NASAがアルテミス計画の月着陸機コンセプト開発でSpaceXやBlue Originなど5社と契約

NASAは、Artemis(アルテミス)計画の一環として、着陸機のコンセプトを開発する総額1億4600万ドル(約160億円)の契約を、SpaceX(スペースX)、Blue Origin(ブルーオリジン)、(ダイネティックス)を含む5社と締結した。

その内訳は、Blue Originに2650万ドル(約29億円)、Dyneticsに4080万ドル(44億6000万円)、Lockheed Martin(ロッキード・マーチン)に3520万ドル(約38億5000万円)、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)に3480万ドル(約38億円)、SpaceXに940万ドル(約10億3000万円)となっている。提案書を提出したBlue Ridge Nebula Starlines(ブルー・リッジ・ネビュラ・スターライン)とCook & Chevalier Enterprises(クック・アンド・シュヴァリエ・エンタープライゼス)の2社のみが契約を獲得できなかった。

契約は、NextSTEP-2(Next Space Technologies for Exploration Partnerships、次世代宇宙探査技術パートナーシップ)のAppendix N(Sustainable Human Landing System Studies and Risk Reduction、持続可能な有人着陸システムの研究とリスク低減)に基づいて締結されたものだ。2021年7月初旬に発表された募集要項によると、この契約の目的は「コンセプトの研究、持続可能な有人着陸システムの運用コンセプト(地上および飛行)の開発、およびリスク低減活動のために、潜在的な商業パートナーと協働する」となっている。

これは実際には、選定された企業が着陸機の設計コンセプトを開発し、部品の試験を行い、性能や安全性などを評価することを意味する。

この契約は、2021年4月にNASAがSpaceXのみに与えた有人着陸システムの契約とは別のものだ。そちらの契約については、Blue OriginとDyneticsの両社が政府の監視機関に異議を唱え、後にBlue OriginはNASAを相手取った訴訟で反論しており、それは現在も継続中だ。

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しかし、今回の選定結果は、今後10年間の着陸機開発契約に影響を与えることになるだろう。NASAは声明で「これらの企業が行う仕事は、将来的にNASAが求める月周回軌道から月面までの定期的な宇宙飛行士の移動手段を提供するための戦略と要件の形成に、最終的に役立つことになるでしょう」と述べている。

Blue Originの提案は、Lockheed MartinとNorthrop Grumman、そしてDraper(ドレイパー)を含む、Blue Originが「ナショナルチーム」と呼ぶグループからのものだ(Lockheed社とNorthrop社は、Appendix Nの下で個別にも契約を獲得している)。

「この契約において、我らがナショナルチームは将来の持続可能な着陸機のコンセプトに貢献する重要な研究とリスク低減活動を行います」と、Blue Originの広報担当者はTechCrunchに説明している。「また、私たちはこの取り組みにおいて、他の複数の企業や全国のNASAフィールドセンターと密接に連携していきます」。

2020年に承認されたアルテミス計画は、アポロの時代以来となる人類の月面再訪だけでなく、2020年代後半までにそのような旅を定期的に行えるようにするという多くの目的がある。さらにNASAは、月に留まらず、火星にも人類を送り込む惑星間探査にまで拡げることを目指している。

「NASAの重要なパートナーとして、また商業的パートナーシップがいかに効果的に機能するかを示す好例として、Northrop Grummanは有人宇宙探査における実績を築き上げていきます」と、Northrop Grummanの民間商業衛星担当VPを務めるSteve Krein(スティーブ・クライン)氏は声明の中で述べている。「当社は、月への再訪と火星に人類を送るというNASAの野心的な目標を達成するために、Blue Originとナショナルチームとのパートナーシップを継続していきます」。

画像クレジット:Getty/Walter Myers/Stocktrek Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が12月18日に打上げ決定、ビッグバンから約2億年後に輝き始めた宇宙の「一番星」発見へ

NASAがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を12月18日に打上げ、ビッグバンから約2億年後に輝き始めた宇宙の「一番星」発見へ

alex-mit via Getty Images (elements furnished by NASA)

NASAが、長らく延期を繰り返してきジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)をいよいよ、2021年12月18日に打ち上げます。打ち上げに先駆けて、NASAは8月下旬にこの宇宙望遠鏡の試験を完了しました。

JWSTは、もともとはいまから10年以上前に打ち上げられているはずでした。しかし、開発の遅れやトラブルなどのため2015年以降、2018年以降、2019年、2020年へと延期を繰り返し、ようやく2021年の打ち上げで決まりかと思ったところで、さらに延期を刻む逃げ水のようなプロジェクトとなってしまっています。

一般的にはハッブル宇宙望遠鏡の後継として知られているものの、仕様的には低周波観測、特に中間赤外線での観測に重点をおいたことで、ハッブルでは発見できなかった宇宙のごく初期の銀河まで発見できる能力を持つとされます。この仕様がJWST開発の技術的な遅れの原因のひとつでもありました。

  1. NASAがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を12月18日に打上げ、ビッグバンから約2億年後に輝き始めた宇宙の「一番星」発見へ

    NASA / Chris Gunn

非常に複雑な構造を持つこの宇宙望遠鏡は、現在カリフォルニア州レドンドビーチにあるノースロップ・グラマンの施設で、打ち上げ予定地であるフランス領ギアナへ向かう準備が進められ、その荷造りの最終段階にあるとのこと。打ち上げにはESAが用意するアリアン5ロケットが使用され、宇宙望遠鏡を太陽と地球の間のラグランジュポイント付近へと送り届けます。

打ち上げ後、JWSTの予定されたミッションは5年という比較的短期間で終了します。JWSTは軌道を維持するために推進剤を必要とするため、地球を周回する他の宇宙望遠鏡のように、壊れさえしなければいくらでも使いづけられる…というものではありません。そのためNASAはJWTの運用期間を5年間と公称しています。ただ、これは保証期間のようなもので、実際には推進剤は余裕をみて10年間は軌道を維持できるだけの量を搭載します。もちろん何らかの事態で推進剤を余分に消費してしまったときのリカバリー用でもありますが、当初の計画から10年以上遅れて(それだけ多大なコストもかけて)ようやく打ち上げになるJWSTだけに、予定期間だけで運用を終了する考えはNASA、少なくとも運用チームにはないはずです。

紆余曲折を経てやっとの打ち上げだけに、これまでの努力がトラブルなく報われるのを祈りたいところ。そして無事に運用に移行できれば、初期の宇宙に関する調査、特に赤外線を使った観測で「ファーストスター」と呼ばれる、ビッグバンから約2億年後に輝き始めたとされる宇宙第1世代の恒星の光をキャッチすることが期待されます。

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

NASAが火星の岩石サンプル採取に成功、初回の失敗ふまえPerseveranceローバーのカメラで慎重に確認

  1. NASAが火星の岩石サンプル採取に成功、初回の失敗ふまえPerseveranceローバーのカメラで慎重に確認

    NASA/JPL-Caltech

先月、火星で初の回収用土壌サンプルの採取に失敗してしまった探査ローバーのPerseveranceですが、先週トライした2回目の採取にはどうやら成功した模様です。NASAによれば、サンプルチューブの中には岩石からくりぬいた、さびた鉄のような色のサンプルが入っており、正常に処理して地球に回収する準備ができていることが確認できたとのこと。

NASAは最初のサンプル採取の際、処理上は完全に成功したと考えられたもののサンプル管の中には何も入っていませんでした。このことについて、科学者らはサンプルが砂状に砕けてしまったせいでサンプルとして採取するのに失敗したと述べていました。

今回NASAがサンプル管の中に明らかに何か入っているにもかかわらず、すぐに成功したと言わなかったのは、この前回の失敗を踏まえて確認作業をより確実にしたかった意図があると考えられます。採取作業のあと最初に撮影した画像の中には岩石らしきものが映っているのが見えましたが、日光の角度の関係で明確に成功というのは難しかったかもしれません。しかしその後、土曜日に撮影された新たな写真では、はっきりとサンプルが入っているのが確認できました。

アリゾナ州立大学のSteven Ruff氏は、自身のYouTubeチャンネルでそのサンプルがカンラン岩と水分が反応してできた鉄を含む物質である可能性が高いとを述べています。

Perseveranceはこのサンプルを密閉して、その場もしくは定めた場所に置いて次のサンプル採種に向かいます。地表におかれたサンプルは、あとから火星にやって来る予定の回収用ローバーがジェゼロ・クレーター近くの1か所に集め、最終的に地球に帰還するロケットに積み込まれる計画です。

ただし、ESAが準備する予定の回収用ローバーと回収ロケットはまだ設計段階で、影も形もありません。現在のスケジュールでは、この回収ミッションは2026年までに火星に向けて出発し、2028年に到着、地球への帰還は2031年と予定されています。

近年の地球外からのサンプルリターンといえば、これまでにJAXAがはやぶさ / はやぶさ2で小惑星からのリターンに成功しているほか、中国が2020年12月に嫦娥5号で月の土壌を持ち帰ることに成功しています。一方NASAは、探査機OSIRIS-RExが小惑星ベンヌからサンプルを持ち帰っている最中であり、これは2023年に戻ってくる予定です。

火星からのサンプルリターンはNASAと欧州宇宙機関(ESA)の共同ミッションで、Perseveranceが荷造りしたサンプルはESAのSample Fetch Roverが集めて火星軌道上に打ち上げます。そしてそのサンプルを収めたコンテナはやはりESAのEarth Return Orbiterがキャッチして、地球に戻ることを計画しています。これらESAの機器は昨年10月に仏Airbusが開発契約を獲得しました。

画像クレジット:NASA/JPL-Caltech

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

NASAが「空飛ぶタクシー」目指すJoby製eVTOLの飛行試験、新たな空の交通基準策定に向け性能・騒音など情報収集

NASAが「空飛ぶタクシー」目指すJoby製eVTOLの飛行試験開始、新たな空の交通基準策定に向け性能・騒音など情報収集

Bradley Wentzel / Joby Aviation

NASAがJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)が開発する電動垂直離着陸機(eVTOL)の飛行試験を開始しました。この試験は8月30日から9月10日にかけて行われこの試験機が安全に安定した飛行を行うかを確認し、各種データを収集します。

Jobyは2009年創業のeVTOL企業で、NASAのAdvanced Air Mobility(AAM) と称するキャンペーンに参加する企業のひとつ。AAMキャンペーンは都市近郊や地方の地域環境における新たな旅客および貨物輸送の市場を開拓することをことを目的とし、農村部または都市部での半径約50マイル(約80.5km)のローカル輸送、または最大数百マイルの地域内輸送をそのミッションに含みます。

NASAがeVTOL機の試験を行うのは今回が初めて。この試験飛行では、機体の性能や騒音に関するデータを収集、シミュレーションを通じて現在の航空規制および政策とのギャップを特定し、将来の空域利用のコンセプトを形成することを目標とします。わかりやすくいえば、ヘリコプターやその他の化石燃料を利用する輸送手段に比べてどの程度優れているかを計ろうということです。

NASA AAMキャンペーンの指揮をとるDavis Hackenberg氏は「キャンペーンの開発テストは、AAM産業のタイムラインを加速させるというNASAの目標において、重要な戦略的ステップ」だとし「テストシナリオは、現在の標準のギャップを知るために役立ち、いつかAAM機を空域利用に統合して業界に進歩と利益をもたらす」と述べています。

なお、NASAはJoby以外のeVTOL企業とも同様のテストを実施することを計画しています。またNASAはこのキャンペーンで得た情報をもって連邦航空局(FAA)に助言を提供することを考えています。

ちなみおにNASAは以前Uberが行っていたエアタクシー事業計画についてデータ共有契約を締結していました。しかしUberは収益改善のためこの計画を手放すことになり、2020年12月にJobyへとこの事業を売却しました。

Jobyやその他のeVTOL企業は、最終的にFAA認定を取得し、商業運航を目指していますが、それには様々な法規制や安全性、信頼性の面で越えなければならない問題がまだたくさんあり、早くても数年の時間がかかると見積もられています。Jobyは、2024年にエアタクシーサービスが開始できることを望んでいます。それが実現できるかはまだわかりませんが、今回のAAMキャンペーンによる試験飛行は、今後に向けた重要な一歩になるかもしれません。

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

新型コロナウイルスの影響から液体酸素が不足、ロケット打ち上げ延期の原因に

新型コロナウイルス流行の余波は、宇宙飛行というおそらく最も似つかわしくない場所にまで及んでいる。米国時間8月27日、NASAは新型コロナウイルスの影響による液体酸素(LOX)の不足を理由に、9月の衛星打ち上げを延期するという予想外の措置を取ったが、今後も打ち上げの延期は続くかもしれない。

酸素の需要はデルタ変異株で高まる一方だ。多くの都市で入院やICUへの入室率が、新型コロナウイルス流行開始時の状態にまで戻ってしまった。酸素は人工呼吸器に使われるだけではない。宇宙産業では、LOXをロケット推進剤の酸化剤として使用しており、液体水素など他のガスと組み合わせて使用されることが多い(打ち上げ時に大量の蒸気が発生するのは、水素が酸素と反応して水になるためだ)。

Boeing(ボーイング)とLockheed Martin(ロッキード・マーチン)の合弁会社であるUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)とNASAは、Landsat 9(ランドサット9号)衛星の打ち上げ日を9月23日に変更すると発表した。

LOX不足の影響を受ける可能性のある打上げ会社はULAだけではない。SpaceX(スペースX)のGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)社長は、先週開催されたSpace Symposium(スペース・シンポジウム)のパネルディスカッションで「2021年は打ち上げ用の液体酸素が不足するため、実際に影響を受けることになるでしょう」と述べ「もちろん、病院で必要な酸素が確実に手に入れられるようにすることが大事です。しかし、どなたか余分に液体酸素をお持ちの方はメールでご連絡ください」と続けた。

SpaceXの創業者でCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、数日後にTwitter(ツイッター)でLOX不足について「リスクではあるが、まだ制限要因ではない」と発言した。

SpaceXのグウィン・ショットウェル社長、COVID-19による液体酸素の不足により、ロケット打ち上げの頻度が減ると語る。

ヴィンセント・ユー

リスクではありますが、まだ制限要因ではありません。

イーロン・マスク

実際に酸素の供給量が少ないだけでなく、新型コロナウイルスによる混乱がサプライチェーンに影響を与え続けているため、出荷の遅れが広まっていることも液体酸素不足を悪化させている。ULAのTory Bruno(トリー・ブルーノ)CEOはTwitterで、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地への窒素輸送を担当している業者が、フロリダ州でLOX配送を支援するために転用されたことを付け加えた。

9月16日の@ulalaunchによるSLC 3の打ち上げ予定時刻に関して、新たな情報はありませんか?

ムーン・トゥ・マーズ

VAFBに液体GN2を輸送しているUSGの業者は、フロリダでCOVIDの影響によるLOXの問題に協力しています。現在そのような状況で作業を続けています。

トリー・ブルーノ

LOX不足の影響を受けているのは、宇宙産業だけではない。NASAが打ち上げ延期を発表する少し前、フロリダ州オーランド市の当局は、住民に節水を呼びかける通知を送った。同市の水道処理にLOXが使われているためだ。

「当然ながら人命救助を優先するため、全国的に液体酸素の需要が非常に高まっており、OUC(オーランド市水道局)への供給が制限されています」と、オーランド市のBuddy Dyer(バディ・ダイアー)市長は、Facebookで述べている。「処理に必要な水の量を直ちに減らさなければ、私たちの水道水の水質に影響が出る可能性があります」。

非営利団体「Center for Global Development(グローバル開発センター)」は、2020年5月の時点で、新型コロナウイルスを、病院への十分な酸素供給に対する「警鐘」と呼んでいた。

画像クレジット:Heather Paul Flickr under a CC BY-ND 2.0 license.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ブルーオリジンが未来のNASA月面着陸技術のテスト機打ち上げをライブ配信中

前回のBlue Origin(ブルーオリジン)の打ち上げは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏と彼の弟、Wally Funk(ウォーリー・ファンク)、Oliver Daemen(オリバー・デーメン)を準軌道スペースへと運ぶ、画期的な初の有人飛行だった。今回、人間は搭乗しないが、NASAが将来の月探査のための有人着陸システムの開発に使用する技術をテストするための重要なペイロードを搭載した打ち上げになる。

NS-17(New Shepard 17の略で、Blue Originの完全再利用型ロケットが離陸するのが17回目であることにちなんでいる)の打ち上げは、米国東部夏時間8月26日午前9時35分(日本時間8月26日午後10時35分)に、テキサス州西部にある同社の発射場から行われる。NASAのペイロードには、将来の月面着陸船が目標とする着陸地点の詳細を把握するのに役立つDoppler LiDAR sensorや、センサーデータの処理を行う降下着陸コンピュータなどの技術がテストされる。Blue Originは、2020年10月にもこのシステムの一部を飛行させており、その時のテストに基づいてすでに改良が加えられ、今回のバージョンに組み込まれている。

Blue Originのカプセルには、他にもNASAやフロリダ大学などの学術機関が開発した数多くの実験装置が搭載されている。打ち上げ計画には、離陸、カプセルの分離、ブースターの制御された帰還式動力着陸、数分間の準軌道スペース飛行の後のカプセルのパラシュート支援着陸が含まれています。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Rocket Labの火星ミッションにNASAがゴーサイン

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、同社の宇宙機、Photon(フォトン)が次の科学ミッションに向けてNASAの承認を受けるための一歩を進めた。すべてが計画通りに進めば、2基の人工衛星は2024年に打ち上げられ、11カ月後に火星に到着し、赤い惑星の磁気圏を探査する。

このミッションはEscape and Plasma Acceleration and Dynamics Explorers(ESCAPADE、大気流出・プラズマ加速・力学探査機)と呼ばれ、去る2019年に小型衛星科学プログラムとして提案され、最終的にファイナリストに選ばれた。UC Berkeley(カリフォルニ大学バークレー校)の研究者らが科学部門を支える主要メンバーだ。

これらの人工衛星は質量180kg以下で単体で科学ミッションを遂行しなければならない。強力な商業産業連携のもとで遂行されるより軽量で期間の短いミッションを目指す新たなプログラムの一環だ。プログラムの発表以来いくつかのコンセプトが練られ、ESCAPADEはKey Decision Point C(重要決定ポイントC)を最近通過したところで、これはコンセプトを実現する準備ができたことを意味する。

このミッションは2基1組の衛星からなり、選抜されるのに貢献した特徴であることは間違いない。Rocket LabのPhotonプラットフォームの本来の目的は、軌道上の作業から今回のような惑星間科学ミッションまでさまざまな宇宙事業のために何らかのターンキーデザインを提供することだ。

Rocket Labがこのミッションの打ち上げに同社のロケットであるElectron(エレクトロン)を使わないのは興味深い。2基の衛星は「NASAが提供する商業ロケット」(選択はNASAに任せられている)に搭載される。おそらくそのときまでには同社も契約に名乗りを上げているだろうが、現時点でRocket Labは宇宙船だけを製造しており、ナビゲーション、方位、推進など、大部分の非科学機材部分を担当している。

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「ESCAPADEは、従来の何分の1かのコストで先進惑星間科学に手が届くことを示す革新的ミッションであり、当社のPhotonでこれを可能にしたことを誇りに思っています。NASAから飛行へのゴーサインをもらったことを大変喜んでいます」とRocket Labのファウンダー・CEOであるPeter Beck(ピーター・ベック)氏は節目の発表文で語った。

Rocket Labはすでに、Artemis(アルテミス)計画のためにCubeSat(キューブサット)をシスルナ(地球と月の間の)軌道に載せる契約を結んでおり、Varda Space Industries(バルダ・スペース・インダストリーズ)とは同社が2023年と2024年に打ち上げる宇宙船を製造する契約を確定している。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Blue Originは月着陸船のSpaceX発注に抗議し連邦裁判所でNASAと一騎打ちに

億万長者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が率いる宇宙企業Blue Originが、NASAを法廷に引っ張り出そうとしている。米国時間8月17日に同社は米連邦請求裁判所に、月着陸船の契約をライバル企業のSpaceXにのみ与えたとして同政府機関を告訴した。

裁判所が受け付けたその訴状は、有人着陸システムの提案に対するNASAの評価が「違法で不適切」であるとしている。

同社の広報担当者はTechCrunchに次のように語っている。「Blue Originは、有人着陸システムのNASAの取得過程に見出される欠陥を修復する試みとして、米連邦請求裁判所に訴状を提出しました。この調達過程と結果に見られる問題は、対策が講じられ、公正が回復され、競争が作り出され、米国の月への帰還が確実に安全になるべきです」。

その有人着陸システム(HLS)は、NASAが次に予定しているアルテミス計画の基幹的な部分であり、Apollo(アポロ)の時代以降初めて、人類を月面に帰還させるものである。NASAの計画では、2024年に人類を月の南極に着陸させることを目指している。

2021年4月、NASAはその契約を、29億ドル(約3170億円)で入札していたSpaceX1社だけに与えた。従来からリスクヘッジを重視してきたNASAが、今回に限って最初から1社に絞ったことは驚きだった。わずか数週間後にBlue Originと、同じく着陸船に入札していた国防関連の契約企業Dyneticsが、それぞれ別々に米会計検査院(GAO)に抗議した。GAOは後にNASAの決定を支持し「契約の発表は、複数の落札または単一の落札、または落札なしとする権利を留保している」と主張した。

GAOがNASAを支持する理由の詳細は、TechCrunchのDevin Coldeweyの記事にある。

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GAOの決定が発表されて、本件はSpaceXの勝ち、Blue Originの負けで一見落着したかに思われた。しかし連邦請求裁判所に提出された今度の新しい訴訟は、ジェフ・ベゾス氏の会社がそれを納得していないことの証拠だ。

NASAとしては、広報担当者がTechCrunchに、申立を受理し「目下、その詳細を調査中」と述べただけだ。

連邦裁判所に提出された書類がBlue Originの厳重な抗議を表しているとすれば、同社はソーシャルメディアに対しても別の攻撃を行っており、SpaceXのStarshipの信用を落とすことを目的とした一連のインフォグラフィックや、月へのミッションに使用するというNASAの決定を発表している。

画像クレジット:Blue Origin

そのインフォグラフィックスの1つはStarshipを指して、画像の横の赤い大きな文字で「あまりにも複雑でリスクが大きい」と指摘する。またその下には「これまで一度も軌道まで飛んだことがなく、まだ設計途上の打ち上げ船」とある。

今回の訴訟番号は1:21-cv-01695-RAHだ。現在、TechCrunchは、NASAにコメントを求めている。返事が届き次第この記事をアップデートしたい。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Jeff BezosBlue OriginSpaceXNASA裁判アルテミス計画GAO

画像クレジット:Joe Raedle/Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

連邦政府はSpaceXがNASAの月着陸船建造を受注したことに対するBlue OriginとDyneticsの異議を退ける

Blue Origin(ブルーオリジン)とDynetics(ダイネティクス)は、NASAがアルテミス計画で使用する有人着陸システムの建造をSpaceXにのみ委託するという決定を下したことに対し、いまだ強く抗議を続けている。この決定に対する抗議は 先日却下されたが、Blue Originが公然と疑問を呈した米国政府説明責任局の主張は誰でも読むことができる。ここでは選定からはずれた企業の訴えから、項目ごとの主要な主張内容を紹介する。

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(2020年は長い年だったので)よく覚えていない人のために説明すると、もともとNASAは、2024年に有人月着陸プロジェクトに向けた月面着陸船の構想・提案を得るため、 上記の3社を選んで早期の資金援助を行っていた。さらに次の段階では、可能であれば2社の案を選んで進めるとしていた。しかし、委託先が決まる時期が来ると、SpaceXのみが契約を獲得した。

DyneticsとBlue Originは、この決定に個別に抗議したが、その理由は共通している。1つ目に、NASAは約束通り2社を選定すべきであり、それをしないことはリスクをともない、反競争的でもあるということ。2つ目に、確保できる予算が少ないことがわかった時点で、選定の条件を調整すべきだったということ。3つ目に、NASAが提案を公正に評価せず、さまざまな点でSpaceXに偏った評価をし、他の2社には不利な評価をしたということだ。

米国会計検査院(GAO)は、これらの懸念をすべて報告書の中で解消している。 それにより、Blue Originの「NASAの権限は限定されているため、抗議に適切に対処できない」という後に続く異議は、負け惜しみのように聞こえることとなっている。

1社に決定

画像クレジット:SpaceX

2社ではなく1社と契約することについては、白黒はっきりとした答えが出ている。今回の提案依頼では、そもそも資金が十分にあることが前提である旨が何度も明言されていた。NASAは2社と契約を結ぶことを好み、望み、見込んでさえいたかもしれないが「最大2社」または「1社以上」と契約を結ぶということははっきりしていた。実際、もし1社だけが要件を満たしていて、他の2社はそれを満たしていなかったとしたらどうだろう。NASAは不適当な候補者に資金を投入する義務があるだろうか。答えは「ノー」だ。そして、それが多かれ少なかれ実際に起こったことだ。

報告書からの引用

提案依頼の段階で複数社との契約を締結する意図があった場合でも、提案を評価した結果、1社との契約のみを締結すべきと判断された場合、必ずしもそうする必要はないと認識しています。例えば、NASAの意図にかかわらず、契約を締結するうえで利用可能な資金を超えることはできません。

GAOの説明によると、NASAの意思決定プロセスでは技術的アプローチを最も重視し、次に費用、そしてマネジメント(組織、スケジュールなど)を重視したという。各社の提案はこれらの基準ごとに個別に評価され、最終的な結果が比較された。以下に各社への評価の重要項目をまとめた。

画像クレジット:GAO / NASA

再び報告書からの引用

技術的アプローチという要素は、総見積額よりも重要であり、総見積額はマネジメント的アプローチという要素よりも重要です。総合すると、費用的要素よりも非費用的要素の重要度の比重が高いと言えます。

抗議者の主張に反し、仮に比較分析が必要であったとしても、SpaceXの提案は3つの評価基準のそれぞれにおいて最高の評価を受けており、費用も最も低くなっています。

NASAの予算が確定したとき、HLSプログラムへの予算は想定より少なく、NASAは厳しい選択を迫られた。幸い、(最も重要な要素である)技術面で他社と同等かそれ以上で、組織的にも他社よりかなり優れており、費用面においても非常に合理的な提案があった。SpaceXとの契約は明確な選択だった。

そうはいっても、NASAは十分な資金を獲得できなかった。それでもBlue Originは、何とかして成功させるために自分たちが協力をするのは当然だと主張した。同社は、NASAが直接交渉に来ていたら、おそらくSpaceXよりも良い提案をできたかもしれない、とほのめかした(ジェフ・ベゾス氏が後に20億ドル(約2200億円)の値引きを大胆にも提案したことは、同社に多少の余裕があったことを示している)。

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しかし、NASAはすでに別の結論を出していたことをGAOが確認している。

NASAは、2021年度の資金不足を埋め合わせるため、提示されている約[削除済み]ドルの目標達成報奨金(または提示されている総額29億4100万ドル(約3240億円)の約[削除済み]パーセント)の支払いを2021年度ではなく、後年に繰り延べするようSpaceXと交渉することは「乗り越えられない」ことではないという結論に達しました。これに対し、SSAの判断では、Blue Origin(59億9500万ドル[約6590億円])とDynetics(90億8200万ドル[約9990億円])が、それぞれの技術的・マネジメント的アプローチを大きく修正することなく、著しく高い提案額を大幅に引き下げることは不可能であるということです。

削除された部分に関わらず、ここでの問題点を理解するのは難しいことではない。SpaceXは、30億ドル(約3300億円)に達した時点ですでに厳しい状態になるであろう財政上の問題に対処するため、数億ドル(数百億円)程度の削減を考えることができ、それを合理的にとらえることさえできた。一方でBlue OriginとDyneticsは、同じように財政上の大きな助けとなるよう、コストを半分以上削減するということは考えられなかった。

当時、NASAの選考グループは次のように説明していた。

SpaceXとの契約締結を考慮すると、残りの利用可能な資金は非常に少ないため、私の意見では、NASAはBlue Originが任務の内容に対して提案した額を、同社との契約締結が可能になる数字まで下げるよう合理的に要求することはできません。

Blue Originは、予算によって選考プロセスが制限される可能性があることを、NASAは事前に告げるべきだったと訴えた。しかしGAOは、連邦予算は秘密にはされていないということを指摘し、さらに同社らが契約締結時まで問題提起を先送りしていたことについても明快に指摘している。このような訴えが真摯に受け止められるためには、時宜を得る必要があるとし、さらにNASAがそれを事前に告げていたとしても、そのことで結果が変わっていたという可能性を示唆するものは何もないとしている。

また、抗議文では提供者を1社のみに絞ることは「反競争的であり、過度にリスクをともなう」と指摘しているが、本当にそうであるかという問題もある。GAOは「これらの重要な政策的問題については、開かれた議論をさらに進める価値があるかもしれない」と認めているが、そもそもNASAには2つ以上のプロジェクトを行う資金がなかったため、こういった訴えは無意味である。有権者として、また宇宙開発に潤沢な予算を投入すべきであると主張する者として、NASAがあと60億ドル(約6600億円)多く予算を得られなかったのは残念だと言えるかもしれない。だからといって、得られた資金を可能な限り最高の目的のために使うというNASAの決定が間違っていたわけではない。

宇宙では叫びは誰にも届かない

画像クレジット:Joe Raedle / Getty Images

Blue OriginとDyneticsは、この選考プロセスがSpaceXに有利に進められ、さまざまな企業の強みと弱点が公平に評価されていないと主張している。しかし、GAOはこのような訴えを甘んじて受け入れる。

1つの例として、Blue Originは提案依頼の際、着陸船が暗闇でも着陸できることは特に求められていなかったと主張している。しかし、まず第1にそれは求められているいうこと、そして第2に宇宙は暗いということだ。その点を考慮した設計でないと、宇宙では苦労することになる。

もう1つの例では、Blue OriginとSpaceXが提案した通信システムはどちらも特定の要件を満たしていないと指摘されたが、Blue Originのシステムについては「重要な弱点」とされ、SpaceXは「弱点」としか指摘されなかった。それこそが優遇措置の証拠であると2社は指摘している。

しかしGAOはそうではないという。「評価の記録をざっと見直しただけでも、それぞれの提案における重要な相違点がはっきりと示されており、NASAが与えた異なる評価結果はその相違点に裏付けられています」ということだ。この例では、Blue Originの通信リンクのうち4つが要求通りに機能せず、5つ目も確実ではない。SpaceXの方でうまく機能しなかったのは2つだけだ。このような大きな差は、抗議している2社それぞれの異議内容の中にも示されている。

実際、報告書には次のように書かれている。

私たちは、契約担当者が提示したBlue OriginまたはSpaceXの提案に関する分析結果に対し、Blue Originが反論していないことに留意します。Blue Originは当初、同社の提案に対する評価に異議を唱えていましたが、NASAの報告書を受け取った後、同意の上、その異議申し立てを撤回しました。

Blue Originが不満に思っているのは、設計上の選択の多くは明示的に要求されていないにもかかわらず、SpaceXがクルーの安全性、健康、快適性を重視した設計をしたことで、追加ポイントを得たということだ。GAOは、NASAがこうしたSpaceXの設計をプラスのポイントとみなすことは専門機関としての裁量権の範囲内であるとし、このような事例において「なぜ裁量権が必要なのかを示す代表的な例」と呼んでいる。それにしても、競合相手の着陸船が 素晴らしすぎるという理由で異議を唱えているのであれば、優先事項を考え直した方がいいかもしれない。

画像クレジット:Blue Origin

報告書は、仮にいくつかの決定に対する異議が認められたとしても、結果は変わらなかっただろうとしている。

SpaceXに対する総合評価は以下の通りである。

  • 技術面:重要な強み3、強み10、弱点6、重要な弱点1
  • マネジメント面:重要な強み2、強み3、弱点2

一方、Blue Originに対する総合評価は以下の通りである。

  • 技術面:強み13、弱点14、重要な弱点2
  • マネジメント面:重要な強み1、強み2、弱点6

重要な要素のほとんどすべてにおいて完敗であると気づかされるのは決して好ましいことではないが、今回は事実それが要因だったようだ。ちなみに、Dyneticsの訴えに関しても同じ運命をたどっているが、もう少し手厳しい扱いを受けている。

NASAの評価に対するDyneticsの異議の一部がわずかに認められる可能性を考慮しても、NASAの評価はほぼ妥当であり、非費用的要素に基づいた同社の相対的な競争力には大きな変化はないだろう、と報告書には記載されています。

異議は却下された。

Blue OriginとDyneticsの欠点について極めて率直に書いたが、両社が負けを認め、NASAが両社を蹴落とそうとしているわけではないことを受け入れていれば、必要のないことだった。両社は公正な評価を受けて敗れた。今は野心的で可能性に満ちた企業でなく、まるで泣き言をいう負け組のようだ。

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画像クレジット:NASA

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

NASAがISSで月基地建設用3Dプリンターの実証機をテスト、微小重力・月の土で必要な強度が出るか確認

NASAがISSで月基地建設用3Dプリンターの実証機をテスト、微小重力・月の土で必要な強度が出るか確認

NASA

NASAの最新の国際宇宙ステーション(ISS)ミッションには、月の土(レゴリス)を使って現地に建物を作るための3Dプリンター実証機が搭載されています。

Redwire Regolith Print(RRP)と呼ばれるこのプロジェクトは、既存のプリンティング機材と連携してレゴリスに見立てた材料を用いて3Dプリントの実証試験を行い、出力されたものが地球とは異なる環境で期待どおりの強度を示すかどうかを確かめます。

月面に飛行士が滞在するための施設を作ることを考えたとき、全ての資材を地球から持っていくのは現実的ではありません。そのため研究者らは何年も前から現地調達できるレゴリスを使った居住施設の建設を研究し、様々なアイデアひねり出しています。NASAもコンペ形式で画期的なアイデアを募集していました

今回の実験は、その実現を真剣に目指すもので、低重力下での土の3Dプリントが上手くいくかを確かめます。まだまだ課題はたくさんあるはずですが、実験がその解決の足がかりになることが期待されます。またそれは月だけでなく将来の火星への進出にも役立つかもしれません。

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Redwire Space。Redwire Regolith Print(RRP)の3Dプリンター実証機

(Source:NASA。Via Universe TodayEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
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米会計検査院が月着陸船開発契約をめぐるBlue Originの抗議を却下

数十億ドル(数千億円)もの月着陸船開発をSpaceXと契約するというNASA(米航空宇宙局)の判断をめぐるBlue Originの米政府への抗議は却下された。

米会計検査院(GAO)は米国時間7月30日、Blue Originの抗議、そして月着陸船開発案を提出した防衛関連企業Dyneticsによる訴えのいずれも却下する、と明らかにした。GAOは、NASAがSpaceX1社と契約した際、法律や規則に反しなかった、と結論づけた。

「結果として、SpaceXとだけの契約でNASAが不適切な行動を取ったという訴えをGAOは否定しました」と声明文で述べた。

抗議は、アポロ計画以来となる人間の月面着陸を目指している有人着陸船(Human Landing System)プログラムの契約を、当初意図していた2社ではなくSpaceXのみと結んだというNASAの判断についてのものだった。SpaceXの有人着陸船プログラムの提案は29億ドル(約3180億円)で、59億9000万ドル(約6570億円)というBlue Originの提示額のおおよそ半分だった。今週初め、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏はNASA長官のBill Nelson(ビル・ネルソン)氏に、NASAが契約で1社のみを選ぶことになった「短期的な予算の問題」を解決するために20億ドル(約2190億円)の値引きを提案する公開書簡を送った

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1社のみと契約するというNASAの判断はこれまでの習慣から方向転換することになったが、GAOは「複数企業との契約、1社との契約、あるいは契約しない権利が認められています」と記した。

Blue Originは、NASAが2社と契約するだけの十分な資金がないとの結論に至った後に、入札内容を修正する時間が与えられなかった、と主張した。「要件変更についてNASAが意思疎通を図らなかったことにより、Blue Originは明らかに先入観をもたれました」と同社は申し立てに書いている。「Blue Originは提案したアプローチを修正し、NASAの予算に見合う額に減額し、そして(あるいは)スケジュールの代替を提案する、いくつかのアクションを取ることができたはずです」。

Blue OriginとDyneticsは4月にそれぞれ異議を申し立てた。

会計検査院の判断について、Blue Originの広報担当は以下のようにTechCrunchに述べた。

「当社はNASAの決定に根本的な問題があったと強く確信しています。しかしGAOは限られた権限のためにそうした問題を解決することができませんでした。当社は引き続き、正しいソリューションだと信じているプロバイダー2社を主張します」。

広報担当は、上院議員が有人着陸船プログラムで2社を選ぶことをNASAに求める規定を法案に追加したことについてBlue Originは心強く思っている、とも述べた。

一方、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は今回の判断について以下のように反応している。

TechCrunchはDyneticsにコメントを求めている。返事があればアップデートする。

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タグ:Blue Origin宇宙船NASA米会計検査院(GAO)有人宇宙飛行アルテミス計画

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

再利用可能ロケット開発iRocketがわずか2年以内の商業化を目指しNASAと新たに提携

再利用可能ロケットのスタートアップ、iRocket(アイロケット)は、わずか2年以内に商業化するという目標を掲げて、NASA(米航空宇宙局)と新たな提携を結んだ。

この提携によって、iRocketはNASAの試験施設と技術サポートを、主にアラバマ州ハンツビルのマーシャル宇宙飛行センターで利用できるようになる。会社は最初のロケットエンジンテスト(地上燃焼試験)をハンツビル施設で2021年9月に実施したいと考えている。

iRocketは今後5年間の再利用可能エンジンと打ち上げロケットの試験、開発のために5000万ドル(約55億円)を準備している。NASA施設を利用できるということは、エンジン試験のための制御された環境を提供する重要設備である試験台を利用できることを意味している。iRocketは、オハイオ州のグレン研究センターで真空試験(宇宙環境をシミュレートする)を、マーシャル宇宙飛行センターで海上試験を行う予定だ。

「当社はマーシャル宇宙飛行センターと、非常に綿密な検討を重ねてきました」とiRocketのCEOであるAsad Malik(アサド・マリク)氏はTechCrunchのインタビューで語った。

このエンジンは最終的にiRocketの新しい打ち上げロケットShockwave(ショックウェーブ)の動力になる。ロケットは完全再利用可能な無人小型ロケットで最大積載能力は約300kgおよび1500kg。3Dプリンティングで作られたエンジンは、メタンと液体酸素を燃料とする。「メタンは深宇宙ミッションに最適な燃料になるでしょう」とマリク氏は言った。

ニューヨーク拠点のスタートアップはエンジンを極超音速(hypsesonic)にすることも目標にしている。野心的なゴールだ。そしてiRocketには野心的な計画がある。マリク氏は再利用可能ロケットエンジンとロケット自身、両方の主要サプライヤーになろうとしている。ロケットステージも再利用できる設計(他のロケット開発者との決定的な違い)なので、衛星や貨物の打ち上げミッションだけでなく、いずれ宇宙ごみの除去やバイオテク企業のための回収実験もできるとマリク氏は言っている。

Aerojet Rocketdyne(エアロジェット・ロケットダイン)のLockeed Martin(ロッキード・マーティン)への売却(現在も連邦取引委員会が審査中)は市場に空白を作る、とマリク氏は指摘する。「そうなることで、海外製部品を避けるよう議会が強く押している今、独立系ロケットメーカーのいない米国市場が開放されます」と彼は言った。「つまりこれは、私たちが政府や国防省、NASAなどのパートナーと協力して、私たちに必要な次世代宇宙推進システムを開発するチャンスなのです」。

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カテゴリー:宇宙
タグ:iRocketロケットNASA

画像クレジット:iRocket<

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

月着陸船開発を失注したベゾス氏がNASAに約2208億円の「インセンティブ」を打診

Blue Origin(ブルーオリジン)創業者である富豪のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は米航空宇宙局(NASA)に契約と引き換えに月着陸船の開発費用を最大20億ドル(約2208億円)拠出し、パスファインダーミッションを自己資金で実施することを提案している。

当該の契約は、有人着陸船(Human Landing System)プログラムの月着陸船の開発に関するものだ。このプログラムではアポロ以来となる人間の月面着陸を目指している。NASAは2020年4月、契約の第1段階でBlue Origin、SpaceX、Dyneticsが選ばれたと発表し、月着陸船を開発するために競争によって最終的に2社に絞られると考えられていた。TechCrunchのDarrell Etherington記者が指摘しているように、NASAが2社を選ぶのは珍しいことではなく、商業有人飛行プログラムではBoeing、SpaceXの両社と契約した。

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しかしそれから1年後、これまでの習慣から方向転換し、NASAは契約で1社のみ選んだと発表した。SpaceXだ。Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いる同社は月着陸船の開発費用として28億9000万ドル(約3190億円)を提案していた。これはBlue Originの59億9000万ドル(約6613億円)のおおよそ半分だった。ベゾス氏は現在、この価格から20億ドルの値引きを申し出ている。

ワシントンポスト紙が入手した、月着陸船の契約で1社を選んだ根拠を説明する書類の中で、NASAは「現会計年度の予算は1社との契約金すら満たさなかった」と認めている。これに対し、SpaceXは「NASAの現在の予算内」に収まるように支払いスケジュールをアップデートした。NASAに厳しい予算上の制約があることは皆が知っている。議会は2021年会計年度で有人着陸船プログラムにわずか8億5000万ドル(約938億円)の予算しか認めず、NASAが求めた34億ドル(約3753億円)には遠く及ばなかった。

ベゾス氏がNASA長官のBill Nelson(ビル・ネルソン)氏に宛てた公開書簡では、予算問題を直接解決している。ベゾス氏は、提案したインセンティブは、2社ではなく1社のみを選ぶことを余儀なくされた有人着陸船プログラムで「見受けられる短期的な予算の問題」を取り除く、と書いている。

「元々意図していたように月着陸船の開発を2社に競わせることに投資する代わりに、NASAは複数年、数十億ドル(数千億円)という有利なスタートをSpaceXに与えることを選びました」とベゾス氏は書簡で述べている。「その決定は、意義ある競争に今後何年にもわたって終止符を打つことでNASAの成功的な商業宇宙プログラムの型を壊しました」。

1社のみに絞るというNASAの決定をBlue Originが公然と疑問視するのは今回が初めてではない。Dyneticsとともに、Blue Originは契約が発表された1週間後に米会計検査院に抗議した。同社は契約要件が「有意義に競争する」能力を与えなかった、と主張した。会計検査院は8月4日までに抗議内容について裁定しなければならない。

2社契約を支持するのはBlue OriginとDyneticsだけではない。米上院はこのほど、NASAに月着陸船の開発で2社を選ぶことを求める法案と、そのための追加予算を可決した、とSpaceNewsは報じた。しかし追加予算を含めることについて、すべての議員が好意的ではない。上院議員Bernie Sanders(バーニー・サンダース)氏は追加予算を「ベゾス氏を救済する措置」と呼んだが、最終的に法案から追加の予算を除くことはできなかった。

「当社は、NASAがテクニカルリスクを調整して予算上の制約を解決し、アルテミス計画をより自由競争があるものに、そして信頼でき、持続可能な道に戻すのをサポートする準備はいつでもできています」とベゾス氏は述べた。

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タグ:Blue Originジェフ・ベゾスNASAアルテミス計画

画像クレジット:Matthew Staver/Bloomberg / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

NASAがハッブル宇宙望遠鏡を約1カ月ぶりに復旧・再稼働、科学観測を再開

NASAがハッブル宇宙望遠鏡を約1カ月ぶりに復旧・再稼働、科学観測を再開

NASA

NASAはコンピューターの不具合によってアイドル状態に保たれていたハッブル宇宙望遠鏡を約1か月ぶりに再稼働しました。どうやら、心配された宇宙望遠鏡の寿命が来たわけではなかったようです。

ハッブルのコンピューターが突然シャットダウンし、セーフモードに陥りました。原因はコンピューターのメモリーモジュールの劣化が原因と考えられ、当時NASAのハッブル運用チームは何度か再起動を試みたものの失敗。今度はバックアップモジュールに切り替えようとしたものの、バックアップの起動コマンドもエラーで停止しました。

NASAはその後数週を費やして問題を診断解析し、PCU(Power Control Unit)の電圧レベルを監視する制御回路が不調となり、電圧の監視値が規定範囲を逸脱したと判定したか、電圧レギュレーターが劣化して安全のために電力供給を遮断したと判断。その状態でバックアップモジュールに切り替える方法を検討しました。

そしてハッブルのチームは7月15日、バックアップPCUと、コマンドやデータを送信・フォーマットするCU/SDF(Command Unit/Science Data Formatter)のバックアップ電源を入れることに成功、代替インターフェースを用いてその他のコンポーネントもバックアップ側に切り替えたとのこと。こうしてバックアップ用ペイロードコンピューターを起動し、新しいソフトウェアの導入、動作試験を経てようやく科学観測運用を再開しました。

もはやこれまでかと思われたハッブルの復旧は、1990年の打上げ以来幾多の成果をあげてきた宇宙望遠鏡が、まだしばらくは稼働できることを意味します。何度も遅延し、さらに新型コロナのパンデミックや機体の打上げ場所までの輸送の問題から、10月末の打上げ予定がさらに延期する可能性が伝えられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とも連携した運用が期待されるところです。

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

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NASAが宇宙空間でゲノム編集技術「CRISPR」実施に成功、微重力下でのDNA損傷修復メカニズム研究

ASAが宇宙空間でのゲノム編集技術「CRISPR」実施に成功、微重力下におけるDNA損傷の修復メカニズムを研究する方法を開発

Sebastian Kraves and NASA

NASAの宇宙飛行士クリスティーナ・コック氏は、CRISPR-Cas9と呼ばれる遺伝子編集を宇宙空間で行うことに初めて成功しました。

この実験では、ISS内で培養した酵母の細胞のDNAに、二本鎖切断と呼ばれる特に有害なDNA損傷を生じさせ、放射線などによる非特異的な損傷では得られない、微重力状態におけるより詳細なDNA修復メカニズムを観察しました。コック飛行士は2020年2月に地上へ帰還しており、実験もそれ以前に完了していたものの、その結果が出るのについ最近までかかったとのこと。

重力のない、またはほとんどない場所での長期間の生活は、様々な場面で生命活動に変化をもたらす可能性があります。とくに地磁気による保護のない宇宙空間では飛行士は常に宇宙線(地球外の宇宙空間からの放射線で、生物へ大きな影響をもたらす重粒子線を多く含む)に晒されることになり、それによるDNAへの影響は避けられません。

そのため、この実験を足がかりに宇宙空間でのDNA修復にまつわるさらに多くの実験研究への道が開かれ、十分な知見が蓄積されれば、将来の有人火星探査やさらに深宇宙への有人探査が現実的なものになるかもしれません。

今回の研究は、宇宙でCRISPR-Cas9によるゲノム編集に成功した初めての例であり、生きた細胞に外部からの遺伝物質を取り込ませる形質転換に成功した初めての例でもあります。そして将来の研究で、電離放射線によって引き起こされる複雑なDNA損傷をよりよく模倣してさらに研究を重ねられるようになることが期待されます。人類が火星やその先へと向かうのに、CRISPR-Cas9が重要な役割を担うことになるかもしれません。

(Source:EurekAlertEngadget日本版より転載)

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タグ:医療(用語)宇宙(用語)宇宙開発(用語)CRISPR(用語)健康 / 健康管理 / ヘルスケア(用語)DNA / 遺伝子(用語)NASA(組織)

P&Gの洗濯洗剤ブランド「Tide」が宇宙用洗濯洗剤開発でNASAと協力、水がほとんどなくても衣類を清潔に

P&Gの洗濯洗剤ブランド「Tide」が宇宙用洗濯洗剤開発でNASAと協力、水がほとんどなくても衣類を清潔に

P&G

NASAをはじめとする世界の宇宙機関はいま、月や火星の有人探査や基地建設を目指し競争しています。しかし、人々が地球から遠く離れた別の星で生活していくためには様々な問題をクリアしなければなりません。酸素はどうするのか、食料は……といったことは誰でも考えるものですが、意外と想像が行き渡らないのが、おそらく毎日発生する作業のひとつでもある”洗濯”です。

現状、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する宇宙飛行士たちは、洗濯機も洗濯に使えるだけの水もない軌道上では、何日間かは同じ服を着て過ごし、補給船が来たときに新しい衣服と引き換えに廃棄物として出す、というルーチンを行っています。

しかし、何日も同じパンツをはいていれば、密閉されたISS空間内では微妙に香ばしいかほりが漂ってしまうこともあるかもしれません。P&Gの洗濯洗剤ブランドTideは、この問題を解決すべく宇宙で使うための初めての洗濯洗剤を開発しました。この洗剤はISSのように水を繰り返し浄化して使うシステム内できちんと機能を発揮し、衣類から汚れや香ばしいかほりを分離してくれます。

NASAは”Mission PGTide”と題し、2022年にはISSでこの洗剤をテストすることを計画しており、Tideのペン形汚れ落とし商品”Pen”や拭き取りペーパー形の”Wipe”の成分が無重力空間でどのような効果を示すかをはかります。また洗剤だけでなく、月または火星のやや重力の弱い場所で使える洗濯機と乾燥機の可能性についても研究していくとのこと。

月や火星には、ISSのようには補給船はやってきません。そのため彼の地では洗濯は避けて通れない日常作業になるはずです。もしTideの宇宙用洗剤が使えるとなれば、貴重な水の消費を抑えることができ、それはまた補給船に乗せる物資重量を節約しその分をほかに回すことも可能になります。少なくともNASAが月面で替えのパンツを待つ飛行士の心配をする機会は減るはずです。

そして、宇宙で役立つ技術は地球上でももちろん役に立つはず。すすぎなどを繰り返さずとも完全に分解する洗剤などは、水の節約だけでなく排水を綺麗にし、廃棄物も減らす、環境に優しい洗剤になるかもしれません。

ちなみに、宇宙空間で洗濯を試みた事例としては、2002年から2003年にかけてISSに滞在した第6次長期滞在チームのケネス・バウアーソックス(Kenneth Bowersox)飛行士が、無重力環境下での洗濯デモンストレーションを行っていました。ただこのとき、バウアーソックス氏が洗濯したのがソックスだったかどうかは知りません。2009年には、ESAの宇宙飛行士がISSでの洗濯について述べており「靴下は1週間はき続ける」と説明しています。

(Source:BusinesswireEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:ISS / 国際宇宙ステーション(用語)公衆衛生(用語)NASA(組織)P&G(企業)ヘルスケア(用語)

NASA火星探査ミッション用にRocket Labが双子の軌道上宇宙機の開発契約を獲得

Rocket Lab(ロケットラボ)では、火星の気候が時間とともにどのように変化してきたか理解を深めるため、火星を周回して磁気圏の研究を行うPhoton(フォトン)プラットフォームをベースにした2つの宇宙機を開発している。この科学ミッションはNASAのSIMPLEx(Small Innovative Missions for Planetary Exploration)プログラムから授与されたもので、2024年に、NASAがライドシェアロケットとして契約したまだ明らかにされていない商業打ち上げ用ロケットに搭載して火星に飛ぶ予定だ。

これは、Rocket Labが以前に発表した、地球の軌道を超えて移動する衛星プラットフォームとしてPhotonを使用するというビジョンを実現することを含め、いくつかの理由で注目すべき進展だ。また、Rocket Labの打ち上げ事業と宇宙船サービス事業が初めて切り離されるという意味でも興味深い。

Rocket Labの「Photon」は、同社の宇宙推進システム「Curie(キュリー)」を使用する衛星バスプラットフォームで、今回のミッションでは、状況制御システムや深宇宙探査システム、ウェイファインディングのためのスタートラッカーやリアクションホイールなどが搭載される予定だ。Photonの魅力は、深宇宙探査能力を小型で手頃な価格の、比較的質量の少ない打ち上げ用パッケージで提供することで、より多くの組織や機関に惑星間科学へのアクセスを広げることができるかもしれない。

Rocket LabがPhoton2機を投入するこの火星行きESCAPADEミッションは、2021年6月にデザインレビューが行われ、7月にはPhotonの製造、装備、飛行準備が始まる前に最終チェックが行われる予定だ。

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NASAが新たに2つの民間宇宙飛行士によるISS滞在ミッションの提案を募集

カテゴリー:宇宙
タグ:Rocket LabNASA火星

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

NASAが新たに2つの民間宇宙飛行士によるISS滞在ミッションの提案を募集

NASAは米国時間6月11日、民間宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に滞在させる新たな2件のミッションについて、民間企業から提案を求めていることを発表した。最初のミッションは2022年秋から2023年半ばの間に、2回目のミッションは2023年半ばから2023年末までの間に行われる可能性が高い。

民間宇宙飛行士によるミッションは、NASAの地球低軌道商業開発プログラムの一環として、比較的最近開始されたものだ。人類による宇宙開発の歴史のほとんどにおいて、ISSに滞在できるのは各国の宇宙機関に所属する宇宙飛行士に限られていた。

ヒューストンに拠点を置く宇宙スタートアップ企業のAxiom Space(アクシオム・スペース)は、2022年1月に予定されている史上初の民間宇宙飛行士のみによるISSへの宇宙飛行ミッションを受注している。このミッションでは、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられる4人の民間宇宙飛行士が、ISSに8日間滞在することになっている。このミッションに関連するサービスの対価として、NASAはAxiom Spaceに169万ドル(約1億8500万円)を支払う。

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新たに計画されている2つのミッションはそれぞれ最大14日間で、提案書の提出期限は7月9日。これらのミッションは米国の企業が仲介し、認定を受けた米国の輸送用宇宙船を使用しなければならないと、NASAは指定している。Axiom Spaceの民間宇宙飛行士ミッションでは、SpaceX(スペースX)のCrew Dragon(クルードラゴン)ロケットが使用される。

NASAは、今回のような民間の有人ミッションを可能にすることで「NASAは多くの顧客の1つとして、民間企業が主導する地球低軌道経済の活発な発展」に寄与できると述べている。

SpaceXが先導するロケットの再利用という革新などにより、打ち上げコストが大幅に低下したことに加え、この5年間で生まれた「新宇宙」企業のまったく新しいエコシステムのおかげで、宇宙はかつてないほど賑わいを見せている。

NASAはまた、ゆくゆくは今後のアルテミス計画(人類が待望する月面再着陸計画)や、太陽系のさらに遠い場所を目指すミッションのために、地球低軌道は「訓練と実験の場」として利用できるとも述べている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:NASA民間宇宙飛行国際宇宙ステーション

画像クレジット:NASA

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASA技術開発コンペ「血管組織チャレンジ」で肝臓組織を3Dプリントしたウェイクフォレスト大チームが優勝

NASA技術開発コンペ「血管組織チャレンジ」で肝臓組織を3Dプリントしたウェイクフォレスト大チームが優勝

eranicle via Getty Images

米ノースカロライナ州のウェイクフォレスト大学に属するWinstonおよびWFIRMと称する2チームが、NASAが開催していた技術開発コンペ「Vascular Tissue Challenge(血管組織チャレンジ)」で1位と2位を獲得しました。

このコンペは2016年に開始され、実験室環境において心臓、肺、肝臓、腎臓などの臓器を、血管組織を含み、ある程度の太さと代謝機能を持つように作成することを目標としています。賞金は50万ドルが用意され、上位の3チームに分配されます。

ウェイクフォレスト大の2チームは、いずれもわずかに異なる技術を用いて、実験室で血管を含む肝臓組織の3Dプリントに成功しました。これら組織は30日間生存し機能するように作られ、わずかに優秀とされたチームWinstonが賞金を30万ドル、WFIRMは10万ドルを獲得しています。

NASA技術開発コンペ「血管組織チャレンジ」で肝臓組織を3Dプリントしたウェイクフォレスト大チームが優勝

Wake Forest Institute for Regenerative Medicine

この受賞により2チームは今後、国際宇宙ステーション(ISS)で、それぞれが作り出した画期的な組織モデルに関する試験を実施する機会を得ました。

宇宙空間での実験は、この技術コンペが地上だけでなく、将来宇宙空間で長い時間を過ごすことになるであろう宇宙飛行士らの医療に活用するために行われているから。今回総勢11チームの研究を評価・審査したArun Sharma博士は「これは非常に重要な課題です」「そして、その可能性は無限大です」と述べました。

Center for the Advancement of Science in Space(先端宇宙科学センター)の暫定チーフサイエンティストで、米ISS国立研究所のマネージャーであるマイケル・ロバーツ氏は、この技術が今後10年以内に実用化される可能性があると述べています。そして「これが我々の未来です。15〜20年後にはすべての臓器を作り出すことができるかもしれません」とこれらの技術への期待を語りました。

NASAは、月や火星への旅行を含む将来の宇宙ミッションの準備のために、今後もチャレンジコンテストを活用していきたいと考えています。

(Source:PR NewswireNASAEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:医療(用語)ウェイクフォレスト大学(組織)3Dプリント / 3Dプリンター(用語)NASA(組織)

スペースXがDragon貨物輸送宇宙船を打ち上げ、新型太陽発電パネルやクマムシを宇宙ステーションへ

SpaceX(スペースX)のDragon(ドラゴン)カプセルが、再び国際宇宙ステーション(ISS)に向かっている。

同社は米国時間6月3日に、NASAから委託された22回目となる商用補給サービス(CRS)ミッションを打ち上げた。これはSpaceXが過去12カ月間にISSへ送ったカプセルとしては5回目になると、同社のDragonミッション管理担当ディレクターを務めるSarah Walker(サラ・ウォーカー)氏は、メディア向け会見で述べた。また、(再利用ではなく)新しいFalcon 9(ファルコン9)ロケットブースターを使った2021年最初の打ち上げでもある。

ロケットは米国東部時間午後1時29分にフロリダ州のケープ・カナベラルを、南と東から嵐の雲が迫っていたものの、予定どおりに離陸。第1段機体は計画どおりに分離し、打ち上げから8分後に大西洋に浮かぶ「Of Course I Still Love You(もちろん、今でも君を愛している)」と名づけられた無人船にタッチダウンした。カプセルを軌道に投入させる第2段は、打ち上げから12分後に分離、こちらも予定どおりだった。

今回のFalcon 9ロケットよる補給ミッションでは、新型太陽発電パネルを含む3.3トン以上の研究材料、物資、ハードウェアをISSのクルーに送り届ける。これは、SpaceXがNASAと結んだ新たな商業軌道輸送サービス(CRS)契約に基づく2回目のミッションで、1回目は2020年12月に行われた

関連記事:SpaceXが100回目のFalcon 9打ち上げに成功、新Cargo DragonをISSへ

Dragonカプセルには、Colgate(コルゲート)の歯磨き粉を使って細菌の繁殖を調べる口腔内細菌、宇宙環境での生息と繁殖を試みる原始的な生物であるクマムシ(愛称、ウォーターベア)、宇宙飛行中に多くのクルーが罹患する腎臓結石の形成に対する微小重力の影響を調べる調査など、ISSで実施される多くの研究実験材料が積まれている。

また、りんご、ネーブルオレンジ、レモン、アボカドなどの生鮮食料品も運んでいる。

3328kgの積荷のうち、1380kgは宇宙インフラ企業のRedwire(レッドワイヤー)が開発した新しいロールアウト式の「flexible blanket(フレックスブランケット)」太陽電池パネルが占めている。「従来のリジッドパネル式太陽電池パネルと比べ、フレックスブランケット技術は質量や性能の面において利点があります」と、Redwireの技術ディレクターを務めるMatt LaPointe(マット・ラポイント)氏は、TechCrunchに語った。

この太陽電池パネルは、Dragonの非加圧トランクに収納されている。iROSA(ISS Rool-Out Solar Arrays、国際宇宙ステーション・ロールアウト式太陽発電パネル)をISSに送るミッションは3回予定されており、今回はその1回目だ。ラポイント氏によれば、各ミッションでは2セットずつ運ばれることになっているという。全部で6セットのiROSAが設置されれば、合計120KWを超える電力を生み出すことができる。2021年3月に特別目的買収会社との合併による上場を発表したRedwireは、新しいiROSAによって、ISSの発電量は20~30%向上すると述べている。

Dragonカプセルは6月5日の午前5時頃に宇宙ステーションに到着し、ISSのHarmony(ハーモニー)モジュールのポートに自律的にドッキングする予定だ。その後、1カ月以上を宇宙ステーションで過ごし、調査・帰還用の貨物を積んで地球に帰還、大西洋に着水することになっている。

関連記事:買収意欲旺盛な宇宙インフラ企業RedwireがSPAC経由で株式公開へ

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXCargo DragonNASAISSFalcon 9

画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)