Googleのストレージ大幅値下げ攻勢の影響は甚大

先週、Googleはクラウド・ストレージの料金を劇的に引き下げた。今やGoogle Driveの料金はライバルのどれよりも大幅に低い。1TB、月額9.99ドルではすべてのライバルが恥じ入らされることになる。

しかし今起きているのは単なる値引きではない。さらに長期的なGoogleの競争戦略を見てとることができる。

Dropboxの現在の料金は100GBあたり9.99ドル/月、SugarSyncは1TBあたり55ドル/月で3ユーザーが共有できる。MicrosoftのOneDriveは年額プランのみで、50GBが25ドルからだ。これはGoogleの新料金100GB、1.99ドル/月(年23.88ドル)にくらべて約2倍高い。Appleは50GBに年額100ドルを要求する。

さらに重要な点はGoogleの新料金が、Google自身のデベロッパー向けクラウド・ストレージの料金より安いことだ。さらにAmazon S3Microsoftの Azureストレージよりも安い。Amazon S3はDropbox始め多くのクラウド・ストレージ・サービスが利用しているプラットフォームだ。Droboxなどのスタートアップは膨大なストレージを利用しているからおそらく多少は料金の割引を得ているだろう。しかしそれでもGoogleの新料金はデベロッパーが利用するクラウド・ストレージ・プラットフォームの料金より安い。

Googleの新料金プランでは100GBの次がいきなり1TBになる。これは一般ユーザーは今後相当長期にわたって契約したストレージのごく一部しか使わないと見込んでいるのだろう。それでもGoogleが原価割れ覚悟の低料金でライバルにプレッシャーをかけていることは見てとれる。

Googleの狙いは何か? 低料金は有料ユーザー獲得のために大いに役立つのはもちろんだが、それ以上にGoogleはクラウド・ストレージというGoogleがまだ支配していない混戦模様の市場での優位性の確立を狙っているのだろう。

そもそもGoogle Driveは単なるストレージではない。GoogleはDriveでワープロ、表計算などの生産性アプリを提供している。GmailやGoogle+、Picasaによる写真共有のストレージも兼ねている。

現在、多くのユーザーにとってマルチデバイスで同期できるクラウド・ストレージといえばDropboxであり、Google Driveではない。MicrosoftのOne DriveはWindows 8に組み込まれている。Google Driveのデスクトップ・アプリはそれなりに高機能だが、ユーザー体験はDropbox.ほど洗練されていない。

Google Driveをユーザーが好むのはやはりその生産性アプリの共同作業のしやすさだろう。しかしここでもGoogleは激しい競争を予期しなければならない。Microsoftもついにクラウド化に舵を切り、無料のオンライン版Word、Excel、PowerPoint、OneNoteの普及に真剣に取り組むようになった。Microsoft Officeにどんな欠点があるにせよ、Google Driveの文書、スプレッドシート、スライドなどのアプリよりもユーザーに対する知名度が高いことは確かだ。特に企業社会ではいまだにOfficeの各フォーマットはデファクト標準となっている。Googleはストレージの値下げによってMicrosoftのビジネス界における牙城を崩そうという戦略だろう。

GoogleはDriveのワープロと表計算でサードパーティーのアドオンをサポートすると発表し、Googleの生産性ツールの周囲に活発に活動するエコシステムを建設しようとする考えを明らかにした。

上でも触れたようにDriveはGoogle+とPicasaの写真の保存にも用いられる。Google+にどんな欠点があろうと、写真の保存と共有(とハングアウト)に関してはライバルをしのぐものがある。しかも2048×2048(約4.2メガピクセル)以下の写真は無料で保存できる(有料ストレージの保存量にカウントされない)。もっとも最近では写真の高精細度化が進んでいるから、ユーザーはじきに有料プランを必要とするようになるだろう。

今回の大幅値下げでGoogleはライバルを料金戦争に引きずり込むことに成功した。スタートアップが利用している業務用ストレージ・プラットフォームの料金より低い新料金はライバルにとっては痛手だろう。またGoogleはライバルのスタートアップが提供していない生産性アプリをさらに強化し、この面での優位性を確実なものにしようとしている。

これに対してライバルたちがどう巻き返しに出るか、この数ヶ月は興味深い展開となりそうだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


調査報告:税法をIT巨人向けに変えれば、米政府は890億ドルを手に入れる

IT巨人たちはGoogleからAppleまで、海外タックスヘイブン(租税回避地)のファンとして悪名が高く、数十億ドルもの節税をしている。調査報道ジャーナリスト協会の最新レポートによると、「もしこの現金が国内にあって現行法人税率35%が適用されれば、米財務省は890億ドルの臨時収入を得ることになる。これは、米国の本年度財政赤字予測5140億ドルの17%にあたる。

議論は新しいものではないが、この報告は税法を変更しないことが非常に高くついていることを指摘している。「もし米国の多国籍企業が海外現金を米国銀行に置き、米国の国債、株式、証券等を買っていれば、それらの資産は送還されたものして扱われ、米国税法の対象になる」と、カール・レビン上院議員が協会の報告ろ受けて語った。

海外に隠し持つIT業界の大物たちの内訳を以下に示す。資産の多くが米国政府機関債として保持されている。

各IT企業はレポートについて標準的回答を返した。「Ciscoは納めるべき税金をすべて支払っている」。同じくAppleは、「当社は支払うべき税金を払う ― 1ドル残らず。われわれは法を遵守するだけでなく、法の精神も守っている」。

かつてApple CEO Tim Cookは、もし政府が税法を単純化すれば、同社の海外口座を国内に送還することに協力すると言った。一部の議員ら、例えば共和党の次期大統領候補、ランド・ポールは海外タックスヘイブンの慣用を擁護している。


[Appleのような会社が、他のどの米企業とも同じように節税したがっていることを、政府が中傷するのはばかげている]

いずれにせよ、議会が本会期中に米税法のこの部分を改訂できるかどうかは不明だ。議会はまだ、移民法改訂やNSAの改編を議論しなくければならない ― これらすべてを数ヵ月後に始まる選挙年の中で。

Image: Flickr User JD Hancock under a CC by 2.0 license

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Project Tangoの詳細スペックが公開, 一台のスマホがカメラを4基使う

GoogleのProject Tangoスマートフォンは、3D環境を感知するハードウェアの実験的な実装で、本当は今日あたりデベロッパの手に渡るはずだった。しかし実際には今日(米国時間3/14)、Chromeのイシュートラッカーでそのスペックの一部が公開
され、それをいち早くMyceが見つけて報じた。これらのスペックを見ると、Googleが実際にどうやて3Dのコンテキスト感知というマジックをやっているのか、が分かる。

その仕事をする主役は、通常の4mpのカラーカメラにプラスして搭載されている3台のカメラだ。一台は前方120度の広角で視界を撮り、別の一台は後方を180度の視野角で撮る。そしてあとひとつ、320×180という低解像度のカメラが奥行き(depth)を感知する。カメラだらけのデバイスだが、しかしデモを見たかぎりでは、画面5インチのふつうのスマートフォンのサイズに、すべてが無理なく収まっているようだ。

Tangoを生み出したGoogleのAdvanced Technology And Projects(ATAP)グループは、元々はGoogleが買収したMotorola Mobilityにあったもので、MMをLenovoに売ったときも、Googleはこのグループを手元に残した。この特殊な研究開発部門はDARPA出身者などから成る高度な技術者集団で、モジュール構造のスマートフォンProject Ara(関連記事(1)(2))もここのプロジェクトだ。そのほか、刺青を利用する認証システムや、薬剤投与方法なんかも研究している。

スマートフォンを利用する有視界ロボットは、一般的に、まだまだこれからの研究開発課題だが、Tangoはそれを大きく前進させる力の一つになるだろう。すごいことのできるモバイル製品がやがて登場する、という予感を与えてくれるね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleマップ、今度はコロラド川の川下りが楽しめるようになった

GoogleはAmerican Riversの協力のもと、ストリートビュー用のカメラをボートに乗せてコロラド川を下った。そしてその探検の様子をGoogle Map上で再現して見せてくれた。もちろん実際の川下りのスリルと比べれば物足りないだろう。しかし川の迫力をうかがい知ることはできるのではないだろうか。

川下りの様子が登録されたおかげで、ディアー・クリーク滝(Deer Creek Falls)、ノースキャニオン(North Canyon)、あるいはナンコウィープ(Nankoweap Granaries)ハーミット・シェール(Hermit Shale)タピート砂岩(Tapeats Sandstone)など、実際に河岸を進まいないと出会えなかった有名な光景をGoogle Mapに見ることができるようになった。ちなみに陸上からみたグランドキャニオンもストリートビューで楽しむことができる。こちらの方は1年前に収録されたものだ。

尚、水面からの様子をストリートビュー化したのは今回が初めてではない。少し前にはサンフランシスコ湾岸が見られるようになっているし、ヴェニスコペンハーゲンの運河なども登録されている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Googleのスマートウォッチの仕様がリーク―LGのOEMでハードの能力はGalaxy Gear 2レベル

GoogleとNexusでもGoogleのハードウェアのパートナーを務めるLGが準備中のスマートウォッチについてさらに情報が入ってきた。

情報源は@evleaksだ。この情報源はこれまでにも未発表のデバイスについて何度も正しい情報をつかんだ実績がある。われわれがGoogleのスマートウォッチの開発が進んでいるという記事を掲載したすぐ後で@evleaksはOMEはLGで、発表はGoogleのI/Oデベロッパー・カンファレンスになるだろうとツイートした。

@evleaksによれば、ハードウェアの仕様は1.65インチ・ディスプレイ、画素は280×280、つまり240ppiで、RAMは512MB、ストレージは4GBだという。これはローエンドのスマートフォンのスペックに近い。プロセッサは不明だが、ディスプレイ解像度がやや低いものの、その他の仕様ではSamsung Galaxy Gear 2にほぼ匹敵する。

各種のリーク情報を総合するとGoogleブランドのスマートウォッチの登場は近いようだ。手首を舞台にしたウェアラブル・デバイス戦争が本格的に始まろうとしている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google Drive、激値下げ―1TBが月額49.9ドルからなんと月額9.99ドルに

今日(米国時間3/13)、GoogleはGoogle Driveオンライン・ストレージの料金を大幅に値下げした。最初の15GBまで無料なのは従来通りだが、100GBが従来の月額4.99ドルから1.99ドルになった。.

もっと驚きなのは、1TBが月額49.99ドルからわずか9.99ドルに値下げされたことだ。

さらに大容量が必要であれば、10TBが月額99.99ドルでさらに10TB単位で容量を増やせる。つまり30TBなら月額299.99ドルということになる。

ほとんどの個人ユーザーにとって1TBは、たとえ高精細度の写真を大量に保存しているとしても、十分な容量だろう。このストレージはGoogle DriveだけでなくGmail、Google+の写真とも共有される。

新規の契約はこちらから。Googleのによれば、既存のユーザーについては特に新たな手続きすることなしに自動的に新料金が適用されるという。

Googleの今回の料金引き下げはライバル各社に強烈な衝撃となる。たとえば現在Dropboxは100GBについて月額9.99ドルの料金を設定している。. またMicrosoftのOneDriveの有料プランでは最初の7GBが無料、50GBが年額25ドル、100GBが年額50ドルだ。ただしGoogleは私の知る限りでは年額プランは提供していない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、検索結果ページの新デザインをテスト中―リンクの下線が消え、広告にラベルが付き、フォントも変更

Googleの検索結果ページがいつもと違うことに気づいた読者がいることと思う。

あの見慣れたリンクの青い下線が消えてしまったのなら、読者はGoogleが実施中の大規模なテストの対象に選ばれたことになる。フォントは大きくなり、広告表示の淡黄色の背景はなくなった。その代わりに広告の先頭には黄色地に「広告」と白抜きにしたラベルがついた〔日本版でもテスト実施中〕。

Googleは大きな変更を行う場合、それがビジネス上の利益になるか、ユーザーの利便性を向上させるかを試験するために大規模な実地テストを行うのが常だ。こうした実地テストは気づかれないことが多いが、検索結果表示のメイン画面に関する大規模な実験ではさすがに気づかれないというわけにはいかない。

一部のユーザーでは新デザインが表示されるブラウザと旧デザインが表示されるブラウザがあるという。私の場合はSafari、Google Chromeのいずれでも新デザインが表示されている(Mac)。

Search Engine Landブログによれば、 Googleの検索のボス、Amit Singhalは今週開かれたMarketing Expo Westカンファレンスで「単なる実験にすぎない」と語ったという。

しかしこの新デザインは昨年秋にモバイルとタブレット向けに発表されたものと同じだとSinghalは付け加えた。 そうするとこれは最近Googleが進めているモバイルとデスクトップのユーザー体験統一の試みの一環なのかもしれない。

黄色の広告ラベルもタブレットとスマートフォンには導入ずみだ。デスクトップでも数ヶ月前からテスト中だったという。

なるほどこの変更はテストかもしれないが、最近になって対象ユーザーの範囲が大きく拡大されたようだ。Googleは近くこの変更を正式な新バージョンとするつもりかもしれない。

Image credit, top: Search Engine Land

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Googleドキュメントにアドオンストアがオープン―ラベル印刷やテレカン運営など便利ツール多数

Googleは今日(米国時間3/11)、Googleドキュメントの表計算ワープロにアドオンストアをオープさせたことを発表した。デザインはChromeのウェブストアに似たこのストアに登録されているアドオンは現在50種類ほどだが、今後増えていくという。

Googleによれば、このアドオンストアはGoogleアプリに標準で装備されていない機能をユーザーが手軽に使えるようにするためのものだという。

今回のローンチにはAveryのラベル印刷アドオンが含まれている。これを利用するとGoogle表計算に入力されたデータからAveryの宛名ラベルに印刷ができる。もうひとつ非常に便利なアドオンはEasyBibのBibliography Creatorだ。MLA、APA、シカゴ・スタイル・マニュアルなどの各フォーマットで 論文の参考文献リストを作成するのに多大の時間を費やしている学生や研究者にとってGoogleワープロの価値が飛躍的に高まった。MailchimpアドオンはカスタマイズされたメールをGoogleワープロから送信できる。Letter Feedは文書の変更履歴を管理する。PandaDocは文書に電子署名を加える。Uberconferenceは会議ツールとGoogleワープロを連携させる。

アドオンストアはGoogleドキュメントのメニューバーの「アドオン」からアクセスできる。現在はワープロと表計算だけがサポートされているが、プレゼンテーションとフォームのストアも近くオープンするという。〔日本では「文書(ワープロ)」でアドオンが利用できる。スプレッドシート向けアドオンもインストールは可能だが、まだメニューに「アドオン」がサポートされないので起動できない。〕

下のスクリーンショットはUberConferenceを起動したところ。このアドオンはテレカンファレンスをGoogle文書内からワンクリックで開始できる。UberConferenceのハングアウト向けアプリと同様、会議参加者がアカウントを持っていない場合、このアプリは文書内から自動的にアカウントを作成する。電話のインターフェイスはGoogle文書の右サイドバーに表示される。

今回のアドオンはGoogleに招待されたデベロッパーによって開発されたが、今後は一般デベロッパーもストア向けにアドオンを開発できる。ただし当面はGoogleによって承認される必要がある。Googleではすべてのアドオンを審査してホワイトリストに加えるという。

アドオンはGoogle Apps Script(JavaScriptの一種)で書かれており、開発は容易だということだ。.

Googleはドキュメントのアプリの周囲にデベロッパーのエコシステムを作り上げたいようだ。大局的に見れば、MicrosoftがOfficeのオンライン化に真剣に取り組み始めたことに対応して、Googleドキュメントの競争力を一層高める必要を感じているのだろう。デスクトップのOfficeユーザーの多くはExcelやWordで多数のアドオンが利用できることを大きな長所と感じている。 Avery も以前からWord向けに宛名ラベル印刷ツールを提供している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Googleの広告に消費者調査の結果が載るようになる–CTRの大幅向上を実証

Googleの消費者調査サービスGoogle Consumer Surveysの結果が、今後は広告に反映されるようになる。この広告向けサービスは”consumer ratings annotations“(消費者格付け注記)と呼ばれ、通常のテキスト広告の下に出る(下図)。展開は数日後からだ。

消費者調査を行っているのはAdWordsのチームで、このプログラムに参加している企業のブランドの人気や評価を調べている。今この格付けサービスを、合衆国とイギリスとカナダの数百の企業が利用している。

格付けデータを広告に付随させること自体は無料だ。Googleによると、ベータ期間中には、格付けデータのある広告はCTRが10%上がったという。

格付けは、カスタマーサービスの質、クレーム対応、ディスカウントなど、いくつかの分野に亙るが、どの分野を表示するかは広告主側が指定できない。このプログラムを抜けたくなった企業はGoogleに連絡する。参加したい企業はリクエストを送る

Googleによると、これらの格付けデータ(10点満点方式)は数百名以上の消費者に対する調査の結果だ。平均では1000名だそうだが、定期的に再調査をしてデータの鮮度を維持する。

調査対象者は、その企業の顧客である/あったことを自己申告する。調査は、こんな質問から始まる: “最近どの航空会社を利用しましたか?”、“携帯電話はどこの会社を利用していますか?”。それから、その企業に対するユーザの体験をいろいろ質問される。

Googleは検索結果や広告にかなり前から格付けを利用しているので、それがCTRに及ぼす影響についても熟知している。たとえば2010年からはProduct Search(製品検索)に利用しており、昨年は広告に外部リビューからの引用を載せるようになった。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、 インドで反トラスト法違反の疑い

Googleは、同社がインターネット検索および広告における独占的立場を乱用している疑いに関する、インド競争委員会の2年間にわたる調査結果が有罪となった場合、最大50億ドルの罰金を科される可能性がある。

インドは2012年、Googleに対する反トラスト調査を権利保護団体、CUTS Internationalおよび現地のある結婚情報ウェブサイトの訴えに応じて開始した。

Google Indiaの広報担当に問い合わせたところ、同社は競争委員会の調査に協力していると回答した。

Googleにとってこうした査察は新しいことではない。今年2月には欧州委員会による10年来の反トラスト調査で和解し、50億ドル相当の罰金や同社事業の改変を回避することに成功した。

インド競争委員会のウェブサイトで公開されている調査報告書に本件が説明されている。最初に公開された2012年の調査結果によると、GoogleのChrome、AndroidスマートフォンおよびChrome OSは、いずれもGoogle検索の利用を促進していることから、十分な調査が極めて重要であるとしている。同委がGoogleを告発している部分を以下に挙げる。

Googleに関して確認された諸問題は、Googleの事業運営方法に明らかな疑問を呈するものであり、 インドにおける検索エンジンおよび広告検索市場についても、同様な行動がなされているかどうかを詳細に調査する必要である。これは、インド市場にも多数の垂直型検索エンジンが存在し、それらが打撃を受けていると感じているからである。

2012年の報告書で、インド競争委員会はGoogleが検索ベース広告における独占的立場を乱用しているとする、初期段階の証拠を挙げている。

インド競争委員会(CCI)は既に、Googleが結婚情報サイト、Bharatmatrimony.comへのキーワード割当を差別することによる独占的立場を乱用しているという「推定的証拠」を発見した。本調査は、Goolgeの最重要広告製品で主要収入源であるAd Wordsに焦点を当てる。

2億人のインターネット利用者と拡大するEコマース市場を持つインドは、Googleにとって世界最大のインターネット市場である中国における存在の欠如を補う一大機会である。しかし、問題の焦点は、Googleが自社サービスの推進に検索を使っているかどうかになっている。

Forbes Indiaは昨年7月の記事で、Googleがインターネット検索における独占的立場を自社の優位に利用していることに焦点を当てた。同誌はフライト検索においてGoogleの「フライト検索サービス」が他に先んじて表示されることを例に挙げた。

Googleおよびインド政府からの情報が入り次第続報する予定だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


iOS版Gmailがv3.0にアップデート―バックグラウンド更新、単一サインインなどサポート

今日(米国時間3/5)、GoogleはiOS版Gmailのv3.0をリリースした。この最新版でようやくiOS 7のバックグラウンド処理機能が正式サポートされた。今後Gmailはバックグラウンドで(つまり起動されていないときに)メールのダウンロードをするようになる。ユーザーがアプリを起動すると同時に受信トレイは最新の状態になっているわけだ。

昨年11月に複数のブログがGoogleがiOS版Gmailでこの機能をサポートしたと報じた。しかし奇妙なことに、iOSのGmailアプリ設定には「バックグラウンド処理をオンにする」というオプションが現れなかった(Google+、Google Mapsその他のGoogleアプリにはこのオプションが表示される)。

いずれにせよ、今後は間違いなくこの機能がサポートされる。iOSデバイスでネーティブのGmailアプリを使っているユーザーは、この機能をオンにしておけば起動時間が多少短縮されるはずだ。ユーザーはAppのバックグラウンド更新をオンにし、アプリからの通知もオンにしておく必要がある。

また今回のアップデートで、Gmailを含めたGoogleのiOSアプリはすべて単一サインインで利用できるようになった。Gmail、マップ、YouTube、Chromeなどのどれか一つにサインインすれば、自動的に他のアプリにもサインインする。一般ユーザーにとってはそれほどの改良とも思えないだろうが、Googleの2段階認証を利用しているユーザーにとってはGoogleのアプリを開くたびにいちいち27文字のパスワードを入力しなければならない煩わしさから解放されることになる。これで2段階認証利用のハードルが大きく下がるだろう。

〔日本版〕日本語版Gmail v3.0はApp Storeに公開ずみ。インストールすると自動的にバックグラウンド更新はオンになるようだが、念のため「設定→一般→Appのバックグラウンド更新」を開いて確認しておくとよい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ブログをリニューアルしたので、デザイン感などをお話してみたいと思います。

Room402ReDisign201402

ご覧の通り、ブログのデザインを大幅に変更致しました。 それに伴って裏側もかなりメンテナンスして設計しなおしています。 今日は、このブログで利用している技術や私の考える「デザインについて」などを簡単にお話出来ればと思ってい…

Googleのストリートビューがカナダ北極圏でホッキョクグマと仲良しに

これまでGoogleのストリートビューは、アムステルダムの運河観光用屋形船の内部とか(それはたまたまMobyPictureが本社オフィスとして使ってるやつだったけど)、Doctor WhoTardis内部体験(!)とかまで、やらかしてくれた。

そして今回は同じようなぶっ飛んだ体験をホッキョクグマの生息地でさせてくれる。なぜなら今日(米国時間2/27)は、International Polar Bear Day(国際ホッキョクグマデー)だからだ。撮影場所はカナダマニトバ州のChurchillであり、そこは‘ホッキョクグマの世界的首都’と呼ばれている。Googleは保護団体Polar Bears Internationalと協力して、ストリートビューの撮影用カメラを‘ツンドラ専用のバギー車’に乗せ、カナダのツンドラ地帯でホッキョクグマの360度画像を撮った。彼らの、自然生息地で。

また、カナダのツンドラでストリートビューを撮ったということは、それに伴う地理空間的データとともに、“画像技術におけるベースラインレコード”、つまり世界新記録なのだ。それらのデータは今後、このすばらしい生き物たちを保護するための役に立つだろう。

すっごいクール、としか言えないね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


誰もが容易に対話的学習コースを作れるGoogleのOppia, 完全オープンソース(拡張自由)でローンチ

Googleはこのところますます、教育の世界に手を伸ばしてきた。中でもとくに同社は、テクノロジが学習の方法をどう変えるのか、ということの探究に関心があるようだ。Google Play for EducationGoogle Playを統合したSamsungのAndroidタブレットで学校の教室に進出し、またMOOCなどのオンライン学習コースを立ち上げるなど、本格的な高等教育の分野にも手を出し始めている。

今日(米国時間2/26)のGoogleは、初等統計学を一般大衆に教えるMOOCコースと並ぶ、教育分野の第二の実験も開始している。Googleのオープンソース関連のブログ記事によると、その実験プロジェクトはOppiaと呼ばれ*、“誰もがオンラインの対話的な活動の場を容易に立ち上げることができて”、そこからほかの人たちが学べるようにすること、を目標としている。要するに、MOOCなどの既製の学習コースを提供するのではなくて、誰もが簡単に利用できる学習コース開設サービスを提供するのだ。〔*: Oppia, フィンランド語で「学ぶ」。〕

Googleの説明によると、Oppiaプロジェクトを立ち上げた動機は、たしかに今ではビデオやSMSなどで配布される教育コンテンツの量は増えているものの、その多くが静的で非同期(ノン・リアルタイム)であることだ。つまり講義をそのままデジタル化~オンライン化しても、インターネットが得意とする対話的諸活動やコミュニケーション、フィードバックなどの機能はまったく生かされない。

Googleがオープンソースで開始するこのプロジェクトのねらいは、Googleが提供するフレームワークの上で誰もが…デベロッパでない人でも…簡単迅速に対話的な学習体験を開設提供でき、それがGoogleのコンテンツ資産にもなることだ。また同時に教師たち、教える立場の人たちは、このサービスを自主的創造的に利用することによって、‘テクノロジに自分の仕事を奪われる’という不安や恐怖から完全に免れることができる。

つまりOppiaが提供しようとしているのは、人と人(eg.教師と生徒)とのリアルタイムの対話性をしっかりと温存したオンライン学習、それを、誰もが実現展開できるためのフレームワークだ。それにより、それぞれの生徒個体の特性に合わせた教え方が可能になる。GoogleはOppiaを説明する文の中で、これまでのオンライン教育は人を海辺の釣り場まで連れていくことはできるが、Oppiaはその“コンピュータの力を生かし個人化されたフィードバックシステム”により、人に実際に魚の釣り方を教えることができる、と述べている。

そのシステムは学習の過程で、対話(フィードバックや質問など)の進行の中から、その特定の学習者に関するデータを集め、それに基づいて教え方や教材の構成などを柔軟に調整する。また、教師が出した問題に学習者が答を提供した場合でも、システムが自動的に正解を教えたり間違いを指摘したりはしない。人間教師と生徒とのあいだの、重要な対話性の契機を、システムが奪い取ることはしないのだ。

生徒が犯した間違いの性質を把握して、それらに個別に適切に対応していくことは、あくまでも教師の仕事だ。Oppiaは、教師と生徒とのあいだの、そういうフィードバックのやりとりを、便利な入力インタフェイスなどで支援し、両者間のコミュニケーションを円滑に、そして迅速にできるようにする。

またOppiaが教師と生徒に提供する入出力インタフェイスの構造など、フレームワークとしてのOppiaのアーキテクチャは、完全にオープンソースなので、今後開発に参加してくるデベロッパが…教える側学ぶ側のニーズに対応して…自由に拡張できる*。そしてOppia上でユーザが作り、拡張改造していくレッスンは、ほかのWebページに埋め込むことができる。埋め込みはレッスンの特定のバージョンを参照するので、そのページのユーザがレッスンの将来のバージョンに惑わされることはない。そうやって複数のバージョンを保存できることは、教える側にとっても便利だ。〔*: たぶん科目の違い…外国語学習、初等電子工学、etc.…や、教師の考え方や個性で、構成を自由に変えられた方が、ありがたいだろう。〕

また、個々の教師が孤立することなく、レッスンの作成や変更に関してほかの人たちとコラボレーションできる。バージョンコントロールの仕組みもあり、また学習者にいろんなパラメータを結びつけて、より詳細で深い対話的な学習体験を作ることも可能だ。しかもOppiaにはすでに、応答性の優れたモバイル用のUIも用意されている。

Oppiaの場合おもしろいのは、Googleのプロダクトではない、とGoogle自身が明言していることだ。完全なオープンソースをベースとして、今後いろんなデベロッパやユーザの手によって、多様な形で作られていくもの、とGoogleは位置づけている。メンテナンスも当然、各コミュニティがやっていく。その方がむしろ、オンライン学習~オンライン教育の、あるべき姿かもしれない。静的固定的なものが最初からがっちりとあるよりは。

いずれにしても、完成されたプロダクトではなく、人びとが今後その上で教育/学習という名の多様なレッスンプロダクトを作っていくためのフレームワークであり、プラットホームでもあるOppiaは、今後実際にそれがどう使われていくかで評価が決まる。学習ツールではなく学習ツールを作っていくためのツールだから、可能性としてはものすごく広い層のユーザに対応する。個人だけでなく、企業や団体も利用したいだろう。そういった広い層の、文字通り誰もが有効にOppiaを利用できるために、Googleにはドキュメンテーションを多様に充実させてほしい、と願いたい。

Oppiaのホームページがここにある。説明のためのYouTubeビデオもある:

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、モジュール入れ替え型スマートフォンの実現を目指すProject Araディベロッパー・カンファレンスを開催

Googleは、Motorolaによって展開されていたスマートフォンデザインの実験的プロジェクトを捨ててしまったわけではなかったようだ。Motorolaからの研究成果をATAP(Advanced Technology and Projects)にてProject Araにて進化・熟成させてきていた様子。ATAPはつい先日、3Dセンサーを活用するシステムであるTangoをリリースしたばかりだ。そのATAPが、今度はProject Ara関連のディベロッパー・カンファレンスを4月15日および16日に開催する旨のアナウンスを行った。開催場所はマウンテンビューのComputer History Museumだ。

ちなみにAraはモジュール組み込み型のスマートフォンで、自分で搭載パーツを入れ替えることで別種のセンサーや、性能の良いカメラを搭載したり、あるいはより大容量のバッテリーを利用するようにしたりといったことができるようにするものだ。Play Storeでアプリケーションを購入するような感覚で、新たなモジュールを入手して搭載モジュールと入れ替えて、より自分のニーズにあったスマートフォンに作り変えていくことができる。そうした仕組みを取り入れることで、わずかの期間のうちに、一部の機能アップデートが必要だからと新しいスマートフォンに買い直すといったことは必要無くなり、新しい機能をもったパーツ部分のみをアップデートしていくことが可能になるわけだ。

Googleによれば、年内に何度かAraディベロッパー・カンファレンスを開催していく予定だとのこと。今回は、4月にウェブ上でも公開する予定となっているAra Module Developers’ Kit(MDK)の紹介を主目的とするものだとのことだ。誰でも無料で使うことのできるプラットフォームであり、これを使って「なんでも必要なモジュール」を使うことができるようになる。カンファレンスはオンラインでも開催されるが、現地参加者も募集中だ。参加費用は100ドル(学生は25ドル)で、食事および現地でのセッション参加費用が含まれている。申し込み時に記す動機(application)にて出席の可否が決まるようだ。積極的に、熱意ある申込書を書く必要がありそうだ。

Araは、ひとつのデバイス上でモジュールをいろいろと入れ替えることで、すべてのニーズにこたえられるようにしたいとするものだ。あまりに壮大過ぎる目標だとも思えるが、ATAPとしては、あらゆるリスクを考慮しても利用者のニーズに答えていきたいということなのだそうだ。「壮大過ぎる」と言われるのは、むしろ「望むところ」であるのかもしれない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


インフォグラフィックで見るApple、Google、Yahoo、Amazon、Facebookの企業買収の15年

企業が齢を取ると動きが鈍くなり、やがては死に至る。そうならないためには新しい血の注入が必要だ。前世代のテクノロジー大企業の運命を教訓として、今日の新しい巨人たちは若い企業の買収によって健全性の維持を図っている。下にエンベッドした洗練された対話的インフォグラフィックをご覧いただきたい。Apple、Amazon、Google、Yahoo、Facebookが過去15年間に行った買収の件数、金額、企業ジャンルが一覧できるようになっている。

このインフォグラフィックを制作した企業向け損保のSimply Businessは、特にTechCrunchにのみ転載を許可してくれた。

それぞれの円の直径は(公開されている場合)買収金額を表している。左端の会社のロゴをクリックすると買収の一覧表が表示される。上部の+-ボタンあるいはマウスのホイールでズームイン/アウトができる。モバイル、検索などのカテゴリーをクリックするとそのカテゴリーでフィルターされる。上部右端のFrequencyをクリックすると件数が一覧しやすくなる。サイズの関係でモバイルではは見づらいかもしれない。ウェブからご覧になるようお勧めする。

Simply Businessのインフォグラフィックではっきり分かることがいくつかある。

  • Yahooの企業買収は2011年から2012年にかけてほぼ停止していた。 Marissa MayerがCEOに就任してから買収が積極的に行われるようになった。
  • Appleは社内に巨額のキャッシュを積み上げているにもかかわらず買収金額は低い。買収の動機は市場シェアの獲得というよりテクノロジーの取得が多い。
  • Facebookは上場に伴って大規模な頭脳流出に見舞われた。このため買収の動機は人材獲得が多い。
  • スティーブ・ジョブズは買収はイノベーションの失敗だと考えていたが、ティム・クックは新テクノロジーの獲得のために積極的に買収を行っている。
  • Sequoia Capitqalが 古き良き時代よ、さらばと嘆いた2008年から2009年にかけて買収不況が襲った。
  • ここ数年、検索、広告、メディア分野の買収が減少し、ソーシャル、モバイル、ハードウェア関連の買収が増加している。

トップ5企業による買収の最大のものは―

  • Apple – Anobit(3億9000万ドル)、 AuthenTec(3億5600万ドル)
  • Amazon – Zappos(9億ドル)、Kiva Systems(7億7500万ドル)
  • Google – Motorola Mobility(125億ドル)、Nest(32億ドル)、DoubleClick(31億ドル)、YouTube(16億5000万ドル)
  • Yahoo – Broadcast.com(50億ドル)、Overture(18億3000万ドル)、Tumblr(11億ドル)
  • Facebook – WhatsApp(190億ドル)、Instagram(10億ドル、7億1500万ドルで契約)

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Googleのプロジェクト・タンゴでモバイル・デバイスは新しい競争の時代へ―カギはコンテキスト認識

スマートフォンのあの薄い筐体には数々のセンサーが内蔵されている。しかし先週、GoogleのAdvanced Technology And Projects (ATAP)グループが発表したタンゴ・プロジェクトのおかげで、次世代のスマートフォンは新たなパワーを獲得することになるだろう。つまりビジュアルな空間認識能力だ。スマートフォンは単にカメラで画像を記録するだけでなく、周囲を3D空間として理解することができるようになる。

これがSF的に聞こえるのも当然だ。たとえば映画her/世界でひとつの彼女に登場するAIアシスタントがおそろしく人間的なのは、それがユーザーの置かれている空間を正しいコンテキストで認識できる能力のせいだ。Googleの新しいプロトタイプ・ハードウェア・デベロッパー・キットではMyriad 1 Movidius Vision Processorプラットフォームが利用されており、チームの技術責任者のJohnny Leeによれば、まさに<em>her</em>のような空間理解能力をモバイルデバイスに与えることが目的だという。

しかし単なる新しいカメラではない

プロジェクト・タンゴのカメラとセンサーは単なる新しいハードウェアでない。それはいわば人間の大脳皮質の視覚野に相当する。 またカメラによる認識は次世代スマートフォンでもっとも激しい競争が起きている分野でもある。たとえばAppleにはM7モーション・プロセッサーがある。また撮影後に焦点を変化させることができるカメラも開発されている。

しかし今回Googleが発表したタンゴの影響範囲はこれらとは比較にならないくらい広い。コンピュータ・ビジョンはこれまで学術的にも産業的にも広く研究されてきた。しかしGoogleがパートナーと共に開発したシステムは必要なときにいちいち起動されるのではなく、低消費電力によって常時作動させること可能にしている点が画期的だ。

ユーザーの命令をコンテキストで理解する

では、タンゴはユーザー体験という面では何をもたらすのだろうか? もちろんあらゆる面で非常に大きな変化が予想されるが、現在はまずデベロッパーにこのテクノロジーの利用のアイディアをできるだけたくさん出してもらうという点にGooogleは力を入れている。したがって具体的な応用例を挙げるには早過ぎるわけだが、一つだけ確実なことがある。コンテキストがカギになるという点だ。

Google Nowはモバイル・デバイスがユーザーの置かれたコンテキストを十分に理解できるようになった場合に何ができるかを知るヒントになる。時刻、場所、メール、カレンダー、その他の情報を総合すると、ユーザーが今必要としている情報が何であるかをかなりの精度で推測できるする。われわれの言うコンテキストとはそれぞれのユーザーの所与の環境に関する情報を総合した知識だ。しかし前述のように、現在のモバイル・デバイスの環境認識の能力には大きな制約がある。いわば密室の壁に開けられた小さな穴を通して断続的に映るぼんやりした像を眺めているようなものだ。

バーチャル・パーソナルアシスタントが有効に機能するためにはユーザーの置かれたコンテキストについてのもっと明確な理解が必要だ。たとえばユーザーがバス停の前のカフェで仕事の相手と握手し、カバンを床に置いてコーヒーを注文したとしよう。このコンテキストではバスの到着時間よりも、この時刻に予定されているミーティングに関するメールその他の資料を用意する方が適切だ。

しかしバーチャル・アシスタントというのは視覚的理解が必要な数多くの分野の分かりやすい一例にすぎない。スマートフォンが自らの位置を知り、近傍に何があり、どんな動作が行われているかを理解する能力を備えれば、驚くべき応用が広がる。バーチャル世界と現実世界のハイブリッド型のゲーム、付近いいるユーザーの位置、動作、性別などを理解してマルチメディア広告を表示するディスプレイ、コンテキスト情報に応じて刻々と設定を変化させるモバイルデバイスなどが実現するだろう。

最後の例に関してはFirefoxやGoogleがすでにコンテキスト・ランチャーという形でメインストリームへの導入を図っていることを私は指摘している。ただし、現在は、スマートフォンのコンテキスト認識能力が低すぎることがハードルとなっている。デバイスが外界を正しく認識できるようになれば、劇場や公共交通機関の中では自動的にマナーモードになり、ユーザーがその時点でもっとも必要としそうなアプリを選んで常に待機させるようなことができるだろう。

しかしなんらかの意味でデータの蓄積と組織化が関連してくるのでなければGoogleがわざわざこういうことを始めるわけがない。ユーザーがどこへでも持ち歩くデバイスから刻々とアップロードされてくるコンテキスト・データはデバイスと同時に、Google自身の世界を認識する能力も圧倒的に強化するものとなる。

Googleの全ビジネスはユーザーに関する知識をベースとしている。ユーザーが知りたがっている情報を提供することでGoogleのビジネスは成り立っている。検索エンジンに特定のフレーズを入力することは、つまりユーザーがそのフレーズに関連する事項に興味を抱いている確実なサインだということを発見したことが検索連動広告を生んだ。後知恵で見れば当たり前に思えるが、当時はこの発見がまさに雷電のように全検索業界を震撼させ、Googleの巨大化への道を開いたのだった。

Googleがムーンショット(月ロケット)と称する野心的なプロジェクトも、実はすべて最終的には一般ユーザーを対象とする巨大ビジネスへの成長の可能性が考慮されている。プロジェクト・タンゴも例外ではない。一般ユーザーまったく気付かない段階で新たなテクノロジーがどのような需要とビジネスを生むかを大胆に予測しているわけだ。コンテキストを認識するスマートフォンもその一例であり、ビジネスの観点からいえば、消費者が持ち歩くスマートフォンの1台ずつに熟練したマーケティング・コンサルタントを忍び込まされるようなものといえるだろう。

最近のテクノロジーの発達に共通することだが、タンゴもユーザーの個人情報をより詳しく収集する見返りにより便利なサービスを提供するという仕組みだ。ひとたびその利便性が明らかになれば、多くの消費者はプライバシー上の譲歩を喜んで受け入れるだろうというのが私の予測だ。

Googleだけではない

モバイル・デバイスのコンテキスト認識能力の向上に取り組んでいるにはGoogleだけでない。昨年、AppleがPrimeSenseを買収したのも、動作の認識など3Dマッピンの能力を強化するためだったし、 Qualcomも同様の理由でGestureTekを2011年に買収している。

位置情報ベースのサービスも当初はSF的と思われたが、今では当たり前になっている。コンテキスト認識も明日のスマートフォンではないのが不思議になるだろう。空間的コンテキスト認識能力を応用した新たなソフトウェアの可能性を探るためににデベロッパーに現実の開発環境を提供し始めたのはたしかにGoogleが最初だが、他のプレイヤーも続々と後に続くだろう。その競争はすぐに始まり、また激烈なものになるだろう。

画像 Bryce Durbin

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ビデオ: GoogleのProject Tangoで室内を3D撮影するとこうなる

昨日はGoogleの3D感知型スマートフォンProject Tangoについてお伝えし、そこに使われている視像プロセッサや、それが携帯電話の未来にもたらす意味について論じた。

そして今回お見せするのは、実際にTangoのプロトタイプデバイスを使ってMatterportが作った3Dの室内マップだ。Matterportはこれまでにもコンピュータビジョンや知覚コンピューティングの技術を駆使して、室内など3D空間の捕捉や再現を行うソフトウェアを作ってきたので、Tangoのプロトタイプ機をGoogleからもらえる数少ない企業の一つに選ばれたのだ。

MatterportのCEO Bill Brownに、Project Tangoの3Dシーンを再現する能力について聞いてみた。Brownによると、このプロジェクトによってモバイルの3D化が急速に進むだろう、という。3Dの捕捉とマッピングをモバイルデバイスほど迅速簡便に、そして気軽にできるデバイスは、同分野の既存の製品や技術の中にはない。だからモバイルデバイスは事実上、3D技術を今後一般化大衆化していくための唯一の乗り物になる。

Matterportは同社の一連のソフトウェアによって3Dデータを、カラーカメラデータと完全なメッシュデータの両方で一度に捉える。そしてそれらを、正確なモデルへと再構成する。Matterportはそのためのカメラを、価格など一般市販を意識しながら独自に作ってきたが、Brownによると、Tangoデバイスの能力は現状ですでに立派なものだそうだ。

“まだプロトタイプだからメッシュのクォリティは、うちのカメラほど良くないけどね”、とBrownは言う。

このプロトタイプTangoデバイスは、カメラの解像度も低いから画像が粗い。でもカメラの解像度を上げるぐらいのことは簡単にできる、とBrownは言う。

このビデオでもお分かりのように、Tangoの能力は現状でもすでに十分に感銘を与える。やがて、われわれが日常的に持ち歩く携帯が、このように自分の身の回りの環境を感知したり解釈したりできるようになるのだ。

Matterportはバルセロナで行われるMobile World ConferenceでQualcommのキーノートを担当する。その機会に同社は、同社の3D捕捉再現ソフトウェアをモバイルデバイスに載せてデモし、このような3D技術の大衆的普及がもたらすメリットについても語るだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


YouTubeのデザイン変更: Googleのカードレイアウトを採用, プレイリストを強調

YouTube今日からデザインを一新し、Googleが今、Webやモバイルの各所で使っている“カードのような”レイアウトを採用する。その目的は、Googleによると、プレイリストを左のサイドバーの主役にすることによって、それを強調することだ。

また、整列をCENTERにすることによって、今YouTubeのビジタの半分を占めるモバイルアプリのレイアウトに合わせる。これによってカードふうのレイアウトも、やりやすくなる。今カードは、Googleの全プロダクトを支配しようとしている“ページ上の諸要素のまとめ方”のメタファなのだ。

新デザインの一環としてサイドバーに新しいアイコンが乗り、画面右上のYouTubeのロゴの横に恒久的なメニューボタンが置かれる。それを押すと、プレイリストやチャネルのサブスクリプション(会員視聴)など、ユーザのYouTube利用のすべてに関するガイドが出る。全体的にサイトのルックスはフレッシュになり、明るくなり、またフォントを変えたことによってやや読みやすくなった。

プレイリストは、自分が作ったものとチャネルのものが、すべてサイドバーに表示される。また各チャネルにもプレイリストタブが付き、なにしろプレイリストがいろんなところで強調される。プレイリストの作り方も、簡単になった。プレイリストを作ろうとすると新しいページがポップアップするので、そこにビデオを並べればよい。

この新しいデザインは今日(米国時間2/20)から展開されるが、地域によっては数時間~数日ぐらい遅れるかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleが野心的AIプロジェクト、タンゴを発表―3Dカメラとセンサーでスマートフォンが空間を認識する

今日(米国時間2/20)、Googleのスカンクワークスこと先進テクノロジー・プロジェクト(Advanced Technology and Projects)グループはプロジェクト・タンゴ(Project Tango)と名付けられた画期的3Dセンサーを装備したAndroidベースのスマートフォンのプロトタイプとデベロッパー・キットを発表した。

この3Dセンサーとカメラを組み合わせたシステムはモーショントラッキングと同時に周囲をスキャンして3Dマップをリアルタイムで生成することができる。Googleはこの新センサー、カメラ、高度なコンピュータ・ビジョン・ソフトウェアの組み合わせによって屋内のナビゲーションやVRゲームなど数々のまったく新しい応用への道が開かれると信じている。デベロッパーは今日からGoogleに対し、プロトタイプ・スマートフォンとデベロッパー・キットの入手を申し込むことができる。

ただし、初回はGoogleが審査して特に許可する200チームに限られるという。 申し込みをするデベロッパーはこのデバイスでどのようなプロダクトを開発する計画なのか明確な案を提出しなければならない。200チームの選定は2014年3月14日までに完了する。Googleが想定する分野は屋内ナビゲーション/マッピング、物理的な空間内でプレイする単独/複数プレイヤーのゲーム、センサーからの3Dデータの新しい処理アルゴリズムなどだ。

デベロッパーはアプリをJava、C/C++で開発するものとする。またUnity Game Engineを利用することができる。このスマートフォンに対するAPIは現在開発中だという。

「“プロジェクト・タンゴの最大のインパクトは、スマートフォンが人間の視覚のような動作と空間の認識能力を持つようになることだ」とプロジェクト・タンゴのチームリーダー、Johnny Leeは言う。

Googleはこの3Dセンサー機能を利用して、デベロッパーが3Dビジョンに基づいたまったく新しいジャンルのスマートフォン・アプリケーションを多数開発するようになることを期待している。

このスマートフォンには他のスマートフォン同様、コンパスとジャイロが搭載されているが、Googleが開発した新センサーシステムは周囲をスキャンしてKinectのように動作やジェスチャーを認識し、また周囲をスキャンして3D空間マップを生成する。

ただしプロジェクト・タンゴのシステムはLeap Motionのようなジェスチャー・ベースのUIを開発することを念頭に置いたものではない。逆にスマートフォンが周囲の3D空間を認識し、自分の位置が分かるようになった場合、デベロッパーがどんなアプリを作り出せるのかが興味の焦点だ。

たとえば新しい家具を買おうとするときスマートフォンを構えて家の中を一回りするだけで正確な寸法の測定ができたら便利だろう。 複雑な構造のビルの中でのナビゲーションにも応用できるかもしれない。ショッピング・モールや地下街で迷子にならずにすむだろう。

タンゴのセンサー

Googleはプロジェクト・タンゴにMovidius’ Myriad 1ビジョン・プロセッサー・プラットフォームを利用している。これまでこうした機能をスマートフォンに組み込むのは、非常に高価になってしまうだけでなく、膨大なデータ処理の負荷によってバッテリーがすぐにゼロになってしまうために困難だった。しかし最新のビジョン・プロセッサーは省電力化が大きく進んだ。これがおそらくGoogleがプロジェクトをスタートさせた大きな理由だろう。プロジェクト・タンゴのセンサーに関してはわれわれのこちらのの記事を参照。

プロジェクト・タンゴの技術面のリーダーであるLeeは、2011年の初めにGooogleに加わる前はMicrosoftでKinectの開発に携わっていた。今日の発表はGoogleの謎めいたATAPグループとして最初のハードウェア・プロダクトのリリースだ。この組織はもともとMotorolaの研究部門で、GoogleがMotorolaを売却した際に手元に残した数少ない部門の一つだ。

タンゴ・プロジェクト以外にもATAPは途上国市場向けの低価格のスマートフォンを開発するプロジェクトAraも担当している。 GoogleはATAPをGoogle[x] と並ぶ同社のムーンショット〔アポロ計画のような大胆な先進プロジェクト〕を担うグループと位置づけている。現在ATAPは元DARPA局長で2012.年にGoogleに加わったRegina Duganが責任者を務めている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+