Kubernetesを使用したクラウド開発を容易にするGravitationalが27億円超を調達

このところますます、マルチクラウドの世界になるにつれて、クラウド間でのアプリケーションの移動という問題が生じてきた。この問題の解決を目指すGravitationalが(グラヴィテーショナル)は米国時間11月20日、シリーズAラウンドで2500万ドル(約27億円)の資金調達を発表した。

このラウンドはKleiner Perkinsが仕切り、S28 CapitalとY Combinatorが参加した。同社によると、これで同社の総調達額は3100万ドルになる。

Gravitationalの共同創業者でCEOのEv Kontsevoy(エヴ・コンツェボイ)氏によると、彼の会社はクラウドのポータビリティをめぐる2つの大きな問題を解決する。同氏は「互いに異なるクラウドプロバイダ間には当然違いがある。アプリケーションがそれぞれのクラウドへの依存性を持つからだ。アプリケーションはクラウドプロバイダーの能力に依存し、今日ではクラウドプロバイダーがそのインフラストラクチャの一部としているさまざまなミドルウェアソフトウェアに依存しているだろう」と語る。依存性、つまりディペンデンシーがあるから、新たなコードを書かずにアプリケーションを移動することが困難になる

そして彼によるもう1つの問題は、アプリケーションをクラウドにデプロイした後の、その後の管理と関係がある。それは大きなオペレーションチームを必要とする。しかし、大量の人材を簡単に集めることはできない。

これらの問題を解決するために、GravitationalはKubernetesに目を向ける。顧客は、Kubernetesを使ってソフトウェアを作るべきだ。それはオープンソースのソフトウェアで、しかもスタンダードだ。最初からクラウドのディペンデンシーの中で作る代わりに、完全にバニラ(原型のまま)のプログラムを作る。

コンツェボイ氏は「クラウドのことをまったく気にせずにアプリケーション開発をスタートする。最初から特定のクラウドのアカウントなんかあってはならない。アプリケーションがKubernetesの上で動くことを確認し、ソフトウェアのディペンデンシーのすべてをKubernetesの中へパッケージする。できるかぎりオープンソースのソフトウェアとオープンスタンダードを使うのだ」と語る。

彼によると、Kubernetesはアドミンの苦労がほとんどないソフトウェアを作らせてくれる。そしてそれから、GravitationalのGravityツールを使ってそのソリューションを単一のファイルへパッケージする。それならどんなクラウドへも、あるいはプライベートなデータセンターでもデプロイできる。1990年代みたいに、ソフトウェアをダウンロードで提供することすらできる。

彼の視界の中で企業は今、Kubernetesを使ってコンテナ駆動型のソフトウェアへ移行しつつある。そしてそうすることによって、個別のクラウドプロバイダーへのディペンデンシーをGravityなどのツールにより破壊できる。

本当にそのとおりなら、なかなか素晴らしい。Gravitationalは社員数20名で、有料顧客は約100社だ。同社は、GravityとGravitational Teleportという2つのツールをオープンソースで提供している。同社はY Combinator 2015の卒業生だ。

関連記事:ひとつのソフトウェアのクラウドバージョンとオンプレミスバージョンを単一のコードベースから開発できるGravitationalのデベロッパサービス

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ビデオによるオンデマンド獣医サービスのFirstVetが世界市場を目指す

ペットの飼い主にオンデマンドのビデオで各地の獣医によるコンサルテーションを提供するスウェーデンのFirstVetが、シリーズBのラウンドで1850万ユーロ(約22億4000万円)の資金調達を完了した。

このラウンドをリードしたのは、カナダの年金基金であるOmersのベンチャー部門のOmers Venturesで、同社は最近、ヨーロッパのテクノロジースタートアップに投資するための3億ユーロ(約36兆円)のファンドを立ち上げたばかりだ。FirstVetのシリーズAを支援したCreandumもこのラウンドに参加し、同社の調達総額は2450万ユーロ(約30億円)に達した。

FirstVetによると、今回の資金でサービスのグローバル展開が可能になる。今後狙っている市場は米国とドイツとフランスだ。また製品開発も継続し、ペットの飼い主と獣医双方の体験を改善する新しい機能を導入していく。それには今後の自動化ツールと、それらの動物病院の既存のシステムとの統合が含まれる。

ストックホルムで2016年に創業したFirstVetは、登録獣医によるオンデマンドのビデオコンサルテーションにより、ペットケアへのアクセスを広げることを望んでいる。同社が現在操業している市場は、英国、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、そして母国スウェーデンの5つだ。登録ユーザーの合計は20万人を超えている。登録獣医は150名いるが、その数はコンスタントに増え続けている。

FirstVetのCEOで共同創業者のDavid Prien(デビッド・プリーン)氏は、2018年6月のTechCrunchで「私たちは既存の動物病院を補完するものであり、それらに代わるものではない。飼い主からの質問でいちばん多いのは、胃腸関連や傷、そして皮膚/毛/耳関連だ。私たちのメインの目的は、飼い主にとって自然な最初の接触点であることだ」と語っていた

市場への経路としてFirstVetは各国の計20社あまりの大手保険会社をパートナーにしている。例えば英国のBought By Manyは、ペット保険加入者へのおまけとしてFirstVetのサービスを提供している。

Omers Venturesのトップで新たにFirstVetの取締役会に加わったHenry Gladwyn(ヘンリー・グラッドウィン)氏は 「Omers Venturesはテクノロジーの世界のとびきり優秀な起業家やチームに投資し、彼らのパートナーになっている。そのような私たちにとってFirstVetは、完全にフィットしている。スタートアップがその中で操業している業界のエコシステム全体に本物の価値を提供している例は極めて稀だが、FirstVetはペットの飼い主にとって急速に他に代わるもののないサービスになりつつある。また同社は、獣医師や動物病院や保険企業にとって信頼できるパートナーだ。FirstVetには、オンデマンドのビデオによる獣医予約のグローバルなリーダーになるという意欲がある。弊社がその目標達成を支援できる立場にいることは、まことに喜ばしい」と述べている。

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クラウドキッチンがラテンアメリカで大流行、フードデリバリー競争が激化

クラウドキッチンがラテンアメリカで大流行している。フードテックのスタートアップであるMuyは、1500万ドル(約16億3000万円)のシリーズBを調達して、本拠地のコロンビアからメキシコと、もうすぐブラジルにも進出しようとしている。

ある投資家は「MuyはクラウドキッチンのChipotle(チポトレ)だ」、と言う。同社自身によると、Muyは仮想キッチンとスマートシェフのシステムであり、AIを利用して需要を予測し、それに基づいて料理を作るから食材の無駄が少ないという。スペイン語の「muy」は英語の「very」に相当し、顧客は同社の実店舗やモバイルアプリから自分の好みに基づくオーダーをする。Muyのやり方を他社のおよそ20の実店舗レストランが早くも採用して、早くて作りたてで個人化された料理を顧客に提供している。Muyの創業者であるJose Calderon(ホセ・カルデロン)氏によると、同社は1か月に20万食以上を顧客に提供している。

このラウンドをリードしたのはメキシコの投資家ALLVPで、これまでの投資家であるSeayaも参加した。これでMuyの資金調達総額は2050万ドルになる。

カルデロン氏は、テイクアウト分野の新人ではない。前にはコロンビアのオンラインフードデリバリーサービスのDomicilios(ドミシリオス)で4770万ドル(約51億8400万円)を調達し、その後それはDelivery Heroに買収された

デリバリーのアプリは大流行のため顧客を奪い合う競争も激しいが、それは米国だけでなくラテンアメリカにも飛び火している。サンパウロやメキシコシティ、ボゴタなどの渋滞したハイウェイには、RappiやUberEATSなどデリバリー企業の配達員のバイクがたくさんいる。

カルデロン氏によると、クラウドキッチンによって過密都市におけるオンデマンドのオーダーとデリバリーがより効率的になる。それぞれの国で増え続けている中間層は、通勤時間が長いので家にいない時間が12時間を超えている。食事はデリバリーに依存せざるをえないが、それもできるだけ短時間ですませたい。というわけで、フードデリバリーの進化形であるクラウドキッチン(職域地区にある共用キッチン)の利便性が歓迎される。

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MUYの顧客はコロンビアの実店舗で注文している様子

本格的なレストランは高いし時間を浪費する。軽食レストランは料理の質がいまいちだ。カルデロン氏によれば、そこで昼食市場の大部分、およそ40%は職場へのデリバリーだ。でも彼によると、今後可処分所得が増えれば多くの人が家で料理をしなくなり、Muyのような早くて高品質なサービスを利用するだろう。

クラウドキッチンは、複数のレストランオーナーが共用する本格的な業務用キッチンだ。それに対して米国の投資家はまだ迷っている。ジャーナリストたちはこの仮想スペースのことをゴーストキッチンと呼び、個人経営のレストランにとって脅威と見ている。TechCrunchライターのDanny Crichton(ダニー・クリクトン)は、「クラウドキッチンはレストランのキッチンのWeWorkだ」と書き、「この共用型のキッチンの登場によって突然、フードデリバリーサービス間の戦争が起きている」と言っている。どのサービスもクラウドキッチンで配達品を気軽に調理できるから互いに市場拡大が生じているようだ。

一部の批判にもめげず、米国とラテンアメリカではクラウドキッチンとそれを利用するデリバリーサービスが急増している。カルデロン氏によると、ラテンアメリカのフードサービスの市場機会は2021年に2700億ドル(30兆円)に達する。

ラテンアメリカの市場は小さな企業同士がしのぎを削っているという。上位10社のチェーンを合わせても、そのマーケットシェアは5%だ。米国ならそれは24%に達している。「米国では大手による吸収合併が進み、中小企業が押されている」と彼は語る。

そしてその既存大手が、クラウドキッチンに手を出そうとしている。今年の春にAmazonは、2018年に初めての共用キッチンをパリに開いたDeliverooに5億7500万ドル(約62億5000万円)を投資した。CloudKitchensの持株会社であるCity Storage Systemsは、Uberの創業者で元CEOのTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏から1億500万ドル(約114億円)の支配株で支援された。

良くも悪くも米国とアジアと、そして今度はラテンアメリカで、デリバリーサービスとクラウドキッチンは食事に革命をもたらしている。グローバルなデリバリーサービスやクラウドキッチンの勝者や、市場を支配する既存大手はまだ登場していないが、私たちが知ってるのは、昼食を食べることは誰にとっても必要ということだ。

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43億円超を調達してHadoopから大ピボットを敢行したDatameerに投資家たちが期待

Datameerは、オープンソースのHadoop(ハドゥープ)プロジェクトに乗っかってデータ準備サービスを提供するスタートアップとして誕生したが、このほど4000万ドル(約43億5200億円)の投資を発表してHadoopからの大ピボットを敢行した。ただしこれまでと同じくビッグデータの仕事をしていくことには変わりない。

この投資は、同社の従来からの投資家であるST Telemediaがリードした。ほかにも既存の投資家Redpoint VenturesやKleiner Perkins、Nextworld Capital、Citi Ventures、およびTop Tier Capital Partnersらがこのラウンドに参加した。Crunchbaseのデータによると、同社の調達総額はこれで1億4000万ドル(152億3100万円)近くになる。

CEOのChristian Rodatus(クリスチャン・ロダトゥス)氏によると、同社の最初のミッションはHadoopをデータサイエンティストやビジネスアナリスト、それにエンジニアなどの人々にとって容易に利用できるようにすることだった。しかし昨年は、最大のHadoopベンダーである3社、ClouderaとHortonworksとMapRを不運が見舞った。その結果ClouderaとHortonworksは合併し、そしてMapRはHPEに安値で売られた

2年近く前に誕生したDatameerはこの状況を見て、自分も変わるべき潮時だと悟った。そこでまず、2つの新しいプロダクトの開発を始めた。これまでの顧客を失いたくはないので、同社のHadoopプロダクトの改造に着手し、それを今ではDatameer Xと呼んでいる。それは現代的なクラウドネィティブのプロダクトで、人気の高いオープンソースのコンテナオーケストレーションツールであるKubernetesの上で動く。HadoopではなくApache Sparkを使う。このピボットの3分の2は完了しており、すでに顧客の手に渡っている。

同社は、まったく新しいSaaSツールであるNeeboも発表した。これはデータサイエンティストに、どこから得たデータであっても処理できる能力を与える。ロダトゥス氏によると、これからはますます雑多なデータを相手にしなければならない。普通のデータもあれば、データアナリストやデータサイエンティストがPythonで書いたコードもある。SaaSのベンダーのダッシュボードにもデータがある。Neeboはこれらすべてをマネージドサービスの中でまとめて、データサイエンティストがインサイトを得られるようにする。TableauやLookerのようなデータ視覚化ツールも使える。数週間以内に一般公開できる予定だ。

このピボットをやり終えるためにも、今度の資金は重要だ。技術者を増員して工程を継続し、マーケティングと営業を充実して新製品を売っていきたい。楽にできるピボットというものはないけれども、でも投資家たちは同社が既存の顧客をベースに成長できる、と期待している。それに一般的にも、データサイエンスのためのツールにはこれからますますニーズがあるはずだ。同社の今後を見守りたい。

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理想のCMS開発運用環境としてサーバーレスを目指すWebinyが3700万円超を調達

英国ロンドンでサーバーレスのコンテンツ管理システム(CMS、Content Management System)を開発しているWebinyが、EUの投資企業Episode 1から34万7000ドル(約3700万円)のシード資金を獲得した。

Webinyの創業者であるSven Al Hamad(スベン・アル・ハマド)氏によると、Webinyはサーバーレスの環境用に作られた初めての本格的なCMSだ。「つまりWebinyはゼロからの完全に新規の開発であり、サーバーレスのファンクションの中でのみ動くアーキテクチャだ」と彼は語る。

同社はサーバーレスのウェブ開発ツールのニーズがあることに着目して、その構築を決意したアル・ハマド氏は「一点集中化がウェブ開発の未来だと信じているから、そのコミュニティを支援して思想を広めるために、最初のサーバーレスのコンテンツ管理システムを作り、それをオープンソースにした」と語る。

サーバーレスは、サーバーがないという意味ではない。その意味は、デベロッパーがサーバーなどのインフラストラクチャのリソースには一切配慮しないということだ。インフラの面倒はすべてクラウドのプロバイダーが担当し、何がどこにどれだけ必要かなどを判断して決める。インフラのスケールアップもダウンも自動的に行われる。

同氏が着眼したように、サーバーレスの理想的なユースケースはウェブサイトだ。彼によると、トラフィックが大洪水になるブラックフライデーのeコマースでは、クラウドサービスはニーズに対応してサーバーの容量をどんどん増やし続ける。サーバーレスのアプリケーションなら、デベロッパーから見てそれが完全に自動的に行われる。自分がサーバーを手作業で手配する必要がないし、トラフィックが落ち着いたときのリソースの削減についても同様だ。

サーバーレスの2大アドバンテージは、まず大きなDevOpsチームを確保して仮想マシンの確保などオペレーションサイドの作業をやらなくても済む。そしてデベロッパーはリソースについて悩む必要なく、自分の理想のウェブサイトを作ればいい。

「結果的にデベロッパーは新しいものを大量に速く作れるし、サーバーやネットワークの手配確保構成、ロードバランシングなどを一切やらないので、すべての時間をコンテンツの創造に費やせる」と彼は言う。

目下同社はユーザーのコミュニティづくりに専念しているが、今後は企業ユーザーにコンサルティングやサポートサービスも提供していきたいとのこと。

コンテンツ管理システムは、ウェブサイトを管理する低レベルのソフトウェアだ。有名な製品として、WordPressやDrupalなどがある。アル・ハマド氏によると、彼の企業のアイデアはニーズから生まれた。彼がある企業でウェブのデザインや開発をやっていたとき、既存のCMSに対するフラストレーションが溜まった。そしてデベロッパーが余計なことに時間と精力を取られない理想の開発方式としてサーバーレスに注目し、自分の会社Webinyを作ったのだ。

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オープンソースプロダクトをより使いやすくするツール開発のGrafana Labsが26億円超を調達

オープンソースのデータ可視化・グラフ化ソフトウェアであるGrafana(グラファナ)の商用利用をサポートするGrafana Labsが、シリーズAで2400万ドル(約26億円)の巨額を調達した。Lightspeed Venture Partnersがラウンドをリードし、Lead Edge Capitalが参加した。

CEOで共同創業者のRaj Dutt(ラジ・ダット)氏によると、同社はオープンソースのGrafanaツールに商用のレイヤーを提供するスタートアップとしてスタートしたが、今ではオープンソースのモニタリングツールであるLokiなど、そのほかのプロジェクトもサポートしている。LokiはPrometheusに似ているが、Grafana Labsの自作ソフトウェアだ。

同社はこれらのサービスを動員してデータソースに接続し、データをモニタしている。ダット氏は「Grafanaは、データがどこにあってもそれらに接続する。独自のデータベースであっても、オンプレミスのデータベースであっても、あるいはクラウド上のデータベースでもだ。Grafanaが同時に接続できるデータソースは42種類以上ある」と説明する。

でも同社は、それ以上のものに成長した。同社によるとそのプロダクトセットは「さまざまなプロダクトを単一の提供物へと統一している。それは、世界初のユーザーが自由に編成できるオープンソースの観測プラットホームであり、Grafanaを主軸としてメトリックスやログ、トレースなどのデータを一元的に扱える」。

実は、モニタリングとロギングの伝統的なツールであるElasticやNew Relic、Splunkなども、今年はそんな一元的な方向へ進もうとしている。メトリックスやロギング、トレーシングなどを一体化したデータ分析や可視化のことを観測ないし観測性(Observability)という言葉で呼んでいる。

Grafana Labsはオープンソースプロジェクトの商用部門で、その上に構築した2つのプロダクトがある。まずGrafana Enterpriseにはエンタープライズにフォーカスしたデータコネクターと、強化された認証とセキュリティ、そしてオープンソースよりも充実したエンタープライズクラスのサポートがある。

GrafanaのSaaSバージョンもあり、それは完全な管理を伴い、オープンソースのダウンロードやインストール、管理、アップデート、パッチなどに伴う面倒がない。面倒はすべて月額料金でSaaS側が見てくれる。

ダット氏によると、最初の5年間では外部資金を400万ドルを導入しただけだが、社員数100人、顧客数500社にまで成長できた。彼の自慢はキャッシュフローが現状でとんとんであることだ。

そして近年Grafana Labsは、そろそろ大きな資金を得て成長を加速すべき段階だ、資金がなくてできなかったこともできる、と決意した。ダット氏は「オープンソースのコミュニティとそのマインドシェアにより、企業価値創成の善循環ができている。それは、持続可能なビジネスを築けた、ということだ。今後はその循環を加速していきたいので、思い切った資金調達を行なった」と語る。

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動物と飼い主と獣医師にとって快適な動物病院を目指すModern Animal

ペットと飼い主と獣医師の三者を平等に幸福にしたいと願うスタートアップであるModern Animal(モダン・アニマル)が、1350万ドル(約14億6700万円)のシード資金を獲得して来年初めに、米国ロサンゼルスに最初の開院を目指す。シードラウンドをリードしたのはFounders Fundで、Upfront VenturesやSusa Venturesなどが参加した。

創業者のSteven Eidelman(スティーブン・エデルマン)氏は、前に犬の運動量を測るスタートアップWhistle(ホイッスル)を創業し、のちにそれをPetcare(ペットケア)に売却した。Modern Animalは、次世代の動物病院を目指している。ペットのためのOne Medicalと考えてもいいかもしれない。獣医師は全員がフルタイムの正社員で、同社の株を保有する。

エデルマン氏はTechCrunchに対して「One Medicalと似ているといえば、うちもテクノロジーとデザインの両面でケアのあり方を抜本的に変えようとしている。One Medicalとの共通点は多い」と語る。

Modern Animalを率いるのは獣医学博士のChristie Long(クリスティ・ロング)氏で、前はペットショップ大手のPetcoの獣医学部長だった人だ。Modern Animalは年額100ドルの会費制で、すべての検査が無料、ネット利用も含め1日24時間週7日のケア、アプリからの処方リクエストとデリバリー、などのサービスを提供する。そのほかの診療サービスは有料だ。

エデルマン氏は「弊社の目標は市場に合わせることなので、高額なペットケアサービスは提供しない。最良のケアをもっとも効率のいいシステムで提供したい。長期的な低コストを支えるのは、そのような効率性だ」と説明する。

Modern Animalの最初の診療所は歯科と外科もあるが、入院サービスはない。同氏による「緊急治療室のようなものはないし、そのための専門医もいない。高度なケアが必要な動物には、救急医や専門医を紹介する」とのこと。

同社は、今後の5年間で米国に50カ所の開院を目指している。どの院も環境への配慮を重視し、例えばフロントで電話の呼び出し音がけたたましく鳴ったりしない。犬と猫を同じ場所に居させない。犬は平気でも猫アレルギーの人とか、その逆もいるからだ。また動物たちの間にも、さまざまな相性がある。

「動物のための安全で快適な環境を作りたい。それに動物病院では、本当に優れたケアは人間へのケアも含む」とエデルマン氏は主張する。

画像クレジット: TechCrunch/MRD

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電気自動車充電インフラの世界標準化を目指すEV Connectに三井物産らが戦略的投資

電気自動車の充電を管理するソフトウェアを販売している米国ロサンゼルス拠点のEV Connectが、三井物産株式会社とEcosystem Integrity FundがリードするシリーズBのラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達した。同社のこれまでの調達総額は、2500万ドル(約27億円)になる。

EV ConnectのCEOで創業者のJordan Ramer(ジョーダン・レーマー)氏は「EV Connectのクラウドプラットホームはオープンスタンダードのアーキテクチャにより、ハードウェアを特定しない。すなわちEV Connectはさまざまなハードウェアベンダーに、充電ステーションをモニタ、管理、メンテナンスする方法を提供する。その究極の目標は、業界を各社バラバラの閉じたシステムから解放してオープンなシステムに統一することだ」と語る。

EV Connectのアプローチは二段構えだ。同社はそのネットワーク上で、現状で1000の電気自動車充電サイトを提供し管理している。一方で同社はスマートフォンのアプリにより、電気自動車のドライバーに充電ステーションの状態へのリアルタイムのアクセスを与える。

スマートフォンアプリのほかに、企業がカスタマイズして利用するクラウドベースのソフトウェアもあり、その現在の顧客には Yahoo!、Marriott(マリオットホテル)、Hilton(ヒルトン)、Western Digital(ウエスタンデジタル)、ロサンゼルス都市圏交通局、ニューヨーク電力公社などが名を連ねる。

この投資ラウンドの一環として三井物産とEV Connectは、電気自動車の充電インフラストラクチャの新しいビジネスモデルの共同開発で協定を結んだ。EV Connectは三井物産との協働により電気自動車の充電に関わるさまざまなアプリケーションを開発して、充電のコストを下げ、利用の最大化を目指す。その研究開発の主な対象は、企業や団体の全車両管理やエネルギー管理などだ。

三井物産のインフラストラクチャプロジェクト事業部最高執行責任者である中井一雅氏は「EV Connectのインフラストラクチャ管理技術は、三井物産の従来から強い分野でありパートナーも多いエネルギーと電力業界における電気自動車革命を加速すると確信している。弊社のユニークなエンジニアリング能力とEV ConnectのクラウドベースのEVインフラストラクチャが合わされば、EVのインフラストラクチャが現在エネルギー管理企業に課している課題を解決する新しいビジネスモデルの開発が可能になる」と声明でコメントしている。

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高度なAPIやJSライブラリを使う現代的なウェブサイト作りを助けるGatsby

ReactやGraphQLのような現代的なウェブの技術を使ってよりよいサイトをより速く作れるプラットホームであるGatsbyは(ギャッツビー)米国時間9月26日、CRVがリードするシリーズAラウンドで1500万ドル(1億6200万円)を調達したことを発表した。これまでの投資家のTrinity Ventures、Mango Capital、Fathom Capital、Dig Venturesに加え、KongのCEOであるAugusto Marietti(アウグスト・マリエッティ)氏とAdobeのCPO Scott Belsky(スコット・ベルスキー)氏も参加した。同社のこの前の資金調達は380万ドルのシードラウンドだった。

Gatsbyは広く知られている名前ではないが、2015年のローンチ以来急速に成長した。今やIBM、PayPal、Braun、Airbnb、Impossible Foodsなどもユーザーだ。同社によると。上位1万のウェブサイトの約1%は、このプラットホームを使って作られている。同社を使うことのアドバンテージは、古臭いLAMPスタックを使わずにすみ、現代的なオープンソースのツールと実践的技術をベースとする、より現代的なスタックを使えることだ。Gatsbyはまた、 一枚岩的なCMSシステムを避け、もっと多様なツールを使うが、それでもなおWordPressやDrupalのようなプラットホームを使って、基本的にヘッドレスなCMSシステムを作れる。その場合Gatsbyは、そのCMSのためのプレゼンテーションレイヤになる。

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Gatsbyの創業者でCEOのKyle Matthews(カイル・マシューズ)氏は「私たちは4年という年月を費やしてGatsbyを、現代的なウェブサイトを作るための最も総合的なプラットホームに育てた。これまで企業が実装に何か月も何年もかけて、最先端のウェブスタックを使って作っていたようなものが、Gatsbyなら簡単に作ってデプロイできる」とコメントしている。

Gatsbyそのものは、オープンソースのプロジェクトGatsbyJSがベースとなっている。同社によると、このプロジェクトには開始以来2500名以上の人びとがコントリビュートしている。マシューズ氏によると、今ではGatsbyは各種のオープンソースプロジェクトに年間約300万ドルをコントリビュートしている。その中にはGatsbyのコアツールや、プラグインのエコシステムもある。

類似のオープンソースプロジェクトがそうであるように、Gatsbyも収益源は企業向けの有料お助けサービスだ。それにより企業のデベロッパーチームは、新しいサイトを迅速に立ち上げることができる。料金は1つのサイトにつき月額50ドルからだ。

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ユーチューバーのCaspar Leeがインフルエンサーマーケティングのプラットホーム立ち上げ

ソーシャルメディア上ではインフルエンサーたちがますます力を揮っているが、企業がこれらのスターを起用して製品をプッシュしようとすると、いくつかの問題にぶつかる。まず、マーケティングのツールとそのプロセスがバラバラで混沌としている。

インフルエンサーの力を借りたキャンペーンは控えめに言っても、消費者の信用を得るほどのクオリティーとクリエイティビティを備えるのが難しい。それにインフルエンサーが勧めるブランドは、彼らがそれを本当に好きだからという雰囲気が重要だが、そうでない場合も多い。

これは厳しすぎる言い方だろうか?一部のソーシャルインフルエンサーたちは自分が本当に推したい製品だけを取り上げようとする。しかし多くは、ただお金のために製品を褒めちぎるからすぐバレる。なるべく上品な言葉で言えば、結果的にクソみたいなショウばかりになる。でも中には、このかったるい状況を変えようとしているスタートアップも存在する。

インフルエンサーをそのまま社名にしてしまったInfluencerは、ソーシャルメディア上のインフルエンサーマーケティングのプラットホームで、このたびPuma Private EquityがリードするシリーズAのラウンドで300万ポンド(約4億円)の資金調達を完了した。

このプラットホームは広告主とクリエイターの両方にとって、インフルエンサーマーケティングを単純化する。そのために広告主、すなわち企業やブランドには、ファーストパーティーのデータを基にした本物のクリエイターたちのネットワークにアクセスさせる。そのネットワークをベースに、クリエイターの発見と彼らとの関係管理、キャンペーン管理、キャンペーンの結果報告、そして次に何をすべきかの知見が統合される。

インフルエンサーマーケティングの主な競争相手は、Whalar、Tribe、Takumi、Influential.co、FameBitなどだ。

しかし彼らとInfluencerが違うのは、必要な大量の要素を1カ所にまとめて、セルフサービス的な利用や十分に管理されたキャンペーンを可能にしているところだ。ホワイトレーベル的(無印的)なソリューションも、いくつか揃えている。

Influencerはこれまで、BoohooやAlibaba、Pepsi、Starbucks、Pantene、Uber Eats、PrettyLittleThing、Apple Musicなどの顧客に、ソーシャルメディアのインフルエンサー経由のオーディエンスとの接点を提供している。

同社は2017年に、当時23歳のBen Jeffries(ベン・ジェフリーズ)氏をCEO、25歳のユーチューバーでクリエイターのCaspar Lee(キャスパー・リー)氏を共同創業者として設立された。

今では同社は、検索インテリジェンスのCaptifyとグロースマーケティングエージェンシーであるInflecto Mediaの共同創業者Adam Ludwin(アダム、ラドウィン)氏を取締役に迎えている。

英国ロンドンで創業した同社は、近くニューヨークに最初のアメリカオフィスを開く。そこはCEOのジェフリーズ氏が指揮し、来年はウェストコーストへの進出を計画している。

モバイルアプリもリリースした。同氏によると「企業とコンテンツクリエイターが有意義な関係を構築できるアプリ」だそうだ。

リー氏は「Influencerがクリエイターによるクリエイターのための企業であることに誇りを持っている。チームは新しい時代のクリエイティビティを体現し、世界のトップクラスのクリエイターたちとの他社にない強力な関係を築いている」と語る。

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既存の建機を後付けキットで自動運転車にするBuilt Robotics

建設機械の自動化を志向しているBuilt Roboticsが、シリーズBのラウンドで3300万ドルを調達したことを米国時間9月19日に発表した。

建設業界は世界的に人手不足だが、Builtの狙いは、一人のオペレーターが同時に複数の自動化建機をコントロールし、自分自身は機械にはできない作業のために何かに乗るというやり方だ。これなら、例えば従来5人のチームを要した現場を1人で担当できるだろう。

Built Roboticsは建機をイチから作るのではなく、あちこちの現場でよく使われている建機を自動化する。同社は、掘削機やブルドーザーやスキッドステアローダーなどに取り付けるキットを売っている。そのキットはライダー(Lidar)やGPSやWi-Fiなどのテクノロジーをマシンの内奥に組み込み、自動化のための脳を与える。あるいは建機メーカー企業がBuilt Roboticsの変換ボックスを買って自社製品に取り付け、マシンが自動運転モードで動いた時間ぶん使用料を払うという方式もある。

操縦者のいない重さ20トンのマシンが、回りの人に注意せずに建設現場を走り回ることは誰も望まない。そこで同社の自動化マシンは、自分のまわりを常時監視する。TechCrunchの4月の記事では、次のように書いた:

建機に搭載された複数のカメラが人の接近を絶えず監視している。何かの不具合で機体が傾き始めたり、地中に何かがあると、センサーがそれを感知し電源を切る。マシンの背後には大きな赤い緊急停止ボタンがあり、またオペレーターのデスクにもワイヤレスの停止ボタンがある。

数カ月前には、Builtを搭載した建機のデモを見た。

今回のシリーズBラウンドは、ヨーロッパの大企業Siemens(シーメンス)の投資部門Next47がリードし、Building Venturesとこれまでの投資家であるFounders Fund、Presidio Ventures、Lemnos、そしてNEAが参加した。これによりNext47のT.J. Rylander(T・J・ライランダー)氏がBuiltの取締役会に入る。

同社は2017年にシリーズAで1500万ドルを調達しているので、調達総額は4800万ドルになる。Builtの共同創業者であるNoah Ready-Campbell(ノア・レディ-キャンベル)氏によると、社員数がここ数か月で倍増し、今では40名近くなっているとのこと。

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FarmWiseの全自動除草ロボットが脱プロトタイプに向けて15億円を調達

農業の自動化は作業が多様だから難しいが、そんな中で良い仕事をしているロボット企業や自動操縦企業もいくつか存在する。例えば、投資家たちに関心を持たれたFarmWise(ファームワイズ)はこのたび1450万ドル(約15億円)を調達して、その自動運転除草車の開発を継続している。

今はまだプロトタイプだが、その車は大量の材木伐採労働者を運ぶ車両のように見える。でも実際にはかなり精密な装置で有害な雑草と作物を見分け、雑草だけを慎重に引き抜く。

FarmWiseのCEO Sebastien Boyer(セバスチャン・ボイヤー)氏は最新の資金調達を発表するプレスリリースで「1台のFarmWiseのロボットが1日に人口40万人ぐらいの中都市の人びとを養えるだけの作物の農地を除草できる。これからは、弊社の特許である植物検出技術をさらに拡張強化して、農家の除草処理量と作物の収量を増やしたい」とコメントしている。

おそらくこのロボットは最初、概念実証(Proof of concept、POC)も兼ねて、特定の作物向けに開発されデモされたのだろう。

そして今や概念実証には成功したようだ。Calibrate Venturesがリードした1450万ドルのラウンドは、そういう初期の成功の賜物。除草の自動化は決してやさしい問題ではないから、3年足らずで商用化にこぎつけたのはすごいことだ。農家も、テクノロジーが嫌いではない、実際に仕事をしてくれるならば。しかし、広大なモノカルチャーが大半を占めるアメリカの農家では、ちょっとした問題やエラーが大損害をもたらすこともある。

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同社は以前、シードラウンドで570万ドルを調達した。それは2017年のAlchemist Acceleratorのデモデーでデビューした直後だった。ロボットは、なにしろお金がかかる!

今度の新たな投資でFarmWiseの脱プロトタイプと商用化に一層拍車がかかることが期待される。でもこれぐらいの金額では大量生産はまだまだだろう。どこかから大口注文を受けて、それが弾みになるといいのだが。

そしてまた、このずんぐりしたかわいらしい車は、AIの開発も重要だ。ボイヤー氏はこう述べる。「今後は、弊社のさまざまなロボットが作物のための専門医として活躍し、健康状態を常時モニターして適切な対策を教えるだろう」。

というわけでこの巨大林業マシンのようなプラットホームは除草を繊細に行うだけでなく、今後はアブラムシやカビもチェックして必要な治療を施すだろう。

そして作物に対する多様な検査ができるためには、同社はデータのエキスパートにもならなければならない。究極的に、農地の全作物の個体チェックができるなら、農家にとってこんなに嬉しいことはほかにない。

画像クレジット: FarmWise

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サッカーの試合をAIカメラで全場面録画するVeoが米進出を狙う

デンマークのコペンハーゲンのVeoは、アマチュアのサッカーチームがもっと容易にビデオを撮ったり試合をストリーミングしたりできるための「AIカメラ」を提供している。同社はこのほど、シリーズAで600万ドルの資金を調達した。

このラウンドを支えたのは米国のCourtsideVCとフランスのVentech Capital、そしてデンマークのVC Seed Capitalだ。Veoによると、この新たな資本は米国進出のために使う。

2015年にHenrik Teisbæk氏、Jesper Taxbøl氏、そしてKeld Reinicke氏の三氏が創業したVeoは、複数のカメラオペレーターや映像ミキサーが要らないようにして、サッカーの試合や練習の映像記録を誰にでもできるようにしたいと考えた。

そのためにまずやるのは、一台でピッチ全体を撮影できる4Kレンズのカメラを使うことだ。カメラは高さ7メートルの三脚に載せ、撮った映像をAIを使ったビデオ技術で処理する。そうするとVeoのカメラは仮想的なパンやズームでアクションを追い、まるで複数箇所のテレビカメラが動く選手たちを追ってるような映像が得られる。

Veo Måløv

前の記事でも書いたように、そのためには映像の各部分を頻繁にトリミングする。全体として解像度は落ちる。でも最初が4Kだから、スマートフォンやタブレットなど小さなスクリーンなら画質はまあまあだ。

VeoのCEO Henrik Teisbæk氏は、今回の資金調達に関連して次のように述べた。「至近の目標は米国に足場を作ることだ。投資の多くがそのために使われるだろう。長期的には米国からさらに世界のフットボール市場の主役になりたい。そして願わくば、ほかのスポーツを手がけることも」。

Teisbækによると、手始めに米国を選んだのは、そこが最大で最もエキサイティングなサッカー市場の一つだからだ。そして北米のサッカー選手や監督、チームなどはとてもデータを大事にするし、新しいテクノロジーに対して積極的だ。つまりVeoにとってそこは、ポテンシャルが大きい。

一方Veoによると、同社は昨年50か国1000チームの25000試合を見て録画した。今コペンハーゲンの本社には35人の社員がいて、Veoのソフトウェアとハードウェアを開発している。

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ソフトバンクが巨額投資したカーシェアリングのGetaroundがユニコーンに

TechCrunch DisruptのNew York 2011で優勝したGetaround(ゲットアラウンド)は、カーシェアリングのプラットホームだ。同社は今年、新株によるほぼ2億ドルの資金を調達し、ユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場スタートアップ)の仲間入りをするだろう。

PitchBookの推計によると、これで2009年創業のGetaroundは評価額が17億ドル(約1820億円)になる。これに対し同社は「資金に関する憶測」にはコメントしないという社則を引用した。

本誌の質問に対する8月29日朝の同社スポークスパーソンは「Getaroundとその投資家たちは密接に協力して成長戦略を進めており、今後の適切な時期により詳しいお話ができるだろう」と語る。

このニュースの前には同社はフランスのカーシェアリングスタートアップであるDrivyを3億ドルで買収した。Drivyはパリに本社があり、ヨーロッパの170の都市で営業している。

Getaroundは昨年3億ドルのシリーズDを完了したが、このラウンドはソフトバンクがリードしてトヨタ自動車が参加した。携帯電話から1時間5ドルで車を借りられる同社のサービスを会員数20万人にまで育てたこれまでの投資家にはMenlo VenturesやSOSVがいる。

近未来に2億ドル(約213億円)の投資があると想定すると、Getaroundのこれまでの調達総額は6億ドル(約640億円)あまりになる。

Getaroundのこの前の資金調達にソフトバンクが参加したかは不明だ。しかし、ソフトバンクはこれまでカーシェアリング市場に積極的に投資しており、代表的な例としては中国のライドシェアDidi Chuxing、Uber、自動運転のCruiseなどが挙げられる。これらについてソフトバンクはコメントをくれなかった。

Getaroundの共同創業者であるSam Zaid(サム・ザイド)氏は昨年の取材で、モビリティへの投資家としてのソフトバンクの能力を強調して「ソフトバンクのいいところは、とても長期的な視野を持っていることだ。だからモビリティの未来に対する考え方もすごくいいし、すべての車が共有車になる、といううちのビジョンを彼らも持っているんだ」と語った。

この前の資金調達でGetaroundは国際進出をすると期待されていた。そして実際に同社は、フランスとドイツ、スペイン、オーストリア、ベルギー、そして英国に「Drivy by Getaround」というブランドで進出した。ただしノルウェーでは「Nabobil」になった。

同社が2011年にカーシェアリングサービスを始めたときは、主にギグワーカーたちに頼り、彼らが自分の車をGetaroundのマーケットプレースに載せて、借りられる頻度により月に500〜1000ドルを稼いでいた。しかしその後は、同じビジネスモデルによる競合他社が続出した。例えば、TuroやMavenは一流のVCたちから資金を得ているカーレンタルサービスだ。

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ゲームの世界のビデオによるソーシャルネットワークMedal.tvが10億円近くを調達

最初からMedal.tvは、ゲーム世代のためのソーシャルネットワークを目指していた。

2月のデビュー以来、このゲーマーのためのクリッピングとメッセージングサービスは500万人のユーザーを獲得し、1日のアクティブユーザー(DAU)は数十万に達した。そして今回はHorizons Venturesがリードするラウンドにより、900万ドル(約9億6200億円)の資金を調達した。Horizonsは、香港の富豪Li Ka-shing(李嘉誠、り かせい)氏が設立したベンチャーキャピタルファンドだ。

関連記事:Medal.tv’s clipping service allows gamers to share the moments of their digital lives(Medal.tvのクリッピングサービスでゲームの決定的瞬間を共有、未訳)

Horizons Venturesの投資家Jonathan Tam(ジョナサン・タム)氏は「短編ビデオの共有が、今の世代の自己表現とエンターテインメントの手段になっている。そんな中でMedalのプラットホームは、ゲームそのものを超える対話的ソーシャル体験の基盤になるだろう」と語る。

Medalは、ソーシャルネットワークと、ゲームデベロッパーにとってのマーケティングのツールであることの両方に可能性を見出している。後者としてのMedalは、ゲーマーたちにとって新しい発見の場になるのだ。

Medalに投資したエンジェル投資家でヨーロッパのGoogle Play GamesのトップだったMatteo Vallone(マッテオ・バローネ)氏は、「友だちがゲーム発見の重要な契機だ。だからデベロッパーにとっては、共有できるゲームが有利だ。Medal.tvでは、ストリーミングにはない気軽さで友だちとゲームの共有ができる」と語る。

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一方、投資家たちが2000万ドルでも出すと言っているこのプラットホームのCEO Pim de Witte(ピム・デ・ウィット)氏は、「まだまだいろんなリスクがあるから、そんな大金には手を出せない」、と言っている。

むしろHorizonsや前の投資家Makers Fundからの900万ドルぐらいが、企業の堅実な成長のためにはちょうどいい。

ウィット氏は声明で「Medalで我々が信じているのは、次のビッグなソーシャルプラットホームはゲームから生まれるということだ。おそらく短編ビデオがそのベースになるだろう。またゲームの出版者たちが独自のゲームストアやシステムを作っていることも、その流れに貢献するだろう。後者によって市場にはソーシャルな分裂が生じるから、ますますMedalやDiscordのようなプラットホームのニーズが大きくなる。そこではいろんなゲームからやってきたゲーマーたちが、有意義な形で一体になれる」と語る。

ある特定の世代にとっては、デジタルゲームがもっとも好きなソーシャルメディアであり、消費者が仮想的体験を共有するためのツールがますます広まっている。この現象は、フォートナイトのマシュメロコンサートのようなイベントが普通になるにつれて、ますます加速するだろう。

Makers FundのRyann Lai(リャン・ライ)氏は「Medalには、仮想体験のソーシャルな交換をきわめて自然に気楽に行えるエキサイティングなパワーがある」とコメントしている。

画像クレジット: Marshmelloのライセンスによる

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農作物への化学物質の影響を低減するバイオ農薬開発のTerrameraが48億円超を調達

農業から化学物質の使用を減らすためにバイオ農薬(生物由来の農薬)や種子処理剤を開発・販売しているカナダのTerramera(テラメラ)がこのほど、4500万ドル(約48億円)の資金を調達した。

この投資ラウンドをリードしたのは戦略的投資家Ospraie Ag Science(オスプライAgサイエンス)、Terrameraのこれまでの投資家であるSeed2Growth Venturesだ。

モンサントの役員だったCarl Casale(カール・カサーレ)氏が率いるOspraie Ag Scienceは、生物農薬や有機農法のための製品のメーカー企業を支援している。Terrameraのほかには、Marrone BioInnovations(マッローネ・バイオイノベーションズ)やAgrospheres(アグロスフェレス)なども同社の支援企業だ。

バンクーバーに本社を置くTerrameraは最初、植物のニーム(Neem、インドセンダン)を使用する農薬を大手スーパーマーケットのTargetなど北米の小売企業で売って注目を浴びた。その製品は、トコジラミやダニなど家庭の害虫やカビがターゲットだ。

同社は今、新製品のActigate(アクティゲート)に注力している。そして今回の資金で研究開発と営業マーケティングの能力を上げたいとしている。

同社の創業者でCEOのKarn Manhas(カーン・マンハス)は声明で「弊社は、世界中の農業における合成化学物質の使用量を、Actigateによって2030年までに80%減らしたいと考えている」と述べている。

同社によるとActigateは、生物農薬と従来からの化学農薬の両方の効果を上げるので農業における化学物質の使用を減らせるという。

Ospraie Agのカサーレ氏は「TerrameraのActigateプラットホームはパラダイムシフトを起こし、生物的殺虫剤の効果を上げて化学製剤に対する競争力を高める。その新しい価値を作り出す機会はとても大きく、またコストと無駄と環境被害を減らしながら従来的なやり方に大きなインパクトを与える」と語る。

この投資の数カ月前にTerrameraは、種子処理剤の技術で多くの特許を持つExosect(エグゾセクト)を買収した

Exosectのパテントポートフォリオには、有機的および化学的な種子処理剤のデリバリを改善するための合成物質が多く含まれており、これがTerrameraの技術開発に大きく進歩させるものと思われる。

買収時にマンハス氏は「この知財を獲得したことによって新たな機会が開け、Terrameraの特許であるActigateの目標性能技術(Targeted Performance technology、特定の害虫だけにしか害を与えないこと)が補完される。その知財ポートフォリオは、安全でより効果的な植物保護製品の開発力を高め、世界の誰にでも入手可能で汚染のない食品を作るというわが社のビジョンを実現可能にする」と語る。

関連記事:Cooks Venture picks up $12 million to rethink agriculture from the ground up[再生可能農業の普及に取り組むCooks Venture、未訳)

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APIの良質な文書を作るReadMeがログ利用でサービスを高度化

ソフトウェアにAPIがあると、さまざまなツールがお互いにコミュニケーションでき、デベロッパーは自分でコードを書かなくても便利なサービスにアクセスでき、そのソフトウェアをプラットホームとしても運用できるようになる。でも、APIを上手に使うためにはしっかりとしたドキュメンテーション(文書)が必要だ。APIのドキュメンテーションの制作を助けるその名もReadMeが、AccelがリードしY Combinatorが賛助するシリーズAのラウンドで900万ドル(約9530億円)を調達した。同社は、2015年冬季にY Combinatorを受講している。

今日の投資の発表前には、同社は2014年に120万ドルのシード資金を獲得しただけだ。それが今では3000社の有料顧客がいて過去7年黒字という、珍しいほどの好成績を収めている。しかし成功に酔うことのないCEOのGregory Koberger(グレゴリー・コーベルガー)氏は、今後は大型顧客の獲得に努め、より高度な要求にも応じるために今回のラウンドに至った、と控えめに言う。

しかも同社は近年、企業のAPIのログを分析して各種の情況に応じたドキュメンテーションを制作でき、またAPIの使い方がわかると、ユーザーが抱えるいろんな情況のカスタマーサポートにも応じられるようになった。でも、よその会社のAPIログを見るのだからデータのセキュリティが重要だ。今回の資金は主に、その方面に投資される。

コーベルガー氏は「当たり前のように、技術者を増やしサポートやデザイナーも増やす必要がある。しかしそれは何のためかというと、もっと大きな企業を相手にし、そのためにデータのセキュリティを強化するためだ。それを正しくやるためには、お金がたくさん必要だ」と語る。

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画像提供: ReadMe

彼によると、各企業のAPIログを利用できるようになってから、いろんな可能性が一挙に開けた。なぜなら、データが人びとのAPIの使い方を知るための貴重な窓になるからだ。彼は「サーバーのログからいろんなことがわかるから、すごい。誰かがAPIで問題を抱えていたら、ログを見て問題の様相がわかるのでデバッグができる。サポートチームにも、ログから顧客のAPIの使い方に関するいろんなことが分かる」と語る。

今回の投資をリードしたAccelのDan Levine(ダン・レーヴィン)氏によると、APIの成否の鍵を握るのは、良質なドキュメンテーションがあるかないかだ。「APIは技術的な統合を作り出すためにあるだけでなく、そのサービスを軸とするエコシステムを作り、企業間のパートナーシップの強力な糊にもなって、数十億ドルの価値を生み出す。だからReadMeは企業にとって、サービスである以上に戦略だ。クリーンで対話的でデータドリブンなAPIのドキュメンテーションがあれば、デベロッパーはそれで仕事をすることが好きになり、それは100社や1000社のパートナーシップにも値する」とレーヴィン氏。

ReadMeは2014年に創業された。今サンフランシスコのオフィスには社員が22名いるが、今回の投資で当然増えるだろう。

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AI利用のハードルを下げるH2O.aiがゴールドマンサックスのリードで約77億円調達

H2O.aiのミッションは、AIを誰でも使えるようにすることだ。そのために同社は企業に一連のツールを提供して、データサイエンティストのチームが要らないようにする。同社は米国時間8月20日、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)とPing An Global Voyager FundがリードするシリーズDのラウンドで7250万ドル(約77億円)を調達したことを発表した。

これまでの投資家Wells FargoとNvidia、およびNexus Venture Partnersも参加した。Goldman SachsからはJade Mandel(ジェイド・マンデル)氏がH2O.aiの取締役会に加わる。これで同社の調達総額は1億4700万ドル(約157億円)になる。

なお、Goldman Sachsは投資家であるだけでなく同社の顧客だ。H2O.aiのCEOで共同創業者のSri Ambati(スリ・アンバティ)氏によると、顧客であるWells FargoとGoldman Sachsが前2回のラウンドをリードしたことは、彼とその企業に対する信任の証だ。彼は曰く、「二度の連続的なラウンドでは顧客が投資家になっている。前回のシリーズCはWells Fargoがリードしたが、彼らは弊社を選んで使っていた。今日のラウンドはGoldman Sachsがリードし、彼らは前からうちの強力な顧客であり強力なサポーターだ」。

同社のメインのプロダクトであるH2O Driverless AIは2017年に登場し、Driverless、つまり運転手がいないという名前は、AIのエキスパートでない人たちでも、データサイエンティストのチームなしでAIを利用できる、という意味で命名された。アンバティ氏は「Driverless AIは機械学習の自動化だ。これによってワールドクラスのデータサイエンティストたちの能力を万人が手にする。ありとあらゆる機械学習のアルゴリズムを使って、モデルを自動的に作る」と説明する。

同社は同日に、レシピと呼ばれる新しいコンセプトも導入した。それは、ビジネスの多様な要件に合わせてモデルを構築するための、AIのあらゆる原料とインストラクションの組み合わせレシピ集だ。同社のデータサイエンティストたちのチームは、約100種のレシピを作ってそれらをオープンソース化。具体的には、クレジットリスクの評価、異常事態検出、資産額の査定などのためのレシピがある。

H2O.aiは2017年のシリーズCのころに比べると大きく成長した。今同社の社員は175名だが、それはシリーズCのときのほぼ3倍だ。同社はオープンソースがルーツなので、今でも2万名のユーザーが同社のオープンソースプロダクトを使っている。

アンバティ氏は会社の評価額や上場については話を避けようとするが、今はAIの初期の時代であり、長期的な視野に立って会社を育てていきたい、と言った。

関連記事:H2O.AI snares $40M Series C investment led by Wells Fargo and Nvidia(H2O.aiがNvidiaとWells FargoからシリーズCを調達、未訳)

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アドテクには相関性より因果関係、ClearBrainが因果分析ツールを発表

どんなビジネスも、原因と結果を知りたがる。「誰かがXをしたから売上が増えたのだ」「売上が減ったのはYをしたからだ」などなど。そこで多くの企業がデータ分析に頼りたがるが、ClearBrainの共同創業者でCEOであるBilal Mahmood(ビラル・マフムード)氏に言わせると、これまでのアナリティクスは原因と結果に関する質問に正確に答えられない。

「今のアナリティクスのプラットホームはどれも相関モデルを基盤にしている」とマフムード氏は言う。それは、古典的な相関関係と因果関係の問題だ。データを利用して行為と結果を関連付けようとするが、そこから原因と結果の直接的な関連を導き出すことはできない。相関性は必ずしも因果関係を意味していない。

ClearBrainは、この問題を同社独自の「因果分析」(Causal Analytics)ツールで解決しようとする。同社のブログ記事によると「データの統計的処理の方は完全に自動化して、初めての大規模な因果推論エンジンにより、成長担当チームが各アクションの因果効果を測定できるようにする」とのこと。

このブログ記事はとても詳細だが、しかしその要点は、マフムード氏と彼にチームには、今まで誰にもできなかった正確な因果関係の導出ができるという主張だ。

ClearBrain analytics screenshot

そして同社はそれを、A/Bテストに利用する。顧客はClearBrainのデータを見て、次に何をテストするのかプライオリティを決める。そしてテストできない要素については、そのインパクトを推計する。それについてマフムード氏は「ウェブサイトやアプリケーションのすべての変数(変項)のインパクト、会話に対する実際のインパクトを知ろうと思ったら、数年はかかるだろう」と語る。

昨年TechCrunchがClearBrainを取り上げたときには、人工知能を使ってターゲティングを調整していたが、しかしマフムード氏によると、その後顧客の要望に応えて新しい分析技術を使うようになった。「顧客が知りたいのはその広告を見た人が実際に商品を買うか買わないかだけではなくて、買う、買わないとしたらなぜそうなのか、その原因を知りたいのだ」と彼は言う。

同社の因果分析ツールは今一部のアーリーアクセスユーザーが利用できるが、全面展開は10月を予定している。料金体系は何層かに分かれているが、スタートアップの多くは無料で利用できる。

因果分析ツールのアーリーアクセスと並行してClearBrainは今週、Harrison MetalとMenlo Venturesからの200万ドル(約2億1275万円)の新たな資金調達を発表した。

関連記事:中小企業や商店にAI利用のターゲットマーケティングをお安く提供するClearBrain

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データウェアハウスを誰も来ない古代遺跡するIncortaが30億円超を調達

「企業などが大量のデータを処理する方法を抜本的に変えたい」と一念発起した元Oracleの役員たちが創業したIncorta(インコルタ)は米国時間8月15日、Sorenson CapitalがリードするシリーズCのラウンドで3000万ドル(約32億円)を調達したと発表した。

このラウンドに参加したそのほかの投資家は、GV(元Google Ventures)、Kleiner Perkins、M12(元Microsoft Ventures)、Telstra Ventures、そしてRon Wohlだ。同社によると、今回の投資で同社の調達総額は7500万ドルになる。

IncortaのCEOで共同創業者のOsama Elkady(オサマ・エルカディ)氏によると、彼とそのほかの共同創業者たちがIncortaを創業せざるをえなかったのは、失敗するに決まってるようなデータプロジェクトに大金を投じている企業を数多く見てきたからだ。同氏は「僕とほかの3人がOracleを辞めてIncortaを始めたのは、多くの企業がデータウェアハウスなどの高度なプロジェクトに投資しているのに、成功したプロジェクトがほとんどないからだ」と語る。

データプロジェクトには通常、ETL(extract(取り出す)、Transform(変える)、Load(ロードする)という処理工程がある。すなわちそれは、データをデータベースから取り出し、そのデータの値を変えて形を目的のデータベースに合わせ、そしてそれを目的のデータベースに加える、という工程だ。データを取り出すデータベースと変更後のデータをロードするデータベースが同一の場合もある。

この工程にはとても時間がかかるので、Incortaはこのステップを省略してデータへのアクセスをずっと速くしたいと考えた。エルカディ氏によると、これによって顧客はデータの利用をずっと速くできるようになり、処理に要する時間を数時間から数秒へと短縮できた。そして、これほどのパフォーマンス向上が投資家の注目を集めるのも当然だ。

リード投資家であるSorenson Capitalのマネージングディレクターを務めるRob Rueckert(ロブ・リュッケルト)氏は、Incortaがデータベースという成熟した分野にイノベーションをもたらそうとしている、と見ている。彼は声明中で「Incortaはデータウェアハウジングの市場を革新的な技術で打倒し、30年も続いている古臭くて遅いデータウェアハウスのインフラストラクチャを終わらせようとしている」とコメントしている。

同社によると、売上は急激に伸びており、前年比で284%増加した(金額は非公開)。顧客にはStarbucks(スターバックス)やShutterfly(シャッターフライ)、Broadcom(ブロードコム)などがいる。

同社は2013年にローンチし、現在の社員は250名だ。開発部門はエジプトにあり、本社は米国カリフォルニア州サンマテオにある。最近はシカゴとドバイとバンガロールにオフィスを開いた。

関連記事:Real-time data analytics startup Incorta raises $15M Series B led by Kleiner Perkins(リアルタイムデータ分析のIncortaがシリーズBで1500万ドルを調達。未訳)

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