子供の在宅学習を支援、ホームスクーリングプラットフォーム開発のPrimer

新型コロナウイルスのパンデミックの中、世界中の両親は子供の自宅教育の責任を持たされて苦労している。家庭で子供にリモート教育を与えるプロセスを容易にする、いわゆるホームスクーリングのアプリが投資家の注目を集めている。

ホームスクーリングのスタートアップであるPrimer創業者のRyan Delk(ライアン・デルク)氏によれば、ホームスクーリングには双方向で対話可能かつ多様な機能を備えた「フルスタックのインフラ」を用意しなければ家庭におけるメインストリームのサービスとならないという。

デルク氏のスタートアップはこのほどFounders Fund がリードしたラウンドで4億円のシード資金を調達したことをTechCrunchに明かした。ラウンドに参加した他の投資家にはVillage Global、Naval Ravikant(ナバル・ラビカント)氏、Cyan Banister(サイアン・バニスター)氏などの著名なエンジェル投資家が含まれる。

2016年に米国でホームスクーリングを受けていた子供たちは240万人に過ぎなかった。デルク氏は、ホームスクーリングがほぼ全員に拡大した現在、両親が利用できるインフラがまったく提供されていないことにショックを受けている。「私自身、幼稚園から中学2年生までホームスクーリングで教育を受けた」とデルク氏は懐かしむ。

Primerはあくまでプラットフォームであってそれ自身のカリキュラムは提供していない。 少なくともこれまでのところPrimerは保護者がさまざまなホームスクーリングのカリキュラムになじみ、理解するのを助けるツールを構築してきた。

PrimerがリリースしたNavigatorは、州の基準を守りながらホームスクーリングを受けさせるためにどういう手段があるかをチェックするための無料ツールだ。そして Libraryは、ホームスクーリングを実行するにあたって参考となるマニュアルや資料をを集めたデジタル図書館。

昨年末にこれらのナビゲーションとライブラリのリリースした後、Primerは次のプロダクトの開発をスタートさせた。これはホームスクーリングを行う両親が参加できるオンラインコミュニティのためのツール群となる予定だ。このコミュニティは米国の新学期に合わせて8月にスタートする。5種類から7種類のテーマを考えており、「ロケットからチェス、クッキングまで幅広いトピックを扱いたい」とデルク氏は述べた。各クラスは専門家が指導し、子どもたち同士でも交流できる。Primerではまだ料金は決定していないが、クラスへの参加は月極めのサブスクリプションとなる予定だ。

米国時間5月12日、Primerはこのサービスのウェイティングリストを立ち上げた。興味ある保護者はPrimerのサイトでメールアドレスを登録できる。デルク氏はブログ記事で「来年は保護者が優れたホームスクーリング体験を与えるために必要なサービスをさらにいくつか増やしたい」と書いている。

同氏は、パンデミックが収束して自宅隔離が解除されても、ホームスクーリングは大規模な成長が続くと確信しており、「ホームスクーリングを体験した保護者の一部はこれが長期にわたる教育としても適切な手法だと考えるはずだ」という。Primerのチームが開発しているプロダクトの多くは一般の両親にとってはまだかなり高度であり、ホームスクーリングのように誰もが利用するサービス向けではないという。

「ホームスクーリングは個別性が高い。我々は問題を実践的に解決していく。Primerは『子供たちをiPadの前に毎日6時間しばりつけておく』ようなプロダクトは作らない」と同氏は語った。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ゲームやチャットを通じて新しい言語を学べるソーシャルロボ


言語学習で一番重要なのはなんといっても繰り返し練習することだ。ここで紹介する愉快なロボットは、この過程を楽しくし言語学習を助ける。TechCrunchのCatherine Shu(キャサリン・シュー)が開発元であるEMYS共同創業者のJan Kędzierski(ヤン・カジールスキ)氏にインタビューした。

EMYSはソーシャルロボットで、ゲームやチャットを通じて新しい言語を学ぶ手助けをする。ロボットは子供たちに親しみやすく表情を読み取りやすいデザインとなっており、ジェスチャーとタッチに反応する。カジールスキ氏はポーランドの大学ですでに10年近くソーシャルロボットを開発してきたためテクノロジーとノウハウは十分にあった。現在子どもたちが新しい言語を学習する手法は効率的とはいえない。そこでソーシャルロボットの商用化を目指す際、この分野は非常に大きくかつ有望な市場だと考えたという。

EMYSは3歳から7歳までの子供たちをターゲットにしている。ビデオの2:00前後でデモされているようにロボットはゲームを通じて楽しく言語を教えることができる。当面ヨーロッパと中国の市場を考えているが、これらはまったく異なった性格の市場なのでソフトウェアからマーケティングまでそれぞれに適したアプローチが必要だという。

中国では両親が子供たちの外国語習得にかける熱意は高い。欧米では子供たちは多数の科目を学ばねばならず宿題も出るため外国語学習に当てるられる時間が少ない。カジールスキ氏は「欧米向けではゲーム性を高めるなどの工夫をする」と語った。ビジネスとしてはきわめて初期の段階だが、ユーザビリティを最優先していくという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

atama plusと駿台予備校が新導入の「大学入学共通テスト」向けオンライン模試を初回無料で開催

atama plusは、駿台予備校などの大学受験対策予備校を運営する駿河台学園と共同で、高校3年生と浪人生向けにオンライン模試「駿台atama+共通テスト模試」を開催することを明らかにした。従来の「大学入試センター試験」に代わって2021年度から新しく導入される「大学入学共通テスト」対策のオンライン模試で、7月27日〜8月9日に実施を予定で期間中であればいつでも受験できる。今回は無料提供となる。

新型コロナウイルスの影響を受け、駿台予備校では7月中旬ごろまで校舎での対面授業を全面中止し、全生徒にatama+ mのウェブ版を利用したオンライン授業を提供している。この流れを受けて駿台atama+共通テスト模試も実施され、高校3年生と浪人生が3密を避けつつ新方式の大学入学共通テストに慣れてもらうこと第1の目的としている。なお、模試の内容は駿台予備校の講師陣が作問している。

駿台atama+共通テスト模試では、受験直後にオンラインで正誤結果を受け取れるの特徴。各問題のミスの傾向をもとに今後学習するべき単元を把握することで、学習の振り返りや今後の学習に生かせるシステムも利用可能になる予定だ。atama plusのAI学習システム「atama+」を利用している場合は、この模試の結果を基に弱点単元を目標に設定すると、該当単元を重点的に習得できるよう自動的に適した設問がatama+から提示される。

なお今回の取り組みは一過性のものではなく、今後駿台予備校は「駿台共通テスト模試」のすべてを、既存の会場実施方式・高等学校実施方式に加えて、オンライン版公開模試である駿台atama+共通テスト模試を併用する方式に切り替える予定だ。

「駿台atama+共通テスト模試」の実施概要は以下のとおり。

  • 名称:第1回 駿台atama+模試
  • 実施期間:2020年7月27日〜8月9日
  • 受験形式:選択式、オンライン実施
  • 料金:無料
  • 対象:高3年生・既卒生(浪人生)
  • 教科:(物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎、物理、化学、生物、地学)、地歴公民(世界史B、日本史B、地理B、現代社会、倫理、「政治・経済」、「倫理、政治・経済」)
  • 申込方法:6月1日以降に駿台I-SUM Clubから申し込み
  • 模試内容詳細:atama plus模試ページ駿台模試ウェブページ

atama plusが開発したAI学習システムであるatama+は、AIが生徒の得意・苦手・目標・過去の学習内容などに応じて、生徒それぞれに最適な学習教材を自動作成するサービス。数学の正弦定理が苦手な生徒の場合、正弦定理の問題を片っ端から問いて力ずくで覚えるのではなく、平方根や三角形の内角などの基礎的な要素を理解させることに重点を置くのが特徴だ。

生徒の苦手分野を特定するためにさまざまな角度からatama+が出題し、その生徒が何を理解していないのかを把握する。そして、その苦手分野を補う5分程度の短い動画教材や例題などを組み合わせたカリキュラムを自動で生成する。現在、駿台予備校のほか城南予備校、Z会(栄光の個別ビザビ)、ティエラコム(能力開発センター)などにも導入されている。現在提供している科目は、数学、英文法・語法、物理、化学の4科目。数学は中学、高校生向け、数学以外の科目は高校生向けとなっている。

子供の在宅学習を助けるグーグル謹製Android用英語読み上げアプリ「Read Along」

Google(グーグル)からRead Alongがリリースされた。これは無料のAndroid用教育アプリで、小学生に英語の読み方を教えるのを助ける。新型コロナウイルス(COVID-19)によるリモート学習が続く中、子どもたちの興味を失わせないことに注意が払われている。

Read Alongは2019年にGoogleがインドでリリースしたBoloをベースにしている。これは英語とヒンディー語で短いストーリーを読み上げてくれる教育アプリだった。Read Alongはこのアップデート版だが、インドで話される言語に加えてスペイン語とポルトガル語が追加されている。

Bolo同様、Read AlongもGoogleのAIによる音声認識やテキスト読み上げ機能を利用している。アプリにはDiyaという名前のAIアシスタントが組み込まれている。子供たちがテキストを音読すると、アプリは正しく読めているかどうか判断し、つかえたり読み方がわからなかったりするとDiyaが手助けしたり激励したりしてくれる。

子供たちが進歩するとミニ単語ゲームがプレイでき、アプリ内で賞をもらうことができる。

Googleはこのアプリが子供たちのプライバシーに留意し、モバイルやWi-Fiでネットワークに接続している必要がないことを強調している。入力された読み上げ音声はデバイス内でリアルタイムで処理される。Googleその他の外部のサーバーと通信する必要はなく、外部に保存されることも一切ない。Googleによれば、他のアプリでみられるような品質改善のために音声データを利用することもしていないという。

広告やアプリ内課金もなく、保護者はインターネット経由でGoogleから追加ストーリーをダウンロードできるがこれも無料だ。

サービスのスタート時点でRead Alongは約500本のストーリーをラインナップしている。このカタログには随時新しいストーリーが追加されていく。

Googleは「2019年3月にBoloとして発表して以来、保護者からのフィードバックが好評であることに後押しされてアプリを新しい市場に向けて拡張することを決めた」と述べている。インドで話されるヒンディー系諸語ではBoloは「話す」という意味だが、Googleはアプリを世界に広く展開するに際してRead Alongというアプリ名を選んだ。

新アプリではライブラリが拡大され、言語ゲームやその他の機能が追加、改善されている。フィリピン、コロンビア、デンマーク以外の世界各国(日本を含む)から利用可能だ。ベータ版は英語、スペイン語、ポルトガル語、ヒンディー語、マラーティー語、ベンガル語、タミル語、テルグ語、ウルドゥー語をサポートする。

アプリは5歳以上の子供向けでGoogle Playから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

駿台予備校が1学期の対面授業を全面中止に、全生徒にatama+のAIオンライン授業をリモート提供へ

新型コロナウイルス蔓延による外出自粛要請の真っ只中でも、子供が学べる環境は日々どんどん進化している。子供の就学後としては、多くの家庭が体験したことのない夏休みより長期の休み。将来のために子供に何を学ばせるのか、いま重要な時期かもしれない。

首都圏を拠点に中学・高校生向けの学習塾を全国展開している駿台予備校(学校法人駿河台学園)は4月30日、1学期(7月11日まで)の同校校舎での対面授業をすべて取りやめることを発表した。新型コロナウイルス感染拡大の⻑期化を見越した決断だ。

もちろん同予備校は、新型コロナウイルス禍でも生徒の学習の機会をきっちり確保する。対面授業の代替として大型連休明けの5月7日から、atama plusが開発したAI学習システム「atama+」のオンライン版「atama+ Web版」を全講師と全生徒に提供し、1学期の期間中は在宅での授業を続行するのだ。なおatama+ Web版で学べるのは、英語、数学、物理、化学の4教科となる。

atama+ Web版は、新型コロナウイルス蔓延による政府や自治体の外出自粛要請を受けて、atama plusが急遽開発に着手し、2月25日にリリースしたインターネット版のatama+。従来は、学習塾内の専用タブレットでしか使えなかったatama+を、生徒の自宅にあるPCやスマートフォン、タブレット端末などで利用可能にしたほか、講師が利用するコーチングアプリも校舎外で使えるようにした。4月24日時点ではatama+を導入する全国の 塾・予備校のおよそ7割にあたる1300教室以上で、atama+Web版を使ったオンライン授業が実施されている。

実は駿台予備校は2月28日、2020年4月からこれまでの集団授業をすべて廃止し、全校舎にatama+を全面導入することを発表していた。当初は、生徒を教室に集めて生徒各自に配布したタブレット端末をベースに授業を進め、講師がタブレット上での各生徒の学習の進捗度合いを確認しながら個別指導するという講義スタイルとなるはずだった。

atama+のAI教材は、各生徒の学習理解度をAIが瞬時に判定し、学習や知識が不足している分野につながる基礎的な問題を個別に自動生成することで、生徒のつまずきを解消してくれるのが特徴だ。

具体的には、数学の正弦定理が苦手な生徒の場合、正弦定理の問題を片っ端から問いて身体で覚えるのではなく、平方根や三角形の内角などの基礎的な要素を理解させることに重点を置く。生徒の苦手分野を特定するためにさまざまな角度からatama+が出題し、その生徒が何を理解していないのかを把握する。そして、その苦手分野を補う5分程度の短い動画教材や例題などを組み合わせたカリキュラムを自動で生成するという仕組みだ。

講師側はコーチ専用アプリ「atama+ COACH」から全生徒の学習状態を一元把握できる。具体的には各生徒が、いま解いている問題、もうすぐ解き終わる問題、解答に時間がかかってる問題などがわかり、各生徒の進捗に応じたきめ細かい学習指導が行えるわけだ。

なお、atama+ Web版での講師から生徒への個別指導には電話を利用する。

ちなみにatama plusが調査したオンライン授業における生徒の学習動向を見ると、通常の対面授業とほぼ変わらないか、一部はオンライン授業のほうが良好な進捗を見せているケースもあった。同社によると、生徒のモチベーションは講師のサポートがある限り、維持される傾向が高いとのこと。またモチベーションの高い生徒は、授業外もatama plusで自主学習しているそうだ。

受講者数については、オンライン化へ移行で塾を辞めるという状況は発生しておらず、全国休校要請前と比較して1日あたりの利用ユーザー数はむしろ約10倍に増えているそうだ。

atama plusは、2017年4月に設立されたスタートアップ。代表取締役を務める稲田大輔氏が、大学時代の友人だった中下真氏(同社取締役)と川原尊徳氏(同社取締役)を誘って起業したEdTech企業だ。稲田氏は東京大学工学部卒業・東京大学大学院情報理工学系研究科修了後に三井物産に入社。社内で教育関連の事業を立ち上げたあと、ブラジルでベネッセとの共同事業を進め、ベネッセ・ブラジルの執行役員や海外EdTech投資責任者などを歴任したあと、atama plusの創業に至った。

稲田氏はブラジルの教育の現場を目の当たりにし、テクノロジーの活用において日本が大幅に遅れていることを痛感。日本では、義務教育や高校で学ぶ科目や学習内容に変化はあるものの「学校での授業形態は150年ぐらい前からほとんど変わっておらず、教室の前に立つ教師の話と、黒板に書かれた情報を基にクラス全体で学習を進めていくというスタイルが長らく続いている」ことを問題視していた。

atama plusはこういった旧態依然の学びの環境を学習塾と協力して進化・効率化させ、余った時間を「社会でいきる力」の習得に当てるというミッションを掲げ事業を運営している。

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新型コロナウイルス 関連アップデート

好調の外国語eラーニングサービス「Duolingo」が10億円超を調達した理由

SEC(米証券取引委員会)への提出書類によれば、外国語のeラーニングを提供するユニコーン企業(10億ドル企業)であるDuolingo(デュオリンゴ)は2020年4月初めにベンチャーキャピタルのGeneral Atlanticから1000万ドル(約10億7000万円)の資金を調達している。好調を伝えられるオンライン言語学習プラットフォームとしては、ほぼ3年ぶりの外部投資の受け入れとなった。これにともないGeneral AtlanticはDuolingoに取締役の席を1名分確保した。

Duolingoの最近の会社評価額は15億ドル(約1605億3000万円)だったが、「今回のラウンドにより評価が増加した」と述べている。ただし具体的な額についてはコメントを避けた。

General AtlanticはOpenClassroomsRuangguruUnacademyなど世界で多数エドテック企業に投資している。Duolingoは「General Atlanticのグローバルなプラットフォーム、アジアでのオンライン教育の経験は、特にこの地域におけるDuolingoの英語試験を拡大する計画に大いに役立ち、同社の成長を加速させる」と述べた。

Duolingoは2019年12月に15億ドルの会社評価額で3000万ドル(約32億1000万円)を調達している。こうした資金調達の数カ月後にそれより小さい額の資金調達を行うのは異例だ。 過去の例をみると、そうした資金調達は次のようないくつかの理由で起きている。1つは後の投資が同じ資金調達ラウンドの一部だった場合だ。もう1つの可能性はなんらかの理由で企業がさらに現金を必要とする事情があり、単にそれを調達した場合だ。あるいは新しいラウンドでも多額の資金を調達しようとしたそれができなかった場合もある。

ではDuolingoはどれだったのか?

Duolingoは、新しい投資家を獲得したかったが、多額の資金は必要なかったため1000万ドルとなったとしている。同社はキャッシュフローには余裕があると述べている。

過去数週間で、Duolingoは子供たちが読み書きを教えるアプリをリリースした。このDuolingo Plusの有料サブスクリプションは100万を超え、収入は通年換算で1億4000万ドル(約149億8000万円)となったとしている。また同社は最近、最初の最高財務責任者と顧問弁護士を採用した。

DuolingoはTechCrunchの取材に対して次にようにコメントしている。

「我々のビジネスはとても急速に成長しており、資金も十分以上にある。自己資本を拡大するために資金調達を行う必要性は少なかった。しかし、我々は2019年にGeneral Atlanticとの提携関係を強化してきた」。

他方でGeneral AtlanticのマネージングディレクターのTanzeen Syed(タンジーン・サイード)氏は「Duolingoは外国語学習では市場リーダーだ。急速な成長を維持しながら事業は利益を上げており、ビジネスモデルも効果的だ」と述べている。

もう1つの興味深い事実は、1000万ドルの調達と同時に二次市場における発行済株式の売買があったことだ。こうした取引は株主が持ち株を売却したり、会社が自社株買いを実施した場合などに起きる。

Duolingoの場合は、General Atlanticの所有率を押し上げるために既存投資家が持ち株の一部を同社に売却した。General Atlanticはこの取引の詳細を明かすことを避けている。

この情報に照らしてみると、常に大量の英語学習者を抱える有望市場であるアジア地域へのDuolingoの進出をGeneral Atlantiは歓迎しており、他の投資家は株式売却によって負担を減らしたようだ。

つまり公開株式市場が厳しさを増し、未公開株の市場も事実上停止している状況でDuolingoの既存投資家の一部は株式の現金化を図ったのだろう。現在、スタートアップが未公開のまま留まる期間がこれまで以上に長期化しているため、二次市場における取引はまったく普通のことになっている。

二次市場における売却は既存株主が投資先企業の方向性に対して懸念を抱いていることを示す場合ももちろんある。

しかしDuolingoはこの分野の世界制覇という大きな目標に向けて全力で前進しており、金庫にキャッシュを加え、取締役会にこの提携先の代表も加えた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

東南アジアでオンライン学習サービスを手がけるManabieが約5.2億円調達、今後は「学校のオンライン化」支援も

「東南アジアではスマホの普及に伴って、これまで質の高い学習へアクセスできなかった子どもたちに良質な学習コンテンツを届けるスタートアップが台頭し始めている。今後求められるようになるのは単に学習機会を提供するだけでなく、オンライン上でもしっかりと学習を継続できる仕組み。その仕組み作りに向けて、もう一度起業をして本気チャレンジしたいという思いが強かった」

そう話すのは教育系スタートアップManabieの代表取締役を務める本間拓也氏だ。

本間氏はイギリス発のEdTechスタートアップ「Quipper」の共同創業メンバーの1人で、同社が2015年にリクルートに買収されて以降も含めて約9年間に渡ってオンライン教育に携わってきた人物。現在は2019年4月にシンガポールで創業したManabieを通じて、ベトナムを中心にオンライン学習アプリやオフラインの学習塾を展開している。

そのManabieは4月22日、さらなる事業拡大に向けて総額約5.2億円(480万ドル)の資金調達を実施したことを明らかにした。

同社によると今回の資金調達額はエンジェルラウンドとシードラウンドを合わせたものとのこと。日本のエンジェル投資家やベンチャーキャピタルを中心に、国内外の投資家から出資を受けているという。主な投資家リストは以下の通りだ。

  • 本田圭佑氏
  • 梅田望夫氏
  • 有安伸宏氏
  • 松本恭攝氏
  • 福島良典氏
  • 渡辺雅之氏
  • 大湯俊介氏
  • ジェネシア・ベンチャーズ
  • そのほか東南アジアのVCや個人投資家など

Manabieでは今回調達した資金を活用し既存サービスの開発体制の強化を進めるほか、コロナウイルスの影響で「学校のオンライン化」が迫られる教育機関の支援にも取り組む計画だ。

動画レッスン+人によるサポートで継続的な学習を支援

Manabieが手がける「Manabie Basic」や「Manabie Prime」は動画授業をベースとした学習アプリだ。ユーザーはスマホなどを使って動画レッスンを見ながらインプットをし、クイズ形式の演習問題を解くことで知識を定着させていく。人間の先生ではなくバーチャル(アニメーション)のキャラクターによるレッスンという違いはあるものの、仕組み自体は「スタディサプリ」などに近いイメージだ。

今は高校生向けの数学/化学/物理/生物/英語に対応していて、約1000種類の動画レッスンコンテンツ、2万問の問題を提供。今後は中学生向けのコンテンツへの拡張やベトナム以外の東南アジアへの展開も見据えている。

年間50ドル(約5000円)で使えるManabie Basicが質の高い教育コンテンツをリーズナブルな価格で多くの子どもに届けることを目指したものだとすれば、年間250ドルのManabie Primeはそこに人力のサポートを加えることで、オンライン上での継続的な学習を強力に後押しするものだと言えるだろう。

このプランではManabie Basicのコンテンツにプラスして、オンラインコーチとメンターによる支援がついてくる。コーチはユーザーの心のケアや個々に合わせた学習計画の作成などが主な役割で、各生徒が途中で離脱してしまわないようにオンライン上で声かけをしたり相談に乗ったりする。一方のメンターはユーザーがわからない問題に直面した際に家庭教師のような形で質問に答えるのがミッションだ。

「現地の子どもたちは学ぶ意欲が高く学習塾などに通っている子も増えているが、そこに教材や塾のクオリティが追いついておらず、いろいろな負があるのが現状。まずはオンライン上で質の高いコンテンツにアクセスできるようになるだけでも、その状況を大きく変えられる」

「一方でオンライン学習サービスに共通するのが、全体の8割ほどのユーザーは学習が続かないということ。そのユーザーをいかにサポートしていくかが鍵になる。Manabie Primeではコーチやメンターによるサポートを取り入れ『教育版のライザップ』のような形で支援する仕組みを作った。各ユーザーにはコーチから自分用に設定された今日のToDoが送られてきて、コーチやメンターのサポートも受けながら課題に取り組む」(本間氏)

Manabie Primeでは裏側のオペレーションなどにもかなりこだわっているそう。コーチングカリキュラムはスタンフォード大学でコーチング領域を学んだメンバーが開発。それに加えてコーチ用に生徒ごとの進捗状況などが見れるシステムを開発し、どの生徒にどのタイミングで声かけをするのがいいか、サジェストするような仕組みも入れている。

学習アプリを使ったオフラインの学習塾も展開

また同社では学習を継続する仕組みとして、学習アプリだけでなくリアルな学習塾「Manabie Hub」も手がける。ここでは集団学習塾のような形で講師が授業をするのではなく、各生徒がスマホやタブレットからManabieの学習アプリを開き、自分に最適化された課題を自分のペースで黙々と進めていく。

最近は日本でもタブレット学習アプリを取り入れた学習塾が増えてきているが、まさにそれと同じ仕組みだ。教室では1人の講師の代わりにコーチがいるので、何か課題にぶつかった際は彼ら彼女らにサポートを求めることができる。

本間氏によるとベトナムではまだまだ集団型の学習塾が主流で、授業についていけない生徒が学習を継続するのが難しいという課題が残っているそう。Manabie Hubはその解決策として機能していて、昨年12月以降でホーチミンに5つの教室を開いたところ、200人ほどの生徒が集まった(現在はコロナウイルスの影響で開校していない)。

冒頭でも触れた通り、近年はスマホの普及もあって中国や東南アジアでオンライン教育サービスが広がり始めている段階。本間氏の前職であるQuipperも東南アジアで事業を拡大しているほか、現地発のスタートアップも生まれ業界の変革が進む。

とはいえManabieが取り組むベトナムなどの国では強力なEdTechプレイヤーは生まれていない状況で、テクノロジーに強みを持つスタートアップには大きなチャンスがあるというのが本間氏の見解だ。

かつて本間氏がQuipperを創業したのもそういった未来を見据えてのこと。東京大学を中退後、英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンに通っていた際にDeNAの創業メンバーでもある渡辺雅之氏らと出会い、「全く同じようなことを考えていた」ため共に会社を作った。

それからは約9年間に渡ってQuipperの商品開発やグローバル展開、事業開発などを幅広く担当。 フィリピンやインドネシアなどにも滞在し、カントリーマネージャーとして現地チームの立ち上げや東南アジアでのサービス拡大にも取り組んできた。

東南アジアの教育市場が新たなフェーズに差し掛かるタイミングを迎える中で、自らもう一度大きなチャレンジをするなら今やるべきだと考えManabieの創業を決断したという。

コロナの影響受け「学校のオンライン化」支援強化も

本間氏によると既存事業が軌道に乗りつつあり、事業拡大のスピードを上げるべく今回の資金調達を実施したそう。当初は中学生向けなど対象を拡大するほか、ベトナム以外の国への事業展開を予定していたが、コロナウイルスの影響を受けて方向性を少しシフトすることになるようだ。

「ベトナムでも1月後半から学校が休校し、いつから再開できるかわからない状態。日本も含めて学校継続のために『学校のオンライン化』が大きな課題になっている。現場がかなり混乱している上に、このような状況は今まで誰も経験していないため解決策を手探りで探していかなければならない状態。自分たちとしてもこの課題解決に取り組んでいきたい」(本間氏)

それこそスタディサプリやQuipperも含めて学校向けに展開しているサービスもあるが、今まではあくまで授業の補助教材として使われるケースが一般的だった。学校が休校になるとそもそも従来のやり方では授業ができなくなり、前提条件自体も変わる。当然新しい課題も生まれてくるだろう。

「今はZoomなどを使ってオンラインの授業をしたり、宿題などの課題を配信したりすることで対応を始めている学校も出てきている。ただZoomで複数人を相手に授業をするとなると、どうしてもリアルな授業に比べてインタラクティブ性にかけてしまうし、生徒の反応も見えづらく、先生にとっては悩ましい問題になっている」(本間氏)

Manabieでは学校のオンライン移行をサポートするべく自社でガイドブックを公開したところ、様々な教育機関から問い合わせがきているそう。今後はそういった現場の声も踏まえながら、学校向けのラーニングマネジメントシステムの開発にも取り組む方針だ。

これについてはまだ詳細は明かせないとのことだが、もともと同社ではtoC向けのプロダクトと並行して教育機関向けのプロダクトの開発にも着手していたとのこと。まずは自社で展開する塾などでの活用を考えたいたそうだが、今の教育現場の状況を受け、現場で使えるような形で機能面をブラッシュアップしてリリースする計画だという。

「toC向けの事業は、まずは良質な学習環境にオンライン上でアクセスできる仕組みと学習がしっかり継続できるシステムを作り込むフェーズ。ただ本来は受験勉強以外にも学ぶべき大切なことがあると考えているので、中長期的には受験に限らず、今の時代を生きるにあたって必要なことが学べるようなサービスにしていきたいと考えている」

「その一方で足元ではコロナウイルスの影響で学校のあり方自体が変わり始めている。withコロナ時代の学校のあり方とはどんなものなのか、自分たちでもそれを考えながら学校現場をサポートするためにできることをやっていく」(本間氏)

フランスの配信サービスMolotovが教育用ビデオを提供

フランスでは3月に学校が休校になった。そこでフランスのスタートアップのMolotovは、自社のテレビ配信サービスを利用して幅広い年齢の子供向けコンテンツを提供する。特に、ビデオや演習などのコンテンツを提供するSchoolMouvと提携する。

Molotov for School」と名付けた新しいセクションから、子供向けのビデオを視聴できる。France 4、Arte、TF1、M6といったフランスのテレビ局の教育関連コンテンツが集められている。

このようなキュレーションの取り組みに加え、ユーザーはSchoolMouvのビデオもアプリから見ることができる。中学と高校のあらゆる科目をカバーする約1000本のレッスンがある。SchoolMouvの利用料金は通常は30ユーロ(約3500円)で、現在は15ユーロ(約1750円)に割引されている。

MolotovはSchoolMouvのビデオを5月15日まで無料で提供する。インタラクティブな演習は利用できないが、SchoolMouvのビデオを2020年5月まですべて視聴できる。クレジットカード情報を入力する必要はない。

さらにMolotovは、歴史上の出来事や科学の話題に関するドキュメンタリーも提供する。保護者は子供が学習についていけるように多くの時間をかけて教員と連絡を取り合っているが、Molotovは忙しい保護者の役に立つかもしれない。

Molotovはこの機に、現在1000万人の登録ユーザーがいることを公表した。2019年、通信・メディア企業のAlticeがMolotovの過半数の株式を取得すると発表した際、Molotovの登録ユーザー数は700万人だった。Alticeは過半数の株式を取得したが、Molotovは独立した企業として事業を継続している。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

米国のGoogle Play Storeで「先生が承認」した子供向けアプリを紹介

米国時間4月15日、Googleは家族が高品質の教育用アプリを簡単に見つけられるように、米国のGoogle Play Storeに新たに「先生が承認」(Teacher Approved)セクションを追加した。全米の200人以上の教員を含む委員会で厳しく審査され、Googleが以前から実施している「ファミリー向けプログラム」の条件を満たすアプリだけが、このセクションに表示される。

ファミリー向けプログラムでは、データ収集とターゲティング広告に関する政府の規則を守るアプリであることが求められ、広告が入るアプリの場合は子供に対して表示される広告の種類も制限される。

「先生が承認」セクションに選ばれたアプリは、ファミリー向けプログラムの最低限の条件を満たしているだけではない。教員がレビューし、高く評価している。教員が学習に役立つと指摘したものもあれば、楽しむためのものもある。

新型コロナウイルスの感染拡大で休校措置がとられ、米国のほとんどの子供たちが学校に行けないこの時期に「先生が承認」セクションが設けられた。全米教育統計センターのデータによると、現在までに少なくとも5510万人が学校での対面の教育を受けられなくなった。この変化を受けて保護者は、空いてしまった子供の時間のために教育に役立つアクティビティを考える必要に迫られている。リモート授業が実施されているとしても、ほとんどの場合、子供の1日の時間が埋まるほどではない。

Googleは、子供が使うのに適した良いアプリを見つけるのが難しいという保護者からの声を聞いたことが、Google Play Storeに「先生が承認」セクションを新たに開設した理由だと語っている。

Googleは、ハーバード教育学大学院主任アドバイザーのJoe Blatt(ジョー・ブラット)氏やジョージタウン大学のSandra Calvert(サンドラ・カルバート)博士といった教育の専門家の協力を得て、子供向けアプリを評価する枠組みを作った。ただしアプリを選ぶのは教員を含む委員会だ。委員会は、対象年齢、エクスペリエンスの品質、子供への効果、子供が使う際の楽しさなど、さまざまな面からアプリを評価する。

「先生が承認」セクションには、Google Play Storeの「Kids」タブからアクセスする。あるアプリが承認されているかどうかは「先生が承認」バッジの有無でわかる。アプリ定額サービスのGoogle Play Passでも「子供向けアプリとゲーム」セクションに「先生が承認」のコンテンツが表示される。

アプリは5歳以下向け、6〜8歳向け、9〜12歳向けに分けられている。Googleは、そのアプリが高く評価された理由も表示している。

サービス開始時点では、「先生が承認」アプリがGoogle Play Storeに約1000本、Google Play Passに約60本提示される。Googleは、Play Passのパートナーと協力して、アプリの数を今後さらに増やすよう取り組んでいるという。

テクノロジー/イノベーション/教育プログラムの上級講師で学部責任者のジョー・ブラット氏は、サービス開始の発表の中で次のように述べている。「子供と家族に対し、品質と価値に関して教員からの評価が高いアプリを集めたユニークなスペースを作るという、これまでになかった立場をGoogleがとったことは素晴らしいと思う。私はこれまで3年にわたり、学部の同僚や学生たちとともに、発達に応じた妥当性、学習への影響、魅力を正確に特定する基準づくりに取り組んできた。このたび我々はGoogleに協力して、教員がこの基準を信頼性の高い形で適用できる評価システムを構築した。私は、Googleのチームがこのプロジェクトで示した献身とプロ意識に強く感銘を受けている」。

「先生が承認」のアプリは、数日中に米国Google Play Storeの「Kids」タブに表示されるようになる。Googleは今後数カ月でこれを各国に拡大したいとしている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

パンデミックで浮き彫りになるリモートラーニングビジネスのチャンスと課題

バーチャル科学実験室を提供するエデュテック企業であるLabsterは、米国時間4月14日、カリフォルニア州のコミュニティカレッジネットワークと提携して、そのソフトウェアを210万人の学生が利用できるようにすることを発表した。

California Community Colleges は、国内で最大の高等教育システムであるといわれている。Labsterとの提携は生物学、化学、物理学、および一般科学に向けの130種類のバーチャルシミュレーションを115の学校に提供するというものだ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が学校の閉鎖を余儀なくしているために、多くのエデュテック企業たちは、自社のソフトウェアを無料で提供したり、無料トライアル期間を延長したりすることで対応をしてきた。4月14日に発表されたLabsterの提携の中で、新しくて注目に値するのは、現在の情勢がビジネス上の取引にどのようにつながるかを示す、いくつかの最初の兆候を示している点だ。

コペンハーゲンを拠点とするLabsterは、バーチャルSTEM実験室を教育機関に販売している。Crunchbaseのデータによれば、Labsterはこれまでにベンチャーキャピタルから、知られている限り3470万ドル(約37億3000万円)を調達している。Labsterの顧客にはカリフォルニア州立大学、ハーバード大学、グウィネットテクニカルカレッジ、MIT、トリニティカレッジ、そしてスタンフォード大学などが名を連ねている。

実験装置は大変高価であり、予算の制約により各学校は最新のテクノロジーを導入するのに苦労している。従ってこれまでLabsterの提案してきた価値は、より安価な代替案であるということだった(学生がバーチャル実験室で試薬をこぼしても、掃除の手間が省けるが)。

だが、新型コロナウイルスによるパンデミックの拡大を制限するために、世界中の学校が閉鎖を余儀なくされている中で、その訴求ポイントは少々変化した。現在それは科学実験室に代わる唯一実行可能な手段として、自分自身を売り込んでいるのだ。

多くのエデュテック企業にとって、リモート学習の急増は大規模な実験となった。学校がその運営を完全にデジタル化するために奮闘する中で、エデュテック企業たちは、しばしば自社の製品とテクノロジーを無料で提供している。

例えば先週、セルフサービスの学習プラットフォームであるCodecademy、Duolingo、Quizlet、Skillshare、そしてBrainlyは、生徒と教師のためにLearn From Home Club(在宅学習クラブ)を立ち上げた。それに先立ち、Wizeは同社の試験コンテンツと宿題サービスを無料で利用できるようにしている。また、ZoomはK-12スクール(高校以下の学校)にビデオ会議ソフトウェアを無料で提供したが、その結果は功罪の入り交じるものとなった

Labster自身は、全国の学校に500万ドル(約5億3700万円)分のLabsterクレジットを無償で提供した。こうしたリストは枚挙にいとまがない。

Labsterの今回の新しい取引は、今ならエデュテック企業が大きな費用をかけることなく、新しい顧客を確保できることを示している。

LabsterのCEOで共同創業者であるMichael Bodekaer(マイケル・ボデカー)氏は、この取り引きの価格についての詳細は明かさなかった。彼はLabsterが各々の学校と協力して、それぞれが教師のトレーニングとウェブセミナーのサポートにどれだけ投資できるか、または投資したいかの理解に努めたことを明かした。彼はまた、Labsterがこの取り引きから利益を得ていることは認めている。

「私たちはパートナーをサポートするための準備をしっかり整えたいと思いますが、同時に営利組織としてのLabsterが自分たちに給与を支払えることも確実にしたいのです」とボデカー氏は語る。「しかし、繰り返しになりますが、私たちのコストをカバーできる程度までの大幅な割引を提供します」。

他の多くのエデュテック企業と同様に、Labsterにとっての長期戦略は今回のような短期的な措置が長期的な関係へと発展していくように、学校に彼らのプラットフォームを気に入ってもらうことだ。

「会社として維持できる限り、これらの割引を維持するつもりです」と彼は語る。「当初は8月まで割引を行うつもりでしたが、現在は年末まで延長する予定です。状況によっては、さらに延長する可能性があります」。

価格設定はさておき、Labsterそして実際のところリモートラーニングに焦点を合わせたいかなるエデュテック企業にとっても、本当の実現上の困難はデジタル格差(digital divide)だ。ビデオ会議用のコンピューターや、演習用のインターネット接続さえも利用できない学生もいるのだ。

新型コロナウイルスのパンデミックは、リモート学習に必要なテクノロジーへのアクセスが、アメリカ全土でどれだけ不足しているのかを浮き彫りにした。カリフォルニア州では、Googleは支援を必要としている学生たちに、無料のChromebookと10万箇所のWi-Fiアクセスポイントへの無料アクセス権を提供した。

ボデカー氏によれば、Labsterは現在、モバイルデバイス上でのソフトウェアの提供に取り組んでおり、またGoogleと協力して、自社の製品がChromebooksなどのローエンドコンピューターで動作することを確認している最中だ。

「私たちは、ハードウェアにとらわれず、学生がすでに持っているシステムやプラットフォームをサポートしたいと考えているのです」と彼は言う。「持っているハードウェアが障壁にならないようにしたいのです」。

今回の提携によって、210万人の学生がLabsterのテクノロジーにアクセスできるようにはなったものの、その集団の中でコンピューターにアクセスできない可能性がある学生の割合については直接把握されていない。エデュテックにとっての試練そしておそらくその成功は、ハードウェアとソフトウェアの、どちらにも偏らない真のハイブリッドに依存したものになるだろう。

画像クレジット:doyata / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:sako)

自宅学習のニーズに応えるコンテンツハブ「NatGeo@Home」をナショジオが開設

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新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行によって全米のほとんどで学校が閉鎖となり、その結果現在5500万人以上の生徒が自宅での学習を余儀なくされている。このため、ホームスクール向けのリソースへの需要が高まっていた。現在ナショナルジオグラフィックは新たなオンラインハブ、NatGeo@Homeを開設することでこのニーズに対応している。これはナショナルジオグラフィックのファミリー向け教育コンテンツをすべてまとめた、保護者や教師のためのワンストップショップである。

無料のデジタルリソースは、ナショナルジオグラフィック協会の教育コンテンツとナショナルジオグラフィックキッズおよび他のツールやサービスの教育コンテンツを組み合わせたものだ。これには、読み物、授業、ビデオ、その他のオインラインアクティビティなどの教育コンテンツを利用できるナショナルジオグラフィック協会のLearn at Homeポータルへのアクセスが含まれている。

幼稚園生から高校3年生を対象にしたコンテンツは学年ごとにまとめられ、読み物なのか、ビデオなのか、アクティビティなのかに応じて「読む」「見る」「遊ぶ」のいずれかがタグ付けされている。サインインすれば、保護者や教師は自らのライブラリに気に入った授業プランを保存できる。

この新たなサイトは、環境保護活動家、科学者、映画製作者、探検家、その他の専門家のライブビデオトークが提供されるExplorer Classroomのホームでもある。これは、北米東部夏時間(EDT)の平日午後2時から放送される。これらの専門家によるトークでは野生動物、海洋保護、写真、宇宙探査などのトピックが取り上げられる。

教育的リソースに加え、同ポータルは家族向けに、オンライン学習の進め方や新型コロナウイルスについてどのように子供に話すべきかなどの情報やアドバイスを提供している。最近の読み物には、子供とともに過ごしながら在宅勤務する方法や、子供たちからの質問に答えるためにまず自分自身が複雑な健康危機を理解する必要がある保護者向けの「コロナウイルス101」という解説コンテンツもある。

また同ポータルは、ディズニー、ピクサー、スターウォーズ、マーベル、ナショナルジオグラフィックなど、ディズニーの全資産から、物語、ビデオ、アクティビティを集めたディズニーの新しいファミリー向けウェブサイト、#DisneyMagicMomentsの一部としても注目されている。

NatGeo@Homeの設立声明の中で、ナショナルジオグラフィックキッズの編集長兼副社長であるRachel Buchholz(レイチェル・バックホルツ)氏は「仕事と子供の学校生活を両立させるのはとても大変です。大変多くの家族が経験していることですが、この2つの世界が衝突した時、いくつもの問題が積み重なります。そのため、私達の目標は全ての年齢の子どもたちの教育を継続させ、楽しませ、鼓舞して、将来彼らが世界を担う人物になるのを支援することです」 と、述べている。

NatGeoHomeNational GeographicNational GeographicNational GeographicNational GeographicNational

最近ホームスクール向けのリソースを立ち上げた組織は、ディズニーだけではない。子供向けメディアの非営利団体であるCommon Senseは、先週、年齢に即した教育的アクティビティや日課表を含む保護者や教師向けの包括的リソースを集めた、Wide Open Schoolを開始したばかりだ。ナショナルジオグラフィックはパートナーの1人として、この取り組みの一端を担っている。

Wide Open SchoolのパートナーであるAppleも、学校や教師がAppleデバイスを用いたリモート学習を最大限利用できるよう設計されたビデオコレクション、Apple Education Learning Seriesを開設した。ComcastもCommon Senseと連携し、Xfinity登録者向けに約2000時間におよぶ教育プログラムを利用できるようにした。

ナショナルジオグラフィックの場合は、COVID-19が大流行する前から、その教育コンテンツが教室での学習を補足するものとして全米の多数の教師にすでに活用されていた。そのため、同組織がホームスクールカリキュラムのギャップを埋めるために取り組むことは理にかなっている 。

将来学校が再開したらどこかの時点で無料ではなくなる可能性はあるが、NatGeo@Homeは現在無料で利用可能だ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

バーチャル先生が指導する子供向け英語学習アプリのMyBuddy.aiが約1億円を調達

米国時間4月7日、サンフランシスコを拠点に子供が英語を学ぶためのバーチャルツールを開発するスタートアップのMyBuddy.aiが、シードラウンドでLETA Capitalから100万ドル(約1億900万円)を調達したと発表した。この資金は新規市場の開拓と、健康に関するミニクラスなどの新機能の開発にあてられる。

MyBuddy.aiのアプリには「バディ」と呼ばれるAIのバーチャル先生が登場し、演習を通じて子供を指導する。MyBuddy.aiによれば、英語を学びたくても一緒に練習する人がいない子供が世界中に5億人いるという。また、同社のアプリは2年前にリリースされ、これまでに100万回以上ダウンロードされたとしている。

MyBuddy.aiの共同創業者でCEOのIvan Crewkov(イヴァン・クリューコフ)氏は、報道発表の中で次のように述べた。「パンデミックの影響でオンライン教育の需要は急速に拡大している。5億人の子供が第2外国語として英語を学ぼうとしている中で、優秀な英語教師の慢性的な不足はさらに深刻だ。AIを活用した先生である『バディ』は、教師が日常的に教えていることを担当する。バディは無限に英会話の練習を提供し、多数の子供を教えられる。しかもいつでも利用できる」。

3月にMyBuddy.aiは、Edwinと合併した。EdwinはMyBuddy.aiと同じく非ネイティブ話者の英語学習に特化したEdTechのスタートアップで、General Catalyst、Yコンビネーター、Google Assistant Investments Programから出資を受けている。Edwinのプロダクトには、アダプティブラーニングと自然言語を理解するAIを活用したチャットボットや、オンデマンドの個人指導サービスがある。MyBuddy.aiは引き続きこの社名を用い、合併した両社のテクノロジーをバディのアプリに統合することに努める。

画像クレジット:Aliyev Alexei Sergeevich / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

未就学児の英語学習スタートアップ「Lingumi」が5.3億円を調達、新型コロナ対応で一部のサービスを無料に

新型コロナウイルス感染拡大の厳しい状況の中で、保護者は子供の教育、ことに教育の大半をオンラインで受けざるを得ないことを心配している。しかし未就学児の教育はどうだろうか。

未就学児は知識を吸い込むスポンジのようだが、学校に入るまでは読み書きに関する正式な教育は受けない。学校に入る頃にはスポンジだった吸収力は薄れ、30人が一緒に教育を受ける。保護者が英語を学ばせようとしている非英語話者の子供にとっては、学校では厳しい状況になる。

2017年に英国で創業した、未就学児が重要なスキルを学ぶためのプラットフォームのLingumiは、400万ポンド(約5億3000万円)を調達した。今回のラウンドを主導したのは中国のテックファンドのNorth Summit Capitalで、これまでに投資していたLocalGlobe、ADV、Entrepreneur Firstも参加した。North Summit Capitalは、アリババのチーフデータサイエンティストだったWanli Min(ワンリ・ミン)博士が運営しているファンドだ。

Lingumiは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている子供と家族を支援するために毎日無料で学べるアクティビティパックとビデオを提供することと、この期間中の売り上げの20%をGlobal Children’s Fundに寄付することも発表した。

Lingumiは1対1で「ソーシャルラーニング」的な指導をするインタラクティブなコースを提供している。最初のコースは2歳以上の子どもを対象に、英語の重要な文法と語彙を紹介するものだ。

指導者がつくライブレッスンは一般にタイムテーブルが決まっている上に高価だ。これに対してLingumiのレッスンは、インタラクティブなスピーキングの課題、先生のビデオ、ゲームの形式で配信される。各レッスンの最後には、ほかの子供が同じ単語やフレーズを話すビデオを見ることができる。Lingumiはビデオの視聴なのでライブのコースより安価で、保護者にとっては柔軟だ。

昨年、Lingumiは中国でコースの配信を始めた。非英語話者に英会話を教えるコースだ。現在では中国、台湾、英国、ドイツ、イタリア、フランスの合計で10万世帯以上がLingumiのプラットフォームを利用している。中国ではこの半年で150万以上の英語のレッスンが視聴され、アクティブユーザーの40%が毎日視聴している。Lingumiによれば、中国の外出禁止期間中にユーザーベースが50%増え、ヨーロッパでも急速に増えているという。

同社は「中国でのLingumiの急速な成長には、戦略的な現地投資家が必要だった。ミン博士とそのチームはテクノロジーを明確に理解し、中国、そしてグローバルでの成長のチャンスもはっきりと見すえていた」と述べている。

North Summit Capitalゼネラルパートナーのワンリ・ミン博士は次のようにコメントしている。「ネイティブの英語話者の個別指導を受けられるのは、ごく一部の恵まれた子供だけだ。Lingumiは英語学習を民主化し、AIとLingumiの非同期学習モデル(時間が決められているライブではなく自分のペースで学習すること)を活用して一人ひとりの子供に合わせたカリキュラムを提供する可能性がある」。

Lingumiの競合としては、VIPKidなどのライブ指導ソリューションのほか、中国のJiligualaや欧米で多く利用されているLingokidsといった学習プラットフォームがある。

新型コロナウイルス 関連アップデート
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(翻訳:Kaori Koyama)

Babbelが言語学習プログラムを米国の学生全員に無料で提供

現地時間3月25日、ドイツ・ベルリンを拠点とする有料言語学習アプリのBabbelが、新型コロナウイルスの流行が拡大する中、同社のサービスを3カ月間、米国の小学生から大学生を対象に無料で提供すると発表した。これまでにも同社は、同様の支援をイタリア、英国、ドイツ、スペイン、フランスの学生に対して提供していた。

同社のサービスでは現在、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ポーランド語、ロシア語、オランダ語、トルコ語、デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語、インドネシア語、英語のコースが提供されている。サインアップしたい学生(または子供に学習させたい保護者)は、有効な学校のメールアドレスで登録するだけだ。

米国BabbleのCEOであるJulie Hansen(ジュリー・ハンセン)氏は「高校や大学の休校で影響を受ける学生の数は米国全土で日々増え続け、教育システムは今後数週間でさらに混乱すると予想される。学生たちが家にいることを余儀なくされているため、Babbelは今すぐ学生たちを支援する立場にあり、支援することがまさに我々の望みだ。世界中に懸念が広がる状況で、我々は分断ではなく、世界中の人々との共通点に気づかされている」と語る。

Babbelは筆者に対し、休校中の学生に言語スキルの練習を継続させたい学校からの需要が増えているとも語った。ただし、このような学生を除いても、Babbelの登録者数は全体に増えている。たいていの人は休暇に向けたこの時期に言語の基本を学ぼうとは考えないので、これはちょっとした驚きだ。

BabbelのCEOのArne Schepker(アーネ・シェプカー)氏は次のように述べている。「世界中の人々が在宅を強いられているため、我々のサービスでの学習活動は急激に増加している。これまで以上に多くの人々が現在、Babbelで新たな言語を学習し始めている。これは我々にとってたいへんうれしいことであり、謙虚な気持ちにもなる。我々が皆さんの生活を少しでも向上させる助けになれるなら、望外の喜びだ」。

Babbelの新規登録者数は、パンデミックが注目されるとあまり増えなくなり、その後、休校や在宅指示によって再び増え始める。これは各地で同様の傾向だ。既存の登録者にも同じような傾向があり、現在は全般にアクティブになっている。ただし当然のことながら、「旅行」は今回のパンデミックが始まる前に比べると新規学習者の動機にはなっていない。

人気の無料言語学習アプリのDuolingoも、同じようにユーザー数が増えている。Duolingoは筆者に対し、新規ユーザーは世界中で40%増加し、特に隔離対策を積極的にとっている国での伸びが大きいと述べた。先週だけで、米国では91%増加し、フランスやスペインなどヨーロッパの各国ではさらに大きく増加している。中国などでTOEFLやIELTSのテストセンターが閉鎖されていることに伴い、Duolingoの認定プログラムは中国と韓国で300%に迫る伸びとなっている。

新型コロナウイルス 関連アップデート
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(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナによる学校閉鎖を受けVarsity Tutorsがオンライン学習サイトを無料公開

生徒と先生をライブ、オンデマンドでつなごうとするEdTech(教育技術)企業のVarsity Tutorsが、新型コロナウィルスのパンデミックで世界中の学校が閉鎖される中、生徒と親のためにVirtual School Day(バーチャル登校日)という無料アプリを米国時間3月16日に公開する。

アプリは、幼稚園年長から高校3年まで(K-12)の主要教科のオンラインクラスを、20時間以上ライブで提供するもので、各クラスではVarsity Tutorsが擁するエキスパート教師が教鞭をとっている。教師たちは教科内容を教えるだけでなく、バーチャルで教育も行っている。

主要クラスにはK-12の数学(四則演算から微積分まで)、読解、文学、作文、科学(生物、化学、物理)をはじめ、その他の講座もある。たとえば特定のテーマを集中して学びたい生徒のために、数学、科学、英語の専門家教師が教えるクラスもある。

Virtual School Dayには、年齢グループごとの特別授業もあり、小学生向けの「The Story of Your Favorite Fairy Tales(有名な童話の物語)」や「Secretes of Staying Healthy(健康を保つ秘訣)」「中学生向けのThe Science of Pandemics(パンデミックの科学)」や「Video Game Sound Design(ビデオゲームのサウンドデザイン)」「高校生向けにはHistory of National Parks(国立公園の歴史)」「Careers in Science(科学に関する職業)」といった授業も用意されている。

この数年間、Varsity Tutors はオンライン教育に大きく力を入れていて、2019年1月には Veritas Prepを買収して個人授業によるオンラインクラスをさらに強化した。Varsity Tutorsは設立以来1対1の家庭教師に重点を置いており、当初は対面で、後にはオンデマンドのビデオチャットを利用したオンライン方式になった。

同社はアプリを開発し、教師側にはホワイトボード機能、文書編集などのツールを備えている。

これまでに1億ドル(約106億円)以上の資金を得ているVarsity Tutorsは、個人指導だけでなく、ライブ講座、オンラインコース、SAT、ACT向けの無料テストなどにも事業を拡大している。

Varsity TutorsのChief Academic Officer(最高学術責任者)Brian Galvin(ブライアン・ガルビン)氏は、Virtual School Dayについて声明文で次のように語った。

大規模な休校によって、生徒、親ともに大きな困難に直面している。一部はオンライン教材を提供しているが、ほとんどの学校は最低限の自習用の宿題か、何も与えていない状態だ。親たちが子どもの学力低下やビデオゲームといった消費カロリーゼロの遊びに時間を費やしていることを懸念するのも当然だ。高品質の教材を無料で提供し、この困難な時期に生徒たちの学習意欲を維持することで、全世界の家族の主要なストレス要因を取り除けることを願っている」

Virtual School Dayクラスはすべて英語で、全世界で利用できる。興味のある人はこのwebinar(ウェビナー)で日本時間3月18日9時から詳しい説明を確認することができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GitHubが宿題の自動採点やインラインフィードバックなどが可能な教師向け新ツールを公開

GitHubは米国時間3月12日、GitHub Classroomの新しい機能を発表した。このサービスは、コンピューターサイエンスの教師が宿題としてコーディングの練習問題を作ったり結果を評価する業務を助ける。そのほかにも、教師のための無料のツールをいろいろそろえている。

今回の新しい機能は、まず自動採点だ。先生は自動的に作られたテストの問題を宿題として出し、結果が自動的に採点される。テストは各学生のリポジトリーで自動的に行われる。その際、先生はインラインフィードバックと自動プルリクエストでフィードバックを提供できる。

自動採点は、もちろん先生の時間をかなり節約してくれる。そして、これと同時にローンチしたTeacher Toolboxには、さまざまな開発ツールやチュートリアル、ドメインネームなどへのアクセスが含まれている。それらの無料サービスの中には、.techドメインネームやオンデバイステストのBrowserStack、SSHクライアントTermiusなどがある。Arduinoのツールにもフリーでアクセスできる。

今ツールボックスには35のツールとサービスがある。なお、これらのツールの多くは、GitHub Student Developer Packにはない。後者は、BitnamiやFigure Eight、Namecheap、そしてもちろんGitHubなどのツールに無料または割引料金でアクセスできる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

大学の講義のスケジュールを合理化して学生と大学経営を助けるCoursedog

2年前に、コロンビア大学の寮で同じ部屋にいたJustin Wenig(ジャスティン・ヴェニグ)氏とNicholas Diao(ニコラス・ディアオ)氏は、学生たちに人気のあるコンピューター科学のクラスを受講しようと苦労していた。結局、2人は受講に成功したが、クラスのスケジューリングをめぐるそのときのフラストレーションから「こんな問題はコンピューターが解決すべきだ」と決意した。

ヴェニグ氏とディアオ氏が創業したCoursedogは、クラスや教授や演習などのスケジュールを、それらに対する需要や関心に基づいて作るソフトウェアを提供している。「クラスのスケジューリングシステムのためのSuperhumanみたいなソフトだ」とヴェニグ氏は説明する。

米国時間3月9日、CoursedogはFirst RoundのJosh Kopelman(ジョシュ・コペルマン)氏など多くの投資家から420万ドル(約4億3400万円)を調達したことを発表した。その他の投資家や、投資に伴って同社の取締役会に入ることになった者について、同社は公表していない。Y Combinatorを卒業した同社のこれまでの調達総額は570万ドル(約5億9000万円)になる。同社の投資家はFoundersX VentureやEFund、そして学校の入学事務をコンピューター化するSchoolMintのCEOであるJinal Jhaveri(ジナル・ジャベリ)氏などだ。

資金は同社の新製品開発、特にコースの需要を予測し、そのコースで学生たちが効果的に勉強できるための席数を求めるプロダクトの開発に充当される。

ヴェニグ氏はTechCrunchのインタビューに対して「現在の高等教育は遅い、と考えている人が多いけど、勉強をしっかり身につけるためには遅いことも必要だ」と述べている。ただし、現在の大学はテクノロジーを採用することよりも、データの保護に関心があると彼は言う。

競合についてヴェニグ氏は、学習管理サービスのBlackboardは今でも大学に強いが、Coursedogは大学の管理者がスケジューリングのために利用する学生情報システムであるため方向性が違う、競合関係にはないと言う。

ヴェニグ氏とディアオ氏が何百もの大学に電話セールスとしたとき、最初に契約できたのがColumbia Law School(コロンビア大学のロースクール)だった。その後同社は、大小さまざまの60校のカレッジや大学を顧客にできている。

Coursedogの顧客は本当に大小さまざまで、最小は学生数約600人のLaguna School of Art and Designだ。顧客には公立校と私立校が入り混じっているが、ヴェニグ氏によると、公立校のほうがイノベーションに熱心だとのこと。

ヴェニグ氏によると「多くの州が州立大学を補助金で支えているが、ユタ州などでは大学の大きさで補助金の額がわかる」そうだ。Coursedogのソフトを利用してひとりひとりの学生に合ったクラスを受講させれば、無事に卒業できる学生が増えるという。

「今、我々は大学の学生情報システムを利用してスケジューリングやカリキュラムの計画、要覧の発行などを助けている。これによって徐々に、彼らがスプレッドシートを使ってやっていたような古いやり方を駆逐しつつある」という。

Coursedogの目標は、顧客である大学の数を年内に100まで増やし、製品開発チームをもっと大きくすることだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

1961年設立の老舗・城南予備校が従来の集団授業を終了、atama+によるAI個別授業に全面刷新

atama plusは2月28日、東京・神奈川を中心に展開する城南予備校の全校舎に同社のAI教材「atama+」を全面導入することを発表した。

写真に向かって左から、城南進学研究社の下村代表取締役社長兼CEO、atama plusの稲田大輔CEO(提供:atama plus)

atama+は、iPadなどのタブレット端末を使ってAIによる生徒の個別指導を可能にする学習環境。城南予備校は、1961年設立の城南進学研究社が運営する集団授業型の大学予備校だが、長年培ってきた学習カリキュラムをすべて廃止し、3月末から全校舎でatama+による個別授業を導入する。

城南予備校 DUO での授業風景(提供:atama plus)

城南進学研究社は、プロ講師による個別指導とA教材を用いた個別学習を提供する「城南予備校DUO」を2018年12月より開校してatama +の効果を検証してきた。その結果、中学生、高校生の成績向上や生徒・保護者の満足度が高かったことから、全面移行することに決めたという。

さらに城南進学研究社では、個別指導塾「城南コベッツ」にもatama+を導入し、全国150教室の一部の講座に取り入れる。こちらも2019年6月にatama+を試験導入した結果、生徒の成績向上が確認できたことから本格導入に至ったという。

具体的な事例としては、高1の学年末テストと高2の1学期中間テストでatama+導入の効果を確かめたところ、高1の学年末テストで、数I・IIが43点、数A・Bが51点だった生徒が、高2の5~6月の2カ月間でatama+で27時間学習したところ、高2の1学期中間テストで数I・IIが74点と31点アップ、数A・Bと82点と31点アップしたという。別の生徒では、中 3の学年末テストと高1の1学期中間テストでの点数比較で、数学が33点から68点と35点アップしたそうだ。こちらの生徒は、atama+での学習時間は高1の5~6月の2カ月間で29時間。

数学はさまざまな数式を理解して知識を積み重ねることで成績が伸びる教科だ。atama+では、iPad上で生徒が問題を解く時間など記録し、生徒それぞれが「どの問題の何を理解できていないかを」をAIが分析。その分析結果を基に、弱点を克服するための練習問題を生徒ごとに生成するという特徴を持つ。

また城南進学研究社では、新型コロナウイルス対策としてatama plusが開発したatama+のウェブ版も導入しており、生徒が予備校に通わずに自宅で学習できる環境も整えている。

atama+は2月13日に、兵庫県を拠点とするティエラコムが運営する学習塾の能力開発センターへの導入が決まったほか、Z会グループの栄光の個別ビザビ、駿台予備校などにも導入されている。

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新型コロナの影響を受けatama plusがAI学習の自宅受講を可能にするウェブ版を臨時配布へ

atama plusは2月25日、同社が開発する学習塾向けのAI学習教材「atama+」のウェブ版を臨時公開した。atama+を導入している全国の学習塾に順次無償配布している。

atama+は通常、学習塾でiPadなどのタブレット端末を使って塾講師と一緒に個別授業を進めるスタイルだが、新型コロナウイルスの影響により、自宅でも学習可能なウェブ版の公開に踏み切った。不要不急の外出を控えるという新たな政府見解に対応したかたちだ。

若年層は重症化しにくいという調査もあるが、20代の重体患者も出ている。仮に新型コロナウイルスに罹患して軽症で済んだとしても、罹患に気づかずに多くの人のウイルスをまき散らしてしまうスーパースプレッダーになる可能もある。学習塾のように狭いスペースで多人数が長時間滞在する場所は感染のリスクも高い。

生徒がウェブ版のatama plusを使っていても、塾講師はコーチングアプリの「atama+ COACH」により、生徒の自宅学習の状況をリアルタイムに把握でき、遠隔でコーチングが可能。塾で受講するのと変わらない環境を構築できる。

堅実ではあるが成長の遅いスタートアップはこの先どうなるか?

さまざまなプログラミング言語に対するコーディングクラスを提供している、米国ニューヨークに拠点を置くオンラインインタラクティブプラットフォームのCodecademyは、目立たない企業だ。創業者のZach Sims(ザック・シムズ)氏が、まだコロンビア大学の学生だった2011年に会社を創業してから、同社は堅実に運営を続けてきた。それは多くの人が知っていて、利用もしてきたブランドだが、耳目を集める資金調達ラウンドは行わず、またニュース価値のあるレイオフもなしに着実に成長して来たために、この90人の会社が日頃プレスの注目を集めることはほぼない。

それはシムズ氏にとっては気になることではない。私たちはシムズ氏と先週話をする機会を持ったが、それは最近若いライバルのLambda Schoolが行った4800万ドル(約53億円)の資金調達という、シムズ氏にとってはあまりうれしくないニュースの直後のことだった。ちなみにこれまでCodecademyが調達してきたのは総額で4250万ドル(約47億円)である。シムズ氏は、彼の会社は順調に進み続けていると語る。

ここでの問題は、それがVCたちにとって「いい」かどうかの問題が、ますます大きくなってきているということだ。実際、Codecademy は、多くのスタートアップたちが現在直面しているものと同様に、スマートで堅実だが、大きく成長しているビジネスではないという厄介な立場にあり、それが次のステップに対する疑問を投げかけている。

私たちが最後にシムズ氏と話したのはおよそ2年前だが、当時それまで意味のある収益をどのように生み出すかで長年苦労してきたCodecademyは、2つのプレミアム製品を開始したばかりだった。それらの1つであるCodecademy Proは、コーディングの基礎に加えて、機械学習やデータ分析を含む最大10領域をより深く学ぶためために月に40ドル(約4500円)(または年間240ドル(約2万7000円)を喜んで払いたいひとのためのコースだ。シムズ氏は、これは軌道に乗っていると言うものの、その詳細について語ることは拒んだ。

ウェブサイト開発、プログラミング、もしくはデータサイエンスのいずれかに6〜10週間学習者を没頭させるようにデザインされた2つ目の製品「Codecademy Pro Intensive」は、その後廃止されている。

どんな人が有料ユーザーなのだろうか?シムズ氏によれば、そうした人たちは2種類に分かれる傾向があるという。1つは単発のスキルセットを学ぶ人たちで、おそらくウェブサイトを作るために切羽詰まっている人たちだ。そしてもう1つは、現在職には就いているものの、昇格もしくは転職を考えており、Codecademyに週に数時間費やすことがそれを実現するための手段だと考える人たちである。およそ60%が米国の居住者で、残りはインドやブラジルを含む様々な場所の人たちだ。コーディングスキルの必要性は「米国に限られる現象ではありません」とシムズは指摘する。

シムズ氏は、Codecademyの価格設定を考えると、投資の回収はかなり迅速行えるだろうと口にした。比較として挙げるなら、一部のオンプレミスコーディングスクールの中には、年間2万ドル(約220万円)以上を請求するものもある。これはたいそうな金額だが、そうしたスクールは利用者が参加しやすくするために事前の徴収は行わずに、就職した後の給与の中から一定の割合で徴収する。

当然ながらCodecademyは主にオンラインで運営されているため、そこで認識されている欠点についてときおり批判されている。ある顧客(自称コンピューターサイエンス専攻)は12月に思慮深いレビュー を投稿しているが、そこには「プログラマーであるということは、単に構文を覚えられるということ以上のものだ」と書いている。確かにCodecademyは「達成しやすい中毒性のあるひと口サイズの学習」を通じて「多くの学習者にコンピューターサイエンスの基礎」を伝えてきたものの、このレビュアーはそれは「プログラマーのマインドセット」の育成には不十分だと書いている。

とはいえ、十分な数の人たちがCodecademyの提供する膨大な数のコンテンツに価値を見出したおかげで、同社は最近重要なマイルストーンに到達した。現在はキャッシュフローが黒字になったのだ。昨年は収益を2倍にした。

シムズ氏はこの結果を当然のこととして誇りにしており、「持続性と利益性が高い成長を続け、ビジネスに再投資可能な現金を生み出しているコーディングプラットフォームは、ほとんどありません」と語る。

Codecademyは最初から変わらない追い風を受けている。コーディングスクールに対してはより広く懐疑的な見方が広まっているが、ソフトウェアの設計、実装、修正、そしてセキュリティ実現の能力は、ますます重要になっている。手ごろか価格の関連教育を受けられることは、相変わらず魅力的な提案のままなのだ。

これは同社が消費者に対して提供を続けているものであり、企業の場合は、Codecademy型のコースを従業員に対して提供し始めているのではないかと私たちは推測している。Codecademyはすでにコースのまとめ売りを行っているが、シムズ氏は、2020年に力を入れたいのは、従業員に対して教育特典を提供したいと考える企業とのタイアップだと語っている。

同様に投資家の喜ぶ絵を描くつもりなのかどうかは、明らかではない。シムズ氏に対して、より広意味での資金調達について尋ねたところ、回答は拒否された。

確かに、先週の「ポートフォリオの肥大化」を扱った記事で説明したように、後期ラウンドは成立させることが難しくなってきている。その理由は、近年VCたちがこれまでにない速さで、新しいスタートアップに注ぎ込むための資金を大量に集めているからだ。そして、彼らはそのすべての資本からリターンを得るために、「次の有望株」を見つける必要に迫られている。

これにより、着実に成長している多くの企業が、今のところ自分のことは自分で面倒をみる状況になっている。

その結果がどうなるかは、まだ誰にもわからない。Codecademyの黒字化したキャッシュフローは、その答を出す期限を引き伸ばしてくれるだろう。

トップ画像クレジット:scyther5 / Getty Images

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(翻訳:sako)