Fender、ヘッドホン市場への参入は上々の滑り出し

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初めは疑ってかかっていた。いや、今でも新製品であるカナル型のモニター用イヤホンが、これまでのギターやアンプといった製品の枠を飛び出していこうとするFenderの壮大な計画の一部であることに、(確かな事実に基づいてはいないものの)疑いの念を拭えていない。ただ、FXA6がFenderによる世界征服計画のほんの第一歩だとしたら、確かにその一歩は確実なものだったと言える。

Fenderがヘッドホン業界に参入するという計画を発表した際に、疑問を抱いたのは私だけではないことはわかっている。これまでいくつかの有名ブランドが、OEM生産されたハードウェアに自社のロゴを貼り付けただけのものを使って、既存製品群外への進出を狙う前例を見てきたからだ。

先週の電話インタビューにて、FenderのCMOであるEvan Jones氏は、そのようなつもりは全く無いと私を安心させてくれた。Fenderは、ヘッドホンを単にプロ向け製品の次の妥当なステップとしてだけでなく、これまでのアンプ開発で培ってきた音声技術の延長線上にあるものとして捉えている。

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また、同社は今後の動きを踏まえ、従業員の新規雇用やナッシュビルにある工場のオペレーション拡大を行った。Fenderが、新製品のことを単にヘッドホンやイヤホンではなく、「モニター」と呼ぶことにこだわっていることから、本製品をプロのミュージシャン向けに販売しようとしているということがハッキリわかる。しかし、電話インタビュー中は、あまりハッキリとその区別をしていないようだった。

そんなことは実は重要ではなく、やはり肝心なのは製品の性能だ。そして、性能に関しては良いニュースがある。まず、FXA6の音は素晴らしい。開発に当たったFenderのチームが、上質な音を奏でるヘッドホンの製造について熟知していることがよく分かる。これは、ハイエンド音楽機器の製造販売を行っていたAurisonicsのFenderによる買収とも関係があるかもしれない。

音は、ボリュームを大きくしても(お母さんごめんない!)非常にハッキリしている。そして、(消費者向けヘッドフォンでこれまでありがちだった)他音域が上手く出ないことをカバーするために低音部を過度に強調するといったこともなく、音源を忠実に再現することに長けている。

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さらにFXA6は、ひとつひとつの音を丁寧に再現することができ、特にビットレートの高い音源だと楽器毎の音が聞き分けやすい。安いヘッドホンによくあるような、ゴチャゴチャに混ざり合ってぼんやりした音とは対照的だ。私もこの記事を書きながらPet Soundsを聞いていて、Carol Kayeによるベースプレイを他の音と混ざり合うことなく楽しめている。

また、つけ心地に関してもFenderの努力が感じられる。もちろん、カスタムメイドのイヤフォンに比べるとフィット感はおちるが、FXA6は自分にあったイヤーピースさえ選べば、外耳の輪郭に沿って心地良くフィットする。

Fenderは、ヘッドホンという製品は、フリーサイズでおおよそ全ての(もしくは95%くらいの)人が問題なく使えると思っているようだが、私自身は、本製品が購入者全員に上手くフィットするとは思っていない。但し、サイズが合いさえすれば、耳の穴に蓋をすることで雑音が遮断され、パッシブノイズキャンセリングの機能を果たすことができる。

編みこみのケーブルは、本体と着脱可能になっており、これは高価なヘッドホンにおいては明らかなプラス要素だ。これまでの経験から言って、ケーブルがヘッドホンのパーツ中で一番最初にダメになる場合が多いため、何かが起こった際に交換可能だとわかっているというのはかなり大きい。

ここではあまり関係のないことだが、FXA6に同梱されているケーブルにはマイクがついていないので、電話をすることはできない。しかし、プロ音楽家に向けて販売されているモニター用イヤホンであることを考慮すると、当然のことかもしれない。

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最後に重要な点として、400ドルというFXA6の値段は、ほとんどの消費者にとって手の届かない価格帯だ。もちろん、Ultimate Earsを購入するようなユーザーは、嬉しそうにモニター用イヤホンの価格の上昇について話をしてくれるだろう。

FXA6が現在の価格帯で販売数を伸ばすような開かれたマーケットがあるか、というのを判断するのは難しく、Fenderは明らかにブランドネームに頼ってヘッドホン市場で戦っていこうとしている。しかしながら、少なくともFenderの長期的な新市場への進出計画が、期待はずれとなることはないだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

創業70歳のFenderが消費者市場の重要性に目覚め、耳内モニタ兼用のヘッドフォーンを発売

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70年間、ギターとアンプでミュージシャンたちをロックしてきたFenderが今日(米国時間5/12)、初めての一般消費者向けの製品を発売した。それは、楽器を弾くときの耳内モニタとしても使えるヘッドフォーンだ。

その音は力強く、そして大音量でもクリアーだ。お値段はDXA1タイプの99ドルから、オーディオマニアをねらった499ドルのFXA7まで数種類、耳孔に挿入するイヤーバッドではなく、その手作りチタン製の筐体は耳殻全体を覆い、外部ノイズを遮断して、強力でバランスの良い外殻とドライバーアンプをそこに収める。

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演奏中のミュージシャンが叩き出すビートを無難に扱うから、彼/彼女やバンドの全員が、従来のステージモニタの代わりにこれを、小さな耳内スピーカーとして使える。

耳孔に入るバッドの部分は感熱性のすべらないエラストマー製で、全体は外耳にかけるフックで固定される。ケーブルは着脱式なので、ほかのものに換えてもよい。音は全体的にバランスが良く、低温が異様に強調されることはない。ミュージシャンもオーディエンスも共に、本物の音楽を楽しめる。

今Fenderは、楽器とアンプで築いたヒップな企業イメージを利用して、主に音楽の消費者に向けた製品を売りだそうとしているようだ。同社のVP Jim Nineslingによると、“これからのFenderはライフスタイルのブランドだ。音楽を演奏しない人たちでも、かっこいいからうちの社名入りのTシャツを買うようにね”、という。

Nineslingによると、スマートフォンがモバイルの音楽消費をブームにした。ヘッドフォーンは今、年間80億ドルの産業へと肥大している。Fenderも、成長するためにはその道を進むしかない。

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Fenderを楽器のレジェンドに育てた高度なオーディオ技術とセンスが、ヘッドフォーンにも生かされている。たとえばボーカルの場合、まるで自分の頭の中にその歌手がいるようだ。多様な音像の、区別も明確だ。たとえばスタジオ録音の音は、それらしく不完全な音になる。こんな言葉を思い出す: “氷山の上のレタスのように歯切れが良い”。

そのデザインは、90%の人の耳に合う、という。しかしそれでも、プロのミュージシャンなどが求めるより完全な遮音性は、200ドルの耳内モニタ+200ドルのEtymotic社製フィッティングの方が、ベターかもしれない。Etymotic社は、ユーザーの耳孔を粘土で形どりする…つまりオーダーメイドだ。2000万のオーディエンスストリームを稼いでいるインディーバンドCathedralのリーダーJohnny Hwinが、このような感想を述べたが、彼はFender FXA6を使ってみて、音のバランスは楽しめたが、耳に完全に合うことも重要だ、と言った。

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本誌TechCrunchで最近ハードウェア記事を担当しているBrian Heaterは、Fenderのハイエンド機FXA7を試してみてこう述べた: “音はすごくいい。音源を正確に再現するし、クリアーで均質な(特定レベルだけを優遇しない)音質だ。最近の耳内ヘッドフォーンとしては、ベストではないか。それに、耳への収まりが良くて快適だ。もちろんカスタムメイドにはかなわないかもしれないが、単一サイズの一般消費者製品としては、良くできているよ”。

残る疑問は、Fenderがこれまで楽器やアンプで築いた信頼を、消費者製品に関しても得られるか、だ。消費者が、プロ用製品として敬遠することを、防げるだろうか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

NextVRがスポーツに次いでコンサートもライブVR中継へ…大手プロモーターLive Nationと契約

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スポーツの実況ストリーミング中継を3D(立体映像)のVRでやる、という大事業に挑戦したNextVRが、今度はその次のビッグな市場に挑む: 仮想現実によるコンサートのライブ中継だ。

このほどNextVRは大手プロモーターのLive Nation〔日本法人あり〕とパートナーして、これから“何百もの”コンサートやイベントを同社の仮想現実プラットホームにライブでストリーミングしていくことになった。

今回の大メジャー級のパートナーシップは、NextVRがライブイベントのVRストリーミング市場で、その初期から強力な地歩を築きたい、という強い意思の表れだ。今年の初めには同社はFox Sportsと複数年の契約を結び、今後そのネットワークからライブのスポーツイベントをブロードキャストしていく。

NextVRはすでに、Comcast VenturesやTime Warner Investmentsなどから3550万ドルの資金を導入している。

NextVRが参入するコンサートのVR放送という分野は、明らかにまだ若い市場だが、すでにVRLIVEなどの仮想現実スタートアップが探究を始めている。VRLIVE社は、同社独自の“3D VRオーディオプラットホーム”をアップグレードしてコンサートのストリーミング中継を行い、VRによるもっともリアルな音響体験をユーザーにお届けしたい、としている。

今、NextVRのストリーミングの“受信機”はSamsungのGearVRに限られているが、もうすぐそのほかのプラットホームにも対応していく、と同社は言っている。

P.S. 月曜日(米国時間5/8)のDisrupt NYでNextVRの協同ファウンダーDave Coleにインタビューする予定なので、それをFacebook Liveでご覧いただくか、または残り僅かなチケットをお買いいただき、カンファレンスにご来場いただきたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AIが訓練結果に基づいてベートーヴェン(EUのテーマ曲)をビートルズふうに演奏

人工知能が“歓喜の歌”をEDMふう、ブラジルギターふう、そしてビートルズの“ペニーレーン”ふうに演奏したら、こうなる。

パリのSony Computer Science Laboratoryが、欧州連合(EU)のテーマソングの編曲に挑戦した。彼らは機械学習の最大エントロピー原理に基づいてコンピュータに、さまざまなタイプの音楽のもっとも目立つ特徴を認識することを教えた。そしてチームはそのAIに、ベートーヴェンのクラシック中のクラシック“歓喜の歌”のパターンを、現代的に演奏するよう命じた。

下のビデオで、リーダーのサイエンティストが、そのやり方を説明している:

SonyのCSLは、彼らのプログラムが、AIが人の心に残るオリジナル曲を作れるようになるための第一歩だ、と信じている。ラジオからコンピュータが作ったような曲ばかり聞こえてくるようになったら、あと数年でサイバートーヴェン(cyBerthoven)が登場するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

BMWがAndroidアプリの統合を発表、最初はiHeartRadio, Pandora, Spotify

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BMWはそのほかの自動車メーカーとともに2011年にiPhonesとの統合を導入したが、それから5年後の今年、New York International Auto Show(ニューヨーク国際自動車ショー)でついに、BMV AppsがAndroidデバイスと統合する、と発表した。2016年のBMW 7 SeriesのiDriveシステムで動く最初の3つのアプリはすべて音楽系で、iHeartRadioPandora、そしてSpotifyだ。

当面は特定の車種と特定のアプリのみだが、今後はそのほかのBMV車種やMinisにも、さらに多くのAndroidアプリが載る可能性がある。ユーザーはBMWのConnectedアプリをダウンロードして、自分のスマートフォンからiDriveとBluetoothで音楽をストリーミングする必要がある。Pandoraでは指の上げ下げ(好き/嫌い)ができるし、Spotifyの有料や無料のアカウントでプレイリストにアクセスできる。またiHeartRadioではライブのラジオ放送を全国で聞けると同時に、ご自分のFavoritesの曲も楽しめる。

Appleは同社のプラットホーム向けに開発されるアプリを厳しく管理しているから、スマートフォンと車載エンタテイメントシステムを統合した初めてのメーカーの一つであるBMWも、iPhoneアプリならドライブ時の安全性に関して安心できる、と思っている。それに比べるとAndroidのアプリ環境は意図的によりオープンだが、今や多くの見込み客のポケットに入っているデバイスを、BMWとしても無視できなくなった。

BMWが今回選んだ三つの人気アプリはいずれも、運転者が簡単に安全に操作できる。すべてのアプリがiDriveを使用し、プラットホームの違いを超えて、運転時の安全が確保されている(たとえば長いプレイリストを見るときでも路面から目が逸(そ)らされない)、とプレスリリースは述べている。iDriveを使用するアプリに関しては、それらが運転者の注意をあまり奪わないことを、BMWは検証している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

KickstarterがインディーミュージシャンのコミュニティDripを買収、クリエイティブのプロジェクトが増えるか?

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クラウドファンディングサービスのKickstarterが初めて行う買収として、ミュージシャンのDIYプロモーションサイトDripを獲得した。そこでは音楽アーチストたちが自分の新作や予告作などを軸にファンと交流し、また実際に売上を得ることもできる。

本誌は昨年の夏、5歳になったDripを取り上げたが、そこはインディーたちの人気コミュニティになっていたにもかかわらず、先月はついに閉鎖の危機に瀕した。Kickstarterが、実際に閉鎖を予定していた日の前日に買い上げたので存続が決まり、ファウンダーのSam Valentiによると、そのサイトとサービスは今後も継続する

“Dripのサービスとコミュニティとクリエイターたちは活動を継続し、協同ファウンダーのMiguel SenquizはKickstarterのチームに加わって、Dripのビジョンの実現維持に努めていく”、と彼はMediumに書いている。

KickstarterのCEOで協同ファウンダーのYancey Stricklerによると、同社には何年も前からDripを敬愛する熱心なファンが多かったそうだ。

“アーチストとオーディエンスの絆を強化する、という意味では、両社はその心において同じ道を歩んできた。クリエイティブな文化がより活性化するための条件を育(はぐく)む、という基本的な姿勢は、Kickstarterにおいても同じだ”、と彼は説明する。

Dripはサービスを継続するが、SenquizがKickstarterチームの一員になることによって、Kickstarter上で今後、音楽などのクリエイティブプロジェクトがより盛んになるのか、そのへんはまだ不明だ。Stricklerは、コラボレーションによってクリエイターやオーディエンスへのサービスが“よりパワフルになる”、としか言わない。彼らの今後を見守ろう。

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家庭内音楽ストリーミングLANスピーカーのSonosが音楽業界の変化に適応するため社員をレイオフ

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今鳴らしている音楽を家中のどの部屋でも聞ける、というWiFi/EthernetスピーカーLANを主製品とするSonosが、CEOのブログ記事によると、音楽業界の変化に対応して有料ストリーミングサービスと音声コントロールにその業態を絞り込むために、社員をレイオフする、と言っている。

CEOのJohn MacFarlaneらがSonosを創業したのは2002年だったが、今日のブログ記事によると、“将来的には有料ストリーミングと音声コントロールが音楽産業で重要な役割を担うと思われるので、今後の数十年間、それらの分野のイノベーションに注力して、持続可能で利益の出る企業経営に専念したい。とくにこれまでの数週間が、Sonosの全員にとって厳しかった。われわれは結束の固い仲間だから、別れを言うことはきわめて苦痛だ。でも、この変化を敢行することはSonosの未来にとって正しい、と私には分かっている”、ということなのだ。

Sonosが作っているのはワイヤレスのサウンドシステムで、それをApple Music, Spotify, SoundCloudなどメジャーな音楽ストリーミングサービスにアクセスするアプリに接続する。Sonosの製品は、複数のスピーカーを接続でき、簡単に使えるので人気になった。しかし今やワイヤレスのホームオーディオは、SamsungGoogleなどの大手テクノロジー企業との競合に直面している。

MacFarlaneはブログ記事で、こう述べている: “Sonosは今、ストリーミング音楽が、現在と未来において消費の支配的な形式である、という自分たちの長年の確信に、倍賭けしようとしている”。しかしそれに加えて彼は、Amazon Echoのような音声コントロール製品をますます多くの消費者が採用していくから、それもまた同社の将来において重要な役割を持つ、と言っている。

“Alexa/Echoは音声コントロールの力を家庭で見せつけた最初のプロダクトだ。それが消費者間で人気になることによって、業界全体のイノベーションが加速される。今日目新しいものが、明日はスタンダードになる”、とMacFarlaneは書いている。“これに関してもSonosは長期的な視点を持ち、音声対応の音楽体験を家庭に持ち込む最良の方法を開拓する。音声は、我が社にとって大きなチャンスなので、それを素晴らしい方法で市場化するために投資をしていく”、のだそうだ。

レイオフの詳細を問い合わせると、こんなメールが来た:

“多くの高成長企業がそうであるように、Sonosもその労働力人口を絶えず評価して、われわれを次の大きな成長に導くことのできる技能と才能の確保に努めている。

ストリーミングへの遷移が加速している今は、我が社の機会もかつてなかったほどに大きい。我が社は今、家庭へすばらしい“音楽はでっかい音で聴こう(listen-out-loud)”体験を継続的にお届けできるための、絶好の位置につけている。そして、未来においても”。

…だとさ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SoundCloudがラジオ機能“Stations”をiOSとAndroidでスタート、好みの曲の見つけやすさで差別化

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Appleが制作するiTunes Radioの有料化(無料制の廃止)を絶好のタイミングと見た音楽ストリーミングサービスSoundCloudが今日(米国時間2/2)、そのラジオサービス”Stations”をローンチした。Pandoraなどのラジオサービスと同じくStationsも、ユーザーの曲指定や検索結果などに基づいて音楽ストリームをエンドレスで流す。

同社の発表声明によると、このラジオ局は“これまでどこでも聴いたことのない曲を発見する新しい方法”を提供する。そのため、ユーザーの好みに基づいて容易に曲を見つけることができる。

SoundCloudには前から”Related Tracks”(関連曲)という機能があり、曲と曲の関係や類似性を理解する能力があるが、これまではその能力がエンドユーザーの便宜として生かされていなかった。だからSoundCloudでは、自分の関心に沿う音楽を見つけるのが困難だった。優秀な新人や、隠れた才能を見つける場所、とされているSoundCloudがこれでは、困るのだった。

もちろん、ユーザーからの要望も殺到していた。しかし今日までは、新しい曲を見つけるのがかなり面倒だった。

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自分のラジオ局、SoundCloud Stationを最初に作るときは、曲名や何かのキーワード、コンテンツストリーム、自分のCollectionなどで検索をしたあとに出るメニューで、”Start Station”(Stationをスタートする)を選ぶ。そうすると、自分のStationが、LikesやPlaylistsなどと並んで自分のCollectionの一部になる。ユーザーが選べる曲の数は、1億以上あるそうだ。

SoundCloudは今、収益化の方法を模索しているが、Stationsはまさにそんな時期に登場した。同社は2015年の初めに、3200万ユーロを投資でなく融資で調達し、最近では年内における、有料会員制とグローバル市場を対象とする広告の展開を計画している。

もちろん有料制を採用するからには、競合他社に負けないだけの、サービスの充実した構成を確立する必要がある。当然その中にはStationsのようなラジオ局も含まれるだろう。PandoraもApple MusicもSpotifyもGoogle Play Musicも、すでにやっていることだ。

SoundCloudによると、Stations機能は今日からiOSAndroidの各アプリで使える。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SoundCloudは音楽のYouTubeだ―ビジネスモデルはSpotifyよりはるかに有利

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SoundCloudは最近、長らく待ち望まれていたユニバーサル・ミュージックとのライセンス契約を締結することに成功した。ユニバーサルのアーティストにはカニエ・ウェスト、アデル、テイラー・スウィフトといったビッグネームが含まれる。

この契約によってSoundCloudはメジャー・レーベルの楽曲の約半分をカバーできた。ワーナーはSoundCloudとすでに契約しているが、Sony BMG、Sony/ATVはまだ様子見というところだ。

ユニバーサルのライセンスとベンチャー資金の獲得によって、このベルリン生まれの音楽コンテンツ・プラットフォームはSpotifyのライバルとして非常に有望な存在となった。

音楽のYouTube

メディア上ではSoundCloudについて聞くことはSpotifyの場合よりだいぶ少ない。しかし SoundCloudとSpotifyはどちらも巨大なサービスだが、ユーザーベースについていえばSpotifyが7500万人であるのに対してSoundCloudは月間利用者が1億7500万人だ。

SoundCloudにSpotifyの2倍以上の登録ユーザーがある理由はこうだ。Spotifyの本質は有料ユーザーに対する音楽ストリーミング・サービスなので総ユーザー数そのものはあまり大きな意味をもたない。Spotifyにとって重要なのはそのうちのどれだけが有料契約を結ぶかだ。これに対してSoundCloudは(すくなくともまだ今のところ)収益化の必要が薄く、成長のために無料コンテンツを大量に提供する余裕がある。

第2に、SoundCloudはSpotifyよりもビジネスモデルが有利だ。SoundCloudの主要なユーザーは同時に音楽コンテンツの提供者でもあり、彼らの目的はフォロワーを増やすことで、収益化そのものには関心が薄い。今回のユニバーサルとの契約は同社に関連するやっかいな著作権訴訟を避ける効果がある。これに対してSpotifyは収入の80%を著作権の保有者に支払っている

こうした数字でも分かるとおり、SpotifyとSoundCloudのビジネスはまったく異なる。

SoundCloudのビジネス・モデルはプラットフォーム提供であり、その上に流れるコンテンツはユーザー自身がアップロードしてくれる。Spotifyのように著作権者にライセンス料金を払って楽曲をストリーミングするのが本業ではない。SoundCloudのネットワークは、楽曲をアップロードするユーザーが増えれば楽曲を聞こうとするユーザーも増えるという構造になっている。
ネットワークが拡大すればそれに連れて楽曲を投稿するインセンティブも大きくなるというネットワーク効果が働くことがSoundCloudの急成長のもうひとつの理由だ。

プラットフォームが才能ある新たなアーティストを日々惹きつけているなら、その将来はきわめて有望だと言わざるをえない

逆にSpotifyの場合、基本的にレコード・レーベルがライセンスを保有する楽曲の再販売業者であり、いわば音楽ストリーミングのウォルマート〔スーパーマーケット〕のようなものと考えることができる。そのため、Spotify上の楽曲のほとんどはApple MusicにもPandoraにも他のストリーミング・サービス上にも存在する。そのためSpotifyはSoundCloudのようなネットワーク効果を期待することができない。

これはビデオ・サービスにおけるYouTubeとNetflixの差によく似ている。こういう比較は、Netflixには成功のイメージが強いのでSpotifyをひいきしているように感じるかもしれない。しかしそうではない。実はYouTubeの単独の価値は850億ドルとNetflixの価値の2倍なのだ。その理由は簡単だ。2016年にNetflixはCBS、 Viacom、Time Warner、Foxのどれよりも多額のライセンス料金を支払うことになる。Spotify同様、Netflixの売上もほとんどはライセンス保有者に流れる。

SoundCloudは音楽のYouTubeとなれるか?

この双方の組には深いところまで類似点が見い出される。Netflixと同様、アーティストはフォロワーを増やすのにSpotifをあてにはしない。そのためにはSoundCloudに参加する。これはビデオグラファーがYouTubeに作品をアップロードするのと同じだ。

ラッパーのFetty WapはSoundCloudで大評判になってからビルボードのチャートに載った。DJの大物、DiploやSkrillexもメインストリームで有名になるための足掛りとしてSoundCloudを利用している。 こうした事情でSoundCloudはSpotifyよりも良好な関係をアーティストとの間に築いている。

Spotifyのコンテンツのほとんどはメジャー・レーベルから来ており、他のサービスでも聞ける。しかし音楽ファンがインディーの最新トラックやDJのリミックスを聞きたければSoundCloudを探すことになる。SoundCloudは新しいアーティストや曲などユニークな音楽コンテンツを探す場所になってきた。またSoundCloudではユーザー同士がフォローし合うことによって交流が深まり、音楽に関する情報が密接にやり取りされる。

コンテンツのユニークさによって音楽におけるセレンディピティ〔思いがけぬ発見〕がSoundCloudの特長になった。これによりユーザーのネットワークも日々拡大している。またそのコンテンツは主としてユーザー自身が無料でアップロードしたものだ。こうしたことはすべてSpotifyには望めない。

プラットフォームが才能ある新たなアーティストを日々惹きつけているなら、その将来はきわめて有望だと言わざるをえない。逆にSpotifyは現在のような利益を確保するために苦闘することになりそうだ。NetflixがそうであるようにSpotifyもストリーミングを継続していくためにははコンテンツの権利保有者との苦しい妥協を強いられる。またライバルのサービスに対して独自性を出していくのも難しい。もしこの両社のどちらかを選ばねばならないのなら、今のところ私は「音楽ストリーミングのYouTube」であるSoundCloudの方を選ぶだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

スターバックス、店内で再生した音楽をSpotifyのプレイリストとして提供開始

Spotify in the Starbucks app photographed on Fridday, January 8, 2015. (Joshua Trujillo, Starbucks)

スターバックスとSpotifyが共同で、新たな音楽体験を提供することとなった。スターバックス店内で流れている曲のリストを入手し、そこに含まれる曲をSpotifyのプレイリストに登録することができるようになったのだ。

新たなエクスペリエンスを提供することで、スターバックスのモバイルアプリケーションの利用者増と、Spotifyの登録者を増やすことを目的としたものだ。本機能はアメリカ7500件以上のスターバックスで提供が開始された。1000万を超える「My Starbucks Rewards」会員や、米国のSpotify利用者をターゲットとしている。

スターバックスは当初より音楽をどのように扱うかに気を配ってきた企業だ。最初はiTunesの無料楽曲を流したりしていたが、1994年にはジョン・レノン、アレサ・フランクリン、ボニー・レイットなどの楽曲からオリジナルCDを作って店舗で販売することを始めた。さらにはボブ・ディランやヨーヨー・マ、ローリング・ストーンズやレイ・チャールズなどの楽曲を使って季節毎の特製CDなども制作してきた。

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そうした中で、Spotifyとスターバックスは2015年に共同でのサービスの提供を開始している。このときから、スターバックスのミュージックパートナーはSpotifyであるという位置づけになった。スターバックスのバリスタにはSpotifyのプレミアムライセンスが付与され、流れる音楽を指定する権限を得ることとなったのだ。両社は、新たなサービスを提供することになったわけだが、しかしこれまでの仕組みも変わらずに継続していくとのこと。すなわちバリスタないし従業員たちは、店で流す音楽のプレイリストを作成する権限を持つのだ。

スターバックスはSpotifyと連携したサービスを提供し始めるにあたって、スターバックスのモバイルアプリケーション経由で、店舗の顧客にもプレイリストの提供を行いたいと話していた。

その話がいよいよ実現し、さらにハイレベルのサービスを提供できるようになったわけだ。有料および無料のSpotifyユーザーは、店舗のプレイリストをSpotifyのプレイリストとして保存できるようになったのだ。

ただし、Spotifyにプレイリストを保存するには、まずスターバックスのモバイルアプリケーションから操作する必要があるとのことではある。

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スターバックスの店舗でアプリケーションを起動すると「Now Playing」や「Recently Played」というメニューが表示される。それぞれのメニューから、曲のタイトルを指定してプレイリストに保存するものを指定することができる。さらに、ここで「love」(お気に入り)を選択することで、店側に「また流して欲しい」という意志を伝えたり、あるいはソーシャルネットワークに投稿したりすることもできるようになっている。

もちろん、スターバックスのプレイリスト全体ではなく楽曲を単独でSpotifyで再生することも可能で、スターバックスを離れてもお気に入りの曲を再生することもできる。

スターバックスは、ある意味でSpotifyの「プレイリスト・プログラマー」としても機能するようになるわけだ。Spotify利用者が新たな楽しみをここに見出す可能性もある。

ちなみにスターバックス店舗内の音楽は、インターネットに接続して動作するPlayNetworkのCURIOという仕組みを、iPod touchで操作して流されるようになっている。スターバックスのモバイルアプリケーションもCURIO経由でプレイリストを認知して情報を提供する仕組みとなっている。

CURIOシステムでは定番の楽曲やプレイ頻度が上がっている楽曲を識別する機能も備えていて、「今週のベストテン」などの情報もアプリケーション経由で提供できるようになっている。

こうした機能は、iOS版およびAndroid版のスターバックスアプリケーションで利用できるようになるのだとのこと。

「私たちの店舗にあって、音楽というのはずっと重要な役割を果たし続けてきました。店舗の魅力を高めるのに、音楽の力を融合していく仕組みを得たことになります」と、スターバックスのチェアマン兼CEOのHoward Schultzは言っている。「音楽体験の面でいえば、新しい時代の幕開けということができると思うのです。フィジカルとデジタルを融合したとも言えるのではないでしょうか。成長を続けているSpotifyに新たなチャネルを提供することにもなりました。利用者の方々が楽しめるオプションも増えましたし、また、アーティストにも自分たちの魅力をシェアする新たなチャネルを提供できるようになったと考えています」。

ちなみにSpotifyはこれまでにも人気ブランドとの協業により利用者層を拡大する試みを行なってきている。たとえば2014年にはUberと提携して、Uber利用者が好きな音楽を視聴できるサービスを行った。あるいはVirgin Americaと組んで、フライト中のストリーミングサービスを提供するようにもなった。他にも自動車メーカーやモバイルデバイスの製造企業、あるいはBonnarooなどの音楽フェスティバルとの提携などを行なってきている。

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(翻訳:Maeda, H

MicSwapはiPhoneをロックンローラーのマイクロフォンに変える

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昔はロックンローラーだったけど、ステージに立たなくなって久しい、という人は、あなたのiOSデバイスの上に、古い懐かしいマイクロフォンを再現するのはどうだろう? MicSwapというアプリを使えば、それが簡単にできるのだ。

二人のミュージシャン、Gary LevittRob Behnkeが、モバイルデバイスでマイクロフォンを模倣するアプリを作った。レッドツェッペリンのファンならリボンマイク、ポッドキャスターにはNPRスタイル、しかもこのアプリは環境も模倣するから、スタジオや居心地の良いブースにいるときの音がする。iPhoneの小さなマイクだから限界はあるが、とても近い音になる。

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このアプリで簡単にマイクロフォンをトライでき、無料バージョンはマイクが少ないが、Proバージョンなら9つのマイクを試せる。iPadやiPhoneから直接、オーディオの録音や編集をしたいミュージシャンやポッドキャスターには、便利なツールだ。

こういうアプリは実用性よりもおもしろいだけ、のことが多いけど、ライブでMicSwapが使われているビデオを見ると、なかなかのものだ。マイクロフォンを模倣することは、一部の人にとってはとても重要だ。正しい音を再現できたら、iPhoneがワンマン録音スタジオになる。Proバージョンは20ドルと高いけど、昔にちょっと戻ってみたい人は、見てみる価値がある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

AmpMeは曲をみんなのデバイスにシンクして大きなスピーカーシステムを作る

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ユーザが持つ複数のデバイスをシンクしてサラウンドサウンドのスピーカーシステムにする、というサービスはたくさんある。

でも、3か月前にモントリオールからローンチしたAmpMeは、iOSとAndroidの両方のデバイスに対応するのはうちだけだ、と主張している。

同社を創ったMartin-Luc Archambaultは多様な起業履歴を持ち、エンジェル投資家でもある。彼の最新作AmpMeは、3か月で100万回以上ダウンロードされた。

“このアプリは本質的にヴァイラルなんだ。友だちが使ってないと、意味ないからね”、とArchambaultは語る。

その使い方はこうだ:

アプリをダウンロードしたらホストに登録し、友だちにコードを教える。彼らがそのコードをアプリに入力すると、音楽は複数のデバイス間で自動的にシンクされる(全員のデバイスで一斉に鳴りだす)。スマートフォンやタブレットでもよいし、それらを大音量のサウンドシステムにつないでもよい。

“ポータブルなSonosになりたいんだ”、Archambaultは述べる。

音楽はデバイスへダウンロードしたファイルでもよいし、SoundCloudの曲やSongzaのプレイリストでもよい。

今後は、SpotifyやApple Musicもサポートしたい、と同社は言っている。

AmpMe – Be The Speakers, 作: Martin-Luc Archambault, 提供: Vimeo

〔曲はMetricのThe Shade〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ビートルズがストリーミングにやって来た―Apple Musicなどでついに全曲が聞ける

** ARCHIV ** Die Beatles, von links, John Lennon, Paul McCartney, George Harrison und Ringo Starr, machen am 4. November 1963 eine Pause auf einem Sofa waehrend einer Probe im Prince of Wales Theater in London. In Hamburg wird am Donnerstag, 11. September 2008, der Beatles-Platz eroeffnet. (AP Photo) The Liverpool beat group The Beatles, with John Lennon, Paul McCartney, George Harrison and Ringo Starr, take it easy resting their feet on a table, during a break in rehearsals for the Royal variety show at the Prince of Wales Theater, London, England,  November 4, 1963. (AP Photo)

数週間前から流れていた噂どおり、ザ・ ビートルズの公式ウェブサイトはバンドの全楽曲がApple Music、Spotifyなどすべてのストリーミング・サービスに開放されたことをことを確認した。現地時間のクリスマスイブ(米国時間12/23)の開始と同時に配信が始まる〔日本版:日本でもすでに公開されている〕。

今回の決定は、タイミングからしても最高のクリスマスプレゼントとなった。また、これまでストリーミング配信に懐疑的だったアーティストの動きとしてもきわめて大きなものだ。

実はビートルズがiTunes Storeでデジタル版の楽曲を販売するようになるにも何年という年月を必要とした。ビートルズのアルバムがiTunes Storeに登場したのは、数限りない噂の果て、やっと2010年になってからのことだ。これはデジタル音楽のプラットフォームを提供するApple Inc.と高名なバンドの全楽曲を管理するApple Corpsとの粘り強い交渉の末だった。ユーザーが自由に個々の楽曲を聞けると同時にそこから得られる収入を双方のAppleにとって最高にする仕組みを作ることは容易な仕事ではなかったようだ。

ストリーミング配信についても同様の困難があり、著作権者側から見れば、Apple Musicの取り分が不当に大きいと考えられてきた。しかし最近Apple Corpsはビートルズのアルバムをそろそろストリーミングで公開する時期だと考え直したものと思われる。

リマスターされたスタジオ録音アルバム13種類、スペシャル・コレクションが4種類が現地時間のクリスマスイブの午前12時1分から世界各国で公開される。Apple Music、Spotify、Google Play、Amazon Music、Deezer、Tidal、Slacker、Groove、Rhapsodyはすべてビートルズの曲をフィーチャーする。

今年、一部のアーティストはストリーミング配信に参加しないことを強い言葉で述べた。中でもテイラー・スウィフトがApple Musicなどのビジネスモデルに反発して「ストリーミング・サービス提供者はレーベルやアーティストに十分な支払いをしていない」と批判したのは大いに目立つ行動となった。 スウィフトは当初、新アルバム『1989』をストリーミングに登録しなかったが、複雑な交渉の後、『1989』はApple Musicに復帰した

さらにその後になるが、英国の歌手アデルは最新アルバム『25』をストリーミング配信することを拒絶している。トム・ヨークなど、何年も前からストリーミング配信では聞くことのできない他のアーティスもかなりの数存在する。

画像: AP Photo

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自作のビデオに音楽をつけたい人、作曲サービスJukedeckが著作権のない曲を一瞬で作ってくれる

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【抄訳】
ビデオは誰でも撮れるけど、それに音を付けるのは難しい。しかも、のちのち著作権などの問題が起きない音を。そこで、Jukedeckの人工知能を使った作曲サービスを利用すると、そんな音楽を安く作ってくれる。ユーザは、音楽的才能ゼロでもよい。下図のように、ムードとスタイルとテンポと長さ(時間)を指定するだけだ。短い動画でも、YouTube上の連作でも、あるいは6秒のVineでも、何でも対応できる。

長年ステルス(お忍び)でやってきたJukedeckが今日(米国時間12/7)、本誌主催のスタートアップコンペTechCrunch Disrupt LondonのStartup Battlefieldで、そのサービスを一般公開した。料金プランは一曲7ドルから150ドルまで何段階かあるが、1か月5曲までなら無料だ。非公開ベータのときのユーザには、Googleやロンドンの自然史博物館、それにイギリス王室のご家族もいる。

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“今は個人がメイクしたりクリエイトする時代だから、それをサポートするサービスが必要だ”、とJukedeckの協同ファウンダデベロッパCEOのEd Rexは語る。YouTubeだけでも、毎分300時間ぶんのビデオがアップロードされているから、Jukedeckの顧客は無限だ。音楽がしろうとビデオの表現力や訴求力を高めるなら、Jukedeckは人間のコミュニケーション能力を高める、とも言えるだろう。

【中略】

 

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Jukedeckのコンペティタとしては、まず、古典的な既存の曲のライブラリとしてPremiumBeatやAudio Networkなどがある。これらのサービスは、しろうとが自作のビデオ用に使いこなすのは難しい。またJukedeckのように作曲してくれるサービスには、デスクトップ用の複雑なソフトウェアAthTek Digibandや、メロディをユーザが提供するLudwigなどがある。

Jukedeckの最大の欠点は、指定できるオプションが少なすぎることだが、これについては、Rexによれば、おいおい増やしていくつもりだ。ぼくが個人的にどうしても欲しいのは、イントロやアウトロが「徐々に始まる/終わる」と「突然始まる/終わる」の、曲調の指定なんだけど。曲のタイプが4種類しかないのも、さみしいね(「パンクロック」は指定不可!)。

【中略】

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下のTwitter投稿ビデオでは、RexがDisruptのステージ上で、自分のピッチ(売り込みスピーチ)にJukedeckで即席に作った曲をつけ、ラップ仕立てにしている:

【後略】

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Spotifyの‘Year In Music’は今年の音楽リスニング状況のグローバルなまとめと、ユーザ個人のまとめを見せてくれる

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年末が近づくと、どこのテク企業も一年の総括を行う。それらの中で、見る価値があるもののひとつ、Spotifyが今日(米国時間12/7)、2015年の’Year In Music’をローンチし、今年の人気曲のまとめをやっている。そこでは、ユーザの好みに合わせて最新曲の紹介もしてくれる。

Spotifyのユーザは、Spotify.com/2015へ行けば、その人自身の今年の総括を見られる。何をどんだけ聴いたか、お気に入りのアーチストは誰だったか。

バンドやアーチストや曲だけでなく、Sptifyで音楽を聴いた時間、曲数、そしてそれらの全世界的なトレンドも分かる。またユーザが聴いた曲に基づいて作った’Play It Forward’というプレイリストには、年の終わりにその人が聴くのがふさわしいと思われる、おすすめの新曲が載っている。

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毎週のおすすめ曲であるDiscover Weeklyや、昔々のヒット曲からのおすすめリストRewindでもそうだが、Sptifyの他にない強みは、個人化(パーソナライゼーション)やおすすめ機能にある。今ユーザ数でだんとつの音楽サービスは、なんといってもSpotifyなのだ。

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Revols(+Onkyo)の新型イヤーバッドは誰の耳の穴にもぴったり完全にフィットし、遮音性も完全

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われわれのぶざまさは、骨格というものがあるだけではないぞ、と言わんばかりにRevolsは、耳もよく見ればぶざまだな、と思い出させてくれる。このモントリオールのカスタムヘッドフォンメーカーが今度作ったユニークなカスタムイヤーバッドシステムは、ユーザがモバイルアプリを使って、ソフトで遮音性の高いヘッドフォンを1分で作れる。しかも同社はOnkyoとパートナーして、ここ数年見たことがないほど、すごくおもしろい工業デザインを作った。ただし、そこまでカスタムに徹しても、われわれ全員に皮膚があるという、ぶざまな事実は変えられない。

Revolsは、基本的には200ドルのよくできたイヤーバッドだ。そのシステムは二つの柔らかいイヤーバッドから成り、それを耳に挿入する。耳にぴったり正しくはまったら、アプリのボタンを押す。すると、同社特許のプロセスにより、イヤーバッドはその形のまま1分で固化する。そしてカスタムに型取りしたワイヤレスのイヤーバッドが完成し、それは環境ノイズを遮断し、一回の充電で約14時間使える。

ぼくもひとつ試してみたが、まさに、上に書いたとおりだ。まるで、マジックだ。いちばん良いのは、電池交換ができることだろう。もうひとつ良いのは、環境音センサがあるので、ウォーキングやランニングのときにまわりの音を聞きたくなったら聞けること。いい仕事してる、とほめたくなるね。

Kickstarter上では200ドルで、発売は7月だ。すでに完動技術であるし、ドライバはOnkyo製だから、音質もグッドだろう。“スポーツスキン”というアクセサリは、スポーツ選手などがイヤーバッドの防水防汗のために使う。もちろん最大のメリットは、イヤーバッドが自分の耳になじまない、という古典的な問題におさらばできること。そして、それほどまでに、体の孔(あな)にぴったりフィットしたイヤーバッドの装着感は、あらためて、われわれが肉の袋以外の何物でもないことを、思い出させてくれる。最高の、良い買い物だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

データ節約アプリOpera Maxの新バージョンは音楽ストリーミングのデータを50%節約

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Operaはブラウザで知られている企業だが、最近の同社はAndroid用のデータ節約アプリOpera Max に力を入れている。InstagramやFacebookのような画像の多いアプリで帯域を節約することが当初の目的だったが、今年からはYouTubeなどのサービスからビデオをストリーミングするときのデータ節約機能を加えた。そしてさらに今日(米国時間11/22)は、一部の音楽アプリもサポートすることになった。

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Opera Maxの最新バージョンでは、YouTube MusicとPandora、Slacker Radio、Gaana、そしてSaavnから音楽をストリーミングするとき、約50%のデータを節約できる。残念ながらSpotifyはないが、なにしろこれらのサービスのヘビーユーザで、キャリアの無制限データプラン(あるいはT-Mobileの後払いネットワーク)に契約していない人なら、試してみる価値があるだろう。

Operaは、Rocket Optimizerを使って音楽のストリームを最適化する。それは2013年にOperaがSkyfireから買収したデータ最適化サービスで、MP3やMP4のストリームを、効率の良いAAC+のコーデックに変換する。

なお、今の5つのサービス以外の音楽ストリーミングサービスも将来的にはサポートする、とOperaは約束している。プロダクトマネージャのSergey Lossevpromisesは今日の声明文の中で、“Opera Maxのストリーミングオーディオ最適化技術は今後も改良を続け、より多くのデータを、良い音質を維持しながら節約できるよう努める。最初は上記5つのサービスが弊社のサービス品質テストに合格したが、近い将来にはさらに多くの音楽ストリーミングアプリをサポートしていく”、と述べている。

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イギリスのYears & YearsがGoogleのニューラルネット技術DeepDreamを使った幻覚的音楽ビデオを制作

数か月前にGoogleがリリースしたDeepDreamは、ニューラルネットワークの技術を利用して既存のビデオから幻覚的な映像を作り出す、オープンソースのツールだ。Googleは長年、画像認識や発話認識のためにソフトウェアによる人工ニューラルネットを研究しているが、今度登場したのは、初めての、DeepDreamで加工された音楽ビデオだ。

それはイギリスのエレクトロニックポップグループYears & Yearsの最新シングル”Desire”のリミックスのビデオで、元の荒涼とした映像にDeepDreamによる狂ったような効果が、うまく加わっていておもしろい。

Years & YearsのリーダーOlly Alexanderは、こう言ってる、“音楽ビデオにAIを使うことは、おもしろいと思っただけでなく、(いい意味で)ちょっと怖いとも思った。最先端の技術に触れたことは嬉しかったし、このクレージーな映像を、ぼくらだけでなく、ファンにも楽しんでもらいたいと思う”。

監督のBrian Harrisonによると、それは撮影にカリフォルニア南部の複数の場所(Montaña de Oro州立公園など)で4日もかけた労作だ。編集の終わったビデオをArtificial ExperienceのエンジニアSamim WinigerとRoelof Pietersに渡し、一緒に加工を行った。その過程で新しいビデオ編集ソフトが生まれ、それをDeepUIと名づけた。それは今回のような映像加工工程をガイドし助けてくれるソフトウェアだ。

Harrisonは最初この技術を知ったとき、クールだ、と思っただけだが、深入りするにつれて、これは新しい映像アート技術の誕生だ、と思うようになった。“まるで、マシンが意識を持って、夢を見たり、想像したりしているようだ。今回ささやかながら、新しいアート技術の誕生に貢献できたことが、嬉しい”、と彼は語る。

Years & Yearsのデビューアルバム”Communion”は、Interscope Recordsから出ている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ネットラジオ大手、Pandora、ライバルのRdioの資産を7500万ドルで買収―Rdioは倒産へ

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これは非常に速い展開だった。Pandoraがネット・ラジオのRdioを買収するというニュースが流れると同時に、2社は買収が事実であると確認した。PandoraがRdioの「主要な資産」を買収した金額は7500万ドルだと発表された。しかし同時に、Rdioは連邦破産法11条の適用を申請し、事実上倒産したことが判明した。.

またRdioは公式ブログで同社の音楽サービスはここ数週間のうちに終了されると述べた。ただし手続きに支障がなければサービス停止はすぐにも実施されるらしい。

デジタル音楽ビジネスにおける競争がく激化している現実を考えると、Rdio以外にも買収されたりサービスを終了するサービスが出そうだ。

Rdioには現在でも「白馬の騎士」が介入する余地は残されているものの、 Pandoraが予定どおりに契約を実行するなら、Rdioとはまったく別個に、現在のPandoraのネット・ラジオ・サービスと並行する形で、Rdioの資産を利用した独自のオンデマンド・ストリーミング音楽サービスを立ち上げるつもりだろう。Pandoraが買収予定の「主要な資産」にはRidoのユーザー・ベースだけでなくテクノロジーや知的所有権もすべて含まれる。

またPandoraはRdioチームの主要メンバーもチームに加える計画だ。ただし、元Amazon幹部で現在RdioのCEOを務めるAnthony Bayは「移籍せずに、今後もRdioのビジネスを見る」とPandoraのCEO、Brian McAndrewsが今日の電話記者会見で説明した。

この電話記者会見でPandoraのMcAndrewsはRdio自体ではなく、その資産だけを買収することに決めた理由についても触れた。McAndrewsによれば「Rdioを企業として買収すればPandoraは底なしの赤字に悩まされることになっただろう。Rdioの財務は企業として最悪の状態だ。〔…〕Pandoraが新たなサービスを立ち上げるのは2016年末になってからだろう。今のところ詳細を発表することはできない」と述べた。

しかしMcAndrewsは新しい資産を追加するのはPandoraにとって既定の成長戦略であると明言した。これにはライブ音楽の開催やTicketFly の買収などにより、コンサート・チケットの処理に力を入れることが含まれている。

今後はPandoraのレコードレーベルとのライセンス料金引き下げの交渉結果に注目が集まることになる。Pandoraは衛星音楽放送のライバルに比べてライセンス料金が高すぎるとしている。Pandoraはこの戦略でいくつかの方面で前進しており、楽曲の著作権者に対しても、今月初めのSony ATVとのとの交渉のように、成果を上げている。

〔後略:Pandorの声明は原文を参照〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ハンズオン・レポート:YouTubeの月額9.99ドルの有料音楽アプリ、Redは快適で有用

今日(米国時間11/12)、YouTubeは音楽アプリを公開した。このYouTube Musicは新しい楽曲を簡単に発見できる。またユーザーにまったく新しい音楽体験をもたらすものだ。有料版のYouTube Redは月額9.99ドルとなる。

YouTubeの音楽ビデオは圧倒的人気があり、専用音楽アプリは長らく待たれていたので、今日の発表自体は大きな驚きではないかもしれない。YouTubeの視聴者は世界で最大10億人に上るということだ。

もちろんモバイル・アプリのストアにはすでにYouTubeの曲をリストしたり、再生したりする製品が多数アップされている。Googleの新しいYouTubeアプリの特色は、シンプルで軽く使いやすいことと、ビデオ視聴とバックグラウンドのオーディオ再生の間を簡単に行き来できることだろう。

ユーザーが新しいYouTube Musicを立ち上げると、まずカスタマイズされたホーム画面が表示される。ここには簡単なジャンル分けがされており、個人の好みに従ってさらに複雑な設定が可能だ。ユーザーはMusicを立ち上げた状態ですでにYouTubeにログインしている可能性が高い。そこでGoogle側ではユーザーの視聴、検索履歴を知っていることになる。
YouTube Musicはここからさらに一歩を進めて、ユーザーの音楽の好みを知ろうとする。

曲を再生したとき、下部に表示される親指を立てた「いいね」ボタンをクリックすると、その曲は自動的に「後で聞く」リストに追加される。「いいね」ボタンからさらに詳しくYouTubeに音楽の趣味を伝えることも可能だ。

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トレンドのタブをクリックすると、現在人気上昇中のアーティストや楽曲を聞くことができる。またThe Daily 40では正統的なヒット曲も聞ける。これはありきたりの「トップ
40」のようなネット・ラジオ番組ではない。人間の専門家が現在YouTubeに登録された楽曲を精査してリストを作成している。ビデオは再生後に、無制限に続くラジオに移行することが可能で、
同じアーティストが次に発表した曲を聞くこともできる。またユーザーは曲のリストをさらに斬新で冒険的なものにしたり、これまで聞いた楽曲に趣味が似たものを再生するようにしたりできる。

どこから利用を始めようとMusicアプリで音楽がストップすることはない。曲またはアーティストを選択すれば、その情報にもとづいてYouTubeに登録された膨大な音楽カタログがただちに検索される。あまり選択肢が多いことに圧倒されたら、ともかくホーム・タブを押しておけばよい。YouTubeは視聴履歴にもとづいてユーザーが興味を持ちそうな楽曲を集めたラジオ局を作成してくれる。

さて全体としてこのアプリのユーザー体験を評価してみよう。有料版のYouTube Redに広告は表示されず、チャットやメール処理など他の作業をしながらバックグラウンドで音楽再生を続けることができる。このYouTube
Redにはオフライン機能もあり、ビデオを見ないでよい場合はオーディオ再生のみのモードも利用できる。スマートフォンをポケットに入れた状態で引き続き音楽を楽しみたい場合にオーディオのみ再生モードは必須の機能だ。ユーザーがポケットからスマートフォンを取り出してアンロックすると、YouTubeで現在再生されている曲のビデオが直ちに表示されるのも便利だ。またこのスマートなスイッチ機能のおかげでバッテリーやデータ通信量が大幅に節約される。

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しかし音楽アプリの無料版となると、広告が表示され、バックグラウンドでの音声のみ再生モードもサポートされない。ユーザーが作成したリストに基づいてオフラインで楽曲を聞くこともできない。つまり新アプリの特色をなす機能のほとんどは有料版のみの機能ということになる。

ユーザーのほとんどはすでにYouTubeを利用しているだろうが、月額有料版のYouTube Musicはアプリは音楽体験をまったく新しく、大いに楽しめるものにしてくれる。試してみる価値は間違いなくある。ユーザーは今日からYouTube MusicをGoogle PlayまたはApp Storeから無料でダウンロードできる〔日本版:訳者の環境では日本語版はまだ未公開〕。この場合、有料プレミアム版のRedの機能は2週間無料で試すことができる。Redはたいへん快適なので、トライアル終了が終了するのが惜しくなり、有料版に登録することになってしまいそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+