次期watchOSでApple WatchがますますiPhoneに依存しなくなる

アップルがwatchOSをアップデートして、ポケットのiPhoneを探さなくてもApple Watchを使える機会を増やすらしい。

ブルームバーグ(Bloomberg)のMark Gurman記者がその筋から入手して公開した長いリストには、WWDCでiOSとwatchOSとmacOSにやって来る改良や新しい機能がたくさん載っている。その中で一番面白いのは、まだ残っているWatch、iPhone間の依存性をひとつ取り除き、Watch本来のアプリを強化する、という情報だ。

そして、App StoreのwatchOSバージョンができるかもしれない。そうなるとサードパーティ製のWatchアプリを入手するために、いちいちiPhone上で探さなくてもよくなる。

さらにブルームバーグの記事によると、iOSアプリのwatchOS用バージョンという、これまでありえなかったものが一般ユーザー向けに提供されるらしい。それらは、電卓アプリ、音声メモ、Apple Books(オーディオブック)、そしてAnimoji、Memojiのステッカーを送ることだ。また、薬の服用時間を守らせるDoseアプリや、生理の周期を調べるCyclesアプリもWatchに来るようだ。

WWDCは6月3日に始まるので、本誌はソフトウェアのアップデートのすべてを会場から直接、ご報告したい。

関連記事: iOSが独自にスワイプ入力方式のキーボードを提供か

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Dropboxはファイル保存コスト削減のためコールドストレージを採用

Dropbox(ドロップボックス)は、AWSから独自のデータセンターへと、負荷を移動する作業に何年も前から取り組んできた。ファイルの保存とアクセスの方法を細かく制御する必要があったからだ。そのために、Magic Pocketと呼ばれるストレージアーキテクチャを開発して活用してきた。しかしその過程で気付いたことがある。多くのユーザーは、バックアップ目的でDropboxにファイルを移動すると、その後はめったにアクセスしなくなるということだ。

そしてエンジニアが悟ったのは、すべてのファイルを同じ方法で保存するのは、ほとんど意味がないということ。多くのファイルは、Dropboxに預けた日の翌日以降、あまりアクセスされなくなるからだ。そこでDropboxでは、2種類のストレージを用意することにした。これまでのMagic Pocketを使うウォームストレージと、長期保存に適した新たなCold Storage(コールドストレージ)だ。そうすることでDropboxは、ファイルの保存コストを下げつつ、ユーザーの要求に応じて素早いアクセスを提供することもできる。

Dropboxのユーザーとしては、当然ながら、同社がどのような技術的な課題に直面し、それをどのような方法で解決しているかなどといったことに興味はない。ユーザーは、ファイルをクリックしたとき、特に遅れを感じずに開くことができれば、それでいいのだ。ファイルの古さなど関係ない。しかしDropboxでは、古いものは別のレイヤーに保存する手法を編み出した。

「コールドストレージには、通常、アクセス頻度の低いものを保存することになります。そのため、そうしたファイルの場合、ストレージ容量、パフォーマンス、そしてネットワークのバンド幅の間でバランスを考える必要があります」と、コールドストレージのプロジェクを担当するエンジニア、Preslav Le氏はTechCrunchに語った。

というわけで、コールドレイヤーに保存されたファイルを、許容範囲の待ち時間以内に取り出すことのできるシステムを設計するのは、エンジニアの責任だった。ユーザーが気付いてしまうような遅れは許されない。そのような仕事は、設計上のきわどい綱渡りを必要とする。こうしたアプローチでは、すべの要素のバランスをうまく取る必要があるからだ。

「私たちのコールド階層は、ウォーム階層と同じハードウェア上で動作し、同じネットワークに接続されています。それでも画期的な方法によってディスクの使用量を25%削減することで、コストを節約しています。耐久性やアクセス性を犠牲にすることもありません。ユーザーは、2つの層の違いにほとんど気付くことはないはずです」と、Dropboxはこの新機能を紹介するブログ記事に書いている。

同社では、耐久性と信頼性を確保しつつ、新たなストレージのレイヤーを開発して全体的なコストを削減する必要があった。そのプロジェクトは容易ではなかったが、2つの層を持つシステムによって、やがて10〜15%ほどのコストの削減につながるものと期待している。

画像クレジット:Chris Clor/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iOSが独自にスワイプ入力方式のキーボードを提供か

アップル(Apple)は6月に開催されるデベロッパーのためのカンファレンスであるWWDCで、Androidの人気機能をiOSに導入するらしい。Bloomberg(ブルームバーグ)のMark Gurman記者が、その筋から入手したWWDCで発表されるiOSの大小さまざまな新しい機能の長い長いリストを紹介している

その中で特に面白いのは、Androidに前からあったスワイプ入力方式のキーボードだ。これまでのようにキーの上をタップしなくても、このサードパーティならぬアップルのファーストパーティキーボードでは、キーからキーへ指をすべらせるだけでテキストを入力できる。

この機能が死ぬほど欲しかった人も、これからはApp Storeへ行ってサードパーティ製キーボードを見つける、ダウンロードしてインストール、設定する、という手間が不要になる。アップルのことだから、そのキーボードには何か独自の仕組みがあるかもしれない。それも、楽しみだね。

WWDCは6月3日からだ。

関連記事: Apple Watch may be getting more independent at WWDC(Apple WatchがますますiPhoneに依存しなくなる、翻訳中)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GW明けもキャッシュレス決済が熱い、Origamiで松屋の牛めし並が半額に

Origamiは5月7日、松屋フーズが運営する、牛めしの「松屋」、とんかつの「松のや」「松乃家」「チキン亭」、カレーの「マイカリー食堂」、天ぷらの「ヽ松(てんまつ)」、ステーキの「ステーキ屋松」など1139店舗を対象にしたキャンペーンの実施を発表した。

5月8日〜14日の1週間、税込300円以上をOrigami Payで決済すると毎回190円割引となる。松屋のプレミアム牛めし(並)の場合は還元率は50%、つまり半額相当で食べられる。190円÷20%=950円なので、松屋などで950円未満のメニューを食べるなら、PayPayの20%還元よりも還元率は高い。

なお、セゾンポータルアプリの「セゾンOrigami Pay」およびUCポータルアプリの「UC Origami Pay」での決済はキャンペーン対象外となるので注意。

Origamiといえば、牛丼の吉野家で唯一使えるコード決済サービスだったが、4月に松屋フーズとの連携を発表していた。GW後に節制を強いられるビジネスパーソンにとってはうれしいニュースだ。

Facebookがビデオのガイドラインを改定、オリジナリティーや愛着度を重視

米国時間5月6日、Facebookは投稿されたビデオのランク付け方法に一連の変更を加えたことを発表した。ランクはビデオがどれだけ広く配信されるかを決定する。改定されたガイドラインによると、Facebookが高くランク付けするようになるのはオリジナル作品、ユーザーが長時間視聴したビデオ、ユーザーが繰り返し視聴したビデオなどだ。

狙いは、質の高いビデオを増やして「オリジナリティーのないビデオや使い回しされて付加価値のないビデオ」を減らすことにある。これは他人のコンテンツを(時には適切なクレジットなしに)大量に転載して小遣い稼ぎしているメンバーに対する取り締まりでもある。

Facebookは、シェア詐欺に関与しているFacebookページのビデオもランクを下げると言っている。他のページオーナーに報酬を払って中身のないコンテンツを掲載して宣伝させる手法だ。

さらにFacebookは、熱心で忠実なファンのいるビデオを高く評価するようになる。

従来Facebookは、ビデオクリエイターに対して、視聴者を1分間以上引き止めるよう推奨してきた。今後は、視聴者が3分以上見るビデオを積極的に推進していく。そして、何週間にもわたって視聴者が戻ってくるビデオも高く評価される。

今回の変更の狙いは、人々にとって価値の高いビデオを推進するとともに、優れたビデオクリエイターが、ソーシャルネットワーク上で広く知れ渡ることだとFacebookは言っている。

この変更は、FacebookのビデオサービスFacebook Watchが、AppleのストリーミングサービスApple TV+や、Roku Channel、AmazonのIMDb、そしてもちろんYouTubeといった広告支援コンテンツなどとのユーザーの時間と関心の競争が激化してきたタイミングで行われた。そしてまもなく、Disney期待のストリーミングサービスも視聴者の時間を奪いにやってくる。

Facebook Watchは、スピルバーグやウィザースプーン、オプラーといった大物と契約を結んだApple TV+らの新規参入組と比べてコンテンツの質が低いことを指摘されてきた。今後はMTVの「The Real World」や「Buffy」の再放送などの「プレミアム」コンテンツの提供に集中していく。

最近YouTubeがオリジナルコンテンツの無料・広告支援化を打ち出す中、Facebookは自身のビデオサイトを一時的な注目ではなく視聴者を定着させるものにしていく必要がある。そのためには一定の品質を超えたビデオを広めていくしか方法はない。新しいガイドラインはそのためにある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

EUがアップルを調査へ、Spotifyからの競争阻害訴え受け

英ファイナンシャル・タイムズ紙の報道によると、Spotify(スポティファイ)とApple(アップル)のいさかいはEUが調査に乗り出す事態となった。

同紙は今日、Appleが、故意的に他のアプリデベロッパーに不利になるよう、App Store管理者としての立場を利用しているとのSpotifyの主張をめぐり、EUの規制機関である欧州委員会(EC)が競争阻害の調査を行うと報道した。

Spotifyは3月にECに提出した申し立ての中で、SpotifyのライバルであるApple Musicならびに配信のためのiOSやプラットフォーム、App Storeの運営によりAppleは“競争を歪めた”と主張した。

とりわけSpotifyのCEOであるDaniel Ek氏は、Appleがアプリ内課金で30%の手数料を取るなどして他のデベロッパーに制限を課している、と指摘している。Ek氏はまた、Appleがユーザーとアプリ開発元のコミュニケーションをコントロールしていることに懸念を示した一方で「消費者にとって有益なマーケティングや販促に不平等な制限を課すことを含め」、Apple MusicがSpotifyのようなライバルに対して不公平なアドバンテージを有しているとも指摘した。

Spotifyの発表はこれまでなかった種のものだ。Ek氏が言うところによると、他の多くのデベロッパーが同じように感じているが、公に主張することでAppleを怒らせたくないと考えている。ファイナンシャル・タイムズ紙が報道したように、もし調査が始まればEUは当然そうした黙っているデベロッパーにも踏み込むだろう。

Spotifyの主張にAppleは反論したが、そうした主張についてのAppleの対応は反証的、または新しいアングルだった。AppleはSpotifyが前面に出している要求に直接応えていない。そうした要求には(Google Play storeで提供されているような)別の支払いオプションや、AppleアプリとSpotifyのようなサードパーティのアプリの平等な扱いなどが含まれる。

EUは米国のテック大企業を抑制する厳しい機関として知られつつある。GDPRイニシアティブはさておき、EUはこれまでテックにおける明らかな独占に対して行動をとってきた。

例えば、Googleは検索広告ブロックでの独占禁止違反で今年3月に14億9000万ユーロの罰金が科された。そして昨年、Androidの乱用でも前代未聞の罰金50億ユーロが科され、Googleの解体を求める意見もあった。必然的にFacebookも特に選挙をめぐっての一連のプライバシー問題でEUに目をつけられてきた。

EUからのプレッシャーにより、ソーシャルネットワークには広告のためのデータ使用をめぐる透明性のある利用規約が導入された。その一方でEUは、EUの選挙をめぐり海外の広告支出を制限するルールを変更するかもしれない。

テック大企業の解体を考えている人が米国にいるにもかかわらず、EUの競争政策を担当するコミッショナーのMargrethe Vestager氏はおおっぴらにテック大企業の解体には反対している。その代わりVestager氏はデータアクセスを規制することを公約している。

今年初めのSXSWでのインタビューでVestager氏は次のように述べている。「企業や私有財産を解体することはかなり遠大な計画となる。そして、主流なツールを使ってできることよりも消費者にとってもっといい結果をもたらすことになるだろう、という十分な論証が必要となる。我々は私有財産に対処している。事業は、イノベーションによりつくられ、投資され、そして成功する」。

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(翻訳:Mizoguchi)

UberのIPOを控えUberとLyftのドライバーがストライキを計画

Uberは5月10日金曜日までに上場することが予定されているが、この配車サービスのドライバーたちは水曜日(米国時間5月8日)にストライキを計画している。ニューヨークタクシー労働組合(NYTWA)は米国拠点のドライバーたちに、ロンドンのドライバーたちとの団結と、5月8日午前7〜9時にUberとLyftからログオフするよう呼びかけている。

「IPOの申請では、Uberは賃金を抑制してインセンティブを廃止する計画で、ドライバーの労働条件は悪化するだけだ」とNYTWAメンバーのSonam Lama氏は発表文で述べた。「我々は賃金が最低水準のままであってほしくない。Uberには投資家ではなく我々ドライバーに向き合ってほしい。ギグエコノミーは人権を無視して労働者から搾取しているだけだ。これをやめさせなければならない。Uberはギグエコノミーの中で最悪だ」。

サンフランシスコでは、ドライバーは12時間のアプリボイコットに続き、Uberの本部で抗議活動を行う。TechCrunchへのコメントの中でUberの広報はドライバーが同社のサービスの基本だ、と述べている。

「ドライバーは我々のサービスの中心にある。彼らなしに成功はありえない。何千人もの人が毎日、乗車中そして乗車していないときのUberでの体験をより良くするために取り組んでいる」とUberの広報は述べた。「これまでに導入した、一貫した収入、手厚い保険、そしてドライバーやその家族向けの4年制大学の学位取得のための全学費提供以外にも、我々は今後もドライバーの待遇改善に取り組む」。先月Lyftが上場した時、Gig Workers Risingを組織するShona Clarkson氏はTechCrunchに対し「悲しい日だ」と話した。

「Lyftが巨額を儲けている一方で、ドライバーが住む場所に不安を抱えていたり、家賃や医療費を払えるかどうか覚束なかったりするのを見るのはしのびない」とClarkson氏は語った。

これに反応するかのように、Lyftのドライバーはサンフランシスコとサンディエゴでストライキを行なった。一部のドライバーは従業員になることを希望し、また別のドライバーは独立した請負労働者でもよしとする一方で、いずれのドライバーも賃金のアップや、賃金・チップ・運賃の内訳・マイレージレート・福利厚生・発言権などをめぐって透明性のある制度を求めることで団結している、とClarkson氏は話した。

「Lyftのドライバーの時間給は過去2年で増えた。彼らはLyftのプラットフォームで100億ドル超を稼いできた」とLyftの広報はTechCrunchに対し述べた。75%以上のドライバーが、副業として運転している時間は週に10時間以下だ。平均してLyftのドライバーは1時間あたり20ドル超を稼いでいる。臨時収入を得られることは多くの人にとって意味があり、我々はドライバーコミュニティに提供する労働環境がよいものになるよう絶えず改善を続けている」。

IPOの一環として、UberとLyftは一部のドライバーにボーナスを支給した。しかしエグゼクティブたちが手にするものに比べると見劣りする。たとえば、Lyftは一部のドライバーに一度限りのボーナス1万ドルを支給した。同様に、Uberは最大4万ドルのボーナスを一部のドライバーに支給した。

「IPO前にLyftからボーナスをもらった、私が知っているドライバーはひどく侮辱され怒っていた。2社ともドライバーを大切に扱っていると大々的なPRをしているにすぎない」とClarkson氏は語った。

UberのIPO価格目標は1株あたり44〜50ドルで、時価総額840億ドルを想定している。Lyftは21億ドルの調達を目指してIPO価格を62〜68ドルとした。Nasdaqでのデビュー以来、Lyftの株価は初日に10%近く上昇したが、その後は低迷し、直近では1株あたり60ドル前後で取引されている。

イメージクレジット: Spencer Platt

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(翻訳:Mizoguchi)

マイクロソフトとRed HatのコラボでイベントドリブンのKubernetesオートスケーリングツールをローンチ

今やどんなデベロッパーカンファレンスでも、必ずKubernetesのお話がある。そこで当然ながら米国時間5月6日に開催されたMicrosoft(マイクロソフト)のBuildカンファレンスでも、このコンテナオーケストレーションサービスをめぐるいくつかの新しい機能に光が当てられた。

それらの多くは比較的ささやかなもので、Azure Policyのサポートの改良や、コンテナの構築とデバッグのための新しいツール、Azure Containerレジストリのアップデートなどが紹介された。レジストリは、ユーザーがHelmチャートを使ってCI/CD(継続的インテグレーションとデプロイメント)のワークフローを自動化できるようになった。

しかし今回いちばんおもしろいのは、Red HatとMicrosoftのコラボレーションによるオープンソースのコラボレーションツールKEDAで、それはサーバーレスでイベントドリブンなコンテナのデプロイを助ける。KEDAはKubernetes-based Eevent-Driven Autoscaling(Kubernetesベースのイベントドリブンなオートスケーリング)の略で、これによりユーザーは、自分のイベントドリブンアプリケーションをKubernetes上に作れる。KEDAがトリガーを処理し、他のサービスで起きたイベントに応答して、必要に応じワークロードをスケールする。

KEDAは、パブリッククラウドでもプライベートクラウドでも、そしてオンプレミスでも使える。クラウドはベンダを特定しないが、もちろん当然Azure Kubernetes ServiceやRed HatのOpenShiftでもよい。KEDAがあるとデベロッパーは、MicrosoftのサーバーレスプラットホームAzure FunctionsをKubernetesクラスターの中のコンテナとしてデプロイできる。それは、OpenShift上でもいい。

画像クレジット: Ron Miller

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトがWord Onlineの文書作成支援にAIを導入

Microsoft Word Onlineで文章を書いている人は、まもなくAI内蔵エディターを使えるようになる。米国時間5月6日に同社が発表したところによると、Wordに近々「Ideas」という新機能が加わり、文書作成のあらゆる支援を提供する。

書くことが苦手な人にとって、Ideasの最重要な機能は簡潔で読みやすいテキストを書くことの支援に違いない。文法チェッカーの強化版だと思えばいい。ツールは明らかな間違いを直すだけでなく、文章をよりよくすることに焦点を当てる。例えば、複雑なフレーズを使いこなせないとき、機械学習を使って別の書き方を提示してくれる。差別のないインクルーシブな文章を書くための機能もある。

クラウドベースの同ツールは読み終えるまでの予想時間や略語の説明なども提示してくれる。そのために、Microsoft Graphにあるあなたの会社のデータを利用する。

Ideasは文書の要点を自動的に抽出することもできる。ただしおそらくこれは、書き手よりも読み手にとって興味のある機能なので、誰かが67ページのニュースサマリを送ってきたときに使うのだろう。

Microsoft(マイクロソフト)によれば、Ideasは「Word Designer」なる機能も提供するとのこと。表など、文書のさまざまな部分のスタイル設定を支援する。新機能は6月からOffice Insiderプログラム参加者に提供され、秋には全ユーザーに公開される予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ドローン関連スタートアップ支援の「Drone Fund 2号」が52億円調達

ドローン関連のスタートアップに特化した投資ファンドであるDrone Fund 2号(正式名称:千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)は5月7日、新たな投資家を迎えて総額52億円を調達したことを発表した。

Drone Fund 2号の出資者としては、同1号ファンドから継続のMistletoe Venture Partners、オークファン、DGインキュベーション、日本アジアグループ、キャナルベンチャーズ、FFGベンチャービジネスパートナーズ、リバネス、その他複数のエンジェル投資家。

2号ファンドからは、小橋工業、みずほ銀行、大和証券グループ、マブチモーター創業家一家、KDDI、電通、セガサミーホールディングス、松竹、KSK Angel Fund、その他複数のエンジェル投資家が出資していた。

今回新たに、西部ガス、GMOインターネット、オリックス、日本郵政キャピタル、東京電力ベンチャーズ、ゼンリン、エン・ジャパン、エイベックスの8社が加わり。総額52億円となった。

Drone Fund2号は、すでに新規で7社に投資中だ。具体的には、農業用ドローンを開発するナイルワークス、空飛ぶ車を研究・開発するSkyDrive、個人用飛行装置(エア・モビリティ)を設計・開発するテトラ・アビエーション、京大初のベンチャーのメトロウェザーなどの国内スタートアップのほか、米国やマレーシア、ノルウェーなどの企業へ投資している。1号ファンドを加えると投資先は29社になるとのこと。また、2号ファンドから出資を始めた小橋工業は、TechCrunch Tokyo 2018のファイナリストであるエアロネクストが開発したドローンの商品化・量産化を支援している。

マイクロソフトが「React Native for Windows」を公開

米国時間5月6日、Microsoft(マイクロソフト)は、React NativeのデベロッパーがWindowsをターゲットにするための新しいオープンソースプロジェクトを発表した。「React Native for Windows」と自然に名付けられたそのプロジェクトは、MITライセンスの下でReact Nativeを「性能を重視して」実装することを目指す。

Facebook発のクロスプラットフォーム開発フレームワークであるReact Nativeを使ってWindowsをターゲットにするのはこれが初めてではない。デベロッパーがJavaScriptでコードを書き、AndroidとiOSで動かすことのできるこのフレームワークには、Windowsおよび macOSをターゲットにするためのプラグインと拡張機能がすでにある。

React Native for Windowsでは、MicrosoftがReact Nativeを再実装し、多くのコンポーネントをC++で書き直すことによって最大の性能を引き出そうとするものだ。デベロッパーは、PC、タブレット、Xbox、複合現実端末などさまざまなWindows 10デバイスをターゲットにできる。プロジェクトをMicrosoftがバックアップしていることで、デベロッパーはより高性能で柔軟性の高いアプリをユーザーに提供できるようになる。

プロジェクトはGitHubですでに公開中で、デベロッパーはテストが可能。完成度の高いバージョンが近いうちに提供される予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ChromiumベースのEdgeブラウザ、IEモードやプライバシーコントロールなどを追加

米国時間5月6日、Microsoft(マイクロソフト)は数週間前にプレビュー版が公開されたChromiumベースEdgeブラウザの新機能をいくつか発表した。それらにはビジネスユーザーにも喜ばれるであろうInternet Explorerとの互換モードや新しいプライバシーコントロール、ブックマークの改善が含まれている。

まずユーザーが最も気にするであろうCollections機能は、Microsoftによれば「今日ユーザーが多すぎると感じるウェブの情報」を処理するものだ。具体的には、ウェブ情報を収集し、整理し、シェアすることができる。またこの機能はOfficeとの統合も提供するが、その詳細は明かされていない。

プライバシーに関しては、新たなEdgeブラウザには「無制限、バランス、厳格」という3つのプライバシー設定が用意される。これにより、サードパーティーによるWeb上の行動の追跡を制御できる。

EdgeブラウザのIEモードはその名のとおり、古い仕様のサイトをIEのタブで開くことができる。いまだ多くのビジネスがIEに依存していることを考えれば、これも必要な機能だろう。

EdgeブラウザのChromiumベースへの移行は、ブラウザ業界にとって非常に興味深い出来事だ。ブラウザのエンジンを自製するかわりに、ユーザー向けの革新的な機能を開発し、ひいては競合他社にも革新を強制する機会をMicrosoftは得たことになる。

現時点では、これらの発表はWindows 10向けだけだ。MicrosoftがmacOSとLinux向けにEdgeブラウザをBuildカンファレンスにてリリースするとの観測もあったが、そのような発表はなかった。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトがVisual Studio Onlineプレビュー版を発表

米国時間5月6日、Build 2019カンファレンスをスタートさせたMicrosoft(マイクロソフト)はVisual StudioファミリーのコードエディターとしてVisual Studio Onlineのプライベートプレビュー版発表した

Visual Studio OnlineはVisual Studio Codeをベースとしている。これはMicrosoftの人気あるオープンソースのデスクトップ開発環境のクラウド版だ。つまりVisual Studio Onlineは現在提供されているVisual Studio Codeのワークスペースやエクステンションをすべて利用できることを意味する。今日一般に公開されたAI利用開発ツールのIntelliCodeもビルとインされている。

オンライン版はVisual Studioのコンパニオンであることが強調されている。 つまり開発環境としてデスクトップ版のVisual Studioを完全に置き換えるものではなく、手軽なエディターとして使われるものだ。またアプリをVisual Studio Live Shareで共有し、コメントや機能の追加の要望を募ったりすることも予想している。

Visual Studio Onlineという名前に記憶があるという読者もいるかもしれない。実はMicrosoftはこのブランド名をリサイクル利用している。DevOpsがバズワードだったのはそれほど昔でない。この時期、Visual Studio OnlineはMicrosoftのDevOps開発の総称だった。昨年MicrosoftはAzure DevOpsに名称を変更したので、Visual Studio Onlineは別のブランドの名称として使えるようになった。

Visual Studio Onlineという名前を見てMicrosoftの統合開発環境がそのままウェブに移行したサービスと考えた読者も多かったかと思うが、実際にはそれほど大掛かりなものではない。

MicrosoftがVisual Studio Onlineを一般公開するまで待ち切れないデベロッパーはCoderなどのスタートアップが提供するオンライン版のVisual Studio Code環境を利用することを考えてもいいだろう。

画像:Photovibes / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Windowsのコマンドラインターミナルがメジャーアップデート

Windows 10のコマンドラインターミナルがメジャーアップデートされる。米国時間5月6日、Microsoft(マイクロソフト)は開催中のBuild 2019デベロッパーカンファレンスでWindows Terminalを発表した

Microsoftによれば、新しいターミナルが一般に利用可能になるのは6月中旬だ。これは現行のWindows Command Promptのメジャーアップデートとなる。これはほぼPowerShell同等の機能を備える。実際、新しいWindows Terminalは今後、Microsoftのコマンドライン環境、PowerShell、Command Prompt、Windows Subsystem for Linux全体のデフォールトのインターフェイスとなるようだ。

新ターミナルはGPUベースの高速テキストレンダリングにより「絵文字リッチ」なフォントが利用できるという。何によらずこの頃のアプリは絵文字が使えないと話が始まらないらしい。コマンドラインも華やかになるので嬉しいユーザーも多いだろう。もっと本質的な問題として、Windows Terminalは各種のエクステンションに加えてショートカット、タブ、ティアアウェイウィンドウ、テーマなどをサポートする。またUnicodeと漢字その他の東アジアフォントをネーティブでサポートする。

Microsoftによれば、新しいターミナルは「Windowsのコマンドライン・ユーザーの体験を一新する」ものだという。Windows Terminaのベータ版はすでにに利用可能。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

映像解析AIを民主化するフューチャースタンダードが4億円を調達

映像解析AIプラットフォーム「SCORER(スコアラー)」を展開するフューチャースタンダードは5月6日、複数の投資家を引受先とする​第三者割当増資により約4億円を調達したことを明らかにした。

既存投資家のインキュベイトファンドなど複数のVCのほか、2018年9月に発表したSCORERパートナープログラムのパートナー企業であるTISや東洋通信工業らから資金調達を実施。事業面での連携を強化するほか、地方企業へのサービス展開やプロダクト基盤のアップデートに取り組む。

今回フューチャースタンダードに出資した企業は以下の通り。なお過去にも紹介している通り、同社では2016年1月に1.3億円2017年7月に2.1億円を調達済みで、今回のラウンドを含めた累計の調達額は約7.3億円になる。

  • TIS(パートナー企業)
  • 東洋通信工業(パートナー企業)
  • インキュベイトファンド
  • スパイラル・ベンチャーズ・ジャパン
  • AGキャピタル
  • ハックベンチャーズ
  • 広島ベンチャーキャピタル
  • その他社名非公開の投資家

フューチャースタンダードは2014年3月の創業。当初より映像解析AIをより簡単に利用できるようにする基盤技術の開発に取り組んできた。

同社が展開するSCORERの特徴は、カメラや映像に関する最新の解析技術をブロックのように組み合わせることで、映像解析システムを開発する難易度やコストの負担を大幅に削減すること。ユーザーはこのプラットフォームを活用することで、ゼロから開発環境やアルゴリズムを構築せずともAIを活用した映像解析を始められる。

SCORERは交通量解析や視線・顔検知、異常検知など様々な用途で活用できる

以前「カメラで顔を検知するとLINEで通知してくれるようなアプリであれば15分程度の時間で作れる」と紹介したが、現場(エッジ)での映像データ収集と解析向けの「SCORER Edge」に加えて2017年12月にはクラウド版の「SCORER Cloud」をスタート。

同サービスでは「解析したい映像を選択」「解析アルゴリズムを選択」「解析結果を確認・出力」という3ステップのみで手軽に映像解析AIを利用できる環境を整えた。

同社によると2018年には約25社の企業がSCORERを導入。半数以上がリピート利用に至っていて、サポートしたプロジェクトを50件以上に及ぶそう。TISや東洋通信工業を始め、パートナープログラムに申し込んでいる企業に関しても約15社ほどまで増えているという。

2018年9月にロボットプラットフォーム分野における協業を発表したTISとはすでに共同開発に取り組んでいるほか、東洋通信工業ともSCORERを活用した各種サービスのインテグレーションにおいて、協業を開始済みだ。

今後は地方のパートナー開拓にも取り組みながら、地方企業のAI活用サポートや地方発の映像解析AIサービス創出を目指す計画。調達した資金は人材採用や新サービスの立ち上げ・展開強化に用いる方針で、パートナー企業向けにセミオーダー型の映像解析AIパッケージ「SCORER Ready」の提供も予定しているという。

Facebookはピボットしようとしている

「未来はプライベート」とマーク・ザッカーバーグ氏がFacebookのロードマップの説明で語った。それは「今は、控えめに言っても、プライバシーに関して最高の評判を得ている状態ではない」と認めた後の発言だった。しかし、彼がそれを「今」欲しがっている理由は明白だ。Facebookの終わりなきプライバシー崩壊は同社の評判に破滅的影響を与えている。

収益ではないので念の為。しかし収益はIT業界では遅れてやって来る指標としてよく知られている。Facebookのように、事実上公益事業の役割を果たすようになった会社は、いたるところで利用されることによって利益が最大化する。人々がそれを好きだからではなく、ほかに良い選択肢がないからだ(Craigslist、PayPalも参照されたい。MySpaceという無名の小さな会社も聞いたことがあるかもしれない)。

しかし「未来はプライベート」とは、Facebookがグループや個人がエンドツーエンドで暗号化されたメッセージをやり取りするプラットフォームになり、メッセージの内容を知ることはできないのでそれに関して批判されることがなくなる、というビジョンであり、これは途方もないビジネスモデルの転換に思える。「上院議員、われわれは広告を売っています」とはこれもザッカーバーグ氏の有名な一節だ。エンドツーエンド暗号化や、無限にスクロールするニュースフィードより個別のコミュニケーションを重視する方向性は、Facebookから貴重な広告スペースと貴重な広告ターゲット情報の両方を奪うのではないのだろうか?

おそらくそうだ。しかし、Facebookがニュースフィードでの露出に関して広告を売って儲けるより、はるか先のことをやりがっていることは、すでに火を見るより明らかだ。そうやってここまでやってきたが、それには限界があり、最近では爆発する怒りとフェイクニュースによる炎上も呼んでいる。だから、今ボールのある位置を見るのではなく、どこへ向かっているのかを見なくてはならない。Facebook Marketplaceは? Facebookの暗号通貨計画は? どうやってWhatsAppを買収し、Facebook Messengerを独立したアプリにしたのか?

Facebookが本当に次に求めているのは、Messengerを全世界のWeChatにすることなのは明らに思える。ビジネスコミュニケーションにもパーソナルにも使われる難攻不落な囲われた庭園。メッセージングだけでなくEコマースも支配し、クレジットカードを超え、そして置き換えるプラットフォームだ。

それは恐ろしく儲かる事業になる。さらに、公共あるいは当局による監視と暴動も著しく減るだろう。将来必然的に起こるであろうMessenger上の暴動や残虐行為が起きたとき、Facebookは実に正しくこう言うだろう。それらのメッセージを監視、検閲することは数学的に不可能であり、それはユーザーのプライバシーを守るために数学的に不可能にしているからである。

偽善的に聞こえるだろうか? なんと偏狭で短絡的な考えだろうか。皮肉なことに、Facebookの繁栄する未来を、「Facebook」抜きに考えることはことは十分に可能だ。そこでは、Instagramがソーシャルメディアの王であり、Messenger/WhatsAppがメッセージングを支配し、5000億ドルの国際送金市場を占有し、そこで日々行われる数百万件の取引から手数料を得る。

かつてFacebookとしてわれわれが知っていたもの、かつて有名だったアプリやウェブサイトは廃墟のように衰え、先細りのますます中年化する人々のイベント企画や単発的な生活アップデートに使われ、LiveJournalやMySpaceを始めとする無数のゾンビソーシャルメディアのようになっていく。しかしその会社は朽ち果てる前に、新たな、より強力で、より進化した巨大企業を誕生させる。その庭園は「塀に囲われている」だけではなく、(アメリカンコミックの架空の国)ワカンダのようなドームに包まれ、規制に対する耐性が強く、不快な創発特性の発生や上院の証言台に呼ばれる可能性も低い。このアイデアを好むと好まざるとにかかわらず、そうなることを認めざるを得ない。もし成功すれば、究極のピボットだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

元YouTubeスターが児童ポルノで10年の実刑判決

かつてのYouTubeスターであるAustin Jonesが少女らに露骨なビデオを送らせた罪で10年の実刑判決を受け米国連邦刑務所に送られた。

Jonesはかつてカバーソングなどを歌ってインターネットで名を馳せたが、2017年に児童ポルノ制作に関する2件の罪で告発された。

その後Jonesは、児童ポルノを受け取った訴因1件で罪を認めた。彼は司法取引で2016年と2017年に少女6人をそそのかし、彼の「最大のファン」である「証」として自分たちの露骨なビデオを撮って送らせたことを認めた。Buzzfeedによる。

「児童ポルノの撮影や入手は子どもたちと地域社会の安全を脅かす著しく深刻な犯罪である」とKatherine Neff welsh検事補が訴状で言った。「Jonesの行動によって、被害者とその家族は二度と取り戻せないものを失った」。

Jonesは全盛期に自身のチャンネルに約54万人の購読者を持ち、2000万回以上の視聴があった。

2015年に未成年のファンらに挑発的ダンスのビデオを送るよう依頼したとの報道が出たあと、Jonesは謝罪Vlog(ビデオブログ)でそれ以上のことはしていないと主張した。「ヌードや物理的接触はない。そういうことは決してやっていない」と当時彼は言った。

しかし司法取引でJonesは、30人以上の未成年ファンに露骨な写真またはビデオを送らせたことを認めた。

YouTubeはJonesが罪を認めた2月に彼のチャンネルを閉鎖し、コミュニティーガイドラインに違反したためであると説明した。しかし、Google傘下の同社は当初チャンネルの削除を拒み、個人が有罪判決を受けた際「一部のケースで」にコンテンツを削除するポリシーはあるが、それは犯した犯罪にコンテンツが深く関わっている場合に限られると、数日前にBBCに話していた。

かつてのファンの1人が、2015年の彼の謝罪ビデオ以前、14歳の時にビデオを要求するメッセージを受けとった経験をVlogで語っている。

「こんな人たちが有名になって、こんなひどいことをして良いと思っているのが信じられない」と彼女は言った。「わけがわからない。でも確かなのは彼のファン層は傷つきやすく、不安定な少女たちなので事態がさらに悪くなっていること。彼は自分のファン層がそういう人たちであることを知ってそれを悪用していた」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国のとあるスマートシティ監視システムのデータが公開状態になっていた

何千もの顔認識データが中国の警察記録と照合されていた

スマートシティとは、住民の生活が楽になるようにデザインされるものだ。交通整理を行い、公共交通機関が時間どおりに運行できるようにし、カメラを使って頭上からの見守りを行う。

しかしそのデータが漏洩したときにはどうなるのだろうか?実はそうしたデータベースの1つが、数週間に渡って誰でも中が見られるようになっていた。

セキュリティ研究者のジョン・ウェティントン(John Wethington)氏が、ウェブブラウザからパスワードなしでアクセスできる状態の、あるスマートシティデータベースを見つけたのだ。データを保護するための一環として、彼はデータベースの詳細をTechCrunchに渡した。

これはElasticsearchエンジンを使って構築されたデータベースの1つで、数カ月にわたる何百人もの人びとの顔認識スキャンを含む、GBのデータを格納していた。このデータは、中国のテック大手アリババのクラウド上に置かれていた。アリババが名前を明かさないこの問題の顧客のデータベースからは、アリババのAI駆動クラウドプラットフォームであるCity Brainへの参照がいくつも行われていたが、アリババは後にそのプラットフォームが使われていたことは否定している。

「これはとあるお客さまによって作成され、Alibaba Cloud上でホストされているデータベースプロジェクトです」とアリババの広報担当者は述べた。「お客さま方には、安全なパスワードを設定してデータを保護することを常にお勧めしています」。

「すでにこの事案についてはお客さまにお伝えしましたので、ただちに対処していただけると思います。パブリッククラウドプロバイダーとして、私たち自身はお客さまのデータベースのコンテンツにアクセスする権利はありません」と広報担当者は付け加えた。TechCrunchがアリババに連絡を取った直後に、データベースはオフラインになった。

アリババ自身は、システムの中身を見ることはできないかもしれないが、私たちはそうしてみた。

北京市内のたくさんのスマートシティカメラの場所(画像:外部提供による)

人工知能を利用したスマートシティ技術は、都市の運営方法に関する洞察を提供してくれるものの、顔面認識および監視プロジェクトの利用は、市民の自由を支持する人びとからの厳しい監視下に置かれるようになってきている。だがプライバシーの問題にもかかわらず、スマートシティと監視システムは、中国内やクアラルンプールのような中国外の国、そして程なく西洋にも、徐々に入り込みつつある。

「市民や政府の規制や監督なしに、このようなプラットフォームが米国に持ち込まれたときに、悪用の危険性があることは、容易に想像することが可能です」と語るのはウェティントン氏だ。「企業がFBIのデータセットにアクセスすることは簡単にはできませんが、他の州や地域の犯罪データベースにアクセスして、顧客もしくは敵対者のプロフィールリストを企業独自に作成することは、難しくありません」。

今回のセキュリティの甘いデータベースを使っていた顧客が誰かは、私たちにはわからないが、そのコンテンツはスマートシティシステムがどのように運営されているかについての、滅多に見ることがない知見を提供している。

このシステムが監視しているのは、北京東部の少なくとも2つの小さな住宅コミュニティ周囲の住民たちだ。その中でも最大のものは市の大使館地区として知られるLiangmaqiao(亮馬橋)である。このシステムは、顔認識データを収集するように設計されたカメラを含む、いくつかのデータ収集ポイントによって構成されている。

公開されたデータには、人々がどこに、いつ、どのくらいの時間滞在していたのかを個別に特定し、ある個人の日々の生活を割り出せるだけの詳細なデータが、誰でも(もちろん警察でも)アクセスできるかたちで含まれていた。

顔認識スキャンを含むデータベースの一部(画像:外部提供)

データベースは、人の目や口が開いているかどうか、サングラスをかけているかどうか、マスクをしているかどうか(スモッグが激しいときにはよく見られる)、そしてその人物が微笑んでいるのか、あるいかヒゲを生やしているのか、といったさまざまな顔の詳細情報を扱っていた。

またこのデータベースには、そのフィールドを見る限り、対象のおおよその年齢や「魅力」スコアも含まれていたことがわかる。

しかし、特に中国の複雑な政治状況の中で、このシステムの機能にはより暗い面がみてとれる。

このシステムはまた、顔認識システムを使用して民族を検出し、それらをラベル付けしている。例えば、中国の中心的な民族である「汉族」(漢族)や、北京政府によって迫害を受けている少数民族の「维族」(ウイグル・ムスリム)などだ。

たとえ名前を一致させることはないにしても、民族が警察による容疑者特定に利用される可能性があるならならば、これらのデータは権力の悪用につながりかねない。

国連人権委員会によれば、中国政府は過去1年間に100万人以上のウイグル人を収容所に拘留してきた。それは少数民族グループに対する、北京政府による大規模な弾圧の一部だ。ちょうど先週には、ウイグル人イスラム教徒を追跡するために警察が使用しているアプリの詳細が明らかにされたばかりだ。

また、今回問題になっている顧客のシステムもまた、警察からのデータを取り込み、その情報を用いて関心のある人物や犯罪容疑者を検出していた。このことから顧客は政府関係機関なのではないかと思われる。

顔認識スキャンは、警察からの記録とリアルタイムで照合される(画像:外部提供)

人が検出されるたびに、データベースは日付、時刻、場所、および対応するメモと共に「警告」をトリガーする。TechCrunchが確認したレコードの中には、容疑者の名前とその国民識別カード番号を含んだものもあった。

TechCrunchのリタ・ラオ(Rita Liao)の協力によって翻訳されたとあるレコードには、「公安当局による警戒人物:要員警戒:『名前』『場所』―177台のカメラが対象人物を検出」と記されていた(名前が挙がった公安当局とは、全国の警察を管轄する「公安省」である)。

言い換えれば、そのレコードが示していることは、ある時点であるカメラが、警察の監視リストに合致する人物の顔を検出したということだ。

監視リストのフラグが立てられたレコードの多くには、認識された人物が「麻薬中毒者」または「刑務所から釈放された人物」といった属性が含まれている。

システムはまた、ビル内のアクセス制御の問題や、煙探知機の警報、ならびにカメラがオフラインになった等の機器の故障を、顧客に警告するようにプログラムされている。

この顧客のシステムはまた、中国のネットワーキング技術メーカーであるRenzixingによって開発され地区に配置されたセンサーを用いて、携帯電話やPCなどのWi-Fi電波を発信する機器を監視する能力も備えている。データベースは、ワイヤレスネットワークの範囲内を通過した日時を収集している。Wi-Fiデバイスロギングテーブルにあるフィールドは、システムが携帯ユーザを一意に識別するために使用される、IMEIおよびIMSI番号を収集できることを示唆している。

この顧客のスマートシティシステムは小規模で、センサー、カメラ、データ収集ポイントはわずか数十しかなかったものの、短期間に収集されたデータの量は膨大なものだった。

先週1週間だけでも、データベースのサイズは大きくなっていた。すなわち、まだ積極的にデータを収集していることが示唆されているのだ。

「AIの武器化と濫用は、あらゆる個人のプライバシーとセキュリティにとって、とても現実的な脅威なのです」とウェティントン氏は述べている。「私たちはこの技術を私たちの中に展開することを許す前に、既にどのように他の国や企業によって悪用されているかを、慎重に見極めなければなりません」。

このような顔認識システムが、良いものか悪いものかを決めることは難しい。砂の上には善用と悪用をきれいに分ける本当の線をひくことはできない。顔面および物体認識システムは、逃亡中の犯罪者を発見したり、大規模射撃の前に武器を検出したりすることができる。しかし、毎日見られることの悪影響について心配する人もいる。信号を気軽に無視して道路を横断する歩行者も見逃されなくなるとか。これらのシステムの普及は、市民自由団体に対して、プライバシーの問題を突きつけている。

しかし、これらのシステムが発展し、より強力で広く存在するようになるにつれて、企業はなによりも第一に、その膨大なデータバンクが不用意に漏洩することのないようにしておくべきだろう。


ご提供できるネタをお持ちだろうか? もしあるようならSignalまたはWhatsAppを使って+1 646-755–8849へ安全にネタを送っていただきたい。あるいはPGP電子メールを送っていただくことも可能だ。フィンガープリントは以下のものをお使いを。4D0E92F2 E36A EC51 DAAE 5D97 CB8C 15FA EB6C EEA5

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:sako)

テスラのオートパイロットはトランプの関税で窮地に

ホワイトハウスは、Tesla(テスラ)のAutopilot(オートパイロット)テクノロジーの脳を、報復輸入関税の対象外とすることを却下した。この決定はTeslaの自動運転という野望を遅らせたり、中断させたりすることになるかもしれない。

先週開かれた「オートノミー・デイ」の特別イベントで、TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、全新車両での完全自動運転を可能にする新しいカスタムチップを含む、高度なAutopilot 3.0ハードウェアを発表した。このハードウェアはいま、新しいTesla Model 3、S、Xの車両に標準装備されている。FSDと呼ばれるソフトウェアにアップグレードするのに客は追加で6000ドル払う。

自動運転のハードウェアは、Teslaが車両の脳と表現するモジュールのAutopilot ECU(Engine Control Unit)内に搭載されている。このモジュールは中国・上海でQuanta Computer(クアンタ・コンピュータ)という企業によって組み立てられている。

Teslaの計画は、関税25%の免除はしないというホワイトハウスの先月の未公表の決定により影響を受ける可能性がある。トランプ大統領は昨年、対中国の貿易赤字を減らそうと、エレクトロニクスを含む中国からの幅広い輸入品にこうした関税を課した。

Teslaは、この関税により中国での自動運転コンピューター製造中止を余儀なくされることになるかもしれず、ひいては自動運転の導入の遅れや車両の安全低下につながるかもしれないと示唆していた。

「関税により、我々は新たなサプライヤーを探すか、コスト増を客に負担してもらうか、内部の運営コストを減らすかを模索せざるを得なくなり、これは関税の意図するところとはまったく逆の影響を及ぼすことになる」と、11月16日付の通商代表部(USTR)への関税対象外を求める請願書に書いている。

しかし3月15日、USTRの法務部長はTeslaに対し、「プロダクト戦略の重要性、または『中国製造2025』への関連、他の中国産業プログラムを懸念しているため」同社の要望を却下することを伝えた。USTRはまた、同じ理由でAutopilot2.5ハードウェアについてのさかのぼっての関税除外の請願も却下した。

メードインチャイナ

「中国製造2025」は、単なる製造からAIや電気自動車、ロボティクスなど付加価値の高いものの生産へ移行するための中国の戦略プランだ。ホワイトハウスはこうした計画は米国内のテクノロジーや自動車メーカーにとって直接脅威となるとみている。

しかしながら、米国の企業は中国の製造ノウハウの恩恵を長い間多く受けてきた。Teslaの上海におけるAutopilot製造パートナーのQuantaはAppleやAmazon、Verizonの仕事も請け負ってきた。

「Teslaは、設計書を要するAutopilot ECU 3.0を希望通りのボリュームで、そしてTeslaの継続的な成長のために必要なタイムラインで製造するノウハウを持ったメーカーを見つけることはできなかった」と同社は書いている。

Quantaの使用は、中国国内のEVの80%が2025年までに中国企業によって生産されるようになるという目標を達成するのを手伝うことにはならない、とTeslaは主張している。「逆に、もし関税除外が認められればTeslaはEV製造でテクノロジー上そして競争上のアドバンテージを維持することができる」とも書いている。

Teslaはまた、新しいコンピューターのプリントされたサーキットボードの75%以上は実際には中国外からのものだ、とも指摘した。たとえば、Autopilot 3.0に不可欠なTeslaの最先端ニュートラルネットワークチップはテキサス州オースティンでサムスンが製造したものだ。

関税効果

しかしホワイトハウスはそうした主張を認めなかった。そしてUSTRの却下はTeslaにとってかなり打撃となる。Teslaはすでに投資家に対し、最も低価格のModel 3バリエーションを含む同社製造の車の粗利益目標達成を保証できない、と伝えている。

「関税は、非常に難しい業界における我々の継続的な成長や持続可能性にマイナスに働く」とTeslaは書いている。

先週、Teslaは2019年第1四半期決算で、納車台数が予想を下回ったために7億200万ドルの赤字を計上した。そして、借り入れと株式により27億ドルを調達する考えを発表した。当局に提出した書類によると、Teslaはもともとは転換社債と株式で23億ドルを調達すると言っていて、そのわずか1日後にトータル額を上方修正した。

Teslaはゴールドマン・サックスとシティグループが引受先となって310万株を1株あたり243ドルで販売していて、書類によると、転換社債の発行を16億ドル拡大した。マスク氏はまた自身の出資額を2倍にし、2500万ドル相当の最大10万2880株を購入する意向だ。

価格の上昇やコストの抑制には限界があることから、Teslaの他の選択肢は製造拠点を米国にもってくる、ということになるかもしれない。しかしTeslaによると、それは困難を伴う。

「新しいAutopilotコンピューターの生産を開始するというTeslaの決定は、開発から生産まで6カ月しか要しなかった」と請願に書いている。「このようにタイムラインは密であり、それなりの経験を持たないサプライヤーを試す余地はない。他のサプライヤーを選ぶということは、クリーンルームの設定や生産ラインの確認、スタッフのトレーニングなどで18カ月もこのプログラムを遅らせることになる」。

安全上の懸念

さらに深刻なことに、Teslaはそうしたサプライヤーの変更は安全面にもかかわってくるとしている。「新たなサプライヤーに生産を任せることは、車両や最終プロダクトの安全性に影響を与えるかもしれない質の問題につながるリスクを増大させる。我々はサプライヤーの変更で顧客の命を危険にさらすことはできない」。

Teslaが進めている人工知能や機械学習、コンピュータービジョンの研究を関税がダメにしてしまうこともTeslaは恐れている。

「Teslaの業界をリードする立場は、こうした先進的なものや部品をそれなりの規模で展開する能力が条件となり、現在の関税下ではリードすることができない」と請願書で述べている。マスク氏は昨日、オートノミーによりTeslaはゆくゆくは現在の評価額の10倍超の5兆ドル企業になるだろうと投資家に対し述べた。

USTRに対しては強い口調であるにもかかわらず、Teslaは決算への影響にフォーカスした投資家向けの書類で、関税について以下のように述べている。中国で入手している我々のプロダクトで使われている特定の部品への最近引き上げられた輸入関税はコストの増大につながり、営業成績にマイナスの影響を及ぼすかもしれない」。

この件についてTeslaはコメントを拒否している。

Greg Linden(グレッグ・リンデン)氏は、エレクトロニクス向けのグローバルサプライチェーンを専門とするカリフォルニア大学バークレー校のエコノミストだ。「スピードとボリュームからすれば、中国しかない」とTechCrunchとの最近のインタビューで語った。「米国企業は約25年前に基盤組み立てのために中国に向かった。部品サプライヤーがそれに続き、今や中国は他の国が取って代わることができないほどにエレクトロニクスを大量に生産する地位にある」と述べている。

同氏は、iPhoneが米国で組み立てられると1台あたりのコストは40ドル増えるかもしれないと算出し、Autopilot 3.0ハードウェアの米国での生産は同程度のコスト増となると見込む。

免除申請へのためらい

Teslaはそのほかにも、まだ対応が示されていないいくつかの米政府への関税免除の請願を抱えている。メディアコントロールユニット、接続ボード、高度なドライバーアシスタンスシステムを含むModel 3の車コンピューター免除の請願は12月末に提出された。直近ではTeslaは先週、ネバダ州スパークスにある同社のギガファクトリーでのリチウムイオンバッテリーの製造に必要な日本から輸入する特殊アルミ板についても関税の免除を求めている。

しかし、貿易に関するニュースがマスク氏にとってすべて悪いものというわけではない。ボーイング社は中国で製造されたトンネル掘削機に関する関税の免除を求めた。同社は、中国からのトンネル掘削機パーツを調達できなければ、同社が提案しているボルチモアとワシントンD.C.を結ぶ地下Loop交通システム構築に最大2年の遅れが生じると主張した。

3月19日、USTRはトンネル掘削機の輸入について遡求しての関税免除を認めた。

皮肉にも、ボルチモアとワシントンD.C.間のLoopで使用される見込みの自動運転電気車両はTesla車両がベースになっていて、このTesla車両は少なくとも当面は中国で製造される新しいAutopilotシステムに頼ることが見込まれている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Netflix、タイ洞窟の少年救出劇をドラマ化へ

Netflixは、タイのタムルアン洞窟に2週間以上も閉じ込められたサッカーチームの少年たちの救出劇をドラマ化する権利を13 Thumluang Companyから獲得したことを明らかにした。

TechCrunch記者のJon Russelいわく、NetflixはCrazy Rich AsianのチームSK Global Entertainmentと同タイトルの監督を務めたJon M. Chuとのパートナーシップで、まだタイトルが確定していない、救出劇のミニシリーズを展開する。

タイの新聞The Nationの報道によると、「少年たちとその家族は多くの人々に助けられサポートを受けた」ことから、売り上げの20パーセントを寄付する。

加入者が約1.5億人のNetflixはこのようなローカルな物語を全世界に広めるのに最適なプラットフォームだと言えるだろう。

救出ダイバーを「小児性愛者」呼ばわりしたイーロン・マスク氏は一体どのように描かれるのだろうか。マスク氏に特化したエピソードがあることを密かに期待したい。