テスラ、一時停止の標識を通過させる「完全自動運転」機能をリコール

Tesla(テスラ)は「Full Self-Driving(FSD、完全自動運転)」ベータ版に含まれていた、クルマが一時停止の標識を通過することが可能になる機能をリコールするため、無線でのアップデートを行っているとABCニュースが報じた。この機能は、FSDベータ10.3において、いわゆる「アサーティブ(積極的)」プロファイルの追加により初めて登場した。ABCによるとこの機能は、四差路交差点の一時停止標識を最大5.6MPH(約9.0 km/h)の速度で違法に通過することを許可するという。

Teslaは、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の関係者との2回の会合を経て、リコールに合意したと報じられている。これは16-22年型のModel S(モデルS)およびModel X(モデルX)のEV、17-22年型のModel 3(モデル3)、20-22年型のModel Y(モデルY)を含む約5万4千台のTesla車に影響する。NHTSAはリコールレポートで「一時停止の標識で止まらないと、事故のリスクが高まる可能性がある」と記している。だがTeslaは、この機能が原因で発生した怪我や事故は関知していないと述べている。

テスラは以前、左折時の後退、ファントム前方衝突警報、オートステアリングのバグなど「いくつかの問題」を理由に、FSD10.3ソフトウェアを撤回して前バージョンに戻した。また、中国ではAutopilot(オートパイロット)の問題で30万台のリコールを余儀なくされ、その他の地域でもカメラやトランクの不具合サスペンションの分離などでリコールを実施している。

以前にも指摘したように「Full Self-Driving」という名称は一般的にはレベル4の自動運転を意味するが、Teslaのシステムはレベル2の高度運転支援(Advanced Driver Assistance)を提供しているに過ぎないため、誤解を招く恐れがある。停止線で止まらず徐行する「ローリングストップ」を無効にするOTAアップデートは、2月上旬までに送信される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:NurPhoto / Contributor

原文へ

(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】フツーのクルマを作ってください

最近のクルマは賢くあるべきところがフツーで、フツーであるべきところが賢い。勘弁して欲しい。ほとんどフツーのクルマを作って売ってみて欲しい。自動車メーカーが人々に与えているものはあまりにひどいので、消費者は余分に払ってでも少ししかついていないものを買うだろう。

最近のクルマは車輪付きの格安スマートフォンのようだ。ソフトが山ほどプレインストールされていて使いにくて動きが鈍い。自動車メーカーは常にユーザーインターフェースで苦労しているが、つい最近まで我々にとって最大の問題は「ツマミが多すぎる」ことだった。あの日々がなんと懐かしいことだろう!

タッチスクリーンと液晶のまん延によって、あらゆるクルマがカラオケルームのようになってしまった。アニメーションがブレーキで再生されたエネルギーを示し、スピードメーターは制限速度に近づくにつれて色を変え、ファンの速度や方向は3階層メニューの奥にある。機能を果たさないだけでない、このインターフェースは醜悪だ!UIの種類もレイアウトもアニメーションも「委員会がデザインして使う必要のない人に承認された」と叫んでいる。

もちろんプライバシーとセキュリティも心配だ。私が初めてクルマにGPSが付いているのを見たのは、20年ほど前、母親の古いRX300だった。「そうか、そうやって捕まえるのか」と私は思った。そして今、支払いが遅れたTesla(テスラ)は自分自身を拘束する。ようこそ、未来へ。あなたのクルマは潜入捜査官です。

輪をかけた屈辱は、これらの機能が大衆向けではなく、高級オプションとして売られていることだ。スクリーンはあまりに安いので、大量に買ってきて、どこにでも何にでもつけて、客には「次世代のモビリティーをお楽しみにください!」ということができる。しかし、実際にはこれはコスト削減対策であり、部品数を減らし、ダッシュボード開発チームはずっと楽をできる。その証拠に、ハイエンドモデルはノブとダイヤルに戻って「プレミアムなフィール」などと称している。

だから私が欲しいのは「フツーのクルマ」だ。私の考えるイメージを描いてみよう。

敢えてバカになれ

何よりもまず、スクリーンは一切いらない。これにはいくつか理由がある、実用的にも審美的にも。

実際のところ、この手のスクリーンがやることのほぼすべてを、すでにスマートフォンがやっている。ひどく時代遅れで、のろまで、メーカーブランド付きのSpotify(スポティファイ)やApple Music(アップルミュージック)のアプリなど必要ない。自分のスマホが完璧にこなしている。同様に、カーナビもスマホが完璧にやってくれる。いうまでもなく、すでにボイスコマンドも使える。

GPSやデータ(あるいは隠しマイクや隠しカメラ)がないことによって、あなたのクルマのプライバシーは当然高まる。それでもやつらはあなたのスマホにつながることはできるが、少なくとも、動きを追跡するためには昔のように車体の下にGPSパッケージをつける必要がある。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

メディア利用に関して言えば、AUX(補助)入力があればすべて事足りる。充電ケーブルも兼ねているし、他の新しいデバイスといつでも交換できる。ちょっとスマートなケーブル配線がなされていれば、スマホをコックピット周りの便利な場所にマウントできる。ただし、運転中に見たりタッチしろという意味ではない。Bluetoothが欲しいなら、ドングルを買えばよい。どうしても必要なものはボリュームつまみと、たぶん、ハンドルに付いた基本的な3ボタン再生コントロールくらいだろう。

大きなセンターLCDについているエアコン制御については2~3個ノブがあればいい。あの「ゾーン」なるものが実際機能すると思っている人は、いないよね?ゾーンが必要になるほど大きなクルマはない。青~赤のダイヤル、風力調整、エアコンと送風の切り替えがあれば十分だ。

計器クラスターには、普通の針式メーターがあればよい。スピード、燃料、オイル、水温、あとはチェックエンジン、タイヤ圧低下などいつものランプ群。

美的観点からいって、私はこれらのメーター類のデジタル・バージョンがいつも気に入らなかった。ドライバーは路上に集中すべきなのに、パネル内で常に変わり続ける鮮やかな情報表示には気を散らされる。メーターの針の目盛りの69と70の差は3mmほどで、67と68、68と69の差も同じだ。この連続的で予測可能な変化は直感的でありどんな運転目的にも十分な精度がある。デジタル表示の数字は大きくて瞬きがちで、71から69に変わる瞬間ドライバーの注目を引き続ける。2つの数値はまったく違って見えるので、視野の隅で確認するのは難しい。

シンプル、かつ安全に

メディア機能とカーナビをなくすことで、多くのコンピューティング能力を載せる必要はなくなるが、全部なくして欲しいわけではない。ここ数年、すべての新車に搭載することが義務付けられている安全機能がいくつか導入された、スマートなものもそうでないものも。トラクションコントロール(タイヤの滑りを制御する)やブラインドスポットモニター(後側方警戒支援)、車線逸脱警報、さらには自動緊急ブレーキ装置にもある程度のCPU能力が必要であり、使用されるべきだ。命を救うのだから。バックカメラは多くの人たちが手放したくないものの1つだろうが、基本的な近接センサーがどれほど役に立つかを知ったら驚くだろう。

エンジン自体も昔よりはるかにコンピュータ化されている。ただし室内のコンピュータ化とは異なり、これにはプラス効果がたくさんある。燃費改善、排ガス減少、信頼性向上、保守のための診断の簡易化などだ。安全で敏感なペダルとハンドルに必要なエレクトロニクスの正確なレベルが何かは議論のあるところだろうが、そこは専門家に委ねる。

実は、ウィンドウとドアロックのマニュアル式も提案する誘惑にもかられたのだが、それはわざとらしたの一線を越えそうだ(すでに大きく踏み出しているかもしれないが)。我々はビンテージカーを作ろうとしているのではない。過剰なテクノロジーを廃した現代のクルマを作りたいだけだ。ちなみにパワーシート位置調整は、今でも贅沢品だ。レバーを使おう。

私が提案したものはガゾリン車に限らないで念の為。電気自動車もまったく同じく悪い方向に走っている。これはノスタルジアではなく、有害なのに広く受け入れられているデザイン哲学を捨てようと言っている(わかった、多少のノスタルジアはある、でもほんの少しだけだ)。

もちろん、私の提案はシンプルさを謳っているにも関わらず、おそらく一種の高級車の類に行き着くだろう、つまりコストの最小化を目指しているわけではない。事実上現存するすべてのクルマは「最新」テクノロジーで設計されており、それは既存の金型や組み立て作業、品質管理などからの大がかりな離別を意味している。加えて、私はこのコンセプトが多くの人々を引きつけると思っているが、そんなに売れるものではない。ニッチなクルマであることに間違いはなく、価格はそれを反映したものになるだろう。

それでも、私が欲しいのは、すでに所有している他のデバイスのように通知を送ってきたり、ベルを鳴らしたり、エラーを報告してきたり、私に許可を求めたり、アップデートが必要になったりするような高圧的なところのないクルマだ。偽りの「昔はよかった」議論はおくとして、今の一連の機能にはとにかく大した意味がなく、もちろんそのでしゃばり方や質の悪さは正当化しようがない。ドライバーが運転するための、そしてみんながポケットに入れて持ち歩いているスーパーコンピューターを置き換えようするのではなく、必要なものを提供することに焦点を当てたクルマを作ることが、いったいどんなものなのか考えてみよう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラが車内カラオケ用のマイクを発売(今のところ中国でのみ)

Tesla(テスラ)は新しいアクセサリーとして、車内カラオケ用のマイクを発売した。「TeslaMic(テスラマイク)」は当面、中国でのみ販売される。中国の旧正月にあわせてロールアウトされたソフトウェアアップデートでは、インフォテインメントシステムに「Leishi KTV」というカラオケプラットフォームが追加された。

Teslaによると、このマイクはインフォテインメントシステムと自動的にペアリングされるという。TeslaMicは2個入りセットになっているので、デート中にどこかに駐車してデュエットソングを歌いたいと思ったときに役立つかもしれない。セットの価格は約188ドル(約2万1600円)だが、1時間もたたずに売り切れたとのことで、車内シンガーになりたい多くの人たちは、Teslaストアページの読み込みに失敗している。

Weibo(ウェイボー、微博)の投稿(YouTubeにもミラー配信されている)では、TeslaMicとカラオケシステムが実際に動作している様子が紹介されている。Elektrekが指摘するように、Leishi KTVのインターフェースとカタログを採用することで、Teslaは2019年に導入した「Caraoke」機能を発展させているが、その機能では選曲がより限定的だった。

Teslaが中国以外の国でTeslaMicを販売するかどうかはまだわからないが、米国に登場した場合はもしかしたらDogecoin(ドージコイン)で買えるようになるかもしれない。それが実現するまでは、クルマのオーディオシステムに接続できる公式の「Carpool Karaoke(カープールカラオケ)」マイクがある(ただし、自分でバッキングトラックと歌詞を表示するディスプレイを用意する必要がある)。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Tesla

原文へ

(文:Kris Holt、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】10代によるテスラ車のハックを教訓にするべきだ

Tesla(テスラ)をハックした19歳のDavid Colombo(デビッド・コロンボ)が騒がれるのは、当然といえば当然の話だ。彼はサードパーティソフトウェアの欠陥を利用して、13カ国にわたる世界的EVメーカーの車両25台にリモートアクセスした。ハッカーは、遠隔操作でドアのロックを解除し、窓を開け、音楽を流し、それぞれの車両を始動させることができたと話している。

関連記事:100台を超えるテスラ車が遠隔操作の危険性にさらされる、サードパーティ製ツールに脆弱性

コロンボ氏が悪用した脆弱性はTeslaのソフトウェアのものではなく、サードパーティのアプリに存在するもので、そのためできることに限界があり、ハンドルやアクセルそして加速も減速もできなかった。しかし彼はドアを開け、クラクションを鳴らし、ライトを制御し、ハッキングした車両から個人情報を収集した。

サイバーセキュリティのプロにとって、このようなリモートでのコードの実行や、アプリキーを盗むのは日常茶飯事だが、私が恐れるのは、情報漏洩の開示に慣れてしまい、今回の件がコネクテッドカーのエコシステム全体の関係者にとって貴重な学習の機会であることが見逃されてしまうことだ。

今回のハッキングは、サイバーセキュリティの初歩的な問題であり、率直にいって起きてはならない過ちだ。コロンボ氏がTwitterのスレッドを投稿して通知した翌日に、Teslaが突然数千の認証トークンを非推奨にしたことから、問題のサードパーティ製ソフトウェアは、セルフホスティングのデータロガーだった可能性があるのだという。一部のTwitterユーザーの中にはこの説を支持する人もおり、アプリの初期設定によって、誰でも車両にリモートアクセスできる可能性が残されていることを指摘している。これは、コロンボ氏による最初のツイートで、脆弱性は「Teslaではなく、所有者の責任」と主張したこととも符合する。

最近の自動車サイバーセキュリティ規格SAE/ISO-21434と国連規則155は、自動車メーカー(通称、OEM)に車両アーキテクチャ全体に対する脅威分析とリスク評価(threat analysis and risk assessment、TARA)の実施を義務化している。これらの規制により、OEMは車両のサイバーリスクと暴露の責任を負う。つまり、そこが最終責任になる。

Teslaのような洗練されたOEM企業が、サードパーティのアプリケーションにAPIを開放するリスクを看過していたのは、少々らしくないような気もする。しかし低品質のアプリは十分に保護されていない可能性があり、今回のケースのように、ハッカーがその弱点を突いてアプリを車内への橋渡しとして使用することが可能になる。サードパーティ製アプリの信頼性は、自動車メーカーに委ねられている。自動車メーカーの責任として、アプリを審査するか、少なくとも認証されていないサードパーティアプリプロバイダーとのAPIのインターフェイスをブロックする必要がある。

たしかに、OEMが検査し承認したアプリストアからアプリをダウンロードし、アップデートすることは消費者の責任でもある。しかしOEMの責任の一部は、そのTARAプロセスでそうしたリスクを特定し、未承認アプリの車両へのアクセスをブロックすることにある。

私たちKaramba Securityは、2021年に数十件のTARAプロジェクトを実施したが、OEMのセキュリティ対策には大きなばらつきが散見された。しかながらOEMは、顧客の安全性を維持し、新しい規格や規制に対応するためにできるだけ多くのリスクを特定し、生産前に対処することを最重要視している点で共通している。

ここでは、私たちが推奨するOEMメーカーが採用すべきベストプラクティスを紹介する。

  1. 秘密と証明書を保護する – 広義のなりすましや身分詐称を確実に失敗させる(ファームウェアを置き換える、認証情報を詐称するなど)
  2. アクセスや機能をセグメント化する(ユーザーに対して透過的な方法で) – たとえ1つのポイントが失敗しても、被害は限定的になる
  3. 自分自身で継続的にテストする(あるいは他の人にやってもらうために報奨金プログラムを立ち上げる) – 見つけたものはすぐに修正する
  4. インフォテインメント、テレマティクス、車載充電器などの外部接続システムを堅牢化し、リモートコード実行攻撃から保護する
  5. APIをクローズアップする。未許可の第三者には使用させないこと。このような習慣があれば、今回の攻撃は免れたはずだ

消費者に対しては、OEMのストア以外からアプリを絶対にダウンロードしないことをアドバイスしている。どんなに魅力的に見えても、非公認アプリは運転者や乗客のプライバシーを危険にさらしていることがある。

EVは楽しいものだ。高度な接続性を有し、常に更新されすばらしいユーザー体験を提供しれくれる。しかし、EVは自動車であり、スマートフォンではない。自動車がハッキングされると、ドライバーの安全とプライバシーを危険にさらすことになる。

編集部注:本稿の執筆者Assaf Harel(アサフ・アレル)氏は、Karamba Securityで研究とイノベーション活動を指揮し、革新的な製品とサービスの広範なIPポートフォリオを監督している。

画像クレジット:SOPA Images/Getty Images

原文へ

(文:Assaf Harel、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラ、予想を上回る2021年第4四半期決算を発表

米国の電気自動車会社、Tesla(テスラ)が、第4四半期および暦年2021年の決算を米国時間1月26日午後に報告した。2021年最後の3カ月間に、Teslaは177億2000万ドル(約2兆310億円)を売上、内160億ドル(約1兆8340億円)が自動車事業によるものだった。総売上に基づくTeslaの第4半期の純利益は23億2000万ドル(約2658億円)、1株当たり利益は2.05ドル(約234.89円)だった。調整後の1株当たり利益は2.54ドル(約291.03円)。

アナリストの2021年第4半期の予想は、売上163億5000万ドル(約1兆8730億円)、調整後1株当り利益2.26ドル(約258.95円)だった。簡単にいえば、Teslaは売上と利益で予測を上回る実績を上げた。

同社の株価は、決算発表後の時間外取引で高下し、当初数ポイント下げたあと本稿執筆時には上昇している。

四半期の内訳

第4半期のTesla自動車部門の実績は良好だったようだ。同社の160億ドル近い総自動車売上は、前四半期の120億6000万ドル(約1兆3820億円)、1年前同期の93億1000万ドル(約1兆670億円)をいずれも上回った。

Teslaの決算を注目してきた人は、四半期売上のうちregulatory credits(排出規制規則に基づき売買されるクレジット)が占める割合が気になるだろう。同社を批判する人たちは、この数値が少々膨らんでいることを再三指摘してきた。2021年第4半期、Teslaは過去5四半期中2番目に少ないクレジット額を報告した。

同社にとってさらに良かったのは、自動車事業の粗利益が、同部門の売上が伸びても落ちなかったことだ。逆に、前年同期の24.1%から、少なくとも直近5四半期で最高の30.6%へと跳ね上がった。

他に注目すべき数値は、フリーキャッシュフローが27億8000万ドル(約3190億円)と過去最高を記録したことで、四半期末の現金および現金同等物は170億ドル(約1兆9480億円)に達した。四半期全体でTeslaの自動車関連売上は、同社総売上の90%を超えた

2021年を振り返る

Teslaの1年は総じて好調だった。売上は約71%増の538億2000万ドル(約6兆1680億円)で、調整後EBITDA116億2000万ドル(約1兆3320億円)、純利益55億2000万ドル(約6330億円)につながった。Teslaの利益性と現金持ち高の増え方を踏まえると、いずれこの会社は配当を出すのではないかと私は考える。すばらしいのは、同社の現金需要に対して現金収入が多いことで、これは設備投資を勘定に入れてもいえることだ

なぜTesla株は決算報告後に動いていないのか?どうやら決算は概ね予測と一致していたようで、つまり実績はすでに株価に反映済みだということらしい。Yahoo Financeによると、現在の株価937ドル(約10万7374円)に基づくと、同社の時価総額は9410億ドル(約107兆8610億円)になる。

画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

パナソニックがテスラ向け大容量バッテリーを2023年に生産開始との報道

Panasonic(パナソニック)は、早ければ2023年にも、Tesla(テスラ)向けのより大容量なバッテリーの量産を開始する可能性があると、Nikkei Asia(日経アジア)が報じた。この新しい「4680」バッテリーセルは、電気自動車の航続距離を15%以上も向上させるという。テスラの「Model S(モデルS)」では、1回の充電で走行可能な航続距離が現行の650kmから750kmにまで伸びる可能性があるということだ。

バッテリーセルの大きさは従来の約2倍に大きくなるものの、エネルギー容量は5倍になっているとNikkeiは伝えている。そのため、1台の自動車に必要とされる電池の本数は少なくて済むため、製造コストはすでに10~20%安くなっているという。バッテリーはEVのコストの30%を占めていると言われる。バッテリーのコストが下がれば、EVがより手頃な価格になり、電気自動車への移行が早まる可能性がある。さらに航続距離が伸びれば、充電の頻度も少なくて済むようになる。

テスラの長年のパートナーであるパナソニックは、4680を生産するための新しい設備に約800億円を投資すると報じられている。日本の和歌山県にある既存の工場を拡張し、まずはそこで新しいバッテリーの生産を始めるとのこと。Nikkeiによると、パナソニックは2023年に量産を開始する前に、安全で効率的な生産工程を開発するために、2022年から小規模にバッテリーの製造を開始するという。その後、他の国で電池を量産する可能性もあるようだ。

Reuters(ロイター)によると、パナソニックは2022年にテスト生産ラインを設置することを認めたが、大規模なバッテリーの量産を開始する時期については言及せず「我々は大量生産のためのさまざまな選択肢を検討している最中です」と述べたという。

パナソニックは、テスラからの依頼を受けてこのバッテリーの開発に着手した。パナソニックのバッテリー部門責任者は2021年11月、同社ではテスラを優先するものの、他の自動車メーカー向けにこの電池を生産する可能性も除外していないと語っている。テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは以前、同社ではバッテリーの自社生産を計画しているが、他のサプライヤーからの調達も継続すると述べていた。

テスラは、2020年9月に開催された「Battery Day(バッテリー・デイ)」というイベントで、この4680を発表した。マスク氏は当時、このバッテリーセルの導入とその他の開発が進むことにより、テスラは2万5000ドル(約285万円)のEVを販売できるようになると語っていた

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のKris HoltEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Panasonic

原文へ

(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

100台を超えるテスラ車が遠隔操作の危険性にさらされる、サードパーティ製ツールに脆弱性

Tesla(テスラ)車のオーナーに人気の高いオープンソースのログ記録ツールに、セキュリティバグが見つかった。これにより、セキュリティ研究者は世界中の数十台のテスラ車にリモートアクセスできたと述べている。

この脆弱性に関するニュースは2021年1月初め、ドイツのセキュリティ研究者であるDavid Colombo(デヴィッド・コロンボ)氏のツイートで初めて明らかになった。コロンボ氏は、25台以上のテスラを「完全に遠隔操作」できるようになったが、その詳細を公表せずに、悪意のあるハッカーに警告を与えず、影響を受けたテスラ車のオーナーに問題を開示することに苦労していたと述べている。

現在、このバグは修正されていることをコロンボ氏は確認している。TechCrunchはこの記事を、脆弱性が悪用される可能性がなくなるまで掲載を保留していた。コロンボ氏はブログで調査結果を発表した。

コロンボ氏がTechCrunchに語ったところによると、この脆弱性は「TeslaMate(テスラメイト)」というツールで見つかった。これはテスラ車のオーナーが自分の車両に接続して、車両のエネルギー消費量、位置情報の履歴、走行統計などの隠されたデータにアクセスし、問題のトラブルシューティングや診断を行うために使用する無料でダウンロードできるロギングソフトウェアだ。TeslaMateは、テスラ車マニアたちが家庭用コンピューターで実行していることも多いセルフホスト型のウェブダッシュボードで、テスラのAPIにアクセスすることで、クルマの所有者のアカウントに紐付けられている車両のデータに触れることができる。

しかし、匿名でのアクセスを許可したり、デフォルトのパスワードを変更せずに使用しているユーザーがいたりといったウェブダッシュボードのセキュリティ上の欠陥が、一部のテスラ車オーナーによる設定ミスと相まって、100台分を超えるTeslaMateのダッシュボードが、テスラ車を遠隔操作するために使用する車両オーナーのAPIキーを含めて、直接インターネットに漏洩するという事態を引き起こした。

コロンボ氏はTechCrunchに電話で、影響を受けたテスラ車の数はもっと多いだろうと語っている。

漏洩したTeslaMateのダッシュボードの1つには、あるテスラ車がカリフォルニア州を横断している最近の移動ルートが表示されていた。TeslaMateはその後、脆弱性を修正し、テスラは数千のAPIキーを失効させた(画像クレジット:David Colombo)

コロンボ氏によると、TeslaMateのダッシュボードがデフォルトでは保護されていないことを発見したのは、2021年、漏洩したダッシュボードを偶然見つけたことがきっかけだったという。インターネットで他のダッシュボードを検索した結果、同氏は英国、欧州、カナダ、中国、米国でダッシュボードが露呈されたテスラ車を発見した。

しかし、ダッシュボードが露呈しているテスラ車のオーナーに個別に連絡を取ることは非常に困難であり、多くの場合、影響を受けたテスラの顧客に連絡できる方法を正確に知ることはできないと、コロンボ氏は説明する。

さらに悪いことに、露呈したダッシュボードからテスラ車ユーザーのAPIキーを抽出することが可能だったため、悪意のあるハッカーが、ドライバーに気づかれず、テスラ車に長期的なアクセスを続けることができてしまったのだ(APIは、インターネット上で2つのソフトウェアが相互にやり取りすることを可能にする。この場合、テスラの車両と同社のサーバー、Teslaアプリ、またはTeslaMateダッシュボード)。テスラのAPIへのアクセスは、所有者のアカウントに紐付けされたプライベートAPIキーによって、テスラ車の所有者に制限されている。

コロンボ氏は、流出したAPIキーを利用することによって、ドアや窓のロック解除、クラクションの吹鳴、キーレス運転の開始など、車両の一部機能に遠隔操作でアクセスできることを、アイルランドのあるテスラ車オーナーに確認したという。また、車両の位置情報、最近の走行ルート、駐車場の場所など、車両内部のデータにもアクセスできたとのこと。ただし、APIへのアクセスを利用してインターネットから遠隔的に車両を動かすことができるとは思えないと、コロンボ氏はいう。

今回のセキュリティ問題は、テスラのインフラにあったわけではないものの、業界標準の措置であるパスワードが変更された時に顧客のAPIキーを失効させるなど、テスラはセキュリティを向上させるためにもっとできることがあると、コロンボ氏は述べている。

TeslaMateは内密に脆弱性を報告した後、アクセスを防ぐためにユーザーが手動でインストールしなければならないソフトウェア修正を配信した。

TeslaMateプロジェクトの保守管理者であるAdrian Kumpf(エイドリアン・クンプフ)氏は、コロンボ氏のメールを受け取ってから数時間以内に更新プログラムを配信したと、TechCrunchに語っている。このソフトウェアはセルフホスト型であるため、ユーザーが誤って自分のシステムをインターネットに露呈させてしまうことを防ぐことはできないと、クンプフ氏はメールで語っており、TeslaMateの説明書では以前から、ソフトウェアを「ホームネットワーク上にインストールするように。さもなければ、あなたのテスラAPIトークンが危険にさらされる可能性があります」と警告していると付け加えた。また、クンプフ氏は、高度なインストールオプションを選択したユーザーは影響を受けないはずだ、とも述べている。

テスラが数千人のドライバーのAPIキーを失効させたことから、この問題は当初考えられていたよりも広範囲に渡っていた可能性があると、コロンボ氏はTechCrunchに語った。なお、テスラには本記事掲載前にコメントを求めたが、回答は得られなかった(テスラは2020年に広報チームを廃止している)。

画像クレジット:Patricia de Melo Moreira / AFP / Getty Images

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォルクスワーゲンとボッシュが合弁会社を設立、欧州でのバッテリー生産を推進

Volkswagen(VW、フォルクスワーゲン)とBosch(ボッシュ)は、欧州にバッテリー機器のソリューションを提供するための合弁事業の検討に合意した。VWによれば、両社はバッテリーセルおよびバッテリーシステムメーカー向けに、統合されたバッテリー生産システムを提供することや、オンサイトでの生産力強化ならびにメンテナンスサポートを目指しているという。

この合弁事業は、VWが2030年までに6つのセル工場を建設するという目標を達成するのに役立つと期待されているが、欧州各地の他の工場にもサービスを提供する予定だ。両社は、合弁事業への投資額を明らかにしていない。

各自動車メーカーは今後数年間で何百万台もの電気自動車を出荷するという、これまで以上に野心的な目標を設定しており、パンデミック関連のサプライチェーン問題でさらに問題となっている海外からのバッテリー供給への依存を減らし、自己完結性を高めることに取り組んでいる。2021年には、自動車メーカーとセルサプライヤーとの間で、メーカー近隣にバッテリーセル生産施設を建設する合弁事業が相次いだが、VWは2019年にNorthvolt(ノースボルト)と合弁事業を立ち上げ、ドイツのザルツギッターに最初の生産施設を建設する計画をすで進めていた。

VWの取締役でバッテリー計画を担当しているThomas Schmall(トーマス・シュモール)氏は「欧州には、今後数年のうちに世界のバッテリー基地になることができるユニークなチャンスがあります」と声明の中で述べている。「新しいギガファクトリーの設備を含む、バッテリー生産のあらゆる面での需要が強く高まっています。VolkswagenとBoschは、数十億ユーロ(数千億円)規模のこの新しい産業を、欧州で発展・確立させる機会を探っていきます」。

Volkswagenはまた、競合他社にサービスを提供することで収益の多様化を図るという最近増えつつある自動車メーカーたちの流れにも乗っている。米国時間1月18日には、Ford(フォード)とADTが合弁事業を発表し、車種を問わず取り付け可能な盗難防止用の車両監視システムを提供することになった。

関連記事:車上荒らし防止に取り組むFordとADTのジョイントベンチャー企業「Canopy」

シュモール氏は「バッテリー製造のバリューチェーンの垂直統合に積極的に取り組むことで、新たな利益を生み出すことができるでしょう」と付け加えた。「欧州製のe-mobility(電気モビリティ)のために、完全にローカライズされた欧州のサプライチェーンを確立することは、ビジネス史の中でも稀な機会となるでしょう」。

European Battery Alliance(欧州バッテリー連盟)は、韓国や中国の市場支配への依存を減らすためには、2020年代末までに世界の電池の3分の1を欧州で生産する必要があるとしているものの、現時点では、欧州の900GWh(ギガワット時)以下の生産能力を持つ電池工場は、2029年時点で世界の生産量の16%を占めるにとどまるとされている。

Tesla(テスラ)は、ベルリンのModel Y(モデルY)用の300ヘクタールの工場敷地の隣に、50GWhの生産能力を持つバッテリープラントを建設する計画を立てているが、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOが2021年11月か12月に生産を開始すると以前から約束していたにもかかわらず、工場とプラントの両方が、生産開始のために地域当局の承認を待っている状態だ。

関連記事:テスラがベルリンのギガファクトリーで巨大イベント、12月の生産開始を発表

VWが計画しているザルツギッターのプラントの生産量は40GWhとなる予定だが、もしVWが生産の増強に成功し、合計6つの工場を建設できれば、合計で240GWhの生産量になるはずだ。

画像クレジット:The Volkswagen Group

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

テスラ株主、マスク氏がSolarCity買収を取締役会に強要と裁判で主張

Tesla(テスラ)の株主は、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が2016年に同社の取締役会にSolarCity(ソーラーシティ)を買収するよう強要したと裁判官に認定するよう求めている。この買収取引は、マスク氏が筆頭株主だった破綻したソーラー会社の「救済」だったというのが株主グループの主張だ。米国時間1月18日に行われたZoomでの公聴会で、株主らはマスク氏に買収取引で受け取った株式の返還とTeslaへの130億ドル(約1兆4918億円)の支払いを命じるよう求めた。

全株式による買収取引は当時26億ドル(約2983億円)と評価されたが、Teslaの株価はその後、大きく上昇した。

マスク氏は2021年7月に買収をめぐる10日間の訴訟で証言し、弁護団はマスク氏が当時85%の株主が承認したSolarCity買収に関連する取締役会の議論や交渉に関与しなかったと述べている。この買収についてマスク氏が不適切な影響力を行使したかどうか、また同氏や他の取締役が買収に関する情報を株主に隠していたかどうかが争点となっている。

関連記事:イーロン・マスク氏がSolarCity買収に関する訴訟で買収の正当性を主張

ロイター通信によると、株主側の弁護士Randy Baron(ランディ・バロン)氏は公聴会で「この訴訟は常に、SolarCityの買収がイーロン・マスク氏が巧妙に仕組んだ財政難からの救出、救済だったのかどうかが争点になっている」と述べたという。

組合の年金基金や資産運用会社による訴訟では、SolarCityは「一貫して利益を上げることができず、負債が膨らみ、持続不可能な速度で現金を使っていた」とし、同社が10年の歴史の中で30億ドル(約3442億円)超の負債を積み上げ、そのほぼ半分が2017年までに返済期限を迎えていたと指摘した。

マスク氏の弁護士は2021年7月、この買収はTeslaをエネルギー会社に変えるというマスク氏の長期ビジョンの一部だったと主張した。マスク氏は、SolarCityとTeslaを合体させることが、Teslaの蓄電製品「Powerwall(パワーウォール)」と太陽光発電パネルを組み合わせるというビジョンの鍵だった、と述べている

1月18日の公聴会で、マスク氏の弁護士の1人であるEvan Chesler(エヴァン・チェスラー)氏は、この取引は救済措置ではなく、SolarCityの財務は多くの高成長中のテック企業と同レベルだったと主張した。

ロイター通信によると、チェスラー氏は「SolarCityは何十億ドル(何千億円)もの長期的価値を築いていた」と述べた。

株主側の弁護士のLee Rudy(リー・ルディ)氏が、デラウェア州大法院のJoseph Slights(ジョセフ・スライツ)代理大法官に、宣誓証言と裁判の過程で株主側弁護士を繰り返し侮辱したマスク氏に対する侮辱罪を検討するよう求めたことから、その場は少し緊張した雰囲気になった。

スライツ氏は約3カ月後、自身の引退と同時期に判決を下す見込みだと述べた。マスク氏の巨額報酬に異議を唱える関連株主訴訟は、スライツ氏から別の判事に移管された

画像クレジット:Joshua Lott / Getty Images

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラの「完全自動運転」を激しく批判するニューヨーク・タイムズ紙の全面広告

米国時間1月16日日曜日のNew York Times(ニューヨーク・タイムズ)紙に掲載された全面広告は、Tesla(テスラ)の「Full Self-Driving(フルセルフ ドライビング)」を「フォーチュン500企業が販売した史上最悪のソフトウェア」と評し「フォーチュン500企業の他の商品で、8分ごとに致命的誤作動をするソフトウェアを見つけた最初の人物に、問題のソフトウェアの価格と同じ1万ドル(約114万5000円)を提供すると募った。

この広告を出稿したThe Dawn Project(ザ・ドーン・プロジェクト)は、最近設立された団体で、軍隊的ハッカーの標的になりうる重要システムの安全でないソフトウェアを禁止することを目的にしている。この広告はTeslaのFull Self-Driving(FSD)を「致命的誤作動が1000分の1以下になるまで」公道から排除するキャンペーンの一環だ。

反対運動団体の創設者であるDan O’Dowd(ダン・オダウド)氏は、Green Hill Software(グリーンヒル・ソフトウェア)という埋込み型安全およびセキュリティシステム向けオペレーティングシステムとツールを開発する会社のCEOでもある。同社はCESで、BMWの製品、iX は同社のリアルタイムOSと安全性ソフトシェアを使用していると話し、同社の新しい無線配信型ソフトウェア製品とデータサービスを自動車電子システム向けに提供することも発表した。

The Dawn Projectのファウンダーによる競合的バイアスの可能性はさておき、Teslaオーナーが都市道路で利用できる先進ドライバー支援システムであるTeslaのFSDベータソフトウェアは、システムの不具合を示す一連のYouTube動画が急速に広まったことで、ここ数カ月間監視の目を向けられている。

NYT紙の広告が掲載されたのは、カリフォルニア州DMV(自動車管理局)がTeslaに対し、専門のセーフティーオペレーター(非常時対応ドライバー)ではなく、一般消費者による同社のテストプログラムが自動運転規則の対象外であるという同局の意見を「再検討する」と伝えた数日後のことだった。カリフォルニア州DMVは、州内における自動運転試験を規制しており、Wyamo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)などのロボタクシーの運用にむけて開発、テストを行っている他の企業に対して、衝突事故あるいは「disengagements(自動運転の解除)」と呼ばれるシステム障害を報告することを義務づけている。Teslaはこれらの報告書を一度も提出したことがない。

その後TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏はTwitter(ツイッター)で曖昧な反応を見せ、TeslaのFSDは公開以来事故も負傷者も出していないと主張した。現在、米国幹線道路交通安全局(NHTSA)は、Tesla Model Yのオーナーによる、自車がFSDモード作動中に左折した際誤った車線を走り、その結果他の車に衝突されたという報告書を精査している

仮にそれがFSDにとって初めての事故だったとしても、Teslaの全車両に標準搭載されているADAS(先進運転支援システム)、Autopilot(オートパイロット)は、すでに10件前後の衝突事故に関わっている

関連記事:米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け

NYTの広告とともに、The Dawn Projectは、自身の主張のファクトチェック(事実検証)を公表し、21件計7時間のYouTube動画のデータを研究した独自のFSD安全分析を紹介している。

分析した動画は、ベータバージョン8(2020年12月公開)および10(2021年9月公開)のもので、著しくポジティブあるいはネガティブな動画は、偏りをは減らすために研究対象から排除している。それぞれの動画は、人間のドライバーが運転免許を所得するために合格する必要のあるカリフォルニア州DMV運転技能評価に基づいて採点された。カリフォルニア州のドライバーが運転試験に合格するためには、車線変更の際に方向指示器を使用する、あるいは他の車両との安全な車間距離を維持するなどの運転操作上の誤りが15回以下、衝突や赤信号無視などの致命的な過ちはゼロでなくてはならない。

同団体の調査によると、FSD v10は1時間以内に平均16回の操作誤り、8分ごとに致命的運転誤りを犯した。v8とv10の間の9カ月間に改善があったことを分析結果は示しているが、現在の改善ペースでは、人間ドライバーの事故頻度を達成するまでに、あと7.8年(AAAデータによる)から8.8年(交通局データによる)を要する。

Dawn Projectの広告には、割り引いて捉える大胆な主張がいくつかあり、それは真剣に受け止めるには統計的基準からよりはるかにサンプル数が少ないからだ。しかし、もしこの7時間のビデオ映像が、平均的FSD運転を代表しているとすれば、発見結果はTeslaのFSDソフトウェアの大規模な問題の兆候を示すものであり、果たしてTeslaはこのソフトウェアを規制されることなく公道でテストしてよいのか、というより大きな問題につながってくる。

「私たちは、家族を公道を走る数千台のTesla車の実験用ダミー人形にする申込みをしませんでした」。

国の規制当局は、Teslaおよび同社のAutopilotとFSDベータソフトウェアシステムに対して行動を起こし始めている。

2021年10月、NHTSAはTeslaに2通の書簡を送り、同社のFSDベータを早期利用するオーナーに対する秘密保持契約の使用、および標準Autopilotシステムで、本来リコール対象とすべき問題の解決に無線ソフトウェアアップデートを使用する決定に対して説明を要求した。また、Consumer Reports (コンシューマーレポート)は2021年夏に声明を発表し、FSDバージョン9ソフトウェアアップグレードは公道で使用するには十分安全ではなく、同氏が独自にソフトウェアをテストする予定であると語った。そして先週、同誌はテスト結果を公開し「Teslaのカメラベースのドライバー監視システムは、ドライバーを路上に注意を向けさせることに失敗している」ていることを指摘した。同誌は、それに対してFord(フォード)のBlueCruise(ブルークルーズ)はドライバーの視線がそれた際に警告を発行していると報告した。

関連記事:米道路交通安全局がテスラに対し、秘密保持契約と無線ソフトウェアアップデートについて説明を要求

それ以来、Teslaは同社v10ソフトウェアの数多くの異なるバージョンを公開した。まもなく10.9が登場するはずで「都市 / 幹線道路向け単一ソフトウェアスタック」および「数多くの構造上のアップグレード」をともなうバージョン11は2月に提供される予定だ。

最新バージョン10.8のレビューはさまざまで、ずっとスムーズになったというオンラインコメンターがいる一方、多くの人たちがこのシステムを使うこと自体に自信が持てないともいっている。RedditのTesla Motors subredditで最新FSDバージョンをレビューするスレッドでは、複数のオーナーがソフトウェアに対する苦情を書いていて「絶対に一般公開できる状態ではない」と書いた人さえいる。

別のコメント人は次のようにいう。「完全に誰もいない直線道路に右折するのに時間がかかりすぎる。その後左折する時には理由もなくためらい続けて走行レーンを妨害し、次の道に入ると突然加速したかと思うと、同じくらい急に減速して、それは制限速度45mph(約72.4km/h)の道路を25mph(約40.2 km/h)だと思って速度を考え直したからだった」。

このドライバーは、最終的に完全にシステムを切り離すしかなかった。なぜなら「信号があり全方向の見通しが良くてまったく交通のない」普通の交差点で行うべき左折をシステムが完全に無視したからだったと語った。

The Dawn Projectのキャンペーンは、FSDは「最悪の時に誤ったことをする可能性があります」というTeslaの警告を大きく取り上げた。

「最悪の時に誤ったことをするかもしれない安全最重要製品が市場に出回ることを許せる人などいるでしょうか」と同団体はいう。「それは欠陥の定義なのではありませんか?Full Self-Drivingはいますぐ私たちの路上から取り除かれるべきです」。

Teslaからも、The Dawn Projectからもコメントは得られていない。

画像クレジット:The Dawn Project

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラ「完全自動運転」最新ベータ版は違法なローリングストップを行う「アサーティブ」モード搭載

The Vergeの報道によると、Tesla(テスラ)の最新の「Full Self-Driving(FSD、完全自動運転)」ベータ10.3にはプロファイルが復活し、ローリングストップなどの違反にもなり得る操作を行う可能性のある「アサーティブ」モードが再び搭載された。このアップデートは当初、2021年10月に3つのプロファイル(「チル(=リラックス)」「アベレージ」「アサーティブ(積極的)」)を搭載してリリースされたが、信号での左折や予期せぬ停止などの問題が発生し、わずか2日後に撤回されていた。

米国時間1月9日に発表された最新のアップデートでは、FSDベータ版のプロファイルが復活している。「アサーティブ」を選択した場合、注意書きには「このプロファイルでは、Model Xの追従距離が短くなり、より頻繁にレーンチェンジを行い、追い越し車線から退出せず、ローリングストップを行う可能性があります」とある。なお、Twitterユーザーの@Digitalhenが指摘しているように「アベレージ」モードでもこのシステムはローリングストップを行うことがある。

「ロードレイジ(を招く)モード」は画面に収まりきらなかったらしい

一般的にローリングストップとは、クルマが停止線で徐行し完全に停止しないことを意味するが(これは違法で危険だ)、FSDの運転がそれに該当するかどうかはまだ明らかでない。また、多くの州では、誰も追い越していないのに左車線や追い越し車線を走行し続けることは違法だし、もちろん、先行車に追従しすぎるのもよくない。とはいえ、このモードはまだ十分にテストされていないため、これらのことがどのように行われるかを正確に示すことはできない。

週末、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは、まだベータ版であるにもかかわらず、FSDの価格を1万ドル(約115万円)から1万2000ドル(約138万円)に引き上げると発表した。以前にも指摘したように、FSDは真のレベル4の自動運転ではなく、単にレベル2の高度運転支援を提供するものであるため「Full Self-Driving」という名称は(Autopilotと同様に)誤解を招く恐れがある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Tesla

原文へ

(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

パナソニック、テスラ・ギガファクトリーのバッテリーセル生産にRedwoodの再生材を使用へ

Tesla(テスラ)と共同で運営するギガファクトリーで製造されるパナソニックのバッテリーセルは、スタートアップRedwood Materialsとの提携拡大により、2022年末までにリサイクル素材をより多く使用することになる。

米国時間1月4日、パナソニックはCES 2022の会場でRedwood Materialsは、バッテリーセルのアノード側の重要な部材であるリサイクル素材から作った銅箔の供給を開始すると語った。Redwoodは銅箔の生産を2022年の前半に開始し、パナソニックはそれを2022年の終わりごろセルの製造に使用する。

この発表は、より多くのリサイクル素材を使っていくという、パナソニックの方針表明であり、採掘された銅鉱から作る新たな原料への依存を減少させ、さらにRedwoodの事業成長にも寄与する。

現在、市販されている電気自動車には、リチウムイオンバッテリーが搭載されている。バッテリーには2つの電極があり、一方はアノードと呼ばれる負極(マイナス)と、カソードと呼ばれる正極(プラス)だ。両極の間には電解液があり、充放電の際に電極間でイオンを移動させる運び屋として働いている。負極は通常、グラファイトでコーティングされた銅箔でできている。

自動車メーカーが電気自動車の生産を増やし、究極的には内燃機関のクルマやトラックを置き換えていくにともない、バッテリーとその素材に対する需要は急上昇していく。全車種のEV化に本気で取り組んでいる大手自動車メーカーのほとんどすべてが、そのサプライチェーンを確保するために、バッテリーセルメーカーやその他のサプライヤーとのパートナーシップに依存している。

Redwood Materialsは、2017年に当時TeslaのCTOだったJ.B.Straubel(J.B.ストラウベル)氏が創業し、循環型サプライチェーンの構築を目指している。同社は、携帯電話のバッテリーやノートパソコン、電動工具、パワーバンク、スクーター、電動自転車などの家電製品だけでなく、バッテリーセル製造時のスクラップも再利用している。そして、これらの廃棄物を加工して、通常は採掘されるコバルトやニッケル、リチウムなどの材料を抽出し、それらを再びパナソニックなどの顧客に供給する(アマゾンやテネシー州のAESC Envisionとの連携も公表している)。

最終的にはバッテリーのコスト削減と採掘の必要性を相殺するクローズドループシステムを構築することが目的だ。

Redwoodが2022年初めに発表したギガファクトリーの近くに100エーカーの土地を購入したことは、このパナソニックとの提携拡大を示唆するものだった。

Panasonic Energy of North Americaの社長であるAllan Swan氏は「バッテリーの国内循環型サプライチェーンの確立に向けた我々の取り組みは、EVがより持続可能な世界を形成するための機会を最大限に実現するための重要なステップです」と発表している。

Redwoodは2021年9月に、重要なバッテリー材料を米国内で生産する計画を発表している。同社は20億ドル(約2320億円)の工場を建設し、2025年までに年間100ギガワット時(電気自動車100万台分)の正極材と負極材を生産する予定だ。

画像クレジット:Redwood Materials

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラが走行中は車載ゲーム機能を無効化へ、米当局の調査受けアップデート配信開始

Tesla(テスラ)は、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)による走行中のインダッシュゲーム機能に関する調査にすばやく対応している。The Guardianによると、Teslaは走行中の「Passenger Play」機能を無効化するアップデートを配信するとのこと。NHTSAの広報担当者によると、Teslaは当局関係者とこの問題について話し合った後、この変更を約束したという。アップデートがいつ提供されるかは言及されていないが、今後ゲームをプレイしたければ駐車しなければならないと考えて間違いないだろう。

この担当者は、アップデートがあっても調査は継続すると強調した。NHTSAは、自動車安全法が、運転の集中を妨げるような重大な安全上のリスクをもたらす自動車の販売を禁止していることを改めて強調した。今回の調査は、2017~2022年モデルのTeslaのEV約58万台が対象となる。

テスラは広報部門を廃止しており、コメントを得ることはできなかった。今回の機能変更は驚くべきことではない。NHTSAがテスラに過失があったと認定した場合、不作為は結果を悪化させる可能性がある。また、競合他社からの圧力という問題もある。メルセデス・ベンツは最近、走行中に動画再生ができてしまう問題を修正したが、Teslaが同様にすばやく対応できないとなると、NHTSAに対して良い印象を与えないだろう。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Jon Fingas(ジョン・フィンガス)氏は、Engadgetのウィークエンドエディター。

更新:TeslaのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、アップデートとなるソフトウェアバージョン10.8を米国時間12月23日から配信するとし「良い感じだ」と述べている。@Teslascopeによると、FSD 10.8ベータ版は23日夜から配信され始めたという。

画像クレジット:Screenshot/Tesla

原文へ

(文:Jon Fingas、翻訳:Aya Nakazato)

さらに6人の女性がテスラを職場のセクハラで訴える

2021年11月のJessica Barraza(ジェシカ・バラザ)氏の訴訟に続き、さらに6人の現在および過去の女性従業員が立ち上がり、カリフォルニアのフリーモント工場での放恣なセクシャルハラスメントの文化を助長しているとしてTesla(テスラ)を非難した。米国時間12月14日にアラメダ郡の高等裁判所に個別に提出された訴状で女性たちは、仕事中に絶えず、冷やかしの口笛や迷惑なナンパ行為、体への接触そして差別があったと述べている。

Teslaを訴えた女性の1人であるJessica Brooks(ジェシカ・ブルックス)氏は、同社でのオリエンテーション初日にセクハラされたと申し立てている。彼女の主張によると、上司は彼の男の部下に「あの新しい女の子に気をつけろ」といったという。ブルックス氏によると、そのハラスメントはとても頻繁で最後に彼女は自分のワークステーションの周りに箱を積み上げて、同僚たちが彼女に口笛を鳴らさないようにした。ブルックス氏はまた、Tesla人事部に状況を訴えた、と述べている。会社側の申し立てによると、同社は状況に直接対応せず、ブルックス氏を別に移動させることで応じた。

Bブルックス氏は、ワシントン・ポストに対して次のように述べている。「私への望まない関心や私を見つめる男性たちにうんざりして、自分の周りにバリヤーを作り始めました。自分の仕事をするためにはそれが必要だと感じました」。

ジェシカ・ブルックス氏が11月にTeslaを訴えた際、彼女は同社のフリーモント工場で「悪夢」のような労働条件に置かれたと述べた。バラザ氏の訴えは「粗野で古臭い建築現場か男子寮」のような工場の床と述べ、米国の最も高度なEVメーカーの生産拠点とはとても思えないという。Teslaを訴えた7人の女性の多くは、彼女たちが経験した虐待を、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏に結びつけている。原告の1人は「彼は性交の体位やマリファナをジョークのネタにしたため、技術者たちはさらにひどくなった」という。

訴状が提出されたその同じ日に、Space Xの元社員たちがマスク氏の他企業を、セクハラを止めさせるために何もしなかったとして告発した。TechCrunchはTeslaに、コメントを求めている。この自動車メーカーにはPR部門がない。同じくフリーモント工場で、人種差別に遭ったとする黒人労働者に、1億3700万ドル(約155億8000万円)の支払いが連邦裁判所より命じられたとき同社は「従業員の懸念に対する対応は、今後も継続的に充実させ改善していく。私たちはときどき間違えることもあるが、それが起きたときには説明責任を果たさなければならない」と述べている。

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:Bloomberg/Contributor/Getty Images

原文へ

(文:Igor Bonifacic、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】私たちが自律型ロボットを設計できなくても、ロボットが自らを設計できるかもしれない

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が先に発表した、人間型で「人間レベルの手」と特徴的に楽観的な納期を備えたTesla Bot(テスラ・ボット)は、当然のことながらそれなりの批判を集めている。

関連記事:テスラはロボット「Tesla Bot」を開発中、2022年完成予定

このロボットは最終的に、単独で食料品店に行くなどの用事をこなすことができるようになるとマスク氏は述べている。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は、これまでで最も高度なヒューマノイドロボットを開発中だが、Atlas(アトラス)プラットフォームへの取り組みに10年以上を費やしてきた。Atlasは、何千万人ものYouTube視聴者の前で走ったり、ジャンプしたり、踊ったりするなど、目覚ましい進歩を遂げているものの、同社はこのロボットが複雑なタスクを自律的に実行するにはまだ長い道のりがあることを即座に認めている。

ロボットの進化のポテンシャル、そして果されていない約束に関する最も良い例の1つが、2010年にPLOS Biology(プロス・バイオロジー)誌に発表された研究である。この研究の執筆者たちは、モーターとセンサーを搭載した物理的なロボットを使って(単なるシミュレーションではなく)、衝突のないナビゲーション、ホーミング、捕食者と被食者間の共進化など、いくつかの進化モデルとフィットネス目標を実行した。

彼らは結論の中で「これらのロボットによる実験的進化の例は突然変異、組み換え、自然選択による進化の力を証明している。すべての場合において、ロボットはそのゲノムにランダムな値があるために、最初は完全に非協調的な行動を示した」と記している。

要約すると、この研究は「広範囲の環境条件下で効率的な行動の進化を促進するには、数百世代にわたるランダムな突然変異と選択的複製が必要にして十分である」と結論づけている。

この非常に多くの世代にわたる進化の必要性は、Alphabet(アルファベット)が最近リリースした、Google(グーグル)のオフィスの清掃作業を行う100台を超えるEveryday Robot(エブリデイ・ロボット)のプロトタイプに示されている。そのぎこちなく、たどたどしい動きは、依然として進歩途上の域を出ない

「進歩」対「完全」

マスク氏がロボティクスのフィールドで競争に勝つことは実際にあり得るかもしれないが、ロボット自身の助けが必要になるだろう。進化的コンピューター分野の多くの専門家によれば、一定のフィードバックや学習ループを必要とする複雑なタスクを実行できるロボットは、人間が自ら直接設計するには複雑すぎるという。それよりむしろ、ロボットによる開発と設計の未来は、特定の結果に最も役立つ機能をロボットが選定する「進化」の産物になる可能性を秘めている。

進化的ロボティクスはSFのように聞こえるが、新しいコンセプトではない。1950年代初頭でさえ、Alan Turing(アラン・チューリング)氏が、インテリジェントな機械の創造は人間の設計者には複雑すぎるだろうと考え、より良い方法はそのプロセスに「突然変異」と選択的複製を導入することかもしれないと仮定していた。もちろん、進化的ロボティクスの背景にあるアイデアはかなり前から形になっていたが、そのコンセプトを実行に移すために必要なツールが利用できるようになったのは最近のことにすぎない。

現代史上初めて、私たちは進化的ロボティクスを促進する上で必要なあらゆるビルディングブロックを手にしている。3Dプリンティングを使った迅速なプロトタイピングと物理的な複製、学習と訓練のためのニューラルネットワーク、改善されたバッテリー寿命と安価な材料などだ。

例えば、NASAはすでに人工進化技術を使って衛星用アンテナを開発している。それ以上にエキサイティングなのは、バーモント大学とタフツ大学のクリエイターが2020年に「xenobot(ゼノボット)」を発表したことだ。これは「進化的ロボティクスの技術を使ったコンピューターシミュレーションで初めて設計された小さな生物機械」である。

この自己修復型の生物機械はカエルの幹細胞を使って作られたもので、ペイロードを動かしたり押したりする能力を示している。この「ナノロボット」は、いつの日か血流に注入されて薬を運ぶことに使えるようになると考えられている。

しかし、これらすべてのブレークスルーが存在するとしても、物理的ロボットの進化的反復は依然として時間を要するものであり、その理由の一部は、それにともなうリスクに起因している。食料品を買いに行くような作業でさえ、信じられないほど複雑で、クルマが往来する道路を横断してしまうようなロボットのさまざまなミスが人間を危険にさらしかねない。

多くの可能性

マスク氏が既存のTesla(テスラ)車を単なる車輪付きロボットだとするのは間違ってはいないが、あまりにも単純化しすぎている。Teslaは1つのタスクに特化しており、直接的な監督なしでは複雑な世界をナビゲートする自己学習はできない。同氏はスーパーコンピューターを自由に使えるようにし、すでに高度なロボットと驚異的なAI専門家チームを手に入れているかもしれないが、独立して人前に出ることのできるヒューマノイドロボットの実現はまだ遠い先のことだろう。

自力で動けるロボットを作るためには、ロボットが突然変異を起こし、2つの異なる親の最も望ましい特性を組み合わせていく、数百「世代」の進化が必要となるであろう。

有用な現実世界のアプリケーションを空想するなら、セキュリティと偵察のラインに沿って想定してみよう。安全検査やコードコンプライアンスの構築、消防支援、さらには捜索救助支援なども考えらえる。

2021年6月、フロリダ州サーフサイドのビーチフロントにあるコンドミニアムの塔が崩壊し、100人近い命が奪われた。ドローンの大群が有用であることを示す好例は、建物の建築とコード検査かもしれない。老朽化したマンションの最上階から最下部、内部、外部まで、センサーやカメラを使って防水性の問題、コンクリートのはく離やひび割れ、沈下などの問題をチェックする、より定期的で頻度の高い検査を行うことができる。これは、人間のエンジニアチームの何分の1かのコストで実現可能である。

他にも、警備や医療支援など、イベントに役立つアプリケーションがある。ヒューストンのアストロワールドの悲劇を思い出して欲しい。10万人規模のイベントでは、人間の警備員が広大で混雑した地帯をカバーするのは難しいことが多い。ドローンやロボットの群れは、セキュリティ上の問題や闘争、発作を起こしている人あるいはその他の医療上の緊急事態を監視したり、自動体外式除細動器のような医療機器を人間のスタッフよりもはるかに迅速に運んだりするといった点で、極めて有用である。

なぜドローンは群れを成し、1機ではないのか。多くの理由があるが、主としてレジリエンスと冗長性が挙げられる。1機のドローンが故障しても、オペレーションは途切れることなく継続する。これは「ミッション」を中断できない高リスクの状況で特に有用である。

より良いロボットの創造

「進化的ロボティクス」という用語は、有機的な進化から学んだプロセスを非有機的なデバイスに複製することを意味しているため、少し誤解を招きやすい。より良い記述子は「人為的進化」あるいは「具現化進化」かもしれない。ロボットが進化しているというよりも、プロセスそのものが進化を生み出しているのである。

同じアプローチは、2つ以上の親由来の突然変異とそれに続く組み換えの両方を介して「子孫」を生成するニューラルネットワークと進化アルゴリズムを装備可能な、任意のエンティティに適用することができる。実際、進化には物理的な形さえ必要ない。これらと同様のプロセスをスーパーコンピューターの内部に配置して、大規模な問題を解決することもできる。進化のより良い理解は、私たちが何を成し遂げるのに役立つだろうか?

1つは、自律的な現実世界のインタラクションである。進化的ロボティクスは、複雑かつ自律的な現実世界でのインタラクションを可能にする唯一の方法だ。そのようなロボットの利点は列挙するには長すぎるが、ユースケースは、ロボット消防士、捜索救助ロボットから、核廃棄物浄化ロボットや在宅介護ロボットなどにまで及ぶ可能性がある。

私たちはまた、有機的進化についてもさらに理解を深めることができる。進化についてのより微細な知識は、推し量るのが難しいほど幅広いアプリケーションを生み出す可能性がある。病気の治療や免疫の確立、寿命の延長、生態系へのインパクトの軽減など、地球上の未来をより正確に把握するための最善の方法について、信じられないほどの洞察を得られるかもしれない。

生命の起源を知る手がかりを得る可能性も秘めている。人工的な進化を研究し、習得することにより、他の惑星で生命が形成され進化し得るあらゆる方法について理解を深めることができるだろう。科学の専門家の多くは、宇宙の他の場所に生命が存在する可能性は低いとしているが、進化に関するより深い理解と、ミクロスケールで大進化を再現する能力は、地球外生命の探索の指針となることは間違いない。

もろ刃の剣

最後に太陽系の探査について考えてみよう。完全に自動化され、自己複製し、進化するロボットがあれば、これまでの想定をはるかに超える距離で、宇宙の奥深くまで無人ミッションを送ることが可能になる。これらのロボットは、着地した惑星に適応し、コンポーネントを再利用し、環境に応じて進化し、最終的にはデータや子孫を地球に送り返すことができるかもしれない。

ロボットが街を歩き回るというアイデアが「ターミネーター」のようなロボットの蜂起のイメージを想起させるのであれば学習、再生、環境観察、進化が可能なロボットが現実からまだ遠いという事実に慰めを得ることができる。

むしろ、複雑な現実世界のインタラクションが可能で真に自律的なロボットを習得する上での最大の難点は、人間のワークフォースが必然的に移動することだ。マスク氏は、この問題の解決策はベーシックインカムの普及であり、将来の仕事は完全に任意だと考えている。

同意できそうにない。人間は仕事と創造から自尊心と価値を得ており、それを取り除くことは、潜在的な経済的影響に加えて、広範囲にわたる心理的インパクトが生じる可能性がある。これは複雑な問題だが、進化的ロボティクスは、最大の成果の1つとなり得るとともに、人類が直面しなければならない最大の課題にもなり得るだろう。

編集部注:本稿の執筆者Gideon Kimbrell(ギデオン・キンブレル)氏は、InListの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:NanoStockk / Getty Images

原文へ

(文:Gideon Kimbrell、翻訳:Dragonfly)

テスラ、一部の故障したオートパイロットカメラを無償で交換との報道

CNBCによると、Tesla(テスラ)は一部の電気自動車のフロントフェンダーに搭載されているオートパイロットのカメラを無償で交換する。Teslaはまだリコールを発表していないが、CNBCは11月下旬に認定サービスプロバイダーに配布された内部文書を確認し、その中でTeslaは欠陥のある中継カメラを無償で交換するよう求めている。同社がカリフォルニア州フレモント工場で製造しているModel S、X、3の一部の車両に搭載されているカメラの回路基板に不具合があるようだ。

このカメラはクルマの死角を撮影するもので、これがないとオートパイロットは機能しない。カメラが意図したとおりに作動しなければ、ドライバーには、メインディスプレイのブロックボックスが見えるだけで、オートパイロットの機能に制限あることが警告される。CNBCによると、Teslaは使用したPCBの欠陥により、少なくとも数百台分のカメラを交換しなければならない可能性があるという。

TeslaのセールスマネージャーはCNBCに対し、内部サービス通知後に自主的なリコールが行われることもあるが、Teslaはまだ声明を出していないと述べている。Teslaは、過去にもさまざまな問題で何度かリコールを行った。10月には、フロントサスペンションのラテラルリンクのファスナーがゆるむ可能性があるとして、約3000台のModel 3とYをリコールした。また、2017年以降、そして11月にバグのあるフルセルフ ドライビングベータ版のアップデート後に誤作動でブレーキがかかりやすくなったため、同社は1万1704台をリコールした。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

数分の1のコストで何日分も電気を蓄えられるというForm Energyのバッテリー、秘密主義な同社CEOがその理由と歩みを語る

現在の数分の1のコストで何日分も電気を蓄えることができる充電池を開発していると語るForm Energy(フォーム・エナジー)は、2017年にひと握りの創業者によって設立されて以来、優良な支援者から3億6000万ドル(約410億9600億円)以上の資金を得ているにもかかわらず、秘密主義に走りすぎていると非難されてきた。

その創業者の1人であるForm EnergyのCEOであるMateo Jaramillo(マテオ・ジャラミロ)氏は、テスラのエネルギー貯蔵グループの創設を主導した人物だ。先に開催されたイベントでジャラミロ氏は、元TechCrunchの記者で現在はCNBCの特派員であるLora Kolodny(ローラ・コロドニー)に、同社が一種の社外秘を貫いてきた理由について話した。ジャラミロ氏はフォーム・エナジーの運営方法について説明した他、テスラでElon Musk(イーロン・マスク)の下で働いた7年以上の期間を振り返り、なかなか厳しい時間であったことを語った。

インタビューの全編は以下から視聴できる。以下は、そのインタビューからの抜粋となる。

なぜ今、再生可能エネルギーの波が押し寄せ、フォーム・エナジーは別としても多くの企業が注目され、投資資金を集めているのか。

現在、世界で最も安価に入手できる電力源は再生可能資源であり、つまり地域にもよりますが、太陽光や風力です。しかし最も安い電気料金を探しているのであれば、現在では再生可能エネルギーになるでしょう。もちろん、再生可能エネルギーは天候によって左右され、天候はある程度しか予測できず、しかも断続的に変化します。つまり完全に再生可能な脱炭素の送電網を実現するためには、関連するすべてのタイムスケールにおいて断続的なエネルギー源を蓄えることができなければならないのです。

そう、太陽は毎晩沈み、毎朝戻ってくるため、その間を繋がなくてはなりません。また、季節や長い期間の気象パターンに関連したギャップについても考える必要があります。再生可能エネルギーは過去15年から20年の間に非常に大きな進歩を遂げたため、現在の普及レベルでは、電力系統の最後の30%から40%について、再生可能エネルギーや発電機を使ってどのように信頼性とコストを提供するかを真剣に考えなければなりません。

画像クレジット:Dani Padgett

ジャラミロ氏は、フォーム・エナジーが採用している鉄空気の技術が、50年近く前に連邦政府機関によって調査されたが(一度も商業化されなかった)、突然エネルギー貯蔵の方法としての意味を持つようになった理由についても言及している。

まず、最も普及している技術は揚水発電です。現在、世界にあるエネルギー貯蔵技術の中では圧倒的に揚水発電が多いのです。ですがその上を行く技術は、もちろんリチウムイオンです。このイベントにいる全員が5つのリチウムイオン電池を持っていると思います。それだけリチウムイオン電池が普及しているということです。

しかし、再生可能エネルギーの普及が進むと、リチウムイオンの能力とは異なるものが必要になってきます。風力、水力、太陽光などの再生可能エネルギーを100%使用するだけでなく、数時間を超える電力供給の中断についても考えなくてはなりません。そのためには、リチウムイオンよりもはるかに安価である必要があります。

(一方)鉄は非常に豊富な金属物質です。地球上で最も多く採掘されている金属です。人間は鉄についてよく知っています。鉄をいじくり回して、鉄にちなんだ名前が付いた時代もありました。そして多くのことがわかりました。そして現在も、もちろん鉄鋼生産の主原料として使用しています。鉄はまた、非常に安価です。どの大陸にも豊富にあり、世界最大級の規模を誇る産業でもあります。そして、これは新しい化学ではないというのはその通りです。フォーム・エナジーは鉄空気を化学的に発明したわけではありません。私たちがやったことは、2つの国立研究所が最初に研究したともいえる化学物質を、50年先の未来に引っ張り出し、現代の技術と方法論、電気化学、腐食、金属工学に関する現代の知識を適用して、40~50年前に存在していた性能を今日において可能なところまで引き上げたのです。つまり、将来のリチウムイオンの10分の1のコストのデバイスに取り組んでいるのです。(つまり)深い脱炭素化、高度な再生可能性、安価で信頼性の高い電力網を実現することができるということです。

「鉄空気電池」とはどういう意味でしょうか。簡単に言えば、電気化学的に鉄を錆びさせ、錆びていない状態に戻すということです。それが私たちのやっていることです。非常に可逆的なプロセスですが、非常に優れたやり方で行わなくてはなりません。

さらにジャラミロ氏は、同社がシステムの効率性について秘密にしてきた理由についても言及した(「秘密にしてきたのだとしたら、それは私たちのやっていることが不必要に誇張されるのを避けようとしてきたからです」)。

彼は、技術がどのように機能するかについてより正確に話してくれた。現在、鉄鋼業界で年間1億トンもの大量生産が行われているブルーベリーサイズの「高純度の」鉄ペレットをフォーム・エナジーがどのように活用しているのかが気になる方は、10分前後の部分をご覧いただきたい。

さらにコロドニーは、テスラで学んだことのうち、フォーム・エナジーで再現しようとしていること、そして自動車メーカーでのキャリアから学んだことのうち、再現したくないことを尋ねた。

私はテスラに約7年半いました。2009年に入社して、2016年末に退社しました。テスラはレッスンの工場です。クルマを作っているともいえますが、実際にやっていることは人々にレッスンを提供することです。その弧の中にいるのはすばらしい場所でした。私が入社したときの社員数は数百人でしたが、私が退社するときには3万人、4万人といった規模になっていました。

私が退職したのは、当時、テスラのエネルギー事業であるPowerwall(パワーウォール)とPowerpack(パワーパック)をすでに立ち上げていたからです。私は結婚しています。妻と私の間には3人の子どもがいます。結婚生活を続けたいですし、子どもたちの人生の一部でありたいと思っています。イーロンと一緒に働いた7年半は、私にとっては十分でした。また、私は意図的にイーロンと良い関係のまま退社したいと思っていましたし、物事は良い方向に向かっていましたので、私にとってはそれで良かったのです。

画像クレジット:Dani Padgett

私は後悔なく退社しましたが、多くのことを学びました。それは一緒に仕事をする人たち、そしてその人たちの質ほど重要なものはないということです。彼らは、取り組んでいる仕事のミッションに対して、可能な限り情熱的にコミットしていなくてはなりません。

もう1つの教訓は、時には人をその人自身から守らなければならないということです。それは転倒する可能性があるからです。美徳も行き過ぎれば悪徳になります。だからこそ、会社にコミットし、ミッションに熱心に取り組んでいる人に求めることには限界があり、限界を置くべきということを認識することが大切です。フォーム・エナジーでは、現在約200名の社員が働いていますが、全員が非常に情熱的で、献身的で、使命感を持っているという文化を作り、かつ家庭などを維持できていることを願います。この2つは相反するものではありません。

画像クレジット:Dani Padgett

原文へ

(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

テスラ、太陽電池パネルの欠陥疑惑で米証券取引委員会が調査

米国証券取引委員会(SEC)は、Tesla(テスラ)が太陽電池パネルシステムに火災リスクがあることを株主に開示していなかったという内部告発者の疑惑を受け、同社に対する調査を開始した。

Reuters(ロイター)の報道によると、この告発はテスラの元従業員であるSteven Henkes(スティーブン・ヘンクス)氏によるもので、同氏は2019年に米国証券取引委員会に告発状を提出している。この調査が明らかになったのは、ヘンクス氏が当初の内部告発を申し立てた結果について、情報公開法に基づく要求を委員会に提出したためだ。

SECはヘンクス氏に何の記録も提供していないものの、9月24日付けの書簡で「あなたが記録を求めている調査はまだ有効であり、進行中である」ことを認めた。SECはTechCrunchの問い合わせに対し「調査の可能性の有無についてはコメントしない」と述べている。

ヘンクス氏は告発状の中で、テスラと同社が2016年に買収した子会社のSolarCity(ソーラーシティ)が、火災の原因となり得る欠陥が見つかった電気コネクタのことについて、顧客に知らせていなかったと主張している。

LinkedInのプロフィールによると、ヘンクス氏は約4年半にわたってテスラに勤務した後、2020年8月にテスラを解雇されている。解雇される前、同氏は現場の品質管理者だった。また、ヘンクス氏は以前、Toyota North America(北米トヨタ)で品質開発および計画を担当するマネージャーとして働いていたことがある。

ヘンクス氏はその後、テスラを不当解雇で訴え、解雇は安全上の懸念を提起したことへの報復だと主張した。訴状によると、ヘンクス氏はSECに懸念を告発する前に、テスラに火災の危険性を通知していたという。

テスラのソーラーパネルで安全性に関する問題が明るみに出たのは、今回が初めてではない。2019年には、Walmart(ウォルマート)の7つの店舗に設置された屋上のソーラーパネルシステムから火災が発生したとして、契約違反と重過失の疑いでテスラはウォルマートから訴えられた。それから3カ月後に両社は和解に達し、ウォルマートは訴訟を取り下げた。

関連記事:ウォルマートがソーラーパネル火災でテスラと和解

また、Business Insider(ビジネス・インサイダー)は、テスラがコードネーム「Project Titan(プロジェクト・タイタン)」と呼ばれる大規模なプロジェクトを実施し、欠陥のあるソーラーパネルのコネクターを交換していたことを暴露した。

テスラはまた、別の連邦規制機関からの安全性に関する調査にも直面している。米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、テスラの先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」が作動していた際に発生した事故について調査を行っているところだ。

画像クレジット:Tesla

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラが約21.5万円の子供向け電動Cyberquad ATV(全地形型四輪バギー)を米国で販売

Tesla(テスラ)はいまだに、ブレードランナー風のピックアップトラックCybertruck(サイバートラック)や、同時に派手派手しく発表されたフルサイズのCyberquad(サイバークワッド、四輪バギー)を出荷していない。だが、今ウェブサイトから注文を行えば、2〜4週間のうちに子ども向けに設計されたミニCyberquadを入手できる。

Teslaのサイト上で「Cyberquad for Kids」(子ども用サイバークワッド)を1900ドル(約21万5000円)で購入できる。これは、平均的な子ども用電動乗り物に比べて高額だが、Teslaの既存のラインナップの中では最も低価格の車両だ。そして、Cyberquadの素材は平均的な電動子ども車よりも高級で「完全スチール製のフレーム」を持ち、クッション性のあるシートと完全な調整が可能なサスペンションを装備している。

だが実際に買うことのできる最も安いTeslaであると同時に、航続距離に関しても最も制限されている車両だ。Teslaによればフル充電で約15マイル(約24.2km)を走るという(フル充電には5時間かかる)。また、最高時速が時速10マイル(時速約16.1km)のスピードメーターを持つこの車両が、陸上でのスピード記録を打ち立てることもない(必要に応じて安全のために最大時速5マイル(時速約8.1km)に制限できる)。それでもまだ、子どもの乗り物のとしては十分に速いが、それはおそらくテスラがこれを少なくとも8歳以上の子どものために設計されたものとし、最大積載重量が150ポンド(約68km)である理由だ。

Cyberquad for Kidsは現在米国でのみ購入可能であり、Teslaはクリスマスに間に合うように配達することは保証していないものの、クリスマスツリーの下で開封したならば随分派手なプレゼントになるだろう(笛よりもずっといい)。

関連記事:内部告発者がらみのジョーク、または脅し?イーロン・マスク氏が約5600円の「サイバーホイッスル」を宣伝

さてその一方で、この商品をインスパイアした実際のCybertruckの出荷は2022年末まで遅れているし、イーロン・マスク氏がCybertruckと一緒に出荷すると口にしたフルサイズのCyberquadがそのときに登場するかどうかはまだ不明だ。

画像クレジット:Tesla

原文へ

(文: Darrell Etherington、翻訳:sako)

内部告発者がらみのジョーク、または脅し?イーロン・マスク氏が約5600円の「サイバーホイッスル」を宣伝

Tesla(テスラ)はまだEVピックアップトラックの「Cybertruck(サイバートラック)」を生産していないが、期待されながらも発売が遅れている同モデルに関連した新しいグッズを手にしたいという熱烈なファンは、50ドル(約5600円)で「Cyberwhistle(サイバーホイッスル)」を購入することができる。そう、ホイッスルだ。

TeslaのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは米国時間11月30日、6510万人のフォロワーが閲覧できるようウェブページへのリンクをツイートし「Blow the whistle on Tesla(訳者注:直訳するとテスラに警笛を、慣用句では、テスラについて内部告発してみろ)」というメッセージを添えた。このメッセージは、実際に内部告発を試みた元従業員たちを揶揄しているのか、それとも脅しているのかはわからない。同氏はその後、「あのくだらないApple Cloth(ポリッシングクロス)を買ってお金を無駄にする代わりに、当社のホイッスルを買ってください!」とツイートした。

リンクをクリックすると、このようなメッセージが表示される。

Cybertruckにインスパイアされた限定版Cyberwhistleは、医療グレードのステンレススチールにポリッシュ仕上げを施したプレミアムコレクティブルです。このホイッスルには、一体型アタッチメント機能を搭載し、汎用性を高めています。

注:サイバーホイッスルは返品不可となります。

画像クレジット:Tesla

この「一体型アタッチメント」が何を意味するのかは不明だが、TechCrunchは、ユーザーがこれを首から下げられるようにするためのランヤードホールを指しているのではないかと推測している。

Tesla愛好家なら誰もが期待するように、Cyberwhistleは、マスク氏が2019年11月に明らかにした全電動トラック「Cybertruck」の形をしている。Cybertruckは、2021年後半に生産を開始する予定だった。潜在的な顧客が100ドル(約1万1000円)の返金可能な予約金を払うことができる同社のウェブサイトによれば、同社はその日付を2022年のいつかに延期している。

Cyberwhistleは、150ドルのTeslaデカンタ(約1万7000円)、Teslaのスーパーチャージャーをモデルにした45ドル(約5000円)の「Desktop Supercharger」USBケーブルオーガナイザー、35ドル(約3950円)のS3XYマグカップ、そして2022年に生産開始が延期されたTesla Semi(テスラセミ)を含むいくつかのクルマのダイキャストモデルなどのアイテムを含む、Teslaのライフスタイル製品のカテゴリーに含められている。

画像クレジット:Tesla

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)