オフィス家具のコーディネートを無料提案、そのまま購入できる「Kaggコンシェル」スタート

オフィス家具通販サイト「Kagg.jp」を手がける47インキュベーションは5月8日、オンライン完結で、無料で家具のコーディネート、レイアウト提案を受けられるサービス「Kaggコンシェル」を開始した。

Kagg.jpは、オフィス家具通販サイトとしては国内最大級の55万点以上の商品をそろえる。2018年8月には月額レンタルサービスの「Kaggレンタル」もスタートし、利用の幅も広がっているという。

豊富な商品ラインアップでさまざまなニーズに応えてきたKagg.jpだが、はじめてオフィス家具をそろえようという総務担当者や、オフィスを新設するスタートアップ経営者など、オフィス家具に不慣れな顧客からは「どの商品を選んだら良いのか分からない」「カラーコーディネートや商品の組み合わせに悩む」といった声も。そこで、新たに提供することにしたのが、オンラインコーディネート・レイアウトサービスのKaggコンシェルだ。

Kaggコンシェルでは、フォームから好みの雰囲気やメーカーの指定、利用目的や3Dイメージ画像が欲しいかどうかなどの設問に答え、図面PDFをアップロードすることで提案を依頼。専任の家具コンシェルジュが、チャットツールなどを使ってオフィス家具を無料で提案してくれる。

Kaggコンシェルでプロが選んでコーディネート、レイアウトした家具は、そのままKagg.jpで購入することができる。また1都3県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)で展開するKaggレンタルサービスも利用することが可能だ。

「対面でのヒアリング・打ち合わせは行わず、図面ファイルのやりとりにより現地調査を省略。Kagg.jpで蓄積してきた販売データを活用し、商品選定を効率化することでサービスを無料で提案する」という47インキュベーション。将来的には、アルゴリズム構築によりコーディネートの無人化・自動化も検討しているという。

家具のサブスクリプションサービスでは一足先に、subsclife(サブスクライフ)が2月に法人向け無料コーディネート提案サービスを開始している。Kaggコンシェルの場合は無料提案からワンストップで、レンタルだけでなく購入にも対応するのが特徴となっている。

Androidアプリはアップデートを各ユーザーに強制できる

半年前のAndroid Dev SummitでGoogleは、アプリのデベロッパーがユーザーに、新しい機能や重要なバグフィックスなどのアップデートを強制する方法を発表した。でも、その機能をデベロッパーが実際に利用できるのは、なんと米国時間5月7日のGoogle I/Oからだ。これまではGoogleのごく一部のパートナーが使えるだけだった。

さらにまた、Googleの動的アップデート機能も本日でベータを終える。この機能を使うと、アプリを構成する一部のモジュールを後からプッシュできるので、最初のインストール時のファイルサイズを小さくできる。

Androidのチーフアドボケイト(Chief Advocate)であるChet Haase氏はこう語る。「これまでは、自動更新を利用したり、ユーザーがPlay Storeにわざわざ行ってアップデートを確認したり、デベロッパーがユーザーに通知したり、という方法しかなかった。しかし、セキュリティや決済などの問題ですべてのユーザーに早急にアップデートしてほしいときは、どうするか?」。

今度の新しい機能はInline Updatesと呼ばれ、デベロッパーが新しいAPIにアクセスしてユーザーにアップデートを強制する。強制の方法は、ユーザーが今やってることをブロックする全画面のメッセージを出したり、バックグラウンドでアップデートを強制インストールしたり、ダウンロードが完了したらそのアプリをリスタートしたり、デベロッパーが独自に作ったカスタムのアップデートフローを使ったりする。

関連記事: Android developers can now force users to update their apps(Androidデベロッパーはアプリのアップデートをユーザーに強制できる、未訳)

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleマップのAR案内がPixelで本日から順次利用可能に

昨年のGoogle I/Oで見た奇妙だが興味をかきたてられるデモが、一般ユーザーにも公開された。GoogleマップのAR歩行経路案内が本日からPixelユーザーに順次提供される。

拡張現実を使った経路案内は、ユーザーがGoogleマップを開いたとき、視覚的なヒントによってユーザーが迷子にならず目的地に到着できるようにする。経路情報がカメラ画面上に表示され、物理空間上に方向を示す矢印が表われる。

このモードを使うと、端末のGPSが少し位置を外れたときでも、ユーサー空間の視覚情報を認識し、クラウド上にあるユーザーの位置情報とマッチさせることによってユーザーを正しく導くことができる。

TechCrunchでは今年、このARマップ機能を実際に使う機会があり、全体的に好印象だった。

Googleはこれを「早期プレビュー」と位置づけており、Pixel以外の端末でいつ利用できるかについては言及しなかった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleはKotlinをAndroidアプリ開発の推奨言語に格上げ

Googleは米国時間5月7日、プログラミング言語Kotlin(コトリン)をAndroidアプリデベロッパーの推奨言語にすると発表した。

Googleの本日の発表によると「Android上の開発は、今後ますますKotlinファーストになっていく。Jetpackの新しいAPIや機能も、最初はKotlinで提供される。新しいプロジェクトを始めるときは、それをKotlinで書くべきだ。Kotlinで書くとコードの量が相当少なくなり、コードをタイプし、テストし、メンテナンスする量が軽減される」とのこと。

わずか2年前のGoogle I/O 2017でGoogleは、Android Studio IDEでKotlinをサポートすることを発表した。Androidアプリの開発では長年Javaが推奨言語だったから、それはやや意外だったが、その年のGoogle I/Oでは最大の喝采を浴びた発表だった。その後の2年間で、Kotlinの人気は高まる一方だった。Googleによると、今ではプロのAndroidデベロッパーの50%以上がこの言語でアプリを開発しているとのこと。そしてStack Overflowが最近行ったアンケート調査では、Kotlinが4番人気のプログラミング言語だった。

というわけで、GoogleがKotlinのサポートを強調するのも当然だ。Androidのチーフアドボケイト(Chief Sdvocate)のChet Haase氏は「次の大きな一歩は、全面的にKotlinファーストにしていくことだ」とコメントした。

さらに続けて「現状はまだ、全員がKotlinではないけど、そのうち誰もがKotlinファーストになるだろう。いまC++やJavaを使っている人にはそれなりの正当な理由があるから、それらの言語が消えていくことはないけどね」。

関連記事: Google、KotlinをAndroidアプリ開発言語に選定―I/O会場から大喝采

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

建設職人マッチングサービス「助太刀」がサブスクプランを提供開始

助太刀は5月8日、建設現場と職人をつなぐマッチングアプリ「助太刀」のUI/UXをフルリニューアルした。職人や現場を職種や居住地で検索可能になったほか、職人同士のメッセージ機能を強化。人手が足りない場合は、建設現場の情報を公開して応援職人を募集することもできる。

さらに月額1980円の新料金プラン「助太刀プロ」が新設された。有料の助太刀プロでは検索機能が強化されるほか、興味ありのマークを付けられる件数や新規でメッセージを送信できる件数が無制限となる。従来の助太刀のサービスである通常プランではそれぞれ、10人/日、5人/週だ。 なお通常プランは、これまでどおり月額ゼロ円で利用可能だ。

建設現場側としては、同時掲載できる現場の数が1件から5件に増えるほか、表示順位が上位になるなどのメリットがある。

同社では新プランの募集開始にともない、対象期間中に「助太刀プロ」に申し込んだ利用者の中から、抽選で10名に「助太刀プロ」の1年間無料利用権をプレゼントするキャンペーンを実施中だ。5月31日にまでに助太刀プロに申し込んだ利用者が対象で、抽選で10名に付与される無料期間は2019年7月1日〜2020年6月30日の1年間となる。

新Googleレンズは外国語を読み取って翻訳結果を合成音声で読み上げてくれる

米国時間5月7日に開幕したGoogle I/O 2019カンファレンスでは、強力なGoogle翻訳をさらに強化する機能がいくつも発表された。その1つがGoogleレンズのアップデートだ。スマートフォンで外国語のメニューや標識の写真を撮ると、Googleレンズがユーザーが指定する言語に翻訳してくれるデモが披露された。

この機能の一部はGoogle翻訳アプリにすでに組み込まれているが、今日はさらに機能が追加された。「聞く」ボタンをタップすると、Googleレンズは翻訳されたテキストを合成音声で読み上げる。また読み上げている箇所がハイライトされるのでユーザーはどの箇所なのか知ることができる。

レンズ開発チームはインドでベータテストを実施し、このテクノロジーが比較的能力の低いデバイスでも作動できるよう軽量化に務めてきた。Googleによればこの機能はわずか100KBで実装されているという。この機能はまだ一般公開されていない。

公開時期が不明なのにデモしたのかという不満も聞こえてきそうだが、ま、これがGoogle I/Oだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Google I/O最大のVRニュースはVRニュースがなかったこと

GoogleがVRの白昼夢から覚めつつある。人々がすでに所有しているスマートフォンを利用してVR体験を実現するという同社の意欲的計画はI/Oカンファレンスで言及されなかった。

2016年と2017年をかけて、モバイルVR市場形成の壮大な計画を掲げ、プラットフォームのDaydreamが市場を支配することを約束してきたGoogleが、ヘッドセットの生産とPlay StoreでのVRコンテンツの販売計画をほぼ断念した。

唯一のバーチャルリアリティーに関するニュースは、Googleの最新スマートフォンであるPixelが、同社自身のVRプラットフォームをサポートしないことだった。The Vergeが伝えた。

Googleは2016年と2017年に、2世代のDaydream Viewヘッドセットを発売したが、昨年は新製品もなく、今年のステージではプラットフォームにもヘッドセットにも一切言及がなかった。

GoogleはI/O 2017のVR中心の基調講演で、HTCおよびLenovo(レノボ)との提携によってスタンドアロンデバイスを提供する計画を詳しく話した。HTCはその後プログラムを離脱し、Lenovoが予想から大きく遅れてMirage Soloを発売したあとも、Googleは新しい追跡技術のWorldSenseを利用するためのアップデートもコンテンツの優先提供をも行わなかった。現在同社はこのデバイスを開発キットであることをうたっているが、具体的に何のための開発なのかはわからない。

FacebookのVR部門であるOculusは、Googleが最後にVRハードウェアを発表して依頼、2種類のスタンドアロンVRヘッドセットを発表、発売した。

「VRに関して、現在当社はサービスおよびVRが真に活用できる分野に焦点を合わせている」とGoogleのVR/AR責任者のClay Bavor氏がCNETのインタビューで語り、同社がまだハードウェアの実験中であることを説明した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleがKotlinベースのオープンソースUI開発ツールキット「Jetpack Compose」を公開

米国時間5月7日、GoogleはJetpack Composeのファーストプレビューを公開した。Kotlinデベロッパーが、React NativeやVue.jsのようなリアクティブプログラミングモデルを使えるようにする新しいオープンソースUIツールキットだ。

Jetpack Composeは、GoogleのAndroidデベロッパー向け総合ソフトウェアコンポーネントセットAndroid Jetpackの一部だったものが分離されたツールキットだが、これ以外のJetpackコンポーネントを使う必要はない。GoogleはJetpack Composeによって、Android開発に「コードとしてのUI」哲学を持ち込もうとしている。ComposeのUIコンポーネントは完全宣言性でありデベロッパーはどんなUIになるべきかをコードの中に記述するだけでレイアウトを作成できる。Composeフレームワークは、デベロッパーにとって面倒なUI最適化の詳細をすべて処理してくれる。

デベロッパーはJetpack Compose APIとAndroidのネイティブAPIを自由に組み合わせることができる。Jetpack Composeは、Googleのマテリアルデザインにも標準で対応している。

今日のJetpackアップデートの一環として、GoogleはJetpackの新しいコンポーネントと機能を発表した。新機能には、Android for Cars、Android Auto向けアプリ開発ツールから、アプリをEnterprise Mobility Managementのソリューションやビルトインのベンチマークツールと統合しやすくするEnterpriseライブラリまで幅広くそろっている。

しかし、おそらく最も注目すべき新機能はCameraXだろう。カメラを中心にした機能やアプリケーションの開発を可能にする新しいライブラリで、デベロッパーはAndroidのネイティブカメラアプリと事実上同じ機能を利用できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google I/Oはアクセシビリティ強化に全力、聴覚障害者にも電車でYouTubeを見るにも便利

マウンテンビューの本社に隣接するアンフィシアターで開幕した今年のGoogle I/Oでは驚くほど長い時間がアクセシビリティの改善に関連する発表に振り向けられた。ライブキャプションなどの新機能はすべて発話とテキストを相互変換するテクノロジーの改善をベースとしている。

テクノロジーとして特に注目すべきなのはこうした音声ベースの自然言語処理の一部が、クラウドとデータをやり取りすることなく、デバイス上で直接実行できるようになった点だ。

Androidの新しいアクセシビリティ機能は聴覚などに障害を持ったユーザーの生活の質を大きく改善するはずだ。ライブトランスクリプションは音声による発話を認識してリアルタイムでテキストに起こす機能だ。また逆に音声合成によりテキストをリアルタイムで音声化することもできる。

音声入力機能はGoogleが以前から重点項目として挙げていた。機能として単純だがスピードと精度が高くなれば非常に役立つツールとなる。 現在でもAndroid上でアプリを起動しマイクのアイコンをタップすると音声を聞き取ってテキスト表示してくれる。

現在でもOne Miniなど音声入力、音声出力による機械通訳デバイスが利用できるようになっている。昨日のMicrosoftのBuildカンファレンスでもミーティングの内容をテキストに起こすアプリが発表されていた。こうした機能の必要性ははっきりしており、むしろなぜもっと早く実現しなかったのかというほうが興味ある問題だ。

実は自然言語認識システムはかなり以前から実用化されていたが、特定のユーザーが静かな環境かつ一定のボキャブラリーで話す内容の聞き取りにとどまっていた。これに対して不特定多数のユーザーが雑音の多い駅やカフェで友だちと自由に会話するのを認識するのは非常に困難な作業だった。リアルタイム通訳となれば当然複数のユーザーの話す内容を聞き取らねばならない。出力も自然な音声合成が必要となる。これらを商品として実用に耐えるレベルにまで改善するのは控え目に言ってもチャレンジだった。

今回のアップデートでは音声認識にさらに新しい機能が追加された。これはライブキャプションといい、上に述べた音声認識テクノロジーをビデオに適用してリアルタイムで字幕を表示できるものだ。ユーザーはYouTubeビデオを見ながら登場人物が何を言っているのかリアルタイムで字幕で見ることができる。これはビデオメッセージ、ボイス・メッセージにも利用できる。

この機能は聴覚にハンディキャップがある人々に便利なのは当然として、対象言語の聞き取り能力が不足しているが音声をテキスト化してもらえば判読できるという何千万人ものユーザーにとっても朗報だ。あるいは職場や交通機関内で音声をミュートしてビデオを見るときにも使える。ベッドでビデオを見ながら眠ってしまいそうなときも音を消して字幕にしてしまえれば好都合だ。リアルタイムで自然言語を認識しテキスト化する能力が使える場面はこれ以外にも無数に考えられる。

Gif showing a phone conversation being captioned live.

サンダー・ピチャイCEOによれば通話へのライブキャプションの適用は「まだ開発途上」ということだったが、「ライブリレー」というデモがステージで披露された。ユーザーが聴覚にハンディキャップがあるか、いろいろな理由でうまく発話できない場合、通常の音声通話はほとんど意味ないものとなる。しかしライブリレーが実用化すれば着信ないしマイクで入力された音声をライブでテキスト化して表示、あるいは送信できるようになる。

ライブキャプションはAndroid Qの機能として実装される。デバイスによって機能の一部に制限が生じる可能性はある。ライブテキスト化は現在でも利用できるが、まだベータ段階だ。ライブリレーは上述のように未公開だが、デモの完成度から判断すると公開される時期はそう遠くないはずだ。

【Japan編集部追記】ソースネクストから販売されているリアルタイム翻訳デバイス、ポケトークは複数の音声認識エンジンを利用しており、日本語/英語翻訳のエンジンはGoogle翻訳をカスタマイズして利用している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

自由な働き方を支援する人材事業のキャスターが3.6億円を資金調達

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ(キャスタービズ)」などを展開するキャスターは5月8日、Gunosy Capital、およびSMBCベンチャーキャピタルが運営するファンドからの第三者割当増資などにより、合計約3.6億円の資金調達を行ったことを明らかにした。

キャスターは「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げ、2014年9月に創業したスタートアップだ。同社はオンラインで経理、人事、秘書、WEBサイト運用などの業務を行うCASTER BIZを2014年12月にリリース。その後、リモートワーカーの派遣サービス「在宅派遣」や、副業・時短・在宅など新しい働き方に特化した求人サイト「Reworker」、オンライン採用代行サービス「Caster Recruiting」といった、柔軟な働き方を支援する、さまざまなサービスを展開してきた。累計利用社数は1000社を超えたという。

2018年8月には、Basecampが運営していた、SNSを利用したソーシャル募集サービス「bosyu」事業を譲受。また2019年に入ってからは、「会食手配」や「会議室リサーチ」など、個人が日常業務を500円からオンラインアシスタントに依頼できる「My Assistant」や、安全なリモートワーク環境を実現するためのクラウド型デスクトップ仮想化サービス「Caster Entry」など、関連サービスも拡大している。

キャスターは、2016年8月に大和企業投資から1億円、2017年12月にWiLや既存株主を引受先とした3億円の資金調達を実施している。今回の調達で、これまでの累計資金調達額は約10億円となる。

現在、700名以上が自由な働き方を求めて契約するというキャスター。今回の資金調達により、さらに採用強化に向けた投資を行い、クライアントのニーズに応えていくとしている。また法人向けマーケティングも強化し、認知度の拡大を図るという。

マイクロソフトが点字ディスプレイ付きXboxコントローラーを検討中か

Microsoft(マイクロソフト)は近年、ゲームにおけるアクセシビリティ向上に力を入れており、操作しやすいコントローラー「Adaptive Controller」などを発表している。そして同社の点字ディスプレイを組み込んだXbox向けコントローラーの特許は、障がいがあるゲーマーへの新たな配慮を示唆している。

想像できるように、視覚障害者がゲームを楽しむことや、その困難を完全に解決するのは難しい。例えば、画面上にテキストで表示されるプレーヤーの状態やアイテム、ダイアログや指示などは、どのようにしたらそのようなゲーマーが読み取ることができるだろうか。

多くの場合、スクリーンリーダーが視覚障害者用に用意されるが、そのテキストはオーディオ形式で提供されることが多く、ゲーム内では魅力的とはいえない。ゲームに熱中しようとしている時に、誰がコンピューターの音声で鎧のレベルやアイテムの取得を知りたいと思うだろうか。

またこの問題を解決するための点字ディスプレイはすでにいくつか存在するが、ゲームメーカーが用意するものに勝るものはなく、またそのためにMicrosoftは点字を内蔵したコントローラーの特許を出願したのだ。

 

今回の特許は昨年提出され、最近公開されたものをオランダ語サイトのLet’s Go Digitalが発見した。現時点で正式な発表はないが、6月に開催されるE3のことを考えれば興味深い。もちろん特許が必ず製品化につながるわけでないが、着目する価値はあるだろう。

特許で言及されている点字コントローラーは、普通のXbox Oneのゲームパッドとよく似ているが、背面には突起が飛び出してくる複雑な機構が組み込まれている。これは点字ディスプレイで、プレーヤーが指で読み取れる機械的な飛び出しを再現するドットマトリクスと、入力と出力の両方が可能なパドルのセットで構成されている。

 

6本のパドルは点字コードの6個のドットに対応しており、ユーザーはそれらを利用してコードやテキストを入力したり、あるいは指をパドルから離さずに文字を読み取ることができる。もちろんこの機構は、方向の指示や振動のような周囲環境のエフェクトを触覚フィードバックとして再現することもできる。このような機構がコントローラーに存在していても、私は気にならない。

もちろん、ゲームには視覚的なデータを聴覚的なデータに変換し、あるいはその逆を行うメタデータ層が必要となるだろう。このようなアイデアは誰もが考えているが、Microsoftはさらに一歩先をいこうとしている。同社の動きが、他の開発者やメーカーを説得するのに役立つのを祈るばかりだ。

E3の会場では、我々TechCrunchチームもMicrosoftへと、このコントローラーのデザインやその他のアクセシビリティの改善について尋ねるつもりだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マーシャルがレトロ風ポータブルスピーカーを2機種発表

スピーカーではなくヘッドホンを製造している方のMarshall(マーシャル)は、米国時間5月6日に2機種のポータブルスピーカーを発表した。以前の製品と同じく、これらのスピーカーはレトロな雰囲気を漂わせている。

2個のスピーカー「Stockwell II」「Tufton」は既存機種の「Kilburn II」に加わるが、他のMarshallのスピーカーとは異なり、上下問わずの縦置きや内蔵バッテリー駆動、頑丈な筐体を備えたポータブルモデルとして位置づけられている。

大型のTuftonは、バッテリー駆動時でもクリアで力強い音を奏でる。重量を考えると正直あちこち持ち運びたくなるスピーカーではないが、筐体はIPX4の耐水性を備えているので、ほとんどの天候に対応できる。なお、バッテリー駆動時間は最大6時間とのこと。

Stockwell IIはずっと小さいモデルだ。iPad miniとほぼ同じサイズのこのスピーカーは、電話帳ほどの厚さとなっている。バッテリー駆動時間は最大4時間で、本体は頑丈かつIPX2の耐水性能を実現。パーソナルスピーカーとしては最適だが、Tuftonほど豊かなサウンドではない。

残念ながら、これらのスピーカーはGoogle アシスタントやAmazonのAlexaに対応していない。再生には3.5mmジャックで接続するか、Bluetoothを利用する必要がある。

私はMarshallのスピーカーのファンで、個人的な感想としては、そのサウンドとクラシカルなデザインは素晴らしいバランスを実現している。この2つのスピーカーも、Marshallの名にふさわしい製品だ。ただし、携帯性を実現することは高くついたようで、Stockwell IIは249ドル(約2万7000円)、Tuftonは399ドル(約4万4000円)で販売されることになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルとGoogle PlayはFTC警告の3つのデートアプリを削除

連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)によると、Googleとアップルはアプリストアから、3つのデートアプリを削除した。それらは、性犯罪者が子どもたちを見つけるために使っている可能性があるからだ。親へのアドバイスとしてFTCの弁護士Lisa Weintraub Schifferle氏は、ウクライナの企業Wildecが作ったFastMeet、Meet24、およびMeet4Uはどれも、児童オンラインプライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act、COPPA)と連邦取引委員会法(FTC Act)に違反していると思われると書いている。

FTCが5月の初めにWildecに送った書簡で、そのアプリが13歳未満を名乗るユーザーの利用や他のユーザーから彼らが見えることを防げていないと通告していた。FTCのスタッフはMeet24の検索機能を試してみて、位置的に彼らの近くにいる12歳を名乗るユーザーを見つけることができた。

COPPAの規定では、13歳未満の子どもに個人情報を求める場合は検証可能な親の同意が必要である。FTCはWildecに対し、子どもが自分たちのアプリを使ってることを知っていながら、その要件を満たしていないことはCOPPAへの違反と思われると通告している。FTCは、来月またアプリを調べて、法の遵守をチェックするとも表明している。

安全対策のあるアプリでも、児童の搾取は深刻な問題だ。たとえば今年の初めに英国政府は、年齢確認チェックをアプリの要件とすることの法制化の検討を開始した。それは、TinderやGrindrなどのアプリを起因とする児童のレイプが2015年以降で30件余りあったとするSunday Timesの記事を受けての政府のアクションだ。

TechCrunchはWildecにコメントを求めるメールを送付した。

画像クレジット: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

メッセージングAPIツールのSendBirdが第2次シリーズBで累計約133億円調達

米国時間5月6日、数行のコードを追加するだけでアプリにメッセージング機能を組み込める技術を開発、販売しているスタートアップのSendBirdが、第2次シリーズBで5000万ドル(約55億3000万円)を調達したことを発表した。同社が2月に調達した5200万ドル(約57億5000万円)に、さらに追加されたことになる。

新たな調達を主導したのはTiger Global Managementで、第1次シリーズBを主導した投資会社のIconiqからも多額の資金を得ている。Crunchbaseのデータによれば、調達した資金は今回までの合計で1億2000万ドル(約133億円)を超える。

これはシリーズBレベルの企業としては巨額の資金調達だ。このように多額の資金が投資される背景には、アプリ内でのユーザー間メッセージングには巨大な需要があり、市場が急速に成長していることがあると考えられる。メッセージング機能をAPIサービスとして提供すれば、開発者はスクラッチからビルドすることなく自分のアプリにその機能を組み込むことができる。これはコミュニケーションにおけるTwilioや支払いにおけるStripeと同様の価値提案だ。

SendBirdのCEOであるJohn Kim氏は2月に実施した最初のシリーズBの際に、同社はアプリ内メッセージングの機能を開発者が簡単に組み込めるようにすることを目指すと語っていた。

とても柔軟で完全にカスタマイズ可能なホワイトラベルのメッセージング機能です。フルマネージドのインフラストラクチャを提供しています。つまり、モバイルアプリやWebサイトにログインすれば、弊社のメッセージング機能を利用できます。

Kim氏は、今回の追加資金調達は同社が市場に進出する戦略を加速するタイミングで実施したものだという。同氏はTechCrunchに対し「マーケティングとセールスからスタートした後、事業における重要な分野のリーダーを雇用し、そのリーダーたちを中心としたチームを構成することで、私たちは市場進出の推進力を得てグローバルなプレゼンスを拡大しています。このプロセスを加速させるために、シリーズBでは私たちがターゲットとする市場に対してこれまで多額の投資をして強い関係を持っている新たな投資家の協力を得ました」と語っている。

SendBirdは2013年に韓国で設立され、現在の従業員数は100人以上、本社はカリフォルニア州サンマテオにある。同社は2016年のY Combinator冬クラスに参加していた。

画像:Tim Robberts / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Twitterのリツイートに写真やビデオを追加可能に

Twitterのリツイートに、ついに新機能が追加された。ちょっとしたことだが便利な機能だ。これまでリツイートの際に追加できるのはテキストだけだったが、新たに写真、ビデオ、GIFも追加できるようになった。

この機能は米国時間5月6日に、iOS、Android、Twitterのモバイル用ウェブサイトで使えるようになった。ちょっとしたアップグレードのように見えるが、Twitterで共有されるメディアの量に大きな影響を与える可能性があるという意味で注目される。

ユーザーはよくコメントを付けてリツイートしている。そのため、リツイートでメディアをサポートすれば、Twitterのタイムラインをスクロールするときに目にするテキスト以外のコンテンツの量はかなり増えると考えられる。

Twitterのフォーマットにはさまざまな制限が伴うが、このアップデートはSMSに似たタイプの公開のプラットフォームを提供するというTwitterの当初の目的とは離れた方向へさらに進む一歩と見ることもできる。これまで、メディア、ユーザーからのライブストリーミングビデオメディアパートナーからのライブビデオオーディオのブロードキャスティングをサポートし、2017年には文字数制限をそれまでの2倍の280文字にした。現在は「twttr」と呼ばれているテストアプリで、会話をよりフォローしやすくために、返信をスレッド化する新しいユーザーインターフェイスのプロトタイプに取り組んでいる。

これらの変更を総合して考えると、Twitterは「テキストでステータスを更新するもの」という評価から離れ、もっとメディアリッチでエンゲージメントの高いプラットフォームの方向を目指していると言える。そうなればユーザーがTwitterに費やす時間が増え、広告収入の増加が期待される。

リツイート機能のアップデートは詳細ページのツイート、タイムライン、アクセシビリティ機能、Twitterクライアントに影響を与えるため、この変更には複数のチームのチームワークとコラボレーションが必要だったと同社は語っている。

Twitter Engineeringのアカウントは今回のアップデートについて「多くの人が望んでいた機能に取り組み、とてもエキサイティングだった。この機能をローンチできてうれしい。皆さんがこの機能を使うのを楽しみにしている」と書いている。

私たちが望む機能はほかにもあることを忘れないでいてくれるといいのだが。編集ボタンは作られないのかな……。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AlexaのWindows 10版にハンズフリー機能が追加

昨年11月、Amazon(アマゾン)はWindows 10向けにAlexaアプリをリリースした。これによりPCユーザーはAlexaを利用し、リマインダーやタイマー、アラーム、To-Doリストの作成、カレンダーの確認、スマートホームによるニュースや情報などの取得、音楽の再生ができるようになった。そしてMicrosoft(マイクロソフト)のBuildに合わせ、Amazonはハンズフリー体験をもたらすAlexaアプリの新バージョンをリリースした。

Amazonによれば、今後はAlexaをバックグラウンドからでもフォアグラウンドからでも呼び出せる。またウェイクワード機能のおかげで、ユーザーは「Alexa」と語りかけるだけでいい。

このハンズフリーオプションは、以前のプッシュによる会話機能を置き換えるものではない。ユーザーは好きなほうを選択できる。

さらにハンズフリーオプションに加え、アプリではPandoraの音楽ストリーミングをサポート。Windows PCでAlexaを利用し、好きなPandoraのステーションを聴くことができる。

Amazonによれば、Windows 10用のアプリは準備ができ次第自動でアップデートされる。アプリ自体は、Windowsストアから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

テンセントは「善用される技術」を約束する

テンセント(腾讯)はアジアで最も時価総額の高い企業の1つであり、その価格はおよそ4600億ドル(約50.6兆円)に達する。そのテンセントが新しいモットーを導入した。今週、共同創業者兼CEOのポニー・マー(Pony Ma、馬化騰)氏が、世の中に良い影響を与える「善用される技術」(Tech for Good)が、この先の企業のビジョンであり、ミッションの一部となると語ったのだ。

この新しい企業理念は、まだ公式のものとなっておらず、この「邪悪になるな」(Don’t be Evil)に似た響きのスローガンが、テンセントの事業戦略にどのように現れるのかは不明である。さらに、それは現在まだウェブサイト上に掲出されている、以下のような古いミッションを置き換えるものかどうかもわかっていない。

テンセントのミッションは「インターネットの付加価値サービスを通じて、生活の質を向上させる」ことです。「ユーザー志向」のビジネス哲学に導かれながら、テンセントは10億以上のネチズンに統合されたインターネットソリューションを提供することによって、そのミッションを達成します。

最近の出来事に関するエピソードが、おそらく新しいスローガンがもたらすかもしれないことへの、いくつかのヒントを提供しているかもしれない。広い社会よりも個々人に焦点を当てていた旧来のミッションは、テンセントをビデオゲームやソーシャルメディアの分野で優越した存在へと押し上げた。同社は10億人のユーザーが利用しているメッセンジャーソフトのWeChat(微信)を運営している企業であり、複数の最大規模のビデオゲームを運営している。しかし、現在こうしたビジネスセグメントたちは、中国政府による規制環境の変化と、21歳の巨大企業への業界のライバルたちからの挑戦によって、ますます増大するプレッシャーを受けている。

昨年数カ月に及んだゲームの凍結が、テンセントのゲーム収益を圧迫したために、時価総額にして数十億ドルほどが吹き飛んだ。またショートビデオアプリのTikTok(中国内ではDouin=抖音という名称)の登場は、ソーシャルならびにコンテンツ分野での、テンセントの優位性を脅かしている

競争力を維持するために、同社は昨年10月に大規模な組織の再編成を行い、金融、医療、教育から政府サービスに至る各業界に、クラウドコンピューティングやデジタルインフラストラクチャを提供する、エンタープライズビジネスにより重点を置くようになった。

旧来の確立している業界のアップグレードを狙う新たな取り組みは、より多くの収益源を開拓するだけではない。こうした分野が、テンセントがその「善用される技術」ミッションを実現するための試験場となるのだ。

マー氏が、月曜日に開催された政府主導の業界会議のDigital China Summitで誓約を行ったように、テンセントは次のことを訴えたいのだ。「技術は人類に利便性をもたらすことが可能です。人類は技術を善用しなければならず、悪用は控えなければなりません。そして技術はそれが社会に持ち込む問題の解決に努めなければならないのです」。

マー氏は、技術が良い変化を生み出すことができる3つの重要分野を指摘した。1つ目はテンセントが生産効率を高めるためにビッグデータ機能を提供できる、伝統的な産業分野である。 2つ目はテンセントがそのアプリを使ってデジタル化してきた査証の申請や運転免許の更新などのたくさんの市民サービスといった行政分野。そして最後は広範囲で定義は曖昧だが、テンセントの顔認識技術を使った行方不明の子供の追跡などの試みを含む社会分野である。

「世界にある似たようなものを見てみると、Googleは20年前のIPOに先立ち、その行動規範として『邪悪になるな』(Do no Evil)を提案しています。このような高潔なミッションは、ある企業がその身に集めてきた影響の量を物語るものだと考えています」とTechCrunchに語ったのは、元Qualcommの技術者で人工知能を応用した医療用画像スタートアップを創業したジョン・シン(Zhong Xin)氏である。

「技術は両刃の刀です。企業は技術の適切な使用方法を定める、指針となる原則を必要としていますから、技術で世の中のためになる良いことを為すというミッションは当然のものだと思います」とシン氏は付け加えた。

政府の立場からすれば、良いことを為すことに焦点を当てるという企業のモットーは、明らかに心地よく響くものだ。テンセントの新しい行動規範は、現在中国のテック大企業たちが直面している、社会に対する悪影響への、大衆並びに政府からの批判の高まりに対応したものだ。こうした批判は、シリコンバレーにおけるテック企業批判とも呼応している。 そうした批判は、子どもたちの視力障害に対するビデオゲームの影響(この件ではテンセントは特に悪者にされている)から、バイトダンスの人気のあるニュースアプリのToutiao上で猛威を振るうクリックベイトコンテンツなどへと及んでいる。

「『良いことを行う』ことは、どんなテック企業も忘れてはならない価値でなければなりません。もちろんベンチャー投資家たちにとっても同じです」とTechCrunchに語るのは、ベンチャーキャピタルSky9 Capitalのパートナーであるワン・ジン(Wang Jing)氏だ。「しかし企業が取り立てて『良いことを行う』ことを選び出さなければならないのは、既に何か悪いことが起きているということかもしれません」。

問題となっている多くのハイテク大企業たちは、より厳しいポリシーを自社製品に課すことで、批判に対応してきた。たとえばテンセントは、すべてのゲームタイトルに未成年者保護モードを追加した、このことによって、親たちは子供のプレイ時間を監視することができるようになった。Toutiaoもまた、当局によって不適切と見なされたコンテンツを排除するために、何千人もの監査人を雇っている。

テンセントが自身の倫理規範を重視したのは今回が初めてではない。「善用される技術」というフレーズは、最初はテンセントの共同創設者で元CTOのトニー・ジャン(Tony Zhang)氏によって、2018年初頭に口にされたものだった。しかしそれが経営陣からより大きな注目を集めるようになったのは、「夢を持たないテンセント」(腾讯没有梦想)というタイトルのエッセイが、中国のハイテクコミュニティの中で激しい議論を巻き起こした後のことだ。ベテランのジャーナリストによって書かれたこの記事は、テンセントは投資価値のある製品を探すことに固執するばかりで、独自の製品を発明していないと主張している。

「人びとは『テンセントには夢がない』と言っています。『善用される技術』というスローガンを掲げることで、テンセントは世間に対して『夢を持っている』ことを宣言したがっているように見えますね」とTechCrunchに語ったのは、シェアハウスのスタートアップDankeの会長で、かつてはLinkedIn Chinaを率いていたデレク・シェン(Derek Shen)氏である。「そしてそれは、人々の生活に『良いこと』をもたらす、大きな夢なのです」。

画像クレジット: VCG/VCG (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:sako)

AI活用でインフルエンザの早期発見へ、アイリスが12.5億円を調達

AI医療機器を開発するアイリスは5月7日、塩野義製薬とBeyond Next Venturesを引受先とする第三者割当増資により12億5千万円を調達したことを明らかにした。

塩野義製薬側の発表によると両社では4月25日付で資本業務提携を締結済み。塩野義製薬がアイリスに12億円を出資し株式の約14%を取得するとともに、アイリスが開発するAI医療機器を対象とした将来のライセンス契約に関する優先交渉権を得たという。

アイリスではインフルエンザ患者ののどにできる「インフルエンザ濾胞(ろほう)」と呼ばれる腫れ物に注目。撮影したのどの写真をAIで解析することで、インフルエンザの高精度・早期診断をサポートするAI医療機器を開発中だ。

同社によると、2018年の国内インフルエンザ患者数は2000万人を越え、過去10年で最大の流行となった。現状の検査方法では発症してから24時間以上が経過しないと診断精度が十分ではなく、6割程度にとどまるとの研究報告もあるそう。検査法の改善は進んでいるが、抜本的な解決には至っていない段階だという。

この問題へのアプローチとしてアイリスが目をつけつけたのが、上述したインフルエンザ濾胞だ。風邪をひいている場合や健康な状態でものどの奥には膨らみが存在するものの、インフルエンザ濾胞には「インフルエンザの場合にだけ」現れる特徴があることを日本の医師が発見した。

表面の色調や艶やかさ、大きさや盛り上がり方などからインフルエンザ特有の特徴を見分けるのは、その道に精通するベテラン医師だからこそ成し得ること。アイリスでは画像解析AIを通じてこの技術の再現を目指している。

具体的には鼻の奥に綿棒を入れて行う検査の代わりに、のどの写真を撮影。その写真を解析することで高精度かつ早期にインフルエンザを診断できる機器を作る。

アイリスによると臨床研究法に則った臨床試験を既に実施しているそうで、今後は治験や薬事承認に向けて開発を加速させていく計画だ。

左からアイリス代表取締役社長の沖山翔氏、取締役副社長CSOの加藤浩晃氏

 

マイクロソフトが労働時間の短縮を支援へ

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月6日、MyAnalyticsプラットフォームのアップデートとOutlookの新機能を発表した。これはユーザーの労働時間を短縮し、より重要な作業に集中しつつ、休暇を増やすことが目的だ。

従業員のプロダクティビティを追跡するMyAnalyticsではこれまで、勤務時間外にどれだけの時間を使っているのかの情報を提供していた。しかし、これだけでは不十分だ。今後、MyAnalyticsは従業員が勤務時間後に電源を落とし、午後8時にメールチェックや文章を作成しなかった時間を追跡する。その目的は、従業員が時間外にどれだけ働いたのかではなく、実際の数字に注目するようになることだ。

Microsoftで広報担当を務めるFrank X.Shaw氏は記者会見にて、「顧客からは、1日中ミーティングに時間を費やし、差し迫ったタスクやプロジェクトに費やす時間がほとんどないという訴えを聞く」と語っている。

この問題を解決するため、Microsoftは「フォーカス・タイム(focus time)」機能を本日ローンチした。機能の一つは、毎週フォーカス・タイムを設定できること。そして、仕事が終わろうとうしている時に同僚にアラートを発するMicrosoft Teamsの機能もある。

残念ながら、同僚はあなたの仕事のフローを気にせず、また不必要な会議を予約する傾向がある。MicrosoftはAI(人工知能)を利用したOutlookのプラグインをローンチし、フォーカス・タイムを再設定し、特定のToDoタスクに集中する時間を見つける手助けをする。

また将来的には、ウェルビーイングやネットワーキング、コラボレーションプランも導入される予定だ。

フォーカスプランはMicrosoft 365とOffice 365ユーザー向けに今後数ヶ月以内にプレビュー版として提供され、E5プランの顧客が最初に利用できるようになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GitHubで学習したAIによってコーディングを補助、マイクロソフトのIntelliCodeが実戦配備

IntelliCodeは、マイクロソフトのAIを利用したコーディング支援ツール。いよいよ誰でも使えるものとなる。プログラミング言語は、Visual Studio上ではC#とXAML、Visual Studio Code上ではJava、JavaScript、TypeScript、Pythonをサポートする。発表によれば、現状で、Visual Studio 2019のバージョン16.1のセカンドプレビュー以降に、デフォルトで含まれるようになった。

IntelliCodeは、基本的にマイクロソフトの非常にポピュラーなコード補完ツール、IntelliSenseの次世代版と言える。ただしIntelliCodeでは、GitHub上の何千というオープンソースのプロジェクトに含まれるソースコードを使って学習したAIを利用している。そのGitHubプロジェクトも、100以上のスターの付いた選りすぐりのものだ。そうしたデータを利用することで、IntelliCodeはかなり賢いコード補完を提案することが可能となった。推奨するコードの内容は、周囲のコードとコンテキストも考慮して生成している。

IntelliSenseの場合、デフォルトではデベロッパーにアルファベット順のリストを提案していた。これはそれなりに便利だが、数が多すぎて、本当に必要なコードはリストのずっと下の方にあるということも多かった。

実は、Kiteのようなスタートアップも、似たような賢いコード補完ツールを提供していることは注目に値する。さまざまな開発環境上で動作するのだが、今のところKiteがサポートする言語はPythonだけに限られている。

KiteやIntelliCodeのようなツールは、デベロッパーの仕事を楽にし、生産性を高めて、バグが忍び込む可能性を減らすことを目指している。こうしたツールがもっと賢くなれば、さらに先を見越して、プログラムのコードのより多くの部分を自動的に補完することができるようになるだろう。プログラマーは何をしようとしているのか、というコンテキストを認識し、同じような問題を他のデベロッパーはどのように解決したか、という知識に基づいた提案をすることもできるようになるはずだ。そうなるには、もう少し時間がかかるとしても、すでにStackOverflowを参照する頻度を減らす効果は十分に発揮できるものとなっている。

画像クレジット:Luis Alvarez/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)