ブラックフライデーのネットショッピング総額の36%をAmazonが占め、次位Best Buy(8%)以下を大きく引き離す

06dc12c46a7244da8814e67f8ba3eff0

独自の荷物追跡アプリケーションでeコマースのデータを集めているSlice Intelligenceによると、今年の11月27日、いわゆるブラックフライデーにおけるeコマースの売上の35.7%をAmazonがごっそりといただいた。二位はAmazonのずっと後方を走ったBest Buyの8.23%だった。三位以下はMacy’s 3.38%、Walmart 3.35%、Nordstrom 3.11%等となる。

Amazonが唖然とするほど高いのには、Sliceのユーザの特性も寄与していると思われるが、しかしAmazon自身も今年は記録的な売上だったと自慢している。具体的な数字は挙げていないが、とくに、Amazonブランドの製品(Kindle, Fireなど)が好調だった、という。

同じくSliceのデータによると、ブラックフライデーにおけるeコマースの売上は前年比で7%増加し、売り出しの開始日を早めたところも多かったので、ブラックフライデーの前日の売上が14%伸びた。中でも家具調度品のWayfairは、ブラックフライデーにおいて前年比315%増という最大の売上増加率を達成した。

売上の好調は、サイバーマンデー(Cyber Monday)と呼ばれる月曜日まで続き、eBayは金土日月の4日間で12%の売上増を達成した

eBayのマーチャンダイジング担当VP Jay Hansonは、“今年のネットショッピングの主役はモバイル、彼らはふつうの日以上に熱心にお買い得品やギフトの好適品を探した”、と述べている。

同社によると、ExxonMobileのギフトカードを7000枚、ホバーボードを7500台売り、おもちゃのトップセラーはロボットだった

最近eBayから独立したPayPalも大きなトラフィックを経験し、サイバーマンデーには一時的にサービス不能状態になった。

PayPalもモバイルからの買い物が増えていることを目撃し、今年とくに伸びた品目は、ファッション、電子製品、化粧品、そして玩具だった。

“PayPalのデータから言えるのは、今や年末のショッピングシーズンが9月の30日から始まっていること。ブラックフライデーの2か月も前だ”、とPayPalのグローバルイニシアチブ担当シニアディレクターAnuj Nayarは語る。“年間を通じ、PayPalがオンラインショッピングでいちばん忙しいのは今年も同じくサイバーマンデーだが、感謝祭以降はモバイルからのショッピングが年々増加傾向にある”。

売上の数字の多くは驚異的だが、同じくeコマース企業のBlueSnapとPYMNTSが行った調査によると、多くのネットショップが、チェックアウト処理がボトルネックになっているため、あり得た売上の36%を失っている、という。買い物の完了までの手続きが、複雑だったり時間がかかったりすると、完了まで行かずにバイしてしまう消費者が多いのだ。

“彼らは何百万ドルという大金をドブに捨てているが、どうしたらいいか分からないのだ”、とBlueSnapのCEO Ralph Dangelmaierは語る。“しかもサイバーマンデーの売上などを見ると、今や一部の製品は物理店よりもネットがメインの販売チャネルだから、チェックアウトで手間取ってお客とお金を失う現状を、早急に解決する必要がある”。

オンラインショッピングが急増している今の状況の中では、効率の良し悪しが今後ますます成功のための重要な鍵を握るだろう。

〔訳注: 小売支出全体や、消費支出全体の中でのネット利用の比率、いわゆるEC化率は、eMarketerや連邦準備銀行などのデータが参考になります。物理店は、まだまだ圧倒的に強いです(それも当然)。〕

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Apple、ピアツーピア支払いに参入か

venmo-2

本稿の執筆はKatie Roof

Appleがモバイル支払いサービスを立ち上げるべく銀行と協議していると、Wall Street Jounalの記事が伝えた。そのサービスは、PayPalのピアツーピアモバイル支払いサービス、Venmoと競合するようだ。

早ければ2016年に開始されるというそのプラットフォームは、銀行口座をApple端末と結びつける。ユーザーは、当座預金口座から他人の口座へ直ちに送金できる。

記事によると、J.P. Morgan、Capital One、U.S. Bancorp、およびWells FargoがAppleと協議しsた。交渉がどの段階にあるかは不明だが、「開始は差し迫っていない」という。

新サービスは、iPhoneとApple Watchedで提供されているモバイル支払いサービス、Apple Payと協調する可能性が高い。昨年スタートしたApple Payは、Visa、MasterCard、American Expressを始めとする主要クレジットカード会社と提携している。

Venmoの広報担当者はTechCrunchに、「PayPalは噂や臆測についてコメントしないが、友達や家族に現金を送る手続の煩わしさに、人々の注意を向けさせる動きは何であれ歓迎する。われわれはPayPalとVenmoを含め複数のサービスでそれを簡単にしてきた。当社のサービスは複数のデバイスやオペレーティングシステム、およびオンラインのいずれでも利用できる」と話した。

モバイル支払い分野の競争は激化しており、SquareはIPOを間近に控えている。Squareには、Square Cashというピアツーピアサービスがあり、Venmoと類似の機能を持つ。Googleとfacebookも、最近この分野の参入した。

PayPal株はこのニュースを受け2%値を下げた。

Appleはコメントを拒んだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

クラウドファンディングで100万ドルを集めたガジェットが、また一つ墜落した

20121103175741-picture18_copy

あのRobotic Dragonfly[ロボットトンボ]を覚えているだろうか? その小さなドローンはクラウドファンディング創成期のサクセスストーリーの一つとして、2012年にIndiegogoで100万ドルの支援金を集めた。当時クラウドファンドで100万ドル以上を集めた初めてのガジェットだった。プロジェクトは、鳥のように飛び、虫のようにホバリングする小さなロボットを ― わずか99ドルで ― 約束した。諸君、残念なニュースがある。その小さなドローンは計画通りには離陸しない。

会社は深刻な金銭トラブルに見舞われていることを昨日発表した。しかしこれは彼らの落ち度ではない、とファウンダーらはIndiegogoのコメントで言っている。責任は資金を解放しないPayPalとIndiegogoにあると彼らは言う。金額? 同社はその情報を公表していない。

TechCrunchは、開発元のTechJect、およびPalPal、Indiegogoの各社に問い合わせて追加情報を求めている。返答があり次題本稿を更新する予定だ。

クラウドファンドされたガジェットが出荷されないのはこれが初めてではない。むしろトレンドになりつつある。Pirate3Dは、簡単に使えて低価格な3Dプリンターを約束したが、Kickstarterで受けた注文を満たす前に現近が尽きた。

どうやらTechJectはロボットトンボの開発を完了することすらできなかったようだ。プロジェクトがIndiegogoに登場したのは3年近く前だというのに。Indiegogoのプロジェクトページには、米国空軍から100万ドルの助成金を受けて(少なくとも2012年には)プロジェクトがスタートしたと書かれている。「われわれはユーザーにテクノロジーが浸透するのを待って欲しくない」とページは言う。しかし、支援者たちは未だに待ち続けている。

昨日会社が資金問題について発表して以来、Indiegogoのコメント欄には支援者たちが大挙して押し寄せている。当然だ。今日同社は、プロジェクトが厳密な意味で中止されてはいないことを明言した。継続には追加資金が必要なだけだ。さらに同社は、もし製品を出荷できない場合、「同社の持つDragonflyに関するあらゆる知的財産権をライセンス権利を含めて全支援者に公開し、損失を取り戻すために利用、再販その他を自由にできるようにすることを発表した。

Robotic Dragonflyはいつも少々現実離れしていた。本誌はプロジェクトが生まれたジョージア工科大学の研究室を訪れた後このキャンペーンを紹介した。しかし、優れたエンジニアは必ずしも優れたファウンダーにならない。製品をCAD図面からプロトタイプを通じて店頭に並べるためには、特別なチームが必要だ。

これは消費者がクラウドファンディングにもっと注意を払うべきであることを示す、新たな事例に過ぎない。クラウドファンディングに保証はなく、告知されている以上のリスクが伴う。Robotic Dragonflyはクラウドファンディング初期の2012年に資金を集めた。以来、Indiegogoは支援者の安全性を高めるために利用規約を改訂した。しかしその後も、途方もない約束や疑わしい主張を掲げるプロジェクトがいくつも出現している。Robotic Dragonflyはクラウドファンディングの墓場に足を踏み入る最後のガジェットではなさそうだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

PayPal、eBayと分離後初のQ3決算は明暗半ば

paypal-earnings

eBayとの分離発表から1年以上が過ぎ、PayPalは独立会社として初めての四半期決算を発表した。

同社の調整後1株当たり利益は0.31ドル、売上は226億ドルで、アナリスト予測の0.29ドルを上回ったが、売上は予測の227億ドルにわずかに届かなかった。

明暗半ばの決算報告を受け、株価は時間外取引で34.51ドルと終値の36.52ドルから5%下げた。

以前同社がまだeBay傘下だった時に発表された新たな指標のアクティブアカウント数は、現在1.73億人で、1年前の四半期は1.57億人だった。

総取引き件数は12.2億件、前期は11億件だった。さらにPayPalは、アクティブアカウント当たり年間平均27回の取引きが利用され、前年同期の24回から増えていることも発表した。

同社が、21億ドル分の取引きはVenmo経由で処理され、前年比200%増だったと発表したことは興味深い。【訳注:VenmoはPayPalと競合する面もある】

当初投資家らは、2社の分離に関して楽観的でPayPalの株価は取引初日に8%上昇した。その後その熱気は冷め、今日の時間外取引価格は、7月の最高値より約15%低かった。

今日の悲喜半ばの決算とその後の株価下落は、分離以来概して強気だった投資家らを魅するためには、まだ努力が必要であることを示している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「日本の決済ビジネスには3つのチャンス」 PayPalが今後の戦略を説明

PayPalジャパン・カントリー・マネージャーのエレナ・ワイズ氏

親会社であるeBayからスピンオフし、7月20日に独立企業として再びNASDAQに上場し、親会社を超える500億ドルという時価総額を付けたPayPal(2002年のeBayによる買収は15億ドルだったので、その33倍にもなるわけだ)。同社は今後の日本展開について説明すべく、7月21日に東京・赤坂で発表会を開催した。

「お金そのものが変わろうとしている。その最大の理由はデジタルウォレットが台頭してきたことだ」――イベントに登壇したPayPal東京支社 ジャパン・カントリー・マネージャーのエレナ・ワイズ氏はこのように切り出した。

17年以上にわたって決済サービスを提供してきたPayPalから見ても、金融システムはDisruption(創造的破壊)を起こしうる状況にあるのだそう。「物理的なお金はすべてデジタル化しつつある。それによってモバイルでお金を払うだけでなく、支払いを受け取ったり、クレジットを利用したり、将来的には財布を持ち歩く必要すらなくなるだろう」(ワイズ氏)。

このモバイルの成長を裏付けする数字としてワイズ氏が提示するのがPayPalの決済全体に対するモバイル決済の比率の増加だ。2014年度には決済全体の2割だったモバイル決済は、2015年度第1四半期時点で3割まで向上している。

そんなお金の「デジタル化」する世界では、企業はデータ分析の機能やサイバーセキュリティが求められていくという。また同時に各国政府の規制を知り、法令を遵守することも求められる。ワイズ氏はPayPalがこういった課題を解決し、金融システムのDisruptionを起こせるユニークな状況にあると語る。

アクティブユーザー1.69億人、取扱高2350億円の決済基盤に

PayPalは現在203の国と地域でサービスを展開。直近のアクティブユーザーは16900万人で、2014年度の新規アクティブユーザーは1900万人。取扱高は2350億ドル(28兆円)で前年比28%の成長。収益は80億ドル(1兆円)で同じく19%の成長となっている。取引件数は40億件で、こちらも前年比27%の成長だ。

またPayPalの強みとして、17年以上のサービス運営実績や不正利用の検知、トラブル時の消費者・店舗への全額保証、8000人24時間体制のサポート体制、法令遵守での運営体制などを挙げる。「決済ビジネスは簡単なモノではない。この実績と経験が競合と差別化のユニークな点だ」(ワイズ氏)

では再上場したペイパルはどこに向かうのか。ワイズ氏は「世界をリードするオープンデジタル決済プラットフォーム」を目指すと語る。v.zeroと呼ぶSDKでビットコインをはじめとした仮想通貨でも決済に対応するほか、ここ数年で刷新したユーザーインターフェースも日本で導入を進めている。「お金そのものをもっと自由に扱えるようにする。我々は自身をDisruptし続ける、また(他社に)Disruptされかねないという危機感を持ってビジネスを進めている」(ワイズ氏)

日本の決済ビジネスに3つのチャンス

続けてワイズ氏は、日本の決済市場について、3つのチャンスがあると説明した。

まず1つ目は中小企業やスタートアップの台頭だ。創業期から中小企業のネット決済の手段として利用されているPayPal。導入の手軽さや不正検知、決済から現金化まで最短3日という特徴は中小企業にとっても価値のあるものになっているという。また今後増えるであろうモバイルでの越境ECなど、より役立てる機会があるとした。

2つ目のチャンスはモバイルによる次世代のコマースだ。すでに世界の人口より多い72億台という端末が流通し、PayPalの決済でもモバイルの割合は上がるばかり。そんな状況で生まれるスタートアップは、モバイルアプリでサービスを提供するところが中心。PayPalではクレジットカードをカメラで撮影して読み取るSDKなども用意。ユーザーに対してたがるな決済手段を容易に提供できるとする。またヤマダ電機やネスカフェなどに対しては、オムニチャネル化に向けたモバイル決済の実験なども行っている。「オンライン、リアルにかかわらず、今後モバイル決済は『選択肢の1つ』ではなく『マストなもの』になる」(ワイズ氏)

3点目がインバウンド需要への対応だ。ワイズ氏によると、1~5月の訪日観光客は前年比45%、年間2500万人にも届く勢いだという。またこれにあわせて訪日観光客の国内支出も前年比43%増という状況だと説明。「ホテルや旅行代理店などにたいして、強い決済サービスが提供できることは多い」とした。またTokyo Otaku Mode(TOM)をはじめとした”クールジャパン”関連のECでもPayPalの導入が進んでいると説明。TOMでは、導入から数カ月後にはPayPalでの決済が全決済の半数を占めるようになったという。

再上場の影響「日本にはない」

ここからは質疑応答の内容などを少し紹介する。まず再上場による日本市場への影響については、「eBayのプラットフォームがないため、大きな影響がない。影響があるとすれば、日本や他の国において『eBayの関連会社』ということで(競合のため)付き合えない会社があったが、そこでのビジネスチャンスが生まれる」(ワイズ氏)という。

また日本市場におけるにおけるPayPalの立ち位置については、「個別の市場の数字については公開を控えている。言えるのはアクティブユーザーは国内、越境を含めて100万人以上。マーチャントも10万単位かそれ以上。決して少なくない数字」(ワイズ氏)とのことだった。

発表会後、日本と米国など海外の決済市場との違いについて聞いたのだけれども、「CtoCサービスでの利用は日本が多い」という点が特徴的なんだそう。一方で「越境コマース」への対応が弱いという課題もあるとした。「そこに関してはPayPalは強みを持っているので、サービスを提供していきたい」(ワイズ氏)

PayPal、eBayから独立後の株価は8.3%高、時価総額はeBayを超える500億ドル

paypal_hq_campus_outdoor

PayPal(NASDAQ:PYPL)がeBayから分離すれば、親会社(NASDAQ:EBAY)以上の価値になるであろうことは誰もが予想していたが、ここまでではなかった。
“when issued”[発行条件付]ベースの取引開始からほどなくして、PayPalは正式に独立企業となった。取引初日、同社株の始値は41.63ドルと正式公開前最後となった先週金曜日の終値より8.3%高値をつけた。

41.63ドルの株価に基づく同社の時価総額は508億ドルとなり、eBayの現在の日中時価総額345億ドルを上回る。PayPal株は、NASDAQの始業ベルから数分後の今、40.21ドルで取引きされている。株価はこの小幅な値動きの中でも依然として4.74%高だ。

思い起こせば、PayPalは最初のIPOから間もない2002年7月、eBayに15億ドルで買収された。今やその同じ会社が、最終公開評価額の33倍の価値を持っている。これまでにPayPalは180億件以上、1兆ドル以上の取引きを処理してきた。現在同社は200ヵ国に1.69億人の消費者ユーザーを持つ。

言い換えれば、PayPalはもはやFinTech[金融IT]の輝く新星ではない。本格的金融企業の大物となり、再び四半期決算報告を行う準備を整えた。同社は、AlibabaのAlipay等地元の巨人や、Stripe等の新規参入と競合していく。

今日の分離・独立は、支払いサービス企業にとって大きな吉報だ。追加の資金調達や他社の買収をこれまで以上に自由にできる。PayPalはもはやeBayの子会社ではなく、株主は、eBayではなく、PayPalの株を保有したいという意志を明確に表示ができる。

さらに、PayPal経営陣はeBayに伺いを立てることなく社債を発行できる。PayPal株を使って企業を買収することもできる。PayPalの新たな旅への興味は尽きない。

Screen Shot 2015-07-20 at 16.25.38

Screen Shot 2015-07-20 at 16.27.40

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

PayPal、IDとパスワードの入力なしで支払いができるOne Touchをウェブに拡張

2015-04-29-paypal

今日(米国時間4/28)、PayPalはウェブのオンライン支払サービスにアップデートを加えた。これにより、ユーザーは一度ログインすればその後はIDとパスワードを入力せずに支払ができるようになった。この機能はOne Touch for Webと呼ばれる。PayPalの最近のモバイル支払機能の改良をウェブに拡張したものだ。

昨年秋のTechCrunch Disruptカンファレンスで、モバイル・デバイスでのショッピングを容易にするOne Touch支払方式を開発したことを発表した。モバイル版のOne TouchはPayPalが買収したBraintreeのテクノロジーに基いており、Jane.com、ParkWhiz、StubHub、Threadlessなどのアプリに採用された。その後、Airbnb、Lyft、 Munchery、Boxed、YPlanなどもOne Touchを利用している。

One Touchでは、認証情報はアプリ内に安全に格納されるのでユーザーは支払をするたびにPayPalのIDとパスワードを入力しなくてもよい。

One Touchはモバイルが主であるサービスや製品の場合には特に理にかなっている。モバイル・デバイスの小さな画面でユーザー名とパスワードを正確に入力するのは面倒な作業だ。 Braintreeの責任者、Bill Readyは以前、「オンラインショッピングで消費者はモバイル上で半分以上のの時間を費やしているのに、実際の購入回数ではモバイルは10%から15%にとどまっている」と指摘したことがある。この大きな落差は現在でもモバイルでのショッピング体験が非常に煩わしいことを物語っている。

PayPalの一部のマーチャントによれば、One Touchはこの問題を大きく改善したという。YPlanはOne Touchの採用後、コンバージョン率が2桁の上昇をみたと報告している。StubHubでも売上や客単価の増大など好影響があった。

Screen Shot 2015-04-28 at 10.37.38 AM

モバイルがもっとも効果の挙がる分野ではあったが、One Touchがウェブに拡大されたことの意味も大きい。もともとPayPalのオンライン支払体験はあまり快適なものではなかった。ユーザーはマーチャントのサイトからいちいちPayPalサイトへリダイレクトされる。そこでユーザーが正しいIDとパスワードを入力するのに失敗し、カートを放棄して購入を中止してしまうことが往々にしてあった。

One Touch for Webが導入されれば、ユーザーは最初の一回だけIDとパスワードを入力すればよい。その後はOne TouchをサポートするすべてのマーチャントでクリックだけでPayPalでの支払ができるようになる。

One TouchはほとんどのPayPalのマーチャントのサイトで自動的に有効になる。つまりマーチャントの導入率を考える必要はない。PayPalによれば「1億6500万人のわれわれのユーザーは近く全員がこの新機能を利用できるようになる」という。親会社のeBayは今月の四半期決算発表でPayPalが処理した支払総額が今期18%アップし、610億ドルに達し、360万人のアカウントが新たに登録されたと発表している。

今回のアップデートは、ライバルの支払サービス、Stripeが巨額の資金調達 を行い、急成長を続けていることへの対応の意味もあるだろう。Stripeの処理額は数十億ドルに達し、Rackspace、Shopify、Reddit、Foursquare、Dailymotionなどの著名企業を含む数千社をマーチャントとしているという。またStripe Connectを通じてLyft、Kickstarter、Indiegogo、TaskRabbit、Fancyなどにおける支払をサポートしている。 さらにStripe APIはTwitter、Facebookを始め何千ものアプリに採用され支払を処理している。

PayPalのOneTouch for Webは、今日からアメリカで有効になる。今後数ヶ月かけて世界に順次展開すされるという。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、メッセージを利用した支払い機能を導入へ―手数料無料、当面アメリカのみ

これまではFacebookの友達同士が借りた金を返したり、割り勘を精算しようとしたりするときはPayPalやVenmoのような外部のサービスを開かねばならなかった。そこでFacebookは、Facebookメッセンジャーに送金機能を追加した。VisaないしMastercardのデビットカードを持っているユーザーは、iOSAndroid、デスクトップ版のメッセンジャーで“$”ボタンを押すだけで友達に送金できる。 送金手数料は無料だ。Facebookメッセンジャーによる送金は、数ヶ月以内にまずアメリカに導入される。

FacebookとPayPalの微妙な関係

送金機能を実現するにあたって、FacebookはPayPalのような既存のサービスを利用せず、広告とゲームで1日 100万件の支払いを処理してきた経験をベースにゼロから内製する道を選んだ。こうした支払情報はすべて暗号化されている。Facebookによれば「支払い関連は通常のFacebookの処理とは別個のよりセキュリティーの高い場所で処理されている」としており、詐欺対策チームが監視している」という。

送金機能を独立のアプリにせず、ユーザーが日常ひんぱんに使うメッセンジャーの一部に組み込むことで、FacebookはVenmo/Paypal、 Google Wallet、Square Cashなどのライバルに差を付けたい考えだ。こうした独立アプリのP2P送金サービスはメッセンジャーに比べて人々がアクセスする頻度はずっと低い。昨年11月にSnapChatがSquare Cashと提携してSnapcash機能をサービス内に組み込んだのも同じ戦略といえるだろう。

PayPalは次のようなコメントを発表した(強調は筆者)。

われわれは2008年以来Facebookとすばらしい緊密な関係を作り上げてきた。現在もゲームと広告に関して、共同で世界的な支払いネットワークの構築に向けて努力中だ。

PayPalは常に他社との提携を重視しており、今後もFacebook始め多くのサードパーティーと協力していく

私はPayPalに取材し、Facebookのメッセンジャー送金機能をライバルと考えるかと尋ねた。広報担当者は「ライバル」という言葉を慎重に避けたが、結局、「(Facebookは)Venmotと同様のテクノロジーを用いて同様のサービスを行おうとしている」と認めた。Venmoもほとんどのデビットカードによる送金を無料にしている。これにFacebookの無料サービスが加われば、PayPalの2.9%プラス0.30ドルというデビットカードの送金手数料収入にとって脅威となるだろう。

私の取材に対してFacebookのプロダクト・マネージャー、Steve Davisは「われわれは送金ビジネスを構築する考えはない。 われわれの目的は送金機能の提供によってメッセンジャーをもっと魅力的なサービスにすることだけだ」と答えた。Facebookは広告で巨額の売上を得ている。昨年第4四半期は35.9億ドルだった。送金事業でマネタイズを行う必要はない。Facebookが望むのはユーザーをFacebookプラットフォームの中に可能な限り囲い込み、より多くのニュースフィード広告をクリックしてもらうことだ。そのためにメッセンジャーに便利な機能を追加するのは理にかなっている。

メッセンジャーによる支払いの詳細

TechCrunchは昨年10月にFacebookがメッセンジャーによるP2P支払機能を開発中だと報じた。 われわれはデベロッパーのAndrew Audeからその機能を含むメッセンジャーのソースコードのスクリーンショットの提供を受けた。その後も、複数の情報源からFacebookが部内で送金機能をテスト中だという証言を得ている。

一方で、FacebookはPayPal、Braintree、Stripeとeコマース分野で協力し、ニュースフィード内からオートフィルで商品を購入できるBuyボタンを開発した。

メッセンジャー支払い機能自体はこのようなものとなる。

ユーザーに対してメッセンジャー支払機能が有効になると、メッセンジャーのメッセージ作成画面下部のオプション欄に“$”アイコンが現れる。タップするとデビットカードの情報の入力を求められる。銀行引き落としと違って口座情報などを入力する煩わしさはないが、FacebookはVisaとMastercardのデビットカードだけをサポートしている。Facebookがクレジットカードのサポートを選択しなかったのは、クレジットカードを送金に利用すれば手数料が発生するからで、それを知らないで利用したユーザーが思いがけなく手数料を徴収されるのを避けたためだという。

セキュリティーのためにユーザーはAppleのTouchIDまたは支払いのためのパスコードによる認証を求められる。ただしユーザーは設定でこれを無効にすることができる。ユーザーがゲームや広告料支払いのためにデビットカードを登録している場合は、それが利用できる。

$ボタンをタップした後、ユーザーは金額を入力し、Payボタンをタップするだけでよい。その金額が支払側デビットカード口座から受け取り側デビットカード口座に即時に移動する。Facebookはいっさい資金を保持しない。ただしデビットカードの標準的慣行により、受け取り側銀行がユーザーに資金の引き出しを許すのは数日後になる。双方のユーザーに資金移動の詳細を確認するメッセージが届けられる。

支払いに不審があると判断された場合、Facebookはユーザーに追加の質問をすることがある。ユーザーはメッセンジャーを利用した資金移動に関する履歴をメッセンジャーの設定中で見ることができる

利便性第一

Davisは「 メッセンジャーではお金の話がよく出ている。バーやレストラン、いっしょに乗ったUberの割り勘の精算はポピュラーな話題だ。われわれはFacebookを出ずにこういう会話を終わらせることができれば便利だろうと思った。いちいち外部のサービスに移動するのは誰だって煩わしい」と開発の動機を説明した。

だがFacebookはメッセンジャーにさらに高度な資金操作機能を付け加えていくつもりはないのだろうか? アジアではWeChatのように送金、eコマースの支払い、タクシー呼び出しその他多機能のチャットアプリが人気だ。Facebookは来週開催されるf8デベロッパー・カンファレンスでさらに詳しい発表を行うということでわれわれは注目している。

現在はアメリカ国内のみが対象だが、Facebookがメッセンジャー送金機能を国際展開すれば、出稼ぎ労働者は高い銀行手数料を払わずに故郷の家族に送金ができるようになる。しかしFacebookでは当面、まずはアメリカでの成果をじっくり検討したいということのようだ。Davisは「アメリカですべてが順調に機能すると確認できてからその先の拡張を考える」と語った。

人々の金を扱う以上、バグが許されないのはもちろんだ。.

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Google Walletの利用拡大努力は続く…今度はWePayがInstant Buy APIを統合

Googleは、Google Walletを利用できるお店を増やすためにSoftcardを買収すると言われているが、そのほかにも、モバイルベースのトランザクションでPayPalなどと対抗するためにInstant Buy APIの積極的な利用を進めている。

2013年にAndroidでローンチしたInstant Buy APIは、昨年のiOS進出に次いで今度は、ほかの決済企業にも採用を広げようとしている。その一番バッターWePayがこのほど、同社の決済システムのバックエンドにこのAPIを統合した。

これによりWePayのユーザは自分の顧客たちに、代金の支払方法として、Google Wallet方式を提供できる。つまり彼らのお客さんたちは、PayPalのインスタントペイメントが提供しているような“わずか2クリック”の支払決済ができるようになるのだ。

WePayはGoogle以外の企業として初めてこのAPIを採用するが、それはGoogleがWePayの顧客InvoiceASAPにアプローチした結果だ。Invoice ASAPはおよそ20万の中小企業に請求書に対する支払サービスを提供しているが、WePayがInstant Buy APIを採用したことにより、ユーザにはGoogle Walletによる支払が選択肢の一つとして加わることになる。

もちろん今日からはInvoiceASAPだけでなくWePayのそのほかの顧客…Care.com、Constant Contact、FreshBooks、GoFundMe、Meetupなどなどのユーザも、Google Walletによる支払を選べるようになる。

WePayの協同ファウンダでプロダクト担当VP Richard Abermanはこう言う、“GoogleはGoogle Walletを本気で普及させようとしている。うちがその最初の企業になったことは、嬉しいね”。

Googleがねらっているのは、たしかに今ではモバイル上で請求を受け取る人が増えているが、それに対する支払を同じくモバイル上でやろうとすると、かなり面倒なこと。Googleは、その面倒を解消することを商機として捉えている。

WePayによると、トランザクションの20%しかモバイル上で行われていないが、しかし請求の70%はモバイルに…メール等で…来ているのだ。たしかにGoogleが考えるとおり、このギャップは大きな商機だ。

“モバイルでの支払決済が、やりにくくてかったるいからだよ”、とAbermanは語る。

InvoiceASAPのファウンダでCEOのPaul Hoeperが、声明文の中でこう言っている: “支払決済は払う人にとってもお金をもらう側にとっても、できるだけやさしくしたい。でもモバイルでは、それが難しかった。クレジットカードの情報も、モバイルでの入力は難しいから、モバイルで決済トランザクションをやらない人が多かったのだ”。

GoogleがGoogle Walletをこれだけ熱心に広めようとするのには、たぶんもうひとつの理由がある。Appleが今広めようとしている支払決済のユーザ体験に、負けたくないのだ。

Appleは、同社のApple Payサービスを、PayPalと互角のメジャーなサービスに育てたいと思っている。物理店だけでなく、オンラインやモバイルでもユーザが簡単に支払決済のできるサービスとして、だ。WePayのAbermanによると、同社も今、Apple Payの統合に取り組んでおり、数か月後には供用開始できる、という。

Google WalletのInstant APIが今どれぐらい採用されているのか、またWePayのようなサードパーティの採用が今後どれぐらい増えるのか、いずれも明確な数字は得にくい。iOSがこのAPIをサポートしたのは、昨年の7月だった

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


eBay、PayPalの分社化を決定―「物言う株主」カール・アイカーンの持論通りに

eBayとPayPalは道を分つことになった。PayPalはeBayの傘下から抜けだして、独自の上場企業となる。eBay, Inc.とその取締役会による戦略的見直しの結果としてこの決定が行われた。これにより両社のビジネスが一層速く成長するようになることが期待されている。

このPayPalのスピンオフは、監督官庁の承認が得られば、2015年の第2四半期に完了する見込みだ。両社とも分離後は新しい CEOが任命される。 eBayではマーケットプレイス担当プレジデントのDevin Wenig、PayPalではプレジデントのDan SchulmanがそれぞれCEOとなる予定だ。

eBayの分社は「もの言う投資家」のカール・アイカーンを始め、多くの株主が期待し、あるいは要求していたものだ。eBayがPayPalを買収したのはeコマースの支払手段の効率化を期待してのことだったが、PayPalがモバイル支払の分野に進出して成功を収め、Braintreeを買収してOne Touchシステムを手に入れるなどしてからは、PayPalの将来戦略はeコマースを離れ、むしろ個人向けの総合支払いサービスに向かうようになった。

eBayはモバイル経由で年間200億ドルの売上を得ており、今日の同社の発表によれば、PayPalの急成長によって大きく支えられてきたという。一方、PayPalはeBayから分離することによって、AlibabaのようなeBayの強力なライバルとも提携できるようになり、成長の加速が期待されるという。

〔日本版〕Wall Street Journalの記事はTechCrunch記事とはややニュアンスが異なる。これによれば、Carl IcaanはeBayにとってPayPalが「お荷物」であり、分社化することによってeBayの会社価値が増大すると主張していたという。eBayのCEO、John Donahoeはこれまで何年にもわたってIcahnの主張に反対してきた。それがここに来て180度の方向転換となったのは、AppleがApple Payで、AlibabaがAlipayでオンライン支払いサービスに参入し、この分野の競争が急速に激化する兆候を見せたため、Icahnの方針に同意せざるを得なくなったということのようだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


PayPal、デジタル商品の販売にBitcoinを利用可能に

ウェブの重要な販売業者やプラットフォームにおけるBitcoinの勢いが加速している。

数週間前、PayPal傘下のBraintreeがデベロッパー向けに、Bitcoinベースの取引きを可能にした際にほのめかしていた通り、PayPalは、デジタル商品の売り手によるBitcoinの利用を可能にした

PayPalはかなり前からBitcoinに興味を示しており、eBayのCEO John Donahoeはかつて、Bitcoinは同社の将来にとって「重要な役割」を果たすと発言していた。今やOverstockからWikipediaまで、大物プレーヤーがこの暗号化通貨を取引きや寄付の手段として取り入れるており、PayPalも一歩踏み入れた形だ。

BitPay、CoinbaseおよびCoCoinとの提携によって、PayPalは同社の売り手がデジタル商品の取引にBitcoinを利用できるようにする。ただし、これは、PayPalのデジタルウォレットにBitcoinが加わるわけではなく、また当面は北米のみで利用できる。まだ、小さな一歩だ。

「デジタル通貨業界は非常に大きな支持を受けた」とGoCoinのCEO Steve Beauregardは言った。

PayPalは、紹介手数料の形で取引き売上を得る。これは支払いの世界ではよく見られる方式だ。

「PayPalは仲介者の役割を担うが、料金は売り手と支払い処理業者に任されている」と、PayPalの競合他社情報・経営戦略担当シニアディレクターのScott Ellisonは語った。

数週間前のTechCrunch Disruptで、BraintreeのCEO Bill Readyは、Bitcoinを支払い手段の一つとしてSDKに加える、と話した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


PayPal、 iPadベースのPOSレジのメーカーRevel Systemsと提携して現実店舗への進出に意欲

今日(米国時間10/14)、PayPalはiPadベースのPOSシステムのメーカーRevel Systemsと提携し、店頭POSレジ分野への参入をさらに一歩進めた。Revel Systemsは対前年比400%もの成長を記録しており、Dairy Queen、Goodwill、Popeyeなどの大手チェーン店をクライアントとしている。これまでPayPalはPOS分野に関して、最近独自ハードウェアのBeaconデバイスをローンチしたが、急成長を続けるSquareなどのライバルに対して内製の独自ハード、ソフトだけでは不十分だと気づいたもようだ。

この数ヶ月、PayPalはいくつかのPOSレジのメーカーと提携して既存システムにPayPalを追加させることに成功している。その中でも影響が大きいのは今年始めに発表されたNCRとの提携で、レストラン、駅、コンビニなどで広く利用されている老舗メーカーのレジ・システムでPayPalによる支払いができるようになった。

しかし今回のRevel Systemsこれまでとは異なる分野の支払いシステム分野で急成長している。Revelこの夏、シリーズBのラウンドで1010万ドルの資金を調達している。投資家はHungry JackのCEOで元McDonaldの東南アジア担当上級副社長、Tim Tigheと連続起業家のSean Tomlinsonだ。

Revelは2012年12月当時、TechCrunchの取材に対して「われわれはすでに黒字化を達成している。今回の投資はもっぱら成長を加速するために利用される」と説明した。

Revelは2010年でサンフランシスコで創立され、レストラン、食料品店など各種店舗を中心iPadベースのPOSレジ・システムを販売している。単に売上処理だけでなく、給与管理、在庫管理、顧客管理などのサービスも提供している。先月はアラバマ州立大学と契約を結び、iPadベースのポスレジをフットボール競技場の30箇所の売店に設置した。

Revelとの提携によってPayPalは多様な現実店舗での支払業務に進出する重要な足がかかりを得たことになる。PayPalは最近いくつかの有名ブランドのチェーン店と契約して、アメリカ中、何千箇所もの目立つ場所でPayPalによる支払いを行えるようになった。また最近スタートしたPayment CodeはユーザーのスマートフォンにQRコードを生成し、店舗側のスキャナーで読み込むというユニークな支払テクノロジーだ。

Revelは現在、サンフランシスコ、サンノゼなどに100人人の社員がおり、年商30万ドル以上のクライアントが2000社ある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

jp.techcrunch.com/achve

Amazon IDでサードパーティのサイトで支払ができる‘Login and Pay with Amazon’ がスタート

今日(米国時間10/8)、AmazonはMoney 2020カンファレンスでLogin and Pay with Amazonというサービスを発表した。このサービスのパートナーとなったウェブサイトの訪問者はPay with Amazonというボタンを」クリックするだけで一切の支払手続きが済んでしまう。クレジットカード情報を入力したりPayPalサイトに移動したりする必要がない。ライバルの支払サービスには大きな打撃となるかもしれない。

Amazon Payments担当副社長のTom Taylorは今日発表されたプレスリリースで次のように述べている。「Amazonには2億1500万人の活動中の顧客アカウントがある。eコマース企業はLogin and Pay with Amazonを利用することによってAmazonの何百万という顧客を自らの顧客に変えることができる。顧客はAmazonのパスワードと支払情報を利用してパートナーサイトで支払いができる。つまりAmazonへの単一のログインで安全、確実、スピーディーなショッピングが可能となる」

これからは多くのオンライン・ショップの画面の下部にクレジットカードやPayPalと並んでPay with Amazonのボタンが表示されることになりそうだ。

Amazonはしばらく前から支払サービスを提供している。たとえばKickstarterなどが良い例だが、ユーザーがAmazonにログインして支払を行うと約束のプロダクトが発送された時点で引き落としが行われる。またAmazonは最近デベロッパー向けにオンラインゲームやコンテンツなどのサイトでのユーザー認証にあたってAmazon IDが利用できる‘Login with Amazon‘というサービスを開始した。Login and Pay with Amazonはこの2つのサービスを巧みに結合したものといえる。Amazonの支払システムとシンプルなoAuth認証の組み合わせはデベロッパーにもユーザーにも大いに魅力的だろう。

Pay with Amazonのローンチ・パートナーの一つはGogoで、同社すでに航空機内でのWiFiサービスの課金にAmazon Paymentsを利用している。Pay with Amazonボタンの導入も年内に行われる計画だ。Amazonでは「この支払システムを利用した購入者はAmazon.comでの購入者と同様のA-to-z保証によって保護される」としている。

オンライン支払にあたってはサービスに対する信用が極めて大きな要素となる。PayPalが現在の地位を築いたのもクレジットカード情報を入力するより安全性が高いという信用を得たからに他ならない。

Squareも‘デジタル支払サービスの主流になることを狙っている。PayPalに先を越されてしまったが、Squareもクロスサイト支払テクノロジーを持つBrainTreeの買収に関心を持っていた。現在Squareはあらかじめ定型化されたストアとSquareによる支払機能を組み込んだオンライン・ショッピング機能を開発中だといわれる。われわれがSquareに取材したところ11月には何か発表があるだろうということだった。

AmazonはAppleに次ぐ規模の巨大な顧客情報を持っている。Appleは5億7500万のアカウントを持っている。これまでAmazonは顧客アカウントの数を発表してこなかったが、上記のとおりTaylorは2億1500万という数字を挙げた。ちなみにAppleは今年のWWDCで「われわれが知る限りAppleが最大の顧客情報を持つオンラインストアだ」と述べている。Amazonの顧客ベースがサードパーティーのサイトでも利用できることになれば影響は巨大だ。

技術的な面ではこのサービスはウェブ、Kindle、iOS、Androidのいずれでもシームレスに作動するという。料金体系はごくシンプルで、2.9%プラス1件ごとに0.30ドル、ただし取引量に応じて減額される。Login and Pay with Amazonに関心があるデベロッパーはこちらでAPIの詳細をチェックできる

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook、PayPalらと提携してモバイルアプリで支払い情報を「オートフィル」

Facebookは、あの小さな画面に詳細な支払い情報をタイプするのをやめ、デベロッパーや支払いサービスがもっと儲かるよう手助けし、さらには自社のアプリインストール広告がEコマース会社に収益をもたらすことを証明したいと思っている。そして今日(米国時間9/23)Facebookは、PayPal、Stripe、およびBraintreeとの提携によって、JackThreadsとMosaicという2種類のEコマースアプリで、先月テストした「Facebookでオートフィル」(Autofill With Facebook)を提供開始する。

この機能は支払いプロバイダーと提携して行わるもので、少なくとも現時点では、競合ではなく互助的であることを理解する必要がある。いつの日かFacebookが、自身で支払い処理を行い支払いフローを支配しようとする可能性はある。しかし今のところ、もしデベロッパーがPayPalとそれに被せた「Facebookでオートフィル」レイヤーを使用した場合は、手数料はやはりPayPalに入る。3社のパートナーは近々2社になるかもしれない。本誌が報じたように、PayPalはBraintreeの買収間近であるかもしれない。

「Facebookでオートフィル」のデモはすぐに見ることができる。「初期テスト」とFacebookが呼ぶものは、Mosaic(フォトブックの購入)およびJackThreads(流行ファッション)のiOSアプリで、一部のユーザーには今日から、またFacebookに支払い情報を登録しているユーザーには今週中に提供される。Facebookの支払い情報はここで追加できる

これまでこのテストは、JackThreadsユーザーのごく一部の早期ベータテスターのみが利用できた。デベロッパーは今後のアクセスのためにサインアップできるが、承認されるまで機能は利用できない。

「Facebookでオートフィル」を使ってみる

ユーザーから見たしくみは次の通り。Eコマースアプリの買い物客は商品を眺め、いつものように商品をカートに追加する。しかし、以前デスクトップでFacebookギフトやクレジットを買ったりゲーム内購入を行い、Facebookに支払い情報を登録した人には、ここで何か違うことが起きる。

その人たちがチェックアウトしてクレジットカード番号や住所などの支払い情報を入力する画面に行くと、「Facebookで高速チェックアウト」というメッセージと、ブルーの「あなたの情報をオートフィル」ボタンが画面トップからスライドしてくる。タップすると、ユーザーはFacebookのiOSアプリに飛ばされ、支払い情報の詳細を確認し、送付先住所を選択できる。

「OK」をタップすると、バックエンドではFacebookとアプリデベロッパーの支払いプロセスが「ハンドシェイク」を行い、クレジットカードその他の情報が安全に転送される。フロントエンドでは、安全のためカード番号の下4桁のみが表示される。この後ユーザーが買い物アプリに戻されると、入力フィールドには支払い情報が事前入力されている。こうして、ユーザーは一文字もタイプすることなく購入を承認できる。

Facebookが自分のクレジットカード情報をたらい回しするのは気味が悪い、と感じる人たちは必ずいるだろうが、実際にはこのソーシャルネットワークのデータセキュリティー実績は比較的堅牢だ。たまの不具合バグはあるが、TwitterLinkedInで起きたような大規模なパスワードハッキングは起きてない。しかし、もしFacebookが世界を支配することを恐れているなら、このテストは間違いなく、あなたが何を買うかを彼らがより多く知るようになる前兆だ。ただしFacebookの株を持っている人にとっては朗報かもしれない。

Facebookコマースの大きな夢

ユーザーにとって、これはモバイルをより早くよりシンプルに変えるものだ。これは気を散らされたり考え直す前に、購入を完結する可能性が高くなることを意味している。Eコマースアプリの開発者は、コンバージョン率の増加によってより多く稼ぐようになる。

支払いプロバイダーにとっては、支払い件数が増えより多く手数料を得ることができる。
Facebookにとって、これは「作る ― 伸ばす ― 収益化する」プラットフォーム戦略の一環だ。あなたがオートフィルで買い物した時、Facebookは、あなたが誰でいくら使いどのアプリを利用したかを知っている。これは、アプリインストール広告の投資効果を証明する上で決定的に重要だ。もしJackThreadsが、アプリをダウンロードさせるためのFacebook広告に1ドル払っていて、クリックしたあなたが5分後にJackThreadsで25ドル使ったことをFacebookが知れば、FacebookはEコマースアプリの開発者にこれが価値ある広告であることを説得し、さらにキャンペーンを売り込むことができる。

Facebookの支払いサービス責任者のDeb Liuに、PayPalその他の支払いプロバイダーと協力していることについて尋ねたところ、彼女はこう説明した。「われわれは同じ問題を解こうとしている。デベロッパーの収益化とコンバージョンを手助けすることだ。コンバージョンが増えれば、BraintreeやStripeやPayPalが扱う支払い件数は増える[そして手数料収益が増える]」

そしてLiuは、現在FacebookはEコマースの別の問題を見極め、解決しようとしているところだと言った。「コンバージョンの壁が高いのはモバイルであり、そこは将来消費者が向かう場所だ。これを驚くべくモバイル製品にすることは非常に重要だ。それでも、いつかこれをデスクトップで行う可能性もわれわれは捨てていない」。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)