カシオ計算機とJAXA、月面基地建設に向け高精度位置測位システムpicalicoによる測位実験を開始

カシオ計算機とJAXA、月面基地建設に向け高精度位置測位システムpicalicoによる位置測位の実験を開始

月面基地イメージ ©JAXA

カシオ計算機は11月29日、JAXAと共同で月面基地建設を想定した高精度位置測位システム「picalico」(ピカリコ)による測位実験を実施すると発表した。神奈川県相模原市のサーティーフォー相模原球場で、グラウンドを月のクレーターに見立てて行われる。

これは、JAXAの宇宙探査イノベーションハブによる「第6回研究提案募集」で課題解決型の共同研究テーマとして採択されたもの。JAXAは、2030年代以降に月面にインフラを構築し、持続的な探査を目指す構想を掲げている。ただ当面は、月にはGPSなどの衛星測位システム(GNSS)がないため、月面探査車などの位置の正確な把握方法が求められている。これに、カシオ計算機は独自技術である「picalico」を提案した。

picalicoは、LEDの発光色を赤・緑・青の3色に変化させて構成される信号をカメラで捉え、その信号に紐付けられた座標から現在位置を算出するというもの。

信号は24回または12回切り替える色変化のパターンで構成され、そのパターンがひとつのID情報となる。信号パターンの組み合わせは100万通り(106万2882通り)以上あり、カメラ1台で100個の信号を同時に受信できる。カシオはこのシステムの提供を2019年3月より開始し、現在は工場や倉庫の自動搬送車やフォークリフトの作業動線の分析や所在管理などに利用されている。

 

実験は、11月29日から12月3日にかけて行われる。野球場のグラウンドを月面のクレーターに見立て、スタンドに複数のLED灯を配置。産業用カメラを搭載したトラクターを月面探査車に見立てて、フィールドを走らせる。

また実験自体は一般には非公開だが、その様子はJAXA宇宙探査イノベーションハブのTwitterアカウントに投稿される。

NASA、InSight探査機の地震計から火星の「環境音」データを生成し地下構造を分析

NASA、InSight探査機の地震計から火星の「環境音」データを生成し地下構造を分析

ETH Zurich

今から3年前の11月16日に火星のエリシウム平原に降り立ったNASAの探査機InSightが送ってきた火星の環境騒音データから、科学者らは地殻からマントル、核に至るまでの最初の数十mの状態を分析し、画像化しました。

我々の住む地球では、環境騒音といえば海、人間などの活動、風、そして大地そのものなど、多様な音源からのごちゃ混ぜの音になっています。しかし、大気がほとんどなく水の海もない火星では、上に挙げたなかの”大地そのもの”からの音が環境騒音の大部分を占めます。

InSightは搭載する地震計のデータから火星の環境騒音データを生成しており、それをスイス地震局(SED)とスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)が定期的に分析することで、火星内部がどのように積層しているかを調べました。SEDはこれまで数年のあいだ、地球上の地質構造を調べるために環境騒音データを分析してきており、その手法を火星に応用した格好です。

SEDによると、InSightが降りた場所の足もとから深さ3mまでは砂の層で、そのすぐ下には過去の隕石の衝突によって火星表面から巻き上げられて堆積した可能性が高い、約15m厚の岩石帯があるとのこと。さらに堆その下には、火星が冷え、乾燥した状態になった約17億年前ごろの溶岩層があり、その下にはさらに堆積物で分断された古い溶岩流の層があるとのこと。

この古い層は、地球もまだ火山活動が非常に活発だった約36億年前にまでさかのぼると見られており、太陽系の兄弟である地球と火星がその頃までは同じように成長の道を歩んでいたことが推測されます。

地球と火星はかつては同じように大きな海や大気層を持っていたと考えられます。しかし、その後なぜか火星だけは大気を保護する役割を持つ磁場を失い、太陽から放出される荷電粒子の太陽風が、保護を失った火星の大気を徐々に剥ぎ取っていったその結果、いまや地球と火星は見た目にも対照的な星となってしまっています。

今回の論文著者であるCedric Schmelzbach氏は、地球上で開発された手法を使用して、火星の地層構造が解析できることが証明できたと述べています。地球内部を知るための技術は他にもあり、それらを応用すれば、いつか我々の2番目のふるさとになるかもしれない赤い星についての理解がさらに深まるかもしれません。

(Source:Nature Communications。Via Space.comEngadget日本版より転載)

スペースデブリ除去に取り組む軌道上サービスのAstroscaleがシリーズFで約125.7億円調達

日本の宇宙ベンチャー企業であるAstroscale(アストロスケール)は、新たなシリーズFラウンドで1億900万ドル(約125億7500万円)の資金を調達し、同社の累計調達額は3億ドル(約346億円)に達した。Astroscaleは軌道上サービス技術を専門としており、軌道上でのビジネスをより持続可能なものにする手段として、軌道上の運用高度に存在するデブリの量を減らし、また、既存の衛星の寿命を延ばすことを目的としている。

日本のTHE FUNDが主導し、Seraphim Spaceなどの投資家の参加を得た今回のラウンドにより、Astroscaleの資金調達総額は3億ドル(約346億円)となった。Astroscaleの創業者兼CEOである岡田光信氏は、プレスリリースの中で、今回の資金調達により、事業規模の拡大と「2030年までに軌道上でのサービス提供を日常的に行う能力を劇的に加速させる」ことが可能になると述べている。

Astroscaleにとって、2021年は大きな年だった(ちなみに岡田氏は、米国時間12月15日に開催されるTC Sessions: Space 2021のメインステージに参加する予定だ)。同社は、8月にはデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d (エルサディー、End-of-Life Services by Astroscale – demonstrationの略)」の技術デモを成功させた。年内にその次のフェーズとなるミッションを控えており、また、2022年初頭に予定されている宇宙航空研究開発機構(JAXA)向けのミッションでも、軌道上デブリ除去のデモンストレーションを行う計画が進んでいる。

Astroscale社が前回5100万ドル(約55億円)を調達したのは2020年10月で、その年に同社は、 地球上の主要な通信インフラである大型静止衛星のサービスに注力しているEffective Space Solutionsを買収した。

関連記事:Astroscaleが約54億円を調達、静止衛星長寿命化や軌道上デブリ除去など業務を多様化

画像クレジット:Astroscale

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

スペースデブリ・宇宙ごみ問題に取り組むアストロスケールが約124億円のシリーズF調達、累計調達額約334億円を達成

スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールが約124億円のシリーズF調達、累計調達額約334億円を達成

持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ。デブリ)除去サービスを含む軌道上サービスに取り組むアストロスケールホールディングス(アストロスケール)は11月25日、シリーズFラウンドにおいて、第三者割当増資による約124億円の資金調達を発表した。過去最大額の調達額という。また6回目となる今回の資金調達により、累計調達額は約334億円となった。

調達した資金により、グローバルに開発するミッションとサービスを躍進させる。安全で費用対効果の高い軌道上サービスに関わる技術開発、日本、英国、米国における量産に向けた自社施設の拡張など、グローバルでの成長が可能になるとしている。

引受先は、日本のTHE FUND投資事業有限責任組合(THE FUND)、日本グロースキャピタル投資法人などをはじめ、英国のセラフィム・スペースインベストメント・トラスト(Seraphim)、フランスDNCAファイナンス傘下の DNCAインベストメント・ビヨンド・グローバル・リーダーズを含む海外投資家グループなど。詳細は以下の通り(50音順)。

  • DNCAインベストメント・ビヨンド・グローバル・リーダーズ(DNCA Invest Beyound Global Leaders)
  • EEI4号イノベーション&インパクト投資事業有限責任組合
  • THE FUND投資事業有限責任組合
  • アクサ生命保険
  • イノベーション・エンジンが運営する3ファンド(IEファスト&エクセレント投資事業有限責任組合、イノベーション・エンジンNew Space投資事業有限責任組合、イノベーション・エンジンPOC第2号投資事業有限責任組合)
  • オプス
  • セラフィム・スペースインベストメント・トラスト(Seraphim Space Investment Trust plc)
  • ソラリス ESG マスターファンド(Solaris ESG Master Fund LP)
  • 千葉道場2号投資事業有限責任組合
  • 日本グロースキャピタル投資法人
  • プレリュード・ストラクチャード・オルタナティブズ・マスターファンド(Prelude Structured Alternatives Master Fund, LP)
  • ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(Yamauchi-No.10 Family Office)
  • ワイズ・インベストメント(Y’s Investment Pte. Ltd.)

アストロスケールは、宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承するため、デブリ除去サービスの開発に取り組む世界初の民間企業。2013年の創業以来、軌道上で増加し続けるデブリの低減・除去策として、今後打ち上がる人工衛星が寿命を迎えた際や恒久故障の際に除去を行うEOL(End of Life)サービスや、既存デブリを除去するためのADR(Active Debris Removal)サービス、稼働衛星の寿命延命措置(LEX。Life EXtension)、宇宙空間上での宇宙状況把握(ISSA。In Situ Space Situational Awareness)、軌道上サービスの実現を目指し技術開発を進めてきた。

また、長期に渡り安全で持続可能な宇宙環境を目指すため、技術開発に加え、ビジネスモデルの確立、複数の民間企業や団体、行政機関と協働し、規範やベストプラクティスの策定に努めている。

同社は2021年8月、デブリ除去技術実証衛星「ELSA-d」(エルサディー。End-of-Life Services by Astroscale – demonstration)の実証において、模擬デブリの再捕獲に成功。現在は、2021年内実施予定となっている次のフェーズとして、捕獲機(サービサー)の自律制御機能を用いた「自動捕獲」に向けて準備を進めている。

日本では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証プロジェクト(CRD2プロジェクト。CRD2はCommercial Removal of Debris Demonstrationの略称)フェーズⅠの契約相手方として選定されている、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」(アドラスジェー。Active Debris Removal by Astroscale-Japan)の組立作業を2022年前半に開始予定。英国においては、英国宇宙庁による軌道上衛星2機の除去研究プログラムにアストロスケールが選定され、2024年の商用化に向けてEOLサービスの機能充足に努めているそうだ。また、米国・イスラエルのチームはLEXIの開発マイルストーンを順調に達成し、主要な試験を実施している。

初の軌道打ち上げに成功したAstraが新型ロケットの試験に向けて本格的に動き出す

ロケット開発スタートアップから株式公開企業となったAstra Space(アストラ・スペース)は、米国時間11月19日の夜、同社初の軌道打ち上げに成功。11月22日朝に株式市場が開くと、株価が42%も急上昇した。しかし、本当の仕事が始まるのはこれからだ。商業運行の開始を目指す同社は、2022年の飛行試験に向けて新しい仕様のロケットを準備している。

アラスカ州コディアックのPacific Spaceport Complex(パシフィック・スペースポート・コンプレックス)から打ち上げられた「Rocket 3.3(ロケット3.3)」または「LV0007」ロケットは、米国宇宙軍の宇宙試験プログラムの一環であるペイロード輸送に成功した。これはAstraにとって、軌道に到達したごく少数の民間企業の仲間入りを果たす大きな躍進だ。

関連記事:小型ロケット専門のAstraが前回の失敗を乗り越え初の軌道到達に成功

「これは本当に難しく、1つ間違えるだけですべてが上手くいきません」と、Chris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、米国時間11月22日の会見で記者たちに語った。

Astraでは、機敏かつ反復的なアプローチでテストを行っており、打ち上げ用ロケット(シリアルナンバーによる命名規則がある)を迅速に製造し、比較的短期間で試験飛行を実施している。その結果、最近の「LV0006」の飛行試験では、エンジンの異常により高度約50kmに到達する前にロケットが横に流れてしまうなどの失敗も経験している。

「多くのことは、実際に飛行している状態でないとテストするのが非常に難しいのです」と、ケンプ氏は説明する。「この反復アプローチにより、私たちは記録的な速さで(軌道打ち上げを)達成できました。他の方法では、このスケジュールで達成できなかったと思います」。

今回の打ち上げに向けて、Astraではフライトシミュレーションからではなく、同社が打ち上げ施設を構えるアラスカ州コディアックの氷点下の自然環境から、多くの有益なデータを得たと、チーフエンジニアのBenjamin Lyon(ベンジャミン・ライオン)氏は語っている。

「このような氷点下の環境で運用したことは、今まで一度もありませんでした」と、ケンプ氏は付け加えた。

2人の幹部は、次のRocket 3.3である「LV0008」が打ち上げ可能な状態に近づいていることを認めたが、打ち上げを行う日時や場所などの詳細については、今後発表すると述べるに留まった。

しかし、LV0007の打ち上げが支障なく行われたため、今後の3.3バージョンの変更にはこれ以上あまり力を注がないだろうと、ケンプ氏は述べている。代わりに、Rocket 3.3で運べる50kgのペイロード容量よりも重いペイロードを搭載可能な新バージョン「Rocket 4.0」に集中するという。同社は2022年に、Rocket 4.0の試験飛行を開始する予定だ。

Astraが目指しているのは、この小型ロケットシステムを使って、ゆくゆくは毎日宇宙への打ち上げを行うことである。この目標が最終的に達成できるかどうかはまだわからないが、ケンプ氏によると打ち上げの需要は時が経つに連れて増す一方であるという。

「Astraが上場して以来、宇宙技術企業と呼ばれる会社が10社以上も上場しています」と、ケンプ氏は語る。「これによって各社は、宇宙船や衛星のさらなる開発や反復設計を行うためのリソースが得られます。ここ2、3年で見てきたように、需要は今後も増え続けることが予想されます。そこでAstraは間違いなく、正確なスケジュールで正確な軌道にペイロードを届けることができるようになる立場にあると思います」。

軌道到達。✅Astraは、太平洋標準時2021年11月19日(金)深夜、米国宇宙軍のための最初の商業軌道打ち上げを成功させました。

画像クレジット:John Kraus / Astra

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASAのリアル「アルマゲドン」ミッション、小惑星軌道変更「DART」が11月24日13時すぎに打ち上げ

NASA(米国航空宇宙局)にとって、ここ数年で最も刺激的で風変わりなミッションであるDouble Asteroid Redirection Test(DART、二重小惑星方向転換試験)は、地球から数百万km離れたところからやってくる巨大隕石に衝突し方向転換させるべく米国時間11月23日夜(日本時間11月24日13時すぎ)に打ち上げられる。飛行の様子はライブで見ることができるが、実際に大衝突が起きるまでにはしばらく時間がかかる。

関連記事:NASAが「アルマゲドン」のような小惑星軌道変更ミッションの打ち上げを11月23日に予定

DARTは、宇宙を旅する生物にとって、飛来する小惑星の経路を意図的に変える初めての試みだ。心配はいらない、今回のケースは我らの貴重な惑星に危害を加えるものではく、将来そんな危機が訪れた時に必要となる介入の理想的な実験台だ。

「惑星防衛組織はこの問題に、実際、数十年にわたって取り組んできました」とNASAのThomas Zurbuchen(トーマス・ザブーケン)科学局長が説明した。「一連のツールを合体させるときがきました。このミッションはあらゆる利害関係者にとってますます重要になっています。本プログラムへの支持が高まったのはわずかこの5年間に過ぎません。そして、標的はその5年以上前から存在しています。地上から成功を見届けることができるこの完璧な機会について人々は語り合っています。追加調査は必要ありません」。

問題の小惑星は、太陽系を新婚カップルのように旅する二重小惑星の小さい方だ。大きい方の小惑星Didymos(ディディモス)は直径約780mで惑星キラーというわけではないが、近所に落ちてほしくないことに変わりはない。そしてディディモスを周回しているのが今回の標的、Dimorphos(ディモルフォス)で、長辺170mほどのピーナツ型をしている。ちょうど自由の女神がボルダリングするくらいの大きさだ。

DARTがやろうとしているのは、ディモルフォスがディディモスの向こう側から回ってきたその時を狙って飛んで行き、できる限り強く衝突することだ。宇宙船は質量約550 kg で、新しいイオンエンジンが秒速約6.6kmという目から涙が出るような(宇宙船に目があって空気があったとすれば)速度で飛ぶことを考えると、相当に強い衝突だ(衝撃の大きさを計算するのは専門家にまかせておく)。

ディモルフォスの軌道が衝突後にどう変わるかを表す模式図(画像クレジット:NASA/JHUAPL)

ディモルフォスが爆発して当たり一面に破片を飛ばすようなことはない。むしろその正反対で、影響はほとんど目に見えない。しかし、衝撃はディディモスを周回する軌道周期にわずかな影響を与え、速度を落とし、強力な望遠鏡で観察できる程度に周期を拡大する。この変化を観察することによって、科学者らは対象物の質量を知り、重い物体に別の物体を衝突させるこの精緻な技術がどれほど効果的だったかを知ることができる。

ロケットに搭載される前の防護壁の中にいるDART(画像クレジット:NASA/Johns Hopkins APL/Ed Whitman)

それがわかれば、将来たとえば2倍の大きさの小惑星が衝突コースに現れたとき、何が必要になるかを情報に基づいて判断することができる。「この」大きさの力を「この」角度で「この」時間と距離(できる限り遠く、とメンバーの1人が私にいった)から加えることで、地球に衝突しないために必要なだけ惑星の方向を変えられる。DARTはこうした惑星防衛技術の基盤となるだろう。できれば必要にならないことを願うが、石油掘削員を集めて土壇場で小惑星を爆発させるよりも、準備を整えておいたほうがいいことには誰も異論はない。これは、TechCrunchの貴重な年長読者を掴んでおくための「アルマゲドン」への言及だ。

「私たちが今回本当にやりたいのは、迫りくる脅威のサイズに応じてインパクター(衝突体)のサイズを決める方法を知ることです。高い精度をもった衝突体モデルが必要なのです」とザブーケン氏は言った。1回のミッションでは足りないかもしれないし、次の衝突ミッションの計画はまだないが「別のタイプの小惑星に向けた追跡試験が計画されることは容易に想像できます」と同氏は語った。

衝突は比較的小さいかもしれないが、それでもワクワクする。そのために、NASAは衝突前にDARTから分離されるキューブサット、LICACube(リシアキューブ)を送り込んで近くから観察し、宇宙の山にアタックするところのデータと大衆受けするビデオを記録する。それは一陣の埃か瓦礫かソーラーパネルの破片のようなものかもしれないが、見るまでわからない。小惑星には何かが暮らしているかもしれない。もしそうであっても、1094万kmの彼方のことなので差し迫った危険はない。いずれにせよ、小惑星に宇宙船をぶつけるところをカメラに収め「ない」ことなど想像できない。

「これはリスクも衝撃も大きい探査です」とザブーケンしがキューブサットについて言った。キューブサットは衝突の瞬間を綿密に監視するための理想的な位置に置かれる。「これがなくても成功を確認することはできますが、あの映画を見たいんですよ、そりゃあ」。

DARTはSpaceX(スペースエックス)のFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットを使って、米国太平洋標準時11月23日午後10時20分(日本時間11月24日13時20分)頃からの打ち上げ予定で、ヴァンデンバーグ空軍基地の天候は最新予報で90%良好だ。打ち上げ後、宇宙船がディモルフォスと破壊ランデブーを行うまでには1年近くかかる。衝突は2022年9月末に起こる見込みだが、正確な時間はさまざまな要因が確定するまでわからない。

打ち上げ前中継はNASA Liveで1日中行われるが、直前準備とカウントダウンは午後7時(日本時間24日正午)頃が見どころだ。こちらのリンクから見ることができる。

画像クレジット:NASA/JHUAPL

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Rocket Labは2022年にヘリコプターでElectronロケットブースターの空中キャッチを目指す

Rocket Labが3回目のブースター回収に成功したことを受けて、CEOのPeter Beck(ピーター・ベック)氏は、次のステップとして、2022年前半にヘリコプターを使ってブースターを空中でキャッチすることを目指していると語った。

Rocket Labは先に、地理空間画像衛星「BlackSky」2基を低地球軌道に運んだあとで洋上に着水したElectron打ち上げ機の第1段を回収した。そのミッションの間、同社はヘリコプターを着水領域の近くに配置したが、その目的は偵察だけだった。一貫して、同社の再利用化計画の究極の目標はブースターを空中でキャッチすることであり、それが今や近づいている。

ベック氏は米国時間11月23日の記者との電話会見で現在からそれまでの間に行われる主な作業は、ヘリコプターの準備だと述べている。空中キャッチに使われる航空機は、先の打ち上げ時に存在したものよりもかなり重く、積載量もかなり多いものになる(第1段の重量は約980kg)。

「また、非常に忙しいスケジュールの中で、フライトのスケジュールを組むことも重要な仕事のひとつです。最優先事項は、常にお客様を時間どおりにお届けすることです。それが次の課題ですが、2022年前半、もしくは可能な限り早くフライトを実現したいと考えています」。

同社は、現在から空中回収を試みるまでの間に、いくつかの商業飛行を計画しているが、これらは回収を目的としないミッションだ。Rocket Labにとって次の大きな学習のチャンスとなるのは、ブースターをキャッチして濡れていない状態で工場に戻すことができたときだとベック氏は付け加えた。

2022年に向けて、ベック氏はRocket Labにとって忙しい年になると予想している。その理由の1つは、ニュージーランドで新型コロナウイルスの規制が続いているため、2021年の同社打ち上げ回数が制限されていたからだ。来年の打ち上げ数については言及していないが、2022年はこれまでで最も忙しい年になるだろうという。

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ブルーオリジン、初の親子を含む乗客6人の宇宙飛行を12月9日に設定

Blue Origin(ブルーオリジン)は、次の有人宇宙飛行を発表した。米国時間12月9日に6人を乗せて実施する。同社が再使用可能なロケットNew Shepardとカプセルに最大定員となる乗客6人を乗せて飛行するのは今回が初めてだ。搭乗するのは、「Good Morning America(グッドモーニング・アメリカ)」の共同司会者であるMichael Strahan(マイケル・ストレイハン)氏、ロケットの名前の由来であるAlan Shepard(アラン・シェパード)氏の娘Laura Shepard Churchley(ローラ・シェパード・チャーチリー)氏、Voyager SpaceのCEOであるDylan Taylor(ディラン・テイラー)氏、Dick Holdingsの業務執行社員Evan Dick(エバン・ディック)氏、そして父子であるLane Bess(レイン・ベス)氏とCameron Bess(キャメロン・ベス)氏だ。

Blue Originは、有人宇宙飛行ミッションで歴史的な「初」体験を好む傾向にあるが、今回は親子が一緒に宇宙に行くのは初となる。Bess Venturesのプリンシパルで創業者のレイン・ベス氏と、コンテンツクリエイターでソフトウェア開発者であるキャメロン・ベス氏がともに搭乗する。

上段左から右へ、レイン・ベス氏、 キャメロン・ベス氏、エバン・ディック氏。下段左から右へ、ディラン・テイラー氏、ローラ・シェパード・チャーチリー氏、マイケル・ストレイハン氏

今回の有人宇宙飛行は、Blue Originにとって3回目であり、また2021年3回目のものでもある。New Shepardはこれまでに、各回とも4人が乗り込んだ有人宇宙飛行を2回実施した。最初の打ち上げにはBlue OriginとAmazonの創業者であるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏も搭乗し、10月にはWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏をはじめ、Blue OriginのAudrey Powers(オードリー・パワーズ)氏、DCVCのパートナーであるChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)氏、Medidata共同創業者であるGlen de Vries(グレン・デ・ヴリーズ)氏を宇宙に送った。デ・ヴリーズ氏は宇宙飛行の数週間後に飛行機事故で悲劇的に亡くなった。

Blue Originがこうしたペースで打ち上げを行っていることは、特に搭乗券が高価なことを考えると、ものすごいことだ。6人の搭乗となったことで、Blue Originはおそらく利益率を向上させ、その結果、この後に続く人たちにはもう少し手頃価格の座席が提供されるかもしれないが、それでも非常に贅沢なものであることは間違いない。

Blue OriginのNew Shepardは、乗客を宇宙の端まで連れて行き、準軌道上の滞在となるが、数分間の無重力状態と比類のない地球の眺めを提供する。その後、カプセルはパラシュートで減速して西テキサスの砂漠に着陸する。

画像クレジット:Blue Origin

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

花王の衣類用洗浄シートと洗髪シートが国際宇宙ステーション・ISSに搭載決定、水を使わず清潔に

花王は11月22日、衣類の汚れや匂いを取る衣類用洗浄シート「Space Laundry Sheet」(スペースランドリーシート)と、簡単に頭皮や髪の汚れを拭き取れる洗髪シート「3D Space Shampoo Sheet」(スリーディースペースシャンプーシート)が、JAXAの「宇宙生活/地上生活に共通する課題テーマ・解決策のアイデア募集」に採用され、2022年頃に国際宇宙ステーション(ISS)に搭載されることになったと発表した。

水が貴重な宇宙ステーションでは、衣類の洗濯ができず、宇宙飛行士は同じ服を何日も着ることになる。汚れがひどい衣類は廃棄するしかない。また洗髪も、ごくわずかな水と特別なシャンプーを使い、シャンプーが飛散しないよう注意しながら行う必要がある。こうした状況を改善しようと、花王はこれらの製品を開発した。

Space Laundry Sheetは、衣類用の洗浄液を染み込ませた不織布シート。水を使わず、汚れや匂いのある場所を拭き取ることができる。部分的ながら、洗濯機で洗ったときと同等の洗浄力があるという。抗菌、消臭成分も含まれている。

3D Space Shampoo Sheetは、洗髪用の洗浄液を染み込ませた、凹凸のある不織布シート。凸部で頭皮をマッサージしながら、頭皮と毛根部分の汚れを拭き取ることができる。水を使わないため、飛散の心配がない。「さわやかなみずみずしい香り」が付いている。

試作段階に宇宙飛行士に使ってもらいアンケートをとったところ、「地上より期待度を下げて適応していたISSでのやや不便な生活を、本品は快適にしてくれる可能性が高い」「運動後、短時間でリフレッシュするには効果的」などといった良好な反応が得られた。

この開発から得られた知見は、宇宙空間のみならず、「被災時や入院時、さらには水不足の国や地域への応用も期待されます」と花王では話している。

JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

現在、日本の宇宙飛行士7名の平均年齢は51歳。今のままでは月周回ステーション「ゲートウェイ」の搭乗が開始される2025年には、定年退職のために人数は4人となり、月面活動が本格化する2030年には2人に減る。そこでJAXAでは、月面探査などの新たなミッションに備えて、宇宙飛行士を若干名募集することになった。だが今回は、これまでと応募資格が大きく緩和された。

JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

申し込みには、エントリーシートの入力と健康診断書の提出が必要となる。

募集および選抜の実施概要

  • 採用人数:若干名
  • 募集開始:2021年11月19日
  • 受付期間:2021年12月20日から2022年3月4日まで
  • 選抜結果発表:2023年2月ごろ

応募資格

  • 2021年度末(2022年3月末)の時点で3年以上の実務経験を有すること。ただし、修士号取得者は1年、博士号取得者は3年の実務経験とみなす
  • 以下の医学的特性を有すること
    身長:149.5〜190.5cm
    視力、遠距離視力:両眼とも矯正視力1.0以上
    色覚:正常(石原式による)
    聴力:正常(背後2メートルの距離で普通の会話可能)

JAXAが宇宙飛行士に求める人物像は要約するとこうなる。

  • 国際共同事業において多様性を尊重しつつ協調性とリーダーシップを発揮できる人
  • 国際宇宙探査ミッションに備えて、適応能力があり、極限環境でも柔軟な思考と着眼点で適時的確な判断ができる人
  • ミッションで得た経験を世界中の人々と共有する表現力や発信力があり、人類の持続的な発展に貢献できる人。

選抜において評価されるポイントは次の8つ。

  • 宇宙飛行士の職務に対して、明確な目的意識と達成意欲の強さ
  • 宇宙飛行士に求められる任務・訓練に耐えうる健康状態
  • STEM分野の知識や論理的思考力、円滑な意思の疎通が図れる英語能力とともに、教育や実務経験等の中で取り組んできたことにおける専門性
  • ミッション遂行能力(自己管理、コミュニケーション、状況認識、リーダーシップ、問題解決、チームワーク、マルチタスクなど)とともに、緊急事態にも迅速かつ的確に対処する能力
  • 業務環境、技術、社会の急速な進歩や変化に適用する身体能力、精神心理的適応性、強靭性を有し、未経験の知識や技量を速やかに習得する能力、未経験の作業に知識や技量を柔軟に活用して対応する能力
  • 日本人としての誇りを持ち、人文科学や社会科学分野を含む広範な素養と知識を有し、異文化、伝統、価値観に敬意を払う国際的なチームの一員にふさわしい態度
  • 自らの体験や成果などを外部に伝える豊かな表現力と発信力
  • 国内外で求められる高いコンプライアンス意識

今回の宇宙飛行士候補者募集に向けて、JAXAでは一般から意見を募った。そこでは、学歴、専門性を問わないでほしい、女性枠を設けてほしい、任期制やクロスアポイントメントなど働き方を多様化してほしい、選考過程を透明化してほしい、落選者への対応がほしいといった意見が寄せられ、これらを反映しつつ、募集の方針は次のように決められた。

  • 学歴、専門は問わない。泳力、自動車運転免許証などは応募資格から除外
  • 募集人数が少ないので女性枠は設けず、女性応募奨励のための広報関連施策を行う
  • 働き方の多様性は、訓練の従事割合がほぼ100%、海外での訓練もあり難しい
  • 選考過程の透明性は、個人情報保護などを考慮しつつ、可能なものは積極的に公開する
  • 落選者へのフィードバックを検討する

JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

選抜は、書類選考、第0次選抜から第3次選抜まで行われる。その中では、英語、一般教養、STEM(理工系)分野の試験、小論文、適正検査、医学検査、面接、資質特性検査など数々の審査が行われる。JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

選抜後の予定

  • JAXA入社、基礎訓練開始:2023年4月
  • JAXA宇宙飛行士の認定: 2024年度末ごろ(2025年3月ごろ)

選抜された宇宙飛行士候補者は、次の流れで訓練を行うようになる。

  • 国内を中心に宇宙飛行士候補者訓練を受け、宇宙飛行士に必要となる科学や技術の知識、ISS「きぼう」システムの概要などを学ぶ。英語、ロシア語も習得する
  • 候補者訓練の修了後、これらの訓練結果の評価によりJAXA宇宙飛行士に認定される
  • ISS計画に参加する日本、米国、ロシア、欧州、カナダの宇宙機関にてISSの各システムとその操作技術などを学ぶ
  • ISS搭乗が決定すれば、ミッション遂行に必要なISS操作手順、実験操作手順などの訓練と、有人輸送機の操作訓練などを行う
  • 米国が提案する国際宇宙探査(アルテミス計画)、有人輸送機(米国新型宇宙船)、ゲートウェイに関連した訓練を行う

宇宙飛行士として予定されている宇宙活動は、以下のようなものだ。

  • 米国商業宇宙船などへの搭乗、 ISSでの滞在(長期)、ISSおよ「きぼう」システムの操作保全、実験研究、船外活動
  • 米国新型宇宙船への搭乗、ゲートウェイでの滞在(短期)、操作保全、実験研究、船外活動
  • 月面着陸船への搭乗、月面での滞在(短期)、月面での実験研究、月面での船外活動

募集説明会が、「JAXA公式YouTubeチャンネル」において、2021年12月1日18:00〜20:20(予定)に行われる(ライブ配信後はアーカイブ配信)。
JAXAが宇宙飛行士候補者の募集を開始、応募資格を大幅に緩和

小型ロケット専門のAstraが前回の失敗を乗り越え初の軌道到達に成功

軌道に到達した少数の(しかし増えつつある)ロケット打ち上げ会社に、新たに数えられるようになったスタートアップがある。Astra(アストラ)だ。アラメダに拠点を置くこのロケットスタートアップは、現地時間11月19日午後9時過ぎに、アラスカ州コディアックにある発射場からロケットを離陸させ、成功を収めた。

Astraの「LV0007」ミッションは、8月に行われた試みに続くものだ。前回は、離陸直後に短いホバリングと横方向へのストゥレイフ運動という不安定なスタートを切り、軌道に到達することなく終了した。その後、同社は失敗の原因(エンジンの早期停止)を調査し、LV0007の打ち上げを2021年10月末に設定した。しかし、天候の影響で打ち上げは延期された。

今回の打上ちげと初の軌道到達の1年弱前に、同社はRocket 3.2の試験打上げで宇宙に到達した。そのミッションでは軌道の手前までいき、Astraのチームを含むすべての人を驚かせた。

迅速な対応と大量生産というAstraのロケット産業へのアプローチは、まだ満たされていないニッチな分野に適している。SpaceX(スペースエックス)のFalcon 9のような大型ロケットのライドシェアモデルに頼ったり、Rocket Lab(ロケットラボ)のElectronのようなものに比較的高い価格を支払ったりするのではなく、より多くの企業が専用のミッションで貨物を宇宙に運ぶことができるような価格設定で、小さなペイロードのロケットを製造することができる、とAstraは主張している。

AstraのチーフエンジニアであるBenjamin Lyon(ベンジャミン・ライオン)氏は、2021年のTC SessionsのSpace部門に参加する。今回のマイルストーンとなる成功について、話しが聞けるはずだ。

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

東北大学、ISS日本実験棟「きぼう」に31日間滞在したネズミから宇宙で血圧や骨の厚みが変化する仕組みを解明

東北大学、ISS日本実験棟「きぼう」に31日間滞在したネズミから宇宙で血圧や骨の厚みが変化する仕組みを解明

東北大学は11月17日、国際宇宙ステーション(ISS)に1カ月滞在したマウスを解析し、宇宙旅行の際には、腎臓が中心となって血圧や骨の厚さなどを変化させることを発見した。また1カ月の宇宙旅行では血中の脂質が増え、腎臓で余った脂質の代謝や排泄に関わる遺伝子が活性化していることもわかった。

東北大学大学院医学系研究科の鈴木教郎准教授と山本雅之教授らの研究グループは、JAXA筑波大学と共同でこの実験を実施した。同グループは、ISS日本実験棟「きぼう」に31日間滞在した12匹のマウスの腎臓を解析したところ、血圧と骨量の調整に関わる遺伝子群の発現量が変化していることを突き止めた。また、血液中の脂質が増加していて、腎臓で脂質代謝に関係する遺伝子の発現が増加していることもわかった。

地上では、重力に逆らって姿勢を保ったり血液を体中に押し出す必要があるが、それらを必要としない微小重力環境では、体の基礎的なエネルギー消費量が低下する。これまで、宇宙では重力の変化により、血圧と骨の厚さに変化が起きることはわかっていたが、その仕組みは明らかになっていなかった。今回の研究で、そこに腎臓の遺伝子群が関わっていることが判明したわけだ。

この結果から、宇宙旅行の際には、腎臓の健康状態を確認したり、薬剤などで腎臓の機能を調整するなどの腎臓の管理が重要になるとことが示された。今回得られたデータは、東北メディカル・メガバンク機構とJAXAが共同で整備する公開データベースに登録され、世界中の研究者がアクセスできるようになっている。

マスク氏、人類を他の惑星に送り出す大規模打ち上げシステム「Starship」の初軌道飛行は2022年1月が目標

SpaceXは、史上最大の超重量級打ち上げシステムStarshipの開発を、驚異的なペースで進めている。そして同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、2022年中に軌道に達するあろうことに「安心」している。

マスク氏は、全米アカデミー初のSpace Studies Board(宇宙研究委員会)およびBoard on Physics and Astronomy(物理・天文学委員会)の合同バーチャル会議で、いつも哲学的方向に脱線しがちなコメントの数々を披露した。シンプルに「SpaceX Starship Discussion(SpaceX Starshipに関する議論)」と題された講演とその後の質疑応答で、同社の次世代システムの技術、運用面の詳細についてアカデミー会員からの質問に答えた。

マスク氏は、テキサス州ボカチカにある同社の広大な施設、Starbase(スターベース)の発射台と発射タワーを2021年11月中に完成させ、最初の軌道投入を2022年1月に行うことを目指している。その後、2022年中に10回あるいはそれ以上の打ち上げが続くだろうとマスク氏は述べた。

ただしそれは、Starshipが1月に軌道に到達するという意味ではないことをマスク氏が慎重に補足した。「最初の打ち上げには多くのリスクがともないます。成功する可能性が高いというつもりはありませんが、大きな進歩を遂げるだろうと私は考えています」と彼はいう。

1月の打ち上げを阻むもう1つの障壁は、当局の認可だ。SpaceXのStarbaseにおける打ち上げ事業は、現在、連邦航空局(FAA)の環境評価を受けている。FAAは今週、12月31日までに審査を終える予定だと語っているため、すべてがマスク氏の計画どおりに進めば、1月打ち上げは最速実行可能日となる。

マスク氏は、Starshipの打ち上げを約2年以内にFalcon 9よりも安い価格で販売開始することも予測した。これは、NASAの有人月面着陸システム(HLS)に関するSpaceXの提案に書かれた日程よりさらに早い(HLSはNASAのアルテミス計画の一環として、アボロ計画以来初めて人間を月に送り込むプログラムで、SpaceXが単独指名を勝ち取った。Artemis 3と呼ばれるその打ち上げは、現在、2025年に予定されている)。

Starshipの歩みは速い

Starshipのスケールを大げさに語ることは難しい。宇宙船Starshipと打ち上げロケットSuper Heavy(スーパーヘビー)からなる同システムは、歴史上どの打ち上げシステムよりも大規模だ。完成時の高さは120メートルになる(NASAが開発中のSpace Launch Systemと宇宙船Orionはフル装備で98メートル)。Starshipは100トン以上の積載物を繰り返し軌道に送り込む能力があり、マスク氏がいう「太陽系のための汎用輸送機構」として機能する。

しかしマスク氏の目標Starshipを1台か2台、いや10台作ることでもない。講演の中で同氏は、真に複数惑星の生活を送るためには、人類は約1000基の打ち上げシステムを必要とするだろうと推計した。そしてSpaceXは、それを大量(あるいは限りなくそれに近く)生産するための工場を作っている。

同社はStarshipの開発を高速で進めている。去る2021年5月、SpaceXはStarshipの15番目のプロトタイプを打ち上げ、ロケットは高度約9.1kmに達した後、垂直着陸に成功した。それは打ち上げ機が無傷のうちに終えた初めてのテストだった。

「SpaceXの最重要目標は、宇宙テクノロジーを進化させ、人間が複数惑星種に、究極的には宇宙を旅する文明となり、SFで読んだものごとを実現しフィクションではないものにすることです」と、マスク氏は全米アカデミー会員に語った。

「これは意識の光を長期的に維持するために、非常に重要なことだと思っています」。

マスク氏のトークは以下で確認することができる。

画像クレジット:National Academies

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

人工衛星で地表温度データを収集・解析するHydrosatがさらに11.4億円の資金調達

地理空間データのスタートアップであるHydrosat(ハイドロサット)は、地表温度分析製品の商業化を加速するため、シードラウンドで1000万ドル(約11億4000万円)を確保した。

Hydrosatは、赤外線センサーを搭載した人工衛星を使って地表の温度データを収集することを目指している。同社がサブスクデータ分析プロダクトとして販売する予定の温度データでは、水ストレス、山火事の脅威、干ばつに関する理解を深めることができる。カリフォルニア州での記録的な干ばつの年、米国西部で歴史的な火災シーズンが終わる今、その3つが将来も起こると予想することは極めてやさしい。

Hydrosatは、継続的な情報収集を計画している。各衛星が地球上のあらゆる範囲を継続的に監視するため、それぞれの衛星に特定の地域を監視させる必要がないという意味だ。

「環境モニタリングや農林業における多くの利用例で、そのことが非常に有益になっています。我々はデータを、将来のためにライブラリに保存しているため、その日、翌週、翌々年など、いつでも使えるのです」と同社のCEOであるPieter Fossel(ピーター・フォッセル)氏は最近のインタビューで語っている。

6月に500万ドル(約5億7000万円)の資金調達を完了後、またすぐに資金調達を行うことにしたのは「チャンスがあった」からだとフォッセル氏はいう。「我々は、ヨーロッパに拠点を置くすばらしいグループであるOTB Venturesと繋がりをもちました。同社はレーダー衛星のICEYEをはじめ、この分野の先進的な企業に出資してきました」。

「これまで既存の投資家シンジケートから得たサポートもありましたが、それに加え、この新しい投資家と一緒に仕事をする機会に恵まれたのです」とフォッセル氏は付け加えた。

今回の追加資金は、商用のサブスクリプション向けアナリティクス製品の2022年初頭の発売や、同年後半に宇宙サービスプロバイダーのLoft Orbitalと共同で実施する最初の衛星ミッションを十分に検討するために使用される。また、同社は、市場投入までの時間短縮のために従業員を大幅に増やすことできる。

画像クレジット:Hydrosat

同社は、資金調達のニュースと同時に、スイスの多国籍テクノロジー企業であるABBと協力し、宇宙で使う熱赤外機器を製造することを明らかにした。ABBは、これまでにNASA(米航空宇宙局)、カナダ宇宙庁、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)、および民間企業向けにイメージャーやセンサーを製造してきた。ABBが製造した赤外線イメージャーは現在、同名の会社が運営する温室効果ガスの排出量を検出・測定する宇宙機「GHGSat」に搭載されている。

また、Hydrosatは、NASAのランドサットプログラムの熱赤外データの調整を行っているロチェスター工科大学と提携している。同社が政府機関との取引を成功させるには、すでに政府機関と取引実績がある企業や機関との契約の確保が鍵となりそうだ。

Hydrosatは、すでに欧州宇宙機関との契約と、米空軍および国防総省との3つのSBIR(Small Business Innovation Research)契約を獲得した。空軍との契約の一環として、同社はニューメキシコ州の高高度気球に第1世代のイメージャーを搭載し、宇宙との境界まで飛行させた。同社にとって重要な技術的マイルストーンとなった。熱赤外画像を収集し、その処理と調整が正確に行えるようになったからだ。

また、同社は商業分野にも目を向ける。フォッセル氏は、農業や環境分野の企業とすでに契約を結んでいると付け加えたが、詳細は明らかにしなかった。

中期的な目標として、同社は16機の衛星を打ち上げたいと考えている。フォッセル氏によると、衛星群の数は、同社が提供できるデータの頻度ほど重要ではないという。中期目標を理解するには、データ収集の頻度が鍵となる。同社は、地球上のあらゆる場所で毎日熱赤外画像を撮影できるようにしたいと考えている。「それが中期的な目標であり、衛星群の規模は単にそれを実現する手段にすぎません」。

今回の資金調達ラウンドはOTB Venturesがリードし、Freeflow Ventures、Cultivation Capital、Santa Barbara Venture Partners、Expon Capitalも参加した。

画像クレジット:Hydrosat

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグラーが宇宙をマネタイズ、Axiom Spaceの民間宇宙ステーションが提供するさまざまなサービス

次期国際宇宙ステーションを建設するAxiom Space(アクシオム・スペース)は、2021年初めに10億ドル(約1148億6000万円)規模の評価を受けた後、Google(グーグル)出身のTejpaul Bhatia(テジポール・バティア)氏を同社初のCRO(最高収益責任者)に採用した。同氏は宇宙エコシステムの成長と収益化を担うことになる。

2017年、バティア氏はCiti Ventures(シティ・ベンチャーズ)でエグゼクティブ・イン・レジデンスを務めていた際にAxiomを紹介され、同社がNASAとの1億4000万ドル(約159億円)の契約を獲得した後の2020年にエンジェル投資家として投資。その後7月、リーダーシップチームの一員として参加することになった。

Axiom SpaceのCRO(最高収益責任者)であるTejpaul Bhatia(テジポール・バティア)氏(画像クレジット:Axiom Space)

しかし、宇宙分野におけるパイオニアはAxiomだけではない。NASAとの契約金4億ドル(約454億円)をめぐって、宇宙空間に進出しようと目論む宇宙ベンチャー企業のゴールドラッシュは始まっている。

十数社のコントラクターがこの競争への参加を表明しており、2021年10月には2社が発表された。10月22日には、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)がVoyager Space(ボイジャー・スペース)およびNanoracks(ナノラックス)と提携して2027年までに宇宙ステーション「Starlab」を打ち上げるという入札を行っており、また10月25日には、Blue Origin(ブルーオリジン)がSierra Space(シエラ・スペース)およびBoeing(ボーイング)と提携して、2025年から2030年の間に宇宙ステーション「Orbital Reef」を打ち上げるという計画をJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が発表している。

Axiomの役割はというと、2028年に退役する予定のISSからシームレスに移行するために、ISSに増築を行いながら段階的にAxiom Stationを建設するという計画をNASAが承認している。

最初のモジュールである「Hub 1」は2024年にドッキングする予定で、研究施設と4人のクルーのための居住区があり、タッチスクリーンの通信パネルと大きな窓が設置される予定だ。2025年には同様の設備を備えた2番目のモジュール「Hub 2」が計画されている。2026年には微小重力実験室の建設が続くという。そして2027年には、太陽電池アレイを搭載したパワータワーが3つのモジュールに取り付けられ、ISSのキャパシティを2倍にするAxiom Stationが形成される。2028年にはAxiom Stationが切り離され、自己軌道に乗り始めるという計画である。

WeWorkの地球外リトリート施設や研究機関の研究ハブとして機能するだけでなく、小国が独自の宇宙プログラムを立ち上げるための手段になる巨大な工業施設を今後7~10年の間に地球低軌道上に建設するという野望について、TechCrunchはバティア氏に話を伺った。

これが同氏の考える、Googleの戦略を見習った最後のフロンティアをマネタイズする方法だ。

Axiom Stationのタイムライン(画像クレジット:Axiom Space)

究極の旅を予約

Axiom Spaceは、国際宇宙ステーションの元マネージャーであるMichael Suffredini(マイケル・スフレディーニ)氏とIntuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)の共同創業者であるKam Ghaffarian(カム・ガファリアン)氏によって2016年に設立された。2月にはC5 Capital(C5キャピタル)が主導する1億3000万ドル(約147億7000万円)のシリーズBラウンドをクローズし、リードインベスターであるBlue Originの元社長Rob Meyerson(ロブ・マイヤーソン)氏が取締役に就任。これまでに総額1億5000万ドル(約170億4000万円)を調達している。同社はヒューストンに本社を置き、300人以上の従業員を擁している。

Axiomの主な収入源は、ISSでの短期滞在向けのエンド・ツー・エンドのミッションプロバイダーとなることによるものだ。つまり宇宙飛行士訓練とSpaceX(スペースエックス)による往復輸送(食料、水、酸素、通信、データ、電源などの必需品を含む)をパッケージ化し、7~10日間のオールインクルーシブ滞在を民間に販売するというわけだ。また、ISSの微小重力実験室で行う実験のためのリサーチミッションを販売する他、コンテンツやメディアのスポンサーシップの販売にいたってはすでに開始されている。

2022年には2つのミッションが予定されている。NASAの元宇宙飛行士でAxiomの副社長であるMichael López-Alegria(マイケル・ロペス=アレグリア)氏が、2月21日に予定されている最初のミッション「Ax1」を指揮し、投資家のLarry Connor(ラリー・コナー)氏、Mark Pathy(マーク・パシー)氏、Eytan Stibbe(エイタン・スティッベ)氏がクルーを務めるという。ワシントン・ポスト紙は、チケット価格を乗客1人当たり5500万ドル(約62億5000万円)と報じている。

2つ目のミッション「Ax2」は2022年後半に計画されており、宇宙滞在時間の米国最長記録を持つNASAの引退宇宙飛行士Peggy Whitson(ペギー・ウィットソン)氏と、米国の投資家でレーシングカーのドライバーおよびパイロットでもあるJohn Shoffner(ジョン・ショフナー)氏が参加する予定だ。まだ2つの席が空いているはずだが、Elon Musk(イーロン・マスク)氏とともに2億ドル(約227億1000万円)のユニバーサル映画を製作中で、NASAからも飛行すると噂されているTom Cruise(トム・クルーズ)氏がこのフライトに参加するのか否かは、Axiomは明らかにしていない。

3回目と4回目のミッションは2023年に計画されており、いずれかのミッションにはDiscovery Channel(ディスカバリーチャンネル)の競争型リアリティテレビ番組「Who Wants To Be An Astronaut?」の優勝者が参加する予定だ。

この分野におけるAxiomの競合他社には、1998年にBOLD Capital(ボールドキャピタル)のPeter Diamandis(ピーター・ディアマンディス)氏が共同設立したSpace Adventures(スペース・アドベンチャーズ)がある。同社はこれまでに、Cirque du Soleil(シルク・ドゥ・ソレイユ)の共同創設者であるGuy Laliberté(ギー・ラリベルテ)氏を含む7人の民間人を、ロシアの宇宙機関Roscosmos(ロスコスモス)を通じてISSに輸送してきた。2023年に予定されている同社2回目のISSへのミッションは宇宙遊泳だ。SpaceNews(スペースニュース)によると、同社は2021年後半にSpaceXによる軌道旅行を計画していたものの、需要の少なさのためにキャンセルされている。

億万長者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が、スタートレックのWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏などの民間人を宇宙の果てまで連れて行くという話がここ数カ月湧いていたが、実際市場はチケット代を払える人に限られている。

幸いなことに、億万長者らはAxiomのターゲットではない。

  1. Render-Axiom-Station

    画像クレジット:Axiom Space
  2. Axiom-Station-rendering-2

    画像クレジット:Axiom Space
  3. Axiom-Station-rendering

    画像クレジット:Axiom Space
  4. Axiom-featured

    画像クレジット:Axiom Space

 

 

スカイシティへようこそ

ネオン輝く天空のビルの周りをスペースカーが疾走するThe Jetsons(宇宙家族ジェットソン)のようにはいかないかもしれないが、2024年にAxiomが最初の居住施設をISSにドッキングさせるとき、事態はかなりおもしろくなるだろう。

バティア氏によるとAxiomは今後ISSの容量制限を受けなくなるため、さらに多くの部屋や研究施設を建設することができ、より多くのミッションを提供できるようになるという。Axiomは需要に応じて、BoeingのStarlinerを含む、SpaceXのような他のロケットプロバイダーとの協力も承認さえおりれば考慮したいと考えている。

バティア氏は2024年が収益成長の重要な変曲点になると考えている。

「Axiomステーションが稼働し始めれば、企業や機関、政府が物理的スぺースやデジタルスペースをカスタムメイドで構築、購入、リースできるハイブリッドモデルになるでしょう」と同氏。

「私たちの物理的スペースのクールな点は、ラボ、データセンター、居住スペースなどのモジュールが、レゴのように切り離され飛び回り、再構築できるということです」。

しかしバティア氏は、アプリで部屋を予約できるような宇宙ホテルなどとは決して呼ばれたくないようだ。Axiom Stationは独自の宇宙プログラムを構築しようとしている政府から、微小重力実験室やコロケーション製造施設を必要としている企業や機関まで、さまざまな顧客を想定した巨大な産業用宇宙施設であると同氏は考えている。

「私たちは食料、水、酸素、生命維持システム、帯域幅、データ、インサイト、エッジコンピューティング、通信、電力など、あらゆる企業、機関、政府が軌道上で運営するために必要なものが完備された物理的スペースを提供します」と同氏。

「さらにエキサイティングなことに、iPhoneのセンサーを使ってアプリケーションを開発するのと同じように、開発者が船上のセンサーやその他の機器を使ってビジネスを構築することができる、インフラストラクチャ・アズ・ア・サービスとして販売するデジタルプラットフォームを提供することもできます」。

Axiomのクルーステーション・クォーターのレンダリング画像(画像クレジット:Axiom Space)

Axiom StationのOSをサードパーティが開発できるようなソフトウェア開発キットを実際に制作するかどうかは不明だが、バティア氏はAxiom Stationのセンサーの用途として、スペースデブリや地球の気候のモニタリングが考えられると話している。

またバティア氏は、宇宙開発の予算がある国とまだ予算がない国の両方の市場を想定している。

「私たちの目標は、ISSが寿命を迎えたときに、すべての人のための完全なサービスと機能を備えたプライベートステーションを提供してギャップが生じないようにすることです。ある国の予算が数十億ドルであろうと、その数分の一であろうと、私たちはその国のニーズに合ったソリューションを作ることができるでしょう」。

NASA、ESA(欧州宇宙機関)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、Canadian Space Agency(カナダ宇宙庁)、Roscosmosが、ISSの後継機として年間20億ドル(約2256億7000万円)から30億ドル(約3385億5000万円)の収益をAxiom Stationに移すことをバティア氏は期待している。Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)のレポートによると、商業宇宙部門は2020年に3500億ドル(約39兆4683億円)、2040年には1兆ドル(約112兆7370億円)になると予想されており、Axiomとしては長期的にこの数千億ドル規模の市場にサービスを提供できるようになりたいと考えている。

グーグラーの出番

シリアルアントレプレナー、投資家、そしてGoogle Cloud(グーグルクラウド)のスタートアップエコシステムの構築に貢献した技術者として、バティア氏は宇宙経済にはベンチャーキャピタルの考え方が必要だと伝えている。

「最高収益責任者である私の使命は、今後7年から10年の間にビジネス、産業、市場が飛躍的に成長するための発射台となる超成長ビジネスプラットフォームを構築することです。これは、政府の税金で運営されてきたこれまでの宇宙産業とはまったく異なるモデルであり、民間企業の方がこれを達成するのにはるかに適しています」。

バティア氏はStarlabやOrbital Reefとの競争を歓迎すると同時に、Axiomがこれらの数年先を行っていると同氏は確信を持っている。

イタリア、トリノのThales Alenia(TASI)の工場でAxiom Hub 1を製作中(画像クレジット:Axiom Space)

「仕事を始めて100日ちょっとですが、このプロジェクトが理屈上の話だけではないことがわかりました。金属が曲げられ、人々が集まり、契約が結ばれています。最初のモジュールはすでにイタリアのThales Alenia(タレス・アレーニア)の工場で建設中です。これはサイエンスフィクションではなく、実際に起こっていることなのです」。

また当分の間、収益性については心配する必要がないという。

「資金調達は非常に重要です。私たちは世界で最も価値のある5つの企業(Facebook、Apple、Amazon、Microsoft、Google)が創業時に赤字で運営していたことをモデルにしています。できるだけ多くの株主価値を創造し、必要不可欠なインフラを構築するために資本を得て、安全性に焦点を当てながらスピード感を持って革新していくというのが計画です」。

編集部注:本記事の執筆者Martine Paris(マルティーヌ・パリ)氏はフリーランスの技術レポーターとして、宇宙、電気自動車、気候変動対策、ロボット、AI、コンシューマーテック、eコマース、ストリーミング、ゲーム、ベンチャーキャピタル、スタートアップカルチャーなどを取材している。

画像クレジット:Axiom Space

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(文:Martine Paris、翻訳:Dragonfly)

月面で宇宙飛行士が乗る車両の設計チームをノースロップ・グラマンがリード

航空宇宙最大手企業のNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)は、AVL、Intuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)、Lunar Outpost(ルナ・アウトポスト)、Michelin(ミシュラン)を含むチームを率いて、Artemis(アルテミス)計画の宇宙飛行士が月面で移動するための車両を設計する。このLunar Terrain Vehicle(月面地形車、LTV)は、まだ人類が一度も訪れたことのない月の南極地域における探査の重要な鍵となる。

ノースロップは、各システムの統合と宇宙機の設計を担当する。チームの他の企業は、LTVの設計に重要な幅広い能力を持っており、それぞれの得意分野に注力する。AVLは自動車のパワートレインや先進運転支援・自動運転システムの開発・試験を行っており、Intuitive Machinesは自社の「Nova-D(ノヴァD)」宇宙船でペイロード輸送の経験がある。Lunar Outpostは地球外の地表を走る無人探査機の開発に取り組んでいる。フランスの多国籍企業であるミシュランは過去に月面探査車のタイヤをNASAと共同開発した実績がある。

チームはほぼ間違いなく、近々NASAから通達される提案要求の一部として、NASAに設計を提出することになるだろう。これはNASAがHuman Landing System(有人着陸システム)契約の下で、月着陸機の開発をてがける企業を選定した際に用いたプロセスと同様だ。NASAはまだLTVの提案依頼書を発表していないが、ノースロップ・グラマンでは来年初めになるのではないかと予想していると、広報担当者はTechCrunchに語った。

しかし、契約募集がまだ発表されていないにもかかわらず、同宇宙機関はすでに車両の開発に影響を与える要求を開示し始めている。NASAは、このプロジェクトに関連する文書の中で、落札者に求めるものとして、月面で最大20kmの距離を充電なしで移動できること、長い月の夜に耐えられる可能性があること、最低でも800kgの輸送能力があること、などの詳細を示している。

NASAの発表によると、この月面車の打ち上げは2027年頃の打ち上げを想定しているとのこと。つまりこれは、アルテミス計画が始動してから月に送られることを示唆している。NASAの代表者は先日、人類を数十年ぶりに月に送ることを目的とした同プログラムの最初の有人ミッションが、2025年に延期されることを認めた

画像クレジット:Northrop Grumman

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ロシアの対衛星兵器実験により追跡可能なだけでも1500個以上のデブリが発生、ロシア人飛行士も滞在のISSに襲来

ロシアの対衛星兵器実験により追跡可能なだけでも1500個以上のデブリが発生、ロシア人飛行士も滞在のISSに襲来

NASA

11月15日、国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士はスペースデブリの接近のためステーションにドッキング中の帰還用カプセルに避難しなければなりませんでした。ISSは90分周期でこのデブリ空域を通過したため、飛行士は何度も退避を余儀なくされたとのこと。

このようなデブリが発生したことに関して、米国国務省はロシアがミサイル実験によって同国の人工衛星を破壊し、ISSが通過する低軌道上に追跡可能なだけで1500個以上のデブリを撒き散らしたことだとしています。国務省のネッド・プライス報道官は「ロシアの行為はISSに滞在する宇宙飛行士やその他の有人宇宙飛行へのリスクを著しく高めるものだ」と述べ「ロシアの危険で無責任な行動は宇宙空間における長期的持続可能性を危機にさらし、宇宙の平和利用を掲げるロシアの声が弱々しくしかも偽善であることを明確にしている」と非難しました

一方、NASAのビル・ネルソン長官は、ロシアの対衛星兵器事件で発生したデブリのために、ISS滞在中の飛行士は安全確保の緊急手順の実施を強いられた。アントニー・ブリンケン国務省長官とともに「私もこの無責任かつ危険な動きに憤慨している。有人飛行の長い歴史を持つロシアがISSに滞在中の米国やパートナー国、さらに自国の飛行士までもを危険に晒すことは考えられない。彼らの行動は無謀でなおかつ危険であり、中国の宇宙ステーションやそこに滞在する飛行士までも脅かしている」と強く批判。さらに「あらゆる国は対衛星兵器によるデブリの意図的な発生を防止し、安全で持続可能な宇宙環境を育成する責任がある」としました。

米国はこの事態に対応するため、同盟国と協力していくと述べています。一方ロシアはこの件について沈黙したままです。

NASAとRoscosmosは、2007年にも中国がミサイルの実験のために破壊した人工衛星の破片を避けるために、ISSの位置をずらすなどの対応をさせられてきました。普段我々はその存在を忘れてはいるものの、当時に発生した破片はいまも継続して追跡されており、先週にはそのうちのひとつがISSに衝突する可能性があることがわかり、やはりISSを移動させる措置を強いられています。現在追跡されているデブリの数は約2万個に及んでいます。

今回のロシアの行為もこうした継続監視しなければならないデブリを大量に発生させる行為であり、ISSに自国の飛行士を滞在させている国として理解に苦しむ行動と言うほかありません。

(Source:ReutersAPNASAEngadget日本版より転載)

Rocket Labが宇宙船分離システム開発のPlanetary Systems Corporationを現金と株式で買収

買収戦略が相変わらず止まないRocket Labは、キャッシュと株の両方を投じてPlanetary Systems Corporation(PSC)を手に入れた。

このニュースが発表されたのは同社の2021年第3四半期の決算報告の直前だ。Rocket Labによると、同社は4200万ドル(約47億9000万円)の現金と普通株172万841株を支払ったが、株式は今後の業績により増える可能性がある。

PSCは宇宙船の分離システムを開発しているメリーランド州の企業だ。これまで100ほどのミッションが同社の機械式分離システムと衛星ディスペンサーを使用した。同社の「キャニスター型衛星ディスペンサー」は、宇宙船をロケットから分離し、打ち上げ時にはそれを保護する機構だ。PSCのハードウェアは、SpaceX、United Launch Alliance、かつてのNASA Space Shuttle、米国以外ではArianespace、Japan Aerospace Exploration Agencyといった主要各社の打ち上げ機がこぞって装備している。

この買収は、Rocekt Labの企業ビジョンが単なる打ち上げ屋ではなく、また衛星などをペイロードとして軌道へ運ぶだけでもなく、宇宙船本体を軌道に乗せることも含むフルの宇宙サービス企業であることの表れだ。Rocket Labは声明で、そのハードウェアは同社のSpace Systems事業部全体で使用、それにはPhoton衛星バスや、宇宙船の部位製品も含まれると述べている。

今回の買収は、Rocket Labの過去18カ月で3度目のものとなる。2021年10月、同社はコロラドのAdvanced Solutions, Inc.を買収したが、同社は宇宙船の飛行ソフトウェアを開発している。2020年にはSinclair Interplanetaryを買収、同社は宇宙ハードウェアのメーカーだ。

PSCのトップは現在のCEOであるMike Whalen(マイク・ホレン)氏のままだ。買収の完了は2021年第4四半期を予定している。

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】持続的な宇宙開発のために、宇宙ゴミ問題に今すぐ取り組まなければならない

英国宇宙庁が不要な衛星2機の除去プログラムに軌道上サービスに取り組むアストロスケールを選定

億万長者を宇宙に送り込む競争は、ブランソン対ベゾス、ロケット対ロケットだった。

Blue Origin(ブルーオリジン)は6月7日に、7月20日に予定されている同社初の有人飛行に、創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)が搭乗することを発表した。同日、Parabolic Arcは、Virgin Galacticが7月11日にRichard Branson(リチャード・ブランソン)を弾道飛行に送る予定であると報じた。そしてどちらも、宇宙飛行を行う3人目の億万長者であるElon Musk(イーロン・マスク)を打ち負かすことを目指していた。

アポロ11号の月面着陸から半世紀以上が経過し、宇宙開発は明らかに再び盛り上がりを見せている。しかし、今日のミッションには、億万長者の野望以上のものが反映されている。たとえ、マスク、ベゾス、ブランソンが個人的な宇宙計画で最も大きな見出しを躍らせていたとしてもだ。

真の宇宙経済が出現している。この新しい分野は指数関数的な成長段階にあり、現在の商業プロジェクトに共通しているのは、新しい技術とインフラへの投資の到来だ。

今日の探検家たちは、他の惑星への旅行や火星の植民地化といった私たちの想像力の限界を超えた拡張計画に始まり、何千もの通信衛星、全地球航法衛星システム、地球観測衛星の打ち上げに至るまで、巨額の投資を行っている。

衛星サービスと地上設備、政府の宇宙予算、全球測位衛星システムの設備を合わせた世界の宇宙経済の規模は、約3450億ドル(約39兆4250億4700万円)と推定されている。2019年のスタートアップの宇宙ベンチャー企業の収益は57億ドル(約6513億5600万円)で、2018年の35億ドル(約4000億3075万円)の記録を簡単に更新した。2040年までに、世界の宇宙産業は1兆ドル(約114兆3575億円)以上の収益を上げることができるとモルガン・スタンレーは推定する。

つまり、宇宙でのゴールド・ラッシュが始まっているのだが、ゴールドラッシュにおける環境の持続的な発展という点では、これまであまり目立った実績は見受けられない。

宇宙空間での壊滅的な衝突の脅威が高まっている

私たちは、宇宙における新たなビジネスチャンスを安全かつ持続的に発展させるための重要な転換点に立っている。これらの活動の多くは、地球の軌道と同じ領域を利用しており、これは無限の空間ではない。NASAによれば、約1mm以上の宇宙ゴミ(デブリ)が1億個以上、国防総省のグローバルな宇宙監視ネットワーク(SSN)のセンサーによって追跡されている。地球近傍の宇宙環境には、小さすぎて追跡できないものの、有人宇宙飛行やロボットミッションを脅かすほどの大きさの宇宙ゴミがもっとたくさん存在している。

地球低軌道上では、宇宙ゴミと宇宙船の両方が時速約25,266kmを超える速度で移動しているため、たとえ5mmのナッツでも太陽電池パネルを紙のように切り刻むことができる。実際、NASAの報告によると、地球低軌道で運用されているほとんどの宇宙ロボットにとって、ミリサイズの宇宙ゴミはミッション終了に対する最も高いリスクとなっている。宇宙空間がますます混雑していく中で、誰か1人でも安全でない、あるいは無責任な行動をとれば、壊滅的な結果を招く可能性がある。

再利用可能なロケットの開発により、1kgの衛星を軌道に乗せるためのコストが下がったことや、人工衛星の小型化が進んだことで、地球の軌道上に渋滞が発生する恐れが出てきた。現在、地球上の軌道上には約3000個の能動衛星があるが、この数は今後数年間で急増すると考えられている。MarketWatchによると、2025年までに年間の衛星打ち上げ数は230%増加すると予想されており、現在2万4000機の衛星打ち上げが計画されている。しかもこの数字には、SpaceXやOneWeb、Kuiperによる打ち上げは含まれていない。SpaceXのStarlinkだけでも4万個の衛星の打ち上げを申請している。

再使用型ロケットのおかげで、地球低軌道に22トンの衛星を打ち上げるコストは、2億ドル(約228億7200万円)から約6千万ドル(約68億6100万円)に下がった。かつては数億ドル(数百億円)のコストがかかる巨大な高性能衛星を1機必要とした衛星アプリケーションも、今では100万ドル(約1億1400万円)の安価・小型の低性能衛星コンステレーションが登場し、グローバルなサービスを提供できるようになった。

小型の衛星1基では、大型の衛星1基に比べると性能が劣るが、複数の衛星のデータを利用することで同等の結果が得られることが多い。さらに、衛星コンステレーションのアーキテクチャは拡張性が高いため、新しい世代の衛星が打ち上げられるようになれば、インフラ全体のパフォーマンスが飛躍的に向上する。

持続可能な開発には、新しい技術とより良いガバナンスが必要

持続的な経済発展のためには、ミッションの要件を慎重に分析するところから寿命が尽きるまでの宇宙ミッションのライフサイクルの間中、従来の顧客と新しい顧客をサポートできる革新的なソリューションが必要となる。

これらのソリューションの中には、打ち上げ、運用、廃棄を効率化できるようなまったく新しい宇宙ベースのインフラが必要になるものもある。例えば、D-OrbitのION Satellite Carrierは、複数の衛星を搭載して軌道上まで輸送し、それぞれの衛星を別々の軌道に投入することができる宇宙輸送機だ。この展開サービスは、最も戦略的な軌道のみを対象とする打上げ業者が提供するサービスを補完するもので、衛星運用事業者はラストマイルを大幅に短縮し、宇宙船のあらゆるリソースを活用してミッション自体の期間を延長することができる。

これは、宇宙船をある軌道から別の軌道に移動させたり、古い機体の寿命を延ばしたり、修理を行ったり、難破した衛星や残骸などを回収したりできる恒久的な宇宙物流インフラの構築に向けた第一歩だ。

宇宙経済の持続的な成長をめぐる問題は、一企業や一国に任せておくにはあまりにも重要・重大なものだ。

国際協力を強化し、基本的なルールを確立するためには、各国の合意に基づき、共通の基準を持つ新しい宇宙統治モデルが必要だ。例えば、デブリを捕獲する宇宙船の技術はすでに実現しているが、ある国に拠点を置く事業者が、他の国が打ち上げた宇宙物体に接近・捕獲して除去することを認めるには法的な課題がある。このような運用に対応するためのグローバルな規制の策定は、新しい市場とビジネスチャンスを開くために不可欠なステップだ。

D-Orbitを含む48の団体およびその他の政府や業界の関係者は、2019年にSpace Safety Coalition(宇宙安全連合、SSC)を結成し、宇宙事業の長期的な持続可能性のためのベストプラクティスを積極的に推進している。SSCは、宇宙事業全体の長期的な持続可能性のためのベストプラクティスとして、打ち上げ時や軌道上での衝突の回避、宇宙船やデブリの再突入による人的被害の最小化、無線周波数妨害(RFI)イベントの影響の最小化などのガイドラインを策定した。

この業界主導の持続可能性への取り組みは、すべての宇宙関係者が採用する必要がある。宇宙経済の発展や規制の方法は、長期的な影響を及ぼすことになり、失敗を避けるためのタイムリミットは急速に迫っている。

人類の宇宙での活動能力を向上させ、私たち全員にまだ想像もつかない機会をもたらすためには、インフラ、ベストプラクティス、ガバナンスの整備を早急に進める必要がある。

編集部注:本稿の執筆者Luca Rossettini(ルカ・ロッセッティーニ)氏は、D-Orbitの創業者兼CEO。

画像クレジット:Bernt Ove Moss / EyeEm / Getty Images

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(文:Luca Rossettini、翻訳:Dragonfly)

SpaceXの衛星ブロードバンドStarlinkが従来より小型・軽量化された長方形アンテナを発売

SpaceX(スペースX)の衛星インターネット事業であるStarlink(スターリンク)は、顧客がスターターキットで入手できる新しいユーザー端末を導入した。The Vergeが最初に報じたところによると、同社は、当初の円形モデルよりも小型・軽量化された長方形のオプション(PDF)を提供開始した。Starlinkの衛星インターネットサービスを利用するには、屋根の上など、空がよく見える場所にアンテナを設置する必要がある。

オリジナルバージョンは幅23インチ(約58.4cm)の標準的なパラボラアンテナだが、新型の長方形バージョンは幅12インチ(約30.5cm)、長さ19インチ(約48.3cm)しかない。また、重さも9.2ポンド(4.2kg)と、円形モデルに比べて約半分になっている。小型化されたことで、ユーザーは設置場所の選択肢が増えた。また、長方形の端末には、地面に刺すだけでアンテナを屋上に設置する必要がない長いポールなど、アクセサリーのオプションも増えている。

SpaceXは2020年末にベータサービスとしてStarlinkを開始し、月額99ドル(約1万1300円)で同社の衛星インターネットへのアクセスを顧客に提供した。ただし、アンテナ、スタンド、電源ユニット、WiFiルーターを含むハードウェアキットには、499ドル(約5万6800円)の追加費用がかかる。SpaceXのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)社長は8月、オリジナルバージョンのアンテナの製造コストは当初3000ドル(約34万1600円)で、それを1300ドル(約14万8000円)にまで下げることができたものの、それでもキットの販売は赤字だったと語っていた

ショットウェル氏は当時、2021年発売する端末は、現在のユーザー端末の「およそ半分の価格になる」とも述べ、同社はそれを再び半額にすることができるかもしれないと語っていた。だがVergeは、ハードウェアキットが長方形アンテナをつけても以前と同じ499ドルで販売されていることを指摘しており、SpaceXは将来的により低価格で販売するかどうかをまだ明らかにしていない。同じ値段を払っても構わないという潜在的な新規顧客は、米国内であれば、キットを注文する際に長方形の端末を選ぶことができる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Starlink

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)