Astraが2022年1月に初めてフロリダ州ケープカナベラルからロケットの打ち上げを行うと発表

Astra(アストラ)はこれまで、初期のロケット数機をアラスカ州コディアックで打ち上げてきたが、今後は打ち上げ場所を拡大する予定だ。同社は米国時間12月6日朝、クライアントであるNASAから請け負ったミッションを、2022年1月にフロリダ州のケープ・カナベラルから打ち上げると発表した

この打ち上げは、ケープ・カナベラル宇宙軍基地の広大な敷地内にあるSpace Launch Complex 46 (スペース・ローンチ・コンプレックス46)で行われる予定だ。この施設は、かつてミサイル試験用基地として使われていたが、しばらく使用が停止されていた後、1997年に商業宇宙事業のために再開された。以降は2019年に実施された直近のミッションまで、散発的に使用されている。

Astraが計画している打ち上げは、同社にとってだけでなく、米国からの打ち上げに尽力している米宇宙軍のSpace Launch Delta 45(第45宇宙航空団)にとっても大きな価値がある。これまでの宇宙開発では、打ち上げに必要な承認には数年を要していたが、今回のミッションはわずか「数カ月」で承認を得ることができた。

Astraにとっては、打ち上げのために利用可能な選択肢が増えることになり、顧客のペイロードを届ける軌道の幅を広げるという意味でも重要だ。また、フロリダという土地は歴史的に天候が比較的安定していることもあり、打ち上げ場所として人気が高い。

Astraのコアバリュープロポジションの1つは、ロケットが小型であり、現場における打ち上げ業務に必要な装備も軽量であるため、最小限の人員と準備だけでさまざまな場所から効果的に打ち上げを展開できることだ。ゆえに、それを証明するためにも、打ち上げ場所を多様化することは重要になる。

AstraのBenjamin Lyon(ベンジャミン・リオン)氏とKelyn Brannon(ケリン・ブラノン)氏は、来週の「TC Sessions:Space 2021」に講演者として参加する予定なので、2022年の計画についてはそこでより詳しく知ることができるだろう。

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

宇宙ステーションの運用ギャップ回避のためにNASAがBlue Origin、Nanoracks、Northrop Grummanと450億円以上の契約を締結

NASAは、2030年までに国際宇宙ステーション(ISS)を商用ステーションに置き換える予定であることを公式に(かつ静かに)認めてからわずか2日後に、今度は民間ステーションの計画のさらなる推進のために、3社と4億ドル(約450億円)以上の契約を結んだ。

NASAと商用低軌道(LEO)目的地プログラムの下で契約を結んだ3社は以下のとおりだ。

  • Nanoracks(ナノラックス)、1億6000万ドル(約180億5000万円)
  • Blue Origin(ブルーオリジン)、1億3000万ドル(約146億7000万円)
  • Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)、1億2560万ドル(約141億7000万円)

NASA商用宇宙飛行のディレクターであるPhil McAlister(フィル・マカリスター)氏は米国時間12月2日に、NASAは合計11件の提案書を受けとったと語った。彼は、選択された3つの提案には、多様な技術的概念と、ロジスティックならびに打ち上げロケットのオプションが提供されていると付け加えた。「この多様性は、NASAの戦略の成功の可能性を高めるだけでなく、高度なイノベーションにもつながります。それは、宇宙に対するほとんどの商用の取り組みの中で重要なのです」と彼はいう。

3社はすでに、提案に関わるいくつかの詳細を発表している。Blue Originは、そのステーションコンセプトを「Orbital Reef(オービタル・リーフ)」と呼び、Boeing(ボーイング)やSierra Space(シエラ・スペース)、その他と共同で設計している。チームは、2027年にステーションを打ち上げたいと述べている。一方Nanoracksは、親会社のVoyager Space(ボイジャースペース)ならびに航空宇宙業界の雄Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)と共同で開発中のステーションを「Starlab(スターラボ)」と呼んでいる。Northropはステーションの提案に派手な名前を付けていなかったが、Dynetics(ダイネティクス)と協力して、Cygnus(シグナス)宇宙船をベースにしたモジュラー設計を提供しようとしている。

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NASAがISSの廃止と新しいステーションの導入の間にギャップがないようにしようとしている中で、今回の重要な契約は2フェーズプロセスの最初のフェーズに相当する。NASAは、議会ならびに最近の監察総監室の報告書の両方で、LEOにおける経済的繁栄の全体的な成功は、このギャップを回避することにかかっていると繰り返し強調してきた。

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画像クレジット:Blue Origin

NASAは報告書の中で「ISSが廃止された後に、低軌道(LEO)に居住可能な商用目的地がない場合、NASAは、月と火星への長期にわたる人間の探査ミッションに必要な、微小重力健康研究と技術実証を実施できなくなり、それらのミッションのリスクが高まったり遅延したりするだろう」と述べている。

この潜在的なシナリオを回避するために、NASAは、1つ以上の商用LEO「目的地」(ステーションと呼ばれることもある)を2028年までに運用可能にすることを提案した。これによって2030年に引退する予定のISSと2年間の並行運用期間が生じる。その報告書はそのタイムラインを達成できる可能性についての疑問は投げかけているものの、今回の3社とNASAの幹部はそれぞれ、ステーションの運用ギャップを回避できることに自信を持っていた。

「商用貨物便が打ち上げられてから10年経った今でも、人びとは商用航路の堅牢性とアイデアと柔軟性に疑問を抱いています」とNanoracks CEOのJeffrey Manber(ジェフリー・マンバー)氏は述べている。「確かに、今後の課題は残っています、【略】しかし私たちには堅牢性があり、一緒に取り組んでいるプロバイダーが多数います。これは、リスクの軽減を進め、商用航路に複数のプロバイダーを配置するためのまさに正しい方法なのです」。

この最初の一連の契約は、2025年まで続くと予想される設計や作業を各企業が遂行するのに役立つだろう。

NASAは、2026年の開始を目標とするプログラムの第2フェーズでは、このグループの企業または他の参加企業から人間が使用するステーションを1つ以上認定し、最終的には軌道上サービスを購入しステーションを利用する多くの顧客の1つになる予定だ。NASAは声明の中で、これにより、人間を再び月に送り、最終的には有人宇宙飛行を火星に送り込むことを目的とするArtemis(アルテミス)計画に集中できるようになると述べている。

今回のフェーズにいないことで目立っているのはAxiom Space(アキソム・スペース)だ、同社はISSに取り付けるためのモジュール(自社のステーションとして自己軌道を回り分離する)を打ち上げるための別契約を獲得しているが、今回のプログラムには参加しなかったことを明かしている。

もちろん、大きな問題は、これらのステーションの最終コストがどれだけになるか、そしてNASAが最終的に全体のコストのどれ位を支払うかということだ。マカリスター氏は、NASAが「入札の方々がこれらの活動への財政的貢献を最大化することを奨励しています」と述べ、現在NASA以外の投資が約60%を占め、NASAの貢献は40%未満であると述べた。しかし、3社とNASAは、ステーションの設計、立ち上げ、運用にどれだけの資本の投下が必要なのかと予想しているのかという点はあまり語ろうとしなかった。

画像クレジット:Nanoracks

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(文: Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

NASA、2030年までに国際宇宙ステーションを民間に置き換える意図を詳述

NASAのOffice of Audits(内部監査室)は、国際宇宙ステーション(ISS)が退役した後、ISSを1つまたは複数の商業宇宙ステーションに置き換えるというNASAの取り組みについて、詳細な報告書を作成した。ISSの運用終了は2024年に予定されているにもかかわらず、すべて2030年まで延長されることを示している。つまりそれが、軌道上で人間が滞在するための科学施設を民間企業に引き継ぐことができる時期であると、NASAでは想定しているようだ。

今回の監査では、基本的に現在のISSの維持・運用コストを詳細に説明するとともに、人間が長期間宇宙に滞在するための実験場となる研究施設や、月面における恒久的な駐留の確立や火星探査を含む深宇宙探査の鍵となる技術を開発・実証するための施設が、今後も必要不可欠であると考えている理由を説明している。

結論として、NASAは2028年までに商業宇宙ステーションの運用を開始し、予想されるISSの退役・離脱の前に2年間のオーバーラップ期間を設けたいと考えている。しかし、このスケジュールには明らかなリスクがある。NASAによれば、それは「市場の需要が限られていること、資金が不足していること、コスト見積もりが信頼できないこと、まだ要求条件が進化し続けていること」などだ。

一方、良いニュースも報告されている。それは最近、多くの企業が軌道上の商業ステーションの開発に興味を持っているようだということだ。Nanoracks(ナノラックス)とその親会社であるVoyager Space(ボイジャー・スペース)、そしてLockheed Martin(ロッキード・マーチン)のパートナーシップは、2027年までに商業宇宙ステーションを製造し、運用開始することを目指している。Blue Origin(ブルーオリジン)はSierra Space(シエラ・スペース)とBoeing(ボーイング)とともに、遅くとも2030年までにOrbital Reef(オービタル・リーフ)と名付けられたステーションを打ち上げたいと望んでいる。Axiom Space(アクシオム・スペース)では、退役前のISSに取り付けるモジュールを打ち上げ、それを2028年までにISSから分離させ、独自のステーションとして自力で軌道に乗せるという計画をすでに進めている

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NASA Office of Auditsによる報告書の全文は以下で読むことができる。

画像クレジット:Axiom Space

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASA、InSight探査機の地震計から火星の「環境音」データを生成し地下構造を分析

NASA、InSight探査機の地震計から火星の「環境音」データを生成し地下構造を分析

ETH Zurich

今から3年前の11月16日に火星のエリシウム平原に降り立ったNASAの探査機InSightが送ってきた火星の環境騒音データから、科学者らは地殻からマントル、核に至るまでの最初の数十mの状態を分析し、画像化しました。

我々の住む地球では、環境騒音といえば海、人間などの活動、風、そして大地そのものなど、多様な音源からのごちゃ混ぜの音になっています。しかし、大気がほとんどなく水の海もない火星では、上に挙げたなかの”大地そのもの”からの音が環境騒音の大部分を占めます。

InSightは搭載する地震計のデータから火星の環境騒音データを生成しており、それをスイス地震局(SED)とスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)が定期的に分析することで、火星内部がどのように積層しているかを調べました。SEDはこれまで数年のあいだ、地球上の地質構造を調べるために環境騒音データを分析してきており、その手法を火星に応用した格好です。

SEDによると、InSightが降りた場所の足もとから深さ3mまでは砂の層で、そのすぐ下には過去の隕石の衝突によって火星表面から巻き上げられて堆積した可能性が高い、約15m厚の岩石帯があるとのこと。さらに堆その下には、火星が冷え、乾燥した状態になった約17億年前ごろの溶岩層があり、その下にはさらに堆積物で分断された古い溶岩流の層があるとのこと。

この古い層は、地球もまだ火山活動が非常に活発だった約36億年前にまでさかのぼると見られており、太陽系の兄弟である地球と火星がその頃までは同じように成長の道を歩んでいたことが推測されます。

地球と火星はかつては同じように大きな海や大気層を持っていたと考えられます。しかし、その後なぜか火星だけは大気を保護する役割を持つ磁場を失い、太陽から放出される荷電粒子の太陽風が、保護を失った火星の大気を徐々に剥ぎ取っていったその結果、いまや地球と火星は見た目にも対照的な星となってしまっています。

今回の論文著者であるCedric Schmelzbach氏は、地球上で開発された手法を使用して、火星の地層構造が解析できることが証明できたと述べています。地球内部を知るための技術は他にもあり、それらを応用すれば、いつか我々の2番目のふるさとになるかもしれない赤い星についての理解がさらに深まるかもしれません。

(Source:Nature Communications。Via Space.comEngadget日本版より転載)

NASAのリアル「アルマゲドン」ミッション、小惑星軌道変更「DART」が11月24日13時すぎに打ち上げ

NASA(米国航空宇宙局)にとって、ここ数年で最も刺激的で風変わりなミッションであるDouble Asteroid Redirection Test(DART、二重小惑星方向転換試験)は、地球から数百万km離れたところからやってくる巨大隕石に衝突し方向転換させるべく米国時間11月23日夜(日本時間11月24日13時すぎ)に打ち上げられる。飛行の様子はライブで見ることができるが、実際に大衝突が起きるまでにはしばらく時間がかかる。

関連記事:NASAが「アルマゲドン」のような小惑星軌道変更ミッションの打ち上げを11月23日に予定

DARTは、宇宙を旅する生物にとって、飛来する小惑星の経路を意図的に変える初めての試みだ。心配はいらない、今回のケースは我らの貴重な惑星に危害を加えるものではく、将来そんな危機が訪れた時に必要となる介入の理想的な実験台だ。

「惑星防衛組織はこの問題に、実際、数十年にわたって取り組んできました」とNASAのThomas Zurbuchen(トーマス・ザブーケン)科学局長が説明した。「一連のツールを合体させるときがきました。このミッションはあらゆる利害関係者にとってますます重要になっています。本プログラムへの支持が高まったのはわずかこの5年間に過ぎません。そして、標的はその5年以上前から存在しています。地上から成功を見届けることができるこの完璧な機会について人々は語り合っています。追加調査は必要ありません」。

問題の小惑星は、太陽系を新婚カップルのように旅する二重小惑星の小さい方だ。大きい方の小惑星Didymos(ディディモス)は直径約780mで惑星キラーというわけではないが、近所に落ちてほしくないことに変わりはない。そしてディディモスを周回しているのが今回の標的、Dimorphos(ディモルフォス)で、長辺170mほどのピーナツ型をしている。ちょうど自由の女神がボルダリングするくらいの大きさだ。

DARTがやろうとしているのは、ディモルフォスがディディモスの向こう側から回ってきたその時を狙って飛んで行き、できる限り強く衝突することだ。宇宙船は質量約550 kg で、新しいイオンエンジンが秒速約6.6kmという目から涙が出るような(宇宙船に目があって空気があったとすれば)速度で飛ぶことを考えると、相当に強い衝突だ(衝撃の大きさを計算するのは専門家にまかせておく)。

ディモルフォスの軌道が衝突後にどう変わるかを表す模式図(画像クレジット:NASA/JHUAPL)

ディモルフォスが爆発して当たり一面に破片を飛ばすようなことはない。むしろその正反対で、影響はほとんど目に見えない。しかし、衝撃はディディモスを周回する軌道周期にわずかな影響を与え、速度を落とし、強力な望遠鏡で観察できる程度に周期を拡大する。この変化を観察することによって、科学者らは対象物の質量を知り、重い物体に別の物体を衝突させるこの精緻な技術がどれほど効果的だったかを知ることができる。

ロケットに搭載される前の防護壁の中にいるDART(画像クレジット:NASA/Johns Hopkins APL/Ed Whitman)

それがわかれば、将来たとえば2倍の大きさの小惑星が衝突コースに現れたとき、何が必要になるかを情報に基づいて判断することができる。「この」大きさの力を「この」角度で「この」時間と距離(できる限り遠く、とメンバーの1人が私にいった)から加えることで、地球に衝突しないために必要なだけ惑星の方向を変えられる。DARTはこうした惑星防衛技術の基盤となるだろう。できれば必要にならないことを願うが、石油掘削員を集めて土壇場で小惑星を爆発させるよりも、準備を整えておいたほうがいいことには誰も異論はない。これは、TechCrunchの貴重な年長読者を掴んでおくための「アルマゲドン」への言及だ。

「私たちが今回本当にやりたいのは、迫りくる脅威のサイズに応じてインパクター(衝突体)のサイズを決める方法を知ることです。高い精度をもった衝突体モデルが必要なのです」とザブーケン氏は言った。1回のミッションでは足りないかもしれないし、次の衝突ミッションの計画はまだないが「別のタイプの小惑星に向けた追跡試験が計画されることは容易に想像できます」と同氏は語った。

衝突は比較的小さいかもしれないが、それでもワクワクする。そのために、NASAは衝突前にDARTから分離されるキューブサット、LICACube(リシアキューブ)を送り込んで近くから観察し、宇宙の山にアタックするところのデータと大衆受けするビデオを記録する。それは一陣の埃か瓦礫かソーラーパネルの破片のようなものかもしれないが、見るまでわからない。小惑星には何かが暮らしているかもしれない。もしそうであっても、1094万kmの彼方のことなので差し迫った危険はない。いずれにせよ、小惑星に宇宙船をぶつけるところをカメラに収め「ない」ことなど想像できない。

「これはリスクも衝撃も大きい探査です」とザブーケンしがキューブサットについて言った。キューブサットは衝突の瞬間を綿密に監視するための理想的な位置に置かれる。「これがなくても成功を確認することはできますが、あの映画を見たいんですよ、そりゃあ」。

DARTはSpaceX(スペースエックス)のFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットを使って、米国太平洋標準時11月23日午後10時20分(日本時間11月24日13時20分)頃からの打ち上げ予定で、ヴァンデンバーグ空軍基地の天候は最新予報で90%良好だ。打ち上げ後、宇宙船がディモルフォスと破壊ランデブーを行うまでには1年近くかかる。衝突は2022年9月末に起こる見込みだが、正確な時間はさまざまな要因が確定するまでわからない。

打ち上げ前中継はNASA Liveで1日中行われるが、直前準備とカウントダウンは午後7時(日本時間24日正午)頃が見どころだ。こちらのリンクから見ることができる。

画像クレジット:NASA/JHUAPL

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AIオンデマンド製造ロボットで設計反復の迅速化、Machina Labsが累計約18.6億円を調達し脱ステルス

77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

ロボットとAIを活用した製造プラットフォームを提供するMachina Labsは米国時間11月17日、1400万ドル(約16億円)のシリーズAを調達したと発表した。このラウンドは、Innovation Endeavorsがリードし、Congruent VenturesとEmbark Venturesが参加したもので、ロサンゼルスにある同社の累計資金調達額は1630万ドル(約18億6000万円)となった。

今回の資金調達により、同社は、NASAおよび米国空軍とのパイロット契約に続き、事実上ステルス状態を脱したことになる。ロボットプラットフォームの初期段階では、政府(特に国防総省)との契約が重要な役割を果たしてきたが、Machina Labsもその点では特別な存在ではない。

しかし、新たなラウンドで同社はさらなる成長を目指し、商業パートナーの受け入れを開始している。パンデミックの影響でグローバルサプライチェーンの多くがきしるように停止している中、米国内の製造業がさらに苦境に立たされていることを考えると、確かにタイミングは良いと言える。

画像クレジット:Machina Labs

Machinaの最初の取り組みは、シートメタル加工を中心としたもので、戦車の部品を設計したり、NASAの宇宙空間での製造の可能性を探ったりしているが、後者の部分は、明らかな理由からまだ先の話だ。現在、同社は地元ロサンゼルスの工場で、オンデマンドのMaaS(Manufacturing as a Service)を提供している。

共同設立者兼CEOのEdward Mehr(エドワード・メア)氏は声明の中で、次のように述べた。「この競争の激しい市場の変化のスピードに対応するためには、製造業を改革しなければなりません。当社のプラットフォームは、最新のロボット工学と人工知能(AI)を組み合わせたもので、優れたアイデアを持つ誰もが、迅速に、効率的に、低コストで部品を製造できるよう、ラピッドマニュファクチャリングへのアクセスを民主化します。このようなソフトウェアで定義されたロボット設備は未来の工場であり、その実現に向けて投資家のみなさまにご協力いただけることを大変うれしく思います」。

今回の新たな資金調達は、ロサンゼルスでの人員増強と、プラットフォームのさらなる研究開発に充てられる。

画像クレジット:Machina Labs

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

グーグラーが宇宙をマネタイズ、Axiom Spaceの民間宇宙ステーションが提供するさまざまなサービス

次期国際宇宙ステーションを建設するAxiom Space(アクシオム・スペース)は、2021年初めに10億ドル(約1148億6000万円)規模の評価を受けた後、Google(グーグル)出身のTejpaul Bhatia(テジポール・バティア)氏を同社初のCRO(最高収益責任者)に採用した。同氏は宇宙エコシステムの成長と収益化を担うことになる。

2017年、バティア氏はCiti Ventures(シティ・ベンチャーズ)でエグゼクティブ・イン・レジデンスを務めていた際にAxiomを紹介され、同社がNASAとの1億4000万ドル(約159億円)の契約を獲得した後の2020年にエンジェル投資家として投資。その後7月、リーダーシップチームの一員として参加することになった。

Axiom SpaceのCRO(最高収益責任者)であるTejpaul Bhatia(テジポール・バティア)氏(画像クレジット:Axiom Space)

しかし、宇宙分野におけるパイオニアはAxiomだけではない。NASAとの契約金4億ドル(約454億円)をめぐって、宇宙空間に進出しようと目論む宇宙ベンチャー企業のゴールドラッシュは始まっている。

十数社のコントラクターがこの競争への参加を表明しており、2021年10月には2社が発表された。10月22日には、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)がVoyager Space(ボイジャー・スペース)およびNanoracks(ナノラックス)と提携して2027年までに宇宙ステーション「Starlab」を打ち上げるという入札を行っており、また10月25日には、Blue Origin(ブルーオリジン)がSierra Space(シエラ・スペース)およびBoeing(ボーイング)と提携して、2025年から2030年の間に宇宙ステーション「Orbital Reef」を打ち上げるという計画をJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が発表している。

Axiomの役割はというと、2028年に退役する予定のISSからシームレスに移行するために、ISSに増築を行いながら段階的にAxiom Stationを建設するという計画をNASAが承認している。

最初のモジュールである「Hub 1」は2024年にドッキングする予定で、研究施設と4人のクルーのための居住区があり、タッチスクリーンの通信パネルと大きな窓が設置される予定だ。2025年には同様の設備を備えた2番目のモジュール「Hub 2」が計画されている。2026年には微小重力実験室の建設が続くという。そして2027年には、太陽電池アレイを搭載したパワータワーが3つのモジュールに取り付けられ、ISSのキャパシティを2倍にするAxiom Stationが形成される。2028年にはAxiom Stationが切り離され、自己軌道に乗り始めるという計画である。

WeWorkの地球外リトリート施設や研究機関の研究ハブとして機能するだけでなく、小国が独自の宇宙プログラムを立ち上げるための手段になる巨大な工業施設を今後7~10年の間に地球低軌道上に建設するという野望について、TechCrunchはバティア氏に話を伺った。

これが同氏の考える、Googleの戦略を見習った最後のフロンティアをマネタイズする方法だ。

Axiom Stationのタイムライン(画像クレジット:Axiom Space)

究極の旅を予約

Axiom Spaceは、国際宇宙ステーションの元マネージャーであるMichael Suffredini(マイケル・スフレディーニ)氏とIntuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)の共同創業者であるKam Ghaffarian(カム・ガファリアン)氏によって2016年に設立された。2月にはC5 Capital(C5キャピタル)が主導する1億3000万ドル(約147億7000万円)のシリーズBラウンドをクローズし、リードインベスターであるBlue Originの元社長Rob Meyerson(ロブ・マイヤーソン)氏が取締役に就任。これまでに総額1億5000万ドル(約170億4000万円)を調達している。同社はヒューストンに本社を置き、300人以上の従業員を擁している。

Axiomの主な収入源は、ISSでの短期滞在向けのエンド・ツー・エンドのミッションプロバイダーとなることによるものだ。つまり宇宙飛行士訓練とSpaceX(スペースエックス)による往復輸送(食料、水、酸素、通信、データ、電源などの必需品を含む)をパッケージ化し、7~10日間のオールインクルーシブ滞在を民間に販売するというわけだ。また、ISSの微小重力実験室で行う実験のためのリサーチミッションを販売する他、コンテンツやメディアのスポンサーシップの販売にいたってはすでに開始されている。

2022年には2つのミッションが予定されている。NASAの元宇宙飛行士でAxiomの副社長であるMichael López-Alegria(マイケル・ロペス=アレグリア)氏が、2月21日に予定されている最初のミッション「Ax1」を指揮し、投資家のLarry Connor(ラリー・コナー)氏、Mark Pathy(マーク・パシー)氏、Eytan Stibbe(エイタン・スティッベ)氏がクルーを務めるという。ワシントン・ポスト紙は、チケット価格を乗客1人当たり5500万ドル(約62億5000万円)と報じている。

2つ目のミッション「Ax2」は2022年後半に計画されており、宇宙滞在時間の米国最長記録を持つNASAの引退宇宙飛行士Peggy Whitson(ペギー・ウィットソン)氏と、米国の投資家でレーシングカーのドライバーおよびパイロットでもあるJohn Shoffner(ジョン・ショフナー)氏が参加する予定だ。まだ2つの席が空いているはずだが、Elon Musk(イーロン・マスク)氏とともに2億ドル(約227億1000万円)のユニバーサル映画を製作中で、NASAからも飛行すると噂されているTom Cruise(トム・クルーズ)氏がこのフライトに参加するのか否かは、Axiomは明らかにしていない。

3回目と4回目のミッションは2023年に計画されており、いずれかのミッションにはDiscovery Channel(ディスカバリーチャンネル)の競争型リアリティテレビ番組「Who Wants To Be An Astronaut?」の優勝者が参加する予定だ。

この分野におけるAxiomの競合他社には、1998年にBOLD Capital(ボールドキャピタル)のPeter Diamandis(ピーター・ディアマンディス)氏が共同設立したSpace Adventures(スペース・アドベンチャーズ)がある。同社はこれまでに、Cirque du Soleil(シルク・ドゥ・ソレイユ)の共同創設者であるGuy Laliberté(ギー・ラリベルテ)氏を含む7人の民間人を、ロシアの宇宙機関Roscosmos(ロスコスモス)を通じてISSに輸送してきた。2023年に予定されている同社2回目のISSへのミッションは宇宙遊泳だ。SpaceNews(スペースニュース)によると、同社は2021年後半にSpaceXによる軌道旅行を計画していたものの、需要の少なさのためにキャンセルされている。

億万長者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が、スタートレックのWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏などの民間人を宇宙の果てまで連れて行くという話がここ数カ月湧いていたが、実際市場はチケット代を払える人に限られている。

幸いなことに、億万長者らはAxiomのターゲットではない。

  1. Render-Axiom-Station

    画像クレジット:Axiom Space
  2. Axiom-Station-rendering-2

    画像クレジット:Axiom Space
  3. Axiom-Station-rendering

    画像クレジット:Axiom Space
  4. Axiom-featured

    画像クレジット:Axiom Space

 

 

スカイシティへようこそ

ネオン輝く天空のビルの周りをスペースカーが疾走するThe Jetsons(宇宙家族ジェットソン)のようにはいかないかもしれないが、2024年にAxiomが最初の居住施設をISSにドッキングさせるとき、事態はかなりおもしろくなるだろう。

バティア氏によるとAxiomは今後ISSの容量制限を受けなくなるため、さらに多くの部屋や研究施設を建設することができ、より多くのミッションを提供できるようになるという。Axiomは需要に応じて、BoeingのStarlinerを含む、SpaceXのような他のロケットプロバイダーとの協力も承認さえおりれば考慮したいと考えている。

バティア氏は2024年が収益成長の重要な変曲点になると考えている。

「Axiomステーションが稼働し始めれば、企業や機関、政府が物理的スぺースやデジタルスペースをカスタムメイドで構築、購入、リースできるハイブリッドモデルになるでしょう」と同氏。

「私たちの物理的スペースのクールな点は、ラボ、データセンター、居住スペースなどのモジュールが、レゴのように切り離され飛び回り、再構築できるということです」。

しかしバティア氏は、アプリで部屋を予約できるような宇宙ホテルなどとは決して呼ばれたくないようだ。Axiom Stationは独自の宇宙プログラムを構築しようとしている政府から、微小重力実験室やコロケーション製造施設を必要としている企業や機関まで、さまざまな顧客を想定した巨大な産業用宇宙施設であると同氏は考えている。

「私たちは食料、水、酸素、生命維持システム、帯域幅、データ、インサイト、エッジコンピューティング、通信、電力など、あらゆる企業、機関、政府が軌道上で運営するために必要なものが完備された物理的スペースを提供します」と同氏。

「さらにエキサイティングなことに、iPhoneのセンサーを使ってアプリケーションを開発するのと同じように、開発者が船上のセンサーやその他の機器を使ってビジネスを構築することができる、インフラストラクチャ・アズ・ア・サービスとして販売するデジタルプラットフォームを提供することもできます」。

Axiomのクルーステーション・クォーターのレンダリング画像(画像クレジット:Axiom Space)

Axiom StationのOSをサードパーティが開発できるようなソフトウェア開発キットを実際に制作するかどうかは不明だが、バティア氏はAxiom Stationのセンサーの用途として、スペースデブリや地球の気候のモニタリングが考えられると話している。

またバティア氏は、宇宙開発の予算がある国とまだ予算がない国の両方の市場を想定している。

「私たちの目標は、ISSが寿命を迎えたときに、すべての人のための完全なサービスと機能を備えたプライベートステーションを提供してギャップが生じないようにすることです。ある国の予算が数十億ドルであろうと、その数分の一であろうと、私たちはその国のニーズに合ったソリューションを作ることができるでしょう」。

NASA、ESA(欧州宇宙機関)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、Canadian Space Agency(カナダ宇宙庁)、Roscosmosが、ISSの後継機として年間20億ドル(約2256億7000万円)から30億ドル(約3385億5000万円)の収益をAxiom Stationに移すことをバティア氏は期待している。Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)のレポートによると、商業宇宙部門は2020年に3500億ドル(約39兆4683億円)、2040年には1兆ドル(約112兆7370億円)になると予想されており、Axiomとしては長期的にこの数千億ドル規模の市場にサービスを提供できるようになりたいと考えている。

グーグラーの出番

シリアルアントレプレナー、投資家、そしてGoogle Cloud(グーグルクラウド)のスタートアップエコシステムの構築に貢献した技術者として、バティア氏は宇宙経済にはベンチャーキャピタルの考え方が必要だと伝えている。

「最高収益責任者である私の使命は、今後7年から10年の間にビジネス、産業、市場が飛躍的に成長するための発射台となる超成長ビジネスプラットフォームを構築することです。これは、政府の税金で運営されてきたこれまでの宇宙産業とはまったく異なるモデルであり、民間企業の方がこれを達成するのにはるかに適しています」。

バティア氏はStarlabやOrbital Reefとの競争を歓迎すると同時に、Axiomがこれらの数年先を行っていると同氏は確信を持っている。

イタリア、トリノのThales Alenia(TASI)の工場でAxiom Hub 1を製作中(画像クレジット:Axiom Space)

「仕事を始めて100日ちょっとですが、このプロジェクトが理屈上の話だけではないことがわかりました。金属が曲げられ、人々が集まり、契約が結ばれています。最初のモジュールはすでにイタリアのThales Alenia(タレス・アレーニア)の工場で建設中です。これはサイエンスフィクションではなく、実際に起こっていることなのです」。

また当分の間、収益性については心配する必要がないという。

「資金調達は非常に重要です。私たちは世界で最も価値のある5つの企業(Facebook、Apple、Amazon、Microsoft、Google)が創業時に赤字で運営していたことをモデルにしています。できるだけ多くの株主価値を創造し、必要不可欠なインフラを構築するために資本を得て、安全性に焦点を当てながらスピード感を持って革新していくというのが計画です」。

編集部注:本記事の執筆者Martine Paris(マルティーヌ・パリ)氏はフリーランスの技術レポーターとして、宇宙、電気自動車、気候変動対策、ロボット、AI、コンシューマーテック、eコマース、ストリーミング、ゲーム、ベンチャーキャピタル、スタートアップカルチャーなどを取材している。

画像クレジット:Axiom Space

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(文:Martine Paris、翻訳:Dragonfly)

月面で宇宙飛行士が乗る車両の設計チームをノースロップ・グラマンがリード

航空宇宙最大手企業のNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)は、AVL、Intuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)、Lunar Outpost(ルナ・アウトポスト)、Michelin(ミシュラン)を含むチームを率いて、Artemis(アルテミス)計画の宇宙飛行士が月面で移動するための車両を設計する。このLunar Terrain Vehicle(月面地形車、LTV)は、まだ人類が一度も訪れたことのない月の南極地域における探査の重要な鍵となる。

ノースロップは、各システムの統合と宇宙機の設計を担当する。チームの他の企業は、LTVの設計に重要な幅広い能力を持っており、それぞれの得意分野に注力する。AVLは自動車のパワートレインや先進運転支援・自動運転システムの開発・試験を行っており、Intuitive Machinesは自社の「Nova-D(ノヴァD)」宇宙船でペイロード輸送の経験がある。Lunar Outpostは地球外の地表を走る無人探査機の開発に取り組んでいる。フランスの多国籍企業であるミシュランは過去に月面探査車のタイヤをNASAと共同開発した実績がある。

チームはほぼ間違いなく、近々NASAから通達される提案要求の一部として、NASAに設計を提出することになるだろう。これはNASAがHuman Landing System(有人着陸システム)契約の下で、月着陸機の開発をてがける企業を選定した際に用いたプロセスと同様だ。NASAはまだLTVの提案依頼書を発表していないが、ノースロップ・グラマンでは来年初めになるのではないかと予想していると、広報担当者はTechCrunchに語った。

しかし、契約募集がまだ発表されていないにもかかわらず、同宇宙機関はすでに車両の開発に影響を与える要求を開示し始めている。NASAは、このプロジェクトに関連する文書の中で、落札者に求めるものとして、月面で最大20kmの距離を充電なしで移動できること、長い月の夜に耐えられる可能性があること、最低でも800kgの輸送能力があること、などの詳細を示している。

NASAの発表によると、この月面車の打ち上げは2027年頃の打ち上げを想定しているとのこと。つまりこれは、アルテミス計画が始動してから月に送られることを示唆している。NASAの代表者は先日、人類を数十年ぶりに月に送ることを目的とした同プログラムの最初の有人ミッションが、2025年に延期されることを認めた

画像クレジット:Northrop Grumman

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASAがアルテミス有人月面着陸を2025年に延期、ブルーオリジンによる訴訟で

Blue Origin(ブルーオリジン)がNASA(米航空宇宙局)を相手取って起こした有人着陸システム(HLS)に関する訴訟が先週判事によって却下されたこと、中国の宇宙開発計画が進展していることが、米国時間11月9日に行われたNASAのアルテミス計画に関するブリーフィングで、NASA関係者が最も気にかけていたことだった。

NASAのBill Nelson(ビル・ネルソン)長官は、この訴訟について強い言葉を残した。HLSを巡る訴訟で「7カ月近くを失った」と述べた。その結果、今後予定されている2つのミッションが1年以上も延期されることになった。現在、アルテミス2が2024年5月に、女性と有色人種の初の月面着陸を目指すアルテミス3が2025年までに実施されることになっている(アルテミス1は、NASAのスペースローンチシステムとオリオンカプセルを使用した初めての無人ミッションで、2022年初めに予定されている)。

アルテミス計画は、アポロ計画以来、人類を月に戻すためにNASAが計画してきた野心的な一連の打ち上げだ。HLSは、宇宙飛行士を月面に運ぶ最後のカプセルとなる。

Blue Originは、HLSをSpaceX(スペースX)に発注したNASAの決定について、米会計検査院への申し立てに失敗した後、8月にHLSの発注をめぐってNASAを提訴した。同社は、NASAによる提案の評価が「違法かつ不適切」であると主張し、他の抗議活動でも単一の契約を結んだことが反競争的であると述べていた。

しかし、Blue Originとの法廷闘争が、ミッション遅延の唯一の理由、あるいは支配的な理由であるかどうかは不明だ。例えば、ネルソン長官は、トランプ政権が第3ミッションの目標を2024年としていたことについて「技術的な実現可能性に拠っていない」とし、議会が複数の有人着陸システムの開発を支援するための十分な資金を計上していないことも指摘していた。

上院予算委員会は、NASAがHLSプログラムの開発者を2社選ぶことを望んでいることを極めて明確にしていたが、そのために追加で計上した予算はたった1億ドル(約113億円)だった。

「この6カ月間よく調べてみた結果、私にとって明らかになったのは、プログラムの長期的な成功のためには、NASAが真剣に変化する必要があるということだ」と長官は述べている。

また、サプライチェーンの混乱や労働力へ影響を与えている新型コロナウイルス感染症も、遅れの原因の1つだと指摘している。

ネルソン長官「我々は、非常に積極的で優れた中国の宇宙プログラムに直面している」

ネルソン長官はまた、急速に進歩している中国の宇宙計画を繰り返し取り上げ、中国が宇宙飛行士を月に着陸させる能力は「ますます高まっている」と指摘する。同氏は、NASAが安全かつ技術的に実現可能な方法により「ブーツで月面に降り立ち、競争相手を打ち負かす 」ために、できる限り積極的に取り組むと誓った。

中国の宇宙開発はここ数年、驚異的なペースで進んでおり、2021年初めには、独立した宇宙ステーションの最初のコアモジュールを迅速に打ち上げた。2022年までに予定されている11回の打ち上げのうち、3回目の打ち上げだった。また、中国は米国以外で唯一、火星に探査機を着陸させており、10年後までにより複雑なサンプルリターンミッションを計画している。

ネルソン長官は「中国の宇宙計画や中国軍の発言は、彼らが非常に積極的になろうとしていることを示唆しています」と述べた。

画像クレジット:NASA

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

米連邦地裁、SpaceXの契約をめぐるベゾス氏のNASAへの訴訟を棄却

連邦判事は、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏のBlue Origin(ブルーオリジン)がNASAを相手に起こした、2021年初めにNASAがElon Musk(イーロン・マスク)氏のSpaceX(スペースエックス)に月着陸機の契約を発注したことをめぐる訴訟を却下した。

訴状の棄却により、2024年に人類を月に送ることができる月着陸システムの設計を促進するためのNASAの取り組みであるHuma Landing System(人間着陸システム)プログラムをめぐる数カ月にわたる物語が終結した。

NASAが29億ドル(約3206億円)の費用をかけて着陸機を開発するために、SpaceXだけを選んだと発表したとき、Blue Originは抗議活動を始めた。Blue Originは、防衛関連企業のDynetics(ダイネティックス)とともに、政府の監視機関である米国会計検査院に、1社に発注することは反競争的であり、選定プロセスが偏っているという理由で、この決定について苦情を申し立てた。

確かにNASAは過去の前例から逸脱して1社のみを契約対象としたが、米国会計検査院は最終的に各社の訴えを退けた。米国会計検査院によれば、NASAの契約資金が予想よりも少なかったため、1社しか選定できなかったというのがその理由だった。

同じ頃、ベゾス氏はNASAのBill Nelson(ビル・ネルソン)長官に公開書簡を送り、契約と引き換えに着陸機の開発費を20億ドル(約2273億円)減額し、パスファインダーミッションを自己資金で行うことで予算問題を解決することを提案した。

しかし、この方法もうまくいかなかったため、Blue Originは8月に訴訟を起こした。訴状によると、NASAによるHLSプログラムの提案評価は「違法かつ不適切」であるとしている。

連邦判事のRichard Hertling(リチャード・ハートリング)氏が訴えを却下した理由は現在公開されておらず、その正確な理由はまだ明らかになっていないが、同氏は月末近くに文書を公開するための修正案を作成するよう当事者に命じた。

このニュースを受けて、マスク氏は1995年の映画「ジャッジ・ドレッド」のミームをツイートした。

画像クレジット:Blue Origin

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Yuta Kaminishi)

東京の宇宙ベンチャーGITAIが国際宇宙ステーション内で自律型ロボットアームの技術実証に成功

東京の宇宙ベンチャー企業であるGITAI Japan(ギタイジャパン)は、日本時間の2021年10月13日から10月17日にかけて、国際宇宙ステーション(ISS)内で行われた自律型ロボットアームの技術実証に成功した。これは、同社が宇宙でサービスとしてのロボット技術を提供する準備に向けた重要なマイルストーンとなる。

「GITAI宇宙用自律ロボットS1」と呼ばれるこのロボットアームは今回、ケーブルやスイッチの操作と、構造物やパネルの組み立てという2つの作業を行った。これらの作業は、一般的にクルーが行う作業だが、宇宙におけるさまざまな活動で汎用的に使用することができる。今回の実証が成功したことで、NASAはGITAIロボットの「技術成熟度(Technology readiness levels、TRL)」をTRL7に引き上げた。TRLは全部で9段階まであり、GITAIがロボットを商業化するには、すべてのTRLを満たすことが重要になる。

この技術実証は、宇宙企業であるNanoracks(ナノラックス)の「Bishop(ビショップ)」エアロック内で行われた。Bishopエアロックは、ステーションの外装に取り付けられた世界初(かつ唯一)の商用エアロック・モジュールだ。Nanoracksは今回、打ち上げ機会の提供、軌道上での運用管理、データのダウンリンクも担当。同社は先週、Voyager Space(ボイジャー・スペース)およびLockheed Martin(ロッキード・マーティン)と共同で完全民間の商業宇宙ステーションを起ち上げる計画を発表している。

関連記事:民間宇宙ステーション「Starlab」は地球低軌道経済の到来を予感させる

GITAI宇宙用自律ロボットS1は、8月末に実施された23回目の商業補給サービスミッションで、SpaceX(スペースX)の「Cargo Dragon(カーゴ・ドラゴン)」カプセルに搭載されて軌道へ輸送された。日本のスタートアップ企業であるGITAIは、軌道上での宇宙船の整備や建設・製造作業など、宇宙における一般的な作業を行うためのロボットを開発している。次のステップは、ISSの外で、GITAIロボットの試験を行うことだ。

「今回の実証の成功は、GITAIロボットが、汎用性があり、器用で、比較的安全(人間の生命を脅かすリスクが少ない)で、安価な労働力を求める宇宙機関や商業宇宙企業のソリューションになり得ることを証明するものです」と、NASAは技術実証の最新情報を更新し「このオプションの提供は、宇宙の商業化という目標達成を促進させることになります」と述べている。

しかし、GITAIは単にロボットアームを作ることだけを目指しているわけではない。同社の長期的なビジョンでは、ロボットは月や火星の表面にスペースコロニーを建設するための重要なツールになると考えている。このようなロボットによる労働力は、地球外の環境で人間が生存できるようになるのを加速させるために役立つ可能性が高い。2021年3月、同社は総額18億円のシリーズB資金調達を完了し、2023年に予定されている軌道上船外技術実証に向け、人件費と開発費に投じている。

先週行われた技術実証の映像はこちら

画像クレジット:Gitai

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

3Dプリントの家を建設するICONが228億円獲得、月や火星の基地建設も計画

3Dプリンティングロボットを使ってホームレスの人々のための1世帯住宅を作る。米航空宇宙局(NASA)と協力して月面、ひいては火星にインフラや居住環境を構築するための建設システムを開発し、北米最大の3Dプリント建築物になるとみられるテキサス州の軍事部門の兵舎を納入する。

これらは、テキサス州オースティンに拠点を置く建設テックスタートアップICONが取り組んできたことのごく一部だ。

そして同社は2021年8月下旬、シリーズBで2億700万ドル(約228億円)という巨額の資金調達を達成した。

筆者はICONについて、2018年10月に同社がシードラウンドで900万ドル(約9億9000万円)を調達して以来取り上げてきた。3年も経たないうちにこのマイルストーンに到達したことを見るのはかなりクールだ。

シリーズBラウンドを主導したのはNorwest Venture Partnersで、他に8VC、Bjarke Ingels Group(BIG)、BOND、Citi Crosstimbers、Ensemble、Fifth Wall、LENX、Moderne Ventures、Oakhouse Partnersが参加している。この資金調達により、ICONの純資産合計は2億6600万ドル(約293億円)に達した。同社は評価額を明らかにしていない。

ICONは2017年後半に設立され、2018年3月のSXSW(サウスバイサウスウエスト)の際、米国で初めて認可された3Dプリント住宅をもってローンチした。その350平方フィート(約32.5平方メートル)の家のプリントに要した時間は、約48時間(25%のスピード)であった。ICONは意図的にコンクリートを材料に選んでいる。それは、共同創業者でCEOのJason Ballard(ジェイソン・バラード)氏が語ったところによると「コンクリートは地球上で最もレジリエンスに優れた材料の1つ」だからだ。

それ以来同社は、米国とメキシコに20を超える3Dプリントの住宅や建築物を届けてきた。これらの住宅の半数以上は、ホームレスや慢性的貧困状態にある人々のためのものである。例えば、ICONは2020年、非営利パートナーのNew Storyと提携してメキシコに3Dプリント住宅を建設した。またテキサス州オースティンで、慢性的なホームレスに提供する一連の住宅を非営利団体Mobile Loaves&Fishesと協働して完成させた。

同社は2021年初めにメインストリームの住宅市場に参入し、テキサス州オースティンのデベロッパー3Strands向けに米国初になるという3Dプリント住宅販売を行った。4軒のうち2軒は契約が結ばれている。残りの2軒は8月31日に発売予定である。

そして先頃、ICONは「次世代」Vulcan建設システムを公開し、住宅の新たな探求シリーズを披露した。シリーズ第1弾となる「House Zero」は、3Dプリンティングに特化して最適化設計されている。

ICONによると、同社独自のVulcan技術は、従来の工法より迅速で、無駄が少なく、設計の自由度が高い「レジリエンスとエネルギー効率に優れた」住宅を実現するという。新しいVulcan建設システムは、最大3000平方フィート(約278.7平方メートル)の住宅や建築物を3Dプリントすることができ、以前のVulcan 3Dプリンターより1.5倍大きく、2倍高速になっているとバラード氏は説明している。

ICONは世界的な住宅危機とそれに対処する解決策の欠如に突き動かされている、と同氏は会社設立当初から主張してきた。3Dプリンターやロボット、そして先進的な材料を利用することは、手頃な価格の住宅の不足に取り組む1つの方法である。この問題は、全国的に、そしてオースティンにおいて、悪化の一途をたどっている。

ICONの将来計画のリストには、社会、災害救援、そしてよりメインストリームの住宅を提供することなどが盛り込まれており、さらにはNASAと共同で、月、やがては火星にインフラや居住地を作るための建設システムを開発することも含まれている、とバラード氏は語る。

ICONはまた、NASAと2つのプロジェクトを進めている。先にNASA、ICON、BIGによるMars Dune Alphaの発表が行われた。ICONはこれまでのところ、壁システムの印刷を完了し、現在は屋根に取りかかっている。また、NASAは、ICONの3Dプリントで作られる火星の最初のシミュレーション居住地に住むミッションのクルーを募集中だ。このミッションは2022年秋に開始される予定である。

プロジェクトOlympusは、未来の月探査のための宇宙ベースの建設システムを開発し「別の世界に人類の住まいを想像する」ICONの取り組みを象徴するものとなっている。

「私たちの目標は、次の10年のうちにICONテックを月に届けることです」とバラード氏は語る。

バラード氏はTechCrunchの質問に対して「2020年8月の3500万ドル(約38億5700万円)のシリーズA以降で起きている最も重要なことは、3Dプリント住宅や建物に対する需要の急激な増加です」と答えている。

「この単一の指標は、私たちにとって大きな意味を持ちます」とバラード氏はTechCrunchに語った。「人々がこうした家を求めることは必然的なことなのです」。

「住宅不足に取り組むためには、世界は供給を増やし、コストを削減し、スピードを上げ、レジリエンスを上げ、持続可能性を高める必要があります【略】これらはすべて、質と美しさを損なうことなく行うことが必要です」とバラード氏は付け加えた。

「そのようなことを可能にするアプローチはいくつかあるかもしれませんが、それらすべてを実現できる可能性を秘めているのは、建設スケールの3Dプリントだけです」。

バラード氏によると、ICONは創業以来ほぼ毎年400%の売上増を記録し、目覚ましい財務成長を遂げている。同社のチームは2020年の3倍になり、現在100人以上の従業員を擁している。来年中には規模が倍増する見込みだ。

共同創業者たちと次世代Vulcan建設システム(画像クレジット:ICON)

シリーズBの資金は、3Dプリント住宅の建設の促進「急速なスケールアップと研究開発」、さらなる宇宙ベースの技術の発展、そして「住宅問題に対する持続的な社会的インパクト」の創出に充てられる、とバラード氏は語っている。

「私たちはすでに初期段階の製造を立ち上げており、3Dプリント住宅の需要を満たすために、その取り組みをアップグレードし、加速しているところです」とバラード氏。「今後5年間で年間数千世帯の住宅供給を実現し、将来的には年間数万世帯の住宅を供給できるようになると考えています」。

今回の資金調達の一環としてICONの取締役会に加わるNorwest Venture PartnersのマネージングパートナーJeff Crowe(ジェフ・クロウ)氏は、ICONの3Dプリンティング建設技術が「米国および世界中の住宅不足に多大なインパクトをもたらす」と考えていると語った。

クロウ氏によると、先進的なロボティクス、材料科学、ソフトウェアを組み合わせて堅牢な3Dプリント建設技術を開発することは、そもそも「非常に難しい」ことだという。

同氏はEメールで次のように述べている。「制御された環境で1台か2台のデモユニットを製造するだけではなく、さまざまな地域で、信頼性と予測可能性を備えた、美しく、手頃な価格で、快適で、エネルギー効率に優れた住宅を何百、何千台も生産できるような技術を開発することは、さらに困難です。ICONはこれらすべてを実現しており【略】ブレイクアウト、世代間の成功につながるすべての要素を備えています」。

画像クレジット:ICON, Lake/FLATO Architects

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

民間宇宙ステーション「Starlab」は地球低軌道経済の到来を予感させる

民間宇宙ステーションの時代が正式に到来する。Nanoracks(ナノラックス)、Voyager Space(ボイジャー・スペース)、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)の3社は先日、2027年に商用ステーションを起ち上げる計画を発表した。しかし、これは新しい宇宙経済を発展させるための次の論理的ステップに過ぎないと、各社は述べている。

関連記事:Nanoracksなど民間3社が2027年までの商業宇宙ステーション立ち上げを計画

「過去10年間は宇宙へのアクセスを構築する時代でしたが、次の10年は宇宙に行き先を構築する時代になります。それが、この業界における我々の重要な命題の1つです」と、VoyagerのDylan Taylor(ディラン・テイラー)CEOは述べている。

米国が初めて打ち上げた宇宙ステーション「Skylab(スカイラブ)」に敬意を表して「Starlab(スターラブ)」と名付けられたこの新しい宇宙ステーションは、膨張式の居住モジュール、ドッキングノード、ロボットアームを備えたものになる。3社は官公庁と民間企業の両方からの強い需要を見込んでいるものの、NanoracksのJeffrey Manber(ジェフリー・マンバー)CEOは「Starlabの中核は科学です」と強調した。

Starlabは最終的には観光客も受け入れることができるが、観光を第一に考えたプロジェクトではないと、マンバー氏は付け加えた。「宇宙観光旅行は話題になりますが、持続可能なビジネスモデルを構築するためには、それ以上のものが必要です」と、同氏はいう。

3社は、NASAの「Commercial Low Earth Orbit Destinations(商業的地球低軌道目的地開発)」プロジェクトへの入札として、Starlabを同宇宙局に提出した。このプロジェクトでは、宇宙ステーションを開発する民間企業に最大で4億ドル(約454億円)の契約が割り当てられる。

このようなプロジェクトには莫大な公共投資が必要となるものだが、この資金提供は、特に国際宇宙ステーションの離脱が間近に迫っていることを考慮すると、NASAが地球低軌道における存在感を維持することに関心があると世界に示す意味でも重要であると、テイラー氏は述べている。

マンバー氏も同様の意見を述べている。「私たちは宇宙ステーションの空白期間を作りたくありません」と語る同氏は「業界や社会の誰もが、米国が低軌道に宇宙ステーションを持たない期間があってはならないことを理解しています」と続けた。

しかしながら、全体的には民間の資金が鍵となる。そこでVoyager社の出番だ。2021年、Nanoracksの過半数の株式を取得した同社は、プロジェクトの資金調達と資本配分を監督することになる。

「現実的には、米国議会から十分な資金を得ることはできません」と、マンバー氏はいう。「そんな時代は終わりました。これは商業的なプロジェクトです」。

LEO(地球低軌道)経済の将来については、企業や公的機関が設計の標準化と競争力の維持をどのように両立させるかなど、未だ不明な点が多い。

テイラー氏は、いくつかの重要な技術を標準化するには、コンソーシアムを起ち上げる方法が有効であると提案している。NASAからの投資も居住システムの共通化に役立つだろうと、Lockheed Martinの民間宇宙部門VPであるLisa Callahan(リサ・キャラハン)氏は、TechCrunchによるインタビューの中で語っている。

「NASAは顧客として、宇宙輸送におけるこの並外れた革命を解き放ちました」と、マンバー氏は語る。「NASAがカーゴで成功したように、商用クルーで成功したように、宇宙に興味を持つ市場があれば、小規模な民間宇宙ステーションにも同じようなことが起こると予想できます」。

画像クレジット:Nanoracks

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Nanoracksなど民間3社が2027年までの商業宇宙ステーション立ち上げを計画

NASA(米航空宇宙局)は以前から、老朽化した国際宇宙ステーション(ISS)に代わる商業運用の後継ステーションを民間企業に奨励してきた。Axiom Space(アクスアム・スペース)はすでにその意向を表明しているが、Nanoracks(ナノラックス)、Voyager Space(ボイジャー・スペース)、Lockheed Martin(ロッキード・マーチン)で構成される新たなコンソーシアムは「史上初の自由飛行の商業宇宙ステーション」を建設し、2027年に運用を開始する予定だと発表した。

関連記事:民間商業宇宙ステーションの実現を目指すAxiom Spaceが約138億円を調達

この新しい宇宙ステーションは、米国で3番目に建設された宇宙ステーション「Skylab(スカイラブ)」にちなんで「Starlab(スターラブ)」と名づけられる予定だ。Starlabには4人の宇宙飛行士が滞在する。その規模は国際宇宙ステーションよりもはるかに小さく、人間が居住できる加圧空間は国際宇宙ステーションの3分の1程度だ。そのため、ISSや中国の宇宙ステーションのように分割して軌道に乗せるのではなく、1回の打ち上げで軌道に乗せられると期待されている。

Voyagerが株式の過半数を保有するNanoracksは、現在ISSで使用されている多くの部品を設計・製造しており、この3社のチームは宇宙での運用においては豊富な経験を持つ。Voyagerはこのプロジェクトに戦略的指導と資本投資を行い、Lockheed MartinはStarlabの主要メーカーであると同時に、さまざまなテクニカル部品をつなげるインテグレーターでもある。

宇宙ステーションの主な構成要素は、Lockheedが製作した膨張式の居住モジュールで、貨物や乗組員を運ぶ宇宙船のドッキングカ所や、ステーションの外で貨物やペイロードを操作するための宇宙ステーションにあるようなロボットアームを備えている。

クルーとして想定されるのは、官民の研究者、メーカー、科学者で、宇宙旅行者などの商業的な顧客も含まれるという。NASAが民間ステーションを導入する意図は、公的資金を最大限に活用しながら、NASAにとって継続的な宇宙空間の占有をより持続可能なものにするために、多くの顧客の中の1人になることだ。

画像クレジット:Nanoracks

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

米上院予算委員会がNASAに月着陸船プログラムで2つのチームを選定するよう指示

有人着陸システムにまつわる物語はまだ終わっていない。

米上院が現地時間10月18日に発表した2022年度のNASAに関する予算案では、有人着陸システム(HLS)プログラムで2つのチームを選定するよう、航空宇宙局に指示している。だが、そのための追加予算は1億ドル(約114億円)に過ぎない。

NASAの2022年度予算は全体で248億3000万ドル(約2兆8400億円)、そのうちこのプログラムのための予算は総計12億9500万ドル(約1482億円)となる。

「この資金を使って、NASAは2つのHLSチームの研究・開発・試験・評価をしっかりとサポートし、冗長性と競争性を確保することが期待されている」と、この予算案では述べられており「上院予算委員会は、補助的な研究ではなく、開発のための実質的な投資を期待している」と続けている。

指示は明確だ。明確でないのは、NASAがそれに見合った資金の増加なしに、どのように2つのHLSチームに資金を提供しようとしているかということだ。

まず、現在までの経緯を少しばかり振り返ってみよう。HLSは、アポロ計画時代以来、半世紀ぶりに人類が月に降り立つことを目指すNASAのアルテミス計画の重要な一部である。2021年4月、NASAはアルテミス計画の宇宙飛行士用着陸機の開発に、Elon Musk(イーロン・マスク)氏率いるSpaceX(スペースX)のみを選定した。つまり、2020年5月にSpaceXとともに選ばれていた、防衛関連企業のDynetics(ダイネティクス)や、航空宇宙関連の最大企業であるLockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)、Draper(ドレイパー)の協力を得て「ナショナルチーム」を名乗るBlue Origin(ブルー・オリジン)は選から漏れ、SpaceXの1社のみが残ったということだ。

関連記事:NASAがアポロ計画以来となる有人月面着陸システムの開発にSpaceXを指名

これまでNASAは基本的に、競争を促すために、また1社のプロジェクトがうまくいかなかった場合の保険として、少なくとも2社のベンダーを選ぶ戦略を採ってきた。国際宇宙ステーションのCommercial Crew(商業乗員輸送)プログラムでも、NASAはSpaceXとBoeing(ボーイング)の両方に宇宙飛行士輸送用の宇宙船を発注している。つまり、NASAがSpaceXだけを選んだことは、歴史的な前例から逸脱していると言ってもいいだろう。

これを不服とするBlue Originは4月以降、NASAの決定に対する抗議運動を展開してきた。同社はまず、政府の監視機関である米会計検査院(GAO)に契約締結について異議を申し立てたが、GAOが同社の抗議を却下すると、連邦請求裁判所に訴状を提出した。

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NASAはSpaceXを選定した理由について、予算の制約がある中で、Blue Originの提案(59億ドル、約6750億円)やDyneticsの提案(90億ドル、約1兆300億円)と比較して、SpaceXが最も強固な着陸機の提案を低価格で提供していたからだと主張している。3つの提案のコストに大きな差があることを考えると、上院によるHLSプログラムへのわずかな増額(1億ドル)によって、NASAが追加のチームを選定できるかどうかは不明だ。

NASAのBill Nelson(ビル・ネルソン)長官は、同宇宙局が最終的には必要な資金を得ることができると確信しているようだ。「最終的には、すべての叫び声が収まり、すべての押し合いへし合いが終わって、その多くはNASAとは何の関係もなく、NASAは必要な資金を得ることができると思います」と、ネルソン長官はSpaceNews(スペース・ニュース)のインタビューで語っている。

今回の予算案によると「少なくとも2つのチームがサービスを提供すること【略】が、現在の開発プログラムの最終目標であるべきだ」としている。この法案がそのまま最終予算に組み込まれた場合(下院との交渉が必要なのでまだわからない)、NASAは30日以内に議会と国民に対して、新しい指示に従う計画を説明することになる。

画像クレジット:Dynetics

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

国際宇宙ステーションで初の長編映画撮影を行っていたロシア映画班が無事に帰還

国際宇宙ステーションで初の長編映画撮影を行っていたロシア映画班が無事に帰還

ISS、NASA

10月17日午後1時半過ぎ、国際宇宙ステーション(ISS)で初の長編映画撮影を行っていたロシアの映画撮影班クリム・シペンコ監督と俳優ユリア・ペレシルド、そして宇宙飛行士のオレグ・ノビツキーの3人がソユーズMS-18宇宙船で地上に帰還しました。帰還直前のソユーズの試験ではスラスター誤噴射がありヒヤリとさせられましたが、その後は問題はありませんでした。

ハリウッドを出し抜いてISSで撮影された初の長編映画になる予定の作品「The Challenge」は、テレビ局のChannel OneとYellow, Black and Whiteプロダクション、そしてロシア宇宙機関Roscosmosの協力で制作されます。

ノビツキー飛行士はソユーズMS-18ミッションとしてNASAのマーク・ヴァンデハイ飛行士とロシアのピョートル・ドゥブロフ飛行士とともに4月9日からISSに長期滞在していて、今回映画班と一緒に帰還しましたが。映画撮影クルーが同乗することになったため、残りの2人は、滞在期間を6か月延長することになりました。結果、ヴァンデハイ飛行士はNASAの飛行士としてもっとも長くISSに滞在した飛行士の記録を樹立することになります。

また、記録という点では、ユリア・ペレシルドはプロの役者としては先日Blue Originの宇宙船に搭乗したウィリアム・シャトナー氏より1週間早く宇宙に行った人物になりました。

ISSで撮影された「The Challenge」がいつ頃公開されるのかがわかるまでにはしばらく待つ必要がありそうですが、おそらく国際的な作品というよりはロシア国内向けと思っておくのが良さそうです。それでも、ISSでの映画撮影の実績は、今後トム・クルーズやそれに続く世界的なスターたちが続々と低軌道へ向かい、何らかの作品を作るようになる未来を拓いたかもしれません。

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

NASAが「アルマゲドン」のような小惑星軌道変更ミッションの打ち上げを11月23日に予定

NASAが、最もハリウッド的なミッションである「Double Asteroid Redirection Test(二重小惑星軌道変更実証実験)」の打ち上げ日を決定した。これは基本的に映画「Armageddon(アルマゲドン)」の予行演習だ。映画とは違って、核兵器や石油掘削機、Aerosmith(エアロスミス)は登場しないものの、これは小惑星の軌道を大幅かつ予測可能な方法で変化させることができるかどうかについての実践的なテストとなる。

惑星防衛調整局(!)が管理するこのDARTミッションでは、比較的近くにあるディディモス(Didymos)連星と呼ばれる二重小惑星に、一対の宇宙機を送り込む。この二重小惑星には、直径780メートルの大きな惑星(これがディディモス本体)と、その軌道上に直径160メートルの小さな惑星がある。

この小さい方の惑星が、地球に衝突の脅威を与える典型的な種類の小惑星(この大きさの小惑星は増えており、観測が難しい)であるため、これに約500kgの宇宙機を6.6km/sの速度で衝突させ、その軌道を変更させる可能性を試すのだ。これによって小惑星の速度はほんの数パーセント変わるだけだが、その軌道周期には大きな影響を与えることになる。それがどの程度の影響を与えられるかを正確に把握することは、いつか将来、地球への衝突を避けるために小惑星の軌道を変更させるミッションに役立つが、当然のことながら、宇宙に浮かぶ岩石に宇宙機を衝突させることに関する既存の科学はあまりない。

小惑星に衝突させるDART機に同行するもう1台の宇宙機は、LICIACube(Light Italian CubeSat for Imagine Asteroids、小惑星画像用軽量イタリア製キューブサット)と呼ばれ、先週最後の仕上げが終わったばかりだ。こちらは作戦の直前に切り離され、衝突の瞬間に飛行しながら「結果として生じる噴出物と、おそらく新たに形成される衝突クレーター」の撮影を試みる予定だ。

これが非常にエキサイティングで興味深いミッションであることは間違いないが、当初予定されていた2021年夏の打ち上げウィンドウは延期され、11月23日が新たな打上げウィンドウの初日となった。DARTは米国太平洋標準時の11月23日午後10時20分に、南カリフォルニアのバンデンバーグから、SpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットで打ち上げられる予定だ。

「Osiris-Rex(オサイリス・レックス)」や日本の「はやぶさ2」など、地球の宇宙機関は小惑星に手が届くようになってきた。ディディモス連星攻撃計画については、打ち上げに向けてより詳細な情報が得られるようになるだろう。

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画像クレジット:NASA

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASAが航空機用電動推進技術の開発で民間2社に助成金2812億円

NASA(米航空宇宙局)は米国企業2社を選び、航空機の電動推進技術の開発を推進する。この技術を2035年までに米国航空戦隊に導入することが目標だ。

選ばれたGE Aviation(ジーイー・アビエーション)とMagnix(マグニクス)の2社は、今後5年間にわたって任務を遂行する。その中には地上および飛行試験デモンストレーション、NASAで電動推進系に焦点を合わせる他のプロジェクトとの協業、データ分析、およびフライトテスト設備などが含まれている。

同局のElectric Powertrain Flight Demonstration(EPFD、電動パワートレイン・フライト・デモンストレーション)プログラムの一環として与えられる金額は合計2億5340万ドル(約282億円)。うち1億7900万ドル(約199億円)がGE Aviationに、7430万ドル(約83億円)がMagniXに渡される。

「GE AviationとMagniXは、統合されたメガワット級のパワートレインシステムのデモンストレーションを地上と飛行両方で実施して、彼らのコンセプト、および将来の電動推進航空機の編成にむけたプロジェクトの利点を検証します」とNASAのEPFDプロジェクトマネージャーであるGaudy Bezos-O’Connor(ガウディ・ベゾス=オコナー)氏は声明で説明した。「このデモンストレーションによって、技術的な障壁と統合リストを見極め除去します。また将来のEAP(電気化航空機推進)システムの標準と規制の開発に必要な情報も提供します」。

EPFDプロジェクトはNASAの上位プログラムで、次世代テクノロジーを実世界で運用可能な航空システムに変えるための研究開発を推進するIntegrated Aviation System(統合航空システム)の一部だ。

電気航空推進システムをてがけている企業はたくさんあるが、その多くは新たなエアタクシー市場を目指していて、飛行時間は短くバッテリー重量は飛行機全体の小さなサイズによる制約を受ける。Devin Coldewey(デビン・コールドウェイ)記者の説明にあるように、必要な上昇力の生成とバッテリー重量は、電気飛行機を遅らせてきた長年の「基本的難題」だ。

おそらくこうした官民連携によってついにはパズルが解かれるだろう。このNASAプロジェクトは、短距離の地域内航空移動、およびナローボディ、単一通路の飛行機の開発を目指している。

関連記事:Wrightが大型機の動力源になる2メガワット電動旅客機用モーターの試験を開始

画像クレジット:NASA

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAが女性初の月面歩行を実現する宇宙飛行士を描くARコミック公開、次世代人材の獲得に向けた取り組み

NASAが女性初の月面歩行を実現する宇宙飛行士を描くARコミックを公開、次世代人材の獲得に向けた取り組み
米国では9月25日をコミック本を祝う日”Nationlal Comic Book Day”としてイベントなどが行われていましたが、これに合わせてNASAは、デジタル・インタラクティブ・ノベル「First Woman: NASA’s Promise for Humanity」を公開しました。これは月面探査をする女性宇宙飛行士キャリー・ロドリゲスを描いた架空の物語で、アルテミス計画において、女性で、なおかつ有色人種として、初の月面歩行を実現するという歴史的偉業を達成するというあらすじ。

作品は40ページのコミック版では月への宇宙旅行、着陸、月面探査に使われるNASAの技術が紹介されていて、ブラウザーで読んだり、PDFでダウンロードもできます。また音声バージョンもSoundCloudなどで聴くことが可能です。

そしてモバイルアプリで提供されるデジタル版(Android版iOS版)では、拡張現実(AR)要素を盛り込んだインタラクティブな体験が提供され、読者は実物大であったり3DでOrion宇宙船や月面探索などができるようになります。そのほかにもゲームや動画をプレイまたは視聴したり条件を満たしてバッジを取得したりして楽しめるようになっています。

作品は次の飛行士になる世代に宇宙への興味を持ってもらうことを目的としたもので、NASA宇宙技術ミッション部門のコミュニケーション・ディレクター、デレク・ワン氏は「このグラフィック・ノベルとデジタル・エコシステムは、これまでにない刺激的な方法でNASAの仕事を知っていただくために制作しました。魅力的で親しみやすいコンテンツは幅広い年齢層の宇宙ファンから、STEM教育の新しい方法を探している熱心な教育者まで、誰にでも楽しんでいただける内容になっています」と述べています。

子供向け、と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、コンテンツにはNASAの長期的な計画もわかりやすく記されているとのことなので、興味があれば見てみるのも良さそうです(ただしすべて英語です)。なお、NASAはこのコンテンツのスペイン語版も提供する予定とのこと。スペイン語のほうが得意ならそちらをお待ち下さい。

(Source:NASA(1)(2)Engadget日本版より転載)

初の民間人だけの宇宙ミッション成功、Inspiration4の着水はSpaceXにとって始まりにすぎない

いとも簡単に彼らは帰還した。

Inspiration4のクルーが米国時間9月18日夜にフロリダの東海岸に着水し、晴々しく帰還した。ほぼ完全に民間人だけの初の宇宙ミッションとなった。着水から1時間弱してSpaceX(スペースエックス)のGo Searcher回収船がResilienceと命名されたCrew Dragonカプセルを曳航した。その後クルーはヘリコプターでNASA(米航空宇宙局)のケネディ宇宙センターに移送され、そこで標準的なメディカルチェックを受けた。

ミッションの成功はElon Musk(イーロン・マスク)氏、全ミッションを遂行したSpaceX(そして広範にとらえると技術開発の資金を提供したNASA)にとって重要な勝利だ。そしておそらく、はっきりと宇宙旅行時代の幕開けを告げるものだ。

SpaceXの有人宇宙プログラム担当シニアディレクター、Benji Reed(ベンジ・リード)氏は、潜在顧客からのプライベートミッションについての問い合わせが増えている、と報道陣に語った。「年に少なくとも3〜6回ミッションを実施できる」とも述べた。

もちろん、今回のミッション司令官のJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏は宇宙に行った初の富豪ではない。2021年夏、 Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏とJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏もそれぞれが所有するVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)とBlue Origin(ブルーオリジン)が開発した宇宙船で宇宙飛行を楽しんだ。しかしその宇宙飛行はかなり短いものだった。ベゾス氏と同乗者3人は宇宙に行き、15分もせずに地球に帰還した。必然的に放射線アーチを描く移動だった。

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それとは対照的に、Inspiration4のクルーは最高高度590キロメートルで地球を周回しながら3日間を過ごした。この高度は国際宇宙ステーションよりも高く、宇宙にいる人間の中で最も「外側」にいたことを意味する。ミッションの間、クルーは1日あたり平均15回地球を周った。

軌道にいる間、クルーはいくつかの科学実験を行った。その大半は宇宙旅行が人体に及ぼす影響を理解することを目的とする自身のデータ収集だ。クルーはまた、SpaceXが「キューポラ」と呼ぶ大きなドーム型の窓で宇宙の写真を撮ったりして過ごした。

決済処理会社Shift4 paymentsで財を成したアイザックマン氏以外のクルーは、医師助手で子どもの頃にがんを患って克服したHayley Arceneaux(ヘイリー・アルセノー)氏、地球科学者のSian Proctor(シアン・プロクター)氏、ロッキード・マーティンのエンジニアであるChris Sembroski(クリス・センブロスキー)氏だ。クルーの中でアルセノー氏が宇宙に行った最も若い米国人で、かつ義足をつけて宇宙に行った初の人間であり、プロクター氏は宇宙ミッションを行った初の黒人女性だ。

この歴史的なミッションの費用はすべてアイザックマン氏によるものだが、同氏とSpaceXはどちらも費用が合計でいくらだったのかについては口を閉ざしている。このミッションはセント・ジュード研究病院のための2億ドル(約218億円)の募金活動として行われ、ここにアイザックマン氏が1億ドル(約109億円)、マスク氏が5000万ドル(約55億円)を寄付した。さらに募金活動には市民から6020万ドル(約65億円)が寄せられた。

Resilienceが安全に人を宇宙に運び、そして連れ帰ってきたのは今回が2回目だ。2021年5月の最初のミッションCrew-1では宇宙飛行士4人(NASAの3人、日本の宇宙航空研究開発機構の1人)を国際宇宙ステーションへと運び、そして宇宙飛行士を地球に連れて帰った。SpaceXは今後6カ月でいくつかの有人ミッションを実施する予定で、ここにはNASAと欧州宇宙機関の代わりに行う国際宇宙ステーションへのミッション、Axiom Spaceの依頼で行うプライベートAX-1ミッションが含まれる。

関連記事:NASAとAxiom Spaceが初の民間人のみによる国際宇宙ステーションへの宇宙飛行について発表

「SpaceXにとても感謝しています。すばらしいフライトでした」とアイザックマン氏はカプセルが帰還した後に述べた。「まだ始まったばかりです」。

着水の一部始終は下の動画で閲覧できる。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi