Amazonがアプリの試用サービスTestDriveを閉鎖、アプリの無料化+アプリ内購入で稼ぐ、が一般化したので

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AmazonのAmazon Appstoreの、ほかのアプリストアにないアプリ試用機能TestDriveが、消滅する。この、購入前試用機能はAppstoreのローンチと並行して2011年の3月に導入されたが、クラウド上でAndroidをエミュレートすることにより、Webブラウザ上で‘アプリの試用感’を作り出していた。アプリのユーザ体験やコントロールは、ユーザが本物のAndroidの上で本物のアプリから得るものと、ほとんど変わらなかった。この、クラウド上の試用機能は、その後Androidフォーンからも利用できた。

Amazonによると、このサービスを閉鎖する理由は、利用が“大幅に落ち込んだ”ためだ。そして、無料でプレイできるゲームなどが増えたことを、要因として挙げている。

TestDriveできるアプリの多くはモバイルのゲームで、それは消費者が、実際に試してみてから買うか買わないかを決めたいと思うアプリの典型だ。でも最近のゲームのパブリッシャーたちは、アプリのダウンロードを有料にせず、仮想グッズなどのアプリ内購入でマネタイズする傾向になっている。消費者は、とりあえずダウンロードしてプレイしてみる、という行為を無料でできるようになった。だから、ほかの方法で試用する必要性が、なくなったのだ。

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今日まで16000のアプリがこのサービスを利用したが、圈域は合衆国国内のみ、とAmazonのWebサイトは説明している。そこに挙げられている数字を見ると、近年では利用するデベロッパが減少していることが分かる。2012年にTestDriveできたアプリの数が、ここに載っているが、その数字もなぜか16000だ。

利用しないデベロッパも多かったので、消費者にとっては、試してみたいけど試せない、というアプリも多くなった。試用機能があることを知らない消費者もいた。

機能が廃止になったのは4月15日からで、TestDriveできたアプリもこの日を境にできなくなった。それらのアプリがAppstoreから下ろされることはないしプロモーションの対象にもなる、とAmazonは言っている。TestDriveというオプションはAppstoreのクライアントアプリケーションからもなくなり、新たに提出されるアプリにも、もちろんない。

TestDriveは、当時としてはおもしろくて革新的な機能だった。それによってAmazonの、そのころできたばかりのAppstoreが、既存のGoogle PlayやiTunesに対して明確に差別化できた。

しかし最近では、上位のアプリストアはどこも、アプリのスクリーンショットやビデオなどで、試用に代わる手段を提供している。有料ダウンロードのアプリでも、ときどき無料化プロモーションで客寄せをトライしている…Amazon自身も。たとえば今週Amazonは、セール(売り出し企画)を開催してそこに26種のアプリを無料化して並べている。それらの単価の総額は105ドルにもなる。

また、Amazonが最近開始したAmazon “Unlocked”サービスは、TestDriveがかつてそうであったように革新的な試みで、アプリのAmazon Primeのように、有料アプリを無料で提供する。このように、アプリのプロモーションに関しては、Amazonの勢いが衰えたわけではない。

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モバイルアプリに組み込む小型のローカルデータベースRealmが$20Mを調達

モバイルアプリの中に組み込む小さなデータベースを作っているRealmが今日(米国時間3/24)、2000万ドルの資金調達を発表した。

このラウンドを率いたのは、同社のシリーズAも担当したKhosla Venturesで、新たな投資家としてScale Venture Partnersが参加した。これで同社の資金調達総額は2900万ドルになる。Scale Venture PartnersのAndy Vitusと、ゲームエンジンのメジャーUnityのファウンダでCEO David HelgasonがRealmの取締役会に加わる。

Realmは、1MB足らずのとても小さなデータベースを作っているが、デベロッパがこれを利用すれば数週間ぶんのコーディング作業を節約できる。協同ファウンダのAlexander Stigsenによると、デベロッパはほんの数行のコードを書くだけで、自分のアプリにデータベースを加えられる。彼によると、クラウド上など外部のデータベースを呼び出さずにアプリ内に組み込むのは、いくつかのアドバンテージがあるからだ。

まず第一に、いつでも使える。オフラインでもよい。第二に、超速い。しかも完全にローカルだからプライバシーも良好。外部サーバ上のデータベースは、政府や悪人のハッキングに遭うおそれがある。外部データベースは使うたびに課金されるが、Realmにはそれがない。

だからRealmは、デベロッパにとって魅力満載だ。6月にステルスを脱したばかりの同社は、今では1億台のデバイスで動いている、と同社は言ってる。顧客の中には、Groupon、Buzzfeed、Intuit、Zynga、Coinbase、Expensifyなど、有名企業も多い。

同社の主な競合企業はSQLiteだ。15年前に軍用に開発されたが、今ではモバイル向けに改作されている。でもStigsenによると、最初からモバイル向けに作る方がよりシンプルであり、クロスプラットホームな互換性も最初から提供できる。

同社がローンチしたのは2011年で、Y Combinatorからだった。YCを卒業してからはステルスモードに入り、プロダクトの開発に専心していた。

Stigsenはこう説明する: “データベースを作るのはとても時間がかかるから、誰も手を出そうとしない。うちはデータベースのコアも自分で作り、初期的なベータテストを行った。とてもソリッドなものができたから、苦労のかいがあったと言える”。

サンフランシスコにオフィスのある同社は、今回の資金で現在21名の社員を年内に倍に増やす。また新たな市場開拓も行う。つまり、サポートするプラットホームを増やすとともに、営業努力を拡大する。

Realmの二人の創業者はどちらも元Nokiaの社員だ。彼らはNokiaでフィーチャーフォンを作っていたが、そのときモバイルを熟知できたことが、Realmに生かされている。

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モバイルアプリ(などの)販促のための招待/紹介システムをインテリジェントにするYesGraph

【抄訳】

デベロッパが消費者向けのアプリケーションを立ち上げるときは、ソーシャルメディアの招待の仕組みを利用して、友だちから友だちへの“おすすめ”の連鎖に期待することが多い。でもそれは、アドレス帳の中からそのアプリに関心を持ちそうな人を探すだけだから、かなり原始的なやり方だ。

Y Combinatorから孵化したYesGraphは、そういう招待と紹介のシステムを、もっとインテリジェントにしたい、と考えている。彼らのツールをデベロッパが使うと、関心をもってくれそうな人、招待を受けてくれそうな人をリストの上の方に抽出できる。

同社は100万ドルのシード資金を、Bloomberg Betaが仕切るラウンドにより、獲得している。

YesGraphは2012年の夏に、Dropboxで販促を担当していたIvan Kiriginが創った。しかし同社は最初のうち、企業の新社員募集システム(リクルーティングシステム)に注力していた。それは、企業の今の社員が知っている人たちを活用して、有能な人をチームに誘う、というシステムだった。

しかし、そのプロダクトをローンチしてから数か月後に、いくつかの問題が生じた。たとえばLinkedInはAPIの仕様を変更して、パートナーにしかアクセスできないようになった。これにより、LinkedInの会員たちにコミュニケーションして成長を図ろうとするYesGraphのようなスタートアップは、水を差された形になる。またKiriginによると、初期のそのサービスは競争の激しいテク企業には受けたが、そのほかの業界は反応が鈍かった。

しかしこういう、既存のサービス(LinkedIn、FullContactなど)とユーザのデータを利用する、招待と紹介依頼のための人探しのシステムは、もっといろんな用途があるはずだ、とKiriginは思ったし、またいろんな会社の話を聞いてみると、需要もあることが分かった。


[YesGraphがないと: 人間ではない/昔のボスだ/範囲外だ/9歳だ/Aaronは’A’で始まってるだけ/Katy Perryが嫌い/昔のメール/重複]

 
 
たとえば、ファミリー向けのソーシャルアプリなら、ユーザと同姓の人たちのメールアドレスを探すかもしれない。企業ユーザ向けのコラボレーションツールなら、メールアドレスがユーザと同じドメイン内の同僚を見つけるだろう。

このように、招待システムの要件は企業や製品によってまちまちだが、どれにも共通する目的は、なるべく招待に応じて、友だちへの紹介もやってくれそうな人を、リストの上位に集めることだ。上の図のように、アルファベットの最初の文字である’A’で始まってるから、ソートされて”Aaron”さんがリストの上位にくるなんて、ナンセンスだ。

YesGraphがやることは、コンピュータのない時代から多くの企業が営業販促でやってきたこと、”lead scoring”(見込み客に見込み度の点をつける)という作業だ。いちばん見込みのある人==点の高い人が、リストの上位にくる。


[YesGraphがあると: とても親しい人/同じ町に住む/類似の物を買った/年齢層がぴったり/リプライしたばかりの人/今の仕事仲間/Katy Perryが好き/メールのやりとりが多い]

【後略】

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アプリに簡単にメッセージング機能をつけられるLayer、長いベータを終えて一般公開へ(専用UI集も提供)

【抄訳】

デベロッパが自分のアプリに機能豊富なメッセージング機能を簡単につけられるサービスLayerが、2013年のTechCrunch Disruptで優勝して以来の長いベータ期間を終えてやっと一般公開される。

今日の一般公開と合わせて、Layerを利用するデベロッパが、そのUIの作成でも楽をできるための、iMessageふうの豊富なUIウィジェット集Atlasも提供される。それらはアプリがLayerの機能を呼び出す/コントロールするためのUI集で、もちろんAndroidとiOSの両方で使える。

自分のアプリにメッセージング機能を設けたいと願うデベロッパは多いが、そのためのバックエンドは片手間で簡単に書けるものではない。そこでLayerを利用すると、ほんの数行でメッセージング機能を導入できるのだ。デベロッパは時間のほとんどを、アプリ本体の開発やブラッシュアップに向けることができる。Layerを使うと、テキストだけでなく、音声や写真、あるいはビデオによるメッセージングも実装できる。アプリの機能の一つとしてメッセージングもある、という形だけでなく、独自のメッセージングアプリをLayerで構築してもよい。

LayerはDisruptでデビューしたあと、ベータを開始したが、ただちに2500名のデベロッパがテストに参加した。今では1万を超えるアプリがLayerを利用しており、その中にはPopImojiもいる。

【後略】…以下は主にUI集Atlasの説明…

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、Facebook利用のアプリ・マーケティング・ツールのスタートアップ、Toroを買収

デベロッパーがFacebook上でアプリをプロモーションするのを助けるツールを提供しているスタートアップのToroが、Googleに買収されたことを発表した

Toroの共同ファウンダーはAmitt Mahajan、Joel Poloneyで、当初はRed Hot Labsという社名だった。2人はToro以前にMyMiniLifeというFarmVille(後にZyngaが買収)の原型となったゲームを開発している。

昨年秋にわれわれがMahajanとPoloneyにインタビューしたとき、彼らはモバイル・アプリのデベロッパーがFacebook広告でプロモーションを行うことを助けるツールの開発に取り組んでいることを明かした。このツールは何百種類もの広告を自動的に作成し、テストすることによって誰でも簡単に効果的なキャンペーンができるようになる。

今回のプレスリリースでToroは「Googleに加わることでわれわれのチームはさらに大きなリソースと流通チャンネルへのアクセスが可能になる。われわれは引き続きデベロッパーの役に立つツールを作るという使命に取り組んでいく」と書いている。

ToroがGoogleに加わったということは、開発の中心がFacebookから離れるということを意味するのだろうか? そのようだ。Toroは既存の広告キャンペーンについては引き続きサポートしていくとしたものの、新たなキャンペーンについては受付を中止したという。

買収金額などの詳細は明かされていない。ToroはこれまでにAndreessen Horowitz、Greylock Partners、SV Angel、General Catalyst、Keith Rabois、Chris Dixon、Bill Tai、それにGuitar Heroの共同考案者Charles HuangとKai Huangらの投資家から150万ドル調達している

私はGoogleにこの情報の確認を求めるメールを送っておいた。

アップデート:Googleの広報担当者は「ToroはGoogleのモバイル広告チームに参加する」と確認してきた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Amazonで9年間AWSを担当した技術者がアプリケーションの展開サービスDistelliを創業、初の資金調達へ

アプリケーションの、サーバ上への展開をやってくれるDistelliが今日(米国時間1/20)、シリーズAで280万ドルを調達したことを発表した。

Andreessen Horowitzがこのラウンドを仕切り、パートナーでIronPortのファウンダでもあるScott WeissがDistelliの取締役会に加わる。これまで自己資本のみで、シードを外部に依存していない同社にとっては、これが初めての資金調達だ。

DistelliのサービスはSaaSとしてクラウドから提供され、どこにあるサーバに対しても、そこへの展開を代行してくれる。サーバは、AWSやRackspace、Google Compute Engineなどのクラウドや、データセンターなど、どこにあってもよい。CEOでファウンダのRahul Singhはジョーク混じりに、Costcoで買ってデスクの下に置いたサーバでもいいよ、と言っている。ユーザの部屋の机の下にあるなんてことは、Distelliにはわからないし無関係だ。

このサービスは、指定されたサーバに小さなエージェントを送り込んで、展開の仕事をさせる。そのエージェントが動き出すと、Distelliがユーザに提供するダッシュボードからサーバのアクティビティをモニタできる。

SinghはAmazonの四人目の技術者社員で、9年間Amazon Web Servicesで大きなプロジェクトの展開を担当したから、いろんな問題解決の経験も豊富だ。彼曰く、コードを書きアプリケーションを構築するためのツールには良いものがあるが、展開に関してはまだまだだ。というわけで彼はDistelliを創業した。

彼は、Herokuは良い選択だが、良いのはあくまでもHerokuのサーバを使う場合のみだ、と言う。そうでないときは、ChefやPuppetのようなツールを使わなければならないし、展開スクリプトを書くのに貴重な時間を取られてしまう。開発過程が、その段階で超鈍足になってしまう。彼は、展開を代行するサードパーティサービスがぜひ必要だ、と考えた。

アプリケーションの展開とローンチをDistelliのエージェントがやってくれるから、開発チームは本来の仕事、良いコードを書くことに専念できる。サーバがクラッシュしたときのリスタートもエージェントがやるから、その点も楽だ。人間が従来手作業でやっていたことを、これからはソフトウェアがやってくれるのだ。

同社は2013年の3月にローンチし、社員はSinghを含めて6名と少ない。今、有料のユーザは15名/社である。それでも毎日が猛烈に忙しいから、去年の秋に完了した資金調達を今ごろやっと発表しているのだ。

Singhによると、今年は顧客獲得に注力したいので、安いのからお高いのまで段階的な料金プランにしたい、という。これまでは、サーバ1台あたりなんぼ、というシンプルな課金だったが、今後は、デベロッパ個人向けの無料プラン、中小企業向け、大企業向けという形にしたいそうだ。

そして同社の長期的な目標は、DevOpsたちのための総合的な、ワンストップのインフラ管理ダッシュボードを提供すること。それは、ハードがどこにあっても対応できる形にしたい。いわば今同社は、その中の‘アプリケーションの展開’の部分を、まず提供しているわけだ。

Singh曰く、“1年あまりやってきて痛感するのは、展開を負担に感じているデベロッパがとても多いことだ。彼らの得意なのはあくまでも、アプリケーションを設計してそのコードを書くことだから、展開は彼らにとって面倒な雑務にすぎない。その雑務を、楽に簡単にできるようにしたのが、うちのサービスだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


EFFのアクションアプリはAndroidのみ、Appleのデベロッパ合意事項を”ひどすぎる”と批判

【抄訳】

デジタル世界の人権擁護非営利団体EFFが今朝(米国時間1/8)、人びとが同団体の“アクションセンター”*に、より気軽にアクセスできるためのモバイルアプリをリリースした。しかしこのアプリはAndroidバージョンのみで、iOSバージョンは提供されない。その理由をEFFは、AppleのDeveloper Agreement(デベロッパ合意事項)には問題があり、その“とてつもなくひどい”条項は、“デベロッパとユーザの双方にとってよろしくない”からだ、と説明している。〔*: EFF Action Center, 一般人がEFFの活動(アクション)に(ツイートなどいろんな手段で)参加するための窓口。〕

同団体はデジタル世界のプライバシーや言論の自由、ネットワーク上の監視行為などの問題に対して強硬な姿勢を見せることで知られており、もっぱらフリーでオープンなソフトウェアとテクノロジを支持している。したがって同団体が、デベロッパがアプリケーションをiTunes App Storeに提出する際の制約条項に反発するのも当然だ。

Appleは私企業として当然ながら、自分のストアを自分の方針で管理する。しかし同社がモバイルアプリのエコシステムに対する投資を保護するためにとっている措置の中には、EFFを激怒させるものがある。たとえば、AppleのSDKを使って作ったアプリをほかのアプリストアで流通させてはならない、というルールもその一つだ。一方、そのほかのルール、たとえばAppleはユーザのデバイス上のアプリをいつでも“殺せる”、などの項目は、ユーザをセキュリティの脅威から守るためだ、とされている。

しかしEFFが問題にしているのも、この”キル・スイッチ“(kill switch, 殺しのスイッチ)だ。この殺人ならぬ殺アプリ行為は、たとえばユーザがApp Storeから自機にダウンロードしたアプリにマルウェアが含まれていることが後から分かった、というような場合にはむしろ、ユーザ保護のための行為として正当化されうる。Appleがそのほかの目的で恣意的にアプリをユーザのデバイスから取り去ることはない。

Steve Jobsはこの殺しのスイッチについて、こう言っている: “このスイッチを押す機会が一度もないことを願っているが、そういうスイッチをまったく設けないことは、むしろ無責任だ”。

さらにEFFは、デベロッパ合意事項の中の禁止事項…SDKやiOSをリバースエンジニアリング(分解・解読)してはならない、Apple製品をジェイルブレークしてはならない…にも懸念を表明している。またアプリのバグフィックスやセキュリティアップデートにAppleの承認が必要、という条項も、“Appleはデベロッパやユーザのセキュリティを私物化している”としてEFFは批判している。

“Appleの承認が迅速でなかった場合には、ユーザは長期にわたってアプリの旧バージョンを使うことになり、そのセキュリティが危殆に瀕する”、とEFFは書いている。ユーザの安全性を確保するためには、セキュリティパッチなどはAppleのレビュー過程を経ずに即座に当てられる方式が必要、とEFFは主張している。現状ではデベロッパはAppleにレビューをリクエストできるが、Appleはそのリクエストを承認しなくてもよい。またそのレビュー過程は、遅くはないが、早くもない

EFFはまた、アプリにDRMを含める、という要件も、デベロッパ合意事項のネガティブな側面として指摘している。EFFは、DRM反対運動の先頭に立っている団体の一つだ。

EFFはこのアプリのネイティブiOSバージョンも、またWeb上で*一般的に使えるHTML5バージョンも作っていない。iOSバージョンを作って提出して承認を得るためには、これらの‘悪法’に従うことになるので、EFFとしては作らないのが当然だ。CordovaとIonicを使ってクロスプラットホームなアプリを作ったのだが、それに無承認でAppleのSDKを統合することはできない。〔*: EFFアクションセンターのWebインタフェイスはact.eff.org。〕

むしろ同団体は、Androidアプリをローンチしたことを、AppleのApp Storeの規約を改定せよという陳情運動の支持拡大の一環としたいようだ。

この陳情運動は、その趣旨を次のように述べている: “デベロッパはiPhoneアプリを作るために自己の権利を放棄すべきではない。アプリの作者は良好な契約条項を要求すべきであり、自己のiPhoneを愛する顧客は彼らを支援すべきである”。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


朗報! ゲームのビジュアル開発環境、Unityに(ついに)UIエディタが追加

朗報だ! 

はるか昔、Unityはこのゲーム開発プラットフォームにユーザー・インタフェース・エディタを提供すると約束した。それは人類が火を使うことを覚えるようになった頃のことだった*。

[* 実際のところは1年半ほど前]

しかしUnityはゲーム開発システムのバージョン4.6を発表し、これには長らく待たれていたUIエディタが附属していた。

Unityについて詳しくない読者に簡単に説明しておこう。Unityは超強力なゲーム開発エンジンで、デベロッパーはWYSIWYGスタイルで開発ができる。Unityで開発されたゲームは、わずかな調整を加えるだけで、あらゆるプラットフォーム(iOS、Android、 Windows、Mac、Linux、ほとんどの最新世代ゲーム専用機)で作動する。もちろんゲームの中で何かを動作させたければ、そのためのコードを書く能力が必要だが、以前のゲーム開発環境に比べてきわめてビジュアルで、多くの作業をドラグ・アンド・ドロップで済ませることができ、圧倒的に能率がいい。

ところが、Unityはゲームそのものの開発が効率的なのに反して、設定画面やメニューを追加しようとするとえらく面倒だった。これまでUnityのデベロッパーがゲーム内UIを作ろうとすると、2つの選択肢があった。

  • UnityのUIスクリプト言語を利用する。これは必要な機能を備えているものの非常に使いにくい。マニュアルでコーディングしなければならない部分が不必要に多い。たとえばウィンドウの表示位置やリサイズを対象となるディスプレイの解像度ごとに手入力しなけれならない。
  • サードパーティーのGUIのエディタを利用する。これは最初のうちはよかったが、やがてUnityがサードパーティーから優秀なエンジニアを根こそぎスカウトしてしまったので、次第にサポートが悪くなった。
  • 今日(米国時間11/26)のアップデートで、UI制作が当然そうあるべきレベルのサポートを受けることができるようになった。ゲーム開発のビジュアル・エディタの中でユーザー・インタフェースもシームレスに処理できる。またスマート・アンカリング、リサイジングがサポートされ、いちいち手作業で指定しなくても解像度に応じて表示が自動的に対応するようになった。また弾むボタンとか要素が画面の外から飛び込んでくるなどのUnityのすばらしいアニメーションもUIにそのまま利用できる。パフォーマンスやサードパーティーのツールとの連携もよく考えられている。

    多少細かい話になるが、それでも重要な改良は、Unity 4.6でAndroidのx86プロセッサーがサポートされたことだ。これでUnityを利用してGoogleのNexus Playerなどのデバイス向けにゲームが開発できるようになった。

    Unity 4.xのユーザーは無料で今回のアップデートをインストールできる。ただし今回が4.xに対する最後のメジャーアップデートなるという。

    こちらにフルに30分の詳細な新UIシステムの紹介ビデオがある。

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    (翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


    Google、いよいよ新年からChrome向けNPAPIプラグインを全面ブロックへ

    2015年1月からGoogleはChromeブラウザ向けNetscape Plug-In API (NPAPI)のブロックを開始する。これは予想された動きだ。GoogleがNPAPIプラグインのサポート停止の努力を始めたのは1年以上前になる

    この1年、Googleは古く、セキュリティー上も欠陥の多いNPAPIアーキテクヤーを使わないようデベロッパーに呼びかけてきた。また大部分のNPAPIプラグインをブロックしたものの、一部の影響の大きいプラグインについてはホワイトリストを作ってブロックから除外した。これにはMicrosoftのSilverlight、Unity、Google自身のGoogle Earthなどのプラグインが含まれていた。しかし来年1月からは、ホワイトリストの分も含めて例外なしにブロックされることになる。

    このブロックで影響を受けるプログインにはGoogle TalkやFacebookのプラグインも含まれる。ホワイトリストのプラグインもGoogleがサポート停止計画を発表してから利用は減少している。しかしGoogle自身のデータによってもSilverlightはChromeユーザーの11%が月に1度以上起動している。おそらく大部分はNetflixのユーザーだろうが、Netflixも徐々にSilverlightから離れつつあるので、数字の見た目ほど影響は大きくなさそうだ。

    業務上必須のエンタープライズ・アプリでNPAPIプラグインを必要とするものについては、当面このブロックをバイパスする手段が提供される。ただし2015年9月からはGoogleはChromeのコードベースからNPAPIのサポートを完全に削除するとしている。

    Featured Image: Stephen Shankland/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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    (翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


    Microsoft、Visual Studioフルバージョンを5人チームまで完全無料化

    今日(米国時間11/12)、Microsoftは Community 2013エディションの Visual Studioリリースした。これは数年前から提供されている多くの制限のかかったVisual Studio Expressを置き換えるプロダクトだ。

    Visual Studio ExpressとVisual Studio 2013 Community Editionは比べ物にならないほど大きな差がある。新バージョンはエクステンションをサポートするので、Visual Studioエコシステムに存在する5100以上の エクステンションが利用できる

    ひとことで言えば、新しいコミュニティー・エディションはVisual Studioフルバージョンの無制限、無料版ということだ。ただひとつの条件は、5人以下のチームでしか使えず、エンタープライズでは利用できないことだけだ。しかもユーザーは商用、非商用を含めてあらゆるアプリケーションの開発に用いることができる。

    Microsoftのデベロッパー事業部を担当するコーポレート・バイスプレジデントのS. “Soma” Somasegarは先月行った私の取材に対して、「一言でいえば、われわれはVisual Studioへのアクセスを大きく拡大するということだ。Community Editionはウェブ、モバイルデバイス、デスクトップ、クラウドを含めどんな種類のアプリでも開発できるフルバージョンのVisual Studioだ。Visual Studioエコシステムのの豊富なエクステンション資産を完全に利用できる」と語った。

    つまりデベロッパーは、Peek、Code Analysis、Graphical Debuggingを始め、ありとあらゆるVisual Studioツールが利用できる。

    今回の決定でVisual Studioは基本的にフリームアム・モデルとなった。Microsoftは今日、 Visual Studio Online (これにも数多くのアップデートが加えられた)に新しい有料ツールを公開した。Microsofttはこれらのプロダクトから収益を上げる方向に舵を切った。Visual Studio IDEがそのゲートウェイになる。無料化でVisual Studioを利用するデベロッパーが大きく増えれば、MSDNのサブスクリプションを始めとして有料プロダクトの利用者も増えるという目論見だ。

    当面Express Editionの公開も続けられるが、最終的にはCommunity Editionが取って代わることになる。

    私はMicrosoftのクラウドおよびエンタープライズ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのScott Guthrieに電話で取材した。「Community Editionの公開で、クレジットカードを取り出したり、特別プログラムに参加する手続きをせずに誰でもVisual Studioを使えるようになった」とGuthrieは説明し、「Visual studioは誰からも賞賛されているが、大学生や大学を出たばかりのデベロッパーは金を払いたがらないからね」とジョークを飛ばした。「そこで、さらに多くのデベロッパーがこのプロダクトを毎日使うようになるよう、われわれは敷居を大きく下げることにした」のだという。

    Visual Studio Onlineの無料版とAzureの無料版を組み合わせれば、商用版の本格的モバイル・アプリ、ウェブアプリが完全に無料に開発できるようになった。

    〔Microsoftは同時に.NETのオープンソース化とMac、Linuxへの移植を発表した。〕

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    (翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


    MozillaがFirefox Developer Editionをローンチ

    Firefoxが今日(米国時間11/10)10歳を迎え、Mozillaはそのお祝いとして二つのプロジェクトを立ち上げた。それらはプライバシーに関する新たな取り組みと、Firefox Developer Edition(Firefoxデベロッパエディション)だ。後者は、デベロッパのためのツールを前面に打ち出したFirefoxのニューバージョンだ。

    このDeveloper Editionに、革新的なブラウザを期待していた人は、がっかりするかもしれない。基本的にそれは、黒を基調とするテーマと角型のタブのあるFirefoxで、それまでアドオンとして提供されていたデベロッパツールがすべてある。まず、Android上のChromeとiOS上のSafariをデバッグするためのFirefox Tools Adapter(”Valence”と改名)、ブラウザ上でWebアプリケーションを開発できるWebIDEなど。それに、前からブラウザにあったデフォルトのデベロッパツールが、見つかりやすくなった。

    Mozillaのデベロッパツール担当ディレクターDave Campが、今日の発表声明で次のように述べている: “デベロッパ用のブラウザがあることによって、日々のWeb閲覧体験をデベロッパ向けにカスタマイズできる”。彼によると、“デベロッパが開発やデバッグのためにいろんなプラットホームやブラウザを行ったり来たりしていると効率が非常に悪い”。Firefox Developer Editionを使えば、“開発のワークフローを一箇所に集中できる”。

    デベロッパにとってありがたいことに、このバージョンは今あるFirefoxと並行にインストールでき、互いに干渉しない。

    また実験的なリリースチャネルであるAuroraのユーザは、そのリリース過程でDeveloper Editionにリプレースされるから、とくに何もする必要はない。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


    OpenStackは成熟期に特有の諸課題に直面

    今急速に成長しているオープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームOpenStackは、今や200あまりの企業が支えていて、その、ほぼ各年行われるカンファレンスが今年はパリで開催された。今回の来場者は4500名を超えて、これまでで最大のイベントになった。それは、このプラットホームへの関心が大きいことを示しているが、しかし同時にこのプロジェクトは、人気の拡大とともに新しい課題も抱えるようになった。

    今日のキーノートでは、何人かのスピーカーが、今の6か月のリリースサイクルは、大企業にとっては追随するのがたいへんすぎる、と述べた。たとえばBMWのデータセンターのStefan Lenzは、“しかも、どのリリースでも重要な変更が多すぎる”、という。彼曰く、“今後はもっと安定してほしいが、現状で使えないということではない”。BMWはOpenStackのクラスタを100ぐらいしか動かしていないが、Lenzによればそれは、半分ぐらいが業務向けで、多くはOpenStackまわりの開発専用に使われている。

    今朝のキーノートでは、そのほか数名のスピーカーが同様の不満を述べた。またOpenStackのCOO Mark Collierと常務取締役のJonathan Bryceはキーノート後の記者会見で、その問題には自分たちも気づいている、と述べた。しかし、このプロジェクトを構成するモジュールの多くが成熟期に達している今では、毎回のアップグレードを律儀にインストールしなくてもよい、というユーザがほとんどだ。Collierは、あらゆるオプションをユーザにとってオープンにしておきたいが、次回のリリースは既存ユーザがアップデートをもっと容易にできるための仕組みを導入している、と述べた。

    もうひとつの問題はOpenStackのセットアップと日常の運用が、当初の難しさを引きずっていることだ。だから企業ユーザの多くが、OpenStackクラウドの立ち上げを、専門知識技能のあるサードパーティのベンダにお願いしている。しかし、今後のユーザ増加策として重要なのは、それを誰でもできるようにすることだ。

    メインイベントと並行して、OpenStackのコントリビュータたちは、”Design Summit”と名づけた会を開いて、今後のリリースの優先事項を検討した。それはOpenStackの各モジュールの担当者が自分たちのロードマップを設定するだけでなく、今年はとくに、モジュール間の調整にも力が注がれた。各モジュールに導入する新機能だけではなく、プロジェクトが成熟期に来ている今では、モジュール間の調整の重要性が増しているのだ。

    成熟の兆候として挙げられるのが、OpenStackのエコシステムにおけるベンダ数の増加だ。UbuntuSUSERedHatなどのLinuxディストリビューションがあり、OpenStackクラウドのための仮想ネットワークインフラストラクチャ専門のPLUMgridもいる。だから、投資家たちの視線もベンダたちに集中する。たとえばSwiftStackは先月、シリーズBで1600万ドルのラウンドを発表しMirantisは1億ドルを獲得など、資金調達の発表が最近はとても多い。それに今では、OpenStack関連の買収もある…たとえばCiscoは9月に、Metacloudに飛びついた

    以上のように、今ではいろんなことがOpenStackプロジェクトの成熟を示している。最初にRackSpaceとNASAがこのプロジェクトを産んでからその後長年、比較的目立たない存在だったが、最近の2年間で技術の改良と、外部への積極的な情報提供が行われた。参加企業が増えて成熟した今でもしかし、現段階で求められている安定性の実現のために、イノベーションの歩みを鈍らせることは許されないのだ。

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    Mozillaがデベロッパ専用の新しいブラウザを来週ローンチする

    Mozillaが今日(米国時間11/3)、デベロッパ専用の新しいブラウザを来週リリースする、と発表した。具体的な詳細はなく、ただ匂わせただけだが、リリースは11月10日だそうだ。その日は、Firefoxの10歳の誕生日でもある。しかしMozillaによると、その新しいブラウザを使えばデベロッパは、ほかのツールをとっかえひっかえ使わなくても“Web全体を”デバッグできるのだそうだ。

    発表文から引用すると: “Webのために何かを作るときは、お互いに相互運用性のない数多くのツールをデベロッパは使わなければならない。プラットホームやブラウザによっても使うツールは違うので、それが作業の足を引っ張り、生産性を損なう”。

    この新しいブラウザでは、MozillaのWebIDEプロジェクトFirefox Tools Adaptorを使って、Firefoxの開発ツールをほかのメジャーなブラウザに対しても使えるようにする。ただし今回Mozillaが言っているのはそこまでで、詳細は来週にならないと分からない。

    Mozillaはオープンソースの組織として、毎週のプロジェクト会議をストリーミングし、ユーザインタフェイスのアップデートの設計に関する研究も、もっとも実験的なリリースチャネルに出る前に共有することが多い。だから、今回の秘密めいた発表の仕方は、やや異様だ。

    でも、おそらくFirefoxのフォークとしてデベロッパ専用のブラウザをMozillaが提供することは、理にかなっている。Mozillaはここ数年、デベロッパツールに重点投資をしてきたし、やや議論を招(よ)んだFirefox OSによるモバイルへの進出でも、さまざまなツールをローンチした。しかし外部ツールのこのような多産によって、ブラウザ内蔵のデベロッパツールが、おかしな立場になってきた。Firefoxの最新バージョンではブラウザのカスタマイズがずいぶん容易になったが、デベロッパツールにはますます陽が当たらなくなっていたのだ。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


    ビデオと実習を併用するプログラミング教育Code SchoolがiOSアプリをリリース

    デベロッパのためのお勉強サイトCode Schoolは、ファウンダGregg Pollackの長年の知識共有努力から育ってきたが、このほどモバイルも対象にすることになった。そのiOSアプリからデベロッパは、CodeSchoolの300本を超える教材ビデオを視聴でき、JavaScript、HTML/CSS、Ruby、iOS、Gitや人気のデベロッパツールChrome Dev Toolsなどについて学べる。

    CodeSchoolの多くの教材は無料だが、有料会員になるとそのほかのビデオも見られる。ただしモバイルアプリでは、デスクトップのようにブラウザ上で実際にコードを書きながらビデオや静止画から学ぶ、という勉強の仕方はできない。

    コミュニティ優先、ビジネスは二の次

    Code Schoolは8年前に、デベロッパのための教育的なコンテンツを作りたいというPollack自身の関心から生まれた。当時は、そのころまだ比較的新しいフレームワークだったRuby on Railsを取り上げた。“生まれたばかりの技術は、ドキュメンテーションがお粗末だからね”、とPollackは説明する。“だからぼくは、ブログでもポッドキャストでもカンファレンスの講演でもそればっかり書いたり喋ったりした。ひまなときには、ビデオも作った”。

    Pollackの仕事はコンサルタントで、彼のコンサルタント会社は5年ほど前に”Envy Labs”という名前になった。そのころから彼が作る教材の評判が、多くの人たちに広まっていったが、彼にそれを独立のビジネスにする気はなかった。

    しかし、2010年にリリースした”Rails for Zombies”が、大人気になった。それはビデオコンテンツとブラウザ上のコーディングを組み合わせる初の試みだった。今ではそんなプログラミング独習サイトがいろいろあるけど、当時はその後競争相手となるCodecademyすらまだ存在していなかった。

    “当時でも、ブラウザ上でコーディングを勉強するサイトはいくつかあった”、とPollackは認める。“でも、ぼくのやり方は新しかった”。つまりそのRailsのコースでは、デベロッパはビデオを見て学んだことを、実際にブラウザ上でコードを書いて練習する。それを、納得するまで何度も何度も繰り返す。このやり方が大人気になったため、Pollackはもっと本格的にやろう、と思い始めた。

    そして2011年の3月に、ビジネスとしてのCode Schoolが立ち上がり、そのときのコースはRailsの無料コースが一つ、有料コースが一つだけだった。今では前記のように、いろんな言語やツールをカバーする40あまりのコースがあり、完全な初心者と、自分のスキルを磨きたいと考えているベテランのデベロッパ両方を対象にしている。

    今のアクティブユーザ数は常時だいたい40000名、登録ユーザの数は100万に達している。ユーザ調査によると、ほぼ15%が、昇進や有利な転職などがCode Schoolのおかげ、と答えている。ユーザを技能のレベル別に、上級、中級、初級、ビギナーの4段階に分けると、それぞれ29%、33%、14%、24%となる。

    今回リリースしたiOSアプリで、外出〜移動時でも勉強したいという層をねらっているが、上に書いたようにモバイルでは実際にコードを書くという実習ができない。だからむしろモバイルは、Web上で実習したことの復習用に適しているのではないか。

    今社員35名のCode Schoolはフロリダ州Orlandoにあり、最初から有料コースがあるので最初から黒字だ。Pollackが明かす、そのほかのネット上のプログラミング学習サイトとの差別化要因は、コースと教材の制作にかける手数だ。だいたい5時間のコースを、6人の社員が3か月かけて作る。スケーラビリティという点では不利なようだが、ファウンダは、これこそうちの特長、と胸を張る。“スクリーンキャストの寄せ集めではなく、一本のゲームを作るように念を入れて作っている”、と彼は語る。

    なお、このiOSアプリでは有料会費は月額29ドルで、無料ユーザには見れないビデオも全部見られる。料金の団体割引もある。今ではAccentureやBooz Allen Hamilton、Zendesk、Fandangoなどが社員教育のために、Code Schoolの団体割引を利用している。

    Code SchoolのiOSアプリの無料ダウンロードはここから。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


    MicrosoftがDockerをWindows Serverでサポート…Docke社にとっても大きな商機

    コンテナ技術のDockerは最近のもっともホットなデベロッパ向け技術のひとつで、今では大手のクラウドベンダのすべてが、何らかの形でサポートしている。しかし本来、DockerはLinuxのコンテナをベースとする技術だ。言い換えると、Linuxサーバ上の技術。しかしMicrosoftは今日(米国時間10/15)、Windows Serverの今後のリリースでDockerをサポートする、と発表した

    Microsoftのエンタプライズ向けクラウドサービス担当EVP Scott Guthrieが今日の発表声明の中で、“顧客が今日のモバイルファーストでクラウドファーストな世界でイノベーションを志向するとき、そのために必要な柔軟性を提供して行くことはきわめて重要である”、と言っている。

    Microsoftの発表によると、Windows Serverの次のリリースでDocker Engineをサポートし、それがコンテナの作成、稼働、およびオーケストレーションを担う。そのDocker Engine for Windows Serverは、Dockerのオープンソースコミュニティが協力して開発され、Microsoft自身も一コミュニティメンバとして参加する。このエンジンのイメージ(バイナリ)もDocker Hub(Dockerのイメージのコミュニティによるメインのリポジトリ)から入手できる。

    Microsoftはこれよりも前に、クラウドコンピューティングサービスAzureでDockerのサポートを始めているし、DockerとMicrosoftはAzure上のコンテナオーケストレーションをDockerの次のリリースに統合する作業を進めている。また今日のMicrosoftの発表では、Docker HubがいずれAzure Management PortalとAzure Galleryに直接統合され、“ISVたちとクラウドデベロッパから成るMicrosoftの大きなコミュニティがDockerのコミュニティの最良の成果にアクセスでき、Windows ServerとLinuxの両方で迅速なイノベーションを実現できるようにする”、のだそうだ。

    Microsoftが今明らかに気にしているのは、コンテナとポータビリティと、ソフトウェアを複数のマイクロサービスで配布するという、最新のトレンドだ。エンタプライズにおけるWindows Serverのシェアはまだまだ大きいが、バスに乗り遅れるわけにはいかない。Microsoftは”Drawbridge“と呼ばれる独自のコンテナ技術を最近の数年間で開発し、このところ、その名をちらほらと、あちこちで見かけるようになった。今日発表されたDocker移植の件と、このコンテナプロジェクトとの関係は不明だが、 Microsoftは当面、Dockerに賭けることに決めたのだ。その大きな勢いを、無視することはできなかった。

    Dockerにとって今日の発表は、Windows Serverを使っている大きなエンタプライズへの今後の進出を意味する。DockerのファウンダでCTOのSolomon Hykesは今日の声明で、“エンタプライズ市場におけるWindows Serverの強さと、それがDockerのプロジェクトに加わることは、Dockerのコミュニティとエコシステムにとって大きな転機となる”、と述べている。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


    Windows 10、テクニカル・プレビュー版のダウンロード開始―有効期限は来年4月15日

    今日(米国時間10/1)、Windows 10 テクニカル・プレビュー版のダウンロードが始まったが、このバージョンは来年のエープリル・フールの日から2週間後には使えなくなるそうだ。つまりWindows 10の製品版はそれよりずっと前に出荷されることを意味するなら、これは良いニュースだ。

    しかし必ずしもそう楽観はできないかもしれない。MicrosoftはWindows 10を「来年半ば」に完成させるというスケジュールで動いている。4月というのは「半ば」といえなくもないが、やや早過ぎる気もする。テクニカル・プレビュー版の有効期限終了前に製品版が発表されるわけではないのかもしれない。これから各人各様の推測が飛び交うことになりそうだ。

    ダウンロードはこちらから

    〔日本版〕 TechCrunchの別記事で、Alex Wilhelm記者は、「4月15日の前にしたさらに製品版に近い一般ユーザーを対象としたプレビュー版が公開されるはず」と推測している。

    また今回Microsoftはプレビュー版ユーザーを対象にWindows Insider Preview Program という本格的なフィードバックのチャンネルを用意している。Microsoftのダウンロード・ページによればWindows Insider Preview Programに参加すると、「Technical Preview に加えて、すべてのプレビュー ビルドを公開と同時に入手することができ、使いやすいフィードバック アプリも用意されています」とのこと。これまでのプレビュー版の公開に比べて、ユーザーからのフィードバックの収集に対する取り組みが積極化していることも注目だ。

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    (翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


    AmazonがAWS勉強交流施設The Loftをサンフランシスコに再オープン

    今年すこし前にAmazonはサンフランシスコに、デベロッパが同社のAWSの技術者たちとお話したり、勉強したり、互いに交流ネットワークを作ったり、あるいはただ集まるだけのためのスペースをオープンした。このいわば”にわかづくりのロフト“は、6月に4週間開いていた。今日同社は、このスペースを今年の秋に再開する、その前にそれの“来訪者にとっての価値を高めるために”コンセプトの練り直しを行う、と発表した

    6月のときはAmazonは、期間は4週間だけ、と明言した。今回は期間についての発表はないので、今Amazonに問い合わせている。うわさでは、ロフトは秋にオープンして、今回は閉鎖の予定がないらしい。

    デベロッパは6月と同じく、その”The Loft”へ行って(LOFTと混同しないように)、AWSのエキスパートから一対一で助言をもらったり、開発事例を通じてAWSについて学んだり、ロフト内で行われるインストラクター付きのブートキャンプに参加したりできる。またデベロッパが実際にAWSに触ってみながら自分のペースで知識を深めることもできる。

    夜は交流会みたいなものが開かれ、スタートアップたちからの話も聞ける。この前はTwilioやCoreOS、Coin、Hearsay Socialなどの人がスピーチした。

    AWSは年を重ねるにつれ、次第にとても複雑なシステムになっていて、情報をネット上に見つけるのは比較的容易でも、それだけでは、いまいちよく分からない部分もある。サンフランシスコのこのスペースと、例年ラスベガスで行われるデベロッパカンファレンスre:invent、それにオンラインの資格検定教育などでAmazonは、情報の不足に関するデベロッパの不満に対応しようとしている。とくにこのロフトの場合は、生身(なまみ)で、一対一でAWSの技術者から話を聞けることが、デベロッパにとってありがたいだろう。re:inventもそういう直接的な学習の場だから、6月の初オープンのときAmazonのJeff Barr(AWSチーフエヴァンジェリスト)は、そのにわかづくりのロフトのことを”ちょいといかれたre:invent“(re:invent on crack)と呼んだのだ。

     

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


    デベロッパツールをどんどん増強するAmazon、今度は人間テスターによるアプリテストサービス

    Appleは今年のはじめに、モバイルアプリのテストサービスとして人気があったTestFlightを買収した。そして今日(米国時間8/13)はAmazonが、Amazon Appstoreをターゲットとするデベロッパのための、従来からある同社自身のモバイルアプリテストサービスと競合するような新サービスを立ち上げた。”Live App Testing“と呼ばれるその新しいツールでは、デベロッパが自分のアプリを、ストアへの出品前に、あらかじめ決まっているテスターたちに手早く配布する。

    Amazonによると、テストするアプリはAmazonの一連のデベロッパサービスをすべて利用できる。たとえば、アプリ制作時におけるアプリ内購入のテストなども。

    Live App Testingを利用するためには、まずデベロッパがテスターたちにお願いのメールを送る。そしてダウンロードの案内をもらったテスターは自分のデバイス上でアプリをトライできる。 テスト対象機種はAmazon Fireデバイス(Fire TVを含む)と、Androidデバイスだ。よく見るとこれは、Google自身のテストサービスと競合する部分もある。

    しかし自分のAndroidアプリケーションでGoogle PlayストアとAmazon Appstoreの両方をねらっているデベロッパは、このAmazonの新サービスに魅力を感じるだろう。調査によれば、Amazonユーザはアプリの購入やアプリ内購入の金遣いが積極的だから、デベロッパもAmazon Appstoreを無視できない。もちろんそのアプリは、高いコンバージョンレートをねらって最適化されている。

     

    この新サービスには、テストに関する基本的な分析もある。それは、クラッシュした回数などだが、デベロッパはさらに、そのほかのデベロッパサービスも利用して、ユーザのエンゲージメントやリピート使用、そのほかのバグなども調べるだろう。

    この新しいテストサービスは、Amazonがこのところ次々と打ち出しているデベロッパツールの一環だ。そのほかにA/Bテストサービス、Amazon Maps、アプリ内購入のAPI、モバイル広告、モバイルのAmazon Associates、デバイスメッセージング、GameCircle(ゲームデータのシンク)、それに、Amazonアカウントによるログイン、などもある。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


    今のアプリビジネスは、その大多数が持続不可能だ

    アプリストアの店頭に並ぶモバイルアプリケーションは、衰えを知らぬ勢いでますます増え続けている。しかし実際には、その多くが、持続可能なビジネスではない。今朝(米国時間7/21)発表された報告書によると、iOSデベロッパの半分(50%)とAndroidデベロッパの半分以上(64%)が、“アプリの貧困ライン”以下で操業している。アプリの貧困ラインとは、アプリの月間の売上が500ドルであることだ。

    この、VisionMobileの2014Q3 Developer Economics(デベロッパ経済)報告書は、モバイルアプリのデベロッパに対する大量のオンラインアンケートと面接調査の結果をまとめたもので、全体としての調査対象数は世界137か国の10000名以上のデベロッパ、調査機関は4月と5月にまたがる5週間だった。

    モバイルアプリのデベロッパにとって、自分のアプリを見つけてもらい、ダウンロードしてもらい、実際に使ってもらうことが、まず難関だ。そのことは前からよく知られているが、それを表す数字を実際に見ると、その厳しい状況がより一層分かる。“1%”という微量な数値は、経済全般を語るときだけでなく、アプリストアの経済を語るときにも重要な役を演ずるのだ。

    まず、この報告書によると、1か月に50万ドル以上を売り上げるデベロッパは全デベロッパの1.6%にすぎない。この1.6%が、残る98.4%の合計稼ぎ高の数倍を稼いでいる(下図)。この報告書は、合衆国など先進国の貧困現象になぞらえて“アプリデベロッパにおける中間階級の消滅”を指摘している。そして全世界で約290万のモバイルアプリデベロッパは、

    ・持たざる者(have-nothings)
    ・貧困にあえぐ者(poverty-stricken)
    ・ぎりぎり苦労している者(strugglers)
    ・持てる者(haves)

    の4階級に分類されるのだ。つまり、“持てる者”を除く、ほとんど全員が“何らかの貧困”だ。

    持たざる者

    上図の円グラフで、濃い赤の24%は、お金を儲けたいけど一銭も儲けていな人たちである。そして明るい赤の23%は、月の売上が100ドルに満たない人たち。この24+23=47%が、持たざる者(have-nothings)と分類されている。

    しかしそれでも、iOSを優先するデベロッパが多い。上図円グラフの右にある棒グラフを見るとお分かりのように、持たざる者の比率は、Android 49%に対し、iOSは35%と低い。だから多くのデベロッパが、とりあえずiOSを目指すのだ。

    なお、お金を儲けたいと思っていないデベロッパも一部にいて、報告書は彼らを“ホビイスト”とか“探究者”と呼んでいる。

    貧困にあえぐ者/ぎりぎり苦労している者

    月間のアプリの売上が100ドル以上1000ドル未満の22%(オレンジ色)を、”貧困にあえぐ者(poverty stricken)”と分類している。これが企業の売上なら、デベロッパに給与を払えないだろう。彼らを小分類すると、 100-500ドルが15%、500-1000ドルが7%だ。

    持たざる者の47%に100-500ドルの15%を足した62%が、“アプリの貧困ライン”以下の層となり、さらに500-1000ドルの7%を足した計69%が、デベロッパを本業として持続できない層である。

    “ぎりぎり苦労している者(strugglers)”は、上図円グラフで草色の部分、すなわち19%の層だ。彼らの月間売上は、1000ドル以上10000ドル未満である。副収入としてまあまあ、もしくは、完全に本業として成り立つ、という人たちだ。ただしこのレベルのアプリは、開発コストと、サーバなどの運用コストが高いものが多いと思われる。

    勝者が総取り: 持てる者

    アプリの月間売上が10000ドル以上を、“持てる者(haves)”と分類している。iOSデベロッパでは17%、Androidでは9%がこの層である。アプリストアにおける10000ドルの意味を理解していただくために、次の挿話を述べておこう: 合衆国のiOSアプリストアで上位100位までの有料ゲーム(アプリ内購入を含む)は、どれも一日の売上が10000ドル以上である。

    ただしこの報告書によると、月間の売上が50万ドル以上のデベロッパは、全体の1.6%にすぎない。しかもその中には、月商数千万ドルという水準のデベロッパもいる。その次の、10万-50万ドルの層は全体の2%だが、彼らの月商の合計は、残る96.4%のデベロッパの全月商を合わせた額よりも大きい。

    報告書は、こう述べている: “アプリビジネスの50%以上は、現在の売上では持続不可能である。この50%以上の中に、持続を志向しないパートタイムデベロッパは含まれていない。長期的には60-70%のデベロッパが持続不可能と思われ、需要の多いスキルを持つデベロッパは、モバイルアプリ以外の、より将来性のある分野へ移動していくだろう”。

    モバイルアプリは消耗品か?

    これらの数字に見られるのは、モバイルアプリが大きく売れることの難しさだけではなく、モバイルアプリが消費者だけでなくデベロッパにとっても消耗品であることだ。つまりそれは、長期的に取り組む本格的なビジネスとは、みなされていない。

    今日では、モバイルアプリのスタートアップの多くがデベロッパの履歴書のようなもので、買収やM&Aのあとには忘れ去られてしまう。次々とイグジット(出口)があり、毎日のように新しいローンチがあり、中になローンチする前に拾われてイグジットするスタートアップもある。したがってモバイルアプリが作り出す消費者ユーザベースは、アプリをすぐに消え去るものと見なすようになる(Facebookは違うかもしれないが)。

    今日のユーザの多くが、アプリを、まるで自分の家のような永住性のある、親しい、そして重要な、コミュニケーションの場とはみなさなくなっている。企業向けのメッセージングクライアントも、さまざまな写真保存アプリも、そしてゲームも、寿命がとても短い。次々と新作が登場し、次々と消えていく。

    でも、今の若い消費者には、その前のジェネレーションXやYの世代にない特徴がある。彼らは、恒久性永続性のない、つかの間のメッセージに満足している。自分のソーシャルメディアのアカウントを削除しても平気だ。データの喪失も、それほど気にしない。このグループの消費者たちは、モバイルアプリがますます帯びつつある消耗品的な性格と、しっくりフィットしている。少なくとも現在の消費者アプリのゴールドラッシュが、続いているかぎりは。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


    Apple App Storeのアプリ拒絶方針がやや緩和、ただしチャートのランクを操作しようとするものは依然厳禁

    App Storeにおけるアプリの承認基準の最近の変更方針をめぐって、モバイルアプリのデベロッパ間に議論と懸念が広まっている。いくつかのフォーラムの投稿などを見ると、すでにAppleは、ビデオ広告を見ることやソーシャルな共有に対して報酬を提供するアプリの、拒絶を開始しているようだ。

    しかしまた一方では、新たな変化があるらしい。

    ビデオ広告業界の情報筋によると、このところ、上記に関連したアプリの拒絶が減少し、新しい方針が撤回されたかのような感触がある。

    さらにまた、初期の、より問題の多かった拒絶が解除されて、アプリがApp Storeの棚に戻りつつあるらしい。

    どうやらAppleのアプリ審査部署は、報奨によってユーザにそのアプリをレビューさせたり、格付けさせたり、ほかのアプリをダウンロードさせるようなアプリは、今後も拒絶していくようだ。そのような報奨は、App Storeのトップチャートに影響を及ぼすからだ。

    しかし上記のような行為を伴わずに、単純にビデオを見るだけで報酬がもらえるビデオ広告は許容される。また、そのアプリに関する記事をソーシャルメディアに投稿したら報酬が得られるものでも、OKだ。

    そしてまた、デベロッパが自己のアプリやほかの人たちのアプリを宣伝しているだけのビデオ広告はOKだが、その中で実際にアプリをダウンロードさせて報奨を提供するものは、ノーだ。

    報奨のあるビデオやソーシャル共有とは?

    今日では、ビデオ広告企業というものが数多くあって、デベロッパがお金を得たり、自分のアプリを見つけてもらうための広告を提供している。それらの企業は、AdColony、Applifier(Unity)、Flurry、TapJoy、SupersonicAds、Vungle、AppLovin、Sponsorpay、NativeX、などなど々々だ。そしてそれらのビデオ広告の多くが、ほかのアプリの広告だ。

    デベロッパは、そういう報奨つきのビデオ広告を自分のモバイルゲームの中で利用し、ユーザがそのビデオを見てくれたことへの報酬として、仮想通貨やそのほかの特典を与える。そのビデオ広告に登場するアプリやゲームも、露出が増えるという利益を得るし、ときには、新しいユーザが実際にそのアプリ/ゲームをダウンロードしてくれることもある。

    そのような報奨を、ビデオ広告の視聴だけでなく、アプリのソーシャルな共有に対しても提供しているアプリが少なくない。たとえばCandy Crushはメッセージを表示して、Facebookにポストしたら寿命が延びますよ、とユーザを誘う(この場合、ゲーム中の“延命”が報奨である)。

    デベロッパはこの方法で露出を増やし、混み合っていて自分を目立たせることが難しいApp Storeで、ユーザ獲得の機会を少しでも増すことができる。しかし一方で、これらの報奨提供メッセージなどは、ゲームに集中したいユーザにとって、邪魔、うるさい、というデメリットもある。そしてAppleがとくにまゆをひそめるのが、これらのテクニックの濫用によって、App Storeのチャートの順位が人為的に変わってしまうことだ。

    エンドユーザの感じ方には、好悪両面がある。ビデオの視聴や共有をうるさく勧誘されるのはいやだ、という感じ方と、実際にお金を払わなくても仮想通貨をもらえるのは嬉しいな、という感じ方。

    再び変化のきざしが

    アプリが拒絶されるというニュースがあっちにもこっちにも載るようになってから、デベロッパの不安が広がった。濫用のレッテルを貼られるほどこの方法を多用しているデベロッパは、あまりいなかったし、しかも強制ではなくオプトイン、すなわちユーザの自由意思だ。しかしAppleは、その強権を揮って、デベロッパの…ときには唯一の…収入源をカットするというのだ。

    しかし実際には、ビデオ広告が一律に禁じられるわけではない。自分のアプリや、ほかのアプリ、あるいは一般的なブランドや商品のビデオ広告があってもよいし、それらを見てくれた人に報酬が提供されてもよい。ただ一ついけないのは、広告の上で直接、アプリをダウンロードできて、それに対する報奨があることだ。

    ビデオ広告のプロバイダたちが実際に調べたところによると、アプリ拒絶のニュースが発表された直後に比べて、最近では拒絶されるアプリの数が大幅に減少している。

    結論: いけないのは「ランクの操作」

    どうやら、実際にはいろんな複数の方法が併用されていたり、報酬や報奨の厳密な定義を見つけることが難しい、という問題が(Appleのアプリ審査部内に)あったようだ。一部には報奨制の濫用と呼べるほどの、露骨でどぎついアプリが実際にあるかもしれない。しかし、良識的で大まかなルールはこうだ: App Storeのチャート上のアプリの順位を変えることを主目的として報酬が(すなわち報奨として)提供されているものはダメ。

    そもそも、噂では、ビデオ広告視聴/ソーシャル共有に対する報奨のあるアプリを拒絶するという話は、AppleのiAdのチームが言い出しっぺだという。また一方で、それはない、という説もある。いずれも、真偽のほどはわからない。

    ただ一つ真実なのは、今デベロッパたちは懸命になって、自分のアプリをダウンロードしてもらい、超混雑のApp Storeでランクを上げるための、新しい方法を探していることだ。

    この秋リリースされるiOS 8は、アプリの発見という問題をいくつかの方法で解決しようとしている。それらは、”Explore”セクションの改良、サブカテゴリの導入、関連項目を提案する検索、検索のトレンド、アプリのバンドル、デベロッパがキャンペーンの効果を分析する方法の改良、などなどだ。でも、ユーザに単純にご褒美や謝礼をあげてアプリのランクを上げる行為をしてもらう、という、これまでの、あまりにもわかりやすい方法は、簡単にできるからこそ、一部のデベロッパにとってはなかなかやめられないのだ。

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    (翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))