Desktop Metalが金属部品の3Dプリンター市販へ―クリーン環境で大量生産可能

今日(米国時間4/25)、Desktop Metalは金属加工が可能な3Dプリンターの価格その他の情報を発表した。Desktop Metalのプリンターは鋼、アルミニウム、チタン、銅を含め、数百種類の金属素材を使用することが可能だ。このスタートアップの共同ファウンダー、CEOのRic FulopInによれば、出力された金属パーツの品質はインジェクション・モールドと同等だという。

金属部品の3Dプリンターは10年前から存在したものの、取り扱える金属の種類や出力の速度、使い勝手などに数図の問題を抱えていた。金属は融点の温度が高いため、プラスチックのように容易に取り扱えないということも原因の一部だ。

Desktop Metalでは自社の3Dプリンティングのコアを「マイクロ波による強化焼結テクノロジー」と呼んでいる。このプリンターは、金属の薄層を重ねて焼結する。この際に用いられるのは金属とセラミックの微粉を混ぜた柔らかいポリマー素材を収めたカートリッジだ。この金属素材はDesktop Metal自身を含め、有力な積層マニュファクチャリング(additive manufacturing)メーカーによって供給される。ポリマー素材が3Dプリンティングによって成形されると、炉で急速に加熱される。焼結の際にポリマーは燃え尽きる。排ガスは活性炭フィルターで浄化される。

この過程で金属微粉は融着するが、全体が溶けて形が崩れる温度までは加熱されない。 セラミック層に挟まれた部分では金属同士は融着しない。そのためDesktop Metalの3Dプリンターで出力された金属部品はサポート部分から手で取り外すことができる。

初期の金属3Dプリンターはレーザーを用いて極めて高温で焼結を行っていた。これは航空宇宙、自動車などの産業で高密度で極めて高い強度を必要とする部品の成形に利用されていた。特に医療分野ではインプラントやデバイスなど少量で複雑な形状の製品の出力に用いられている。こうした製造方式を利用できるのは通例、GEのような十分なリソースをもつ巨大企業に限られていて。事実GEはグループのベンチャーキャピタルを通じてDesktop Metalに投資している。またGV(以前のGoogle Ventures)、 BMW iVentures、Lowe’s他のグループも投資に加わっている。

GEは昨年、この分野でArcamとSLM Solutionsの2社を買収している。買収金額は合計で14億ドルだったと報じられた。積層マニュファクチャリングでは
3D SystemsRenishawEOSStratasysなどが製品を提供している。しかし Fulopによれば、年間売上1兆ドルの金属部品市場のうち、金属3Dプリンティングは合計で10億ドル相当しか提供していないという。

積層マニュファクチャリングという広い範囲で考えると、Wohlers Report 2016によれば、昨年の売上総額は51億ドルだった。スピードと安全性などの理由からますます多くのメーカーが金属部品の3Dプリンティングを採用しようとしている。

金属部品の従来の鋳造方法では大型の機械を操作しなければならず、高い騒音レベルや高熱と排ガスを撒き散らすなどの問題があった。また作業過程で多数の薬品を必要とした。このため作業者にとって危険性をもつ環境となっていた。積層マニュファクチャリングの場合は、プロセスがシールドされるため作業者に対する危険性は大幅に低下する。

Desktop Metalの3Dプリンターから出力される金属部品は手で取り外せる

Desktop Metalでの新しいプロダクション・システムは専門の技術者が付ききりで操作することなしに複雑な形状の金属部品を高速かつ安全に大量生産することを可能にする。同社によればDesktop Metal Productionシステムは従来製品に較べて100倍高速で一時間あたり 8200cc(立方センチ)の金属加工能力があるという。

研究者、デザイナー、開発エンジニアなど向けててDesktop MetalはDesktop Metal Studioを開発した。これは工場ではなく一般のオフィス環境で利用できるシステムで、換気システムや焼結炉を加熱するガスのタンクなどの特別な外部装置を必要としない。

Desktop MetalのStudioとProductionの両システムが出力する製品は後加工の必要なしにそのまま金属部品として利用可能だという。部品は3Dプリンターから手で取り出すことができる。金属であれプラスチックであれ、従来の3Dプリンターは出力後、なんらかの後加工を必要とするのが普通だった。

Desktop Metal Studioシステムは一式が買い切り価格12万ドルでこの9月から出荷される。これにはプリンターに加えて焼結炉が含まれる。オフィスや研究室ではシステム月額3250ドルでレンタルすることが可能だ。Desktop Metal Productionシステムは2018年に出荷され、42万ドルの買い切りとなる。

画像: desktopmetal.com

〔日本版〕GEではジェットエンジンの部品製造に金属3Dプリンティングを採用して大きな成果を挙げているとして下のようなビデオ(日本語字幕付き)を公開し、実用化に至る過程も詳しく紹介している。


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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

熱を加えて狙った変形を起こすことのできる新しい4Dプリント技術

ジョージア工科大学の新しい研究成果は、形状変化3Dプリントに永続性を付け加えることを可能にする。関係者たちには一般に4Dプリントと呼ばれるこの技術は、プリントが終わったあとに形状が変化する物体をデザインすることによって、3Dプリントプロセスに別の次元を追加するものだ。

これまでハーバードやMITなどの研究機関によって研究されてきたほとんどのモデルは、このプロセスを処理するためにヒドロゲル(分散媒が水のゲル)に頼ってきた。この柔らかい素材はその機能をゆっくりと発揮して、そのプロセスが完了したときには元の形を留めていない。

ジョージア工科大学のチームが公開したビデオでは、ポリマーオブジェクトがドライヤーや熱湯などの熱源に触れた後、約5秒ほどで完了する変形の様子を、リアルタイムに見ることができる。

「通常はかなり時間のかかるものなのです」と、ジョージア工科大学の教授H. Jerry QiはTechCrunchに語った。「形状が変わるのを数時間待つ必要がありました。そしてヒドロゲルが柔らかいため、それらはとても柔らかいものになります。典型的には、皮膚よりも柔らかいものになります。これに対し、私たちの新しいアプローチでは、応答時間が非常に高速になりました。このビデオはリアルタイムです。形状変化はほぼ瞬時に起こります」。

ビデオはプロセスの多様性を示すために、8倍の大きさに展開される格子から、熱湯に浸されて閉じていく複雑でカラフルな花といったものまで、沢山の異なるオブジェクトを取り上げている。研究者たちはまた、プリントプロセス中に、最終的な物体の角度を決定することも実現できた。

「形状の変化は、プリントパラメータと、プリント構造と異なる素材を構造の中にどのように配置するかによって制御できます」とQi。「これが以前の研究から進化した点で、プロセスを大幅にシンプルなものにできました」。

現段階では、研究は研究室のクールなビデオの材料だったり、研究補助金申請のための素材に過ぎないが、将来的にはこのような変形物体は幅広い機器への応用が考えられる。例えば、体温に触れることで形状が変化する体内移植物体などの生物医学デバイスが、チームの脳裏に即座に浮かんだものだった。

また変形後の構造が永続性する性質は、消費者分野での魅力を広げる可能性もあるだろう。

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(翻訳:Sako)

Adidasが新たな3DプリントスニーカーFuturecraft 4Dを発表

Adidasが最新の3Dプリントスニーカー、Futurecraft 4Dを先週木曜日に公開した。先日発表された3Dプリント・ランニングシューズは、製品というよりもコンセプトモデルに近かったが、Futurecraft 4Dでは様々な部分が大幅に改良されている。

さらに今回発表されたスニーカーは大量生産にも向いており、Adidasはまず今年の秋に5000足を販売した後、2018年中に生産数を10万足以上までスケールアップする予定だ。価格はまだ発表されていないが、おそらく最初の5000足は限定モデルのような価格水準になるだろう。なお、同社初の3Dプリントスニーカーの小売価格は333ドルだったが、中古品にはその何倍もの値段がついている。

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AdidasはFuturecraft 4Dの設計にあたって、以前TechCrunchでも紹介した、シリコンバレーに拠点を置く3Dプリント企業のCarbonとタッグを組んだ。Sequoia Capital、GV、Yuri Milnerなどから、2億ドル以上を調達している同社は、3Dプリント技術を様々な分野における大規模生産の手段のひとつとして普及させようとしている。

プロトタイプ製作だけに使える目新しい技術と考えられがちな3Dプリント技術が、実際の製造現場で使われるようになるためのカギが、スピードだ。そして製造スピードこそCarbonの強みなのだ。

Digital Light Synthesis(デジタルライト合成)と呼ばれる手法を使い、同社の3Dプリンターは既存のものと比べて10倍以上の速さで”印刷物”を作ることができる。何が違うかというと、Carbonの3Dプリンターは、これまでの3Dプリンターのように上から素材のレイヤーを重ねていく積層造形法ではなく、印刷面から上に向かって連続的にプリントしていく手法をとっているのだ。

さらに素材に液体樹脂を使うことで、従来の3Dプリンターと比べて、より柔軟性のある製品を作ることができる。

Carbonのマシンには、印刷面の下部にデジタルライトが搭載されており、液体樹脂にライトが照射されることで固まるようになっている。そのため、印刷物(この場合はスニーカーのミッドソール)は、印刷面から上に引っ張り上げられるような感じで成形される。

下の画像を見れば、その様子がわかるだろう。

なお、印刷物は印刷面に触れることはないので、印刷されたものがマシンの表面にくっついてしまうこともない。というのも、印刷面はデジタルライトと酸素を透過し、印刷面と印刷物の間には極めて薄い空気の層が作られるようになっているのだ。

完成したミッドソールは、その後従来の製造方法で作られたアッパーに取り付けられる。

製造工程はご覧の通り複雑だが、AdidasはCarbonの技術を利用することで、3Dプリント物を大量生産できるようになる。これこそ、Adidasの狙いなのだ。

同社にとってのメリットはスピード以外にもある。Adidasは3Dプリント技術を使うことで、フォーム素材では不可能だった機能向上につながるデザインの改善をすることができるのだ。

では、エンドユーザーにはどんなメリットがあるのだろうか?

アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するためには、つま先やかかとは他の箇所に比べて固くなければいけないなど、ミッドソールの各箇所に応じて密度を変化させる必要があることをAdidasは理解している。従来のスニーカーの素材・製造方法でこれを実現するためには、密度の異なるさまざまなフォーム素材を貼り合わせてひとつのミッドソールを作らなければならない。

しかしCarbonの3Dプリンターであれば、ミッドソールの格子構造の配列を変更するたけで、各箇所をより固くしたり、より柔らかくしたりできる。

つまり、ミッドソールの格子構造が変われば密度や履き心地が変わってくるのだ。例えば下の画像のミッドソールを見てみると、全体を通して密度が変化しているのがわかる。

こうして作られたスニーカーの履き心地は素晴らしく、弾力がありながらもしっかりとしている。まさにAdidasが作ろうとしていたスニーカーだ。そして各スニーカーは、3Dプリンターを使って作られているため、個々のスニーカーの弾力性を上げたり、安定性を上げたりしたい際には、ファイルに少し変更を加えるだけでいい。

Adidasにとっての第一ステップは大量生産でありながらも、最終的に同社は、好みに合わせてカスタマイズされたミッドソールを使った3Dプリントスニーカーを、誰でも購入できるようにしようとしている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

スウェーデンの科学者たちが人間の軟骨細胞でインプラントを3Dプリント、マウスへの移植に成功

3Dプリントで体の部品を作るこ技術が、また一歩前進したかもしれない。スウェーデンのSahlgrenska Academy(サルグレンスカ・アカデミー==ヨーテボリ大学医学部)とChalmers University of Technology(チャルマース工科大学)の科学者たちが、人間の軟骨の細胞を生後6週間のマウスに移植することに成功した

研究者たちは人間の軟骨細胞からゲルを作り、それを3DバイオプリンターCELLINKでプリントし、実験用マウスにインプラントした。するとその組織は成長を開始し、動物の体内で増殖した。やがて血管が生成し、血管はインプラント素材の中で成長した。2か月後にその素材は人間の軟骨に似たものになり、それをさらに幹細胞を加えて刺激した。

素材のインプラントは同じ大学の形成外科医が行ったが、同じやり方が、耳や鼻や膝などを事故やがんなどの疾病で失った患者に、もっと自然に近いインプラントで応用できると考えられる。

指導教授のPaul Gatenholmは次のように語る: “これまでは、耳を失った患者には、プラスチックやシリコンで作ったインプラントをチタンのネジで取り付けるような方法しかなかった。形成外科の方法は、患者の肋骨から軟骨を取り、それを形成していたが、痛みがひどくて結果も良くない。でも鼻や耳の細胞を、患者の髄や脂肪から取った幹細胞で育てれば、3Dプリントで完全な構造を得ることができる”。

Gatenholmは、期待を込めてこう述べる: “この方法は組織を再生して実装する医療技術を大きく進歩させるだろう。最初のブレークスルーはたぶん皮膚、次が軟骨、そして骨だ”。さらにその後は、臓器のような複雑な器官にも使えるようになるかもしれない。

Gatenholmは昨年の2月に研究論文を発表している。そこでは再生医療の教授Anthony Atalaと共に、3Dバイオプリンティングと、そのプリンターのノズルをモデルに従って制御するコンピューター画像技術を使い、骨や筋肉を作る技術が述べられている。後者のプログラムにより、細胞を正しい離散的な位置に供給するのだ。

従来の形成外科のモデルよりも本物の器官に近い部品を3Dプリントで得るためには、CAD用の3Dモデルの方が良い、とも言われている。

このプロセスはまだ、再生外科の治療現場で実際に利用できる段階にはない。技術の完成度のほかに、規制と当局の承認という面倒な問題もある。でも、これが、これまでよりも一歩前進した、将来性のありそうなプロセスであることは確実で、今後は軟骨だけでなく、そのほかの重要な組織にも応用されていくだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ロボットの皮膚の3Dプリントを研究しているMITのチームが自己防衛のために色を変える甲虫から重要なヒントを得た

Subramanian Sundaramのチームは、3Dプリントによるロボットの制作で行き詰まったとき、ロボット屋さんがよくやることだが、自然へと目を向けた。そしてこのMITの研究者たちのチームはごく最近、golden tortoise beetle(ゴールデンカメノコハムシ)から、ヒントをいただいた。それは、ユニークなカモフラージュを習性とする、北米原産の甲虫類だ。

脅威に直面すると、この甲虫の甲の金色が消えて、半透明の赤茶色になる。MITの科学者たちは、未来のロボットの皮膚…本体表面のセンサーなどを保護する…になることを目指して、柔軟性のある薄膜を3Dプリントで作ることを目指していたが、甲虫のこの振る舞いを見てアイデアがひらめいた。

このバイオミミクリー(biomimicry)について、長期的な研究のごく一部で自然からヒントを得たことを、Sundaramは謙虚に語る: “人間の能力はまだとても後れているから、どうしても自然に頼ろうとする”。とは言っても、人間が生物の種を作り出すことはまだまだできない、と彼は述べる。

彼はこう語る: “月を目指していたけど、やっと木のてっぺんに到達したようなものだ。ヒントを得るために甲虫を研究したが、このようなものを人間が作れるようになるのは、まだまだ遠い先の話だ。生物の能力は桁外れにすごい。われわれはそのごく一部を借りようとしているだけだが、それでも、その機能の実装はとても難しい”。

今回チームは、甲虫の単純な自己防衛能力を借りて、3Dプリントで作った柔軟な基質に、光学的な変化を作り出そうとした。“センサーが何かをセンスしたら、皮膚の色が変わるようにしたかった”、とSundaramは語る。“反応とそれに対する動作の起動(アクチュエーション)は、3Dプリントの最大の問題のひとつだが、光学的な変化なら比較的容易だ”。

彼らの3Dプリントプロセスは、6種類の素材を3DプリンターMultiFab 3Dに通すことによって行われる。そしてそのプリント物に銅とセラミック製のヒーターを使い、半導体性のプラスチックを挿入する。その一回の3Dプリントプロセスで、チームは、自然の機能を模倣する回路基板を作ることができた。

大量のセンサーを搭載したロボットを3Dプリントするためには、この技術がそのための重要な一歩だ、とチームは信じている。同じくMITの別のチームが、加熱すると形を変えるロボットの3Dプリントを研究しているが、自然の模倣は、彼らにとっても参考になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MakerBotの新しい3Dプリントドライバーは、材料もプリント時間も平均30%節約する

MakerBotのMinFillが昨夜(米国時間3月19日夜)、既存顧客に対するファームウェアのアップグレードとしてひっそりと登場した。同社は既にそれを「3Dプリンティングのスピードと幅広い応用に対する重要な評価基準だ」と呼び始めている。当然のことながら、この分野のメーカーたちによる、このような気宇壮大な宣言には少々気を付ける必要がある、特にそれが、インフィル(モデルの内部で支えになる構造)という、どうにも魅力的ではないものに関する話題の場合には。

しかし、少なくとも新しくリリースされたMinFillは、潜在的に優れた数値を誇示している。社内で同社のPrintソフトウェアのために設計されたこの技術は、モデルに対して、必要最小限のインフィルを決定するアルゴリズムを実行し、材料とプリントコストを節約する。この2つは、このテクノロジーにおける2大重要課題である。

「複雑な形状をプリントするとき、その形状を正しい場所から支えるための、沢山の興味深い内部幾何を想像することができると思います」と、同社の技術担当副社長であるDave VeiszはTechCrunchに語った。「全体としての効果は、フィラメントの量が減り、プリント時間が短縮されることです。なので、最終結果を得るために、少ない時間と費用でプリントすることが可能になります」。

もちろん、異なるサイズと形状に影響を受けるので、時間とコストの節約の程度はプロジェクトごとにまちまちだ。しかしVeiszは、それぞれの節約率は平均で30%で、あるオブジェクトをプリントするために必要な材料の3分の1をカットできると語った。一方、本当に幾何的に複雑なオブジェクトの場合には、80から90%の節約を達成することができる。

これは、未来のデスクトップ3Dプリンティング技術の適用を、真に推進するもののように思わせる。これが既存顧客にとっての主要な問題を取り除いてくれるだろうことは容易に想像することができるし、将来の3Dプリンティングハードウェアの進歩と組み合わせることによって、デスクトップ3Dプリンティング体験が相当にパワーアップされることも理解できる。

ユーザーがプリントを開始する前に簡単な設定をすることだけで使えるMinFillは、3Dプリンティングのプロセスにおける、単純な繰り返しのラティスあるいはクロスハッチ構造を、特定のプリントのためにカスタマイズされたユニークなデザインの構造に変える。「結果は幾何構造に依存します」と、同社は語る。「これはオブジェクト内部に支えるための必要最小限の構造を作ります。例えば端の細い柱といったオブジェクトなどの内部で、支えの必要な場所に枝が作られ、極めて密度の低いインフィルが作られて、そうした柱を支えます」。

「それはとても複雑です」とVeiszは言う。「コンセプトを作るのはとても簡単ですが、実際に行うのはとても困難です。沢山の手作業によって、それを行う手段はありますが、単純にプリントモードを選択するだけで様々な幾何構造に対応させるようにすることは、とても難しいのです」。

これは、3Dプリントテクノロジーへの初期の熱狂に続いて起こった、激動の過渡期を過ごした会社にとっては、小さいながらも重要な前進のためのステップとなる可能性がある。MakerBotは長期に渡った沈黙のあと、教育分野へのコミットメントの強化を表明しつつ、昨年の9月に新製品を発表した。

その時には、同社は報道陣に対し、教育分野はビジネスのおよそ60%を占めていて、2015年の時点で約5000校に対して出荷を行ったと発表した(これが最後の公式発表だった)。

MakerBotにとって、MinFillはプロフェッショナルの領域での活躍を期待するものだ、これは同社の購入者のおよそ30%に相当する(一般消費者はおよそ10%だ)。今回の新しい設定で作られるモデルは、特に耐久性のあるものではない。その代わり、プロトタイピングが念頭に置かれたものとなる。

「私たちは本気で、デスクトップ3Dプリンティングが、産業市場をディスラプトすると考えています」と語るのは、メディアリレーションチームのJosh Sniderだ。「なので、本当に高価なオブジェクトプリントを外注したり、私たちの親会社(Stratasys)から10万ドルから100万ドルの機械を買うような会社が、デスクトップ3Dプリントに対してより高い関心を寄せるようになると思っています」。

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(翻訳:Sako)

陽気なキャンディカラーの3D肝臓プリントモデルが、腫瘍に立ち向かう医師たちを助ける

肝臓は素晴らしいものだ。クラッカーにペーストしても美味しいし、敗血症からあなたの血液を守ってもくれる。しかしこの奇妙な臓器を手術するためには、少しばかりの幸運と十分な準備が必要とされる。有り難いことに、更に良い準備手段が現れた。

ここ数ヶ月の間、ポーランドのクラクフにあるヤギェウォ大学医科大学の医学生、Jan Witowskiは、医師向けの、肝臓の3Dモデルを作成してきた。それを医師が手術の前に眺めることで、様々な不測の事態に備えることができるようにするためだ。彼はそのプロセスに関する論文を書いている。彼の作成したモデルの例を以下に示そう。

このモデルは、肝臓の内部にある特に厄介な腫瘍を表している。Witwoskiの3Dモデルは、肝臓を内部の循環系と一緒にプリントするだけではなく、外科医が直面する可能性のある様々な潜在的問題を可視化する。このことによって、外科医による腫瘍の摘出を容易にすることができる。

「私たちはこれらのモデルを、通常の手段をとることのできない、複雑な腹腔鏡手術を手助けするものとして作りました」とWitowskiは言う。「そうした手術は、手術中に起き得る合併症や血液の損失を低減することが重要なので、更なる可視化が必要とされているのです。外科医たちは、手術をある時点で臓器の中で何が起きているのかを実際に見ることはできません、そして内視鏡を用いているために実際に肝臓に触れて腫瘍の感触を確かめることもできないのです。彼らはモデルを手術中に見て、腫瘍が大きな血管からどれくらい離れているのか、あとどれ位切除する必要があるのか、などを判断することができます」。

WitkowskiはCTスキャンデータを使い、STLモデル(3次元モデル)を作成し、PLAフィラメントを用いる標準的な3Dプリンターで印刷を行った。彼は「肝臓の実質部分」を構築し、それをシリコン材料と組み合わせることで、外科医が肝臓の内部を見るだけでなく、その重量や形も知ることができるようにした。

「3Dプリントモデルは、患者の解剖学的構造の空間的関係に対して素晴らしい可視化を提供します。腫瘍の大きさや、周囲の血管や肝臓表面への近さを把握することが容易になります。また他の利点として『モデルを感じる』可能性を挙げることができます。実際に触ることができることで、手術の計画をより高いレベルで練ることができます、従来の仮想的に画面上で表現された視覚化よりも、物理的なモデルはよりリアルなものとして使うことができるのです」と彼は言う。

ということで、次にあまりにも沢山のマイタイを飲みすぎて、肝臓が悲鳴を挙げたときには、Witkowskiが文字通りバックアップしてくれる(またはモデルを作る)日が来るかもしれない。

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(翻訳:Sako)

ピザを3D”プリント”―、BeeHexが100万ドルを調達

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「3Dプリンター」というフレーズを耳にすると、普通の人はプラスチック製のアクセサリーやおもちゃ、ハードウェアのプロトタイプまたは人工装具といったものを作る機械のことを思い浮かべるだろう。しかし3Dフードプリンターを開発しているBeeHexは、この度シードラウンドで100万ドルを調達し、最初の製品となるピザプリンターの「Chef 3D」をローンチしようとしている。

当初BeeHexは、地球から長期間離れることになる宇宙飛行士が、バラエティー豊かな食事を楽しめるようなフードプリンターを開発しようとしていた。しかし共同ファウンダーの4人(Anjan Contractor、Chintan Kanuga、Jordan French、Ben Feltner)は、既に地球上に存在する市場に向けて、当初のコンセプトを作り替えることにした。彼らのプリンターは材料をあちこち動かさなければいけないので、プリント方式は従来のアディティブ・マニュファクチャリング(AM)方式ではなく、空気圧式を採用している。

The BeeHex 3D food printer at the TechLovesFood conference.

Food Loves Tech 2016の会場に展示されていたBeeHexの3Dフードプリンター。

長期的には、複数の3Dプリンターをつなぎ合わせて、その場でお客さんの要望に合った軽食や料理を作れるようなシステムを開発していきたいとFrenchは話す。将来的には、お客さんがアプリ上で食べたいものを選ぶことができるようになったり、もしかしたらネットにつながった医療機器やフィットネス系のウェアラブルデバイスから受け取ったデータを使って、BeeHexのプリンターがお客さんの健康上のニーズに沿った料理を作れるようになったりするかもしれない。

今回のラウンドでは、フードオートメーションの専門家であるJim Groteがリードインベスターを務めていた。彼はピザチェーンDonatos Pizzaの創業者で、2013年にはCBSの番組「Undercover Boss」にも出演していた。さらにGroteは、1960年代後半から調理をスピードアップする機械の開発を行っており、製造された機械は自らの名前を冠したGrote Companyを通じて販売している。これまでには、「Peppamatic」という可愛い名前のついた、自動でペパロニをスライスして並べる機械などが開発されている。

BeeHexの共同ファウンダーでCEOのAnjan Contractorによれば、同社は今年中にChef 3Dをソフトローンチし、まずは食品企業数社と共にパイロットプロジェクトに取り組んでいく予定だ。さらに、最近BeeHexはR&D拠点をオハイオ州のコロンバスに移転した。この街の経済開発に取り組んでいるColumbus2020によれば、コロンバスには170社近い食品・飲料製造企業が拠点を置いており、特に製パン所の数が多いという。

「企業は顧客ひとりひとりの要望に沿った商品を提供したいと考えていますが、それを実現するために必要な従業員のトレーニングにはそこまで時間を割きたくないとも考えています」とContractorは話す。BeeHexのChef 3Dのような機械があれば、特にスタッフが特別なスキルを身につけなくても、企業は作りたての美味しいピザを提供すると同時に、例えば子どもには、お気に入りのキャラクターの形をしたものを、セリアック病の人にはグルテンフリーのものを、といったように個々の顧客のニーズを満たすことができる。

A rendering shows the BeeHex 3D food printer in a retail kiosk.

BeeHexの3Dフードプリンターを導入した売店のイメージ図。

先述のJim GroteはTechCrunchに対し、BeeHexは販売ボリュームのあるピザチェーン(特にDominosやLittle Caesars、PizzaHutなどの大手チェーン)だけを相手に3Dプリンターを開発したとしても、長期的に利益を生み出し続けるできるかもしれないと語った。市場調査会社Packaged Factsの調査では、ピザレストランの市場規模は世界中で年間430億ドルに達するとされている。

さらにGroteは「ピザの次は、他のさまざまな食品にもBeeHexのテクノロジーを応用できる可能性があります。彼らは、作るのがとても難しい生地まわりの技術をマスターしているので、ピザ以外の焼き物の分野に進出してもうまくやっていけるでしょう」と話す。また、買い物客にその場で食べ物を提供したいと考えている小売やレストラン、さらにアミューズメント施設やフェスティバルを運営している企業も、従来の方法ではなく、3Dプリンターを使ってピザを焼くようになるかもしれないと彼は付け加える。これまでのやり方でピザを作ろうとすると、かなりのスペースと労力が必要になるのだ。

BeeHexの製品はまだ一般には販売されていないが、量産前のプロトタイプはFood Loves Tech 2016オハイオ州立大学のホームカミングデーといった展示会や催し物でお披露目されている。次にChef 3Dの登場が予定されているのは、3月27〜29日にラスベガスで開催されるInternational Pizza Expoだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

オーダーメイドのインソールを作るWiivvが$4Mを調達して靴にも進出

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本誌主催Hardware Battlefieldで人気者だったWiivvがシリーズAで400万ドルを獲得し、買収も行った。たかが履物屋さん、と馬鹿にしてはいけない。

でもしかし、同社はただの靴屋ではない。ファウンダーのShamil HargovanとLouis-Victor Jadavjiを軸とするWiivvのチームは、3Dプリントで作ったインソールを売っている。これまでに作って売ったインソールは1万足だ。今年は注文生産(注文3Dプリント)による靴も売るつもりだ。

そのシステムは、きわめて独創的だ。自分の足に合ったインソールが欲しい人は、Wiivvのアプリを使って足の写真を数枚撮り、それを同社のサンディエゴの工場に送る。すると5日後には、注文誂えのインソールが届き、足が疲れない、足が痛くない、膝に負担をかけない、毎日を送ることができる。ぼくみたいに足底に慢性の炎症のある人間は、良いインソールの有り難みを痛感するだろう。Wiivvの全過程〜工程は、きわめてすっきりと合理化されているようだ。

同社がこのたび買収したESolesには、足の3Dスキャンデータが5万人ぶんあるので、それらを活用するともっと正確なオーダーメイド靴を作れる。同社はとても正しい道を歩んでいるから、その未来はとても明るい、と言えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

亀山会長の3Dフィギュアも、DMM.makeが3Dプリント工場を新設

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3Dプリント技術は飛躍的に向上しているようだ。DMM.makeは最新機器がそろえた3Dプリント工場を開設することで、3Dプリントによるモノづくりを加速させたい考えだ。

2017年1月、DMMは3Dプリント事業を展開するアイジェットの全株式を取得し、子会社化することを発表した。それに伴い、アイジェットのオフィスを「DMM.make 3D PRINT TOKYO Factory」としてリニューアルオープンする。場所は東京都港区海岸で、最寄り駅は日の出駅だ。2月7日、DMMは新設した工場を記者向けに披露したので、TechCrunch Japanも見学に訪れた。

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DMM.comホールディングス代表取締役、松栄立也氏

工場見学に際し、DMM.comホールディングス代表取締役、松栄立也氏はアイジェット買収までの経緯を説明した。DMMの3Dプリント事業は、DMM.makeとして2013年7月に立ち上がった。DMM.makeでは、3Dデータをアップロードすると、最短7日で3Dプリンターで出力した製品を届けるサービスを提供している。また、2014年7月にはDMM.make AKIBAというモノづくりのためのシェアオフィスを開設し、モノづくり系のクリエイターやスタートアップを支援してきた。「一番嬉しかったのは、DMM.make AKIBAが中学生や高校生の修学旅行に組み込まれたことです」と松栄氏は話す。DMM.makeが日本のモノづくりの未来を支援しているという手応えが出てきたという。アイジェットの買収は、さらにレベルの高い3Dプリントサービスを展開するためと説明する。

アイジェットは2009年5月に設立し、DMMより一足先に3Dプリント事業を展開していた。アイジェットは3Dプリントによる出力だけでなく、3Dデータを取り込む3Dスキャンや3Dモデリング技術の開発にも力を入れてきた。

アイジェットの技術力を合わせることで、DMM.makeは3Dプリント事業に関わる3Dスキャン、3Dモデリング、加工処理、量産、コンサルティングまで一気通貫して請け負うサービスを提供していくという。今回設立した工場も、3Dプリント事業の拡充させるためだ。

DMM.makeは新設した東京ファクトリーに加え、石川県にも工場を持つ。そこは物流センターも備えているため、3Dプリンターで製品の製造から配送まで担うことができる。東京ファクトリーでは、主に3Dプリントを活用したい企業のコンサルティングやプロトタイプ制作などを担うそうだ。

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「3Dプリンター」と言われると出力に時間がかかり、素材もプラスチックなどに限られる家庭用の3Dプリンターを思い浮かべてしまうのだが、東京ファクトリーで製造できる製品の品質は、出力してすぐ実用できるものもあるほどだという。素材は、ABSライク樹脂、クリアアクリル、石膏、ナイロン、各種金属と幅広く対応している。

 

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上記の写真は、3Dスキャン技術のデモの様子だ。スタッフが立つターンテーブルが1回転し、その様子を後ろにある4台のカメラで撮影することで、スラッフの3Dデータ取得できる。東京ファクトリーには、この他にも商品を撮影する小型の3Dスキャンなどもある。

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上記の写真は、東京ファクトリー内に3Dプリンターと製品の加工工程の一部だ。

今後3Dデータが肝になるとDMMは考えている。3Dデータがあれば、製品のプロトタイピングのみならず、VRゲームのアバターだったり、フィギュアや玩具制作に用いたり、多方面でのサービス展開が可能となる。

現状では、製造業からの製品のプロトタイピング用とエンタメ分野からのフィギュア作成などの依頼が多いそうだ。今後は医療やバーチャルフィッティングといったファッション分野での3Dプリントの展開も視野に入れているという。DMM.makeは、「モノづくりのためのプラットフォーム」であり、新しいメーカーの形の実現を目指すとしている。

プリント後に形を変えることのできる3Dプリント素材をMITの化学者たちが発明

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3Dプリントされたプラスチックは、そのままの形をずっと保つ。3Dプリントで作ったヨーダが大手術をせずにチューバッカの頭に変わることはない。ところが、MITの科学者たちは、プリント後のポリマーを変えることのできる3Dプリントの方法を作り出した。オブジェクトの縮小拡大、色を変える、さらに形を完全に変えることもできる。

MITの化学の准教授Jeremiah Johnsonはこう説明する: “その素材は、一度プリントしたものをあとから光を使って別のものに変形できる素材だ”。ポスドクのMao Chenと院生のYuwei Guが研究を主導し、ペーパーも書いた。

そのテクニックはリビング重合(living polymerization)と呼ばれ、彼らのペーパーには、“成長を停止させたり、あとから再開できたりする素材”、と説明されている。

チームは最初、ある溶液の中に3Dプリントされたオブジェクトを浸す、という方法を試行した。溶液中のオブジェクトに紫外線を当てると、その化学反応によりフリーラジカルが放出された。これらのフリーラジカルが溶液中のモノマーと結合し、元のオブジェクトに付着した。ただしそれは反応が急激すぎて、オブジェクトをだめにした。

新しいテクニックは、“折りたたんだアコーディオンのように反応する化学物質によるポリマー”を使っている。その新しい素材は光を当てると伸びて、形を変える。

この方法で作ったオブジェクトは、紫外線によって硬度を変え、加熱や冷却によって拡大収縮した。二つのオブジェクトを紫外線だけで溶融することもできた。

残念ながら、この技術を使ってミレニアムファルコン号をデススターに変えることはできないが、MITの素材研究における今後の研究をなお一層活性化することだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

出会いサイトMatchのポップアップコーヒーショップでは飲み物の上にお相手の顔を3Dプリントする

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デートサイトの老舗Matchが、巧妙なパブリシティ策としてコーヒーショップのポップアップショップを開き、しかもそこでは、カフェラッテの泡の上にお相手の顔を3Dプリントする。

店に入って飲み物をオーダーするときに、男4女4計8名の候補から一人を選ぶ。すると、その人の顔が3Dプリントされたコーヒーが運ばれてくる。Match上のその人のプロフィールのリンクなど、関連情報もついている。

そしてお店に頼めば、自分の顔を、自分を選んだ人のコーヒーにプリントしてもらえる。

Matchはこのイベントを、“expresso yourself”と呼んでいる*。来週の木曜日と金曜日(19日と20日)、ロンドンのショアディッチにあるBoxparkの中に開店する。〔*: expresso==エクスプレッソ, express==‘表現する’〕

3DプリントはCoffee Ripples製の、カフェラッテ専用の3Dプリンターが行う。このマシンがプラスチックレジンの代わりに使う素材は、粉状に挽いたコーヒーだ。だからコーヒーの風味が損なわれることはない。

昨年ローンチしたばかりの Coffee Ripplesは、主に個人経営単独店のコーヒーショップにマシンを売っている。大きさはふつうの3Dプリンターぐらい、プリント台にラッテを置いたら、プリントするモデルをタッチスクリーンで指定する。

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3Dプリンターでセラミックの精密プリントができる…Formlabsがそのための実験システムとツールを開発

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Formlabsの3Dプリンターは、まるで射出成形で作ったような、しっかりした滑らかなオブジェクトを作る。しかし今回彼らは、改良された素材をいくつか加え、その中には、完全にマットで、最適なプリントを得るために配合を変えられるグレーの素材や、あとでふつうに焼成できるセラミックの素材がある。

さらに同社は、メイカーやエンジニアのための実験的なツールキットForm Xをローンチした。

“3Dプリントと弊社のForm 2でどこまでのことができるかを探求し、即興で作ったりできるために、斬新な素材と研究用ツールを用意したい”、と協同ファウンダーのDavid Lakatosは語る。“セラミックのレジンはその好例だ。今の3Dプリントでは、セラミックは、科学的に探究すべき素材の中でもっとも新奇なものの一つだ。セラミックを3Dプリントできれば、これまでのセラミック製造技術ではできなかったような構造や複雑な形が可能になる”。

上のビデオでは、Davidが新しいレジンとシステムについて語り、プリントしたパーツの一部を見せてくれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「da Vinci Nano」は230ドルの本格3Dプリンター

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テクノロジーの愛好家やアーリーアダプターであるとは、新技術が真の消費者製品として持続可能なレベルまで価格を下げるために必要な速さに精通していることを意味する。現時点では、これがVRで起こっているのを目撃している。わずか数年間のうちに入手の障壁が、本格的なVR(Oculusとそれを動かすコンピューター)を999ドルで入手できるまでに低下したのだ。

しかしこれが起こる速さは、産業によって異なる。そして3Dプリンティングは、多くの期待よりも少々時間のかかっているものの1つだ。しかし台北を拠点とする3DプリンタメーカーXYZ Printingが、それを成し遂げたようだ。同社は現在、複数のモデルを300ドル以下で販売しており、そして本日(日本時間4日)本格的な3Dプリンターda Vinci Nanoを229.95ドルで発表した。

作成できる作品の大きさは4.7インチ(約12センチ)x 4.7インチx 4.7インチで、これは大型の兄弟da Vinci Mini (5.9インチ(約15センチ)x 5.9インチx 5.9インチの作品を生成可能)よりも小さいが、デバイス自身の大きさは全体では40パーセント小さくなった。

具体的には、各辺約1フィート(約30.5センチ)の立方体で、重量は9ポンドをやや下回る。開放型プラットフォーム上で印刷するMiniとは異なり、プラスチック製のドアもついている。このクローズドデザインは、オープンな3Dプリンタよりも洗練されているように見える。おそらく、家庭内でもよりよく馴染むことだろう。フィラメントはプリンターの後部に配置され、上部を通って供給される。

3Dプリントへの簡単なエントリポイントを探しているなら、これは素晴らしい選択肢だと思われる。200ドル強という比較的手頃な価格であり、机や窓際に置くことができるほどコンパクトだ。

プリンタは2017年第2四半期まで発売されないが、今週開催されるCESのフロアで詳しく見たいと考えている。
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(翻訳:sako)

HPの3Dスキャン機能のあるオールインワンPC SproutがSprout Proになって教育や企業ユースをねらう

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ついにHP Sproutの時代がやってきたようだ。2014年の晩(おそ)くに発表された、この、3Dスキャンのできるオールインワン機は、一部の人の好奇心に訴えるだけで、とても本格的な商品とは思えなかった。でもそれからの二年間、VRやARデバイスの相次ぐ登場に押されて同社のハードウェア部門は、3Dの創作と消費に向けて本格的な普及推進活動を展開してきた。

もうひとつ忘れてならないのがMicrosoftだ。今年(2016)前半の同社はWindows 10 Creators UpdateとSurface Studioのローンチに全勢力を傾け、それらの製品には、まるで3Dをこれまでの傍流から主流に昇格させたいと思っているような、‘本気’が感じられた。

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そこで今回HPは、この系列の第二世代製品、Sprout Proを今日(米国時間1/3)発表した。そのユニークな形は前と同じで、3Dスキャナーとプロジェクター、そしてタッチ入力用のマットがある。

しかし、狙う市場は最初のバージョンと違うようだ。処理能力が大きくなり、3Dスキャンと高解像度のプロジェクターは改良され、主に教育や企業での利用、それにキオスク店や製造業もねらうようだ。

発売は3月とされているが、価格は未公表だ。最初のバージョンが1600ドル(3Dプリンターなどいろいろな付属品つき)だったから、今回もそのあたりだろう。〔このHPサイトでは、2199.99ドル(およそ2200ドル)となっている。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

HPの3Dスキャン機能のあるオールインワンPC SproutがSprout Proになって教育や企業ユースをねらう

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ついにHP Sproutの時代がやってきたようだ。2014年の晩(おそ)くに発表された、この、3Dスキャンのできるオールインワン機は、一部の人の好奇心に訴えるだけで、とても本格的な商品とは思えなかった。でもそれからの二年間、VRやARデバイスの相次ぐ登場に押されて同社のハードウェア部門は、3Dの創作と消費に向けて本格的な普及推進活動を展開してきた。

もうひとつ忘れてならないのがMicrosoftだ。今年(2016)前半の同社はWindows 10 Creators UpdateとSurface Studioのローンチに全勢力を傾け、それらの製品には、まるで3Dをこれまでの傍流から主流に昇格させたいと思っているような、‘本気’が感じられた。

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そこで今回HPは、この系列の第二世代製品、Sprout Proを今日(米国時間1/3)発表した。そのユニークな形は前と同じで、3Dスキャナーとプロジェクター、そしてタッチ入力用のマットがある。

しかし、狙う市場は最初のバージョンと違うようだ。処理能力が大きくなり、3Dスキャンと高解像度のプロジェクターは改良され、主に教育や企業での利用、それにキオスク店や製造業もねらうようだ。

発売は3月とされているが、価格は未公表だ。最初のバージョンが1600ドル(3Dプリンターなどいろいろな付属品つき)だったから、今回もそのあたりだろう。〔このHPサイトでは、2199.99ドル(およそ2200ドル)となっている。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

3Dボディスキャンができるポッドを証明書写真撮影器みたいに町中に置きたいWolfprintがクラウドファンディングで$500Kを調達

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3Dのボディースキャンは、今やあまりエキサイティングではない。スキャンの用途といえば、Thingiverseにアップロードして、友だちなどがあなたを3Dプリントし、あなたの‘聖像’を作るぐらいだ(聖像と言ってもいろいろあるが!)。でもWolfprintは、空港やショッピングモールなどに小さなたまご型の小屋のようなもの、ポッド(pod, 上図)を置き、ビデオゲームやVRなどで使う自分の3Dアバターを簡単に作れるようにして、3Dボディースキャンを大衆化しようとしている。

3DPrintingIndustryによると、このエストニアの企業は、そのために50万ドルの資金を調達した。正直、多くはないが、ポッド(pod, たまご型小屋)がある場所を多少増やすことはできる。アーチストがよく来るカフェなんかも、いいね。

同社がこれまでスキャンしたのは5000体、公共の場所にポッドをもっと置きたい、と言っている。スキャナーの費用は8000ドルで、年間約5万ドルの売上がある。

Wolfprintはその資金を、株主型クラウドファンディングサイトSeedInvestで調達した*。小さな企業が初期段階で資金を得るには、この方法がデファクトの方法になるかもしれない。とくにVCが発達していないヨーロッパでは、零細スタートアップの成長のための手段として、人気が高い。〔*: 株主型クラウドファンディングサイト, equity crowdfunding platform, Kickstarterのような‘寄付型’ではなく、文字通りの‘投資’。出資者はその企業の株主になる。〕

今同社はNikeやParamountとパートナーしているので、お近くにNikeのお店Niketownがある方は、そこで自分をスキャンできるようになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

お好きな場所を入力するとその地域の立体地形図を3DプリントしてくれるTopoTopo、ギフトとしておしゃれかも

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クリスマスのギフトが、買ったあとそれを3Dプリントしなければならないものでもよい人に、朗報がある。Web上のその使いやすいツールで、世界中のどこでもよいから指定すると、その場所の小さな立体地形図を作ってくれるのだ。その際、高低差などの表現をカスタマイズできる。

そのTopoTopoというサイトは、すぐに理解できる。まず、地球上の位置(場所)を指定する。それから高度差をどれくらい強調するかを指定する。最後に、地形図全体か、それともパズル用の矩形のピースが欲しいか、を指定する。

次は、その3Dモデルをダウンロードするか、それともShapewaysでプリントしてもらうかを指定する。後者は40ドル強だが、プリントをご近所のメイカーさんに頼む手もある。

このサービスは、デザインスタジオのHushが提供している。地図データはGoogleを利用し、地形データはNASAのShuttle Radar Topography Missionから得ている。まだ対応していない地球上の地域もありうるが、ぼくがチェックした場所はどこもOKだった。でもラベルのついてない場所は、見つけるのが難しいかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

パラグアイのPoは3Dプリントされたカスタマイズ義肢を南米の貧しい人びと向けに開発

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人工装具(義肢など)の世界は2つの方向に進んでいる:1つの方向では、もし望むなら、最新のロボットソフトウェアと小さくなったセンサーが、たゆまず改善され続けている感覚とリアリズムを備えた、手足と指を可能にしてくれる。もう1つは、高速製造技術が、貧しく地理的に孤立した地域に洗練されたデザインをもたらすことを可能にする方向である。パラグアイの会社であるPoは、後者のゴールを目指している。もし彼らのものがなければ何も手に入れることができないような人たちのために、カスタマイズされた義肢を製作するのだ。

パラグアイについては、TechCrunchの共同創業者Eric Dijkhuisが以下のように述べている「驚くべき人びとに溢れ、沢山の課題も抱えた国です。1日当たりの切断術が多い国で、上腕の切断が高い割合を占めています。これは職場の安全規制の欠如と危険な作業エリア、そして多数のオートバイ事故に起因しているのです」。

低所得者が多いため、極めて少数の人たちだけが必要な義肢を購入することができる — Dijkhuisによれば3パーセント以下だ。Poの創業者は、そこに強い問題意識を感じた。オブジェクトをプリントして製造し、高度な既成の制御システムを入手できる時代に、なぜそのままでなければならないのか?

そこで、彼らは耐久性が高くプリント可能な手と前腕をデザインすることにした。形の調整や、サイズ、色、その他の基本パラメータをカスタマイズできる。現在は機械的に制御されるPoの腕が100以上使われているが、彼らはThalmic LabsのMyoデバイスに出会うことで、新たな発見を行った。

Myoについて覚えている人もいるだろう:それは腕に巻き付けて、様々な動きで生じる腕の筋肉の生体電気信号をモニターし、データを他のデバイスに無銭で送信するものだ。なので、例えば握り拳を作ったり、手を上に傾けたりすることで、ノートPCのウィンドウを閉じたり、アプリケーションを切り替えたりすることができる — そして義肢の場合なら、単純に動きを義肢にミラーリングすることが可能だ。

現在Poは5人を対象にMyPoのテストを行っている。MyPoはオリジナルのメカニカルアームとMyoによる制御メカニズムを組み合わせたものだ。

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「わずかなコストでMyPoは義肢の旧来の機能を反映します」とDijkhuis。「何種類もの掴み方、高い自由度、そして既にMyoアームバンドに対応しているアプリケーションと統合することさえ可能です」。そのため、オブジェクトを摘み上げたり動かしたりといった動作に加えて、ジェスチャーを、ソーシャルメディアや音楽アプリ、その他のものと対話するようにすることができる。

この最後の機能は、他者によっても検討されている最中だ:既存の義肢にぴったり装着することができて上記のような対話機能を実現するMyo対応のアクセサリーを、ドイツのデザイナーが最近作成した

四肢制御機構としてMyoを使用する利点は、予め学習させたジェスチャーと筋肉の動きを、直接腕の動きをに結びつけることができることだ。よって、ユーザーが拳をつくるための指を欠いていたとしても、かつてそうしていた頃の動きの記憶が残されていれば、Myoはそれを検知し反応することができる。

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「考え、思い出し、行動。そしてMyoのアームバンドが、全てのプロセスを素晴らしくガイドしてくれるのです」とDijkhuisは言う。

もちろんPoは、3Dプリントの義肢としは、最初でも唯一のものでもない — 既に多くの者がそれを行っている。とはいえ、単にデザインをするだけでは十分ではない。フィッティング、構成、そして部品のコストの問題がある。

「私たちは、ユーザーが負担可能な金額を支払い、残りを民間の寄付を通じた助成で賄えるような手助けをしています」とDijkhuisは説明した。「私たちはまた、私たちの仕事をサポートしてくれる、独立専門家、NGO、同盟企業や公的機関と協力しています。私たちのビジネスモデルは、現在Poパートナーによって、北アルゼンチンとブラジル南部で展開されていますが、誰でも標準的ですぐに使える手続きで自身の活動を始められるように、私たちのワークフロー全体がこれからオープンなものになります」。

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一方、全てのデータはThingiverseにアップされている(Thingiverseは3Dモデルを投稿し共有するサイト)ので、あなたはそこからデータをダウンロードし、調整し、提案を行ったり、あるいは自分自身で試してみることもできる。

想定利用者は技術に精通した都会人ではなく、企業もサービスも数十億ドルの評価額を求めるものではないので、これは技術的には特に注目すべきアプリケーションではない。しかし、貧しすぎて買う余裕のない子供に義肢を与えるというゴールは、大声で宣伝される価値がある。

「Poの作成と開発で、私たちは新しいテクノロジーの力を目の当たりにしました。3Dプリント、Myoアームバンド、そしてオープンソースです」とDijkhuisは語った。「私たちは、社会的影響へと適用されるこれらの技術が、業界を変革するだけでなく、人工装具の未来のためのゲームルールを書き換えて、イノベーションパワーを世界中の人に届けてくれるものと信じています」。

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(翻訳:Sako)

Microsoft、誰でも簡単に3D作品が作れるツール「Paint 3D」を発表

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Microsoftは自社イベントでPaint 3Dを発表した。Windowsに昔からあるアート作品を作るプログラムがアップデートした。Paint 3Dでは誰でも3Dアートが簡単に制作できるとMicrosoftは言う。アップデートには、作成した作品を共有できる場となるRemix 3Dの追加も含まれている。また、3D作品を直接Minecraftにエクスポートしたり、3Dプリンターがあるなら作品を出力したりすることが可能だ。

このアップデートにはSketchUpとの連携も含まれている。SketchUpはすでに何十万人ものユーザーが登録している3D作品コミュニティーだ。Paint 3Dのユーザーは、SketchUpのコミュニティーが制作した3Dの立体を使うことができる。デスクトップアプリでの作品作りの助けになるだろう。

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イベントではMicrosoftでGMを務めるMegan Saundersが登壇してアプリの使い方を実演した。Microsoft Surface ペンでのお絵描きツールの使い方、プリセット素材や2D画像の取り込み方を含めオリジナル作品の作り方などを見せた。また、Saundersは作品をFacebookにエクスポートする様子を見せ、既存のソーシャルネットワークでも簡単にシェアできることを示した。

Remix 3Dコミュニティーのプレビュー版には今日から登録することができる。Paint 3Dを含め完全なCreators Updateは2017年初旬を予定しているという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website