人気映画やテレビ番組を活用して語学教育を行うEWAが5100万ダウンロードを達成、初の外部資金を調達

オンラインの外国語学習は、スタートアップにとって良い商機であり続けている。そのユーザーにとって魅力的な体験は、スマートフォンに費やす時間をもっと生産的なことに使いたいと思う一般消費者の関心にもマッチしている。この分野の最新の展開の1つとして、EWAという言語学習アプリがある。それは、言語の取得にメディアを利用し、映画やテレビや本などからの引用を利用して学習者を新しいボキャブラリーと発音に親しませる。このアプリはこれまでに5100万回ダウンロードされており、月間アクティブユーザーは3500万に達する。そしてこのほど、初めての外部資金として270万ドル(約3億1000万円)を調達した。

EWAは「E-vah(エヴァ)」と発音し、共同創業者でCEOのMax Korneev(マックス・コルニーフ)氏によると、2018年の創業以来ずっと自己資金だけでやってきたという。それでも現在の年商は3240万ドル(約37億4000万円)に達している。フリーミアムの部分は3日間のトライアルだが、TikTokやInstagramなどのソーシャルメディア上にそのコンテンツクリエイターとして広く展開しており、同社のポストで数百万のユーザーが非公式に言葉の勉強をしていることになる。英語学習用のEWA Englishだけでも、500万以上のフォロワーがいる。

コルニーフ氏によると、外部資金を導入する目的は、現在、同社が直面している成長の需要に応えて拡大していくこと、またエンジニアを増員して、以前より待望していたソーシャルな要素を増やすゲーム化の仕掛けと対象言語の多様化機能を開発することだ。現在、アプリは英語とスペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語のみ対応している。

シードラウンドにはDay One VenturesとElysium、それにSemrushやZynga、Nianticなどからのエンジェルや創業者、役員たちが参加した。EWAはすでにシリーズAの準備を始めており、評価額1億5000万ドル(約173億3000万円)で3000万ドル(約34億7000万円)となり、SoftBankらのVCが同社に接触している。TechCrunchは現在、SoftBankにコメントを求めている。コルニーフ氏はコメントを断った。

すでに上場しているDuolingoの本日の時価総額はおよそ34億ドル(約3928億9000万円)だったが、アプリを粘着性の高いもの、ユーザーは学習の流れを維持するために毎日ログインし、トップの位置を守ろうとするものにしてオンライン言語学習市場を席巻した。またリアルの世界で知ってるかもしれない人とアプリ上でリンクさせることで、自然な競争意識が芽生えて、このアプリでの勉強が習慣になる。

これまでのEWAのユニークなセールスポイントは、オンラインメディアの広大な世界をその目的(言葉の学習)のために利用する、その方法だ。アプリユーザーには、有名な本を読む、人気の高い映画やテレビの抜粋を見るなどの選択肢がある。有名な台詞などは、言葉の学習の良いきっかけになり、その知識をワードゲームで強化していく。

その方法は私個人的にも、おもしろいもので、私と家族がロシアから初めて米国に来たときのことを思い出させる。しかもEWAのCEOコルニーフ氏もロシア人だ。同氏によると、教材としてメディアの利用という変わった方法を選んだのは意図的だという。その方が、現代に合っているし、非常に多様な言語学習者にも伝わりやすい。

「現在の独習アプリを見てみると、リアルな教室での学習の進行をコピーしたものがとても多い。はっきりいうと、それは古いやり方だし、今ではあまり効果がありません」とコルニーフ氏は語る。彼はDuolingoが行った調査を引用して、オンラインの言語コースを終了した人は全受講者の1%未満しかいないという。「人間は、楽しいこと、おもしろいことを好みます。ユーザーに、なぜEWAを利用するのか尋ねたら、楽しいからという答えが返ってきます。私たちは、エンターテインメントと教育を結びつけているのです」。

言葉を学ぶために「地元のメディア」を利用したのは、私の家族だけではなかったようだ。コルニーフ氏がITの仕事をしながら別の言語(彼の場合は米国における英語)を学んだのも、その方法だった。

「多くのスタートアップが、痛みを解決しようとして生まれてきます。EWAの始まりもそうでした。私の場合は字幕付きの映画を見たり、言葉に関する傍注のある本を読んだりしました。他の人たちも、そうやって言葉を身につけてきました。言葉に対す自身の方法をビジネスにできないかと考えた彼はITの仕事を辞めて、共同創業者のStepan Nikitin(ステパン・ニキーチン)氏やAnton Aleshkevich(アントン・アレシュケビッチ)氏、Stas Morozov(スタス・モロゾフ)氏らとともにEWAを創業した。

EWAの社籍はシンガポールとなるが、大量のデベロッパーがロシアにいる。ロシアのスタートアップが西側の投資家から資金を調達するのは難しいため、意図的にこの形にしている。コルニーフ氏にとっては、パンデミックが幸いし、チームはリモートのワークフォースだという。同氏自身は、シンガポールとブダペストとバルセロナの3カ所を拠点としている。

画像クレジット:EWA

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hiroshi Iwatani)

気候変動対策として、砂漠に木を植えるべきか

森林再生は、気候危機と戦う最良の手段の1つだ。熱帯地方では、森林が毎年1000万トンの二酸化炭素を吸収しているという報告がある。成長した木は、1年で約48ポンド(約454グラム)の二酸化炭素を吸収する。非営利団体American Forests(アメリカンフォレスト)によると、米国では、森林が毎年排出される二酸化炭素の14%を吸収している。森木と樹木なくして、気候中立(クライメイトニュートラル)への道はない。

Salesforce(セールスフォース)やMicrosoft(マイクロソフト)など多くの企業が、山火事の焼け跡や農地における植林に資金を提供している。しかし、ステルスフェーズのスタートアップUndesert(アンデザート)は、森林再生のためのまったく新しいフロンティアに取り組んでいる。

その名前から推測できるように、同社は砂漠、特にニューメキシコ州アラモゴード地域の砂漠低木地帯に植樹することに重点を置いている。CEOのNicholas Seet(ニコラス・シート)氏は、自社を「気候のトリアージ」と呼んでいる。世界の他の地域が追いついてくる間に、今、排出量を減らすために何かをすることを指している。

しかし、砂漠に木を植える必要があるのだろうか。

「現在、地球規模の気候緩和を目的とした森林再生に乾燥地が適しているかどうかという議論があります」とニューメキシコ州立大学植物環境科学部の乾燥地生態学教授であるNiall Hanan(ニール・ハナン)氏は話す。

シート氏は低木地帯を「利用されていない、何もない空間」と呼んだが、ハナン氏は独自の生物多様性を持つ有効な古代の生態系であり、単なる劣化した森林ではないことを強調した。そして、砂漠に木がないのには理由がある。

「もし砂漠が樹木に適した場所であれば、おそらく樹木があるはずです」とハナン氏は言う。木が生きていくためには、太陽と二酸化炭素と水が必要だ。砂漠はそのうちの1つが極端に不足しているため、ほとんどの木が自然に育つことができない。しかし、Undesertはこの問題でイノベーションを発揮している。

同社は海水淡水化技術に手を加え、24時間あたり20リットルの水を生成できるようにし、以前は塩分が高すぎて逆浸透膜では使えなかった塩水でも使えるようにしたのだ。

「逆浸透膜技術の問題点は、ろ過しきれない塩水が大量に出ることです」とシート氏は話す。「逆浸透膜の塩水を私たちのシステムに通すと、純水と塩を得ることができます」

Undesertは、従来の太陽熱温室淡水化技術からボトルネックを取り除いた。従来の技術では、塩水プールを太陽で温めて蒸発させ、温室の屋根で凝縮させた純水を作る。Undesertは、水を取り込むためのモジュールデザインを開発し、プール蒸発方式の5倍もの効率を達成した。屋根の上で凝縮させるのではなく、冷水を循環させたチューブで冷却した別の部屋で凝縮する。このシステムでは、塩水中の93%以上の水がきれいな水として回収される。プロセス全体は二酸化炭素の排出が少ない太陽光のマイクログリッドを利用する。

Undesertは、ナバホ族と協力して、同社の淡水化技術向けに、塩分が濃縮されて飲めなくなった汽水域の地下水を調達する。そして、その淡水化した水を、同社が森林再生に使うと決めたアフガンパインに点滴灌漑で供給する。これまでに16本を植樹した。アフガンパインを選んだ理由は、砂漠に強く、水をあまり必要とせず、成長が早く、背が高く、まっすぐ伸びるからだ。また、ポンデローサパインは根の張り方が乾燥に適しているため、50本を散水システムで育てている。しかし、たとえ十分な水量が確保されたとしても、気温など苗木の生存を妨げる環境要因は他にもある。

森林や樹木なくして、クライメイトニュートラルへの道はない

Undesertによると、太陽光淡水化によって生み出される樹木の小規模な実証実験は2021年9月から稼働しており、健全な発育を見せている。この地域には強烈な太陽エネルギーがあり、地下の塩水も利用できる。そして、実証実験が行われているアラモゴード地域は、ダグラスファーやポンデローサパインの森林があるサクラメントレンジャー地区に隣接しており、列車の線路やその整備のために撤去される前はもっと多くの森林があった。以上のことから、同社は自分たちの木が成功すると確信している。

しかし、次にスケーラビリティの問題がある。大規模な森林のために灌漑システム全体を整備することは、現実的ではない。また、ニューメキシコ州では汽水域の地下水を使うことができるかもしれないが、ハナン氏は、ほとんどの砂漠は海が近くになく、地下水に簡単にアクセスできないと指摘する。コスト、労力、メンテナンスもすぐにかさむ。たとえ苗木が1本10ドル(約1150円)でも、樹木だけで1平方マイル(約2.6平方キロメートル)あたり100万ドル(約1億1500万円)の費用がかかるという。世界中の砂漠に住む人々のほとんどは、それほどの資金にアクセスすることはできない。

また、苗木を調達するだけでも、森林再生活動にとってはすでに大きな問題だ。

「最初の1ヘクタール分の400本を確保することさえ難しいでしょう」とハナン氏はメールで述べた。「南西部(あるいは米国西部)の苗木業界が、1平方マイルあたりに必要な10万本の苗木を供給できるとは思えませんし、それ以上の広さとなればなおさらです」

しかし、戦術的なことの他にも、まだ疑問がある。

「米国南西部のような水不足が深刻な場所で、かなり安価に、低炭素で水を浄化する技術があるならば、砂漠で木を育てることがその水の最善の利用法なのでしょうか」とニューメキシコ大学の森林・火災生態学教授であるMatthew Hurteau(マシュー・ハートー)氏は言う。

植林によって二酸化炭素を削減し、地域社会にも利点があれば、水の貴重な利用法だと言える。しかし、ハナン氏やハートー氏のような専門家は、次のような質問に答える詳細な費用対効果の分析を求めるだろう。

  • その土地は植林に適しているのか。
  • 植林に適した植物なのか。
  • その植物は在来種なのか、外来種なのか。
  • 既存の生態系にどのような影響を与えるのか。
  • 木を植えることで失われるものは何か。

そして、吸収する炭素は、炭素の問題を解決するのに十分な量になるのだろうか。ハナン氏は懐疑的だ。砂漠で育つ木は、熱帯雨林のような巨木にはならないだろうし、バイオマス量もほんのわずかだからだ。砂漠の木が地球の肺になることはないだろうが、その過程で小さな吸気口になりえるだろうか、あるいはなるべきだろうか。

画像クレジット:James O’Neil / Getty Images

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(文:Jesse Klein、翻訳:Nariko Mizoguchi

NVIDIAがサイバーセキュリティのインシデントを調査中、2日間デベロッパーツールとeメールがダウン

米国の半導体メーカーNVIDIAが、同社のデベロッパーツールとeメールシステムをダウンさせた可能性のあるサイバーインシデントを目下調査中であると認めた。

NVIDIAは声明で、このインシデントの性質と影響範囲を目下調査中だと述べているが、結果的に同社の営業活動には影響が及んでいないと付言している。

つまり「現在、インシデントを調査中である。弊社の事業と営業活動は中断されずに継続している。この事象の性質と範囲を未だ調査中であり、現時点では他に付け加えるべき情報はない」ということだ。

NVIDIAはインシデントの詳細を共有しないが、The Telegraphは「ネットワークへの悪質な侵入」により、これまでの2日間にわたって同社のeメールシステムとデベロッパーツールが停止の被害を被った」と報じている。

その記事は内部者の情報として、同社のシステムが2日間オフラインになったが、eメールシステムの当該部分は米国時間2月25日に稼働を再開したという。

ハッカーがNVIDIAやその顧客に関するデータを入手したかどうか、また、そのパートナーのいずれかが影響を受けたかどうかは、まだ明らかになっていない。The Telegraphの報道によると、NVIDIAはまだ犯人を特定できておらず、顧客はいかなる事件も知らされていなかったという。

NVIDIAのサイバー攻撃の可能性に関するニュースは、サンタクララに本拠を置く同社が、英国のチップ設計企業Armを買収するための400億ドル(約4兆6223億円)の入札を打ち切ったわずか数週間後に飛び込んできたものだ。同社は「当事者による誠実な努力にもかかわらず、取引の完了を妨げる重大な規制上の課題」の結果、相互の決定であったと述べている。

関連記事:NVIDIAがArmの買収を断念、Armはリーダーが交代し株式公開を模索

画像クレジット:Justin Sullivan/Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Harness、ソフトウェアデリバリープラットフォームにGitOpsを導入

AppDynamicsの共同創業者であるJyoti Bansal(ジョティ・バンサル)氏が率いる、MLで強化したソフトウェアデリバリープラットフォームHarnessは今、GitOpsのバスに乗り遅れまいと頑張っている。

同サービスは継続的デリバリー(CD)にフォーカスしてスタートし、その後の機能拡張で、スタートアップやエンタープライズが利用するフルスタックのDevOpsプラットフォームになった。現在の同社の主なサービスは、継続的インテグレーション(CI)、クラウドのコスト管理、機能フラグなどとなる。

バンサル氏によると、同社の全体的なミッションは変わっていない。「Harnessは高い志を持ってスタートしました。今ではあらゆる企業が実質的にソフトウェア企業になろうとしています。それに対して私たちは、彼らのソフトウェア技術者たちに、GoogleやFacebookやAmazon、Netflixなどと同レベルの高度なツールを提供できるだろうか、と考えました。挙げたような企業は、他の企業が持ってないような、非常に良くできたソフトウェアエンジニアリングのやり方とツールを備えています」という。

同社は現在、600名の社員を抱えており、今回はそのプロダクトリストにGitOpsサービスのローンチで新たな機能を加えようとしている。伝統的なエンタープライズでもKubernetesの利用がますます増えている現在では、アプリケーションをそのクラスターへと開発する方法として、GitOpsの採用が増えている。そこで世界最大のリテイラーや銀行を顧客に抱えるHarnessが、このモデルをサポートしたくなるのも当然だ。

HarnessはそのGitOpsプラットフォームをArgoCDの上に構築している。それは最初、その後2018年にIntuitに買収されたApplatixが開発し、今ではCloud Native Computing Foundationの傘下にある、Kubernetes用の宣言的GitOpsツールだ。Bansal氏によれば「それはとても強力ですが、軽量であることが好まれています。これを使ってデベロッパーのワークフローと、デプロイの仕組みの多くを自動化できます。しかしGitOpsの難点は、実際の複雑なエンタープライズ環境で運用していくことが、非っ常に難しいことです」。

しかし、そのことがまさにHarnessの出番となる要因だ。同社はSaaSのような形でGitOpsサービスを提供し、ArgoCDの上にエンタープライズの能力を載せていく。

「私たちはGitOpsを、アクセスしやすく、すべてのエンタープライズにとって実用性に富んだものにしています。いわばそれは、エンタープライズ級のGitOpsです。GitOpsは今、多くの人に好まれていますが、でもそれを実用化するには、たくさんのバンドエイドやガムテープが必要でした。しかしこれからは、本物のエンタープライズソリューションと、GitOpsの初めてのSaaSがあるのです」。

画像クレジット:Cavan Images/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Nikola、EVトラック量産に向けた進捗と厳しい損失を報告して激動の2021年を締めくくる

SPAC経由で上場した電気トラックのスタートアップNikola Corp(ニコラコーポレーション)は、過大な約束、納期の遅れ、投資家への虚偽説明での創業者取り調べといった過去を経て、商業活動に近づいている。

米国2月24日に発表された第4四半期決算で、Nikolaは最近のマイルストーンの数々と、さらに重要なことに電動大型トラックの量産を開始する計画を強調した。

投資家にとっては、2020年半ばの最高値以来、株式市場でNikolaの価値の多くが失われたため、この進展は冷ややかな慰めにすぎないかもしれない。それでも、同社CEOのMark Russell(マーク・ラッセル)氏が第4四半期決算のダイジェストで書いているように、この上場企業は「車両を納入し、収益を上げる」ことに向けて非常に熱心に取り組んでいる。

サプライチェーンの制約による遅延と証券規制当局の調査に悩まされてきたNikolaは、3月に電気トラックの量産を開始すると発表した。同社によると、生産準備が完了したバッテリー電気トラック「Tre」300〜500台を2022年第2四半期に顧客に届ける予定だ。

この見通しは、若干の進展を示している。強調しておくが、若干だ。重要なのは、Nikolaが、2件の証券詐欺と1件の通信詐欺で米連邦検事局に起訴され物議を醸した同社の創業者で前CEO兼会長のTrevor Milton(トレバー・ミルトン)との間にようやく一定の距離を置くことができたことだ。同社は2021年12月、米国証券取引委員会との和解の一環として、1億2500万ドル(約145億円)の罰金を支払うことに同意した。同社は分割で支払っており、ミルトン前会長に弁済を求めると投資家向けのアップデートで述べている。

ロシアのウクライナ侵攻、中国と台湾の緊張、新型コロナウイルス感染症の大流行などを受け、世界中で株式市場が苦戦した日にNikolaは注目すべき決算を発表し、同社の株価は7%超上昇している。

同社のバラ色の見通しは、電気トラックNikola Treのプロトタイプから量産への移行だけではない。2022年中にアリゾナで同社初の水素製造ハブの建設を開始し、カリフォルニアでの2つ以上のディスペンサー・ステーションのパートナーを年内に発表する予定だと明らかにした。

Nikolaはまた、Anheuser-Busch(アンハイザー・ブッシュ)やTotal Transportation Services Inc.(トタル・トランスポーテーション・サービス)といった顧客とのパイロットテスト、Proterra(プロテラ)とのバッテリー契約の確保、トラックの資金調達を支援するCorcentric Fleet Funding Solutions(コーセントリック・フリート・ファンディング・ソリューションズ)との協力など、商業化に向けたより注目すべき進展も報告した。

Nikolaは、3カ月にわたるパイロットプログラムの一環として、カリフォルニアのTTSIに最初のTre BEV(バッテリー式電気自動車)2台を納車したという。これらのトラックは、1日に複数の荷物を運搬し、合計4500マイル(約7240キロメートル)超を走行し、1回の充電で204マイル(約330キロメートル)走行した。これは、TTSIがテストしたどのBEVよりも長い航続距離だと同社は述べている(読者のみなさんへ: あなたが好きな非GAAPベースの結果は何だろう。ソーシャルメディア企業のMAU/DAU比率か、EVに関する走行距離か)。

Nikolaはまた、Anheuser-Buschと燃料電池電気トラックTre FCEVの試験運用を開始した。Nikolaによると、2台のNikola Tre FCEVアルファが、Anheuser-Buschの南カリフォルニアの流通網で3カ月間の日常的な試験運転を行っている。

しかし、上記のポジティブな取り組みには共通点がある。それは、いずれも2021年には利益を生んでいないということだ。そのため、Nikolaの2021年第4四半期および通年の決算は大赤字だ。

決算内容

Nikolaは2021年第4四半期中、あるいは2021年のどの時点でも収益はゼロだった。つまり、売上高ゼロ、営業費は1億6270万ドル(約188億円)で2021年を締めくくった。したがって、同社の通年の営業損失はまさに1億6270万ドルだ。

この結果は、1億4680万ドル(約170億円)とやや控えめだった2020年の営業損失よりも大きく、したがって悪化した。しかし、この指標には約1440万ドル(約16億円)の減損費用が含まれていて、同社の経費増加ペースは営業損失の額面から見えるよりも大きく、経費増加ベースは収益性(またはその欠如)に重大な影響を及ぼしている。

はっきりさせておくと、これはTechCrunchも市場も予想していたことだ。Nikolaは、前述のように成長に向けた加速モードのままだ。つまり、経費は増加し、収益は将来期待されていて、潜在的な利益ははるか未来にあるということだ。これらの損失は2022年に拡大し続けるかもしれないが、最初の生産用トラックの納車が始まり、これは実際の資本、つまり収益が同社に流入し始めることも意味するはずだ。

それでも、同社の決算報告には、2021年第4四半期の損失が予想より少なかったという良いニュースもあった。Nikolaは同四半期にすべてのコストを考慮に入れると(GAAP)1株当たり0.39ドル(約45円)の赤字だったが、調整後の1株当たり純損失はわずか0.23ドル(約26円)で、これは主に株式による報酬費用と規制費用の財務的影響をコスト構成から除外した結果だ。市場は、調整後ベースで1株当たり0.32ドル(約37円)の赤字になると予想していた。これは、同社の商業的な進展と相まって、励みになると解釈されるかもしれない。

良いニュースかどうかは別として、同社は米証券取引委員会との和解に関連する支払いを前倒ししており、収益はゼロで、経費は増加している。トラックを大量に、しかもポジティブなユニットエコノミーで販売できるかどうかは、依然として不透明だ。それでも、投資家は本稿執筆時点でNikolaを30億ドル(約3470億円)と評価している。これは、同社のトラックが今後走り出し、そして走り出したときに利益が発生する、というかなり大きな賭けだ。

画像クレジット:Nikola Corp.

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(文:Kirsten Korosec、Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

オンライン中古車マーケットプレイスCarvanaがAdesaの米国オークション事業を2530億円で買収

オンライン中古車マーケットプレイスのCarvana(カーバナ)は、Kar Global(カーグローバル)の米国オークション子会社Adesa(アデサ)を現金22億ドル(約2530億円)で買収することで合意した。買収は、新たな収益源の獲得と、事業強化に役立つ実店舗のネットワーク拡大を目的としている。

第4四半期の決算報告とともに発表されたこの買収は、純粋なオンラインビジネスから、より伝統的な実店舗を持つ自動車ディーラーへの移行を意味する。

現在、Carvanaの顧客は、同社のモバイルまたはウェブアプリでクルマの検討、購入、借入を行うことができる。購入したクルマは、30台ある立体自動販売機で受け取るか、顧客の自宅まで直接配送される。また、同社は15カ所の検査・整備センターを運営し、販売前にクルマの査定と整備を行っている。顧客は所有するクルマを同社に売ることもできる。

米Adesaがもたらす追加の売り上げと物理的な拠点は、Carvanaにとって無視できないほど魅力的で大きな機会のようだ。また、絶好のタイミングでもある。

Carvanaは第4四半期に11万3016台を販売した。売上高は37億5000万ドル(約4313億円)で、前年同期比57%の増加となった。だがその成長率は、2021年末に向かうにつれ成長が先細りとなった事実を覆い隠している。第3四半期の小売販売台数は11万1949台、売上高は35億ドル(約4025億円)だった。

同社はまだGAAPベースで黒字に到達していない。第4四半期の損失は1億8200万ドル(209億円)となり、前年同期の1億5400万ドル(約177億円)から拡大した。しかし、通年では赤字幅はかなり縮小した。2021年の純損失は2億8700万ドル(約330億円)で、前年の4億6200万ドル(531億円)から改善した。

Adesaは56カ所に実店舗を持つ。Carvanaはオンライン販売する車両の検査や整備にAdesaの実店舗を利用できるようになる。Carvanaは、米国Adesaのオークションを引き続き運営すると同時に、Carvanaの標準的な小売検査、整備、物流機能を備えた施設を開発すると、同社は株主宛ての書簡で述べている。

Carvanaによると、米国Adesaの整備事業がCarvanaの生産能力を年間200万台から300万台以上へと押し上げる。

56カ所のネットワークとCarvanaの既存インフラにより、米国人口の78%が検査・整備センターから100マイル(約161キロメートル)圏内に入ることになる。

Carvanaはまた、オークション機能を強化し「自動車業界の多くの大規模かつ重要なプレイヤーとの関係を開始または深化させる」機会を見据えていると株主宛ての書簡で述べた。

さらに、パンデミックによって高騰した中古車販売が下火になった同社にとって、潜在的な収益も重要な要素である。米国Adesaの事業では、同社のサイトを通じて100万件以上の取引を仲介し、2021年に8億ドル(約920億円)以上の売り上げをもたらした。

もちろん、この潜在的な見返りには、Carvanaの運営費用が利益以上に膨らむリスクもある。

Carvanaは、JPMorgan Chase Bank N.A.とCitiから受けた32億7500万ドル(約3766億円)の融資の一部を、今回の買収資金に充当する。残りの10億ドル(約1150億円)は、コミットメント型デットファイナンスを通じて、米国Adesaの56拠点全体の改善に使う。

Adesaの米国におけるオークション卸売事業は、既存のブランド名で運営を継続する。本取引の完了後、米国AdesaのJohn Hammer(ジョン・ハマー)社長とその他の上級幹部は、Carvanaに移籍する。

画像クレジット:Carvana

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(文・Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

MotionalとViaが自動運転車による無料の配車サービスをラスベガスで開始

Aptiv(アプティブ)と現代自動車(ヒョンデ)の合弁事業として、自動運転車技術の商用化を目指すMotional(モーショナル)は、オンデマンド交通サービスを手がけるテック企業のViaと共同で、ラスベガスで新たなロボットタクシーサービスを開始した。

2020年10月に初めて提携を発表した両社は、ラスベガスのダウンタウンで一般市民に自動運転車の無料乗車を提供する。この自動運転車には、安全のために人間のオペレーターも同乗することになっている。

このサービスは2021年前半に開始される予定だったが、新型コロナウイルス感染流行による不安から、両社は開始時期を延期していた。MotionalとViaは当初、オンデマンドの相乗りロボタクシーという青写真を開発し、これらの車両が公共交通機関にどのように統合できるかを学ぶ計画だった。両社はその後、相乗りサービスの計画を破棄し、代わりに個人向けの乗車サービスの提供のみを行う予定であることを、Motionalは認めた。

この新サービスは、MotionalがLyft(リフト)との既存の提携関係を延長し、2023年までにラスベガスで商用ドライバーレス配車プログラムを開始する計画を発表してから、わずか数カ月で実現したものだ。MotionalとLyftは、2022年の後半までに運転手なしの無料乗車サービスを開始することを目指しており、一般市民はLyftのアプリを通じて、電気自動車「Hyundai IONIQ 5(ヒョンデ・アイオニック5)」をベースにしたMotionalのロボタクシーを予約できるようになる。

MotionalとViaは、当初は無料で自動運転車の乗車サービスを提供するという、Cruise(クルーズ)やWaymo(ウェイモ)と似たアプローチを取っている。ただし、Motionalは、少なくとも法的には、ネバダ州で乗車に課金することを妨げられているわけではない。

ネバダ州は、現在CruiseとWaymoが商用化を目指しているカリフォルニア州に比べて、自動運転車の公道走行に関する規制がはるかに少ない。例えば、ネバダ州では自動運転車のテストや運行において、人間の安全オペレーターが乗車するか否かということを区別していない。また同州の法律は、自動運転車を配達や配車サービスとして提供することについては何も言及していない。ネバダ州自動車局の広報担当者によれば、このことは「できない」とする規制がない以上、法的には企業が商用自動運転車サービスに課金することが可能であることを意味するという。しかし、この広報担当者は、現在新しい法律が起草されていることにも言及した。

Motionalによると、同社はラスベガスで既存のLyftの運転手付きサービスで行っているように、運賃を請求できる許可を得ていると言っているが、その許可が自動運転車に関連したものなのか、それとも市内でタクシーサービスを運営するために同社に与えられたものなのかについては、詳しく述べていない。

現段階では、MotionalとViaはサービスの宣伝と自社の学習目的のために無料の乗車サービスを提供することで、乗客からフィードバックを収集し、両社の技術を組み合わせてどのように機能するかを研究することができると、Motionalの広報担当者であるAbby O’Malley(アビー・オマリー)氏は語っている。この広報担当者は、両社が商用サービスの運営を目指しているかどうかや、またその時期については明言せず「Motionalは、この試験運用から学び、将来的にViaとのパートナーシップを拡大することを楽しみにしています」とだけ述べた。

画像クレジット:Motional/Via

米国時間2月24日より、乗客はViaアプリを使って、Motionalの自動運転技術を搭載した「BMW 5シリーズ」のロボットタクシー1台を予約できるようになる。これは、Motionalが現在のLyftのサービスで使用している車両と同じものだが、オマリー氏によると、両サービスで使用する車両群は区別されており、Chrysler Pacificas(クライスラー・パシフィカ)もまだテストに使っているとのこと。

Viaのサービス提供時間は、月曜日から金曜日の午前9時から午後5時まで。乗客は、Viaアプリで強調表示されるRTCボンネビルトランジットセンター、ラスベガス市役所、コンテナパーク、ラスベガス芸術地区、クラーク郡政府センターなど、ダウンタウンの特定のポイントで乗車および降車できると、Motionalは述べている。

Motionalによると、このロボットタクシーサービスでは、Viaのインテリジェントな予約、ルーティング、ソフトウェアアプリケーション技術を活用することで、Motionalの自動運転ロボットタクシーとその車両管理、そして車内での乗客体験に役立てているという。

「車両は、乗客からの送迎の要求に基づき、(運用設計領域の中で)その時点で最も効率的なルートを採択します」と、オマリー氏はTechCrunchに語った。「バスが取るような固定ルートではありません」。

Motionalは、Viaと一緒にラスベガスで運行している車両フリートの規模を明らかにしなかったが、オマリー氏によれば、両社は需要を綿密に観察し、将来的にサービスを拡大するための基盤を持つようになる予定だという。

画像クレジット:Motional

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Tumblrが月々約580円で広告が表示されなくなるサブスクリプションを導入

Tumblrlr(タンブラー)は米国時間2月24日、ウェブとモバイル向けに広告なしのブラウジング体験を展開すると発表した。Tumblrが「純粋な、混じり物のない戯言」と呼ぶこのサービスは、月額では4.99ドル(約580円)を支払う必要があるが、年間価格39.99ドル(約4600円)を払うなら4カ月分が無料となる。このオプションを選択するには、ユーザーは自分の「アカウント」から、「Go Ad-Free」ボタンを押す。すると、4.99ドル/月または39.99ドル/年のいずれかのサブスクリプションを選択するように求められる。広告なしのブラウジングはモバイルでも可能だが、有効にできるのはウェブからのみ。この機能は、サードパーティの広告を非表示にするが、Tumblrユーザーのスポンサー付き投稿を非表示にすることはできない。

これは、何年もの間に価値を下げてきたこのプラットフォームを収益化するための、Tumblrによる最新の試みだ。ここ数カ月だけでも、TumblrはPost+(ポストプラス)のサブスクリプションや、ユーザーがお気に入りのブロガーにStripe(ストライプ)経由で現金を送ることができるTipping(チッピング)を発表している。TumblrはPost+の収益から5%の手数料を得るが、チップはすべてクリエイターに直接送られ、通常のクレジットカード手数料(2.9%+0.30ドル[約35円])を差し引いた額が支払われる。

Tumblrユーザーたちは、プラットフォームに変更が加えられると厳しく批判することで悪名高いが、広告なしのサブスクリプションは、ペイウォール(有料化された)投稿よりも押し付けがましくない機能だ。Tumblrは、非常に奇妙な広告を提供しているが(我々の個人的なお気に入りは、領主になるためにスコットランドの1平方フィートの土地を購入することを提案するものだ)が、一部のユーザーは、ブラウザの拡張機能を使用することで、すでに広告なしのTumblrを実現しているため、サブスクリプション料金を支払う動機がないことを指摘している。

画像クレジット:Tumblr

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Coinbase、第4四半期決算で予想を上回るも年明けの低迷を受け株価は沈む

米国の暗号資産取引大手Coinbase(コインベース)の株価は、米国2月24日の2021年第4四半期決算発表後、当初は急騰したが、投資家がすぐに売却したため9%も下がり、史上最低水準のすぐ上で推移している。

同社は決算年度最後の四半期で投資家の期待を上回った。しかし「暗号資産の変動性と暗号資産価格の低下」を理由に、Coinbaseは2022年第1四半期に小売月間取引ユーザー(専門用語でMTU)と総取引量が減少すると予想していると述べた。

Coinbaseの第4四半期

2021年第4四半期のCoinbaseの総収入は25億ドル(約2888億円)で、前年同期の5億8510万ドル(約676億円)から増加した。同社の売上高の大きな伸びは、収益性の大幅な向上につながり、純利益は2020年第4四半期の1億7680万ドル(約204億円)から、2021年第4四半期には8億4020万ドル(約970億円)へと大幅に増えた。また、2021年第4四半期のGAAPベースの1株当たり利益は、希薄化ベースで3.92ドル(約452円)だった。

投資家は、収益19億4000万ドル(約2240億円)、1株利益1.85ドル(約213円)を予想していた。しかし、Coinbaseの収益と利益に関する予想は、決算発表に向けてかなり幅があったことに留意する必要がある。Yahoo Finance提供のデータでは、収益予想は11億9000万〜24億4000万ドル(約1374億〜2818億円)だった。

企業財務の数値的な要点はさておき、暗号資産の世界に関連してCoinbaseの四半期から何を得ることができるだろう? たくさんある。以下のチャートは、豊富な情報を含んでいる。

個人投資家の取引量は、機関投資家の取引量に比べれば、まだ少ないことがみてとれる。しかし、個人投資家がCoinbaseの取引収益の大部分だけでなく、同社の総売上高の大半も生み出していることに留意して欲しい。取引量が少ないにもかかわらず、2021年第4四半期の個人投資家の取引は21億8500万ドル(約2524億円)の収益に相当し、一方で機関投資家の取引は9080万ドル(約104億円)の収益にとどまった。

話をさらに進めると、Coinbaseにおける取引量と取引収益を生み出すという点において、Bitcoin(ビットコイン)が優位に立つ時代は明らかに終わった。取引量と取引収益でEthereum(イーサリアム)のブロックチェーンに並んだにすぎない。そして、最後に、上のチャートから、取引量と収入の両面で他の暗号資産の台頭がうかがえる。暗号資産の世界は、時としてたった2つのブロックチェーンとその関連プロジェクトを中心に回っているように見えるが、Coinbaseの収益のストーリーはまったく異なる様相だ。

なぜ株価は下がっているのか?

Coinbaseは予想を打ち砕き、巨額の利益を計上し、前年同四半期から大きく成長した。では、なぜ株価は下がっているのだろう。答えは簡単だ。市場は、あなたが何をしたかよりも、あなたが何をしようとしているかに関心がある。言い換えれば、ガイダンスは、堅調だった過去の業績を切り捨てることができる。

Coinbaseが第4四半期決算を発表する前に、市場は2022年第1四半期の売上高16億9000万ドル(約1953億円)、1株当たり利益1.55ドル(約179円)を予想していた。同社の見通しは、これらの予想を達成しないかもしれないことを示していたのだろうか?

Coinbaseが投資家に語った、これまでの2022年第1四半期の見通しは以下の通りだ。

  • これまでの総取引高は2000億ドル(約23兆円)で、直近の四半期の取引高を大幅に下回るペースで推移しているようだ(上のチャート参照)。
  • 第4四半期を下回る「サブスクリプションとサービスの売上高」は、上記のデータポイントとともに、Coinbaseが2021年第4四半期と比較して2022年第1四半期に売上高ベースで急激に縮小するという事実を強調している。

今後に目を向けると、Coinbaseは年間平均小売MTUが500万から1500万という膨大な範囲に着地すると予想している。そして「ユーザーあたりの平均取引売上高」が「2021年以前のレベル」にまで減少すると予想している。投資家は成長しないストーリーを好まず、またCoinbaseは成長を約束しなかった。

TechCrunchは同社の決算をさらに掘り下げる予定なので、お楽しみに。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

MWC 2022、一部ロシア企業の出展を禁止へ、ロシアパビリオンはなし

毎年開催される、世界最大級のモバイル技術の見本市「MWC Barcelona 2022」(Mobile World Congress)を主催するGSMA(GSM Association)は、2月28日に開幕するバルセロナでの展示会において、一部のロシア企業の出展を禁止することを明らかにした。

しかし、この記事の執筆時点では、通信事業者団体であるGSMAはまだロシアのプレゼンスを認める意向だ。

米国時間2月24日早朝にウクライナに侵攻したロシアのMWCへの出展は、GSMAによって一部制限されるという。

本稿執筆時点では、空、陸、海からの砲撃に続いて、ロシアの戦車と武装勢力がウクライナの首都キエフに迫っていると報告されている。

GSMAの広報担当者は、通信キャリアを含むすべてのロシア企業のMWCへの参加が禁止されるかどうかについては明言を避け、Reuters(ロイター)が先に報じた、2022年のイベントにはロシアのパビリオンはないとする声明を参照するよう促した。

「GSMAは、ロシアに対する国際的な制裁措置に引き続き協力する意向です」と広報担当者は付け加えた。

GSMAのウェブサイトに掲載された声明の全文は以下の通り。

GSMAは、ロシアのウクライナ侵攻を強く非難します。状況は刻々と変化しており、各国政府がロシアに対してより広範な制裁を検討していることも理解しています。このような新しい状況に鑑み、また悲劇的な人命の損失を考慮すると、この状況下ではMWCは重要ではないように思われます。MWCは、モバイルエコシステムを招集し、接続性によって人々、産業、社会の繁栄を確保する方法と手段を進歩させるというビジョンを持つ、人々を1つにするイベントです。

GSMAは、今回の事態に起因するすべての政府の制裁および政策に従います。MWC22にはロシアパビリオンはありません。イベントのセキュリティは常に見直され、情報が出るたびに調整されます。

通常、MWCの国別パビリオンでは、多くの中小企業が密集して展示される。

だが、通信事業者のVEON(ヴェオン、旧VimpelCom Ltd.)などロシアとつながりのある企業を含む大規模な出展者は、GSMAにお金を払うことにより展示フロアの一等地を独占的に占めることができるかもしれない。

そしてGSMAは、制裁措置が強制されない限り、こうした裕福なロシア企業を締め出す用意はないようだ。

欧州理事会の外務理事会は現在、ロシアを対象とした第二次制裁措置について合意を得ようとしている。この制裁措置は「不可欠な」技術へのアクセスを含む、ロシア経済の戦略分野を対象とすると、欧州委員長は25日に述べている

「私たちはロシアの産業界を、未来を築くために今どうしても必要な技術から切り離す必要があります」とUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォンデアライエン)欧州委員長は述べている。「私たちの措置は、同国のエリート層が最もお金を稼ぐ重要な分野で、ロシアの技術的地位を弱めることになるでしょう。これは、ハイテク部品から最先端のソフトウェアに至るまで多岐にわたります。これはまた、将来的にあらゆる分野でロシア経済を深刻に衰退させるでしょう」。

GSMAのCEOであるJohn Hoffman(ジョン・ホフマン)氏は米国時間25日、Reutersとのインタビューで、ヨーロッパでの戦争勃発を受けてMWCを中止または延期する計画は今のところないことを確認した。

制裁についてホフマン氏は「一握り、数社」のロシア企業とその幹部が参加を禁止されると述べたが、制裁リストは変化し続けているとし、名前の提示を避けた。

「私たちは国際的な制裁措置に導かれており、制裁リストに記載されている企業もいくつかあるということで、それらの企業は参加禁止となります」と同氏は付け加え、GSMAは米国の制裁措置やその他の制裁措置に厳格に従うと述べた。

米国はすでに、厳しい輸出規制を含む一連の制裁を発表しており、これによりロシアの世界的な技術へのアクセスが大幅に削られることになると述べている。

Reutersによると、米商務省が発表した規制は「海外直接製品規則(Foreign Direct Product Rule、FDPR)」の劇的な拡大に依拠しており、米国のツールを使って海外でハイテク製品やローテク製品を製造する企業は、ロシアに出荷する前に米国の許可を求めることを余儀なくされるという。

ただし、家電製品などの消費財、人道物資、飛行安全に必要な技術については、例外が設けられている。

また、Reutersの報道によれば、携帯電話などのコンシューマー向けコミュニケーションデバイスは、ロシア政府の職員や特定の関連会社に送られない限り、制裁の下で許可されているとのこと。

MWCに話を戻すと、この通信業界の見本市が近年、苦境に立たされているのは間違いない。

2020年2月、欧州で新型コロナウイルスのパンデミックが発生したことを受け、同カンファレンスは全面的に中止された。

関連記事:MWCの開催中止が決定、主催者のGSMAが新型コロナウィルスを懸念

2021年の展示会は、例年の春先の開催から夏まで延期されたが、コロナ禍の影響が残っており、対面イベントの参加者はパンデミック前と比較して激減した。

2022年のカンファレンスは、MWC2021と同様に、対面セッションとストリーミングセッションの両方が利用できるハイブリッドショーとして提供される。

GSMAによると、2022年のイベントには183カ国から1800以上の出展企業と参加者を見込んでいるという。

関連記事:ロシアのウクライナ侵攻へのテック業界各社の対応

画像クレジット:Natasha Lomas/TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Den Nakano)

ロシア、国内でのフェイスブックへのアクセスを部分的に制限すると発表

ロシアのインターネット規制機関Roskomnadzorの発表によると、ロシア政府は現地時間2月25日、Facebook(フェイスブック)へのアクセスを「部分的に制限」し始めると発表した。

ロシアは、Facebookがテレビ局Zvezda、通信社RIA Novosti、ウェブサイトのLenta.ruとGazeta.ruのロシア国営メディア4社に対して独自の規制をかけたことを受けて、具体的には示されていないこのアクセス制限措置を実施すると主張した。

「2月24日、RoskomnadzorはMeta Platforms, Incの管理部門に、ソーシャルネットワークFacebookがロシアのメディアに課した制限を解除し、その導入理由を説明するよう要請した」とRoskomnadzorは説明し、そしてFacebookがその要請を「無視」したと付け加えている。

Meta Global Affairsの副社長Nick Clegg(ニック・クレッグ)氏はTwitter(ツイッター)でこの状況を詳しく説明し、ロシアの要求は、Facebookのファクトチェックの慣行か、国営メディアのアカウントにラベルを貼る方針のどちらかに反応したものであることを明らかにした。「ロシアの普通の人々は、自己表現し、行動を組織するために@Metaのアプリを使っています」とクレッグ氏は書いている。

Facebookは、ロシア政府の主張と、国営メディアに対してプラットフォームでどのような行動をとったかについて、TechCrunchのコメント要請に応じなかった。今のところ、部分的なアクセス制限がロシアのFacebookユーザーにとってどのような意味を持つのか、また、そうした制限がWhatsApp(ワッツアップ)やInstagram(インスタグラム)といったMeta(メタ)所有のプラットフォームにもおよぶのかどうかは不明だ。

ロシアが隣国ウクライナへの侵攻を深める中、何千人ものロシア人が戦争反対デモを行うために街に出ている。ほとんどの場合、大きな危険を冒してだ。ロシア政府は、オンライン上の反戦感情を抑え、米国が所有する最大のソーシャルネットワークの1つを皮切りに、戦争に関する物語をさらに形成しようとしている可能性がある。

Facebookのようなテックプラットフォームは、ロシアの偽情報の拡散を抑えるために、より強力な行動を取るべきだという考え方が米国では支持されている。2月24日に公開され、広く共有されているブログ記事では、ロシアのVladimir Putin(ウラジーミル・プーチン)大統領をヒトラーに例えて、プラットフォームに「どちらかの側につく」よう促し、オンラインで偽情報を流すロシアのプロパガンダアカウントの広大なネットワークを取り締まるよう促している。

「あなたはそれらのメディアがヒトラーへの援助を断つことを要求しますか、それともヒトラーが何百万という人の生活を破壊しようとするときでさえ、『言論の自由』といういくつかの混乱した概念に対するドイツ国家の権利を擁護しますか?」とTech Policy PressのCEO兼編集者であるJustin Hendrix(ジャスティン・ヘンドリックス)氏は、投稿の中でこう書いている。

「それがGoogle、Facebook、Twitterをはじめとする米国のテック企業が今直面している状況なのです」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

ウクライナ、ベラルーシのハッカーが同国防衛軍をターゲットにしていると発表

ウクライナのサイバーセキュリティ当局は、ベラルーシに支援されたハッカーが、ウクライナ軍関係者のプライベートな電子メールアドレスを標的にしていると警告している。

ウクライナのコンピュータ緊急対応チーム(CERT-UA)は、Facebookの投稿でこの活動を発表し、大量のフィッシングキャンペーンが、ウクライナの軍関係者が所有するプライベートのi.uaとmeta.uaのアカウントを標的にしていると述べた。

「アカウントが侵害されると、アタッカーは、IMAPプロトコルによって、すべてのメッセージにアクセスできるようになります」と、CERT-UAは付け加えた。「その後、フィッシングメールを送信するために、アタッカーは被害者のアドレス帳を使用します」。

CERT-UAは、現在進行中のキャンペーンを、Mandiant(マンディアント)が2021年11月にベラルーシ政府と正式に関連付けたUNC1151脅威グループによるものとしている。また、Mandiantは、この国家に支援されたサイバースパイグループを、ヨーロッパ全域で反NATOのレトリックを広め、ハッキング・アンド・リーク作戦に関与してきたGhostwriterディスインフォメーション・キャンペーンに関連付けた。

ミンスクを拠点とするグループ『UNC1151』がこれらの活動の背後にいます。そのメンバーは、ベラルーシ国防省の将校です」と、CERT-UAは書いている。

ウクライナの国家安全保障・防衛評会議のSerhiy Demedyuk(セルヒイ・デメディク)副長官はロイターに対して、キエフ政府は、先週ウクライナ政府のウェブサイトをダウンさせたサイバー攻撃の背後にUNC1151グループがいたと考えていると語った。ウクライナのセキュリティサービスは、その事件の間で70以上の国家ウェブサイトが攻撃され、そのうち10が不正な妨害に遭ったことを明らかにした。

MandiantのBen Read(ベン・リード)氏はTechCrunchに対し、セキュリティ会社は過去2年間にわたりUNC1151がウクライナ軍を広範囲にターゲットにしているのを観測しており「この活動は彼らの過去のパターンに合致します」と述べている。

「ベラルーシ軍と関連があると思われるUNC1151によるこれらの行動は、ウクライナ市民やウクライナ軍の個人データが占領のシナリオで悪用される可能性があり、UNC1151はGhostwriter情報作戦を促進するためにその侵入を使用しているため、懸念されます」リード氏はさらに付け加えた。「ウクライナの団体から取得した誤解を招く、あるいは捏造された文書をリークすることは、ロシアとベラルーシの友好的なシナリオを広めるために利用される可能性があります」。

「Ghostwriterは以前、NATO同盟国を標的とし、この組織への支持を失わせようとしました」と、リード氏は語る。「近い将来、同様の作戦が見られたとしても、私は驚きません」。

画像クレジット:Pavlo Gonchar / SOPA Images / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Yuta Kaminishi)

アップル、Siriに「性別の区別が明確につかない声」を追加

Apple(アップル)が、男性とも女性とも明らかな区別がつかない新しいSiri(シリ)の音声を開発した。このSiriの声は、iOS 15.4のベータ版で、言語を「英語(アメリカ合衆国)にすると利用可能になる。アップルは歴史的に、同社のデジタルアシスタントが不当な性差の固定観念を強化してきたという批判を受けてきた。今回のジェンダーニュートラルな音声を導入するという決定は、この大手テクノロジー企業がその批判から、また一歩距離を取るためのものと見ることができる。

長年にわたり、業界のオブザーバーや専門家は、Alexa(アレクサ)、Siri、Cortana(コルタナ)といった女性っぽい名前の音声アシスタントが作られ、それも女性っぽい声で話すことは、女性がいつでも言いなりになり、虐待さえ甘んじて受けるべきという考え方を暗示するものだと主張してきた国連の研究では、女性の声のアシスタントが従順で、時には媚びるようにさえ感じられることを指摘している。

さらに問題なのは、多くのバーチャルアシスタントをデフォルトで女性に設定するという決定は、私たちの日常的なテクノロジーの構築を担うチームに多様性が欠けているために行われている可能性が高いということだ。この問題は、AI音声の軽率な選択につながるだけでなく、女性にとって便利なツールの進化を遅らせる原因にもなってきた。例えば、人類の約半数に関連する健康指標であるにもかかわらず、アップルが「ヘルスケア」アプリに生理日追跡機能を搭載すべきだと気づくまでに何年もかかったのだ。

アップルは2021年、その信用を得るために、Siriの声に関する懸念に対処し、より多様な声を追加したアップデートを配信した際に、Siriの声がデフォルトで女性に設定されないようにした。

関連記事:アップルが英語圏のSiriに2つの新たな声を追加、「女性」の声のデフォルト設定は廃止に

しかし、AIの音声アシスタントの性別について、まったく考えなくて済むとしたらどうだろう?

それは明らかに、今回Siriに5番目の声を追加した意図である。アップルはまだそうはっきりと明言しているわけではないが。

しかし、iOSソフトウェアのコードを見れば、アップルの考え方を知るためのいくつかのヒントを得ることができる。

開発者のSteve Mosser(スティーブ・モッサー)氏は、iOS 15.4ベータ版の初期のバージョンで、性的区別のないSiriの声への参照を見つけ、今週には米国向けに用意された5番目のSiriの声が「Quinn(クイン)」というファイル名でベータ4に追加されたことを指摘した

Quinnはアイルランドを起源とする名前で、性別にとらわれない名前として知られ、長年にわたって男の子にも女の子にも使われてきた。これが新しいSiriの声にもなっているのは、偶然ではないだろう(ただし、アップルは音声ファイル名をエンドユーザーには表示しておらず、ユーザーインターフェース上では「声 1」「声 2」「声 3」等と表示される)。

Quinnの声は聞く人によって、少し女性っぽく、あるいは男性っぽく聞こえるかもしれない。だが、男性か女性かどちらかに決めて聞くようにすれば、その通りに解釈されるようになるだろう。

しかも、この新しい声は、ひと昔前のようなロボット的な調子に戻ることなく、性別を超えて聞こえるのだ。以前から他のSiriの声で聞かれるような自然な抑揚と滑らかな移行があり、人間らしい声であることに変わりはない。

アップルはTechCrunchに、新しい声はLGBTQ+コミュニティのメンバーによって録音されたと述べている。その自然な音声には、Neutral Text to Speech(ニューラル・テキスト・トゥ・スピーチ、Neural TTS)技術が活用されている。英語圏の音声はすべてNeural TTSを使用しており、他の6言語(フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、日本語、韓国語)の音声も同様だ。ユーザーは、デバイスの設定とSiriの音声を選択する際に、合計16の言語から選択することができる。

インクルージョンに関してアップルは、Siriの音声だけでなく、デジタルアシスタントの発言にも力を注いできたた。過去数年の間に、アップルは「Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)」や「Stop Asian Hate(ストップ・アジアン・ヘイト)」に関するSiriの応答を追加し、ジェンダーやセクシュアリティに基づく暴言に対する強い応答を導入してきた。同社はまた、Speak Screen(スピークスクリーン、画面を読み上げ)、Dictation(ディクテーション、音声によるテキスト入力)、Voice Control(ボイスコントロール、音声コントロール)といった、数々の音声アクセシビリティ機能も導入してきた。

「私たちは、英語を話す人向けに新しいSiriの声を導入し、ユーザーが自分に話しかける声を、より多くの選択肢の中から選べるようにできることを大変うれしく思います」と、アップルの広報担当者は、新しいSiriの声について問い合わせた我々に答えた。「私たちが住む世界の多様性をより良く反映した製品とサービスを開発するというアップルの長年のコミットメントの一環として、私たちは2021年、2つの新しい音声を導入し、音声のデフォルト設定を廃止しました。世界中の何百万人もの人々が、毎日何かをするためにSiriを頼りにしています。そのため、私たちはできるだけパーソナライズされた体験が感じられるようにしようと力を入れています」と、アップルの広報では述べている。

新しい音のオプションは、3月中に配信が予想されるiOS 15.4で、英語話者向けに導入される予定だ。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アンドパッド、「数年先の設計・施工DX」に先行し取り組む住宅実験プロジェクトANDPAD HOUSE検証発表

クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を運営するアンドパッドは2月21日、2020年10月に企画をスタートした未来の設計と施工のDX実験住宅プロジェクトによる「ANDPAD HOUSE」が完成したことを発表した。

同プロジェクトは、アンドパッドが施主となり、実験住宅の設計・施工を通して「数年先に実現する設計・施工のDX」を先行実証するために立ち上げられた。国土交通省が進める「令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(先導事業者型)」において、「木造建築における、BIMとクラウドサービスを用いたCDEとECIの効果検証・課題分析」に採択されている。

現在BIMの利活用は、大手ゼネコンや組織設計事務所といった一部企業の大規模物件だけに限られた状況となっているという。しかし近年、住宅・非住宅を問わずBIMの利活用の需要が高まっており、木造建築・住宅における利活用の効果を実証する必要があるとしている。

今回のプロジェクトで行った検証の結果として、アンドパッドは「移動時間ゼロ、合計300時間以上の移動時間を削減」「工期を3カ月以上短縮」の2点を報告している。

移動時間ゼロ、合計300時間以上の移動時間を削減

プロジェクト管理プラットフォームとしてANDPADを用い、BIMデータだけでなくプロジェクトに関わるすべての共有可能なデータについて、CDE(Common Data Environment)に取り組み、関係者全員がいつでもアクセスできる状態を実現した。

また会議はすべてリモートで行うことで、移動時間を削減するとともに、週1回の定例会議に関係者全員が参加し、意志決定スピードもアップさせた。

そのほか、ロボットやMRグラスなどを使った遠隔臨場にも取り組み、結果として余分な移動時間がゼロ、合計300時間以上の移動時間を削減できた。

工期を3カ月以上短縮

施工者の長谷萬が基本計画段階からプロジェクトに参画することで、施工・製造の効率化を図るECI(Early Contractor Involvement)の形式を採用。実施設計から作図を開始することで、工期をのべ1.5カ月短縮させた。

またウッドショックの影響により、追加で1.5カ月の工期延長を余儀なくされるところだったが、部材変更対応を迅速に行ったことで延長することなく工事を実施。合計で実質3カ月以上の工期短縮を実現できた。

シェア買いアプリ「カウシェ」、シェア買い成立に必要な人数を事業者が設定できる「大人数シェア買い機能」α版追加

カウシェは2月21日、同じ商品を2人以上で購入することでお得に買い物ができるシェア買いアプリ「カウシェ」(Android版iOS版)において、「大人数シェア買い機能」α版を追加したと発表した。同機能は、シェア買い成立に必要な人数(従来は2名以上)について、事業者側が自由に設定できるというもの。今回はα版のため30人もしくは50人の2パターンから設定する。

事業者にとっては、販売数をコントロールでき、ボリュームディスカウントの提供も可能となる。またユーザーにとっては、よりお得な価格で商品を購入できるようになるという。

カウシェは、友人や家族、もしくはSNS上の誰かとといった自分を含めて2人以上で購入する「シェア買い」が手軽に行えるアプリ。シェア買いの仲間を見つけるにあたって、買い物の醍醐味ともいえる、商品についての語り合いや一緒に購入する約束をオンラインで実現することにより「ショッピングの楽しさ」と「お得な買い物体験」を提供する。

出品する事業者側としても、シェア買いを成立させたいユーザーが自発的に商品情報拡散をSNSなどで行うことで、広告費を抑えられるとしている。

「大人数シェア買い機能」では、シェア買い成立人数を事業者側が独自に設定し、「○個販売する場合は、○円で販売可能」といった形で販売量と価格の調整によるボリュームディスカウントが可能となる。シェア買い成立までの人数集めの規模が大きくなるので、ユーザーがより多くの新規ユーザーを呼び込むことを期待できるという。ユーザーとしては達成までのハードルは上がるものの、よりお得な価格で商品を購入可能になるとしている。

2020年9月設立のカウシェは、「世界一楽しいショッピング体験をつくる」をビジョンとして掲げ、シェア買いアプリ「カウシェ」を運営。買い物客と、モノを売りたい事業者の双方がワクワクするようなショッピング体験を実現することで、「物を購入する」という目的に留まらず、楽しさを追求できる場所として、デジタルの買い物体験のアップデートを目指している。

横浜国立大学とゼロゼロワン、家庭用ルーターなどIoT機器のマルウェア検査サービス「am I infected?」を無料提供開始

横浜国立大学とゼロゼロワン、家庭用ルーターなどIoT機器のマルウェア検査サービス「am I infected?」を無料提供開始

横浜国立大学ゼロゼロワンは2月24日、家庭用ルーターやスマート家電を始めとしたIoT機器のマルウェア検査サービス「am I infected?」(アム・アイ・インフェクテッド)の提供を開始したと発表した。費用は無料で、オプションなどによる追加料金は発生しない。

両者は、同サービスの提供により、脆弱なIoT機器の根本原因の解決や効果的な注意喚起手法などに向けて、さらなる研究開発に活かすとしている。今後もサイバーセキュリティの研究を通じて、安全・安心な社会の実現に貢献する。

「am I infected?」は、家庭用ルーターやスマート家電などIoT機器がマルウェアに感染していないか、脆弱な状態で利用していないかを利用者自身で検査・対策できる無料サービス。

専用サイトにおいて、検査結果を送信するメールアドレスの入力と、検査を実施する環境に関するアンケートに回答することで、同ウェブサイトにアクセスした際に利用しているIPアドレスに対して検査を実施する。

検査結果は、入力したメールアドレス宛てに検査結果ページへのリンクが送付される。万が一、マルウェアへの感染が疑われる場合は同ページの推奨対策を参考に利用者自身で対策を行う。

横浜国立大学とゼロゼロワン、家庭用ルーターなどIoT機器のマルウェア検査サービス「am I infected?」を無料提供開始

安全な状態の表示例

マルウェア感染が疑われる際の表示例

マルウェア感染が疑われる際の表示例

同サービスは、横浜国立大学 情報・物理セキュリティ研究拠点が運用しているハニーポットのほか、ゼロゼロワンが開発・提供するIoT検索エンジン「Karma」(カルマ)のデータ、情報通信研究機構(NICT。エヌアイシーティー)が開発・運用するサイバー攻撃観測・分析システム「NICTER」(ニクター)のデータを利用している。

横浜国立大学 情報・物理セキュリティ研究拠点とゼロゼロワンは、2021年6月より横浜国立大学内外のセキュリティスキャンに関する共同研究を行っており、今回のサービスは学外のIPアドレスに対するセキュリティスキャンの成果を活用しているという。

また横浜国立大学は、NICTが2021年4月に創設した産学官連携拠点「CYNEX」(サイネックス。Cybersecurity Nexus)に参画しており、CYNEXのサブプロジェクト「Co-Nexus S」(Security Operation & Sharing)よりNICTERの観測データの提供を受けている。

横浜国立大学 情報・物理セキュリティ研究拠点では、サイバー攻撃の実観測、分析に基づき、対策を導出する研究を行っている。IoT機器のウェブインターフェースを模倣したハニーポットと、Telnetと呼ばれる脆弱なサービスを動作させたハニーポットを運用しており、IoT機器の脆弱性を利用した攻撃や、IoT機器に感染するマルウェアを収集しているそうだ。

同ハニーポットによりサイバー攻撃をひきつけ、詳細に観測する受動的観測や攻撃の対象となる脆弱なシステムを探索する能動的観測により、これらの状況を把握し、独自の分析により、そのメカニズムを明らかにすることで、効果的な対策を導出するという。また、これまでIoTにおけるサイバー攻撃やマルウェア感染の蔓延、超大規模サービス妨害攻撃の観測、分析を行い、その観測・分析結果を多数の公的機関・民間企業・研究コミュニティに提供している。

ゼロゼロワンは、IoT機器開発事業者向けに設計段階におけるセキュリティ面での不安解消や想定外の脅威を作らないための支援を行うとともに、IoT機器を安全・安心に利用してもらうための啓蒙活動を行う会社。

公開情報を情報源とするOSINT(オシント。Open Source INTelligence)を含む様々な情報を可視化する検索エンジンであるKarmaと、より安全な製品開発のためのコンサルティングサービスを事業の柱としている。

イーロン・マスク氏のインサイダー取引の可能性について米SECが調査開始

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が待ち焦がれている、SECから解放される瞬間はまだ遠いようだ。The Wall Street Journalの情報筋によると、SECはマスク氏と弟のKimbal Musk(キンバル・マスク)氏が、最近の株式売却でインサイダー取引の規制に違反したか否かを捜査しているという。

Tesla株の売却についてイーロン氏はキンバル氏に対して、Twitterのフォロワーに尋ねるつもりだと話した可能性があり、その結果、キンバル氏は11月6日のツイートの前日に8万8500株を売却するよう仕向けたのではないかという点についてSECは調査している。もしそうなら、CEOハ従業員が非公開情報を取引することを禁止する規則を破ったかもしれない。

キンバル氏は、計画的にTesla株を一定期間ごとに頻繁に売買してきた。SECの提出書類によると、彼は11月5日にそうしなかった。

TechCrunchはSECにコメントを求めた。Teslaは、2020年の一時期に広報のチームを解体していたためコメントは得られなかった。マスク氏は当然、SECに対して友好的ではないが、彼によるとSECが始めた彼が思う戦いはそのうち終わるだろう、という。

しかし、この記事が正しければ、長年の確執にさらなる緊張が加わる。それは、2018年にSECが、同社を非上場にするとツイートしたマスク氏に対して動いたときに始まる。マスク氏はそのときの和解に合意して、ソーシャルメディア上の財務関連のポストには承認を要するという要求を飲んだが、それで両者の戦いが終わったわけではなかった。SECは過去数年間、生産関連のツイートが承認されていない懸念からマスク氏のツイートをチェックし、そしてほんの数日前には、2018年の和解の遵守過程に関する情報を求めてTeslaを召喚した

マスク氏はこれらと同時に、SECと大っぴらにやりあってきた。2022年彼はこの規制当局を、その「嫌がらせ作戦」が彼を不公平に特定し、モニタリングから法廷を除外したと非難した。SECは、その非難を否定した。これらの主張の背後にある真実が何であれ、マスク氏がいかなる新しい捜査を歓迎しないことは確実だ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto/Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「脱炭素」でさらに注目が集まる気候テック、IoT、AI、SaaS活用でさまざまな企業、サービスが誕生

遂に、本格的なClimate Tech(気候テック)のブームが到来したといえるだろう。

その背景には、世界規模の脱炭素の風潮がある。筆者は職業上、関連トピックをフォローしていたため、「カーボンニュートラル(CN)」や「ESG」といった単語は以前から聞き慣れたものだったが、最近では、テレビやTwitterといったメディアでも、関連用語を目にするようになっている。我々の日常生活においても、脱炭素に考慮した生活スタイルが浸透しつつある。

Climate Techは脱炭素のプレイヤーとして大いに期待されている。Climate Techとは、地球温暖化を軽減するためにCO2を含む温室効果ガスを削減する技術やそのビジネスを指している。PwCのレポートによると、Climate Techへのグローバル投資は2013年から2021年H1にかけて総額2220億ドル(約25兆5514億円)2020年H2から2021年H1の期間では839億ドル(約9兆6417億円)となり、過去8年間の4割弱を占めた。VC含む巨額投資マネーがClimate Techに流れている。

画像クレジット:PwC

2012年のClean TechブームVS近年のClimate Techブーム

なお、こういった技術分野のブームは、2006年から2011年にかけてもシリコンバレーに存在していた。

12年前、類似技術領域は「Clean Tech」の名称で呼ばれていた。このClean Techは、優れた性能を低コストで実現し、環境への影響を大幅に低減または排除する製品やプロセスと定義されている。一方、近年のClimate Techは環境への影響低減から一歩踏み込んで、「地球温暖化」という具体的な危機に対処する技術を指している。その背景には次々と国内外の政府や大企業が期限付きカーボンニュートラルを表明した経緯がある。つまりClean TechとClimate Techの本気度合いが大きく異なっている。

また、10年前と比べて、Climate Techに呼水効果をもたらす気候変動特化型機関が増えている。Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が設立したBreakthrough EnergyやAmazon設立のClimate Pledge Fund、その他ESGに特化したファンド、インパクト投資を行う金融機関、そして日本企業含むCVCが例として挙げられる。

この呼水効果の影響が各案件の投資額の増加にも表れている。2021年のグローバルベンチャー資金調達では過去最高で6430億ドル(約73兆8700億円)を記録し、そのうち半分はメガディールと呼ばれる1億ドル(約114億9000万円)超の案件であった。実際、1件の額が膨れ上がった理由としては、VCによるアーリーやシード段階での投資意欲が増加し、資金調達額やバリュエーションが上昇したこともある。Holon IQのレポートによると、2021年末時点でClimate Techのユニコーンは45件、メガラウンドは61件だった。昨年11月に上場したEVベンチャーRivianのバリュエーションは665億ドル(約7兆6400億円)となり、株式市場を揺るがせた。2012年のClean Tech投資件数・規模は10年前のものより拡大した。

また、今回のブームでは技術面でIoT、AI、SaaSといったソフトウェア技術がClimate Tech領域に進出している。エネルギー分野だと巨額な設備投資額が必要なディープテック系が主流と思われがちだが、今ではアプリを通じて脱炭素に貢献するスタートアップも続出している。

Climate Techにはエネルギー需要側・供給側、そしてその中の技術分野など様々な側面がある。本記事では筆者が注目している直近でVCやCVC資金が集中した3つのエネルギー領域をご紹介したい。

Climate Tech領域カテゴリマップ(画像クレジット:Scrum Studios)

二酸化炭素回収・貯留・利用(CCUS)

CCUSはその名の通り、二酸化炭素の回収・有効利用・貯留を指し、火力発電や工場などの排気ガスに含まれているCO2を分離・回収・有効利用する技術を指す。「脱炭素」という意味で直接的な効果をもたらすという点から、元々は石油・ガス業界による投資が多かったものの、今は製造業など他業種も投資検討するようになった。

CB Insightsの報告によると、2020年8月〜2021年8月のCCUS技術への投資は6億8700万ドル(約789億円)、前年比で3倍以上 になると想定されている。下図の通り、そのCCUS技術の中に大きく6つの分野があるが、うち4つにかかる主要スタートアップを挙げる。

画像クレジット:CB Insights

1.炭素利用(Carbon Utilization)

従来セメント製造とSolidia製造方法(画像クレジット:Solidia Technologies

画像クレジット:Solidia Technologies

炭素利用とは、回収したカーボン(炭素)を有効利用する技術である。主な利用対象の1つ目に合成燃料が挙げられる。英国のLanzaTechは一酸化炭素、二酸化炭素、水素を含むガスに、微生物を用いて発酵させ、エタノールなどの化学品を作り出し、燃料にする。同社は全日本航空(ANA)と協業し、エタノールを用いてバイオジェット燃料の開発もしている。米国のTwelveもジェット燃料を含め、自動車部品や洗濯用洗剤など、石油化学製品に活用されている。

他にも、世界の二酸化炭素排出量の5〜7%を占めているコンクリートへの炭素利用もある。例えば、米Solidia Technologiesは水の代わりに二酸化炭素を吸収させ、コンクリートを硬化させる。Forteraは石灰岩のみでセメントを生成することで、CO2を60%削減させ、コストも従来生産方法より10%低く抑えることを可能にしている。

2.クリーン製造

全体の製造過程のける大量のCO2排出量を削減する目的としてH2 Green Steelが挙げられる。同社はグリーンな鉄鋼製造を実践することで、1トン辺りのCO2排出量を95%削減することを可能にしており、Mercedes Benzとも協業している。

3.カーボンオフセット・炭素市場

他の場所で実施した温室効果ガスの排出削減・吸収を購入することによって、炭素排出の埋め合わせを可能にする、「カーボンオフセット」。こちらも、CCUSの技術領域に入ってきており、前述のソフトウェア技術を駆使して注目を浴びているのはPachama。世界中の森林再生プロジェクトをオンラインの炭素市場に持ち込み、機械学習を用いて森林による吸収量を把握し、検証済みのオフセットを購入することを可能にしている。AmazonやSoftbankとすでに提携している。

4.排出量トラッキング・管理

トラッキング・管理の領域でもソフトウェアが大活躍している。大企業によるScope 1〜3のCO2排出量の開示が求められる中、カーボンフットプリントの算出・可視化をクラウド開発・ソリューション提供を行う企業が増えている。グローバル大手には、既に大手PEや銀行グループが導入している米Persefoniがあり、2021年10月にClimate Tech SaaSベンチャーとして最大級のシリーズB調達を成し遂げている。国内でも、CO2算出、削減管理、TCFDなどの国際基準の報告形式に対応したアウトプットも提供する、zeroboardが2021年に設立され、注目を浴びている。その他にも、フランスのSweepや日本のbooost technologiesも参入している。

水素製造

画像クレジット:Sunfire

水素技術もClimate Techでの注目領域である。日本では、グリーン成長戦略に水素が重点分野として掲げられている上、官民連携して水素サプライチェーンの構築に注力している。

CB Insightsによると2021年8月時点のグローバル水素投資合計は前年比4倍弱の6億9400万ドル(約797億円)だった。その中で、水素バリューチェーン上、川上に位置する「製造」、そして川下に位置する「利用」に企業が集中している。今回は前者のうち、スタートアップ例を挙げたい。

前述の資金調達額の半分ほどがこの過程に充てられていた。水素は水などから抽出されるべきもので、様々な方法で実施可能である。その中で、注目しているスタートアップ数社を挙げる。1社目は高温で電気分解技術を開発するドイツのSunfire。再エネ電力、水蒸気、回収したCO2などから、再生可能な水素(e-fuel)、水素、そして一酸化炭素の混合合成ガスを生成している。CCUSの要素もあることから、製油所から自動車会社、航空会社など、幅広いセクターにおいて応用されている。

次に、食品廃棄物や再生可能エネルギーから水素製造(Waste-to-Energy)を実践するElectro-Active Technologiesがある。特許取得済みの微生物及び電気化学的プロセスを用いて、効率的に有機廃棄物を電子と陽子に分解し、水素を製造する方法は、水の電気分解よりも2倍以上効率的に水素製造を可能にする。他にも、水素分離膜を用いるSygyzy、電極を用いた水分解を開発するH2Pro、バイオマスや廃棄物から水素製造を行うSGH2なども挙げられる。

エネルギーマネジメント

エネルギーマネジメントとは、住宅、工場、ビルなど、建物や施設におけるエネルギー状況を把握し、効率的にエネルギー使用を改善していく方法である。主にBEMS(Building Energy Management System)やHEMS(Home Energy Management System)といった名称が知られており、日本でも普及しているが、本記事では注目したい事例を挙げる。

1.工業利用

フランスのMetronは工場などの施設内の機械の稼働状況や温度、湿度、生産量のデータを集約し、AIが工場の各種設備の最適運用パターンをアドバイスし、工場のエネルギー消費を最適化している。すでに日本でも、NTT グループが同社と事業提携し、工場の生産ラインのコスト最適化を実現し、省エネ・コスト削減に貢献している。他にも、分散型エネルギープラットフォームと卸売市場と連携するVoltusや、工場の設計段階からエネルギー使用を最適化するSkyven Technologiesも注目されている。

2.住宅・商業施設利用

Cove.toolの建築設計最適化を行うソフトウェア(画像クレジット:Cove.tool

商業施設は世界のGHG排出量の4番目に多く貢献しているとされている。その中でcove.toolは建築家が同社のプラットフォームに建築物の詳細を入力すると、空調設備、建築材料、再エネ(太陽光発電など)の最適化方法を提案することを可能にしている。2021年12月のシリーズBラウンドには、俳優のRobert Downey Jr.(ロバート・ダウニーJr.)も参加した。

また、BlocPowerは学校や老朽化した中型規模のビルのエネルギー性能を管理・分析している。省エネ型冷暖房設備のアップグレードも支援する。空調シェア世界一のダイキン工業ともパートナーシップを結んでおり、同社のサービスを利用した企業に向けて設備更新の際のソリューション提供をしている。

3.プラント・設備効率化

また、エネルギーマネジメントには再生可能エネルギー設備などの最適化を図るものもある。例えば、LeapはEV、蓄電池、大型冷蔵設備などといったDERをクラウド上で管理するVPPオペレーターである。DERを束ね、同社のSaaSプラットフォームを通じて卸売市場に入札することを可能にしている。2021年11月、日本のClimate tech企業ENECHANGEがファンドを通じて同社に出資をした。

他にも、風力発電設備の効率化を行うIoT会社WindEsco、水力発電設備の効率化を図るHydrogridも、設備レベルでエネマネを実施している。

ここで紹介した複数事例は、Climate Tech全般のほんの一部である。

10年前から技術の進歩により、ハードのみならず、ソフト面でのイノベーション促進を通じてCNに向けて更なる加速化に期待したい。

編集部注:本稿の執筆者は島田弓芙子(Yuko Shimada)。日本企業と海外スタートアップの新規事業創出を手がけるスクラムスタジオで、脱炭素・サステナビリティのプログラムを担当。それ以前は、デロイトにて再エネや電力のアドバイザリー事業、ムーディーズにて国内電力・自動車・商社の格付分析業務に従事。ジョージタウン大学卒、コロンビア大学大学院修了。

テトラ・アビエーションの空飛ぶクルマ(eVTOL)実機が東日本大震災・原子力災害伝承館で常設展示

テトラ・アビエーションの空飛ぶクルマ(eVTOL)実機が東日本大震災・原子力災害伝承館で常設展示

福島ロボットテストフィールドで試験飛行中のMk-3

テトラ・アビエーションは2月23日、垂直離着陸航空機(eVTOL)の「Mk-3」(マークスリー)が「東日本大震災・原子力災害伝承館」(福島県双葉郡双葉町大字中野字高田39)において、常設展示されると発表した。同施設の「復興への挑戦」コーナー改修にともなうもので、展示期間は2022年2月23日から2年間の予定。展示機体は写真撮影可能。

Mk-3は、テトラ・アビエーションが2018年から開発し、2020年2月開催の国際個人用航空機開発コンペ「GoFly Final Fly Off」において受賞した機体。同コンペで飛行した実機を展示する。また同社は、福島ロボットテストフィールド開所時から入居しており、このMk-3を使った飛行試験を行ってきたという。

同社は現在、次期機体「Mk-5」を開発し、福島ロボットテストフィールドにおいて飛行試験を行っている。引き続き、福島県をはじめ日本における航空産業の発展のため、航空機メーカーとしてより良い製品の開発に尽力するとしている。

2018年設立のテトラ・アビエーションは、空飛ぶクルマと呼ばれる垂直離着陸航空機(eVTOL)を開発するスタートアップ。今後、まずは個人利用としてのeVTOLを開発・販売し、購入者からのフィードバックを基に量産型eVTOLの開発を行い、2025年に開催される大阪万博での飛行など2拠点間移動サービスを行うための機体をリリースしたいとしている。

若手研究者と共同創業するHERO Impact Capitalが1号ファンドを組成し投資活動開始、ファンド規模は30億円

若手研究者と共同創業するHERO Impact Capitalが1号ファンドを組成し投資活動開始、ファンド規模は30億円

若手研究者と共同創業するベンチャーキャピタル「HERO Impact Capital」は2月24日、総額30億円規模の同社1号ファンド「HERO Impact Capital 1号投資事業有限責任組合」を組成し、投資活動を開始したと発表した。ファンド規模は総額30億円。投資対象は、研究開発型スタートアップ。一次募集出資者(予定)は、ディープコアMistletoe Venture Partnersとなっている。若手研究者と共同創業するHERO Impact Capitalが1号ファンドを組成し投資活動開始、ファンド規模は30億円

HERO Impact Capitalは、地球課題を解決する研究開発型スタートアップを若手研究者と共同創業するベンチャーキャピタル。若手研究者を中心とした研究開発型スタートアップの次世代エコシステムとなることを目指し、同ベンチャーキャピタルファンドを含む以下3つの機能を有している。若手研究者と共同創業するHERO Impact Capitalが1号ファンドを組成し投資活動開始、ファンド規模は30億円

また同ファンド運営の成功報酬は一般財団法人ZERO Foundationに分配され、次世代研究者へ循環する。若手研究者と共同創業するHERO Impact Capitalが1号ファンドを組成し投資活動開始、ファンド規模は30億円