Facebookがインド教育スタートアップのUnacademyを支援

インドで最も急速に成長している教育スタートアップの1つであるUnacademyが、Facebook(フェイスブック)から支援を受けた。

この件に詳しい情報筋がTechCrunchに語ったところによると、Facebookは創業4年のUnacademyにおける、シリーズEの資金調達ラウンドに参加したという。

ラウンドはGeneral Atlanticがリードし、情報筋によればその規模は約1億ドル(約110億円)だという。Facebookがどの程度の金額を出資したのかは今のところ不明だが、2000万ドル(約22億円)以下だとの情報がある。Unacademyは以前に9000万ドル(約100億円)を調達しており、今回のラウンドによって評価額は4億ドル(約440億円)を超えるという。

Unacademyは大学入試の準備している学生と、卒業に向けたコースを目指す学生を対象としている。これにより、学生は教師のライブ授業を見たり、後でセッションに参加して、トピックをより詳細にレビューすることができる。

1年前、Unacademyは学生にすべてのライブクラスへのアクセスを提供する、サブスクリプションサービスをローンチした。Unacademyの共同設立者でCEOのGaurav Munjal(ガウラフ・ムンヤル)氏は今月、サブスクリプションサービスが3000万ドル(33億円)のARRビジネスになったとツイートした。

Facebookがインドのスタートアップに投資するのは、これで2回目だ。2019年に同社はProsus Ventures主導のソーシャルコマースことMeeshoによる1億2500万ドル(約140億円)の資金調達ラウンドに参加した。

FacebookとUnacademyは今回の資金調達に関する質問に回答していない。

Facebook IndiaのVP兼マネージングディレクターのAjit Mohan(アジット・モハン)氏は、2019年のTechCrunchとのインタビューで、同社はインド市場のためのソリューションを構築しているスタートアップに門戸を開いていると語った。

「現在のビジネス以外にも機会がれば、さらなる投資を模索する用意がある」と、モハン氏は語っている。

インド紙のMintが2019年12月に報じたところによると、UnacademyはGeneral AtlanticおよびGGV Capitalと、1億ドル(約110億円)の資金調達について交渉中だという。また、2月初めにエデュテックスタートアップのVedantuに投資したGGV Capitalは、Unacademyの資金調達ラウンドに参加していない。

VedantuとUnacademyは、General Atlanticから投資を受け80億ドル(約8800億円)の評価額を持つ、インドのスタートアップのByjuと競合する。Chan Zuckerberg InitiativeはByjuに投資しているが、少なくとも株式の一部を売却していることがEntrackrの報告書で明かされている。

インドのスタートアップエコシステムが成熟し始めるにつれて、同国は大企業を惹きつけ始めた。Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Twitter(ツイッター)もインドのスタートアップに投資している。TwitterはソーシャルプラットフォームのShareChatを支援している一方、GoogleはハイパーローカルコンシェルジュアプリのDunzoに投資している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

AI学習環境「atama+」を学習塾「能力開発センター」の兵庫や北陸など全77教室が導入、空いた時間でコミュ力強化

独自開発のAIとタブレットを利用した効率的な学習環境の提供を目指すatama plusは2月13日、兵庫県を拠点とするティエラコムとの提携を発表した。ティエラコムは、兵庫県下の明石市や加古川市、姫路市ほか、北陸の石川県、富山県、福井県、九州の長崎県、福岡県、熊本県、そのほか岐阜県と山口県で「能力開発センター」をはじめ、さまざな学習塾や経営している企業。今回の提携で、能力開発センターの全77教室のすべてにatama plusのAI学習環境「atama+」が導入される。

atama+を使った学習の様子

atama+は、AIが生徒の得意・苦手・目標・過去の学習内容などに応じて、生徒それぞれに最適な学習教材を自動作成するのが特徴。数学の正弦定理が苦手な生徒の場合、正弦定理の問題を片っ端から問いて身体で覚えるのではなく、平方根や三角形の内角などの基礎的な要素を理解させることに重点を置くのが特徴だ。生徒の苦手分野を特定するためにさまざまな角度からatama+が出題し、その生徒が何を理解していないのかを把握する。そして、その苦手分野を補う5分程度の短い動画教材や例題などを組み合わせたカリキュラムを自動で生成する。

対応教科は、高校生向けが数学、英語、物理、化学、中学生向けが数字と英語。現在大手学習塾の3割程度、約500教室以上への導入が進んでおり、atama+導入後の平均学習時間(習得までの時間)は、数Iで16時間、数Aで15時間。ちなみに、学習指導要綱で規定されている学校での授業時間は2科目合計で146時間だ。

多人数が同時の受ける学校の授業では、生徒それぞれの理解度や習熟度がまちまちでどうしても進捗に時間がかかってしまうが、atama+では自分のウィークポイントをAIが解析し、自分専用の問題が自動生成されるので、苦手な問題を短時間で克服できるのが強みだ。また、教える側の講師にはコーチ向けアプリ「atama+COACH」を用意しており、学習時間、習熟度、進捗状況などを確認しながら生徒一人ひとりにあった学習指導を進められる。AIが塾講師の仕事を奪うわけでなく、講師にもより効率的な働き方を提供するわけだ。

ティラコムでは、2017年の冬季講習からトライアルとしてatama+の体験受講をスタート。2018年のセンター試験の直前にatama+で数学I・Aを20時間学習した高校3年生83名の平均点数が、37.3点から51.7点にアップし、生徒へのアンケートでも9割以上が高評価だったことから本格導入を決めた。

能開個別AIホロンでのatama+の授業風景

2019年には、個別指導「能開個別ホロン」の全教室にatama+を導入し、ブランドを「能開個別AIホロン」に変更。そして2020年3月からは能力開発センターの全教室にatama+を導入する。これに伴い、ティラコムが運営する個別指導と集団指導の学習塾の全77教室のブランドを「能力開発センター」に統合し、「集団コースplus AI」、「個別コースwith AI」の名称で展開する。atama+の全教室導入によって、ティエラコムが経営する学習塾でatama+を利用する中学生、高校生は前年比約4倍に増加するとのこと。

ディスカッション形式の講座風景

さらに両社ではatama+の導入で各教科の習得時間が短縮されることによって生まれる時間に、課題解決能力を養うための講座「新国語」を開設する。新国語では、社会のさまざまな課題を中学生・高校生を交えたグループでディスカッション、多様な考えをまとめてプレゼンテーションする時間を設ける。さらに、その内容を各自に小論文にまとめてもらい、添削指導する体制も整える。

atama plus代表取締役の稲田大輔氏

atama plus代表取締役の稲田大輔氏は以前のTechCrunchの取材で、「日本では、必修科目を習得するための学習時間が海外に比べて非常に長く、自己表現力やコミュニケーション能力、グループで協力して作業するといった『社会でいきる力』の教育・習得に時間が取れていない」と語っていた。今回の能力開発センターにおける新国語の新設は、atama plusが目指す日本の学習環境の改革に一歩近づいたと言えるのではないか。

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インドのInterviewBitがGAFA就職を可能にする高度なコンピューターサイエンスコースをオンライン提供

インド南部、バンガロールのInterviewBitは、一般の大学卒業者や若いプロフェッショナルの技術者に高度なコンピューターサイエンスコースをオンラインで提供している。同社がこのほどシリーズAのラウンドで調達した2000万ドル(約22億円)は、インドにおける教育系スタートアップへの投資としては最大の部類となる。

創業5年のスタートアップのシリーズAをリードしたのは、Sequoia IndiaとTiger GlobalおよびGlobal Founders Capitalらだ。同社はこれを機に、オンラインプログラミングコースの名前を InterviewBit AcademyからScaler Academyに変える。

InterviewBitは9カ月前に、収益モデルを所得分配方式に変えた。これにより学生は、授業料の多くの部分を就職後に払えるようになった。この方式は人間資本契約(human capital contract)と呼ばれており、何十年も前から存在するが、最近また見直されている

現在まで、同社の6カ月のコースを受講した者は2000名を超えている。これまで7回期を開講し、その1つはアメリカでの開講になり20万人を超える応募者があった。そして卒業者のうち数百名が、GoogleやAmazon、Microsoftなどのテクノロジー企業に就職した。

Scaler Academyに入学した学生にはメンターが付き、先輩技術者や現在、実際にGoogleやFacebook、Twitter、Netflixなどで仕事をしている各分野のエキスパートが教える。協力企業は600社以上ある。

同社は今もSequoia Indiaのアクセラレーター事業、Surgeに参加しており、今回の資金は入学者数の増員と新市場の開拓に充てられる。同社のカリキュラムやライブの授業のノウハウをプロダクトにする計画もある。

このラウンドはインドの新聞であるTimes of Indiaが2019年初めて報道し、その際のInterviewBitの評価額は1億ドル(約110億円)以上だ、と書いていた。

InterviewBitの共同創業者Abhimanyu Saxena(アブヒマニュ・サクセナ)氏は、「Scaler Academyは短期間で学生たちの能力を大幅に向上させた。彼らはオンラインとライブの授業を1日に4〜5時間受けている。実際に我々の仕事は、学生たちのキャリアアップに大きく貢献している。そのことが、特に喜ばしい。コースの名前をScaler Academyと変えたのも、プログラミングのより上のスキルを目指すという意味合いからだ」と語る。

最近発表された報告書、National Employability Report Engineers 2019(エンジニアの雇用状況)によると、インドの技術者の被雇用率は各年20%と横ばいで低迷している。「そのことを念頭に置いたScaler Academyの細部まで配慮が行き届いた6カ月のオンラインコースは、最新技術に触れることを中心とする今日的なカリキュラムによって、プロフェッショナルたちのコーディングスキルの強化、向上を目指している」と同社はいっている。

画像クレジット: Sattish Bate/Hindustan Times/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

500万ユーザー間近の学習管理SNS「スタディプラス」が7億円調達、大学からの広告収益が拡大

学習管理SNS「Studyplus」など教育領域で複数の事業を展開するスタディプラスは1月20日、RFIアドバイザーズが運営するファンドをはじめとする複数の投資家より総額約7億円を調達したことを明らかにした。

今回は同社にとって2018年5月に発表した資金調達に続く、シリーズCラウンドという位置付け。旺文社ベンチャーズや増進会ホールディングス(Z会)、新興出版社啓林館など教育系の事業会社も数社加わっていて、一部の投資家とは事業面でも連携しながらさらなる成長を目指していく計画だ。

主な投資家は以下の通り。VCや事業会社のほか、個人投資家も含まれるという。

  • RFIアドバイザーズ
  • 博報堂​DY​ベンチャーズ
  • 西武しんきんキャピタル
  • みずほキャピタル
  • 旺文社ベンチャーズ
  • 横浜キャピタル
  • 池田泉州キャピタル
  • ユナイテッド
  • 増進会ホールディングス
  • NSGホールディングス
  • 新興出版社啓林館

主力のStudyplusは大学からの広告収益が拡大

スタディプラスは2010年設立のEdTechスタートアップ。2012年3月スタートのStudyplusに加えて、SaaS型の教育事業者向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」や電子参考書のサブスクアプリ「ポルト」を運営している。

中でも主力事業のStudyplusはビジネスサイドも含めて大きく成長しているようだ。現在の会員数は495万人を突破。特に大学進学希望の高校3年生の3人に1人が利用しているなど、受験を考えている高校生のシェアが高いのが特徴だ。

機能面でも日々の勉強時間を記録できる機能を軸として目標管理や先輩の体験記、参考書レビュー、コミュニティなど大学受験を控えるユーザーをサポートする仕組みがいくつも取り入れられている。

ユーザーには無料でこれらのサービスを提供し、広告で収益をあげるモデル。スタディプラス代表取締役の廣瀬高志氏や取締役CFOの中島花絵氏によると、高校生が日常的に使っているアプリという特性もあって「大学からの広告売り上げがかなり拡大している」という。

「少子化により定員割れしている大学も出てきている中で、受験生に効果的にアプローチしたいと考えた際に選んでもらえる機会が増えてきた。従来は交通広告や紙の新聞、高校で配られる進学情報誌などが一般的だったが、(大学としては)効果測定がきちんとできて、なおかつ受験生にダイレクトにプロモーションをしたいというニーズが強くなっている」(廣瀬氏)

「『大学広告のデジタルシフト』が1つのキーワード。一方で高校生側もたくさんの情報が溢れる社会の中で、自分にとって適切な情報を取得できているかというと必ずしもそうではない。本格的な受験勉強を始めて、偏差値がわかってから行きたい大学を決める高校生も多いのが現状だが、本来は順番が逆のはず。Studyplusは受験勉強よりも前の段階から使っているサービスなので、その特性も活かすことで進路選びにおける矛盾や課題も解決できると考えている」(中島氏)

2018年のシリーズBで調達した資金も活用しながら直販の営業部隊を構築することで、大学との直接取引が増加。それによって「(大学側が)本当に抱えている課題がわかり、本当に求められている商品設計もできるようになってきたのが大きな変化」(中島氏)だという。

教育事業者向けSaaSや参考書サブスクもさらに強化へ

教育事業者向けSaaSのStudyplus for Schoolも主に中学生、高校生を対象とする全国の学習塾・予備校約500校以上に導入が進むなど拡大中だ。

同サービスはStudyplusと連携して先生が生徒の学習進捗を管理できるほか、アドバイスや励ましなどオンライン上で手軽にコミュニケーションできるのが特徴。塾業界が徐々に集団指導型から「自立学習型」へとシフトし、ICTなどを使いながら先生がコーチングをするスタイルが浸透していく中で、現場で求められるサービスを目指しているという。

全ての生徒が放っておいても勉強するわけではないので、個々の進捗を把握しながらサポートできる学習管理サービスのニーズは高い。「Studyplusをかなりの生徒が使ってくれていることがSaaSにおいても優位性になり、現時点ではほぼ独占的に事業を展開できている」(廣瀬氏)状況だ。

また昨年9月から新規事業として始めたポルトも対応教材が43冊に増加(リリース時は30冊)。今夏には100冊まで拡大することを視野に入れている。まだ立ち上がったばかりのサービスではあるものの「1日3時間ポルトを使って勉強している」というユーザーが出てくるなど、少しずつ成果も見えてきた。

廣瀬氏によると、ユーザーに「ポルトで気になった参考書を紙で買いたいか」をアンケートで聞いたところ約3分の2が買いたいと答えたそう。参考書を何冊もカバンに入れて持ち運ぶのは大変なので、場所に応じてポルトと紙を使い分けるユーザーもすでに一定数存在するようだ。

今回の資金調達はこれらの事業を投資家とも協業しながらさらに成長させるためのもの。昨年2月にStudyplus for Schoolを軸とした業務提携を締結済みのZ会や、ポルトに参画している旺文社や啓林館とは共同での取り組みを加速させていく計画だという。

「2010年に創業してから今年で10周年になるが、ここにきて国もかなりEdTechに力を入れ始めていて、今後PCやタブレットの配布など学校の中でのICT活用も急速に進む。古参なEdTech企業としてはようやく長年地味にコツコツやってきたことが花ひらくタイミング。これまで通り3つの事業を通じて教育領域の根本的な課題を解決しつつ、プラットフォームビジネスをより強固なものにしていきたい」(廣瀬氏)

Twitterの共同創業者が家庭教師プラットフォームのScoodleを支援

英国を拠点とするスタートアップであるScoodleが76万ドル(約8300万円)のプレシード調達を発表した。同社自身の言葉に従うなら、スタートアップの目的はチューター(個人指導者、家庭教師)がインフルエンサーになる手助けをすることだ。

このラウンドを支えているのは、Twitterの共同創業者のビズ・ストーン(Biz Stone)氏であり、同時にTiny VC、IFG Ventures、そのほか多くの無名のエンジェルも参加している。Scoodleは、オックスフォード大学のアクセラレーターであるOxford Foundryに参加した、最初のEdTech(エドテック)企業でもある。

2018年後半に開始されたScoodleは、Quora(QAサイト)と個人指導を合わせたようなものと考えることができる。このプラットフォームは学生に質問を促し、それらの質問にチューターが答えることで、チューターたちは評判と影響力を増すことができる。結果的により多くの個人指導の仕事の獲得につながることになるのだ。

チューターたちはまた、包括的なプロフィールを作成し、専門知識を示すためのさらなる手段として、学習リソースを公開することができる。そして、一番大事なことだが、チューターとしての予約を得るのだ。

最近までGoogleで働いていた共同創業者兼CEOのIsmail Jeilani(イズメイル・ジェラニ)氏によれば、このアイデアは、大学の学費のために貯金し、学生ローンを借りることを避けるために行っていた、自分自身のチューターとしての経験から生まれたのだと言う。

「親たちは何を探すべきかがわからないので、いいチューターを見つけるのは難しいのです」と彼は言う。「私たちはこの課題を、コンテンツ駆動型のアプローチで解決します。私たちのチューターは、そのプロフィール上で学習リソースなどのコンテンツを共有します。親たちは、レッスンを予約する前にそれらを見ることができます。このアプローチによってチューターたちは、独自のブランドを作り始めることができるのです。まるで『教育者のためのLinkedIn』のようですね」。

Scoodleは、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、インペリアルカレッジロンドンなど、英国の最高の教育機関から、何千人ものチューターを受け入れていると言う。

おそらく最も注目に値するのは、Scoodleがチューター予約のためのコンテンツ主導のマーケットプレイスのように運営されているものの、現在のところ個別の予約に対しては料金を請求していない点だ。

モバイルとウェブで10万人のユーザーを抱えるまでに成長したスタートアップは、その代わりにサブスクリプションモデルを提供している。チューターたちは月に10ポンド(約1400円)を支払えば優先的なリストに掲載される。同社によれば、このことでチューターたちへの問い合わせが最大30倍になるのだと言う。

同様に、学生向けにも無料でチューターコンテンツを予約、メッセージ送信、アクセスができる、サブスクリプションオプションがあるが、より高いレベルのScoodle Proメンバーシップを申し込むと、オンデマンドでチューターたちに直接質問することができる。

「学生がGoogle検索によってScoodleを発見することは普通に行われています」とジェラニ氏は付け加える。「ある回答を見るときに、学生たちはまたそのチューターからの別の答を見ることになります。同時にチューターがこれまで何人の学生に答えてきたかを知ることもできます。これが信頼を築く役に立ちます」。

英国では、チューター業界にはTutorful、Tutorhunt、myTutorなどの企業がいるものの、全体としては断片化されたままだ。ジェラニ氏は、Scoodleの持つ主要な差別化要因は、コンテンツによって主導されるチューターのブランディングに焦点を合わせているところだと主張する。

「ユニークなコンテンツを揃えることで、長期的な競争力とともに、異なるユーザー獲得チャネルが提供されるのです」と彼は言う。「このチューターに焦点を当てたアプローチこそが、私たちが初の手数料0%モデルを提供している理由なのです。これによって、チューターの皆さんは、他のどこよりも長くプラットフォームに留まってくれることでしょう」。

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(翻訳:sako)

ピッツバーグ大と提携し学生向けのオンライン授業サービスを展開するOutlierが約13億円調達

学生が単位を取得するためにオンラインで授業を受けられるサービスを展開しているスタートアップであるOutlier.orgが、シリーズAラウンドで1170万ドル(約13億円)を調達したと発表した。

本ラウンドはGSV Venturesがリードし、Harrison Metal、Tectonic Capital、Jackson Square Venturesが参加した。その前に実施したHarrison Metalリードによる未公開のシードラウンドと合わせると、Outlierは計1600万ドル(約18億円)を調達したことになる。

今回の資金調達の一環として、 GSVのJulia Stiglitz(ジュリア・スティグリッツ)氏がOutlierの役員メンバーに加わる。創業者でCEOのAaron Rasmussen(アーロン・ラスムセン)氏は以前、MasterClassの共同創業者兼クリエティブディレクターとしてオンライン学習人気アップに貢献した。Outlierのサービスを2019年に立ち上げたとき、ラスムセン氏はリーズナブルプライスの選択肢を提供して増大する高度教育費用の問題を解決するのが目標だと語っていた。

その選択肢とは微積分学 Ⅰと心理学入門から始まる初歩的なカレッジの授業という形式をとっている。これらの授業はイェール大学やMIT、コロンビア大学、コーネル大学といった教育機関の教授や講師が教えている。授業はオンライン閲覧専用に撮影され、ここには出題やマンツーマンの個人指導も含まれている。

Outlierの授業は1つあたりたったの400ドル(約4万4000円)で、ここには教科書など全コストが含まれる。宿泊施設付きの大学で受けるよりもずっと安い。そしてパスすれば、ピッツバーグ大学からトランスファー可能な単位を取得できる。

Outlierは秋の学期で初の授業を行い、その授業に参加した生徒たちは「グレードC以上を取り、比較できる同様のコースを従来スタイルの授業で受けている生徒たちと変わらなかった」とのことだ。同社はまた、ピッツバーグ大学との提携を2020年の春と夏の学期まで継続することを明らかにした。

「我々のミッションは、質の高い教育へのアクセスを増やし、学生の借金を減らすことだ」とラスムセン氏は声明文で述べた。「今回調達した資金と2019年秋に開いた2つの試験的コースで得た知見をもとに、今後より多くの入門レベルのコースを展開する。そして、これまで以上に多くの学生、そして最高の教育をリーズナブルなコストで提供する専門家を受け入れていく」。

画像クレジット: Outlier

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(翻訳:Mizoguchi

動くインタラクティブな電子書籍は、子どもの学習に役立つかもしれない

最近の研究によると、子どもが本の内容を覚えやすいという観点から、電子書籍は通常の書籍に比べていくつか利点があるという。特に言葉のやり取りに重点を置いたアニメーションは、ストーリーの理解、記憶を助けるが、それは正しく行わなければならないものでもある。

カーネギーメロン大学の心理学者、Erik Thiessen(エリック・ティーセン)氏は普通の本、もしくは各ページにアニメーションを盛り込んだ本を読んだ、3歳から5歳の子ども30人の記憶力について研究した。

実験後、それぞれに内容を覚えているかという質問したところ、アニメーションがある本を読んだ子どもたちは、15〜20%も多く内容を覚えていた。最も効果的だったのは、子供がそれについて何かを言ったり尋ねると、反応があったケースだった(ただし自動的にではなく、大人が読みきさせる必要があった)。

「学習過程により深く関わることで、子どもは最もよく学ぶ」と、ティーセン氏はCMUのニュース記事で説明している。「多くのデジタル・インターフェースは、子どもたちの学習にはあまり適していないが、それが改善されれば、子どもたちはよりよく学ぶことができる」

これは、子ども向けの本はすべてアニメーション化されるべきだ、という意味ではない。伝統的な本にはそれぞれ独自の利点があり、絵本を読む時期を卒業すると、これらのデジタル革新はあまり役に立たない。

むしろ重要なのは、電子書籍は有用なものであり、子供向けの図書館に並べられることは、無意味ではないと示すことだ。しかし同時に、学習効果の向上を目標にしてデジタル機能を導入、調整することが重要であり、どのようにして行うのが最適かを、正確に判断するために調査を行う必要がある。

なお、ティーセン氏の研究は、Developmental Psychology誌に掲載された。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

開発者と企業を繋ぐHackerRankがコンピューターサイエンス学習ツールのMimirを買収

企業の人事に代わって求職しているデベロッパーのプログラミング能力を面接試験したり、面接の練習ができる人気サービスHackerRank(ハッカーランク)が米国時間12月17日、コンピューターサイエンス学習のコースツールを提供しているMimir(ミーミル)の買収を発表した。これはHackerRankにとって初めての買収となるが、現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校やパデュー大学、オレゴン州立大学、ミシガン州立大学などの大学、そしてGoogleのような企業がMimirを利用している。

HackerRankによると、Mimirのクラスルームプロダクトは当面サポートを継続する。2020年の第二四半期には、両社を組み合わせた最初のプロダクトがリリースがされる予定だ。

HackerRankの共同創業者でCEOのVivek Ravisankar(ヴィベック・ラビサンカル)氏は、「HackerRankは教授や学生や顧客と密接に協力して、学生デベロッパーによるスキルの習得と改良、評価を助け、コース学習からキャリア形成の過程まで支援している。今回の買収によって、学生たちは正規の大学教育と実際的なスキル評価の両方を取得できることで、成功のための強力なキャリアを築くことができるだろう」と述べている。

両社とも買収の財務的詳細を明かさないが、インディアナ州に本拠を置くMimirはこれまで総額250万ドル(約2億7000万円)を調達し、買収時には3名の役員を含めて8人の社員がいた。

両社が強調するのは、どちらもさまざまなバックグラウンドを持つデベロッパーが、学歴の有無などを問わず平等に職を競えるプラットホームであることだ。HackerRankの主張では、同社の既存サービスとMimirのクラスルームツールを組み合わせれば、コンピューターサイエンスのクラスルームと、市場で最も総合的なデベロッパー評価プラットホームの両方を提供できるため、学生たちは現実的なプログラミングに向けて順部することが可能で、大学側は学生の進歩をより正確に評価できるようになる。これにより、HackerRankは明らかに従来の学術世界へのリーチを伸ばし、また求人顧客企業のためのタレントプールも拡大できる。特にラビサンカル氏が念を押すのは、両社の合併によって学生たちがアカデミックな学習と市場での学習の両方を組み合わせられることだ。氏は「これで学生たちは、未来の職場が求めるスキルを確実に身にみつけられる」と述べている。

Mimirは必ずしも、大規模なオンラインコースのためのツールではなく、むしろ教師と学生によるプログラミングのプロジェクトと宿題の管理を助けることを主眼としている。そのため完全にオンライン化されているIDE(統合開発環境)があるし、Jupyter Notebookをサポートしている。また、小テストや宿題を作る伝統的な教師用ツールもある。内蔵のIDEはPython、Java、Cなど40の言語をサポート し、また盗用を見つけるツールもある。

現在、Mimirのコース学習を使っているユーザーは15000人から20000人だが、HackerRankの登録デベロッパー数700万人に比べると相当少ない。ただしHackerRankの方は、非アクティブなユーザーも多いだろう。それに対してMimirのユーザーは、遅かれ早かれ雇用市場に現れてくる。

Mimirの共同創業者でCEOのPrahasith Veluvolu(プラハシット・ヴェルヴォル)氏は「Mimirはコンピューターサイエンス教育の秘密兵器と呼ばれており、デベロッパー教育に大きな違いをもたらしていく。HackerRankとの協業は、我々のミッションにおける自然な進化だ。顧客がプログラムをスケールできるようになると同時に、学生たちは他に類のないクラスルーム体験により、未来のキャリアに向けての準備ができる」と述べている。

関連記事: HackerRank raises $30M to match developers with jobs…HackerRankはデベロッパーと職をマッチさせる(未訳)

関連記事: HackerRank Launches A New Social Platform For Coders Based Around Puzzles And Real-World Problems…HackerRankがプログラマーのためのソーシャルプラットホームを立ち上げ(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

駅前留学のNOVAが記憶定着アプリ「Monoxer」を導入

モノグサは12月27日、同社が開発・提供している記憶定着に特化した学習アプリ「Monoxer」が、英会話教室などを運営するNOVAの全校舎で導入されることを発表した。2020年1月にビジネスコース、TOEICコースで、2020年4月より日常英会話のコースにて導入される予定だ。

同社は2016年8月設立のスタートアップ。Monoxerは「記憶のクセ」をAIが解析し、利用者ごとに最適化された問題を作成してくれるアプリだ。AIが作成したこれらの問題を解くことによって、効率的な知識定着を実現できるという。対象年齢は小学生から大人まで、対象学科は英語や国語、理科、社会など科目・分野は問わない。また、日本語はもちろん、20カ国語以上の言語に対応している。

NOVAは、Monoxerを使うことでリスニングを含む各種レッスンに完全準拠した内容をスキマ時間で学習できる点に注目し、今回の導入を決めたとのこと。同アプリを通じて生徒の学習進捗や傾向などのデータを基にしたサービス全体の価値向上にもつなげていくという。

記憶定着アプリ「Monoxer」がスピーキング対策機能を搭載

モノグサは12月23日、記憶定着アプリ「Monoxer」にスピーキング力を強化するための新機能を搭載した。既存機能と組み合わせることで、英語4技能を1つにまとめて効率的に学習できる。

Monoxerは、「記憶のクセ」をAIが解析し、利用者ごとに最適化された問題を作成してくれるアプリ。AIが作成したこれらの問題を解くことによって、効率的な知識定着を実現できるという。対象年齢は小学生から大人まで、対象学科は英語や国語、理科、社会など科目・分野は問わない。また、日本語はもちろん、20カ国語以上の言語に対応しているのも特徴だ。

同アプリには、選択問題や自由入力、ディクテーションなどの機能が備わっており、リーディング、ライティング、リスニングの英語学習に重要な4技能中の3技能を強化することができたが、今回新たにスピーキング機能を搭載したことで、利用者に最適化された問題を解きながら全技能を学習できるようになる。

同社は2016年8月月設立の教育系スタートアップ。代表取締役CEOの竹内孝太朗氏とは、リクルートマーケティングパートナーズでオンライン学習サービス「スタディサプリ」に携わっていた人物。2018年12月には、UB Ventures、iSGS インベストメントワークス、ツネイシキャピタルパートナーズから総額約1億円を調達している。

関連記事:AIが学習者の“記憶度”に合わせて最適な問題を自動生成するモノグサが1億円を調達

卒業まで無料で通えるプログラミング学校が恵比寿に開校へ、転職後に給与の一部を支払うISAsモデルを採用

「週50時間、6ヶ月に及ぶ本格的な学習プログラム」「問題解決アプローチを重視し、チーム開発を中心に設計されたカリキュラム」「望む転職に成功しなかった場合、受講費用は発生しない」——。そんな特徴を持ったプログラミングスクールが2020年1月、恵比寿ガーデンプレイス内にてスタートする。

同スクールを手がけるのは2019年7月創業のスタートアップLABOT。同社では1月の開校に向けて11月29日より1期生の事前募集を開始した。カリキュラムの内容もさることながら、既存のプログラミングスクールと大きく異なるのは契約モデルとその背景にある思想だ。

冒頭でも少し触れた通り、LABOTが開校するスクールでは開始から卒業まで受講料金が発生しない。要は基本的に無料で通い続けることができる(厳密には副教材の一般書籍などは任意だが購入する場合は自己負担)。その代わり予め定めた条件を満たすような転職に成功した場合、就職後に一定期間に渡って給与の一部から“後払い”のような形で支払う仕組みだ。

今回LABOTでは昨今米国で広がり始めているISAs (Income Share Agreements)モデルを採用し、アレンジして組み込んでいる。ISAsとは米国で生まれたスクールと学生の新しい契約モデルで、受講開始から卒業までの期間は受講費用が発生しない代わりに、一定の条件をみたした場合に卒業後の収入から一 定割合をスクールに支払うという内容の所得分配契約のことだ。

米国では学生が多額の学費ローンを抱えることが1つの社会問題となっていて、ISAsはそれに変わる新しいモデルとして注目を集める。LABOTによると職業訓練から大学まで様々なスクールが採用し始めているほか、関連するファンドや事業者も増えつつある状況。2019年7月には連邦法を定める合衆国上院にISAs法案が提出され、議論が開始されているという。

LABOTが提供する日本版ISAsのイメージ

LABOTの日本版ISAsは卒業生がIT人材として年収を上げて就業できることが前提。現在の年収水準が概ね420万円以下の非IT職種・プログラミング未経験者を対象に、6ヶ月のカリキュラムを提供する。入学金や学費は一切なく、卒業後に希望する職種への就労が実現すれば、目安として24〜36ヶ月に渡って月給の13〜17%を支払うイメージだ。

学習中に挫折してしまった場合や望んだ転職に成功しない場合、LABOTのISAsの規定に定める年収ライン(年320万円)を下回る期間については、支払いの義務は発生しない。また病気や怪我、介護、育児等の何らかの事情で給与を得られない時は、その期間のISAsにおける支払いは停止する。

LABOTの日本版ISAsに関するポリシー。支払い額には予め上限が設定されているため、高い年収での転職が決まった場合も一定ラインに達すればそれ以上の支払いは不要だ

ISAsの特性上、学生の長期的なキャリアの成功がスクールの成功になるため、双方の利害が一致するのがポイント。これまでIT業種へのキャリアがありつつも金銭的なハードルや不安からプログラミングスクールに通うことができなかった人や、強い意思がある人に対して実践的かつ長期的なカリキュラムを提供することで「未知の課題を解決できる」人材を輩出することを目指すという。

当然ながら一定数の成功者がでなければ事業を継続できないため、事前にエントリーシートや面談を通じて受講者を選抜した上で1200時間相当(目安は週50時間、6ヶ月間の訓練)みっちり学習する機会を設ける。

デザインカリキュラムも約120時間分ほど用意しているほか、プロジェクトマネジメントやデジタルマーケティングなどを学ベる時間も確保。知識に加えて問題解決のための思考を養うべく、カリキュラム後半の60%はチーム開発に当て、実際にプロダクトをリリースすることが目標だ。

「プログラミングとはPCの前だけでやるものではなく、色々な場面でプログラミング的な思考が必要とされるので、単にコーディングだけ学んでいれば良い訳ではない。自分たちのカリキュラムは50%以上がチーム開発のプロジェクトの時間になっていて、ホワイトボードの前でディスカッションするなど、黙って座っている時間が1番短いスクールになる」(LABOT代表取締役の鶴田浩之氏)

定期的に1on1の面談を行い学習のサポートをするほか、カリキュラムの後半では事業会社を模した評価を行い、学生同士のピアレビューも実施。いわゆる先生的な役割の人は存在しないが、現役のエンジニアがメンターとして参画し、実務に近い環境でコードレビューやアドバイスを受けることができるという。

家庭環境や学歴、年収に関わらず新しい挑戦ができる仕組み作りへ

LABOTの代表を務める鶴田氏は過去に「すごい時間割」や「ブクマ!」などを生み出してきたLabitの創業者だ。2017年には開発チームとともにメルカリに参画し、子会社ソウゾウの執行役員として教育領域のCtoCサービス「teacha」の立ち上げにも携わった。

「もちろんプログラミングスクールをやりたかったという思いもあるが、根本的には日本で教育領域におけるISAsモデルの可能性の検証をすることが目的。教育は『自己投資』と表現されることもあるように投資であり、投資であるならROIで考えることもできるのではないかという仮説を持っている」

「たとえば職業に直結する人の学習や学び直しであれば、その人が将来的に活躍することが見込めれば自己投資だけではなく他者から投資を受けるという仕組みもありえるのではないか。実際にアメリカでは学生ローンや奨学金に変わる新しいモデルとしてISAsモデルが注目を集めていることもあり、日本でも今後広がる余地があるのではないかと考えた」(鶴田氏)

ISAsに関するカオスマップ。すでに海外ではこの仕組みを取り入れた機関や、それをサポートする会社がいくつも登場している

鶴田氏自身がもともと人に何かを教えることが好きなことに加え、長年身を置いているITスタートアップ業界において「ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家が増えるなどエコシステムが発展する一方で、現場で実際にものを作るエンジニアはまだまだ少ない」ということもあり、プログラミング学習領域で事業を立ち上げることには以前から関心があったという。

良い仕組みが作れないかを考えていた際に最初に思いついたのが「無料で提供して、受講者が成功した場合に後から受講料をもらう仕組み」。海外の事例なども調べるとまさに数年前からISAsが広がり始めていたことを知り、このモデルを取り入れてLABOT流のプログラミングスクールを設計した。

ISAsであれば学歴や年齢、現在の収入などに関わらず誰でもチャレンジの機会を得られる可能性があるのが特徴。また途中で挫折してしまった場合には受講費用が発生しないため、ある意味“通常のスクールよりも辞めやすい”構造で、本当にやりたい人だけが最後まで残る。

「もちろん事前の審査に加えて学生をケアする仕組みは取り入れるが、ある程度長期間に渡って取り組む中で『あ、自分は向いてないな』と納得して挫折するのであれば、それでもいいと考えている。既存の仕組みでは向いてるかわからないままモヤモヤしながら結果的に挫折してしまったり、就職したものの職種とのミスマッチなどで短期間に離職してしまう人も一定数存在する」(鶴田氏)

ISAsモデルの場合、仮に学生が就職に成功しても短期間で離職してしまうような形では意味がない。卒業生が望んだ職種で、なおかつIT人材として待遇をあげて働けるようなサポートが必要だ。

「そのためには学生とフェアな立場で紳士的に向き合うことが不可欠。単にISAsにすれば良いという話ではなく、カリキュラムの思想とも密接に関わる。LABOTでは学校のミッションを『未知の課題に対して取り組み、自走できる人を輩出すること』と設定し、変化が激しい時代の中で1人の技術者として自分で考えて自走できる人材を育てていきたい」(鶴田氏)

第一弾は恵比寿ガーデンプレイス内に開校。平日7時〜24時までスクールを開放し、いつでも利用可能。カリキュラム前半には厳しい出欠管理がある。16歳以上でIT業種への転職・就労の意思がある人が対象だ

つい先日には寄付モデルを取り入れた学費無料のエンジニア養成機関「42」の東京校をDMM.comが一般社団法人として立ち上げ、2020年4月から開校予定であることを発表したばかり。LABOTの場合は42とは異なるアプローチにはなるが、業界の発展に向けて新しい形態のプログラミングスクールの確立を目指していく。

鶴田氏の話では1期生は10人前後を予定しているそう。まずは小さく始めるが、きちんと成立する形が作れれば仕組み化しながら拡大していく計画。ゆくゆくはプログラミングスクールに限らず、他の分野においてもISAsモデルを展開していくことも視野に入れているようだ。

「家庭環境や学歴、年収に関係なくどんな人であっても新しい可能性にチャレンジできる機会を作っていきたい。これまでの日本社会では『どの大学に進学したか』『新卒でどの会社に就職したか』がその後の選択によって多少なりともその後の選択が制限され、23歳以降で思いきった意思決定をするのが難しかった側面もある」

「ただ周りを見ていても強い意思を持って、変われた人はたくさんいる。そういった人たちを後押しする仕組みを広げたい。自分としては単に『ISAsの学校をやります』ではなく、ゆくゆくは国の制度の1つとしても普及するようなモデルを作っていきたいと思っている」(鶴田氏)

atama plusがZ会と業務提携、タブレット型AI教材の学習塾への導入進む

AIによる中高生の学習効率化を目指すatama plusは11月12日、Z会グループ(増進会ホールディングス)と業務提携し、Z会グループの学習塾運営会社である栄光の「栄光の個別ビザ」に、atama plusのAI教材「atama+」を導入することを発表した。

栄光は全国に738教室を持ち、約6万名の生徒が通う大手学習塾。栄光の個別ビザビはその中でも、マンツーマンで授業を受けられる個別指導を専門とする塾だ。この栄光の個別ビザビに、atama+の活用を前提とした教室を新規開校するほか、既存133教室にもatama+が導入される。

Z会グループはこれまでも、グループ傘下のZ会エデュース運営の「Z会東大個別指導教室プレアデス」にatama+をいち早く実証・導入するなど、atama plusの創業当初より関係が深く、実際にatama+の導入によって生徒の成績向上や満足度が向上したことから、今回の大規模導入につながったそうだ。

atama+のAI教材は、高校生向けの数学、英語、物理、化学、中学生向けの数学、英語に対応しており、これまでで大手塾の2割強、500教室以上で導入実績がある。具体的な効率化データとしては、数Iは16時間、数Aは15時間で習得できるとのこと。ちなみに学習指導要綱で規定されている学校の授業時間は計146時間だ。

atama+は、AIが生徒の得意・苦手・目標・過去の学習内容などに応じて、生徒それぞれに最適な学習教材を自動作成するのが特徴。数学の正弦定理が苦手な生徒の場合、正弦定理の問題を片っ端から問いて身体で覚えるのではなく、平方根や三角形の内角などの基礎的な要素を理解させることに重点を置くのが特徴だ。生徒の苦手分野を特定するためにさまざまな角度からatama+が出題し、その生徒が何を理解していないのかを把握する。そして、その苦手分野を補う5分程度の短い動画教材や例題などを組み合わせたカリキュラムを自動で生成する。

atama plus代表取締役の稲田大輔氏は、ベネッセ・ブラジルの執行役員や海外EdTech投資責任者などを歴任後に同社を創業した人物。TechCrunchの以前の取材で、「日本では、必修科目を習得するための学習時間が海外に比べて非常に長く、自己表現力やコミュニケーション能力、グループで協力して作業するといった『社会でいきる力』の教育・習得に時間が取れていない」と語っていた。また「英語を含む基礎学力は非常に大事で、日本の生徒が受験に向けて勉強をすることは間違いない」という日本の状況を理解したうえで「必須科目を効率的に最短で習得できる方法を開発して学習時間を減らす」ことを目指し、atama+の開発に取り組んでいる。

関連記事:AIによって習熟期間を超短縮、日本の受験環境を一変させるatama plusの想いと狙い

なお同社は9月に駿河台学園とも業務提携しており、2020年4月より駿河台学園が運営する学習塾にatama+を導入することが決まっている。

関連記事:atama plusが駿河台学園と業務提携、タブレット型AI教材を全国展開

出版社の教材を便利な「デジタル問題集」に進化させるLibryが3億円調達、全国数百の中高で活用進む

中高生向けのデジタル問題集「Libry(リブリー)」を開発するLibryは8月29日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、みらい創造機構を含む複数の投資家を引受先とした第三者割当増資などにより総額約3億円を調達したことを明らかにした。

同社は今年3月に社名(forEst)とプロダクト名(ATLS)を共にLibryへと変更。資金調達は昨年forEst社の時代に数億円を調達して以来約1年半振りとなる。

Libryでは調達した資金を用いて人材採用を進めるほか、提携出版社およびサービス導入校の拡大、プロダクトのアップデートに向けた取り組みを強化する計画だ。

既存の問題集をデジタル化し、便利な形に進化させて提供

Libryは出版社が発行している既存の問題集や教科書、参考書などを電子化した上で、紙の教材にはないスマートな機能をいくつか搭載したデジタル問題集だ。別の表現をすれば「普段から使い慣れた教材を、より効果的な学習がしやすい形にアップデートするサービス」と言えるかもしれない。

ポイントは従来のやり方を大きく変えることなく使えること。Libryのコンテンツは出版社の教材のみで、普段学校で使っている教科書や問題集がほとんど。タブレットやスマホ端末で教材を開きながら、普段通り「紙のノートとペン」を使って問題を解いていくのが基本的な使い方だ。

それだけだと単なる電子書籍にすぎないけれど、Libryの場合はそこにデジタル問題集ならではの便利な機能が付いてくる。

わかりやすいのが学習の履歴がたまり自分だけのデータベースができる「学習履歴機能」。問題集のページにはストップウォッチが搭載されていて、それを使えば「自分がいつ、どの問題をどれくらいの時間で解いたのか」が自動で記録される。

  1. s1_問題集一覧画面 (1)

    問題集一覧
  2. s2_問題集紙面画面

    問題集紙面
  3. s3_問題回答画面

    問題解答
  4. s4_解答結果画面

    解答結果
  5. s5_学習履歴

    学習履歴

問題を解いたノートを撮影して学習履歴に紐付ける仕組みがあるので、具体的にどのようなアプローチで取り組んだのかまでしっかりと蓄積していくことが可能。自分の得意不得意や解き方の傾向、間違いっぱなしになっている問題などをいつでも確認しやすいのが特徴だ。

その履歴を基に以前学習した問題を忘れそうなタイミングでレコメンドする「復習支援」機能や、苦手そうな問題をレコメンドする「挑戦問題」機能を実装。分野・単元・使われている知識を軸に教材横断で類似の問題を検索できる仕組みなども取り入れている。

従来のタブレット版に加えて、3月にはスマホ版もリリース

現在Libryでは6社の出版社と提携し数学、英語、物理、化学、生物の5科目に対応。取り扱い書籍数は120冊を超える。

今のところ学校現場を通じてサービスを提供している例がほとんどで、トライアルでの利用も合わせると全国で数百の中学校・高等学校で活用されているという。一部の書籍のみが対象にはなるが、公式のオンラインストアで販売されているものについては誰でも購入・利用することができる。

「(生徒ユーザーからは)そもそも重たい紙の問題集を常にカバンに入れて通学する必要がなくなった、カバンが軽くなったという声が多い。その上で慣れ親しんだ教材や勉強方法を変えることなく、便利な機能が追加され効率よく学習できるようになったという点が好評だ。学校側・先生側にとってもこれまでの指導方法を大きく変えずに導入できる点は評判が良い」(Libry代表取締役CEOの後藤匠氏)

デジタル問題集のデファクトスタンダード目指す

Libry代表取締役CEOの後藤匠氏

近年は学校教育におけるICT活用というテーマが社会的にも話題になることが増えてきた。6月には教育情報化推進法も成立し、今後さらに教育現場でのICT環境整備やデジタル教科書などの活用が本格化していくはずだ。

後藤氏も「実際に学校現場に出向いていてもここ1年半ほどで空気感が変わり、確実にICT活用に前のめりになった人が増えている」と話す。

当初Libryはタブレット端末用のプロダクトとしてスタートしたこともあり、導入に至るのは生徒にタブレットを支給している私立校がほとんどだった。ただ今年3月のスマホ版リリースを機に公立校への導入が加速。実際に公立校の現場で、生徒各自のスマホを用いながらLibryが活用される事例も出てきている。

特に地方の公立校などでは、ICTを積極的に取り入れたい気持ちは強い一方で予算の関係上踏み切れないケースも多いそう。その点Libryは実際に教材が購入された際のレベニューシェアのみを収益源としているため(教材の販売代金を出版社とLibryでシェアするモデル)、学校側は無料で導入できるのもポイントだ。

後藤氏によるとLibryは生徒の学習を支援するだけでなく「先生側の働き方改革をサポートする役割」としても効果が出始めているそう。Libryには生徒側のメインサービスとは別に先生用の宿題管理ツールがあり、これを通じて膨大な時間がかかっていた宿題業務に効率よく対応することができるという。

「従来は『宿題を出して、回収して、分析する』という工程を全て手作業でやっていた。Libryでは各生徒がサービス上から宿題を提出するので、回収する作業は不要。提出されたタイミングで確認できるので、空き時間を活用して各自へフィードバックすることもできる。問題ごとの正答率まで自動で集計されるので、エクセルを使って自身で分析する手間もなくなる」(後藤氏)

生徒がアプリから提出した宿題が自動で集計・分析されていくので、エクセルなどに手動で打ち込みながら集計する手間もない。先生は生徒の正答率や解き方などをチェックして授業の内容を考えたり、個別のフィードバックに時間を使うことができる 

ある学校では先生の1日あたりの業務時間が2〜3時間ほど短縮された例もあるとのこと。宿題業務の時間を縮めることができれば、長時間勤務を減らすことに繋がるだけでなく、授業の準備に時間をかけたり、各生徒ごとのケアにより多くの時間を使えるようになるといった効果も見込めるだろう。

最近は出版社に対して先生側から「この教材もLibryで使えるようにして欲しい」と要望が届くことも増えているようで、出版社との連携強化を積極的に進めているとのこと。今後も提携出版社・コンテンツの拡充と導入校の拡大を大きなテーマに、調達した資金を活用しながら事業に取り組んでいく方針だ。

「各出版社と協力しながら学校市場を開拓できてきている。教科書や問題集は全ての生徒が使うものなので、そこにアプローチできる価値は大きい。まずはしっかりとユーザー体験を作り込み、市場に浸透させて『デジタル問題集のデファクトスタンダード』を目指す。ゆくゆくは蓄積された教育ビッグデータを使い、より豊かな学びを提供するチャレンジもしていきたい」(後藤氏)

AIで学習時間を短縮するatama plusがEdTechカオスマップを公開、研究所設立も

atama plusは7月31日、世界のEdTech(エドテック、教育テック)の最新動向やデータを提供する「atamaEdTech研究所」の設立を発表した。国内でのEdTechへの理解や教育企業・教育機関などでの活用が進むことで教育をさらに発展させることを目指す。研究所の設立に合わせて、K-12・高等教育の領域における世界の企業35社(出典:CB Insights)をまとめたEdTechカオスマップも公開している。

関連記事:AI活用の中高生向けタブレット教材開発のatama plus15億円を調達

atama+EdTech研究所では、初等・高等教育領域におけるテクノロジーの活用に焦点を当て、世界のEdTechの最新動向やデータなどを、海外レポートの分析や現地取材などを通じて発信予定とのこと。

同研究所の所長には、atama plusの創業者である稲田大輔氏が就任。稲田氏は、2006年東京大学大学院情報理工学系研究科修了後、三井物産株式会社に入社。海外でEdTech企業の執行役員や三井物産の国内教育事業統括などを歴任したあと、2017年4月にatama plusを創業した人物だ。

同社が提供している中高生向けタブレット型教材「atama+」(アタマプラス)は、「得意」「苦手」「伸び」「つまずき」「集中状態」などのデータをAIが分析し、各々に適した「自分専用レッスン」を作成することで学習を効率化するのが特徴。

今年からは、駿台教育センターでは「AI演習講座」、Z会エデュースでは「AI最速定着コース」、城南進学研究社では「城南予備校DUO」として、atama+に特化したAI学習コースも開設されている。

日本では、授業をネット配信するなどオンデマンドの教育環境は整いつつあるが、家庭教師などの個別指導以外では各々の進捗に最適化した学習を受けることは難しい。生徒の習熟度やモチベーションが異なる義務教育の現場ではなおさらだ。amtama plusなどテクノロジーを活用して効率的な学習環境を構築するEdTechスタートアップの発展に期待したい。

インドの教育系スタートアップ「Byju’s」が160億円調達し海外へ

インドで最も評価の高いEdtech(教育テック)のスタートアップ、Byju’sは、国内と海外のマーケットに学習アプリを拡大していくために1億5000万ドル(約160億円)を調達した。

資金調達ラウンドを主導したのは、カタールの政府系ファンドのカタール投資庁(Qatar Investment Authority、QIA)で、Edtechスタートアップに多く投資しているOwl Venturesも参加した。Owl Venturesにとってはこれがインドのスタートアップに対する初めての投資だ。関係筋によると、Byju’sの評価額は昨年の約40億ドル(約4300億円)から、この新規ラウンドで57億5000万ドル(約6200億円)に上昇したとという。

Byju’sはこれまでに約9億2500万ドル(約1000億円)を調達した。新たに得た資金では積極的に国際市場を開拓していくという。同社は米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドに進出する計画を明らかにしていた。

Byju’sは今年1月にOsmoを1億2000万ドル(約130億円)で買収した。Osmoは米国の学習スタートアップで5〜12歳の子供に人気がある。Osmoは先月、就学前の幼児に向けた新製品を発表した。

Byju’sは、すべての児童・生徒が複雑な単元を理解できるよう、チューターがピザやケーキなどの実物を使って説明するアプリを提供している。大学や大卒レベルのコースもある。Byju’sは数年にわたってアプリで使われる英語のアクセントを微調整し、さまざまな教育システムに対応してきた。登録ユーザーは3500万人以上で、そのうち約240万人は有料のユーザーだ。

Byju’sの設立者でCEOのByju Raveendran氏は声明の中で次のように述べている。「傑出した政府系ファンドと投資ファンドからの資金提供は、我々のビジネスの強固な基盤の証明だ。インドのEdtech企業は有力な投資家から注目を集めている。インドがデジタル学習の分野をグローバルに開拓しているからだ」。

インドでは、Byju’sはバンガロールに拠点を置くUnacademyなどと競合している。Unacademyは大卒レベルの試験準備をする学生を対象としており、先月5000万ドル(約54億円)を調達した

5〜24歳の人口では、インドが世界一だ。コンサルティング会社のKPMGとGoogleの2017年の報告によると、インドのオンライン教育市場の売上は2021年までに19億6000万ドル(約2100億円)に成長すると見込まれている。

Byju’sは3月までの前会計年度で約2億500万ドル(約220億円)の収益を上げた。 今年度はこれを4億3000万ドル(約460億円)以上にする計画だ。CEOのRaveendran氏は、同社を今後2、3年以内に株式公開する予定であると述べている。

画像:MANJUNATH KIRAN/AFP / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

アプリで手軽に英語4技能レッスン、子ども向けオンライン英会話の「GLOBAL CROWN」に新機能

子ども向けのオンライン英会話サービス「GLOBAL CROWN(グローバルクラウン)」を提供するハグカムは2月4日、同サービスの新機能としてアプリから英語4技能(聞く、話す、読む、書く)の習得ができるカリキュラムの提供をスタートした。

GLOBAL CROWNは3〜12歳を主な対象としたオンライン英会話スクールだ。日本語も話せるバイリンガルの講師からマンツーマンで楽しく英会話を学べるのが特徴。自社でビデオチャット機能も内包したアプリを開発しているため、Skypeなどを別途インストールせずともGLOBAL CROWNのアプリをスマホやタブレットから開くだけでレッスンを受講できる。

各機能やデザインなどサービスの細かい設計は、ハグカム代表取締役の道村弥生氏が小さな子どもを持つお母さん世代にヒアリングを重ねる中で出てきたニーズを反映させたもの。リリース時にはすでに複数のオンライン英会話サービスが存在していたが、お母さんと子どもにとっての品質にフォーカスすることで高い継続率に繋がったというのは前回の記事で紹介した通りだ。

これまでのGLOBAL CROWNは「聞く・話す」に特化していたが、本日より「読む・書く」にも対象領域を広げることで、英語4技能のレッスンをアプリから手軽に受講できるようになる。ハグカムによると、アプリで英語4技能の習得ができるオンライン英会話サービスは日本初とのことだ。

GLOBAL CROWNのカリキュラムでは32段階のレベルで構成されていて、バイリンガル講師とのマンツーマンレッスンで「聞く・話す」の力を伸ばし、アプリ上の自習教材を用いて「読む・書く」のスキルを磨く。

リーディング発音チェック機能

ライティングチェック機能

教材では各レベルで習得すべき英単語が3択クイズ形式で学べるほか、レベル13以上では指定されたセンテンスのリーディングチェック機能も搭載。そのほか発音チェックや英単語のスペルチェック、英会話フレーズの並び替えによるライティングチェックなども備える。

ハグカムは2018年10月に旺文社ベンチャーズやポーラ・オルビスホールディングスから資金調達を実施。旺文社とは事業提携も結んでいる。今回は英語領域でのサービス拡大だが、ゆくゆくは算数や国語など別の科目や他のジャンルにも対応した「ライブ学習プラットフォーム」の構築を目指す計画だ。

子ども向けオンライン英会話のハグカムが旺文社らから資金調達、ジャンル広げ“ライブ学習基盤”目指す

ハグカム代表取締役の道村弥生氏と投資家陣。写真中央が道村氏。

子ども向けのオンライン英会話サービス「GLOBAL CROWN(グローバルクラウン)」を展開するハグカムは10月29日、旺文社ベンチャーズとポーラ・オルビスホールディングスを引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

具体的な調達額については非公表だが、関係者の話では数千万円規模とのこと。同社にとっては2015年10月にオプトベンチャーズ、ICJ、ディー・エヌ・エーから約6000万円を調達して以来の資金調達となった。

なお今回ハグカムでは旺文社と業務提携も締結。調達した資金や旺文社のノウハウ、コンテンツなども活用してGLOBAL CROWNのアップデートを進めるほか、英語以外のジャンル展開にも着手する計画だ。

先行するSkype英会話の課題点を解決

GLOBAL CROWNは主に3〜12歳の子どもを対象にしたオンライン英会話スクールだ。自宅から専用のアプリを使ってマンツーマンで英会話を学べる環境を構築。日本語も話せるバイリンガルの講師が生徒のレベルに合わせながらイラストやワードカードといった独自の教材を活用し、1回20分間の英会話レッスンを提供する。

サービスの正式リリースは2015年の11月。その頃にはいわゆる“Skype英会話”サービスが複数世に出ていたので、決して目新しい仕組みというわけではなかった。ただハグカム代表取締役の道村弥生氏は小さな子どもを持つお母さん世代にヒアリングを重ねた結果、既存のサービスでは満たせないニーズがあることに気づく。

「オンライン英会話サービスの存在は知っていても“フィリピン人の先生によるSkype英会話”をイメージしている人が多かった。話を聞いてみると『自分が英語を話せないのでフィリピン人の先生だとハードルが高い』という声や、『そもそもSkypeって何?』という質問が出てきて。ママたちでも使いやすい設計や、(日本語も話せる)バイリンガルの先生のレッスンにはニーズがあると考えた」(道村氏)

もともと道村氏はサイバーエージェントの出身。同社にてマネジメント職や人事職を経験してきた。仕事柄、学生を含む若い世代と接する機会が多かったという道村氏。若くしてやる気やチャレンジ精神が旺盛な人材の原体験を聞いてみると、幼少期にどのような体験をしているかが大きく影響しているとわかったそうだ。

自身の幼少期を振り返っても同じような経験があったため、子どもに良い学習の機会を与えられるような事業での起業を決意。当初はシーエー・モバイルの子会社としてスタートし、スピンアウトのような形で2015年9月にハグカムとして独立している。

最初に英語を選んだのは「ママさんたちに『何に時間とお金をかけているか』を尋ねたところ、習い事にお金をかけていて、特に10人いたら9人が英語という答えが返ってきた」(道村氏)から。既存の英会話教室などの場合は週に1回のグループレッスンなどが多く、頻度や内容を柔軟にカスタマイズすることも難しいため、スキルアップをあまり実感できないという課題があがったという。

一方でマンツーマンのオンライン英会話サービスは上述した「日本語が話せない講師、Skypeという不慣れなツール」というイメージが影響し、そこまで浸透してはいなかった。

そこに可能性を見出して開発したのがGLOBAL CROWNだったというわけだ。

高単価と高継続率を実現するための仕組みを作る

正式リリースから約3年、道村氏はユーザーの特徴として「平均単価が1.3万円と、他サービスに比べて高額であること」「利用開始から半年後の継続率が80~85%であること」をあげる。

「高単価と高継続率には当初から重要視していた。ただ安いから選ばれるというのではなく、品質が良いことを理由に使ってもらえるサービスにしたかったので、ママさんと子どもにとっての“品質”に徹底的にこだわった」(道村氏)

ヒアリングをした結果、ターゲット層の中にはSkypeを使いこなせない人が多いだけでなく、そもそも自宅ではPCを開くことすら珍しいこともわかった。そこでスタート時からSkypeを活用せず自社でビデオチャット機能も内包したアプリを開発。スマホやタブレットからアプリを開くだけでレッスンを受けられる仕組みにこだわった。

講師は日本語にも対応できるバイリンガルの人材を採用。6割以上が学生だというが、カリキュラムや事前のレクチャーの体制、講師用のシステムなどを細かく作り込むことでレッスンの質を担保してきたという。

実際に講師側の管理画面と生徒側のアプリをどちらも見せてもらったのだけど、講師側のシステムに関しては今までのレッスンで使ったカードや記録が蓄積され、生徒のレベルに応じて必要な教材をすぐに開ける仕様になっている。Skypeを立ち上げる必要もないし、「レッスン開始」ボタンを押すだけですぐに対象の生徒のレッスンが始まるのでわかりやすい。

講師側の画面

またレッスンの時間になっても先生がログインしてないと、運営側がすぐに気づける仕組みも実装。「子どもは10秒とか20秒でも先生が来ないと不安になる」(道村氏)ため、そういった場合は運営側がすぐに先生に連絡をとってサポートする体制を作っているそうだ。

レッスンは週1回コースが月額9800円、頻度によって料金が変わり毎日コースの場合は1万9800円(単発で試せるチケットの場合は1回2300円から)。オンライン英会話にしては高単価の部類に入るが、ユーザーの継続率は高い。

これについては、道村氏によるとレッスンスケジュールを固定制にしている点も大きいそう。GLOBAL CROWNでは「何曜日の何時から」と事前にレッスンの日時を決め、1ヶ月先まで講師の日程を確保する。決められた時間にアプリを開けば講師が待ってくれているため、ほとんどの生徒がレッスンを習慣化することにも繋がるという。

「チケット制で毎回自分たちで予約する設計にすると、やらないポイントができてしまう。初期のヒアリングやモニタリングの結果を見ても毎回固定の日時でレッスンを受ける人が多かったので、この仕組みを採用している」(道村氏)

現在GLOBAL CROWNを使っているユーザーの75%は、オフラインの英会話教室や英語教材など何かしらのサービスを使っていて、乗り換えてきた人達。共働きのお母さんが多く、ここまで紹介してきた特徴に加えて「オフラインの教室とは違い送り迎えの必要性がない」ことも価値になっているようだ。

教材やカリキュラムも、1回20分のオンラインレッスンに合わせて自社で開発している

ジャンルを広げ、子ども向けのライブ学習プラットフォームへ

道村氏いわく、これまではシステム面の構築にかなりのリソースを費やしてきたそう。生徒側のマーケティングなどには十分な資金をかけられない部分もあったが、3年間で基盤は整ってきたという。

そんな状況下で今回久々の資金調達を実施。調達した資金を用いて今後は「ライブ学習」と「レコメンドエンジン」という2つの軸でサービスの強化を進める。

ライブ学習に関してはこれまで培ってきたナレッジや講師のネットワークを活用。サービスの機能を拡張するとともに、新たなジャンルの開拓にも取り組む。まずは英語の領域で4技能(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)全てに対応したレッスンを開発するほか、算数や国語といった基礎科目、さらには他のジャンルにも拡大していく構想があるようだ。

本格的な多ジャンル展開については来年以降になるようだけれど、一例としてプログラミングやダンスのほか、片付けのやり方やお金の使い方、マナーといった学校では習わない領域も検討しているという。

このあたりは今回業務提携を締結した旺文社とのシナジーが見込める分野。すでに英検の教材に関してコンテンツ提供を受けているそうだが、旺文社の書籍とGLOBAL CROWNをセットにしたレッスンなどが考えられるだろう(なおハグカムは旺文社ベンチャーズの投資案件第1号になる)。

また生徒と講師、生徒とレッスンのマッチングを最適化するためのレコメンドエンジンの開発にも力を入れる。

GLOBAL CROWNでは初期から自社アプリにこだわってきたからこそ、録画したレッスン動画を始め先生と生徒双方のレッスン記録や評価といったデータが蓄積されている。これらを解析すれば、各生徒に合った先生をマッチングしたり、本人に向いていそうなレッスンをレコメンドすることもできそうだ。

「(ジャンルの幅が広がりレコメンドの質も上がれば)今以上に子ども達が飽きることなく、かつ興味の幅が広がっていくような仕組みが作れる。オンラインで扉を開ければ自分が学びたいと思ったことが学べ、子どもの好奇心がずっと刺激されるようなプラットフォームを目指したい」(道村氏)

40万人が使うプログラミング学習サービス「Progate」、米国子会社を設立しグローバル展開を加速

「海外展開は思っていたより簡単じゃない、というのが正直なところ。プロダクトの基盤が一通りできてきた一方で、日本と海外でのニーズのズレなど課題も感じている。そこをどう乗り越えていくかが今後のチャレンジだ」——Progate(プロゲート)代表取締役の加藤將倫氏は同社の現状についてそう話す。

Progateが運営するプログラミング学習サービス「Progate」については、これまでTechCrunchでも何度か紹介してきた。

スライド教材を見て基礎を確認した後、ウェブブラウザ上で実際にコードを書きながら学べるスタイルを考案。初心者にとって難易度の高い環境設定などもなく、プログラミングを始めるまでのハードルが低い。

そんなProgateが力を入れているのが、英語圏を中心としたグローバル展開だ。同社では7月1日に初となる子会社Progate Globalを米国に設立。海外ユーザーの獲得をさらに加速させようとしている。

国内ユーザー数は約35万人、コンテンツ数も66レッスンまで拡充

Progateは2014年7月に、東京大学の学生だった加藤氏や取締役の村井謙太氏らが共同で創業。自分たち自身が苦労しながらプログラミングを学んだこともあり、初心者でも挫折しにくいサービスとしてProgateを立ち上げた。

特徴は初心者が最初につまずきやすいポイントを解消しつつ、実際に手を動かしながらプログラミングの楽しさに触れられること。

本や動画学習サービスを使って学習する場合、コードを書くためには自分で環境構築をしないといけないが、初心者にとってはこれが意外と面倒。その点Progateの場合はすぐにブラウザ上でコードを書くことができ、その結果をリアルタイムに確認できる。

2017年2月にはフリークアウトグループ、DeNA、エンジェル投資家から1億円の資金調達を実施(それ以前にもEast Ventures、ロンドンブーツの田村淳氏、メルカリ創業者の山田進太郎氏らから資金調達をしている)。調達した資金も活用しながら、英語版やアプリ版の開発、コンテンツの拡充などプロダクトの改善を着々と進めてきた。

特に国内ではアプリのリリース(1月にiOS版、4月にAndroid版)以降ユーザー登録のペースが以前の倍くらいになっているそう。国内のユーザー数は約35万人にまで増え、そのうちの5%ほどが有料会員だという。

Progateのキモとなるコンテンツについては、現在15コース・66レッスンを提供。直近ではメルカリ/メルペイの現役エンジニアと共同でGo言語のレッスンを開発するなど、外部のエキスパートと共同でコンテンツを作る新しい取り組みも始めテイル。

海外ユーザーのペインを解決できるプロダクトが必要

このような背景もあり、加藤氏は「ProgateのVer1が完成に近づいてきた状態」と話す。ただこれはクチコミである程度ユーザーが安定的に入るようになってきた日本での話。海外では少し事情が違うらしい。

「海外版を出せば日本と同じような層に広がっていくかと思っていたが、そもそもターゲットの抱える目的や課題も違うことがわかってきた。海外で戦えるプロダクト、海外ユーザーのペインを解決できるプロダクトとしてはまだ足りない」(加藤氏)

具体的には「コンテンツが圧倒的に足りない」という加藤氏。同社にとってコンテンツの増強が今後の大きなテーマになるようだ。

Progate代表取締役の加藤將倫氏

たとえばインドの場合。現地の学校を回ったり若者と情報交換をしたりなどヒアリングをしてみると、「データサイエンスやマシーンラーニングのコースがあるのかをどこに行っても聞かれる」のだという。ここは現状のProgateではまだカバーできていない領域だ。

「海外の方がニーズが進んでいるイメージ。インドの場合だと高校の授業でProgateのレッスンのような内容を学んでいたりもするので、日本と同じように大学生向けに同じようなコンテンツを提供していては上手くいかない」(加藤氏)

そのため国内と海外ではユーザー層にも違いが生まれているそう。現在海外ユーザーは約5万人。内訳としてはインドが3万人、米国が1万人、その他が1万人とのことで、インドについては日本よりも年齢層が低く、10代後半がボリュームとしては大きい。

海外では日本以上にプログラミング学習サービスの選択肢も多くなるため、他社と比べられる機会が増えるという事情もある。

実際、加藤氏が注目するサービスのひとつとして挙げるUdemyなどには膨大な量のコンテンツが並ぶ。ユーザー投稿型のためコンテンツの質にはバラツキがあるものの「(プログラミングに関するものだけで)1万レッスンないしそれ以上のコンテンツがあり、上位5%のクラスは質も高い」(加藤氏)という。

「Progateで提供しているコンテンツには自信を持っているけれど、たとえば現状でPythonのコースは5コースしかない。これだけのために課金をしてまで使うか、クチコミで広がっていくかというと難しい。他にも選択肢がある海外ではなおさらのことだ」(加藤氏)

コンテンツが充実すれば海外でも十分チャンスはある

Progateの英語版。2017年10月のβ版を経て、2018年5月に正式リリース

後発とも言えるProgateが、今後海外でどのくらい広がっていくのだろうか。加藤氏に手応えを聞いてみたところ「コンテンツを拡充させることができればやっていける感触はある」という答えが返ってきた。

「インドや中国など、十分にプログラミング教育が発展していない国には大きな可能性を感じている。ツール自体もあまり知られていないので、そこまで後発というわけでもない。そこでしっかりと盤石な立ち位置を確立できれば、他のエリアでもより多くの資金を使って取り組める」(加藤氏)

一方の米国は相当大変になってくると話すが、「この市場はウィナーテイクオール(1社がひとり勝ちするようなビジネス)ではない」ため、いいコンテンツを提供できればチャンスはあるというのが加藤氏の見解だ。

大まかなプランとしては、まず海外で既存のコンテンツが刺さる層のファンを増やす活動に注力。並行して世界で戦えるようなコンテンツを開発しながら、新たなユーザーも開拓し日本と同様にクチコミで広げていく方針だという。

今回設立した米国法人も「世界で1人でも多くのファンを作る」手段のひとつ。インドでも近く法人の設立が完了する予定で、これがProgateの海外展開を加速させるギアとなりそうだ。

「自分たちの強みは徹底的にユーザーに向き合ったコンテンツを作れること。(このスタイルは崩さず)アプリや機械学習など対応するコースも増やし、『どんなものを学びたいかに限らずProgateであれば安心できる』という環境を作っていきたい」(加藤氏)

駿台グループ、オンライン家庭教師サービス「manabo」を買収

駿台グループのSATTは6月6日、スマホとタブレットを使った家庭教師サービス「manabo」を提供するマナボの全株式を取得したと発表した。買収金額は非公開。manaboは今後、独立した経営体制のまま駿台グループの一員となる。

manaboはスマホアプリを通じて、生徒が宿題や問題集などの分からない部分を撮影し、チューターにオンデマンドでリアルタイムに質問できるサービス。manaboには現在約3500名の家庭教師が在籍していて、彼らが音声通話と手書きの画面共有によって学生を指導する。これまでの累計指導回数は約20万回だ。2015年頃から同社はこのシステムを塾向けに提供するビジネスに軸足を移しており、その導入社数は50社を超える。

塾向けビジネスを加速させるきっかけとなったのは、2016年11月に行われた資金調達ラウンドだ。同ラウンドでマナボはZ会グループなどから2億5000万円を調達し、同グループの経営体制を担うZEホールディングス取締役の下田勝昭氏を社外取締役に招いている。

しかし、今回マナボの買収を発表したのは、Z会グループにとって競合にあたる駿台グループだった。マナボ代表取締役の三橋克仁氏は、「2017年より駿台グループ向けにもmanaboを提供していたが、その連携において特にサービスの消費率が高かったこと、経営の独立性を重んじてくれること、(買収ディールに参加した中でも)提示された評価額が高かったことの3つが駿台グループを選んだ理由だ」と語る。

また、駿台グループはmanaboを他塾に提供することにも寛容で、「駿台グループに入ったことで一部の塾からは反発を受けるかもしれないが、こちら側はすべての塾に対してウェルカムな姿勢」と三橋氏は語る。なお、三橋氏はディールに参加した企業名を明かさなかったが、参加企業は全部で約5社。そのすべてが塾業界の企業だったという。

マナボは今後、駿台グループのアセットを生かしつつ、企業向けの教育研修や病院向けなど、他業種への拡大に注力するという。また、SATTと共同でEdTech領域の新サービス開発にも着手する。

ちなみに、今回のディールにおいて三橋氏のロックアップ期間は設定されていないという。「残念ながら買収金額は公開できないものの、個人レベルの話で言えば、今後お金のために働く必要はなくなった。これからは“ロマンとそろばん”のロマンの方に全力をかけたい」と語った。

“家庭教師のフリマ”サービス「レコンズ」今春スタート、スマホ学習塾「アオイゼミ」が発表

スマホで学べる中高生向けのオンライン学習塾「アオイゼミ」を運営するZ会グループによる買収を受けて、昨年12月に取材に答えた同社代表取締役社長の石井貴基氏は「アオイゼミの旗振りで来春、新規事業のリリースを予定している」と話していたのだが、2月26日、その新サービスの発表があった。

新しいサービスは、家庭教師と生徒のCtoCマッチングサービス「家庭教師のレコンズ(以下レコンズ)」だ。石井氏はレコンズのことを「いわば『カテキョのフリマ』サービス」と言っている。メルカリの参入発表でも注目を集める教育関連CtoCの分野に、Z会グループとして参入する。

レコンズは、家庭教師を探す機能、教師とメッセージでやり取りできる機能、決済機能を備え、子どもに合った家庭教師を見つけて直接契約できる、CtoCプラットフォームだ。授業依頼から指導報告、授業料の支払いまでサービス内で完結することができる。

サービス提供開始は今春を予定(「4月にはスタートしたい」と石井氏は言っていた)。リリースに先駆け、授業を受けたい側、授業をしたい側、双方の事前登録を本日より公式サイトで開始する。

葵がレコンズで目指すのは「理想の先生をもっと気軽に見つけて学ぶ」ことだと石井氏は話す。既存の家庭教師派遣サービスでは、一般的には授業料の約50〜60%が手数料として派遣会社に支払われる。このため、授業料が高額になりやすく、逆に先生の収入は少なくなる。

レコンズではCtoCマッチングプラットフォームの形をとることで、中間マージンを約20%程度にできるため、子どもに合った教師を適切な授業料で雇えて、教える側も収入を増やせるという。

また、家庭教師ではなく個別指導塾であれば授業料は抑えられるが、複数の子どもに1人の先生がつくことになる。石井氏は「レコンズなら授業料を抑えながら、マンツーマンでの授業を実現できる。家庭教師のCtoC化で、学習塾市場にも新しい動きが出るのではないだろうか」と話している。

レコンズのスタートは、Z会グループにとっても意味を持つ。オンライン学習塾のアオイゼミ利用者は、現在30万人以上。「普段の自宅での学習にはアオイゼミを利用し、週1日家庭教師にサポートしてもらう、といった使い方ができるので、相性がいい。お互いのサービスを補い合う関係が成立する」と石井氏は言う。

さらにZ会グループの利用者OB・OGが、家庭教師として登録することも期待される。「アオイゼミからは今年数万人が卒業して新大学生となる。またZ会OB・OGも、毎年2000人以上が東京大学、京都大学に合格するなど、数千人が難関大学に進んでいるし、学習塾・栄光ゼミナールのOB・OGも同じく数千人が難関大学に進学する。グループの卒業生で、良質な家庭教師がすぐにそろえられる環境にある」(石井氏)

習い事や語学学習など、知識を教える人と学ぶ人を結び付けるCtoCサービスとしては、メルカリが発表した「teacha(ティーチャ)」のほかにも、クラウドワークスが事業譲受した「サイタ」、グローバルウェイの「TimeTicket(タイムチケット)」、ストリートアカデミーの「ストアカ」、語学学習に特化した「フラミンゴ」などがある。

そんな中で石井氏は「レコンズでは、Z会グループの強みが生かせる、小中高の児童・生徒と大学受験生のみにフォーカスする」と言う。「グループには教材だけでなく、長年の指導ノウハウも培われている。そのノウハウをレコンズに最適化して、先生の教育も行い、質の高い授業ができるようにサポートしていく。また“成績の上げ方”などのテクニックについても、追加情報として提供していきたい」(石井氏)

教師の質については、石井氏はこんなことも言っている。「あまり細かい制約は、レコンズではかけないようにしたい。例えば、今までは“最初は一律で時給1500円”などと決められている給料も、このサービスでは先生に決めてほしいと思っている。『最難関校の学生だけど、社会貢献としてできるだけ安く教える』とか『有名大学ではないけれど児童福祉学を専攻していて、登校拒否や学習障害などに詳しい』とか、学歴だけじゃなくて個性に合わせて選べることを、サービスの魅力にしたい」(石井氏)

とはいえ「ご家庭に訪問したり、カフェで顔を合わせたりして勉強することになるので、教師の本人確認は徹底してやる」とのこと。また利用家庭のレビューによる「授業の満足度」を表示する仕組みがあり、「評価が下がった先生はすぐ分かるようになっているので、そうしたことで質の担保をしていく」と石井氏は説明する。

石井氏は「将来的には、先生への支払いサイトは早めたい。自分も学生時代、給料がなかなか入らなくて苦労したので。また先生の実績に応じて、手数料を下げるような仕組みも取り入れていけたら」とレコンズの今後の展開についても、既に考えている。

さらに「これができたらすごいと思うんだけど」と石井氏が語るのは「奨学生制度」だ。「レコンズの登録者で『どこの学生だったら、4年間でいくらぐらい稼げる』といったデータがたまったら、新聞奨学生のように奨学金を出して、大学への進学を支援する、といったこともできたらいいなあ、と思っている」(石井氏)

また海外展開についても、石井氏は念頭に置いているとのこと。「教材ありきのサービスだとローカライズが重荷になるが、レコンズは教材モデルではないのでローカライズする部分が少ない。オペレーションを今後磨いていけば、国外にも出せるサービスになると思う。Z会グループの強みである、指導方法などのノウハウを生かしながら、マッチングプラットフォームとしてブラッシュアップすれば、海外にも行けると考えている」(石井氏)