Facebook、360度ビデオをニュースフィードとOculusでサポート


Facebookはニュースフィードへの360度ヒデオのアップロードをサポートし、OculusゴーグルではOculus VRを体験できるようにする。Facebook CEOのMark Zuckerbergは、今日の年次F8デベロッパーカンファレンスでこの新機能を発表した。没入型ビデオ体験では将来ライブ中継もサポートするとZuckerbergは言った。
これは同社が先に「テレポーテーション」機能について漏らした際に指していたものだ ― その意味について多くの人々が憶側したが、F8のキーノートに基づけば、Oculusベースの360度没入型ビデオのようだ。

最近、他社もこの種の全周ビデオのサポートへの動きを見せている。GoogleはYouTubeへの360度ビデオのアップロードをサポートし、ChromeとAndroidアプリで再生すればヒデオで周囲を見回すことができる。、

Zuckerbergは、Facebookが360度ビデオをエンドユーザーに公開する時期については具体的に話しなかったが、実際の使い方については、ユーザーがパースペクティブをカーソルでコントロールするところを簡単に披露した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


「過去の今日」の投稿を再表示するFacebookのノスタルジア機能、On This Day、公開へ

Facebookは2010年に過去記憶をよみがえらせるMemoriesという実験を行ったが、その後はこれといって新たな展開がなかった。しかしモバイルのTimehopアプリが1日600万ユーザーを獲得したのを見て、Facebookも公式にそのライバルとなるノスタルジア機能をリリースすることにした。On This DayはFacebookのユーザーが過去のその日に投稿した写真や近況を表示する機能だ。

On This Dayはここ数日で全世界に公開される予定で、モバイルアプリ、モバイル・ウェブ、デスクトップ・ウェブがサポートされる。このURL https://www.facebook.com/onthisday〔日本では未公開〕、またはFacebookのブックマーク・メニュー、検索、などからアクセスは可能だ。

Timehopが過去の記憶をFacebook、Twitter、Instagram、Foursquare、Flickr、Dropbox、iPhoto、ユーザーのカメラロールなどから幅広く掘り起こしてくるのに対して、On This DayはもちろんFacebookだけが対象だ。

FacebookでOn This Dayのプロダクト・マネージャーを務めるJonathan Ghellerは私の取材に対して、Timehopを比較の対象として名指しすることを避け、「われわれはユーザーの行動を分析して得た結果に基いてこの機能を追加した」と述べた。

私が繰り返しOn This DayとTimehopの機能はよく似ているのではないかと尋ねると、Ghellerは「われわれはユーザーがFacebook上でどんな行動を取るかに注意を集中している。よその場所で他の人々が何をやっているかにはあまり関心がない。ユーザーがFacebookに何を望んでいるかを調べ、それを実現するために最大限の努力をしている」と答えた。

Timehop

またFacebookではこの機能を直接マネタイズする計画はないという。そうであってもユーザーがOn This Dayに表示された過去の投稿をニュースフィードで共有すれ全体としてエンゲージメントが上昇し、ひいては広告のクリック数も上昇することを狙っているのだろう。

一方、TimehopのCEO、Jonathan WegenerはOn Thsi Dayによって自社のアプリに深刻な悪影響があるとは考えていない。私の取材に対して、「これはむしろわれわれのアイディアが正しかったというお墨付きをFacebookから得たようなものだ。またわれわれの使命はFacebookの特定のコンテンツを再表示するよりもずっと広汎なものだ。われわれは人々のデジタル・ヒストリーを広く再構築する」と語った。

On This Dayはアメリカでは今日(米国時間3/24)公開され、その後1週間ほどかけて全世界に順次公開される。

On This Dayはウェブ・ブラウザ版の場合はサイドバーのブックマークの一つとして表示される。 ウェブのモバイル版およびiOS、Androidアプリの場合はナビゲーション・メニューに追加されるはずだ。またこの記事中の上記リンクをクリックしてもよいし、検索窓に“On This Day”と入力してもよい。すると、去年、あるいは何年も前の今日、自分が投稿したか、あるいは友達が自分をタグづけした近況や写真が表示される。これを閲覧できるのは投稿したユーザー本人だけだが、ユーザーがそう選べば友達と共有ないし公開することもできる。

GhellerはOn This Dayのサンプルとして、現在1歳半の彼の娘が1年前にゼロ歳の赤ん坊だったときの写真を見せてくれた。また2年前に妊娠中の妻が彼をタグづけた近況も表示されていた。GhellerはMemoriesの実験に触れ、「われわれはこのアイディアを数年前から温めていた。その後、われわれは大規模にドッグフードを食い〔社内で実際に使ってテストし〕、また外部でも世界各地でテストを重ねて洗練されたプロダクトを作り上げた」と説明した。

Facebookは「今年のまとめ」に亡くなった娘が表示されユーザーの心を傷つけた問題への反省から、別れた恋人や亡くなった友人など、ユーザーの心を乱すような情報が表示されないよう特別なアルゴリズムを開発したという。たとえば、ユーザーが誰かを恋愛のパートナーに指定し、次いでそこから削除した場合、その人物に関するコンテンツが表示されないようにしたという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


新興国の利用者曰く、インターネットはモラル面でマイナスの効果を及ぼす?!

新しく発表されたPew Researchのレポートでは、新興国においてインターネットがもたらす影響を調査している。人々が「インターネット」についてどのように考えているかに力点をおいている。

昨今、新興国にもインターネットに繋がる環境を構築しようと、FacebookやGoogleなどはかなりの投資を行なっている。たとえばFacebookは特定地域に無料のモバイルインターネットを提供しようとするInternet.orgなるプロジェクトを運営している。Googleの方も気球高高度を飛ぶドローンなどを通じたアクセス手段を提供しようとしている。こうした動きは加速していると言って良いだろうが、しかしインターネットに接続できるようになることが、途上国の人たちの役に立っているのか、あるいは喜ばれているのかどうかについては、まだ十分な調査が為されていないともいえそうだ。

TechCrunchなどのテック系メディアでは、インターネットの存在自体や、あるいはインターネットに接続できるようになるということについては肯定的な評価をすることが多いだろう。しかし、世界中の人がネットに繋がるようになることについて、肯定的な面にばかり目を向けているということはないだろうか。たとえば最近は、政府が市民の監視を行うのにネットワークを利用しているというようなことも言われている。人々同士の間でも、加害者がキーボードやモバイルデバイスの画面に隠れた状態で匿名のうちにいやがらせ行為を行ったり、あるいは病力的な振る舞いに出る旨のおどしに使っているようなケースもある。

既にネットワークの存在に多くを依拠している先進国では、多少の不利益があってもインターネットに繋がることを選ぶ(選ばざるを得ない)だろう。しかしこれまで繋がっていなかった地域の人達も同様に考えるはずだと前提して良いものだろうか。誰もがネットに繋がることを良いことだと考えるようになるものだろうか。

Pew Researchは今回、32の新興国および発展途上国を対象に調査を行なってレポートをまとめている。そうした国々ではインターネットについての意見もいろいろにわかれているようで、インターネットというものはモラル面での悪影響をもたらすと回答している人も多いようだ。民主化推進などの政治面についても、賛否両論があるようだ。ただし、教育や人間関係、および経済の面ではプラスになると考えている人が多い。

新興国市場において、インターネット非利用者を含めた64%の多数が、インターネットは教育に役立つと回答したそうだ。友人関係にも役に立つと回答した人も53%にのぼっている。さらに経済面でも52%の人が役立つと考えているのだそうだ。しかしモラル面で良い影響をもたらすと考えている人は29%に過ぎず、むしろ42%がマイナスの影響をもたらすと回答している。

モラル面で悪影響をもらたすという考えは、今回の調査対象国すべてに共通するものであるというところも面白い。モラル面に好影響をもたらすという回答が多数を占めた国はなかったのだ。

ところでインターネットへのアクセスが可能になった人たちの多くが、「ソーシャル」面にプラスの効果をもたらすと考えている。たとえば新興国の人々の65%が、個人同士のつながりい好影響をもたらすだろうと回答している。これをインターネットにアクセスできない人たちについてみると、同じように判断する人の割合は44%に低下する。教育レベルにもよるようで、高学歴な人々の10人に6人が人間関係にプラスとなると回答しているのに対し、低学歴の人々の賛同率は44%になる。

こうしたことを見ると、Facebookなどがネットワークに繋がる人たちを増やそうとするのは正しい判断であると言えるだろう。インターネットに繋がるようになれば、発展途上国でも多くの人が友人などと繋がるためにネットを利用するようになる。86%の人々が友人や家族とオンラインでの繋がりを持ち、また82%がソーシャルネットワークにも参加している。調査対象となった国々でも、インターネット利用者のうち82%がFacebookやTwitterを使っていることがわかった。

ちなみに、インターネットを政治面で利用している人は少ない(54%)ようだ。さらに健康関連情報の入手に利用した人は46%で、政府や各種サービスからの情報を得るのに活用した人も42%に留まった。さらに、キャリア活動ないしコマースに用いる人も少ない様子。求職活動に利用した人は35%で、支払いに利用した人が22%、ショッピングが15%で、オンラインコースを試してみた人も13%という結果になっている。

残念ながらPewのレポートでは、モラル面で悪影響があるとした人々の回答について、詳細な検討は行なっていない。インターネットが導入されることで、どういうマイナス面が出てくるのかということについて、具体的な内容の確認も行なっていない。どのようなサービスないし行動がモラル面にどのような影響を及ぼすと考えられているのかについて、もう少し突っ込んだ調査が欲しかったところだ。

レポートを見る限り、ネットが利用できるようになるや否や、多くの人が「ソーシャル」な行動を行うようになる。人々の心配は、そうした人々の行動パターンと関係があるものなのかもしれない。フェイス・トゥ・フェイスの関係が減り、そしてこれまでのさまざまな束縛から逃れ、「自由」を感じるようになるというのも、ネットワークの特徴のひとつだ。そこで人を「自由」に避難したり、公開の場では言えないような「本音」を表に出すことも行い始める。そうした社会的行動の変化により、インターネットが道徳面に悪影響を及ぼすと考える人も出てくるのだろう。

インターネットへの接続状況などを国ごとにまとめたレポートの全文もこちらから見ることができる。尚、途上国の人々をネットに繋ごうという行動は積極的に行われているものの、今回の調査対象国にはインターネットにアクセスできていない人が数多く存在する。ごくたまにであれインターネットを利用するという人は、調査対象32ヵ国の中で44%に過ぎない。米国では成人の87%がインターネットを利用している。

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(翻訳:Maeda, H


Facebookの、Messengerプラットフォーム化計画


来週のF8 デベロッパーカンファレンスで、Facebookはサードパーティーが同社のMessengerアプリを通じて新たな体験を提供する方法を発表する、と複数の情報源が伝えている。Facebookは、Messengerをもっと便利にしたいと考えている。アジアのチャットアプリ、WeChatやLineが友達とのテキストメッセージの枠を越え、プラットフォームとして成功しているのを踏まえてのことだ。

まずFacebookは、サードパーティーがMessengerを通じてコンテンツや情報を流すやり方に注目すると思われる。初期の実験の成否によって、FacebookはMessengerの実用性をさらに高めることを熟考するかもしれない。

Messengerプラットフォームが今回のF8の主要な話題になることは、あらゆる情報筋が言っているが、サードパーティーによる具体的な統合方法は不明だ。これまでWeChatやLineがやってきたことを見ると、企業によるユーザーとの直接対話やコンテンツの共有する、友達同志のコンテンツ共有の強化等、数多くの可能性がある。

Facebookは限られたパートナーとだけ、ゆっくりとスタートするだろうが、いずれ多くのデベロッパーに開放されるかもしれない。Facebookはこの件についてコメントを拒んだ。

スパムの回避

Facebookは、初期のウェブプラットフォームの良いところを再現しつつ、同じ失敗を繰り返さない方法を探っている。

Facebookの「ウェブキャンバス」はユーザーの個人情報や友達を簡単にサードパーティーに渡せることから、ゲームと共に急成長した。そして同社のオープングラフ・プロトコルは人々のFacebookプロフィールをアプリと結び付けた。いずれも人気の理由は、デベロッパーが自分に興味のあるユーザーを見つけるのに役立つからだ。それはアプリストアが混雑し競争が激化する今のモバイル時代においては極めて困難だ。

Facebookのゲームスパム(2010年頃)

問題は、ウェブプラットフォームにゲームスパムが氾藍しすぎた結果、Facebookがバイラルを抑制しなければならなくなったことだ。結局、熱中の場が携帯電話へとシフトし、Facebookが困惑してモバイルへの移行に遅れているうちに、ブームは衰えた。オープングラフは、ニュース、音楽、ビデオ等の使用をニュースフィード・ティッカーに自動配信したことによって、シェアのやりすぎだという悪評を得た。

こうした経験に基づき、Facebookはこの比較的未開のMessengerアプリにスパムが紛れ込まないよう慎重になるに違いない。

アジアの一体型チャットアプリにインスパイアされる

これまでMessengerはほぼFacebook上のみの体験だった。ウェブサイトに、ユーザーが友達に直接URLを送ることのできる“送信”ボタンを埋め込むことはできるが、それを除けばMessengerは、テキスト、音声通話、写真、ビデオ、スタンプ、ボイスクリップ、そしてお金の送受信にいたるすべてを、Facebookの独自システムを通じて提供している。

Facebookは、F8カンファレンスでMessengerに関する発表があることを私に話し、同社チャットアプリに新たなデベロッパー向け機能が加わることをほのめかしていた。また、Messengerの責任者、Daivd Marcusは、昨年Wiredに企業と顧客が直接対話する方法に興味を抱いていることを話し、貧弱な体験の原因の多くは電話の番号案内と航空会社のカスタマーサービスにあると指摘した。以前Facebookは、ユーザーがFacebookのビジネスページ管理者に個別メッセージを送るための殆ど知られなかった方法を提供していた。

Messengerのプラットフォーム化に関して、FacebookはLineとWeChatに注目したと言われている。両社は頻繁に使われるインスタントメッセージアプリをモバイルインターフェースの中心に据え、一体型ポータルとして使うパイオニアだ。Snapchatも、最近プラットフォーム・アプローチを急速に推進しているメッセージアプリだ。

Lineのプラットフォームページ

日本のメッセンジャー、Lineには「その他」タブがあり、スタンプショップ、物理的店舗で買い物ができるLine Pay、Lineのファミリーアプリやゲームの一覧などを利用できる。アプリには、自分の顔を友達に送れるスタンプメーカーや、写真共有のLine Toss、お絵描きのLine Brush、グリーティングカードを送れるLine Card、コラージュを作るLine Camera、自撮り写真を飾り付けるB612、マンガを読むためのLine WebToon等がある。

Snapchat Discover

Lineでは、公式アカウントをフォローして、ポール・マッカートニー、The Walking Dead、マンチェスター・ユナイテッド、BBCなどの有名人やエンターテイメント、ニュース機関、ブランド等から直接コンテンツを受取ることもできる。FacebookやTwitterの公式アカウントで起きている投稿の集中砲火と比べると、Line公式アカウントは、ファンとの少数高密度の直接コミュニケーションが特徴だ。

Snapchatは、Discoverページでプレミアム豪華コンテンツ戦略を追求している。Comedy Central、CNN、Vice、ESPNといった主要メディアが、Snapフォーマットの写真、記事、ビデオを挿入広告として送り込める。一方、WhatsAppは、ユーザーがWhatsAppメッセージを通じて友達にURLを送れるSendボタンをサイトに埋め込めるようにして、大量のトラフィックをメディアサイトに誘導している。

Facebookは、上記のいずれからでも着想を得ることができる。例えば、、装飾を加えた写真等のリッチコンテンツを作ってシェアするためのアプリをサードパーティーが提供できるようにする。Facebookは既に、写真にスタンプを貼って友達に送れるコンパニオンアプリとしてStickered For Messengerを提供している。

あるいはFacebookは、ユーザーが公式アカウントをフォローしたりページを訪れたりできるようにしてもよい。そうすればニュースフィードで見落とした最新情報に遅れずにすむ。電話より効果的な方法で企業と直接連絡を取る方法も提供できるだろう。もう一つの可能性は、ウェブやモバイルのコンテンツ提供者が、Messenger経由でバイラルなトラフィックを獲得する簡単な方法をFacebookが提供することだ。Facebook本体のニュースフィードに、読んだニュースをMessengerに送り込むもっと良い方法が用意されてもいい。

Facebook Stickered For Messenger

中国のWeChatプラットフォームは、よりコマース寄りだ。ユーザーはメッセージアプリを使って、映画のチケットを買ったり、タクシー料金を支払ったりできる。

Facebookの当初のMessengerプラットフォームへの取り組みは、コンテンツが中心と思われるが、サードパーティーの体験に手ごたえを感じれば、いずれネット販売にも拡大するかもしれない。つい先週、Facebookはデビットカードを追加することで友達同志がメッセンジャーを通じて送金するしくみを無料で追加した。支払いシステムを内蔵したことによって、Messengerにはすでにインターフェースがあるので、販売機能の構築は容易だろう。

中国のWeChatはアプリ内で買い物体験を提供している。 Via Benedict Evans

5億人以上のユーザーを持ち、Facebook Messengerは今や世界で最も使われているアプリの一つだ。Facebookのメインアプリが実質的にウェブサイトを小さな画面に移植しただけなのに対して、Messengerはモバイルのために作られたアプリだ。Facebookアプリがさして目的もなく気楽に眺めるものなのに対して、Messengerは行動を起こして何かを成し遂げるために作られている。世界の一部の人々にとっては、MessengerがFacebookを使う主要な方法になっている。その中のコンテンツを改善することは、ニュースフィードにかじりついていないユーザーにとっては理にかなっているかもしれない。

Facebookにとって最近のMessengerのミッションは、このアプリを「より有用に、表現を豊かに、快適に」することだと、支払い機能のプロダクトマネージャー、Steve Davidは言っている。今度は、Hacker Way 1番地の外に協力を求める時だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook、メッセージを利用した支払い機能を導入へ―手数料無料、当面アメリカのみ

これまではFacebookの友達同士が借りた金を返したり、割り勘を精算しようとしたりするときはPayPalやVenmoのような外部のサービスを開かねばならなかった。そこでFacebookは、Facebookメッセンジャーに送金機能を追加した。VisaないしMastercardのデビットカードを持っているユーザーは、iOSAndroid、デスクトップ版のメッセンジャーで“$”ボタンを押すだけで友達に送金できる。 送金手数料は無料だ。Facebookメッセンジャーによる送金は、数ヶ月以内にまずアメリカに導入される。

FacebookとPayPalの微妙な関係

送金機能を実現するにあたって、FacebookはPayPalのような既存のサービスを利用せず、広告とゲームで1日 100万件の支払いを処理してきた経験をベースにゼロから内製する道を選んだ。こうした支払情報はすべて暗号化されている。Facebookによれば「支払い関連は通常のFacebookの処理とは別個のよりセキュリティーの高い場所で処理されている」としており、詐欺対策チームが監視している」という。

送金機能を独立のアプリにせず、ユーザーが日常ひんぱんに使うメッセンジャーの一部に組み込むことで、FacebookはVenmo/Paypal、 Google Wallet、Square Cashなどのライバルに差を付けたい考えだ。こうした独立アプリのP2P送金サービスはメッセンジャーに比べて人々がアクセスする頻度はずっと低い。昨年11月にSnapChatがSquare Cashと提携してSnapcash機能をサービス内に組み込んだのも同じ戦略といえるだろう。

PayPalは次のようなコメントを発表した(強調は筆者)。

われわれは2008年以来Facebookとすばらしい緊密な関係を作り上げてきた。現在もゲームと広告に関して、共同で世界的な支払いネットワークの構築に向けて努力中だ。

PayPalは常に他社との提携を重視しており、今後もFacebook始め多くのサードパーティーと協力していく

私はPayPalに取材し、Facebookのメッセンジャー送金機能をライバルと考えるかと尋ねた。広報担当者は「ライバル」という言葉を慎重に避けたが、結局、「(Facebookは)Venmotと同様のテクノロジーを用いて同様のサービスを行おうとしている」と認めた。Venmoもほとんどのデビットカードによる送金を無料にしている。これにFacebookの無料サービスが加われば、PayPalの2.9%プラス0.30ドルというデビットカードの送金手数料収入にとって脅威となるだろう。

私の取材に対してFacebookのプロダクト・マネージャー、Steve Davisは「われわれは送金ビジネスを構築する考えはない。 われわれの目的は送金機能の提供によってメッセンジャーをもっと魅力的なサービスにすることだけだ」と答えた。Facebookは広告で巨額の売上を得ている。昨年第4四半期は35.9億ドルだった。送金事業でマネタイズを行う必要はない。Facebookが望むのはユーザーをFacebookプラットフォームの中に可能な限り囲い込み、より多くのニュースフィード広告をクリックしてもらうことだ。そのためにメッセンジャーに便利な機能を追加するのは理にかなっている。

メッセンジャーによる支払いの詳細

TechCrunchは昨年10月にFacebookがメッセンジャーによるP2P支払機能を開発中だと報じた。 われわれはデベロッパーのAndrew Audeからその機能を含むメッセンジャーのソースコードのスクリーンショットの提供を受けた。その後も、複数の情報源からFacebookが部内で送金機能をテスト中だという証言を得ている。

一方で、FacebookはPayPal、Braintree、Stripeとeコマース分野で協力し、ニュースフィード内からオートフィルで商品を購入できるBuyボタンを開発した。

メッセンジャー支払い機能自体はこのようなものとなる。

ユーザーに対してメッセンジャー支払機能が有効になると、メッセンジャーのメッセージ作成画面下部のオプション欄に“$”アイコンが現れる。タップするとデビットカードの情報の入力を求められる。銀行引き落としと違って口座情報などを入力する煩わしさはないが、FacebookはVisaとMastercardのデビットカードだけをサポートしている。Facebookがクレジットカードのサポートを選択しなかったのは、クレジットカードを送金に利用すれば手数料が発生するからで、それを知らないで利用したユーザーが思いがけなく手数料を徴収されるのを避けたためだという。

セキュリティーのためにユーザーはAppleのTouchIDまたは支払いのためのパスコードによる認証を求められる。ただしユーザーは設定でこれを無効にすることができる。ユーザーがゲームや広告料支払いのためにデビットカードを登録している場合は、それが利用できる。

$ボタンをタップした後、ユーザーは金額を入力し、Payボタンをタップするだけでよい。その金額が支払側デビットカード口座から受け取り側デビットカード口座に即時に移動する。Facebookはいっさい資金を保持しない。ただしデビットカードの標準的慣行により、受け取り側銀行がユーザーに資金の引き出しを許すのは数日後になる。双方のユーザーに資金移動の詳細を確認するメッセージが届けられる。

支払いに不審があると判断された場合、Facebookはユーザーに追加の質問をすることがある。ユーザーはメッセンジャーを利用した資金移動に関する履歴をメッセンジャーの設定中で見ることができる

利便性第一

Davisは「 メッセンジャーではお金の話がよく出ている。バーやレストラン、いっしょに乗ったUberの割り勘の精算はポピュラーな話題だ。われわれはFacebookを出ずにこういう会話を終わらせることができれば便利だろうと思った。いちいち外部のサービスに移動するのは誰だって煩わしい」と開発の動機を説明した。

だがFacebookはメッセンジャーにさらに高度な資金操作機能を付け加えていくつもりはないのだろうか? アジアではWeChatのように送金、eコマースの支払い、タクシー呼び出しその他多機能のチャットアプリが人気だ。Facebookは来週開催されるf8デベロッパー・カンファレンスでさらに詳しい発表を行うということでわれわれは注目している。

現在はアメリカ国内のみが対象だが、Facebookがメッセンジャー送金機能を国際展開すれば、出稼ぎ労働者は高い銀行手数料を払わずに故郷の家族に送金ができるようになる。しかしFacebookでは当面、まずはアメリカでの成果をじっくり検討したいということのようだ。Davisは「アメリカですべてが順調に機能すると確認できてからその先の拡張を考える」と語った。

人々の金を扱う以上、バグが許されないのはもちろんだ。.

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Facebook、Topic Dataを発表―匿名化した全投稿に基づくマーケティング・データは宝の山

Twitterの全ツイートのフィードであるFirehoseはマーケティングの改善に務める企業にとって金鉱のように貴重なデータを提供してきた。今や、Facebookもプラバシーの安全を保った上で同種の宝の山を提供しようとしている。

今日(米国時間3/10)、FacebookはTopic Dataと呼ばれる新しいマーケティング情報をアメリカとイギリスで提供開始すると発表した。このサービスはブランド・アナリティクス分野のリーダー、DataSiftとの提携によって実現した。

Facebookによれば、「Topic Dataはイベント、ブランド、各種テーマ・活動などに関してFacebookのユーザーがどのように考えているかをマーケッターに伝える」もので、たとえば、「ヘアー・トリートメントを販売している企業は湿度が髪に与える影響について語っている人々の人口動態的情報を得ることができる」という。

近況に「空気が乾いて髪がちりちりになって困っている」という投稿が多い日はヘアートリートメントの広告表示を増加させるのに適しているというわけだ。ブランドは指定した主題に関する好悪、是非などの感情、場所、言及数、関連して頻繁に用いられるキーワードなどの情報を得られる。

ツイートが原則公開のTwitterとは異なり、Facebookのデータは原則プライベートなので、Topic Dataはプライバシーを保護することが最優先となる。ブランドからの要望が非常に強かったにもかかわらず、Facebookがマーケティング情報の提供開始がこれほど遅れた理由はプライバシー保護に関する懸念が大きかったためだろう。Topic Dataでは個人情報の漏洩を防ぐ匿名化処理が施されているため、ブランドは誰がその意見を述べたかを知ることはできないようになっている。私がFacebookに取材したところ、「住所など個人情報の特定につながるおそれのある検索は禁止されている。またある検索条件に該当するユーザーが100人以上発見されない場合は検索結果は表示されない」という。.

そうではあっても、友達とのプライベートな会話が広告主のターゲティングを改善するために販売されるというのは一部のユーザーを不快にさせるだろう。Topic Dataからのオプトアウトは提供されない。Topic Dataに使われるのが嫌なら公開範囲を「自分だけ」にするか、そもそも投稿しないかのいずれかしかない。

ただしTopic Dataはブランドによるモニター・ツールではない。上に述べたようにデータはすべて匿名化されているので、自社のプロダクトについて語ったユーザーに対してブランドがコメントするというような使い方はできない。

Facebookのプロダクト・マネージャー、Matt Idemaは私の取材に対して「ブランドはこのツールを用いて『共有されているプロダクト、われわれのブランドに対する人々の意見、全体のトレンド』というような具体的な質問をするべきだ」と語った。

当面Topic Dataを利用できるのはData Siftのパートナーであり、かつFacebookに承認されたデータ・アナリティクス・サービスに限られる。ブランドはそれらのアナリティクス・サービスを通じて検索項目をDataSiftに提出するとDataSiftがFacebookのFirehoseデータを検索し、匿名化した上で分析結果をブランドに返すという仕組みだ。データは数値だけでなく、要約、グラフ、他のアナリティクス・ツールによる分析なども提供される。

Facebookは次のようなTopic Dataの利用ケースを挙げている。

  • ファッション系リテラーが在庫の種類と量を決定するためにターゲットとなるユーザー層の反応を分析する
  • ブランドに対するユーザーの認知度、感情を測定する

マーケッターはTopic Dataの結果を直接広告ターゲティングに利用できるわけではないが、広告を表示することが有効である可能性の高いデモグラフィックを特定するのに役立つだろう。またFacebookとしては、ブランドが単に広告出稿に役立てるのにとどまらず、消費者が何を望んでいるかを知り、そうしたプロダクトを開発するというような積極的な利用を期待している。

数年前にTwitterがFirehoseの提供に踏み切ったとき、そのデータ解析のための新たな一大エコシステムが形成されることとなった。これにはAdobe Social、 Brandwatch、Crimson Hexagon、Socialmetrix、それにDataSifts自身などが含まれる。ちなみにData SiftはTwitter Firehose全データの再販売を許可された2社のうちの1社だ。FacebookはDataSiftを通じて、サードパーティーにFacebook版Firehoseデータを分析するツールを限定的に提供していくものとみられる。

現在Topic Dataがカバーするのはアメリカとイギリスのみだが、将来は国際的に展開される計画だ。

Data Siftの優れたテクノロジーと多数のブランドとの緊密な関係を利用してこの分野への急速な参入を図るために、驚いたことにFacebookは同社に宝の山を開く鍵を無料で与えた。当面、DataSiftはサードパーティーのアナリティクス・サービスから処理料金を徴収し、サードパーティーのサービスはこれにマージンを上乗せしてブランドに料金を請求するというビジネス・モデルになるようだ。

もしブランドがTopic Dataの情報を有用なものと認めれば、Facebookへの広告出稿量が増えるだろう。 これまでFacebookは広告に関しては内部情報の分からないブラックボックスだった。マーケッターはFacebook内でユーザーがブランドについてどう反応しているか知るすべがなかった。DataSiftとTopic Dataのおかげで、ひとつの覗き窓が設けられたといえるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Facebookページ管理者へ:近々「いいね!」数が減るからそのつもりで

Facebookページをやっている人はよく聞くこと。あなたのページの「いいね!」数はもうすぐ少し減るだろうが、決してあなたのせいではない。

Facebookは「いいね!」を数え方を変え、ユーザーが亡くなった後、手動で無効化された、あるいは「記念に残っている」アカウントを差し引くようになった。これは、本来最初からやるべきことだが、そうではなかったため、自分が何かやったせいで突然「いいね!」が減ったと思っても仕方がない。

重要な注意点:どうやらこれは、〈手動で〉無効化されたアカウントに限られるようで、ユーザーが単に長い間ログインしていないために「非アクティブ」とされているアカウントは、引き続き勘定される。

この変更は直ちには行われない。Facebookによると「今後数週間」をかけて実施していくとのこと。

では、いったいいくつ「いいね!」が減るのか? それは難しい。Facebookは、「わずかな減少」と言っているだけであり、「いいね!」の総数にもよるだろう。数十個しか「いいね!」のないページなら、1つも減らないかもしれないし、数百万なら「わずかな減少」がずっと大きく感じるかもしれない。

企業のFacebookページを管理している人で、上司が「いいね!」カウンターが上昇を続けるかどうかで、あなたを評価しているなら、近々起きることを伝えておくのが得索だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


広告主200万社のFacebookがiOS向け広告管理アプリをリリース

今日(米国時間2/24)、Facebookは200万にも及ぶアクテティブ広告主がスマートフォンから広告を管理できるようになるアプリを発表した。 Facebook Ads ManagerはまずiOS版がリリースされた。広告主はこのアプリ内で広告を作成、編集、プレビューし、費用を管理し、効果をモニタするなどができる。また広告に関する各種の通知を受け取ることも可能だ。

この通知には、広告主の広告が期限や予算限度に近づいているという注意やページの「いいね!」数その他パフォーマンスに関する情報などが含まれる。

アプリのUIはシンプルだが、アプリ内で初めから終わりまで広告をデザインできる。スマートフォン内、あるいは自分のページ内から写真を選び、広告コピーを書き、スライダーとボタンを操作して想定される広告ターゲットの属性を設定する。

これに加えて広告主は予算、スケジュールの設定ができる。また必要があれば支払方法の編集も可能だ。

広告の作成は途中でいったん保存し、後で続きを再開することもできる。

Facebookは昨年の夏、モバイルウェブサイト版のAds Managerをローンチした。Facebookによれば、このサイトを利用する広告主は月間で80万社に上っているという。モバイルからの広告主の多さから、さらに使い勝手のいい専用アプリの開発となったものだろう。

今日公開されたアプリはアメリカ専用だが、Facebookによれば数週間の中に世界各国版がリリースされる。Android版も開発中だという。

この数ヶ月、Facebookは広告ツールの強化に務めてきた。その効果もあって、アメリカとカナダの2億600万人のユーザーからの1人あたり売上を2014年第四四半期に6.64ドルから8.26ドルへ24%も改善することに成功している。この間にユーザー数そのものはほとんど増えていなかった。TechCrunchは以前にも指摘したが、広告ターゲティングの改良によりFacebookはユーザー数の増加割合の25倍のスピードで広告売上を成長させてきた。

〔日本版〕Facebook Ads ManagerはiTunesプレビューには表示されるが、日本のApp Storeには登録されていない。記事中にもあるように、数週間後の日本版のリリースを待つことになるようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Facebookアプリが、[中毒性の|鬱陶しい]サウンドを鳴らし始めた

*Zing* *Shring* *Bloop* 。これはコミックに出てくる戦闘の擬音ではない。Facebookアプリでアクションを起こした時に鳴るノイズだ。どうやら、こうした音によってFacebookの閲覧がより楽しくなってもっとアプリを使いたくなる、という発想らしい。

私がFacebookのiOSアプリでこの音に気付きFacebookに尋ねたところ、彼らはこの事実を認め「現在当社ではFacebookの様々なアクションにサウンドを追加して、より楽しい体験を生み出そうとしているところだ」と言った。

昨年Facebookはサウンドデザインのスタートアップ、WaveGroupを買収した。MessengerやSlingshotで新しいメッセージや既存スレッドに受信があった時、画面を見なくてもわかるあのサウンドを作った会社だ。どうやらFacebookは、メインアプリにもサウンドを付けることで、喜ぶユーザーの方が嫌がるユーザーより多いと考えたらしい。

これを嫌うユーザがいることは間違いない。理由はうっとうしいからだが、われわれの生活に対して強大なパワーを持つFacebookを嫌うのは容易だからでもある。サウンドを消したければ、Facebookアプリで、[設定] > [サウンド]と進む、[アプリ内サウンド]をオフにすればいい。

Twitterは、タイムラインを更新した際に*shwip–pop* ノイズを鳴らしていた。しかしFacebookは、もっとずっと多くの場面にサウンドトラックを追加した。

ナビボタンを押したり、いいね!したりすると *pop* [ピッ]、シェアすると *zing* [シュッ]、投稿が完了すると満足気に *shring*[チャーン]、そして戻るボタンを押すと地味に *bloop* [コッ]と鳴る。[訳注:サウンドの和名は訳者個人の感覚によるものであり公式名ではない]

大げさに聞こえるかもしれないが、ゲームデザイナーなら誰でも、没頭的、中毒性体験を生み出すためにサウンドがいかに重要かを知っている。殆どのフリーミアムソーシャルゲームが、バーチャル牛のために金を払うたびに派手なサウンドを鳴らしてプレーヤーを喜ばせるのもその理由からだ。それと同じ人間の知覚の奇癖によって、人々はFacebookにより長い時間を費やすようになり、友達とつながりながら広告を見ることになるのである。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebookで写真を勝手に削除できる致命的バグ発見(修整済)―バックアップをお忘れなく

さて読者の皆さんはFacebookに何枚くらい写真を保存しているだろうか? そのうちで安全にバックアップされているのは何枚くらいだろうか?

先ほど明らかになったFacebookのバグは、攻撃者に多少の知識さえあれば、他のユーザーのアルバムを好き勝手に削除できるという致命的なものだった。

幸いなことに、このバグの発見者(インド在住のLaxman Muthiyah)はただちにFacebookに通報した。その結果、バグ通報報奨金として1万2500ドルを得たという。もちろんこのバグが放置されていたら生じたであろうFacebookの大損害に比べれば1万2500ドルは安すぎだが、報奨金システムというのはそういうものでやむを得ない。

いずれにせよFacebookは大急ぎで―正確には2時間ほどでバグを修整した。

Laxmanはバグの詳細をこちらで公開しているが、一言でいえば、Facebookの Graph APIがリクエストの処理にあたってユーザー認証を怠っていたのが原因だった。誰かが他人のアカウントのアルバムを削除するリクエストを送信するとGraph APIは送信者が誰かを確かめず無条件にリクエストを実行してしまう。

攻撃者のアルバム削除リクエストはたとえばこんな感じだ。

Request :-
DELETE /[相手の写真アルバムID] HTTP/1.1
Host : graph.facebook.com
Content-Length: 245
access_token=[Your(Attacker)_Facebook_for_Android_Access_Token]

犠牲者の側からみると、アルバムはある瞬間に突如消えることになる。

あまりにも単純なバグだ。こんなリクエストが通るわけがないと普通思うが、実は通ってしまう。ひどい初歩的なミスだった。

一歩間違えれば大惨事が引き起こされていたところだ。Sophos Securityによれば、Facebookの写真アルバムは単純なシーケンシャルな数値IDで管理されているという。ハッカーが簡単なスクリプトを書いて、適当な数値から始めてIDが順次増加していくようにして削除リクエストを送り続けたら、Facebookが異常に気づく前に大量のアルバムが消去されてしまったことだろう。

注意を喚起しておきたいが、Facebookは決してバックアップドライブではない。今回は助かったが、Facebookのコードに別のエラーがあれば、あなたの写真は煙のように消えかねない。大切な写真は別途安全な場所にバックアップしておこう。

画像: mkhmarketing/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Facebook、ユーザーの死後にアカウントを管理する「デジタル遺産管理人」制度を開始

われわれは自分の死後に残されたデジタルライフをある程度管理できるようになった。今日(米国時間2/12)、Facebookはユーザーが死後に自分のFacebookプロフィールを一部管理する遺産管理人(legacy contact) を選定できる制度をスタートさせた。

これまで、ユーザーが亡くなったときは友人がFacebookに通報し、それを受けてFacebookがアカウントをメモリアル・ページに移していた。しかし今後は、ユーザーがあらかじめ遺産管理人を選定しておけば、その人物がプロフィールのトップに逝去の事実と葬儀の日時場所を掲載することができる。またプロフィール写真を適切なものに更新し、友達リクエストを処理する権限も与えられる。

死後にFacebookプロフィールを一切残したくない場合は、Facebookにそのむね通告しておけば、あなたが天上のソーシャルネットワークに参加した後、Facebookがプロフィールを消去してくれる。

Facebookのプロダクト・マネージャー、Vanessa Callison-Burchは私の取材に対して「亡くなったユーザーのプロフィールを処理するコミュニティー・オペレーション・チームは、デジタル遺産の処理に関連する悲しい話をたくさん知っています」と語った。

例えば、ある女性が死んだとき、プロフィール写真は可愛い魚だった。女性の母親は娘を記念するようなプロフィール写真に変えたいと願った。また亡くなった子供のいとこがその死を知ってから友達に加えたがった。

亡くなったユーザーのプロフィール・ページにはそのことを知らせるために“Remembering”というテキストが名前の上に付け加えられる。.

遺産管理人を指定するには 設定->セキュキュリティー設定->Legacy Contactを開けばよい〔日本版ではまだこの機能は設定されていない〕。ここには「デジタル遺言」のひな形が用意されているので、自分にあった文章に書き直せばよい。さらに遺産管理人がユーザーの投稿した全コンテンツ(近況や写真)をダウンロードすることを許可するかどうかも選べる。

ただし、遺産管理人は「デジタル遺言」のメッセージ自体を事前に読むことはできない。Callison-Burchは「Facebookとしても熟慮した上で、故人の意志とプライバシーを最大限に尊重するためにこのようにしました」と語った。

遺産管理人は故人に代わって新たな投稿をしたり、プロフィールからコンテンツを削除したりすることはできない。これは遺産管理人が「故人のコンテンツをきれいにする」義務があるように感じないようにするためだという。

別の記事でも書いたが、Facebookは今や全人生の記録だ。

Facebookでは両親が『子供が生まれます!』と投稿する。ママのお腹の中にいるうちにすでにたくさんの『いいね!』を獲得する。大勢の両親の友達が胎児の超音波画像を見る。人々は生まれる前からFacebookで人生を始めている。

そしてユーザーは死後もFacebook上に存在を遺す。あなたのプロフィールはメモリアル・ページに移され、友達の間に多くの瞬間が永く記憶される。あなたはこの世界に存在する前からFacebookに存在していたが、この世界から存在しなくなってもFacebook上に存在し続けるのだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Facebook発セレブ用ツールのMentions、アップデートしてTwitterにも投稿可能に

Facebookには「セレブ専用」である「Facebook Mentions」なるアプリケーションがあるのをご存知だろうか。昨年リリースされたもので、セレブがファンや他のセレブと交流しやすくするための機能を持っている。このMentionsに驚きの機能がついて新しいバージョンがリリースされた。セレブが利用するソーシャルツールとしては双璧をなすTwitterなどにも投稿できるようになっているのだ。

これによりMentionsを使えば、メニューから選択するだけでFacebook、Instagram、そしてTwitterにも投稿できるようになった。また投稿の削除機能もついている。Facebookに投稿する場合と同様に写真なども投稿することができる。また各ソーシャルネットワーク毎にメッセージを編集したり、あるいは投稿時に写真を最適なサイズに調整してくれる機能もついている。

さらに自分がメンションされている投稿のみでなく、特定のトピックスに関するフィードもフォローできるようになった。すなわちハッシュタグや特定の個人を指定して、そこに関する情報を集めることもできるようになっているのだ。自分個人のみでなく、自分の関係する団体やイベントについての情報も得られるようになったということだ。

この方向性は正しいものと言って良いのではないかと思う。Twitterなど他のネットワークとの連携も深め、こうした方向にさらに進化していくのであれば、セレブたちのオンラインプレゼンスの場として圧倒的な地位を築いていくことになるかもしれない。そしてセレブ利用者が増加することにより、一般の利用者も増えていくというスパイラルを狙っているのだろう。

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(翻訳:Maeda, H


Facebookをモバイル〈だけ〉から使うユーザー、5億人を越える


どうやら決算報告のたびに、Facebookのモバイルへのシフト新たな節目を迎えているようだ。最新の数値はこれだ:月間アクティブユーザーのうち5.26億人が、Facebookをモバイル端末〈だけ〉からアクセスしている。

前四半期の4.56億人から大きく増加し、前年同期の2.96億人からは78%近く増えている。そしてこの数字は、Facebookの月間総アクティブユーザー数13.9億人の約38%に相当する。

上のグラフは、Facebookの第4四半期決算報告書に添付されたスライドから引用したものだ(細かい文字が読めない人のために書いておくと、「モバイルオンリー」について、Facebookは同サービスのモバイルアプリ、モバイルウェブサイト、およびMessengerの利用を数えているが、WhatsAppやInstagramは含まれていない)。

万が一、Facebookのモバイルユーザー基盤がどれほど巨大であるかを認識できない人のために、決算報告にある他のモバイル関連データも紹介しておく ― モバイル日間アクティブユーザー数が7.45億人、モバイル月間アクティブユーザー(モバイルのみとは限らない)が11.9億人だ。そして恐らく最も注目すべきは、Facebookの広告売上35.9億ドルの69%をモバイルが占めていることだ。前年同期には53%だった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook、強力な測定ツールで広告売上急増

Facebookは、広告業績向上の探究を続けてきたが、間違いなくその甲斐があった。2014年Q4、Facebookの米国およびカナダのユーザー数は2.04億人から2.06億人へとわずか0.97%しか増えなかったが、これらのユーザーから得た1人当たり広告収入は、6.64ドルから8.26ドルへと24%も伸びた。

これは常軌を逸している。仰天である。

もしあなたが広告オタクなら、まるでレブロン・ジェームズが足を骨折しながらアレーウープでダンクを決めるのを見た時のように、画面に向かって叫んでいるだろう。

これは、効果的な広告ターゲティングによってブランドとその製品を買いそうな顧客をつなぎ、オンラインとオフラインの購入の関係を追跡する測定方法を改善したことによって、ユーザー数の伸びの25倍の速さで広告売上を伸ばせたことを意味している。

これは北米地域だけに限らない。ヨーロッパでも、ユーザー数1.3%増に対してユーザー当たり平均広告売上は21%増えている。

次の問題は、同じことを途上国でも行う方法を見つけられるかだ。アフリカや南米のように多くの途上国を抱える「その他」の地域では、ユーザー数は4.23億人から4.36億人へと3%増えたが、ユーザー当たり平均広告売上は0.82ドルから0.92ドルと12%しか増えていない。これも力強い数字ではあるが、米国・カナダとは異なっている。

この調子なら、もしFacebookがSnapchatなどのライバルにひどくやられて米国のユーザー数が減少したとしても、売上を伸ばす可能性は高い。

収支報告会見でCEO Mark Zuckerbergは、広告ツールと測定方法の改善に同社が「力を入れて」取り組んだと語った。COOのSheryl Sandbergは、「測定システムの増強が報われた」と語った。

まったくだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


FacebookのQ4決算は予想を上回る―売上38.5億ドル、ユーザー数3.2%増で13.9億人

Facebookの4014年度第4四半期の決算は、10期連続でアナリストの予想を上回った。Facebookのユーザーは13億9300万人となり、対前年比で3.18%増加した。これは第3四半期の2.2%より高いが、第2四半期の3.125%よりは低い。一株あたり利益は0.54ドル、売上は38.5億ドルだった。広告売上のうちモバイルが69%を占めた。これは前年同期の66%より高く、Facebookのビジネスがモバイルに確固とした足場を築いたことを確認させる数字だ。

1日あたりユーザーは8億9000万人、月間モバイル・アクティブ・ユーザーは11億9000万人(6.2%アップ)、1日あたりモバイル・ユーザーは7億4500万人(5.97%アップ」)となっている。つまりFacebookのモバイル分野における成長は依然加速中ということだ。「モバイルのみ」のユーザーは5億2600万人と対前年比で15.3%も増加した。これはデスクトップ・コンピューターの普及が遅れている途上国におけるFacebookのマーケティング活動が成功したことを意味している。

ウォール・ストリートのアナリストは売上37.8億ドル、一株あたり利益0.48ドルと予測していた。その他のFacebookの財務データとしては、GAAPベースの原価及び費用が27.2億ドル、GAAPベース利益が11.3億ドル、GAAPベース営業利益率が29%、資本費用が5.17億ドルなどとなっている。事前に予告されていたとおり、原価及び費用が急増しているが、これはOculusと人工知能研究への投資によるものだ。これらの投資は数年後にも大きな配当を生むだろう。

2014年の1年を通してみると、Facebookの売上は124.7億ドル、対前年比58%の成長となった。1日あたりユーザーは18%アップして7億5700万人、総ユーザー数は12.3億人から13%アップした。

第4四半期にFacebookはニュースフィードの質の向上に特に力を入れた。またビデオ・コンテンツの拡充にも努力し、ビデオの再生回数が大幅に伸びた。

Facebookは最近、エンタープライズ向けのプライベートSNSとしてFacebook At Workを発表している。ただしこれに基づく売上はまだ計上されていない。

Facebookの広告効果測定ツールのデータによれば、ユーザー1人あたりの広告売上が大幅に伸びていることが注目される。アメリカとカナダにおけるFacebookのユーザー数は2億400万人から2億600へとわずか0.97%の増加だが、ユーザーあたり平均広告売上は6.64ドルから8.26ドルへ24%もアップした。

今回の決算を検討すると、Facebookは「モバイル優先」というより、むしろ「モバイル専門」のビジネスになりつつあるという印象を受ける。5億人以上のユーザーがモバイル・デバイスのみからFacebookを利用している。その多くは途上国のフィーチャーフォン・ユーザーだ。今後のFacebookの課題は、こうした相対的に購買力の低いユーザーからどのようにして売上を得るかにある。これに成功すれば「世界を結びつける」というFacebookの使命は同時に極めて有利なビジネスとなるに違いない。

〔日本版〕Facebookの売上、利益の経年推移を示すインフォグラフィックスは原文参照。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Facebook、トルコ政府の要請で冒涜的ページを検閲。しかし公表はせず


GoogleとTwitterは、物議を醸すコンテンツを検閲しなければ当地でのサービスを閉鎖させるという法的脅威を受けた時、透明性維持のためにChillingEffects.orgに報告することが多い。しかし今日(米国時間1/26)Facebookがトルコの法的命令に従って、預言者ムハマンドを中傷するFacebookページをトルコのユーザーに対してブロックした時、その要求を公表しなかった。

閉鎖されられるよりも、検閲指示に従って運用を維持し、少なくとも一部の市民たちに発言の場を与えることがFacebookの義務である、とMark Zuckerbergは言った。

エドワード・スノーデンの暴露以来、IT企業の政府とのつきあい方に関して、透明性への圧力が高まっている。殆どのIT巨人は現在透明性レポートを発行しているが、NSAから受けた要求について具体的に明らかにすることは広く禁じられている。

しかし、外国からの検閲最後通告や、米国内のDMCA著作権削除要求を受けたときは、それを公にしている。GoogleとTwitterはいずれも膨大な通告記録をChilling Effectsで共有している。しかしFacebookは、この透明性手順をとっていない。

代わりに彼らは、インタラクティブ地図によって透明性レポートを強化し、例えばトルコという国でどんな種類のコンテンツがブロックされたかを見ることができる。ただしレポートは6ヵ月毎にしか発行されない。

Facebookが検閲に応じるのは誤りで、閉鎖すべきだと主張する向きもある。Facebookの成長と広告目的が応じる理由だというのはよく聞かれる意見だ。

しかしMark Zuckerbergは最近の公開Q&Aで検閲について意見を表明し、1ヵ国の広告収入やユーザー数は足しにならないと語った。そして自分の立場を守るべくこう言った(一部要約)。

企業が法的な中止命令に従わずに閉鎖させられたことが、その法律を変えさせる役に立ったという例を、私は歴史上殆ど思いつかない。しかし運用を続けることによって、たとえば人々が愛する人々とつながる、学習する、職を見つける等、別の形でその国に役立つことができる。このため私は、疑うことなく、われわれの責務は運用を継続することだと考えている。

Zuckerbergの考えは議論の残るところだ。検閲に応じることは、暗黙のうちにそれを奨励する。しかし数百数千万人の基本的コミュニケーション手段を遮断することもまた、表現手段を奪う。Facebookはこの問題についてコメントを避けている。

いずれにせよ、Facebookが現在の立場を維持しつつ、透明性を高めて受け取った要求を迅速に公表することが可能であることは明白に思える。そうすることは、検閲は法的義務を負う場合のみであること、市民からソーシャルネットワークを奪うことなくできる限りのことをして戦っていることを、人々に納得させるのに大いに役立つだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


2014年の米国テック業界M&Aまとめ、今年の注目は自動車とヘルスケア

編集部注:この原稿はScrum Venturesの宮田拓弥氏による寄稿である。宮田氏は日本と米国でソフトウェア、モバイルなどのスタートアップを複数起業。2009年ミクシィのアライアンス担当役員に就任し、その後mixi America CEOを務める。2013年にScrum Venturesを設立。サンフランシスコをベースに、シリコンバレーのスタートアップへの投資、アジア市場への参入支援を行っている。また、最近サンフランシスコでコラボレーションオフィス、 ZenSquareを開設した。連絡先はこちら(Facebook / Twitter )。

2014年の米国テック業界では、日本円にして2兆円を超えるFacebookのWhatsApp買収を筆頭に、Nest(32億ドル / Google)、Beats Music(30億ドル / Apple)、Oculus VR(20億ドル / Facebook)など、1000億円を超える大型買収が相次ぎました。

詳細な統計データが出てくるのはもう少し先だと思いますが、引き続き盛んであった2014年の米国テック系M&Aを振り返り、その傾向の考察と、2015年に向けての展望を考えてみたいと思います。

まずは時系列で振り返る

筆者が運営するScrum Venturesでは、投資活動の一環として、米国におけるスタートアップの資金調達、M&A、IPOの情報を毎日収集し、分析しています。下記はその中からピックアップした2014年の注目すべきM&A案件のリストです。

新しい「プラットフォーム」の獲得

上半期で注目すべきは、Facebookによる「WhatApp」(関連記事)と「Oculus」(関連記事)の2つの大型買収です。

WhatsAppは、LINEと同じメッセンジャーの会社で、当時4.5億人のユーザを抱えていました。LINEとは異なり、ユーザーに年間1ドル課金をしているため、2000万ドル程度の売上があると言われていましたが、それでも、190億ドルというのは破格の買収額です。

一方のOculusは、Virtual Reality(VR)用のプラットフォームを開発する会社です。Mark Zuckerbergよりも若い22歳のCEOが立ち上げたばかりのスタートアップに20億ドルの値段がついたことは大きなニュースとなりました。

この2つのM&Aに共通するのは、Facebook自身が巨大なプラットフォームでありながら、今後成長が予想される「新しいプラットフォーム」を獲得しにいったということです。

メッセンジャーに関しては、その成長は明らかで、買収時に4.5億人だったWhatsAppのユーザー数はわずか1年弱で7億人まで成長しており、本体のSNSを凌駕する勢いです。

一方で、VRに関しては、まだ正式な製品リリース前ですが、買収時のポストでZuckerberg自身がコメントしているように、次のプラットフォームとしてかなり期待しているようです。モバイルに関しては、どこまでFacebookが成長してもAppleとGoogleのOSの制約から逃れられない立場であるため、ハードそしてOS全てを自由にデザインできる自分たちのプラットフォームを手にしたいと考えているのでしょう。今後の「VRプラットフォーム」の行く末には注目したいです。

買収で加速するGoogleのIoT戦略

もう一つ、上半期での注目はGoogleによるスマートホームデバイス「NEST」の買収です。AppleでiPodやiPhoneを手がけたメンバーが立ち上げたNESTは、2011年に発売した「スマートサーモスタット」が大ヒット。その素晴らしいUXが話題となりました。

Googleは、このNESTを自社のIoT戦略の核と位置づけています。先日オフィスを訪問して来ましたが、社員数は急拡大しており、現在800人(!)にまで膨れ上がっているということでした。NESTはこの買収直後に “Works with NEST“ というパートナープログラムを発表しており、様々なスマート家電がNESTと連携して動くアライアンスを進めています。

NESTを核としてM&Aも進めており、6月には家庭用監視カメラメーカーであるDropcamを買収しています。Android社の買収によってスマホプラットフォームとしての座を築いたのと同様に、IoTの分野でこの買収がどのような成果を上げるのか注目をしたいです。

止まらない「動画」の拡大:広告、ゲーム、 MCN

また、年間を通してみられた大きなトレンドは「動画」です。

Facebookによる動画広告プラットフォームLiveRailの買収、Amazonによるゲーム動画プラットフォームTwitchの買収、Disneyによる大手MCN(複数のYouTubeチャンネルと提携し、効果的なチャンネル運営や視聴者獲得のためのサービスを提供する組織)、Maker Studioの買収など例を挙げればきりがないほど、動画系のM&Aは花盛りでした。

これまで動画というと、長くYouTube一強時代が続いていましたが、インターネットの高速化、スマホの普及などにより、作成、共有、視聴、広告などバリューチェーン内のあらゆる分野でのイノベーションが期待される分野です。

コンサバ企業のM&A:Eコマース企業を買った老舗百貨店

もう一つ、ユニークなM&Aの事例をご紹介します。TrunkClubという男性向けEコマースのサービスを、全米最大の百貨店 Nordstromが3.5億ドルで買収しました。TrunkClubは、2009年創業の「スタイリストが選んでくれた洋服が自宅に届き、その中で欲しいものだけ購入し、残りは返す」という「キュレーション型富山の置き薬」と言えるサービスで、ビジネスは結構順調だったようです。日本ではまだあまり目にしない「巨大市場の老舗企業による新興企業の買収」ですが、ネットビジネスのさらなる拡大に伴い、ある種の防衛策として今後ますます増えるカテゴリーのM&Aだと考えています。

2015年のM&Aを占う

最後に、2015年の米国のM&Aの動向を予想してみたいと思います。2014年同様、2015年も引き続き活発なトレンドは変わらないと思います。小さなAcqui-hire(人材獲得型M&A)から大きな戦略的M&Aまで、様々なM&Aが起きて行くものと思われます。その中で筆者が、注目しているカテゴリーは「ヘルスケア」と「自動車」の2つです。

「ヘルスケア」は、現在米国で最もVC投資が集まっているカテゴリーの1つで、2013年は総額200億ドルの投資額だったものが、2014年は2Qまでの上半期だけで230億ドルと、ほぼ1年間で倍増しています。8000万人を超えるデータを持つ電子カルテスタートアップ、Practice Fusionなど今年IPOが予想されている企業も多く大きな動きがありそうです。中でも、ウェアラブルデバイスの普及等により今後急激に拡大する「ヘルスケアデータ」を取り巻くM&Aに注目しています。遺伝子解析サービスの23andMeがPfizerなど製薬会社12社とデータ提供のパートナーシップを結ぶなど、カジュアルなダイエットのようなものからシリアスな医療、研究開発の分野に至るまで目が離せません。

「自動車」は、今月開催されたCESでも注目のカテゴリーでありましたが、スタートアップ関連の動きも非常に面白いです。独BMWは、CVCであるBMW iVenturesを通して、運転データ解析のZenDriveやテレマティクス関連のChargeMasterなどに積極的に投資をしています。一大ロジスティクスインフラになりつつあるUBERや自動運転領域で最先端を行くGoogleが、コネクテッドカー、自動運転などの本格商用化に向けて、どのようなM&Aをしかけてくるのかに注目したいです。


Facebook、インチキネタ投稿の排除を進める

Facebookでは「私のすべてのFacebook写真には著作権があります」とか「無料航空券進呈」とか「雪男目撃される」とかいったたぐいのネタ投稿が毎日大勢の騙されやすい人々を釣り上げている。こういう投稿をシェアしてしまった人々はやがて友人たちからのコメントでそのことを指摘され、あわてて投稿を削除することになる。Facebookはこうした嘘ニュースの投稿をニュースフィードから排除する取り組みを進めている。

Onion〔日本の虚構新聞〕のような風刺サイトの記事は大量にシェアされているし、Facebookもそういう嘘ニュースのシェアを禁止しようとしているわけではない。ただし、ネタ記事にひっかかってシェアしている投稿の表示数を減らし、さらに「これは嘘記事かもしれない」という警告を表示することにした。

長年にわたってFacebookでは数ヶ月置きに「Facebookがユーザーの投稿に著作権を主張している」ことを非難するバイラルの波が押し寄せ、そのコピペがニュースフィードに氾濫する。これはまったく馬鹿らしい。Facebookがそんな主張をしたことはないし、そもそもソーシャルメディアへの投稿には著作権など成立しない。

Facebookはこうしたデマがどのように伝搬するんのか調査し、レポートを公表したことがある。今回Facebookはそうした研究を生かして、デマ、ネタ投稿の拡大を抑制するアルゴリズムをニュースフィードに組み込んだ。このメカニズムはユーザーが一旦なにかを共有してから削除する例をチェックする。また「この投稿は嘘記事だったので非表示にする」という新しいオプションを加えた。Facebookは人力で記事の真偽を判定することはしない。その代わりにユーザーの行動から統計的にネタ記事と判断するわけだ。

実はネタ記事、嘘記事の排除は一見するよりずっと重要だ。一つにはユーザーはニュースフィードにネタ記事だろうと昔のZyngaのゲーム・スパム、くだらないジョークインチキ臭い広告その他なんであれ、不快な記事を見つけるとFacebookを非難する。また共有したユーザーも非難される。そうした不快な経験はユーザーがFacebookを訪問する回数を減らす方向に働くだろう。これはもちろんFacebookのビジネスにとって好ましくない。

そのためFacebookはニュースフィードから不快、不正な投稿を排除する努力を重ねてきた。ニュースフィードに表示できるコンテンツもユーザーのアテンションも有限である以上、有害無益な投稿にスペースを占領されてはページの自然なリーチの減少を招くことになる。嘘記事を排除することはそれだけ有用な記事のスペースが増えるわけだ。

Facebookの努力で「客観的に無益、不快な投稿」が効果的に排除されるようになるのは大いに結構だが、将来は「他人の赤ん坊の写真」のように「主観的に無益、不快」な投稿をユーザーが一括フィルターできるような機能を提供してもらいたいものだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Facebookがディープラーニングツールの一部をオープンソース化

機械学習の世界では今、”deep learning”(ディープラーニング, 深層学習)という言葉が流行っている。それはGeoff Hintonなどの研究者が広めた技術で、彼は今Googleにいて、その前はMicrosoft Researchにいた。またYann LeCunなどの研究者は、コンピュータに物や人の話を認識させる、今よりももっと良い方法を模索している。

Facebookも、この分野にかなりの貢献をしていて、今日(米国時間1/16)同社は、機械学習のためのコンピューティングフレームワークTorch7プロジェクトの一部をオープンソースにする。Torchはこれまでも、大学の研究室や、Google、Twitter、Intelなどの企業で機械学習や人工知能のプロジェクトの中核として利用されてきた。

Facebookは今日、Torchを使っているディープラーニングプロジェクトを高速化するために最適化されている一連のツールを、ローンチする。たとえばその一つは、複数のGPUを同時に動かして学習ネットワーク(神経ネットワーク)の教育訓練を並列化する。また、今入手できる最速のコードの23倍速く、多くのディープラーニングシステムの中核であるconvolutional neural nets(畳み込みニューラルネット)を教育訓練できるツールもある。

さらにFacebookがローンチするツールの中には、Torchのそのほかの部分を高速化するものもある。それらの多くはデフォルトのツールの3倍から10倍速いそうだ。

詳しい技術情報に興味のある方は、ここへどうぞ。

ディープラーニングは私たちが日常使うソフトウェアの多くが、直接あるいは間接(クラウドなど)に、徐々に利用し始めている。

たとえばGoogle+ Photosは、ユーザの写真ライブラリ中に画像を見つけるためにそれを利用している。そして先週のCESではNvidiaが、キーノートの時間の大半を費やして、ディープラーニングによるオブジェクトの同定により、車載カメラの能力がアップし、自動運転の実用化が早まる、という話をしていた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Pewレポート:人気ながら成長率が鈍化するFacebookとエンゲージメント率低下に悩むTwitter

Facebookは最もポピュラーなソーシャルネットワークだ。但し、Pew Researchの最新のレポートによると、アメリカ国内における成長速度には衰えがみられるようだ。ソーシャルネットワーク全体で見ると、多くの人がTwitter、Instagram、Pinterest、およびLinkedInなど複数のサービスを利用するようになっており、すべてをまとめると昨年も利用者数が大いに伸びている。

Facebookについては、アメリカにおいて「クリティカルマス」に達したのだということが言われることもある。そしてレポートの数字を見てみる限り、確かにそうした状況にあるようだ。利用者数では、Facebookが他のソーシャルネットワークを圧倒している。但しメンバーの構成などの面で、2013年頃とは変わってきている様子だ。「年配者」の利用率が大いに高まっているのだ。

65歳以上のインターネット利用者についてみると、初めて半数以上(56%)が利用しているという結果が得られた。いまやおじいさんやおばあさんも含めて、一家揃ってFacebookを利用しているという状況にあるわけだ。

そうした状況で、19歳のAndrew Wattsの記事も生まれてきたわけだ。記事によれば、Facebookは「強制参加を強いられる面倒くさい家族会」のようなものだとのこと。ティーンにとってFacebookは、グループ機能以外には魅力のない存在であるとのことだ。「やっかいで苛つく場所」であるらしい。ネットワーク上にパパやママのみならず、おじいさんにおばあさんまでいるというのは、確かにティーンにとっては煩わしいものかもしれない。

そうした面から、Facebookが「クールではない」と言われたりはするものの、しかしアクティブ率は依然として高い数値を示している。アメリカのインターネット利用者のうち71%がFacebookを利用していて(これは2013年8月の調査と同じ)、そのうち70%が毎日Facebookを利用しているのだそうだ。こちらは2013年の63%から上昇している。さらに45%の人は、1日に何度もFacebookを利用しているとのこと。

また、アメリカにおけるインターネット利用者中、ひとつだけしかソーシャルメディアを利用していないという人(36%から28%に低下)の場合、利用しているのがFacebookであるというのが一般的だ。1つしか使っていないという人の中で79%がFacebookを利用しているのだ。

複数ソーシャルメディアを使う傾向が拡大

さまざまな面でFacebookが圧倒的な人気を誇っているわけだが、複数のソーシャルメディアを活用するという人も増えている。インターネット利用者のうち52%が2つ以上のソーシャルメディアを利用していると述べている。2013年には42%だった。

また、若年利用者層がFacebookから完全に離れてしまったというわけでもない。たとえばFacebook保有のInstagramは若者の間でも人気のサービスとなっている。レポートによると、Instagramの利用者は前年比9%の増加となっていて、かつあらゆる世代で利用者が増加しているようだ。さらに言えば、アメリカにおける18歳から29歳のインターネット利用者のうち半数ほどがInstagramを利用しているのだとのこと。さらにそのうちの半数ほど(49%)がサービスを毎日利用しているのだそうだ。但し、Pewによればそうした傾向は2013年のうちから見えていたものではあるとのことだ。

LinkedInの利用者も増加している。そして大学卒業以上の学歴を持つインターネット利用者の中では、利用している人が50%に達したのだそうだ。TwitterおよびPinterestもさまざまな層で利用者数を増やしている。但し、Pinterestの方は相変わらず女性の比率が高いようではある。インターネットを利用する女性のうち42%がPinterestを利用しているようだ。男性の方の利用率は13%となっている。

ちなみにエンゲージメントの面でいえばPinterestとLinkedInはまだまだといった状況のようだ。Pinterest利用者のうち、毎日利用している人は17%に留まり、これは2013年からさほど変化していない。またLinkedInの方も毎日利用している人の率は13%に過ぎない。こちらも2013年から変化なしだ。

Twitterもエンゲージメントの面でみると「低下」してしまっている。「Twitter利用者の36%が毎日同サービスを使っているが、これは2013年の46%から10ポイントの低下となっている」とのこと。Twitterの知名度は高く、また利用者数でもトップ5に入るサービスだ。しかしエンゲージメント率の低下は、Twitterを巡るさまざまな問題の中でも重大なものだと言えるだろう。サインインしてから、面白そうな人を見つけてフォローする手間が大きく、結局大して利用しないうちに離れていくという人も多いようなのだ。

調査はアメリカ国内での利用状況についてのもので、さまざまなデータを集計したものとなっている。ちなみにアメリカにおいて、18歳以上のうち81%がインターネットを利用しているのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H