ネットショップ開設サービス「STORES」が「STORES 予約」活用の「ワクチン接種予約システム」を無料提供開始

ネットショップ開設サービス「STORES」が「STORES 予約」活用の「ワクチン接種予約システム」を無料提供開始

ネットショップ開設サービス「STORES」など商売のデジタル化を支援するヘイ(hey)は5月28日、全国の市区町村で実施される新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に関して、オンライン予約システム「STORES 予約」(ストアーズ 予約)を活用した「新型コロナワクチン接種予約システム – STORES 予約」を5月から無料提供すると発表した。無料提供期間は2022年3月31日まで。

新型コロナワクチン接種予約システムは、新型コロナウイルスワクチン接種で利用する自治体・病院・事務局を対象に、特別プランと専用相談窓口での導入支援を行うというもの(申込み状況により早期に締め切る可能性がある)。

特別料金プランは、通常プラチナプラン(予約数無制限でSTORES 予約の全機能が利用可能、月額6万円相当のプラン)を2022年3月31日まで無料で提供するという内容になっている(ワクチン接種のみ利用に限る)。

また、同社担当スタッフによる導入支援を提供。専用ページから問い合わせがあった「自治体・病院・事務局」に対して同社スタッフから連絡し、各自治体のニーズに合わせて、担当スタッフが提案と個別サポートを行う。

同システムのメリットとしては、自治体職員は予約受付や手入力業務の軽減が見込め、また地域のワクチン在庫数と接種数の一括管理ができ、接種状況もリアルタイムに把握可能となる点などが挙げられている。今回の無料提供を通じて、自治体・医療機関のスムーズなワクチン接種予約の受付・管理体制づくりを支援するという。

ネットショップ開設サービス「STORES」が「STORES 予約」活用の「ワクチン接種予約システム」を無料提供開始

予約状況画面

予約状況画面

接種者情報(顧客情報)画面

「新型コロナウイルスワクチン接種予約 – STORES 予約」でできること(抜粋)

  • 自治体と各病院間で、予約状況、在庫状況を一括管理可能
  • コールセンター(協力会社)も提供可能、住民の方の電話を受けて代わりに予約
  • 高度なセキュリティで安心して利用できる

「新型コロナウイルスワクチン接種予約 – STORES 予約」利用方法

  1. 自治体・各病院にて確保したワクチン数分、予約枠を設定
  2. 住民の方が予約ページにアクセス、任意の病院を選択し、接種券番号と必要事項を入力して予約
  3. 病院では病院内での予約状況を管理画面にて確認可能
  4. 自治体は各病院の予約状況を一括して管理画面にて確認可能

ネットショップ開設サービス「STORES」が「STORES 予約」活用の「ワクチン接種予約システム」を無料提供開始

同社が独自に行った実店舗を持つ事業者への調査によると、「コロナの影響により売上が50%以上減少」と回答した事業者の約半数が、30人未満の規模の個人・中小事業者だったそうだ。コロナ禍による売上減少・経営へのダメージが大きいことがうかがえるという(「実店舗を持つ事業者の新型コロナウイルス影響」2020年11月27日〜12月1日、回答者数849名。自社調べ)。

このような社会状況を踏まえ、1日でも早く事業者が商売に集中できる日を迎えるには、同社は早期のワクチン接種完了が重要であると考え「新型コロナワクチン接種予約システム」を無料提供するに至ったとしている。

heyは、「Just for Fun」をミッションに、こだわりや情熱、楽しみによって駆動される経済の発展を支援するスタートアップ。ネットショップ開設「STORES」、キャッシュレス決済「STORES 決済」、オンライン予約システム「STORES 予約」など、商売のデジタル化を支援する「STORES プラットフォーム」の展開を通じて、誰もがこだわりをもっと自由に発揮できる社会を目指している。

同社のSTORES 予約は、無料から始められるオンライン予約システム。予約から決済、顧客管理に至るまで一気通貫して提供しており、専門知識がなくても簡単に利用できる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:新型コロナウイルス(用語)hey(企業)ワクチン(用語)日本(国・地域)

新型コロナウイルスのワクチン接種会場や大規模接種センター周辺の駐車場を予約できる特設ページが公開

新型コロナウイルスのワクチン接種会場や大規模接種センター周辺の駐車場を予約できる特設ページが公開

駐車場予約アプリ「akippa」(Android版iOS版)を運営するakippaは5月27日、新型コロナウイルスのワクチン接種が大規模接種センターや集団接種会場において開始されたことに伴い、接種会場周辺の予約が可能な「akippa駐車場」をまとめた特設ページを公開した。

akippaは、契約されていない月極駐車場や個人宅の車庫・空き地・商業施設など空いているスペースに、15分単位でネット予約して駐車できるサービスおよびアプリ。誰でも簡単に駐車場をシェア可能。2021年5月現在、駐車場拠点数累計4万5000拠点を確保しており、会員数は220万人を突破した。

同社特設ページでは、自衛隊による大規模接種センター、全国の自治体による集団接種会場周辺の予約可能なakippa駐車場の検索・予約が可能。同社は「移動において人との接触を避けたい」「公共交通機関で行くことが大変」などの理由から、車で接種会場に向かいたい方々の一助になればととしている。

新型コロナウイルスのワクチン接種会場や大規模接種センター周辺の駐車場を予約できる特設ページが公開

akippa駐車場の利用方法は、同社サイトまたはアプリで利用したい駐車場を探し、予約・決済を行うだけ。駐車場情報詳細ページを開いたら、利用したい日時の空き状況や金額を確認し利用希望日時を選択。その後クレジットカードまたはキャリア決済で事前決済を行うと予約が完了する(電話やFAXでの予約は受け付けていない)。当日は予約した車室に駐車するといい。万一のトラブル時はakippaのサポート窓口が対応するとしている。

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事前に駐車場を予約するメリット

  • 確実に駐車できる:事前予約制なので、当日現地で空いている時間貸し駐車場を探し回る必要がない
  • 15分単位で接種に必要な時間分だけ予約・利用:akippaの駐車場は15分単位で予約可能。接種に必要な時間分だけ予約・利用できるため、安価に利用可能としている。またakippaでは遊休スペースを活用しているため、周辺の時間貸し駐車場の相場より安価な駐車場が多いという
  • 現金が不要:予約時のオンライン決済で事前に支払いを済ませているため、現地で現金が不要

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:akippa(企業・サービス)新型コロナウイルス(用語)ワクチン(用語)日本(国・地域)

インド警察が与党政治家の投稿に「操作メディア」とラベル付けした同国のツイッター支社を訪問

インド中央政府の管轄下にあるデリー警察は、現地時間5月24日の夕方、首都デリーとその近隣のハリヤナ州グルガオンにあるTwitter(ツイッター)の2つのオフィスを訪れ、同国の与党であるインド人民党(BJP)の広報担当者によるツイートに「操作されたメディア」とラベルを付けたTwitterの根拠についての情報を求めた。

関連記事:インドがTwitterの同国政治家に対する「操作メディア」判定に異議、「インド型変異株」投稿削除をSNS各社に要請

現地の複数のニュースチャンネルが生中継したところによると、テロなどの犯罪を捜査するデリー警察の特別捜査班は、捜索開始から1時間後、Twitterのオフィスが閉鎖されており、社内にTwitterの従業員がいなかったことから、オフィスを立ち退いたという。

Twitterの広報担当者はコメントを控えている。世界第2位のインターネット市場であるインドは、Twitterをはじめとする多くの米国のテクノロジー企業にとって重要な海外地域だ。

インド政府は先週、Twitterがインドの与党BJPの広報担当者であるSambit Patra(サンビット・パトラ)氏のツイートを「操作されたメディア」とラベル付けしたため、同社に通知を送った。

このツイートの中でパトラ氏は、インドの最大野党であるインド国民会議が、インド政府の新型コロナウイルス感染に対する取り組みを阻害するために、いわゆる「ツールキット」を使用していると主張していた。なお、インドの主要なファクトチェックの非営利団体であるAlt Newsは、パトラ氏の主張を虚偽であると否定している。

デリー警察は、パトラ氏のツイートのラベル付けについて苦情を受けているため現在調査中であると発表し、Twitter Indiaのトップに調査の通知を出すためにオフィスを訪れたとしている。警察は声明の中で、この件に関するTwitter Indiaの最高責任者の返答は「非常にあいまい」だったと述べている。

Twitter Indiaのオフィスが閉鎖されていることを知り、デリー警察の特別捜査班がグルガオンから戻るところです。どうやらTwitter Indiaでは2020年3月から自宅で仕事をしているようです。この動きは政府からのメッセージなのでしょうか?

「デリー警察は、シュリ・サンビット・パトラ氏(BJP広報担当者)のツイートを『操作的』と分類したことについてTwitterに説明を求める苦情を受け、現在調査を行っています。Twitterは我々が知らない情報を持っていて、それに基づいてそのように分類したようです」と、デリー警察は地元のTV局やその他のジャーナリストに向けた先の声明で述べている。

そして「この情報は調査に関連しています。調査を行っている特別捜査本部は真実を解明したいと考えています。根本的な真実を知っていると主張しているTwitterは、それを明らかにすべきです」と続けている。

その後の声明では、デリー警察はこの日の出来事を「強制捜索」と呼ぶことに異議を唱えている。

複数の政策担当者などが、デリー警察の動機を疑問視している。

Rohan Venkat@RohanV
デリー警察(インドの中央政府によって管理されている)が、インドのTwitterのオフィスを強制捜索しています。BJPが支配する中央政府は、Twitterが党のプロパガンダを「操作されたメディア」とラベル付けしたことに不満を持っているからです。

Tanvi Madan@tanvi_madan
インドは国際社会、特に米国からの優先的な援助を求めているので、これはインドが目前の本当の問題に力を入れていることを彼らに納得させる1つの方法ではないかと私は思います。

ANI@ANI
デリー警察の特別捜査班が、デリーにあるTwitter Indiaのオフィスで捜索を行っています。詳細が待たれます。

Raman Chima@tame_wildcard
与党の広報担当者のツイートを「操作されたメディアを含んでいる」とラベル付けすればどうなるか。連邦政府はデリー警察の特殊部隊を首都圏にある御社のインド子会社のオフィスに送り込み、思い知らせてくれるでしょう。

あからさまな権威主義ですね。

Bar & Bench@barandbench
デリー警察がデリーのラド・サライとグルグラムにあるTwitter Indiaのオフィスを家宅捜索したとANIが報じています。

Raheel Khursheed@Raheelk
これが悲劇でないなら不可解だ。デリー警察は、@TwitterIndiaのオフィスには物理的にデータが保存されていないことを知っているのだから、家宅捜索の目的は脅迫に他ならない。

今回の動きがあったのは、TwitterとFacebook(フェイスブック)に、インドのソーシャルメディアを規制する新ガイドラインに準拠する期限が目前に迫りつつある時期のことだった。

インド政府は両社に対する新たな通告の中で「IT規則に従わない場合、仲介業者(intermediary)としての地位や保護を失う可能性がある」と警告している。

今回の出来事は、ここ数カ月の間、インド政府との平和的関係を維持するのに苦労してきた米国企業にとって、新たな頭痛の種となっている。

Twitterは2021年初め、インド政府の要請に一時的に応じた後、政府の政策やNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相に対する批判的なツイートを投稿したアカウントを復旧させたことで、政府から非難を浴びた。

インド政府が2021年4月、TwitterとFacebookに対して、新型コロナウイルス感染流行に対する政府の対応に批判的な投稿を削除するよう命じたため、両者は再び公の場で対立することになった。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:インドTwitterSNS新型コロナウイルス警察

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

UberとLyftが新型コロナワクチン接種促進のための無料乗車提供を米国で開始

Uber(ウーバー)とLyft(リフト)が新型コロナウイルスワクチンを接種しに行く人に無料乗車の提供を正式に開始した。これら配車サービス2社は2週間前にホワイトハウスとのプログラム合意を発表していた。

バイデン大統領は米国の全成人70%のワクチン接種を7月4日までに達成することを目標としていて、無料乗車は同日まで提供される。UberとLyftは以前TechCrunchに、無料乗車のコストをカバーすると話していた。ホワイトハウスはプロダクトの開発と立ち上げをアドバイスした。ホワイトハウスはまた、米国の8万カ所超のワクチン接種会場のデータを共有したともUberの広報担当はTechCrunchに述べた。

Uberはそれぞれ最大25ドル(約2700円)割引の片道乗車4回を提供する。これらの2往復の乗車は7月4日までの間に3週間の間隔を空けなければならない、とUberはブログで説明している。乗客はUberアプリを立ち上げて「ワクチン」をタップし「無料乗車を利用する」をタップしてプログラムに参加できる。提供時間は午前6時から午後8時までだ。利用する人は行き先、あるいは乗車する場所を検索するのに郵便番号を入力しなければならない。そしてワクチン接種会場と乗車オプションを選ぶ。

画像クレジット:Lyft

Lyftは最大15ドル(約1600円)の乗車を2往復分提供する。乗車の料金が15ドルを超えた場合、あるいは乗客がドライバーにチップをあげる場合は乗客に課金される、とLyftは述べた。また、無料乗車は3週間の間隔を要する。

ワクチン接種アクセスプログラムは、十分なサービスを受けられていないコミュニティに無料あるいは割引の乗車を提供し、またワクチン情報やワクチン接種会場へのアクセスを簡単なものにする機能の展開に続く取り組みだ。Uberはまず2020年3月に無料乗車を提供する新型コロナ救済プログラムを展開し、12月に追加で1000万回の無料・割引乗車を提供すると述べていた。

同社は2021年4月にユーザーがWalgreensでのワクチン接種を予約し、接種場所までの移動の乗車を予約できる機能を含む6つ以上の新機能を立ち上げることを発表した。

Lyftは12月にJPMorgan Chase、Anthem、United Wayなどを含むパートナーと、低所得者、保険に加入していない人、そしてリスクの高いコミュニティにワクチン接種にともなう行き来のために乗車6000万回を提供するというユニバーサルなワクチンアクセスキャンペーンを開始した。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:UberLyft新型コロナウイルスワクチンアメリカ

画像クレジット:Lyft/Uber

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドの起業家や投資家が新型コロナに打ち勝つため結集、世界中からの助けを求めている

ワクチン接種が広がりを見せ、世界各地でコロナウイルスの蔓延に歯止めがかかりつつある今、世界2位の人口を誇るインドではまったく異なるストーリーが繰り広げられている。

インドの一部の州では検査数を減らしたり死亡者数を過少に報告したりしているにもかかわらず、2021年4月下旬、毎日、世界全体の感染者数の約半分を占める30万人以上の新規感染者が報告されている。

医療機関では新規患者のためのベッド数が大幅に不足しており、医師たちはソーシャルメディア上でしばしばNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相をタグ付けして酸素などの必要な医療機器の提供を訴えている。

映画界やスポーツ界などの複数の主要産業が、まるで何事もないかのようにしてこの危機を無視し続ける中、起業家やスタートアップが希望の光となって立ち上がり、国家が今直面している暗闇を乗り切るために行動を起こしている。

インドにおける何千ものスタートアップが自身の生き残りをかけて奮闘していた2020年とは一変した驚きの変化である。いまだに深刻な混乱に陥っているスタートアップもあるものの、我が国に救いの手を差し伸べるということが、ほとんどのスタートアップにとっての優先事項となっている。

何百ものスタートアップやベンチャーキャピタリストが多大な時間を費やしてソフトウェアを構築し、人々が最新情報を入手したり財団に寄付したりすることを容易にする方法を模索している。またこの危機を取り巻く課題を解決できる可能性のあるアイデアを探り、資金を提供しているのだ。

立ち上がった2つの組織。

ACT Grantsは、活動中のほぼすべてのベンチャーファンドやPE企業の他、数十人のボランティアによって運営されている。この取り組みは2020年から引き続き行われているものである。

Zomato Feeding Indiaは、インド最大のフードデリバリースタートアップが、患者や病院に酸素などの重要な物資を提供するというものである。

その他のリソースや取り組み。

https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:6793450535878983680

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:インド新型コロナウイルス

画像クレジット:Abhishek Chinnappa / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Dragonfly)

インドがTwitterの同国政治家に対する「操作メディア」判定に異議、「インド型変異株」投稿削除をSNS各社に要請

インド政府は、Twitter(ツイッター)がインドの政治家のツイートを「操作されたメディア」と分類したことに強い異議を唱え、さらに新型コロナウイルスの「インド型変異株」に言及した投稿を削除するよう、ソーシャルメディア企業各社に別途要請した。

最初の通知は、インドの与党であるインド人民党(BJP)の広報担当者であるSambit Patra(サンビット・パトラ)氏のツイートが「操作されたメディア」とタグ付けされた2日後に行われた。このツイートの中でパトラ氏は、インドの最大野党であるインド国民会議が、新型コロナウイルスのパンデミックに対するインド政府の取り組みを脱線させるために、いわゆる「ツールキット」を使用している、と主張していた。インドの主要なファクトチェック機関であるAlt Newsは、パトラ氏の主張を否定した。

またTwitterは、BJPのソーシャルメディアを統括するPriti Gandhi(プリティ・ガンジー)氏、BJPの全国書記長であるSunil Deodhar(スニール・ディーダル)氏、マハラシュトラ州代表のVinay Sahasrabuddhe(ヴィナイ・サハスラブッデー)氏、デリーのBJP書記長であるKuljeet Singh Chahal(クルジット・シン・チャール)氏らが投稿した同様のツイートにもラベルをつけた。インド政府の通知では政治家らの名前は挙げられておらず、ツイートの内容も特定されていない。

インド政府は通知の中で、Twitterが「操作された(メディア)」とラベルをつけたツイートは、調査が行われていないにもかかわらず「偏見的に」そう指定されたとし「公平性と公正性」の観点から、このようなタグを削除するよう同社に「要請」した。

インド政府は、今回のTwitterの行為は「中立・公平」なプラットフォームとしての信頼性を低下させ「『仲介業者(intermediary)』としてのTwitterのステータスに疑問符をつけるもの」と述べている。最近発表された法律によると、TwitterやFacebook(フェイスブック)など、ユーザー数が数百万人を超える一定規模のソーシャルメディア企業は、インドでは「仲介業者」とみなされる。

Twitterは多くの市場において、ニュースメディアや独立したファクトチェッカー、あるいは独自の技術を引用して、より多くのコンテキストや訂正を提供するために数年にわたり一部の政治家のツイートにラベルをつけてきたが、同社の広報担当者はTechCrunchに対し、ノーコメントと述べた。

またインドの通信IT省は別の書簡で、ソーシャルメディア企業各社に対し、新型コロナウイルスの「インド型変異株」に言及した投稿を削除するよう要請した。

「これは完全に誤りです。世界保健機関(WHO)が科学的に引用している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のそのような変種はありません。WHOは、コロナウイルスのB.1.617亜種と「インド型変異株(Indian Variant)」という用語を、いかなる報告書においても関連付けていません」と、同省は2通目の書簡で述べている(その内容はロイターが最初に報じた)。

今回の通知は、世界第2位のインターネット市場であるインドにおいて、Twitterが直面しているジレンマを浮き彫りにしている。Twitterは1億人以上のユーザーを擁し、地元のスタートアップを多く支援している。かたやFacebookも、インドをユーザー数で見ると最大の市場と位置づけ、インド企業にさらに大きな投資を行っている

Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が率いるTwitterは、2021年、インドでいくつかの厳しい状況に直面してきた。2021年初め、ニューデリーの命令に一時的に従った後、インド政府の政策やNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相に批判的なツイートを投稿したアカウントを元に戻したことで、同社は同国政府から非難を受けた。

インド政府は2021年4月になって、新型コロナウイルスのパンデミックに関する政府の対応に批判的な投稿を削除するようTwitterとFacebookに命じたため、両者は再び公の場で対峙した。

今週初め、シンガポールは、新型コロナウイルスの新しい亜種が同国で発生したとする「ネット上のデマ」について、TwitterとFacebookに訂正を出すよう命じた

【更新】この記事は、2通目の書簡の詳細について更新された。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:インドTwitterSNS新型コロナウイルス

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

ハーバード大コンピューターサイエンス講座を日本語化・無償公開した、エンジニア養成学校CODEGYMを手がけるLABOTが3.1億円調達

ハーバード大コンピューターサイエンス講座を日本語化・無償公開した、エンジニア養成学校CODEGYMを手がけるLABOTが3.1億円調達

オンライン・プログラミング学習サービスCODEGYM(コードジム)を運営するLABOT(ラボット)は5月19日、3億1000万円の第三者割当増額を発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、Mistletoe Japan、​PERSOL INNOVATION FUND、NOW、F ventures、新生企業投資が運営・関与するファンド、その他の個人投資家。このラウンドには、2021年4月のプレシリーズAラウンドに伴う、第1回J-KISS型新株予約権、第2回J-KISS型新株予約権の転換が含まれる。

CODEGYMは、2020年1月に設立されたコンピューターサイエンスとプログラミングの学校。日本で初めてISA(Income Share Agreement)を採用した。ISAとは、学資ローンに代わるシステムとして登場した所得分配契約のこと。在学中、学生は入学金や授業料の支払いが免除され、就職後に年収に応じた額を支払うという制度で、日本では、CODEGYM以前にこれを導入した教育機関はなかった。「これまでの家庭環境や学歴・年収などによらず、誰もが平等に挑戦できる教育機会の提供、社会の実現を目指し事業を展開しています」とLABOTは述べている。

2021年5月からは、新型コロナ禍で家計や進路に問題が生じた10代の若者に対して、NPO法人CLACKと共同で「CODEGYM Academy 2021年コロナ学生緊急支援」を実施し、503人の高校生、大学生を入学させた。毎週土曜日のプログラミング教育の講義が半年間続くが、40社以上のIT企業を中心とするスポンサー企業からの協賛金とクラウドファンディングによる100人を超える支援者からの寄付によって、学費はかからない。

創設者の鶴田浩之氏は、大学在学中に起業し、大学生向けスケジュール管理サービス「すごい時間割」を開発したという経歴の持ち主。

同氏は、日本は国民皆保険や生活保護など諸外国と比べても社会保障が充実しているものの、介護・育児などで一度でも職歴にブランクが出たり大学を中途退学したりしてしまうと、独力では正社員としてキャリアアップすることが難しいと話す。そこで「リカレント教育と転職支援をセットにし、初期費用がかからず誰もが平等に挑戦できるISA は、今の日本社会にとって必要不可欠な産業になると考えています」とリリースで述べている。

画像クレジット:LABOT

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カテゴリー:EdTech
タグ:教育 / EdTech / エドテック(用語)
所得分配契約 / ISA(用語)新型コロナウイルス(用語)プログラミング(用語)LABOT日本(国・地域)

医療現場の課題を自身で解決できる医者・看護師を育てる日本初の医療者向けプログラミングスクールが開校

医療現場の課題を自身で解決できる医者・看護師を育てる日本初の医療者向けプログラミングスクールが開校

医療法人社団新潮会は5月19日、医師や看護師などの医療従事者を対象としたプログラミングスクール「ものづくり医療センター」を6月よりトライアル開校すると発表した。それにともない「プログラミング教育入院」希望者を募集する。

コロナ禍の影響もあり、今の医療現場では様々な側面で変化に対応せざるを得ず、「目の前の課題について、テクノロジーを用いたらすぐに解決可能な事象だと認識できるスピード感」が求められているという。そこで、ものづくり医療センターは、通常のプログラミングスクールのようにウェブデザインなどの特定のスキルの習得ではなく、医療の現場で遭遇する課題に対して柔軟に対応できる技能を幅広く学ぶことを目指している。

「プログラミングを学ぶことを目的とせず、サービスを形にすることや課題を解決することをいち早く行える人材育成を目的として授業を行なっていきます」という方針を掲げる同院では、医療現場で問題に遭遇する可能性の高いIoTやハードウェアについても学ぶ。

大きな目標は「医療現場の課題を自身で解決できる人を育てること」と「多くの選択肢(技術)を知ることで『もしかしたらこの技術って、あれに使えるんじゃない?』といった気付きを得られる場になること」だという。

期間は、6月から週1回のオンライン授業で3カ月間。定員は5〜10名。受講対象者は医者、看護師などの医療者であること。費用は税別9万9800円(トライアル開校中のみ。トライアル以降は値上げ予定)。現在申し込み受け付け中だ。

画像クレジット:医療法人社団新潮会

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カテゴリー:EdTech
タグ:医療(用語)教育 / EdTech / エドテック(用語)新型コロナウイルス(用語)プログラミング(用語)日本(国・地域)

IFAベルリン2021が中止、「新型コロナワクチン接種の状況が見通せない」

IFAは2020年に会場で開催された極めて少ない展示会の1つとなったが、gfu Consumer & Home Electronics GmbHは2021年のイベントを中止する。当初、ベルリンで9月3〜7日に予定されていた大規模なコンシューマーエレクトロニクス国際見本市は休止する

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最大の理由として、運営者は新型コロナウイルス変異型の脅威、そして世界のワクチン接種のスピードと今後の進捗に関する不確実性を挙げている。

「究極的には、世界の健康問題に関するいくつかの主要な指標が望んでいた正しい方向に速く向かいませんでした。例えばアジア南部では新たな新型コロナ変異型が急速に拡がっていて、世界のワクチン接種プログラムのスピードは依然として不透明です」と運営組織はプレスリリースで述べた。「これは参加を約束していた、あるいは関心を示していた企業、メディアやビジターにさらに不確実性を与えています。IFAだけでなく世界中の同様のイベントのために参加者は皆、予算や投資、移動など前もって計画する必要があります」。

もう1つの大きな理由が、Messe Berlin(コンベンションセンター)が緊急医療施設、そしてワクチン接種会場として今後も引き続き使用されることだ。ARENA Berlinで計画されているBerlin Photo Week、そしてHIFT Mobilityイベントは開催される。一方でIFAは2022年9月2日に戻ってくる予定だ。

今回のニュースの前には、数多くの有名企業が2021年6月下旬にバルセロナで開催されるMWCに出展しないことを決めている。これまでのところ出展を取りやめた企業はQualcomm、Google、IBM、Nokia、ソニー、Oracle、Ericsson、Samsung、Lenovoなどだ。前回のIFA同様、MWCの運営組織は移動規制や出展を取りやめた企業、ワクチンを接種した人ですら持っている一般的な警戒感があることを考慮し、数多くの安全措置を取っていること、そしてイベントを縮小する意向を示している。

MWCはオンラインと会場での展示を展開するハイブリッドイベントのようなものになる。一方、IFAは完全にキャンセルとなったようだ。一般の人も来場するという点でベルリンのトレードショーは他の見本市と大きく異なる。

【更新】MWCの主催者は、TechCrunchに次のようなコメントを寄せてくれた。

世界情勢が不透明な中でイベントを企画するのは容易なことではありません。また、今年、常連客を集めるのに苦労されたイベント業界の方々にも同情いたします。私たちは、IFAのようなイベントが来年も開催されることを願っています。今年のMWCバルセロナは数週間後に迫っていますが、私たちは自分たちの計画に自信を持ち、イベントを成功させるためにパートナーと懸命に取り組んでいます。

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カテゴリー:イベント情報
タグ:IFA新型コロナウイルスワクチンドイツベルリン

画像クレジット:Michele Tantussi / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

コロナ禍で押し進められたDXの中、AIに期待される今後の役割とは

コロナ禍で押し進められたDXの中、AIに期待される今後の役割とは

アフロ

編集部注:この原稿は、MIN SUN(ミン・スン)氏による寄稿である。同氏は、AppierのチーフAIサイエンティストを務めている。Appierは、AI(人工知能)テクノロジー企業として、企業や組織の事業課題を解決するためのAIプラットフォームを提供している。

2020年、新型コロナウイルスの存在が確認されて以来、その猛威は世界中に広がり、2021年になった今でも終息のめどが立っていない。

新型コロナウイルス感染症の流行により、人々の健康に対する意識はもちろんのこと、社会のあり方そのものに対しても大きな影響を与え、ミクロレベルからマクロレベルにいたるまであらゆるものごとが変革を余儀なくされたことに疑いの余地はない。

特に、営利企業において新型コロナウイルスの影響は甚大で、これまで遅々として進まなかったデジタルトランスフォーメーション(DX)が事業規模の大小を問わず急速に押し進められている。

この状況下、にわかに注目を集めているのが業務の自動化や省力化を得意とするAI技術の活用だ。

これまで、AIという技術に対する疑心や懸念をもっていたために活用に消極的だった企業においても、AIソフトウェアパッケージの導入やシステム開発が加速している。

新型コロナウイルスの流行が5年分のDXを1年で押し進めた

新型コロナウイルスの流行拡大により、企業内で最も大きく変わったことといえば、従業員の働き方だろう。新型コロナウイルスの流行以前は「仕事をする」ことは「オフィスにおもむく」ということに直結していた。しかし、コロナ禍で避けるべき3つの密と呼ばれる密閉、密集、密接の全条件に当てはまってしまうケースがあり、多くの企業が従業員を健康維持のため、出社制限を設けざるを得なかった。

このことにより、在宅勤務が急激に増加したわけだが、すべての業務をいきなりリモートで実施するのは当然難しい。そのため、自粛期間の合計が1年を超えてくる中でオフィスへの出社を要する業務においてもDXに取り組む企業が増加している。

バックオフィス業務における契約対応業務を例にあげると、これまでは紙媒体に押印し、それを送付するという流れが一般的だったのに対し、コロナ禍でDXが進められたことにより、契約書類がデータで渡されるようになり、押印もデジタル環境で実施した上で、契約書類の返送もオンライン上で完結させるケースが増加している。

ただ、このような業務のデジタル化に必要な技術やサービスの多くは、コロナ禍で生まれたものではなく、以前から存在していたが導入が先送りされていたものだ。つまり、企業における大規模なDXを推進したのはCEOでもCTOでもなく、新型コロナウイルスということになる。

コロナ禍で価値を発揮するAI

現在社会で起こっているDXは一過性のものではなく、さらなる推進に向け多くの企業が取り組んでいる。その中でもAIは、どのような価値を発揮しているのだろうか。

AIは様々な分野で活躍しており、その中でも特に医療分野では大きな価値をもたらしている。

医療分野におけるAI活用に関するひとつ目の事例は創薬の迅速化だ。従来、新薬が臨床試験に至るまでには4~5年以上の研究期間が必要だといわれてきた。だが、イギリスのオックスフォードを拠点とするAIスタートアップのExscientiaはAIを用いて新薬に用いる化合物を設計し、12カ月という短い期間で新薬の臨床試験にこぎつけた。また、通常の創薬では莫大な投資コストが発生することが多々あるが、AIの活用がその圧縮にもつながっている。

また、このような創薬ノウハウは新型コロナウイルスに効果的な薬品の特定にも用いられているという。したがって、過去に開発された薬品から新型コロナウイルスの予防や治療に効果的なものを特定する作業にはAIが少なからず貢献しているということになる。

AIを医療分野に活用する事例はもちろんこれだけではない。中国や台湾、韓国などでは、新型コロナウイルスへの感染予防に向け、AIを用いた陽性者のマッピングなども行われているという。

AIに期待される今後の役割とは

コロナ禍においても、AIが一定の価値を生んでいるが、AIがより大きな価値をもたらすのはこれからだろう。というのも、AIには学習のためのトレーニングデータが必要なため、中長期的な問題解決に適しているからだ。新型コロナウイルスの感染拡大が終息したとしても、いずれ人類は新たな感染症の流行に見舞われる。その際には、AIはより大きな価値をもたらすことは間違いない。

たとえば、感染症の予防においては電子医療記録をデータとして用いることで感染時の重症化リスクを予測できるようになる。また、新型コロナウイルスの感染経路を記録しておくことで、どのような場所で、誰を、どのように検査すれば感染症拡大の防止に役立つかを分析することも可能だ。

なお、上記の電子医療記録と地理空間に関するデータを組み合わせることで、検査、隔離、その他リソースの割当に関する優先順位の策定を支援するという構想は将来的な期待が高まっている。

さらに、ウイルスの遺伝子配列を分析し、変異をモニタリングすることにより、製薬会社による医薬品開発のターゲット明確化やウイルスの拡散速度予測、変異体の有害性の特定など、これまでは専門家が時間をかけて実施していた一連の取り組みの迅速化も期待されている。検査においても、現状ではPCR検査による感染の判断が主流だが、早期にウイルスの特性を明らかにできれば、CTスキャンデータなどを基に感染判断ができるようになる可能性はある。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大は突発的だったため、AIが価値を発揮することが間に合わなかったケースも見受けられるが、私達が今直面している問題が、将来的なAI活用の礎として生かされるはずだ。

もちろん、技術を活かすも殺すも結局は人によるところが大きいため、将来的に期待されているAI活用が机上の空論で終わる可能性もある。

だが、政府や企業が主体となり、将来的な感染症に備えた仕組みを整え、人々がコロナ禍で得た教訓をしっかりと学習しパンデミックに備えることができれば、感染症拡大による社会的なリスクは大きく減少することだろう。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:医療(用語)AI / 人工知能(用語)新型コロナウイルス(用語)創薬(用語)

フェイスブックがインドでコロナワクチン接種場所探しツールを展開、11億円寄付も

Facebook(フェイスブック)はインドの緊急事態に対し1000万ドル(約11億円)の支援を発表し、新型コロナウイルス感染拡大対応で苦戦しているインドでVaccine Finder(ワクチンファインダー)ツールの展開を開始した。

Facebookは、増大する医療用品危機をサポートすべく、病院のベッド数を増やすための5000台超の酸素濃縮機や、人工呼吸器、BiPAP(携帯型人工呼吸器)機器など生命維持装置の提供でUnited Way、Swasth、Hemkunt Foundation、I Am Gurgaon、Project Mumbai、US-India Strategic Partnership Forumといった数多くの組織と提携した。

Facebookはまた、同社のアプリでのVaccine Finderツール展開でインド政府と提携した、とも述べた。17言語で利用できる同ツールは人々が最寄りのワクチンセンターを見つけ出せるようデザインされている。

先週インドは18〜45歳を対象にワクチン接種を開始したが、ウェブサイトはすぐさまダウンし、この年齢グループの大半の人からの予約リクエストは受け付けられなかった。

低コストのISP構築に取り組んでいるバンガロール拠点のスタートアップWiFi Dabbaも、人々が簡単にワクチン接種の空きスポットを見つけられるようにするツールを開発したことも書き留めておく。

しかし、インドが現在直面している大きな問題は、ワクチン不足だ。

Facebookは新型コロナワクチンと予防衛生に関する情報をFacebook上の人々に提供すべく、非政府組織、インドの国連機関に広告クレジットを提供してサポートするとも明らかにした。

さらに同社は、緊急ケアをどのタイミングで探すべきか、マイルドな症状の家庭での対応の仕方についてUNICEF Indiaからのリソースを人々に提供するとも述べた。

世界第2位の人口を抱えるインドでは多くの企業、スタートアップ、起業家、投資家がここ数週間、政府や州政府の準備不足で拡大したパンデミックとの戦いで協力している

Pfizer(ファイザー)は米国時間5月3日、インドに7000万ドル(約76億円)分の医薬品を送ると明らかにした。「インドの新型コロナとの戦いのサポートに全力を注いでいて、社の歴史上最大の人道救援活動を結集するために急いで取り組んでいます」と同社の会長兼CEOのAlbert Bourla(アルバート・ブーラ)氏は述べた。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Facebookインド新型コロナウイルスワクチン

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIスタートアップ英Facultyが将来の医療需要を予測する事業を同国保健サービスから受注

VCが支援する人工知能スタートアップのFaculty(ファカルティ)が、新型コロナウイルスパンデミック対応状況から抽出したデータに基づいて、患者が将来必要とするサービスの予測を向上させることを目的とするNHS(英国民保健サービス)の事業の入札を勝ち取った。

Facultyは2019年12月にシリーズAラウンドで英国拠点のVCであるLocal Globe、GMG Ventures、そしてSkypeの創業チームのエンジニアの1人であるJaan Tallinn(ジャン・タリン)氏から1050万ドル(約11億3500万円)を調達し、評価額は約1億ドル(約108億円)になった。

Facultyは、パンデミック中にNHSのために開発したEarly Warning System(EWS)の上に患者の将来の予測システムを構築するためにNHSイングランド、NHS Improvementと協業する。ベイズの階層モデリングに基づいて、EWSは病院が必要とするスタッフやベッド、機器を配置できるよう、新規感染者数が急増する可能性について病院に警告するために、集合データ(たとえば新型コロナの陽性患者数、救急通報、モビリティデータなど)を使う、とFacultyは話す。この学習をパンデミック対応だけでなく、サービス提供や患者のケアの改善、A&E(救急外来)需要や冬場のプレッシャーの予測など、サービス全体に応用しようとしている。

Facultyはまた、英国新型コロナの胸部画像データベース(NCCID)を開発したNHS AI LabのためにパートナーとしてNHSXとも協業する。

Facultyは、テロリストのデータベースにAIを応用するために英国内務省と、そしてBBCやeasy Jetとも協業していると報じられていた

筆者はFacultyのCOOであるRichard Sargeant(リチャード・サージェント)氏に、Facultyが「英国におけるPalantir」だと思うか尋ねた(ビッグデータ分析のソフトウェア会社であるPalantirもパンデミック中にNHSと協業した)。するとサージェント氏は「私が思うに、当社はかなり効果的でスケーラブルなAIの会社です。英国においてだけでなく、当社は米国、欧州、アジアでも展開しています。当社は引き続き事業を拡大します。当社は成長していて、今後も成長します。というのも、AIは市民や顧客のために物事を良くすることができると確信しているからです。Palantirは実際にはAIを実行していません。大まかに言えば彼らはデータエンジニアリングをしています。そしてNHSでは効果的だということがわかりました。Facultyはある種、独自の立場をとっていると思います」と述べた。

サージェント氏は、FacultyがPalantirとは異なる役割を持っていると話した。「Palantirはデータパイプラインでサポートしました。そしてPalantirは多くのデータを引き出すのに自前のソフトウェアを使っています。しかしPalantirは機械学習の会社ではなく、データを集結することを専門としています。NHS全体のデータはむしろ群島のようです。数百もの異なる場所からのデータであり、それらのデータをまとめられることで、中央レベル、ローカルレベルの両方で機械学習を行うのがかなり簡単になります。初期の警報システムと異なるのは、機械学習を使っているだけでなく、医療関係者や管理者になぜモデルがその結果を予想しているのかを理解できるよう説明しています。これはかなり最先端のものであり、Facultyが専門とするものです。Palantirは専門としていません」。

なぜFacultyがVCをひきつけたのかについても筆者は尋ねた。通常VCはスケーラブルなプロダクトを持っているスタートアップに投資する。「いい質問で、当社がよく尋ねられるものです。サービス事業として、Facultyは他の昔ながらのソフトウェアとは少し異なっていると思っています。AIは『一度で完了』のプロダクトではありませんし、人々が毎回最初から作り出すものでもありません。しかし我々が行うことの構成要素があります。繰り返し使えるものです。またモデルそのものは常にあつらえのものです。オーダーメードであること、一般的であること、あるいは包括的であることの組み合わせであり、それがFacultyを形成していて、その点が少し異なります」とサージェント氏は答えた。

Facultyは政府との契約に関して議論を巻き起こしてもいる。2020年、NHSの新型コロナデータストア運営をサポートするという230万ポンド(約3億4500万円)の契約を同社が獲得したとき、英国の大臣がFacultyの株式9万ポンド(約1350万円)分を所有していたことが明らかになった。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:NHSFacultyイギリス新型コロナウイルス

画像クレジット:Win McNamee / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

「今はイノベーションの黄金期」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏とのインタビュー[後編]

シリコンバレーの起業家で投資家のElad Gil(イラッド・ギル)氏

爆速成長マネジメント」の著者でシリコンバレーの投資家で起業家でもあるElad Gil(イラッド・ギル)氏とのインタビュー後編。前編では初めての起業家が陥りやすい落とし穴とその回避策について、後編では新型コロナウイルスがスタートアップ業界に与えている影響と展望について話を聞いた。

前編:「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

パンデミックがスタートアップに与えた影響

2020年は新型コロナウイルスの影響でスタートアップを取り巻く環境は大きく変わりました。どういった点がスタートアップにとってより難しくなったと思いますか。例えば、対面で話すことが減ったので、企業文化を作るのは難しくなっているかと思います。

ギル氏:企業文化を作ることについては、間違いなく以前より難しくなっています。企業文化は人が集まり、交流することで作られるものですから。社員がリモートワークしている会社からは、すでに出来上がっている仕組みに関してはそのまま維持して回せるけれど、何かイノベーティブなことをしたり、新しいことをしたりするのは難しくなったという話を聞きます。

2つ目は、いくつかの業界では事業を継続するのが非常に難しくなりました。例えば、私が知っているほぼすべての旅行系スタートアップは昨年から壊滅状態です。レイターステージだと、例外的な会社にTripActions(トリップアクションズ)が生き残っていますが、アーリーステージの会社のほとんどは事業を続けられませんでした。

3つ目は、新型コロナウイルスの影響で、多くの人は生き方を変えざるをえなかったことと関係します。在宅で子供を見なければならなくなったり、鬱や気分の落ち込みを経験したり。会社は社員のこうした問題に対処し、社員が新しく増えたストレスに対抗しながらも仕事を続けられる環境を整えなければなりません。

こうした課題にうまく対応しているスタートアップはありますか?

ギル氏:ビジネス面で急成長したところは多くあります。Stripe(ストライプ)、Instacart(インスタカート)、Zoom(ズーム)は、世界がオンライン化する中で急成長した企業の一例です。

企業文化の面でいうと、新型コロナウイルスが蔓延する中でも社員が交流できるよう、例えば、広い公園でマスクをつけて参加するミートアップを開催しているような会社があります。

会社によってはオンボーディングが難しくなったものの、採用はしやすくなったという変化もあります。採用しやすくなった理由としては時間や場所にかかわらず面接できるようになったからです。面接のためにオフィスを訪ねたり、仕事を休んだりする必要がなくなりました。ズームで話せばいいのですから。

オンボーディングが難しくなったのにはいくつか理由があります。GitLab(ギットラボ)は早くから社員のリモートワークに注力してきた会社で、彼らは社員のオンボーディングを3つのカテゴリーに分けています。コンピューターやメールの設定といった技術面でのオンボーディング。業務や役割、目標の設定といった組織面でのオンボーディング。最後に文化面でのオンボーディング。ですが、この3つはどれもリモートで行うのが難しいのです。

コロナ後の世界はどうなると思いますか?

ギル氏:2つの相反する力が世界に働いているように思います。現在のインターネットは、10年前と比べると10倍以上の規模になっていて、この拡大規模は10年前の人たちの想像を遥かに超えているでしょう。インターネットで過ごす時間が増え、たくさんのモバイル端末があり、仕事関連のアプリも大量に出現し、仕事でインターネットを使う時間も増えました。なので、今日設立したどの事業にも、5年、10年前と比べると、10倍規模になる可能性があるということです。つまり、10年前に1000万ドル(約10億円)の売上があった事業は、今やれば1億ドル(約107億円)規模の事業になる可能性があるということです。そして世界中のどこからでも、大規模な会社が作れるようになりました。

これは「分散化」のトレンドですが、一方で「集中化」のトレンドも同時に起きています。

特定の都市に特定の業界の人が集まっているのが、もう1つの重要なトレンドです。業界別に見ると、1つか2つの都市にその業界の物理的な拠点があるのが分かります。例えば、映画業界で仕事をしたいという人に向かって、「どこに住んでもいい」とアドバイスする人はいません。米国なら「ロサンゼルスに住まないとダメだ」と言うはずです。脚本はどこにいても書けるし、撮影も、映像編集も、音楽制作もどこにいてもできますが、それでも最終的に全員、ロサンゼルスに集まります。

世界の都市は業界ごとにまとまるようになってきています。金融だったら、資金調達をするのも、トレード戦略を考えるのもどこにいてもできますが、米国のヘッジファンドのほとんどはニューヨーク州とコネチカット州に集中しています。その理由は、サービスプロバイダーが重要で、経営陣が重要で、人と人のネットワークが重要だからです。新型コロナウイルスで世界の状況は変わりましたが、それでもなお、人は特定の場所に集まって活動を続けるでしょう。スタートアップをする人たちは特定の地域に集まって会社を立ち上げるといった傾向が続くと思います。

新たにスタートアップを立ち上げるとしたら、どのような分野に可能性があると思いますか?

ギル氏:家の地下室で仕事をしている私より、外でいろいろと動き回っている起業家たちの方が良いアイデアを持っているのは間違いないでしょう(笑)。新しいことを始めようとしている起業家集団の方が、どんな個人よりも素晴らしいアイデアを持っているものです。とはいえ、いくつか興味のある分野があるのでお話したいと思います。

1つ目は、バーティカルのコラボレーションSaaSです。例えば、Figma(フィグマ)によってデザインチームがオンラインで協力しながら仕事を進められるようになったのと同じように、財務チームが協力して財務計画を立案したり、データチームが協力して分析やアナリティクスをしたり、BI(ビジネスインテリジェンス)チームが協力して事業に関わるデータの分析ができたりするようなツールです。社内の特定の部署に特化したバーティカルのコラボレーションツールには可能性があるのではないかと思っています。

2つ目は、コンシューマー向けソーシャルアプリです。世界にはまだ、新しいソーシャルな行動が生まれ、広まる余地があると思っています。その理由は、世代間の違いがあるからです。若い人たちは新しいソーシャルネットワークを求めています。Clubhouse(クラブハウス)で人々が突然音声の魅力に気づいたのと同じように、他にも人々の行動を変えるような新しい形のソーシャルネットワークやリアルタイムコミュニケーションが登場するのではないかと思っています。

現在、膨大な量のイノベーションが起きています。例えば、AngelList(エンジェルリスト)を見ると5年前に比べて、スタートアップの数は5倍、10倍に増えています。これは新しく設立したスタートアップの実数ベースの話です。半導体や機械学習、さまざまなSaaS、防衛技術、不動産など、あらゆる分野でイノベーションが同時進行に起きていて、今はイノベーションの黄金期と言えるのではないでしょうか。

2021年4月14日にCoinbase(コインベース)が上場しています(ギル氏はコインベースの初期からの投資家)。暗号資産(仮想通貨)の領域はどう見ていますか。

ギル氏:暗号資産の領域はとても楽しみにしています。コインベースのIPOは、Netscape(ネットスケープ)がIPOした時のように捉えられるようになるのではないかと思っています。かつてネットスケープの上場で、インターネットがメインストリームの存在になると世間の人々が気づいたように、コインベースの上場は、ウォール街や既存の金融業界に対し、暗号資産が世界にとって重要であることを知らせる大きな契機になるのではないかと思っています。

関連記事:「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:CEO経営インタビューシリコンバレーAirbnbCoinbasePinterestSquareStripe新型コロナウイルス

インド政府が同国のコロナ対応に批判的なツイートを削除するようツイッターに命令

Twitter(ツイッター)はインド政府からの緊急命令に従って同国で何十ものツイートを削除した。削除されたツイートの一部はインド政府の新型コロナウイルス対応を批判するものだった。

インド政府は50以上のツイートを検閲するようTwitterに緊急命令を出した。同社はその命令内容をハーバード大学のプロジェクトLumenデータベースで公開した。

新たな命令の影響を受けているプラットフォームはTwitterだけではないことをTechCrunchは確認した。Facebookはコメントの求めにすぐには応じなかった。

以前Twitterに政府の政策に批判的なツイートやアカウントを削除するよう命令し、もし命令に従わなければ従業員を逮捕すると脅したインドは、1日に33万人超という過去最多の新型コロナ感染者を出していて、これは世界最悪だ。この数字は過小報告だとする報道もある。

関連記事:Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

医療崩壊の中で、人々がデータをクラウドソースにして薬や酸素ボンベを探すのに互いに協力するのにTwitterは貴重な希望の光となっていた

Twitterによって公開されたインド政府の命令の1つのコピー

インド政府の新たな命令について最初に報じたMedianamaは、インドでツイートが検閲された人物には国会議員のRevanth Reddy(レヴァンス・レディ)氏、西ベンガル州の大臣Moloy Ghatak(モロイ・ガタク)氏、俳優のVineet Kumar Singh(ヴィニート・クマール・シン)氏、そして映画制作者のVinod Kapri(ヴィノド・カプリ)氏とAvinash Das(アビナッシュ・ダス)氏が含まれるとしている。

Twitterの広報担当は声明で「有効な法的要請を受け取り、当社はTwitterのルールとインドの法律に照らし合わせました。もしコンテンツがTwitterのルールに反していれば、削除されます。そして特定の法律に違反していると判断され、しかしTwitterのルールには反していないのであれば、当社はそのコンテンツへのアクセスをインド国内でのみ保留します。すべてのケースにおいて、当社はアカウントに関連する法的命令を受け取ったことをアカウント所有者に直接通知します」と述べた。

「可能であれば、アカウントに関連する電子メールアドレスにメッセージを送ってユーザーに通知します。当社の法的要請FAQs(よくある質問)を参照してください。当社が受け取った法的要請は半年ごとに出しているTwitter Transparency Reportで詳細に報告され、コンテンツ保留の要求は Lumenで公開されています」。

関連記事:インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitterインド新型コロナウイルスSNS

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

SmartNewsの新型コロナ「ワクチンアラーム」日本で提供開始から1週間でユーザー数100万人を突破

SmartNewsのアプリのワクチン警告とマップ機能(画像クレジット:SmartNews)

SmartNews(スマートニュース)は、日本のユーザーが近くの新型コロナワクチンの予約先を探すためのツールが、提供開始からわずか1週間で100万人以上のユーザーを獲得したと発表した。ニュースアプリのユニコーンであるSmartNewsが日本のアプリに「ワクチンアラーム」と「ワクチンマップ」機能を設けることを決めたのは、多くの人々がワクチンの展開スピードに不満を抱いているからだ。ワクチン接種が格段に進んでいる米国では、SmartNewsは米国時間4月22日に郵便番号で予約を検索できる機能をリリースしたばかりだ。

SmartNewsは、日米合わせて2000万人以上の月間アクティブユーザー(MAU)を抱えている。

日本テレビの世論調査によると、日本人の7割以上がワクチンの普及が遅れていることに不満を持っている。SmartNewsが2021年4月上旬に65歳から79歳までの900人を対象に行った調査によると、9割以上の人が「いつどこで、どのようにしてワクチンを接種できるのか」という情報が不十分だと感じていることが明らかになった。課題としては、ワクチン予約情報の一元化されたポータルがないため、地方自治体や医療機関に問い合わせが殺到したことが挙げられた。

SmartNewsの米国版アプリのワクチン発見機能のスクリーンショット

そこでSmartNewsは、全国1741の市区町村が発表した情報を集約して「ワクチンアラーム」と「ワクチンマップ」を作成した。「ワクチンアラーム」では、ユーザーの居住地、年齢、職業、健康状態などから、予防接種の対象となる時期の目安を知ることができる。「ワクチンマップ」では、約3万7000施設のデータを組み合わせ、自分の近くの予約可能な場所を確認したり、かかりつけの医療機関が予約を開始した際に通知を受けることができる。

これらの機能は日本で高齢者の予防接種が始まった4月12日の翌日、日本時間4月13日にリリースされ、1週間後には利用者数が100万人以上に達した。SmartNewsが同国内で最も人気のあるニュースアグリゲーターアプリの1つであることに加え、新機能が大手テレビ局のテレビ朝日で取り上げられたことも助けになった。

同社の担当者がTechCrunchに語ったところによると、ワクチン機能に登録した人々の多くはすでにSmartNewsのユーザーだったが、それらのユーザーがワクチン接種の予約情報を友人や家族と共有することで新たなダウンロードが発生したという。

関連記事:スマートニュースの浜本階生氏が米国におけるメディア分極化への取り組みについて語る

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SmartNews日本新型コロナウイルスワクチンニュースアプリ

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

Netflixが今四半期の成長鈍化は制作遅延による「コンテンツ不足」のためと説明

Netflix(ネットフリックス)は、2021年第1四半期に400万人の新規加入者を獲得し、同社の総加入者数が2億760万人となったことを、同社の最新の業績報告書で発表した。

新型コロナウイルス感染症流行によって世界中の視聴者が自宅に閉じ込められることになった2020年の同時期には、Netflixは空前の成長率(1577万人の純新規加入者数)を記録していたため、前年同期比でこの最新の四半期が残念な結果となることは必然だった。だが、この数字は、Netflixが予測していた2億1000万人という加入者数にも届かなかった。

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動画ストリーミングサービスの市場は確かに競争が激しくなっているが(Disney+の加入者数は最近1億人を突破した)、Netflixは今回の伸び悩みが「競争の激化」のせいというよりも、新型コロナウイルスの影響で制作が遅れたため、オリジナル番組や映画の公開数が減少したという単純な事実に起因すると見ている。

「有料会員数の伸びが鈍化した原因は、2020年に新型コロナウイルスの影響で新規加入が大きく前倒しされたことや、新型コロナウイルスによる制作の遅れからコンテンツの品揃えが薄くなったことにあると、私たちは考えています」と、Netflixは述べている。「2021年の下半期は、大ヒット作品で新シーズンが再び始まることや、エキサイティングな映画のラインナップが加わることで、好調になると私たちは引き続き予想しています。短期的には、新型コロナウイルスによる不確実性が拭えませんが、長期的に見れば、世界中でストリーミングの台頭がリニアTVに代わるエンターテインメントの明確なトレンドとなっています」。

Netflixでは、停滞は「予想どおり」で、主な課題は新規ユーザーの獲得であると言及している。また「第1四半期前半は、「Bridgerton(ブリジャートン家)」「Lupin(Lupin/ルパン)」「Cobra Kai(コブラ会)」の効果もあり、近年と同様の成長軌道をたどっていたが、3月に成長率が低下した」と同社は述べている。

新型コロナウイルスによる制作の遅延は、第2四半期のリリーススケジュールにも影響を与えるため、Netflixは新規加入者数を100万人と控えめに予測している。話題作のリリースは2021年の下半期に再び活発化する見込みであり「ブラジルとインドを除くすべての主要市場で」制作が再開されたと同社は言っている。

会社の財務状況については、売上高は前年同期比24%増の72億ドル(約7788億円)となり(これは予想通り)、希薄化後1株当たり利益は3.75ドル(約405.6円)だった(アナリストは2.97ドル[約321.3円]と予想していた)。この発表後、Netflixの株価は時間外取引で11%以上下落している(米国東部時間午後4時33分現在)。

カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Sam Wasson / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】2021年、テック見本市は復活するのか?

この1年はカンファレンス業界にとって壊滅的な1年だった。これはTechCrunchでも取り組んできた問題であり、我々はすでにプログラムをバーチャル環境に移行している。地理的条件、出席率、その他のさまざまな要因に応じて、個々のケースごとに個別の解決策が必要であることは明らかである。

IFAは対面の要素について強気であることを実証している。ベルリンで開催されたテクノロジーショーは、ヨーロッパにおける数少ないイベントの1つとなった。IFAは2020年9月に、大幅に縮小されたもののリアルイベントを開催した。

「少し詩的な表現をすると、例年の夏の終わりには、ベルリンには特別な空気があり、朝外に出るとこの空気を感じることができます」とディレクターのJens Heithecker(イェンス・ハイテッカー)氏は2020年のイベントについて筆者に語った。同イベントの出展企業は2300社から約170社に規模が縮小されている。

新型コロナウイルスとその変異株に対する懸念が長期化しているにもかかわらず、案の定、同組織は2021年大規模な復活を計画している。このショーの秋の復活を発表するプレスリリースは、まさにお祝いモードである。

関連記事:IFAのエグゼクティブディレクターがコロナ禍でもリアルなテックイベントを続ける理由を語る

「新型コロナウイルスのパンデミックから世界が回復に向けて前進する中、IFAベルリンは2021年9月3日から7日にかけて、フルスケールのリアルイベントを開催します」と同社は記している。「あらゆる業界のブランド、メーカー、小売業者がベルリンで出展し、ネットワークを構築し、ともにイノベーションを推進することに大きな関心を寄せています」。

同組織は、2020年のイベントから引き続き行われる安全衛生対策を強調し、まだ規模について語る準備は十分に整っていないものの、カンファレンスの新しい内容や方向性をいくつか紹介している。

同社は声明で次のように述べている。「これまで同様、訪問者や出展者の安全を守ることが最優先事項です。ご来場のみなさまの健康を確保するために入念な感染予防対策を講じますので、IFAベルリン2021が出展企業数や来場者数で過去最高記録を更新することは難しいかもしれませんが、業界を再びリードするべく、IFAは本格的な復活を目指します」。

一方スペインでは大手企業数社が「バーチャル」でのみショーに参加する意向を示しているため、GSMAは現在も方向性を検討している。

主催者はTechCrunchに以下の声明を提供した。

MWCバルセロナ2021では、すべての企業の参加は難しい状況ですが、Verizon※、Orange、Kasperksyなどの出展企業に参加していただくことをうれしく思います。誰もが独自のMWC体験を楽しめるように、業界をリードするバーチャルイベントプラットフォームを開発しました。MWCバルセロナに集う方々全員が最適なかたちで参加できるよう、リアルとバーチャルのオプションが用意されています。一部の出展企業の決定を尊重し、それぞれの企業と協働しながらバーチャルプラットフォームへの参加を推進しています。

(※情報開示:Verizonは本誌TechCrunchを所有)

Google、IBM、Nokia、Sony、Oracle、Ericssonはすでにリアル参加しないことを表明している。その他の大手企業はまだ未定のようだ。すべては、最終的に中止が決まった2020年のイベントを思い起こさせる。

こうした大規模なイベントの必要性は、パンデミックが発生する前から疑問視されていたが、バーチャルイベントへの移行にともなって真に浮き彫りになった。実際のところ、ハードウェア関連のリアルイベントには依然として価値があるが、多くはバーチャル環境に適応してきている。先日開催されたCESで学ぶところがあったとしても、このシステムにはまだ解決すべき問題がたくさんある。特にコンテンツの優先順位づけに関連する問題として、すべてが同じファネルを通して効果的に配信されていることが挙げられる。

さまざまな要因が、こういったイベントへの参加意欲を左右する。最も基本的なレベルでは、個人が安心できるか否かだろう(過去のイベントの混雑した写真を見るたびに本能的な反応を示すのは筆者だけではないだろう)。多くの人にとって、大規模な室内カンファレンスにいきなり参加することは、システムに対するストレスのようなものを多少なりとも感じるものではないだろうか。ワクチン接種や特定の地域におけるパンデミックへの対策に関連する要因も存在している(いずれも数カ月のうちに大きく変動する可能性がある)。

米国時間4月15日、ドイツの連邦保健大臣が緊急警報を発し、規制を強化するよう各州に求めた。「2020年の秋以降、迅速な行動の必要性が顕著になっている」とJens Spahn(イェンス・シュパーン)保健大臣はメディアを通じて警鐘を鳴らした。

この他にも、参加を検討している人の居住地や職場が出張を承認するかどうかなど、さまざまな要素がある。多くの企業は不要不急の出張を制限しているが、仕事が何かによって「不要不急」の定義は異なってくるかもしれない。しかし、その間にどれだけの変化が起こり得るかを考えると、多くの人にとって最も健全な戦略は、リモートで物事に取り組むことだ。

4月第3週の初め、GSMAはこれまでの参加者に向けて「MWCバルセロナ2021が開催される理由について」というタイトルの電子メールを配信した。このメッセージは、バーチャル出展を選択する出展者に対して直接話しかけているように受けとれる。

「これを読まれる時期によって異なりますが、バルセロナで開催されるMWC21の開幕まで残り約12週間となりました」とCEOのJohn Hoffman(ジョン・ホフマン)氏は記している。「2020年は混乱をもたらしたというだけでは不十分な表現であり、新型コロナウイルスの影響を受けたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。私は将来に希望を持っており、またMWC21で私たちのエコシステムを招集できるということをとても楽しみにしています。誰もがリアル参加できるわけではないことを認識しており、MWCバーチャルプログラムでショーのコンテンツをお届けすることで物理的なイベントを補強しますので、その点は問題ありません」。

フラッグシップショーを1年間中断していたら、壊滅的だったかもしれない。こうした主催者、そして観光費に頼る地方自治体の多くにとって、2年間という期間は考えられないだろう。新型コロナウイルスのパンデミックが発生した年のMWCのバーチャル戦略は、当然のことながら未熟なものだった。

しかし1年以上が経過した今、GSMAをはじめとする各組織はより強固な戦略を確立しているはずだ。実際のところ、バーチャルへの移行は1回や2回限りのものではない。パンデミックの影響を強く受けている多くの企業や人々にとって、これは未来の姿を象徴しているのだ。

関連記事:MWCの開催中止が決定、主催者のGSMAが新型コロナウィルスを懸念

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

近隣の小売り店舗の回帰など、意外な2021年の米不動産業界のトレンド

パンデミックにより、誰もが予想していたよりも早く、リモートワークやオンデマンドデリバリーが日常的なことになった。世界がパンデミックから抜け出そうとしている今、「場所」は1年前ほど重要ではなくなった。

現代社会は、超高層のオフィスビルや高級マンションが立ち並ぶ洗練された大都市を生み出した。そして今、これらの都市の中心で活躍していた人々は、ポストパンデミックの世界での都市のあり方を考えている。

ここでは取材を元に、不動産のプロパティテクノロジーに注目する10人のトップ投資家がどのように未来を見据えているかを探る。

投資家らは総じて楽観的だ。というのも、本来なら氷河期にあるはずの不動産業界では、不動産テックが将来不可欠なものになると考えているからだ。しかし、少なくともパンデミック以前の戦略を知る者からすれば、オフィス分野は最も見通しが難しいようだ。

投資家らは、リモートワークが将来的に重要な役割を担うと考えており、郊外や比較的小さな都市での住宅需要が引き続き高いと予測している。そして、一戸建て住宅の販売や賃貸などの分野に焦点を当てたフィンテックやSaaS製品を特に高く評価している。多くの投資家は大都市への投資を続けているが、代替住居(敷地を共有する付属住宅ユニット)や気候関連のコンセプトを中核に据えている。

最も意外だったことは、一部の投資家が小売りのリアル店舗に期待していることだ。最新のデータを見れば、それも納得できる。大げさに聞こえるかもしれないが、地方の小規模ビジネスにとっては、より良い時代を迎えているのかもしれない。詳細は後にしよう。

オフィスがより贅沢品となるとき

パンデミックと既存のトレンドが相まって、オフィスの賃借人は「より高級品の消費者に近くなった」と、Bain Capital Ventures(ベインキャピタル・ベンチャーズ)のベンチャーパートナーであり、古くからの不動産テック投資家および不動産事業者であるClelia Warburg Peters(クレリア・ウォーバーグ・ピーターズ)氏はいう。

「1950年代以降、優位な立場にいた」家主は、これからはテナントを第一に考えなければならないと同氏は言い「賢明な家主は、単に物理的なスペースを提供していれば良かったものが、テナントにマルチチャネルのワークエクスペリエンスを提供していかなければならないというプレッシャを感じているだろう」と続ける。

それには、複数のオフィスを行き来する従業員を管理するためのソフトウェアやハードウェアなど、具体的な付加サービスが含まれる。しかし、今日の市場では、新たな姿勢が求められている。同氏は「これらの資産は、テナントのニーズに応えることを重視した、より人間的な関係の中で提供される必要がある」とし「リース期間は必然的に短くなるため、テナントに対してこれまで以上に積極的に売り込み、サポートしていく必要があるだろう」という。

こういったオフィス環境の変化は、郊外では供給側に有利に働く可能性がある。

MetaProp(メタプロップ)のZach Aarons(ザック・アーロンズ)氏は「都市部に本社のある企業は、従業員にスペースを提供しなければならなくなるだろう」と語る(同氏の会社は、この分野に関して非常にポジティブなレポートを発表したばかりだ)。しかし、多くの企業は「時折、従業員が家を出て働く必要が生じたとしても、電車で1時間もかからないよう、郊外に何らかの代替オフィスも提供したいだろう」という。

そして「メタプロップチームの多くのメンバーが前職で行っていたように、今でも(資金提供ではなく)実際に不動産の購入をしていたとしたら、郊外のオフィスの購入を積極的に検討していただろう」と付け加えた。

ほとんどの人が、リモートワークは今後根づいていき、将来的にオフィススペースのあり方に影響を与えると考えている。

Wilshire Lane Partners(ウィルシャー・レーン・パートナーズ)の共同設立者でマネージングディレクターのAdam Demuyakor(アダム・デムヤコール)氏は、概して大都市には強気だが、スタートアップ企業自身がすでに特定の場所から移転しつつあると指摘する。これは重要な先行指標であるとTechCrunchは考えている。

「この1年を振り返って興味深かったのは、パンデミックによって地理的な柔軟性を得たことで、スタートアップ自身がどのように進化し始めたかということだ」と同氏は語り「以前は、スタートアップ(特に不動産関連のスタートアップ)は、顧客や見込みのある資金源、人材の集まる場所の近くに「本社」を置かなければならないというプレッシャーを感じていた。しかし、ここ数カ月でこうした変化が見られるようになった」と述べる。

実際、筆者の元同僚で、現在はInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)のパートナーであるKim-Mai Cutler(キム-マイ・カトラー)氏は、同社のポートフォリオ企業に対して定期的に行っている最近の調査で、こうした傾向を明らかにしている。パンデミックが始まった頃、創設者が会社を設立したい場所の1位はまだベイエリアだった。今では、リモートファーストが1位になっている。一方、投資先の企業では、リモートファーストか、本社を小さくして遠くにオフィスを置くハブ&スポークモデルのどちらかに移りつつある。何らかのオフィスを維持している企業は、週5日よりも大幅に少ない日数しか使われていないと答え、また、3分の2近くの企業が、勤務地による給与調整は行わないと回答している。

これは小さなサンプルだが「スタートアップは(a)効果的なリモートワークに必要なテクノロジーの活用に長けていることが多く、(b)同時に、人材獲得のための激しい競争にさらされている。そのため、パンデミックが過ぎ去った後、スタートアップの動向を観察することで、『仕事の未来』がどのようなものになるか推測できるだろう」とデムヤコール氏はいう。

一部の(大きな融資を受けている)家主や(大きな予算を持っている)大都市は、オフィスの再配置を早急に進めており、一部の大企業はオフィススペースを増設したり、現在の所在地へのコミットメントを改めて明確にしたりしている。

そういった努力に加え、直にネットワークを築きたいという自然な欲求が、産業クラスターを元に戻し、人々を以前の場所に引き戻すことになるのかもしれない。ともすれば、以前の100%近くまで戻るかもしれない。その場合、それはどういったものになるのだろうか。

RET Ventures(RETベンチャーズ)のパートナー兼マネージングディレクターであるChristopher Yip(クリストファー・イップ)氏は、このようなシナリオでは、パンデミック時のような傾向が持続するだろうという。そして「公衆衛生への配慮に敏感になった人々は、大量輸送機関より自動車や自転車などの単独の交通手段を好んで使うようになり、駐車場関連やバイクシェアリングのテックツールが伸びる可能性がある。また、不動産管理の観点からも、タッチレステクノロジーやセルフリースを可能にするツールに消費者の関心が高まり、密集した環境での生活をより快適に、より健康的にするテクノロジーが増えていくだろう」と同氏は続ける。

もう1つのシナリオとして「多くの仕事が完全なリモートであり続ける場合」を挙げる。

同氏は「理論的には、小売店やオフィスビルは、経済的構造上苦しい状況が続く可能性があり、ある地域の政府関係者からは、オフィスビルを手頃な価格の住宅に転換するという話も出ている」と実情を話し「都市の市場の空室率が高いままであれば、住宅に対する需要が高くない市場でも家主がホテルタイプの滞在から収益を得ることができるAirbnb(エアビーアンドビー)Kasa(カーサ)のような短期賃貸プラットフォームへの需要が高まるだろう」と語る。

Fifth Wall(フィフスウォール)のパートナーであるVik Chawla(ヴィック・チャウラ)氏は、中間的なシナリオを描いている。「大都市はパンデミック後も知識労働者や優秀な人材を惹きつけると思うが、リモートワークが労働経済にとってますます重要な要素となり、オフィスとそれ以外の場所で過ごす時間の中で柔軟性が増すと予想している」。

これはやはり、ある種の長期的な価格の下落を意味する。「都市レベルでは、需要の減少により、パンデミック前の水準に比べて賃料は右肩下がりになるはずだ」と同氏は主張する。「そうは言っても、パンデミックを通して成長を遂げた都市の不動産エコシステムは、イノベーションの時期を迎え、それに伴い、住宅密度、ADU、モジュラービルディング技術の増加が見られるだろう」。

DreamIt Ventures(ドリームイット・ベンチャーズ)で都市開発テック部門のマネージングディレクターを務めるAndrew Ackerman(アンドリュー・アッカーマン)氏も、商業オフィスの価格はそのうち緩やかに下落し、その後、スペース管理に関する複雑な問題が発生すると見ている。

「仕事が平常に戻ることは、オフィスの終焉ではなく、より柔軟なワークアレンジメントをもたらすだろう。しかしそのことで、今後5年から10年で賃貸契約が更新されていく間に、オフィススペースの需要は壊滅的ではないものの、徐々に減少していくことになる。問題は、その後、余ったオフィススペースをどうするかということだ」。

「オフィスを住居へ転換することはなかなか厄介だ」と同氏は言い「レイアウトが一番の制約だ。最近のオフィスの多くは、窓がなく内部に深い空間を持っており、再利用することを難しくしている。たとえ、狭いレイアウトであっても、構造的な要素が住居には適さない場所にあることが多い。水道管やガス管を適切な場所へ移すために、建物のコンクリートに何千もの穴を開けるのは大変な作業だ」と説明する。

これは、まだ価値のある物件の新しいタイプの利用法につながりそうか、と問うと「共同生活やマイクロユニットがより魅力的な転用方法かどうかというのは、今調査している分野の1つだ。オフィスの休憩室やビル内側の大部屋を、共有のキッチンやダイニングエリア、そしてレクリエーションや仕事のためのフレックススペースに変えれば、多額の費用をかけて改装しなくても、ビル内部の深いスペースを再利用できるかもしれない。また、配管のルートをあまり変更する必要がないのであれば、時間とともに変動するオフィスや住居スペースに対する市場の需要に応じて、個々のフロアを転換することも(さらには元に戻すことも)可能かもしれない」と同氏は答えた。

投資家10人全員が、オフィス自体に対する見通しが強気か弱気かは別にして、(当然のことながら)不動産テックは次の時代の大都市の中核をなすものだと考えている。

住宅の新たな均衡

パンデミックの間、ほとんどの場所で住宅の供給は大幅に制限され、購入を希望する人が増え、売却を希望する人は減った。今まで注目を集めていた都市で、賃貸価格が大きく下落していることとは裏腹だ。

住宅問題とそのソリューションの1つとして共同生活に注目しているウィルシャー・レーンのデムヤコール氏は「パンデミックにもかかわらず、ミレニアル世代やZ世代にとって、現在の賃金水準では、物件の価格が最も高い都市(ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスなど)は依然として高嶺の花だ」という。そして「そのため、大都市での生活のコスト負担を軽減するための物件やソリューションに対する需要は、今後も継続すると考えている。例えば、その中核として、共同生活は経済的に1つの判断となるだろう。住みたい場所に住むことをより容易にするソリューション(ADUもその一例だ)は、今後も発展していくだろう」と続ける。

Camber Creek(キャンバー・クリーク)のマネージングディレクター兼ゼネラルパートナーであるCasey Berman(ケイシー・バーマン)氏は「都市がより充実した生活、仕事、遊びを求める人々を惹きつけ続けるのは、そういった体験を実現する住宅密度と機会を提供しているからだ。このような事実がある限り、その欲求を満たす都市空間と不動産に対する新たな需要が生まれるだろう」と主張する。

また同氏は、密度の高い生活をより安全に、より便利にする製品やサービスに投資しており「そのためのソリューションがますます普及していくことを期待している。Flex(フレックス)は、オンラインによる分割払いでテナントの賃料の管理と支払いを容易にし、それに伴い、家主にとっては期日通りに支払いを受ける可能性が高まる。Latch(ラッチ)の入退室管理システムは、新築の集合住宅の10棟に1棟の割合で導入されている。また、この1年で多くの人がペットを購入した。PetScreening(ペットスクリーニング)は、ペットが介助動物や支援動物の場合、ペットの記録の管理と確認を容易にする」と述べる。

Picus Capital(ピカス・キャピタル)のパートナーであるRobin Godenrath(ロビン・ゴーデンラス)氏とJulian Roeoes(ジュリアン・ルーエス)氏は、おおむねこの視点を共有しており、都市での新しい生活スタイルが、人々の暮らし方により根本的な変化をもたらす可能性があると述べている。

「柔軟な生活ソリューションにより、リモートワーカーは短期か長期かにかかわらず、都市生活のために完全に管理された手頃な価格の安全な賃貸オプションを使って、さまざまな都市で時間を過ごすことができる」と両氏はいう。そして「一方で、商業施設から住宅への転換は、単位面積あたりの価格を下げる効果があり、長期的に戻ってくる居住者がよりゆとりのある空間を購入できるようになる。共同生活は集合住宅を高密度化するが、リモートワークへの移行が進むことによる仕事での社会的交流の希薄化を考慮すると、私生活におけるコミュニティの重要性が増すため、今後も興味深い分野だと考えている」と述べる。

しかし、現代の不動産テックは、長期的には郊外やその他の地域も魅力的にしていると多くの人がいう。生活の役に立つすばらしい新技術は、あらゆる場所に導入することができる。

不動産テックは、新たな郊外ブームの火付け役にもなっている。「都市部への回帰の傾向が続いており、郊外型の生活への需要が高まっている」と両氏はいう。「不動産テック企業は、特に住宅の売買や賃貸の取引プロセスをデジタル化することで、このシフトを可能にする重要な役割を果たしている(iBuyer、代替融資モデル、テクノロジー対応仲介業者など)。さらに、不動産テック企業は、遠隔鑑定、3D / VR映像、デジタルコミュニケーションなどにより、物理的なやり取りの低減にも関与しており、パンデミックの間も住宅の購入者と販売者の効率的かつ安全な取引に大きく貢献している」。

最終的には、都市部の価格帯をより手頃にするテクノロジーが、郊外でも同様に役立つだろう。「当社は、住宅売買プロセスのデジタル化が加速していることに加え、郊外型住宅への需要が大幅に増加していることや、買い手のプロファイル(テクノロジーに精通したミレニアル世代など)が進化していることから、建設、交通の便、ライフスタイルなどの面で、不動産テックが郊外の生活に大きな影響を与える多くの機会が広がっていると確信している。これには、賃貸専用住宅の建設、モジュール型住宅の建設、低価格住宅、コミュニティの構築、デジタルアメニティなどに注力する企業が含まれる」と両氏は述べる。

インタビューを行った投資家の多くは、一戸建ての賃貸市場のトレンドを重視していた。再びRETのクリストファー・イップ氏の見解に戻る。

同氏は「過去10年間注目されなかったトレンドの1つに、一戸建て賃貸(Single-Family Rental、SFR)市場の成長がある」とし「多くの大手投資家がこのアセットクラスに参入している。SFR市場は都市部からの移住の恩恵を受けることができ、SFRを支えるテクノロジーは業界全体にポジティブな波及効果をもたらすだろう」という。

また「SFRの物件は、効率的かつ大規模に運営することが特に難しい。多世帯住宅と比較して、多種多様なレイアウトのユニットがあり、地理的にも分散している」と同氏は説明する。そして「テクノロジーによって、SFRの運営者はオペレーションとメンテナンスを合理化できるようになった。SmartRent(スマートレント)のようなスマートホームツールを使えば、分散した物件をリモートで監視し管理することができる。当社はこの分野を有望視しており、この市場で効果を上げる不動産テックツールに注目している」と述べる。

ドリームイットのアンドリュー・アッカーマン氏も同意見だ。「一戸建て市場は軽んじられてきたが、ここしばらく、資産と不動産テックの両方の観点から、徐々に関心を集め始めている。例えば、パンデミック前には、NestEgg(ネストエッグ)Abode(アバウド)など、この業界のエコシステムにサービスを提供するスタートアップに投資していた。新型コロナウイルス感染症はこれらのスタートアップにとって良い方に働き、概して一戸建て住宅の物件が注目を集めた」と同氏はいう。

Urban.us(アーバン・ユーエス)の共同設立者であるStonly Baptiste(ストンリー・バティスト)氏とShaun Abrahamson(シャーン・エイブラハムソン)氏は、共同生活や短期賃貸などの選択肢により人々が新しいライフスタイルを見つけることができ、地理的な自由度が増した世界が広がっていると考えている。「共同生活はコスト面だけでなく、コミュニティとのつながりという見過ごされてきた重要な問題を解決してくれるので、Starcity(スターシティ)のようなポートフォリオ企業は非常に成長している。また、ノマド的なライフスタイルが生まれる余地もある。マイアミについて話されることの多くは、移住についてだが、多くの場所にとって関心の高い問題は、人々が1年のうち何カ月をそこで過ごすかということだろう。つまり、リモートワーカーから見れば、例えばマウンテンバイク、サーフィン、スノーボードなど、特定のアクティビティにアクセスしやすい場所になるかもしれない。スターシティは都市間の移動を容易にし、Kibbo(キボ)はバンライフを中心としたコミュニティを構築することで、都市を超越したサービスを提供している」と両氏は語る。

ベインキャピタル・ベンチャーズのクレリア・ウォーバーグ・ピーターズ氏は、こういった変化が郊外不動産市場に与える影響を次のようにまとめている。

「住宅取引の混乱は、現在、iBuyers(インスタントバイヤー、売主から直接住宅を購入し、最終的には売主として物件を再販する)、ネオブローカー(一般的にエージェントを雇用し、権原ローンや権原保険などの二次サービスを利用して収益を上げる)、エリートエージェントツール(トップエージェントに焦点を当てたプラットフォームやツール)の3つのコアカテゴリーに落ち着いている」。

こういったイノベーションの組み合わせは、今までの住宅用不動産を変えつつある。「消費者は、ホームエクイティーベースの融資モデル(自宅を株式化して販売したり、自宅の完全な所有権を時間をかけて購入したりする)など、代替的な金融手段の活用にますます積極的になっている。このような新しいモデルの成長と普及により、住宅市場全体が統合され、仲介業者の販売手数料や、住宅ローン、権原保険、住宅保険の販売による手数料が、機能的に1つの大きな、そして絡み合った複雑な市場となっている」と同氏は語る。

近隣の小売店の驚くべき復活

人は、にぎやかで歩きやすい地元の店が並ぶ昔ながらのメインストリートのような雰囲気が好きなようだ。しかし、独立した小売店をやりくりしようとしている人々には難しい状況が続いている。

Amazon(アマゾン)をはじめとする90年代に登場した「Eテイラー(電子小売業者)」などの電子商取引は、薄利の従来型小売業に打撃を与えた。さらに最近では、アートギャラリーや高級レストラン、ブティックなどが多くの都市でジェントリフィケーション(富裕化)の前兆となっている。そういった場所ではより高い賃料を払える借り手が増えたため、小売業店舗の家主が積極的に賃料を値上げし、結果的に一等地では家賃が払えない店舗が続出することになった。

パンデミックの影響で地元の店が閉まっている間に、得意客さえもオンラインで注文するようになり、決定打となったようだ。

しかし、複数の投資家が妙に楽観的な見方をしている。パンデミックは1年以上にわたって社会・経済活動に大混乱をもたらしたが、ほとんどの人が、実生活において小売店の存在は現代生活に欠かせないものだと認めている。

「人間は基本的に社会的な動物であり、安全に人と会えるようになれば、誰もが直接対面での交流を求めるようになると考えている。さらに、週5日のオフィスワークからの解放は、自宅でも規律正しいオフィス環境でもない、『第3の空間』への欲求を高めることになるだろう」とピーターズ氏はいう。

「商品を販売することよりも、顧客が実際に商品を手に取りウェブサイト以上にブランドコンセプトを体感できる環境を整えることに重点を置く、『Apple Store』のような小売店が今後も増えていくだろう。パンデミックが終わる頃には小売店の賃料が大幅に下がっていると予想されるため、新型コロナウイルス感染症以前よりもさらに実験的な試みが行われると考えられる。小売業にとっては非常に興味深い時代になるだろう」。

小売関連のテクノロジーを専門に投資しているか、第3の空間のアイデアに広く投資しているかにかかわらず、他にも、複数の投資家がこの視点で見解を述べている。

「小売業が10年以上前から変化しているのは事実だ。eコマースで普通に買えるものは、書籍や衣料品だったものが今では惣菜や食料品にまで拡大している。また、パンデミックがeコマースの成長を加速させ、リアル店舗の小売業が損失を被っているのも事実だ」とRETのイップ氏はいう。そして「しかし、人はやはり人間であり、直接会って交流することを求めている。たとえ都市の完全な立ち直りまで時間がかかっても、大都市にはかなりの数の小売店を支える客足があり、ポップアップショップのような革新的なモデルを導入することで、空き店舗の問題に対処できるだろう。また、大衆市場では、小売業に対する信頼がまだあることも留意する必要がある。主要なREITは2020年初頭から半ばにかけて苦戦したものの、多くは大幅に回復しており、いくつかは実際にパンデミック前の数値を上回っている。小売業にとってはひどい10年であり、この1年は最悪の年だったが、このセクターの幕を引くにはまだ早すぎる」と述べる。

ピカスのゴーデンラス氏とルーエス氏によると、映画館は、パンデミック後に一般市民の生活が一斉に再開された場合の成功を待ち構える小売セクターの一例に過ぎないとのことだ。

「ショッピングセンターの目玉テナントである映画館は、予約席、4DX映像、劇場内のレストラン、カフェ、バーなど、より総合的な体験型ソリューションの提供により、すでに従来型の営業スタイルを刷新しており、さらにパンデミックをきっかけに、プライベートシアターのレンタルやイベントなどのサービスを拡大している。こうした傾向は、レストラン(実体験のように感じる料理エクスペリエンス)から伝統的な小売業(オンラインとオフラインを統合したショッピングエクスペリエンス)まで、小売不動産業界全体に拡大していくだろうと見ている。また、小売不動産オーナーが見込みのあるテナントを特定して物件を売り込んだり、小売業者が店舗内での顧客エンゲージメントを促進し、カスタマージャーニーに関する重要なインサイトを得たりする時にも、不動産テックが決定的な役割を果たすと考えている」。

意外なことに、最近ではインターネットも味方になっている。「また、オンラインとオフラインの体験を巧みに融合したハイブリッドモデルにも大きな可能性があると考えている」と両氏はいう。「フィットネス分野を例にとると、スタジオでのコースを配信してより多くの参加者を募ったり、スタジオでのレッスンや自宅でのワークアウトを通じてトレーニングや健康状態の推移をアプリでトラッキングしたりするという新しいスタイルが考えられる」。

インタビューで投資家から聞いたものではないが、小売業の未来を信じる理由は他にもいくつかある。

また、小売業が、投資家が出資している他の多くのソリューション、特に都市の魅力を高め、気候変動などのマクロな問題を解決するためのソリューションとどのように関わっているかもわかるだろう。

バティスト氏とエイブラハムソン氏は「都市には活用されていない多くの資産があるが、最大のものは自動車に割り当てられている公共スペースだろう」とし「永続的に変っていくだろうと思われることは、駐車スペースを自家用車からマイクロモビリティ(自転車、スクーター、キックボード用のレーンや駐輪場など)に再配分することだ。Coord(コード、スマートゾーンという技術を使い商用車などの縁石スペース利用を管理)、Qucit(キューシット、多くの大都市で自転車やスクーターのシェア事業を管理)、Oonee(ウーニー、安全な自転車、スクーター、ボード用の駐車場)などのポートフォリオ企業に多くの需要があると考えている」と述べる。

これは、両氏が予見する好循環の始まりに過ぎない。

「(自動車の排除)が起こると、物流のようなユースケースはマイクロEVにシフトできる。同様に、パークレット(車道の一部を転用して人のための空間を生み出す取り組み)やシーティングエリアによって公共のスペースが増える。EUでは自動車使用の禁止を推進しているが、全体的に道路で自動車の往来が減れば、大きな変化が起きるだろう。確かに個人の生活の空間を明け渡すことになるが、共有スペースや社会的なスペースが増え、都市を魅力的なものにする可能性がある。こうしたことにより、共同生活が促進され、都市で生活するためのコストを下げることができるとともに、低密度のコミュニティでは比較にならないほど共有スペースから多くのものを得ることができる」と両氏は話す。

ウィルシャー・レーンのデムヤコール氏も同様の見方をしている。

同氏は「当社の全体的な戦略を立てる上での原則の1つは、常にスペースの活用に焦点を当て、有効に活用されていないスペースを、テクノロジーによって収益化する最良の方法を見つけ出すことだ。このことは、StufNeighbor(スタッフ、ネイバー、地下室、駐車場、その他の空きスペースの収益化)MealCo(ミールコ、空きキッチンの収益化)WorkChew(ワークチュウ、レストランのシーティングエリア、ホテルのロビー、会議室の収益化)Saltbox(ソルトボックス、空き倉庫の収益化)など、当社の直近の投資案件の多くに明確に表れている。家主は、このようなタイプの戦略を適切に利用すれば、今日の不動産業界で見られる空室の増加を中期的に緩和できる」と述べる。

この主張が正しければ、小売業は、より共有スペースのような存在になるかもしれない。「特に、先に資金調達を発表したばかりのワークチュウの製品は、需要側と供給側の両方で多くの需要がある。ホテルやレストランは、あまり利用されていないスペースやインフラを収益化するために、同社との提携に対する関心は極めて高い」とデムヤコール氏は述べる。そして「もちろん、雇用主や企業は、本社のオフィス以外で過ごす時間を増やしたいと考えているハイブリッドな従業員に提供できる簡単なアメニティとして、この共有スペースに満足している」と付け加える。

インタビューした投資家らから明確に聞いたわけではないが、小売業の将来を信じる理由がいくつかある。

  • まず、経済学者や政策立案者さえも驚くほど、パンデミックの間に何百万もの新しいビジネスが生まれている。その大部分は、非常に地域に根ざしたもので、食品の宅配(カップケーキ)やサービス(出張ヘアカット)、地域で強い支持を得ているインターネットファーストの製品(Etsyの多く)などが挙げられる。これらの起業家らは、インターネットで事業を始め、商業施設の賃料が下がった今、実店舗を構えるに十分な収益を上げている。
  • 第2に、新型コロナウイルス感染症の期間を耐え抜いた地元企業の多くは、インターネットで成功する方法を見つけ出した。近隣でどの企業が嵐を乗り切っているかは、好みのオンデマンドデリバリーやサービスのアプリを開いて注文すればわかる。
  • 第3に、投資家の回答や入手可能なデータが示すように、家主はすでに賃料を下げ始めており、数十年ぶりに借り手市場が形成されている。
  • 第4に、従来のビジネスでも新しいタイプの資金調達が可能となり、オンラインでの副業や趣味(あるいはより大規模なプロジェクト)で成功を収めている企業は、拡大のための資金を得ることができるようになる。(この理由はおそらくかなり推測的なものだが、著者らは、ここTechCrunchで未来を見極めようとしている)。例えば、Shopify(ショッピファイ)は、新しい「定期収入を取引するためのプラットフォーム」のcom(パイプ・ドット・コム)に資金提供をしたばかりだ。両社はこの関係について今は多くを語っていないが、ショッピファイで成功している多くの小規模ビジネスが、リアル店舗の採算の目処が立ったときに速やかに新しい種類の資本注入を受けることの想像はできる。

こういったすべてのことを、都市の密度や自転車レーンの設置による気候変動への配慮など、都市に対する考え方の他の広範な変化も含めて考慮すると、パンデミック以前の世界というよりも、ニューアーバニストの空想といわれそうな世界が見えてくる。

同時に、これらのコンセプトは小規模な都市、郊外、そして町にも展開されている。産業クラスターの古いネットワーク効果が奇跡的な復活を遂げない限り、すべての都市が最高の生活の質を提供するために競争することになる。

仮に、産業クラスターがかつてのように集結しないとしよう。そうすると、多くの家主や金融業者、市の予算はすぐに支出を削減せざるを得なくなり、魅力的な都市の経済の足を引っ張ることになるかもしれない。

そのような場合でも、ニューヨークやサンフランシスコのように、住宅や小売店、アメニティを中心に据える都市が再生することは想像に難くない。もしかしたらいつの日かこの数十年を、パンデミックで全世界が底を打ち長期的に正しい答えを決める必要が生じる前の古き悪し時代だったと振り返る日が来るかもしれない。

ということで、読者には、著者がインタビューした投資家らの回答全文を紹介したい。各投資家の回答は、このすでに十分に長い記事より更に濃い内容であり、詳細を読む価値はある。このような変化に関する継続的な記事の支援のため、Extra Crunchを購読して欲しい。

不動産テックと都市の未来については、近々さらに掘り下げる予定だ。この件について他に考えがあればeldon@techcrunch.comにメールして欲しい。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:新型コロナウイルス不動産リモートワーク住宅アメリカeコマース店舗小売

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(文:Eric Eldon、翻訳:Dragonfly)

ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が新型コロナ感染事例は「店舗」「事業所」で急増と報告

ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染事例が「店舗」「事業所」で急増と報告データインテリジェンス領域に特化したテックベンチャー「JX通信社」は4月15日、新型コロナウイルス感染事例が判明している施設の数とその内訳を公開した。同施設データを分析したところ、緊急事態宣言が解除された3月22日以降、感染が報告された施設数は飲食店やスーパーなどの「店舗」が639カ所、オフィスや工場・製作所などの「事業所」が234カ所に上り、医療施設や福祉施設を大きく上回っていることが判明した。

アルコールを含む飲食やフードコートなどマスクを外すシーンでの感染が多発していると想定されることから、改めて不要不急の外出を控え、うがい・手洗いの徹底、オフィスなど事業所ではリモートワーク・テレワークの徹底が重要と呼びかけている。

JX通信社では、国内トップレベルの新型コロナウイルス感染事例報告施設データを保有するとともに、感染事例が報告されている施設の情報を集約しマップにまとめ、ニュース速報アプリ「NewsDigest」(Android版iOS版)内で限定公開している。同マップに掲載された新型コロナウイルス感染事例が判明している施設は、4月13日午前8時時点で少なくとも2万5746カ所に上るという。

さらに、緊急事態宣言がすべて解除された3月22日以降に期間を絞って集計したところ、全国で1378カ所が確認できたそうだ。内訳は、飲食店で134施設、オフィスで126施設と、この2種類の施設だけで全体の2割弱を占めていた。

なお同マップ内の情報は、自治体・企業から発表されている情報を公益の観点から集約・整理したものに限られており、発信元が不明な情報は含んでいない。このため、すべての感染情報を網羅するものではないとしている。

ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染事例は「店舗」「事業所」で急増と報告

大阪府大阪市の現状

大阪府大阪市について、3月22日以降感染事例が判明している施設数を24区ごとに集計した結果、オフィス街や飲食店などが密集している繁華街でキタ(北区)とミナミ(中央区)に感染事例が集中しているとわかった。不要不急の外出を一定期間控える、リモートワーク・テレワークで出社は控えるなどの外出制限により、感染の拡大が防げる可能性を示唆しているという。

ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染事例が「店舗」「事業所」で急増と報告

東京都の現状

東京23区の場合は、大阪市のようにひとつの区に集中して感染が報告されておらず、千代田区を中心に都心部で満遍なく感染報告が上がっているという。

この状況で変異株による感染が広がると、都心を中心に一気に広がる可能性があるとし、今しばらくは、大阪同様に不要不急の外出を控えるなどの外出制限が必要としている。

ニュースアプリ「NewsDigest」のJX通信社が緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染事例が「店舗」「事業所」で急増と報告

JX通信社のNewsDigestは、ニュース速報や地震・災害速報のほか、鉄道情報など生活に必要な情報を伝えるライフライン型ニュース速報アプリ。

同アプリでは、新型コロナウイルス感染症について、自宅・勤務先近くの具体的な感染事例や、消毒の有無などの情報を誰でもマップ上で確認可能。ユーザーが感染者との接触のリスクを自ら確認できるようにするとともに、外出自粛や行動抑制を呼びかけているほか、無関係な店舗への風評被害・デマなどを防ぐ狙いがあるとしている。

JX通信社は、データインテリジェンス領域に特化したテックベンチャー。国内の大半の報道機関のほか官公庁、インフラ企業等にSNS発のリスク情報を配信する「FASTALERT」(ファストアラート)、一般消費者向けのNewsDigest、自動電話情勢調査などのサービスを提供している。新型コロナウイルス感染症をめぐっては、2020年2月16日より国内感染状況の統計をまとめた「新型コロナウイルス感染状況マップ」を公開し、各報道機関・メディア・研究機関にも情報提供を行っている。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:新型コロナウイルス(用語)JX通信社(企業)日本(国・地域)

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」が2550万円調達

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」が2550万円調達

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」(タイムクラウド)を提供するタイムクラウドは4月14日、J-KISS型新株予約権の発行による2550万円の資金調達を発表した。引受先は、ライフタイムベンチャーズ、インキュベイトファンド、個人投資家。調達した資金は、開発費・採用費に充当する予定。

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」が2550万円調達

TimeCrowdは、労働時間を記録してチームメンバーに共有することで、チーム全体の生産性を高めるためのリモートワーク対応時間管理ツール。タスクごとにかかった時間をウェブ上で簡単に記録でき、チームの「誰が」「何を」しているかをリアルタイムで把握できる。また、レポート機能・CSVダウンロード機能により時間の見える化を行い、業務効率の改善などに役立てられるとしている。

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」が2550万円調達

TimeCrowdの主な機能

  • 作業時間を簡単に記録できる:任意のカテゴリーを選んでタスク名を入れるだけで、作業(タスク)ごとの時間を記録可能。ウェブブラウザー「Chrome」の拡張機能を使えばSalesforce、kintone、Chatwork、Trelloなど、あらゆるクラウドツールのデータを使って文字入力不要で打刻できる
  • リアルタイムでチームメンバーの動きがわかる:リアルタイムで打刻中のメンバーを確認できる。チームメンバーの「誰が」「何を」しているのかがリアルタイムで把握でき、効率よくコミュニケーションを取れる
  • レポート機能やエクスポート機能で時間を見える化:レポート機能やエクスポート機能によって、記録した時間を見える化可能。何に時間を使っているのかを把握することで、業務改善に役立てられる

2020年から続くコロナ禍により、働き方が変化するとともに、リモートワークが常態化し、社内コミュニケーションはオンラインが中心となっている。対面での活動が中心び営業やマーケティング、コーポレート部門も例外ではなく、オンラインの活用が必須という状況にある。

TimeCrowdによると、リモートワークで働く方は「誰が何をしているか分からない」「いま電話を回していいか分からない」といった、リアルタイムでの仕事状況がわからないといった悩みを抱えているという。またマネジメント層も、メンバーが「チーム全体の生産性が見える化できない」といった管理上の課題を抱えているそうだ。

そのような中TimeCrowdは、利用者がストレスなく業務時間を記録・共有するツールとして「TimeCrowd」を提供し、チームの生産性向上を支援するとしている。

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