パンデミック下で成長する多種多様なフェムテック企業、従業員への福利厚生としても注目が集まる

女性の健康とウェルネスを支える技術「フェムテック」。McKinsey & Companyによると、2021年のフェムテック領域の資金調達総額は、25億ドル(約2830億円)に到達し、過去最高を記録した。

The dawn of the FemTech revolutio Published by McKinsey & Company(2022/2/14)


女性の健康とウェルネスに特化したVCであるCoyote Venturesと、フェムテック領域の情報配信やスタートアップサポートを行うNPO団体であるFemtech Focusの予測によれば、フェムテック市場は2027年までに1兆1860億ドル(約138兆円)の市場規模にまで成長するという。

そんなフェムテック業界だが、その注目領域も変化している。Crunchbaseによると、過去5年間は妊娠と子育てがVCの資金調達の最大のシェアを占めていたが、2021年に最も投資を集めたのは、プライマリ・ケアや予防医療領域だった。不妊や更年期など、困った時に頼るフェムテックから、すべての女性が常に自分の健康を守るために必要不可欠な技術になりつつあることがわかる。

欧米での盛り上がりを受け、日本でも注目が集まる領域だが、今回は、パンデミック後も続くと予測されるフェムテック業界のトレンドと注目領域について解説する。

新型コロナの影響で広まった手軽にできる自宅検査・治療

パンデミックによって、病院に行きづらくなったことを受け、遠隔医療や自宅検査キットが注目を集めた。これまで当たり前に診察や検査のために病院に行っていた人々が、パンデミックによって自宅でもできるという便利さを経験した。安全に病院に行けるようになっても、人々がこの便利さを捨てるとは考えにくい。実際に、2021年のMcKinsey & Companyの調査によると、調査対象の消費者の約40%が、今後も遠隔医療を利用すると回答しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前の遠隔医療利用者の11%から上昇している。

膣内マイクロバイオーム検査キットEvvy

Evvyは、膣内のマイクロバイオームの状態を分析し、健康状態の把握とライフスタイル改善アドバイスなどを提供する。General Catalyst、Box Groupなどから500万ドル(約5億7000万円)を調達している。

筆者も2021年末実際に試してみた。下記のように、検査キットが送られてくる。採取は簡単で、インストラクションを見ながら3分程度で終わった。

画像クレジット:Evvy

箱には「The female body shouldn’t be a medical mystery(女性の身体は、医療で解明できないミステリーであるべきではない)」と記されており、現状研究段階ではあるものの、マイクロバイオーム分析を通して女性の不調を改善したいという気概が感じられた。

次に、オンラインで質問に回答する。生理サイクル、健康の悩み、感染症歴や今回の検査で知りたいことなどを回答する。10分ほどの割と長い質問票だった。


​​採取したサンプルを送付すると、2週間ほどで結果がメールで送られてくる。結果を解説してくれるマイクロバイオーム専門家とのビデオコールも追加コストなしでリクエストできる。ビデオコールでは、自分の悩みを伝え、結果を見ながら改善方法などを教えてくれた。結果を見てもどのように実生活に活用すれば良いのか、わかりにくかったので、マイクロバイオーム初心者の筆者からするとありがたかった。

ユーザーは、3カ月ごとの定期検査のサブスクリプションモデルと1回のみの検査キット購入が選べる。定期的に検査することで、自分の健康状態を見てみたかったので、筆者はサブスクリプションを選択した。

細菌性腟症などの感染症は、一度なると再発しやすい。実際、一部のユーザーは、膣内感染症の再発を防ぐためのヒントを求めてEvvyにたどり着く。また、早産、不妊の可能性や予防法をマイクロバイオームから知りたいというユーザーもいる。

筆者が最も注目しているのは、同社のビジョンだ。まだ研究段階のマイクロバイオームだが、同社は今後、膣内マイクロバイオームと不妊、子宮頸がん、早産などとの関連を調査し解明するというビジョンを持っている。マイクロバイオームから自分の身体の状態を把握するという未来がくるのかもしれない。

カップルの唾液から遺伝疾患リスクを解明する出生前唾液検査キット

画像クレジット:Orchid ウェブサイトより

Orchidは、パートナー両方の唾液サンプルを送付するだけで60億ものゲノムを解析し、子どもが遺伝性疾患を発症するリスクが高いかどうかを判定する唾液検査キットを提供している。2021年4月、シードラウンドで450万ドル(約5億3000万円)を調達。遺伝子キットを開発、販売する23 and Meの創業者も出資​​している。

対象となる遺伝性疾患は、乳がん・前立腺がん・心臓病・心房細動・脳卒中・1型糖尿病・2型糖尿病・炎症性腸疾患・統合失調症・アルツハイマー病の10種類。唾液を送ると、カップル向け、女性・男性の各パートナー向けの3種類のレポートが送付される。

子どもを作る前に、遺伝リスクを検査するというアプローチをとる同社。心配な結果が出たとしても、遺伝カウンセラーと、リスクを最小限に抑える方法などを相談できる。

2020年にシリーズDラウンドで1億2100万ドル(約143億円)の大型調達を発表したSema4も、出生前検査・遺伝性がん検査を手がける企業だ。同社は、2020年フェムテック領域の中で最大額を調達した企業だった。

テレヘルスユニコーンRoが買収、精子分析・保存キット

画像クレジット:Ro

フェムテックではないが、精子を自宅で採取し、分析結果を送ってくれるサービスを提供するDadiを紹介する。同社は、2022年3月にテレヘルスユニコーンのRoに買収されている。米国の国保健社会福祉省によると、不妊症の約3分の1は男性の不妊症に関連しているため、精液の分析と保存は重要な不妊治療サービスだ。自宅で精子を採取した後、採取キットと保存カプセルの両方が、温度変化や提携ラボへの輸送中の障害などから精子を保護・保存するように設計されている。サンプルの分析が完了すると、精子の数、濃度、運動性の評価を含む個人別の報告書が送付される。また、採取した精子は提携ラボで冷凍保存される。

Roは、コアビジネスである勃起不全治療テレヘルスプラットフォームから、テレヘルス全体へ事業拡大を進めるため、過去12カ月に3社(Workpath, Kit, Modern Fertility)を買収している。

成功の鍵は、丁寧なインストラクションと行動に落とし込める分析結果表示

ここまで自宅検査のスタートアップを解説してきた。筆者自身、自宅検査を複数試して感じたのは、自宅検査ビジネスをグロースさせる上で重要なのは「わかりやすい検査のインストラクション」と「ユーザーが行動に落とし込める分析結果を提示する」という点だ。家庭で正しく検査するためには、動画や簡単なイラストなどで、わかりやすいインストラクションが必要だ。

また、検査を受けて良かったと感じてもらうためには、明日からできる行動の変化を促す分析結果を提示することが重要だろう。自分の状態を把握するだけでは、一度きりの購入で終わってしまう。消費者は「xxのサプリを毎日飲む」「○○の栄養素を避ける」「有酸素運動を30分する」など改善のための方法を知りたいのだ。

この満足感が、安定的な収益を達成するためのサブスク顧客獲得に繋がる。現状、専門カウンセラーとのビデオコールを提供し、テスト結果を解説することでこの部分を補う企業が出てきている。専門家たちは、医学的・生物学的な専門知識がない一般消費者をガイドする役割を担っている。ここでの問題点は、スケールだ。ユーザー数が増えるごとに、専門家の数を増やさなければいけない状況では、スケールは難しい。技術を活用し、ある程度自動化をしながら満足度も担保するようなサービスが、今後伸びていくと考える。

人材獲得戦争時代、さらに重要視される企業の充実した福利厚生

米国では現在、労働者が大量に仕事を辞めている。この現象は、大規模離職を意味する「グレイト・レジグネーション(大退職時代)」と呼ばれ、メディアで頻繁に報道されている。​​Fortuneが2000人以上の米国人労働者を対象に行った調査によると、80%が新しい仕事に就くことを考える際に柔軟なスケジュールが重要であると回答している。また、約70%の労働者がリモートワークの選択肢を重要視している。優秀な人材プールを惹きつけるためには、働きやすい環境を作ることが必須だ。そのため、企業は、福利厚生にこれまで以上に投資している。

パンデミックで完全リモートを経験した労働者たちは、今後も働きやすさを求めている。この流れは、B to B to E(Employee)モデルと呼ばれるかたちで、企業向けに福利厚生としてのソリューションを提供するフェムテック企業にとって追い風となる。

働く親のための福利厚生プラットフォーム​​

画像クレジット:Cleoウェブサイトより

従業員は、Cleoを通して、育休からの復職時に悩みを相談できる専門家や、子どもの健康の専門家、助産師や産後うつ専門家などにアクセスできる。同社は、Pinterest、Uber、Upwork、Salesforceなどを含む、55カ国以上の100社を超える多様な企業に導入されている。​​実際、産休・育休後の復職率は、全米での平均が60%であるのに対し、Cleo会員は92%と改善している。

妊娠・出産のサポートから始まった同社のサービスだが、現在は、5歳から12歳の子どもを対象とするCleo Kids、ティーンエイジャーの子どもを対象とするCleo Teensにも拡大している。

多様なニーズに応える福利厚生の変化

画像クレジット:Carrot Fertilityウェブサイトより

これまで対面での不妊治療を中心に提供してきた福利厚生プロバイダーも、パンデミックを受け、そのサービス提供内容と方法をユーザーの求める形に変化させている。

企業の従業員向けに不妊治療を提供するCarrot Fertilityは、SlackやBox groupなど北米、アジア、ヨーロッパ、南米、中東の50カ国以上で、約200社の企業​​を顧客に抱える。これまで約135億円($115M)を調達している。同社は、パンデミックで通院を避けたい患者のニーズを受け、2020年8月に遠隔医療プラットフォームのCarrot at Homeを開始した。また、2021年12月には、自宅で排卵誘発ホルモンや関連バイオマーカーをモニタリングできる自宅検査キットの提供も開始している。2022年2月には、更年期障害向けのプランも追加した。

従業員それぞれのニーズが異なる点に注目し、福利厚生をパーソナライズできるプラットフォームも登場してきている。

画像クレジット:Nayyaウェブサイトより

2022年2月にシリーズCラウンドで5500万ドル(約64億円)を調達したNayyaは、企業の人事福利厚生システムに組み込んで、従業員のための福利厚生をパーソナライズするツールを提供している。

RPAを使って、従業員がプランをより良く選択し、節約する方法を見つけ、より良い支払いオプションを提供し、保険などの福利厚生を総合的にナビゲートできるようにしている。

画像クレジット:Forma

Formaは、​​裁量型福利厚生管理プラットフォームを提供している。同社も2022年2月、シリーズBラウンドで4000万ドル(約47億50000万円)を調達した。同社は、人事担当者が、従業員による福利厚生ベンダーの選定、払い戻し手続き、デジタルウォレットによるプラン利用をチェックできるようなシステムを構築している。

同社によると、企業の福利厚生は通常、企業が従業員に必要なものを決定するトップダウン・モデルで展開されており、これは雇用者と従業員の双方にとって非効率的だという。Formaの使命は、従業員ファーストの福利厚生プログラムを設計することによって、この関係を逆転させることだ。

Formaはプロバイダーと提携し、家族・人間関係、教育・キャリア、ウェルビーイング・ライフスタイル、基礎健康・保護、資産運用、仕事・パフォーマンスの6つの大きなカテゴリーで福利厚生を提供する。Formaの顧客は、社内の予算と戦略に基づいて、これらのカテゴリーから提供するものを選び、従業員に提供したい福利厚生プログラムを設計することができる。

Twitch、Stripe、Zoom、Lululemon、Palo Alto Networks、Squareなど、前年比330%の125社を顧客に抱えており、定着率は99%だという。この1年間で同社は収益を4倍に増やした。

優秀な人材を惹きつけ、繋ぎ止めるために、今後も企業の従業員への投資は、続いていくだろう。​​上記のパーソナライズ福利厚生が成功していることからも、従業員それぞれニーズが異なっており、企業がそのニーズに応えようとしている姿勢が感じられる。

編集部中:本稿の執筆者は大嶋紗季(Saki Oshima)。日本企業と海外スタートアップの新規事業創出を手がけるスクラムスタジオで、大企業とスタートアップのオープンイノベーションを支援するスタジオ事業部門に所属し、既存プログラムの運営や新規プログラムの立ち上げに従事する。各プログラムで培った日本企業とスタートアップをつなぐ経験を生かし、米国スタートアップ情報プラットフォームScrum Connect Onlineの立ち上げ、運営を担当する。欧米のフェムテックトレンドやサービスを日本語で配信。日本初のフェムテックコミュニティFemtech Community Japan創立メンバー。UCサンディエゴ大学院修了(MBA)。

 

【コラム】私たちのポートフォリオの50%が女性CEOの会社である理由

2022年を迎え、1つ確かなことがある。それは女性リーダーをともなう投資で数十億ドル(数千億円)の機会が熟していることだ。

私の会社、Astia(アスティア)だけで2021年に1103社、30億2400万ドル(約3490億円)を投資し、前年と比べて119%増加して「パイプライン問題」を巡る不満を解消している。しかし、過小評価されているファウンダー、中でも黒人女性ファウンダーに対するベンチャーキャピタル投資の憂鬱なデータは変わっていない。

2020年に女性が率いるスタートアップでベンチャー資金を受け取ったのはわずか2.3%で、その数字は黒人およびラテンアメリカ女性では0.64%に下がる。ベンチャーキャピタルにおけるこの不均衡は、起業家精神が生み出す富、雇用創出、そして技術革新の影響力から、根本的に有色人種女性を排除するものであり、構造的偏見を持続させている。

3年前、我々はそれを変えることを決意した。黒人女性率いる会社は当社のパイプラインに数多く存在し、投資を受けられない問題が彼らにとって唯一の問題であることに気づいたからだ。

ベンチャーキャピタルにとってのチャンスは、隠れた宝石を見つけることだ。クラスで最高のベンチャーキャピタルは、投資不足だが業績に優れ世界を変える可能性のある会社を探し求める。我々はそんな隠れた宝石を探す取り組みの中、1年前に同じことをしたつもりだったが、そんな宝石がすべて、我々の目の前にあることを発見した。

人種のことがなければ投資していたであろう会社がいくつもあったことを知って我々は深く失望したが、自分たちが完全な制御と力を持っているものを修正する機会を得たことを喜んだ。それは我々自身の投資判断だ。

このことは、当社が持っているデータを深く研究し、修正すべき行動を特定する取り組みにつながった。我々の投資活動における性別と人種の差別に関係することだからだ。それから3年、我々は投資パイロットプログラム、Astia Edge(アスティア・エッジ)を通じて見つかった重要課題の解決方法を実行してきた。結果は見てのとおりだ。

こうした自己反省と軌道修正の結果、現在、Astia Fundのポートフォリオの50%が黒人女性CEOであり、修正後にAstia Angel(アスティア・エンジェル)が拠出した資金の17%が黒人女性CEOのいる会社に投資されている。

ここに至る道のりには、多くの厳しい瞬間と内省があった。

当社の最新レポートでは、現在のベンチャーキャピタルモデルにおける人種平等に関わる重大な欠陥について、驚くべき考察がなされている。要約すれば、パイロット企業の契約は締結まで245日間を要したのに対し、Astiaの女性重視ポートフォリオでは161日だった。また、パイロットでは共同出資者を集めるために60件以上の外部紹介(Astiaのポートフォリオでは5件以下)と、擁護者として投資バイアスに直接対抗するために100時間以上の現場作業が必要だった。

より穏やかなデータも同じく失望させるものだった。このパイロットテストを通じて、黒人ファウンダー率いる企業が不均衡にAstiaを訪れ、シードラウンドや「友人と家族」ラウンドで投資された金額は少なかったが、限られた資金で大きな実績を上げている会社が少なくなかったことがわかった。この資金格差が、この国における貧富格差による系統的圧力によるものであると考えるのは普通だ。追い打ちをかけるように、投資家は起業家を「他に誰が投資したか」に基づいて評価し、本人の実績や気概や可能性を評価しない傾向がある。富へのアクセスもネットワークもない人々に対する偏見に根づく問題だ。

実際、我々投資コミュニティはこうした資金提供における人種格差の責任を負い、モデルと現状維持体質を再考しなければならない立場にある。データによると、黒人女性の17%が新しいビジネスを立ち上げようとしているのに対し、白人女性は10%、白人男性は15%だ。黒人女性ファウンダーは膨大な数が存在している。必要なのは彼女らを見つけ、公平に評価して投資することだけだ。

我々はこの現実認識する不快感を直に目撃してきたが、今は悪循環を断ち切る力を認識している。私たちはあらゆるベンチャーキャピタルに対して同じことをするよう求める。新しい年を迎え、今こそ新しいVC、ごく一部ではなく、すべての人々の利益のために働くVCが生まれる時だ。

編集部注:本稿の執筆者Sharon Vosmek(シャロン・ヴォスメク)氏はAstiaのCEOでAstia Fundのマネージングパートナー。

画像クレジット:Belitas / Getty Images

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(文:Sharon Vosmek、翻訳:Nob Takahashi / facebook

なぜ女性ファウンダーは資金獲得に苦労しているのか?

2021年、女性のみの設立チームが獲得下ベンチャーキャピタル資金は全体の2%以下で、最近5年間の最低だったとPitchBook(ピッチブック)の最新データが示した。2021年に女性のみの設立チームが獲得した絶対的金額は前年より83%多かったが、これは米国のスタートアップ全体がこの年に記録的金額を集めたからである可能性は高い。

しかし、その高まった潮はすべての船を持ち上げたわけではない。女性のみの設立チームが獲得した資金のシェアは2年連続で減少したことをPitchBookは示している。

では、一体なぜ、近年のスタートアップへの出資ブームにも関わらず、ベンチャーキャピタル業界は、女性が資金調達するのが困難な場所になっているのだろうか。

先週、ベンチャー投資家のDel Johnson(デル・ジョンソン)氏は、近年、ベンチャーキャピタル業界には女性が増えているにも関わらず、女性のみの設立チームだけが、資金調達プロセスで不利な状況にあるのは事実なのか、そうであればなぜなのかを語り合う場をTwitterスペースでホストした。

ジョンソン氏が紹介したある説は「男性の影の実力者たちが、自分たちの家父長支配的偏見を共有する女性VCを選んで資金を提供する傾向が強いために、そうした偏見をもたない多くの女性が排除されている」というものだったと同氏がTechCrunchに書面で伝えた。簡単に言えば、女性VCは、男性の仲間たちと同様に男性ファウンダーを好む傾向にある、ということだ。

議論に参加し、その後TechCrunchと話した連続起業家のGentry Lane(ジェントリー・レーン)氏も、ベンチャー業界は本質的に女性に対する偏見が強いと信じている。Zoom(ズーム)などのオンライン対話のおかげで、トップクラスのVCがこれまでになく接触しやすくなっているのに、女性ファウンダーの調達資金シェアが増えるのではなく減っていることを、他に説明できるだろうか? これは「染み付いた女性蔑視」だとレーン氏はいう。彼女はベンチャーキャピタルの支援を受けている国家安全保障ソフトウェア会社、ANOVA Intelligence(アノーバ・インテリジェンス)のCEO・ファウンダーだ。

Twitter Spacesでの会話で浮上した説は他にもあった。VCは過小評価されているファウンダーを支援するためのイベントを主催するほうが、実際に資金提供するよりも気が楽なのだと、何人かの参加者が指摘した。投資家は小切手を書く代わりに、いわゆる美徳シグナリングに携わっている、と不満をつのらせた起業家たちは観察する。

さらにレーン氏は、プレゼンテーションと売り込み資料を「通常の人間的会話」よりも重視するVCたちの変わらない性分が、そうした経験が少ない傾向にある過小評価されたファウンダーに対してネガティブな影響を与え続けている、と指摘する。

投資ステージによる部分もあると、参加者たちは主張した。2021年のベンチャー投資全体の増加は、後期ステージラウンドが押し上げたものだが、そのステージは男性ファウンダーが支配する傾向が強い

さまざまな憶測が飛び交う中、PitchBookレポートには明るい兆しもあった。何かといえば、PitchBookのデータは、女性ファウンダーが少なくとも1名いるVCが支援する企業は、回数で2021年の全ベンチャー投資の25%以上を占め、総投資金額の17.6%を獲得したことを示している。このカテゴリーの大部分は設立チームに男性と女性両方を含んでいる。

アクセラレータープログラムOn Deck(オン・デック)のShriya Nevatia(シュリア・ネバシア)氏は、PitchBookのデータを楽観する理由に挙げ、女性ファウンダーを1人以上含む案件が最近増加していることをツイートで指摘した。「これは50%にかなり近い、2008年が11.8%だったことを思えば相当な早さです」とネバシア氏は書いた。

さらに彼女は「私たちは『今』前進しているところです、みなさんこの調子でがんばりましょう」とツイートした。

画像クレジット:Ponomariova_Maria / Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【コラム】女性ファウンダーにとって資金調達は悲劇的に困難である

「資金調達は女性ファウンダーにとって悲劇的に困難であり、黒人女性ファウンダーにとってはいっそう困難だ」。

これは大胆かつ、批判的でさえある発言だ。(私のような)スタートアップを率いる女性にとって2022年がどうなるかを思案する議論のなかで私が発した。

デベロッパーツール分野でごく稀な黒人女性CEOの1人として、私はテック業界で起きている大きくて集団的な社会問題についてコメントを求められることがよくある。荷が重いことではあるが、こうした問題を提起することの意義を認識し、できるかぎり発言している。しかし、断固とした答えを言いたい気持ちの一方で、私は多くの疑問を抱えている。

技術革新 < 社会的発展

テクノロジーの世界では、次のデジタル製品に関わり、業界レベルの製品を形作ることでって先行者利益を得ることを誰もが切望している。これは、資金調達を目指しているときには特に重要だ。そして、私たちはデベロッパーツール分野で目覚ましい転換をいくつか目撃してきたが、VC支援による資金調達の状況を踏まえると、私は時として、テクノロジーの成長と我々が真に必要としている社会的発展とをまぜこぜにするリスクに晒されていることが心配になる。

偉大な女性デベロッパーファウンダーは何人もいる。Jeli(ジェリ)のNora Jones(ノラ・ジョーンズ)氏、Thistle Technologies(シスル・テクノロジーズ)のWindow Snyder(ウィンドウ・スナイダー)氏、Launch Darkly(ランチ・ダークリー)のEdith Harbaugh(イディス・ハーボー)氏などの名前が挙がる。すばらしい女性エンジェルやVCもいる。この人たちは私が業界のリーダーと目している女性たちであり、資金を求め、あるいは与えることの障壁を乗り越えながら、自分たちの信念を貫いてきた人たちだ。

開発ツールの分野で名を成そうとする女性たちの努力にも関わらず、現実はといえば開発ツールの世界は圧倒的に白人男性が支配している。その性別と人種の基準に当てはまらない我々が注意を引くために必要なエネルギーと時間は、往々にして持続可能ではない。

女性が成功するために戦わねばならない今の状況を認識し、公平な場を作る必要があり、そのためにはいくつか厳しい質問を投げかける必要がある。

真剣に受け止められるための戦い

私たちは、自分たちと同じような外見の人たちから資金調達できるようになりたい、違いますか?しかしながら女性投資家の多くは、彼女たちが支援したい女性ファウンダーと同じくらい、真剣に受け止めてもらうために戦っている。もし私たちがみな同じ社会的制約に直面し、自分たちの正当性を証明するために戦っているなら、おそらくリスクに対して同じ嫌悪感を持っているだろう。

このことは、女性投資家が、特に女性ファウンダーへの投資において、小さなリスクを選び、その結果同等の男性投資家よりも扱えるファンドが少なくなる、という悪循環を呼ぶ。

リミテッドパートナーは女性VCをもっと支援すべきであり、ファンドは男性に与えるのと同じ柔軟性と自由度を女性にも与えるべきだ。女性VCたちがパートナーへと昇進し、意味のある小切手を手早く書けるようになるべきだ。

私自身、社会的な力を得た女性エンジェルやVCたちが力を合わせて女性ファウンダーを支援した目覚ましい結果を目の当たりにしてきた。彼女たちが作りだしたコミュニティや姉妹愛的な感覚には、業界を変える潜在力がある。これこそ、我々がしっかりと掴み拡大していく必要があるものだ。

根深い心理的障壁を乗り越えるための戦い

今日、女性はファウンダーとしてもVCとしても、資金調達ラウンドを進めるプロセスで積極性が低いという根強い思い込みがある。女性ファウンダーの私は、同等の男性ファウンダーの方が多額の資金を早く確定させる能力があると言われてきた。女性の方がリスクを嫌い、プロセスを進めるのが遅く、要求が少ない、という意味だ。

では、何が女性たちをためらわせているのか?答えはおそらく最も明白なものに違いない。私たちは実際、資金調達プロセスの中で却下されるリスクがより大きい。さらに私たちは、概してVCコミュニティとのつながりが少なく、そこにある「VCのルール」(何をして、何を言い、どう振る舞うか)は複雑で直感に反するものが多い。良いコードを書くための明確なガイドラインのようなわけにはいかない。

数字との戦い

たとえば出資者候補が1000人いて、自分たちようなテクノロジーを提供している会社に焦点を当てているのはそのうち10%だけだったとする。さらに、自分たちのいるステージに投資するのはそのうち2%だけで、そのうち自分たちと同じ哲学をもっているのは5%にすぎない。そして、実際に話ができるはそのうちの何パーセントかにすぎない。さて、そういう議論に踏み入ろうとして、最終的には人が人に売り込むのだということを踏まえると、物足りないことの多い交渉に照準を合わせなくてはならない。

あなたは次の10年、自分のビジネスをこの投資家に託すことになる。つまり、あなたはよい数字を残そうとする一方で、同時にVCの履歴や性格や考えも理解しようとしている。以前はどのようにお金を出していたのか?相手の過去のビジネスに共感しながら、自分たちのビジネスが投資に値することを説得できるのか……30分以内に?

では、女性はどうやって資金を勝ち取れるのか?

シンプルな答えはこうだ。自分たちだけではできない。プロフェッショナルな努力がみなそうであるように、資金探しは社会のネットワークの力を利用することが理想だ。女性は生まれながらにしてベンチャーキャピタルの世界で成功するために必要なものをすべて身につけている、といえるならこんなによいことはないが、女性にはは基本的ネットワークや性別、人種の広がり以上の仲間と支援が必要だと私は信じる。

利害関係者全員が女性のために戦うゲームに参加して、有色人種の女性たちが遭遇する困難に焦点を当てる必要がある。働く女性ファウンダーと女性投資家たちの潜在的危険を生き残りのマインドセットで認識し、彼女たちが資金獲得の議論に参加し、強い力で会社を売り込むために必要なコーチングとガイダンスを提供するべきだ。

簡単にいえば、資金調達の両側にいる女性たちの能力と可能性を無条件で信じる必要がある。

そして、世界中のファウンダーと投資家に向けた私の最後の質問はこうだ。

私たちの戦いに加わる気持ちはありますか?。

編集部注:本稿の執筆者Shanea Leven(シャネー・レブン)氏は、デベロッパーを支援し、開発チームによるコードベースの理解を高めるためのデベロッパープラットフォームCodeSee(コードシー)の共同ファウンダー兼CEO。

画像クレジット:wakr10 / Getty Images

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(文:Shanea Leven、翻訳:Nob Takahashi / facebook

メンターシップを通じて女性が技術職として活躍できることを目指すTupu.io

Xata.ioの共同創業者でCEOのMonica Sarbu(モニカ・サルブ)氏は、ハイテク企業で15年以上の勤務経験がある。彼女が働いていた組織の中では、自分の道を切り開いてくれるメンターはいなかったが、女性や歴史的に過小評価されてきた人たちが自分の道を見つけるのに苦労している様子を目の当たりにしていた。彼女は、どうすればより多くの人がテック企業の中で成功するのを助けることができるかを考え始め、熟考の末、2020年に非営利のメンタリング会社「Tupu.io」(トゥプ・アイオー)をサイドプロジェクトとして創業した。

彼女は最初は本を書くことを考えたが、万能なアドバイスは存在せず、個人の状況に合わせたアドバイスを行わなければならないという結論に至った。彼女はいう「私は、人びとそれぞれのニーズに合ったカスタムソリューションを与えることができるメンターシッププログラムを作りたいと思いました。なぜなら大抵の場合人は問題が発生したときにメンターシップを受けに来るからです」。

このような問題は、たいてい2つのカテゴリーのどちらかに分類されるという。それは、社内の誰かとの間に具体的な問題がある場合か、キャリアに行き詰まりを感じて鬱になったりインポスター症候群に陥ったりしている場合だ。彼女はTupuのようなプログラムが助けになると感じている。

キャリアサイト「Zippia.com」(ジッピア・ドットコム)によると、エンジニア職枠に女性が採用されるのはわずか25%だという。つまり、平均して3:1の割合で女性は劣勢に立たされていることを意味しており、しばしばそれ以上の悪い状況にもなっている。それが意図的であるかどうかにかかわらず、敵対的な職場環境につながることもある。

彼女は「私たちには、技術系コンテンツ企業がより良くなり、より健全な環境を作るために助言できることがたくさんあります。もしそれを放置してしまうと、最終的には、人に技術系企業の一員であり続けたくないと感じるさせるようになってしまいます。それが会社の文化なのです」と語る。

彼女は自身のキャリアを通じて、最初は主に女性を対象としたカンファレンスで、その後はより一般的なイベントで講演を行い、男性がほとんどを占める組織の中で女性であることがどのようなものかを明確にしようとしてきた。彼女はその講演を通じて、ほとんどが男性の聴衆の場合でも、意識を高め共感を得ることができた。

サルブ氏は私に「私はまず、少しの間だけ(男性が多いハイテク企業で働く)女性の立場になって考えてみて欲しいとお願いしました。そして、それがどのようなものなのかのイメージを描き出しました」と語った。

彼女は、技術チームの中で数少ない女性であることがどのようなものかを理解していなかった男性から、多くの肯定的なフィードバックを受けとった。その時、もっと何かをしたいと思った彼女は、頭の中でTupuのアイデアを形にし始めたのだ。

彼女によれば、このようなプログラムの費用は、メンティー自身の負担になることが多く、そのため参加できる人は、彼女の経験上、最もニーズの少ない「有望」な社員に限られてしまいがちだという。彼女のアイデアは、最初は自分で資金を出し、一方企業から寄付を募ってプログラムを支援し、より多くのメンターを、必要としている人たちとマッチングさせ無料でメンタリングを行うというものだった。

彼女は「私たちの将来のモデルは、あらゆる規模のハイテク企業に入って行き、その従業員にメンターシップを提供することで、組織内の多様性をサポートすることです」という。「企業は、(現在起きがちな)最も「有望」な(会社の中で厚遇されている)社員を選んでメンターシッププログラムに登録することに傾くのではなく、メンティもメンターも全員がTupu.ioに登録するように勧めることができます」。

現在、このプログラムには、128人のメンターに対して57人のメンティーがいる。メンターは、ハイテク企業での勤務経験のある男女だ。彼女によると、このプラットフォームは、これまでほとんど宣伝や広告をせずに、これらのユーザーを集めることができたという。

本業がJamstack(ジャムスタック)環境用のサーバーレスデータベースを構築するスタートアップXata.io(ザタ・アイオー)の経営者であるサルブ氏は、参加企業からの寄付によってTupu.uoのサイトを自立させつつ、登録やメンターとメンティーのマッチングのプロセスをより自動化したいと考えていいる。同社はより自動化されたバージョンを作成中で、近日中に完成する予定だ。

画像クレジット:kieferpix/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

閉経を遅らせ、さらにはなくすことを目指すGametoに著名投資家が出資

多くの科学者や学者が毎年、人間の寿命を延ばし、その延びた年数を生きるに値するものにしようと、具体的に取り組んでいる。寿命を延ばす手段として癌の早期発見に注力しているチームもあれば、新陳代謝の向上に取り組んでいるチームもある。

小さいながらも成長中のグループが、人口の半分に影響を及ぼす閉経に取り組んでいる。閉経は、高血圧「悪玉」コレステロール、血中脂肪の一種である中性脂肪、さらに恐ろしいことに乳がんや心臓病、骨粗しょう症のリスクの増加など、さまざまな健康症状に関係している。

女性の健康と平等の軌道を変えるために卵巣の老化を加速させる問題を解決したいと語るGameto(ガメト)は、この問題に注力している最新の企業だ。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで医学を学び、キャリアの大半を計算医学に費やしてきた同社の共同創業者でCEOのDina Radenkovic(ディーナ・ラデンコヴィッチ)氏の説明によると、卵巣は、肝臓や脳、あるいは皮膚よりもはるかに早く機能停止し、どの臓器よりも5倍も早く老化する。女性は生まれながらにして一定数の卵母細胞(未熟な女性細胞で、後に完全に成熟した卵子細胞を生み出す)を持っているが、いずれこの卵母細胞を使い果たし、その時点で卵巣は臓器として機能しなくなり、女性の生理機能を司るホルモンの分泌も停止する。

Gametoは、卵巣治療のプラットフォームを開発することで、このプロセスを遅らせられる、あるいは女性が選択すれば永遠に遅らせられるようにしたいと考えている。このプラットフォームは、まずは不妊治療のプロセスを改善するために使われるが、最終的には、ラデンコヴィッチ氏が「医学的負担」と表現する閉経を防ぐための細胞治療法の特定にも使われることが期待されている。さらに詳しい説明を求めると、ラデンコヴィッチ氏は詳細に踏み込むのは避けながらも、Gametoがすでに卵巣をサポートする細胞が卵の成熟を助け、妊娠を望む多くの女性が現在耐えている体外受精の回数を減らすことができるかどうかのテストを始めている、と説明した。

「私たちのプラットフォームを信じるに足る強力な前臨床試験の証拠があります」とラデンコヴィッチ氏は話す。同社の会長は連続起業家のMartin Varsavsky(マーティン・ヴァルサヴスキー)氏で、同氏が興した最新の会社であるPrelude Fertility(プレリュード・ファーティリティ)は全米に不妊治療センターのネットワークを構築している。

著名な投資家もGametoに賭けている。同社はFuture Venturesがリードするラウンドで2000万ドル(約23億円)を調達したばかりで、共同創業者のMaryanna Saenko(メアリーアンナ・サエンコ)氏は「閉経を迎える女性のより良い治療スタンダードのビジョンにかなり興奮しています」と話す。閉経で起こる苦痛は生物学的に必須のものではなく、特に早期の閉経にともなう多くの合併症は、現在のホルモン補充療法で完全に避けることができる。ただし、サエンコ氏はホルモン補充療法について「鈍いハンマーで、パーソナリゼーションが欠けている」と指摘する。

その他の投資家はBold Capital Partners、Lux Capital、Plum Alley、TA Ventures、Overwater Ventures、Arch Venture Partnersの共同創業者Robert Nelsen(ロバート・ネルセン)氏、23andMeのCEOのAnne Wojcicki(アン・ウォジスキ)氏だ。

Gametoは2021年のシードラウンドで、Atomic(アトミック)の創業者Jack Abraham(ジャック・アブラハム)氏、SALT Fund、FJ Labs、Coatue Managementの創業者Dan Rose(ダン・ローズ)氏、CoinbaseのCEO、Brian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏などから300万ドル(約3億4000万円)を調達した。

確かに、市場機会は巨大であり、人々が長生きしていることを考えると、その理論は非常に理に適っている。実際、他のスタートアップも閉経を遅らせることに真っ向から注力し始めている。

すでにGametoは競合相手を抱えている。ここには、女性の卵巣予備能力の減少を遅らせる薬物プログラムを作成し、Gametoと同様に女性の内分泌機能と生殖機能を分離しようとしている創業12年のCelmatix(セルマティック)が含まれる。フォーチュンによると、Celmatixは過去にビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成を受けて非ホルモン性避妊薬に取り組み、2021年初めには製薬大手Bayer(バイエル)と医薬品開発会社Evotec(エボテック)との提携を発表している。

一方、研究者たちは少なくとも数年前から、閉経を治療可能な病気として扱うという問題を検討してきた。2019年の以前の論文はこちらで閲覧できる。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

女性が起こしたソフトウェア企業へのベンチャー投資は全体のわずか1.9%:Work-Benchレポート

アーリーステージのベンチャーキャピタルファームWork-Bench(ワークベンチ)が発表した新しいレポートによると、みなさんがすでにご存知の通り、女性が創業したスタートアップは、資金調達のパイ全体の中でほんのひと握りしか得られていない。しかも、Work-Benchが投資を行うことが多い企業では、その割合ははるかに悪いものとなっている。

PitchBookやCrunchbaseのデータ、そしてWork-Benchの調査によると、資金提供を受けているスタートアップの25%以上に少なくとも1人の女性創業者が含まれていたが、法人向けソフトウェア企業に限ってみると、その数は1.9%にまで激減する。

実は、この数字がほとんど意味をなさないことは、調査によって証明されている。報告書の著者は「女性が率いるチームは、男性が率いるチームに比べて、35%高い投資利益率を生み出すことが研究で示されている」と述べている。

しかし、格差はまだ続いている。

Work-Benchの共同創業者でゼネラルパートナーのJessica Lin(ジェシカ・リン)氏は、会社を設立した動機の1つとして、企業レベル、スタートアップの創業者、そして特に財布の紐を握っているVC企業において、女性の代表が根強く不足していることを挙げている。

Work-Benchはまず、女性創業者のデータベースを構築することから始めた。4年かけて作成し、定期的に更新している。このデータベースは一般公開されている。「行動を変えるにはデータも必要だと私はいつも言っています」とリン氏は筆者に語った。

今回のレポートは、そのデータを活用して、投資家に問題の深刻さを示し、時系列で進捗状況を追跡することを目的としている。その中でも同氏は特にWork-Benchが事業を展開している企業にフォーカスしたかった。というのも、その分野のデータが明らかに不足していたからだ。

「私たちが『レポートにまとめよう』と言ったのは今回が初めてです。ですから、1年後には2%以下だった数字が3%になっていることをお伝えしたいですね。しかし、どこかに基準を設けなければなりませんでした」とリン氏は話す。

数字は小さいが、資金提供を受けたスタートアップ企業に女性がより多く参加している分野がいくつかある。圧倒的に多いのは「HR/未来の仕事」で35.1%、次いで「データ/AI/機械学習」が19.8%「営業・マーケティング」が12.2%となっている。

画像クレジット:Work-Bench

女性はさまざまな課題に直面している。まず第一に、大手テック企業でリーダーシップを発揮する女性がまだ少ないことだ。より多くの女性がより高い給料の仕事に就けば、メンターとしての役割を果たすだけでなく、エンジェルラウンドに参加して、女性主導のスタートアップを増やすことができるかもしれない。

Idit Levine(アイディット・レヴィーン)氏は、クラウドネイティブソフトウェアを提供するスタートアップSolo.ioを経営している。同社は最近、10億ドル(約1133億円)の評価額で1億3500万ドル(約153億円)のシリーズC資金を獲得した。資金調達の際にレヴィーン氏が筆者に語ったように、同氏はテック業界の形骸化に不満を抱いている。

私は女性だからといって、このような割引をして欲しいと頼んだことはありません。実際、それが苛立たしいこともありました。あなたが女性だから、話をしたい。むかつきました。私が優秀だからこそ、私に話をしたいのです。

しかし、多くの女性にはレヴィーン氏のような自信はない。New StackはKubeConで行われた最近のパネルについて報じていて、パネルでは女性グループがクラウドネイティブテクノロジーの分野で過小評価されているグループとして直面する障壁について語った。パネリストの多くは、明らかにスキルや能力を持っているにもかかわらず、自分の居場所がないように感じてしまう「インポスター症候群」という、過小評価されているグループに共通する感情を明らかにした。

コロンビア州ボゴタにあるADL Digital LabsのSREテクニカルプログラムマネージャーであるYury Roa(ユリー・ロア)氏は、6月にTechCrunchに掲載された4人の女性エンジニアの体験談の中で、インポスター症候群が技術分野の女性にとって真の障害になり得ると語っている。

部屋の中で唯一の女性であることに関連する私たちの障壁の1つは、インポスター症候群(につながる可能性があること)です。なぜなら、同症候群は唯一の女性や少数の女性の1人であるとよくあることで、私たちにとっては本当に難しいことです。このような場合には、女性を含むロールモデルやリーダーシップを持つことが非常に重要になります。

関連記事:職場でのハラスメントと孤立感、不屈の精神について4人の女性エンジニアに聞く

Work-Benchは、システムにおける不公平さを示すデータを提供することで、大きなインパクトを与えようとしている小さな会社だ。リン氏がいうように、データは変化をもたらすものだが、この数字を動かすためには、本格的なシステムの変革が必要だ。そのためには、より多くの女性が幹部として昇進し、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルとして投資を行う必要がある。

そうして初めて、真の意味で針を動かすことができる。なぜなら、1.9%では十分ではないからだ。まったく十分ではない。

画像クレジット:Klaus Vedfelt / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

中南米の女性にデジタル口座を提供するチャレンジャーバンクJefaが2.2億円調達

フィテックスタートアップのJefa(ヘファ)は、中南米とカリブ諸国に住む女性向けに特別にデザインされた商品を構築するため、200万ドル(約2億2000万円)のシード資金を調達した。同社は11万5000人の女性をウェイティングリストに呼び込むことに成功し、2020年のTechCrunchのStartup Battlefieldにも参加した

Jefaの投資家には、The Venture Collective、DST Global、Foundation Capital、Amador Holdings、The Fund、FINCA Ventures、Rarebreed VC、Siesta Ventures、Springbank Collective、Bridge Partners、Hustle Fund、Foundation Capital、Latitude、J20などが含まれる。また、Daniel Bilbao(ダニエル・ビルバオ)氏、JP Duque(J・P・デュケ)氏、Ricardo Shaefar(リカルド・シェーファー)氏、Jean-Paul Orillac(ジャン-ポール・オリラック)氏、Allan Arguello(アラン・アルゲロ)氏など、複数のビジネスエンジェル投資家もラウンドに参加した。

今回の創業ラウンドに加えて、JefaはVisa(ビザ)と契約を結んだ。複数年の戦略的パートナーシップだ。JefaはVisaのリソースや製品を活用して決済製品などを作ることができるようになる。

「Visaは女性を力づけることを信じています」と、Visa中南米・カリブ地域のフィンテック・パートナーシップ担当シニアディレクターのSonia Michaca(ソニア・ミチャカ)氏は声明で述べた。「金融とデジタルインクルージョンは経済を変革します。毎日の家計支出の大半を管理する女性は、この変革の中核を担うべき存在ですが、従来の銀行では女性はサービスを十分に受けられていません。中南米・カリブ地域の女性主導のプラットフォームであり、この地域の女性の金融ニーズに明確に応えているJefaと提携できることをうれしく思います」。

Jefaのチームは、銀行があまりにも長い間、女性を軽視してきたと考えている。そもそもチャレンジャーバンクでさえ、ほとんどが男性顧客向けに設計されている。女性がチャレンジャーバンクで口座を開設できないというわけではない。しかし、女性にとって不親切な要件もある。

Jefa創業者でCEOのEmma Smith(エマ・スミス)氏は、TechCrunch Disruptに参加した際、ラテンアメリカで現在銀行口座を持っていない人の多くが女性である理由をいくつか挙げた。例えば、最低残高要件は、統計的に男性よりも収入が少ない女性にとってハードルとなっている。

Jefaが事業を開始すると、モバイルアプリから無料で銀行口座を開設できるようになる。銀行の支店に行く必要はない。数日後には、Visaデビットカードが送られてくる。サービスには貯金機能や報酬プログラムも組み込まれる。

Jefaはまずメキシコで製品を展開し、次にコロンビアと中米に広げる予定だ。一元的な銀行サービスからの脱却を試みるチャレンジャーバンクはJefaが初めてではない。例えば、子ども向け銀行(GreenlightStep)、気候変動に焦点を当てた顧客向けの銀行(Aspiration)など、専門性を持つ銀行を作ろうとしているスタートアップがいくつかある。そして今、Jefaが女性に特化した銀行を作っている。

画像クレジット:Jefa

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

生理用品自販機を革新する「SOS」が約3.9億円調達

SOS(エスオーエス)はすでに数多くの自販機を設置済みで、拠点であるボストンの各地に点在している。最近同社は340万ドル(約3億9000万円)の調達ラウンドを終え、トイレ内の健康・ウェルネス製品自動販売機の設置拡大を目指す。自動販売機のタッチスクリーンは、万が一身の回りの深刻な広告不足を心配している人たちのために「ビジュアルに富んだ広告マーケティングプラットフォーム」としても機能する。

最新ラウンドをリードしたのは、For Laterで、ボストン拠点の小売業インキュベーター、For Nowの投資部門(うまく名付けたものだ)。他にもShahid Khan(シャヒド・カーン)氏ファミリー、Zoe Cruz(ゾーイ・クルーズ)氏、NFLニューイングランド・ペイトリオッツの元プレイヤーでありJerod Mayo(ジェロッド・)メイヨ氏、Hero Cosmetics(ヒーロー・コスメティクス)のJu Rhyu(ジュ・リュー)氏ら、著名なエンジェル投資家が名を連ねる。

SOSの自販機は、フェンウェイ・パーク、プルデンシャル・センター、ボストン小児病院、State Street Corporation(ステート・ストリート信託銀行)本社、などボストン周辺の数多くの施設に設置されている他、フロリダ州サンライズのFLAライブ・アリーナにもある。

「当社の販売機は、パニックの瞬間を自信とチャンスの瞬間に変えます」とSOSのファウンダーで共同CEOのRobina Verbeek(ロビーナ・バービーク)氏はいう。「利便性には、並外れた製品と高水準の購買体験がともなうべきだと私たちは信じています。『早くて簡単』は『手抜きの安物』であってはありません。女性の健康に関しては特に。誰もがもっと良い生活を享受すべきです」。

創業チームで会社の共同CEOを務めるのは、Susanna Twarog(スザンナ・トゥワログ)氏とRobin Verbeek(ロビーナ・バービーク)氏の女性2人。金融サービス会社のState Streetで出会い、故障と品切れというタンポン販売機の長期的問題を力を合わせて解決に乗り出した。

SOSの自動販売機(画像クレジット:SOS)

最初のバージョンのマシンを作ったのは2017年で、2020年に初めて現場に自販機を設置した。会社のミッションは、頼りにならない醜くて古い金属の箱を「パーソナルケアと美容に不可欠な一流ブランドの製品を届ける」機械とサービスで置き換えることだ。同社は、市場に足場を固めるまでの間、保有する5つのデザイン特許がライバルの追随を許さないことを願っている。

「SOSと協力して、当社のスタッフとファン、そして南フロリダ住民のウェルネスとパーソナルケアに貢献できることをうれしく思います」と、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)フロリダ・パンサーズの最高商務責任者(CCO)、Shawn Thornton(ショーン・ソーントン)氏は言った。「SOSの高度な自動販売機が、FLAライブ・アリーナでコンサートや試合やイベントを楽しみながら、ウェルネス製品をいつでも手に入れられる安心感をお客様に与えることを願っています」。

次の搬入では、フロリダ・パンサーズの本拠地、サンライズのFLAライブ・アリーナに35台、コーラルスプリングスのアイススケートリンク、パンサーズ・アイスデンに5台のSOSマシンを設置する。今後は、ニューヨーク、フロリダ、カリフォルニアをはじめとする全米各都市への拡大を目指している。

画像クレジット:SOS

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テック系の職を目指す女性にトレーニングやメンターを提供するEdTechスタートアップEntity Academyが約113億円を調達

近年、女性がテクノロジーの世界に大きく進出してきたが、雇用者数、報酬、そしてプロダクト開発において、真に公平な状況に到達するまでにはまだ長い道のりがある。Entity Academyは、女性にデータデサイエンス、ソフトウェア開発などの領域のトレーニングやメンタリングを提供し、最終的にはジョブコーチングを目指すEdTechスタートアップだ。同社は、事業の堅調な成長を背景に、その比率を高めようという野心を抱き、1億ドル(約113億円)を調達した。

この資金は、Entity Academyの授業料(通常1万5000ドル[約169万円])を受講者が調達することへの支援に充てられる。同資金の出資者で自身もスタートアップであるLeif(レイフ)は、EdTechプラットフォームに金融サービスを提供し、学生たちが所得分配契約(ISA、学生が就職するまで学費ローンを返済する必要がない制度)を利用できる機会を創出している。

Entityの創業者でCEOのJennifer Schwab(ジェニファー・シュワブ)氏は、2016年以降、外部からの資金調達を事実上行わずに事業を構築してきた。しかし今回の資金調達で、VCの主導による同社初の、より伝統的な株式投資ラウンドの先駆けを得たと同氏は語る。

Entityはeラーニングコンテンツ自体を制作するのではなく、Springboard(スプリングボード)やLambda School(ラムダ・スクール)、Columbia University(コロンビア大学)などのプロバイダーから提供されるデータサイエンス、ソフトウェア開発、フィンテックエンジニアリング、テクノロジーセールスのオンラインコースを、24~33週の「ブートキャンプ」スタイルのコースに集約している。(大学からのコースは機関が作成したものがそのまま提示される傾向にあるが、他のコースはEntity自身が受講者に合わせてカスタマイズしている)。

Entityのテクノロジーへの関わりは、同社のカリキュラムがテクノロジーにフォーカスしていることに留まらない。EdTechスタートアップから想像されるように、Entityもまた、戦略とビジネスを構築するために収集されるデータに大きく基礎を置く。

このデータは、過去や現在の受講生からのフィードバックや受講生の成果だけではなく、他のチャネルにも基づいている。同社の「コンテンツ部門」のEntity Mag(エンティティ・マグ)は、かなり興味深いことにソーシャルメディア上で急速に拡散し、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)で110万人を超えるフォロワーを獲得しており、エンゲージメント(将来の学生も含まれるだろう)に向けた別の切り口の主要チャネルとなっている。

Entityはこれらすべてを使って、提供するコースやカリキュラムの内容、またその学習を補完する最良の方法についてキュレートする。Entityのコースには現在、テック業界で働く人々による対象を絞ったメンタリングや、求職に向けたキャリアコーチングも含まれている。

Entityのスイートスポットは枝分かれしている、とシュワブ氏はインタビューで語っている。

その分岐要素は、新規の女性(典型的には19~23歳)と、新しいキャリアに再挑戦するかキャリアを再考する女性(典型的には30~39歳)である。どちらのカテゴリーの女性も、テック系の仕事や、より技術的なプロモーションを考えたいが、そのための専門知識が不足していることを認識し、Entityを訪れている。その多くは大学で人文科学やその他の非技術系科目を学んでおり、概して、技術的な役割への扉を開くための文字通りの再訓練を提供するような職場環境でのサポートを得られていない。

加えて、これらの女性の多様性の組み合わせも存在し、そのコホートに異なる種類の課題を提起しているが、課題に取り組む手助けをするEntityにとってはそれが大きな推進力にもなっている。19~23歳のグループの約55%は有色人種の女性であり、30~39歳では62%を占める。Entityは「ラップアラウンド(包み込み)」戦略と同社が表現するように、このような女性たちすべてに対して、テック系の仕事に就く上でのそれぞれの課題に対処するツールを提供することを目指している。

「受講生の多くは、過去にSTEMプログラムを追求したことがないと思います」とシュワブ氏は述べ「そのため、私たちは一からスキルセットを構築しています」と続けた。

受講生の約80%が授業料を支払うために何らかの融資を受けており、Entityがそのための手段を強化している背景がうかがえる。

2016年以降、ほぼすべてが女性である400人余りの受講生が同社のコースを修了している。しかし、当初はかなり短期間のプログラム(6週間)として開始され、すべて対面式で費用は5000ドル(約56万円)であった。現在では8カ月間のコースが多数存在し、すべてがバーチャルとなっており、費用も人数も増大している。シュワブ氏によると、さらに300人が同社のコースを受講中で、来年は1500人になる見込みだという。

Entityの成長は、EdTechの拡大、そして「Future of Work(未来の働き方)」のトレンドと密接に結びついている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、eラーニング業界に思いもよらない、大きな苦労をともなう期待を生じさせた。教育者はリモートでのかつてない需要に突如として直面し、それを支援するためのツールを各企業が構築してきた。この需要は、従来の学習環境のバーチャル化の必要性のみならず、パンデミックのために多くの人々が自ら進んで、あるいはやむを得ず、自分たちの生活で何をすべきかを再考するようになったことにもよるものだ。オンライン教育は、他にほとんど何もできないときに何かをするための重要な手段の1つになっている。

Entity自身のストーリーは、これらのストーリーラインの両方に適合する。

同社は、シュワブ氏が自身のキャリアの初期にErnst & Young(アーンスト・アンド・ヤング)でアドバイザーを務めていたときの経験をもとに、ロサンゼルスで設立された。

「私の当初の目標は、女性のキャリアに対する考え方をグローバルに変革することでした。Ernst & Youngに入社した当時は女性のメンターがいなかったことから、女性をより良くメンターする方法について考えるようになったことが原動力となりました」とシュワブ氏は回想する。同氏は「(馴染みのある場所とは違う)島にいるような感じ」はそれ自体は良くないことだとしながらも、それは(同氏のキャリア上経験のなかった)教育と職業斡旋に向けての漸次的な進化であり、メンタリングと並行して行われたのは「女性がテック系の仕事に就かない理由を(別の理由として)特定した」からだと言い添えた。

2016年に同社がそのコンセプトを最初に具現化したのは、ロサンゼルスの1920年築の建物に設置された実店舗型の学習センターとしてであった。それは説得力を持つセールスだった。学習期間が短く、対面式であるため、完了率は96%で、終了時にはコホートの90%以上に仕事がもたらされた。「個人としての直接的なアカウンタビリティははるかに大きなものがあります」とシュワブ氏は語っている。

パンデミックは、当然ながらEntityをそのモデルから引き離したが、同時に規模拡大のレバーにもなった。2020年にラスベガスの新本社からバーチャルプログラムとして再スタートした際には、受講者数が増加し、コース期間が延長された他、より長期の契約を反映して授業料も増大した。

その一方で、完了率が低下するというマイナス面も生じており、同社が改善に取り組むべき優先事項の1つであるとシュワブ氏は述べている。

同社のプログラムのメンターは、バーチャル化によって拡大した事業の別の側面だ。当初、メンターは全員無給のボランティアで、より多くの女性が業界で優位に立てるように手助けしたいと思っていたか、より便宜的に学生との接触を雇用のための資金源として利用していた。この点についても、オンラインのエンゲージメントとともに進化している。

「今ではメンターに報酬を支払い、プロのモデレーターを雇って、メンター主導のディスカッションを一定のペースで進めています」とシュワブ氏。講演者は奨学金や保育料を寄付することが多いという。受講生グループ向けの講義にフォーカスしているメンターや、通例的には受講生が学ぶ技術的科目に関連している個別対応に従事するメンターなど、現在Entityのネットワークには約250人のメンターが在籍している。シュワブ氏によると、この数字は来年には500人に倍増することが見込まれている。

同社が学びを提供する領域への求職の側面については、おそらくこれまでのところあまり発展していないのだろう。Entityのウェブサイトの下部には、Entity Academyは伝統的な教育に取って代わるものではなく、補完的なものであるという注意書きとともに「仕事の斡旋を保証するものではない」と小さな文字で書かれている。

しかしながら、オポチュニティのポテンシャルもそこには感じられる。その意味では、The Mom Project(ザ・マム・プロジェクト)のように、雇用市場における女性の大きな格差だけではなく、それに対処するための仕組みがあまり整っていないという事実に焦点を当て、明確に女性層をターゲットにするオポチュニティに目を向けている企業もある。ありがたいことに、状況は変わりつつあるようだ。

画像クレジット:AleksandarNakic / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

再利用可能な生理用ナプキン「LastPad」で使い捨てナプキンを廃止へ

消費者と直接的なつながりを持つオンライン販売により、近年、多くの女性関連スタートアップ(主流の定番製品よりもデザインや配慮の面で行き届いた女性衛生用品を販売していることが多い)が市場に製品を出しやすくなっている。

女性衛生用品の主流マーケットにおいてはイノベーションが欠如しており、スタートアップが力を発揮するための余地が生まれている。最近の例としては、 Thinx(生理用の吸収性パンティ)やFlex(ディスク型をしたタンポン代替品で、セックスをする際に装着する)といった企業が挙げられる。あるいは、生理痛も同時にケアしてくれるCBDタンポンを作っているDayeもこれに含まれるだろう。

そうはいっても、このカテゴリーでは、新しい製品が浸透し主流マーケットの状況に影響を及ぼすほど十分な量のイノベーションは起こっていない。店の棚で見かける主力製品は残念な気持ちになるほど見慣れた、使い捨てナプキンとタンポンである。ときにそれらがオーガニックコットンで作られていたり、控えめながらちょっと気の利いたデザインであったりすることはあるにしてもだ。

ガーディアン誌が最近報告したように、製品群の中で見られる最も顕著な変化は、おそらく生理用パンティだろう。これは近年主流店でも販売されるようになり、英国などの市場でよく売れているようだ。

平均的な薬局で、使い捨てではない商品で目にする可能性が最も高いのは月経カップだ。使用者が非常に限られているものの、これは特に新しいものではない。しかし、近年では、もともとの使用者以外からも関心が集まるようになった。これは、消費者が月経に対処するのに、従来の使い捨てナプキンではなく、他のものも試してみようという柔軟な態度を持っていることを示している。

フリーブリーディング運動(近年、やや広く取り上げられるようになった古い運動)も、少なくとも部分的には、主流の生理製品の質の悪さに対する抗議活動と見ることができる。

これらすべてが、発売間近のこの製品をかなり興味深いものにしている。再利用可能(使い捨てではない)な生理用ナプキン、LastPadを見ていこう。

画像クレジット:LastPad

まず最初に目につくのは、ナプキンの色が黒であることだろう。これは通常の貼り付け式のナプキンとは明らかに異なる点だ。LastPadを開発した企業によると、見た目や雰囲気については、高級ランジェリーメーカー(社名は明らかにされていない)と共同で開発を進めたという。

舞台裏での最も大きな変化は、このナプキンが繰り返し使用ができるようデザインされているということだ。そのため、各LastPadには、使用後折りたたんで(そして洗濯機に入れるまで)しまっておけるさまざまな色の布製ポーチがついてくる。ナプキンは洗濯機で洗うときにもポーチ中に入れたままでよいので、洗濯機から取り出して乾かすまでは、なにかする必要はない。

LastPadは、デンマークのデザイナー兼起業家であるIsabel Aagaard(イザベル・アガード)氏の発案によるものだ。同氏の会社 LastObject は、ここ3年ほど、使い捨ての衛生用品や美容製品の無駄をなくすため、綿棒やティッシュ*といった美々しいとは言えないが実用的な製品について、再利用可能な代替品のデザインを行ってきた。

LastObjectは、美容、衛生、旅行関連製品で、今までに合計で約150万個の製品を売り上げた。しかしLastPadは、同社にとって、本当の意味で女性関連製品の範疇に入る初めての製品である。

再利用可能(洗濯可能)な生理用ナプキンの登場は、再利用可能なシリコン製の綿棒やコットン製ティッシュ、化粧用パフを作るのと比べて、明らかに大きな技術的前進である。装着可能で、直接肌につける製品で、さらに生理にともなう変化しやすい厄介な性質に対応でき、繰り返しの使用に耐えうる衛生用品をデザインするのは、大変なことだからである。

これは、快適で信頼できるものでなければならないのだ(多くの使い捨てナプキンはそうではないため)。

そのため、アガード氏によると、同社はLastPadのデザインとプロトタイプ作成に2年間をかけて取り組んできたということだが、これはそれほど驚くべきことではない。そして、ついに市場への投入準備が整い、2022年2月に初期支援者に向け、出荷することを目標としてKickstarterでLastPadが公開された

アガード氏は「LastPadのプレキャンペーンでは、すばらしい手応えを得ています」とし、予想している需要の大きさについて語った。「これは当社にとって6回目のクラウドファンディングキャンペーンですが、大変好調です。ですから、私が考えていたよりも需要は大きいと思います。この製品は、初めての女性のみを対象とした製品ですし、男性が多数を占めるプラットフォームであるKickstarterで公開すべきか大変迷いましたが、結果は上々です」。

「当社がこの製品の開発を始めたのは2年前であり、長い期間を費やしてきました。これは、この製品を本当に革新的なものにしたかったためでもあります。現在は市場に手作りのものやDIYの要素を取り入れたナプキンがたくさんあります。当社は、そうした中でも、特別に革新的で、また使い捨て製品の利点がふんだんに盛り込まれた再利用可能ナプキンを作りたいと考えました」。

画像クレジット:LastPad

LastPadは3層からなっている。一番上の層は布製で、経血をすばやく真ん中の層に通過させて肌をドライな状態に保つ。真ん中の層は吸水性のある竹からできており、一番下の層は液体がもれないようTPU素材でできている。

「一番上の層は非常に細かく織られた素材で、臭いが消えるよう少し銀が含まれています。また小さなファネルも組み込まれているので経血がすばやく真ん中の層に吸収されます。濡れた感じがすると気持ち悪いため、これは非常に重要です。このナプキンはすばやく経血を吸収します。真ん中の層は100%竹からできています。竹の吸水性はすばらしく、例えば、コットンより40%吸水性に優れています。また抗菌性もあります。そして一番下の層はTPU(熱可塑性ポリウレタン)でできていて、これが漏れを防ぎます。これはビニール袋のようなものと違って快適な素材で、経血がもれないようにするためのものです」。とアガード氏は述べた。

使い捨てナプキンの場合、粘着性のある層を利用してパンティに固定するようになっているが、LastPadでは、洗濯をするという前提があるため、別の方法を取る必要があった。そのため、ナプキンの両脇に羽がついていて、パンティの股に当たる部分をこの羽根で包んで、柔らかいマジックテープで留めるようになっている。

それだけではない。ナプキンの裏側には粘着性のある細いシリコンストリップがはりめぐらされていて、ナフキンがずれるのを防いでくれる。アガード氏によると、このシリコンストリップは繰り返し洗濯しても大丈夫とのことだ(もっとも、しばらく使わないとホコリのせいで一時的に粘着性が落ちるが、濡れることですぐに元に戻る)。

「本当に大きな違いを生み出せた部分は、ナプキンの裏側です。そこにはマジックテープ付きの羽がついているのですが、このマジックテープは非常に柔らかくて、 自転車に乗っている場合でもまったく気になりまさえん。自転車に乗っても大丈夫かは大きなテストのようなものでした。またナプキンの裏側と下部に粘着性のあるシリコンストリップが付いているので、パンティの中でずれません」。

常識的に考えれば、たった1つのLastPadで生理期間を乗り切るのは無理である。洗って乾かす必要があるからである。使い捨てナプキンをLastPadに完全に置き換えようとするなら、また常に清潔なナプキンを交換用に使えるようにしておくためには複数のLastPadをセットで用意する必要がある。

しかしLastObjectの考えは、靴下やパンティを幾揃いかもっているのと同じように、洗濯をする日まで新しいものが使えるようLastPadsを幾揃いか持つということである。

LastPadsには、経血の量に応じ、サイズと厚みが異なる3種類の製品が用意されている。従って使用者は、パンティライナー、日中用、そして多量の経血に対応しなければならない夜間用など、幅広いタイプのLastPadを所有することもできる。

画像クレジット:LastPad

「開発は私が思ったほど簡単ではありませんでした。それは例えば、水と比較した場合の血液の粘土などを理解する必要があるからです。また、経血は、単なる血液とも違います。さまざまな問題があるのです。LastPadは、これらすべてを考慮した製品になっています」。とアガード氏はTechCrunchに語った。

「私たちは長い時間をかけてテストを重ねてきました。それこそがこの製品の中核です。他のLastObject製品の多くも、制作し、確認し、それを使ってみるというプロセスを経ます。しかし、LastPadについてはシリコンを取り入れたものになるまでに非常に多くの時間を費やしました。そのため、この製品は割高にもなっています。LastPadはここのオフィスですばやく縫い、テストすることができたので…そこで、私たちは常にテストを実施してきました。着用してみてどんな感じか? 異なる周期を持つ、それもさまざまな種類のパンティを着用しているさまざまな女性にテスト中の製品を届けて使用してもらうのです。テストには 本当に力を入れました」。

LastPadは3つで約60ドル(約6600円)なので、1つ20ドル(約2200円)ほどである。使い捨てナプキン1つと比べるともちろんかなり高い。しかしLastObjectは、セットを用意しているので、消費者がより多くのナプキンを購入すれば、ナプキン1つあたりのコストは少し下がる計算になる。

アガード氏によると、この製品は少なくとも240回の洗濯に耐えられる。つまり少なくとも2、3年は使用可能で、そうすることで、何百もの使い捨てナプキンが消費されるのを防ぐことができると同氏は述べた。

LastObjectではLastPadsを9つは持つことを推奨していて、その場合金額はおおよそ80ドル(約8800円)かそれ以上になる。どの使い捨てナプキンを生理期間中にどのくらい使用するかにもよるが、通常の使い捨てナプキンは、1つ20セント(約22円)に満たないので、 LastPadsが消費者にとってお金の節約になるということはないだろう。しかし、LastObjectがターゲットにしているのは、エコのために高いお金を払うことのできる十分な可処分所得を持つ消費者である。

この価格設定だと、LastPadsは月経カップ(使い捨て生理用品に対する既存の実用的代替品である)と比べても高く感じられる。月経カップは約30ドル(約3300円)(これはカップ1つの値段であり、カップは1つあればよい)で、シリコンでできているため、通常1つのカップを数年間使用することができる。

ただし、月経カップはすべての女性に適した製品ではないし、その上、カップをゆすいだり消毒したりするために清潔な水を利用する必要もある。そのため、生理のために、より多くの使い捨てではない代替品があることはよいことである。

アガース氏自身も月経カップの愛用者だとのことである。しかし、同氏は、生理用カップのユーザーにとってもLastPadはちょっとした漏れをキャッチしたり、安心感を得るために役に立つ製品であると示唆している。

一方、生理用パンティについては、はいた時に濡れた感じがして不快なのが問題だ、とアガース氏は指摘する。

LastPadの環境への貢献について話そう。再利用可能なナプキンを使用し続けるには洗濯が必要で、その洗濯には当然水や洗剤といったその他のリソースも必要である。しかし、同社は他のLastObjectno製品の場合と同様、非使い捨て製品を洗って再利用するほうが、使い捨て製品を消費して’捨てるよりも、はるかに地球に優しいと主張している。使い捨て製品の場合、継続的に生産し出荷しなければならないために二酸化炭素が発生してしまう。また、こうした使い捨て製品は廃棄後も、環境を汚染する可能性があり、プラスチックゴミ(生理用ナプキンをも含め)が大きな環境問題となっているのは周知の事実だ。

LastObjectは、この再利用可能な製品が環境に良いという同社の主張を裏付けるため、使い捨てナプキンとLastPadを使用した場合の比較をサードパーティーに依頼し、それによって得られたLCA (ライフサイクルアセスメント)を公開する予定だ。しかしアガードしはLastPadはほとんどの使い捨て製品よりはるかに優れているという自信がある。

私たちが環境への貢献について尋ねると、アガード氏は次のように述べた。「どのみち洗濯はしなければなりませんよね。LastPadsはそんなに場所をとらないので、それだけを単体で洗うのではなくて、他の洗濯ものと一緒に洗えばよいのです。冷水で洗えば、LCAレポートの評価は大変高くなると思います」。

「当社では全製品について、サードパーティによるテストを実施し、他の代替品と比較し、二酸化炭素、水、化学物質について評価しています。これを今後より具体的に行います。今…使い捨てナプキンの代替品はさまざまな形で製造されていて、それは驚くほどです。比較した結果、最低評価の製品や最高評価の製品を指摘することもできますが、当社製品は、使い捨て製品の約12倍優れています」。

「LastTissueやLastSwabについてのLCAレポートを受け取りましたが、それは私が想像していたよりもずっと優れたものでした」と同氏は付け加えた。

2021年からEUは、一部の使い捨てプラスチック製品(綿棒や使い捨てカトラリーなど)の販売禁止に踏み切った。プラスチックゴミの削減が欧州の議員の目標の1つであるためだ。日用消費財市場においては、長きにわたってプラスチック製品が好んで使用されてきたが、これが環境へ与える影響を早期に縮小しようという動きが、規制当局の間で世界規模の高まりを見せている。

しかし、使い捨て製品の中には他の使い捨て製品と比べて生活に不可欠なものがあり、政治家が、無駄で汚染にもつながる製品を全面的に禁止するのは難しい。そこで、革新的な再利用可能な代替品を開発することが、そうした使い捨て製品の使用量削減に一役買うわけである。

「最も持続可能なナプキンは、ナプキンを使用しないフリーブリーディングでしょう。でも、99%の女性はそれを受け入れることはできないと思います。ですから、どうにかしなければならないのなら、そのために解決策を作る必要があるのではないでしょうか?」とアガード氏。

LastObjectはLastPadの市場投入にKickstarteを通すことにしているが、今後どれほどの需要があるかを把握でき次第、Amazonや同社のウェブショップなど、現在同社の製品を販売している他の場を通しても販売できるよう、増産する計画であるとのことである。

現在のところ、LastObjectの再利用可能製品の主な市場はアメリカである。アガード氏は、これはLastObjectがユーザーコミュニティを構築するのにKickstarterを活用したためだと考えている。しかし、同氏は、提携する地域の販売代理店の数が増えるにつれ、ヨーロッパでも製品が売れ始めていると述べた。

では、同社はLastPadの次に何に取り組むのだろうか? 今後の製品の方向性については大いに議論しているところだと、アガード氏はいう。

「今後も美容製品に力を入れて行くと思います。取り扱うパーソナルケア製品を増やすことも考えられますが、あまりあちこちの分野には手を広げることはないと思います。個人的には、バスルームに関して面白そうなことができそうだと考えています。この分野で私たちが使う製品の研究をしているデザイナーが少ないためです。美容製品とパーソナルケア製品の両方、フロスや歯ブラシ、おむつにお尻ふきなど、全般的に考えており、心躍るイノベーションを起こせると思います。しかし…LastPadは2年の歳月をかけた製品で、結果に大変満足しています。2年のうち2カ月欠けても、現在のような製品にはならなかったでしょうから、2年かけたことはとても重要なことだったと感じています」。

画像クレジット:LastPad

編集部注:洗えるティッシュはもちろん新しいものではない。ウィキペディアにも、ポケットチーフは14世紀に君臨した英国のリチャード2世の鼻を拭くために発明されたと書かれている。しかし洗濯して繰り返し使用されていた従来の布ハンカチは、環境コストが非常に高い使い捨ての安価な消費財へと切り替えられた。社会が「循環経済」を普及させようとしている今、再利用可能な製品から使い捨て製品へというこの有害なデフォルトを逆方向に転換することで、より多くの「歴史的な製品イノベーション」がトレンドとして返り咲くのではないだろうか。

画像クレジット:LastPad

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

【コラム】何千年も前から続く人類と「乳がん」との戦いにAIはどう貢献するのか

この40年、毎年10月の「乳がん啓発月間」は、地球上で最も多く発生する癌であり、毎年約25万人の命を奪っている「乳がん」の認知度を高めることに貢献してきた。

乳がんは、古代エジプトにまでさかのぼる記録があるにもかかわらず、何千年もの間「口に出せない病気」と考えられてきた。女性は黙ったまま「尊厳」を持って苦しむことが求められていたのだ。

このような偏見が教育上の無知を助長し、ほんの数十年前まで乳がんは比較的研究が進んでいない病気だった。20世紀のほとんどの期間、他のがん治療が発展する一方で、乳がんを患った女性は、放射線治療や手術を受けることになるのだが、しばしば根治的な手術が行われたものの、大した効果が得られないまま、患者が傷つくことも多かった。

乳がんの死亡率は、1930年代から1970年代までほとんど変化がなかった。しかし、フェミニストや女性解放団体の努力により、乳がんの研究と治療は、男性優位の病院や研究機関の中で、正当な地位を得られるまでになった。その治療法は、一世代でがらりと変わったのだ。

1970年代には、乳がんと診断された女性が、その後10年間を生き延びられる確率は、およそ40%に過ぎなかった。それが今では、新薬や最先端の検診法、より繊細で効果的な手術のおかげで、その確率がほぼ2倍に伸びた。

このような変化に不可欠なのが、早期診断の重要性だ。乳がんの発見が早ければ早いほど、治療はしやすくなる。人工知能は、この乳がんの発見において、ますます重要な役割を果たすようになっている。2021年、英国の国民保健サービス(NHS)は、AIを用いて乳がんをスクリーニングする方法の研究を発表した。この方法は、人間の医師に代わるものではなく補完するものだが、放射線技師の不足を解消するのにも役立つ。新型コロナウイルスの影響からNHSが抱える検査の滞りを解消するためには、さらに2000人の放射線技師が必要とされているという。

いくつかのスタートアップ企業も、AIを使ってこの人手不足に取り組んでいる。英国のKheiron Medical Technologies(ケイロン・メディカル・テクノロジーズ)は、AIを使って50万人の女性の乳がんをスクリーニングすることを計画している。スペインのthe Blue Box(ザ・ブルー・ポックス)は、尿サンプルから乳がんを検出できる装置を開発中だ。インドのNiramai(ニラマイ)は、農村部や準都市部に住む多くの女性のスクリーニングに役立つ低コストのツールをてがけている。

しかし、生存率を高めるためには、再発のリスクが高い患者を特定することも同じくらい重要だ。乳がん患者の10人に1人は、初期治療後に再発し、生存率が低下すると言われている。

そのような患者を早期に特定することは、これまで難しかった。しかし、筆者のチームは、フランスのがん専門病院であるGustave Roussy(ギュスターヴ・ルシー)と協力して、再発のリスクが高い患者
の10人に8人を発見することができるAIツールを開発した。AIは、患者が必要とする治療を早期に受けられるようにすると同時に、リスクの低い患者が頻繁に不安な検診を受けなくて済むためにも役立つ。一方、製薬会社はリスクの高い患者をより早く募集することによって、乳がんの治験を加速させることができる。

だが、患者のデータのプライバシーは、迅速な研究の妨げとなる可能性がある。病院はデータを外部に送信することに慎重であり、製薬会社は貴重なデータを競合他社と共有したくない。しかし、AIはこのような問題の解決に役立ち、新しい治療法をより早く、より安全に、より安価に開発することを可能にする。

Federated learning(連合学習)は、データを病院から集約することなく、複数の機関のデータを使ってトレーニングを行う新しい形のAIで、研究者が必要不可欠でありながらこれまでアクセスできなかったデータにアクセスできるようにするために、欧州全域で使用されている。

我々はまた、最も侵攻性の高い乳がんがなぜ特定の薬剤に耐性を示すのかについて、AIを用いて理解を深め、化学療法よりも健康な細胞と腫瘍細胞との識別に優れた、新しい個別化された薬剤の開発に役立てている。

AIの影響力はますます大きくなっているものの、成果を向上させるために同じくらい重要なことは、医療は基本的に人間が行うものであるという認識である。どんなアルゴリズムでも、患者の最も暗い瞬間を慰めることはできないし、どんな機械でも、すべての患者が病気に打ち勝つために必要な回復力を植え付けて鼓舞することはできない。

私だけでなくすべての医師は、病気の治療と同じくらい患者を理解することが重要であると知っている。臨床医の共感は、患者の満足度の高さや苦痛の少なさに関係し、患者が困難な治療コースを続ける動機となり得る。ありがたいことに、乳がん治療にますます役立っているAI技術は、医師の能力を補完し、高めてくれる。

毎年、乳がんと診断される何百万人もの人々にとって、乳がんはもはや「口に出せない」病気ではない。10月の始まりを告げるピンクリボンの海は、最古の敵の1つである乳がんとの戦いにおいて、私たちがどれだけ進歩したかを示している。私たちは現在、この戦いに打ち勝ちつつあるのだ。乳がんを完全に根絶することはできないかもしれない。しかし、AIが患者の早期診断を助け、治療法の迅速な開発を可能にすることによって、数十年後には、もはや「乳がん啓発月間」の必要性がなくなるかもしれない。

編集部注:本稿を執筆したThomas Clozel(トーマス・クローゼル)医学博士は、Owkin(オウキン)の共同設立者兼CEOであり、パリのHôpital Henri-Mondr(アンリモンドール病院)の臨床非血液学の元助教授、ニューヨークのWeill Cornell Medicine(ワイル・コーネル・メディスン)のMelnick(メルニック)ラボの元研究員でもある。

画像クレジット:NYS444 / Getty Images

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(文:Thomas Clozel、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ヘルスケアデータを構造化するScienceIOがステルス状態から脱出

Gaurav Kaushik(ガウラブ・カウシク)氏は、混乱した医療データの世界を整えるために今回立ち上げたステルス事業の数年前からすでに、より良い視覚化が医療結果にどのような影響を与えるかについて、少しずつ構想を深めていた。2018年にこの新進起業家は、ボストンのがん研究企業ならびにFlatIron Health(フラットアイアン・ヘルス)と協力して、がん患者、がんの変異、健康状態の結果のすべてがどのように関連しているかを調べていた。

最終的には、特に有色人種の女性に酷い結果をもたらすトリプルネガティブ乳がんの患者が、免疫療法によく反応するという分析結果を得た。

カウシク氏は、整理されていない患者データを治療計画に結びつけることのインパクトを理解して、元ティールフェローでDorm Room FundのマネージングパートナーであるWill Manidis(ウィル・マニディス)氏と共同で、新しいスタートアップScienceIO(サイエンスIO)を創業した(マニディス氏がCEOを務めている)。このスタートアップは、自然言語処理とデータ分析を用いて患者データの巨大なデータベースを構築し、関係者が患者をよりよく理解し、総合的に治療することに役立てようとしている。

「地図がなければ旅ができないのに、医療には地図がないのです。例えば、どの患者さんが切実で満たされていないニーズを抱えていて、特別な配慮や新たなソリューションを必要としているのか、あるいは希少疾患に対する新しい治療法を見つけようとしているのかなどの、基本的なことを理解しようとすると、何千時間もの労力と何年もの期間が必要になるのです」とマニディス氏は述べている。

ヘルスケアデータの状況をなんとかしようとするスタートアップは、ScienceIOが初めてではない。そして、それはおそらくこれが最後のものでもないだろう。だが、このスタートアップの差別化ポイントは、何年もかけて、最も代表的なデータを集めたデータベースを構築してきたことだ。

カウシク氏は「私たちは過去2年間をかけて、この種のものとしては初のヘルスケアAIプラットフォームを構築しました。私たちは、データファーストのアプローチを人工知能に適用し、バラバラのヘルスケアデータを高品質で計算可能なデータに変えるために必要な技術を開発しています。ヘルスケア分野では、データを活用したソリューションを構築する機会が非常に多く、当社のプラットフォームや幅広い自然言語処理ルネッサンスから恩恵を受ける、企業のエコシステムが生まれることを期待しています」という。

関連記事:断片化された医療データの統合で患者の命を救え

NLP(Natural Language Processing、自然言語処理)とは、人間の音声をコンピュータが理解しやすくするための最新技術だ。同社は、ソーシャルメディアの投稿を見て、その投稿を行った人間がどのように感じているかを予測する技術であるセンチメント分析に、NLPがどのように利用できるかを説明した。ScienceIOのNLPアプリケーションは、機械学習と組み合わせられることで、900万以上の医療条件、薬剤、機器、遺伝子を潜在的な手がかりとして、患者の健康に影響を与える変数を見つけ出す。

ScienceIOの動作画面(画像クレジット:ScienceIO)

幅広いというのは、その製品がさまざまな潜在的顧客に適用できるということを意味する。例えば臨床医が患者の背景に基づいて患者の全体像を把握できるようになると、カウシク氏は考えている。

「扱う患者さんにはさまざまなヘルスケアイシューがありますので、それに対してがんをよく理解しているとか、社会経済状況を別途理解しているというだけでは十分ではないのです」とカウシク氏はいう。「あらゆる分野に驚くほどの深さがありますし、そうした問題を最小化することなく患者全体を把握することが必要なのです」。

さらに彼は「3年間、世間には公表しないままこのデータセットを構築してきた理由は、患者をバイオリスクに還元するのではなく、患者を医師が見るべきものとして表現するためだったのです」と付け加えた。

マニディス氏は、保険会社が毎日、莫大な数の医療プランや、請求コード、コスト、症状などのデータを受け取っていることを例に挙げた。

マニディス氏は「そこでは、請求をどのように優先させるか、裁定に回すか、不正行為の検出などを行うかで常に悩まされています。そこでScienceIOを使えば、データを構造化し、請求内容を理解して、患者への保険金をより早く、正確に支払うことができます」という。

注目すべきは、ScienceIOはトラッキングを行うのではなく、データをより検索しやすくし、有用な洞察を生み出すことのできる分析結果を作成するのだということだ。ScienceIOは、現在いくつかの顧客とパイロットプログラムを行っているということだが、具体的な名前は明かしていない。カウシク氏によれば、これらのパイロットの結果によって、一般公開までの現実的なスケジュールが左右されるということだ。

これまでの進展によって、これまで秘密裏に行われていたビジネスが、800万ドル(約9億1000万円)のシード資金を調達することができた。今回のラウンドには、Section 32やSea Lane Venturesなどの機関投資家の他、Lachy Groom(ラッチー・グルーム)氏やJosh Buckley(ジョシュ・バックリー)氏といった起業家も参加している。

関連記事:Healthcare is the next wave of data liberation

画像クレジット:Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:sako)

不規則な周期の女性の妊娠適期を検出する家庭用キット開発のOovaが1.3億円調達

Oovaは、BBG Venturesが主導し、Company Venturesが参加したシードラウンドで120万ドル(約1億3000万円)を得て、7月下旬にOova Kitを正式にローンチした。このキットは、2種類のホルモンを定量的に測定する家庭用検査を含んでおり、女性やその主治医に妊娠可能な日を提示したり、排卵の有無を判定する機能を持つ。

ニューヨークに拠点を置く同社は、2017年にCEOのAmy Divaraniya(エイミー・ディヴァラニア)氏によって設立された。ディヴァラニア氏は遺伝学を専門とする生物医学の博士号を取得している。同氏は個人的に月経不順による不妊に苦しんでおり、医師から35歳になってから再度受診するように告げられた。それでも、Divaraniyaは待つことを望まず、その時に何か行動したいと思った。

その後も、基礎体温や排卵検査薬を使って自然な妊娠の道を追求し続け、18カ月後に息子を授かった。しかしディヴァラニア氏は、利用可能なツールのすべてが「完璧な周期を持つ」女性のために作られたものであり、彼女に当てはまるものではないことを認識した。不規則な周期の女性に向けた事業に利用できる資金がない中で、同氏は、個人に合わせた非侵襲的なツールを提供し、家庭で個人的なホルモンプロファイルに対処できるようにしたいと、Oovaを立ち上げた。

エイミー・ディヴァラニア氏、Oovaの創業者でCEO(画像クレジット:Oova)

ディヴァラニア氏によると、博士課程を修了して2017年に同社を設立した後、過去4年間にわたってこの技術を可能な限り正確に機能させることに注力してきたという。Oovaの家庭用キットには、ハンドルホルダー、15個の使い捨てカートリッジ、モバイルアプリが含まれている。ユーザーは尿検査を行い、結果をスマートフォンのカメラでスキャンして、排卵確認や受胎に最適な日などの実行可能な措置を受け取る。主治医にデータを見てもらい、相談することも有効だ。

Oovaは、黄体形成ホルモンとプロゲステロンを測定し、時間をかけてホルモンを追跡する検査として、市場に出ている唯一のものであるとディヴァラニア氏は強調する。代替手段は、採血のために毎日病院に行くことであるが、それは体外受精を受ける場合に限られる、と同氏は説明する。

BBG Venturesの共同創業者でマネージングパートナーのSusan Lyne(スーザン・ライン)氏は、長い間女性の健康にフォーカスしており、他の創業者からディヴァラニア氏に会うべきだという提案を受けた。

「自分の周期を可視化することは、多くの女性にとって変革の瞬間です」とライン氏はインタビューで語った。「Oovaの科学は強力で、消費者は専門家に相談することなく自分の検査結果を理解できます。過去においてのみ個人的なホルモンプロファイルが得られるという事実は、自分が受精可能かどうかを判断するレベルに達するということでしかありません。同社のキットは定量的なものなので、昨日、今日と、それを追跡し、排卵の時期を知ることができます」。

同社の当初の目標は消費者に直接届けることだったが、パンデミックの最中に不妊治療クリニックが閉鎖を余儀なくされた後、ディヴァラニア氏は医師から電話を受け、診療所に来ることができなくなった患者をサポートするためにキットを早期にローンチするよう求められた。現在、75以上の不妊治療クリニックが同社のプラットフォームを利用している。

コンサルティング会社のPrecedence Researchによると、体外受精、遺伝子検査、卵子凍結、生殖補助などのサービスを含む世界の不妊治療テクノロジー市場は、2020年に331億ドル(約3兆6300億円)と評価され、2027年までに479億ドル(約5兆2600億円)になると予想されている。家庭用診断デジタルヘルス市場は、2027年までにそれぞれ70億ドル(約7700億円)と5510億ドル(約60兆5000億円)になると見込まれている。

他のスタートアップは、類似の不妊治療ケアをよりアクセス可能なものにすることに注力している。例えば2021年、Future Familyは900万ドル(約9億9000万円)を調達して不妊治療のコストとプロセスの透明化を実現し、デジタルヘルス企業のRoは5月にModern Fertilityを買収して、不妊検査とリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)を自社のサービスに追加した。また、Mate Fertilityは、家族計画サービスのネットワーク構築に280万ドル(約3億700万円)の資金を投入している。

関連記事:不妊治療サポートのFuture Familyが9.8億円調達、コロナ禍で混み合うクリニックのネットワークを拡大

Oovaはプレシード資金で合計440万ドル(約4億8000万円)を調達した。将来の需要を満たすために、ディヴァラニア氏は新しい資金を使ってより多くの機能を追加し、ホルモン検査を市場に出す準備を進めている。同氏はまた、再ブランド化に取り組み「Oovaを単なる科学的実験にとどまらない、企業として育て上げたい」とも考えている。価格はスターターキットが159.99ドル(約1万8000円)、リフィル可能なキットがサブスクリプションで月額99.99ドル(約1万1000円)となっている。

「私たちは不妊治療からスタートしましたが、慢性疾患などの他の健康分野にも事業を拡大したいと考えています。データ利用者と臨床医が需要を牽引できるようにしたいのです」とディヴァラニア氏は付け加えた。「また、黄体形成ホルモンとプロゲステロンとともに妊孕性にとって完璧な3要素となる、エストロゲンの追加にも取り組んでいます」。

画像クレジット:Oova

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(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)

「To The Market」は女性のための倫理的で持続可能な職場環境の構築を支援する

Jane Mosbacher Morris(ジェーン・モスバッカー・モリス)氏は、国務省でテロと闘う女性を支援する仕事がキャリアのスタートだった。そして今、彼女は女性が適正な給与の仕事を見つける支援をしている。

女性が変化を推進するにはリソースへのアクセスが必要であることを認識した彼女は、農業をはじめとするいくつかの分野について学び、サプライチェーンに戦略的投資を行うことに興味を持った。

Curate Capitalの創業者でゼネラルパートナーのキャリー・コルバート氏(左)とTo The Marketの創業者ジェーン・モスバッカー・モリス氏(右)

「私が気づいたのは、小売製造業の経済規模は最大であり、サプライチェーンの中で女性が支配していることでした」とモスバッカー・モリス氏がTechCrunchに語った。「しかし、倫理的で持続可能な小売商品を推進するために十分な戦略的投資は存在していませんでした。私たちは、どうすればグローバルサプライチェーンに本格参入するきっかけや推進役になれるかを考えました」。

彼女は2016年にTo The Market(トゥー・ザ・マーケット)を設立し、グローバルサプライチェーンへのアクセスを民主化し、環境を保護し、特に女性が創業した企業を推進するというビジョンを掲げた。同社の独自プラットフォームは、倫理的で持続可能なビジネスとサプライチェーンを吟味し、IT技術を活用してブランドをサプライヤーのネットワークと結びつける。系列化されたサプライチェーンには現在50か国で200社のメーカーがいる。

同社は10月4日にシリーズAラウンドの調達を発表し、モスバッカー・モリス氏は金額が500万ドル(約5億6000万円)だったことを確認した。ラウンドをリードしたのはCurate Capitalで、Working Capital Fund、Spouting Rock、およびForward Venturesも参加し、Belle Fund、Knightsgate Venturesおよび戦略エンゼル投資家のグループが追加投資した。

「To The Marketは倫理的につくられた商品の証明書になろうとしています」とCurate Capitalの創業者でゼネラルパートナーのCarrie Colbert(キャリー・コルバート)氏はいう。「この会社は選ばれた会社にとって最も大切なものになるでしょう。2020年の彼らの成長に拍手を送ります。このチームはよい位置にいたことでパンデミックの嵐を乗り換えただけでなく、製造者が中国から品物を入手できなかったとき、ジェーン(モスバッカー・モリス氏)は彼らのニューズにすぐに答えられる広大なネットワークを持っていました」。

モスバッカー・モリス氏は、ベンダー基盤に投資したことによって同社が競合するどの仲介業者よりも「少なくとも10年先」にいると語った。それは持続可能性と倫理的な特徴についてだけでなく、事業成績においてでもだ。

To The Marketが仕事をしている小売業にはNordstrom Rack(ノードストローム・ラック)、TJ Maxx(TJマックス)、Burlington(バーリントン)、およびBloomingdates(ブルーミングデールズ)がいる。会社は獲得した資金を新たな成長に向けて使おうとしている。チームの拡大、技術開発、および市場開拓の推進などだ。現在従業員は20名ほどの「野心的のチーム」、とモスバッカー・モリス氏はいる呼んでいる。

「私たちは、中国以外のメーカーと提携することによって、グローバルサプライチェーンや米国企業、中でもかつて1つの国ので特別に注目を集めてきた企業に付加価値を与えます」とモスバッカー・モリス氏はいう。「このパンデミックは、多様性のある系列化されたサプライチェーンをもつことが不可欠であることを私たちに教えました。1つの工場と国に依存することは非常にリスキーです」。

画像クレジット:MediaGroup_BestForYou / Shutterstock

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(文:Christine Hall、翻訳:Nob Takahashi / facebook

州の中絶禁止法に対する解決策を提供、バーチャルクリニックのHey Janeが約2.4億円調達

より多くの州が人工妊娠中絶を禁止するある種の法案を可決する中、遠隔医療による妊娠中絶ケアを提供するバーチャルクリニックのスタートアップHey Janeは米国時間8月26日、220万ドル(約2億4000万円)の資金調達を発表した。オーバーサブスクライブとなったこのラウンドには、Koa Lab、Gaingels、Foursight Capital Partnersを含む投資家グループが参加した。

リモートファーストを目指すHey Janeのアイデアは、2019年に同社の創業者でCEOのKiki Freedman(キキ・フリードマン)氏が数人の友人と交わした、ミズーリ州は妊娠中絶クリニックが残り1つとなっている6つの州のうちの1つだという会話から生まれた。中絶医療提供者への攻撃を避けるために仮名を使うフリードマン氏は、実際にはこのクリニックはその夏に閉鎖が予定されており、それはミズーリ州が中絶ケアをまったく持たない最初の州になることを意味していたと説明する。同クリニックは最終的には開業を続けることができた

「当時、私が目にした新興の遠隔医療クリニックの多くは男性のウェルネスに焦点を当てており、女性の健康については語られていませんでした」とフリードマン氏はTechCrunchに述べている。「このバーチャルモデルは、安全かつ慎重な中絶ケアに使えると考えました」。

匿名を希望するHey Janeの投資家の1人は「フリードマン氏とHey Janeに投資することに大いに期待を抱いた」のは、女性の健康が十分なサービス提供を受けていないカテゴリーであることに同意したからだと話す。男性の医療とは異なり、女性の医療では中絶ケアが分離されている。これは、レーガン大統領が中絶ケアを病院と切り離すよう義務付けたことに端を発している。

Planned Parenthoodによると、女性の4人に1人が45歳までに中絶するという。しかし、米国では2021年だけで90件以上の中絶に関する規制が制定されており、その数は総計1320件にのぼることが、Guttmacher Institute(性と生殖に関する健康と権利の向上に取り組む非営利の研究・政策組織)により明らかにされている。アーカンソー州とオクラホマ州では現在、患者の生命が危険にさらされている場合を除いて、中絶をほぼ全面的に禁止している。一方、アイダホ州、サウスカロライナ州、テキサス州では、妊娠6週以降、あるいはごく限られた例外を設けて中絶を禁止している。

2020年7月、連邦判事は女性が医師の診察を受けずに妊娠中絶薬を入手することを認めた。このことは、Hey Janeやその他の企業が妊娠10週未満の人々に「非接触」サービスの提供を開始する道を開いた。

249ドル(約2万7000円)の同社の治療には、医師によるスクリーニング、FDAが承認した薬の処方と患者の自宅への翌日配送、フォローアップのためのバーチャル訪問、そしてプロセス全体における医師とのチャットが含まれる。Hey Janeのチームも、テキストメッセージを通じて患者を頻繁にチェックする。

同社によると、金銭的な障壁を取り除くことは「Hey Janeにとって極めて重要な優先事項」であるという。同社はまだ保険を受け付けていないが、非営利の妊娠中絶基金パートナーReprocareを通じて経済的援助を行っている。この組織は、患者の負担が139ドル(約1万5000円)に抑えられるよう、249ドルの治療費のうち最大110ドル(約1万2000円)を助成している。

今回の資金調達により、Hey Janeは新たな州への展開を図り、7人のチームを増強してプロダクトおよび自動化プロセスの構築と法的調査を進めて、各州における遠隔医療の法制と遠隔医療の妊娠中絶に関する法制の動向を常に把握し、対応できるようにしていく。

Hey Janeが従うべき規制要件は州ごとに複数あり、その中には、臨床医が診療を行うのはライセンスを受けている州の患者に限定されることなどが含まれている。このため、同社は事業を展開する各州でライセンスを取得した臨床医を擁しており、適切な時期に薬を処方する準備ができている。また、必要に応じて精神的な苦痛を和らげる専門家も待機している。

Hey Janeは8月下旬からカリフォルニア全域で活動を開始し、ニューヨークとワシントンでもサービスを展開している。つまり、Hey Janeのサービスエリアは現在、米国で年間に行われる人工中絶の34%をカバーしているとフリードマン氏はいう。「カリフォルニア州とニューヨーク州では年間の中絶件数が最も多いため、これらの州が最初に選ばれました」と同氏は言い添えた。

「これらの州の人々はクリニックへのアクセスが比較的容易になっているかもしれませんが、Hey Janeによるケアは安全で効果的であり、クリニックでのケアの半分の費用で済むため、彼らはHey Janeの治療からより大きな恩恵を受けることができるでしょう」とフリードマン氏。「移動や育児のための費用や時間を必要とせず、プライバシーと裁量を確保し、精神的なサポートを追加することができます」。

フリードマン氏は、2021年末までに10州への進出を果たし、今後数年のうちに50州すべてで治療を提供できるようになることを期待している。しかしながら、19の州で遠隔医療による中絶へのアクセスを制限する規制上の障壁が存在する。Hey Janeは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のAdvancing New Standards in Reproductive Healthの研究グループと組んで、そのための情報を集めている。

「私たちは一流の研究者と協力して、この治療法が安全かつ効果的で、患者に好まれていることを示す、豊富にある既存の証拠の拡充に努めています」と同氏は続けた。「この研究が規制の厳しい州での議論をさらに前進させ、最終的には古い規制に対する、より必要とされる患者中心のアップデートにつながることを願っています。遠隔医療による中絶の安全性と有効性に関する既存のデータは、これが中絶医療の未来であることを明確に示しています」。

Hey Janeは現在、同サービスを利用する患者数を四半期ごとに250%増やしている。同社は成長に伴い、連携したケアや新プロダクトのための追加ツールに力を入れている。

妊娠中絶は、審判的な扱いや差別の心配から秘密にされることが多い。患者が慎重を期して自分の経験や感情を共有できるような、切望されていた手段をHey Janeは提供していくとフリードマン氏は語っている。

「私たちは利便性とプライバシーを重視しています。3分の2の女性が自分の経験について話すことを望んでいないため、私たちはそうした女性たちのためのスペースを提供したいと考えています」。

女性の健康問題は、極めて個人的なものである。あなたやあなたの知人が女性の健康に関する個人的な問題に悩んでいる場合は、主治医やかかりつけの地域医療クリニックに詳細を問い合わせて欲しい。

画像クレジット:Carol Yepes / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)

ウェアラブルさく乳ポンプやケーゲルトレーナーのヘルステックElvieがシリーズCで約106.4億円調達

コネクテッドさく乳ポンプやスマート骨盤底面エクササイザーを開発した女性向けヘルステックのパイオニアであるElvie(エルビー)は、今夏初め(7月)に発表したシリーズCを上積みし、1270万ポンド(約19億3100万円)を追加して、資金調達額を7000万ポンド(約106億4000万円)に引き上げた。

2013年に設立されたこの英国のスタートアップは、2019年に4200万ドル(約46億3000万円)のシリーズB、そして2017年に600万ドル(約6億6000万円)のシリーズAを調達していたが、当時はフェムテック系スタートアップが今よりずっと珍しい時代だった。女性主導のスタートアップ各社が道を切り拓き、フェムテックにかなり大きな市場があることを示したことで、女性のために(そして多くの場合は女性により)デザインされた製品は、ここにきて大きな勢いを得ており、投資家も機会を逃すまいとしている

アナリストたちは今では、フェムテック業界は2025年までに500億ドル(約5兆5130億円)の市場になると予測している。

Elvieによると、今回のシリーズCエクステンションラウンドは、食品・健康分野に特化したプライベートエクイティ企業であるBlume Equityの共同設立者がスポンサーとなっているファンドに加え、既存投資家であるIPGL、Hiro Capital、Westerly Windsからの資金も含まれている。

7月に第1トランシェ(5800万ポンド、約88億1600万円)を発表した際にElvieは、シリーズCはBGFとBlackRockが主導し、Octopus Venturesを含む既存投資家が参加したと述べていた。

このシリーズCは、地理的な拡大(新規市場への参入を含む)や、女性の人生における他の「重要なステージ」をターゲットとした製品ポートフォリオの多様化など、さらなる成長のために使用されるとのこと。

これはつまり、製品開発をサポートするための研究開発費を惜しまないということだ。物理的なガジェットとソフトウェアを融合させたコネクテッドハードウェアは、依然として強いフォーカスとなりそうだ。また、さらなる規模拡大に備えて、オペレーションとインフラを強化していく予定だ。

現段階でElvieが販売している製品は、コネクテッドケーゲル体操トレーナー、ウェアラブルさく乳ポンプ(に加え電気を使わないポンプも2つ)の4つだ。

同社が製品の面で次に何を開発していくのか、注目したいところだ。

創業者兼CEOのTania Boler(タニア・ボーラー)氏は、声明の中で次のように述べている。「Elvieは、次の成長段階へ行く準備ができています。当社はすでに事業を展開しているカテゴリーに革命を起こしていますが、新しい領域で女性のためのよりよいテクノロジー製品やサービスを生み出す、未開拓の膨大なポテンシャルがあることを知っています」。

Elvieの目標は「あらゆるライフステージにおける女性の健康のための頼れる目的地」を作ることであり、ターゲットとなる女性消費者に「洗練された、的確で、パーソナライズされたソリューション」を販売することだと同氏はいう。

Elvieは製品販売による売上を明らかにしていないが、同社のさく乳ポンプ事業は米国で過去12カ月間に倍増しており、米国のAmazo(アマゾン)ではさく乳器のSKUで最も高い収益を上げているとのこと。

また、欧州事業の成長率は前年比139%と「好調」であることも同社はアピールしている。英国市場では、過去12カ月間で前年比31%の成長を達成したという。

画像クレジット:Elvie

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Aya Nakazato)

個人に合わせた更年期障害緩和のためのアプリを開発するVira Health

スタートアップの世界では、次々と新しいトレンドが生まれており、その多くは早すぎるということはない。なぜ、上級職に就く女性は少ないのだろうか?その理由として、更年期を迎えた女性は、一般的にリーダーシップを発揮できなくなるということが知られている。英国での調査によると、更年期は約1400万日の労働損失と100万人の早期退職の原因となっているという。実際にTechCrubchでは、従業員の健康管理によってこの問題に取り組んでいる新しいスタートアップ「Peppy(ペピイ)」について報じたばかりだ。

そして今回、Vira Health(ヴィラ・ヘルス)というスタートアップ企業が、LocalGlobe(ローカルグローブ)とMMC Ventures(MMCベンチャーズ)から150万ポンド(約2億3000万円)のシード資金を調達した。この投資ラウンドには、Hearst Ventures(ハースト・ベンチャーズ)のイケダ・メグミ氏、Elvie(エルビー)のAndrea Zitna(アンドレア・ジトナ)氏、Sophia Bendz(ソフィア・ベンズ)氏、Matt Robinson(マット・ロビンソン)氏、Simon Lambert(サイモン・ランバート)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Andrea Berchowitz(アンドレア・バーチョウィッツ)氏とRebecca Love(レベッカ・ラブ)氏が2020年に設立したVira Healthは、個人に合わせた更年期ケアを目的とする会社だ。同社の最初の製品である「Stella(ステラ)」は、12週間の更年期障害治療計画、ヨガクラスや婦人科医とのQ&Aなどのコンテンツやバーチャルイベントを主な特長とする、更年期障害緩和のためのアプリである。

Vira Healthの共同設立者であるバーチョウィッツ氏は、次のように述べている。

女性の健康問題は、歴史的に研究や投資が十分ではなく、現在もその傾向が続いています。今こそテクノロジーを利用して、ヘルスケアにおける女性のデータの収集や使用法を改善し、このバランスを是正する好機です。今回の第1回目のシード資金調達ラウンドは、私たちのビジョンを実現するための一歩です。

LocalGlobeの投資パートナーであるRemus Brett(リーマス・ブレット)氏は次のように述べている。「更年期障害は女性の人生の大きな局面に当たりますが、現在の医療システムでは、女性が必要とする多面的かつ長期的なサポートを提供することが困難です」。

MMC Venturesの投資家であるAlexia Arts(アレクシア・アーツ)氏は、次のように述べている。「MMC Venturesにおいて、ヘルスケアは研究と投資の重要な分野です。私たちは、ヘルスケアの実践と提供の仕方を再構築するために、データ分析を取り込み、活用することに、大きな可能性を見ています。これは特に、性差によるデータの偏りがあることが立証されており、その解決が求められる女性のヘルスケアにとって大きな意義があります」。

Vira Healthを設立する以前、バーチョウィッツ氏はMcKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)のアソシエイト・パートナーとして、官民を問わず女性の健康に関わる仕事をしていた他、Bill and Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)の中東地域における活動を率いていた。

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カテゴリー:フェムテック
タグ:Vira Health女性更年期資金調達ヘルスケア

画像クレジット:Vira Health

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本初の女性に特化したメンタリティ教育・キャリアスクールを手がけるLiLiが総額1億円のプレシリーズA調達

日本初の女性に特化したメンタリティ教育・キャリアスクールを手がけるLiLiが総額1億円のプレシリーズA調達

「凛々しく、生きていく」をテーマに、凛々しい女性の育成を行うLiLi(リリ)は7月27日、プレシリーズAラウンドにおいて、総額1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リードインベスターのBonds Investment Group、また複数の投資家。

LiLiは、女性に特化したメンタリティ教育を行う場として、「働く女子のキャリアスクールLiLi」「女子学生の就活コミュニティーLiLiキャンパス」「女性メンター育成プログラム」という3つの事業を展開している。

世界経済フォーラムが3月31日に発表した「ジェンダーギャップ指数2021」では、日本は調査対象156カ国中の120位と低迷し、主要7カ国では最下位となっている。また新型コロナウイルスの影響で多くの女性が解雇されたものの、LiLiは、リモートワークの充実で女性が働きやすい世界が到来し、労働市場ではアフターコロナに向けて女性が大きく動き始めると確信した。それを待ち構えるべく、サービス拡充に向けたマーケティングや採用強化のため資金調達を実施した。

LiLiはそのサービスを、一般社団法人日本ウーマンズバリュートレーニング協会から唯一認定された「女子のためのキャリアスクール」であり、「女子に特化した自己分析(キャリアの棚卸し)」、「動画コンテンツで実践スキル学び放題」、「オンラインコミュニティー」にとことんこだわり、「頑張りたい女子のために作られた学びの場」と説明している。

なかでももっとも重視するのが、女性のためのメンタリティ教育を支える「メンター」だ。特にライフイベントの多い女性の場合、キャリア選択時に相談にのってくれる「一歩先を歩む女性」のメンターシップが不可欠になるという。2020年開始した女子学生向けサービスでは、メンターとして働きたい女性から6カ月で330人を超える申し込みがあった。今は社会人にも対応できるようアップデートを行ったが、「予想のペースを上回る申し込み」があるとのこと。現在、メンターの離脱率は0%ということで、女性にとって必要不可欠な場所となっていると考えているが、LiLiが自分の居場所として女性たちに選ばれるよう「圧倒的な価値向上を目指します」と話している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:キャリア(用語)女性(用語)LiLi(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

独立系VCのSixty8 Capitalが社会的地位の低い創業者を対象とした22億円規模のファンドを設立

黒人、女性、ラテン系、LGBTQ+のスタートアップ創業者にとって、シリコンバレーにおけるVC投資のパイ獲得が困難であるということは間違いない。この事実に対処すべく、米国のど真ん中、インディアナ州のインディアナポリスに拠点を置くSixty8 Capitalが、社会的弱者のスタートアップ創業者らにアーリーステージ資金を提供するため2000万ドル(約22 億円)規模のファンドを設立した。

このファンドには、The Indiana Next Level Fund、50 South Capital、Bank of America、Eli Lilly and Company、First Internet Bank、Central Indiana Community Foundationなどの投資家が名を連ねている。また、インディアナ州を拠点とするベンチャー企業のAllos Venturesと連携しており、同社のPaul Ehlinger(ポール・エリンガー)氏がSixty8のベンチャーパートナーとなる予定だ。

「このファンドで有色人種や女性をはじめとする多様なコミュニティに直接資金を提供することで、彼らを力付けることが可能になります。多様な人々によって設立された、すばらしいソリューションを構築している企業に直接投資できるようになるのです。これがSixty8を立ち上げた理由であり、これまでになかったチャンスを見つけ出すことができると信じています。インディアナのコミュニティだけでなく、中西部や南部の一部にも良い影響をもたらすことができたらと期待を膨らませています」と同社のマネージングパートナーであるKelli Jones(ケリー・ジョーンズ)氏は話している。

インディアナポリスで育ったジョーンズ氏は、ニューヨークやロサンゼルスに移った後、音楽、テック、エンターテインメントなどに携わる仕事を経験。2016年にインディアナポリスに戻り、自分が育ったコミュニティの黒人がテック分野やそれ以外で仕事に就くための訓練を受ける手助けを開始した。それが黒人の創業者に焦点を当てたスタートアップインキュベーターの展開に繋がり、後にピッチコンテストに参加することになる。

同氏がともに働いていた創業者らが、インキュベーターやピッチコンテストの一環として始めたビジネスを成長させるチャンスを得るために資本へのアクセスを必要としているということが、その当時から明らかだったため、アーリーステージファンドのアイデアを具体化させていったと話している。同氏によるとインディアナ州はB2BのSaaSで知られており、そのエネルギーにあやかりたいと考えていた。

「インディアナ州はB2BのSaaSで有名で、ExactTarget、SalesforceAngie’s ListInteractive Intelligence、Genesysなどのすばらしい企業へのイグジットなど、地元のテクノロジー分野では本当にすばらしいことがたくさん起こっています。しかし多様性に関してや、有色人種、女性、LGBTQの創業者を増やすということについてはあまり議論されていないのが事実です」とジョーンズ氏。

同社は1社あたり25万ドル(約2700万円)から50万ドル(約5500万円)の投資で、シード、プレシードの他、Aラウンドへの参加も計画している。インキュベーターやピッチコンテストなど、他のベンチャーからのパイプラインが用意されており、また起業家精神に溢れたコミュニティにも精通していると同氏は話している。

同社は、多様性の問題や多様な人々が投資の意思決定を行うという課題に対処するためだけでなく、ベンチャーキャピタルの支援を受けた企業には到底見えないような企業にも投資することができるという戦略に基づいてファンドを設立したいと考えていた。

最初の投資先はQualifiというB2BのSaaS企業だ。大量の採用を行う企業がAIを使って書類選考をより早く行うというもので、これにより7~10日かかっていた審査期間を3日以内に短縮することができるとジョーンズ氏は話している。

同社の企業名の由来は1968年に遡る。全国で多くの抗議が沸き起こり、有色人種や女性、ゲイの権利のための平等性を求める声が多く上がった歴史的な時代である。2019年に同社を立ち上げた当初は別の名前を使用していたものの、多様なグループを力付けることに焦点を当てた会社として、この名前の方がふさわしいと感じたとジョーンズ氏は振り返る。

「偉大な指導者を失い、人々の心の中にあった炎が大きく燃え上がった1968年の公民権運動の時と同じように、人々は依然として行進し生き残ろうと声をあげ続けているように感じます。女性の権利、ラテンアメリカ人の権利、黒人の権利のために戦っていた当時、さまざまなことが起きていましたが、2021年の今もなお、当時から前進できていないように感じるのです」。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Sixty8 Capital投資マイノリティ女性LGBTQ+

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)