GoogleのKubernetes Engineが3種のリリースチャネルとWindows Containerをサポート

2年に一度行われるクラウドネイティブのカンファレンスKubeCon+CloudNativeConでGoogle(グーグル)は米国時間5月20日、Google Kuberentes Engine(GKE)の3つのリリースチャネル、RapidとRagularをStableを発表した。

これによりGoogle Cloudのユーザーは、最新のリリースを選ぶか、それともいちばん安定したやつで行くかなどを選択でき、また最新のアップデートを開発環境の中で容易に評価できる。このリリースチャネル機能は、目下アルファテストの段階だ。

Googleのリリースノートには「各チャネルで、成熟度と鮮度が異なる。デベロッパーはリスクの許容度とビジネスの要求のあいだで適正なバランスを取りながらクラスターをアップデートのストリームにサブスクライブできる」と書かれている。

今アルファで提供されているのはRapidチャネルの最初のリリースで、それがデベロッパーにKubernetesの最新バージョンのアーリーアクセスを与える。

Rapidへのリリースとともに、GoogleはまたGKEによるWindows Containersの初期的サポートを提供する。最近の何回かのリリースの過程でKubernetesのコミュニティはWindowsサポートを徐々に改良し、そして今度はGoogleが6月にWindows Server Containersのサポートを提供する。

これらの機能に加えてさらに、同社はKubernetesをモニタリングするStackdriverツールをリリース。このツールでGKEのモニタリングとロギングができ、また他のクラウドやオンプレミスのインフラストラクチャでのKubernetesのデプロイにも対応できる。

画像クレジット: Alija

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ハードウェアをアップデートしたGoogle Glassの新モデルが登場

Googleのヘッドマウント型スマートディスプレイ、Google Glassがついに普及の段階に入った。

Glassが最初に登場したのは2013年。Googleが思い描いていた未来の夢を具現化する役割を果たした。その後、一般ユーザー向けではなく、企業向けとして再定義されたが、今回ハードウェアのアップデートを受けて、Googleの親会社Alphabet(アルファベット)の研究部門Xのムーンショットファクトリから卒業することになった。これにより、多くの企業にとって手を出しやすい製品となることを目指している。

最初のコンシューマ向け製品は、一笑に付されてしまうほど未熟なものというわけではなかったものの、話題を振りまくのがせいぜいだった。企業向けのGoogle Glass Enterprise Editionは2年前に発表され、それ以降ビジネスユーザーの関心を得ようと、専任のグループがコツコツと開発に取り組んできた。

今回発表されたGlass Enterprise Edition 2のデザインは、前任機から大幅に変更されたようには見えないが、内部には注目すべき変更が加えられている。具体的には、OSとしてAndroidを採用し、Android Enterprise Mobile Device Managementをサポートするようになった。この変更だけでも、エンタープライズの顧客に重い腰を上げさせるのに十分な効果があるだろう。

チップセットをQualcommのAR/VR専用のXR1に変更したことにより、ソフトウェアのアップデートも可能となった。Googleによれば、新しいGlassでは「カメラの性能と画質が向上している」ということで、さらにUSB-Cによる接続も可能となっている。

MicrosoftのHoloLensのようなものと比較すると、Glass Enterprise Edition 2の機能はかなり限られている。ただしGlassは、ユーザーの周辺にあるものについての情報に、何の操作も必要とせず、簡単にアクセスできるようにすることに焦点を合わせたものなのだ。

Glassを担当するチームは、GoogleのAR/VRチームに合流した。この動きは、Googleがコンシューマ向けの製品の開発に注力するのを見直そうとしていることを象徴するものだろう。昨年、Googleはコンシューマ向けのVR製品のアップデートを最小限に抑えた。また、クリエイティブコンテンツの制作を担当するグループのいくつかを解散し、エンタープライズ向け、コンシューマ向け、ともに機械学習を最大限に活用するような製品の開発に注力することにした。

X部門を卒業したGlassチームは、これまでにムーンショットファクトリから巣立った他のチームと合流することになったわけだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

既存ファーウェイ端末はGoogle Playストアを継続利用可能とグーグルが声明

Google(グーグル)は米国時間5月20日、既存のHuawei(ファーウェイ)製デバイスのユーザーはGoogle Playストアを引き続き利用できると発表した。将来的に同社がフル機能のAndroidを利用できるかは不明だが、世界中の何千万人ものユーザーを安心させることだろう。

またGoogleがTechCrunchに寄せた声明によれば、既存のファーウェイ端末にはGoogle Play Protectを通じたセキュリティアップデートも配信される。Google Play Protectは、マシンラーニングを利用してマルウェアを検知し排除する内蔵機能だ。なお、ファーウェイは具体的にどのAndroidスマートフォンがAndroidのアップデートを受けられるのかは明らかにしていない。

この声明は、ロイターによるグーグルがファーウェイとのビジネスを停止するという米国時間5月19日の報道の後に出されたものだ。なお、ファーウェイは昨年に2億台以上のスマートフォンを出荷した世界第2位のメーカーである。報道では、将来のファーウェイのデバイスではGoogle Play Storeやメールクライアント「Gmail」など、多くのGoogle Mobile Servicesが利用できなくなるとしている。ファーウェイのスポークスパーソンは現在状況を調査中としており、それ以上の声明を出していない。

これはファーウェイにとって大きな後退であり、数週間以内に問題が解決されない場合には、中国外でのスマートフォンビジネスにて大きな混乱をもたらしうる。すでにセキュリティ関連の問題を抱えている同社だが、もし解決策がない場合、将来のスマートフォン向けのソフトウェア戦略を再考する必要がある。将来的なAndroidアップデートの配信の遅れ、あるいは停止は、同社の顧客からの評判を世界中で損なうことになる。

ファーウェイのスポークスパーソンは声明にて、「我々は命令を遵守し、その影響を見直しています」と述べている。

現在進行系の米中による関税政策のなかで、ファーウェイとグーグルは奇妙な立場に置かれている。ファーウェイと70社の関連会社は米商務省による国家安全保障上の懸念によりリスト入りしており、グーグルやIntel(インテル)など米企業は取引の前に政府の承認を受けることが要求されている。

ファーウェイは、この事態を予測していたのかもしれない。同社の幹部は最近、現在のシステムが将来利用できなくなった場合に備え、独自のAndroidベースのOSを開発したと明かした。先程のロイターの報道によれば、ファーウェイはGoogle Mobile Servicesを含まないオープンソースのAndroid OSこと「AOSP」も継続利用できるという。さらに理論的には、独自のアプリストアを持てるはずだ。しかし十分な数のディベロッパーを説得してファーウェイのアプリストアでアプリを公開し、継続的にアップデートをしてもらうことは、非常に難しいだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleが中間テキスト化不要の音声機械通訳の成果を発表

あの銀河ヒッチハイク・ガイドに出てくる不思議な万能翻訳機「バベルフィッシュ」がどんどん現実に近づいている。 Googleの新しい研究プロジェクトは音声で話しかけられた内容をリアルタイムで音声で通訳できるシステムを目指している。

従来の機械翻訳とは大きく異なった仕組みで、中間にテキスト化の段階を含まず、すべて音声レベルで処理される。これは処理の高速化に役立つのはもちろんだが、もっと重要な点は話者の語調その他の音声的ニュアンスをいっそう正確に処理できることだ。

このプロジェクトはTranslatotronと名付けられており、長年の研究を基礎としているものの、まだ開発の初期段階にあるという。Google他の開発者はスピーチから直接スピーチに変換するリアルタイム通訳の実現を目指して努力を重ねてきたが、見るべき成果が上がり始めたのはほんの数年前からだ。

現在、スピーチのリアルタイム翻訳はいくつかの部分に分割して実行されるのが普通だ。ソースのスピーチを音声認識によりテキストに変換(STT、Speech-To-Text)し、テキストを機械翻訳した後、出力テキストをスピーチに変換(TT、Stext-To-Speech)する。この方式は実際かなりの成果を上げているが、完璧には遠い。各ステップに特有の誤差があり、累積すると大きな誤差となってしまう。

またバイリンガル、マルチリンガルの人々が複数の言語を使う場合のプロセスの研究が示すとおり、テキスト化を挟む機械翻訳」は人間の複数言語思考ともかけ離れている。現段階では大脳でどのような処理が行われているのか正確にいうことはできないが、バイリンガルの話者が外国語を使うときに発話内容をいちいちテキスト化して思い浮かべ、それを翻訳しているのでないことは確実だ。人間の思考プロセスは機械学習アルゴリズムを進歩させる上でガイドないしモデルとして利用できる場合が多い。

スピーチの音声スペクトル画像。テキストを介した翻訳ではスペイン語の人名「ギェルモ」が対応する英語の人名「ウィリアム」に翻訳されてしまうのに対して、音声直接通訳では「ジエルモ」になっている。これでも正確ではないが、通訳としてベターだ。

これに対して研究者は音声スペクトルを解析して直接対応言語の音声スペクトルを合成しようと努力している。これは伝統的なテキストを介する3段階方式とまったく異なる機械翻訳のアプローチだ。これには弱点もあるが、上の例で示したようにメリットも大きい。

簡単なところでは、十分な計算機資源が用意できるなら現行の3ステップ方式より1ステップのTranslatotronの方が処理が速い。しかしユーザーにとってもっと重要な点は、音声から音声への直接通訳は元の発話の音声の特徴をよく再現できることだ。テキストを介した合成音声がいかにもロボット的に不自然に聞こえるのに対して、Translatatronで生成される文はオリジナルの発話に近いものとなる。

これは意味内容だけが対象言語に翻訳されるのではなく、発話の音声に込められた感情やニュアンスも再現されるという点で、機械翻訳を画期的に進歩させる可能性がある。これは通訳アプリに限らず、音声合成のユーザーは非常に大きな影響を与えるだろう。

今のところ、音声直接翻訳の精度は従来のテキストを介した翻訳に及ばず、この点では改良が必要だという。しかし部分的にせよ、非常に優れた翻訳も生まれている。研究グループは「出発点に立ったところであり、可能性を実証した段階」と控えめに表現しているが、実用化されたときのインパクトの大きさを想像するのは難しくない。

オリジナルの研究論文はArxivで公開されている。またう従来型のテキストを介した通訳とTranslatotronによる通訳のサンプルはこのページにある。これらのサンプルはあくまで音声直接翻訳というアプローチの可能性を試すために選ばれており、翻訳精度のアップそのものをを狙ったものではないという。

画像:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleがファーウェイに対してAndroidのサポートを中止へ

トランプ政権のHuawei(ファーウェイ)制裁が広い範囲に長期にわたって影響を与えることは間違いない。

当面、ファーウェイ以外の関係者は米国と中国の間で立場を明らかにし、いわば橋を焼き落とことを避けようと慎重に行動している。ここでGoogleがはからずも注目を浴びてしまった。競争の激しいスマートフォン業界にあって、Android OSと多数の有力アプリの提供者であるGoogleの決定は影響が大きい。

米国時間5月20日夜のReuters(ロイター)の報道によれば、Googleは脱ファーウェイに向けて措置を取り始めたという。事情に通じた情報源が5月19日にロイターに語ったところでは、Googleはオープンソースライセンスでカバーされる部分を除き、ファーウェイへのハード、ソフトのサポートを停止した。これによりAndroidのアップデートの提供はすでに停止された。Android OSそのものはオープンソースなので利用できるが、Googleからのサポートはなくなる。

ファーウェイは明確な立場を示さずに済む方法を探っているようだ。同社も対策を検討している。スマートフォンはハードウェアとソフトウェアが密接に連携する非常に複雑な世界で、無数のコンポネントが世界中から調達されている。貿易摩擦が激化するにつれ、アメリカの対イラン禁輸措置に違反して制裁を受けた中国のZTEが一番大きな不利益を被っている。

ファーウェイは「この制裁は関係者全員に不利益なものだ」と反論しており、自給自足体制を確立する計画を発表して挑戦的な姿勢を崩していない。同社は米中関係の緊張の高まりを避けられないものとみて対処するつもりのようだ。しかしGoogle、Qualcomm(クアルコム)など米企業のテクノロジーなしにこうした強硬姿勢が維持できるのか疑問をもつ専門家もいる。

【Japan編集部追記】記事内で引用されているロイターの報道によれば、「ファーウェイの次世代スマートフォンは中国国外では最新のAndroid OSだけでなくGoogle Payへもアクセスできなくなる」とのこと。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

中国検索大手Baiduが上場以来初めての四半期損失を計上

【抄訳】
中国のGoogleと一般的に思われているBaidu(百度)は5月16日に、本年第1四半期(1〜3月)の決算報告を発表した。近年同社は人工知能などの次世代技術への支出が多く、その成果がマスマーケットにまだ届いていないので、それはあまりうれしくない結果だ。

同社は、3月31日に終わる四半期に4900万ドル(約54億円)の損失を計上し、それは2005年に上場した同社の初めての損失の四半期になった。同社の前年同期の純利益66億9000万人民元(約1062億円)に対し、今四半期は3億2700万人民元(約52億円)の純損失となっている。

Baiduは中国最大の検索サービスで、PC時代には巨額の広告収入を獲得した。しかし消費者の関心が、リコメンデーションによるコンテンツ発見など、新形式のモバイルサービスに向くに伴い、Baiduの魅力は薄れた。

決算報告は、2005年以来同社に奉仕してきた検索部門の上級副社長を務めるXiang Hailong氏が辞めたことを、発表している。この巨大検索企業は今や、メインの事業を検索ではなく“モバイルビジネス”と称している。

Baiduの売上は241億人民元(35億ドル、約3830億円)で、前年同期比では15%増加した。

【後略】

画像クレジット: Bloomberg/Contributor

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルとグーグルがアクセシビリティに焦点を当てたアプリや新ショートカット公開

昨年秋のiOS 12でApple(アップル)はSiriショートカットをリリースした。iPhoneユーザーが自分専用の音声コマンドを作ることのできる新しいアプリだ。米国時間5月16日Appleは、Global Accessibility Awareness Day(GADD)を祝って、アクセシビリティに焦点を当てた実用的なSiriショートカット集を公開した。あわせてApp Storeにもアクセシビリティ向けの機能やコレクションを導入した。

Google(グーグル)も同様に、Google PlayでAndroidユーザー向けの機能追加を行っている。

Appleの新しいSiriショートカット群は、ショートカットアプリ上のコレクションとして提供される。コレクションにはユーザーの日々の仕事に役立つさまざまなショートカットが入っている。

例えば「Help Message」 ショートカットは、現在位置を緊急連絡先に通知する。「Meeting Someone New」ショートカットは、言葉によらない自己紹介とコミュニケーションをスピードアップする。思ったことや感じたことを記録する「mood Journal」、遠方の人に自分の痛みの大きさを伝える「pain report」などもある。

コミュニケーションの効率を上げるためのショートカットもいくつかある。例えば、よく使う連絡先をホーム画面に置き、ワンタッチで電話やメッセージやFaceTimeができる。

QRコードに関するものもある。「QR Your Shortcuts」は、よく使っているショートカットのQRコードを作ってくれるので、プリントしてそれが必要になる場所に貼り付ける。例えば、歯磨きの手順をひとつずつしゃべる「Speak Bursh Teeth Routine」ショートカットは洗面所に貼っておくといい。

Appleはこうした新しいショートカットだけでなく、アクセシビリティに特化したアプリのコレクションをApp Storeに追加した。Microsoftの視覚障害者向けトーキングカメラのSeeing AIや、音声認識リーダー、オーディオゲーム、手話アプリ、AAC(拡大・代替コミュニケーション)ソリューション、視線制御プラウザー、スマートホームアプリ、微細運動技能などがある。

App Storeにはデベロッパー、アスリート、ミュージシャン、コメディアンらがアクセシブル技術をどのように利用しているかについてのインタビューも載っている。

GAADがテーマの特別コレクションを本日公開したのはAppleだけではない。GoogleもGoogle Playでアクセシブルアプリやゲームのコレクションを公開している。いくつかのユーティリティーに加えて、今月Google I/Oデベロッパーカンファレンスでデビューした聴覚障害・難聴者向け最新アクセシビリティサービスであるLive Transcribe(音声文字変換)紹介されている。

アプリのステータスは「Unreleased」になっているが、先行バージョンをインストール可能で、周囲の会話を聞き取ってすぐに文字起こししてくれる。

ほかにもホーム画面に代わるNova Launcherや、視覚障害者支援アプリのBe My Eyes、ヘッドコントロールのOpen Sesame、コミュニケーション支援のCard Talkど多数ある。

【Japan編集部追記】日本版の「ショートカット」アプリには5月17日11時現在、今回に併せたアクセシビリティ関連のショートカットは提供されていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleが安全性のバグが原因でセキュリティキーのTitanをリコール

Google(グーグル)は米国時間5月15日、Bluetoothによるセキュリティキー「Titan」が、物理的に近い場所から攻撃者によってセキュリティを迂回される危険があると発表した。このバグは、「TitanのBluetoothペアリングのプロトコルにおけるセキュリティキーの設定ミス」によるもので、不完全なキーでもフィッシング攻撃を防げるものの、すべての顧客への無料リコールを実施することになる。

このバグの影響を受けるのは、背面に「T1」あるいは「T2」の表記がある製品だ。なお、TitanはUSB/NFCに対応したBluetoothキーで、50ドル(約5400円)にて販売されている。

このバグでは、攻撃者はBluetoothの範囲内(約30フィート、9.1m)にてキーのボタンを押してアクティブにする際に、すばやく行動する必要がある。そして誤った設定のプロトコルを利用し、本来のデバイスに接続する前に自分のデバイスに接続させる。次に、自分のユーザーネームとパスワードにて、アカウントにサインインするのだ。

Googleはキーを使用する前に、自分のデバイスとペアリングする必要があると説明している。しかし攻撃者はバグを利用し、ボタンを押した際に自分のデバイスへと接続させるように偽造することができる。そして攻撃者は自分のデバイスをキーボードやマウスのように変更し、例えばラップトップをリモート制御することができるのだ。

これらの操作はすべて正確なタイミングで行う必要があり、さらに攻撃者は証明書をあらかじめ知っておく必要がある。つまり、根気強い攻撃者ならうまくいく可能性がある。

Googleはこの問題はTitanの主要な機能となるフィッシング詐欺からの保護には影響しないと主張しており、また交換品が到着するまでは現在のキーを使い続けるべきだとしている。「キーをまったく使用しないよりは、現在のキーを使い続けるほうが遥かに安全だ。現時点でも、セキュリティキーはフィッシング詐欺に対する最も強力な保護手段である」Googleは発表している。

また同社はこのページにて、セキュリティの問題を軽減するいくつかの方法も提供している。

セキュリティキーの分野でGoogleと競合するYubicoは、潜在的なセキュリティの問題を理由にBluetoothの使用を中止し、GoogleがBluetoothによるセキュリティキーをローンチしたことを批判した。

YibiCoの創設者ことStina Ehrensvard氏は、「Yubicoでは以前からBLEのセキュリティキーを開発し、BLE U2Fの標準化に貢献してきましたが、セキュリテやユーザビリティ、耐久性の面で我々の基準に達していないので、製品化を見送ることにしました」と、GoogleがTitanを発表した際に記載している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GoogleのRivetアプリはスピーチ処理技術で子どもの読解力を伸ばす

RivetはGoogleの社内インキュベーターからリリースされた新しいアプリで、読書に困難のある子どもたちをサポートすることを目指している。このアプリはGoogleの実験プロジェクトのワークショップであるArea 120から生まれた。子ども向けの無償の本が2000冊以上含まれ、単語がわからなくてつまづく子どもを先進的なスピーチテクノロジーで助けるアシスタント機能が備わっている。

例えば、わからない単語をタップすれば発音を聞くことができ、それを復唱すれば正しく読めているかどうかがアプリに表示される。

25以上の言語に対応した語義や翻訳の機能もある。子ども、特に非ネイティブの話者が読み方を学ぶのに役に立つ。

低年齢層の読者のためには、ストーリーを読み上げるモードがある。読み上げに合わせて単語がハイライト表示されるので、子どもは単語と発音を一致させながら見ていくことができる。成長してこの機能が必要なくなったら、保護者はこのモードを無効にして子どもに自分で読ませることができる。

子どもをターゲットとした電子書籍アプリは市場にたくさんあるが、Rivetは音声テクノロジーとスピーチ処理を活用して成長を助けることができるという点で興味深い。

Rivetは、Android版とiOS版がある。マイクのボタンをタップしてページを読み上げると、リアルタイムでヘルプを提供する。ある単語でつまづくと、アシスタントが積極的に介入してサポートする。通常、子どもが知らない単語や発音できない単語にぶつかると、保護者はそれを教えて読書を手伝う。Rivetは、これと同じように動作する。

子どものプライバシーを守るため、Rivetのスピーチ処理はすべてデバイス上で実行され、アプリはCOPPA(児童オンラインプライバシー保護法)に準拠しているという。

あるページを読み終わると、正しく読めた単語はどれか、練習が必要な単語はどれかを見ることができる。ポイントやバッジのごほうびがもらえるほか、アバターやテーマ、本のカスタマイズを活用して、ひとりひとりの関心と読書レベルに応じた体験ができるようになっている。

そのほかにもサプライズやゲームがあって、子どもは飽きずにこのアプリで読書を続けることができる。

Rivetの技術・プロダクト責任者のBen Turtel氏は読書のプロジェクトに取り組んだ理由について、読書はあらゆることを学ぶために身につけなくてはならない基本的なスキルだからだと述べている

Turtel氏はこう説明する。「読むことが困難な子どもは高校の授業についていけず、卒業する可能性は4倍も低い。残念なことに米国の4年生の64%が十分な読解力レベルに達していない」。

Googleが読書に取り組んだアプリは、Rivetが初めてではない。Boloというアプリも同じような機能があり、インドの子どもたちを対象としている。

BoloはArea 120プロジェクトのアプリではないが、同プロジェクトからは教育にフォーカスしたコード学習アプリのGrasshopperや、スピーチ処理技術を使ったカスタマーサービスの電話システムのCallJoyなどが生まれている。

Rivetは今年に入ってからベータ版が配布されていたが、現在は米国をはじめ11カ国Google PlayアップルのApp Storeで一般に提供されている(訳注:本稿公開時点では、日本では提供されていない)。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Googleの旅行プランニング機能がGmailと統合されて便利になった

Googleは米国時間5月14日、ウェブ上の旅行プランツールの重要な改良を発表した。昨年モバイルで同様のツール集をローンチした同社は本日、ウェブ上のgoogle.com/travelで、過去のすべての旅の情報を見られるほか、検索をフライト、ホテル、パッケージの3つのどれかに容易に切り替えられるようになったことを発表した。

これでやっと、Googleの各種旅行サービスがひとつの傘の下に収まることになる。GoogleがITAを買収したのは9年前だから、もっと早くてもよかったという気はするけどね。

Google Tripsが、新しいサイトのランディングページになり、ユーザーの現在の予約情報や目的地に関する情報がまとめて表示される。その情報をGoogleの検索やマップに持ち込むこともできる。そのためにGoogle.com/travel(略してGoogle Travelと呼ぼう!)は、ユーザーのGmailの受信トレイから確認のメールや受領通知などをもらって、ユーザーの旅のタイムラインを作る。

これでウェブとモバイルの両方で機能がそろったから、どんなデバイスからでも自分の旅のプランにアクセスできる。ただし前と同じく、Googleのサービスの上で予約はできないので、ここからさらにエアラインやホテルの予約システムへ行って予約を完了することになる。

フライトやホテルの検索エンジンは前と同じだが、前はフライトとホテルのパッケージを買うこともできた。ただしそれは、うまく隠されていた。今度からは最初に料金表が出て、ホテルやフライトの検索へ行く。

発表声明では「目標は旅行のプランニングを単純化することで、そのために必要な情報を早く見つけられるようにし、別のデバイスの上で何をどこまでやったかも、正確に分かるようにした。今後はGoogleマップとGoogle検索とgoogle.com/travelを全部合わせて、旅行の計画や実行を支援していきたい」と言っている。

残念なことにGoogleは、今はなきInboxの便利な機能であるTrip Bundlesを、Inboxの閉鎖時に約束していたのにまだGmailに移植していない。それが実現するまでは、今回大改造されたGoogle Travelで十分間に合うと思うけどね。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アドビのCommerce CloudはMagentoにAmazonとGoogleを統合

Adobe(アドビ)がMagentoを16億ドル(約1760億円)で買収し、Adobe Commerce Cloudを立ち上げてから、まだ2、3カ月しか経っていない。米国時間5月13日、MagentoのImagine 2019カンファレンスで、同社はいくつかのアップデートを発表した。プラットフォームのカバー範囲を同社のサービスを利用する中小企業にも拡げることを狙ったものだ。

AdobeがMagentoを買収した際には、同社のサービスを利用していた中小企業の多くはAdobeが既存の大企業に注力するようになるのではないかと心配した。つまり、それ以前からAdobe Experience Cloudを利用していたような企業のことだ。今回の一連の発表は、さまざまな面でこうした懸念を打ち消すことを目指したものとなっている。

中でも、Magentoユーザーにとって最も重要な2つのニュースは、Amazon、およびGoogleとの新たな統合機能だ。

まずAmazonについては、業者は直接MagentoのバックエンドからAmazonの在庫を自動的に管理し、メンテナンスすることができるようになった。Amazon Sales Channelに適合した値付けルールを設定し、複数のAmazonアカウントを使って複数のAmazonブランドを管理し、さらにAmazonの製品データにアクセスすることも可能だ。

この新機能は、すでにMagento Marketplaceで入手できる無料の機能拡張を導入することで、すべてのMagentoユーザーが利用可能となってる。

「多くのブランドや業者にとって、Amazon内にストアを構築するのは簡単なことではありません」と、Adobeのコマースプロダクト&プラットフォーム担当副社長であるJason Woosley氏は述べている。「そのためは、運用上の課題のあれこれに適切に対処しなければなりません。新しいプラットフォームを導入し、チームのメンバーがその使い方をマスターして、管理、維持の方法を学ぶ必要もあります。もしチームの仕事量が限界を超えてしまったら、新たなスタッフを雇うか、そのままではビジネスの目標を達成できないロードマップを考え直す、といったトレードオフも必要となるでしょう」。

一方GoogleについてもMagentoは同日、Google Shoppingとのネイティブな統合機能を、やはり無料の機能拡張としてリリースした。これにより、Magentoの管理者はMagentoのダッシュボードからGoogle広告を管理し、Google Merchant Centerアカウントを運用できるようになる。さらに、Magentoから直接Googleのマーケティングキャンペーンも管理できるようになる。ここでも、Magentoを利用している業者は、すでに使い慣れたツールを使って他のプラットフォームまでも操作できるようになるのがポイントだ。これまでは、複数のサービスの間を行ったり来たりしながら、それらが同期して動くよう苦労していた。

さらにAdobeは、PWA(Progressive Web Application)Studioも発表した。これは、高い技能を持ったMagentoユーザーが、アプリ同様に使えるオンラインストアを構築することを可能にするもの。現状では、支払いオプションとしてPayPalのBraintreeをサポートしている。Woosley氏は、特に新興市場においては、多くのMagentoユーザーにとって、PWAこそ進むべき道であると期待しているという。

画像クレジット:Bogdan Vija/EyeEm/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Chromeの変更がブラウザのプライバシーとセキュリティに及ぼす大きな意味

楽観的すぎると思われるのを覚悟で言えば、2019年はプライベートウェブブラウザの年になるかもしれない。

初期のころ、ブラウザはまだ混沌とした状態で、とりあえず中身をきれいに見せることに注力したものだった。セキュリティは二の次。Internet Explorerがその良い例だった。また、Google ChromeやMozilla Firefoxのような新しいブラウザが登場しても、ユーザーのプライバシーはめったに顧みられることはなかった。そうしたブラウザはスピードと信頼性に重点を置いていたからだ。

広告によって、長い間インターネットの利用は無料になっていた。しかし、侵略的な広告トラッキングが全盛をきわめるようになると、オンラインのプライバシーに対する懸念が、ようやく取り沙汰されるようになった。

Chromeは、全世界のブラウザ市場の3分の2近くのシェアを占めていると言われるが、最近改めてセキュリティとプライバシーを重視する姿勢を打ち出した。それ以前にも、先月Firefoxは、新しいトラッキング防止機能を発表していた。また、MicrosoftのChromiumベースのEdgeは、ユーザーデータに関する細かなコントロール機能の装備を約束している。さらにAppleのSafariも、広告業者がサイトを越えてユーザーをトラッキングすることを防止する機能を装備した。

毎年開かれるデベロッパーカンファレンスで、米国時間5月7日、Googleはプライバシー保護に関する2つの機能の追加を明らかにした。1つはクッキーのコントロールによって、広告業者がウェブサイトをまたいでユーザーの行動をトラッキングすることを制限する機能。もう1つは新しいフィンガープリント対策だ。

念のために説明すると、クッキーとは、ユーザーのコンピュータやデバイスにファイルとして保存される小さな情報で、それによってウェブサイトやアプリは、ユーザーが誰なのかを特定できる。ユーザーにとっては、ウェブサイトにログインしたままの状態にしておくことができるので便利だが、そのサイト上のユーザーの行動を追跡するのに利用されることもある。中には、異なるウェブサイト間で動作するものもあり、ユーザーのウェブサイト間の移動を追跡する。それにより、ユーザーがどこに行ってどこを訪問したか、といったプロファイルを構築することも可能になる。クッキーの管理は、これまでずっと、オンにするか、オフにするかを選ぶことしかできなかった。クッキーをオフにすると、広告業者が複数のサイトにまたがってユーザーを追跡することは難しくなるものの、そのウェブサイトに関するログイン情報は記憶されなくなる。これは不便だ。

近い将来Chromeは、ユーザーによる明示的な同意が得られなければ、ドメインが異なるサイト間でクッキーが機能することを禁止することになる。言い換えると、広告業者は、ユーザーから追跡の許可が得られない限り、ユーザーが訪問したさまざまなサイトで何をしているのか把握することができなくなるわけだ。

同じドメイン内でのみ機能するクッキーは影響を受けないので、これによってユーザーがいきなりログアウトさせられることはない。

この機能は、さらに別のメリットももたらす。クロスサイトのクッキーをブロックすると、ハッカーがクロスサイト脆弱性を突くことが難しくなるのだ。クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)と呼ばれる攻撃では、悪意のあるウェブサイトが、ユーザーがログインしている正当なサイト上で、ユーザーに気付かれずにコマンドを実行することが可能となる場合もある。それによってユーザーのデータを盗んだり、アカウントを乗っ取ったりすることができる。

Googleは、いずれ、クロスサイトのクッキーはHTTPS接続でない限り送受信できなくするという。つまり、ハッカーがあるコンピュータに狙いを定めていたとしても、その通信を傍受したり、内容を変更したり、盗んだりすることができなくなる。

クッキーは、ユーザーをウェブ上で追跡する手段としては、ほんの一部に過ぎない。最近では、ブラウザに固有のフィンガープリントを使って、ユーザーがどのサイトを訪問したかを知ることも、かなり容易になっている。

フィンガープリントは、ウェブサイトや広告業者が、ユーザーが使っているブラウザに関する情報をできるだけ詳しく収集するための手法。使用しているプラグインや機能拡張から、動作してるデバイスについては、そのメーカー、モデル、画面の解像度などの情報も対象となる。そうした情報を集めて、ユーザーごとに異なるデバイスの「指紋」として採取するのだ。クッキーを使っていないので、ユーザーがシークレットモードやプライベートブラウズ機能を利用していても、ウェブサイトはブラウザのフィンガープリントを見ることができる。

Googleは、それをどうやって実現するのかについては詳しく触れてはいないものの、フィンガープリント対策について積極的に取り組む計画であると述べた。ただし、その機能がいつ利用できるようになるかについてのタイムラインは明らかにしなかった。

間違いなくGoogleも、Apple、Mozilla、そしてMicrosoftに次いで、プライバシーを重視する姿勢を打ち出してきている。Googleが仲間に加わったことで、Chromeがカバーするインターネットの3分の2も、すぐに利益を得ることになるはずだ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Googleは高速な画像読み込み機能をChrome Canaryに展開

Googleは米国時間5月7日、重い画像を含むウェブサイトをより高速に読み込むための機能をChromeに追加することを発表した。ただし現時点では、Chromeの実験的なバージョンであるChrome Canaryでのみ利用可能となっている。Chrome担当のプロダクトマネージャ、Tal Oppenheimer(タル・オッペンハイマー)氏が米国時間5月7日に開催されたGoogle I/Oカンファレンスで説明したところによれば、Googleはウェブサイトの画像読み込みに関するユーザー体験を改善する新たな方法を展開することになるという。「レイジーローディング」と呼ばれる手法を利用する。ウェブサイト上の画像を、実際に必要になったときに初めて読み込むというものだ。

「近年のウェブサイトは、これまでになかったほどビジュアルになっていて、高解像度の美しい画像を多く含んでいます」と、オッペンハイマー氏は述べている。「しかし、そうした画像をすべて一度に読み込もうとすると、ブラウザの速度は遅くなります。また、ユーザーが実際には目にすることのない不必要な画像を読み込むことで、リソースを無駄にすることになります」と、彼女は続けた。「そこで、たいていの場合、実際に必要になったときにだけ画像を読み込むようにする方が良いのです。それが『レイジーローディング』という手法です。しかし、デベロッパーが独自にJavaScriptを使って実装しようとすると、多大な労力がかかることになります。また、商用のサイトでは、望むようなレベルのユーザー体験が得にくくなる可能性もあります。そこで私たちは、非常にシンプルな方法で、優れた画像読み込み機能を実現したいと考えたのです」と、オッペンハイマー氏は付け加えた。

すでにChrome Canaryでは、「loading=”lazy”」という属性を持った画像タグに対して、新たな画像読み込み機能が有効になっている。あとはChromeが、ユーザーの接続速度などの要素も考慮して、実際に画像を読み込むタイミングなどを最適化してくれる。サイト上の個々の画像ファイルから、最初の2KBだけを読み込むことで、ページ上に適切なサイズのプレースホルダーを配置することも可能だ。

こうして、画像が重いウェブサイトについても、かなりスムーズな画像読み込みが可能なユーザー体験を実現できるというわけだ。よけいなコードを書く必要はいっさいない。

この機能は、通信速度が限られた環境でウェブブラウザーを使っている場合にこそ意味がある。そうした環境では、今日のメディアリッチなウェブサイトをブラウズすると、かなり遅く感じられるものだ。この機能を利用すれば、遅い環境にいるユーザーも、高速な接続接続が確保されたユーザーと同じように、ストレスの少ないアクセスが可能となるはずだ。

Googleは、この機能がChromeの実験的なバージョンから正式版に移行するのがいつになるかについては明らかにしなかった。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

GoogleのFlutterはmacOSやWindowsも含む真のマルチプラットフォーム対応へ

GoogleのFlutterは、クロスプラットフォーム開発に対応した UIツールキット。登場してからまだ2年しか経っていないが、あっという間に多くのデベロッパーがこぞって採用するフレームワークとなった。ただし、これまでは「クロスプラットフォーム」の意味は、AndroidとiOSにのみ限定されていた。昨年末になってGoogleは、Flutterをモバイル用だけでなくウェブにも拡張すると発表した。そして米国時間5月7日に開催されたGoogle I/Oで、その言葉通り、ウェブ用Flutterのテクニカルプレビュー版を発表した。

さらにGoogleは、Flutterを利用して、macOSWindowsLinuxをターゲットにした開発がもうすぐ可能になることも明らかにした。すでにGoogle自身も、Flutterを利用してGoogle Home Hub(Nest Hubに改名)のユーザー体験を設計し始めているという。それ以外に、さまざまな組み込みデバイス用に活用することも視野に入れている。

「Flutterは、カスタマイズされたユーザー体験を開発するための、美しく、速く、生産的なオープンソースのツールキットです。もともとはモバイル向けとして、基礎的な部分から構築したものです」と、Flutter担当のグループプロダクトマネージャ、Tim Sneath氏は語った。「今回のニュースは、Flutterをモバイル専用という枠から開放し、モバイル、組み込み、さらにデスクトップを含む汎用のポータブルなUIツールキットに昇華させるという、大きな意味を持つものです」。

デフォルトでは、Flutterを利用するアプリはGoogleのDart言語で記述し、そこからJavaScriptにコンパイルすることができる。その点では、Flutterをブラウザ上で利用するのは単純なことのように思われる。しかし、Flutterのエンジンをブラウザ上で製品レベルの品質で動作させるには、それなりの開発作業が必要だった。Sneath氏によれば、Flutterチームは、ブラウザ上でもモバイルとまったく同様に動くようにするため、特に熱心に取り組んだという。それはデベロッパーからも、ユーザーからも、同じように見え、使えるものでなければならなかった。

「大きな課題は、標準的なウェブの機能を利用して、Flutterベースのリッチなユーザー体験を実現し、それをどうやってクライアントに届けるのか、ということでした」と、Sneath氏は説明した。ウェブ上で動かすということは、ユーザーによるウィンドウのサイズ変更のような基本的なことから、キーボードやマウスとのやりとりといったことまでサポートしなければならないことを意味する。

このような要件は、もちろんデスクトップにも当てはまる。ただし、デスクトップ用のコードは、まだ製品レベルには達していない。とはいえ、すでにデベロッパーはデスクトップ版での開発も試せるようになっている。Flutterチームによれば、現状ではmacOS版の完成度が最も高いが、それなりの覚悟があれば、Windows版やLinux版での開発も可能だという。

チームは、Flutterのコードベースを1つに統一したいと考えている。そうすれば、デベロッパーがさまざまに異なるプラットフォームをサポートする際にも、Flutterのフレームワークや、その上で動作するアプリのコードをフォークし直す必要がなくなる。「私たちは、1つのフレームワークですべての環境に対応できるようにしたいと考えています」と、Sneath氏は言う。しかも、一見するとデスクトップアプリに見えるウェブアプリではなく、ネイティブ動作するデスクトップアプリも含めての話だと強調した。

Sneath氏は、New York Timesのパズルアプリのデモを見せてくれた。モバイルとウェブで、見た目も操作感覚も、まったく同じだった。これはFlutterのデベロッパーにとって、理想的なシナリオに違いない。

今回のアップデートで、GoogleはFlutterのコアに、さらにいくつかの新機能を追加した。その中には、iOS用の新しいウィジェット、Googleならではマテリアルデザイン、Dart 2.3のui-as-codeのサポート、といったものが含まれている。さらにFlutterチームは、ML Kit Custom Image Classifier for Flutterも発表した。これを利用すれば、デベロッパーは自分のアプリに画像認識のワークフローを組み込むことができる。「スマホのカメラを使用してトレーニング用のデータを収集することができます。他の人にデータ収集に協力してもらうことも可能です。1つのアプリでモデルのトレーニングをすることも、トレーニング済のモデルを利用することもできます」と、チームは発表した。

今後の展望としては、テキストの選択やコピー、ペーストのサポート強化、プラグインのサポート、PWA(プログレッシブウェブアプリ)といった新技術を標準サポートすることも計画している。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Google Pixel 3aを通じてわかる、スマホとGoogleをめぐる状況

昨日開幕したGoogleのGoogle I/Oキーノートで発表されたPixel 3aは、スマホ業界が厳しい状況にある中での登場となった。この業界の大手のほとんどのスマホ販売台数は低迷していて、Googleも影響を受けている。

CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は確かに、先週Googleの第1四半期決算の会見でそのことについて語った。「第1四半期の結果は、上位スマホ産業における圧力を反映している」と説明し、「アシスタント機能が使えるHomeデバイス、中でもHome HubとMiniの継続的な勢いを嬉しく思っている。そしてI/Oで5月7日にあるハードウェアチームからの発表を楽しみにしている」。

最後の言葉は明らかにGoogleの旗艦商品となる新たなリーズナブルプライス製品の発表についてだった。3aは紛れもなくスマホ販売低迷の最大の原因を解決するための策だ。399ドル〜という価格設定は、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)といった競合他社の上位のスマホの価格に比べると取るに足りない。

このところ、旗艦モデルの価格はかなり急速に上昇してきた。1000ドル超から始まるスマホで注目を集めることができるかは未知数で、一方で今後販売されるフォルダブルスマホはその倍ほどの価格となる。

Googleのプロダクト担当副社長Mario Queiroz氏は発表の前に「スマホ市場はしぼみ始めた。我々が思うに、その理由の1つは上位スマホのセグメントは大きいが、その上位スマホがどんどん高価になってきたことにある。3、4年前は上位スマホを500ドルで買うことができた」と語った。

膨張する価格は確かに、消費者にとって端末の購入を難しいものにしてきた。説得力のあるような新機能の欠如も相まってアップグレードのサイクルの減速につながり、その過程で販売台数に影響が及んだ。

私はPixel 3aのハンズオン時間を楽しんだ。それについては今後詳細を書く。どういう要因があってGoogleがPixel 3aの製品化に至ったのかを書き留めておくのは重要だ。主要な要因としてはもちろんHTCからの膨大なR&Dリソースの購入が挙げられる。HTCのハードウェア製造の配置転換の結果、インハウスで、しかも台北の新社屋でかなり安くでハードウェアを開発することができるようになった。

また、Googleがスマホのアップグレードからハードウェアの重要性を除こうと模索していることも重要な要素だ。機械学習と人工知能へのGoogleの大きな投資の多くがイノベーションにつながっていて、特にイメージ分野で目覚ましい。同僚のDevinはこうしたことについての感想をiPhone XSの発表時にこちらの記事で書いている。

とりわけ、Pixel 3aは値段の高い3と同じカメラを搭載している。Googleは目につかない部分をカットしているが、それはカメラにおいてではない。プロセッサーのパワーに準じてPixel 3aでできることには制限があるだろうが、写真に関してはこの2つの端末ができることの線引きはかなり曖昧だ。

Pixelの売上については別の要因もある。しかしいくつかの理由でピチャイ氏は決算会見時に話す準備はできていなかった。何年もの間、通信はキャリアの排他性によって阻害されてきて、これはスマホの過去をさかのぼらなければならないようなものだ。

そうした種の取り決めは確かに、OnePlusやPalmのようなマーケットに入り込もうとしつつ、成長の持続を模索している若い企業にとっては合理的だ。しかしもちろんGoogleはキャリア1社との提携外で成長するリソースを有している。実際、(ファーウェイがその道を見つけたように)ほとんどのメーカーがアンロックのデバイスを提供していても、キャリアの分布と契約はここ米国においてはスマホ浸透の重要な鍵を握る。そうした前払いのコストは多くの消費者に見直しをさせるに足るものだと私は考えている。

ありがたいことに、GoogleはPixel 3と3aを今週から多くの通信会社で利用できるようにする計画だと発表した。そうした動きは今後のPixelの販売台数に如実に現れるに違いない。通信会社の中でもSprint(スプリント)とT-Mobile(Tモバイル)の追加はかなりの販売網の拡大を意味する。普通の消費者にデバイスを購入させるのは難しい。ましてや新しいデバイスのために通信会社を変更させる難しさは言うに及ばない。

Pixel 3aの人気度と、Googleの6カ月というデバイスリリースサイクルに向けた動きを測る手段として第2四半期決算の結果を使うことには警告を発したい。この初期段階にあっては、キャリア付きのデバイスに慣れ親しんでいる新たな客をそうしたデバイスから切り離すにはまだ早い。それでもこのデバイスはヘッドフォンジャックの復活など、スマホをめぐる最近の状況において興味深いリトマス試験紙となっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Google社員らがストライキと報復人事についてラリー・ペイジの対応を要求

Googleの社員たちは今も活気があり要求の手を緩める様子はない。報復人事に抗議した先月の座り込みストライキの後、グーグラーらは4つの要求を掲げた。

「Googleは善悪の判断がつかなくなったようだ。労働者と会社の信頼関係は著しく損なわれた」とGoogleのストライキ主催者が本日Mediumに書いた。「会社に危機が訪れるたびに、Google経営陣と人事の欠陥が露呈していることは明らかだ。今こそ人事部門を業績改善プログラム(PIP)にかけ、信頼できる誰かに監視させるときだ。今こそ大きく問題にすべきだ

最初の要求は、Googleがストライキの残りの要求に答えることだ。Googleはストライキ後にある程度の変化をみせたが、主催者の要求すべてには対応しなかった。たとえば、Googleは最高多様化責任者をPichai(ピチャイ)氏直属に昇格させることはせず、従業員代表を取締役会に参加させるという主催者の要求も無視した。

社員らはAlphabet CEOのLarry Page(ラリー・ペイジ)氏が、ストライキの要求に関与し、対応することも要求している。

「ラリーは、Alphabetの取締役会をコントロールしており、変化を起こす個人的権力を持っている。他の人にそれはない」と主催者は書いた。

さらに社員らは、会社がMeredith Whittaker氏の異動を撤回し、Chaire Stapleton氏の新チームへの異動を認めるよう要求した。Whittaker氏はGoogleのOpen Researchの責任者でストライキ主催者の1人でもあり、自分の仕事が「劇的に変えられた」と言っている。同じくストライキ主催者のClaire Stapleton氏は、上司から降格および職責の半減を伝えられたと主張している。

「われわれはGoogleに対し、Meredith氏の異動を撤回して以前と同じ仕事を続け、完全な報酬と支援を受けられるようにすることを要求し、Claire氏の報復や妨害のない新たなチームへの異動を要求する」と社員らは書いた。

最後に彼らは、人事部門による社員の苦情の扱い方について、透明で開かれた調査を行うことを要求している。

「会社は組織の評判を優先するために、社員への虐待と嫌がらせを繰り返してきた」と彼らは書いた。「巻き添え被害はいたるところで起きている。もう時間切れだ。第三者による調査が必要だ。あのUberでさえやっていることであり、Eric HolderとAriana Huffingtonを連れてきた。」

セクシャルハラスメントを巡るスキャンダルの中、Uberは外部チームを結成して会社カルチャーを調査した。Google社員らが求めているのはそれだ。彼らはGoogleやAlphabetと金銭関係のない調査メンバーを望んでいる。

Googleはコメントをせず、報復に関する以前の声明を提示した。

「当社では職場における一切の報復行為を禁止しており、われわれの明瞭なポリシーは一般公開されている。提起された苦情が会社に届かないことのないように、Googleでは社員が問題を報告する手段を匿名を含めて複数用意しており、報復の申立てはすべて調査している」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleが新しいアシスタント開発者用ツールを発表

米国時間5月7日に開催されたGoogle I/Oカンファレンスで、Googleは同社のアシスタントプラットフォームのエクスペリエンス開発者向けに、たくさんの新しいツールを発表した。提供されるのは、Nest Hubのようなスマートディスプレイ向けゲームを開発できるようにするツール、アシスタントの返した答えからネイティブアプリケーションを呼び出すApp Action、そして開発者たちが自身のスマートホームコードをGoogle Home SpeakerやNest Display上でローカルに実行することを可能とする新しいLocal Home SDKなどである。

このLocal Home SDKが、発表されたもののリストの中では最も重要なものかもしれない。なぜならこれを利用することで、それぞれのデバイスをスマートホームデバイスのための真のハードウェアハブにすることができ、クラウドに問い合わせることなくローカルな計算能力を提供することができるようになるからだ。当初のパートナーとして名前を連ねているのはPhilips、Wemo、TP-Link、そしてLIFXなどだが、来月にはすべての開発者がSDKを利用できるようになる予定だ。

さらに、このSDKを使用することで、新しいユーザーがGoogle Homeアプリを使って、スマートデバイスをより簡単に設定できるようになる。Googleは昨年10月にGEとこの機能をテストしており、今では他のパートナーにそれを展開する準備が整っている。

アシスタントの中から自分たちのネイティブアプリ内の適切な場所へと、ユーザーを誘導したい開発者たちのために、昨年GoogleはApp Actionsのプレビュー版を発表していた。健康やフィットネス、金融、銀行、配車、そして食品注文アプリなどは、この組み込み機能を利用することができる。「もしNike Run Clubでご自分のランニングを追跡したい場合には、単に「Hey Google, start my run in Nike Run Club」と言えばいいだけです。そうすればアプリが自動的にランニングを追跡してくれます」とGoogleは本日の発表の中で説明した。

またハウツーサイト向けに、標準的なschema.orgのマークアップを使って、スマートディスプレイ向けのGoogleアシスタントの回答や、Google検索結果に含まれるコンテンツを用意できるように、Googleは拡張マークアップサポートも発表した。

スマートディスプレイ用のゲームを書くための新しい機能の詳細については、ここで読むことができるが、これは明らかに最初の一歩に過ぎない。Googleは時間をかけて、より多くのサードパーティエクスペリエンスにプラットフォームを開放することを計画している。

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(翻訳:sako)

Google I/Oの会場上空に飛行機による抗議のバナー広告が出現

ちょっとした騒ぎがなくては、Google I/Oではないね。米国時間5月7日、Google I/Oのキーノートの真っ最中に会場の円形野外劇場のまわりを飛行機が飛び、抗議のバナー広告を流した。そのバナーには、「Google control is not privacy #savelocalnews」(Googleによるコントロールはプライバシーを保護しない、#ローカルニュースを救え)というメッセージが。

それは、Googleにとって初めてだ。会場の中での抗議もたまにあったが多くは外だった。Google I/O自体が屋外だから、この種の抗議に対して無防備だし防ぐ方法もない。しかも、このあたりの空域には飛行制限がない。

もちろんGoogleもI/Oの会場の上空に飛行船を飛ばして、Google Glassを宣伝したことがある。ただし今回ではない。今日はその飛行機がキーノートが終わるまで会場上空を旋回した。

飛行機でバナーを流すという高くつきそうな方法で抗議するなんて、やや異様だが過去に例はある。バナーのテキストも、プライバシーの懸念とローカルニュースの保護が混じってておかしい。でも、言いたいことがたくさんあったんだろうね、たぶん。

関連記事: Guild members stand united on World Press Freedom Day(#savelocalnewsの活動グループ)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleがスマートディスプレイをゲームプラットフォームとして一般開発者に開放

Googleは米国時間5月7日、デベロッパーカンファレンスのGoogle I/Oで、同社のスマートディスプレイプラットフォームを、一般開発者へ開放することを発表した。これまでは、開発者が(新しく名前を変更した)Nest Hubのようなデバイスをターゲットとするための、現実的な方法は存在していなかった。Google自身と直接取引を行っているサービスだけが、ディスプレイに対するフルアクセスを行うことができていた。だがこれからは、開発者たちはゲームを手はじめとして、Google Assistant用のアクションの開発を始めることができるようになる。

スマートディスプレイ上で、非常に複雑で高度にグラフィカルなゲームが提供されるとは思わないが、言葉遊びやそれに似たお手軽なゲームにとってはいいインターフェイスだ。いずれにせよ、ここで話題にしているのは比較的ローエンドのハードウェアだ。ゲームは、HTML、CSS、およびJavaScriptを使ったものになるという事実も、開発者がこのプラットフォームでできることに、ある程度の制限を課している。Google自身が、現在自社のFlutterマルチプラットフォームフレームワークを使用して、スマートディスプレイエクスペリエンスのいくつかを開発していることを考えると、一般の開発者たちが自身のゲームを同じような方法でデバイスに持ち込めるようになるシナリオは十分に考えられる。

こうしたことを可能にするために、Googleは新しいAPIであるInteractive Canvasを提供する。これは開発者がフルスクリーンエクスペリエンスを作成することを可能にするものだ。これは実際には、Androidとスマートディスプレイの両者で動作する。

将来的には、同社はスマートディスプレイプラットフォームを、他のサードパーティエクスペリエンスに対しても開放する予定だ。とはいえ、それがいつごろになるかは、まだはっきりしていない。Googleが唯一コミットしているタイミングは「間もなく」というものだけだ。

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(翻訳:sako)

GoogleのCloud TPU Podsの最新世代はMLモデルの訓練を短時間化

Googleは米国時間5月7日、Cloud TPU Podsの第2世代と第3世代を発表した。このクラウドベースのスケーラブルなスーパーコンピューターは、最大1000基の同社特製のプロセッサ、Tensor Processing UnitsTPU)を使用する。それを本日からは公開ベータで一般に利用できる。

最新世代のv3は特に強力で、プロセッサーは水冷されている。一つ一つのポッドが最大で100ペタFLOPSの演算能力を持ち、Googleによれば、世界のスーパーコンピューターの5位以内に入るそうだ。ただし、このTPUポッドはあまり高い演算精度を望めないだろう。

TPU Podは、その全体を使わなくてもいい。Googleはこれらのマシンのスライスをレンタルで提供している。しかし、いずれにしても極めて強力なマシンであり、ResNet-50の標準的な画像分類モデルをImageNetの(100万を超える)画像データセットで訓練する処理を2分で終える。

TPU v2のポッドはコア数が最大512で、v3よりやや遅い。例えば、265基のTPUを使用した場合、v2のポッドはResNet-50のモデルを11.3分で訓練するが、v3ならわずか7.1分だ。ちなみにTPUを1個だけ使うと302分かかるだろう。

当然だが、Googleによればポッドは(料金がどんなに高くても)モデルを早く訓練したいときや、ラベル付きの標本が数百万という大きなデータセットで高い正確性が必要、あるいは新しいモデルのプロトタイプを素早く作りたい、といったユースケースに向いている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa