簡単にユーザーのツイートを検索できる新機能が導入開始、まずはiOS版ツイッターから

iOS版Twitter(ツイッター)ユーザーには、個々のユーザーのツイートを簡単に検索できる新機能の提供が始まっている。この機能を利用するには、まず検索したいユーザーのプロフィール画面を表示する。すると、プロフィールバナーの右上にある3ドットメニューの隣に検索アイコンが追加されているので、そこからキーワードを入力してそのユーザーのツイート検索することができる。TwitterがTechCrunchに語ったところによると、この機能はiOSでは全世界のユーザーに提供されており、ウェブとAndroidでは引き続き、徐々に展開していくとのこと。

Twitter プロフィール上の「ユーザーのツイートを検索」ボタンが利用可能になりました(一部のユーザーのみ)。

実はTwitterでは、すでにこのような検索が可能だった。ただし、高度な検索方法を知っている必要があった。例えば「from:@TechCrunch Twitter」と検索すると、新しい検索機能が利用できないユーザーであっても、TechCrunchのツイートの中で「Twitter」という言葉を含むすべてのツイートを見ることができる。この長年用意されているTwitterの高度な検索機能は、何かキーワードを検索した後、ウェブ上の検索バーの横にある3ドットメニューをクリックすることで利用できる。検索は、日付やエンゲージメントの量などでフィルタリングできる。

とはいえ、今回から導入された簡単に利用できる検索ボタンを使えば、特定のユーザーからキーワードを含むツイートを簡単に見つけることができる。上と同じ例でいえば、高度な検索方法を知らない人は、毎日何十回も投稿されるTechCrunchのツイートをスクロールして「Twitter」という言葉を含むツイートを探すよりも、検索ボタンを使ってTechCrunchのアカウントで「Twitter」を探す方がずっと簡単だ。

もちろん、この機能によって、他人の面倒な昔のツイートを簡単に掘り起こす人が増える可能性はある。しかし、これは常にいえることだが、そもそも有害となる可能性がある内容をツイートしない(あるいは古いツイートは削除する)のが、賢いソーシャルメディア戦略である。

画像クレジット:geckophotos / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイートの投稿や削除、スーパーフォローなどに対応するAPIをツイッターが公開

Twitter(ツイッター)は再構築した上で2020年中盤に公開したAPIを着実にアップデートしている。最近では開発者向けプラットフォームにTwitterスペースのサポートを追加した。米国時間11月3日、同社はボットの構築に役立つように、ツイート、ツイートの削除、投票の投稿、返信設定の利用、画像内の人物のタグ付けができる新たなエンドポイントを公開すると発表した。新たにスーパーフォロー機能にも対応し、開発者はクリエイターを支援するソリューションを構築できるという。


スパムを投稿するボットは困るが、Twitterは役に立つボットもあると明言している。例えば、同社は2021年9月にTwitter上で「良いボット」を識別できる新しいラベルを導入した。

このラベル導入の際に同社は「良いbot」の例を挙げた。公共サービスアカウントの@earthquakesSF、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新情報を提供する@vax_progress、議会に提出された最近の100本の法案について進行状況を知らせるボットの@last100bills、アクセシビリティをテーマにしたボットの@AltTxtReminder、そしてメトロポリタン美術館のドローイングとプリントの部門からパブリックドメインの作品を紹介する@met_drawingsや、おかしな新作絵文字を紹介する@EmojiMashupBotなどだ。

今回の発表でTwitterは再び@vaxprogressのボットを取り上げ、その開発者であるBrian Moore(ブライアン・ムーア)氏に言及した。ムーア氏は@NYTIMESALLCAPS@chernobylstatusのボットも手がけており、同氏は新しいTwitter API v2をいち早く取り入れると述べている。

投票や画像のタグ付けを使うとインタラクティブなツイートになるが、新機能である「ツイートを管理」エンドポイントはもっと基本的な機能で、認証済みアカウントのツイートの投稿と削除に対応する。おそらく、ユーザーに代わって古いツイートを削除したり、前述のボットのように自動で最新情報を投稿したりするソリューションを構築できるようになるだろう。

開発者がツイートの投稿や操作をする機能に加えて、Twitterはクリエイター向けプラットフォームであるスーパーフォローに対応する新しいAPIも公開する。

2021年9月に正式に公開されたスーパーフォローは、ユーザーがTwitter上で申込者限定のツイートやニュースレターといった限定コンテンツのサブスクリプションを契約して、お気に入りのクリエイターを支援する機能だ。クリエイターがスーパーフォローのメンバーシッププログラムをどう設定しているかに応じて、申込者は専用コミュニティ、サービスや販売、割引などのメンバーシップ特典を利用したり、サポーターバッジを受け取ったりすることもできる。

APIが変更されてスーパーフォローのフォロワーにAPI経由でツイートを共有できるようになり、開発者はクリエイターがTwitterのファンベースから収益化するのに役立つソリューションを構築できる。現時点ではまだスーパーフォローは一部のクリエイターに制限されていて、申込者はそれほど多くない。しかしTwitterは今後を見据え、クリエイター向けの他社製アプリがTwitterを含む幅広いプラットフォームにコンテンツを共有するニーズについて検討している。

今回のアップデートにより、開発者は会話のコントロール、投票、スーパーフォローなどTwitterネイティブの機能を直接活用するプラットフォームを構築できるようになる。こうしたことの大半は、これまではできなかった。また、他社製のTwitterクライアントもさらに便利になるだろう。

Twitterは、コミュニティからのフィードバックをもとに優先的に新しいAPIをリリースして今回の新機能を追加したと述べ、今後の開発計画のために引き続きフィードバックを寄せて欲しいとしている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

政治的な偽情報がケニアのTwitterトレンドトピックを覆う

ケニアのUhuru Kenyatta(ウフル・ケニヤッタ)大統領がオフショアのタックスヘイブンに資産を秘密裏に保有していることが明らかになった直後、Odanga Madung(オダンガ・マドゥン)氏はTwitter(ツイッター)上で奇妙なことに気づいた。ケニヤッタ大統領が密かにタックスシェルタースキームを利用しているという決定的な情報にもかかわらず、ケニアのツイッターでは、苦境に立たされた大統領を擁護する話題が流布しているのだ。

ケニア大統領の隠し口座は「パンドラ文書」の中で明らかになった秘密の1つにすぎない。同文書は、世界のリーダーや有名人、億万長者が、パナマや英領ヴァージン諸島などに隠している財産を詳述したもので、約1200万件が漏洩した。

いずれもMozilla Tech and Societyのフェローであるマドゥン氏とそのサポートリサーチャーであるBrian Obilo(ブライアン・オビロ)氏は新しい調査で、パンドラ文書発覚の直後に、ネットの政治的プロパガンダが同国の情報の空白をどう埋めたかを明らかにした。

「これは、ケニアにおけるTwitterのプラットフォームに非常に広く見られる問題です」とマドゥン氏はTechCrunchの取材に対し答えた。

2人は、TwitterのFirehose APIを利用して、パンドラ文書の公開後、10月3〜10日に送信された8331件のツイートを分析した。その結果「#offshoreaccountfacts」と「#phonyleaks」という2つのハッシュタグが発見された。これらのハッシュタグは、流出した財務情報に含まれる正当な暴露を妨害する意図があり、同期間中、ケニアのトレンドトピックとして急浮上した。

「政府と大統領が圧力を受けるなか、ネットで怒りが高まり、反論作戦が実行され、Twitter上に強い味方を見つけました」とマドゥン氏は書いている。「その結果、歪んだ見方が勢いを増し始めました。そこでは、ケニアの人々が、パンドラ文書の決定的な調査結果に対してではなく、ケニヤッタ大統領が不正行為をしたことに対して憤慨しているように見せています」。

2人の分析によると、このトレンドは自然発生的なものとは程遠い。2人は、関連するハッシュタグを繰り返しツイートし、喧伝するアカウントを多数発見した。その内容は、ケニヤッタ氏の隠された資産に関する情報を隠蔽し、その行為がいかなる法律にも違反していないことを主張し、オフショアでの保有を賢明な財務的行動であると擁護するなど、ケニヤッタ氏の容疑を晴らそうとするものだ。

マドゥン氏が過去の調査と照合した結果、真実ではないコンテンツをアップロードしたアカウントが、ケニアの政府支持派周辺のプロパガンダを流していることが判明した。

「ここで重要なのは、これらのコンテンツの多くが明確な嘘ではなかったということです」とマドゥン氏は書いている。「これは、プロパガンダと偽情報を組み合わせた政治色のある偽りの草の根運動です。特に、ケニア人の多くがケニヤッタ大統領を支持し、パンドラ文書に不信感を抱いているというコンセンサスを捏造することを目的としていました」。

キャンペーンの手法は洗練されたものではなかったが、組織的かつ効率的だった。同じ画像や言葉遣いを繰り返したり、有名人の名前を頻繁に使ったりしていたため、アカウントの特定は容易だった。それら同士の関連性が強かったため、2人はノイズを突破して、Twitter上ではっきりとわかる複数のトレンドトピックを識別することができた。

偽りの草の根運動によるキャンペーンの多くは、真実を曲げて伝えることを目的としているが、それらの主催者は情報の捏造も躊躇しなかった。例えば、ナイロビ在住の経済学者Reginald Kadzutu(レジナルド・カズツ)氏がBBCのインタビューでケニヤッタ大統領を擁護しているように見える画像があるが、そのインタビューは実際には行われていない。画像は偽物だ。

Twitterは、マドゥン氏からの通報を受け、230以上のアカウントに対し、プラットフォーム操作とスパムに関するポリシー違反として措置を取った。

「Twitterのユニークでオープンな性質は、このような調査を後押しします」とTwitterの広報担当者はTechCrunchに話した。また、TwitterはAIと人間のモデレーターを組み合わせ、プラットフォーム上の会話を操作しようとする試みを検出しているとも述べた。

マドゥン氏によると、ケニアの情報エコシステムは、Twitterを翻弄し続ける、確立した偽情報産業に悩まされている。「偽情報は、他の産業と同じように、お金や明確な成果を求める産業です」とマドゥン氏はTechCrunchに語った。「多くの点でそうしたキャンペーンは通常の機関と非常によく似ています」。

この業界には、コンテンツをTwitterのトレンドモジュールにまで増幅させ、結果を出す確立された方法がある。2人のインタビューに応じたあるTwitterユーザーは、過去5年間、ケニアの政党の話題など、さまざまなコンテンツをTwitterのトレンドに載せるために金をもらっていたと説明した。

さらにマドゥン氏はインタビューを通じ、こうしたキャンペーンの中には、自分たちのメッセージを宣伝するために認証済みのユーザーを雇ったり、報酬を支払ったりして、Twitterのトレンドアルゴリズムの下で、さらにトレンドを押し上げようとしていることを知った。

この種の仕事を探している人は、国内のさまざまな政治キャンペーンのために人材を募集しているWhatsApp(ワッツアップ)グループを見つけることができる。そうしたグループは偽情報活動の司令塔としての役割を果たしており、メッセージを伝達し、そのメッセージができるだけ効果的になるようにタイミングを調整している。

「私たちが話を聞いたインフルエンサーの1人は、『ツイッターは簡単だ』と話していた」とマドゥン氏は書いている。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

Tinderの殺人ミステリーをテーマにした新しい「スワイプナイト」が11月7日に復活

Tinder(ティンダー)は、ユーザーがマッチングしてチャットする以外の別の方法で打ち解けることができる、アプリ内のインタラクティブなイベント「Swipe Night(スワイプナイト)」を復活させる。Tinderは、第1シーズンの「あなたが選ぶアドベンチャー」のような世界の終末的なストーリーで2000万人以上のユーザーを獲得した後、今度は「whodunit(ホワイダニット)」と呼ばれる殺人ミステリーをテーマにした新しいイベントを導入すると発表した。このイベント「Swipe Night:キラー・ウィーク」は、米国時間11月7日の午後6時にスタートする。

「スワイプナイト」は、6月に導入されたTinderの新しいセクション「Explore」で実施されるが、このセクションには今後、より多くのソーシャル体験が搭載されることになる。このセクションには「スワイプナイト」以外にも、スピードデートのように時間を区切ってメンバー同士がリアルタイムでチャットできる「Hot Takes(ホット・テイク)」や、同じ趣味を持つ人と出会える「Passion(パッション)」などがある。

今回、Tinderは「スワイプナイト」の仕組みにいくつかの変更を加えた。今回のイベントでは、ストーリーを見て次に何をすべきかを選択するのではなく、Tinderユーザー自身が殺人事件の容疑者になるという、より直接的なイベントになっている。また、プレイヤーは家の中の部屋を探索・検索したり、物を調べててがかりを探したりすることができる。

毎週末、参加者は自分の怪しいと思うユーザーを選ぶことになるが、その際、別の容疑者を選んだ別のユーザーと「Fast Chat(ファスト・チャット)」(マッチングしなくてもチャットができる)でペアを組み、感想を語り合ったり、手がかりを分析したりして、一緒に謎を解き明かすことになる。これらのペアリングは、年齢、性別、距離などの要素で探している人物を示したユーザーのプロフィール設定に基づいたアルゴリズムにより行われる。しかし、ユーザーが別の容疑者を選択することで、会話を円滑に進めることができる。オンラインの出会い系アプリでは、ユーザーが最初の言葉を交わすのに苦労することが多いのだが、ここではそのようなことはない。

会話が終わり、プレイヤーが「スワイプナイト」の体験を超えて相手と話を続けたい場合、相手とのマッチングを選択することができるようになっている。

同社は、このようなプレッシャーの少ないチャットによって、ユーザーはマッチングの前に相性を試しやすくなり、アプリ内でメッセージを送信しても翌日まで見られない可能性があるよりも、全体的に良い体験ができると考えている。また、一緒にゲームをすることで、ユーザーは自分の考えや選択をよりリアルに表現できるようになるかもしれない。これは、ユーザーのプロフィールを見て即決するよりも、相手を知るためのより良い方法だとTinderは主張している。

さらに、Tinderのプロダクト担当副社長であるKyle Miller(カイル・ミラー)氏は、このようなリアルタイムのチャットは、TinderのZ世代のような若いユーザーに好まれていると述べている。

「人口統計学的に見て、Z世代は、新しい人と出会うために、このようなインタラクティブで楽しい方法をより多く利用しています」と同氏は説明する。「これが、私たちが『Explore』を作った大きな理由の1つです。Tinderが生き生きとしていて、体験的で没入感のあるものにしたかったのです…。スワイプしてマッチングしてチャットするという同じパターンを何度も繰り返していると、単調になってしまいます。これは私たちが望んでいたことではありません。楽しさや目新しさだけでなく、本質的なものを注入することで、Z世代が本当に惹かれていることがわかると思います」とミラー氏は述べている。

Tinderは「スワイプナイト」をより広く提供するために、オリジナル版が米国のみでスタートしたのに対し、今回は世界25カ国の市場で開始する。

また、第1シーズンとは異なり、いつでもプレイできるようになる。

「前回の『スワイプナイト』は、日曜日や週末にしかプレイできず、かなり限定的なものでした。しかし、今回は『Explore』セクションでライブ配信され、シーズン終了後も『Explore』セクションで利用できるようになります。半年後には、実際に『スワイプナイト』に参加して、今日のストリーミングと同じように、エピソードを再視聴、つまり再体験して、より多くの手がかりを探しに行くことができるでしょう」とミラー氏は述べている。

同氏は「スワイプナイト」のすべてのバージョンではないにしても、ユーザーがいつでも参加できるインタラクティブな体験のカタログを用意するという将来的な可能性も否定はしなかった。

このような種類の体験が開始されれば、Tinderは時間をかけてユーザーのエンゲージメントを高め、会員にとってより良い結果をもたらすことができるだろう。Tinderによると、最初の「スワイプナイト」の2000万人のユーザーは、マッチ数が26%増加したという。また、現在「トゥルー・クライム(実録犯罪)」系のジャンルへの関心が過去最高となっており、それに言及したプロフィールが年初から20%増加している。Tinderのユーザープロフィールの3万件以上に「犯罪のパートナー」を探していると書かれている。

今シーズンの「スワイプナイト」は、Sasie Sealy(サジー・シーリー)氏が監督を務め、Z世代の若手キャストとして、Ashley Ganger(アシュリー・ガンガー:『グランド・アーミー』 / Netflix)氏、Calvin Seabrooks (カルヴィン・シーブルックス:『ドールフェイス』 / Hulu、『ウエストワールド』 / HBO Max)、Luke Slattery (ルーク・スラッタリー:『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』、『レイトナイト 私の素敵なボス』)氏、Francesca Olivia Xuereb (フランチェスカ・オリビア・シューレブ:『Room203』、『The Sex Lives of College Girls』 / HBO Max)氏、Nozipho Mclean(ノジポ・マクリーン:『インヘリタンス』、『Are You Happy Now』)、Ivan Carlo (イワン・カルロ:『ゴシップガール』 / HBO Max)氏、Emile Ravenet(エミール・ラベネット)氏が出演する。

画像クレジット:Tinder

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

WhatsAppがビジネスAPIをクラウド化して導入を促進

WhatsApp(ワッツアップ)は米国時間11月1日より、新しいクラウドベースのWhatsApp Business API(ワッツアップビジネスAPI)のベータテストを開始する。同APIは親会社Facebook(フェイスブック)のインフラを利用する。クラウドへの移行に伴い、APIとの統合のためのセットアップ時間がこれまでの数週間からわずか数分に短縮されるため、企業はより迅速にWhatsAppのAPIプラットフォームに移行し、メッセージの受信をオプトインした顧客とのコミュニケーションを図ることができるという。

同社はここ数年、ビジネスAPIの開発を着実に進めてきた。これは無料のメッセージングアプリであるWhatsAppが、サービスから収益を得るための重要な手段の1つとするためだ。現在、企業はメッセージごとにWhatsAppに料金を支払っていて、その料金はメッセージの送信数や地域に応じて異なっている。現在は、Vodafone、Coppel、Sears Mexico、BMW、KLM Royal Dutch Airlines、Iberia Airlines、Itau Brazil、iFood、Bank Mandiriなどを含む何万もの大企業が、既存の(非クラウドベースの)APIを採用している。

この旧バージョンのAPIは今後もサポートされ、現時点では新しいクラウドベースのバージョンへの移行を強制する計画はない。

一般的にWhatsApp Business APIを利用する企業は、Zendesk(ゼンデスク)やTwilio(トゥイリオ)などのAPIを顧客のバックエンドシステムに統合する作業をサポートするソリューションプロバイダーと連携する。このようなケースでは、WhatsAppは企業のカスタマーコミュニケーション戦略の一部に過ぎないことが多い。また顧客とのコミュニケーションを、SMSやその他のメッセージングアプリ、電子メールなど、他のチャネルに誘導することもある。しかし、こうしたAPI統合作業は、これまでは数週間、場合によっては1カ月もの時間を要していた。

COVID以前から始まっていたオンラインショッピングへの移行が、パンデミックの影響で加速していることもあり、多くの企業は新しいシステムの立ち上げにそれほど時間をかけたくないと考えている。

新しいクラウドベースのAPIは、技術的な統合プロセスをより簡単に、そしてより迅速に行うことで、統合問題を解決することを目的としている。

新しいAPIのベータテストには、米国のZendesk、ブラジルのTake(テイク)、EUのMessageBird(メッセージバード)など、WhatsAppの既存のソリューションプロバイダーパートナー数十社が参加する予定だ。

ZendeskのMike Gozzo(マイク・ゴゾ)製品担当副社長は声明の中で「クラウドAPIは、私たちのようなサービスプロバイダーとお客様の双方にとって、WhatsAppを使用する際の複雑さを軽減するための大きな一歩となります」と述べている。そして「WhatsApp Clientのホスティングを気にする必要がなくなることで、APIを介して利用可能になる多くのリッチな機能のサポートに集中できるようになります」と付け加えている。

今回の発表は、人びとと企業とつながる方法が変わりつつある中で行われた。WhatsAppによれば、現在毎日1億7500万人以上のユーザーがビジネスメッセージを送信しており、この傾向は特にインド、ブラジル、インドネシアなどの米国以外の市場で拡大しているという。WhatsAppは顧客から、電話システムを運用したり保留にしたりしなければならない1-800番号(米国のフリーダイヤル)を使う代わりに、メッセージングに移行したいという要望を受けている。電話システムは煩わしいものだし、コールセンターは、企業にとっても運営コストがかかる。

WhatsAppが2020年実施した独自の調査によると、ユーザーは通話よりもメッセージングを好む傾向にある。その結果、最大規模の国々のユーザーの75%が、メッセージングを通じて企業とコミュニケーションを取れるようにしたいと答えていることが判明した。また、68%の人が、メッセージで連絡が取れた企業と取引したり、購入したりする可能性の方が「より高い」と答えている。

WhatsAppは、別の場所でもこの傾向を利用している。大きな収益源となっているのは、FacebookのニュースフィードやInstagram(インスタグラム)に表示される、クリックチャット広告だ。これは消費者が広告上のボタンをクリックするだけでWhatsAppで企業にメッセージを送ることができるというものだ。

その一方で、同社はWhatsApp Business Appを使って小規模ビジネス市場にも対応しており、パパママショップのような地元の小さなお店がオンラインを使って顧客とやり取りできるようにしている。2018年にローンチされたあと、現在では全世界で5000万人のユーザーを抱えるまでに成長している。

本日(米国時間11月1日)のクラウドAPIの公開に先立ち、WhatsAppは他のAPIの改善にも取り組んでいた。たとえば企業が受信したメッセージに対してより迅速に対応できるようにしたり、顧客が指定した場合に在庫切れなどのさまざまな種類のメッセージをサポートしたりしている(これまでのWhatsAppのAPIは、たとえばフライトの搭乗券を送信するような「タイムリー」な通知に焦点を当てていた)。

企業からの連絡を受けた顧客には、会話の先頭に情報メッセージが表示され、(完全に暗号化されている)友人や家族とのメッセージとは異なるものであることが伝えられるとのことだ。また顧客は、企業のサポート内容に応じて、さまざまなやりかたで通信を終了させることもできる。企業からの連絡を止めるためにメッセージを送ったり、変更のために会社のウェブサイトにアクセスするだけで、オプトアウトすることができるだろう。だが最も簡単な方法は、アプリ内で企業をただブロックすることだろう。

クラウドAPIは、米国時間11月1日から限定的なベータ版が開始され、厳選されたパートナーが数日のうちに最初の顧客を迎え入れる予定だ。

その一方で、WhatsAppは2022年から、他のソリューションプロバイダーや企業に直接APIを開放する予定だ。

画像クレジット:WhatsApp

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

【コラム】オンラインプラットフォームには子供たちを危害から守る責任がある

Facebook(フェイスブック)の内部告発者であるFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏による、Instagram(インスタグラム)が10代の少女たちに与える影響に関するメッセージは明確だった。Facebookの調査によると、英国のティーンエージャーの13%が、Instagramが自殺の考えを誘発したと回答し、女性ティーンエージャーの17%がInstagramは摂食障害を悪化させると語った。

こうした数値は、しかし、ネットを利用するティーンエージャーの安全全般にかかわる問題の一部でしかない。

ある調査によると、 50万人以上の性犯罪者が日々インターネットで活動していると推計されている。2020年には2170万件の児童の性的搾取が、全米行方不明・被搾取児童センターのホットラインに報告された。何者かがインターネットを通じて搾取を目的に児童と連絡を取った際に発行されるオンライン誘惑レポートは前年より97%以上増加した。

オンライン性犯罪者の報告は増加しているが、ネット上の搾取行為の歴史はNetscape(ネットスケープ)に遡る。

わが家に最初のパソコンが来たのは1999年だった。私はNeopets(ネオペッツ)やGaia Online(ガイアオンライン)などのゲーミングプラットフォームを使い始めた。その後すぐにMyspace(マイスペース)とTumblr(タンブラー)で自分の考えを投稿したり他のユーザーと交流したりするようになった。オンライン世界が拡大すると、私はプリティーンを偽る成人男性と遭遇した。17歳の少年と「つきあい」始めたのは、私が12歳の時だった。もちろん誰にもこのことは話さなかったが、主としてそれは恥ずかしかったからだ。自分が「育成(grooming)」されていることなど知らなかった。性的暴力に関わる仕事を私自身が始めるまで、そんな言葉が使われるのを聞いたこともなかった。

育成は狡猾で、馴染みのないティーンエージャーは気づかない。育成によって信頼と精神的つながりを構築することで児童を操り、利用し、虐待できるようにする。その行為とは、たとえば年長のティーンエージャーが児童やティーンエージャーにウェブカム撮影を頼み、徐々に回転ポーズをとらせたり服を「可愛らしい」ものに着替えさせることや、デジタル「友達」がサイバーセックスを強要することだ。時として性犯罪者は、年齢を偽ることで写真や性的履歴などの個人情報を入手し、その情報を自らの享楽の武器にすることもある。

つい最近になって私は、自分のCSAM(児童席的虐待コンテンツ)がインターネットに出回っていることに気づいた。私の動画は今でも何者かの携帯電話やハードディスクでほこりを被っているかもしれない。そしてある日、Discord(ディスコード)やTelegram(テレグラム)のプライベートチャンネルでシェアされるのかもしれない。

インターネット上のティーンガールとしての個人的経験は、私が非営利のオンライン身元調査サイトを構築し、誰もが自分の話している相手に暴力行為歴があるかどうかを、理想的には対面する前に、調べられるようにするきっかけの1つだ。最近当サイトでは、最低13歳のユーザーから当サイトの公開情報データベースを利用できるようにすることを決定した。子どもたちがネット上で虐待されるのを完全に防ぐことはできないかもしれないが、少なくともオンラインで出会う人物に悪い行為の履歴があるかどうかを知るためのツールとテクノロジーで武装させることはできる。

もちろん、身元調査は安全を守る兵器の1つにすぎない。人は自分の名前や身元を偽ることがよくある。子どもが育成される時、あるいは大人が子どもを虐待する時、犯罪者は往々にして匿名で孤立して秘密裏に行動する。

オンラインで待ち受ける危険を避けるよう、子どもたちを教育することが重要である理由はそこにある。love bombing(ラブ・ボミング / 大げさな愛情攻撃)や極端な嫉妬、要求の限度を広げるといった早期の赤い旗に気づかせる教育も必要になる。他にも私たちは、若者たちに健全で安全で合意に基づく関係とは何かを、赤ではなく「緑の旗」とともに伝えることもできる。

子どもたちの教育に取り入れられる実用的スキルにもさまざまな種類がある。シェアする写真や誰のフォローリクエストを承認すべきかを慎重に選び、オンラインで知り合った人物と現実世界で会う時には大人を連れて行くことを教えるべきだ。

周囲の大人たちが、オンライン出会いやインターネットでの会話の危険性について、常に率直に話し合っていれば、子どもたちはリスクを認識する方法を学習する。これは深刻な心的外傷を防ぐ上で大きな役割を果たす可能性がある。ネット上の安全に関する会話は、性教育と同じく、親たちに任せられることが多くいが、親たちは子どもたちが学校で教えられていると思っている。この種の会話の進行は簡単ではなく、オンラインカルチャーに馴染みのない親にとっては特にそうだが、親たちは情報を探して自ら学習することが絶対に必要だ。

ホーゲン氏が指摘するように、オンラインプラットフォーム側にも責任がある。各プラットフォームに信頼と安全の部署が設けられたのは比較的最近であり、学習、改善すべき点がまだ数多くある。

多くのデジタルプラットフォームにおいて、コンテンツモデレーター(コンテンツ検査担当者)は人材不足、低賃金、訓練不足だ。オンラインプラットフォームは、利益より保護を有線し、自らのプラットフォームを安全に保つ責任を持つ人々のさらなる教育と心の健康の維持にもっと投資すべきだ。問題のあるコンテンツについて考えるために必要なツールと時間を安全管理チームに与えることによって、効果的かつ注意深く任務を遂行できるようになる。

インターネットは悪用につながる環境を作る可能性をもっていると同時に、若者たちに警告の前兆と世界の現実について教える強力なツールでもある。ネット上で話している相手に関する情報を入手できるように武装させることもその1つだ。

事後措置によって悪事と戦うことは、刑事司法制度からプラットフォームモデレーターまで、出血している傷口をバンドエイドで覆うようなものだ。性的虐待を事前に防ぐことは子どもたちに対する最良の保護だ。ネット上で起きる潜在的危害の責任を負うことによって、プラッフォームであれ政治家であれ親であれ、私たちは全員にとってより安全な世界をつくり始めることができる。

編集部注:本稿の執筆者Kathryn Kosmides(キャスリン・コスマイズ)氏は性的暴力被害の克服者で身元調査の非営利団体、Garboのファウンダー。

画像クレジット:JGI/Jamie Grill / Getty Images

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(文:Kathryn Kosmides、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Mastodonがコードの悪用を巡りトランプ氏のSNSに猶予30日間の最後通牒を提示

トランプ前大統領の新しいソーシャルネットワークは、立ち上げ前からすでに話題になっているのかもしれない。無料のソーシャルメディアフレームワークであるMastodon(マストドン)は、Truth Socialがオープンソースソフトウェアを自社のものだと偽っていると主張し、その是正に30日間の猶予を与えた。2021年11月末までに修正されなければ、事態は混乱する可能性がある。


Mastodonの創業者でCEOのEugen Rochko(ユーゲン・ロッコ)氏は、同社のブログへの投稿で、問題は単にTruth SocialがMastodonを使用していることではなく、Truth Socialのサイトのコードに関する所有権を主張しながら使用していることだと説明している。先週、立ち上げ前のサイトのコードを調べた人々が、Mastodonのコードが明らかに無断で使用されていることを発見した。

「利用規約には気がかりな一節が含まれています。サイトは所有権のある財産であり、すべてのソースコードとソフトウェアは、彼ら(Truth Social)によって所有または管理されているか、彼らにライセンスされていると主張しています」とロッコ氏は書いた。「MastodonはAGPLv3ライセンスで公開されているフリーソフトウェアであり、これを使用する他のネットワークサービスは、ソースコードとそのあらゆる変更を公開することが求められています」。

Truth SocialはMastodonについて言及していないが、Mastodonのコードが使用されていることは明らかだ。SNSこの種のライセンスは、オープンソースソフトウェアでは一般的なもので、多くの場合、大企業にも無料で提供されている。大企業は、そのソフトウェアを自由に使用・変更することができるが、使用する場合、その作業を公開し、ツールの開発全体の一部として扱うことが求められる。これが、時間を割いてボランティアで活動する人々と、お金をもらって貢献するエンジニアを抱える企業との間に、豊かなコラボレーション環境を生む。

しかし、得てしてこうしたライセンスは尊重されない。大企業は多くの場合、自分たちは逃げ切れると考えているか、あるいは、自分たちに何が求められているのかを理解していない。たとえ、それが単に、使用を認めることであったり、GitHubのページにコードをどう変更したかを記録したりするだけであってもだ。違反した場合の影響はまったくわからず、さまざまな要因に左右される。例えば、ある企業が、利用可能な状態にある有料ライセンスへの支払いを回避するために、オープンソースソフトウェアを無料で使用した場合、失われた収入に対する金銭的損害賠償を求める訴訟が起こされるかもしれない。また、最近のVizioに対する訴訟のように、純粋にコードをオープンにしておきたいという動機で訴訟が起こされることもある。

世の中には膨大な数のライセンス違反が存在するため、多くの違反は見逃される。だが、トランプ氏のソーシャルネットワークが公然とライセンス違反を犯せば、それが見逃されることはないだろう。ロッコ氏の投稿によると、もしTruth SocialがMastodonのソースコード利用を認めず、コードをレビューに回さなければ、ライセンスは11月26日(Truth Socialの最高法務責任者にこの件を説明する書簡が送られてから30日後)に取り消されるという。

これは先週、Software Freedom Conservancyが予言した救済措置そのものだ。というのも、彼らが指摘するように「AGPLv3の救済規定は、不動産王やリアリティテレビのスター、さらには前大統領であっても例外なく機能する」からだ。この「治癒」は、他に何らかの合意がないことを前提に、著作権者(つまりMastodon)からの通知があれば足りる。

「ライセンスなしにコードを使用する人は、私たちの著作権を侵害することになります」ロッコ氏はTechCrunchにメールで述べた。「そして、著作権侵害に対抗する手段が私たちに開かれることになります」。

ロッコ氏は、トランプ一派が自分たちのソフトウェアを使用していることは喜ばしくないと認めているが、ビジネスを始めたときにそのような事態が起こることは覚悟していたとし、唯一の、真の異議申し立ては、ルールに従って使用されていないことだと述べた。

個人的には、もちろん、私たちの価値観に反する人々が、私たちの労力を利用して利益を得ることがないことを望みます。しかし、現実的に、フリーソフトウェアに取り組むということは、誰が利用でき、または誰が利用できないかを選択する可能性を最初から放棄しているということです。実際上は、Truth Socialのような存在に対して私たちが問題にできるのは、利用者がフリーソフトウェアライセンスに従わない場合だけです。私たちはライセンスに基づき成果物をリリースするからです。

Mastodonは、意図的にインスタンスが完全に独立するよう設計されており、同社が介入して特定のインスタンスをシャットダウンすることはできない。皮肉なことに、このソーシャルメディアツールは、トランプ氏の仲間たちが声高に求めてきたものだ。彼らは、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)という集権化された権威に不満を述べてきた。Mastodonは何年も前から利用可能だったが、トランプ氏の会社は利用にあたり最もあやしい方法を採ったため、会社全体の運営を危険にさらした。

Truth Socialが、ソーシャルネットワークを自ら作り上げたという主張を撤回すれば、安全ではあるが、少し輝きを失うことになるかもしれない。単なるMastodonのインスタンスのセットアップは、誰でも半日あればできる。もし撤回しないのであれば、これは教科書的なケースであり、結局のところ、訴訟を受けてTruth Socialは独自のコードベースを構築せざるを得なくなるかもしれない。そして、それは予想以上に難しいことだと分かるかもしれない。

画像クレジット:Mastodon

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】フェイスブック「怒りの絵文字」を米証券取引委員会が注視する理由

Facebook(フェイスブック)は新しい名前になったかもしれないが、ブランド名を変えても、同社が社会にとっていかに破壊的であるか、そして自社の投資家にとっていかに有害であるかを示す、最近の複数の情報開示は消えない。

Facebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏の暴露は衝撃的だったが、驚きではなかった。大量の文章を報道機関や議員、当局に提出する以前、Facebookの選挙のセキュリティ問題を担当していたハウゲン氏によると、Facebookは、例えば、拒食症の可能性を高めるいわゆる「thin-spiration(シンスピレーション)」を10代の少女たちに押し付けるなどの非難すべき行為とともに、そのアルゴリズムが社会や弱者に害を及ぼしていることを一貫して認識していた。

Facebookの内部文書の最近の分析は、Facebookのエンジニアは、「怒り」の絵文字を含む絵文字のリアクションを「いいね!」の5倍の価値があるものとして扱い、ユーザーを惹きつけて利益を上げるために、物議を醸すような投稿を好んでいたことを示している。

これは、単に企業が公共の利益に反して行動し、自社の消費者に損害を与えているという話ではなく、その投資家に反して行動したという話でもある。ホーゲン氏によれば、同社は、安全性への取り組み方からユーザーベースの規模まで、ビジネスの基本的な事実について株主を欺いていた。

このような重要な情報を連続して投資家に伝えなかったことで、Facebookは米国の証券取引法に違反した可能性がある。また、ハウゲン氏は、Facebookが会社の内部調査に関連する重要な情報を隠していたことで法律に違反していると主張し、少なくとも8件の苦情を証券取引委員会に提出している。

一方、2人目の無名の内部告発者は、Facebookがヘイトスピーチや誤情報よりも成長と利益を優先していると主張する宣誓供述書を米国証券取引委員会に提出した。

内部告発が注目を集めているのにもかかわらず、Facebookを規制・抑制するために米国証券取引委員会が果たしうる役割が最重要視されていないのは驚きだ。Facebookはハイテク企業だが、何よりもまず上場企業であり、それゆえに米国証券取引委員会の規制と監視の対象となる。

株式公開後もMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が会社を完全に実効支配できるような奇妙な特殊クラスの株式が含まれていたにも関わらず、2012年のFacebookの新規株式公開を承認したのは、オバマ政権下の米国証券取引委員会だった。さらに、スキャンダラスなデータ会社であるCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)が、約3000万人の米国人のFacebookデータにアクセスして悪用したことを知っていたにもかかわらず、それを投資家に適切に開示しなかった件について、Facebookと和解したのはトランプ時代の米国証券取引委員会だった。

過去2年半の間に証券法違反で米国証券取引委員会と和解した企業であるFacebookを詳しく調査するように求めることは、驚くことではなく、合理的なことであり、私たちが証券規制当局に期待することでもある。

バイデン政権が、Gary Gensler(ゲーリー・ゲンスラー)氏とLina Khan(リナ・カーン)氏という強力な規制官をそれぞれ米国証券取引委員会と連邦取引委員会の委員長に任命したことは、米国人にとって幸運なことだ。しかし、Facebookをはじめとするビッグテック企業が、経済、政治、日常生活のあらゆる側面に影響を及ぼすようになったように、これらの企業を適切に規制し、抑制するという課題は、1つや2つの機関では解決できない。

大規模テック企業がもたらす問題や脅威に真に取り組むために必要なのは、政府全体でのアプローチだ。バイデン政権は、競争評議会で良い第一歩を踏み出したが、これは最終的な製品ではなく、最初の切り札でなければならない。また、大規模なテック企業に、フィンテック、通貨、政府との特別契約など新しい市場へのアクセスを与えないことも重要だ。これらの企業は、中小企業や消費者を犠牲に、これらの機会を利用してさらに強力になることはほぼ間違いないからだ。

また、これらの重要な問題については、議会の関与が必要だ。ホーゲン氏が上院の小委員会で証言した同じ日に、下院金融サービス委員会は、米国証券取引委員会の監督に関する公聴会を開催した。ホーゲン氏の扇情的な主張が数日間にわたって報道されたにもかかわらず、公聴会は、Facebookの投資家に対する説明責任を果たす上での米国証券取引委員会の役割について何のコメントも質問もなく何時間も続いた。

この重要な監視の機会が失われたことは、想像力と協調性の欠如を意味している。ビッグテックの危険性に真に対処するためには、すべてのメンバーが、バイデン政権への働きかけを含め、これらの巨大企業に対処するための改善策を考える必要がある。

ホーゲン氏は、フェイスブックから生まれた最初の内部告発者でもなければ、最後の告発者でもない。米国連邦政府が、ビッグテック企業の従業員、株主、下請け業者、さらには創業者が、これらの企業が米国人にもたらす危険性を明らかにするのを黙って見ている時代ではなくなった。

企業の規模、力、そして危険性がましている今こそ、バイデン政権は、大胆に、積極的に、結束して行動すべきだ。そのためには、まず、米国証券取引委員会が、この問題を取り上げ、Facebookを徹底的に調査し、法律を完全に執行することから始める必要がある。

編集部注:本稿の執筆者Lisa Gilbert(リサ・ギルバート)氏は、Public Citizenの副社長。

画像クレジット:Serdarbayraktar / Getty Images

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(文:Lisa Gilbert、翻訳:Yuta Kaminishi)

ツイッター、全iOSユーザーが特定のクリエイターを「スーパーフォロー」できるように

Twitter(ツイッター)は、すべてのiOSユーザーが特定のクリエイターを「Super Follow(スーパーフォロー)」できる機能を世界中で展開中だ。これまでは、米国とカナダのユーザーだけが利用できた。スーパーフォローでは、ユーザーは気に入ったアカウントを月額料金でサブスクし、限定コンテンツを入手できる。


この機能は、2月に発表され、9月に始まった。スーパーフォローは、クリエイターがソーシャルメディアを通じて収入を得るためのもう1つのツールだ。対象となるアカウントは、スーパーフォローのサブスク料を設定することができ、月額2.99ドル(約340円)、4.99ドル(約560円)、9.99ドル(約1100円)のいずれかを選択できる。クリエイターは、一部のツイートを購読者専用にし、購読していないフォロワーには通常のツイートでアプローチを続けることができる。

クリエイターがスーパーフォロワーになるプロセスは、現在は申請ベースとなっている。対象となるのは、米国在住で、1万人のフォロワーを抱え、過去1カ月間に25回以上ツイートしたクリエイターだ。

2021年9月に発表されたSensor Tower(センサータワー)のレポートでは、スーパーフォロー開始2週間で、米国では約6000ドル(約68万円)、カナダでは約600ドル(約6万8000円)ほどの収益しかあがっていないことが明らかになった。スーパーフォローのゆっくりとした立ち上がりについてのTwitterの見解は「何かを判断するにはまだ早すぎる」というものだ。

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注目すべきは、スーパーフォローがTwitterの唯一の収益化機能ではないということだ。

2021年初め、Twitterは、アカウントがフォロワーから1回限りの支払いを受けられるTip Jarを導入した。このテストは現在、クリエイター、ジャーナリスト、専門家、非営利団体など、対象となるアカウントの一部に限定されている。また、Twitterは、ライブオーディオルーム機能にTicketed Spacesを導入し、クリエーターが1〜999ドル(約113円〜11万3800円)の範囲で課金して前売りチケットを販売できるようにした。

画像クレジット:Twitter

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

LinkedInがフリーランスのためのサービスマーケットプレイスをグローバルに展開

Microsoft(マイクロソフト)傘下のLinkedIn(リンクトイン)は、仕事に就いている人や仕事を探している人が、同じ分野の人とつながるためのプラットフォームだ。採用の観点では、正社員の候補者探しや求人広告で知られる。そのLinkedInが、フリーランスのためのジョブマーケットを開拓している。

この新機能では、短期間の仕事向けに誰かを雇いたい人は広告を出すことができる。熟練知識労働者を探せるFiverrやUpworkなどと競合することになる。

今回のフリーランス向けプラットフォームの立ち上げは、他の求職ツールに関するいくつかの重要なアップデートと同時に行われた。雇用市場や働き方の新しい流れに、LinkedInがいかに適応しようとしているかを示している。

新しく検索フィルターが設けられ、リモート、ハイブリッド、オンサイト(つまり正社員)のいずれで働けるのかが表示される。採用担当者からの連絡を受けられるよう「オープン・トゥ・ワーク」をオンにしている場合、そこに上記の情報が表示される。また、求人情報を検討する際、企業の予防接種要件を確認することができるようになった(企業がその詳細を表示している場合)。

Service Marketplace(サービスマーケットプレイス)は2021年2月、小規模なテストの段階で初めてリークされた。それ以来、米国でこのサービスのベータ版を静かに稼働させ、LinkedInが全世界で抱える約8億人のユーザー(米国時間10月26日の決算発表時点)の中から、すでに200万人のユーザーを獲得した。

10月27日からService Marketplaceは全世界で提供される。フリーランスのプロフィールを設定するには、自分のプロフィールページにアクセスし、上の方にあるボタンを押し、指示に従って設定を行い、自分が興味を持って取り組める仕事にフラグを立てる。

この新機能は、Microsoftの傘下に入ったLinkedInにとって興味深い転換点となる。LinkedInは前四半期に約2500万人の新規ユーザーを獲得した。

長い間LinkedInが構築してきたのは、同社が「エコノミックグラフ」と表現するものだ。人々が仕事上の関係でどのようにつながっているかをマッピングすることで、世界経済をより深く理解することができるという構想だ。

その意図はもちろん、同社のビジネスの商業的な側面、すなわち人材紹介ビジネスをより強固なものにすることにある。同社のプラットフォームは、リクルーターにプレミアム会員権を販売して潜在的な候補者に関する詳細なデータを入手できるようにしたり、求人広告を出したり、求職者が仕事を見つけられるようになっている。

このビジネスは着実に成長している。LinkedInは10月27日の決算説明会で、プラットフォーム上で確認された採用数が前年同期比で160%以上増加し、広告収入全体も61%増加したと発表した。また、採用担当者に幅広いトレーニングコンテンツをアップセルしているLinkedIn Learningは現在、1万5000社以上の法人顧客を抱えている。

だが、その過程で、LinkedInは市場の大きな部分を切り離してしまった。この10年間で、フルタイムの長期雇用から短期のフリーランスへと移行する人が急増したからだ。

彼らがLinkedInを利用して、ネットワークを広げたり、同じ分野の人々と連絡を取ったり、仕事を見つけたりすることを妨げるものは何もなかったが、これまでLinkedInには短期のフリーランスに関わる正式な方法がなく、特にそれを収益化できていなかった。

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Service Marketplaceは、他の人材紹介製品と同様、現在は料金を請求していないが、LinkedInが将来提供し得るサービスの基礎となる。

Service Marketplaceは、250の職種カテゴリーでスタートし、500種まで拡大する計画だと、プロダクトマネージャーのMatt Faustman(マット・ファウストマン)氏はインタビューで語った。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」と同氏はいう。これまでのところ、マーケットプレイスで引き合いが強いカテゴリーの1つとして、マーケティングが挙げられると付け加えた。

注:ファウストマン氏がLinkedInに入社したのは、前職のリーガルテック専門会社のスタートアップであるUpCounselがLinkedInに買収された時だった。前職での最初のプロジェクトは、短期的な仕事に必要な弁護士を探すマーケットプレイスを構築することだったが、それは自然に、より広範なService Marketplaceに取り組むことへと発展した。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」という言葉はピッタリかもしれない。

今のところ、仕事の料金を交渉したり、請求書を発行したりするツールは用意されていない。また、人材を探す側は、候補者との会話が深まるまで、料金について具体的な説明をする必要はない。

レビューに関していえば、クライアントは契約相手をレビューすることができるが、個人側はクライアントのレビューを残すことができない。

また、マーケットプレイスに自身を掲載している人は、自分から仕事を探すことはできない。誰かに見つけ出してもらうのを待つために存在するのであって、自らの仕事を探すためではない。

仕事を探しているクライアントは、LinkedInの大きなドロップダウン検索メニューを使って人材を探す。例えば、ブランドマーケティングのスペシャリストを探している場合、検索ウィンドウにそのフレーズを入力し始めると、LinkedInがオートコンプリートで「in Service Marketplace」と表示し、そのカテゴリーの候補者一覧を出す。

候補者の抽出には、クライアントであるあなたが、仕事や個人的なつながりで、各個人とどれだけ密接につながっているかが考慮される。

しかし繰り返しになるが、一例として、ブランドマーケティングの専門家の人は、包括的な案件リストに目を通すことはできない。これは意図的なものだとファウストマン氏はいう。この機能は今のところ、クライアントの体験のために開発されたものであり、クライアントにターゲットを絞った依頼をさせ、専門家に応募が殺到して選別に時間を取られることがないようにしようという考えだ。

ゆくゆくは、上記の点や、決済など現在用意されていない機能も再検討すると同氏は語る。

LinkedInが労働者を開拓し、彼らの信頼を得たいなら、その点が重要になる。フリーランスは、料金の透明性の低さに悩まされることが多く、結果的に低価格で搾取される危険性がある。ファウストマン氏は、この点が問題であることを認め、LinkedInのプロダクトチーム内でも議論になっていたと話す。

「価格設定については、今後対応していきますが、今のところは見合わせることにしました」と同氏は述べた。

もう1つの興味深い点は、LinkedInが他の種類の労働者をどのように市場に呼び込むのかということだ。つまり、第一線で働く人やその他のサービス業に従事する幅広い人々をどうカバーするのか。Service Marketplaceにそうした層を含める計画は手元にない、とファウストマン氏は語る。しかし「長期的には、LinkedInに存在するあらゆるカテゴリーに拡張する可能性があります」。

画像クレジット:Nan Palmero / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

Facebook Messengerの音声通話がOculus Questでも可能に

Facebookは、同社のヘッドセット「Quest」を使ったVR体験の参加プロセスを改善したいと考えている。米国時間10月28日に開催された同社の「Connect」カンファレンスで、QuestのユーザーがMessengerを介して音声通話が行えるようになると発表された。この機能は、2021年後半に利用可能になるという。

Questはこれまで、ソーシャルインターフェースに苦戦してきた。2020年、ユーザーにFacebookのIDでサインインすることを義務づけたことは、同社の広報活動に支障をきたしたが、そのおかげでソーシャルワークフローの冗長性を排除することができた。

ユーザーは「Quest」に搭載されたMessengerから直接、通話したり、メッセージを送ったり、自分の「パーティー」に参加してもらうことができるようになる。

2021年初め、Facebookは、Oculusのエコシステム内でのMessengerチャットのサポートを発表しましたが、音声通話は、ユーザーがVRミーティングをより効率的に開催するのに役立ち、また、VR内での入力作業を回避するのに役立つだろう。

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画像クレジット:Facebook

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Twitter Blueがその新機能にいち早くアクセスできる新機能「Labs」を導入

Twitter(ツイッター)は、プレミアムサブスクリプションサービスであるTwitter Blue(ツイッターブルー)向けに「Labs(ラボ)」と呼ばれる新機能を展開する。Labsは、Twitter Blueの加入者に、Twitterがそのバンドルの一部としてテストしている機能への早期アクセスを提供するもので、現在はカナダとオーストラリアでのみ提供されている。


現在、Labs加入者は、デスクトップから10分以内の動画をアップロードすることができるようになった。スタンダードユーザーの方は、現在、2分20秒までの動画しかアップロードできない。また、iOSユーザーは、お気に入りの会話をスワイプしてダイレクトメッセージの受信トレイの一番上に固定できるようになった。

Twitterによると、Labsで公開された機能は、最終的に残りのTwitterに展開されたり、Twitter Blueの固定機能になったり、利用者からのフィードバックに基づいて完全に廃止される可能性があるとのことだ。

「また、Labsは、他の社内製品チームが機能を提供し、初期の量的・質的データを得て、その後、より多くの人に公開する機会を提供します。Labsで紹介される内容は、新機能の開発に合わせて変更されます」と同社は声明で述べた。

Twitterは、新製品をリリースする際には、より実験的になることを計画していると2021年9月に述べ、最近のFleets(フリート)のように、途中で進捗状況を公開し、うまくいかなかったアイデアは破棄するとしていた。

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Twitterのコンシューマープロダクト部門の責任者であるKayvon Beykpour(カイヴォン・ベイクプール)氏は「もし、私たちが全然失敗をしないとすれば、それは、私たちが十分に大きな賭けをしていないということだと考えています」と述べている。

カナダとオーストラリアでは、Twitter Blueのサブスクリプション料金は、それぞれ3.49カナダドル(約320円)、4.49オーストラリアドル(約380円)となっている。このサブスクリプションに加入すると、ブックマークを整理するツールや、長年要望されてきた「編集」ボタンに最も近いものと思われる「Undo Tweet」機能などのプレミアム機能を利用することができる。また、Twitter Blueにはリーダーモード機能が搭載されている。

画像クレジット:Nina Riggio / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

フェイスブックが「Meta」に社名変更、メタバースを中核事業に

正式発表だ。Facebook、Instagram、WhatsApp、Oculusを擁するソーシャルネットワーキングの親会社は、17年間にわたって「Facebook」と呼ばれてきたが、社名を新しくした。

Facebookの社名は「Meta」になった。

Facebookの生みの親であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、AR / VRに特化したイベント「Connect」でこの変更を発表し、新しい社名はメタバースを構築するという会社の中核的な野心を表していると語った。

「我々が何者であるか、何を構築したいかを反映するために、当社がMetaになったことを発表できることを誇りに思います。我々の使命は変わりません。人々を結びつけることです。我々のアプリケーションやブランドも変わりません」とザッカーバーグ氏は述べた。「これからは、Facebookファーストではなく、メタバースファーストでいきます」。

この名称変更は、Facebookにとって都合の良い時期に行われた。絶えず自社に対する反発に直面しており、特にここ数週間は元従業員がメディアや政府機関に大量の文書をリークし、Facebookが責任を持ってプラットフォームを構築する上で長年にわたって犯してきた過ちを詳述していた。同社は、数カ月前から社名変更のための準備を進めてきた。これは、同社の最も人気のある製品にまつわる絶え間ないネガティブな見出しから、同社の中核的なブランドを引き離すための努力であり、怒っている消費者を回避するためのもののようだ。

CEOのザッカーバーグ氏は7月、Vergeの記事の中で、Facebookがメタバースにすべてを賭けていることを発表した。これは、1兆ドル(約113兆円)規模の企業にとっては驚きの発表だった。その理由は主に、同社がバーチャルリアリティのハードウェアに多大な資金と労力を費やしてきた一方で、ソーシャルVR製品はほとんど短命という失敗に終わっており、ベータ版のソーシャルプラットフォーム「Horizons」については、1年半以上前に発表して以来、ほとんど何も語っていなかったからだ。

Facebookは8月に、VRで会議ができるように設計されたVRアプリについて、異例の大々的な発表を行った。ザッカーバーグ氏は朝のテレビ番組に出演し、小さなVRアプリの紹介に驚くほどの力を注いだ。

そして同社は9月「責任を持ってメタバースを構築する」というブログ記事の中で「これらの製品が責任を持って開発されることを保証する」ための研究に投資する5000万ドル(約56億円)の基金を発表した。同社は今月、設立間もない「Horizon Worlds」プラットフォームの開発者向けに、1000万ドル(約11億円)の小規模なクリエイターファンドを発表するとともに、メタバースプラットフォームを構築するために、EU域内で1万人もの従業員を雇用する計画であることを明らかにした。

先週のThe Vergeの記事には、Facebookは社名変更を検討しているようだ、とあった。

究極的には、主力事業を最も問題のあるプロダクトから切り離すことは、驚くべき行動ではない。しかしMetaに社名を変更することで、Facebookは自社のコアブランドを何年も先に進んだプロダクトと合わせる必要があり、メインストリームで成功するまでに多くの失敗を経験する可能性がある。Facebookはまだユーザー25億人を抱えるが、メタバース製品のユーザー数はせいぜい数千人程度だ。

テクノロジー業界の最大手企業が名前を大きく変えるのは、前例がないわけではない。Google(グーグル)は2015年に新しい会社組織を導入し、Alphabet(アルファベット)と呼ばれる親会社を設立した。Googleは現在もAlphabetの子会社だが、良くも悪くも、同社やその子会社に関係するものを「Google」と口語的に呼ぶ人が多いようだ。20年近くにわたってブランドを構築し、月間ユーザー30億人近くの製品に育ててきたFacebookも、おそらく同じような扱いを受ける。

Googleは自社の名前との間に距離を置こうとしていたわけではなく、Facebookはブランド変更の理由がまったく異なる。同社のビジネスは急成長を続けているが、2016年のロシアの選挙偽情報から、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルのような重大なプライバシー侵害、そして現在はFacebookのシビック・インテグリティ・チームの元メンバーで、Facebookの内部告発者となったFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏による進行中の暴露の数々と、そのブランドはここ数年で打撃を受けている。

また、Facebookは現在、テック業界のどの企業よりも規制当局の監視下に置かれていると言っても過言ではない。議員の意見が一致することはめったにない議会で、共和党と民主党はFacebookの拘束を受けない成長、非合理的なビジネス手法、そしてInstagramがティーンエイジャーの精神衛生に悪影響を及ぼすことへの懸念を共有し、嫌悪感を抱いている。

先週行われた上院の公聴会では、TikTok(ティクトック)、Snap(スナップ)、YouTube(ユーチューブ)の各ソーシャルメディア企業が、自社のビジネス手法をFacebookと明確に対比させようと躍起になっていた。YouTubeは「安全よりも利益を優先することはない」と断定した。Snapは自社が一定時間後に消えるな会話にフォーカスしていると指摘し、TikTokはティーンエイジャーのユーザーの健康状態を慎重に考慮していると主張した。しかし、Facebookの同業者たちの努力は無駄に終わったようだ。

Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員は「Facebookと違うということは防御にはなりません」と述べた。「障壁は、溝の中にあります」。

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(文:Lucas Matney、Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドのSnapchatユーザーが1億人突破、eコマース大手FlipkartやAndroidスマホベンダーなどと提携へ

Snap(スナップ)は、現地時間10月27日、インドにおける月間アクティブユーザー数が1億人に達したことを発表した。これは、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)が5億人以上の人々にサービスを提供している重要な海外市場での快挙だ。同社は世界第2位のインターネット市場へのさらなる進出に向けて、Androidスマートフォンのベンダー、エンターテインメントTVチャンネルのSony(ソニー)およびZee TV(ズィーTV)、eコマース大手のFlipkart(フリップカート)など、さまざまな企業との契約を進めている。


Snapの共同創業者兼CEOのEvan Spiegel (エヴァン・シュピーゲル)氏は、同日に開催されたバーチャルイベントで、インド進出に貢献した同社のローカライゼーションの取り組みを紹介しながら、この節目を語った。この節目と今日の数多くのパートナーシップは、2~3年前までは存在感や関連性が限定的だったインド市場に対するSnapの戦略における大きな転換を示している(Snapは全世界で5億人以上の月間アクティブユーザーを抱えている)。

同社は近年、Androidアプリを改良したことでインドに進出した。インドでは、スマートフォンの98%以上がAndroidだ。Snapは、Durgesh Kaushik(ドゥルゲシュ・カウシク)氏をインド事業の責任者に任命したことで、現地のクリエイターや企業との関係を発展・改善させることにも大きく貢献したと、多くの人たちが最近の四半期にTechCrunchに語っている。

「私たちは、インドのコミュニティ向けにSnapchatをローカライズするために、多大な投資を行ってきました。文化的に関連のあるコンテンツを追加し、非常に活発でクリエイティブな現地のクリエイターコミュニティを開発し、現地の製品、マーケティング施策、言語サポートに投資してきました」と、イベントでシュピーゲル氏は述べている。

「インドのスナップチャッターにローカライズされた体験を提供するためのこうした取り組みの結果、現在、インドのスナップチャッターは毎月1億人に達しています。今後も、インドの文化や能力を称えることに重点を置きながら、インドのクリエイターのコミュニティを強化し、成長させ、リソースを提供していきます」と述べている。

Snapは、インド向けの2回目の年次イベントで、インドでの成長を加速させるために締結した数々のパートナーシップを発表した。同社は、AR体験を開発するために、インドのeコマース大手Flipkartと「戦略的パートナーシップ」を結んだ。同社によると、eコマース企業とこの種のパートナーシップを結ぶのは初めてのことだという。

「このパートナーシップにより、買い物客はSnapchat ARを通じてショッピングやeコマースを利用する体験を始められ、自宅にいながら簡単にショッピングを進めることができるようになります!」と同社は述べている。

Snapは、インドのSugar Cosmetics(シュガー・コスメティックス)およびMyGlamm(マイグラム)とも提携しており、両社は今後、SnapのARショッピングベータプログラムを採用して、バーチャルな美容・化粧品の試着体験を顧客に提供する予定だ。

「拡張現実は、インドにおけるSnapchatのサービスの中核をなすものです。文化的な関連性を保ち続け、ユニークなAR体験を提供するための当社の取り組みは、1億人のインドのスナップチャッターの共感を得ています。私たちは、ワークショップやレンズソン(ARレンズを用いたインドのクリエイター向けハッカソン)を通じて、学生や若者に必要なARスキルを身につけてもらうことを目指しています。私たちは、インドでより多くのローカルクリエイターと提携し、スナップチャッターが利用できるすばらしい体験の数を増やすことを目指しています。Snapでの私たちの狙いは、ARをこれまで以上に身近で便利で実用的なものにすることです」。とSnapの共同創業者であり、最高技術責任者であるBobby Murphy(ボビー・マーフィー)氏は、イベントで述べている。

もう1つのインド初の取り組みとして、Snapは、インド国内で1億台以上のデバイスをインストールしているAndroidの主要なOEMメーカー(Androidベンダー)と提携したとのことだ。これらの企業は、自社のデバイスにSnapchatアプリをプリインストールする。また、Samsung(サムスン)との提携により、SnapのAR機能付きレンズの一部をSamsungのインド向けスマートフォン「Mシリーズ」に搭載する「ファン・モード」を提供する。

また、Anushka Sen(アヌシュカ・セン)氏とVir Das(ヴィル・ダス)氏が出演する「What’s On My Plate」や「The Most Epic Max Show」など、多数のクリエイターショーを公開し、来年はインド全体で120エピソードの新コンテンツを委託すると述べている。

同社は「ディスカバリー」セクションがインドで非常に人気があると述べている。このセクションでは、ニュース、ファッション、エンターテインメント、コメディーなど、インドのローカルチャンネル70社のコンテンツを紹介している。現在、Sony Entertainment TelevisionやZee TVなどの大手エンターテインメントチャンネルとの提携を発表し、さらに多くの厳選されたコンテンツをアプリに掲載する予定だという。

また、インド事業では、あらゆる規模の企業に対応できるよう、収益化機能を急速に拡大している。2020年の新規広告主数は70%増加し、Spotify(スポティファイ)、Swiggy(スウィッギー)、LG、OnePlus(ワンプラス)、ITC Yippee Noodles(ITCイッペイ・ヌードル)などの企業と提携している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Snap、TikTok、YouTubeの公聴会で、米議員がオンラインで子どもたちを守る新ルールを声高にアピール

Instagramでの10代のメンタルヘルスに関する情報暴露の影響は、Facebookだけではなく、今も続く。米国時間10月26日、YouTubeとSnap、TikTokのポリシー担当者が、子どもたちとオンラインの安全性について議会で議論した。SnapとTikTokが主要な技術系の公聴会に登場したのは初めてのことだ。

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上院の国消費者製品安全委員会が開催したこの公聴会では、この話題に触れるのは時間の半分程度にとどまった。委員会の共和党メンバーは、TikTokの幹部との貴重な時間を、同社と中国政府との関係をめぐるプライバシーの懸念についての質問に絡めようと必死だった。


このような逸脱はあったが、公聴会では、3人のポリシー担当者が、議会で審議されている具体的な政策案について、イエス / ノーで答えるよう求められるなど、有益な場面もいくつか見られた。公聴会では、Snapのグローバルパブリックポリシー担当副社長のJennifer Stout(ジェニファー・スタウト)、TikTokのパブリックポリシー担当副社長兼責任者のMichael Beckerman (マイケル・ベッカーマン)、YouTubeで政府関係およびパブリックポリシーを担当するLeslie Miller(レスリー・ミラー)が証言を行った。

YouTubeとTikTokの両社は、米国においてオンラインプライバシーに関する包括的な法律を制定することを求め、ベッカーマン氏は、国家的なプライバシー法の法的枠組みを「遅きに失した」と評価した。また、3社とも、親は子どもや10代の若者のオンラインデータをすべて消去できるようにすべきだという意見で一致しており、スタウト氏は、Snapchatのデータは仕様上消去されるようになっていると指摘している。しかし、Snapchatのプライバシーページには、同社が位置情報データを「どのくらいの精度で、どのサービスを利用しているかによって異なる期間 」保持することができる旨記載されている。

Ed Markey(エド・マーキー)上院議員(マサチューセッツ州)は、自身もTikTokで人気を博しているが、公聴会では、彼が「21世紀のプライバシー権利章典」と呼ぶ、子どもたちのための権利を主張した。マーキー氏は、自身が提案した児童オンライン保護法(COPPA)の改正案について、若いソーシャルメディアユーザーの保護を強化すると述べた。この法律は、テック企業が13歳から15歳までのユーザーのデータを明示的な同意なしに収集することを禁止し、未成年者の個人データを簡単に削除できる「削除ボタン」を導入するとともに、ソーシャルメディアのプラットフォームが収集できる情報の種類をより広範囲に制限するものだ。

マーキー氏は、COPPAの変更を支持するかどうかについて、各企業の担当者に質問した。TikTokを代表してベッカーマン氏は、同社はこの提案を支持するが、プラットフォームがユーザーの年齢を確認するための標準的な方法も、それ以上ではないにしても、同様に重要であると考えていると述べた。

SnapはCOPPAの提案にコミットしなかった。そして、マーキー氏はスタウト氏がテック企業が具体的な内容にコミットすることを拒否する「古いゲーム」をしていると揶揄した。YouTubeは、過去にCOPPA違反でFTC(連邦取引委員会)から1億7000万ドル(約193億円)という歴史に残る罰金を科せられたが、明確な約束はせず、マーキー氏のスタッフと「建設的な」話し合いを行ったことを強調した。

公聴会では、マーキー氏とブルメンタール氏は、2021年9月に再提出した「KIDS(キッズ・インターネットデザイン安全法」も強調した。この法案は、16歳未満のオンラインユーザーを、オートプレイ、プッシュアラート「いいね!」ボタンなどのエンゲージメントを高める機能から保護するものだ。また、16歳未満の子どもを対象としたインフルエンサーマーケティングを禁止し、プラットフォームに対し、有害なコンテンツを若いユーザーに提供した場合の報告システムの構築を義務付けるものだ。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アドビのクリエイター向けSNS「Behance」がNFTと有料サブスク販売を新たにサポート

Adobe(アドビ)は米国時間10月26日、年次カンファレンス「MAX」において、同社のクリエーター向けポートフォリオサイトBehance(ビハンス)の興味深いアップデートを発表した。Adobeによると、2020年1年間で1億6000万人以上がBehanceを訪れ、22億5000万回以上もクリエイターの作品を閲覧したという。これは非常に活発なコミュニティであり、Adobeが、ユーザーがそこから直接、あるいは間接的に利益を得られるような新機能をいくつか追加するのも当然のことかもしれない。


Adobeが追加した機能の中で最も注目を集めているのは、NFTアートワークをサイト上でよりよく紹介できるようになったことだろう。クリエイターは、Behanceに自分の暗号ウォレットを接続できるようになった。同社は、Polygon(ポリゴン)、Solana(ソラナ)、Flow(フロウ)、Tezos(テゾス)などのブロックチェーンの導入を進めている。また、OpenSea(オープンシー)、SuperRare(スーパーレア)、KnownOriginRarible(ラリブル)などのNFTマーケットプレイスと提携し、現在多くのCreative Cloud(クリエイティブ クラウド)ツールに組み込まれている「コンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative、CAI)」のデータ来歴を、Behanceに加えてそれぞれのサイトで可視化して表示している。

Adobeの副社長でBehanceを含む複数の部署を担当するWill Allen(ウィル・アレン)氏は、Adobeは独自のNFTマーケットプレイスを作ることには興味がないという。「当社は、クリエイターが自分の作品を発表しやすくすることに専念しています。当社ができることの中で重要な焦点は、クリエイターが自分の作品を紹介する場を作り、好きな場所で取引ができるようにすることです」。

画像クレジット:Adobe

Behanceのユーザーの多くは、学ぶために仲間のクリエーターのサブスクライバーとなっている、とアレン氏は筆者に話してくれた。「彼らに共通しているのは『学びたい』ということですね」と同氏はいう。「舞台裏を見たがっているわけです。『この人はすごいイラストレーターだから、創作活動を見て、どうやってこれらのことをするのかを見てみたい。彼らのPSDにアクセスして、それをテンプレートにして、自分の創造性を次のレベルに引き上げたい』などというように」。

クリエイターは、Behanceでサブスクリプションを販売し、チュートリアル、ワークショップ、ライブストリームへのアクセスを販売することもできるようになった。これらのサブスクリプションの価格はクリエイターが自由に設定することができ、Adobeはこれらの販売からコミッションを受け取ることはないという。

また、Behanceのもう1つの新機能として、仕事の依頼が可能であることを表示できるようになった。多くのBehanceユーザーにとって、仕事の機会を見つけることは常に目標となっていたが、新しいボタンを使うことで、クリエイターはそれを明示できるようになった。クリエイターは、自分がフリーランスで働けるのか、フルタイムで働けるのかを示すことができる。

画像クレジット:Adobe

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

FacebookのザッカーバーグCEOいわく「我々の目標は、メタバースが10億人に到達するのを助けること」

FacebookのザッカーバーグCEOいわく「我々の目標は、メタバースが10億人に到達するのを助けること」

GLENN CHAPMAN via Getty Images

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、社内に対して「若年層(young adults)へのサービス提供を進むべき道だとする」よう伝えたと述べています。これは、投資家との第3四半期決算説明会で、ここ数年、若い年齢層(18~29歳)のFacebook利用が減少し、今後それがさらに加速すると予想されることに対する懸念を反映しての方針転換と言えそうです。

これままでのFacebookは「若年層に特化したものではなく、幅広い年齢層に最適なものになるよう調整されている」とザッカーバーグ氏は述べています。そして、ターゲットの変更は高い年齢層の人々のFacebook利用率を下げることになるだろうとも述べました。しかし、結果を天秤にかけて考えれば、方針転換は「正しいアプローチだと思う」として、今後FacebookアプリおよびInstagramアプリに「抜本的な変更」を加え「メタバース」のビジョンを構築するために数十億ドルを投じる構えです。ただ、先日伝えられたFacebookの社名変更については、ザッカーバーグ氏はコメントしませんでした。

再構築には数年がかかると予想され、特にInstagramの変化は動画に力を入れ、特に「Reels(リール)」機能を中心に据えたものに変わるとのこと。これはTikTokの爆発的な普及に対応した動きでもあります。またそのほかに検討されている案としては、グループ機能の刷新、就職支援ツール、ムードフィードなどがあがっています。

一方、Faebookはもう1つの主要な優先事項として「メタバース」のビジョン構築を掲げています。「我々の目標は、メタバースが10億人に到達するのを助けること」だとザッカーバーグ氏は述べ、メタバースが「数千億ドルのEC市場」を生み出す可能性があるとしています。そして、Facebookは財務報告をFacebook、Instagram、Messenger、WhatsAppといった”ファミリー向け”と、AR / VR の開発を担当するReality Labs部門に分けて行うと発表しました。Reality Labsへの投資によって、Facebookは2021年の利益がおよそ100億ドル減少したと述べ、今後数年はAR / VR分野での支出が増えると予測しています。

Facebookは現在、フランシス・ハウゲン氏による一連の内部告発への対応にも取り組んでいると述べています。ザッカーバーグ氏は、報道が組織的に「リーク文書の美味しいところだけを切り抜いて、Facebookの誤ったイメージを広めようとしている」としました。そして「これらの問題が主にソーシャルメディアに関するものでないのを明確にする必要がある」「つまり、Facebookが何をしようと、我々だけでは決して解決できない問題だ」と述べています。

(Source:BloombergThe VergeEngadget日本版より転載)

米国会議員がSnap、TikTok、YouTubeに対して子供と安全に関する公聴会を開催

議会はこれまで、同じ企業の寡黙で場馴れした経営陣たちを何度も何度も呼び出してきたが、今回はハイテク業界の中でも重要な顔ぶれである2つの企業に新たに注目しようとしている。TikTok(ティックトック)とSnap(スナップ)だ。

米国時間10月26日火曜日には、上院の米国消費者製品安全委員会の議員たちが、この2社とYouTube(ユーチューブ)の政策担当者に、それぞれのプラットフォームが脆弱な若いユーザーにどのような影響を与えるかについて質問する予定だ。Facebook(フェイスブック)の内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏は、自らの正体を明かした直後の2021年10月初旬に、同委員会で同様の問題について証言している。

公聴会の模様は、米国時間10月26日午前7時(日本時間10月26日午後8時)から放映される予定で、Snapのグローバル・パブリック・ポリシー担当副社長のJennifer Stout(ジェニファー・スタウト)氏、TikTokのパブリック・ポリシー担当副社長のMichael Beckerman(マイケル・ベッカーマン)氏、YouTubeで政府関係およびパブリック・ポリシーを担当するLeslie Miller(レスリー・ミラー)氏が証言を行う。

公聴会は、委員長であるRichard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員(民主党・コネチカット)が主導し、ソーシャルメディアが子どもや10代の若者に与える悪影響に焦点を当てる。ブルーメンソール議員は「FacebookとInstagram(インスタグラム)に関する衝撃的な報道は、若いユーザーに有害な影響を与え、真実性や透明性を欠いることから、ビッグテックによる子どもへのアプローチに深刻な懸念を抱かせるものです」と述べ、Instagramが10代の若者に与える危険性に関する報道を、より広範なソーシャルメディアに結びつけた。小委員会の幹部であるMarsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党/テネシー)は、TikTokのプライバシーに関する問題に特に関心を持っていることを示唆している。

摂食障害、ハラスメント、いじめ、オンラインの安全性、データのプライバシーなどのテーマが取り上げられ、小委員会のメンバーが順番に3社のポリシー担当者に回答を求めていくことが予想される。また、この議員グループは、オンライン上の子どもや青少年を保護するための法案についても議論する予定だが、公聴会でどの程度解決案が提示されるかは未知数だ。そうした解決策の候補としては、16歳未満の子どもたちのために新しいオンライン保護を提供するKIDS法(Kids Internet Design and Safety)などがあり得る。ブルメンソール議員と同じ民主党のEd Markey (エド・マーキー)上院議員が、先月この法案を再提出しているからだ。

現在、ソーシャルプラットフォームが関与している社会的危機は、子どもや若者の精神的健康に限られるわけではないものの、共和党と民主党がともに訴えている問題だ。理由の1つは、珍しく双方の政治的主張に重なりが多い、批判対象であることだ。両党とも、テック系の大企業を何らかの形でコントロールする必要があるという点では一致しているようだが、その理由についてはそれぞれ異なる側面を強調している。保守派にとっては、プラットフォームから消去されるコンテンツに関して、これらの企業があまりにも多くの決定権を持っていることを問題視している。一方民主党側は、過激な表現や誤った情報などのコンテンツが放置されてしまうことを心配している。

関連記事:FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子ども向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

米国時間10月26日の公聴会では、アルゴリズムが有害なコンテンツをどのように増幅させるかについても検討されるだろう。ソーシャルメディア企業は、通常そのアルゴリズムの仕組みについては秘密にしているため、今回の公聴会は、こうした企業がどのようにユーザーに対してパーソナライズされたコンテンツを提供しているかを、一般の人々が知ることのできる貴重な機会となる。理想を言えば、この2、3年の間に米国議会が開催した、しばしば長く繰り返し行われた技術関連の公聴会を通して、私たちはこの種の事柄について多くのことを学んできたはずだ。しかし無知で無関係な質問をする議員と、何時間もメディアトレーニングを受けて回避術を身につけた技術系幹部の間に通常期待できるのは、いくつかのささやかな新情報だけだ。

今回の公聴会にはFacebookは登場しないが、同社やInstagramに関する最近の情報が、同日に行われる公聴会に反映されることが期待される。証言を行うソーシャルメディア企業3社は、Facebookのリーク文書ならびに、そのデータに関して月曜日(米国時間10月25日)に行われたさらなる報道に対する世間の反応に注目している。

Instagramが10代のユーザーに与えるリスクを認識しているという最初の報道が流れた直後に、TikTokはウェルビーイングガイド、より優れた検索ブロック、センシティブな検索語に対するオプトイン警告などの新しい安全対策を導入した。先週Snapは、家族に焦点を当てた新しい安全ツールを発表し、子どもがプラットフォームを使って何をしようとしているのかを、親がもっと見ることができるようにした。この2つのソーシャルネットワークは、Facebook、Instagram、Twitterなどのプラットフォームに比べて若いユーザーに偏っているため、強固な安全ツールがより必要とされている。公聴会に先立ち、YouTubeは、どのような子ども向けコンテンツが収益化の対象となり得るかについての自社の変更を発表するとともに、子どもを中心としたその他の安全対策についても強調した。

関連記事:FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

フェイスブック第3四半期は売上未達、今後AR/VRの売上は新設部門に

米国の大手ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)であるFacebook(フェイスブック)は米国時間10月25日、取引開始後に第3四半期決算を発表した。売上高は290億ドル(約3兆3000億円)、希薄化後の1株当たり利益は3.22ドル(約366円)だった。Yahoo Financeが収集したデータによると、投資家は売上高295億8000万ドル(約3兆3670億円)、1株当たり利益は3.19ドル(約363円)と予想していた。

Facebookの株価は時間外取引で小幅に上昇しているが、これは売上高が予想をわずかに下回ったことに市場がショックを受けていないことを示している。

このサプライズのなさは、Facebookの報告書が、先に発表されたSnap(スナップ)のダイジェストに続いたためかもしれない。Snapは、第4四半期の業績が市場の予想よりもはるかに控えめなものになるとの見通しを示し、収益の伸び悩みの原因としてApple(アップル)とサプライチェーンの問題を挙げた。これを受けて同社の株価は下落した

Facebookは投資家への書簡の中で、売上高315億〜340億ドル(約3兆5850億〜3兆8700億円)と予想する2021年第4四半期のガイダンスを示した。市場予想はFacebookの数字を上回る348億9000万ドル(約3兆9710億円)だ。

Facebookの予想と市場の期待との間のギャップは、今後想定されることからきているようだ。Facebookは第4四半期のガイダンスに関して決算発表に次のように記している。

AppleのiOS 14の変更による継続的な逆風や、マクロ経済および新型コロナ関連の要因を踏まえ、当社の見通しは第4四半期に直面する大きな不確実性を反映しています。また、2020年の年末商戦でQuest 2の販売が好調だったことから、第4四半期の広告以外の収入は前年同期比で減少すると予想しています。

AppleのモバイルOSにおけるプライバシーの取り扱い方法の変更と、それに関連するダウンストリームの影響、および新型コロナウイルス感染症に起因する問題は懸念されていた。

Facebookはまた投資家向けダイジェストで「Facebook Reality Labs(フェイスブック・リアリティ・ラボ、FRL)を独立した部門として分離する」と報告した。「拡張現実や仮想現実の製品やサービスに多大なリソースを費やしてきた」ことを理由に、2つ目の収益カテゴリーを設ける時期が来たと考えているからだ。

次の四半期から、Facebookは2つの部門を持つことになる。1つは「Family of Apps」というくくりで「Facebook、Instagram、Messenger、WhatsApp、その他のサービス」からの収益を計上する。一方、FRLには「消費者向けハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ関連の拡張現実および仮想現実 」が含まれる。

2つの部門を持つのは構わない。もしかしたら良いことかもしれない。しかし、なぜソーシャルアプリの決算をもっと細かく分類しないのか、とFacebookに問いたい。そうすれば、株主も理解しやすいだろう。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

Revueがツイッターのタイムライン上で直接ニュースレターを購読できるように

米国時間10月22日から、Revue(レヴュー)のライターは、Twitter(ツイッター)のフォロワーをニュースレター購読者にするための新たなツールを手に入れた。これにより、あなたがニュースレターをツイートすると、読者にはツイートに埋め込まれた購読ボタンが表示される。

ニュースレターの各号をシェアすると、他のウェブサイトの記事をシェアしたのと同じように見える。ただ、誰かがその記事をクリックし、タイムラインに戻ってくると、購読ボタンが表示される。

8月、Twitterは、Revueのニュースレターライターが自分のプロフィール上でニュースレターをハイライトできる機能をテストした。9月には、すべてのRevueライターがこの機能を利用できるようになった。だがこれまでは、Twitterを通じてニュースレターを購読するには、プロフィールからでも、ツイートでも、Eメールを確認する必要があった。しかしこれからは、すでにTwitterアカウントにリンクしたメールアドレスを持っている場合、メールでの確認なしにワンクリックで購読することができる。

この機能は現在ウェブ上で提供されているが、近日中にiOSおよびAndroidにも展開される予定だ、とRevueはツイートしている。

Twitterは1月にRevueを買収することで、急成長しているニュースレター分野での競争力を高めた。Revueは、クリエイター収益の5%と、処理手数料として標準2.9%プラス0.30ドル(約34円)を受け取る。つまり、誰かがあなたのRevueニュースレターを5ドル(約568円)で購読した場合、あなたには約4.30ドル(約488円)を受け取ることになる。これに対し、Substackではライターの収益の10%プラス処理手数料を取っている。

Twitterは2021年に入ってからも買収に忙しく、10月20日にはグループチャットアプリのSphereの買収を発表した。

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)