産直通販サイトの食べチョクが生産者の直伝レシピ200件を公開、料理に使う食材を探せるレシピ検索機能リリース

産直通販サイトの食べチョクが生産者の直伝レシピ200件を公開、料理に使う食材を探せるレシピ検索機能リリース産直通販サイト「食べチョク」(Android版iOS版)を運営するビビッドガーデンは2月9日、食材をよりおいしく調理するためのレシピ集「生産者直伝レシピ」200件を一挙公開。また、シーンに合わせたレシピと食材を探せる「レシピ検索機能」をリリースした(レシピ検索機能はウェブサイト版のみの機能)。

食べチョクは、6500軒の生産者が約40000点の商品を出品している産地直送の通販サイトで、野菜・肉類・魚介類・加工品など様々な商品を取り扱っている。商品発送時に食材を使ったオススメのレシピを同梱する生産者もおり、そのレシピを活用するユーザーも多くみられるという。

また食べチョクは、「生産者によるいちばんおいしく食材を食べるレシピ集」をテーマにした書籍「#食べチョクごはん」を2021年10月に発売。食材の良さを知りつくした生産者が考案したレシピや、フードコーディネーターによるレシピを60品厳選して掲載しているという。

そういった背景を受け、ユーザーに食べチョクでの商品選びをさらに楽しんでもらうため、生産者オススメのレシピをウェブ上に多数掲載し、各レシピページから食材の購入をしやすい機能を今回新たに追加した。生産者直伝レシピは「ご飯もの」「おかず」「汁もの」「おやつ」などのカテゴリー別で閲覧が可能。レシピページを開くと、そのメニューで使用している食材の販売ページに移動できる。

レシピ検索機能では、定番料理とは違う一工夫を加えた「アレンジレシピ」、15分以内で作れる「時短レシピ」、低カロリー重視の「ヘルシーレシピ」、食材の魅力を引き出す生産者こだわりの「本格レシピ」のカテゴリーを用意。シーンに合わせたレシピを検索できる。

アレンジレシピ例

手羽先とトマトの洋風炊き込みご飯

手羽先とトマトの洋風炊き込みご飯(熊本県:日本一鶏肉研究所)

時短レシピ例

ごまココアもち粉チーズ焼き

ごまココアもち粉チーズ焼き(新潟県:アフコ秋山農場)

ヘルシーレシピ例

にんじんホットケーキ

にんじんホットケーキ(千葉県:大成農園)

本格レシピ例

和梨のタルト

和梨のタルト(千葉県:斎藤農園)

 

【コラム】暗号資産とDeFiを救うのは「内部告発者」だ! 

規制のない暗号資産の世界というのは今や昔の話。蔓延する暗号詐欺と規制を回避する分散型金融(DeFi)の驚異的な成長を受けて、米国の規制当局は暗号資産業界に対して前例のない措置を講じることとした。

このような規制の変化は米国の金融規制における歴史的なパターンを踏襲している。金融の不安定性への懸念よりも自由への欲求の方が強いか、あるいはその逆かによって、規制の強化と緩和の間を行き来するものなのである。

自由市場の暗号愛好家は失望するかもしれないが、協力を惜しまない者には大きなメリットがあるかもしれない。内部の人間が目にした違法行為や不正使用について声を上げれば、規制当局が他の悪質行為者を対象とするため、その間に自分の会社が成功すれば良いのである。

また、例えば内部告発者が勤める会社が改革を拒み、規制当局が行動を起こさざるを得ない場合、内部告発者は多額の報奨金を得られる可能性がある。また、内部告発をしたことによる報復から保護を受けることも可能なのである。

繰り返される歴史

米国の金融規制には、比較的金融規制の少ない時期と、金融不安を是正するために規制を強化する時期という、おなじみのパターンがある。

米国の建国者たちは当初から、金融システムに対する連邦政府の規制の必要性について国立銀行の設立を中心とした議論を繰り広げていた。アンドリュー・ジャクソン(第7代米国大統領)は最終的に国立銀行を廃止し、分散型の銀行システムを採用。その後、自由銀行時代として知られるようになり「ワイルドキャット」と呼ばれる銀行や数十年にわたる金融不安が続いたが、エイブラハム・リンカーンの暗号詐欺で幕を閉じている。

最近では1980年頃から規制緩和の波が押し寄せ、金融革命や金融統合を引き起こしたが、1980年代後半から1990年代前半にかけての緩やかな貯蓄貸付危機という形で金融の不安定性が起きている。この規制緩和の流れは2007年から2008年にかけての大不況で頂点に達し、その後ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法の成立により、規制強化へと振り子が戻ってきたわけだ。

この規制パターンは今後、最近までほとんど規制がなかった暗号資産業界でも同様に展開されるようになる。麻薬の売人や脱税者、テロリストの資金源になっているといわれている暗号業界で、アンチマネーロンダリングや本人確認(AML/KYC)の慢性的な失敗を懸念した議員たちが、Bank Secrecy Act(銀行秘密法)を改正し、暗号資産を明確にカバーするようにしたのである。

SEC(米国証券取引委員会)のGary Gensler(ゲーリー・ゲンスラー)委員長は、暗号革命をワイルドキャット銀行の新時代と比較しており、またRipple(リップル)に対する訴訟で有名なように、多くの暗号資産や暗号資産に関連する商品は証券であるとの立場をとっている。元CFTC(商品先物取引委員会)委員のDan Berkowitz(ダン・バーコウィッツ)氏(現SEC顧問弁護士)は、DeFiは完全に違法である可能性があると考えており、財務省は議会に対し、安定した価格を提供するために準備資産に裏付けされたステーブルコインを非銀行が発行することを禁止するよう勧告している

州もその一味となっており、NEXO(ネクソ)Celsius(セルシアス)、BlockFi(ブロックファイ)などの企業が証券や商品を販売する前に州への登録を怠ったとして、州の検事総長が処分を下している。明らかに、暗号資産が規制の監視を受けない時代は終わったのである。

内部告発者が規制やコンプライアンスを導く

暗号業界がこのような反革命に頭を悩ませている一方で、不正や違法行為を政府に報告した内部関係者は大きな利益を得る可能性がある。SEC、CFTC、FinCEN(金融犯罪捜査網)、IRS(米内国歳入庁)などの規制当局は、企業や業界セグメントの運営状況を内部から把握し、不正行為者が投資家や顧客、一般市民に回復不能な損害を与える前に不正行為や違法行為を発見できるようにするための内部告発者を必要としている。

また、内部関係者からの情報により、規制当局は悪質な行為者に的を当てた強制措置やルール作りを実施することができ、暗号資産業界の革新的で価値のある側面を不必要に潰してしまうのを防ぐことができるだろう。

こういった情報と引き換えに、内部告発者は連邦政府のさまざまな内部告発者報奨プログラムから報奨金を得ることができる。ただしこれは、強制措置の執行に役立つ情報を、適切に提出した場合に限られる。

SECCFTCのプログラム、そして今回新たに強化されたAML内部告発プログラムの場合、内部告発者は100万ドル(約1億1500万円)以上の強制措置において最大30%の報奨金を受け取ることができる。これらのプログラムでは、弁護士を介して匿名で情報を提供することで、自分の身元を隠すことも可能だ。

IRSの内部告発プログラムの場合、内部告発者は200万ドル(約2億3000万円)以上の政府回収金のうち最大30%を受け取ることができる。SECとCFTCの内部告発者はこれまでに、なんと1億ドル(約115億円)以上の賞金など、合計10億ドル(約1151億円)以上を受け取っており、またIRSの内部告発者プログラムでも、2007年以来10億ドル(約1151億円)以上の賞金が支払われているという。

しかし、内部告発者が助けているのは政府だけではない。内部告発者たちは、規制の動向や将来の強制措置を予測することで、企業が規制の標的にならないよう導くことができるのである。多くの従業員が警告を発して意思決定者に変更の必要性を知らせることができる立場にいる。内部告発者は、企業が規制当局にノーアクションレター(特定の製品や行動方針を規制当局に承認してもらうもの、または規制に抵触する可能性が低い方法で取引や製品を再構築することを提案するもの)を求めるべきであることを指摘して、潜在的な問題を回避することもできるのである。

すでに違法行為を行っている可能性のある企業であっても、会社の方向性を修正する方法や、会社の行為を是正するために規制当局に働きかける方法について、内部告発者は最も適切な判断を下すことができるのである。

内部告発者の保護

報復行為も十分に起き得るため、内部告発者になるのが恐ろしいと考えるのは当然である。報復行為とは、敵対的な職場環境から解雇まで、さまざまな形で行われるものだ。

そこで、内部告発者を報復から保護するのがサーベンス・オクスリー法ドッド・フランク法2020年マネーロンダリング防止法などの連邦法や州法だ。内部告発者法に基づく救済措置はさまざまだが、報復を受けた従業員が、報復がなかった場合と同じ状況になれるように設計されている。

しかしこういった保護を受けるためには、それが可能な方法で内部告発を行う必要がある。内部告発者は、実際に法律違反があったことを証明する必要はなく、また不正や違法行為があったという事実が正確である必要もない。従業員が懸念を表明することを奨励するために、これらの法律は一般的に、内部告発者が「合理的な信念」を持っている場合、つまり「同じ訓練を受けた同じ事実関係にある合理的な人間なら、この場合雇用者が法律に違反していると考えるだろう」ということを示すことができる場合、報復から保護してくれるのである。

過去10年間に、大規模な内部告発の多くの陪審評決が証明したように、報復を行った雇用者は相当な額の責任を負うことになる。しかし、内部告発報復法の複雑さを考えると、内部告発を考えている従業員は、まず法的アドバイスを求めるのが正解だろう。

内部告発者が救う

暗号資産業界はこれから多くのことを学んでいくのだろう。従来の金融機関は何十年という月日かけて規制に対応してきたが、暗号資産はこれまでコンプライアンスをほとんど気にすることなく運営されてきたのである。

暗号業界の内部告発者が早期に警告を発することで、競争の公平性が確保されるだろう。内部告発者の懸念を真剣に受け止めることで、暗号業界の企業は間もなく直面することになる不可避の強制措置の嵐を回避し、時間、お金、そして心痛を節約できるのだ。

編集部注:本稿の執筆者Alexis Ronickher(アレクシス・ロニッカー)氏は、ワシントンD.C.にある内部告発者と公民権に関する法律事務所Katz, Marshall & Banks LLPのパートナー。内部告発者の弁護を専門としている。Nicolas O’Connor(ニコラス・オコナー)氏はKatz, Marshall & Banks LLPのアソシエイト。

画像クレジット:danijelala / Getty Images

原文へ

(文:Alexis Ronickher、Nicolas O’Connor、翻訳:Dragonfly)

【コラム】シリコンバレーではきちんとしたマネジメントができていない

テック業界はこれまでに世界で最も偉大な革新者を世に送り出し、最も収益性の高く価値ある企業やスタートアップのサクセスストーリーを誕生させてきた。それにも関わらず、優れた経営管理に対する評価が驚くほど低いのも事実である。

3つの会社を設立し、15年間テック業界に従事してきた私は、Shift(シフト)を構築した経験を通して多くのことを身をもって学んできた。もし2014年の創業時に戻れるとしたら、企業文化の設定(与えられるかその逆かのどちらか)や経営管理手法の開発などにおいて、今ならまったく違う対応を行なっていただろうと思う点が複数ある。

私の知る限りでは、適切な経営管理が行われていない場合、いくらそのスタートアップやアイデアがすばらしくてもいずれ失敗に終わっている。さらにはそれがエンジニアリングの人材不足につながり、ひいては企業を設立する際の人的コストの上昇につながるのである。これはシリコンバレーにとって大きな損害だ。

独占的なテック企業にしか通用しない方法

シリコンバレーの一流テック企業は、一見すると非常に優れた経営をしているように見えるかもしれない。しかし実際は、1つの製品を開発し、その製品を中心に独占しているといってもいいほどの一点主義企業なのである。

これは、Google(グーグル)や旧Facebook(フェイスブック)のMeta(メタ)の両方に当てはまることである。どちらも主要な収益源は1つ(デジタル広告)で、買収以外の方法での新製品開発はほとんどにおいて失敗している。GoogleマップやAndroid(アンドロイド)は例外といえなくもないが、どちらも初期段階は買収で始まったものである。

こういった企業は、それぞれの広告ビジネスにおいて圧倒的な価格決定力を持っているため、新製品の開発や買収による競合他社の排除にほぼ無限のリソースを投入し続けながら、ありとあらゆるエンジニアを雇用することが可能なのである。

しかしこれは特に顕著なこの2社だけの問題ではなく、シリコンバレーの大手テック企業全体において広く浸透している。

テック系企業では目標や主要成果について語られることが多々あるが、こういった目標設定のフレームワークは、中身のない単なる言葉に過ぎない場合がほとんどだと言える。

金に糸目をつけない場合、結果として余裕が出過ぎ、アカウンタビリティが小さすぎることになる。その結果リソースが無駄になり、イノベーションが停滞する。企業にいる既存の人材を効果的に活用していれば、同等の、あるいはそれ以上の結果を出すことができる。失敗に終わるプロジェクトも減り、結果的に人材の力を引き出すことによりインパクトのある仕事が達成され、より大きなイノベーションを生み出すことができるようになるだろう。

あえていえば、多くのテック企業は収益にほとんど影響を与えることなく、現在の従業員の20%から40%を削減することができるだろう。しかしそのためには、より少ないリソースで仕事をこなさなければならず、そのためには優れた経営管理(優先順位付け、小規模で始めて実験し、テストと学びの後に製品を大胆に実行する能力、製品への取り組みとビジネスを損益を通じてより大きくコントロールする能力)が必要になる。

経営管理がうまくできれば、手に負えない人材関連のコストを大幅に削減できるようになる。エンジニアの給料が高く、しかも上がり続けていることはご存じだろう。利益率の高いビジネスを展開しているテック企業なら、エンジニアやその他の技術者をやたらと雇用する余裕もあるだろうが、実際は既存の人材をうまくマネージメントすることで、コストを大幅に削減することができ、またそうすることによりリソースをより収益性の高い結果に向けることができるのである。

無論、優れた技術を開発しているすべての企業がこの問題に悩まされているわけではない。中でもAmazon(アマゾン)は最大かつ最良の例で、消費者向けの大手テック企業の中でも同社は本業である小売ビジネスの他に、あるいはそれに加えて、Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス)、プライム・ビデオ、マーケットプレイス、Adsなどの新しい収益源を生み出し、新製品を革新することに最も長けている企業である。

シリコンバレーが経営管理を軽視するようになった経緯

この問題は大手テック企業だけではなく、多くのスタートアップにも共通していることである。良い企業文化とは、社員にコンブ茶を用意したり、グルメな社食を提供したり、インスタ映えするオフィスを作ったり(これは新型コロナ前のことだが)することだという勘違いが広まっている。

これがアカウンタビリティの欠如へと発展していくのだが、経営者の立場からするとそれを隠すのは極めて簡単なことである。確かに、こういったものは多くの従業員にとってうれしい特典ではあるものの、実際に企業文化のコアとなるものは、報われるべき行動と嫌われるべき行動、奨励されるべき行動とやめるべき行動の総意であるべきなのだ。

多くの創業者は、イノベーションを起こすと同時に優れた経営管理とアカウンタビリティを実現することはできないと思い込んでいる。実際、人材争奪戦は非常に激しく、結果を出すことではなく従業員を満足させるということに多くのエネルギーが費やされている。P&L(損益計算書)のレンズを通してビジネスを管理し、その製品がどのようなものであるかをテストし、学習するのではなく、単に優れた製品を作ればユーザーはやってくると信じているのである。

これは「言うは易し行うは難し」である。私はShiftを経営する中で何度もこのミスを犯してきたし、このミスにより非常に多くの時間とお金を無駄にしてきた。

しかし、初期の創業者にとっては、自分よりもはるかに優れたマネージャー的人材を雇うことが必要不可欠なのである。経験からいうと、アーリーステージの創業者(製品と資本に焦点を当てる)とマネージャー(人材管理とアカウンタビリティに焦点を当てる)を同時に務めるのは難しいため、どこが成功していてどこが失敗しているかを把握し、ギャップを埋める必要がある。

また、早期にコーチングを受けるというのも重要だ。良いコーチングがあってこそ、自分の盲点を認識し、それを適切な人たちとどのように解決するかを決めることができるのである。

優れた経営管理により、少ない資源でより多くのことが可能に

しかし、2020年と2021年に驚くべきIPOが行われたように、偉大な企業が今もなお創立されているのであれば、経営管理が優れているかどうかなど関係ないのではと思う読者もいるかもしれない。この理由は2つある。

まず第一に、才能あるエンジニアは信じられないほど不足している。少ないエンジニアでも同じ成果を上げられるにもかかわらず、余裕のある企業が優秀な人材を溜め込んでしまっていればイノベーションや米国経済の将来の繁栄に悪影響を及ぼすだろう。これでは十分に活用されていないエンジニアが平凡な職場に身を置くことになり、米国で最も差し迫った問題の1つである人材不足をさらに悪化させてしまう。その結果、世界のテクノロジー分野で一歩先を行く国としての能力が大きく制限されてしまう事になる。

コスト面の問題もある。この国のインフレがひどいと思っている人は、シリコンバレーの給与インフレを見てみるといいだろう。給与の額は歯止めが利かない状態になっており、生活費も同様だ。エンジニアたちはこの問題を認識しており、当然の権利としてそれを利用しているが、この問題が終わりのない悪循環を引き起こしてしまっている。当然これはビジネスにも影響を及ぼし、特にスタートアップはこの問題を解決するためにとんでもない額の資金を必要とすることになる。

シリコンバレーの企業には、経営に対する考え方を変える大きなチャンスがある。まず最初のステップは、経営管理を受け入れ、アカウンタビリティと損益計算書を通してビジネスを考えることのできる人を雇い、その人物を創業者が自分の周りに置くことから始まる。マネジメント経験のあるリーダーを採用するか、またはマネジメントコーチやコンサルティング会社のサポートを受けるといい。エンジニアがもう1人必要だと感じたとき、本当に必要なのは今いるエンジニアの能力をより引き出すためのマネージャーなのではないかと、一歩立ち止まって考えてみて欲しい。

そして第二に、リーダーは既存の人材の育成と管理に注力すべきである。例えば、従業員に適切な成長機会を与えること、チームを再編成すること、目標を設定し、リーダーと従業員が同様に目標達成の責任を負うことなどが挙げられる。

私が提案しているのはパラダイムシフトであり、それには時間がかかるだろう。もちろん、1社や2社がより良い管理方法を導入したところで、この問題が一夜にして改善されることはない。

しかし、現在のシリコンバレーのワークカルチャーも、ごく一部の企業から生まれ、そこから発展してきたのである。今後10年の間に管理の行き届いたAmazonのような企業が増えてくれば、シリコンバレーの文化は完全に改善され、その結果この業界、そして国全体の管理方法も変わってくるのではないだろうか。

編集部注:本稿の執筆者George Arison(ジョージ・アリソン)死は、オンライン中古車市場「Shift」の共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Marti Barraud / Getty Images

原文へ

(文:George Arison、翻訳:Dragonfly)

Sony AI、AIレースゲーマー「グランツーリスモ・ソフィー」の進歩発表、人間の世界トップランカーをしのぐスキルを学習

Sony AI、AIレースゲーマー「グランツーリスモ・ソフィー」の進歩発表、人間の世界トップランカーをしのぐスキルを学習Sony AIが、AIレースゲーマー『Gran Turismo Sophy』(グランツーリスモ・ソフィー、GT Sophy)が人間のグランツーリスモトップランカーとの対戦において勝利するまでにドライビングが上達したと発表しました。

GT SophyはSony AIが開発した最先端の深層強化学習アルゴリズムと学習シナリオを用い、PlayStation 4用レーシングシミュレーター『グランツーリスモ Sport』の環境でマシンコントロール、レーシングテクニック、そしてレースの競技におけるエチケットといった生身のドライバーが練習によって身につけるスキルを学習しています。

Sony AIの北野宏明CEOはGT Sophyが「AIの大きな発展の形であり、単に人間のプレイヤーより優れたシステムを作るのでなく、プレイヤーのテクニックや創造性を加速させて次のレベルへと引き上げられる刺激的な対戦相手になることを目的としている」と述べています。

またSony AI COOのMichael Spranger氏は、AIにグランツーリスモSportで競争力を発揮させるには、物理的な限界でマシンをコントロールし、ブレーキと加速のポイントを最適化し、コース上で最後の1/10秒を絞り出す正しいラインを見つけることを学ぶ必要がありました。そして、コース上を走る他車の動きや高速走行時に互いに影響し合う空力的な作用などを考慮しつつ他者を追い抜く走り方ができるようにする必要があったとしています。

Sony AI、AIレースゲーマー「グランツーリスモ・ソフィー」の進歩発表、人間の世界トップランカーをしのぐスキルを学習

Spny AI / Gran Turismo Sophy

そして、こうした人間でもなかなかできない処理をAIにさせるために、深層強化学習が用いられたとのこと。

GT Sophyは車の走行速度や加速度、コース内外の境界線や周囲を走る他車との相対的な位置関係、コース上のマシンの進行状況といったパラメーターをシステムから受け取り、ステアリング確度やアクセルおよびブレーキ踏力といった操作を学習してゆきました。そして、上手く走行できているときにはそれを肯定するシグナル、つまり報酬(リワード)をAIに与え、逆に拙い走りを見せたときにはネガティブなシグナルを与えるようにしました。

このようにして鍛えあげたAIは、2021年3月からは元グランツーリスモトッププレイヤーを含む人間のドライバーが操作する車両との混走でテストレースを始め、7月と10月には世界トップのグランツーリスモ使いたちを相手に互角といって差し支えないレースを展開するに至りました。

特に、10月の対戦では3レースすべてでGT Sophyが1~2位を独占したほか、7月の時には人間に敗れた総合得点でも勝利を収めています。

ただし、同じアルゴリズムであるにもかかわらず、すべてのGT Sophyが好調だったわけではありません。あるAIは前走車の追い抜きのタイミングを計り損ねてアンダーステアを出し、そのままカーブを曲がりきれずにウォールに激突する不様な形でリタイアしていました。

つまり、AIは最速で走れるよう、あらかじめプログラムされていたわけではなかったことも合わせて証明されたといえるでしょう。

ソニーグループの吉田憲一郎CEOは、この技術開発は「ゲームプレイヤーに新しい経験を提供しようとするゲームデベロッパーのもとにAIをもたらすということ」だと述べています。

GT Sophyは『グランツーリスモSport』上で開発されたAIですが、約3週間後に発売となる『グランツーリスモ7』にもアップデートで追加搭載予定とのこと。

これまで、我々一般のプレイヤーが上達するには、とにかくオンラインレースへの出走を繰り返して、他のドライバーの間合いの取り方や詰め方、コースのライン取りなどを盗みつつ自分なりに速い走法を探っていく必要がありましたが、もしかしたら今後はAIの走りを逆に人間のドライバーが学ぶような時代に変わっていくのかもしれません。

(Source:Gran Turismo SophyNatureEngadget日本版より転載)

【レビュー】Galaxy S22 Ultra、サムスンのファブレットNoteは永遠の眠りにつき「Ultra」として生まれ変わる

Noteは死んだ。10年以上経て、Samsung(サムスン)は正式に革新的なファブレットに幕を下ろした。ブランドは今後も存続するが、それは限定的なマーケティングに止まるだろう。「私たちはNoteをもっと体験してもらうという考え方が強くなっています」と先の説明会で担当者は言っていたが。

Noteが眠りにつくとき、Unpackedイベントの影から見慣れた人物が姿を現した。まるでよくあるメロドラマのように、登場人物は悲劇的な死を迎えるが、デウス・エクス・マキナ、その俳優(まだ契約中)は以前のシーズンでは設定さえなかった一卵性双生児として再び登場する。これがGalaxy S22 Ultraだ。

Galaxy Sシリーズのハイエンドモデルは、悲劇的な死を遂げた兄弟と一緒に、Lucille Ball(ルシル・ボール)とHarpo Marx(ハーポ・マルクス)の鏡があるかのような芸を簡単に実現することができる。今回のイベントまで、私は新しいデバイスに触れる(そして写真を撮る)機会があった。初期の画像ではよくわからなかったが、製品を少し使ってみたことで、Galaxy S 22 Ultraは、あらゆる意味でNoteだと確信を持っていうことができる。

画像クレジット:Brian Heater

確かに同社はここ数世代、境界線を曖昧にすることに費やしてきた。Galaxy Sのラインナップはサイズアップを続け、2021年のUltraでSペン機能を追加された。もちろん、Sペン用スロットがない状態でのSペン対応は、まぁ控えめにいっても不便なものだ。しかし、そこでスマートフォンににスタイラススロットを追加すると、別のNoteになってします。2つのモデルはDNAを共有しており、そのルック&フィールは、丸みを帯びたエッジに至るまで、100%Noteのものである。

私なら、その名称を「Samsung Galaxy S 22 Note」にしただろう、いや「Galaxy Note 22」だ。私は「Galaxy Note」は「Galaxy S」よりもブランド認知度が高いのではないかと思うが、マーケティングの専門家ではない。残念なことに、Samsungの誰かがGalaxy SシリーズはNoteブランドを静かに忘れてしまうほど十分に強力だと判断したのだ。

画像クレジット:Brian Heater

ブランドは複雑で、サムスンは多くのスマートフォンを製造している。そのフォルダブルがフラッグシップモデルの地位を獲得したことで、同社は物事を少し統合することを選択し、最終的にGalaxy SシリーズにNoteを吸収することは、その逆よりも理に適っている。しかし、これはSシリーズによる完全なNoteの乗っ取りではない。スタイラス機能はまだUltra専用で、モデル間の境界線を維持するために、このままだろうと同社は述べている。

Noteシリーズは、ポストiPhoneの世界でスタイラスを再普及させるのに非常に効果的だった、私たちの多くが予想していた以上に。しかし、結局のところスマートフォン全体のパズルの中では、まだ比較的ニッチな存在であることには変わりがない。また、ワコムのデジタイザーをディスプレイパネルに追加し、スタイラスを統合することで、製品のコストが増加している。

  1. CMC_0794

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  2. CMC_0795

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  3. CMC_0799

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  4. CMC_0800

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  5. CMC_0803

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  6. CMC_0810

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  7. CMC_0812

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  8. CMC_0813

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  9. CMC_0814

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  10. CMC_0816

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  11. CMC_0820

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  12. CMC_0823

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  13. CMC_0825

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  14. CMC_0827

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  15. CMC_0828

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  16. CMC_0829

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  17. CMC_0840

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  18. CMC_0849

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  19. CMC_0864

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  20. CMC_0868

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  21. CMC_0869

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  22. CMC_0871

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  23. CMC_0882

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  24. CMC_0883

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  25. CMC_0894

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  26. CMC_0896

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  27. CMC_0899

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  28. CMC_0904

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  29. CMC_0916

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  30. CMC_0919

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)

S22 Ultraの価格は1199ドル(約13万8700円)で、Note 20とNote 20 Ultraの中間になる(前者に100ドル[約1万1600円]近い)。そのため、6.8インチのディスプレイも同様だ。QHD+は120Hzのリフレッシュレートで、S22シリーズ(S22+は6.1インチ、S22は6.6インチ)に共通する優れた機能だ。スペック的には、1000ドル+αを支払って期待されるほど堅牢なものだ。

米国では、新しいSnapdragon 8 Gen1プロセッサを搭載している。これは市場によって異なるが、5000mAhの大容量バッテリーも同様だ。8GBのRAMでストレージは128GBまたは256GBだ。背面のカメラはあなたのトライポフォビア(集合体恐怖症)を引き起こすのに十分すぎるほどの性能を持つ。

画像クレジット:Brian Heater

12メガピクセルの超広角カメラ、100倍のスペースズームの10メガピクセルの望遠レンズ(3倍光学ズーム、10倍光学ズーム)、そして108メガピクセルの広角カメラでノンビニングを採用して9つのピクセルを1つに統合している。8K動画は24コマ/秒、4K動画は60コマ/秒での撮影が可能だ。低照度での撮影や動画が改善された他、新しい深度マップによりポートレートモードの撮影が向上している。一方、標準のS22とS22+は、背面カメラシステムを3つ(超広角、広角、30倍スペースズームのシングルテレ)に減らしています。フロントのセルフィーカメラは3モデルとも40メガピクセルのカメラを搭載している。

これらのモデルはCorning Gorilla Glass Victus+を採用し、アーマーアルミフレームと相まって保護性能が向上している。また、より持続可能なハードウェアの生産に向けた同社の幅広い取り組みの一環として、漁網を再利用して「部分的」に作られたプラスチックが利用されている。Samsungは次のように述べている。

これらのデバイスは、使い捨てプラスチックを排除し、リサイクルされたポストコンシューマー材料(PCM)や再生紙など、他の環境配慮材料の使用を拡大するための継続的な取り組みを反映するものです。このような変革により、Galaxyテクノロジーの未来は、最先端の製品設計をもたらし、より良い環境への影響をもたらすでしょう。

画像クレジット:Brian Heater

新モデル「S22」は米国では本日より予約受付を開始し、2月22日より発売を開始する。1119ドルのUltraに加え、S22は799ドル(約9万2400円)から、S22+は999ドル(約11万5500円)からとなっている。今回のイベントでさらに、新しいタブレットも3モデル発表された。Galaxy Tab S8、S8+、S8+も本日予約開始で、それぞれ1099ドル(約12万7100円)、899ドル(約10万4000円)、699ドル(約8万800円)となる予定だ。

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

順天堂大学医学部は2月9日、花粉症予防のための研究用スマートフォンアプリ「アレルサーチ」(Android版iOS版)をアップデートし、2つの新機能を追加した。これにより、ユーザーは自分自身の花粉症タイプに合わせた効果的な予防や対策が行えるようになるという。

順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範准教授らからなる研究グループが提供する「アレルサーチ」は、本来は花粉症に悩むユーザーからの情報を収集し、花粉症研究ビッグデータを構築することを目的とした研究用アプリだ。花粉症の自覚症状のアンケートや画像診断、生活習慣などの情報を、同意のあったユーザーから集めている。

それと同時にユーザーは、目の赤みの画像診断やアンケートから花粉症レベルを数値化して示す「花粉症レベルチェック」、地域ごとの花粉症レベルを地図上に示す「みんなの花粉症マップ」、花粉飛散情報、花粉症と生産性の関係の数値化、花粉症レベルチェックや労働生産性レポートを確認できる「みんなの花粉症ダイヤリー」といったサービスが利用できる。

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

画像左:アプリのダッシュボード。画像右:アンケート結果や目の赤みの画像診断から花粉症症状と生産性の数値化

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

画像左:みんなでつくるリアルタイムの「みんなの花粉症マップ」。画像右:花粉症症状を日記化「花粉症ダイアリー」

そこに今回、「花粉症タイプの見える化」と「おすすめの花粉症対策提案」という2つの機能が加わった。「花粉症タイプの見える化」は、個人差の大きい花粉症症状をグラフで可視化し、適切な治療や自己管理に役立てるというもの。「おすすめの花粉症対策提案」は、ユーザーの花粉症タイプに基づく予防行動を提案してくれるというものだ。

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

猪俣氏は、今回のアップデートにより「ユーザーのQOLの向上のみならず、保険診療である花粉症をセルフメディケーション(自己管理)にシフトさせることで、医療費削減にも大きく貢献できることを期待しています」と話している。

研究グループは、患者と市民の参画を進めている。このアップデートも、公募によって組織された「患者・市民委員」の意見交換会を重ねながら実現させたものだ。また、委員会による「アレルサーチ」の評価が、質問項目やインターフェイスの改善につながっているという。

「アレルサーチ」は、Android版iOS版があり、それぞれGoogle Play、App Storeから無料でダウンロードできる。

24時間365⽇スマホで医師に相談できる医療相談アプリLEBERを手がけるリーバーが資金調達、累計調達金額10億円突破

24時間365⽇スマホで医師に相談できる医療相談アプリLEBERを手がけるリーバーが資金調達、累計調達金額10億円突破

医療相談アプリ「LEBER」(リーバー。Android版iOS版)を手がけるリーバー(旧AGREE)は2月10日、融資を含む資金調達を実施したと発表した。引受先はLITALICO、CBC、常陽キャピタルパートナーズなどの6社。累計調達金額は10億円を突破した。引き続き2022年8月末まで資金調達を実施するという。

調達した資金は、LEBERの提供体制の強化にあて、感染症発生状況の調査・集計により感染症の蔓延と予防に役立てる「感染症AIサーベイランス」の実現を図る。感染症AIサーベイランスとは、学校保健領域において毎日収集される健康観察データを基にクラスター発生を予測し、早期に対策を行うことでその発生を予防するシステムという。

LEBERは、24時間・365⽇スマホで医師に相談できる「ドクターシェアリングプラットホーム」の機能と、健康観察ができる機能を備えるアプリ。現在300⼈以上の医師が登録しており、外出⾃粛などで病院・クリニックに⾏きにくい⽅もアプリを通じ医師に相談できるようにしている。

また⼀般向けのLEBERに加えて、教育機関に毎⽇の検温結果と体調、出⽋席の報告ができる「LEBER for School」(6カ国語対応)、企業向けに検温・体調報告とストレスチェックを組み合わせられる「LEBER for Business」(6カ国語対応)も全国で導⼊を進めているという。24時間365⽇スマホで医師に相談できる医療相談アプリLEBERを手がけるリーバーが資金調達、累計調達金額10億円突破

リーバーは、「いつでも。どこでも。誰にでも。」を掲げ、医師でもある代表取締役の伊藤俊⼀郎氏が遠隔医療相談サービスを⾏うべく2017年2⽉に設立。すべての⼈々に適切な医療が⾏き渡るよう努めるとしている。

Uber、2021年の売上高を力強く伸ばし調整後の収益性も改善

Uber(ウーバー)は米国2月9日、取引開始直後に2021年第4四半期決算を発表した。プラットフォーム総支出は259億ドル(約2兆9915億円)で、前年同期比51%増だった。売上高は57億8000万ドル(約6676億円)で同83%増となった。また、GAAPベースの純利益は1株当たり0.44ドル(約50円)だったが、この数字には投資に関する営業外項目が含まれている。

Yahoo Financeに掲載された予想によると、アナリストは売上高53億4000万ドル(約6167億円)に対して1株当たり0.35ドル(約40円)の損失を計上すると予想していた。Uberの株価は、決算発表直後から6%弱上昇している。

Uberの主要事業の売上高を部門ごとに見ると、以下のようになる。

上記の数字には、Uberの多様性が存分に表れており、配車事業はUberの主要部門の業績の中で最も成長率が低く、配達事業に収益の王座を奪われてさえいる。しかし、かなり調整されたEBITDAに目を向けると、状況は一変する。

Uberの配車事業は、同社のコーポレート部門が請求できるマージンを生み出すという点では、依然としてトップであることがわかる。一方、配達事業と貨物輸送事業は同四半期に事実上、相殺している。しかし、Uberにとって調整後EBITDAがプラスになったことは、配達事業の黒字化が少なからず寄与してかつてのような赤字体質から脱却したことを示す有用な指標だ。

UberのライバルであるLyft(リフト)は2月8日、調整後黒字を計上し、売上高が予想を上回った第4四半期決算を発表した。UberとLyftの株価は通常取引で上昇した。

上記のニュースは概してポジティブなものだが、より伝統的な指標ではUberは依然として採算が取れていない。例えば、2021年第4四半期の同社の営業損益は5億5000万ドル(約635億円)の赤字になった。しかし、14億7000万ドル(約1697億円)の「その他」収入がその赤字を補って余りある。その他収入とは何なのか。同社によると、この項目は「主にUberのGrab(グラブ)とAurora(オーロラ)の株式投資の再評価に関連する含み益の合計によるもので、UberのDidi(ディディ)の株式投資の再評価に関連する含み損で一部相殺された」ものだという。

歓迎すべきことではあるが、これらの利益は四半期単位で持続することはなく、Uberの事業はすべての経費を営業成績に織り込むと依然として採算が合わないことを暗に示している。以前ほどではないが。この状況を見る良い方法は、1年当たりの営業現金燃焼だ。2020年のUberの事業は27億5000万ドル(約3176億円)を使い、2021年の営業キャッシュフローははるかに少ないマイナス4億4500万ドル(約513億円)だった。

業績予想

Uberは2022年第1四半期に「250億〜260億ドル(約2兆8875億〜3兆30億円)」の総プラットフォーム支出を「1億〜1億3000万ドル(約115〜150億円)」の調整後EBITDAを見込んでいる。総プラットフォーム支出は2021年第4四半期実績と比較して横ばいか若干のマイナス、調整後EBITDAの数値は8600万ドル(約99億円)だった第4四半期実績から若干の改善となる。

もちろん、業績発表後にさらに詳細が明らかになるが、これが最初の概要だ。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

Mirantis、Docker Enterpriseの資産買収から2年間でランレート約115.6億円超えの大成功

2019年、DockerDocker Enterpriseを売却すると発表したときは誰もが驚いた。もっと大きな驚きは、買い手がMirantisだったことだろう。同社はそれまで、OpenStackプロジェクトの商用化で知られていた。

売却後のDockerは開発者を主対象とする企業へと方向性を変え、先週、5000万ドル(約57億8000万円)の年間経常収益を報告した。今週、MirantisのCEOであるAdrian Ionel(アドリアン・イオネル)氏がTechCrunchに、同社が前四半期に2800万ドル(約32億4000万円)の経常収益を得て、ランレートは1億ドル(約115億6000万円)をゆうに超えるだろうと語った。

イオネル氏によると、その売上はおよそ半分がDockerから得た資産、具体的にはDocker Enterprise Engine、Docker Trusted Registry、Docker Unified Control PlaneそしてDocker CLIなどとなる。そして残り半分が同社の買収前の本業だったKuberentes上のクラウドプラットフォームツールだ。なお、同社は2020年にKubernetes用のIDEであるLens買収しており、これも売上に貢献している。

しかし基本的にはDockerとMirantisはともに、買収の効果として年間経常収益5000万ドルのラインに達しており、Dockerの方はエンタープライズプロダクトを売却した後の経営努力として、そしてMirantisはDockerのエンタープライズアセットから、どちらも大きな売上を得ている。両者とも、買収から2年後にほぼ同額の取引効果を得ていることは極めて稀だが、しかしイオネル氏によると、当時はそれを知るすべもなかったという。

「信じられないほどすばらしい旅路でした。そのスタートは、2019年11月に契約に署名したことです。当時は、それが今後どうなるかを誰も知りませんでした」とイオネル氏はいう。何よりもまず、最初に作り出されたのは、この買収が同社の未来にとって何を意味するのかに関する顧客たちの混乱だ。しかしイオネル氏によると、同社のビジョンが複数のプロダクトの組み合わせとそれがもたらす効果にあることを、顧客はすぐに理解した。

「多くの人が、プロダクトのビジョンをとても早く、理解し共有してくれました。私たちがこれから新しい企業を作ろうとしていること、それが私の考える中心的なテーマであることをみんな理解しました。それは単に、MirantisがDocker Enterpriseを買収したという話ではありません。むしろ、両社のアセットを有効利用して新しい企業を作り、フレッシュでより強力な企業として立ち上がることでした」。

これらのアセットを買うメリットについては、取締役会も議論した。「買収前には取締役会で激しい議論がありました。ご想像どおり、うまくいかない買収の方が多いためです。しかしこれは、大成功でした。株主たちが持つ価値がものすごく増えました。私たちにとってはKubernetesとの旅路が加速され、未来につながったという意味で、すばらしい賭けでした」とイオネル氏はいう。

関連記事:Kubernetesの統合開発環境のLensをMirantisが買収

しかし買収が完了した後の航行は、楽なものではなかった。まず買収した企業の40%をレイオフしなければならなかった。イオネル氏は、当初は辛かったと認める。しかしエンジニアリングとビジネスファンクションを1つの傘の下にまとめることによって費用を節約し、その後の成功に導くことができた。

イオネル氏によると、Mirantisは過去2年間キャッシュフローがプラスで、その間に1900万ドル(約22億円)以上の現金を生み出しているという。Apple、Visa、Booking.comなど、合併時点で300の顧客との関係を拡大し、その過程で100の新規顧客を追加した。

イオネル氏自身も、Docker Enterpriseの買収がこれほどうまくいくとは考えなかった。「すばらしい旅路だったが、ときには難題もあった。それは主に、Docker Enterpriseの事業を再構築する過程だったが、決断力を重視して迅速にそれを行った。現状の好結果を見れば、成功だったといえるでしょう」。

画像クレジット:Suriyapong Thongsawang/Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフト、アクティビジョン・ブリザード買収の規制対策でMicrosoft Storeがオープンであることを表明

Microsoft(マイクロソフト)は、世界有数の人気ビデオゲームの数々を傘下に収める計画に対する議会の圧力を和らげようとしている。同社は2022年1月、Activision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)を687億ドル(約7兆9400億円)で買収する意志を表明した。実現すれば史上最大規模のゲーム買収になる。

この買収は必ずしも不幸な運命にあるわけではないが、今はMicrosoftにとって規制当局の注目を引くことがリスキーな時期だ。米国では、議員と規制当局がこのテック巨人の同業者たち、具体的にはMeta(メタ、前Facebook)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)らに強く焦点を合わせている。ソーシャルネットワークや広告、オンラインマーケットプレイスに関する議論の中にMicrosoftの名前は出ていないため、これまでこの巨大企業はそのサイズにも関わらずかろうじて当局の網の目をくぐってきた。

しかしActivision Blizzardとの取引が審議の対象になると、それが続く可能性は低い。2022年2月初めにBloomberg(ブルームバーグ)は、この買収提案がFTC(連邦取引委員会)の審査を受けるだろうと報じた。現在のFTC委員長であるLina Khan(リナ・カーン)氏は、過熱するテック業界の統合を破壊することに精を出している反トラスト学者だ。

MicrosoftのBrad Smith(ブラッド・スミス)プレジデントは、2月9日のブログ投稿で、規制当局の話題に直接触れ、あくまでも協調的な姿勢を打ち出しながら、規制当局の提案を受けて同社が採用する予定の「Open App Store Principles(オープンアプリストア原則)」の概要を示すとともに、世界で最も人気のあるゲームタイトル群を手に入れる同社自身の計画を発表した。

Microsoftは、この新たな方針を規制の変化に適応するための予防的取り組みであると説明しているが、同時に、連邦政府がこの買収を承認することへのアピールであることは明白だ。

生まれつつある新時代のテック企業規制は利益とリスクの両方をもたらす、と私たちは認識しています。それは1つの企業にとってだけでなく、私たちの業界全体にとってのことです。すでに指摘されているように、どんな新たな規制にもリスクがあり、公正なヒアリングと十分な検討が必要です。しかし当社は一企業として、規制と戦うのではなく順応することに今後も焦点を当てていきます。当社が20年にわたり反トラスト法を遵守し、自らの経験から学んで来たことが理由の1つです。変わることは簡単ではありませんが、新しいルールに順応し、革新を起こすことは可能であると私たちは信じています」

スミス氏がここで提示した原則は、規制当局の関心対象である問題にいくつも触れており、アプリストアのデータを使ってデベロッパーと競争しないこと、自己優先を行わないことへの誓約も含まれている。さらに同社は、自社の決済システムの使用をデベロッパーに強要しないこと、あるいは他のプラットフォームでの有利な取引についてデベロッパーが顧客とやり取りするのを妨げないことも約束している。

Microsoftは、一連のオープン化原則はWindows(ウィンドウズ)向けに作ったガイドラインを改変したものだが、Xboxにも「今日から」適用するつもりだという。気になるのは、同社が約束した中に、Microsoft Storeでの決済オープン化に関する重要事項が入っていないことだが、他の原理を実行に移すことで穴埋めしていくつもりだと話した。

当社は、アプリストアのデベロッパーがアプリ内決済で我々の決済システムを使用することを強要しません。

当社は、アプリストアのデベロッパーが、我々のアプリストアで他のアプリストアよりも有利な条件を提供することを強要しません。

当社は、当社以外の決済処理システムを使用する、あるいは他のアプリストアで異なる取引条件を提供することを選択したデベロッパーをに不利に扱いません。

当社は、デベロッパーが価格設定や提供するプロダクト、サービスなど、合法的ビジネス目的のために、自社アプリを通じて顧客と直接やり取りすることを妨げません。

スミス氏はさらに、今回の取引を巡る懸念のいくつかについても直接答えた。同氏は、取引が成立した場合でも、「Call of Duty(コール・オブ・デューティー)」はSony(ソニー)のPlayStation(プレイステーション)で「既存および将来の契約に関わらず」引き続きプレイ可能であることを確認した。これでSonyコンソールのオーナーが置き去りにされる心配はなくなった。

「Nintendo(ニンテンドー)の成功しているプラットフォームのサポートにおいても同様の手段を講じる予定です」とスミス氏は書いている。「業界にとってもゲーマーにとっても当社のビジネスにとってもこれが正しい行動だと信じています」。

スミス氏は「Activision Blizzardの他の人気タイトル」も同じ扱いを受け、ただちにMicrosoft独占になることはないことを強調した。「Call of Duty」以外に、Activision Blizzardとの契約には、「OVerwatch(オーバーウォッチ)」「World of Warcraft」「Diablo(ディアブロ)」「Starcraft(スタークラフト)」「Hearthstone(ハースストーン)」「Candy Crush(キャンディークラッシュ)」など数多くのヒットゲームが含まれる。

ゲーム・コンソール戦争は新時代に入った

Microsoftがこの巨大契約を、ゲーマーをゲーミング方程式のXbox側に引き寄せるために使わないことはとても考えられないが、ゲーム機戦争はかつてほど重要ではなくなっている。少なくとも、我々がこれまで考えていたような意味では。

Epic(エピック)対Apple(アップル)裁判の際、Microsoftはハードウェア販売には補助金を出しており、Xboxコンソールで利益を上げていないことを認めた。ゲーム売上とゲームサブスクリプションサービスが、実際にゲーム機メーカーが利益を上げる仕組みではあるが、ハードウェアもまったく関係ないわけではない。アプリモデルとよく似て、ゲーミングでも顧客をソフトウェアストアに呼び寄せ、確保し続けることがすべてだ。みんなの欲しがるハードウェアを作ることは、そのための主要な手段の1つだ。

ユーザーが他のメーカーのコンソールでゲームをプレイすれば、そのライバルは分け前(30%が標準的)を受け取るが、それでも自分たちは利益を得る。Microsoftにとって、彼らのゲーミングエコシステムをどこまでオープンにすべきかは、その計算と、ヒットタイトル(特にサブスクリプションとゲーム内購入のあるもの)を他のプラットフォームでもプレイ可能にしておくことによる顧客ベースの拡大との均衡がすべてだ。

スミス氏はブログでこの現実を明確に認め、アプリストアはゲーム業界の未来でも現在でもあると指摘した。「Windowsがオープンで広く使われるプラットフォームへと進化してきたように、ゲーミングの未来も同様の道をたどると私たちは見ています。【略】私たちのビジョンは、ゲーマーがどのゲームもどのデバイスでもどこででもプレーできるようにすることで、クラウドからのストリーミングもその1つです」とスミス氏はいう。

もちろん現在のアプリストアの仕組みは将来の変更対象だ。現在、議会を通過しようとしている反トラスト法案、American Innovation and Choice Online Act(米国のオンラインでのイノベーションと選択に関する法案)は、企業が自社プラットフォームで自己を優先的に扱い、競合相手を不利な立場に置くことを明示的に禁止するだろう。別の法案、Open App Markets Act(オープンなアプリ市場法案)もソフトウェアプラットフォームが過去10年間追求してきた壁に囲まれた庭を取り壊そうとしている。両法案とも、2022年1月に委員会を通過しており、Microsoftのような企業に重くのしかかる可能性は高い。たとえ、アプリストアや他のソフトウェアマーケットプレイスを崩壊させかねない一連の変更がゲーミングプラットフォームを対象としないとしても。

「私たちはワールドクラスのコンテンツがあらゆるプラットフォームを通じてすべてのゲーマーにもっと簡単に届くようにしたいのです」とスミス氏は書いた。「コンテンツ制作におけるイノベーションと投資が増え、流通の制限を減らすよう私たちは推進していきます。要するに、世界にはオープンなアプリ市場が必要であり、それにはオープンなアプリストアが必要なのです」。

関連記事
モバイルアプリのアプリストア支配の打破で上院が新法案
テック大企業をターゲットにした米国初の独禁法案が現実味を帯びてきた

画像クレジット:Anadolu Agency / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

スペースX、スターリンク衛星コンステレーションによるサービスをインターネット断絶のトンガに提供すべく活動中

SpaceXがStarlink衛星コンステレーションによるサービスをインターネット断絶のトンガに提供すべく活動中

New Zealand Defense Force via Getty Images

SpaceXは、1月15日に発生した大規模噴火で甚大な被害を受けたトンガのインターネット環境回復のために、Starlinkの衛星コンステレーションによるブロードバンドサービスを提供すべく協力していると報じられています。

現在、SpaceXはフィジーに衛星インターネット通信局を設置している最中で、ここを中継点としてトンガへインターネット回線を延伸させようとしているとのこと。インターネットが通じたとしてトンガの人々がどのようなサービスを期待すれば良いかはよくわかりませんが、現在世界25か国でパブリックベータサービスを提供しているStarlinkサービスにとって、トンガやフィジーへの接続は、回線敷設の手間が大きく省ける衛星ブロードバンドの利点を広く宣伝する良い機会になると考えられます。

噴火で途切れた海底インターネットケーブルの復旧にはまだ数週間ほどかかるとされており、トンガ政府にそれまで通信環境の回復を待てない事情があるのであれば、SpaceXにさらなる支援を求めることもありそうです。また海底ケーブル復旧後も今回の災害のような不測の事態に備えるためのバックアップとして、衛星インターネット環境はトンガのような絶海の島国でこそ求められるインフラとも言えそうです。

ただし、トンガは1月下旬に契約の解釈のもつれからサービスを提供していなかった衛星通信企業Kacific Broadband Satellitesに対して通信開通の許可を出しており、SpaceXがそこへ割り込む格好になることであらぬ競争が発生することになる可能性もないわけではありません。

(Source:Wall Street JournalEngadget日本版より転載)

スペースX、スターリンク衛星コンステレーションによるサービスをインターネット断絶のトンガに提供すべく活動中

SpaceXがStarlink衛星コンステレーションによるサービスをインターネット断絶のトンガに提供すべく活動中

New Zealand Defense Force via Getty Images

SpaceXは、1月15日に発生した大規模噴火で甚大な被害を受けたトンガのインターネット環境回復のために、Starlinkの衛星コンステレーションによるブロードバンドサービスを提供すべく協力していると報じられています。

現在、SpaceXはフィジーに衛星インターネット通信局を設置している最中で、ここを中継点としてトンガへインターネット回線を延伸させようとしているとのこと。インターネットが通じたとしてトンガの人々がどのようなサービスを期待すれば良いかはよくわかりませんが、現在世界25か国でパブリックベータサービスを提供しているStarlinkサービスにとって、トンガやフィジーへの接続は、回線敷設の手間が大きく省ける衛星ブロードバンドの利点を広く宣伝する良い機会になると考えられます。

噴火で途切れた海底インターネットケーブルの復旧にはまだ数週間ほどかかるとされており、トンガ政府にそれまで通信環境の回復を待てない事情があるのであれば、SpaceXにさらなる支援を求めることもありそうです。また海底ケーブル復旧後も今回の災害のような不測の事態に備えるためのバックアップとして、衛星インターネット環境はトンガのような絶海の島国でこそ求められるインフラとも言えそうです。

ただし、トンガは1月下旬に契約の解釈のもつれからサービスを提供していなかった衛星通信企業Kacific Broadband Satellitesに対して通信開通の許可を出しており、SpaceXがそこへ割り込む格好になることであらぬ競争が発生することになる可能性もないわけではありません。

(Source:Wall Street JournalEngadget日本版より転載)

Tumblr、ブロガーが小遣い稼ぎできるTip Jar機能を開始

Tumblr(タンブラー)は米国時間2月9日、収益化機能で2度目の試みを開始する。米国で展開が始まり、そして間もなく全世界で利用できるようになるTumblr Tipsでは、ブロガーはサポーターから1回限りの支払いを受け取ることができる。

Tumblrは、こうしたチップから利益を得ることはないが、通常のクレジットカード手数料(2.9%+ 0.30ドル[約35円])が適用される。チップ機能はウェブ、iOS、Androidで利用できるものの、モバイルでのチップ促進はApple(アップル)とGoogle(グーグル)の内部課金システムに依存しないため、クリエーターが手数料によって余分に30%を失うことはない、とTumblrは説明した。

ユーザーは、クリエイターにチップを渡す際、メモを添えることができる。匿名でのチップも可能だが、その場合、メッセージを残すことはできない。チップは1回につき最大100ドル(約1万1500円)だ。

Tip Jarのようなこの機能は、Tumblrが2021年秋に開始したPost+に続くものだ。Post+ではユーザーは月額料金を支払って公開限定の投稿にアクセスできるようになったが、Post+はプラットフォーム上で大歓迎されたわけではなかった。Tumblrの人気クリエイターの多くは、外部のPatreonやKo-Fiアカウントにリンクしてコンテンツを収益化しているにもかかわらず、Tumblrに収益化機能を搭載するというアイデアにユーザーは反発した。Tumblrがユーザーにファンフィクションの収益化を促すことの合法性を心配する声もあれば、Post+のベータ版ではクリエイターが購読しているユーザーをブロックすることができず、安全性に問題がある可能性があると指摘する声もあった。Post+機能のテストに協力したあるブロガーは、殺害脅迫の標的にまでされ、Tumblrが介入して標的型攻撃を非難する事態になった。

関連記事
TumblrがZ世代のクリエイターのためのサブスクサービスPost+を開始
ファンの楽園に異変、Tumblrのベータサブスクリプション機能にユーザーが猛反発

このブロガーKaijunoは7月に「私はコンテンツにお金を払うオプションを提供することで医療費を払おうとしていましたが、TumblrがPost+を事前に発表せず、数人にしか提供しなかったため、私は非常に腹を立てているユーザーの矢面に立たされ、生贄のようになったと感じました」とTechCrunchに語った。「ユーザーはTumblrのあらゆる種類の変更を嫌うので、何らかの反発があることはわかっていましたが、反発の矛先はスタッフに向けられ、ベータテスターはそのほとんどから免れるだろうと考えていました」。

最初のPost+の発表後、一部のTumblrユーザーはTechCrunchに、Post+のようなサブスクリプション機能よりも、有料化したいコンテンツを作成した場合にのみ機能するTip Jar機能の方を好むと語った。当時、元Tumblr社員もTechCrunchに、Post+になった機能は最初はTip Jarとしてスタートしたと語っている。この情報源の人物は、コミュニティと直接仕事をしないTumblrの上層部が、このプロジェクトを有料のサブスクリプション製品を作る方へと方向転換させたと主張した。

つまり、Tumblrはクリエイターのフィードバックを受けて、最終的にTumblr Tipsを導入したようだ。しかし、Post+がベータ版として開始して以降、どの程度の成功を収めたかは不明だ。

「数字は開示しませんが、オープンベータ版ではより幅広いオーディエンスに扉を開放し、特に海外のクリエイターから多くの知見を得ました。新たに獲得したこうした知見は、2022年後半の本格的な展開に向けた準備に役立ちます」とTumblrのサブスクリプション製品責任者Bohdan Kit(ボフダン・キット)氏はTechCrunchに語った。

Tumblr Tipsは、Post+を補完する機能となることが意図されていて、Post+に取って代わるものではない。しかし、どちらかといえば、チップ機能はクリエイターとそのファンを購読サービスに取り込むのに役立つかもしれない。

Tumblrは2018年に重大なポルノ禁止令を出して以来、ユーザーベースの拡大に苦戦しているが、現在はTumblrがユーザーの48%を占めるとするZ世代向けのプラットフォームとして自らを宣伝している。今でもこのプラットフォームはミレニアル世代のノスタルジアの源であり続けている。基本的に他のすべての主要プラットフォームにはないものがTumblrにあるだろうか。エンゲージメントを最大化するためのアルゴリズムでシャッフルされていない逆時系列での投稿は、些細なものだろう。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

個人が寄付金管理口座を簡単に低コストで開設できるアプリ「Daffy」

シリコンバレーで活動する有名人Adam Nash(アダム・ナッシュ)氏は、あなたがもっと寄付をしたいと思っていると考えており、さらに「寄付」という行為をとてもシンプルなものにしようとしている。

そのようなメッセージを筆者はナッシュ氏と先週末に話をしたときに受け取った。同氏の直近のフルタイムの職務にはDropbox(ドロップボックス)の副社長と、財務顧問会社Wealthfront(ウェルスフロント)の社長兼CEOがあり、自動車eコマースプラットフォームShiftとAcornsの取締役も務めている。

実は、ナッシュ氏が現在構築しているDaffyという寄付のための新しい金融プラットフォームは、マイクロ投資アプリAcornsでの最後の役割がきっかけで生まれたものだ。DaffyはRibbit Capitalがリードし、XYZ Capital、Coinbase Ventures、50人以上の著名なエンジェル投資家(Reid Hoffman[リード・ホフマン]氏、Aaron Levie[アーロン・レヴィ]氏、Amy Chang[エイミー・チャン]氏など、リストは続く)が参加したシリーズAラウンドで1710万ドル(約20億円)を調達したばかりで、目的は人々がより頻繁に、もっと寛大になれるよう支援することだ。

具体的には、どう機能するのか。Daffyは、慈善寄付のための401(k)のようなものであるドナー・アドバイズド・ファンド(DAF)を開設して利用する、最も低コストで摩擦の少ない方法を提供している。DAFは、お金あるいは株式や暗号資産を寄付することで寄付時に税優遇を受け、その寄付金は管理された投資口座に移動し、時間の経過とともに増えることが期待されるものだ。後日、寄付者はその資金を自分の選んだ慈善団体に寄付する。

DAFは、超富裕層や、億万長者ではないが生活に困っていない人々の間で、含み益に対する課税を回避する手段として非常に人気がある。National Philanthropic Trust(NPT)によると、2021年時点で平均的なドナー・アドバイズド・ファンド口座は16万3000ドル(約1880万円)で、現在DAFには十分な資金(約16兆円超)が眠っており、2021年のDAFから適格慈善団体への助成金は推定346億7000万ドル(約4兆20億円)に達し、2019年に比べて27%増加した。NPTはこれを「ハイウォーターマーク (最高水準)」としている。

DaffyはDAFを開放することで、経済的なスペクトルを超えてより多くの人々が参加できるようにするつもりだとナッシュ氏は述べた。そのための第一歩は、より手頃な価格でアクセスできるようにすることだ。SchwabFidelityVanguardの顧客は現在、ドナー・アドバイズド・ファンドを設立することができるが、これらの金融大手はそれぞれ資産の0.60%の管理手数料を徴収しており、これは長期的に積み重なる可能性がある(Vanguardは最低寄付額2万5000ドル[約290万円]を口座開設要件としている)。

一方、Daffyは最低100ドル(約1万1550円)の寄付を一度だけ行う必要があり(あるいは、100ドルに達するまで毎週10ドル[約1155円])、寄付の金額にかかわらず、月3ドル(約350円)、年間36ドル(約4200円)の手数料を徴収する。この手数料は「より多くの費用がかかる」評価済みの株式や暗号資産も寄付する場合は月20ドル(約2300円)になるとナッシュ氏は説明する。しかし、その資産が相当なものであるなら、これはおそらくリーズナブルな設定だろう。

DAFがより広く採用されるための第2ステップは、アクセスを容易にすることだ。この点では、カリフォルニア州ロスアルトスを拠点とするDaffyは前進している。実際、Daffyのアプリは現在Apple App Storeからダウンロードでき、Daffyはこのプラットフォームで利用できる初の「フル機能」DAFだと主張している。

Daffyは現在、9つのファンドにアクセスできるようにしているが、今後さらに多くのファンドが登場する見込みだとナッシュ氏は話す。

この大きく成長する経済の一部に取り組んでいるのは、Daffyだけではない。Fidelityのような大手に加え、Y Combinatorのアクセラレータープログラムを最近終了したCharityVestのようなスタートアップも同じ顧客を追い求め始めている。

また、低コストであるため、どのように生き残り、成功するかという問題もある。それはそうとして、従来はもっと手数料の高いDAFを利用していたが、数千ドル(数十万円)とは言わないまでも数百ドル(数万円)の管理コストを節約するためにDaffyに乗り換えるような顧客を、Daffyがますます自社プラットフォームに引きつける可能性はありそうだ。

ケチな大富豪について質問されたナッシュ氏は、Daffyにはすでに「7桁」のポートフォリオを持つ顧客がいると述べ、Daffyがこれ以上高額の扱いをする計画はないと主張した。また、Daffyが提携するファンドから紹介料を受け取っていないこと、資産額に関係なくすべての顧客を歓迎することも明確にした。

おそらく、一部の顧客はロスリーダーと同氏は見ているのだろう。実際、多くの金融サービスのスタートアップと同様、DAFはDaffyが他の多くの商品を提供するための最初のステップであるように見える。しかし、同氏は、まだすべてを発表する準備ができていない。

「これは間違いなく、より大きなもののためのくさびですが、金融サービスを目的とはしていません」とナッシュ氏は語った。「これはメガバンクが手がけるものではありません。当社の使命は、人々がもっと頻繁に、そしてより寛大になり、自分より恵まれない人々のために積極的にお金を準備するのを助けることです。人々が寄付をする方法、組織が資金を調達する方法はたくさんあり、これらはすべて我々が非常に楽しみにしている分野です」と同氏は続けた。

しかし、今のところナッシュ氏は、Daffyをユーザーの毎日の習慣にすることに全力を注いでいる。それは野心的なことだと同氏は認めるが、人はテクノロジーの助けを借りてあらゆる種類のルーチンを確立するものだ。

「CalmやHeadspace、あるいは宗教関係のアプリなど、人々が自分の望む生活を送れるようにするためのアプリやサービスはますます増えています」とナッシュ氏は指摘する。多くの人が「なりたい自分になるために、サービスを利用しています」ともいう。それが寛大さ、慈善活動、チャリティーに適用されない理由はない。

画像クレジット:Dropbox

原文へ

(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

秘密計算エンジン「QuickMPC」の分析機能群に「勾配ブースティング決定木」を追加、秘密計算の活用の幅が拡大

Acompanyが秘密計算エンジンQuickMPCの分析機能群に「勾配ブースティング決定木」追加、秘密計算活用の幅が拡大

秘密計算(sMPC)システムの開発と提供を行うAcompany(アカンパニー)は2月8日、同社独自の秘密計算エンジン「QuickMPC」に実装されている分析機能群「Privacy AI」に、機械学習を追加することに成功したと発表した。これにより、QuickMPCで構築されたセキュアな環境で機械学習を利用できるようになり、秘密計算の活用の幅が広がるという。

秘密計算とは、暗号化によって保護されたデータを、暗号化されたままで分析できるようにする次世代暗号技術。たとえば、店舗が保有する顧客データの分析を外部業者に依頼する場合、暗号を解除して元のデータに戻すことなく、プライバシーを守りながら分析が行える。これにより、複数組織間でのプライバシーデータを活用した計算・分析を実現できる。

Acompanyでは、その秘密計算を実現するための秘密計算エンジンとしてQuickMPCを開発し提供しており、2021年10月に「線形回帰分析」と「ロジスティック回帰分析」という2つの手法を取り入れた分析機能群「Privacy AI」を追加。それまでは困難だったプライバシー保護化での複雑なデータ分析を実現した。そして今回、新たに「勾配ブースティング決定木(推論)」という機械学習手法が追加した。

勾配ブースティング決定木とは、高精度で汎用性が高い需要予測の一種。マーケティングなどでよく使われる手法で、企業が保有する「勾配ブースティング決定木」の学習済みモデルを秘密計算環境に導入可能となる。つまり、プライバシーデータに対して予測が行えるようになるということだ。これがまさに、「プライバシー保護とデータ活用の両立」というAcompanyの理念に一致する。

Acompanyでは、今後も「Privacy AI」にはさまざまな手法を追加してゆくと話している。

独自品種のニワトリを生み出し健康な「チキン」を育てるCooks Ventureが知財保護のために57.8億円調達

チキンは米国だけでなく世界で最も多く消費されている食肉だ。しかしチキンを繁殖し、エサを与えて育てるシステムは、私たちの全体的な幸福にとって信じられないほど有害なものだ。というのも、トウモロコシと大豆を中心とする従来の農業の仕組みを支え、しかも消費者が手にいれるチキンの大半が必然的に近親交配され、遺伝的多様性を欠くシステムを助長している。

小規模だと味の薄い肉になることがあり、しかも、米国におけるチキンの供給がウイルスにやられることは防げない。

Blue Apronの共同創業者であるMatt Wadiak(マット・ワディアック)氏が立ち上げたCooks Ventureは、既存のシステムの段階的な解体を目指し、最初はチキンそのものからスタートした。

Cooks Ventureはまず、10年ほどニワトリの遺伝的性質を研究して、独自の品種系統「Pioneer(パイオニア)」にたどり着いた。同種は選択的育種により、ゆっくりと育ち、強力な免疫系と健康な消化器を持っている。ワディアック氏によると味も良いが、それはこの品種にとっての唯一、あるいは最も重要な長所ではない。

胃腸が強いのでこの品種は生涯一種類の配合飼料で育つ。通常のブロイラーは一生に3種類か5種類の配合飼料を必要とし、そのすべてがトウモロコシと大豆のミックスだ。そのため、雛の群れが生まれるたびに、運送業の大きな負荷が生じることになる。

さらに、Cooks Ventureのニワトリは非常に多様なエサを食べる。これにより全米の農地の97%を耕作している農家に、大豆とトウモロコシ以外の作物を育てる余力が生まれる。

Cooksには自家農場があって、独自のチキン加工工場もあり、少数の小売企業とパートナーしてそのチキンを消費者に販売している。Cooks Ventureのウェブサイトでも購入できる。

Cooksはいずれ、ニワトリの飼料を生産する農家に再生農業に関するIPをライセンスし、より生物多様性に富んだ作物の栽培を請け負い、最終的にCooks Ventureのニワトリのエサにしたいと考えている。一方、収益面では、Cooks Ventureの遺伝子系統の増殖に関心を持つ企業や農家と協力する機会があると考えている。

これらのニワトリは、より多様なエサに対応でき、より強い免疫システムを持ち暑さにも強いため、Cooksは暑い地域や食料不足の地域の農家と提携することができる。

関連記事:農業を根本から考え直すCooks Ventureが約13億円を調達

Cooksはこの度、成長中の技術系企業の知的財産を担保に債務を保証するPIUSから、5000万ドル(約57億8000万円)の債務融資を受けたことを発表した。

同社のチキンは多様な原料の食餌を受け入れるし、免疫系も強いから、熱帯や食糧不足の地域の農家ともパートナーできる。

画像クレジット:Cooks Venture

原文へ

(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ガートナー「2026年までに25%の人々が1日1時間以上をメタバースで過ごす」

ガートナー「2026年までに25%の人々が1日1時間以上をメタバースで過ごす」

ガートナージャパン(Gartner)は2月9日、メタバースに関する展望を発表した。2026年までに、25%の人々は、仕事、ショッピング、教育、SNSやエンターテインメントなどで、1日1時間以上をメタバースで過ごすようになるとGartnerは予測している。メタバースのハイプ(過剰な期待)は、デジタル・ビジネスを拡張する新たなビジネスモデルに移行するきっかけになるという。

Gartnerは、メタバースについて、仮想的に拡張された物理的現実とデジタル化された現実の融合によって創り出される、集合的な仮想共有空間と定義。メタバースは、継続的な没入感(イマーシブ・エクスペリエンス)を提供し、タブレットからヘッドマウントディスプレイまで、デバイスに依存せず、様々なデバイスからアクセス可能としている。

同社アナリストのマーティ・レズニック氏は、「ベンダーは、ユーザーがデジタル化された世界で生活を体験するための空間やサービスをすでに構築している。仮想クラスルームへの出席から、デジタル空間上の土地の購入、仮想住宅の建築に至るまで、これらの活動は現在、別々の環境で行われている。将来的には、様々なテクノロジーやエクスペリエンスにまたがる単一の環境、すなわちメタバースの中で行われるようになる」としている。

デジタル通貨とNFT

また、メタバースは単一のベンダーが所有するものではなく、デジタル通貨とNFT(非代替性トークン)によって実現される、新たなデジタル・エコノミーになると予想。メタバースは、消費者が日々接するあらゆるビジネスに影響を与えるという。

2026年までに、世界の組織の30%がメタバースに対応した製品やサービスを持つ

さらに、メタバースは、働き方にも影響を及ぼすと予測。企業は、仮想オフィスに没入型ワークスペース(没入型テクノロジを利用した仮想オフィス)環境を導入することで、従業員により良いエンゲージメント、コラボレーション、つながりの機会を提供できるとしている。また、メタバースがフレームワークを提供するため、ビジネスの実行においても独自のインフラを構築する必要はない。

さらに、この1年半の間に人気を得た仮想イベントは、今後従来以上にコラボレーティブで没入感のあるつながりの機会やワークショップを提供するという。

企業は、デジタル・ビジネスからメタバース・ビジネスに移行することで、自社のビジネスモデルを、これまでとはまったく違うやり方で拡大・強化できるようになる。2026年までに、世界の組織の30%がメタバースに対応した製品やサービスを持つようになるだろう。

ただし多額の投資は時期尚早、学習・検証・準備するために時間を割くべき

ただし、メタバース・テクノロジーの採用は始まったばかりで部分的であるため、Garnterは、特定のメタバースに対する多額の投資については注意を促している。レズニック氏は、「どの投資が長期的に有効なのか判断するのは時期尚早だ。プロダクト・マネージャーは、競争力を高めるためにメタバースを学習・検証・準備するために時間を割くべき」としている。

メガトレンドの1つ

同社アナリスト亦賀忠明氏は、「メタバースは、従来型の仮想空間を『超えた』もの。リアルの物理空間とバーチャル仮想空間を融合した、フルデジタル化された環境を指す。『メタバースはアバターで参加する仮想空間である』というように単純に捉えるべきではない。

メタバースは、『これから』の話であるため、今すぐに成熟した完璧なメタバースが登場するわけではない。メタバースは将来に向けたビジョン。すべての企業は、メタバースを2030年、またそれ以降に訪れるであろう『New World』に向けた1つのメガトレンドと捉え、インターネット初期と同様これからの将来を展望し、可能性とリスクを洞察することが重要」としている。

同じくアナリストの針生恵理氏は、「メタバースは、デジタル・ワークプレースの議論と実践を新たなステージへとシフトするきっかけをもたらす。メタバースによって、企業は、VR・AR・MRといった単なるテクノロジー採用を超えた、新たなワークプレースを模索していくことになる」と話している。

画像クレジット:Giu Vicente on Unsplash

【2月10日】掲載記事アクセスランキング・トップ5

【2月10日】掲載記事アクセスランキング・トップ5

掲載記事のうち、2月10日午前6時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:採血がいらない非侵襲血糖値センサーのライトタッチテクノロジーが1億円の追加調達、量産化に向けた開発・薬事戦略を加速

赤外線レーザーを用い、採血をしなくても血糖値を測定可能な非侵襲血糖値センサーを開発するライトタッチテクノロジー(LTT)は2月4日、シリーズAファイナルラウンドとして、1億円の資金調達を実施したと発表した。調達した資金により、量産化に向けた試作器の開発を用いて、臨床試験、薬事承認に向けた展開を加速させる。

第2位:スキルシェアのココナラがVC業に参入、専門家と起業家のマッチングを提供

スキルシェアのココナラがVC業に参入、専門家と起業家のマッチングを提供

スキルマーケット「ココナラ」などを提供するココナラは2月9日、同社全額出資により新会社のココナラスキルパートナーズを設立し、ベンチャーキャピタル事業を開始すると発表した。

第3位:マッチングアプリBumbleの初買収はZ世代向けの同アプリFruitz、あらかじめ目的を明らかにしておける点が人気

Bumble, Inc.は、欧州で特に人気のあるBadooの親会社としてすでに国際的な事業展開をしているが、Fruitzを傘下に加えることで、より若いZ世代の利用者の間で勢いを増すことができると考えている。

第4位:アップル、iPhoneで非接触型決済を可能にする機能「Tap to Pay」発表

Appleは、iPhoneを非接触型決済端末にする新機能「Tap to Pay」の導入計画を発表した。同社によると、2022年後半に米国の事業者はiPhoneとパートナーが対応したiOSアプリを使ってApple Payやクレジットカード、デビットカードといったその他の非接触型決済を受け付けられるようになる。

第5位:ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

NVIDIAへのArm売却断念、そして2022年度中にArmの再上場を目指すと発表したソフトバンクグループの孫正義社長は決算会見で、売却断念に至った経緯などを説明しました。

画像クレジット:Brands&People on Unsplash

どんどん増える画像や動画に特化したデータベースを開発するApertureDataが約3.5億円のシード資金を調達

Vishakha Gupta(ビシャカ・グプタ)氏と、後に共同創業者になるLuis Remis(ルイス・レミス)氏は2016年にIntel Labsでともに働いていた頃、どんどん増えるビジュアルデータ(画像やビデオ)をどう管理するかを解決する業務を任されていた。2人はこの問題に精力的に取り組み、研究者やデータサイエンティストとも協力して、大量のビジュアルデータに適したインフラの開発を始めた。

結局、画像を扱い、データサイエンティストが利用する要件を満たす新しいデータベースが必要であるとの結論に達した。データサイエンティストは画像データを処理するために複数のシステムを扱う必要があり、これは非効率で時間がかかることがわかった。2人はもっと良い方法があるはずだと考え、Intelにまだ在籍していた2017年に、1カ所であらゆる処理ができるデータベースを構築するためのシステムに取り組み始めた。

2人はこの仕事がスタートアップになる素地を備えていると考え、2018年にIntelを退社してApertureDataという企業を始めた。正式に創業したのは2018年後半で、現在も引き続きこの問題に取り組んでいる。

最終的に開発したソリューションはApertureDBという名前のクラウドアグノスティック(特定のシステムに依存しない)データベースで、画像を処理することに関連するあらゆるデータ(メタデータなど)を1カ所で扱うことに特化して設計され、自動化することで手作業でデータを検討する時間のかかるステップを省くことができる。

グプタ氏は「もし私がデータサイエンティストで、データを見て何が起きているかを把握する立場だとしたら、データの検討に(相当長い)時間を費やさなくてはならないでしょう。(これまでは)このようなタイプのデータやこのようなタイプのユーザーを理解できるデータベースがなかったからです」と説明する。

さらに同氏はこう続ける。「それがこの問題を解決しようとするきっかけになりました。私と共同創業者はIntelにいたときにこの問題に直面していました。そして自分たちのためにこの問題を解決するのであれば、このインフラを構築している間にどうすればもっと多くの人のためにこの問題を解決できるかを探ろうと考えました。その結果としてApertureDataを創業し、ApertureDBをプロダクトとして提供することになりました」。

同社の従業員数は現在8人で、2022年末までに15〜20人にすることを目指している。グプタ氏は、女性創業者として多様性のあるチームを構築することの重要性を、そして2人の子を持つ母としてワークライフバランスの重要性も強く認識している。

同氏は「スタートアップで働くなら私的な部分は犠牲にしなくてはいけないというシリコンバレーの古い考え方があることをご存じでしょう。(私たちの考えでは)実はバランスをとることもできるし、多様性も実現できます。最初から多様であることが重要です」と述べた。

米国時間2月8日、ApertureDataはプロダクト開発を継続するための300万ドル(約3億4500万円)のシード資金調達を発表した。このラウンドを主導したのはRoot Venturesで、他にWork-Bench、2048 VC、Graph Ventures、Alumni Ventures Group、Magic Fundと、業界のエンジェルも参加した。

このラウンドがクローズしたのは2021年10月だった。それ以前は、全米科学財団の助成金、友人や家族からの資金、そして昔ながらのブートストラップでプロダクトを開発していた。

画像クレジット:Dimitri Otis / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

グーグルのビデオ通話アプリ「Duo」、アップルのSharePlayにヒントを得た「ライブ共有」機能を追加

Google(グーグル)は、ビデオ通話サービスGoogle Duoのユーザー向けに新しい「ライブ共有」機能を導入する。Apple(アップル)のFaceTimeで使えるSharePlay機能への対抗だ。しかし、Googleの場合、このインタラクティブな共同視聴体験は、Appleのものほど充実したものでなければ、広く利用できるわけでもない。差し当たっては、GoogleとSamsung(サムスン)の一部のアプリでしか動作しない。そして、導入時はSamsungに限定される。

関連記事:アップルが動画や音楽をバーチャル共同視聴できる新機能「SharePlay」をiOS 15で導入

この変更は、Samsungが新しいGalaxy S22シリーズとGalaxy Tab S8シリーズの端末を発表したGalaxy Unpackedイベントの中で発表された。これに関連して、GoogleもDuoをはじめ、YouTubeなど自社アプリのアップデートを発表した。

Google Duoのライブ共有機能が骨抜きのバリエーションのように感じられるとしても、SharePlayと同様のユースケースに対応しているため、他よりも注目すべき変更の1つとして際立っていた。SharePlayと同様、Duoのライブ共有は、離れている友人、家族、同僚とビデオ通話で交流する時間が増えているという、パンデミックが引き起こしたトレンドとも結びついている。今日、人々はビデオチャットで話すだけでなく、より多くのことができるようになればと考えている。一緒にコンテンツを見たり、同じアプリでやり取りしたり、画面を共有したりすることを望んでいる。Duoはこうしたニーズにある程度対応しているが、SharePlayが提供するサードパーティ製アプリとの幅広い統合エコシステムはない。

画像クレジット:Google Duo(スクリーンショット)

Duoのアップデートにより、ユーザーはGoogleのデジタルホワイトボードJamboardを使った新しいアイデアのブレインストーミング、Galleryでの写真共有、Samsung Notesを使ったメモの共有、Google マップでの位置検索、YouTubeでの動画の同時視聴ができるようになるとGoogleは説明する。

それに比べて、AppleのSharePlayはDisney+、NBA、TikTok、Twitch、Paramount+、Showtimeなど多くの人気ストリーミングサービスやApple TV+、Apple Music、Apple FitnessといったAppleのアプリなど、はるかに多くのアプリやサービスと連携する。残念ながら、今後Duoをより機能豊富なサービスにする意図があるかどうかという質問に対し、Googleは言及を避けた。また、開発者向けAPIプラットフォームに関する新たな発表もなかった。

さらに詳しい説明を求めると、広報担当者は「最初に共有されたもの以外に、現時点で共有できる計画は現在のところありません」と述べた。

しかし同社は、長期的にライブ共有がSamsungのみで使えるものとはならないと指摘した。同機能は、Galaxy S22やTab S8など、最新のSamsung製デバイスでまず展開される。そして間もなく他のSamsung端末やPixel端末でも展開され、2022年に他のAndroid端末にも導入される予定だ。

Duoのライブ共有に加えて、別のアップデートでYouTubeユーザーはメッセージでYouTube動画のプレビューを閲覧して、動画を今見るか後で見るかをより適切に判断できるようになった。チャットから離れることなく、タップしてビデオを再生することもできる。この機能は、Android  Goエディション端末を除くすべてのAndroid端末に搭載される。

また、新しいGalaxy S22シリーズとGalaxy Tab S8シリーズにはVoice Accessが搭載されるため、ユーザーが別途アプリをダウンロードする必要はない。そして、これらの端末はGoogleのパーソナライズされた新しいデザイン言語「Material You」に対応するとのことだ。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi