にも注力する。すでにViibarの社内チームは、ヤフーが手がけるエクササイズを紹介する動画メディア「Sporay(スポレー)」のディレクションを担っているという。

今回発表した日経新聞社との資本業務提携もメディア事業での提携だ。Viibarは日経新聞社が展開するライフスタイルメディア「NIKKEI STYLE」における動画コンテンツや動画広告の制作、そして動画コンテンツのマーケティングで協力していく。

2013年4月に創業したViibarにとって、シード投資をのぞくとこれが3回目の資金調達となる。2014年2月にはグロービスとグリーベンチャーズから3億円、そして2015年5月にはヤフー、グロービス、グリーベンチャーズから7億円を調達した。今回の調達を含めるとこれまでに総額14億円を調達した計算だ。

上坂氏はViibarで、クリエイターが適切な対価の仕事がマッチングできる世の中を実現していきたいと話す。オペレーションは機械に任せ、人がクリエイティブな仕事ができるような世界を目指している。

Instagramでもライブ動画配信が可能に、まずはアメリカでリリース

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Instagramは11月にライブ動画配信機能を発表した。これはユーザーが自身のフォロワーにリアルタイムで起きていることを撮影して配信できる機能だ。また、ユーザーはInstagramのアルゴリズムが選ぶ、今この瞬間に起きているライブ動画コンテンツを視聴することができる。数日内にまずはアメリカ全土でこの機能をリリースする。

ライブ動画機能はInstagram Stories内から利用できる。Storeisのカメラをスワイプし、トグルをタップするとライブモードになる。ライブ動画はInstagramやStoriesなどに保存されることはなく、ユーザーが実際に配信している最中しかフォロワーはその動画を視聴することができない。

それがInstagramの親会社Facebookを始め、他のサービスとの主な違いだ。そして、これは大きな違いである。ユーザーは後でまた視聴できる動画を撮影するのと、本当にその時しか見ることができない、今この瞬間に起きていることを撮影するのとでは接し方が変わるだろう。

しかし、そのためにフォロワーは動画を見逃しやすくなる。Instagramはライブ動画を見つける新たな方法も提供する。アメリカのユーザーには、Exploreタブに「トップライブ動画」が表示されるようになる。そこには現在配信中の優良コンテンツがいくつか表示するという。このコンテンツはInstagramのアルゴリズムが調整しているものだ。他の競合となるライブ動画プラットフォームと比べると、簡単にライブ動画を発見できて賢い機能だ。

先ほども伝えたように、この機能は数日内にアメリカ全土でリリース予定だ。ライブ配信をしたい、あるいはライブ動画を見たい人はInstagramのアップデートが到着しているかチェックしてみるといいだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

料理動画の分散型メディア「KURASHIRU」、運営元のdelyが約5億円の資金調達

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料理レシピの動画を配信する分散型メディア「KURASHIRU」を展開するdely。同社は11月28日、YJキャピタル、gumi ventures、ユナイテッドおよび個人投資家(フリークアウト取締役COOの佐藤裕介氏ともう1人)から合計約5億円の資金調達を実施した。資金はKURASHIRUのマーケティングおよび運営、開発メンバー増強に充てるとしている。

一時はスタッフが全員会社を去る事態に

delyの創業は2014年2月。当初はフードデリバリーサービスを展開していたが、2015年に入って、女性向けのキュレーションメディア運営に事業をピボットした。2016年初からは動画コンテンツに注力。料理や美容、ライフスタイルなどの領域で動画コンテンツを制作していたが、2016年春をめどに料理動画にコンテンツを集中。キュレーションメディア時代からの名称である「KURASHIRU」として、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアのほか、自社アプリで月間1000本ほどの動画コンテンツを配信している。ユーザーは24歳から35歳が中心。女性比率は92%だという。

メディア事業へのピボット時には、共同創業者を除く全員が会社を去るような状況にもなったというdelyだが、現在は約60人のスタッフが在席。そのうち約40人が料理動画の制作や編集に関わっている状況だという。「(調理している)スタッフはみんなユーザーから採用している。現状、自分たちの持っている媒体で募集をかけると100人ほど応募が来る状況」(dely代表取締役の堀江裕介氏)

Instagramと自社アプリが再生回数をけん引

delyは5月にシリーズAの資金調達と月間再生本数1億回という数字を発表している。この数字自体は、当時展開していた美容やライフスタイルなど別の領域の動画の本数も合算しているため、現在の月間再生本数はこれを下回るそうだが「数字は増えている。Facebookは数字が余り伸びていないが、Instagramは1本で14〜15万回再生されるなど数字が凄く伸びている」(堀江氏)

また、もともとは分散型で自社メディアを持たないことで起こるリスクを低減させようと始めた自社アプリのダウンロード、動画再生も好調だという。

アプリは現在(11月28日9時時点)App Storeの総合ランキングで9位。InstagramやAbemaTV、メルカリなどよりも上位にランクしている状況だ。「広告も出しているが、オーガニックでのダウンロードの割合が高い。僕らは超貧乏なスタートアップ。お金がないなら工夫するしかなかった。だからお金で買えない数字を伸ばそうと目指した結果が出てきた」(堀江氏)。例えばInstagramにアップした動画からアプリのダウンロードをどう促すかといった、細かなグロース施策が奏功しているのだという。アプリは今後1年で1000万ダウンロードを目指す。

動画ネイティブ広告も順調

クライアントの商品を使ったレシピを紹介するような動画ネイティブ広告の案件も増加しているという。「最初は確かに苦戦したし、不安だった。キュレーションメディア(のネイティブ広告)でも苦労したが、そもそも『このメディア(分散型の動画メディア)とは何だ』という説明からしなければいけなかった。そのため動画についての講演も各地でやってきた。だが競合(の分散型動画サービス)も含めて競って市場を広げてくれたおかげでマネタイズもそんなに困っておらず、黒字にしようと思えばできる状況。(1つの案件も)シーズンで数千万円、年間で億単位にもなる状況」(堀江氏)

ネイティブ動画広告において同社が重要視するのは再生完了率だ。堀江氏は一般的な分散型動画の動画広告の再生完了率が約3割なのに対して、KURASHIRUは5〜7割と高いと語る。「コスメやライフスタイル系の動画だとどうしても宣伝臭が出がちだが、料理だと普通のコンテンツと変わらない。僕らもPRのために以前には総再生回数を出していたが、再生数でなく再生完了数(が大事)。ポジショントークと思われるかも知れないが、言い続けないといけない」(堀江氏)。さらに、他ジャンルに比べてクリエイティブのチェックにかかる時間が少ないため、ディレクター1人単位で担当できる案件も増え、結果的に利益率の高さにも繋がるとも語った。

大きなビジョンと、それを裏打ちする成長があると語る堀江氏。だが競合を見てみれば動画領域では元LINE元代表取締役社長・森川亮氏のC Channelやグリー元取締役の吉田大成氏のエブリー、さらに料理領域ではお家騒動こそあれど月間6000万ユーザーを誇るクックパッドなど、ビッグネームが並んでいる状態。堀江氏は周辺環境についてこう語った。

「前回の事業(フードデリバリー)で失敗したことで完全に振り切れて、また今は事業が伸びたから色んな壁が見えてきた。競合がある種の『レジェンド』ばかりで、普通に戦ったら学生起業家(筆者注:堀江氏は創業当時学生だった)では勝てない。どう勝つかを考えたら僕自身が成長するしかない。経験では劣っているが他の面で勝負する。僕らのビジョンにあるのは『Make Future make history』という言葉。ナンバーワンじゃないと歴史に残らないので、今の状況は超おいしいチャンスでもある」

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dely代表取締役の堀江裕介氏

次世代を担う動画プラットフォームの5原則

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【編集部注】本記事はMichael SegalEthan Kurzweilによって共同執筆された。Michael Segalは、Bessemer Venture Partnersのシニア・アソシエイトとして、コンシューマービデオやSaaS、EC業界のアーリーステージにある企業への投資を行っている。さらに彼はこれまで、Skylight FrameやCurio Roadなどのコンシューマー製品を扱うスタートアップを共同設立してきた。もう一人の執筆者であるEthan Kurzweilは、Bessemer Venture Partnersのパートナーを務め、動画やコンシューマーテクノロジー、ディベロッパー向けプラットフォームへの投資を行っている。

動画がインターネットを支配しようとしている。現在インターネットトラフィックの約75%が動画に費やされており、アメリカ人は毎日1時間以上(2011年と比べると3倍以上)オンライン動画を視聴している。

YouTubeやNetflixといった大手プラットフォームがトラフィックの大部分を占めているが、そのほかにもたくさんの新しいプレイヤーが、オンライン動画の世界でチャンスを掴もうと競いあっている。Snapchat、Instagram、Facebookはこれまで写真中心のプラットフォームだったが、現在熱心に動画コンテンツを増やそうとしているほか、TwitchMusical.lyといった新しいタイプの動画プラットフォームが急激な成長を見せている。

私たちは投資家として、常に将来のチャンスに繋がるようなトレンドを探し求めている。動画コンテンツの需要が増加する中で、BessemerもTwitch、SmulePeriscopeといった素晴らしい企業に投資してきた。動画業界が成長し続ける限り、私たちも投資を続けていくつもりだ。そして次のチャンスがどこに転がっているか理解する上で、ある問いが浮かんでくる。斬新な動画プラットフォームに共通している原則とは一体何なのだろうか?

最近私たちは、この問い(その他の問いも併せて)の答えをみつけるに、オンライン動画界のリーダーが一堂に会する、Spotlight: Videoというイベントを開催した。そして彼らの見解や、新進気鋭の動画スタートアップとの会話を通じて、私たちはこの業界で成功する上で大切な5つの原則を割り出した。

このようなリストはどう頑張っても包括的にはなりえないし、どのルールにも例外はある一方で、動画というメディアの未来に関する議論に、私たちが貢献できることを嬉しく思っている。

もしもビジネスモデルがユーザー生成コンテンツ(UGC)に依存しているなら、動画作成は数分ではなく数秒で完了できるようにする

各スタートアップは、それぞれの方法で人を引き付け、何百万人もの消費者が動画を作って共有するようなプラットフォームを立ち上げようとしている。しかしそのほとんどは、たったひとつの理由で目標に到達できないでいる。その理由とは、人目を引くようなコンテンツを短時間で作るのは、とてつもなく難しいということだ。

たとえクリエイティブな表現ができるように膨大な数の機能が備わっていたとしても、平均的なユーザーが面白い動画を30秒以内(理想的にはもっと短時間)に作れないとすれば、そのプラットフォームは全く利用されない可能性が高い。何万種類におよぶアプリが消費者の注意をひこうと競い合う中、”タイムトゥーバリュー”(例:素晴らしいモノを生み出すのに必要な時間)を減らすことが何より重要なのだ。

例えばSnapchatであれば、簡単に録画・編集ができ、フィルターやメッセージを追加すれば、数秒と数タップで複雑なコンテンツをつくりだすことができる。以下の、DJ Khaledが海で迷ったときの動画がその好例だ。


Source: DJ Khaled/Snapchat

動画制作者は人目を気にしている

良いプラットフォームは、社会的な圧力を最小化して、動画制作のハードルを下げている。動画制作とはストレスのかかる困難なプロセスなのだ。そして誰もつまらない動画や恥ずかしい動画を作ろうとは思っていない。

TwitchやMusical.lyは上手く動画制作のハードルを下げている。ユーザーが尻込みしてしまうような黒い動画キャンバスの代わりに、彼らはユーザーに「好きなゲームで遊んでいる様子を録画してみよう」もしくは「好きな曲を口パクで歌ってみよう」といったシンプルなお題を与え、楽しくて共有しやすいコンテンツを簡単に作れるような環境を提供しているのだ。成功している動画プラットフォームは全て、人の目が気にならないような対策を立てている。

さらに、フィルターやステッカー、マスクといった楽しい機能を盛り込むことで、面白いコンテンツが簡単に作れるようになっている。他にも、撮影後に仕上げる必要のない”瞬間的”なコンテンツをやりとりするプラットフォームも存在する。

via GIPHY / Giphy Credit: Jimmy Fallon fallontonight.tumblr.com

全てのプラットフォームがUGCで成り立っているわけではない

もしもあなたのビジネスモデルが、パワークリエイター(動画制作に真剣に取り組んでいるユーザー)から成り立っているなら、彼らのためのプラットフォームを構築しなければいけない。前述の2原則はUGCプラットフォーム向けのもので、UGCモデルが成功するには、膨大な数のユーザーがコンテンツを制作し共有していることが前提となる。しかし全てのプラットフォームがこのモデルを採用しているわけではない。中には、少数のパワークリエイターが時間と労力をかけて作り上げたコンテンツを、残りのユーザーが視聴して楽しむという形式のプラットフォームも存在する。

パワークリエイターを中心に据えたプラットフォームを構築するための第一歩が、その目的を認識するということだ。もしもこのようなプラットフォームがUGCに手を出そうとしても、普通の消費者がプラットフォームを使いこなせず失敗に終わる可能性がある。

その次に、プラットフォームの立ち上げ時から、パワークリエイター集めに注力することも重要だ。そのためには、パワークリエイターが大規模なファン層を築き、管理し、ファンと交流できるような環境を与え、実際に彼らがそうするように促していかなければならない。著名なクリエイターは自分の好きなプラットフォームを選ぶことができる上、彼らはどのプラットフォームに力を入れるかということをよく考えている。そのため、新しいプラットフォームはこれまでにない方法で既存のファン層を取り込み、クリエイターがファンと直接交流できるような機会を与え、さらには新しいファンを獲得できるような環境を提供しなければならない。このような要素がなければ、大物クリエイターはわざわざリスクをとって、新しいプラットフォームを試そうとは思わないだろうし、彼らのコンテンツ無しではそのプラットフォームが成功をおさめることもないだろう。

その好例がVineだった。まず6秒間の動画を面白くするのはとても難しい。しかし、中には1600万人以上のフォロワーを持つKing Bachのようにそれをやってのけてしまう人も存在し、Vineはとても上手く、彼のようなパワークリエイターをプラットフォーム上に呼び込むことが出来た。

Video credit: King Bach, “The Blind Hitman” with Christian DelGrosso , Logan Paul and George Janko

水漏れしているバケツに水を足さない

新しいユーザーの獲得を目指す前に、ユーザーを留めておけるようなプラットフォームを構築しなければならない。上手く出来たバイラルな仕組みを利用して、一時的にはトラフィックが爆発的に増加するが、その数週間・数ヶ月後には、トラフィックが元通りまたは以前よりも減少するといった動きを見せるプラットフォームを、私たちは投資家としてこれまでにいくつも見てきた。このパターンの問題はシンプルで、彼らはそもそも長期的に見てユーザーを留める力のあるようなプラットフォームを築けておらず、単に成長エンジン(もしくは彼らを成長モードに突入させるようなサプライズの販促手段)のスイッチを入れているだけなのだ。

ユーザーが離れていくこと自体が本質的に悪いわけではない。主要プラットフォームの中には、たくさんの人が試して二度と戻ってこなかったものも存在する。しかし、主要プラットフォームが違うのは、彼らの定着率はすぐに落ち着つくということだ。少なくともユーザーの20%が長期間におよんで毎週もしくは毎月彼らのサービスを利用している一方、”水漏れバケツ”型のプラットフォームは、最初の数ヶ月で定着率が5%以下に落ち込むことが多い。

長期的な定着率への取り組みは、難しいばかりか時間もかかり、永遠に終わることがない。しかし、設立初日から定着率の向上に取り組んでいないプラットフォームは、突然消えてなくなってしまうこともある。彼らは素晴らしい成長率を残し、多額の資金調達さえ成し遂げてしまうかもしれないが、長い期間生きていくことはできないのだ。

Musical.lyが良い例で、同社はリップシンク(口パク)動画のための素晴らしいプラットフォームを作り上げた。もしもMusical.lyがそこで歩みを止めていたとすれば、同社の成功は一瞬だけのものだっただろう。その代わりに彼らは最初から定着率を気にかけ、毎日ユーザーが戻ってくるようにさまざまな機能をリリースすることで、一発屋候補から長く続くプラットフォームへと進化を遂げた。

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Video credit: @officialjoshprice on Musical.ly

動画プラットフォームの多くはもともとクリエイター向けのツールだった

長生きするプラットフォームは、短い期間で制作の場からコンテンツを提供する場やソーシャルネットワークへと変化していく。動画プラットフォームには、新しいタイプの動画を制作するための単なるツールとしてスタートするケースがよくある。成功するプラットフォームは、単なるツールではユーザーを定着させるには不十分だと理解し、すぐにこの段階を超えてコンテンツ発見システム、もしくはソーシャルグラフ(ときには両方とも)という新たな機能を担うようになる。

友人やインフルエンサーをフォローしたり、動画を作る気がしないときでも他の人が作った面白いコンテンツを視聴したりできるような仕組みは、ユーザーが動画プラットフォームを毎日、もしくはほぼ毎日利用するようになる上で欠かせない要素だ。

実際にコンテンツを効率的にみつける仕組みや、ソーシャルグラフの要素を新しいプラットフォームに盛り込むのは大変なプロセスだが、それを実現した企業は、インターネット上で最も価値あるプラットフォームの仲間入りを果たせる可能性が高い。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Amazonの新しいFire TV StickはAlexa対応デバイスとして最安

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Amazonは本日、Fire TV Stick(40ドル)の新しいバージョンを正式にリリースした。今回のバージョンでは、音声コントロール機能を備えたリモコンのおかげで、Alexaを使用することができる。目玉となるAlexaへの対応の他にも、アップデートの内容にはクアッドコアプロセッサや高速Wi-Fiの採用が含まれている。

Alexaが内蔵されたことで、今後はAmazonの動画コレクションに加えて、NetflixやHBO Now、Huluといったサードパーティープラットフォーム上でも音声検索が可能になり、アマゾンの動画を見ているときには声でその操作までできる。

スペック:

  • クアッドコアプロセッサー(従来のものより30%高速化)
  • 802.11ac Wi-Fi(前バージョンの802.11nから高速化)
  • 高効率ビデオコーディング(HDVC)規格への対応(高画質の動画を少ない通信量で再生可能)
  • VoiceViewスクリーンリーダーによるアクセシビリティの向上
  • 最高解像度1080p(フルHD)
  • 1GBメモリ
  • 8GB内蔵ストレージ

Echo以外のAlexa対応デバイス

新しいFire TV Stickでは、EchoスーピーカーのようにAlexaを利用して、ニュースやスポーツ情報、天気について尋ねたり、To-doリストの作成をお願いしたり、最近導入された機能を利用してUberで車を手配したり、自分のツイートを読み上げたりできるようになる。

これにより、Fire TV StickがAlexaを導入する上で最も安いオプションとなる。比較対照として、Amazonのスピーカーの中で最も安いEcho Dotは、Fire TV Stickよりも10ドルほど高い。

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そしてもちろん、AlexaのおかげでFire TV Stickのユーザーは、さまざまなマルチメディアコンテンツの検索やナビゲーションを簡単に行うことができる。さらにAlexaはAmazonビデオに加えて、NetflixやHulu、HBO Nowなどのサードパーティープラットフォームにも対応しており、Amazonによれば、Alexaの対応アプリ・チャンネル数は90以上におよぶ。

つまりユーザーは、Amazon上にはないお気に入りの番組の再生もAlexaにお願いすることができるのだ。さらに、「ラブコメ映画/番組を探して」と話かけてAlexaにオススメの動画を聞くこともできれば、ある俳優が出演している動画全てを検索するといったことも可能だ。

また、あるテレビ番組や映画が複数のアプリ上でみつかったときは、Fire TV Stickが「視聴する」、「借りる」、「購入する」など全ての視聴オプションを表示するようになっている。そのため既に契約しているサービスを使って無料で視聴できる番組を、誤って他のプラットフォーム上で購入してしまうのを防ぐことができる。

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これはAmazonの動きとしては興味深い。というのも、Fire TV Stickを消費者の間に広める中で、Amazonのプラットフォーム上にある動画の販売が、ひとつの大きな収益源となりえるからだ。しかしどうやらFire TV Stickは、Rokuのように、自社のプラットフォーム上のコンテンツを売り出す上で、オープンな(自社のプラットフォームだけにとらわれない)アプローチをとろうとしているようだ。

とは言っても、AlexaはAmazonのコンテンツでこそ力を発揮する。Amazonビデオの動画をストリーミングしているときに、ユーザーは音声コマンドを使って巻き戻しや早送り、再生、一時停止などの操作を行うことができる。

ほかにもAlexaは、PandoraやAmazon Music、iHeartRadioから音楽をストリーミングしたり、アプリを立ち上げたり、テレビシリーズを視聴しているときに次のエピソードに移動したりといった機能を備えている。

新たなユーザーインターフェース

Fire TV Stickのユーザーインターフェースも一新される予定で、Amazonは本日の発表の中でそのお披露目を行った。新しいインターフェースは、年末のOTAアップデートとして配信される予定で、Fire TVよりも先にFire TV Stickに導入されることになる。

このインターフェースで「もっと映画のようなエクスペリエンス」が提供され、ユーザーは予告動画やコンテンツのスクリーンショットを見られるほか、ユーザーごとのパーソナライズ機能も充実しているとAmazonは話す。

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その証拠に、現在AmazonはNetflixやHBOといったコンテンツを制作しているサードパーティのパートナーと協力し、ユーザーごとにパーソナライズされたオススメ動画の情報をAmazonのプラットフォームに引っ張ってきて、新しいインターフェース上でサービス別に表示しようとしている。

これまでほぼ全てのストリーミングサービスを何らかの形で利用したことがある者として、ユーザビリティの観点から、これは恐らく今回のアップデートの目玉になると考えている。Apple TVにはこのような機能は無く、ニュースフィードのような”Home Feed”としてオススメ情報のパーソナライズに取り組んでいるRokuでは、お気に入りの番組のアップデートが確認できるようになっている。

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しかしFire TV StickとFire TVでは、全てのサービスのオススメ情報が統合される予定だ。つまり、それぞれのアプリに紐づいた情報をひとつひとつのアプリを立ち上げて確認する必要がなく、Fire TVのホームスクリーン上に全ての情報が表示されるようになる。

さらにAmazonは、”数ヶ月のうちに”もっと多くのパートナーのオススメ動画欄をインターフェース上に加えていくと話している。

もちろんAmazon自身のコンテンツに関する宣伝は、他のプラットフォームのものに比べてサイズも大きく質も良いものになる。しかし、同社のプラットフォームをNetflixの最高クラスのインターフェースに近づけると共に、ひとつのサービスに縛られずにさまざまなコンテンツを表示する上で、この動きは正しい方向に向かっていると言える。

Alexaとの連携、新しいインターフェース、高速化、Fire TVの継続的なサードパーティアプリ(”ジェイルブレイク”アプリとして人気のKodiを含む)への対応や、価格を考慮して全体的に見ても、Fire TV Stickはとても魅力的な製品だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

写真をアートに変えるアプリPrismaから動画フィルターが登場

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写真のアートフィルターアプリPrismaはiOSアプリに新機能をつける。今日から、動画フィルター機能を展開する。

このアプリは、機械学習アルゴリズムを用いて、自撮り写真をアニメ風などに変換することができる。写真を多用なグラフィックアートに変換するこのアプリは、夏にローンチして以来バイラルに広がって、何千万というダウンロード数を達成した。早くも、彼らの後を追うクローンアプリが次々と誕生している。

アートなセルフィーを作る以外に、PrismaのiPhoneアプリでは、15秒以内の短い動画をアニメーションに変換することができるようになる。現在、9つのスタイルのフィルターが利用でき、フィルターを選択すると、アプリのAIアルゴリズムが1フレームずつ動画を変換していく。

退屈な家の廊下の動画も、数分でまるで動くコミックのようになる(この動画クリップに関しては)。

動画はアプリから撮影するか、カメラロール内の動画を選択することができる。Prismaの動画フィルターを利用するためにはiOS 10が必要だ。また、動画の長さや解像度、使用しているiPhoneモデルによってはフィルターをかけるのに1分以上かかる場合もあり、それを待つ忍耐力が求められる。

Androidユーザーはもうしばらく待たなくてはならない。Androidアプリの動画対応はこれからだ。

Androidアプリにはまず、オフラインで写真にフィルターをかける機能を追加すると、共同ファウンダーのAram Airapetyanは言う。「その後動画開発をします」という。「Androidは手強いのです」と付け足した。

iOSのPrismaアプリで動画にフィルターをかけるには、iPhone 6で約2分、iPhone 6sで55から60秒、iPhone 7で30秒ほどとAirapetyanは言う。ただ、私が試した動画は、彼の言う平均時間よりたいてい少し早く完成した。

全ての処理は、デバイスのローカルで行うので、モザイク調、ムンク調、漫画風アニメ調など、色々な動画リミックスを楽しむとiPhoneのハードウェアが多少熱を持つことになる。

今後iOSアプリには、GIF作成機能を搭載するとPrismaはいう。これは、動画をループ再生するもので近々公開するという。今月後半という話だ。

荒削りな部分も

iOS版におけるPrismaの動画フィルター機能は、現段階ではベータローンチだ。Airapetyanは、動画の品質を改善させたバージョンを展開すること、そして動画クリップを彩るアートフィルターの種類も直に増やすと話す。Prismaの写真で使用できるフィルターを動画でも利用できるようにし、それに加え新しいフィルターも追加する考えだそうだ。

動画フィルターを展開しているのは、もちろんPrismaだけではない。写真加工アプリのPicsArtを手がけるスタートアップは、Prismaより先に動画フィルターを出した(ただ、PicsArtの場合、動画フィルター機能は、彼らにとって2つめのスタンドアローンアプリとなるMagic Videoとして展開している)。

しかし、Airapetyanはライバルの施策は特に気にしていないという。「私たちのアプリはより早く、良い仕上がりです。現段階でローンチする動画フィルターはまだベータ版で、最終的な品質はもっと良くなります」とPrismaの動画フィルターはPicsArtとどのように対抗するかについて聞いた時、彼はそう答えた。

「また、数週間内に写真フィルターの品質も向上させる予定です」と彼は言う。

売り言葉に買い言葉だが、Prismaは最初にバイラルな広がりを獲得したものの、今は競合の機能展開に追いつかなければならない。

Prismaのベータ版の動画フィルターは、品質にまだ荒削りの部分もある。Magic Videoではより洗練された動画が期待できる。ただ、個人的にはたくさんの設定やレイヤーを選択するMagic VideoよりPrismaのシンプルなインターフェイスの方が好みだ(もちろん動画編集の選択肢やツールは多い方が良いと思う人は反対意見だろう)。

ローンチ前にPrsimaの動画フィルターを試してみたところ、いくつかの仕上がりはまだ多少荒く、Prismaの写真のアートフィルターに比べると一目で惹かれるような結果ではなかったように思う。動画もややチカチカする印象だ。

とはいえ、写真のアートフィルター同様、フィルターによって動画の仕上がりがかなり違うので、良い仕上がりになったフィルターもある。いくつか違うスタイルを試して遊んでみるといいのが見つかるだろう。

私の場合少なくとも1つは満足できたり、面白いと思えるフィルターを見つけることができ、動画加工を楽しめた。ただ、撮ったセルフィーにすぐにアートフィルターをかけてシェアする楽しさに比べると、一気にバイラルで広がる力は劣るかもしれない。

ここにいくつか作ったテスト動画を載せた。上から「Gold Fish」と「Scream」のフィルターを使用している。


音楽グループTweedはPrismaの技術を使って長い動画を制作している(ただ、アプリでは15秒できっかり処理が止まる仕様なので、今の段階でPrismaアプリから直接長編動画を加工することはできない)。

Prismaのアプリは動画でも写真でも、PicArtの2つのアプリが提供するような細かい設定はできない。しかし、私が思うにPrismaのシンプルさがバイラルな広がりを実現した要因であると思う。また、いくつか写真を加工するのに登録する必要もない。ただ、これも好みによるもので、もっとたくさんの機能を備えた写真加工アプリが欲しいのならPrismaは適していないと言えるだろう。

写真のフィルター効果に関しても、私はPrismaの仕上がりの方が好きだ。PicArtの仕上がりは少し派手になりすぎると感じているからだが、これもまた個人の好みによる。

Prismaは1つの機能に特化したアプリにも関わらず(あるいは、特化しているからこそ)、ダウンロード数を引続き増やすことに成功している。TechCrunchに対し、ローンチから3ヶ月で7000万ダウンロードを突破したという。

8月の時点では5500万超のダウンロードだった。Prismaは開発を継続するためにVCからの資金調達を行うのではないか、あるいはInstagramやSnapchatといったソーシャルプラットフォームが自社のコンテンツ制作人材を強化するために彼らを買収するのではないかという噂が早くも流れていた。

現時点までにPrismaはどちらも行っていない。その代わり、彼らはアプリで利用できるスポンサードフィルターでマネタイズを図っている。

現在、1つのスポンサードフィルター「Gett」をローンチしている。また、他のフィルターも今月には追加する予定だ。Prismaのチームは大型の資金調達を行なっている様子もない。

「調達しなくても大丈夫だと思っています」とAirapetyanは、資金調達は検討していないのかという単刀直入な質問に対して回答した。数千万ダウンロードを達成した新入りアプリは、自社のソーシャルプラットフォームを持っておらず、他のパクリアプリが彼らの牙城を狙っている。クールな機能を持つアプリが持続可能なビジネスに転換できるかはまだ分からない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

GoogleがTwitterを買収するなら、YouTubeと統合するのがベストだ

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最も早いタイプのSNSと最も遅いタイプのSNSを組み合わせたら、それはみんなが見るような、忘れらないSNSになるだろう。

YouTubeには短く、頻繁に更新されるコンテンツはないが、YouTubeの動画とそれに付随する視聴者は多額の利益をもたらす広告を惹きつけることができる。Twitterはグロースとマネタイズに苦戦しているが、それは地球の鼓動を体現し、無数のリアルタイムのコンテンツとエンゲージメントを生んでいる。

Kara Swisherが伝えところによると、買収額300億ドルという。この金額をGoogleが支払うことに意欲的なのなら、両者はきっと強力なチームになることができるだろう。

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YouTube’s new Twitter-esque Community tab

CNBCTwitterが売却を検討していると報道した。TechCrunchでもTwitterは他にVerizon、Salesforce、Microsoftと買収の話をしていると伝えた。また、Disneyも入札を検討しているようだ。

これらの買収先の中では、Googleが一番合っているようにみえる。GoogleはTwitterと連携しやすいプロダクトをいくつか所有している。それにGoogleはYouTubeを買収以後、成功するソーシャルネットワークを作れていない。そして、Googleは検索広告というありえないほど利益をもたらすビジネスを保有しているので、財務的に不安定なTwitterを支援することができるだろう。

GoogleはTwitterの買収で、大量のデータ入力を期待でき、世界の情報を整理するという目標に向かって前進することができる。GoogleのAIが、世界で何が起きていて、人々がそれにどのような反応をしているかの理解することの助けにもなるだろう。それに加え、GoogleのAdwordsやAdSenseで知り得た全てのデータを合わせることで、効率的なマネタイズも実現できるかもしれない。

しかし、最も良い戦略はYouTubeの散発的な動画コンテンツとTwitterの定常的なおしゃべりを組み合わせることだと私は思う。YouTubeとTwitterが深く連携することで、YouTubeチャンネルには洗練された動画と無加工のツイートが揃い、熱狂的なファンのためのワンストップサービスになることができる。それは、コンテンツ・クリエイターのチャンネルに視聴者が再訪する率を高めることが期待できる。

Googleはつい最近、YouTubeにTwitter風機能YouTube Communityを実装したばかりだ。これを本物と置き換えることができるだろう。

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YouTube Community はYouTubeのチャンネルのサイドバー/タブにあり、クリエイターがテキスト、写真、GIF、リンクなどを共有することができる機能だ。これにより、クリエイターは視聴者とさらに深い関係性を築くことができる。クリエイターが週に2、3回、新しい動画を投稿した時だけユーザーがサイトを訪れるのではなく、もっと頻繁にYouTubeへの来訪を促すことが目的だ。YouTubeのアルゴリズムによる提案を駆使すれば、そういった視聴者に他の動画や、ユーザーのお気に入りのスターの過去動画を紹介したりすることができるだろう。

これができればYouTubeは、Facebookと競争する力を補強できる。Facebookはユーザーが新しい動画を発見できる仕組みを組み込むことで多くの視聴者を得ている。ユーザーは友達の近況を知るためにニュースフィードを訪れるが、気がつくとランダムに流れる動画を視聴している。この環境では、ユーザーは特定の見たい動画があって視聴しているわけではないため、Facebookには高額な動画広告を差し込むチャンスが生まれる。YouTubeはこれまで、ユーザーが特定の動画を見たり、フォローするクリエイターの最新の動画クリップを見るために訪れるサービスとして発展してきたのだ。

一方Twitterは、YouTubeのメインストリームやティーネイジャーの観衆への露出があることで多大な恩恵を受けられるだろう。Twitterにサインアップする動機がまだいまいち理解できていない人もいる。公人でなく、ツイートだけで大きな観衆を作ることができないユーザーは特にそうだ。しかし、YouTubeに実装されるなら、ユーザーにスターや業界の聡明なリーダーなどをフォローしたり、返信したりできるようになる。自分自身でオリジナルのツイートをしなくとも楽しめるTwitterの隠れた良さを伝えることができるかもしれない。

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Googleが買収するならTwitterは、自分たちで直接マネタイズする圧力から解放されることにもなるだろう。Twitterの収益の伸び率は芳しくなく、急速に縮小している。Twitterが提供する「スポンサードツイート」などの広告商品は、ユーザーの目に止まりにくいという問題もある。

人々は、Twitterのタイムラインのツイートを全て細かくチェックしているのではなく、飛ばし読みしていることが多い。Twitterの広告は、Facebookの広告より飛ばされやすい。それはFaebookの投稿はアルゴリズムでソートされ、リアルな友達の投稿はじっくり読むことが多く、その合間に出てくる広告も視聴しやすい環境にあるからだ。Twitterの最も効果的な広告形態は動画で、YouTubeが提供する体験と広告主とのつながりは、Twitterの広告を促進させる力があるだろう。

いずれにしろTwitterは変わらなければならない。ただ、Twitterの売却で資金を得たい投資家は前向きではないかもしれない。株価はどんどん下がっている。決算発表がある度に、ユーザーグロースの問題が収益グロースの問題へと発展し、希望が失われているように感じられた。新たなマネジメントを迎え、クロスプロモーション施策に実績のあるGoogleのようなテクノロジー企業の後ろ盾があれば、Twitterはその翼を治すことができるかもしれない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

動画配信サービスで見たい映画を横断検索、ベルリン発のJustWatchが日本でもローンチ

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ここ数年でHuluやNetflixを始め、動画ストリーミングサービスが一気に普及した。視聴できるコンテンツは増えたが、見たいものがどこで見られるか分からないと思ったことはないだろうか。特に海外ドラマなど、1つのストリーミングサービスで、全シーズンを配信していないことも多い。どのシーズンをどの配信サービスで見られるか、全てのストリーミングサービスを横断的に検索できたら便利だろう。今回紹介するJustWatchはそのニーズを満たすサービスだ。ベルリン発のJustWatchは、現在17カ国でサービスを展開し、本日日本でもサービスをローンしたことを発表した。

JustWatchの特徴は、検索項目が充実している点だ。各動画配信サービスで公開している作品を公開年、ジャンル、評価などを指定して検索することができる。

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例えば、この画像では、検索ボタンで「NetflixとHuluで提供している映画で、アクションとドラマのジャンル」を指定して検索している。もちろん見たい映画が決まっているのなら、検索ボックスに映画のタイトル入力して探すことも可能だ。

現在、日本版JustWatchはNetflix、Hulu、dTV、U-NEXT、GYAO!、Amazonビデオ、Apple iTunes、Microsoft Store、Google Play、MUBIで提供しているコンテンツが検索対象だ。

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見たい作品の詳細結果には、その作品を配信しているサービスの一覧が表示される。各サービスのアイコンをクリックすると、そのサービスの視聴ページに飛べる仕組みだ。「視聴リストに追加」のボタンをクリックして、見たい作品を保存しておくこともできる。

特に見たい作品が決まっていない場合は、ページ上部にある項目から人気作品の一覧をチェックしたり、各サービスで最近公開された作品を「新作」のページからブラウズすることができる。

少し気になったのは、検索ボックスから検索できるのは映画名と番組名のみという点だ。私の場合、映画のタイトルを正確に覚えていないことも多い。検索ボックスから例えば、キーワードや監督名でも検索できればもっと便利かもしれない。またUIに関しては、時折ぎこちない日本語訳がある。ただ、総じて使い方は分りやすく、見たい映画を見つけたらすぐに動画配信サービスに飛んで、視聴を開始できるのは便利に感じた。

JustWatchは2014年10月にベルリンで創業している。JustWatchのCEO、David Croyé氏は映画やテレビ番組を見たいと思った時、各動画サービスの情報や劇場で上映中の映画の情報をばらばらに存在していることに気がついたのが創業のきっかけになったとTechCrunch Japanに話す。「JustWatchのミッションは、世界中の映画ファンと彼らの求めるコンテンツをつなげること」とCroyé氏は説明する。

JustWatchはウェブ版、iOSAndroidアプリを提供している。JustWatchは無料で利用でき、現在のユーザー数は1500万人ほどとCroyé氏は言う。JustWatchはユーザーには課金せず、映画配信企業向けに独自のアドテクツールを提供することでマネタイズしているという。JustWatchにはユーザーの映画の好みや購入行動といった情報が多く集まっているとCroyé氏は説明する。それを元に、主にYouTubeやFacebook上で、最適なユーザーに対し、最適なタイミングで映画の予告を配信する広告テクノロジーを開発しているのだそうだ。クライアントにはソニー・ピクチャーズ、パラマウント、ユニバーサル、フォックスなどを抱え、今月初めて黒字化を達成したという。

現在、JustWatchは30名のチームで運営している。最近、新しくロサンゼルスオフィスを立ち上げたばかりで、数ヶ月内にさらに人材採用を進め、50名体制まで拡大する予定とCroyé氏は話す。今後、ユーザーフィードバックを見て、検索対象のサービスの追加や機能開発を進めたいとCroyé氏は言う。

GIFをWebMに変換して共有するGfycatが1000万ドルのシード資金調達―ネット・ミーム拡散に最適

Gfycat (「ジフィーキャット」と発音)というスタートアップがなんと1000万ドルというシード資金を調達した。GfycatはすでにインターネットのGIF動画共有サイトとして大人気だが、巨額のシード資金を得ていよいよ収益化に向かうとみらる。

コンテンツの生成についていえば、250万人のユニーク・ユーザーが2500万のGfycats動画―つまり無音声でループを続ける短い動画クリップをこのサイトに投稿している。

月間アクティブ・ユーザー7500万がGfycatを訪問しており、再生回数は15億回に上るという。

ファウンダー、CEOのRichard Rabbatによれば、「われわれが再生するのは技術的な立場からいえばGIFではない。 ユーザーがこのサイトにGIF動画を投稿すると、われわれはWebMに変換して公開する。WebMはオリジナルのGIFよりはるかにサイズが小さく、読み込みも高速で共有も容易になる」と説明する。

「共同ファウンダー自身、熱心なGIF動画クリエーターだが、GIFは作成に手間がかかり、アップロードも難しく、共有して表示したときの画質にも満足できなかった。われわれはビデオのハイライト部分を簡単にアップロードして共有できるようにしたかった」とRabbatは説明する。

GfycatはすでにAlexaの全米トップ100サイトにランクインしている。ただし、まだ収入を得る仕組みを得ていない。メディアの連続起業家であるRabbatは2015年にDan McEleney、Jeff Harrisとともにこのサイトを開設した。

現在GfycatはAPIをデベロッパーに公開している。つまりデベロッパー(とそのユーザーは)自サイトからビデオやGIFファイルを Gfycatに直接アップロードして表示させるアプリを開発できる。【略】

Twitch.tvにいち早く投資したことで知られるAlsop Louie Partnersが今回のシード資金ラウンドをリードした。またPear VenturesYou and Mr Jones、スタンフォードのStartXファンドもラウンドに参加した。またこれ以外にGfycatへの個別の投資を行われている。【略】

ユーザー生成動画の共有分野は競争が激しく、Photoshop、Imgur、Giphy、CinemagramなどGfycatのライバルとなるプラットフォームややテクノロジー・ツールは無数に存在する。

しかしGfycatは主要なブラウザが標準でオンラインのGIF的フォーマットをサポートするのに合わせて絶妙のタイミングでWebM動画を共有するプラットフォームを公開した。

Rabbatによれば、 Gfycatでいちばん人気があり、何度も共有されるコンテンツはゲーム関係のクリップだという。つまりユーザーがハイスコアを記録した瞬間や、ゲームに関連したユーモアなどだ。また政治的メッセージの動画、動物のクリップも人気があるという。

画像: Gfycat

〔日本版〕 いちばん下のGfycatはサラリーマン風の男がポケモンGOに夢中になるあまり周囲に大迷惑をかけるというユーモア動画。WebMはGoogleが中心となって2011年頃から開発が始められたビデオフォーマット。GIFに比べてファイルサイズを最大10分の1程度に圧縮できるという。Wikipeidiaに簡単な解説がある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

Bitmovinは高品質ビデオストリーミングをアダプティブ・ストリーミング技術で可能にする

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世の人々が仮想現実(VR)ビデオの気違い染みた可能性、8Kレゾリューション、3D立体視やライトフィールド対応映像など、について話している端で、私ときたらスマホでLouis C.K.のビデオクリップをスムーズに再生しようと四苦八苦しているのだから、全く奇妙なものだ。

VRが成功するためには、企業はストリーミングの高品質化に伴なう様々な問題を解決していく必要があるだろう。

Bitmovinはアダプティブ・ストリーミングというテクノロジーを使い、こういった問題の幾つかを解決しようとしている。そのテクノロジーとは、ユーザーの使用している端末とインターネット接続様式に合わせて動的にビデオの品質を調節しようというものだ。同社によれば、そのテクノロジーを使えば動画のエンコーディングが100倍高速化し、現在市場に存在するどんなものよりも高品質のサービスを供給可能だと言う。

Bitmovinのテクノロジーの中心は、異なったVRのヘッドセット間で見られる光学的な性質の不一致に関連した問題を解決することだ。例えるならば、普通のHDディスプレーのついたスマホのVRヘッドセットにとんでもなく高精度の画像を配信することは意味がない。高度なVRテクノロジーが更に進歩するにつれ、このミスマッチの幅はどんどん広がって行くと考えられる。

「今年度はOculusを始めHTCやソニーなどのVRヘッドセット、更にはOrah、GiropticやNokiaのOzoなどからは360度カメラが次々と市場に投入されました」と、BitmovinのCEOであるStefan Ledererは言った。「どの様にビデオを制作し鑑賞するかという点で大きな変化が起こっているのです」

Bitmovinは競争相手に先んじてこのチャンスをものにしようと目論んでいる。同社はAtomicoのリードにより、シリーズAで1300万ドルを調達した。Ledererはこの資金を使い、Bitmovinのアダプティブ・ストリーミングをVRなどの新しいメディアに対応させるべく、その開発を加速させる予定だ。

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同社はすでに幾つかのVRのビッグネームに対してサービスの供給を開始しているが、現在同社が最も注力しているのはどちらかといえばより伝統的なビデオ配信ビジネスの方で、それは同社の設立者が極めて豊富な経験を持っている分野である。

Bitmovinの共同設立者はMPEG-DASHストリーミングのスタンダードを打ち立てた人物であり、それはNetflixやYouTubeなどの配信を支えており、アメリカのインターネット・トラフィックにおいてピーク時の50%にも達するものだ。BitmovinのHTML5プレーヤーは様々なプラットフォーム上でMPEG-DASHやHLSフォーマットのビデオを再生することができる。そのプラットフォームはデスクトップのウェブやスマホ、Smart TVやVRヘッドセットなど多岐に渡る。

「消費者はどこにいてもどんなデバイスにおいてもビデオに対し高い品質を期待するようになりました」と、Atomico社長のTeddie Wardiは言った。「消費者はビデオの再生が滞ったり画像が飛ぶといったことに対してますます敏感になってきていますが、Bitmovinはそういった問題を解決します」

[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)

動画プロフィールアプリ「Lifestage」はFacebookが放つティーン専用アプリ

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「もしも2004年当時のFacebookを2016年に持ってこられたなら?もしもプロフィールの内容がすべて動画で表示されたら?」と問うのは19歳にしてFacebookのプロダクトマネージャーを務める神童、Michael Saymanだ。

そしてその答えこそが8月19日にFacebookがローンチした独立型のiOSアプリ「Lifestage」(ライフステージ)だ。このアプリは21歳以下のユーザー向けで、幸せな顔、悲しい顔、好きなもの、嫌いなもの、親友、ダンスのスタイルなどを質問してくる。プロフィールの質問はテキストで入力する代わりに、動画で撮影する。Lifestageはアップロードされたビデオクリップを動画プロフィールの形にし、他のユーザーに公開する。

Lifestageのダウンロードは技術的にはだれでも可能だが、22歳以上のユーザーは自分のプロフィールしか表示できない。なぜならこのアプリはあくまでも高校生が自分のクラスメイトについてもっと良く知るために作られたからだ。迷惑行為などがあった場合には、画面をすばやくスワイプするだけでブロックや報告もできる仕様になっている。

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サインアップ時にFacebookアカウントは不要で、在籍する高校を選択すると同じ学校のほか、近隣の学校へ通う他のユーザーたちの動画プロフィールが表示される。人気の秘密は、 Lifestageには同じ学校に通うユーザーが20人集まらないと他の人のプロフィールを表示しない仕組みになっている。こうすることで友達にも参加するように口コミが拡がる。これらはすべて、Facebookが最初にローンチし、学校から学校へと広まっていった過程を模倣している。たしかに周りでだれも使っていないソーシャルアプリほどつまらないものはない。

Appストアのシンデレラ

Saymanは、一流大卒で30歳前後の典型的なプロダクトマージャーではない。彼はペルーとボリビア出身の両親のもと、マイアミで育った。13歳のとき、Googleで探したチュートリアルを見ながらプログラミングを独学した。最初に作ったプロダクトは「Club Penguin(クラブペンギン)」というゲームの攻略法を紹介するアプリで、これで月に何千ドルも稼いだ。この収入のおかげで自分たちの家が差し押さえになった後にも、不景気の中で家族をやしなうことができたという。彼の人生遍歴については、Carmel DeAmicが書いたSaymanとのインタビュー記事で詳しく触れられている。

 

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Michael Sayman(Facebookプロダクトマネージャー/Lifestageの生みの親)

Saymanの一大チャンスは、妹が友達と写真を送信しあって、その写真が表す言葉を電話越しに当てっこしている様子をまた聞きした時に降ってきた。これにインスピレーションを得て作ったのが「4Snaps」という写真ジェスチャーゲームのアプリだった。マーケターであるInstafluenceとのレベニューシェア提携のおかげで、4Snapsは単語ゲームチャートで第一位になり、数百万ユーザーを擁する人気アプリになった。

その頃までには、4SnapsはParse(Facebookが所有するモバイル向けバックエンドホスティングサービス)の無料利用枠を超える勢いになっていた。そこでSaymanは4Snapsの運営を続けられるよう、巨額のディスカウント交渉を持ちかけた。しかしマーク・ザッカーバーグは代わりにSaymanをFacebookに遊びに来るよう招いたうえで、同社のF8カンファレンスでの特別なプレゼンテーションを作ってくれるよう頼み、最終的にインターンにならないかともちかけた。

Saymanはこの2年を、ソーシャルネットワークについて学び尽くし、Lifestageのアイディアを思いついた。彼は「実世界で自分の周りにいるような人々の層が共感できるような、少なくとも自分の友人たちが使いたくなるようなアプリを作りたかった」と話す。そして今回、エンジニア3名と契約デザイナー1名で作り上げた新たなプロダクトがいよいよ提供開始を迎えることになった。

一人ひとりの人生にスポットライトを

Lifestageの構築にあたっては「Facebookの歩みを2004年時点まで遡りました。その当時、自分は小学2年生でしたけどね」と、Saymanが語ってくれた(若者よ、ありがとう。おかげで筆者は自分がすっかり老けたことを実感できたよ)。その当時はFacebookを立ち上げると、ニュースフィードではなく、ユーザー自身のプロフィールが表示された。Lifestageはそれと同様の動作をする。プロフィールに関連する質問がずらりと並び、動画で回答できるようになっているのだ。質問は答えれば答えるほど、次々に新しい入力項目が解除される仕組みになっている。

フィードには最近プロフィールをアップデートした同じ学校のユーザーが表示される。ユーザーをタップすると、当人によるプロフィール項目への答えを見ることができる。あるいはスワイプすれば別のセクションにスキップもできる。ちょっとしたゲーミフィケーションも盛り込まれていて、プロフィール内容を追加すればするほど上位にランクインするようになっている。その他にも最近アップデートのあったユーザーにはサングラスをかけたスマイリーの顔文字が、しばらくプロフィールの更新がないユーザーにはしかめっ面や、ひどいとウンチの絵文字が表示されるようにもなっている。

Lifestage Feed

Lifestageには、他のユーザーと直接コンタクトする手段は備わっていない。その理由についてSaymanは「私自身も友人と連絡を取る際、すでに世の中に出ているさまざまなメッセージングアプリを使っています。それで満足しているので、なぜさらに新しいものを作らなければならないのか、邪魔なだけじゃないのかと思ったんです」と説明する。なのでLifestageでは、ユーザーは名前の下に表示される「Reach Me」ボックスにSnapchatやInstagramのハンドル名を貼ったり、その他の連絡先情報を入力できるようになっている。

Facebookはティーン層がSnapchatへ流れていってしまうのではないかと懸念しているが、Lifestageならばそれを食い止めることができるかも知れない。SaymanにSnapchatについて尋ねたところ「非常にすばらしい競争相手だと思う。彼らは優れたプロダクトを作ったし、たとえば動画の領域をいかに進化させていったか等、学ぶべきことがいっぱいある」と答えた。とはいうものの、彼のアカウントはSnapchatよりもInstagram Storiesの方が投稿が多くなっていると話した。

Lifestageとしての心配は、これまでFacebookが独立型アプリでは成功例がなく、すでにPoke、Slingshot、 Paper、Notifyなどのアプリが提供終了になっていることだろう。Facebookとしては明らかに、LifestageでSnapchatを駆逐しようなどとは思っていないようで、Lifestageのプロモーションの一環として、Reach Meの文言にも「Snapchat me(スナチャはこっち)」とあるからだ。考えてみれば、FacebookがLifestageをローンチしたのもブログが一番読まれない金曜午後の時間帯だった。つまるところ、そもそも成功の兆しが薄そうな雰囲気を自ら漂わせているような気がしなくもない。

ただ、LifestageはFacebookにプロフィール機能を動画化で改善する方法について学びをもたらすかもしれない。マーク・ザッカーバーグも「動画をすべてのFacebookアプリとサービスの中核に据えたい」と話していた。FacebookはF8でプロフィール写真の動画化機能をローンチしたが、そちらの人気もまだまだのようだ。

Lifestageのアプローチは革新的だ。たとえば、お気に入りのペットは自分の飼い犬、音楽ならレディオヘッド、付き合っている相手はこの人、のように自分について書くのは簡単だ。しかし動画ならば「ありふれた文字の羅列」を超えた情報発信ができる。つまり、自分だけの「ストーリー」を語れるような、真にユニークな自己紹介が可能になるのだ。このアイディアを活用することで、Lifestageの対象ユーザーの年齢とほとんど同じ創業年数になったFacebookも、刷新を図ることができるかも知れない。

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(翻訳:Ayako Teranishi)

Yahooがテレビ番組視聴サイト「Yahoo View」をローンチ、Huluの動画を無料配信

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Yahooは今朝、コードカッター(訳注:ケーブルテレビからインターネットでのテレビ視聴に切り替えている人)向けに、新しいテレビ視聴サイトYahoo Viewをローンチした。このサイトではHuluの無料コンテンツを提供する。Yahoo Viewは、Huluの番組や映画を無料で視聴する方法の1つとなる。Huluは今回のYahooとのパートナーシップを締結する前から、有料サブスクリプションサービスを促進するために、無料バージョンを縮小する計画を立てていた。

YahooとHuluは、YahooがHuluのコンテンツの配信を請け負うなど、長期に渡るビジネス関係を築いてきた。今回の契約に関しては、半年ほど前から話し合われていたという。
[開示情報: 現在YahooとTechCrunchのどちらもVerizonが所有している]

YahooはHuluにとって「有力パートナー」であるものの、独占的な配信パートナーではない。HuluのコンテンツはComcastやPeople.com、EW、New York ManagizeなどHuluのプレイヤーを搭載するウェブサイトといった複数のソースから視聴可能だ。

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Yahoo Viewでは、ユーザーはABC、NBC、FOXなどのネットワークで配信されるお気に入りの番組の直近の5話分を視聴することができる。各回は放送日の8日後からYahoo Viewで視聴できるようになる。テレビ番組、アニメ、映画、韓国ドラマ、イギリスやラテンアメリカのコンテンツなど合計1000本以上が視聴でき、Huluでおなじみの動画クリップや舞台裏インタビューなどもある。

Yahoo Viewが興味深いのは、Yahooの名前がついたHuluを視聴するためだけのウェブポータルではないことだ。このサービスはYahooが所有するブログプラットフォームTumblrと紐付いている。このサイトは、オンラインでテレビ番組のファンが多く集う場所になっていて、ファンはブログを書いたり、動画クリップ、写真、GIFをリブログ(Tumblrの共有機能)したり、番組の公式ブログをフォローしたりしている。今回の連携で、ユーザーはYahoo View経由で好きな番組を視聴し、すぐにTumblrに飛び込むことができるようになる。

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またサイトには「Beyond the Episode」というセクションがあり、画面内の別枠で動画を再生するピクチャ・イン・ピクチャ機能がある。これで動画を視聴しながら、Tumblrも見ることができる。Yahoo Viewは番組公式Tumblr、ファンコミュニティーとユーザーをつなげ、そこでユーザーは画像を見たり、編集したり、GIFを楽しんだりすることができる。また、ネタバレを防ぐためにこのセクションはブロックすることもできるとYahooは伝える。

「素晴らしいサービスを構築する際にコミュニティーはとても強力です。YahooはTumblrでそれを知っています」とJess Leeは言う。彼女はファンション・スタートアップPolyvoreの共同ファウンダーで経営者だったが、Yahooに買収されたのを機にYahooに加わった。Leeは現在、Yahoo Viewを管轄しているライスタイルプロダクトのVPを務めている。これはMarissa Mayerの「MAVENS」戦略の一環で、その戦略の意図は「ネットワークにおける動画視聴を限りなく上昇させる」ことという。

Yahoo Viewはコードカッターを対象としているが、Yahooが他に配信しているテレビに似たコンテンツの全てがあるわけではない。例えば、Yahooは過去にNFLと試合をライブストリームする契約を取り付けたり、年に1度開催されるウォーレン・バフェットのBerkshire Hathawayをライブ配信している。しかし、これらのコンテンツはYahoo Viewには持ってこない。Yahoo SportsやYahoo Financeといったそれぞれにとって最適な場所で配信される。Yahoo Viewはテレビコンテンツだけを取り扱う。

Yahoo Viewに掲載されるHuluのコンテンツでは広告が表示され、両社はそれに関わる一般的なレベニューシェア契約を締結している。YahooはHuluの動画プレーヤーで独自の広告を掲載することはできないが、Yahoo Viewはウェブサイト自体に広告を掲載するなど他の方法でマネタイズすることができるだろう。

Huluは1200万人近い有料登録者向けの事業だけに集中するため、無料サービスは数週間後には廃止する予定だ。

Yahoo Viewは現在デスクトップから利用できるが、近いうちモバイル経由のウェブサイト、そしてiOSとAndroidのネイティブアプリでも利用できるようになる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Netflix、初のオリジナルVRコンテンツは番組Stranger Thingsが舞台のホラー作品

Netflixのオリジナル番組であるStranger Thingsを見たことがあっても、そうでなくても(もしないなら、この記事を読んだ後にすぐ見てほしい)、Google Cardboard、Gear VRといった360度VRヴューアでのこの動画の視聴体験を楽しめるだろう。NetflixがVRを試すのにStranger Thingsはもってこいのコンテンツだ。VRでその恐ろしくも雰囲気のある、番組の舞台となる古めかしい80年代の世界観に浸かることができる。

この360度のYouTube動画はほんの2分弱しかないが、視聴者は実際の番組に出てくる場面の少し変えたバージョンに入りこむことができる。番組の中でも特に緊張感のある場面だ。結末を見逃してしまわないよう、動画内の誘導に沿って動くことをおすすめする。

Netflixは、これまでVRコンテンツの制作に関して積極的に発表してこなかったが、この分野に注目していることは間違いない。今年2月、Netflixでプロダクトイノベーション部門のVPを務めるDavid Jaffeは、 Trusted Reviewsに対し、現在VRは「ゲーム領域で良い立ち位置にある」とし、同社も「物語を伝える領域においてどう発展するか」に関心を持っていると話していた。また、NetflixはGear VR用のアプリをローンチしているが、このコンテンツにはVRの要素はない。単に2DのNetflix動画を仮想空間で視聴できるというものだ。

「特定の番組のプロモーションのために、Google CardboardとVRを使ったのはこれが初めての試みです(360度動画を含まない)」とNetfixはTechCrunchに声明で伝えた。「Stranger Thingsは特有の雰囲気のあるシリーズで、視聴者がリッチな世界に没入する面白い方法を制作することの契機になりました。視聴者は物語のスリルとミステリーを体験することができ、シリーズを視聴する楽しみを提供します」。

このStranger Thingsの予告編はよくできたVRの実験であり、NetflixがどのようにVRを使ってストーリーを伝えるかを検討していることを示すものだ。この初期のステップが今後、長編のVR動画の制作につながるかどうかはもう少し時間が経ってみれば明らかとなるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

分散型料理動画メディア「もぐー」運営のスタートアウツ、億単位の資金調達

エブリーの「DELISH KITCHEN」、delyの「Kurashiru Food」、そして7月にローンチしたBuzzFeedの「Tasty Japan」など、この数カ月でなにかと話題を振りまいている分散型の料理動画メディア。今回もそんな分散型動画メディアを運営するスタートアップの資金調達発表のニュースだ。分散型動画メディア「もぐー」を運営するスタートアウツは7月29日、環境エネルギー投資、アドウェイズ、みずほキャピタル、山田進太郎氏(メルカリ代表取締役社長)、East Venturesを引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額や出資比率は非公開。ただし関係者によると、調達額は数億円規模と見られる。

バイラルメディアからのピボット

スタートアウツ代表取締役の板本拓也氏

スタートアウツ代表取締役の板本拓也氏

スタートアウツは2013年の設立。代表取締役の板本拓也氏は「中学生の頃から起業をしたいという思いがあった」と語る。大阪大学の学生だった2013年の春、Twitterを通じてEast Ventures(EV)パートナーの衛藤バタラ氏と交流したことを契機に、いよいよ起業することになる。

「そこから上京して、シェアハウスで生活しつつサービスの開発を始めました」(板本氏)

会社を設立したのは2013年3月。当時、East Venturesの出資先の多くは六本木一丁目のとあるビルに集まっていた。メルカリ、BASE、CAMPFIREなどなど。創業期の各社を横目に見つつ1人で開発を続けた。

いくつかサービスを立ち上げてはピボットしたが、2013年12月には動画のバイラルメディア「Whats」をローンチした。サービスを1年運営してユーザー数は伸びていたが、ビジネスとしての成功は難しい状況だった。次のプランを考える中でたどり着いたのが分散型の料理動画メディア、もぐーだった。

「もともと動画まわりのビジネスに興味があったんですが、Whatsではコンテンツを自社で持っていいなかったし、メディアのコンセプトも薄かった。これがはっきりしないとユーザーが付いて来ないことに気付いていませんでした」

「ただ個人的な思いとして、コンシューマー向けのサービスしかやりたくなかった。例えば人々の生活のベースになるようなもの。料理や食ならば、普通は1日3回接触する、『ジャンル自体』にファンの居る領域だと考えました」

ターゲットは主婦層、今後はリアルイベントも

スタートアウツでは現在、Facebookのほか、TwitterやInstagram、YouTubeでそれぞれ1日2本程度、プラットフォームごとに最適な長さに編集(例えばTwitterは尺短め、Facebookは長めだそう)した動画を配信している。動画で重視しているのは「動画を観るだけで料理が作れるかどうか」だという。「エンターテインメントとしてすごい動画もあります。でももぐーのターゲットは実際に料理を作る主婦です」(板本氏)

競合サービス同様、すでにクライアント企業とタイアップ動画の制作にも取り組んでいる。「価格設定は競合よりも安価。今はマネタイズのフェーズというよりは、付き合うクライアントを増やして、ニーズを聞く機会を作るフェーズ」(板本氏)。また競合差別化施策の一環として、料理教室を開催したりもしている。今後は動画制作だけでなく、こういったリアルイベントなども行っていく予定だ。

Google、動画ストリーミングとマネタイズのためのプラットフォームAnvatoを買収

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Googleは、動画と中継ビジネスのテクノロジー面を強化している。Googleは本日Anvatoを買収したことを発表した。Anvatoでは動画の暗号化、編集、パブリッシュが可能で、プラットフォームに捉われない動画配信プラットフォームを提供している。AnvatoはGoogleのCloud Platformチームに加入し、彼らのテクノロジーはGoogleの「スケール可能なメディア処理とワークフローをクラウドで実現する」ための助けになるとGoogleは伝える。

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Anvatoのテクノロジーを使い、NBCUniversal、MSNBC、CBS、Univision、HGTV、Bravo、Fox Sportsなどを含むカスタマーは、クラウドでライブストリームクラウド上での動画編集、広告の挿入や視聴ごとの課金、TV Everywhere(どこでも、いつでもテレビ視聴が可能なサービス形態)、サブスクリプション課金ができるようになる。Anvatoは動画配信からマネタイズまで一貫したサービスを提供している。Googleのプラットフォームでは今のところ提供していないサービスだ。

「OTT(インターネット経由の動画視聴)が急激に普及したことを受け、Cloud PlatformとAnvatoのチームは手を組み、メディアやエンターテイメント業界のビジネスが自社の動画インフラにおける取り組みをスケールさせ、高品質な動画配信、ライブ動画、オンデマンドコンテンツをどの端末を利用するコンシューマーにも届けるクラウドソリューションを構築します。スマホ、タブレット、インターネット接続テレビのどれにも対応します」とGoogleのシニア・プロダクト・マネージャーを務めるBelwadi Srikanthは本日の声明で伝える。

同様にAnvatoのチームもこの買収について、自社のテクノロジーと「Google Cloud Platformのスケールと力を組み合わせることで、OTTとモバイル動画に関して業界で最良のサービスを提供します」と伝えている。

Crunchbaseによると、Anvatoは2007年のローンチ以来、255万ドルを調達している。Googleはこの買収案件について買収額は開示していない。

この買収で、Googleは明らかに、メディア企業が自社のCloud Platformを利用する選択肢に含めるようにしたい考えであることが分かる。これまで、アニメショーンのレンダリングやプラットフォーム上で特殊効果を使用したい配信事業者以外に訴求できる要素が少なかった。

競合となるMicrosoftは、Azure Media Servicesで配信事業者にツールを一揃え提供している。一方でAmazonは、 メディア向けに特化したサービスを提供している。また、Anvatoのエンドツーエンドのソリューションに似たサービスを提供するElementalを所有している。ElementalはESPN、HBO、BBCといったカスタマーを抱えているし、AmazonはNetflixのサービスの大部分をホストしていることが知られている。

Googleは、次の数ヶ月内にAnvatoのツールの統合に関して発表していくという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Instagramは検索タブからユーザーにパーソナライズした動画を届ける機能を追加

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Instagramは、Snapchat Discoverに「Picked For You(あなたのための選りすぐり動画)」で対抗する。本日Instagramはユーザーが気に入っているトピックの最高の動画を見る新たな機能をローンチした。

「Picked for You」は検索タブにある。ここでは毎日、Instagramがそのユーザーが関心を持っているトピックの動画を20以上のチャンネルから選んで表示する。それらのチャンネルはスポーツ、ファッション、テクノロジーといったありきたりな分類ではない。Instaramは例えば、クッキー、特殊メイク、ソフトボール選手といった細い分類のチャンネルをローンチする。

Instagramのこの機能追加は、ユーザーのこれまでの視聴、ライク、コメントした動画の種類をもとに、ユーザーが興味を持っているニッチなトピックが何であるかを特定することに自信があることを示している。Instagramはここ6ヶ月でユーザーが動画を同社のプラットフォーム上で視聴する時間が150%増加したと伝えた。分析できる視聴データは大量にある。

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Instagramが検索タブに 「Videos You Might Like(ユーザーにオススメの動画)」チャンネルを追加して2ヶ月が経つ。しかし、それは今回ローンチされるような多様で細分化されたトピックではなく、全てのトピックやテーマからビュッフェのように異なる動画を取り揃えたものだ。ユーザーが見たいと思う動画も中にはあっただろうが、ユーザーは1つのジャンルの動画を視聴したいと思っていたとしても、そこには多様な動画が含まれていた。

この新たなキュレーションと最近搭載されたアルゴリズムに基づくフィードで、Instagramはユーザーが見落としたコンテンツを見つけ出して表示したい考えだ。現在5億人のユーザーがいて、プラットフォームには十分すぎる数の面白い動画が投稿されている。しかし問題は、どうやってそれを見つけるかだ。

完全にパーソナライズしたアルゴリズムフィードを構築するのは難しい。コンピューターが推理するような処理を大量にしたり、あるいは高くつく人間のキュレーターが必要だ。この機能は次の目標に向かう適切な足場となる。Instagramはアルゴリズムを使って、ユーザーが見たいチャンネルを特定し、最も人気の動画をそこに配置する。その後、人間のキュレーターがユーザーが気に入るだろう動画クリップをチャンネルに追加していく。

チャンネルは以下の通りだ。
不思議とスッキリする動画、チアリーダー、ダンサー、カリグラフィー、特殊メイク、コメディアン、美容師、ケーキデコレーション、陶芸、コミックブック・アーティスト、ピットブル犬、体操選手、ネイルアーティスト、髪の結び方、歌手、パン屋、メイクアップ法、バレエダンサー、トリックショット、アーティスト、ものづくりや職人、野球選手、スケボー選手だ。

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このアップデートはまずアメリカ国内で展開を始めるが、他の国にも「Picked For You」機能を近いうちに展開する計画だ。将来的に、広告が視聴者にとって有益なものであると保証できるようなら、「Picked For You」のチャネルのトピックと合致するマーケティング機能がつくこともあるかもしれない。

「Picked For You」が成功すれば、通常のフィード以上にInstagramに中毒性を持たせることができるだろう。SnapchatがDiscover機能で、友達の投稿にユーザーが飽きた時のために、他のコンテンツも届けようとしているのと同じだ。誰もこのチャンネル名のハッシュタグを検索して、スパムや品質の低いコンテンツを探し回ることはしたくないのだ。アルゴリズムと人の手で、Instagramに眠っている良いコンテンツを発掘することができるかもしれない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Twitter、最高1億5000万ドルでMagic Pony Technologyを買収―ニューラルネットワークで画質改善へ

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今日(米国時間6/20)、Twitterは機械学習能力を高めるための大型買収を発表した。

これはTwitterが配信するビデオや写真の画質を大きく改善する可能性がある。Twitterが買収するのはロンドンを本拠とするスタートアップ、Magic Pony Technology(この会社の名前は本当にマジック・ポニーという)で、同社は ニューラルネットワーク(人間の頭脳の働きを模したコンピューターシステム)を利用した映像処理の人工知能を開発している。

このテクノロジーは、たとえば、モバイル・デバイスのカメラで撮影された映像の画質を改善したり、仮想現実や拡張現実のアプリでリアルなグラフィックスを表示したりするのを助ける。

買収の条件は明らかにされていないが、われわれは2つの異なる情報源からTwitterは買収に最大1億5000万ドルを用意していると告げられた。この金額には人材引き止めのためのボーナスが含まえる。現在Magic Ponyの社員は共同ファウンダーのZehan WangとCEOのRob Bishopを含め11人前後だ。【略】

Magic Pony TechnologyはTwitterにとって。2014年のMadbits、2015年のWhetlab買収に続く3件目の機械学習スタートアップの買収となる。

このスタートアップはOctopus VenturesEntrepreneur FirstBaldertonから資金を調達しているが金額は明かされていない。以前Baldertonでベンチャキャピリストを務めていた人物は個人としても投資を行っている。

Magic Pony Technologyは、人間の視覚の働きと同様、類似の画像から元画像を補完して画質を改善する。実際、インターネットの有名なミームのひとつ、「マジック・ポニー」はMagic Pony Technologyの驚くべきテクノロジーから来ている(「信じられない。まるでマジック・ポニーみたいにうまくできている!)という伝説まである。

しかし同社は一般メディアへの露出は比較的少なく、ウェブサイトにも会社の目的や出願中の特許が簡単に記載されているだけだった(出願件数はおよそ20件で、買収後はTwitterが所有することになる。そのリストはこちら)。

買収後のプランについて共同ファウンダー、CEOのジャック・ドーシーは「機械学習はTwitterにおいても大きな要素となる」という一般論以上のことは明かしていない(ドーシーは新チームはTwitterのCortex〔機械学習エンジニアのグループ〕に加わることになると述べている)。

Magic Pony Technologyの投資者、Baldertonのパートナー1人、Suranga ChandratillakeはTechCrunchに対して「Twitterはビデオに本腰を入れている。Magic Pony買収はビデオがいかにTwitterにとって重要であるかを実証するものだ。ビデオこそ成長のカギだ。同社はTwitterの買収以前にVR、AR、さらに関連するテクノロジー分野ですでに興味ある重要な開発を行っている」と述べた。【略】

Steve O’Hearが取材に協力した。

〔日本版〕Magic Pony Techorologyについては2016年4月の紹介記事を参照。Devin Coldeway記者は「われわれは人間の顔がどのようなものであるかよく知っている。そこで荒い画像からでも顔の細部を補うことができる。Magic Ponyの人工知能は…この外挿法によって画像の細部(を補う)」と解説。

なお、インターネットのポピュラーなミームとなった「マジック・ポニー」はハズブロのアニメ、「マイリトルポニー」が起源とされる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+