ソフトバンク、T-Mobile買収のためにトランプの(やってない)雇用創出のホラを容認

STERLING HEIGHTS, MI - NOVEMBER 06: Republican presidential nominee Donald Trump holds a campaign rally at the Freedom Hill Amphitheater November 6, 2016 in Sterling Heights, Michigan. With less than 48 hours until Election Day in the United States, Trump and his opponent, Democratic presidential nominee Hillary Clinton, are campaigning in key battleground states that each must win to take the White House. (Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

そう、トランプは〈いまだに〉自分と何の関係もない ソフトバンクのファンドの話を持ち出している。

わかりにくい自己宣伝活動を続ける次期大統領は、今月始めのあまり控え目とは言えない発言を繰り返し、SoftBankのVisionファンドを自分の手柄のように語った。Visionファンドはソフトハンクとサウジアラビア政府による新興企業に投資する1000億ドルの共同事業だ。同ファンドは10月に発表され、今後5年間にSoftbankが250億ドル、サウジアラビア政府が450億ドルそれぞれ出資する計画だ。

シリコンバレーが世界の技術イノベーションの中心であることを踏まえれば、資金の多くが米国企業に流れることは、トランプが後から手柄を横取りしようがしまいがわかりきっていたことだ。それでもトランプは、Sprint、OneWebおよびVisionファンドへの投資を通じて米国に5万人分の職を生みだすという、SoftBankの計画は、自分が選挙に勝ったおかげだと言い続けている。

「つい先ほどSprintから連絡があり、5000人分の職を米国に取り戻す計画だと話していた」とトランプは記者団に話した。「仕事は海外から持ってくる。アメリカに戻す・・・さらにOneWebという新会社を作って3000人を雇用する」。

Softbankは ― 代理人を通じてSprintも ― トランプの創造的な誇大広報を喜んでいるようだが、それには相応の理由がある。トランプ政権と親密になることで、噂されているT-Mobileの買収がスムーズになり、米国で3位と4位のキャリアを合体できるかもしれない。

[Masaは、われわれ(トランプ)が選挙に勝たなければこれをすることはなかったと言った]

[日本のMasa(Softbank)米国企業に500億ドル投資して5万人の新しい職を生み出すことに同意した]

12月、Softbank CEO兼Sprint会長の孫正義氏は、トランプ氏との関係について、トランプタワーを訪れ「大統領当選を祝福し協力を約束した。トランプ氏が多くの規制緩和を行う計画だからだ」と語った

SoftbankがT-Mobile買収に関心を持っていることは周知の事実だ。2014年にBloombergのインタビューで孫氏は、Sprintの過半数を買うことは、同社の規摸が拡大して競争力を持たなければ意味がない」と語った。

「米国市場は2社による寡占状態にある。われわれが米国に来たときにゲームはもう終っていた、といつも感じていた。上位2社はそれほど強力なブランドと、強力なネットワークと、強力なユーザー基盤を持っている。しかし、ここは世界一裕福な市場であり、インターネットのイノベーションの中心だ。モバイルサービスは音声中心のサービスからデータ中心へと変わりつつある。これは最後のチャンスかもしれない。もしわれわれに意味のある競合を作る機会があるとすれば、当社のインターネット経験が少しは役立つかもしれない。しかし、そのためには規模が必要だ」。

2014年のその後、Softbankは買収計画を断念したと伝えられた。米国の反トラスト規制に妨げられたからだ。そこでトランプ政権の出番だ。孫氏のT-Mobile買収への関心はおさまっていたのかもしれないが、噂によると2016年末に向けて息を吹き返しているようだ。

トランプ政権になることは、Sofotbankが待ち望んだT-Mobile買収を可能にする規制緩和の期待が再燃することを意味している。通信規制緩和の推進者として知られているBrandt HershmanがFCC長官候補として噂され、トランプ政権移行チームメンバーのMark JamisonにいたってはFCCの存在自体に疑問を投げかけている。

「FCCは当初の設立意義をほとんど失っている。通信ネットワークプロバイダーやインターネットプロバイダーが独占状態になったことはほとんどない。仮に独占があるとしても、連邦政府機関が総出で事前規制に専念するのはやりすぎだろう」。

Softbankによる米国の雇用創出はトランプの手柄だと嘘を言わせておくことは、同社の壮大な300年計画への道を開くためと考えれば小さな代償と言えるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

1000億ドル目標のSoftBank VisionファンドにAppleも参加を検討

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Wall Street Journalの記事よれば、Appleは日本のSoftBankの1000億ドルのファンドに10億ドルを出資することを検討しているという。

総額1000億ドルの資金を集めることを目標としているSoftBank Vision FundにAppleも出資するとなれば、世界最大のテクノロジー・ファンドに世界最大のテクノロジー企業が参加するわけだ。SoftBank自身は250億ドルを出資し、サウジアラビア政府も450億ドルを出資する。

このファンドはドナルド・トランプ次期大統領が先週いくぶん不正確に自分の手柄として紹介したのと同じものだ。このファンドの組成は選挙戦以前に報じられていたが、トランプはSoftBankのCEO、孫正義氏と会談した後、SoftBankが500億ドルをアメリカに投資するとツイートしていた。

SoftBankのファンドは人工知能やIoTなどの新しいテクノロジーを中心に投資を行う。Appleも参加するのであれば、こうした分野のイノベーションに有力な知見が加わることになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本のSharpがSoftbankの2機種でStar Wars: Rogue Oneとタイアップ、フォースのダーク/ライトを表現

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昨年の今ごろはVerizonが、待望のThe Force Awakensのテーマを、限定版のMotorola Droid Turbo 2ハンドセットに載せることができて、大いに喜んでいた。Rogue Oneについてはそのプロモーションの続編の話はないが(でもMoto Zはスペースオペラのコスプレにとても似合ってると思う)、しかし日本のSoftBankの顧客来月の初めに、本格的なタイアップ製品2機種を、手にすることができる。

そのSharp製の、名前もずばりStar Warsスマートフォンは、タイアップの内容がやや幅広いらしい。Death Starの設計図、などの具体的な話はないが、その2機種のハンドセットはForceのダークサイドとライトサイドが表現される。2年以上は使う機種だから、どちらに忠誠を誓うか、慎重に考えてから決めよう。

Star Wars Phone

その5.3インチのハンドセットは色もダークとライトの2機種だ。Android 6.0のスキンとライブの壁紙も、Forceに合わせてX-WingまたはTie Fighterだ。ムービーを再生するアプリでThe Force Awakensに無料アクセス、ゲームのStar Wars: Force Collection、テーマの絵文字、着メロなどもある。おまけとしてRogue Oneの金属製フィギュアもつく。

スマートフォンのスペックとしてはきわめてまともで、Snapdragon 820、RAM 3GB、バッテリー3,000mAh、背面カメラは22mpだ。日本での発売は、12月2日である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

サンフランシスコのショッピングセンターがクリスマス商戦を控えてPepperロボットを投入

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商戦が過熱する時期に合わせて一時的に売り場を増員するのは難しい。そこで当然ながら(かどうかわからないが)、大手ショッピングセンターのWestfieldでは顧客サービス向上のためにロボットの手を借りることにした。今日(米国時間11/22)からサンフランシスコとシリコンバレーのWestfieldに日本のSoftBankのロボット、Pepperが登場する。

当初Softbankの人間タイプのロボットは話題作りが主な役目のように見えた。しかし1月くらい経つと6ヶ国語で「こんにちは」とか「ハロー」とか挨拶できるようになった。また顧客とゲームをしたり、セルフィーを撮影したりする能力も備えた。簡単な顧客アンケートもできるようになるという。それだけでクリスマス商戦を大幅に効率化するようなことはなさそうだが、Softbankではこう言っている。

Pepperのパイロット・プログラムにおいてアンケートは重要な能力となる。Westfieldショッピングセンターではこれによって顧客の総合的ショッピング体験を改善することができる。

また12月からPepperの職務は高度化する。これまで顧客は壁に掲出された「現在地」という地図を眺めていたが、PepperはWestfieldのナビゲーションAPIを活用して顧客に売り場やレストランを案内するようになる。Pepperの活用にあたってWestfieldはモデルケースだという。SoftBankではPepperを季節商戦のアシスタントとして幅広く役立てようとしている。ここ1、2ヶ月で多くの売り場でPepperを見るようになるかもしれない。

画像: Dick Thomas Johnson/Flickr

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

韓国NAVERがソフトバンクと共同で4300万ドル規模の新ファンドを設立

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アメリカと日本の株式市場に上場するチャットアプリ「LINE」の親会社であるNAVERは、ソフトバンクと共同で4300万ドル規模のファンドを設立すると発表した。同社の子会社が運営する2つのサービスを強化することが狙いだ。

「SB Next Media InnovationFund」と名付けられた当ファンドでは、NAVERの子会社であるSnowとWebtoonとシナジーを持つスタートアップやテクノロジーに投資することを目的としている。SnowはFacebookが買収を検討していると報じられたSnapchatに似たアプリを提供しており、Webtoonはオンラインコミックを提供する企業だ。このファンドの投資先は韓国国内の企業に限ったものではなく、世界中の企業を対象にしている。そのコネクションを提供するうえで重要なパートナーとなるのがSoftbankなのだ。

LINEは今年の夏に上場し、その際に11億ドルを調達している。その親会社である韓国の巨大Web企業NAVERが次に期待するのがSnowとWebtoonだ。Snow CEOのChang-Wook Kimと、Webtoon CEOのJun-Koo Kimがアドバイザーとして就任する当ファンドでは、主にコンテンツ製作やテック系のスタートアップに投資をしていくという。その中でも特に注力していく分野としてARとVRが挙げられている。

NAVERがこのようにファンドをビジネスの手段として利用するのは今回が初めてではない。今年9月には、LINEは海外市場でのプレゼンスの拡大を狙い、米国とフランスを拠点とするファンドに出資したと発表している。また、同社は「ライフスタイル」アプリの支援を目的として設立されたファンドを所有しており、同ファンドを通してゲーム関連企業などに出資をしている。

LINEにとって、グローバルなプレゼンスを持つことは特に重要だ。同アプリは2億1800万人ものアクティブ・ユーザーをもつものの、昨年の成長率はこれまでに比べてかなり落ち込んでいる。とは言うものの、創業から1年で総ダウンロード数が8000万回、そして月に1000万回のペースで新しいユーザーにダウンロードされているSnowの成長率と比べても、LINEの成長率が格段に高いことは確かだ(実際、今年の9月にLINEはSnowとのシナジー強化を目的に4500万ドルの出資を行っている)。

Webtoonのサービスはオンラインコミック版のNetflixとも言えるサービスだ。同サービスはWebに加えて、iOSとAndroidアプリで利用できる。同社もまた、新規ユーザーの獲得のためにLINEを利用しているものの、現在の会員数は公表していない。

同ファンドは今年の終わりまでに500億ウォン(約4300万ドル)を調達することを目指している。その内訳として、Naverがその大半の400億ウォン、ソフトバンクグループのSoftBank Venturesが45億ウォン、Korea Venture Investmentが5億ウォンを出資し、残りの50億ウォンを第三者から集めるとしている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

ソフトバンク、最大10兆円規模となるテクノロジー分野の投資ファンドを設立

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ソフトバンクグループは10月14日、世界規模で主にテクノロジー分野へ出資することを目的とした「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(仮称)」の設立を発表した。ソフトバンクグループでは、今後5年間で少なくとも250億ドル(約2.6兆円)を出資する予定だ。

このファンドには、サウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が主要な資金パートナーとして出資を検討しており、PIFは今後5年間で最大450億ドル(約4.7兆円)の出資を実施する可能性があるという。また、他にも複数のグローバルな大手投資家からの出資について協議中ということで、ファンドの総額は1000億ドル(約10兆円)規模となる可能性がある。

PIFはサウジアラビアの国家経済にとって戦略的に重要なプロジェクトへの資金援助を目的に1971年に設立されたファンドで、同国の原油以外の分野での発展をサポートしてきた。現在PIFのチェアマンを務めるのは、サウジアラビア副皇太子のムハンマド・ビン・サルマン氏で、同国の多様な知識集約型産業を発展させるという「ビジョン2030」と連動する長期的投資戦略を取っている。

今回のファンド設立プロジェクトを主導するのは、ソフトバンクグループHead of Strategic Financeのラジーブ・ミスラ氏。元ドイツ銀行のニザール・アルバサム氏、元ゴールドマン・サックスのパートナー、ダリンチ・アリバーヌ氏がプロジェクトに参画している。

ファンドはソフトバンクグループの英国にある子会社が運用する予定で、投資活動の付加価値を高めるために、テクノロジー業界でのグループの投資運用能力、経験や事業ノウハウ、グループ企業のネットワークを活用。共同出資者となる資金パートナーと過去最大級の規模を目指す。

ソフトバンクグループではファンド設立の目的を「ファンドへの投資および投資先企業との提携を通じて、同社のグローバル成長戦略を加速させること」としている。同社は、9月にもARMをイギリス史上最大となる240億ポンドで買収したばかりだ。

ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏は、ファンドの設立について「世界中のテクノロジー企業への出資をさらに推し進めることができる。出資先のテクノロジー企業の発展に寄与することで、情報革命をさらに加速させていく」と述べている。

SoftbankのARM買収完了―240億ポンド(3.3兆円)は英国最大のM&A

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今年のテクノロジー界で最大級―かつイギリス史上最大―の買収が確定した。今日(米国時間9/5)、SoftbankはARM Holdingsの買収手続きを完了したと発表した

ARMはSoftBankが7月に240億ポンド(現在のレートで320億ドル、当時は310億ドル)で買収する意向を示した半導体メーカーだ。この買収によりSoftBankはIoTの世界に向けて大きく飛躍することになる。ARMは9月6日付でロンドン証券取引所(LSE)での上場が廃止となる。SoftbankではARMを今後も独立企業として運営する意向を示している。

今回のニュースは、買収完了のために必要とされる規制当局による承認が得られ、最後の障害が取り払われた直後に発表された。ソフトバンクは買収を発表した声明で次のように述べていた。

「買収契約の条件に従い、SBG〔SoftBank Group〕は発行済、未発行を含めてすべてのARM株式(ただしSBGないしSBG子会社が取得済み株式を除く)を総額で約240億英ポンド(310億USドル、3.3兆日本円相当)のキャッシュで買収する。買収手続きの完了後、9月6日(グリニッチ標準時)をもってARMのロンドン証券取引所への上場は廃止され、公開企業ではなくなる」

Softbankはまた「この買収に伴う財務および営業への影響は手続きの完了を待って行う」とも述べていた。ARMとSoftBankの財務は今日から統合が開始される

これまでSoftBankはモバイル網および固定回線におけるインターネット接続サービスを消費者に提供してきた。しかしニュースが発表された当初からわれわれはARM買収がSoftbankがIoTテクノロジーにおいて飛躍していくための重要なピボット点になると報じてきた

SoftBankのファウンダー、CEO、孫正義は今年初め、それ以前に公表していた引退の意向を取り消したことでテクノロジー界を驚かせた。そしてARM買収が発表された。孫CEOによれば交渉開始から終了までわずか2週間だったという。この買収はある意味でSoftBankという会社が次の時代をどう生き抜いていくかを予め示すものといえるだろう。

この取引について一部では、Softbankは機を見るに敏だったと評している。 Brexit〔イギリスのEU離脱〕によってポンドの為替レートが低落した瞬間にARMをさらったというわけだ。この国民投票では過半数の有権者がイギリスがEUを離脱することに賛成した。これが経済に与えた影響は大きく、英ポンドの為替レートは大きく下がった。

しかし孫CEOはARM買収を発表したプレス・カンファレンスで「Brexitは私の決定に何の影響も与えていない。多くの人々がBrexitについて憂慮している。この国の経済に与える影響は良かれ悪しかれ複雑なのもとなるだろう。…しかし私の投資の決断はBrexitが原因ではない」と述べた。

なるほどSoftBankとARMが買収について交渉していた2週間にポンドの価値は16%下落したが、逆にARMの株価はほぼ同率でアップした。つまり差し引きゼロだった。また考慮すべき経済的要素は他にもあった。この買収に先立ってSoftbankはAlibaba株の一部を売却、同時にフィンランドの有力ゲーム・メーカーSupercellも売却した。SoftBankは90億ドル(1兆円)という巨額の資金を起債によって調達する計画を発表している。孫氏は「これは為替レートの変動に便乗してできることではない」と述べ「もっと早く買収したかったのだが、資金が手元に入ってくるのを待っていたのだ」とジョークを飛ばした

「私は遭難しかけている会社に投資することはない。私はパラダイム・シフトに投資する。…これは私の情熱であり、ビジョンだ」と孫氏は述べた。

事実、Softbankは常にパラダイム ・シフトのまっただ中にいた。孫氏は社員がたった16人だったYahooを通じて「パソコン・インターネット」に投資した。その後はモバイル化に巨額の投資を行った。SoftbankはSprintの買収を始めとして多数のモバイル関連企業を傘下におさめている。そして孫氏の信じるところでは、世界がIoTに向けてシフトしていくのは必然的な流れだという。

ARMはイギリスにおけるテクノロジー企業のサクセス・ストーリーの代表だった。スマートフォン時代の到来の波に乗ってARMのチップ・デザインはppleを始め、世界の有力モバイル・デバイス・メーカーが採用するところとなった。

ARMにとってスマートフォン・ビジネスは依然として重要な柱だ。先月も長年のライバルであるIntelがARMのテクノロジーのライセンスを受けてスマートフォンのプロセッサーを製造すると発表しているのは興味深い。Intelはこれによって自社のスマートフォン向けチップ・ビジネスを大きく加速できると信じている。

しかし将来にむけてさらに重要なのは数年前からARMがビジネスの本質を IoTにシフトさせている点だ。ARMは現在の稼ぎ頭であるモバイル事業がいつかは頭打ちになることを予期していた。

そしてARMの予期通りに事態は推移している。スマートフォンの販売台数の伸びは事実上ゼロになった。世界の多くの市場でスマートフォンの普及は飽和点に近づきつつあり、すでにスマートフォンを所有しているユーザーは簡単に新機種に買い替えなくなった。

なるほど現在でもいわゆる「つながった」デバイスは多数存在する。冷蔵庫や玄関のドアのカギといったダム・デバイスが続々とスマート化され、インターネットにつながるようになった。しかし真のIoT時代の到来はまだこれからだ。ARM(いまやSoftbankだが)はこのパラダイム・シフトをいち早く参入したことにより、同社がスマートフォンで収めたような成功をIoTでも収められると期待している。

Featured Image: a-image/Shutterstock

〔日本版〕原文冒頭のニュースリリースへのリンクは日本からは無効なので相当するウェブページに差し替えてある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SoftbankがポケモンGOの公式パートナーに―SB、Yモバイル3700店舗がポケストップ、ポケジムになる

This photo illustration shows a man playing Nintendo's Pokemon Go game on his mobile phone in front of the Kabukiza theater in Tokyo on July 22, 2016.
The augmented-reality game Pokemon Go, which has been released in more than 30 countries, was launched in Japan where Nintendo created the franchise two decades ago. / AFP / KAZUHIRO NOGI        (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)

ゲームとしてのポケモンGOの人気は今がピークなのかどうかについはいろいろな議論がある。しかしポケモンGOというブランドはこれから本格的に離陸するところだ。日本ではいくつかの大企業がゲームの公式スポンサーになっているが、今日(米国時間8/31)、日本の大手モバイル・キャリヤのSoftBankがこれに加わった。

契約の具体的内容は明らかにされていないが、時価総額800億ドルのSoftBankであるからには、ゲームの公式スポンサーの地位を獲得するために相当額を支払っただろうと推測できる。

日本におけるポケモンGOの最初の公式スポンサーは日本マクドナルドだった。同社は7月のゲームのローンチの時点でスポンサーとなっていた。マクドナルドはこのゲームによって現実の人の流れを作れると信じて3000箇所の店舗をポケストップやポケジムにしたようだ。

この提携に関するマクドナルドからのいささか早まった情報提供が日本におけるポケモンGOのスタートを遅らせるというオマケはついたものの、提携の賭けはおおむね成功した。そして今回のSoftBankの参加で新たにSoftBankのショップと傘下のY!Mobileショップ、合計3700箇所がポケストップやポケジムになる。

SoftBankの発表はこちら

当面、これ以上の詳細は不明だが、日本マクドナルドはポケモンGOを利用したキャンペーンを実施している。SoftBankも同様にポケモンGOブランドをテーマにしたサービスやグッズを展開することになるのだろう。

Bloombergの記事によれば、この提携のニュースはSoftBankの株価を早くも1.6%押し上げている。ポケモンのキャラクターを生んだ任天堂の株価も3.3アップした。

ポケモンGOのビジネスに直接関わる2社、Nianticと株式会社ポケモンは日本国内に限って公式スポンサーを募っている。ポケモンが日本生まれであり、ポケモンのコアなファンも日本にもっとも多いことを考えれば合理的な方針だろう。しかしアプリが世界で1億ダウンロードを記録し、1日あたり売上が1000万ドル以上と伝えられることを考えればポケモンGOの魅力はグローバルだ。将来はさらに多くの地域で公式スポンサーが生まれる可能性がある。

先月のReutersにインタビューで NianticのCEO、ジョン・ハンケは「さらに多数のスポンサーの参加を強く期待している」と答えている。今月サンフランシスコで開催されるTechCrunch Disruptにハンケも登壇する予定だ。アメリカその他の地域におけるポケモンGOのスポンサー・システムについてハンケがどう考えているか、本人の口から直接聞けるものと思う。

画像: KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ソフトバンク、パートナー企業と新規事業生み出す「Softbank Innovation Program」第2回を開催へ

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ソフトバンクがパートナー企業と組んで新しい事業を生み出す「Softbank Innovation Program」。第1回のプログラムは2015年7月にスタート。2016年3月には採択企業8社が決定し、実証実験を進めているところだ。

第1回採択企業との具体的な事業については今後の話になるが、ソフトバンクでは早速第2回のプログラムの開催を発表している。8月3日から9月30日まで候補企業を募集中だ。プログラムのサイト上から応募できる。募集企業に対しては12月末までに選考を進め、2017年1月上旬にも実証実験などを行う予定。

第2回のプロフラムで募集するのは、スマートホーム、コネクテッド・ビークル、ヘルスケア、フィンテック、VR/AR/MR、ドローンの6カテゴリのスタートアップ。応募の条件は、スタートアップから大企業までの幅広い法人であること(個人の応募は受け付けない)、応募内容を実現できる技術や体制を有していることなど。また、必要に応じて日本(東京)もしくは米国(シリコンバレー)での面談が設定される。

選考を通過した企業に対しては、プロトタイプ開発の費用やテストマーケティング実施環境などをソフトバンクが提供する。「第1回の採択企業についても、パートナーとの組み方はさまざま。ただし実費として負担するようなことは求めていない」(ソフトバンク)。第1回の実績で言えば、ドライバー向けのスマートフォン操作アプリを開発するDrivemodeに対して、実証実験に向けてレンタカー会社との提携を支援。またリノベーション仲介・施工のリノベるとは、共同でIoT関連のアプリ開発を進めるといったように、各社に対して最適な支援を行っているという。

ソフトバンクでは8月19日にプログラムの説明会も開催する予定。

SoftbankのPepperロボットがアメリカのハイテク製品ショップで販売員のアルバイト

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アジア各地の小売店にPepperが進出中だ。日本のファーストフード店ではレジ係をしているのが一例だ。Softbankのこの人間型ロボットはアメリカでは職を見つけるのに苦労していた。しかしアメリカでのリリースを年内に控え(最初の海外での販売は台湾)、あちこちでPepperを目にする機会が増えそうだ。

実際、Pepperはベイエリアのハイテク製品のチェーン店、b8taで短期のアルバイトをするという。アメリカでロボット販売員が顧客への挨拶を担当するというのはこのデモが最初らしい。 b8taのフラグシップ、パロアルト店では 8月11日から1週間Pepperを雇う。4フィート(1.2m)のロボットはピザハットのレジ係より一段と目立つ存在なりそうだ。

Softbankでは同時にデベロッパー・ワークショップも開催する。5月の I/Oでスタートしたデベロッパー向けのポータルにさらに多数のプログラマーを参加させるのが狙いだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

3タップで株を売買できるスマホ証券One Tap BUY、ソフトバンクから10億円の資金調達

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10年ぶりに新規設立されたスマートフォン特化のネット証券会社One Tap Buy。昨年開催の「TechCrunch Tokyo 2015」のスタートアップバトルでは、審査員特別賞とAWS賞を受賞。その後金融商品取引業者登録を完了し、6月にスマートフォン向け株式取引アプリ「One Tap BUY」をローンチしたばかり。そんなOne Tap Buyが7月25日、ソフトバンクから10億円の資金調達を実施したことを明らかにした。両社は今後サービスの連携を図るとしている。

One Tap BUYは2013年10月の設立。代表取締役CEOの林和人氏は以前にも中国株取引のオンライン専業証券会社を立ち上げ、イグジットした経験を持つ人物。同社は3月にソフトバンクから資金を調達。それ以外にもモバイル・インターネットキャピタルやDBJキャピタル、オプトベンチャーズなどから資金を調達している。

提供するアプリのOne Tap BUYは「ロゴマークで銘柄を選ぶ」「売買する」「確認」の3タップで株式の売買が可能だ(通常、スマートフォンでオンライン証券を利用する場合は10タップ以上の操作が必要となる)。AppleやFacebookなど、30銘柄の米国株を1万円から購入可能。ポートフォリオの円グラフをタップで操作するなど、直感的なUIも特徴だ。2016年度内には日本株やETF(上場投資信託)の取り扱いも開始するとしている。

6月のローンチ以降、アプリのダウンロード数は3万5000件以上。ユーザーは20〜60代、特に20代後半〜40代前半が中心だという。特徴的なのは全ユーザーの半数以上が投資未経験者だということ。One Tap BUYでは「新しい個人投資家市場を開拓している」としている。

ソフトバンクの次期CEOと目されていたニケシュ・アローラが退任

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今日、東京のソフトバンク本社は忙しい1日になった。フィンランドのモバイル向けゲーム・メーカー、Supercellの株式を売却することは事前に予想されていたが、ソフトバンク本社の代表取締役、COOを務めるニケシュ・アローラが退任することが発表されたのは驚きだった。アローラは孫正義によってソフトバンクのCEOの後継者に選ばれたものと考えられてきた。

ソフトバンクに加わる以前、Googleの上級副社長を務めた経歴を持ち、 昨年はサンフランシスコで開催されたTechCrunch Disruptで講演したアローラだが、今年に入ってからは匿名のソフトバンク株主グループからの圧力にさらされていた。このグループは「アローラは報酬が高額すぎ、パフォーマンスが低すぎる」としてアローラの解任を求める書簡をソフトバンクに送っていた。

こうした反対はあったものの、アローラの地位は安泰と思われた。昨日、ソフトバンクはアローラについて内部調査を行った結果、株主グループの書簡に述べられた批判には「根拠が認められなかった」と発表していた。 こうした信任を得たにも関わらず、ソフトバンクの役職から退くことが発表された。アローラはインド生まれで、年俸7300万ドル、おそらくは世界でも最高給の企業トップの1人と報じられていた。

ソフトバンクは短い声明を出し、CEO交代の時期に関してファウンダー、現CEOの孫正義とアローラの間で意見の相違があったことが退任の理由であると示唆した。〔日本版:以下は日本文の声明(PDF)から引用〕

当社代表取締役社長の孫正義は、アローラを有力な自身の後継者候補として考えていましたが、数多くのテーマに取り組む中で、当面は当社グループのトップとして指揮を執り続ける意向です。一方で、アローラは、数年のうちに孫に代わって当社グループのトップとして指揮を執りたいとの意向でした。こうした両者の時間軸のずれを踏まえ、アローラは当社の代表取締役及び取締役を任期満了に伴い退任し、次のステップに進むこととなりました。

アローラはソフトバンクのインドにおける大型投資を主導していたようだ。ソフトバンクははOla、Snapdeal、OYO Roomsなどのインド企業に加えて、アメリカのスタートアップにも投資している。こうした投資の責任者であったアローラが退任した後、ソフトバンクの投資戦略がどうなるのか注目される。

最近ソフトバンクはいろいろなな面で転換点を迎えている。Supercellの株式を86億ドル前後で売却、これに加えて別のゲーム企業、ガンホー・オンライン・エンターテインメント株式の大半も売却した。さらに史上初となったAlibaba株式の売却では79億ドルを手にしている。これらの株式売却は孫正義の“SoftBank 2.0”というビジョンに基づくもので、売却代金の大半は既存の負債の返済に充てられるらしい。同グループの負債は3月末日の時点で最高11兆9000億円(1070億ドル)に上っている。負債がこれほど巨額になったのはアメリカのモバイル・キャリヤ、Sprintの買収費用に関連があるとみられる。

今回、アローラはここ2年ほどの行動から大きく方向を変えた。アローラはソフトバンクグループの取締役に就任したのを機に4億8300万ドルのソフトバンク株式を「個人的な賭け」として購入している

なおアローラ自身がツイートで若干の新たな情報を確認している。それによると、孫正義が(おそらくは)当初アローラとの間で合意した時点よりも長くCEOを務めようとするようになったことが退任の引き金だったもようだ。

マサはさらに5-10年間CEOを続ける。(私はその意思を)尊重する。多くを学べた。詳細な調査の結果、取締役会からクリーンと判定された。新しい段階に進む時期だ。―ニケシュ・アローラ

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

働き場所を広げるPepper、次はアジア太平洋地域のピザハットで就業予定

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Pepperは就職に困ることはないようだ。世界的に経済状況が思わしくない中での話であり、その点は少なくともPepperを評価すべきなのだろう。Pepperはあちこちに活動範囲を広げつつある。そしてこのたび、店の「高級さ」加減では落ちるのかもしれないが、しかしPepperならきっとうまくやるだろうと思われる分野に職を得たようだ。

すなわちソフトバンクとマスターカードが提携して、Pepperをピザハットで働かせることになったのだ。まずはアジア太平洋地域の店舗がターゲットであり、年内にPepperを配属したい考えだ。

「Pepperは従来のデジタルキオスクを新しくしてくれると思います。タブレットや情報端末を操作するかわりに、ロボットと対話しながら必要な情報を得たり、何らかの操作を行うことができるようになるのです」と、MasterCard VPのTobias Puehseは言っている。「ファストフードショップによって、持ち帰り商品をオーダーする際に、Pepperが注文を受け取ってくれたりするのです」。

Pepperにはマスターカードのデジタルウォレット・サービスであるMasterPass機能が搭載され、Pepperを通じて支払いができるようにもなっている。また、これまでの商品購入履歴などを参照して、カスタマイズされた対応を行うこともできる。さらには客の様子に応じて振る舞いを変えることもできるようだ。「Pepperには感情を読み取る機能が備わっています」とPuehseは言う。「お客様がハッピーなのか、それとも不機嫌なのかを認識することができるわけです。それによってPepperは接し方を変えることができます。さらにはちょっとした冗談などを交えて、お客様の気分に応じた応対ができるのです。いってみれば共感能力を持っているわけです」。

マスターカードはPepperの供給状況に応じて、アジア太平洋地域のどの店舗にPepperを配備するかを決めていく予定であるようだ。同地域ではすでにPepperをカスタマーサービスに応用する動きが見られ、Pepperを通じてオーダーすることにも慣れてもらいやすいだろうという目論見もあるようだ。初期導入がうまくいくようであれば、Pepperが働く店を増やしていきたい考えなのだそうだ。

なお、PuehseはPepper導入について、人員削減的な意味を持つものではないことを強調していた。「利用者の方々に心地よさを感じてもらうための手段という意味付けです。人対人のコミュニケーションを排除しようというような意味ではないのです。たとえばPepperは支払い作業すらより面白く感じられるものにすることができます。さらにPepper側で顧客情報などを活用することにより、タッチパネルを通じてオーダーするよりも、好みに応じたオーダーが行えるようにもなることでしょう」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

ソフトバンク、Drivemodeやリノベるなど国内外8社と新事業の実証実験

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ソフトバンクが2015年7月からスタートした「SoftBank Innovation Program」。4GやWi-Fiといった通信インフラ、法人43万社・端末契約数4441万台を持つソフトバンクのリソースを使って、スタートアップをはじめとした企業と革新的な事業を生み出すというプログラムだが、その一次選考の結果が3月18日に発表された。

国内外173件の応募から採択されたのは8社。今後8社はソフトバンクと協力し、3テーマ(当初スマートホーム、コネクテッド・ビークル、デジタルマーケティング、ヘルスケアの4テーマで募集していたが、ヘルスケア以外の3テーマが採択された)・5案件でテストマーケティングを実施していく。

スマートホームの領域では、中古マンション売買やリノベーション事業を手がけるリノベる、シンガポールに拠点を置くIT家具ベンチャーKAMARQ HOLDINGS、スマートロックや錠前ソリューションを提供するアッサアブロイジャパンの3社が「スマートホーム×リノベーション」のテストマーケティングを行うほか、IoT向けのリアルタイムデータ解析プラットフォームを提供するMoBagelによるOA機器・家電の故障予測のテストが予定されている。

コネクテッド・ビークルの領域では、都市交通の移動データのリアルタイム解析エンジンを開発する米Urban Engines、コネクテッド・カー向けアプリを開発する米Drivemodeがテストマーケティングを実施。デジタルマーケティングの領域ではマレーシアのBuzzElementマイクロストラテジー・ジャパンによる商業施設におけるO2O・決済のテストマーケティングが予定されている。

SoftBank、「Pepperだらけの携帯ショップ」を東京に期間限定オープン

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今日(米国時間1/27)、日本のSoftBankは 同社の人型ロボット、Pepperのためにユニークなエコシステムをつくる計画を発表した。なかでも強い興味を惹くのは、日本の大手テレコム・キャリヤ、インターネット・プロバイダーであるSoftBankが接客の大部分をPepperロボットが担当する携帯ショップを開設する点だ。

Japan Timesの記事によれば、SoftBankは東京に「Pepperだらけの携帯ショップ」を3月28日から4月3日まで開く。ショップには6台のPepperが配置される予定だ。このロボット部隊は顧客に挨拶し、スマートフォンをデモし、さまざな方法で購入を助ける。ロボットが最近得た新しい能力を完璧に信頼している人々には残念な情報だが、店内には人間のスタッフもいてロボットの接客に問題がないかチェックする。また顧客が実際に新規契約を結ぼうとする場合、人間のスタッフが身分証の確認を行うという。

SoftBankは昨年秋に法人向けPepperの発売を開始しており、現在、日本ではネスレやみずほ銀行を含む約500社が利用している。

約200社が「ロボアプリマーケット」と呼ばれる法人向けPepper for Biz用のアプリを開発中であり、2月22日以降、ユーザーがダウンロードするすることが可能になる。ダウンロードとインストールは各社の所有するPepperに対して直接実行できる。来週、東京、大阪、名古屋、福岡の4箇所に「Pepper
for Bizアトリエ」と呼ばれるスペースがオープンし、Pepperの導入を希望する法人ユーザーを助ける。

Pepperはパリに本拠を置くスタートアップ、Aldebaran Roboticsによって開発された。SoftBankはAldebaranを2012年に買収している。Pepperは表情、声、動作などから人間の感情を認識し、それに応じて適切な動作をするよう設計されている。法人ユーザーは月額5万5000円(約$465)、3年間のレンタル契約でPepperを導入することができる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

IBMの「ワトソン」、ソフトバンクのPepper等に人工知能を提供

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2011年にクイズ番組「ジョパディー」で世界にデビューして以来、IBMのWatsonは、医療研究から金融まで、大規模企業アプリケーションの強力な人工知能プラットフォームとしてその名を築き上げてきた。このたびIBMは、Watsonを消費者に提供しようとしている。

今日(米国時間1/6)CES会場で、IBM CEOのGinny Romettyは、スポーツウェアメーカーのUnder Armour、Softbank RoboticsのPepper等、Watsonの機械学習アルゴリズムとAIを使って、高知能でよりパーソナライズされたアプリやサービスを動かしている会社との戦略的提携を発表した。これはIBMのWatson拡大における最新ステップだ。昨年同社は、コグニティブ・ビジネス・ソリューション部門を立ち上げ、ドイツには独立したIoTセンターを作った。そして今日のステージでRomettyは、自社の専門知識とデータを構築するために、IBMが30社に上る買収を行ったことも明らかにした。

Under Armourは、Watsonをフィットネス・健康アプリで利用すと言っている。同社のRecordアプリ ― アクティビティー集約およびモニター(Jawbone、WithingsおよびGarminのウェアラブルからのデータを統合する)アプリとして1年前に公開された - の新バージョンには様々なAI機能が追加された。

最初が “just like me”機能で、ユーザーを匿名の他ユーザーらと比較して、その人の実績に関する洞察、助言を与える。いずれはCognitive Coaching Systemと呼ばれるSiri風のパーソナルトレーナーも加わる予定だ。Recordに今出来るのは、ユーザーの活動、睡眠、および栄養データに基づいて、実績を改善するための助言を提供することだ。

Recordは、IBMとUnder Armourの第一ステップだと両社は言っており、今後はIBMが蓄積している広範囲なビッグデータ(一部は同社のWatsonアプリケーションを通じてデータを解析している)を、アスリートが利用できるアプリも作る計画だ。その中には、天候が実績やトレーニングに与える影響等、興味深いデータ分析もみられる(IBMがThe Weather Companyを買収した意味がわかるだろう)。

「デジタル医療やフィットネスの記録といえば、過去10年間はデータ収集がすべてだった」とUnder Armourのファウンダー・CEO、Kevin Plankは言った。「現在われわれは、転換機にあり、消費者はこの情報からもっと多くのものを引き出すことを要求している」。

具体的には「戦略的」とは何を指すのか。IBMによると、両社は従業員、技術、およびその他のリソースを提供して、コグニティブ・コーチング・システムを開発している。

SoftbankのPepper

IBMは日本のソフトバンクとも、Pepperの開発で提携しており、この新型ロボットは初めての海外出荷が始まっている。

Watson内蔵のPepperは、画像やテキストからソーシャルメディア、ビデオに到るまで幅広いデータソースを利用する。なぜか? IBMによると、これはロボットに「人間と同じやり方で ― 五感、学習、体験 ― 世界を理解する能力を与えるものだと言う。

「これはもうSFの世界の話ではない」と、ソフトバンクの宮内謙COOが今日のステージで語った。

Watsonを頭脳に持つ最初のロボットたちは、接客あるいは小売りの分野で試行されるとIBMは言っている。同プラットフォームの直接体験を初めて広い範囲人々に提供する。これはPepperのようなロボットが、店員を置き換えようというものではなく、既に人間を置き換えている無味乾燥なキオスク端末に取って代わるものだ。

「今日の小売店におけるセルフサービス方法といえば、タブレットまたはキオスクで、顧客体験が対話的であるか直感的であるかという点では、まだ限られている。ロボッティック・アシスタントなら、ユーザーは自然な会話が可能になり、言葉だけでなく身振りや表情も理解される」とIBMは書いている。

日本では、すでにその一部が動き始めている。Romettyによると、既に数百台のPepperが日本のネスレ小売店や銀行に置かれており、コーヒーマシンで、顧客が短いQ&Aの後に購入するといった使い方がされている。2015年中頃の発売以来、Pepperロボットは限定生産台数を完売している。

実はPepperは、単なるB2B製品ではない。WatsonをSDK経由でPepperロボットに載せることによって、デベロッパーはその動作を好み通りに変更できる。

Watsonが最初にソフトバンクと仕事をしたのは昨年のことで、Watsonが日本語を学習する目的もあった。

他に今日Romettyが話した、Metronicの新しい糖尿病検査に関する提携では、低血糖症を実際に発症する何時間も前に検知して未然に防ぐことが可能になる。Under ArmourやSoftbankのとの提携と異なり、検査システムには認可手続きが必要となるためまだ商品は販売されていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクがブロックチェーンの研究開発に着手、国際募金プラットフォームに応用

1月6日にスタート、4日か5日にリリース予定
sb年末年始とブロックチェーン関連の話題が急に増えているが、ちょっと予想外の方向からもブロックチェーンの取り組みが聞こえてきた。ソフトバンク株式会社が1月6日からブロックチェーンを使った国際募金プラットフォームのプロトタイプ開発に取り組むという。

ソフトバンクといえば、孫社長の「ロボットやるぞ」というような鶴の一声で物事が進む印象が強いが、今回の話は、クラウドサービスなどを担当する部隊が技術的知見を蓄積するのために始めるボトムアップのもの。スマートコントラクト関連で将来的にキャリアがポジションを築けるようにと具体的の実装に着手してみるものだという。

ソフトバンクの福泉武史氏(情報システム統括 ITサービス開発本部 本部長)によれば、「ブロックチェーンは、かれこれ2年は分野として追い続けてる。マネーロンダリングなどネガティブな印象もあるので、まずは分かりやすいユースケースを確立したい」ということから、第1弾のプロジェクトとして募金プラットフォームを選んだ。透明性、堅牢性、分散性、永続性などブロックチェーン技術は募金に向く特性を持っているという。

ソフトバンクはこれまでにもQRコードにスマホをかざすと募金ができる「かざして募金」を日本赤十字社などに対して提供、数億円の寄付金を取り扱った実績がある。

今回の取り組みの実装面では、アピリオが運営するTopCoderのコンテスト方式を採用する。2001年にスタートしたTopCoderは、アルゴリズム競技などエンジニアの腕比べの場として長らくコミュニティーを運営しているが、一方で、人材採用プラットフォームやクラウドソーシングによる開発受注というビジネスを実践している。今回、ソフトバンクでは実装の半分をTopCoderのコンテストで行い、ブロックチェーン実装の1つである「Ethereum」を使ったバックエンドは、国内のブロックチェーン技術関連コンサルで知られるコンセンサス・ベイス合同会社が行う。

冒頭に書いたように今回の取り組みは「研究開発」。2016年末までに実用に供するプラットフォームを実現するといったような具体的なゴールは特にない。今回の取り組みから具体的な実績が何か出てくるのかはよく分からないが、通信キャリアがブロックチェーンに興味を示すこと自体は自然なことかもしれない。

ザッカーバーグ、ゲイツ、孫正義らがクリーン・エネルギーに投資―パリで開催のCOP21と協力

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MicrosoftとFacebookのファウンダーが協力して地球温暖化問題に取り組むことになった。今日(米国時間11/30)、マーク・ザッカーバーグは妻のプリシラ・チャン、Microsoftのファウンダー、ビル・ゲイツらと共にBreakthrough Energy Coalitionを立ち上げたことを発表した

この組織は世界の炭素化合物の排出をゼロにするクリーン・エネルギーの創出を目指している。創立メンバーにはヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長、日本のソフトバンクの孫正義会長、Amazonのジェフ・ベゾスCEO、アリババ・グループのジャック・マー会長、KPCBのジョン・ドーア・ゼネラル・パートナーなど、テクノロジー界の著名人が多数含まれる。

このニュースは、今週パリで国連気候変動会議(COP21)が開催されることにタイミングを合わせ発表された。パリ会議ではオバマ大統領とゲイツとビル・ゲイツがミッション・イノベーション(Mission Innovation)と呼ばれる重要なプロジェクトを発表する予定だ。このプロジェクトではこの5年間に民間セクターが政府の投資と同額を出資し、エネルギーに関する研究を支援する。

Washington Postの記事によると、Mission Innovationにはすでに19ヵ国が参加を決めている。このためクリーン・エネルギーの研究開発のために支出される年間予算は2020年までに200億ドルまで増加するという。

Mission InnovationとザッカーバーグらのBreakthrough Energy Coalitionとは別個のプロジェクトだが、各参加国において緊密に協力していくことになっている。

Breakthrough Energy Coalitionはウェブサイトで「この組織の目的はゼロカーボン化に取り組んでいる国において、公的機関等から生まれる有望かつ規模変更に適したアイディアに投資し、収益化を推進することによって政府投資と民間ビジネスの間のギャップを埋めることだ」と述べている。この組織の特長は柔軟な投資戦略で、公的研究機関などで生まれた有望なアイディアに対し、起業の初期投資からシリーズAに至る資金を提供する。対象となる分野は発電、蓄電、電力移送、産業及び農業における電力利用などを始め、エネルギーシステム全般の効率化だという。

画像:Romolo Tavani/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SoftBank、韓国のeコマース大手、Coupangに10億ドルを投資―評価額は50億ドルか

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6月はソフトバンクにとって早くも大忙しの月になっている。評価額10億ドルのフィンランドのゲーム会社、Supercellを事実上買収した翌日(米国時間6/2)、ソフトバンクは韓国最大のeコマース企業、Coupang.に10億ドルをt投資したことを発表した。

Coupangはいわば韓国のAmazonのような存在で、昨年巨額の資金調達を行った。2014年5月にSequoiaが10億ドルの評価額で1億ドルを出資し、12月にはBlackrockがさらに3億ドルを投資している。

CoupangもSoftBankも今回の出資における会社評価額を公表していないが、TechCrunchが得た情報によれば、50億ドルだという。

10億ドルクラブ

この投資でCoupangは評価額が10億ドルを超えるスタートアップのクラブ入りした。しかも同時に、さらにメンバーが少ない(XiaomiとFlipkartなどを含む)1回のラウンドで10億ドル以上を調達したクラブのメンバーにもなった。いったいCoupangのどこがそれほど魅力的だったのだろう?

Coupangのビジネスはいわば「次世代のeコマース」の先駆けだ。同社のアプリは2500万ダウンロードを数えている。韓国の人口が5000万であることを考えると大変な普及率だ。モバイルが売上の75%、サービスへの全トラフィックの85%を占める(ちなみにAmazonは、2014年のクリスマス商戦でモバイル経由の注文が60%だった と発表している)。

またCoupangは独自の物流ネットワークとフルフィルメント・センター群を構築している。消費者への配送の最後を受け持つのは‘Coupangメン’と呼ばれるドライバーとトラックの大部隊だ。

Coupangも当初はサードパーティーの運送業者と契約していたが、Coupangメンの導入によってブランド認知と消費者との会話を格段に向上させることに成功したという。Coupangメンは配達の際にしばしばキャンディーやサンプル商品などを無料で配り、お礼のメモを置いてくるなどの努力をしている。

こうした消費者サービに加えてCoupangは配達が非常に速い。2014年から即日配達(ときには数時間で配達)をスタートさせている。今回のSoftBankの投資と支援により、「フルフィルメントとモバイルアプリの両面でイノベーションが加速される」とCoupangは述べた。シリコンバレー、シアトル、上海、ソウルに所在する同社の研究開発センターには一層のリソースが流れ込むことになるだろう。

SoftBankのバイスチェアマンで元GoogleのNikesh Aroraは声明を発表し、「クーパンは、世界のインターネット企業の中でも非常に成長が著しく、かつ革新的な企業のうちの一つだ。同社は、先端テクノロジーを活用して世界中で展開するEコマース事業における同日配送、モバイルコマース、カスタマーサービスはどうあるべきかという観点において、新しい業界基準を確立することになるだろう」と述べた。

SoftBankはアジアへの投資を加速

今回の巨額の投資は、アジアにおける有望なeコマース企業を傘下に収める最近のSoftBankの戦略の延長線上にあり、それを加速させるものといえる。昨年SoftBankはインドネシアのeコマース、Tokopediaに1億ドルを投じ、インドにおけるAmazonのライバル、Snapdealの6億2700万ドルのラウンドをリードしている。

SoftBankはまたアジア地域におけるタクシー・アプリにも大金を出資している。東南アジアのGrabTaxiは2億5000万ドルをSoftbankから得ている。同社はインドにおけるUberのライバル、Olaの2億1000万ドルのラウンド 、中国におけるDid Dacheの6億ドルのラウンドでもリード投資家を務めている(Did Dacheはその後最大のライバル、Kuaidi Dacheと10億ドルの評価額で合併した)。

〔日本版〕ソフトバンクが発表した日本語プレスリリースはこちら(PDF)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本のSoftbankがアメリカ最大の投資…リアルタイムイベント探索BanjoのシリーズC $100Mをリード

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イベントや最新ニュースに関するデータ〔主に画像データ〕をリアルタイムで分析するBanjoが、SoftbankがリードするシリーズCのラウンドで、1億ドルを調達した。以前の投資家BlueRun Venturesも、このラウンドに参加した。

これはBanjoにとって圧倒的に最大のラウンドで、これで同社の総調達額は1億2100万ドルになった。同社のシリーズBは2014年3月の1600万ドル、シリーズAは2010年8月の500万ドルだ(どちらもBlueRun Venturesが参加した)。

同社のプレスリリースによると、新たな資金の一部でデータサイエンティストとエンジニアの増員を行う。同社はソーシャルディスカバリーアプリとしてスタートしたが、その後、ニュースのパブリッシャーなどのためのデータ分析に方向転換をした。

1年前のシリーズBは、消費者向けのプロダクトからイベント分析プラットホームに方向変えするための資金として使われた。Banjoは後者のサービスのことを、クリスタルボール(crystal ball, 水晶球)と呼んでいる*。〔*: ホームページでは“神の目の視野”、と豪語している。〕

ニュース企業のNBCやFox、BBCなどは、最新ニュースをTwitterやFacebookなどで騒がれる前に報じるためにBanjoを利用している。同社が提供するインサイトを、救急機関や交通安全のための道路規制当局なども利用している。

Wall Street Journalのインタビューで、ファウンダでCEOのDamien Pattonは、Banjoの“クリスタルボール”を開発しようと思ったのは、2013年のボストン・マラソンのテロ事件が契機だった、と述べている。そのときは、多くの見物人たちが、何が起こったのか分からずに右往左往していた。そこでPattonは、目撃者がアップロードしたビデオや写真を迅速に配信できれば、警察などよりも早く重要な情報を画像で知ることができるはずだ、と考えた。

日本のSoftbankにとって今回は、合衆国における最大の投資だ。アジアではSoftbankは、SnapdealやAlibabaなどのeコマース企業、それにKuadi DacheやOlaのようなタクシーサービスに大きな投資をしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa