SpaceXが10回連続でパラシュートのテストに成功し安全性へのクエストをまた1つクリア

SpaceX(スペースX)は、2020年に予定されている同社宇宙船に宇宙飛行士を乗せて飛ばす計画を、今後も十分に続けていけるほどの成果で今年を終えようとしている。Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるこの宇宙企業は、米国時間12月22日、これまで何度も成功してきたパラシュートシステムのテストに成功。これで10度めの成功となるこのテストは、安全なシステムに向けての重要なマイルストーンであり、最新の設計が宇宙飛行士による実際の使用に耐えうるものであることを示している。

このパラシュートシステムは、宇宙飛行士が乗るSpaceXの商用宇宙船、Crew Dragonが地球への帰還時に大気圏に突入して以降の下降を遅くするために用いられる。現在の設計はメジャーなアップグレードとしては三度目のものでで、素材も縫い方も信頼性と強度を優先して改良されている。

[SpaceX: 昨日チームは、Crew DragonのパラシュートMark 3の一連の設計アップグレードテストの一環として、10度めの複数パラシュートによる着地テストに成功した。NASAの宇宙飛行士の安全な打ち上げと着陸に、一歩近づいた。]

2019年にマスク氏は、カリフォルニア州ホーソーンのSpaceX本社で行われたイベントで、来場したメディアやファンに向けて、Mark 3パラシュートシステムが実際に有人飛行に使用できると確信を持つためには、少なくとも10回連続でテストに成功する必要があると述べた。その再、NASAの管理官であるJim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は、2019年中に10回連続で成功できるだろう、と言った。そして、そのとおりになった。

現在SpaceXは、有人飛行に向けての次の重要なステップを1月11日に予定している。それは「飛行中での飛行中止テスト」で、緊急時に機能すべき安全システムをテストする。そのシステムは打ち上げ途中で起動され、クルーを安全に打ち上げ船から離して安全なところへち運ぶ。それにより、異常事態に乗員を危機から救う。

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ボーイングのStarliner乗員カプセルが軌道に乗り損ねてISSとドッキングできず

【抄訳】
Boeing(ボーイング)の乗員輸送宇宙船Starliner CST-100は、米国時間12月20日に初めての国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げを大成功させたが、しかしロケットと打ち上げ機は期待通り動作したにも関わらず、Starliner宇宙船自体は、打ち上げ後、自分のミッションを開始する際に思わぬ障害にぶつかった。

Starlinerのカプセルは、二段目のロケットULA Centaurからの切り離しに成功し、宇宙の軌道外ターゲットに到達したが、Starlinerが自らのエンジンに点火して目的の軌道へと進もうとした際、必要な噴射が起こらなかった。ボーイングによると、同機は太陽電池を安定して充電できる位置の確保はできており、地上チームが、宇宙船を必要な位置に到達させるために次にどのような操作をすればよいかを検討しているという。

NASAの管理官Jim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は、東部時間午前8時45分のツイートで、そのエラーに関する中身のある最初の最新情報を投稿した。それによると、何らかの出来事により宇宙船Starlinerが「そうではなかったのに、自分は軌道投入噴射をしていると思った」という。

[Jim Bridenstine: Mission Elapsed Time(MET、ミッション経過時間)が異常を起こし、そのせいで宇宙船は自分が軌道投入噴射をしていると信じたが、しかしそうではなかった。次の情報は東部時間午前9時にご報告する。]

ミッション用の時計は何らかのバグかエラーに遭遇して、Starlinerのシステムに実際のミッションの段階ではなく、違う段階にあると伝えた。その結果、宇宙船は予定外に燃料で噴射し、計画されていた軌道投入点を通り過ぎてしまった。その後、Starlinerは二目の噴射を行い安定した軌道をとるが、状況では計画どおりに国際宇宙ステーションへ到着することはできない。

【後略】

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AppleがiPhoneの常時接続化に向けて通信衛星の技術を開発中か

Bloombergの報道によると、Apple(アップル)は、数名の航空宇宙技術者を雇用してチームを作り、衛星やアンテナの設計者らとともに人工衛星技術の開発を行なっている。それは、廃棄される可能性もある初期的段階の秘密プロジェクトだが、チームの目的はデータを直接iPhoneなどのユーザーに送受する通信衛星の技術開発であり、Appleのデバイスをサードパーティのネットワークを必要とせずにインターネットに接続することを目的にしている。

さらにBloombergによると、必ずしもAppleは人工衛星そのものを内製しようとしているのではない。むしろ、開発しているのは送信機や地上局が軌道上の通信装置へのデータ送信に用いる機器装置類のようだ。それによりAppleからのデータがAppleのデバイスへ直接送られるようになったり、デバイス同士の接続が携帯電話キャリアのデータネットワークを使わずに実現する。また、位置サービスもより正確になり、地図や案内情報が改善されるという。

Appleは航空宇宙および人工衛星の業界から技術者と役員を雇用した、と言われる。その中にはかつてSkybox ImagingにいたMichael Trela(マイケル・トレラ)氏とJohn Fenwic(ジョン・フェンウィック)氏も含まれ、両人がチームを引っ張る。2人は以前Googleの人工衛星と宇宙船部門を率いたことがある。新たな被雇用者の中には、Aerospace Corporation(エアロスペース・コーポレーション)の役員Ashley Moore Williams(アシュリー・ムーア・ウィリアムズ)氏や、ワイヤレスネットワーキングとCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の業界における重要人物たちがいる。

データネットワークを宇宙からデバイスへ直接提供するという考え方は、一見すると馬鹿げているようにも思える。データ通信衛星の多くは、情報をエンドポイントのデバイスにリレーする地上局との通信を要する。でもそれは、初耳のコンセプトではない。例えば、今年、2019年に本誌が取り上げたUbiquitilink(今のLynk)は、電話機と直接通信する新しい種類の低地球軌道通信衛星コンステレーションを作ろうとしている。

Lynkの初期目標は、衛星通信ネットワークによる直接接続の方がiPhoneの通常、利用するキャリアサービスよりも優れている、と主張している。同社はユーザーが利用している地上局ベースのネットワークよりも、圧倒的に速い接続が可能なグローバルローミングを提供したいと考えている。しかもそれは、ローカルなインフラに依存しない。また、予備機としても機能するので、メインのネットワークが落ちたときでも、テキストメッセージのやりとりや通話といったデータ集約的な使い方でなければ十分に使用できる。

Appleが現在行っていることには未知の要素が多すぎるが、それがiPhoneに事故や災害に強い常時接続の能力を持たせるものなら非常に興味深い。どんなときでもiMessageや音声通話やナビが使えて、何もない平常時にはキャリアのデータプランでストリーミングなどを楽しむ、というモバイルライフが想像される。

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小型衛星群でブロードバンド接続を提供するKuiperプロジェクトにアマゾンが本腰

Amazonは、目下開発中の人工衛星星群による高速インターネットサービスであるKuiperのプロジェクトに、専用の本社オフィスとR&Dセンターを用意した。このプロジェクトでは小さな衛星の集団を低地球軌道に乗せてインターネットへの接続を提供し、世界中のどんな僻地でも良質な通信を可能にする。

ご存知の方も多いと思うが、このようなプロジェクトはほかにもいろいろある。例えばSpaceXは、そのStarlinkコンステレーションのための衛星の打ち上げをすでに始めている。そのサービスは最初は北米地区、そして最終的には地球全域で供用される。ソフトバンクなどがパートナーになっている。OneWebもやはり、衛星群を打ち上げて1月の供用開始を目指している。そしてGoogle、というか親会社のAlphabetは、上層大気気球のLoonによって、接続困難地域への接続を提供しようとしている。

Amazon Kuiperは、何千もの衛星を複数年にわたり何回にも分けて低地球軌道へ打ち上げる方式だ。複数の小さな衛星を使うやり方は、従来一般的だった1つまたは少数の静止衛星を打ち上げる方式に比べて、サービスの質がいい、リーチが広い、最終的にローコストであるなどの利点がある。

今度のオフィス施設や研究開発施設はシアトルのAmazon本社に近いワシントン州レドモンドに置かれ、まだ何もタイムラインが発表されていないKuiperプロジェクトに対してAmazonが本腰であることを示している。施設の総面積は約2万平米で、2つの建物にR&Dのラボとオフィス、そして衛星ハードウェアのプロトタイピングを行う製造施設まで置かれる。 Kuiperチームの引っ越しは来年のようだ。

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ポルシェとルーカスフィルムが共同制作したスタースターウォーズの戦闘機

Porsche(ポルシェ)は通常、地上の乗り物にしか関心のない企業だが、今回はLucasfilm(ルーカスフィルム)のデザイナーたちとのコラボレーションで、スターウォーズの宇宙を飛ぶスターファイターを作ることになった。

このスターファイターはTri-Wing S-91x Pegasusと呼ばれ、もちろん実際に飛べるフルサイズの実機は存在しないが、全長5フィート(152cm)の高精度の縮尺モデルを制作中だ。12月20日に米国ロサンゼルスで行われる「Star Wars: The Rise Of Skywalker」(スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け)の封切り初日に披露される。

なお、このS-91xは映画には登場しない。むしろこれは、設計の試作のようなものであり、スターウォーズの宇宙に実際に出演するよりも、むしろ映画のプロモーションが目的だ。でもこのコラボレーションは、本物のPorsche 911やTaycanを作った企業と、本物みたいに詳細な宇宙メカが得意なルーカスフィルムの共作だから、とてもおもしろい。コックピットの内部も、細部までまったく手抜きがない。

ポルシェのデザイナーは、この三座機のコックピットの快適性と人間工学にも配慮している。それは、あの窮屈そうなX-Wingの操縦席や、キャビンのライトが戦闘機というより戦闘潜水艦のようになるTIEファイターのコックピットを作った人には、決してかけらることのない褒め言葉だ。

お値段は発表されていないが、なにしろ超高精細で超高精度だから、欲しい人はひと財産投じる覚悟をしよう。中古のCorellian YT-1300貨物船より高いことは確実だ。

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超精細な画像を高頻度で撮れるNear Space Labsの成層圏衛星

宇宙関連のテクノロジーという新しい成長分野では、イメージング(画像処理)が重要な市場のひとつだ。それも当然であり、政府にも民間にもイメージングと地球の観測データへの強い需要が今すでにある。軌道衛星はこの需要の一部を満たし、この種のデータを手頃な費用で制作提供するPlatetなどの企業が今では大きく成長している。しかしNear Space Labsは、それらとは違うアプローチで、特定の用途にもっと適したイメージングソリューションを提供している。

Near Space LabsのCEOであるRema Matevosyan(レマ・マテボシアン)氏はあるインタビューで「会社を興したのは『この新しい技術にまったく新しい角度からアプローチして、航空宇宙工学におけるこの盲点を利用したい』と考えたからだ。盲点とは成層圏、航空機が飛ぶ高度の倍ぐらいの高さのことだ。誰もまだ手を付けていないという創業者有利の見地から言えば、そこではとても広大な領域を一望にでき、しかも得られる画像の解像度は航空機やドローン並みに極めて精細だ。さらにまた、画像獲得の頻度をきわめて高くできる。現在のNear Space Labsの画像取得のペースは週でも月でもなく1日であり、それは、これだけの高解像度の画像では従来あり得なかったものだ」と述べている。

このような超高空からの超高解像度画像は、保険、不動産、ロジスティクス、地方行政などの分野にとってきわめて有益だ。Near Space Labsは必要なものを必要な時に、しかも非常に詳細な画像で素早く提供する。これにより、たとえば大規模な建設工事なら、つねに全体の眺望を見ながら進捗をチェックできる。そのほか、交通政策のためには渋滞の状況を時系列で見たり、同じく時系列で港湾の作業効率をチェックしたりできる。従来からある衛星画像では、それだけの広大で精細な画像の提供を頻繁にはできない。しかも従来衛星では、宇宙船の打ち上げ等の費用がきわめて高い。Near Space Labsの技術は、カバー範囲の広さと高精細という画像の質と、画像提供の高頻度という、従来の衛星技術では両立できなかったものを両立させた。同社はそのような画像を、オンデマンドで提供できる。

マテボシアン氏は 「Near Space Labsのプラットホームは本質的にスケーラブルであり、人々が必要としているところへ容易に打ち上げられる。また、従来技術にように災害に弱いなどの欠点もない。例えば、山火事の最中でも後でも飛行できるが、ドローンや飛行機ではそれができない」と語る。

同氏によると、Near Space Labsは気象観測気球を利用したイメージングプラットホームを毎日配備でき、それはそのあとで運用高度に達し、目的領域を2時間ほど撮影する。撮影が終わったらすぐ回収するので、高解像度の画像にすぐにアクセスできる。ハードウェアもソフトウェアもすべて自社製なので、一種のロボティクスのプラットホームであり、それがデータを集めて顧客に提供する。

Near Space Labsはデータだけでなく取った画像のアナリティクスも作り、顧客にイメージングとその解釈の両方を提供している。同社には、Draper AssociatesやWireframe Ventures、そして自動車メーカーのMiniのアクセラレーター部門のUrban-Xが投資している。Urban-Xは、都市生活の形を変えようとしているスタートアップにフォーカスしており、マテボシアン氏によると、都市政策の変容にも今後の大きな機会があり、特に同社が提供する新しいイメージングには喫緊の需要があるだろう。

上の写真をより高解像度(容量33MB)のバージョンで、Near Space Labsが撮影できる細部がよくわかる

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冷却能力と太陽光発電に優れる軌道上データセンターの実現に向けHPEがスタートアップと協業

宇宙でできるビジネスって何だろうか?あなたの答の中にはなかったかもしれないが、データセンターもその1つだ。宇宙はデータセンターにとって、なかなか興味深い環境だ。特に、高度なアナリティクスや人工知能には向いているだろう。冷却能力は優れているし、太陽光という再生可能エネルギーにリーズナブルにアクセスできる。でもそこには課題もあり、フロリダの宇宙スタートアップOrbitsEdge(オービットエッジ)にHewlett Packard Enterprises(HPE)とのパートナーシップには十分な意義がある。

このパートナーシップでは、HPEのEdgeline Converged Edge SystemsにOrbitsEdgeがハードウェアを提供し、外宇宙で使われるHPEのスタンダードなマイクロデータセンターの強化を同社がすべて担当する。強化(Hardening)とは、何かを宇宙で使用する場合の標準的なプロセスで、特に機械装置類を大量の放射線や高温など、宇宙の過酷な条件に耐えられるようにする。

今年前半に創業したOrbitsEdgeは、同社が特許を持つハードウェアのSatFrameにより、宇宙のストレスから機器類を守り、今回のHPE Edgelineのような一般市販品を使った地球上の装置を宇宙で使えるようにする。そして、装置のユーザー自身が独自に大量の対策作業をしなくてもよくなる。

とくにこのHPEのエッジシステムの場合は、OrbitsEdgeとのパートナーシップによって、軌道上で小さなデータセンターをセットアップすることがとりあえず実現可能になり、宇宙に由来するデータの処理の少なくとも一部を、地球にデータを送らずにその場で実行できるようになる。その処理を地球でしたら、そもそもそれをやってくれる企業やインフラストラクチャを見つけること自体が難しく、あっても非常に高価につくだろう。宇宙内製造のように処理や工程を宇宙ローカルでできれば、大量のオーバヘッドを減らして、とても多くのポテンシャルに道を開くだろう。

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初の宇宙旅行会社Virgin Galacticが最初の乗客に対し宇宙飛行士準備事業を開始

Virgin Galactic(バージンギャラクティック)が、同社の「宇宙飛行士準備事業」(Astronaut Readiness Program)を開始した。それは最初、Under Armour(アンダーアーマー)のグローバル本社で行われる。Under ArmourはVirgin Galacticのパートナーとして、同社の宇宙飛行士が着る公式の宇宙制服を作っている。初めてお金を払って宇宙を旅する旅人たちは、同社の最初の地球外への旅でその宇宙服を着る。

宇宙飛行士準備事業は、Virgin Galacticの旅客が同社の軌道外宇宙船VSS Unityに乗って旅する前に必ず受けなければならない準備的課程だ。そこではVirgin Galacticのチームメンバーによるガイダンスと教育が行われる。先生はチーフ宇宙飛行士インストラクターであるBeth Moses(ベス・モーゼス)氏やチーフパイロットのDave Mackay(デイブ・マッケイ)氏らだ。この二人は、Virginが2月に行ったデモ飛行で宇宙へ行ったから、彼らの相当な量の経験と専門知識だけでなく、同社の有料宇宙観光客が乗るのと同じ実機に乗った経験に基づく知見もシェアできる。とくにモーゼス氏は、宇宙船の正しい乗り方も教えるだろう。

Under Armourは、旅客が着る宇宙服以外でも協力する。まず、宇宙飛行士は準備段階でどんな栄養を摂り、どんなフィットネスやって宇宙の旅とアドベンチャーに備えるべきか。これらに関しては、Virgin Galacticの専属医療チームも旅客に個別にコンサルする。Virginの顧客はNASAの宇宙飛行士のような厳しい肉体的フィットネスを強いられることはないが、でも同社によると旅路における旅客の健康と元気を確保することにはフォーカスする。

Virgin Galacticの初期の顧客は、ボルチモアで行われるこのような訓練プログラムに参加するだけでなく、今後同社がこのプロセスの開発と磨き上げを行なっていくための貴重なデータも提供する。

Virgin Galacticのプレスリリースはこう言っている: 「今週のボルチモアからのフィードバックを利用して、そのモデルをベースに構築していきたい。これまでも弊社は、宇宙飛行を待っている者と経験者の両方にとって、教育訓練とコミュニティのベストの形を共に議論してきた」。

同社のこのSpaceShipTwoには、すでに600名の顧客の搭乗申し込みがある。そのカーゴジェットをカスタマイズした軌道外宇宙機は、1人25万ドル(約2700万円)のチケットで90分の飛行を行う。有料顧客のためのその最初の飛行は、来年の前半を予定している。

画像クレジット: Virgin Galactic

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送電をコントロールするVoltServerがスマートグリッドの実現を助ける

電気の配給網にデータを重ねようとするスタートアップのCEOであるStephen Eaves(スティーブン・イーブス)氏は長年、データ管理技術を開発してきた。同氏の最初の企業、名前をかぶせたEaves Devicesは、航空宇宙と国防方面のエネルギーシステムにフォーカスした。同社はB-2爆撃機の編隊がリチウムイオン電池を使うように変えた。

彼が関わった2番目の企業では、電話局にインストールするモジュール状のアレイデバイスや基地局の開発に参加し、電動車の開発の初期的な仕事もした。イーブス氏によると、彼の目標は「電気を本質的に安全にすること」だった。

その彼の最新の企業VoltServerは、その目標を追究する。イーブス氏は配電をパケットに分割して送電をより安全にし、それらのパケットが送電線へ送られることによってエラーを防ぐ。線が破断すると、機器はエネルギーの伝送を停止する。

イーブス氏は「交流や直流の電気がトランスミッターへ行き、トランスミッターは電気をパケットに分割する。レシーバーはパケットを受け取り、それらをまたまとめて通常の交流/直流の電流として配電する」と説明する。

そのアーキテクチャはルーターに似ている。半導体で動くトランスミッターにはデジタルの信号処理があり、それが電気のためのゲートウェイになる。「それは太陽光発電用のコンバーターに似ている」とイーブス氏は語る。

すでにおよそ700のスタジアムや大きなオフィスや屋内栽培施設などが、同社の技術を採用している。その好調ぶりがGoogleの親会社Alphabet傘下であるSidewalk Labsの関心を引き、同社への740万ドルの資金注入をリードした。同社はこれまで、Marker Hill CapitalやSlater Technology Fund、Natural Resources Capital Management、Clean Energy Venture Group、Angel Street Capital、そしてConiston Capitalなどから計1800万ドルを調達している。

イーブス氏は「我々はハードウェアとソフトウェアの両方の会社だ。顧客がVoltServerのボックスを買うと、サードパーティがそれをインストールする。エネルギーの利用状況を追うソフトウェアがあり、それが停電時の処理を割り当てる」と語る。

普通のインストールなら3万ドルから100万ドルまでぐらいで、同社は3つの中核的市場を狙っている。それらは、インテリジェントビルディングのインフラストラクチャ、通信、そして屋内農業だ。イーブス氏によると、同社の最大のインストレーションはフロリダのレタス農場だ。「顧客の多くが極めて制約のきつい環境にいて、もっと安全な送電技術を求めている。そこでうちは照明製品も開発したが、それは、成長分野に通常ある変換のための大量の電子回路を排除している」と語る。

確かに同社の技術は、スタジアムの送電コストを削減している。これまでの送電技術では1フィートあたり約36ドルのコストだったが、VoltServerはそれを10ドル未満にカットできると主張している。

配電にデータによる制御を持ち込もうとしているのは、VoltServerだけではない。Blueprint PowerBlue Pillar、それにモニタリング企業のEnertivAquicoreなどもすべて、配電のモニタリングと管理を狙っている。グリッド(広域電力会社の送電網)の規模では、Camus Energyなどがエネルギーのオーケストレーションサービスを提供しようとしている。

Sidewalk Labsの会長でCEOであるDan Doctoroff(ダン・ドクターオフ)氏が、声明でこう述べている。「電気が世界を動かしているが、交流や直流の電気が本質的に持つ危険性により、今日の電気のシステムはインストールや変化が高価につく。同社の技術は画期的であり、あまり高価でない安全で効率的な配電方法を提供する。それによってビルディングなどの建設運用費用が低減でき、柔軟性を持つ。いずれは都市全体の維持費用も安くなり、持続可能になり、ニーズの変化にも迅速に対応できるようになるだろう」。

エネルギーセクターの一部の投資家にとっては、このような種類の配電と送電の技術が、世界を100%再生可能な送電に近づけるために必要な次世代グリッド技術の必要不可欠な部位だ。

「必要なのは、インターネットに接続されていてコントロールできるエネルギー資源であり、それを何らかの中央的な制御元/発信元(ディスパッチ)からコントロールできることだ」とエネルギー投資に積極的なある投資家は述べている。

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NASAが来年計画している有人の商用宇宙飛行をiOSとWebのアプリで疑似体験できる

商用の有人宇宙飛行を目指しているNASAが、モバイルアプリとWebアプリケーションでその簡単なシミュレーションを提供している。来年行われるその商用飛行にはSpaceX Crew DragonとBoeing Starlinerが使われるが、シミュレーションはその両方を疑似体験できる。

アプリはその飛行の各過程を順に追っていく。それは宇宙船の選択に始まり、ミッションのタイプを決め、乗員を選び、打ち上げ、ドッキングと進む。それぞれの部分に関するある種の教育が目的で、あらゆる細部がリアルなフライトシュミレーターではない。しかし国際宇宙ステーションへのドッキングは自動と手動の両モードがあり、手動はかなり難しくておもしろい。

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Crew DragonとStarlinerの両方とも、そして打ち上げ用ロケットに関しても、とても詳しい情報がある。あなたがその中から乗員を選ぶ10名の実在する宇宙飛行士については、人物像と履歴の情報がある。アプリをiPhoneで試したが、打ち上げ準備の部分にちょっとバグらしきものがある以外はとくに問題ない。その部分では、ブースターや乗員用カプセルなど、宇宙船の打ち上げの各要素が詳しく分かる。

この「Rocket Science: Ride 2 Station」と名付けられたアプリは無料でダウンロードでき、現在はiOS用がある。Webアプリケーションはここだ

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毒針を持つアカエイにヒントを得た航空機が金星の大気を調べる

NASAの次の金星探査では、バッファロー大学(University of Buffalo、UB)が設計した、アカエイのように後尾に針のあるロボットが大気のサンプリングを行う。宇宙観測のための新しい革新的な設計コンセプトを追究しているNASAはその活動の一環として、ニューヨーク州立大学バッファロー校で航空宇宙機器の衝撃耐性を調べている研究所CRASH Lab(Crashworthinesss for Aerospace Structures and Hybrids laboratory)に、初期的な研究助成金を交付した。

そのアカエイの形をした宇宙船には、金星の上空の大気中の強風の中を飛べるための羽ばたく「翼」がある。UBによると、それによって飛行のコントロールが可能になり、効率的に飛行できる。その設計はBREEZEと呼ばれ、4日〜6日で金星を1周でき、2〜3日おきにその惑星の日照面にあるときには充電できる。

なお、金星は太陽のまわりを回る軌道が独特なため、その1日は地球の1年よりも長い。そこで探査用宇宙船は、他の自転周期の短い惑星の場合のように、推力を使って惑星の大気中に静止する設計にする必要がない(Wikipediaによると、金星の公転周期は224.7地球日、自転周期は243地球日)。

BREEZEが実際に金星の雲の中に出没するまでには、まだ長い時間がかかる。しかし、NASAから認められて補助金ももらったのだから大きな一歩前進だろう。

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小型人工衛星ネットワークを利用するIoTシステム向けSDKをKeplerが公開

トロントのKepler Communications(ケプラー・コミュニケーションズ)は、通信サービスを提供するための靴箱サイズの人工衛星を開発し、その実際の打ち上げ配備もしている。同社はこのほど、最初のSDKを作って関心あるデベロッパーの登録を待っている。同社の衛星を商用利用する顧客はこのデベロッパーキットを使ってKeplerが来年から提供するナローバンドのIoT接続を利用でき、それが実際に有料で提供される来年からは同社のパートナーにもなる。

SDKをこのように早期に公開するのは、Keplerが提供するIoT接続を関心のある企業に試用しテストしてもらうためだ。Keplerのサービスの供用範囲はグローバルなので、IoTのオペレーターは単一のネットワークで比較的安くシステムを構築運用でき、輸送用コンテナの追跡とか鉄道のネットワーク、家畜や穀物などの積荷の追跡をグローバルに行うことができる。

Keplerによると、同社のIoTネットワークはこの目的のために特製された重量10kg以下のナノサテライトの集合で構成されてる。実際の打ち上げは来年以降になるが、消費者向けHDビデオストリーミングなどのように広帯域を必要としない業種に狙いを定めている。そういう業種にとっては、カバー範囲が広くてリモートアクセスの多い、しかも安定性の良い堅牢なネットワークが鍵だ。

軌道上に衛星の星座と呼ばれる複数の人工衛星を配置して提供するIoT接続は、最近ますます関心が高まり投資の対象にもなっている。そして大企業はそれらを利用してモニタリングや積荷などの追跡を現代化しようとしている。例えば、Swarmは同じ目的の150個の小型衛星の打ち上げをFCCに許可された

2015年創業のKeplerは、これまでに2000万ドルあまりを調達し、2つの小型衛星を昨年11月と今年の1月に打ち上げている。同社の発表によると、来年半ばにはISKとGK Launch Servicesとの契約でさらに二つをソユーズロケットで打ち上げる予定だ。

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SpaceXは衛星ブロードバンドサービスStarlinkの供用を2020年内に開始

SpaceNewsによると、SpaceXの社長でCOOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏が、今週のInternational Astronautical Congress(国際宇宙飛行会議)の間にワシントンの同社オフィスで行われた記者会見で、来年中には一般消費者向けのStarlinkサービスを立ち上げると明言した。このイベントのステージにも立ったショットウェル氏は「それまでには6回から8回、グループにまとめたStarlink衛星のペイロードをローンチする必要がある」と述べた。今年の5月に打ち上げられたものもその中に含まれる。

同社のこれまでの話では、地球全域をカバーするためには24回の打ち上げが必要とされていた。そして来年の最初の供用域は、米国北部とカナダの一部と言われていた。またショットウェル氏によると、24回で地球全域がカバーされるがそれでもまだ粗いので、あと数回の追加的打ち上げが必要だそうだ。

SpaceX President and COO Gwynne Shotwell

SpaceXの社長兼COO Gwynne Shotwell氏

SpaceXが最近提出した文書によると、これまで許可を得ている1万2000基に加えてさらに3万基を打ち上げて、合計4万2000基の衛星群になる。SpaceXのスポークスパーソンの、TechCrunch宛てのこの前の話では「それはStarlinkのネットワークの総容量の応答性とデータ密度を高めて、ユーザーが求めるニーズの今後の成長に備えるため」とされていた。

グローバルなブロードバンドの衛星群を保有し運用することによりSpaceXの収益は大きく伸び、また究極の月への打ち上げを含め、今後のより意欲的な事業を追究するときの重要な柱となるだろう。衛星群の整備は、これだけの規模ともなると費用も膨大になるが、しかしSpaceXはほかにもStarshipのような大きな製品開発を目指している。それはペイロード容量を拡大して軌道への貨物搬送量を増やし、同社自身と顧客のコストを長期にわたり削減するプロジェクトだ。

記者会見でショットウェル氏は「すでにStarlinkの接続テストを米空軍の研究所のために行っている」と述べた。料金は明らかにしなかったが、SpaceNewsによると米国の場合80ドルという低料金らしい。

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NASA初の実験的全電動航空機X-planeがテストを開始

NASAが近く、ほぼ20年ぶりに有人機のX-planeを飛ばす。X-planeはNASAがさまざまな技術をテストするための実験的航空機の総称で、フライトシミュレーターのX-Planeとは異なる。そのX-planeはX-57 Maxwellと呼ばれ、もうひとつ重要なのはNASAにとって初めての全電動の実験機であることだ。

NASAがX-57 Maxwellを米国カリフォルニア州のアームストロング航空研究センター(Armstrong Flight Research Center)に送付したことは、地上試験の開始が近いことを意味している。そして地上試験がOKとなったら飛行試験を開始する。この全電動のX-57以外にもNASAには、航空機の電動推進システムをテストするための航空機がいろいろある。それらは、来るべき航空輸送の全電動化に向けて、さまざまなスタンダードや設計慣行、認定計画などを作っていくための研究基盤でもある。それは、今勃興しつつある電動垂直離着陸機(VOTL機)による短距離交通の業界も視野に入れている。

NASAの計画では、今回のX-57およびその各種変形バージョンによるテストの結果は産業界やそのほかの諸機関、および規制当局と共有する。X-planeプロジェクトはまた、飛行の効率化や騒音の削減、人間の生活環境の安全などの面で、NASAが日常的な商用航空産業に対して技術的貢献をする手段のひとつにもなる。

画像クレジット: NASA

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NASAの惑星探査用の新望遠鏡は気球に乗って大気圏の外縁に浮かぶ

最新の望遠鏡は星からの光を適切に濾過することによって、約4万メートル上空から地球に似た星を見つけることができる。その、マサチューセッツ大学 ローウェル校が作った望遠鏡は米国時間10月1日の朝、ヘリウムガスを積めたフットボール場ほどの大きさの巨大な気球に乗せられてニューメキシコ州フォートサムナーから飛び立った。

「PICTURE-C」と呼ばれるその望遠鏡は重さが800kg近くあり、長さは約4m、幅は1m近い。それを視界が澄明な地球の大気の外縁に定置するためには、それぐらい大きな気球が必要だ。それでも空中に定位できるのはほんの数時間で、その後は分解されてパラシュートで降下する。従って装置そのものは再利用性がある。

NASAが大学に560万ドルを助成した5年におよぶこのプロジェクトは、来年再び望遠鏡を気球に乗せて飛び立ち、研究者のための画像をさらにたくさん撮る予定だ。このプロジェクトで、地球に似た惑星以外のほかのものが発見されるかもしれない。環境光や他の星からの光に邪魔されない、初めてのとてもクリアな観測だから、これまでの観測では見えなかったものが初めて見える可能性がある。

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画像クレジット: NASA

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