ロシアの情報工作組織が米国の人種的緊張を高めるためアフリカにアウトソーシング

2016年の選挙でロシアの悪名高いトロールファーム(情報工作組織)が偽情報をばらまいた際に使った多くの戦術に関して、ハイテク企業側も知見を蓄積しているため、トロールファームの活動はより創造的になっている。

FacebookTwitterからの2つのレポートによると、ロシアのInternet Research Agency(IRA)と関連がある個人による偽情報活動が再び米国を狙っているが、今回はアフリカで活動しているという。

「このネットワークは偽情報に反応する層を構築する初期段階にあり、ロシアの個人に代わってガーナとナイジェリアのスタッフが(一部は意識的に、一部は無意識に)運営していた」とFacebookはブログ投稿で説明している。

CNNはガーナとナイジェリアでの活動について独自に詳細な調査を行ったようだ。活動拠点の家にも行った。そこではガーナ人のグループが米国の社会問題をターゲットにした投稿を作成していた。

驚いたことに、偽情報に特化したソーシャル分析会社であるGraphika(グラフィカ)が発見したのは、活動が米国の選挙や大統領候補に焦点を当てていたわけではないことだった。候補者をコンテンツに登場させるときには人権、寛容、人種差別といったレンズを通した内容にしていた。

GraphikaのチーフイノベーションオフィサーであるCamille Francois(カミーユ・フランソワ)氏は、ロシアを拠点とする活動はガーナ拠点のNGOを一種の代理人として使っており、少なくとも関与したスタッフの一部は仕事の本来の目的に気づいていない可能性が高いと指摘している。

「この運営体制が示すのは、外国の活動主体が代理のグループを独創的な方法で使おうと考えているということだ。また、情報操作の拠点に場所は問わないことを示している」とフランソワ氏はTechCrunchに語る。

ほとんどのアカウントは2019年後半に開設された。作成されたコンテンツは人種に関する問題、特に米国の黒人と白人間の緊張に関連するものだ。Facebookによると、活動は黒人の歴史や優秀さなどのトピックに集中していたが「警察の残虐行為などの弾圧や不正に関する内容」にも焦点を当てられていた。

Facebookは活動に関与した49のアカウント、69のページ、85のInstagramアカウントを発見した。Facebookでは、比較的初期のアカウントには約1万3500人のフォロワーがついていた。Instagramのアカウントには約26万5000人がフォローしていた。

Twitterでは、ロシアの活動に関連するガーナとナイジェリアの71のアカウントが「人種や公民権などの社会問題に関する話題を利用して社会的不和を広げる」ために、同様のメッセージを拡散していた。

米国に今も存在する社会的分断を、ロシアがさらに広げようと続けられている試みは驚くべきことではないが、警戒すべきだ。Twitterは、国​​内のほとんどの偽情報が国外からではなく国内から発信されているという有用な注意喚起情報を発信している。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Facebookの写真移行ツールが欧州、中南米、アフリカ諸国で公開

Facebook(フェイスブック)は昨年12月にアイルランドで公開したデータ移行ツールの提供範囲を広げている。このツールを使うと、Facebookサーバーに保存してある画像やビデオを別の写真ストレージサービス、たとえばGoogle Photos(Googleフォト)などに暗号化転送を通じて直接移行できる。

Facebook広報は「移行ツールは米国時間3月10日に英国、EU諸国、および中南米、アフリカの一部の国々で公開される」とTechCrunchに伝えた。広報担当者によると、先月末にFacebookは、APACおよび中南米の複数の地域でもツールを公開している。Facebookは以前、このツールを2020年上半期中に全世界で公開すると言っていた。

「transfer a copy of your photos and videos」(写真とビデオの転送)機能は、設定ページのFacebook Information(あなたのFacebook情報)タブから設定できる

このツールは、FacebookがData Transfer Project(DTP)に参加して開発したコードが基になっている。DTPは2018年に始まった協同プロジェクトで、Apple(アップル)、Facebook、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、およびTwitter(ツイッター)が参加しており、オープンソースコードを使って任意のオンラインサービス間をつなぎ「2プラットフォーム間でシームレスに直接ユーザー主導のデータ移行を行う」ための共通フレームワークを構築することを目的としている。

ここ数年、テック界の巨人たちによる寡占に対する不満が高まっており、議会や規制当局の注目を集め始めている。例えばEUでは、競争規制当局がテック巨人のデータ運用を巡ってAmazonFacebookGoogleなどに目をつけている。一方米国では、GoogleFacebookAmazon、 Apple、Microsoftらが反トラスト法の監視にさらされている。そして反トラストに関する疑問が増えるにつれ、巨大テック企業は対応にせまられる。こうしてポータビリティーに関する集合的圧力がかかっている。

昨年9月、Facebookは白書を公開してデータポータビリティーに関する同社の見解を示し、ポータビリティーをプライバシー問題への挑戦であると主張しようとした。それは同社が集めたユーザーの個人情報の移行に規制当局が制限をつけることを求めるロビー活動のようにも見えた。

同時に、ポータビリティーツールの公開は、規制当局の手が入った際の点数稼ぎにもなるかもしれない。もっともこのツールはFacebookが保持している個人データのごくわずかな部分を移行できるだけであり、こうしたツールを望むのはごく一部の技術に詳しいユーザーだけかもしれない。

さらにFacebookの移行ツールは、現在Googleのクラウドストレージへの直接転送にしか対応していない。これは、ユーザーの顔生体情報をある巨人から別の巨人にコピーするパイプを太くしているだけだ。

本誌、おらびEU在住の記者を通じて確認したところ、Facebookのドロップダウンメニューにある転送先は今の所Google Photosだけだった。

しかし広報担当者は、より広範囲な利用形態を示唆しており、DTPプロジェクトがSmugMug(スマグマグ、Flickrの親会社)の写真API用アダプターを更新したことや、音楽ストリーミングのDeezer(ディーザー)、分散型ソーシャルネットワークのMastodon(マストドン)、Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ・リー)の分散型プロジェクトSolid(ソリッド)などとの統合についても語った。

担当者によるとアダプターはデータタイプごとに用意され、オープンソースの協力者がさまざまなデータタイプ(写真、プレイリスト、連絡先など)のアダプターを開発している。GitHubには開発中のプロジェクト一覧もある。

上記サービスへの直接転送オプションがなぜFacebookのメニューにないのかはまだわからない。直接データ転送を実装するためにサードパーティー側の作業が必要なのかもしれない。この点について質問したところ、今はGoogle Photosが唯一の転送先であることを認め、これは「第一ステップ」で「関係者に評価できる実物のツールを見せることが目的であり、その間にもっと多くの会社がDTPプロジェクトに参加すれば、我々はもっと多くのサービスやデータタイプの移行準備を進める」と答えた。

DTPプロジェクトの目的は、「ポータビリティーツールをつくるたびに車輪を作り直す」ことがないよう、誰でも簡単に使える標準バージョンをつくることだと広報担当者は語り、「このツールは現在のDTPパートナーと協力してつくったものであり、将来さらに多くのパートナー企業が参加することを願っている」と付け加えた。

彼はコードがオープンソースであることも強調し、自社のサービスをフレームワークにプラグインしようとする会社は、公開APIさえもっていれば「スムーズに統合」できると言っていた。「公開API向けにDTPアダプターを書くだけでいい」とのこと。

「ツールが公開された今、我々はもっと多くの専門家や企業と協力して働けることを楽しみにしている。この種のサービスとつながることを目指しているスタートアップや新しいプラットフォームは特に歓迎だ」と広報担当者は語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookの新しい取締役は2名の女性、男6女4の構成に

米国時間3月9日に、Facebookは新しくNancy Killefer(ナンシー・キルファー)氏とTracey T. Travis(トレーシー・T・トラビス)氏の2名を取締役会に迎えることを発表した。

キルファー氏は、オバマ政権時代に米国財務省で勤務していたため、Facebookに貴重な政府の知見をもたらすことが期待される。かつてクリントン政権の首席補佐官を務めていたErskine Bowles(アースキン・ボウルズ)氏が、2019年にFacebookを去ったために、同社の取締役会は深い政府経験がある人物の1人を失っていた。

財務省での勤務の傍ら、キルファー氏は30年以上にわたってグローバルコンサルティング会社のMcKinsey & Companyでさまざまなリーダーシップを発揮し、現在はCardinal Healthの取締役も務めている。また以前、Avonの取締役だったこともある。

「テクノロジーと社会に関する最大の議論の中心にある、Facebookの取締役会に参加できることを、大変うれしく思っています」とキルファー氏は投資家向けプレスリリースの中で述べている。「今後数年間は、次世代のためにインターネットを形成していくことになると思います。私はその中で、Facebookが世界の善のための責任を果たそうとする努力に貢献したいと考えています」

もう1人の新しい取締役候補であるトラビス氏は、現在上級副社長ならびにCFOを務めている化粧品会社Estée Lauderからの参加となる。キルファー氏が持ち込むのは公共部門での経験だが、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の言葉によればトラビス氏が持ち込むのは「強力な財務および企業リーダーシップのバックグラウンド」であり、Ralph Lauren、Limited Brands, Inc.、Pepsi、そしてGeneral Motorsにおける消費者および小売金融の豊富な経験が提供されることになる。プレスリリースの中でトラビス氏は、Facebookならびに「世界をより良く変える技術と革新の力」に対して楽観的であると述べている。

Facebookは2019年に3人のボードメンバーを失った。まずボウルズ氏とNetflixのCEOであるReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏が、ザッカーバーグ氏と公の場所で衝突したことが知られており、その後ビル&メリンダ・ゲイツ財団の元CEOだったSusan Desmond-Hellmann(スーザン・デズモンド=ヘルマン)博士も辞任した。Facebookは2020年2月にザッカーバーグ氏の親しい友人であるDropbox CEOのDrew Houston(ドリュー・ヒューストン)氏を取締役会に加えている。3月のメンバー追加は、残されていた空席を埋めるものとなる。

これでFacebookの取締役は、ザッカーバーグ氏、PayPalのPeggy Alford(ペギー・アルフォード)氏、Andreessen HorowitzのMarc L. Andreessen(マーク・L・アンドリーセン)氏、、General CatalystのKenneth I. Chenault(ケネス・I・シェノルト)氏、Dropboxのヒューストン氏、Founders FundのPeter Thiel(ピーター・ティール)氏、Cranamere GroupのJeff Zients(ジェフ・ジエンツ)氏、Facebook COOのSheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏、そして今回の新しい2名となった。キルファー氏とトラビス氏が加わったことで、ボードの男女バランスはこれまでで最も良くなり、4人の女性と6人の男性によって構成されることになっている。

近年Facebookは、ザッカーバーグ氏を会長職から解任せよという複数の株主からの外部提案に直面しているが、彼の取締役会はこれまで彼をしっかりと守り続けてきた。会社がことさらに波風を立てたがる人物を連れてきたということはないだろうが、最新の取締役会が落ち着くいていく中で、同社の新しい動きには注目していきたい。

画像クレジット: Alexander Koerner/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:sako)

Facebookがコロナウィルス対応の影響を受けた「臨時雇用者」にも賃金支払いを約束

米国時間3月5日夜にMicrosoft(マイクロソフト)は、新型コロナウィルス蔓延のためのオフィス閉鎖に影響された時間給労働者への支払いを続けるという、すべての会社が追随してほしい取り組みを発表した。

どうやらFacebook(フェイスブック)も後に続くようだ。同社広報担当者のChloe Meyere(クロエ・マイエール)氏がメールに書いた内容を引用する。

我々は取引先とも密に検討を重ね、社員の健康と安全を最優先させることを確認した。Facebookは、自発的在宅勤務による業務縮小、オフィスの閉鎖、会社命令による自宅待機、あるいは病気のために働けない臨時雇用者に対して賃金の支払いを行う

マイクロソフトは、同社の決定を発表したブログで社長のBrad Smith(ブラッド・スミス)氏が次のように書いていた。

公衆の健康を守るための取組みにスピードアップが必要な一方、経済にスローダウンは許されない。我々は一企業として、公衆の健康を最優先するとともに、新型コロナウイルスによる経済と社会への影響に対して、会社としてできることを行う。大企業にとって可能なことが中小企業には必ずしも可能でないことを認識しているが、この種の取組みが可能な大企業は、実行を検討すべきだとわれわれは信じている

ワシントン州、カリフォルニア州など、新型コロナウイルスの症例が確認された地域では、いくつかのテック企業が社員に自宅勤務を促進している。Google(グーグル)、Lyft(リフト)Square(スクエア)などだ。新型コロナウイルスの影響は、Mobile World CongressやGoogle I/Oデベロッパーカンファレンスなどの大規模イベントの中止も招いている

最近のテック企業には、22階層の労働者システムが出来上がっており、技術系や製品開発系のスタッフを自社のフルタイム社員として確保する一方、単純労働はサードパーティー企業に外注する傾向が高まっている。この階級制度とも言えるシステムはひんしゅくと怒りを買っており、テック企業の通勤バスが 公衆の面前で攻撃される事件さえ起きた。多くのあるいはすべての働き手を補償することは、広報的に有効であることも確かではあるが、素直に考えて倫理的に正しい行動だ。

おそらく今の状況は、テック企業が業務の内製化を増やす後押しになるだろう。Alphabet(アルファベット)の臨時雇用者への依存であれ、Facebookの管理業務の外注であれ、あるいは単なる運用スタッフの外部委託であれ、おそらく過剰な「インターナル・アウトソーシング」が行われている。それでも、少なくともパンデミックが起きても時間労働者への支払いはカットされない。低いバーであり、すべてのテック企業がクリアしているわけでもないが、何もしないよりはずっと良い一歩だ。

関連記事:米マイクロソフトは在宅勤務で仕事のない時給制現場労働者にも通常賃金を払い続ける

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが価格釣り上げ防止のため医療用マスクの広告を全面禁止に

米国時間3月6日の金曜日にFacebookは、同プラットホーム上での新型コロナウイルス関連の混乱を制限するための新たな試みとして、マスクの商取引と広告を禁じると発表した。

Facebookのプロダクト・マネジメント担当ディレクターであるRob Leathern(ロブ・レザーン)氏は、Twitterで「弊社はCOVID-19を注意深く監視しており、人びとがこの公衆衛生上の危機感を悪用していることを目にしたら、ポリシーを適宜アップデートする。今後、この変更を展開していく」と述べた。

Rob Leathern:マスクを売る広告と商用リスティングを禁ずる。(以下、上記と同じ)

またFacebookのスポークスパーソンも「マスク販売の広告と商用広告を一時的に禁じている。弊社のチームはCOVID-19の状況を注意深く監視しており、人びとがこの公衆衛生の緊急事態を悪用しようとしていることを目撃したら、ポリシーに必要な更新を行う」とTechCrunchに説明している。

Facebookは、品不足や早い者勝ちであるかのように人々を促す医療品の広告を今後すべて制限する。また、COVID-19の「治療」や予防を保証している広告も同様だ。さらにFacebookは近日中に、広告の制限だけでなく新型コロナウイルスをテーマとするグループやページを、同社のアルゴリズムによるレコメンドからブロックし始める。

新型コロナウイルスへの恐れが世界を席巻する中、オンラインのプラットフォームは不当な価格の釣り上げや間違った健康情報の防止に奔走している。Amazonは消毒剤やマスクなどの非常に高い定価を根絶しようとしているし、EbayはN95とN100のマスク、手の消毒剤、そしてアルコール拭きの出品をすべて禁じた。このオンラインオークションサイトは「COVID-19」や「新型コロナウイルス」などの言葉を悪用している出品も拒否している。

米国時間3月4日に、民主党のEd Markey(エド・マーキー)上院議員はAmazonのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に公開書簡を送り、同サイト上で「価格の不当な釣り上げや透明性の欠如の報告が絶えない」ことに対する懸念を表明した。

マーキー氏は「何人(なんぴと)たりとも、恐怖や人間の苦しみを自己の利益機会にしてはならない。特にオンラインの小売業者には、新型コロナウイルスの急激な発生のさなかにおいても消費者を保護する特定の責任がある」としている。

関連記事: 政治的利益を狙いネット上で新型コロナウイルスに便乗する動き

今週初めにFacebookは、同社のプラットフォーム上の新型コロナウイルス関連の検索には、世界保健機構(WHO)と国内の保健機関からの情報を含むポップアップが自動で表示されると発表した

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、Facebookの企業努力に関する最新情報で次のように述べている。「状況が流動的なので、我々は保健医療に関する国の機関とWHO、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)そしてUNICEFのような機関と協力して、新型コロナウイルスに関するタイムリーで正確な情報を入手していく。WHOに対して新型コロナウイルス対策に必要な数の無料広告とその他の現物支援を提供している」

同社はまた、生命に危険が及ぶような新型コロナウイルスに関する間違った情報の削減に向けて、広告や陰謀説、科学的根拠のない治療法などを削除することにも力を入れている。Facebookがマスクの広告停止を決めたまさにこの時期に、国の保健機関は、人びとにマスクの購入を控えるよう促している。健康な人は着用の必要がないことと、マスクの需要がそれを最も必要とする医療従事者への供給を圧迫しているからだ。

画像クレジット: hris Ratcliffe/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebook Messengerが一部の国のMac App Storeに登場

1年前、Facebookは2019 F8デベロッパーカンファレンスで、同社の人気コミュニケーションアプリであるMessengerのデスクトップアプリを提供する計画を発表した。あれから1年たらずたった今、MessengerのmacOS用アプリが公開されはじめた。米国ではまだだが、Messenger for Macはすでに米国以外の一部のMac App Storeに登場している。

TechCrunchはFacebookに、これが米国を含む全世界展開の前兆であるかを尋ねた。同社の広報担当者は、これはまだ完成版ではないと回答した。

「当社はmacOS用Messengeアプリの小規模なテストを一部の市場で実施している」と担当者は答えた。「今はまだユーザーのフィードバックを集めている段階であり、公開時期は決まっていない」。

9to5MaciPhone Hacksがアプリの公開をいち早く報じ、フランスのテック系ニュースサイトであるMacGenerationの記事を参照した。興味のある人は直接フランスのMac App Storeに行けば自分で確認することもできる。

TechCrunchはMessengerがほかのいくつかの市場にも届いていることを確認した。メキシコポーランドオーストラリアなどだ(ほかにもあるかもしれない。本誌はまだ世界中のMac App Storeのリンクをクリックして一つひとつ確認したわけではない)。

デスクトップ版のMessengerアプリは、モバイルアプリとほぼ同じ機能をもち、テキスト以外に音声あるいはビデオのチャットもある。グループのチャット、通話、ビデオチャットも可能だ。ファイルの共有やエモジによるリアクション、反射を避けるためのダークテーマなども、モバイルアプリと同様に利用できる。

アプリの開発に使用されているのはElectronで、Catalystではない。Electronはウェブアプリからデスクトップアプリを作る方法としてよく使われているが、セキュリティー面ではさまざまな意味で堅牢とはいえない。

Mac版アプリの発表は、FacebookがiOS向けにスリム化されて高速になったMessengerアプリを公開した直後のことだった。新しいモバイルアプリは「発見」(Discover)セクションを廃止してインターフェースを簡素化し、Messenger体験をビジネスやアプリではなく、人々やストーリーに改めて方向づけした。

最近Facebookは、コロナウィルス流行を考慮して今年のF8カンファレンスの中止を発表した。これは、もっと待たなければ見ることのなかったニュースや新発表をFacebookから聞けるという意味かもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トランプの新型コロナ「デマ」発言を巡りFacebookでファクトチェック抗争勃発

ファクトチェッカーは誰がファクトチェックするのか? トランプは新型コロナウイルスを民主党の「新たなデマ」だと言ったのか?

右派パブリッシャーThe Daily Caller(ザ・デイリー・コーラー)がPolitico(ポリティコ)とNBC News(NBCニューズ)の記事に「虚偽」のラベルを貼り付けた問題から、大きな疑問が湧き上がった。The Daily CallerのCheck Your Fact(あなたのファクトをチェック)部門は、Facebookのファクトチェックプログラムに加盟するファクトチェックパートナーであり、Facebook上のリンクに「虚偽」というラベルを添付する権限を持つ。ラベルが付けば、ニュースフィードでのランクも、その投稿者の全体的な露出度も下がることになる。

2019年4月、The Daily Callerをファクトチェックプログラムのパートナーに迎えたFacebookの判断は、批評家の激しい非難を浴びた。同社には、誤りであることが広く認知された記事をいくつも掲載した過去があるからだ。これにより、政治的に偏ったファクトチェックという恐れていた事態が現実になったと信じる人たちもいる。

トランプ大統領は、2月28日の夜、新型コロナウイルスの世界的な大流行を、弾劾とミュラー特別捜査官による捜査、そして自身の第1期の功績を不当に傷つけ批判する目的で仕組まれたリベラル派の陰謀と位置づけた。虚偽の情報です独立系ファクトチェッカーが判定しました。
画像クレジット:Judd Legum

今週、Judd Legum(ジャッド・レーガム)氏のニュースレターPopular Information(ポピュラー・インフォメーション)が指摘したように、Check Your Factは、Politicoの「トランプは新型コロナウイルスを『デマ』と扱うよう集会に参加した支持者に訴えた」と、NBC Newsの「トランプは新型コロナウイルスを民主党の『新たなデマ』と発言」という2つの記事を虚偽と評価した。このファクトチェックの説明には「トランプは実際には、新型コロナウイルスの脅威を『デマ』とする問題への彼自身の対応について説明していた」と書かれている。

トランプは、集会でこう述べていた(太字は編集部による)。

今、民主党は新型コロナウイルスを政治問題化している。知ってるだろ、違うか? 政治問題化してるんだ。我々は大きな仕事を成し遂げた

【中略】

彼らは弾劾という茶番を企てた。完璧なプロパガンダだ。やつらはあらゆる手を尽くした。何度も何度も挑んできた。なぜなら、こっちが選挙に勝ったからだ。逆転だ。やつらは負けた。逆転したんだ。考えてもみろ。考えてもみろ。これはやつらの新しいデマだ。だが我々は驚くべき手を打った。この巨大な国で「感染患者は」15人だ。早期に動いたから、早期に動いたから、我々はもっとやれた。

【中略】

誰も死んでない。なのに変だろ、マスコミはヒステリー状態だ

トランプがそこで何を言わんとしていたかを、正確に捉えるのは難しい。新型コロナウイルスをデマだと言っているようにも聞こえる。デマの深刻さを心配しているようでもあり、彼の対応への民主党の批判をデマだと言っているようでもある。定評あるファクトチェック機関Snopes(スノープス)は、トランプが新型コロナウイルスをデマ呼ばわりしたという主張を、嘘と本当が混在したものと評価し、次のように述べた。「彼の発言である程度の混乱が起きたものの、トランプは新型コロナウイルス事態をデマだとは言っていない」

結論:虚偽
この情報の中心的な主張は不正確です。
Check Your Factによるファクトチェック
「虚偽:トランプは実際には、新型コロナウイルスの脅威を『デマ』とする問題への大統領の対応について説明していた」
画像クレジット:Judd Legum

PoliticoとNBC Newsの見出しは、少々行き過ぎたかも知れない。またこれらの見出しは、トランプがこの事態をどう特徴付けているかを明確に表現している。

しかし最大の問題は、なぜThe Daily Callerの判定を他のファクトチェックパートナーが内部監査できないようにFacebookはこのファクトチェックシステムを設計したかだ。

これを問うと、Facebookは責任の所在をはぐらかし、すべてのファクトチェックパートナーは無党派の国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の認証を受けているため、内部監査の必要がないことを示唆した。この団体は倫理規定を公表しているが、そこにはチェックする者に「できる限り誤りのない作業を行うために、報告、記述、編集において高水準を保つ」ことを求める正確性の基準が含まれている。チェックする者はまた、記事の正確さを判断するための基準に従うことが要求され、「非常に疑わしい」や「見出しが虚偽」といった中間的なラベルを付けることも許されている。今回、The Daily Callerはそれらを使用しなかった。

The Daily Callerを真偽の判定者として相応しくないとは思っていないためIFCNの指針に頼ったと、Facebookは私に話した。またFacebookは、パブリッシャーがファクトチェックパートナーに直接掛け合い、判定の異議を申し立てもこともできると主張してた。だがさらに詳しく聞くと、パブリッシャーが異議申し立てができるのは、その判定を担当したパートナーに対してのみであり、他のパートナーに再判定を依頼したり、最初に付けられたラベルの内部監査を求めることはできないとFacebookは認めた。

これでは異論の多い、または不正確なラベルを撤回させられる余地はほとんどない。倫理規定に違反したファクトチェック団体は、IFCNから除外しFacebookのファクトチェックパートナーの資格も剥奪するべきだ。

たとえFacebook自身が真偽の判定をしたくないにしても、せめて決められた数のファクトチェックパートナーがその役割を果たせる制度を整えるべきだろう。ラベルが不正確だと複数のパートナーが合意したときは、記事のラベルの段階を軽くするか、ラベルを削除する。さもなければ、ひとつのファクトチェック団体の誤りや偏見が、報道機関の仕事全体を抑圧し、人々から真実を奪い去りかねない。

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(翻訳:金井哲夫)

注目が集まるオンラインイベントのプラットフォームを提供するRun The Wolrd

このところ毎日、イベントがキャンセルされたニュースを聞く。もちろん新型コロナウイルスに対する懸念が原因だ。Microsoftはゲーム開発者のカンファレンス、GDCへの参加を取り止めたと発表した。Facebookも5月に予定されていたF8 2020の開催をキャンセルした。

F8はFacebook最大のイベントであり、毎年大勢の参加者を集めてきただけにキャンセルの影響は極めて大きい。 Facebookはイベントのオフラインで行うものを中止したものの、他はオンラインでストリーミングする計画だ。

Facebookであれば、こうした大規模イベントのオンライン化は社内のテクノロジーを利用して行えるだろう。しかしそうしたリソースを社内にもたない場合、新しいオプションがある。社員18人、創立1年半になるRun The Worldは台湾と中国にもエンジニアのチームを持つマウンテンビューのスタートアップだ。

Run The Wolrdはオンラインイベントの組織、運営に必要な参加登録、チケット販売、ビデオカンファレンス、ソーシャルネットワークなどを含むプラットフォームを提供する。パンデミックに対する懸念からイベントのオンライン化を考えている主催者には理想的なサービスだ。

このスタートアップに対する最大の投資家はシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル、a16nとして知られるAndreessen Horowitzで、すでに430万ドル(約4億6500万円)のシード資金を投じている。株主にはGSR Ventures、Pear Ventures、122 West Ventures、Unanimous Capitalに加え、エンジェル投資家でFacebookグループのCalibraのバイスプレジデントであるKevin Weil(ケビン・ワイル)氏、Patreonの共同ファウンダー、Sam Yam(サム・ヤン)氏、Jetblue Airwaysの会長であるJoel Peterson(ジョエル・ピーターソン)氏らが参加している。

写真左のRun The Worldの共同ファウンダー、CEOのXiaoyin Qu(シャオイン・ク)氏はFacebookとInstagramでエンタテインメント関係のプロダクトのリーダーを務めた。ク氏によれば「エンタテインメント分野のインフルエンサーやクリエーターに関係あるすべて」を扱ったという。

ク氏はスタンフォード大学のMBAを中退して、写真右のXuan Jiang(スアン・チアン)氏とともにこのスタートアップを始めた。チアン氏はFacebookでク氏の元同僚でジョージア工科大学のコンピュータ科学の修士だ。Facebookではイベント、広告、ストーリーの上級エンジニアだった。

Andreessen Horowitzのジェネラル・パートナーのひとりででこの投資をまとめたConnie Chan(コニー・チャン)氏にク氏について教えられ、私はク氏に2月27日にインタビューすることができた。

ク氏によれば、このスタートアップを始めたきっかけは中国で医師、医療研究者として働く母親の体験だった。2018年に髄膜炎の専門家としてシカゴのカンファレンスに参加したとき、やはり髄膜炎を研究しているドバイの医師と知り合い、貴重な知見を交換することができた。

シリコンバレーの起業家やジャーナリストのようにいつも世界を飛び歩いている人間にはさほど特別な経験には思えないが、ク氏の母親にとっては大事件だった。中国からの出国手続き、アメリカのビザ取得の煩雑さはいうまでもなく、チケットの購入や宿泊にはひと財産が必要で、旅行時間も非常に長い。しかもこの旅は35年の医師生活で初めての海外出張だったという。

ク氏は「スタンフォードだったら毎日のようにカンファレンスが開かれているので、キャンパスを歩いていれば避けるのが難しいくらいだ」とジョークを言う。

多くのファウンダーと同様、ク氏も自分自身や身近な人々が現実に遭遇した「痛点」を解決するために創業した。ク氏の場合は、母親が中国にいながらリモートワークで参加し、髄膜炎の研究に役立つ情報を得られるオンラインで行われるカンファレンスのプラットフォームを作ろうとした。

このプラットフォームの提供は図らずも絶好のタイミングとなっている。現在、多くの人々が集まるイベントを計画している主催者はRun The Worldが提供するようなオンラインイベントへの切り替えを真剣に検討しているところだ。

ク氏のスタートアップが実際にサービスの提供を始めたのは4カ月前に過ぎないが、すでに数十回のイベントをホストしており、予定されているイベントは数百にも上る。ク氏によれば、ユーザーの1社は wuhan2020という武漢のオープンソースコミュニティーで、新型コロナウイルス対策に役立つソリューションを求めて3000人以上のデベロッパーがリモートワークによるハッカソンを実施している。

このプラットフォームはラオスにおけるゾウの保護に関するカンファレンスを実施し、2週間で15カ国から3万ドル(約324万円)の寄付を集めることができた。主催者は乏しい予算しかなかったが、まったくムダのない低予算でオンラインイベントを開催し、経済的に余裕ある人をはじめとした多くの人々から寄付をつのることができた。

Run The Worldはこうした小型、低予算のイベントを効率的にホストできるのも強みだ。たとえばエンジニア向けにデートのテクニックをコーチするというイベントではわずか40人を対象にしたワークショップを開催することができた。ク氏によれば主催者は1300ドル(約14万円)の収入を得ることができた。

このスタートアップのビジネスモデルはごく単純で、カンファレンスのチケット販売額の25%を得るのと引き換えにイベントの主催に必要なサービス一切を提供する。これにはカンファレンスの紹介、告知のテンプレートから参加登録、チケットの販売と支払い(Stripeを利用)、カンファレンスのストリーミング、専用のソーシャルネットワーク、イベント終了後のフォローアップなどが含まれる。さらに現実のカンファレンスにおけるカクテルパーティーをオンライン化した参加者同志をマッチングして数分間親しく会話できる機能も含まれる。

【略】

Run The Worldが規模を拡大すれば「(副作用を取り除くための)新しい方法を考えねばならないだろう」とク氏は言う。

FacebookとInstagramにおける経験が、プラットフォームの構造や成長を勢いをづけるビジネスモデルについての洞察を与えたことは間違いない。ともあれク氏は「200万人を集めるイベントを扱いたいとは思わない。むしろ50人が集まるイベントを200万回扱いたい」と述べた。

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滑川海彦@Facebook

Facebookの3Dフォト機能がシングルカメラスマホユーザーでも利用可能に

Facebook(フェイスブック)は2018年に初めて3Dフォトを公開し、その技術的詳細を共有したが、当時はデュアルカメラを搭載した数少ないスマートフォンがなければ、3Dフォトを自分で作ることはできなかった。しかし、米国時間2月28日のアップデートで、1台のカメラしか搭載していないスマートフォンユーザーでも、3Dフォトが利用できるようになった。

覚えていない人や知らない人のために説明すると、3Dフォトは2D画像を分析し、それをたくさんのレイヤーに分割して、iPhoneを傾けたりスクロールしたりすると個別に動くというものだ。私は3Dの大ファンではないし、Facebookも使っていないが、この機能はとてもクールだ。

 

 

問題は、これがデュアルカメラを使用してシステムが距離を判断し、画像を切り分けていることだ。つまり、iPhone SEを含むデュアルカメラでない数多くのスマートフォンでは、この機能は利用できない。

しかしここ数年、フェイスブックのコンピュータービジョンチームは、デュアルカメラを使わずにこれを可能にする手法に取り組んできた。そしてついに彼らは成功。技術的な詳細は、このブログ記事で解説されている。

この進歩により、シングルカメラを搭載した比較的新しいスマートフォンの多くが、この機能を利用できることになる。具体的には、Google(グーグル)のPixelシリーズとiPhone 7以降のシングルカメラ搭載機種がサポートされる。Androidスマートフォンは非常に他機種であるため、どのデバイスがサポートされ、どのデバイスがサポートされないのかを判断するのは難しい。これはスペックシートに記載されていないいくつかの要素によるが、Facebookアプリをアップデートして写真を撮れば、それはわかるだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Facebookも新コロナへの懸念でF8カンファレンスを中止

Facebookは、COVID-19コロナウイルスのパンデミックに対する懸念の高まりを考慮し、毎年開催されているF8デベロッパーカンファレンスをキャンセルしたことを発表した。

発表によれば、キャンセルされたのはサンノゼで開催予定だった「オフラインのイベント」であり、F8のキーノートやビデオプレゼンなどはリアルタイムでストリーミングされるという。Facebookのデベロッパープラットフォームとプログラムの責任者であるKonstantinos Papamiltiadis(コンスタンティノス・パパミリタディス)氏は声明で次のように述べている。

「毎年のF8は世界のFacebook開発者コミュニティの祝日として非常に重要であるものの、メンバーの健康と安全には換えられない。COVID-19ウィルスに関する懸念から、F8の現実のイベント部分はキャンセルする。しかしライブストリーミングを含む各種のビデオ・コンテンツを通じて世界のデベロッパーパートナーとつながることができるものと期待している」。

このFacebookの決定は、今週バルセロナで開催される予定だったMWCキャンセルに続くものだ。Microsoft(マイクロソフト)を始め多くの企業が来月のゲーム・デベロッパーのカンファレンス、GDCから撤退したが、主催者は昨日「予定どおりに開催される」と述べた

Facebookは「F8カンファレンスのオフライン部分を実施する方策を各種検討したが、(外国からの参加を禁止するなどの方法は)F8を世界の開発者コミュニティーの祭典とするという我々の方針に反する(ので採用されなかった)」とパパミリタディス氏はブログ記事で述べている。Facebookはこの数週間内にさらに詳細を発表するとしている。

F8カンファレンスのキャンセルの影響を軽減するため、同氏は「Facebookはテクノロジーの多様化に取り組んでいる組織に50万ドル(通常の2倍の金額)を寄付する」と述べた。対象はF8が開催される予定だったサンノゼ市民にサービスを提供する組織が優先されるという。Facebookは例年、地元の学生をF8に招待しているため、今年はF8そのものに代わって、「F8に触発された体験」を提供するという。

大規模なハイテクイベントにとってコロナウイルスに対する懸念が2020年を通じてどのような影響を与えるのかは不明だ。株式市場や決算にはすでに影響が及んでいる。WHOによれば 、世界47カ国で8万2000人以上のCOVID-19感染が確認されており、2800人前後が死亡している。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

FacebookのLibra Associationに暗号プライムブローカーのTagomiが参加

TechCrunchが入手した情報によると、Facebook(フェイスブック)が支援する暗号通貨のLibraを管理するLibra Associationの新たなメンバーに、2800万ドル(31億円)の資金を調達した暗号スタートアップのTagomiが加わるという。Tagomiの正式な参加表明は、米国時間2月28日、もしくは来週に予定されていた。

Tagomiは大規模なトレーダーやファンドが暗号通貨市場に簡単にアクセスできるプラットフォームを提供している。今回のニュースは、LibraがShopifyを追加した数日後に伝えられた。なお、昨年末にはVisaやPayPal、Stripeなどの主要パートナーが脱落している。

TechCrunchはLibra Associationに連絡を取り、Facebookのコミュニケーションチームから回答が得られると約束された。

Libraへの参加は、Tagomiが暗号通貨の開発に少なくとも1000万ドル(約11億円)ぶんの貢献をすることが期待されていることを意味し、Libra Reserveに預けられた投資額からの利息から、配当を得る資格がある。Tagomiはまた、Libraのブロックチェーンを経由するトランザクションを検証するノードも運営する。

Tagomiは、Union Square Venturesの元投資家でLibra AssociationのメンバーでもあるJennifer Campbell(ジェニファー・キャンベル)氏によって設立された。会社には5カ所のオフィスと、25人の従業員がいる。TagomiはLibra Associationの22番目のメンバーになることが同スタートアップの広報担当者からの情報で明らかになっている。この情報は、後に公開されるはずだったようだ。「TagomiはLibra Foundationに加入し、キャンベル氏が新しいメンバーになる」と、TagomiはTechCrunchにメールで回答した。同氏へのインタビューの後、この記事をアップデートする予定だ。

キャンベル氏とTagomiは、Libraの暗号化通貨の安全性を高め、国際法に準拠させるための、技術的および政策的なサポートをLibraに提供する。これはLibra Associationにとって、当初計画されていた2020年のローンチに向けて規制当局からゴーサインを得るために極めて重要なことだ。米国と欧州連合(EU)の政治家らは、資金洗浄を容易にしたり、プライバシーを侵害したり、国際金融システムを不安定にしたりする可能性があるとして、聴聞会や報道経由でLibraを激しく非難してきた。

Libra Associationの正会員は以下のとおりだ。

現在のメンバー

Calibra、Tagomi、Shopify、PayU、Farfetch、Lyft、Spotify、Uber、Illiad SA、Anchorage、Bison Trails、Coinbase、Xapo、Andreessen Horowitz、Union Square Ventures、Breakthrough Initiatives、Ribbit Capital、Thrive Capital、Creative Destruction Lab、Kiva、Mercy Corps、Women’s World Banking

過去のメンバー

Vodafone、Visa、Mastercard、Stripe、PayPal、Mercado Pago、Bookings Holdings、eBay

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Oculus Riftのベストゲーム「Asgard’s Wrath」を制作したSanzaru GamesをFacebookが買収

Facebookは2019年に立ち上げたVRハードウェアを、自らの投資で制作したVRソフトで肉付けしていく気だ。

同社は米国時間2月25日、ベイエリアのVRスタジオSanzaru Gamesを買収したことを発表した。Sanzaru Gamesの「Asgard’s Wrath」は、多くの熱心なファンがOculus Riftのベストゲームというタイトルだ。買収の条件は公表されていないが、米国とカナダにあるオフィスはそのまま仕事を続け、社員の大多数は海外から来るとFacebookは言っている。

創業13年のゲームスタジオはこれまで、Oculus Rift用に4つのタイトルを制作しているが、「Asgard’s Wrath」と「Marvel Powers United VR」は、Oculus Studiosが一部の資金を出している。Sanzaru Gamesには、ゲーム機やモバイル用のタイトルも多く、自社のIPのほかにSonicやSpyroのようなプロパティをライセンスされたものもある。

Facebookは2019年11月にBeat Gamesを買収しているが、今回のSanzaru Gamesの買収もやはり、VRゲームスタジオに対するFacebookの継続的な関心のあり方を示している。つまりFacebookは、ゲームスタジオをサポートしながらも彼らが自らの関心に合わせて独立して運営できるようにしている。Beat Gamesの「Beat Saber」はどちらかというとマスマーケット向けのタイトルだが、Sanzaru Gamesの「Asgard’s Wrath」は長編の一人称アドベンチャーで、本格的なゲーマーを狙っている。

FacebookのVRへの投資はすでに数十億ドル(数千億円)に達しているが、同社はOculus QuestやOculus Rift Sといった2019年にリリースした自社ハードウェアを軸にして、コンテンツのエコシステムを築こうとしている。この方向にある投資の勢いは、今後も衰える気配はない。

関連記事: Facebook buys VR studio behind Beat Saber…FacebookがBeat SaberのVRスタジオを買収(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

FacebookのCreator Studioにモバイル版が登場

FacebookのCreator Studioにモバイル版が追加された。Creator Studioは、2018年8月に全世界で利用可能になったクリエイターとパブリッシャー向けのインサイトダッシュボードだが、今回、iOSとAndroidの両方のモバイルアプリとして利用できるようになっている。デスクトップ版のCreator Studioと同様に、ユーザーはFacebookのページ全般に渡ってコンテンツのパフォーマンスを追跡し、記事の公開、投稿スケジュールの設定や調整、ファンからメッセージへの返信などが可能となる。

画像クレジット:Getty Images

Facebookの北ヨーロッパのエンターテインメント担当ディレクターAnna Higgs(アンナ・ヒッグス)氏は、先週のVidCon Londonで、Facebookに400万人を超えるフォロワーを持つクリエーターLadbaby(ラドベイビー)氏とともにステージに登場し、新しいアプリ公開のニュースを発表した。

アプリには、クリエーターやパブリッシャーにとって役立つ、メトリックやインサイトのセクションなど、いくつかの重要な領域がある。ここでユーザーは、ページ単位と記事単位のどちらでもインサイト、リテンション、ディストリビューションといったメトリックを分析し、状況に応じて戦略を調整できるようになる。たとえば「動画の1分再生数」、「動画の3秒再生数」、「再生時間」といった、コンテンツのパフォーマンスのメトリックが得られる。さらにコメントや共有、フォロワー数、収益など「エンゲージメント」のメトリックを得ることもできる。

またこのモバイル版アプリでは、すでに公開された投稿と、スケジュールされた投稿の両方を表示することができる。クリエーターはビデオのタイトルや説明の編集など、その場で修正が可能だ。さらに投稿の削除や、期限切れとしての設定、リスケジュール、ドラフト版の公開といったことも可能となる。

「受信箱」セクションでは、ユーザーが外出中でも、受信したメッセージに返信したり、コメントを返したりできる。

クリエーターは、同じセッションの中で、複数のアカウントを切り替えることもできるので、いったんログアウトして、別のユーザーとしてログインし直したりしなくても済む。これは、大規模なソーシャルメディアを管理している人や、複数のクリエーターページのサポートを生業としている人にとっては、ありがたい機能だろう。

このCreator Studioアプリを使って、大きな機会や重要なイベントに際して即効性のある通知を送信することも可能だ。

Facebookが、クリエイターのコミュニティに向けて専用アプリを提供したのは、これが初めてではない。同社は2017年にも、統合された受信箱、分析機能などを持つCreatorアプリを投入していた。しかし、そのアプリは2019年初めごろに廃止され、クリエイターはPages Managerアプリ、またはCreator Studioのデスクトップ版への移行を余儀なくされていた。さらにその前にもFacebookは、あらかじめ認定された有名人や、そのページでのみ利用可能なMentionsアプリを提供していたこともある。

新しいCreator Studioアプリは、廃止されたCreatorアプリをそのまま置き換えるものではない。似たような機能は提供しているが、まったく同じというわけではなく、ユーザーインターフェースも異なっている。また、Instagramの統合機能はなく、新しいコンテンツをアップロードしたり、投稿したりする機能も欠いている。後者は、リリース後のアプリのユーザーレビューが低い原因となっている。また、Pages Monitorアプリとオーバーラップする部分が多すぎるという不満も多く聞かれる。ただし、欠落している機能については、今後Facebookがアプリに機能追加していくに従って搭載されていくものと思われる。

ところで、FacebookのCreator Studioアプリが、同じくクリエーター向けの、YouTubeのサービスに似た名前であることに気づくだろう。YouTube Studioは、2017年にYouTube Creator Studioから名称が変更された。アプリの名前に「Studio」と「Creator」の両方を含むことで、App Storeの検索結果に対して良好な効果が得られるかもしれない。たとえば、誰かが「クリエーター向けのYouTubue Studio」を検索したとき、近い名前のアプリとして表示される可能性が高まるからだ。こうした名前の付け方も、才能あるビデオクリエイターを惹きつけようと躍起になっている両社の競合関係を反映したものだろう。

モバイル版のCreator Studioアプリは、iOS用もAndroid用も無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

eコマースプラットフォームShopifyがFacebookのデジタル通貨Libra運営団体に加盟

eBayやVisa、Stripe、その他の有名企業などはFacebook(フェイスブック)が主導するデジタル通貨Libra(リブラ)を見捨てたが、Libra運用団体は米国時間2月21日、Shopify(ショッピファイ)という新たな加盟社を得た。eコマースプラットフォームのShopifyはLibra Associationの会員になる。少なくとも1000万ドル(約11億円)を拠出し、Libra取引の結節点となる。

現在は国際規制当局の懸念がLibra展開を阻んでいるが、もしその懸念をLibraが和らげることができたら、Shopifyはクレジットカードの手数料を払うことなく決済を処理する手段を得ることになる。Libraでは手数料ゼロ、もしくはほぼゼロとなる見込みだ。Shopify、そしてShopifyのプラットフォームでオンラインショップを運営する100万もの業者は節約できることになるかもしれない。

ShopifyはLibra Associationへの加盟の理由として、業者の手数料抑制のサポートと発展途上国への商業機会の提供を挙げた。「世界の金融インフラの大半はインターネットコマースのスケールやニーズに対応するようにつくられていない」とShopifyはいう。以下に、発表の最も重要な箇所を掲載する。

我々のミッションはすべての人にとってコマースをより良いものにすることであり、そのためにお金や銀行業務がさらに良いものになる世界の一部として、コマースをいかに改善していくか考えることに多くの時間を費やしている。Libra Associationのメンバーとして、業者やあらゆる消費者にお金が回り、またサポートできるようにする決済ネットワークを構築するために社を挙げて取り組んでいる。我々のミッションはプラットフォームで100万を超える業者の起業家としての旅をサポートするというものだった。これは、透明性のある手数料や資本へのアクセス、業者の顧客データのセキュリティとプライバシーを確かなものにすることを意味する。世界中のさらに多くの起業家を力づけるインフラを構築したい。

Libra AssociationのメンバーとしてShopifyはバリデーションを行うオペレーターになり、Libra Association評議会の投票権を得る。そして少なくとも1000万ドル(約11億1600万円)の投資をするLibraが稼ぐ利子の配当金をもらうことができる。

Libra Associationは当局の調査を受けている最中の10月に、一連のメンバーがプロジェクトを見捨て、多くのeコマース専門の会社を失った。そこにはVisaやMastercardといった従来型の決済企業や、 StripeやPayPalなどのオンライン決済企業、eBayのようなマーケットプレイスが含まれる。こうした動きは、人々がデジタル通貨を使うのに十分な場所を確保するために、果たしてLibraが適したパートナーを得られるかという疑念を引き起こした。

Libraが安全であると当局に納得させようと、FacebookはFacebook PayやWhatsApp Payといった従来の銀行送金やクレジットカードに頼ってきた決済手段に取り組んできた。

ShopifyのCEO、Tobi Lutke(トビ・リュトケ)氏は「お金や銀行業務がさらに良いものになる世界の一部としてコマースをいかに改善していくか考えることに、Shopifyは多くの時間を費やしてきた。だからこそ我々はLibra Associationのメンバーになることを決めた」とツイートした。

「Shopify(ショップ含む)をLibra Associationに迎えられることを誇りに思う。おおよそ175カ国にまたがる100万超の事業者を抱える多国籍コマースプラットフォームとして、Shopifyは Libraプロジェクトに多大なる知見や専門性をもたらす」とLibra Associationの政策・広報責任者のDante Disparte(ダンテ・ディスパート)氏は書いている。「Shopifyは、安全で透明性のある、そして消費者フレンドリーなグローバル決済の実行に向けて取り組んでいるLibra Associationの積極的なグループに加わった」

直近の雇用もまた、2者をさらに結びつけた。Facebookの決済プラットフォームと宣伝チームを率いた前プロダクトマネジャーKaz Nejatian(カズ・ネジャティアン)氏は2019年9月にShopifyの副社長兼マネー担当GMになった。

発展途上国では時として確保するのが難しい従来型の銀行口座がなければ、eコマースショップの運営はかなり難しく、不可能かもしれない。Libraではそうした業者がかなりのクレジットカード手数料なしにすぐに決済できるLibra Walletを確保できる。理論的にはローカルの実在店舗やATMで、その地で流通している貨幣で現金を引き出すことができる。

Shopifyのクレジットカードリーダー

それらの一部が実現するにしても、Libra Associationはテロリストが資金を洗浄したり、人々のプライバシーを損なったり、グローバル金融システムにおいて国のパワーを弱めたりすることはない、と米政府やEUを納得させる必要がある。フランスのBruno Le Maire(ブリュノ・ル・メール)財務相は「国々の金融自主権は金の民営化という危機に直面している。我々は欧州でのLibraの開発を認めることはできない」と述べた。

Libraは当初、2020年の開始が予定されていた。

Libra Associationのメンバーは以下の通りだ。

現在:FacebookのCalibra、Shopify、PayU、Farfetch、Lyft、Spotify、Uber、Illiad SA、Anchorage、Bison Trails、Coinbase、Xapo、Andreessen Horowitz、Union Square Ventures、Breakthrough Initiatives、Ribbit Capital、Thrive Capital、Creative Destruction Lab、Kiva、Mercy Corps、Women’s World Banking

前メンバー:Vodafone、Visa、Mastercard、Stripe、PayPal、Mercado Pago、Bookings Holdings、eBay

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(翻訳:Mizoguchi

Facebookがインド教育スタートアップのUnacademyを支援

インドで最も急速に成長している教育スタートアップの1つであるUnacademyが、Facebook(フェイスブック)から支援を受けた。

この件に詳しい情報筋がTechCrunchに語ったところによると、Facebookは創業4年のUnacademyにおける、シリーズEの資金調達ラウンドに参加したという。

ラウンドはGeneral Atlanticがリードし、情報筋によればその規模は約1億ドル(約110億円)だという。Facebookがどの程度の金額を出資したのかは今のところ不明だが、2000万ドル(約22億円)以下だとの情報がある。Unacademyは以前に9000万ドル(約100億円)を調達しており、今回のラウンドによって評価額は4億ドル(約440億円)を超えるという。

Unacademyは大学入試の準備している学生と、卒業に向けたコースを目指す学生を対象としている。これにより、学生は教師のライブ授業を見たり、後でセッションに参加して、トピックをより詳細にレビューすることができる。

1年前、Unacademyは学生にすべてのライブクラスへのアクセスを提供する、サブスクリプションサービスをローンチした。Unacademyの共同設立者でCEOのGaurav Munjal(ガウラフ・ムンヤル)氏は今月、サブスクリプションサービスが3000万ドル(33億円)のARRビジネスになったとツイートした。

Facebookがインドのスタートアップに投資するのは、これで2回目だ。2019年に同社はProsus Ventures主導のソーシャルコマースことMeeshoによる1億2500万ドル(約140億円)の資金調達ラウンドに参加した。

FacebookとUnacademyは今回の資金調達に関する質問に回答していない。

Facebook IndiaのVP兼マネージングディレクターのAjit Mohan(アジット・モハン)氏は、2019年のTechCrunchとのインタビューで、同社はインド市場のためのソリューションを構築しているスタートアップに門戸を開いていると語った。

「現在のビジネス以外にも機会がれば、さらなる投資を模索する用意がある」と、モハン氏は語っている。

インド紙のMintが2019年12月に報じたところによると、UnacademyはGeneral AtlanticおよびGGV Capitalと、1億ドル(約110億円)の資金調達について交渉中だという。また、2月初めにエデュテックスタートアップのVedantuに投資したGGV Capitalは、Unacademyの資金調達ラウンドに参加していない。

VedantuとUnacademyは、General Atlanticから投資を受け80億ドル(約8800億円)の評価額を持つ、インドのスタートアップのByjuと競合する。Chan Zuckerberg InitiativeはByjuに投資しているが、少なくとも株式の一部を売却していることがEntrackrの報告書で明かされている。

インドのスタートアップエコシステムが成熟し始めるにつれて、同国は大企業を惹きつけ始めた。Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Twitter(ツイッター)もインドのスタートアップに投資している。TwitterはソーシャルプラットフォームのShareChatを支援している一方、GoogleはハイパーローカルコンシェルジュアプリのDunzoに投資している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Facebookが読みたい最新、既読投稿をタブで開ける新フォーマットをテスト中

Facebookは、ニュースフィードを現在と異なるアルゴリズムで簡単に表示できるタブに基づいた新しいフォーマットをテスト中だ。

Facebookはモバイル・アプリでこのタブ利用のプロトタイプをテストしている。これには現在使われている関連性の高さによってランキングする標準のニュースフィードの他に、新しい情報を優先する「最新情報(Most Recent)」、「既読の投稿(Already Seen)」といったタブが簡単に選べるようになる。これらのフィード自体は現在でも提供されているが、「最新情報」はサイドバーのメニュー(「ニュースフィード」の右側の「…」を開く)に埋め込まれており、「既読の投稿」はデスクトップからURL(facebook.com/seen)でアクセスするしかなかった。

タブ方式はまだ一般公開されていないが、 このバージョンが正式に公開されればユーザーのニーズに応じて多様な情報にダイナミックかつ容易にアクセスできるようになる。これはFacebookに活気を取り戻すのに役立つだろう。

「最新情報」はその名が示すとおりリアルタイム性が高く、今何が起きているかを知るのにつごうがよい。また「既読の投稿」タブは興味を感じた投稿だがニュースフィードの中に見失ってしまったときに便利だ。投稿を読んでしばらくしてからリンク先を読みたいとかコメントを付けたいなどと思うのはよくあることだ。インターフェイスがタブ化されれば、この操作がワンクリックでできるようになる。実装されれば、ニュースフィードとして最大のデザイン変更になるだろう。2013年にFacebookは写真、音楽、「友達のみ」など複数のアルゴリズムでフィードを提供するオプションを発表したものの、結局実現しなかった。

タブ版ニュースフィードのプロトタイプは Android版アプリのコード中で発見された。TechCrunchに情報を提供してくれたのは、最近も重要なリバース・エンジニアリングを成功させている専門家、Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏だ。ウォン氏はこのコードから上のスクリーンショットのようにタブ版Facebookの画面を生成することに成功した。

左側スクリーンショットでは投稿上部に「関連(Rlevance)」、「最新(Recent)」、「既読(Seen)」というタブが表示される。右のスクリーンショットはニュースフィードの設定画面で、さらに詳細な設定が可能だ。

マーク・ザッカーバーグは「複数フィード」を発表したが、後に公開を中止

Facebookの広報担当者は、TechCrunchの取材に対して「このプロトタイプを外部で実験する可能性はあるが、今のところ部内のみ公開」だと認めた。ユーザーが「最新情報」や「既読の投稿」にアクセスする手段としてタブ化するのが最適な方法なのかどうか判断するにはまだ少し時間がかかるもようだ。

目的の情報へのアクセスが容易になれば、ユーザーはそれだけ長くFacebookに滞在してくれるはずだ。標準のニュースフィードが退屈な投稿ばかり選んでくる、友達がこの瞬間に何をしているのか知りたい、以前見ておもしろかった写真ををもう一度みたい、などということはよくある。こういうときに投稿のトップにタブが表示されていればワンタッチでアルゴリズムを切り替えることができる。一方、ユーザーの滞在時間が増えればFacebookの広告価値がアップし売上増に貢献する。利益の増加ペースが落ちていると最近ウォールストリートに文句を言われているFacebookとしてはこれが重要な点だ。

部外者の多くにとってFacebookの投稿選択アルゴリズムは巨大なブラックボックスだ。セレブだからというだけで「いいね!」が多数ついた投稿やセンセーショナルというだけで(多分誤った内容の)ビデオばかりが選択されるアルゴリズムでは、Facebookのユーザーに不満を感じさせることになる。すでに成熟したソーシャルメディアなのだから、Facebookはコンテンツに対するユーザーのコントロールをもっと拡大すべきだろう。

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滑川海彦@Facebook

Facebook最新実験アプリ「Hobbi」は個人プロジェクトを記録する

Facebookは、NPEチームの実験プロジェクトにまたひとつ新しいアプリを追加した。NPEは昨年Facebookが発表した取組みで、ソーシャルネットワークの新しいアイデアを早く試してユーザーがどんな反応を示すかを見ることを目的としている。今週同チームは、4つ目の実験プロジェクトとして、Hobbiを公開した。写真とビデオを共有するアプリで、個人のプロジェクトや趣味を記録に残すために作られている。

HobbiがPinterestからヒントを得ているのは明らかだが、単に思いついたアイデアを貼り付けるピンボードではない。代わりにこのアプリは、ホビイストが自分の写真コレクションを園芸、料理、アート&クラフト、装飾品などテーマ別に整理する手助けをする。狙いは、時間とともに進捗状況を追跡するところにある。

同アプリにソーシャルネットワーク的要素はなく、プロジェクトを完了したあとにハイライトビデオを作って外部で共有できるだけだ。

つまりHobbiは、新しいソーシャルネットワークというよりも、エディターや整理ツールに近い。

またこのアプリは非常にシンプルで、Instagramのストーリーエディターのような本格的ツールに比べてボタンや編集オプションはごくわずかしかない。

しかし、Hobbiの公開が、GoogleのインキュベーターであるArea 120から生まれたTangiというこれもクリエイター、趣味、DIYコンテンツなどに特化したアプリの公開のすぐ後だったのは興味深い。Tangiは違うタイプのアプリで、ショートビデオを中心に作られており、DIY用のTikTokとも言える。しかし、両方の会社がDIY分野で参入テストを行っていることは、Pinterestが独占していると見られている趣味、プロジェクトの分野に、まだまだ切り開くべきニッチがあることを示唆している。

これまでFacebookが出したNPEチームブランドのアプリとごくわずかだ。昨年11月、友達を作るためのチャットアプリ、BumpとソーシャルミュージックアプリのAuxを公開した。最初の実験アプリはミームエディターのWhaleだった。

これまでのところFacebookはここのNPEチームアプリの計画についてコメントを控えていて、当初の発表の通り、アプリの提供状況については個々のアプリによるとしている。

The Information誌も本日Hobbi公開のニュースを報じ、これを受けてPinterest株が下落したことを指摘した。

Hobbiは米国時間2月12日にiOS版のみ公開された。TechCrunchでは米国でダウンロードできることを確認したが、ほかにコロンビア、スペイン、およびウクライナでも利用可能だ(訳者注:日本でもダウンロード可能)。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookのデート機能を当局が欧州での立ち上げ認めず

Facebook(フェイスブック)のデートサービス立ち上げが延期を余儀なくされた。EUデータ規制当局に事前に十分に情報を提供せず、法的に求められるプライバシーリスク評価の実施を示さなかったためだ。

2月12日、アイルランドの新聞Independent.ieは、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)がダブリンにあるFacebookのオフィスにFacebookが提出しなかった書類を求めて職員を派遣した、と報じた。DPCはアイルランドのデータ保護法第130条で認められている立ち入り調査と書類差し押さえの権限を行使した。

DPCはウェブサイトで発表した声明文の中で、FacebookがEUでデート機能の提供を開始すると2月3日に連絡してきた、と述べた。

「Facebookアイルランドから今回初めてこの新機能について聞き、非常に懸念している。2月13日から展開しようというのは意図的だと考えている」と当局は書いている。「データ保護インパクト評価(DPIA)や、Facebookアイルランドの決定プロセスに関する情報や書類が2月3日の時点で何も提供されていなかったという事実に、我々はさらに懸念を募らせている」

Facebookは20185にデート分野に進出する計画を発表した。同社のデベロッパー会議F8の場で、Facebookを利用していない人をネットワークに引き込むために、Tinderの分野に侵入してデート機能を盛り込むことを明らかにした。

数カ月後、新機能はまずコロンビアで試験展開され、その後南米とアジアでサービスを展開する国を増やした。そして米国では昨秋、FTC(連邦取引委員会)から史上最大のプライバシー問題で50億ドル(約5500億円)の罰金が科された直後に始まったばかりだ。

米国での立ち上げ時、Facebookは2020年初めまでに欧州でもデート機能が使えるようになる、と語っていた。だが同社はDPCがFacebook所有のプロダクトについての複数の調査を行なっているにもかかわらず、EUプライバシー当局にデート機能について情報を共有しようと考えなかった。

極めて不注意なのか、あるいはデータ掘削活動のプライバシー監視など意図的に無視したのか、そのどちらかだろう。

DPCの声明文では、調査するために当局がダブリンにあるFacebookのオフィスを2月10日に訪れた、としている。“関係書類を素早く差し押さえるため”だ。

これは、デート機能の提供開始を告知してきた日から1週間たってもFacebookが必要情報をDPCに提出していなかったことを示している。

また声明文には「Facebookアイルランドは昨夜、この機能の展開を延期した、と我々に知らせてきた」とある。

これは、少なくとも半年前から準備してきたFacebookのプロダクト展開が行き詰まったことを示している。

DPCの広報責任者Graham Doyle(グラハム・ドイル)氏は調査の強制措置を認め、TechCrunchにこう語った。「月曜日に調査の一環として回収した全書類をレビューしている。そしてFacebookにさらなる質問をしていて、回答を待っている」

「我々が月曜日に回収した書類に含まれるものはDPIAだ」とも述べた。

なぜFacebookがDPIAを2月3日にDPCに送付しなかったのか、という疑問がわく。我々はFacebookにコメントを求めるとともに、いつDPIAを実施したのか尋ねている。

アップデート:Facebookの広報は以下の声明文を出した。

Facebook Datingを正しく立ち上げるのは非常に重要であり、我々はこの機能を欧州マーケットで展開する準備が整ったことを確認するのにもう少し時間をかける。強固なプライバシーセーフガードを構築するために注意深く取り組んでいる。またデータ保護インパクト評価(DPIA)は欧州での立ち上げ前に完了させた。このことは、リクエストされたときにアイルランドDPCにも共有した。

我々はFacebookに、もし“正しく”立ち上げることが“非常に重要”なら、なぜ必要とされた書類を当局がFacebookのオフィスに回収にくるのではなく、事前にDPCに提出しなかったのか尋ねた。返事があればアップデートする。

我々はまた、DPCに次のステップについて尋ねている。EUの基準に満たないようであれば、当局はFacebookに欧州でのプロダクト機能に変更を加えるよう命じるかもしれない。立ち上げ延期は多くのことを意味する。

GDPRでは、企業は人々のデータを扱うプロダクトに(明らかにデートプロダクトも対象となるだろう)プライバシーをデフォルトで盛り込む必要がある。

DPIAは個人の権利や自由への影響を検討するために、個人情報処理を査定するものだ。GDPRでは、個人のプロファイリングが行われたり、重要なデータを大規模に処理したりするときにDPIAが必須となる。

繰り返しになるが、欧州に何億人ものユーザーを抱えるFacebookのようなプラットフォームでのデート機能立ち上げは、明らかに事前査定が行われるべきケースだろう。

画像クレジット: Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi

Facebookが英国のAIスタートアップを密かに買収

ここ数年、FacebookはAI機能の開発に注力しており、コンピュータービジョン、自然言語処理(NLP)、「ディープラーニング」などの分野で将来有望なスタートアップの買収も行ってきた。

米国のソーシャルネットワーク巨人がAI人材を求めて英国に目を向けたのは当然であり、NLPスタートアップのBloosbury AIを2018年に人材とともに買収、最近ではコンピュータービジョンを利用して拡張現実向けに正確な位置情報を提供する英国企業、Scape Technologiesを買収した。

今回TechCrunchは、2019年12月に3回目の英国企業買収が密かに行われたという情報を得た。Facebookが買収したDeeptide Ltd.はAtlas MLを運営する企業で、機械学習の論文とコードの無料オープンソースである「Papers With Code」の管理人でもある。

Deeptideの公式申請書類によると、Facebookは2019年12月13日に同社の過半数株主になっている。同日、Atlas MLの共同ファウンダー、Robert Stojnic(ロバート・ストイニック)氏はPapers with CodeはFacebook AIに合流するという投稿をMediumにポストしたが、機械学習研究コミュニティー以外で気づいた人はほとんどいなかった。

買収条件、いや、そもそも実際に買収があったかどうかすらも、その当時、ストイニック氏の投稿以上の情報は、Facebookから出ていなかった。しかし、ロンドンIT業界の情報筋によると、買収金額は4000万ドル(約44億円)程度だったと考えられている。

2018年にストイニック氏とRos Tayler(ロス・テイラー)氏が設立したAtlas MLの目標は、「ディープラーニング研究の発見と適用を簡単にする」ことだ。若きスタートアップはEntrepreneur First(EF)の卒業生で、その後Episode1およびKindred Capitalからシード資金を調達した。

Facebookに問い合わせをしている。返答があり次第本稿を更新する予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マスク氏が「#DeleteFacebook」とツイート、「役立たずだ」と付け加える

Facebook(フェイスブック)は政治的発言への規制を拒否したこと、果てしなく続くように思えるプライバシーの侵害、そして最近のトランプ政権との明らかな癒着など、多くの方面から厳しい批判を受けている。

Facebookへの最も著名な批評家の1人は、コメディアンかつ作家、俳優のSacha Baron Cohen(サシャ・バロン・コーエン)氏となった。Facebookを「史上最大のプロパガンダ機関だ」と評した、Cohen氏の11月の名誉毀損防止同盟での力強いスピーチは、瞬く間に広まった。(ここで再掲載されている)

しかし、Cohen男爵はZuckerberg(ザッカーバーグ)氏への非難を終えていない。米国時間2月9日、彼は次のようにツイートした、 「25億人分の水を1人に管理させるわけにはいかず、また25億人分の電気を1人に管理させることはできない。なぜ25億人が見る情報を、1人の人間が操作するのだ? Facebookは皇帝によってではなく、政府によって統制される必要がある!」

その直後にTesla(テスラ)の創設者ことElon Musk(イーロン・マスク)氏は、この演説に応え、自身も「#DeleteFacebook(フェイスブックを削除しろ)、あれは役たたずだ」とツイートした。

短いが的確で、要点を突いたツイートだ(おそらく、コーエン氏を勇気づけたことだろう)。

esla(テスラ)の株価が急上昇したおかげで、いつも自分の考えを口にしてきたマスク氏が大胆になったと想像する人もいるだろう。しかし同氏は長らくFacebookを批判しており、2018年に自身の会社のFacebookページを削除した後、「Facebookにはゾッとさせられるよ、すまないが」とツイートしている。

マスク氏とザッカーバーグ氏は過去にも、人工知能(AI)の将来について鋭く対立しており、2017年にはマスク氏はザッカーバーグ氏のAIの将来についての理解を「限定的だ」と形容した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter