RobloxがDiscordと競合するゲーマー向けチャットプラットフォームのGuildedを買収

Roblox(ロブロックス)は、M&Aを利用してそのソーシャル・インフラストラクチャを強化しようとしている。同社は米国時間8月16日朝、対戦型ゲーマー向けチャットプラットフォームを構築しているGuilded(ギルデッド)のチームを買収したことを発表した。

Guildedのサービスは、ゲームチャット大手のDiscord(ディスコード)と競合するものだ。過去に同チームの創設者は、Discordの野望がゲームの世界を超えて成長したため、その中核となる製品は、多くの対戦ゲームのニーズを満たすものではなくなっていると、TechCrunchに語っていた。Discordと同様に、ユーザーはGuildedのプラットフォームで、テキストや音声による会話が可能だが、さらにGuildedでは、イベントやカレンダーを軸にしたコミュニティを組織することができ、トーナメントをシームレスに開催するための機能が豊富に用意されている。

同社の製品は数百ものゲームに対応しており「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」「Fortnite(フォートナイト)」「CS:GO(カウンターストライク:グローバルオフェンシブ)」、そして「Roblox」など、いくつかのタイトルに特化した機能も備えている。2021年初めには、技術者ではないユーザーがゲームコミュニティを盛り上げるためのボットを構築できるように、ボットAPIの提供も開始された。

Guildedは2017年半ばにY Combinator(Yコンビネータ)から起業したスタートアップで、これまでにベンチャーキャピタルから1020万ドル(約11億1500万円)の資金を調達している。その中には2020年初めにMatrix Partners(マトリクス・パートナーズ)が主導した700万ドル(約7億6500万円)のシリーズAも含まれる。

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今回の買収条件については公表されていない。Robloxはこの発表を伝える記事の中で、Guildedチームが今後も独立した製品グループとして運営を続けていくことを明らかにしている。GuildedのEli Brown(エリ・ブラウン)CEOは別のブログ記事で、既存のユーザーはこれまで通り、Guildedを利用できると書いている。

「コミュニティ、パートナー、ボット開発者を含むすべての人が、これまでと同じようにGuildedを使い続けることができます」と、ブラウン氏は書いている。「Robloxは我々のチームとミッションを信用しており、私たちはそのミッションを成し遂げるために独立した製品として運営を続けていきます」。

近年、大きな成功を収めたRobloxは、投資家の注目を集めている。新型コロナウイルスの影響で、以前より多くのゲーマーがオンラインに接続し、より多くのユーザーを獲得しているが、同社の成功は競合他社の注目も集めている。2021年6月には、Facebook(フェイスブック)がCrayta(クレイタ)という小さなRobloxの競合企業を買収した。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、つい数週間前に、Facebookを「メタバース」企業に変える計画を発表したが、この言葉は多くの人が、Robloxが構築してきたものと結びつけて連想するものだ。Guildedの買収はRobloxにとって、自社の製品群の中でユーザーベースをさらに深め、ユーザーを惹きつけるためのソーシャル・インフラストラクチャを作り上げる好機をもたらすことになるはずだ。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:RobloxGuilded買収チャットツール

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】次世代グローバル決済を生み出すAfterpayとSquareの融合

編集部注:本稿の著者Dana Stalder(ダナ・スタルダー)氏は、Matrix Partnersのパートナー。PayPalの元コマーシャルチーフ(製品、販売、マーケティング)で、現在Matrix Partnersでフィンテック投資をリードし、消費者市場やエンタープライズソフトウェアにも投資している。

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フィンテックにとって米国時間8月1日は重要な日となった。AfterPayがSquareと合併することに合意した。この合意により、近年最も高い評価を受けている2つの金融テクノロジー企業が1つの企業になる道を歩み始める。

AfterpayとSquareは、世界で最も重要な支払いネットワークの1つを構築するポテンシャルを有している。Squareは大規模なマーチャント決済ネットワークを確立しており、またCash Appを介して、成長著しい消費者向け決済サービスを提供している。しかし、歴史的にみてこの2つの事業は統合されていない。SquareとAfterpayは、これらすべてのサービスを1つの統合されたエクスペリエンスにまとめることができる。

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AfterpayとCash Appはそれぞれ数千万人の消費者を抱えており、SquareのセラーエコシステムとAfterpayのマーチャントネットワークは、いずれも年間数百億の決済ボリュームを記録している。オフラインレジとオンライン決済フローから、数タップで送金まで、SquareとAfterpayは次世代の経済的エンパワーメントの全容を物語ることになるだろう。

Afterpayの唯一の機関投資家として、私たちがどのようにしてここに至ったのか、そしてこの合併が消費者金融と決済業界の将来にとって何を意味するのかについて、いくつかの視点を共有したいと思う。

フィンテックにおける重大なイノベーション

世界の決済業界は、今後数十年間の勝者と敗者を決定する重大なイノベーションのサイクルを、5年から10年ごとに経験している。最近の大きな変化はNFCベースのモバイル決済へのシフトで、これについては2015年に寄稿しているが、主要なモバイルOSベンダー(VISA、マスターカードなど)はネットワークと消費者のニーズを巧みに橋渡しして、グローバルな決済スタックにおける地位を確固たるものにした。

AfterPayは、最新の決定的なイノベーションサイクルを引き起こした。シドニーのリビングルームでミレニアル世代のNick Molnar(ニック・モルナー)氏が構想したAfterpayには、ミレニアル世代はクレジットが好きではない、という重要な洞察がある。

ミレニアル世代は、2008年の世界的な住宅ローン危機の中で成人となった。彼らは若い頃、友人や家族が住宅ローンを積みすぎて家を失うのを目の当たりにしており、銀行に対する信頼はすでに薄れていた。また学生ローンもかつてない水準に達した。それゆえ、ミレニアル世代(そしてそのすぐ後に続くZ世代)がクレジットカードよりもデビットカードを強く好むのも不思議ではない。

しかし、パラダイムシフトを認識することと、それに対して何かを行うことは別物だ。ニック・モルナー氏とAnthony Eisen(アンソニー・アイゼン)氏は行動を起こし、最終的にそのコアプロダクトで歴史上最も急成長した決済スタートアップの1つを構築した。「Buy Now, Pay Later(BNPL、今買って後で支払う)」そして無利息のサービスだ。

Afterpayのプロダクトはシンプルだ。カートに100ドル(約1万1000円)分が入っていて、Afterpayでの支払いを選択した場合、銀行カード(通常はデビットカード)に対して2週間ごとに4回に分けて25ドル(約2730円)が請求される。無利息で、リボルビング債務もなく、適時支払いにかかる手数料もない。ミレニアル世代の消費者にとっては、高い金利やリボルビング債務といったクレジットカードの欠点を気にすることなく、デビットカードを使ってクレジットカードの第1のメリット(後で支払いができること)を享受できることを意味するものとなった。

良い面ばかりで、悪い面はない。誰が抗えるだろうか?ミレニアル世代を主な成長セグメントとしていた初期のマーチャントは、公正な取引を獲得した。Afterpayへの支払い処理にわずかな手数料を支払うだけで、かなり高い平均注文価値(AOV)と購入へのコンバージョンが得られる。これはwin-winの提案であり、多くの実績を得て、新しい決済ネットワークが生まれた。

画像クレジット:Matrix Partners

真似することが最もすばらしいお世辞となる

Afterpayは2016年から2017年にかけてはオーストラリア以外ではあまり知られていなかったが、2018年に米国に進出してビジネスを立ち上げ、2年目にして1億ドル(約110億円)の純収益を上げたことで注目を集めた。

Klarnaは米国でのプロダクト市場の適合性に苦慮していたが、Afterpayを模倣すべく事業を転換した。またAffirmは、従来からのクレジット事業を主な事業としており、売上の大部分を消費者利益から得ていたが、独自のBNPLオファリングに着目して導入した。その後PayPalが「Pay in 4」の提供を開始し、つい数週間前にはAppleがこの分野に参入するというニュースが報じられた。

Afterpayは世界的な現象を生み出し、今では業界のメインストリームプレイヤーに支持されるカテゴリーとなっている。このカテゴリーは今後10年間で世界の小売決済のかなりのシェアを獲得する軌道に乗っている。

Afterpayは、他とは一線を画している。同社は事実上あらゆる指標において常にBNPLのリーダーであるとともに、顧客のニーズに忠実であり続けることで、その地位を確立してきた。同社はミレニアル世代やZ世代の消費者をよく理解している。それはAfterpayユーザーとして人々が体験する、同社の声、トーン、ライフスタイルブランドに顕著に表れており、マーチャントネットワークにおいて戦略的に構築され続けている。それはまた、負債商品を旋回するユーザーに対して、Afterpayはクロスセルを意図していないという単純な事実からも明らかだ。

最も重要な点は、こうした消費者に対する理解の姿勢が、競合他社と比較した使用状況の測定基準に反映されていることにある。これは人々が愛着を持ち、利用し、信頼を寄せるようになったプロダクトであり、かつては得られなかった、伝統的な消費者信用を上回る良質で公正な条件を備えている。

Afterpay2021年度上半期業績発表

SquareとAfterpayの融合は完璧な調和

筆者はこれまで15年以上にわたって決済会社を手がけてきた。初期にはPayPalの黎明期を経験し、より直近ではMatrix Partnersのベンチャー投資家として活動している。しかしこれほどまでに、消費者やマーチャントに並外れた価値をもたらすポテンシャルを秘めた組み合わせは見たことがない。eBayとPayPalよりもはるかに優れている。

明確なプロダクトとネットワークの補完性を超えて、筆者とパートナーにとって最もエキサイティングな点は、価値と文化の整合にある。すべての人に向けられたより多くの機会があり、経済的なハードルが少ない未来のビジョンを、SquareとAfterpayは共有している。彼らがともにその未来に向かって前進する中で、筆者はこの組み合わせが勝者となることを確信している。SquareとAfterpayの融合により、世界の次世代決済プロバイダーが誕生するだろう。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:AfterpaySquare合併決済サービスBNPLオーストラリアアメリカミレニアルコラム

画像クレジット:charles taylor / Getty Images

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(文:Dana Stalder、翻訳:Dragonfly)

サイバーセキュリティ大手NortonLifeLockが同業のAvast買収で合意、最大9395億円規模

米国のサイバーセキュリティ企業NortonLifeLock(ノートンライフロック)は、グローバルな消費者向けセキュリティ企業を構築するため、英国のライバル企業であるAvast(アバスト)を買収すると発表した。

この合意は、両社が2つのブランドの統合の可能性について協議を進めていることを確認したわずか数週間後に行われたもので、Avastの株主は現金と株式を受け取ることになり、総額81億~86億ドル(約8849億~9395億円)規模の取引となる。これにより今回の合併は、Thoma BravoによるProofpointの123億ドル(約1兆3437億円)の買収Broadcom(ブロードコム)によるSymantec(シマンテック)のエンタープライズ事業の107億ドル(約1兆1690億円)の買収に続き、サイバーセキュリティ関連の買収としては史上3番目の規模となる。

Symantecからのスピンオフとして2019年に設立されたNortonLifeLockは、今回の買収により、業界をリードする消費者向けサイバーセーフティ事業が誕生し、年間約2億8000万ドル(約305億9000万円)のグロスコストシナジー効果が発揮されるとともに、Avastの抱える4億3500万人の顧客基盤により、ユーザー数が飛躍的に拡大するとしている。

NortonLifeLockのVincent Pilette(ヴィンセント・ピレット)CEOは、声明の中で次のように述べた。「この統合により、当社のサイバーセーフティプラットフォームを強化し、5億人以上のユーザーに提供することができます。この取引は、消費者のサイバーセーフティにとって大きな前進であり、最終的には、人々が安全にデジタルライフを送れるように保護し、力を与えるという当社のビジョンを達成することにつながります」。

1988年に設立されたAvastは消費者や中小企業向けのサイバーセキュリティソフトウェアに注力しており、自らを最大級のセキュリティ企業と称している。しかし、30年余りの歴史の中でスキャンダルがなかったわけではない。同社は2020年、マーケティングテクノロジー子会社であるJumpshotが、個々のユーザーに紐づけることが可能なウェブ閲覧データを販売していたことが発覚し、Jumpshotの閉鎖を余儀なくされた

NortonLifeLockによる同社の買収が完了したあとは、ピレット氏は新事業のCEOに留まり、AvastのCEOであるOndrej Vlcek(オンドレイ・ヴルチェク)氏が社長に就任し、取締役会に参加すると両社は説明している。

ヴルチェク氏は次のように述べた。「我々の有能なチームは、優れたデータインサイトへのアクセスにより能力を向上させ、より優れたソリューションやサービスを革新的に開発する機会を得ることができるでしょう。当社の定評あるブランド、地理的な多様性、より多くのグローバルユーザーへのアクセスを通じ、統合されたビジネスは世界中に存在する大きな成長機会にアクセスする態勢が整います」。

合併会社の最終的な名称はまだ決定していないが、NortonLifeLockは、チェコ共和国と米アリゾナ州テンペに2つの本社を置き、今後2年間で従業員数を5000人から約4000人に削減することを確認している。統合後の会社は、現在のロンドン証券取引所(LSE)ではなく、NASDAQに上場する予定だ。

NortonLifeLockが無料アンチウイルスプロバイダーのAvira(アビラ)を3億6000万ポンド(約544億円)で買収した数週間後に確認されたこの取引は、2022年半ばに完了する予定だ。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:NortonLifeLockAvast買収サイバーセキュリティ

画像クレジット:Norton LifeLock / Wikimedia Commons

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

ゲーマー向け動画クリッピングサービスMedal.tvがRawa.tvを買収、ライブストリーミングに参入

ゲーマー向けに短い動画のクリッピングサービスとソーシャルネットワークを提供しているMedal.tvは、Rawa.tvを買収してライブストリーミング市場に参入しようとしている。ドバイに拠点を置くRawa.tvはTwitch(ツイッチ)の競合として、これまでに約100万ドル(約1億1000万円)の資金を調達していた。7桁の金額(数億円)をすべて現金で支払うという今回の買収により、Rawa.tvの創業者であるRaya Dadah(ラーヤ・ダダ)氏とPhil Jammal(フィル・ジャマル)氏の2人はMedal.tvに加わり、今後は2つのプラットフォームの統合を進めていく。

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Medal.tvのCEOであるPim de Witte(ピム・デ・ウィッテ)氏は、同社がRawa.tvに関心を持った理由について「中東・北アフリカ地域(MENA)は、ゲーム業界で最も急速に成長している市場の1つですが、いまだにほとんど相手にされていません」と説明する。

「この市場をターゲットにしている企業の多くは、微妙な違いをよく理解しておらず、欧米や極東の既存モデルを再現しようとしますが、それでは失敗します」と、デ・ウィッテ氏はいう。「現地のチームを吸収することで、Medalがこの地域で成功する可能性が高まります。全体的に見て、MENAはライブストリーミングの分野で明確なリーダーがおらず、十分なサービスが提供されていない市場だと我々は考えています。Rawaは、この好機を生かすのに必要な現地市場の専門知識をMedalにもたらしてくれます」と、デ・ウィッテ氏は付け加えた。

Medal.tvのコミュニティは、以前からライブストリーミングの機能を求めており、経営陣もそれを認めていたものの、既製のサービスを使ってこの技術を構築するには、同社にとってコストが高額すぎたと、デ・ウィッテ氏は述べている。

「人々はライブやリアルタイムの体験でつながるようになってきていますが、これまでの我々のプラットフォームにはそれが欠けていました」と、同氏は指摘した。

しかしRawaは、アラブのゲームに特化した初のライブストリーミングプラットフォームとして、独自のライブネットワークストリーミング技術を構築し、現在ではすべての製品に採用している。その技術がMedal.tvにも導入されることになる。

画像クレジット:Medal.tvmedal

両社は買収以前にもすでに提携しており、RawaのユーザーがMedal.tvにゲームクリップをアップロードしたり、RawaのパートナーがMedalの熟練プレイヤーのプログラムに参加したりということが行われていた。今後もRawaは独立したプラットフォームとして運営されていく予定だが、Medalとの統合はより強固なものになるとのこと。現在、Rawaのサービスには約10万人のアクティブユーザーがいる。

今回の買収完了後も、Rawaの従業員たちは共同創業者であるジャマル氏のリーダーシップのもと、同社のライブストリーミングプラットフォームの運営を継続し、Rawaの本社も引き続きドバイに置かれる。とはいえ、新型コロナウイルスの流行拡大が始まって以来、Rawaの従業員はリモートで仕事を続けている。ウイルスの拡散が不透明であるため、今後それが変更になるかどうかは、まだわからない。

Medal.tvは、Rawaに関するさらなる計画について、自社サイトで詳しく説明している。同社は、視聴者の大半が無料で利用する「汎用」ライブストリーミングプラットフォームの構築は目指していないと説明しているが、これは明らかにTwitchに向けて呼びかけたものだろう。その代わりに同社では、クリエイターの作品を定額を支払って視聴したいと思う視聴者とコンテンツとのマッチングに注力していくという。このことは、Twitchのような大規模なプラットフォームがこれまで直面してきた問題の1つである、小規模なストリーマーにとって軌道に乗るのが難しいという問題を解決するものだ。

また、他社が行っているようなゲーム以外のコンテンツへの進出ではなく、ゲームコミュニティへの貢献に焦点を絞っていくとしている。この点でも、この数年間でブログや古いテレビ番組のストリーミングにまで進出してきたTwitchとは異なる。また、ゲームが広範なビデオネットワークのサブカテゴリーに過ぎないYouTube(ユーチューブ)やFacebook Watch(フェイスブック・ウォッチ)とも大きく異なる。

今回の買収前、Medal.tvは2019年にHorizons Ventures(ホライズンズ・ベンチャーズ)が主導したシリーズA投資ラウンドで900万ドル(約9億9000万円)を調達しており、当時はすでに500万人の登録ユーザーと「数十万人」のデイリーアクティブユーザーを抱えるまでに成長していた。現在では毎日20万人以上がMedal.tvでコンテンツを作成し、毎月300万人のユーザーがそのコンテンツをアクティブに視聴しているという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Medal.tvRawa.tvライブストリーミング買収中東ゲームゲーム配信ドバイ

画像クレジット:Medal.tv

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

航空宇宙、自動車、医療、防衛向け産業用3Dプリンター企業ExOneをDesktop Metalが約635億円で買収

Desktop Metal(デスクトップ・メタル)は、先に行われた決算説明会の中で、ExOne(エクスワン)の買収計画を発表した。ペンシルバニア州に本社を置くExOneは、航空宇宙、自動車、医療、防衛などの産業向けにさまざまな業務用3Dプリンターを製造している会社だ。TechCrunchの最近の記事では、同社の移動式3Dプリント工場について紹介した。これは要するに、輸送用コンテナの内部に作られた移動可能な積層造形拠点である。

2月の記事で書いたように、ExOneは米国防総省から160万ドル(約1億7700万円)の助成金を受け、このシステムを現場に投入することを目指している。それぞれのユニットの中には、コンピューター制御の3Dスキャニングステーションの他、金属およびセラミック用3Dプリンター、硬化炉、繊維強化プラスチック用3Dプリンター、圧縮成形ステーションといったさまざまな耐久性の高い産業用機械が設置されている。

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「この2年間は、当社の技術を政府系機関の用途に提供することに力を注いできました。国防総省、NASA、環境省などです」と、ExOneのCEOであるJohn Hartner(ジョン・ハートナー)氏は、このニュースが報道された際にTechCrunchに語った。「サプライチェーンの分断や製造業の分散化について論じられることがありますが、我々が手がけているのは、分散して前方展開が可能になるというものです。それが必要とされる状況とは、緊急事態や、人道的な任務、あるいは戦闘の最前線などが考えられます」。

買収額は5億7500万ドル(約635億円)で、Desktop MetalがExOneの全株式を取得する。

「ExOneをDMファミリーに迎え入れ、大量生産向けの最先端の積層造形ポートフォリオを構築できることに、私たちは興奮しています」と、Desktop MetalのCEOであるRic Fulop(リック・フロップ)氏は、リリースで述べている。「今回の買収により、両社の補完的な技術と市場開拓の努力が継続的な成長を可能にし、お客様により多くの選択肢を提供できるようになると確信しています。この交流は、積層造形2.0の導入を加速するという我々のビジョンを実現するための大きな一歩となります」。

Desktop Metalは、2020年8月にSPAC(特別買収目的会社)を介して上場する計画を発表して以来、3Dプリントのポートフォリオを拡大するための買収を積極的に進めてきた。2021年1月にはドイツのEnvisionTEC(エンビジョンテック)を3億ドル(約330億円)で買収している。

ハートナー氏は今回の発表において「大量生産における積層造形という共通のビジョンを通じて、より持続可能な未来を実現するために、Desktop Metalと力を合わせていけることをうれしく思います」と述べている。「両社の補完的なプラットフォームは、顧客へのサービスを向上させ、環境に優しい技術の採用を促進し、株主価値の向上につながると、私たちは確信しています。最も重要なことは、我々の技術が、世界を改善できるほどの意義ある生産規模で、重要な革新の推進に役立つということです」。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Desktop Metal3DプリンターExOne買収

画像クレジット:ExOne

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ゲームエンジンUnityがリモートデスクトップ技術のParsecを同社史上最大約353億円で買収

人気の2D/3Dエンジン「Unity(ユニティ)」を開発しているUnity Technologies(ユニティ・テクノロジーズ)は米国時間8月10日、同社史上最大の買収計画を発表した。開発者やクリエイター向けのリモートデスクトップツールを開発しているParsec(パーセク)を、Unityが現金3億2000万ドル(約353億円)で買収するという。

Parsecは、妥協のないリモートデスクトップアクセスを実現する技術で長年知られてきた会社だ。同社のアプリケーションはクリエイター向けにチューニングされており、高解像度のディスプレイを複数台使用していても問題なく動作する。作業中のアートワークを圧縮することなく共同作業者にストリーミングすることができ、感圧式ドローイングタブレットのような優れた入力デバイスとも互換性が高い。

2016年に誕生したParsecは、当初はゲーマーが強力なPCから、他者の(一般的にはそれほど強力ではない)デバイスにゲームをストリーミングすることに焦点を当てていた。しかしその低遅延、高解像度ディスプレイのサポート、さまざまな入力デバイスとの互換性といった、ゲームプレイヤーにとっての利点は、ゲームメーカーにとっても同じように有用であることが後にわかった。クリエイティブな業界における多くのユーザーが、Parsecを利用してワークステーションに映像を送っていることに気づいた同社は、クリエイティブなチームのためのプランや機能の提供を開始した。新型コロナウイルスの影響により、オフィスを離れて自宅で作業するチームが増えるようになると、Parsecの使用率は一気に高まった

「私たちは、クリエイターがどこでも仕事できることが、ますます必要になると考えています」と、UnityのMarc Whitten(マーク・ウィッテン)上級副社長は、今週初めの電話インタビューで語った。「彼らは、距離的に分散したグループで仕事をしたり、時にはオフィスで、時には自宅で仕事をするような、ハイブリッドな環境に身を置くことになるでしょう」。

「そうすると、クリエイターはどこにいても、自分の持っている画面で必要なパワーにアクセスできることを求めるようになると思うのです」と、ウィッテン氏は続けた。「Parsecは、その分野において大きな革新を成し遂げてきたすばらしい企業の1つです」。

ウィッテン氏は、これがUnityにとって、クラウドにより深く取り組む動きの始まりであることも示唆した。「Parsecは、私たちが会社として持っているクラウドに向けた広範な野心の、すばらしい基礎ブロックとなることがおわかりいただけると思います」と、同氏はいう。「この点に関しては、今後も多くのことを期待していただいて構いません」。

Crunchbaseによると、買収前のParsecの資金総額は3300万ドル(約36億5000万円)。直近の資金調達は、2020年12月にAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が主導した2500万ドル(約27億6000万円)のシリーズBラウンドだった

ウィッテン氏によると、Parsecの既存ユーザーにとっては何も変わらない予定だというが、サブスクリプションや価格が変更になる可能性については、まだコメントできないとのことだった。

なお、Parsecの無料サービスが廃止されることを心配しているユーザーのために、同社は「Parsecの無料アプリについて何かを変更する予定はない」とツイートしている。

ああ、それからもう1つ。私たちはゲームを取り巻くコミュニティを愛しています。Parsecの無料アプリについては、今後も変更の予定はありません。プロフェッショナルなクリエイターのみなさんには、次のすばらしい格闘ゲームを作る喜びを、ゲームをプレイする喜びと同じくらい感じていただきたいと、私たちは願っています。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:UnityParsec買収リモートデスクトップゲームエンジン

画像クレジット:Parsec

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本の技術系人材サービス大手テクノプロがインドの老舗アプリ開発会社Robosoftを約119.4億円で買収

インドに本社を置くデジタルソリューションメーカーのRobosoft Technologies(ロボソフト・テクノロジーズ)はインド時間8月10日、日本のITサービス企業であるTechnoPro(テクノプロ)に1億800万ドル(約119億4000万円)で事業を売却することで最終合意に達したと発表した。

1996年に設立されたRobosoft Technologiesは、Macプラットフォームに特化したソフトウェアサービス会社としてスタートし、その後、アプリ開発サービスを提供していた。

Robosoftは、世界で最も早くApple(アップル)からMac OS開発者として認定された企業の1つであり、それ以来、数十年にわたりiPhoneメーカーから繰り返し認定を受けている。

「iPhoneが発売され、App Storeのエコシステムが構築されたことで、モバイルが大きな意味を持つようになると我々は早くから認識していました。それから世界中のクライアントのためにモバイルアプリを作り始め、迷うことなく進んできました」と同社はウェブサイトで述べている。

Ascent Capital(アセント・キャピタル)やKalaari Capital(カラアリ・キャピタル)が出資しているRobosoftは、ゲーム、ニュース、スポーツ、ユーティリティ、ライフスタイルなどの分野で顧客を持ち、さらにプロダクトアドバイザリー、デザイン、エンジニアリング、アナリティクスのためのツールなど、提供するサービスを拡大してきた。

例えば、インドのニュースネットワークであるニューデリーテレビ会社(NDTV)のオリジナルアプリは、Robosoftが開発したものだ。Robosoftのクライアントには、メディア大手のViacom(バイアコム)インドのマクドナルドなどが含まれる。同社は米国や中東にもクライアントを持っている。

2017年以降、Robosoftは自社を「デジタルソリューション」企業として位置づけようとしている。

Robosoftは8月10日に発表した声明の中で、現在の経営陣が引き続き同社を率いていくと述べた。同社の創業者兼マネージングディレクターであるRohith Bhat(ロヒス・バット)氏は次のように述べている。「Robosoftは過去20年間に驚異的な旅をしてきており、その間に飛躍的な成長を遂げました。Ascent CapitalおよびKalaari Capitalとの提携が当社にとって力強い成長期を切り拓いた後に、テクノプロのようなグローバルプレイヤーに会社の手綱を渡すことができて大変うれしく思っています」。

東京証券取引所に上場しているテクノプロ・ホールディングスの代表取締役社長兼CEOである八木毅之(やぎ・たけし)氏は、「テクノプロとRobosoftの間には非常に大きな相乗効果があると期待しており、Robosoftの次の成長段階において、緊密な協力関係を築くことを楽しみにしています」と述べている。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:テクノプロRobosoft Technologies日本インド買収AppleアプリiOS

画像クレジット:Arijit Sen / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Nianticが3D-LiDARスキャンアプリのScaniverseを買収

Nianticはこの世界の3Dマップを作るクエストを進めている。

米国時間8月10日、同社はオブジェクトと周囲を高解像度3DでスキャンするiPhoneおよびiPad用アプリのScaniverseを買収したと発表した。

Nianticの担当者は筆者に対し、Scaniverseアプリは今後もApp Storeで公開され、スタンドアローンのアプリとして引き続きサポートする予定だと述べた。高解像度の処理やモデルを他の3Dソフトウェアに書き出すなど、これまで年額17ドル(日本では1950円)だった「Pro」のサブスクリプションに限定されていた機能は無料になった。

2019年3月に筆者が初めて記事にしたとおり、Nianticのゴールの1つは詳細で無限に進化する3Dマップを作ることだ。3Dマップは、ARメガネのようなものが受け入れられるとすれば、そのときにリアルでリッチなAR体験を可能にするための基盤となるステップだと同社は考えている。相当大がかりな(そして終わることのない)タスクではあるが、「ポケモンGO」や「ハリー・ポッター:魔法同盟」、「Ingress Prime」といったゲームであちこち歩き回っているプレイヤーたちがいるので少しは実現しやすい。

この買収にともない、ScaniverseのクリエイターであるKeith Ito(キース・イトー)氏がNianticのARチームに加わる。その他の買収の条件は明らかにされていない。Nianticは2020年3月に金額非公開で6D.aiを買収しており、今回は3Dマッピング分野での最新の買収だ。

参考までに、Scaniverseアプリのデモ動画を紹介する。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:NianticポケモンGO買収3D3DスキャンScaniverse拡張現実3D-LiDAR

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Kaori Koyama)

SpaceXが初の買収、衛星ネット接続のSwarm Technologiesを全額出資子会社に

SpaceX(スペースエックス)は衛星接続のスタートアップSwarm Technologies(スワームテクノロジーズ)を買収する。Elon Musk(イーロン・マスク)氏率いる創業19年のSpaceXにとって初の買収となる。

Swarmはサンドイッチサイズの衛星120基から成るコンステレーション​​ならびに地上ステーションネットワークを運用している。買収により、Swarmの保留中のライセンスに加えて地上と宇宙のライセンスの管理はSpaceXに移る。買収が承認されれば、SwarmはSpaceXの「直接の全額出資子会社」となる。

米連邦通信委員会(FCC)への書類提出で明らかになった今回の買収は、SpaceXの確立された社内技術開発戦略からの急な逸脱となる。

買収取引は米国時間7月16日に2社間で合意に達したと報道されている。取り上げられなかったFCCへの提出書類では買収金額や取引条件などの詳細は明らかにされなかった。SpaceX、Swarmどちらにもコメントを求めることはできなかった。

「Swarmのサービスは豊富な資本金と、SpaceXが利用するリソースへのアクセス、そして衛星のデザイン、製造、打ち上げサービスを手がけるSpaceXによる買収に関連する相乗効果の恩恵を受けます」と両社は提出書類の中で述べている。逆にSpaceXは「Swarmのチームによって開発された知的財産と専門性へアクセスでき、またリソース豊富で有能なチームをSpaceXに加えることで同様に恩恵を受ける」ことになる。

SpaceXのオペレーション、特に同社のStarlink衛星ネットワークにとって意味するところは不明瞭だ。というのも、これらの衛星はSwarmの衛星とは異なる周波数帯域で運用されているからだ。短期的には、Swarmは衛星150基のコンステレーションの展開という目標に向けて「まだ歩んでいる」と同社CEO、Sara Spangelo(サラ・スパンゲロ)氏は7月にTechCrunchに語った。

SpaceXと比較すると、Swarmは新しい会社だ。ほぼ3年前になる2018年8月にシリーズAで2500万ドル(約28億円)を調達したが、主要製品で商業展開を開始したのは2021年初めのことだ。Tileというその製品は、ユーザーがIoTデバイスを低コストで動かすことができるよう、さまざままな接続デバイスに埋め込んで衛星ネットワークにつなげられる小型のモデムだ。

SwarmのEvaluationキット(画像クレジット:Swarm)

Swarmはまた、2つめの製品となる499ドル(約5万5000円)のEvaluationキットを7月に立ち上げた。このキットは、Tile、ソーラーパネル、その他いくつかの部品を使って誰でもIoTデバイスを作れるようにするオールインワンのパッケージとなっている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXSwarm Technologies買収衛星コンステレーション人工衛星

画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

農業機械大手ジョンディアが自動運転トラクター開発Bear Flag Roboticsを約276億円で買収、労働力不足解決を目指す

ロボット関連のスタートアップ企業の世界では、買収が良い結果を生むことがしばしばある。ロボットトラクターのスタートアップに関して言えば、John Deere(ジョンディア)に買収されるのも悪くないだろう。この大手農業機械メーカーは米国時間8月5日、Bear Flag Robotics(ベア・フラッグ・ロボティクス)を2億5000万ドル(約276億円)で買収すると発表した。

2017年に設立されたこの企業は、サンフランシスコ・ベイエリアに拠点を置き、自動運転型の農業用重機を専門に開発している。同社が初めて我々の注目を浴びたのは、設立から翌年のYC Winter 2018に参加した時のことだ。

「私たちは果樹園を見学し、労働問題がいかに深刻であるかを知りました」と、共同創業者のAubrey Donnellan(オーブリー・ドネラン)氏は当時、TechCrunchに語っていた。「トラクターの座席を埋めるのに苦労しているのです。私たちは、カリフォルニアの他の生産者にも話を聞きました。すると、何度も同じことを言われました。労働力は最も重要な痛点の1つです。質の高い労働力を確保することはとても難しい。労働者の高齢化が進み、地元を離れて他の産業に移っていく人も多いのです」。

その後、John Deereは独自に起ち上げたStartup Collaboratorプログラムで、Bear Flagと提携する。その一方で、このロボット企業はその技術を米国内の非公開の(彼らの表現によれば「限定的な」)拠点で展開も始めていた。

「今日、農家が直面している最大の課題の1つは、農業の成果に影響を与える時間に制約された作業を行うことができる熟練労働者の確保です。自動運転は、この課題に正面から対処することができる、安全で生産性の高い代替手段を提供するものです」と、共同創業者でCEOを務めるIgino Cafiero(イジーノ・カフィエロ)氏はリリースの中で述べている。「機械の自動化によって、世界の食糧生産量を増やし、食糧生産コストを削減するというBear Flagのミッションは、Deereと一致しています。Deereのチームに参加し、より多くの農場に自動化を導入できるようになることに興奮しています」。

農業分野は、以前から問題となっていた労働力不足が、新型コロナウイルスの世界的な大流行によってさらに悪化していることで、2020年から関心が高まっているロボット分野の1つである。もちろん、そのように関心が高まっているからといって、ロボット工学スタートアップを起ち上げることの難しさは変わらない。

2021年7月、リンゴ収穫ロボットをてがけるAbundant(アバンダント)という企業は「プロトタイプのリンゴ収穫機を使った一連の有望な商業試験の後、開発を継続して量産システムを立ち上げるための十分な資金を調達できなかった」として、事業を終了することを認めた

Bear Flagのような企業にとって、買収は納得の行く結果だろう。このスタートアップ企業は巨大な新オーナーから多くのリソースを得ることができ、その新オーナーはポートフォリオに新しい技術を加えることができる。実際、John Deereはここ数年、ロボットやドローンなどの最先端技術への進出をかなり積極的に検討している。

Bear Flagはこれまで通り、ベイエリアで事業運営を続ける予定だという。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:John DeereBear Flag Robotics農業自動運転買収

画像クレジット:Bear Flag Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

セキュリティテストのCheckmarxがオープンソースサプライチェーンのセキュリティを確保するDusticoを買収

イスラエルのスタティックなアプリケーションセキュリティテスト(application security testing, AST)のプロバイダーであるCheckmarxが、オープンソースのサプライチェーンセキュリティのスタートアップDusticoを、価額非公開で買収した。

2020年に創業されたDusticoは、機械学習を用いた動的なソースコード分析を提供し、ソフトウェアのサプライチェーンの中に悪質な攻撃やバックドアを検出する。

この買収でCheckmarxは、同社の静的なASTにDusticoのビヘイビア分析技術を組み合わせて、顧客にオープンソースパッケージの、リスクと評判の一体化したビューを与える。そしてその結果、ソフトウェアサプライチェーンの攻撃を防ぐためのより総合的なアプローチが得られる。

この買収は、サプライチェーンの攻撃が急増しているさなかに行われ、そこでは攻撃者が悪質なコードを信頼されているソフトウェアやハードウェアに忍び込ませている。昨年12月には、ロシアのハッカーがソフトウェア企業SolarWindsを侵犯して同社のIT管理ツールOrionに悪質なコードを植えたことが明らかとなった。のちにロシアの対外諜報サービスであることが判明したそのハッカーは、そのコードのおかげで、Orionソフトウェアを使っている18000ものネットワークにアクセスできた。

関連記事: 2020 was a record year for Israel’s security startup ecosystem(未訳、有料記事)

Dusticoの技術はSonatypeが提供しているものと似ていて、三段構えのやり方でオープンソースのパッケージを分析する。最初は信頼性に着目して、パッケージのプロバイダーとオープンソースのコミュニティの住人である個々のコントリビューターの間の信頼性を可視化し、次にパッケージの健全性を調べて、そのメンテナンスのレベルを判定する。そして最後は、Dusticoの高度なビヘイビア分析エンジンがパッケージを調べて、そこに隠れている悪質な攻撃やバックドア、ランサムウェア、多段階攻撃、そしてトロイの木馬などを見つける。

両社によると、この洞察結果にCheckmarxのASTソリューションが組み合わさり、企業や開発者に、オープンソースとそれに依存しているサプライチェーンに結びついているリスクを管理するための、より大きな洞察力を与える。

CheckmarxのCEO、Emmanuel Benzaquen氏はこう言っている: 「DusticoとそのチームをCheckmarxにお迎えすることにより、イスラエルのテクノロジーのエコシステムはサイバーセキュリティのイノベーションと才能をさらに拡大できる。オープンソースの分析に対するDusticoの他と差別化されたアプローチと、Checkmarxのセキュリティテスト能力がブレンドして、顧客に現状打破的な価値をもたらし、ソフトウェアのサプライチェーンが抱えるセキュリティの課題を管理できるようになる」。

Dusticoを買収する前の2020年3月には、Checkmarxはプライベート・エクイティ企業Hellman & Friedmanに11億5000万ドルの評価額で買収された。さらにさかのぼって2015年には、同社は8400万ドルの投資でInsight Partnersに身売りした。

関連記事: Insight Partners sells security firm Checkmarx to Hellman & Friedman for $1.15B(未訳)

(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Dmitry Bairachnyi/Getty Images

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自動車技術会社のVeoneerに、QualcommがMagnaを上回る約5000億円で買収を提案

スウェーデンの自動車技術会社であるVeoneer(ヴィオニア)を、大手自動車部品メーカーのMagna International(マグナ・インターナショナル)が38億ドル(約4174億円)で買収するという話は、雲行きが怪しくなってきた。半導体・通信技術企業のQualcomm(クアルコム)が、米国時間8月5日、さらに8億ドル(約880億円)を上乗せした金額で買収を提案してきたのだ。

Qualcommが提案した46億ドル(約5053億円)の買収額は、1株あたり37ドル(約4064円)で、既に同社の取締役会から承認を得ており、株主投票は必要ないと同社は声明で述べている。VeoneerとMagnaは、7月に両社の取締役会が買収を承認したと発表していた。

Veoneerは先進運転支援システム(ADAS)を開発している企業で、高速道路を走行中の車線変更や緊急ブレーキなど、特定の条件下で限られた動作を自動的に行う車両のハードウェアとソフトウェアを手掛けている。ADASは、いわゆる「自動運転車」とは程遠いものの、現在販売されている新車の多くに搭載されている、人気の高い(そして現実的な)一連の機能である。

MagnaとQualcommの間で繰り広げられている入札合戦は、ADAS技術の将来的な有望性を示していると言える。どちらの企業も、ADASの一次サプライヤーであるContinental(コンチネンタル)やBosch(ボッシュ)との競争力を維持する手段を手に入れようとしているのだ。Qualcommの時価総額は現在1648億ドル(約18兆1020億円)で、Magnaは253億ドル(約2兆7790億円)。ただし、Magnaが応札するかどうかは現時点では不明だ。

市場はこの新たな買収提案に反応し、Veoneerの株価は水曜日から木曜日にかけて31.22ドル(約3429円)から38.20ドル(約4196円)へと7ドル(約769円)近く上昇した。7月23日にMagnaへの売却が発表される前は、Veoneerの株価は1株あたり19.93ドル(約2189円)だった。

Veoneerは、2018年に自動車安全システムサプライヤーのAutoliv(オートリブ)からスピンオフして誕生した会社だ。Autolivは2017年に、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)と先進運転支援システムに特化したZenuity(ゼニュイティ)という合弁会社を設立したが、このベンチャーは昨年7月、ボルボとVeoneerに分割された。

このADAS開発企業は、Qualcommとも以前から関係を持っている。両社は今年1月に、ADASプラットフォームの共同開発に関する契約を締結した。

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画像クレジット:Veoneer
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Salesforceが熱いRPAに参入、Servicetraceを買収してMulesoftと提携

ここ数年、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の動きが熱くSAPやIBM、ServiceNowなど投資やM&Aが盛んだ。UIPathは2021年4月に大型のIPOを実施し、時価総額は300億ドル(約3兆3000億円)を超えている。Salesforceはいつこの動きに加わるのかと筆者は思っていたが、米国時間8月2日、同社はドイツのRPA企業であるServicetraceを買収する意向を発表し、RPAの世界に足を踏み入れることになった。

Salesforceは2018年に65億ドル(約7104億5000万円)でMulesoftを買収したが、SalesforceはServicetraceをこのMulesoftの一部にする意向だ。両社は買収額を明らかにしておらず、それほど大きな金額ではない模様だ。Servicetraceが加わればMulesoftのAPI統合とは良い組み合わせで、Mulesoftのツールキットにオートメーションのレイヤーを追加できるだろう。

MulesoftのCEOであるBrent Hayward(ブレント・ヘイワード)氏は買収に関するブログ投稿で「MuleSoftにServicetraceが加わることで、優れた統合、API管理、RPAプラットフォームを提供でき、どこからでもつながれるエクスペリエンスを実現するSalesforce Customer 360が大幅に強化されるでしょう。新しいRPA機能はSalesforceのEinstein Automateソリューションを拡張し、サービスや販売、製造などのあらゆるシステムでエンド・ツー・エンドのワークフローオートメーションを可能にします」と書いている。

SalesforceのAIレイヤーであるEinsteinを使うと企業はモダンなツールで特定のタスクを自動化できるが、RPAはもっと旧来型の業務に適している。この買収は、Salesforceが古いオンプレのツールとモダンなクラウドソフトウェアの切れ目を埋めるための新たなステップになるかもしれない。

CRM Essentialsの創業者で首席アナリストのBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、この買収によってSalesforceのDXツールが新たな局面を迎えるという。同氏は次のように説明する。「Salesforceがこれまでの最大規模であるSlackの買収をしてから次の買収までにそれほど時間はかかりませんでした。しかし増加する多様な情報源から得られるリアルタイムのデータによって有効性を発揮するプロセスやワークフローのオートメーションは、DXで成功するための鍵になりつつあります。今回の買収はSalesforceとMuleSoftにとって、このパズルに欠かせないピースです」。

Salesforceの市場参入は遅かったように思えるが、2021年5月にTechCrunchが掲載した投資家に対するアンケート記事の中でCapitalGのゼネラルパートナーであるLaela Sturdy(ラエラ・スターディ)氏は、我々はRPAの可能性について表面をすくっているにすぎないと語っていた。

スターディ氏はアンケートに次のように回答した。「この分野の成熟について考える段階にはまだまだ至っていません。実際、RPAの計り知れない可能性を考えると、採用は始まったばかりです。さまざまな業界に存在する膨大なユースケースを探り始めた企業がほとんどです。RPAを取り入れる企業が増えれば、多くのユースケースが見えてくるでしょう」。

ServicetraceはRPAの概念が生まれるよりもかなり前の2004年に創業した。資金調達についてはCrunchbaseにもPitchBookにも掲載されていないが、同社のウェブサイトからは充実した製品群を有する成熟した企業であることがうかがえる。同社の顧客には富士通、Siemens、Merck、Deutsche Telekomなどがある。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SalesforceServicetrace買収RPAMuleSoft

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

Squareが3.19兆円で「今買って、後で支払う」後払いサービス大手Afterpayを買収

フィンテック界を揺るがす超大型案件として、Square(スクエア)は米国時間8月1日、オーストラリアの「後払い決済(BNPL、Buy Now, Pay Later)」サービスの大手Afterpay(アフターペイ)を290億ドル(3兆1900億円)で、すべて株式を対価として買収すると発表した。

買収価格は、7月30日のSquareの普通株式の終値247.26ドル(約2万7200円)をベースとしている。この買収は、一定の条件を満たすことを前提に、2022年第1四半期中に完了する見通しだ。Afterpayの直近終値96.66豪ドル(約7800円)に対し30%以上のプレミアムがついたことになる。

Squareの共同創業者でCEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、2社のフィンテック企業が「共通の目的を持っている」と声明で述べた。

「私たちは、金融システムをより公平で、利用しやすく、包括的なものにするためにビジネスを構築します。Afterpayはその原則に従い、信頼できるブランドを構築しました」と同氏は声明で述べた。「力を合わせ、Cash AppとSellerのエコシステムを上手く結びつけ、店舗と消費者にさらに魅力的な製品とサービスを提供し、パワーを彼らの手に取り戻すことができます」。

両社の結合により、他に類を見ない巨大な決済企業が誕生する。この1年半の間に「後払い」サービスは爆発的に普及し、特に若い世代を中心に、クレジットカードを使わず、利息も払わず、オンラインや小売店でどこにでもあるような分割払いのローンを利用するという考えが広まっている。

6月30日時点でAfterpayはファッション、家庭用品、美容、スポーツ用品などの業界の大手小売業者を含め、全世界で1600万人以上の消費者と約10万の加盟店にサービスを提供している。

両社の声明には、AfterpayのSquareグループへの加入により、SellerおよびCash Appのエコシステムに関するSquareの戦略的優先事項が加速することになる、とある。Squareは、Afterpayを今のSellerおよびCash Appのビジネスユニットに統合する計画だ。それにより「小規模な加盟店」であっても、精算時に今すぐ購入して後で支払うという選択肢を提供できるようになる。また、この統合により、Afterpayの利用者は、Cash Appで直接分割払いを管理できるようになる。Cash Appの利用者は、アプリ内で直接、加盟店やBNPLが選べる。

Afterpayの共同創業者で共同CEOでもあるAnthony Eisen(アンソニー・アイゼン)氏とNick Molnar(ニック・モルナー)氏は、取引終了後にSquareに合流し、Afterpayのマーチャント事業とコンシューマー事業をそれぞれ統括する。Squareは、Afterpayの取締役 1名を同社の取締役として任命する予定だ。

Afterpayの株主は、保有する株式1株につき、SquareのクラスA株式0.375株を取得する。これは、Squareの7月30日の終値ベースで、Afterpayの株価が1株あたり約126.21豪ドル(約1万200円)だったことを意味する。

この分野での統合がさらに進むのだろうか。それはまだわからないが、Twitter(ツイッター)上では、次にどんな取引が行われるかが話題になっている。米国では、2021年初めにライバル企業のAffirm(PayPalの共同創業者であるMax Levchin[マックス・レヴチン]氏が創業)が上場した。7月30日の終値は56.32ドル(約6200円)で、初値や直近52週間の高値である146.90ドル(約1万6200円)を大きく下回った。一方、米国で急成長を遂げている欧州の競合企業Klarnaは、6月にさらに6億3900万ドル(約703億円)を調達し、資金調達後のバリュエーションは456億ドル(5兆160億円)という驚異的な数字になっている。

米国の消費者をめぐるBNPLの戦いは、今回の取引でますますヒートアップすることは間違いない。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:SquareAfterpay買収BNPL決済オーストラリア

画像クレジット:Smith Collection / Gado / Getty Images

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(文: Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

日本のスニーカープラットフォームSODAが急成長でライバルのMonokabuを買収

SODAのシリーズBをリードしてからわずか半年後のSoftBank Ventures Asiaが、この東京のスニーカー再販プラットフォームへの賭け金をつり上げている。SoftBank Groupのアーリーステージベンチャーキャピタル部門であるSVAは米国時間7月28日、またSODAに戻ってきて同社のシリーズCをリードする、と発表した。その現在の額は5640万ドル(約61億8000万円)とされている。

その他の投資家は、韓国のスニーカー再販プラットフォームKREAMとAltos Ventures、そしてJAFCOだ。KREAMはSVAのポートフォリオ企業でもある。

2018年にローンチしたSODAが運営しているSNKRDUNKは日本最大のスニーカー再販プラットフォームの1つで、月間ユーザー数は約250万に達する。今回新たな投資とともにSODAが発表したのは、ライバルのMonokabuを買収したことだ。SODAによると、この買収によって同社のスニーカー再販におけるマーケットシェアは80%になり、群を抜いたマーケットリーダーになる。

SoftBank Ventures Asiaの広報担当者はTechCrunchに、SODAに再び投資することに決めたのは、同社の成長が前の投資以来大きくなっているからだ、と述べた。SODAの投資前の評価額は今や約240億円、米ドルで約2億1800万ドルとなる。

SODAのシリーズCの一部は、他のアジア市場への進出のためにも使われる。最初はインドネシア、2022年にはフィリピンを予定しているが、いずれもeコマースの市場が成長しており、Z世代の人口比率が大きい。SNKRDUNKにとって理想的な、2つの市場条件を有している。

この前のシリーズBの2200万ドル(約24億円)は、1月に発表された。当時、創業者の内山雄太氏はTechCrunchに、スニーカーの需要はパンデミックの経済への影響にもかかわらず高いし、オンラインショッピングにも人気があるから売上は伸びている、と語っていた。

SODAは2021年5月に、3470万ドル(約38億円)という記録的な売上を達成した。それは、前年同期比で900%の成長だ。新型コロナウイルスにも関わらず、多くのスニーカーC2Cマーケットプレイス、たとえばStockXなども、売上が増加した。

SNKRDUNKはKREAMとの協力関係があり、スニーカーの真偽認証や在庫管理、ロジスティクスなどオペレーション関連の知識を共有している。両社合わせてアジアにおけるスニーカー再販市場のシェアを増大することが目標だ。

SoftBank Ventures AsiaはKREAMとSODAだけでなく、中国のスニーカー売買プラットフォームNiceにも投資している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:スニーカー(製品・サービス)スニーカーダンク(製品・サービス)SODA(企業)ファッション(用語)フリマアプリ(用語)モノカブ資金調達(用語)買収 / 合併 / M&A(用語)日本(国・地域)

画像クレジット:SODA

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)

スニーカー特化フリマ「スニーカーダンク」運営が約62億円調達、「モノカブ」を買収しグローバル展開を加速

スニーカー特化フリマ「スニーカーダンク」運営のSODAが約62億円のシリーズC調達、「モノカブ」を買収しグローバル展開を加速

月間300万人以上が利用するスニーカー&ストリートウェア特化フリマ「スニーカーダンク」(SNKRDUNK。Android版iOS版)を運営するSODAは7月29日、シリーズCにおいて、第三者割当増資による約62億円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のKREAM Corporation(NAVER子会社)、またAltos Ventures、SoftBank Ventures Asia、JAFCO Group、既存全投資家。累計調達額は約87億円、評価額は約240億円となった。また、「モノカブ」を運営するモノカブの買収を完了し、グローバル展開を加速する。

SODA代表の内山雄太氏は、「今後、国内事業では取扱商品の拡大および強化に加え、アジア市場獲得を少しでも早く実現するため、韓国のKREAM、中国のniceとの連携を強く進めていきます」とコメント。また、「モノカブ」との統合・連携により、真贋鑑定、ロジスティクス、カスタマーサポートなど両社の知見を掛け合わせることで、より安心・安全なサービスへと成長させる。モノカブ代表の濱田航平氏は、「世界で戦える十分な市場のチャンスがある中で、お互いが国内で戦っていくのではなく、一緒になりグローバルで展開していきたいという戦略に意気投合しました」と明かしている。

2018年7月設立のSODAは、「世界中に熱狂的ファンを生み出すマーケットプレイスを。」をミッションに、スニーカーダンクを運営。マーケットプレイスに加え、人気スニーカーの新作やリーク・発売情報を配信するメディア、スニーカーを中心としたコーディネート写真やリストック情報など毎月数万件以上が投稿されるコミュニティを提供している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:スニーカー(製品・サービス)スニーカーダンク(製品・サービス)SODA(企業)ファッション(用語)フリマアプリ(用語)モノカブ資金調達(用語)買収 / 合併 / M&A(用語)日本(国・地域)

買収を続けるツイッターが今度は定額制ニュースアプリBriefのチームを「アクハイヤー」

Twitter(ツイッター)はこのところ立て続けに買収しているが、今度はニュースアグリゲーター・要約アプリのBrief(ブリーフ)のチームをアクハイヤー(人材獲得を目的とする買収)したと発表した。Briefは、元Google(グーグル)のエンジニアらが2020年に、サブスクリプションベースのニュース要約アプリを提供するために立ち上げた。このアプリは、情報過多、燃え尽き症候群、メディアバイアス、ニュースの正確性よりもエンゲージメントを重視するアルゴリズムなど、今日のニュースサイクルが抱える多くの問題に対処することを目的としている。

Twitterは取引条件の開示に応じなかった。

共同創業者でCEOのNick Hobbs(ニック・ホブス)氏は、Briefを立ち上げる前、GoogleのプロダクトマネージャーとしてAR、Googleアシスタント、Googleのモバイルアプリ、自動運転車などに携わっていた。一方、共同創業者でCTOのAndrea Huey(アンドレア・ヒューイ)氏は、Googleのシニア・ソフトウェア・エンジニアとして、GoogleのiOSアプリを担当していた他、Microsoft(マイクロソフト)に在籍していたこともある。

画像クレジット:Brief

ニュースの消費を改善するというBriefの野心的なプロジェクトに大きな期待が寄せられていたが、その成長を妨げたのは、採用したサブスクリプションモデルだったのかもしれない。このアプリは、従来のニュースメディアのようなブランド力がないにもかかわらず、月額4.99ドル(約550円)の課金が必要だった。ちなみに、The New York Timesの基本デジタル購読料は、現在、キャンペーンにより初年度は週4ドル(約440円)だ。

Twitterによると、Briefの社員2名を含むこのスタートアップのチームは、TwitterのExperience.orgグループに入り、Twitter SpacesやExploreなど、Twitter上での公の会話をサポートする分野を担当することになるという。

Twitterは、こうした仕事がどのようなものか具体的には説明していないが、TechCrunchに語ったところによると、創業者らのBriefでの専門知識を活用し、そうした分野のプロジェクトを開発・加速させたいと考えている。

Exploreはもちろん、Twitterの「ニュース」セクションであり、カテゴリーごとにトップストーリーとトレンドトピックが集約されている。しかし今のExploreには、Briefのアプリが提供しているような、ニュースを基本的な事実にまで絞り込み、バランスよく表示するという包括的なアプローチが欠けている。その代わり、Twitterのニュースアイテムには、見出しとストーリーの短い説明、そして注目すべきツイートが表示される。そこには確かに改善の余地がある。

TwitterのサブスクリプションサービスであるTwitter Blueの中に、ニュースに特化した何らかのプロダクトが組み込まれる可能性もあるが、現時点では単なる推測にすぎない。

Twitterによると、今回のオファーは同社がBriefに積極的に働きかけたものだという。Twitterは現在、M&A戦略の一環として、既存のチームを補完し、プロダクト開発を加速させる人材を獲得しようとしている。

Twitterは過去1年間に似たようなアクハイヤーを実行してきた。邪魔が入らない(広告なし)で読めるようになるサービス「Scroll」ソーシャルポッドキャスティングアプリ「Breaker」ソーシャルスクリーン共有アプリ「Squad」API統合プラットフォーム「Reshuffle」などだ。また、ニュースレタープラットフォーム「Revue」などのプロダクトを買収し、直接統合したこともある。さらに、ClubhouseやインドのShareChatとも買収交渉を行った。これらはずっと大きなM&A案件になるはずだった。

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「結局、Twitterにたどり着いて本当に良かったと思っています」とホブス氏はTechCrunchに話した。

「アンドレアと私は、健全な議論を促すニュースを構築するためにBriefを設立しましたが、公の会話を改善するためのTwitterの真摯な取り組みには深い感銘を受けています」と同氏は語る。「将来の計画について具体的に話すことはできませんが、Briefでの経験が、現在Twitterで起こっている多くのエキサイティングなことを加速するのに役立つと確信しています」と付け加えた。

ホブス氏は、チームが有料ジャーナリズムの将来について楽観的であるとも述べた。というのも、Briefは新たに改善されたニュース体験にお金を払う顧客がいることを実証したからだ。

「Briefはジャーナリズムの新しいビジョンを開拓しました。重点を置いたのは、読み手が耐えられる目一杯のニュースではなく、必要なニュースだけを提供することです」とBriefをシードステージで支援したSignalFireの創業パートナーでCTOのIlya Kirnos(イリヤ・キルノス)氏は指摘した。「読者への配慮から、SignalFireは創業者のニック・ホブスとアンドレア・ヒューイを支援することを誇りに思いました」。

Briefはこれまでに、SignalFireと、David Lieb(デビッド・リーブ)氏、Maia Bittner(マイア・ビットナー)氏、Matt Macinnis(マット・マシニス)氏といったSequoia Scoutsを含む数少ないエンジェル投資家から100万ドル(約1億1000万円)のシード資金を調達した。

米国時間7月27日の契約により、Briefは7月31日にサブスクリプションアプリを終了する。同社によると、現在のユーザーに対しては近日中の終了について通知するが、アプリはApp Storeに残り、ユーザーがアーカイブを探索できる新機能を提供する予定だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter買収ニュースアプリ

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがIDとアクセス管理のCloudKnoxを買収、4社セキュリティ関連でM&A連発

Microsoft(マイクロソフト)は、IDおよびアクセス管理(IAM)スタートアップのCloudKnox Security(クラウドノックス・セキュリティ)を買収したと発表した。これは、テック巨人にとって2021年に入ってから4件目のサイバーセキュリティ関連の買収となる。

買収取引の条件は明らかにされていないが、これはMicrosoftがサイバーセキュリティ関連の買収を次々に行っている中での最新の取引だ。同社は先週、脅威インテリジェンスのスタートアップであるRiskIQ(リスクアイキュー)を買収することを発表したばかり。また最近では、IoTセキュリティのスタートアップ企業CyberX(サイバーエックス)とReFirm Labsを買収し、セキュリティポートフォリオの強化を進めている。Microsoftにとってセキュリティは大きなビジネスであり、2020年には同社のセキュリティ関連の収益は100億ドル(約1兆1055億円)を超え、前年比で40%の増加した。

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2015年に設立され、その2年後にステルスを脱して姿を現したCloudKnoxは、組織が最小特権の原則を実装してリスクを低減し、セキュリティ侵害を防止することを支援している。このスタートアップは買収前に2280万ドル(約25億円)を調達しており、ClearSky、Sorenson Ventures、Dell Technologies Capital、Foundation Capitalから出資を受けていた。

Microsoftのアイデンティティ担当コーポレートバイスプレジデントであるJoy Chik(ジョイ・チク)氏のブログ投稿によると、CloudKnoxの買収により、Azure Active Directoryの顧客は「ハイブリッドおよびマルチクラウドのパーミッションに対するきめ細かな可視化、継続的なモニタリング、自動化された修復」が可能になるという。

企業各社が柔軟なワークモデルを導入している中、クラウド導入のメリットを享受している一方で、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境における特権的アクセスの評価、防止、管理に苦慮しているケースが多いとチク氏は指摘している。

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「CloudKnoxは特権的アクセスを完全に可視化します」と同氏は述べている。「パーミッションを適切に設定し、最小特権の原則を一貫して実施することで、リスクを低減させます。また、継続的な分析を行うことで、セキュリティ侵害の防止やコンプライアンスの徹底を支援します。これにより、クラウドセキュリティに対する当社の包括的なアプローチが強化されます」とも。

MicrosoftはAzure Active Directoryに加えて、CloudKnoxを365 Defender、Azure Defender、Azure Sentinelなどの他のクラウドセキュリティサービスと統合することも計画している。

今回の買収について、CloudKnoxの創業者兼CEOのBalaji Parimi(バラジ・パリミ)氏は次のように述べた。「Microsoftに加わることで、新たなシナジー効果を発揮し、共通のお客様がマルチクラウドやハイブリッド環境を保護し、セキュリティ態勢を強化することが容易になります」。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Microsoft買収サイバーセキュリティCloudKnox

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

Uber Freightが物流管理ネットワークのTransplaceを約2475億円で買収

規制当局への提出書類によると、2018年にUber(ウーバー)からスピンアウトした物流事業のUber Freight(ウーバー・フレイト)は、プライベート・エクイティ・グループのTPG CapitalからTransplace(トランスプレイス)を約22億5000万ドル(約2475億円)で買収した。7月22日に発表されたこの取引では、7億5000万ドル(約825億円)がUberの株式で、残りは現金で支払われる。

Transplaceの買収はUber Freightの事業増強を象徴する動きだ。同社は既存市場でのシェア獲得とメキシコでの事業拡大を目指している。また、今回の買収は、Uber Freightの収益性向上を加速させ、2022年末までに調整後EBITDAベースでの収支均衡を実現する手段であると考えている。

今回の買収により、貨物の配送を必要とする荷主とトラックドライバーを結びつけるUber Freightのプラットフォームに、最大級の輸送・物流管理ネットワークを組み入れることになる。Uber Freightによると、同社の仲介業務はTransplaceのサービスとは独立して運営を続けるという。

「これは、Uber Freightだけでなく、物流エコシステム全体にとって大きな前進です」と、Uber Freightの責任者であるLior Ron(ライオー・ロン)氏は声明で述べた。「これは、一流企業2社の相互補完的な、業界内で最高クラスの技術ソリューションと卓越したオペレーションを結集し、荷主のサプライチェーン全体を変革し、最も重要な時期にオペレーションの回復力を実現し、コストを削減する業界初の荷主間プラットフォームを構築する機会です」

TransplaceのCEOであるFrank McGuigan(フランク・マクギガン)氏は、買収によって荷主がより高い効率性と透明性を享受できるようになると期待している。「全体として、荷主および輸送業者の空荷を大幅に削減し、高速道路や道路インフラ、環境に利益をもたらすと期待しています」と話した。

Uber Freightは2017年にスタートした。2018年8月には独立した事業部に分離されたが、すぐに勢いを増し、より多くの資金を必要とすることになった。Uberからスピンオフした後、拡大を続けた。Uber Freightはアプリのデザインを変更し、荷物の検索やフィルタリングをカスタマイズしやすくする新しいナビゲーション機能を追加するなどの改善を行った。

Uber Freightはカナダと欧州にも進出し、またシカゴに本社を設置した。これは、数百人の労働者の採用を含め、シカゴ地域に年間2億ドル(約220億円)以上を投資するという親会社の広範な計画の一環だ。Uberは2019年9月に、今後3年間で2000人の従業員を同地域で新たに雇用し、そのほとんどがUber Freightで働くと発表した。

Uberは昨年、貨物事業(Uber Freight)の株式を売却した。同時に、ニューヨークに拠点を置く投資会社Greenbriar Equity Groupが率いる投資家グループが、同事業のシリーズA優先株式による資金調達に対し、5億ドル(約550億円)の投資を約束した。この取引では、ポストマネーベースで同事業が33億ドル(3630億円)と評価された。

UberはUber Freightの過半数の所有権を維持し、Greenbriarから得た資金を使って、トラックドライバーと運送会社との連携を支援する物流プラットフォームの拡大を続ける。

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画像クレジット:Uber Freight

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Visaが送金や為替のAPIデベロッパーCurrencyCloudを約1060億円で買収

Visa(ビザ)が参加したラウンドで8000万ドル(約88億円)を調達してから1年半、送金や為替などのサービスを動かすAPIのデベロッパーであるロンドン拠点のCurrencycloud(カレンシークラウド)がさらに金融サービス大手に近づいている。Visaは現地時間7月22日、CurrencyCloudを9億6300万ドル(約1060億円)と評価する取引で同社を買収すると発表した

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この評価額は最後の資金調達からかなりの飛躍だ。情報筋によると、直近の資金調達でCurrencyCloudは約5億ドル(約550億円)と評価されていた。

(VisaはすでにCurrencyCloudに出資しているため、実際には出資分が引かれた額を支払う)

CurrencyCloudは、マルチ通貨ウォレット、為替サービス、口座管理などを動かすのに同社のAPIを使っている500ほどの顧客を180カ国に抱える。ここにはMonzo、Moneze、Starling、Revolut、Dwollaといった大手スタートアップも含まれる。既存の顧客はそのままに、Visaは金融機関やフィンテックなど自社の顧客に幅広いサービスを提供すべく、また顧客のために新たなサービスを構築するために、為替事業強化でCurrencyCloudのテクノロジーを活用する。

「CurrencyCloudは、小さなスタートアップから多国籍企業まで、すべての人により良い明日を届けるよう常に努力してきました。世界経済で金がどのように動くのか再考することは、Visaに加わる今、さらにエキサイティングなものになりました」とCurrencyCloudのCEO、Mike Laven(マイク・ラヴェン)氏は声明で述べた。「CurrencyCloudのフィンテック専門性とVisaのネットワークの組み合わせにより、国境を超えて金を動かしている企業にさらに大きな顧客バリューを届けることができます」。

送金や通貨振替は金融サービスで一大事業となることが見込まれ、そのチャンスは拡大している。eコマースが特に過去18カ月、かなり国境を越えていること、そしてサプライチェーンも同様であることが要因だ(世界の零細企業の43%が2020年に何かしら国際貿易のようなものを行ったとVisaは指摘している)。そして取引を促進するクラウドベースのモバイルサービスの台頭で、将来の展望において顧客はこれまでになくグローバル化している。

と同時に、送金と通貨振替はディスラプトの機が熟している分野だ。既存のサービスは往々にして高コストで非効率的だ。これらの要素すべてがCurrencyCloudのような会社のお膳立てをしている。同社は他の金融サービスがよりスムーズに行われるようサポートすべく、そうしたサービスに埋め込むことができる通貨振替の新しいツールを構築した。

イグジットは、既存の大手金融会社が次世代の金融サービスへと進むにあたってイノベートして新たなサービスにすぐに取り掛かるのが困難なため、テクノロジーに大きく賭けている小さくて俊敏なスタートアップを取り込むという古典的な例だ。VisaがCurrencyCloudのテックをうまく統合して活用し、CurrencyCloudのチームと協業できるかはすでにテストされたところだ。2社は今回の買収取引の前に戦略的パートナーだった。

「CurrencyCloudの買収は、Visaが世界の金の動きを促進するためのネットワーク戦略のネットワークで実行するもう1つの例です」とVisaのグローバル財務責任者Colleen Ostrowski(コリーン・オストロウスキ)氏は声明で述べた。「顧客や企業は国際送金したり、送金を受け取ったりするときに透明性、スピード、シンプルさをますます期待するようになっています。CurrencyCloudの買収で我々はクロスボーダーの支払いに関する悩みの種を減らして顧客やパートナーをサポートし、クライアントの顧客のためにすばらしいユーザーエクスペリエンスを開発することができます」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Visa送金CurrencyCloud買収

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi