オンライン教育の「二宮尊徳問題」、TechCrunch TokyoでUdacityに解決法を聞こう

11月18日、19日に迫ったTechCrunch Tokyo 2014の講演者を、また1人お知らせしたい。MOOCsブームの火付け役ともなったスタートアップ企業群のうちの1社、Udacityのバイス・プレジデントを勤めるクラリッサ・シェン(Clarissa Shen)氏だ。

かつて大学という閉じた世界で繰り広げられていた教育を、講義風景動画を含めて教材ごとゴロンとネット上で無料でシェアしてしまい、ネット接続環境とやる気さえあれば、地球上のどこにいても最高の高等教育が受けられるようにする。こうした理想を掲げてMITやハーバード、スタンフォードといった米国のトップティアの大学が、次々とオンラインコースを開設。UdacityやCoursera、EdXといった教育プラットフォームが誕生して「MOOC」(Massive Open Online Course)という言葉が大きく注目を集めたのは2011年とか2012年のことだ。

Udacity創業者のセバスチャン・スラン氏は、GoogleフェローとしてGoogle Glassや自動運転運転カーの研究開発をリードしていた計算機科学者であり、スタンフォードの教授でもある。そのスラン氏が、2011年秋に「AI入門」という名称で行っていたスタンフォードの講義教材の一部をオンラインに出してみたところ、またたく間に16万人がサインアップ。コースを終了した人数は2万3000人だたものの、世界の190の国々、異なるバックグランドの人の参加を目の当たりにして、スラン氏は教育者としての自分の責務は世界中の人々に力を与えることで、そのためのメディアとして、インターネットが素晴らしいと気付いたという。これがUdacityの始まりに繋がっている。

2012年、2013年にはスター的なコンピューターサイエンスの教授らが、次々とオンラインコースを開始して、多くのオンライン聴講者を世界中から集めて話題となった。ニューヨーク・タイムズは2012年には「MOOC元年」と宣言し。世界中に高等教育を届けることが、特に途上国の貧困層にとっては教育格差、経済格差の解消に繋がるという文脈で語られ、期待もされた。

その一方で、2014年になると、MOOCs一般の問題として修了率が数%台と非常に低いことが明るみになってきた。しかもコース履修者の多くは、先進国の人々で、すでに学部相当の教育を受けた人々だったということが分かってくる。Edtech分野に明るい日本のある投資家は、「二宮尊徳問題」だと指摘しているが、教材をゴロンと出して、さあどうぞ! と言われて自力でコースを修了できるような勤勉さや熱意を誰もが持ちあわせているわけではなく、「誰もが二宮尊徳なんかじゃなかったのだ」ということが分かってきた、というわけだ。

Udacity創業者のスラン氏自身も、「皆が期待したように、あるいは私自身が願ったようには、われわれは人々に教育を届けられていない。われわれのプロダクトはヒドいものだ」と2013年に認めている

Udacityはこうした事情を受けて、スタートアップ界隈の用語でいえば、「ピボット」しつつあるようだ。1つはフリーミアムモデルに移行して、1対1のメンタリングなどに課金するコースを提供すること。もう1つは、アカデミックな教育よりも、実践的なプログラミング講座などで一種の認定制度を提供する「ナノ・ディグリー」(ミニ学位とでも訳すのか)を、GoogleやAT&T、Salesforceなどと共同で開発して提供するというモデルだ。ミニテストを用意してゲーム的要素を増やすなどもしているようだ。そのときどきで助言をくれるメンターのサービスで課金するというのは、伴走者がいたほうが修了率が高くなることを考えても理に叶っているし、コピーの限界費用がゼロに近いインターネット上では教材に課金するよりも合理的だと思う。産業界の要請を受けて実学に寄せていくことについては議論がありそうだ。

Udacity創業者のスラン氏が、MOOCsブームを「ハイプだった」と公に認めるのは大胆だと思う。社名のudacityはaudacious(大胆な)から来ているが、本当に大胆だ。そしてこの言葉は、いま現在もUdacityがオンライン教育のあり方を、実践を通して模索中であるということの表れなのだろうと思う。

スラン氏は以下のインタビューの中で、面白い歴史観を披露している。新しいメディアが誕生するとき、常に人々は1つ前のメディアをそのまま持ち込むものだという。映画が登場したときには、最初は演劇をそのまま録画するだけだったし、初期のテレビ番組もスチルカメラの延長で作られていた。オンライン教育のあり方についても、今はまだ教室の講義動画を出してみたりしているだけだが、今後50年でドラスティックに変化していくだろうという。

鳴り物入りでスタートしたUdacityなどのMOOCsは2013年には一種の幻滅期を迎えたが、実は端緒に付いたばかりなのかもしれない。そのトップランナーの1社であるUdacityのバイス・プレジデント、クラリッサ・シェン氏には、TechCrunch Tokyo 2014のセッションの1つで、MOOCsを取り巻くオンライン教育の現状や、Udacityの最近の取り組みの全体像をお話いただけると思う。ちなみにUdacityは、直近の2014年9月の3500万ドルのシリーズCを含めて、これまで3度のラウンドで合計5500万ドルもの資金を調達している。シリーズCへの参加VCとしては、Andreessen Horowizや日本のリクルートの名前が目につく。

オンライン教育やEdTechに興味のある人々には貴重な話が聞けるセッションとなることと思う。

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スマホで色変化をチラ見せして入場、TechCrunch Tokyoで「ColorSync」を使います!

以前「QRコードはもう古い!」と書いたら、ビミョーにネット上で怒られたのだけど、QRコードが古臭く感じられるほど斬新なアイデアに基づく電子チケッティングシステム、「ColorSync」をTechCrunch Tokyo 2014の入場時のチケットチェックで使うことにしたのでお知らせしたい。参加予定の人は事前にPeatixのアプリをダウンロードしておいてほしい(Google Play / App Store

ColorSyncの仕組みはコロンブスの卵っぽいナルホド感がある。ご存じない方は以下の動画をみてみてほしい。

動作原理は単純だ。イベント主催者側が用意したタブレットやスマフォなどの端末と、会場に入場する人々が手にしているスマフォに表示される色が、すべて1秒程度で同期しながら変化する。色は赤→青→緑→灰色などとランダムに変化するが、全ての端末がサーバにぶら下がる形となっていて、同じタイミングで同じ色を表示する。同一イベントなら色の変化は同期しているので、カラフルに変化する色の波間にある「仲間はずれ」(チケットを買ってない人)は、人間が見れば一瞬で分かる。

11月18日、19日のTechCrunch Tokyo 2014には1000人以上の人が来るイベントになる。朝の入場時にはどっと人が来るので、QRコードを使うにしろ、身分証明書の提示にせよ、行列ができることになる。あまりに一時に入場が集中すると大変なわけだが、ColorSyncだと人が流れる早さで入場が可能なはずだ。

可能な「はず」というのは、実はまだColorSyncに1000人を超える規模での実績がないからだ。もしColorSyncが期待の動作をしなかったら……と考えて、やっぱりQRコードにしようかという話を内部的はしたりもしたのだけど、TechCrunchが新しいものに懐疑的なんて何かおかしいだろうということで、「やろうよ」で押し切ってみた。まあ、バックアップとして名前を名乗ってもらえればリストと照合してチェックインはできるラインも複数用意するので問題はないと思う。

ご来場予定の皆さん、是非、朝の「色の川の流れ」を楽しみにしてください!

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「部屋中どこでもワイヤレス充電」の時代もすぐ? OssiaがTechCrunch Tokyoに来る

最大40フィート(12メートル)まで離れたスマホなどの端末を、1ワットの電力でワイヤレス充電できるテクノロジー「Cota」のことは、TechCrunch Japanの翻訳記事でも紹介したことがある。このCotaを開発するスタートアップ企業「Ossia」の創業者CEOのハテム・ゼイン(Hatem Zeine)氏が、TechCrunch Tokyo 2014のために来日して講演してくれることが決まったのでお知らせしたい。

ワイヤレス充電といば、「Qi」のように非接触というようなタイプのものはだいぶ普及しているけれど、WiFiのように10メートルぐらい離れたまま充電するような製品は市場に存在しない。もしCotaのようなテクノロジーが普及すれば、ぼくらは「充電」という行為自体を忘れる日が来るかもしれない。家やオフィスにいる間は、モバイルデバイスは勝手に再充電をスタートするからだ。ちょうどWiFiで半自動的にネットに繋がるようなものだ。Cotaは2015年にリテール市場に出荷予定という。

にわかに信じがたいワイヤレス充電のCotaだが、いきなり出てきたわけじゃない。ゼイン氏がCotaを創業したのは2008年にさかのぼり、長らく誰にも実現可能ということを信じてもらえないままステルスで開発を進めてきたのだという。先日2014年9月にサンフランシスコで行われたTechCrunch Disruptが実際に大勢の人の前でデモを見せるお披露目の場となった。

Cotaの送電側は一面に小型アンテナをグリッド上に配置したもので、壁などに埋め込んでもワイヤレス充電が可能なのだという。TechCrunch Disruptのイベントでは200個のトランスミッターが並んだ人の背の高さぐらいの畳状のプロトタイプを使っていたが、これはコンポーネント数が非常に多いために大きいだけで今後は家庭に設置できるサイズにまで小型化可能という。障害物があっても、それを避けるパスを見つけて離れた場所にある受電側に電力を送ることができるという。詳しくはイベントの講演で話してもらえることになっているが、WiFiでいうMIMOのようにマルチパスで送電するということのようだ。受電側は充電が必要になったら微弱なシグナルを発信し、これをキャッチした送電側が位置を特定して指向性の高い形で電力を送る。

ヨルダン出身のゼイン氏自身は、もともとアラブ語圏で最大手のSIerを創業して、マイクロソフトやシスコなどと協業するビジネスを育てた起業家。マンチェスター大学で物理学と数理言語学を学んだという。今はマイクロソフトのお膝元のシアトルを拠点にしている。Ossiaはこれまでに320万ドルを調達していて、Intel Captalも投資している。

残念ながら、Cotaのプロトタイプは今のところデカすぎた。太平洋を渡る輸送は困難なので、東京で実際の現物デモを見せるというのは今回は難しいということだが、ゼイン氏には、Coatの技術と今後の見通し、それから起業家としての創業ストーリーを話してもらう予定だ。

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コリイ・ドクトロウ:DRM問題を語る

編集部注:本稿の執筆者、Cory Doctorowは、SF作家、活動家、ジャーナリスト、ブロガーであり、Boing Boingの共同編集長も務める。電子フロンティア財団の元ヨーロッパ支局長および英国Open Rights Groupの共同ファウンダーであり、ロンドンに在住。本稿は、McSweeney’sから今月発行された彼の最新著作“Information Doesn’t Want to Be Free”の一章、“Worse Than Nothing”からの抜粋である。

デジタルロックの技術的困難と、それが引き起こした意図せぬ結果は、デジタルロックメーカーにとって大きな問題である。しかし、われわれにとってもっと興味があるのは、デジタルロックがクリエーターやその投資家に対して何をしたかであり、そこにはまず議論すべき一つの重要な害悪がある。デジタルロックは金を払う顧客を海賊に変えてしまった。

読者や視聴者についてわれわれが一つ知っておくべきことがある。彼らは、欲しいメディアを、欲しい時に、欲しい形式で買えないことについての言い訳を聞くことに、あまり関心がない。相次ぐ調査が示すところによると、米国テレビ番組の海外でのダウンロード数は、それらの番組が国際放映されると激減することがわかっている。つまり、人々は仲間がインターネットで話題にしているテレビを見たいだけなのである ― 売られていれば金を出して買い、そうでなければ無料で手に入れる。ユーザーを締め出すことは、ダウンロードを減らすのではなく、売上を減らす。

旧方式DVDのデジタルロックを外すプログラムを1999年に初めて公開した人物は、Jon Lech Johansenというノルウェーの15歳の少年だった。”DVD Jon” がこのプロジェクトを始めたきっかけは、彼のコンピュータで動いていたGNU/Linus OSには映画会社がライセンスしたDVDプレーヤーがなかったことだった。自分で買ってきたDVDを見るためには、ロックを外す必要があった。7年後、Muslix64はHD-DVDのDRMを似たような理由で外した ― 彼は正規に購入した別リージョンのDVDを見たかった。デジタルロック史上に残る影響力ある2人の人物は、いずれも「海賊行為」のためではなく、自ら購入した合法メディアを見たかったために、ツールを開発した。

2007年、NBCとAppleはiTunes Storeでの販売における契約紛争を起こした。NBCの作品はiTunesから約9ヵ月間引き上げられた。2008年にカーネギーメロン大学の研究者らは、この規制がファイル共有に与えた影響を調べた研究論文(Converting Pirates Without Cannibalizing Purchasers: The Impact of Digital Distribution on Physical Sales and Internet Piracy”[購入者を減らすことなく海賊行為者を転換させる:デジタル配布が物理的販売とインターネット海賊行為に与える影響])を発表した。そこでわかったのは、契約紛争が引き起こしたのは、「海賊」サイトにおけるダウンロード数の増加であり、それはNBCの作品だけではなかった ― かつてiTunesで番組を購入する習慣のあった人々が、ひとたび無料ファイル共有サイトに行くことを覚えると、手当たり次第に興味のあるものをクリックするらしい。NBC番組のダウンロード数は急増し、その他のダウンロード数も微増した。

さらに興味深いことは、NBC―Apple紛争が終了し、番組がiTunes戻ってから起きた。CMUの論文によると、これらの番組のダウンロード数は、規制前よりも増えた。つまりこれは:

  • 視聴者の欲しがるコンテンツを彼らの好む形式で販売するのを拒むことは、視聴者を海賊行為へと走らせる。
  • ひとたび視聴者が欲しいコンテンツの海賊行為を始めると、彼らは他のコンテンツも不正入手するようになる。
  • ダウンロードの方法を知り熟達すると、視聴者のダウンロード習慣は規制が解除された後まで続く。

デジタルロックベンダーたちは、しくみは完璧ではないが「無いよりは良い」と言うだろう。しかし、証拠が示すところによると、デジタルロックは、無いよりもずっと悪い。デジタルロックを多用している業界では、市場支配力がクリエーターと投資家から、中間業者へとシフトしている。彼らは海賊行為を減らさない。デジタルロックに不満を感じた顧客たちは、サプライチェーン全体からかすめとる方法を知る動機付けを与えられている。

もしあなたが出版社かレコード会社か映画会社なら答えは単純だ。自社の作品にデジタルロックを付けて販売させないことだ。そしてもし、ロックをかけずに作品を売ることを拒否する会社がいたら? そんなロックはあなたの利益のためではないことを確信するだろう。

あなたがクリエーターだともっと難しい。なぜなら多くの大口投資家はDRM付きで売るか、一切売らないかのどちらかという発想に縛られているからだ。DRM交渉をすることになったら、あなたが決断すべきことは、自分の創造物をどこかのIT企業の牢屋に入れて投資家を喜ばせるか、より健全なより良い投資家を探し続けるかのどちらかだ。

数年前、私は児童向き絵本を1冊、世界最大の出版社(ここでは名無しのままにしておく)に売った。それは構想に何年もかけ、ラフスケッチから何回にもわさる書き直しを経て、ようやく自信を持てる作品に仕上げたものだった。

名無しの巨人出版社で私を担当していた編集者の一人は、英国デジタル戦略のトップでもあり、彼と私は、ご想像の通り、非常にうまが合った。私のエージェントの事務所に契約書が届かないまま数ヵ月が過ぎた頃、彼は私に電話をかけて何が起きたかを説明した。

彼は契約部門へ行き、私の本のデジタル版のDRM無し印税を尋ねた。彼も私も何の問題もないと思っていた。なぜなら、名無しの巨人は他の34のフォーマット、言語、および地域でも私の出版社であり、どの場合もDRMなしで私の作品を販売していたからだった。

しかし、名無しの巨人には新しい方針が会社の最上層部から出されていた。今後、すべての書籍はeブック権利と共に買い取り、すべてのeブックはDRMを必須とする。担当編集者は交渉を試みたが(「eブック権利を買い取らないことはできないか? だめ? だったら、買い取るが使わないと約束するのはどうか?」)、無駄に終った。

最後に編集者は、契約担当者にデジタル版の売上予想は -80ポンドであることを説明した ― マイナス80ポンドである。言い換えれば、その会社はデジタル版で80ポンドの損失を予定していて、それは他のデジタル絵本の実績に基づいていた。

契約担当者は編集者に対して、DRMに交渉の余地はなく、もしそれが問題なら契約を破棄すべきだと言った。

そこで私の担当編集者は会社を辞めた。

私の本が中止になったことに抗議して会社を辞めた編集者に腹を立てることは非常に難しい ― たとえ自分の本が中止になったという事実を前にしても。

この物語にはハッピーエンドが待っていた。名無しの巨人が何千ドルも注ぎ込んで開発した本を、私はもっと教条的でないライバル出版社に簡単に売ることができ、DRM会社に私の著作権をロックさせる必要もない。しかも、私の担当編集者はずっと良い職に就いた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


4年制大学をディスラプト、MakeSchoolのクレイジーな起業家がTC Tokyoに来て話すぞ!

Airbnbの共同創業者の2人に2009年に初めてサンフランシスコで会ったとき、ぼくは「こいつらはクレイジーだ」と思った。泊めた、泊まったなんてことを、勝手にエンドユーザーにやらせるなんて、頭がおかしい。日本で言えば消防法とか旅館業法とか規制もあるだろうし、事故やトラブルがあったらどうするのか? そう聞くと、Airbnbの創業者らは「だって、問題があったら規制当局から電話でも来るよね。今のところ何も来てないし、問題なんてないね」と、シラけた感じで言うのみだった。彼らは、自分たちはCraigslistより安全だとも胸を張った。

Airbnb創業者たちは、楽しそうで自信たっぷりだった。ぼくもそのとき初めてだったAirbnb体験が、あまりに楽しいものだったので、確かに今は人々が経験を通して理解していないだけで、いずれこれは広がるのかもしれないなと思ったのを良く覚えている。

そんな風に、Y Combinatorがシード投資する起業家にはクレイジーなアイデアを語る人が少なくない。世の中を変えようという大きなアイデアを真剣に追求していて、話を聞くと、何だかものすごく説得力があったりするケースがある。おぉ! という感じで面白くてクレイジーなやつらが多い。

MakeSchoolの共同創業者でCEOのジェレミー・ロスマン(Jeremy Rossmann)も、まさにそんな若者の1人だ。激しいアフロヘアだったジェレミーに東京で初めて会ったとき、ぼくはジェレミーと、こんな会話をした。

「ちょ、ちょっと待って。つまりそれって、MITとかスタンフォードみたな大学を置き換えるってこと? ガチで大学と競争するってこと?」

「うん。その通り。3年もしたらMITよりウチを選ぶ学生が出てくるよ」

ジェレミーが共同創業者であるMakeSchoolは、既存の4年制大学をディスラプトしようとしている。Y Combinatorの2012年冬バッチに参加していたサンフランシスコベースのスタートアップ企業だ。

18日、19日に迫ったTechCrunch Tokyo 2014でジェレミーに講演を頼んで日本に来てもらうことにしたので、MakeSchoolのことを少し紹介したい。

最初のビジネスモデルは実は大ゴケ

MakeSchoolは過去半年でピボットして、この10月には社名を変えている。もともとは「MakeGamesWithUs」という名前のスタートアップだった。高校生や大学生にゲーム開発を指導し、そうして生まれた大量のゲームによる収益の30%をレベニューシェアとして徴収する。それがMakeGamesWithUsの当初の狙いだった。

「ゲームはたくさんできたし、学びに来た学生たちも喜んでくれましたよ。17歳で初めて作ったゲームで1カ月1000ドルの売上があった、なんて夢みたいな話でしょ? すごく喜ぶよね。大成功ですよ。でも、ぼくらにとっては300ドルで何人のエンジニアが雇えるのかって話なわけで。ゼロ人ですよ。ダメなビジネスモデルでしたね」

このモデルで何が起こったかというと、iOSでゲーム開発をして売上を立てていたということを履歴書に書いて、大手ネット起業に就職していくハッピーな学生たちがたくさん生まれたということ。そこでジェレミーたちは、生徒から直接授業料を取るモデルに変更したのだという。ゲームから生まれる収益は100%作った生徒のもの。これが、1年前からとても上手く回り始めているという。

面白いのは、授業料を払えば誰でも入れるというわけじゃないところ。応募の80%は門前払いとしていて、合格率は20%程度なんだとか。これはUCLAやボストン大学といった、アメリカのトップ10校より1ランク下の合格率で、MakeSchoolが狙っているのは、まさにここの層の学生だとか。

「大学のコンピューターサイエンスの学位を置き換えたいんですよ。いまはサマープログラムをやっただけだけど、今後は1年のコースを15人の生徒でスタートする。来年も1年コース。その次の2016年には2年のコースを開設する。うちの生徒は2年で必要なことを学んで、GoogleやFacebookに就職するようになる」

サマープログラムにはMITから来た生徒もいたそうだが、非常に評判が良くて、またMakeSchoolで学びたいし、同じ期間の学習なら、むしろMITより効率的で有用だと言っているそうだ。

「アメリカの大学は学費がすごく高いという問題がある。インフレ率より速いペースで学費が上がっています。学位を取るためだけに4年間で1000万円から2000万円かかる。これは生活費をのぞいて、ですよ。だからアメリカ人はみんな大学に行くために貯金をするんです」

「授業品質の問題もある。コンピューターサイエンスの教材は現実に追い付いていません。例えば機械工学や建築って、そんなに変わらないじゃないですか。いま最高の建築学科の教授は、たぶん20年後もそうでしょう。でも、コンピューターサイエンスはそうじゃない。この分野は過去20年で、コンピュータサイエンスの全歴史を通してよりも多くの発明が行われました。いまの大学教育だと、仕事を始めたときに学校とは全然違うことを学ばなければならなくなるんです」

日本でL型大学、G型大学の議論があるように、社会に出てすぐに役立つ実践的な知識と経験、例えばフロントエンド開発だとかiOS開発とかをやるのが、旧来の大学とMakeSchoolの違いの1つ。そうかといってコンピューターサイエンスの基礎理論を飛ばすというような話ではない、というジェレミーは言う。

「MakeSchoolでも理論を飛ばしたりはしていません。企業側に「何を分かっていてほしいか?」と聞いています。GoogleもFacebookも基礎理論は大事だといいますからね。データ構造やアルゴリズムは重要。でも、Facebookに行って実際どんなアルゴリズムをいちばん使ってるんですかなんて聞く人は、今まで大学関係者にはいませんでしたからね」

「ぼくらにはMITやスタンフォードのようなブランド力はないかもしれない。ぼくらのゴールは、FacebookやGoogleといった企業のお墨付きを得ること。こうした企業からの推奨が増えれば増えるほど、生徒にとってMakeSchoolは理にかなった選択になってくる。Facebookが、MakeSchoolのカリキュラムやった人なら雇う、というようになりますからね」

「大学だと4年間かけて1000万円とか2000万円。一方われわれのコースだと2年間で500〜600万円。シリコンバレーにコネクションを持っているので、Y Combinatorのパートナーや起業家、投資家にも会える。MakeSchool経由でインターンシップの紹介をするので、ひと夏だけで150万円は稼げるし、もしインターンシップが得られなかったら返金にも応じます。4年制大学に行った友だちより、2年早く800万円とか900万円の年収でスタートを切れるわけです。Googleなら新卒で1000万円が稼げる今の時代、大学院に行かない人が増えているし、Googleなんかは学部卒をバンバン雇ってますよ。今でも研究者になる気があるなら、4年制大学がベストの選択です。だけど大学院や博士課程に行こうと思わない人たちも、すごく多いわけです」

「4年制大学だと必修科目も多いですよね。文学とか哲学とか。ぼくらもそういうのが大事だとは思っていますよ。でも、そんなの仕事を始めてからやったっていいじゃないですか。人間として大事な教養は長く学ぶものです」

コンピューターサイエンスの基礎と、実践的で現代的なプログラミングの両方を学んだソフトウェア・エンジニアの需要は爆発しているが、大学の教育変革が追い付いていないとジェレミーは言う。

「MITやCMUなど、コンピューターサイエンスで良い教育をしているところは数が限らている。需要のほうが供給よりはるかに多いんです。MITって新入生が1年で何人か知ってますか? 1年で、たった1000人ですよ。このうち300〜400人ぐらいがコンピューターサイエンス専攻です。数万人の需要に対して、これじゃ、ぜんぜん足りていません」

「MITだと受験者の7%ぐらいが合格します。でも、試験に落ちた人のうち上位7%を受け入れたとしても学生の質はほとんど同じだと統計的に言われてるんです。つまり、今はそのぐらい応募が多い。質の高い学生のほうが大学の数より多いので数万人の学生がMakeSchoolのターゲットです」

需要があるのになぜ大学は定員を増やさないのか?

「応募してくる一部のトップを取れば十分と思っているんです。トップ・オブ・トップの学生の質で競争しているからです。MakeSchoolがMITなどの大学に勝てるのは、就職での結果による競争で勝てるからです。インセンティブが違うんですね。それに、大学というのは巨大な官僚組織。そんなに簡単に変われませんよ」

アメリカの大学はもう1つ大きな問題を抱えているとジェレミーは言う。

アメリカの大学には終身雇用に相当する「テニュア」の資格を持つ教授と、そうでない教員がいる。テニュアの教授は研究で評価はされるが、学生からの人気や評判によって辞めさせられることがない。一方、非テニュアの教員は給与が低く、安定もしていない。ニーズはあるのに、MITは教員の予算を削減する方向にあるのだという。こうした教員にとって、教える喜びがダイレクトに感じられるMakeSchoolは評判が良いのだという。「ぼくらは研究とは関係がないので、こうした教員をより良い待遇で迎えられるんです」

ところで、ジェレミーはときどき日本に来て、投資家や教育関係者、ネット企業の関係者らと議論をしたりしているようだ。中国だと北京大学、日本だと東大やDeNAの名前が彼の口から出てきた。MakeSchoolの日本展開はあるのか?

「楽天なんかは英語化を推進しているし、シリコンバレーのスタートアップ企業のマインドセットや技術を持った人たちをインターンとして受け入れるのは理に叶うはず。逆に、日本からシリコンバレーに学び来るというのもあり得る。すでにこれまで2人ほど日本からの参加もあったけど、とても優秀だったし、もっと来てほしいですね」

大学をガチでディスラプトしようというシリコンバレーの人たちの目線の高い発想と、それをガシガシ推進しているジェレミーの話は聞き応えのあるセッションになると思う。TechCrunch Tokyoのチケットにはまだ少し余裕があるので、今からでも是非来場を検討してほしい。

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Apple、iPhoneをやめた後でもiMessageの電話番号登録を抹消できるツールを提供


Appleはウェブサイトに新しいツールを追加し、iPhoneを使わなくなった後でも、iMessageの登録情報から番号を抹消できるようにした。使い方は簡単で、電話番号を入力するとテキストメッセージでコードが送られてくるので、それを入力して確認すれば電話番号がiMessageデータベースから削除される。

このシステムは、iPhoneからAndroid端末に切り換えたユーザーの電話番号を、iMessageの登録から確実に消すのに役立つ。これまでAndroidに乗り替えたユーザーは、iPhoneを使うのをやめたにもかかわらずテキストメッセージがiMessage宛に送られ、どの端末でも受信できない状況になることがあった。この問題は、Androidに移行する前にiMessageを完全に無効化しなかった多くのユーザーに起き、Appleに対する訴訟にまで発展した。5月にAppleはソフトウェアを修正すると約束していた

Appleの新しいウェブページには、iPhoneを処分する前に番号登録を抹消する方法も案内されており、これはiPhone上で[設定 > メッセージ] へ進み、iMessage をオフにすればよい。新しいツールは、すでに移行済みでメッセージを受け取り損っていたユーザーにとって大きな助けになるだけでなく、現行ユーザーが、例えば旅行中やテスト目的でプラットフォームを切り換えるのにも利用できる。

もし、iPhoneはもう持っていないのにiMessageサーバーから自分の電話番号を外さなくてはならない窮地に立たされている人がいたら、このページへ行き、2ステッププロセスの指示に従えば解決できる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


SEOから先に考えると全て失敗する


企業担当者も制作業者もSEOについて誤解していると感じることがある。
SEOをそれ単体が特別なものとして捉えられているという誤解だ。

SEOはWebサイトにおける集客活動のごく一部を担うに過ぎない。

それ自体が独立して存在するわけではなく、SEOのみでできることなど高々知れている。
期待しすぎると失望する。

よくあることであるが、キーワードプランナーといったツールを使って、キーワードを洗い出してコーポレートサイトを作ろうという企てなどは間違いである。

コーポレートサイトに求められるページとは何であるか?

ユーザーに対して、製品・サービス・会社の情報を余すところなく伝えること、信頼を持ってもらうことだ。
集客しなくては目的は達成できないが、SEOに偏って内容をおろそかにすると、そもそもの目的を達成することができない。

SEOによって内容をおろそかになるケースというのが、キーワードありきでWebサイトを作ってしまう場合だ。
何故、キーワードありきで作ると内容がおろそかになるか?

それにはいくつかの理由がある。

  1. 本来、ページは書くべき内容が先にある。しかし、書くべき内容が明確なイメージがないままにページを作ることによって、価値のないページができる。
    読んでも印象に残らない、あるいはあまりにもありきたりでつまらないページになる、もしくは、ユーザーニーズとかい離した内容のページになる。
  2. 類義語を使ってそれぞれ別のページを作ってしまう。
    例えばお風呂のリフォームのページを作る場合を想定しよう。
    「風呂」「ユニットバス」「浴室」といったように主語に相当するキーワードが複数ある。
    「リフォーム」「改築」といったように述語に相当するキーワードも複数ある。
    このように主語、述語ともに複数ある場合、全部の掛け合わせのパターンを作るということが間違いのもとなのだ。
    サイト内での統一感が失われるし、単体の記事は良かったとしても類似のコンテンツが多数できてしまう。
  3. ユーザーが自社のサイトに求めている内容とかい離したページができる。

その結果として、ブランドイメージを損ない本来の目的を達成することができなくなる。

この会社はこの程度のことしか考えていないのか?

と思われてしまうのである。
最近は、コンテンツSEOという言葉が流行しているが、この手のページを量産しているのであれば結局のところ目的を達成できないだろう。

そうして、検索エンジン経由の集客そのものもうまくいかない可能性が高い。

書くべき内容のイメージがなければ、検索キーワードをとりあえずタイトルと、本文に含んではいるもののぼんやりとした記事になるだろう。
そうすると、検索キーワードに対する記事の内容の掘り下げが浅くなって、検索エンジンからは評価されない。

テクニカルな話をすると、「共起語」が少なくなるといったページになる。そのことがきちんと理解できていない人が書くため、どうしてもそうなるのである。

では共起語を文章中に入れ込んでやればいいではないか?

というようにズルく考えればなるのだが、これにはあまり意味がない。

Googleが認識している共起語を正しく知るツールなんてそもそも存在しないのだ。

また、文章の内容の良否は共起語だけに依っているわけではない。
良い記事は、良い記事を生み出す努力と、知識によってのみ作られる。
上辺だけ真似しても、うまくいかない。

歴史的に有名な画家の絵は数億円の価値があり、それを模した画学生の絵は価値が全くないか、数万円といったところだろう。
見る人が見ればわかる。
それと同じだ。

また、類似コンテンツができてしまうことによっても、サイト全体の情報量が薄くって検索エンジンから評価が下がることも十分に考えられる。

結局、SEOに偏したサイトというのは、ブランディングを損なうのみならず、検索経由の集客もうまくいかないのだ。

最後に一言書いておこうと思う。

私は検索キーワードを見つけるツールそのものは意味がないとは思っていない。
使い方によっては有用である。

「Google先生」という言い方がある。
「何でも知っているGoogle」という意味だ。
検索のほとんどは自分が知りたいことの答えを、Googleから教えてもらうという行為である。

「ユーザーはどういうことを疑問に感じるのか?」
「ユーザーはどういう言葉を使って検索しようとしているのか?」

ということを知るためにツールを使うことは非常に有用である。
検索キーワードの裏側には検索するユーザーが存在する。

そのユーザーのことを知るために、検索キーワードを知ることはとても有用だ。

そのキーワードの検索ニーズはこれだ。

と考えることは的が外れていることがままある。
そうではなくて、検索ニーズを満たすための内容とは何か?を良く考えてページを作ることは実際に検索ユーザーにとっても有用な試みである。

検索キーワードは単なる文字として存在するのではなく、人間のニーズとして存在していることを考えて作るのであれば有意義であることを最後に付け加えておくのである。

NSA改革法案、上院で停滞か


The Hill紙の上院情報筋によると、ホワイトハウスは死に体となった次期議会でNSA改革案を通過させたくないようだ。

現上院司法委員会議長、Patrick Leahy上院議員は、今年自らが起草した法案 - USA FREEDOM Act[情報自由法] ― の決議を推進しようとしている。同法案はIT企業および市民団体から支持を得ている。同名の法案は以前上院を通過したが、議決直前になって骨抜きにされたことで、プライバシー擁護派から嘲笑を買った。

上院の米国情報自由法は、米国における通話記録の一括収集を中止させるものだ。しかし、外国諜報活動偵察法第702項の改革までは届かないだろうと指摘する向きもある。Zoe Lofgren下院議員は当時、同法案について、第702項改訂に取り組んでいないのは「不足である」と発言した。

それでも、IT企業の間では同上院法案が支持に値するものであるとの全般的合意が形成されている - 同法の支持を推進した企業もあった
ホワイトハウスに見られる逡巡には、上院多数党院内総務のHarry Reidも同調していると言われている。同氏はこの立法議会に別の優先事項を抱えている。果たしてLeahy上院議員が、この共同戦線に対抗しきれるかどうかは不明である。

The Hillが引用しているBrookings InstitutionのBenjamin Wittesは、ホワイトハウスはもっとNSA寄りの法案を望んでいるとほのめかしている。そして次期議会でそれが提案させるかもしれない。以上を踏まえると、米国情報自由化法案は、2014年に決議されるか廃案かということになりそうだ。今週は目が離せない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Click Z Live Chicago-Expediaが仕掛けるコンテンツマーケティング。ユーザー作成のコンテンツが持つパワーとは。

最近は日本でもよく耳にする、大手旅行サイトのExpediaが登場。ユーザー作成のコンテンツを使用したキャンペーンの内容を紹介してくれています。競争力が非常に高い業界と言えますが、どのような取り組みを行っているのでしょうか?– SEO Japan

原題:Achieving Authenticity: User Generated Video Content Transforms Storytelling Power in Find Yours Campaign
Speaker:Noah Tratt, Global Senior Vice President Media Solutions, Expedia Inc

どうやって目立とう?

現状の分析
多数のWebサイトが存在している中、我々のコンテンツを目立たせるためにはどうすればよいだろうか?多くの旅行サイトを見てみると、それらが機能性に最適化していることに気づいた。

旅行はエモーショナルだ
そして非常にパーソナルでもある。リラックス目的、アドベンチャー目的など、旅行の目的は個人によって様々。

戦略的なコンテンツ
多くの旅行サイトでは、ブランド側の機能性重視の傾向と、消費者が望むコンテンツの間にギャップがある。Expediaはそのギャップを埋めようと試みた。ブランドは誰か”個人”と関わっていなければならない。旅行をよりパーソナルなものにすることで、ブランドをコミュニケーションへと育てる。

Whyを追求する
Whatは必要ない。(しかしながら、多くのブランドはWhatを提供している。)また、Howを提供しているブランドも多い。自慢のピザの秘密ソース、優れた電子機器の優秀なプロセッサーの説明コンテンツなどだ。ExpediaはWhyを追求した。つまりは、パーソナル化を進めたのだ。なぜ、旅行をするのか?ブランドはWhyを表す存在だ。

ブランドキャンペーンをパーソナルにする方法
User Generated Content(ユーザによって作成されたコンテンツ)を利用。YouTubeなど色々なプラットフォームで、我々を助けてくれるコンテンツを探している。旅行は非常にパーソナルなものだが、Webで探せばそれを感じることができる。

Find Yoursキャンペーン

Find Your Understanding
同性愛者の娘を持つ父親にフォーカスした動画。娘の結婚式のため、同性愛の結婚が認められている州への旅行の内容を紹介する。長時間のコンテンツであるが、非常に大きな反響があり、TEDBUSINESS INSIDERに取り上げられた。
*動画はTEDの記事内で閲覧できます。

Find Your Strength
がんの闘病者の女性をフォーカス。自身の経験をスピーチするため、カンファレンスに向かう旅行の内容を紹介。

Find Your Alberta
パートナーシップを採った例。カナダのalberta州を紹介するプロジェクト。認知度が低いことが課題であったが、ブロガーにコンテンツの作成を依頼し、動画などをサイトで紹介した。ソーシャルのフォロワーの増加に加え、25%以上のホテル予約の増加を実現。ブロガーによる動画の影響力を示す好例。

Find Your Spontaneity
アプリの紹介動画だが、一人の男性がそのアプリを利用し、当日に中国へ旅行してしまう内容。UGCではないが、多くのビュー数に加え、アプリのダウンロード数も増加。

Find Your Storybook
アメリカからイギリスへの旅行者を増加させるためのプロジェクト。ロスアンゼルス、サンフランシスコからの旅行者の増加を実現。

まとめ
・キュレーティングがキー。
・ブランドの強化。
・パートナーシップ。
・テストと学習。

注目すべきは、全てのコンテンツが一つのコンセプト(旅行のパーソナル化)を軸に作成されており、そのコンセプトも現状の分析からしっかり作られているという点にあると感じました。全ての企業が、これほどの規模とクオリティで作成することは難しいと思いますが、コンテンツマーケティングの手法としては通じるものがありますね。コンテンツマーケティングは全てインハウスで行っているとのことですが、参考になった方も少なくないのではないでしょうか?

Click Z Live Chicago-パンダ、ペンギン、そしてペナルティ。Googleの最新のアルゴリズムを知ろう。

Googleのアップデートの情報はSEO Japanでも頻繁に掲載していますが、複数のアップデートが行われているため、困惑してしまう方も多いのではないのでしょうか?今回のセッションではメジャーなアップデートの振り返りとペナルティを受けた場合のリカバリー方法を扱います。現在ペナルティを受けているサイトのWebマスターはもちろん、今一度自身のサイトを確認してみてはいかがでしょうか?– SEO Japan

原題:Panda, Penguin, Penalties and More: Staying on Top of Algorithm Updates
Speakers:
Nate Dame, CEO and Founder, Propecta
Matt Koulas, Senior SEO Specialist, Grasshopper

全体的な話と今後起こること

Googleにおける多様化
Googleは収入源を多様化させている。2012年ではGoogelの収益の95%が広告収入であったが、2014年(Q1-3)では90%まで下がっている。

SEOは変化している
Googleは変化している。マーケターはその変化に合わせて最適化しなければならない。しかし、Googleのアップデートが常にあなたにとって良いこととは限らない。

Googleはどこに向かっているのか?
Googleは常に最終目的地を設定している。そして、アップデートがその目的から外れることはない。Googleの最終的な目的とは、最も関連性があり、最も信頼性があり、速く、ベストなソリューションを検索者に提供するためのシグナルだ。

個々のアルゴリズム

Pandaアップデート
アドバイス・・・ゴミくずのようなコンテンツの作成は止め、低品質なコンテンツを破壊しよう。
概念・・・Googleは低品質なユーザー経験を嫌っている。もしも、あなたのサイトが他社のサイトを困惑させるサイトであるならば、すぐにやめよう。
開始時期・・・2011年2月23日(Farmerアップデート)

Penguinアップデート
アドバイス・・・キーワードの詰め込みはやめよう。
概念・・・タイトルでの詰め込み等、ユーザーの利益にフォーカスしていない従来のランキング要素は、今後も重要性が低下していく。
開始時期・・・2012年4月24日

Knowledge Graph
アドバイス・・・Wikipediaでのあなたの会社の情報をすぐに更新しよう。
概念・・・Googleは顧客をGoogleに可能な限り引き留めたい。

Pirateアップデート
アドバイス・・・コンテンツの海賊行為はやめよう。
概念・・・コンテンツの海賊行為は絶対にやめよう。
開始時期・・・2012年8月10日(DMCAペナルティ)

Hummingbirdアップデート
アドバイス・・・リンクビルディングを無効化するのか?SEOの終わりか?
概念・・・Googleはバックエンドでマシンラーニングを使用している。より速く、正確に。
開始時期・・・2013年8月20日

Pigeonアップデート
アドバイス・・・ローカルへの注力。
概念・・・”ローカルSEO”と”スタンダードSEO”の融合。
開始時期・・・2014年7月24日

これからのSEO

ランキング上昇のために
ショートカットやトリックはない。チェックリストを作成して漏れのないようにしよう。また、長期間に継続した成長を目的にすること。テクニカルな要素(ロードの早いサイトと遅いサイトなど)は基本要素。基本ルールを曲げてはならない。

ターゲットキーワードとユーザーインテント
検索者のニーズを満たすようにしよう。そのキーワードでユーザーが何をするか?彼らのためのコンテンツとは何か?を常に考える。

インフルエンスビルディング
構築するべきはリンクではなく、インフルエンス(影響)。インフルエンサーをキャッチするLPを作成しよう。また、ターゲットとなるファネルは単体のレベルではなく、全体のファネルになる。

SEOとペナルティ

1.依存を避ける
リンク、簡易なコンテンツ、完全一致を避ける。内部リンクの構造と不自然な被リンクを見直す。内容が薄く、低品質で、編集されていない、求められていない、キーワードに特化したコンテンツは作成しない。アンカー、コンテンツ、ドメインの完全一致も避ける。

役に立つツール
ScreamingFrog・・・内部リンクの精査。
MajesticSEO・・・被リンクの精査。
Hemingway App・・・コンテンツの精査。
UserTesting.com・・・ランディングページの精査。

2.診断する
ペナルティを受けた際には、アルゴリズムによるものか、手動によるものか判断しよう。

アルゴリズムの診断
アルゴリズムによるペナルティかを判断するためのツールを紹介する。
Panguin Tool・・・パンダ、ペンギン、ローカルアップデートの判断。
Reconsideration.org・・・ペンギンの診断と、競合他社の診断。
Moz’s Google Algorithm Change History・・・Googleのアルゴリズムの変更のまとめ。

マニュアルアクションの診断
Webマスターツールで確認する。不自然なリンクを抽出しよう。その他、クローキングや隠しテキストなどの場合もあるが、こちらの記事によくまとまっている。

3.分析する
データの収集をまず行う。収集元は、Webマスターツール、Majestic SEO、AHREFsなどを使用しよう。

リンクデータをカテゴライズする
WebマスターツールのデータとMajestic SEO(またはAHREFsなど)からデータをエクスポートし、エクセルでマージする。その後、自然リンク、スパムリンク、完全一致のリンクなどにカテゴライズし、リンクの問題を特定する。

不自然なリンクがあった場合
あらゆる情報からリンク元へのコンタクトを試みる。サイト上ではメールアドレス、電話番号、コンタクトフォームなど。WHOIS情報からも確認できる。また、ソーシャルでの連絡先が掲載されている場合は、そちらからのコンタクトも試みる。

4.行動する
上記の方法で連絡を試みる。多くがEメールでの連絡となるが、その際は、正直に、ストレートに依頼する。送付の間隔は1-2日間あける。相手からの連絡方法を記載する。

5.リカバリーする
再審査リクエストと否認リンクのリストを送信する。再審査リクエストには、問題が起こった経緯、リンクの特定方法と除去・維持をした理由、ログ、リンク元にコンタクトを試みた証拠、今後のプランなどを明記する。もし、リンク元がリンクを解除してくれた場合は、リストから外してあげよう。また、あまりにも可能性が低い場合は、新しくサイトを構築することも検討しよう。

資料
1.手動ペナルティの解除プロセス
2.再審査リクエストでのコンタクトリスト
3.再審査リクエストのサンプル
4.否認ファイルのサンプル

まとめ
1.避ける・・・SEOを最適化させすぎない。
2.診断する・・・Webマスターツールや各種診断ツールを活用。
3.解決する・・・プロセスベースの分析、行動、ドキュメント作成。

2014年の9月から10月にかけて、多くのアップデートが更新されました。この記事を書いている時期も、ペンギン3.0の話題は毎日のようにでています。今後も様々な変更をGoogleは加えていくと思いますので、最新情報は常にキャッチしておきたいですね。記事中のツールや資料は全て英語となっており、現段階では全てを細かく確認できてはいませんが、役に立ちそうなものはぜひご活用ください。

Click Z Live Chicago-Brian Solis氏によるキーノート。これからのビジネスとマーケティングについて。

2014年11月4日から11月6日にかけて、イリノイ州シカゴで開催された、Click Z Live in Chicagoに参加しました。オープニング・キーノートは、SEO Japanでもブログを度々紹介させて頂いている、Brian Solis氏。Webが消費者行動に与える影響と、マーケティングにおける変化について、たっぷりと語ってくれています。– SEO Japan

原題:The A.R.T. of Engagement
Speaker:Brian Solis, Award-Winning Author, Futurist and Principal Analyst, Altimeter Group

未来とは、これまでにすでに起こったものではない

次の世代ではどういったことが起こるか?
大量のテクノロジー、早すぎる進化によって、デジタルとの関わり方は今後も変化していくだろう。マーケターの役割は従来の単純なものだけではなくなってきている。

エンゲージメントをデザインする
これからのマーケティングは、共有できる経験にフォーカスしていくだろう。ソーシャルやYouTubeなどが代表的なものだ。そして、この場所に新しいブランドが生まれる。また、この場所はマーケターが活躍する場所にもなる。ビジネスはもはやブランド単体によって行われるものではなくなってきている。共有された経験を通じて消費者と共に作り上げていくものであり、オンラインでの検索と対話の結果によって定義されるものだ。

まずはモバイルから話そう
1日のうち、主要なメディアで人々が過ごす時間の23%はモバイルだ。しかし、広告費の4%しかモバイルに使用されていない。モバイルでは、小さな画面で人々の関心を数秒間で集めなければならない。新しいプラットホームと言えるだろう。Webサイトの役割も変わっていく。

モバイル、ソーシャル、リアルタイム。
例えば、パーティーでは参加者と喋る人がいない。隣の人ではなく、スクリーンに向かって話している。少し大げさな表現ではあるが、実際にこれに近いことは起こっている。我々はどう対応するべきだろうか?従来のマーケティング手法はどんどん縮小している。

ティーンエージャーの集中力
あらゆるデジタルデバイスを使用せずに、宿題に集中している時間はたったの6分間しかない。こうした顧客に注意を向けてもらうためのUXをデザイン、言い換えれば、エンゲージメントを構築するためのデザインを検討しよう。オーサーとしてジャーナリストとして、なにができるか?人々がなぜクリックし、なぜアクションを起こしたか。それらを明らかにするのが、未来のサイエンスである。

購買決定とデジタルデバイス
バイヤーズジャーニーの67%はデジタル(Web)で完了している。そのため、企業からのタッチポイントもここにあると言える。消費者によるデジタル社会での行動が、これからのマーケティングでの決定的な要素になる。この世界はあなたをフォローしている人によって作られている。人は他人の情報をあてにしているのだ。

より良い経験とは何か?
購入者の86%がより良い顧客体験のためにはより多くのお金を支払うと答えているが、企業が彼らの要求を常に満たしていると答える人は、たったの1%しかいない。マーケターとしての仕事は、共有したいと思わせる経験、エンゲージメントをデザインすることだろう。

The A.R.T of Engament
エンゲージメントにおける主要な3要素を、それぞれの頭文字をとって、A.R.Tと呼ぶ。つまりは、ActionsとReactionsとTransactionsだ。

Moment Of Truth

デジタル時代の購買決定プロセス
デジタル上の行動が購買決定の大きな要因になっている今日において、購買に至るまでの過程は、従来のそれと比べ、大きく変化している。顧客とのタッチポイントになる、Zero Moment Of Truthを含め、プロセスは以下の通りになる。

・刺激(認知)
・Zero Moment of Truth(ソーシャルでの発見)
・First Moment of Truth(購入の検討)
・Second Moment of Truth(経験)
・Ultimate Moment of Truth(共有された経験)

Zero Moment Of Truth
全てのプロダクトは顧客のモバイルでの体験からはじまる。あなたにとっての機会はモバイルの中にある。2014年の調査によると、オンラインでのリテラーの56%がモバイル経由で注文されている。また、70%のモバイルでの検索が1時間以内に何らかのアクションをリードしている。

人々の評判
85%の人が”自分が知っている人”からの推薦を信用する。人々はマーケターを信用しているわけではない。

Googleの利用数の減少
多くの人がアプリを使って検索している。例えば、YouTubeはGoogleのような存在になっている。自分との関連性のあるコンテンツを探す際、95%の人がGoogleとYouTubeの両方使っている。また、Pinterestはビジュアルでの訴求に優れ、結果として、アクションを導くアプリになっている。

First Moment of TruthとSecond Moment of Truth
オフラインとオンラインのコネクションがより重要である。そして、それを構築するためにはビジョンと設計が必要。我々の仕事はこれらを一緒にさせること。ブランドがiBeacon、Square、チェックイン機能などを用いることで、顧客はシームレスでパーソナルな経験を得ることができる。

P&Gの例
消費財市場の巨大企業であるP&Gは、店舗で顧客が商品を認知する最初の数秒間を重要視している。それは、オハイオ州シンシナティの本社にFirst Moment of Truthの部門を設置し、世界中に50人のリーダーを採用していることからも伺える。また、P&Gはテレビや雑誌の影響力の低下に対応し、消費者へ直接ブランドを訴求できるポイントを重視しているのだ。

Ultimate Moment of Truth
88%以上の人が、他社のオンラインでのコメントに影響されている。経験は共有されることで、実際に経験をした人以外の人に影響を与える。誰かがシェアし、誰かがそれを発見する。そこに、エンゲージメントが発生するのだ。

ソーシャルでの対応
88%の人がソーシャルでの不満を対応していない企業の製品を今後買わないようになる。しかし、ロイヤルカスタマーは、通常の人よりも20%から40%以上、その企業のソーシャルにお金をかけている。

顧客経験
顧客の経験はサイトを通じてタッチする全てのことになる。マルチスクリーンが普通のこの時代では、オンラインでショッピングをしているとき、他のことも同時に行っている。90%の人がマルチスクリーンで連続した行動をとっており、67%の人がオンラインでのショッピングの際に、別の行動をとっている。つまり、eコマースとソーシャル(評判の確認)のループが発生している。

ヒーローズ・ジャーニー
顧客をヒーローとして扱おう。マーケティングは経験であり、ライフサイクルなのだ。成功を狙うのではなく、価値のある存在になることを目指そう。

Moment of Truthについては数年前から提唱されている理論ですが、Zero Moment of Truthでのモバイルの重要性と、オンライン・オフラインでのシームレスな経験をポイントにあげていました。ブランドと顧客のタッチポイントと、その後共有される経験が、今後のビジネスを決定すると言えるほど大きな意味を持っています。それらを意図したとおりに設計し、構築することが未来のマーケティングだと述べています。簡単に達成できるものではありませんが、少しでも理想に近づけるよう、努力していきたいものです。
– SEO Japan

ウェアラブルを巡る神話と誤解について

編集部注::本稿執筆者のHamid Farzanehは、現在SensoplexのCEOを務める。30年間にわたり、いくつかの上場・非上場企業を率いてきた経験を持つ。

ウェアラブルが人間の能力を拡張し、自分の身体に関するデータはいつでも確認可能となり、そしてさまざまなモノがネットで繋がるようになる。世界には無限のセンサーが溢れるようになる……

誰もがそんな話をしている。技術革新が次に何をもたらすのか、多くの人が興味を持ってみつめているところであるわけだ。もちろん単なる誇大妄想的なアイデアも数多くあることだろう。しかしたとえそうではあっても、30年間をシリコンバレーにて半導体やセンサーを扱ってきた筆者から見て、今がエキサイティングな時代であることは間違いない。

もちろん、エキサイティングであるので、すべてが興味深い、有益なデバイスであるということにはならない。マーケットは急速に拡大中ではあるが、マーケットから消えていくものの方が多いはずだ。センサーの性能は向上し続けているものの、しかしまるで的はずれな、つまらないエクスペリエンスを提供するウェアラブルもあるようだ。そうしたなかで、フィットネス系ウェアラブルを購入した人の40%が、1ヶ月ないし2ヶ月後にはデバイスを全く使わなくなってしまうのだという調査もあるそうだ。

ウェアラブルについては、まだまだ問題が山積みになっているというのが、現在の状況だ。

そのような中、思いつきやSF小説などに基づいて、ウェアラブルに対する期待ばかりが高まってしまっているということもある。これは不幸なことだ。これにより、参入のハードルが上がってしまったと考える企業も多いことだろう。あるいは、こうした期待感を逆手にとって、クラウドファンディングなどで期待ばかりを煽るプロダクトもある。期待に応えられるのなら良いのだが、中途半端なプロダクトを世に出して、ウェアラブルというジャンル全体についての期待を裏切ってしまうというようなこともあるようだ。ウェアラブルは確かに可能性に満ちている。しかし(だからこそ)現状をきちんと理解して、空想科学的な期待を抱かせないようにする努力も必要なのではないかと考える。

そのようなことを念頭に、本稿ではウェアラブルデバイスに纏わる「現実」について若干のメモを残しておこうと思う。ウェアラブルについてのミスリーディングを無くしたいという思いもある。

バッテリー問題

ハードウェアには根本的なルールがある。サイズが小さいほどエネルギー的には効率的になるという性質だ。但し、そのエネルギーを供給するバッテリー自体はその逆だ。サイズが大きいほど、多くのエネルギーを供給できる。さらに、ウェアラブルには新規性やセンサーの正確性が求められ、一層のパワーを必要とするようになってきている。このことがプロダクトのマーケティング部門やインダストリアル・デザインの担当者、ないしデバイスエンジニアにジレンマ(や、しばしば衝突)をもたらすことに繋がってしまっている。

現在のバッテリー技術のもとでは、加速度計に加えて何かのセンサーを搭載しようとするならば、少なくとも2、3日に1度は充電が必要となる。加えて、こうしたバッテリーはそれなりの大きさもあり、デバイス内に存在する貴重なスペースすら奪ってしまうことにもなっている。

ジャイロスコープに心拍計(LEDおよびフォトダイオードを使う)などのセンサーと、ディスプレイを備えたApple Watchのようなプロダクトの場合、毎日の充電も欠かせなくなる。もりろんAppleは、毎日の充電を必要とするデバイスが増えることは好ましくないと考えているようではある。いちいち線をつないで充電させていては、せっかくのプロダクトも使ってもらえなくなるかもしれない。そこでApple Watchについては非接触で充電できるようにし、きちんと持ち運んでもらえるようにと気を配っている。もちろん400ドル以上の価格や、ある意味でステータスシンボルにもなり得るデバイスであり、少々の手間があっても人々は持ち歩くのかもしれない。

電池の問題については、紙のように薄い「フィルムバッテリー」に期待している人も多いことだろう。しかしバッテリー容量は物理的な容積によって定まるのが現在の技術的状況であり、フィルムバッテリーがウェアラブルに革命をもたらすという状況は期待できない(少なくともMITの実験室レベルでなく、市場に出せるレベルでのブレイクスルーが必要だ)。

今のところ、歩数計以上の機能を求めるならば、毎日の充電が必要となるというレベルにある。

インビジブルなウェアラブル

ひと目を引かないことが、ウェアラブルプロダクトの成功条件であると指摘する人は多い。ひと目みただけで、何らかのウェアラブルを装着していると見えないことが大事だというわけだ。そうした考えに基づいて、入れ墨タイプ、印刷タイプ、スタンプサイズ、あるいは体内埋め込み型のセンサーないしデバイスなどが登場してきている。New York Timesでも、近未来に人体埋め込み型センサーが実用化する時代がくるのではないかという記事を掲載している。

ただ、センサーそのものでは何も成し得ないことも意識しておくべきだろう。センサーは小型化して、どのようなデバイスにも組み込み可能となりつつある。しかし、センサーはあくまでもデータを集めるだけの役割しかもたないのだ。そのデータを処理し、送信するためには何らかの仕組みが必要となるのだ。もちろん、その「処理」にもエネルギーが必要で、言うまでもなくデータの送信にも(数ミリ単位ならいざしらず)エネルギーを必要とする。加えて、データ送信前にはデータをどこかに保存しておいたりという機能も必要で、そこでも当然パワーを喰うことになる。

いかに小さかろうがデータ処理のためのプロセッサーやワイヤレスデータ送信モジュールを加えれば、その分、基板上のスペースを消費する。そして「目立たない」デバイスを作ることはますます困難になる。スマートウォッチの存在を知っていれば、誰もがスマートウォッチであろうとすぐにわかるようなものしか作れなくなる。期待される薄型デバイスには、十分な容量のバッテリーを搭載することなどできなくなってしまう。

フレキシブル画面や印刷タイプのセンサーというのは、確かにクールなものだと思う。しかしそうしたパーツを使った、インビジブルなウェアラブルは、まだ現実の期待に応えることはできていないのだ。

オルタナティブ・バッテリー

さらにバッテリーにフォーカスしよう。既存のバッテリーが十分な要求を満たしてくれないのであれば、他の手段を探してみるというのは自然な流れだ。たとえばソーラーパネルや、何らかの運動を電気に変える仕組み、ないし熱を使ったエネルギーについて検討が為されてきた。あるいは顎の動き(噛む動作)を用いてエネルギーを生み出そうという試みも為されている。

しかし、いずれの手法についても、現在のところは実用にはいたっていない。一般的な太陽光発電についてみても、必要な電力を生み出すためのサイズや、効率性の問題がまったく解決されていない(そもそもウェアラブルデバイスがどれほどの太陽光を受け取ることができるというのだ)。圧電素子を用いて顎の動きや腕の動き、ないし足の動きをエネルギーに変換しようといっても、やはり効率性の面で実用には至っていない。

温度変化による発電については、セ氏10度以上の温度変化がなければ、必要なエネルギーを生み出すことはできない。これは吹雪の中でビデオストリームを行おうという場合でしか考えられないような状況だ。

技術は確かに進化しているのだろう。しかし、ここ数年のうちに実用可能となるような技術は見当たらないのが実際のところだ。

mHealth(モバイル・ヘルス)に関する過剰な期待

ウェアラブルが進化することにより、血圧や血糖値を簡単に測定できる医療用デバイスにも注目が集まっている。

驚く人も多いと思うが、センサービジネスでは、こうしたmHealth分野が最も大きなマーケットとなってきている。たとえば血糖値の測定ということについていえば、年間100億ドルの市場規模をもつ。研究も進み、針を刺して調べることなく血糖値を示すこともできるようになってきている。肌に光を投射して、血流の状況などを把握することにより、各種データを取得することが可能となりつつある。確かにこうした技術は素晴らしいものだ。ただ、R&Dの進化にかかわらず、現在のところではFDAの基準を満たすようなデータを取得することはできないでいるのだ。

血中酸素濃度を測定したり、皮膚反応を測るようなデバイスは増加しつつある。しかし光学方式による血圧測定などについては、今のところまだ研究室レベルのものなのだ。既に一般的となりつつある心拍測定技術についても、まだまだ医療分野からのニーズには応えられずにいる。正確な測定を行うためには、さまざまなノイズを排除する必要があるが、既存のコンシューマーデバイスでは、いろいろな動きによるノイズを排除できずにいるのだ。そもそも手首の太さは人それぞれだし、またそれぞれの骨格により血管の通り方も異なり、そうした状況に市販デバイスで対応するのは非常に難しいことなのだ。

この分野における進化は誰もが望むところのものだ。しかし機械が進化を遂げても、既存の医療機器メーカーとの対立が予測される。そうした対立を超えて普及していくためには、まだまだ多くの時間を必要とすることだろう。

ファッションおよびワークアウト

そろそろ最後にしよう。ファッション面での動きについて見ておきたい。いろいろなファッションブランドがスマートリング、ネックレス、筋力センサー付きのシャツ、あるいはデジタルスクリーンを備えたドレスなどを、市場に提供しようとしている。こうした動きを「イノベーション」と呼ぶことは可能だろう。しかしファッションやジュエリー分野への進出には、思った以上の困難がある。

たとえば、宝石にせよ衣服にせよ、普通は2日続けて同じ物を身に纏うことはない。スマート機能搭載の無骨な指輪を毎日しようと思わない人は多いだろう。取り外し自在な衣服用センサーがあったところで、毎日新しい服に付け替えることに抵抗を感じる人も多いことだろう。すなわち、洋服やアクセサリーをスマート化しようとすることについては、克服しなければならない課題が数多く存在するのだ。

もっといえば衣服は洗濯する必要がある。現在のウェアラブルが主に対象としているワークアウト用の衣服については、とくにその必要性が高い。さらに、洗濯機と電子デバイスの相性は、おせじにも良いと言えないのが現状だ。寒い季節であっても手洗いを強いられることになるかもしれない。そうしたことを面倒だと思う人には、ウェアラブルはあり得ない選択となってしまうわけだ。

既に多くの有用なデバイスが登場しているし、また、これからも一層便利なウェアラブルが登場してくるはずだ。これまでには想像も出来なかったような技術をひっさげてデビューしてくるところも多いだろう。ただ、他の産業における場合と同様、R&Dにはお金も時間もかかる。

進化の真っ最中であるデバイスに夢を見るのは悪いことではない。但し、現在の技術からして不可能なことが存在することも、意識には留めておきたい。

Featured Image:Bryce Durbin

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(翻訳:Maeda, H


Webサミットで見た、未だに大きいスティーブ・ジョブズの影


今週ダブリンで行われたWeb Summitに参加していた私は、没後3年以上が過ぎた今も、われわれはAppleの共同ファウンダー、スティーブ・ジョブズに取り付かれていると思わずにいられなかった。当時の彼を知っていたり、ましてや彼とミーティングをしたことのある人がいれば、インタビュアーは必ずそれについて聞きたがる。

TechCrunchでさえ、ジョブズの未公開写真で追想にふけるくらいだ。ジョブズと何らかのつながりのある人には需要があるようだ。例えば、元Apple CEOのジョン・スカリー。彼は1983年、ジョブズに誘われてAppleに入ったことで有名だが、蜜月時代は短命に終り、失意のジョブズは会社を去り1985年にNeXT Computersを立ち上げた。スカリーはAppleに来る前、経営者として成功していた。彼は11年後に黒字のAppleを去り、その後20年間にも様々なことをしてきたが、それを知る機会はない。

誰もが知りたいのは、スティーブがどんな人間だったのか、そして彼がジョズブを会社から追い出したことだけだ(本人は反論しているが)。その事実から30年近くたった今も、人々はそれを話題にし、当時の社内政治を詳細に分析しては、何が起きたのかをスカリーに尋ねる。彼は関係によって有名であるわけで、奇妙な力が働いている。

しかし、ジョブズについて聞かれたのはスカリーだけではなかった。DropboxのDrew Houstonは、2009年に彼がジョブズと会った1度のミーティングこついて質問された。彼がこれについて話したのは初めてではなかった。常に聞かれていると言ってもよい。なぜか? それは、われわれがあの男の話を聞きたいからだ。Houstonにとって、自分の会社を買いたがっていた英雄とミーティングは、あらゆる意味で非現実的体験だった。しかし、彼は売るためにそこへ行ったのではなく、話は先に進まなかった。なぜならHoustonが今週Web Summitの壇上で話したように、会社を売りたくないなら、会社を売るためのミーティングには参加すべきではないからだ。買収話はそれで終ったが、5年後にわれわれは、Houstonがあの男と会話をしたというだけの理由で、今も話を聞きたがっている。

Web Summitの最終セッションで、U2のリードボーカル、ボノが、House of Cardsのプロデューサー、Dana Brunetti、SoundCloudの共同ファウンダー、Wahlforssと共にパネル討論に参加した。そこではもちろん多くの業界トークが交されたが、モデレーターを務めていたNew York TimesのDavid Carrは、ボノに7年前彼がジョブズとフランスで会った時の話を聞かずにはいられなかった。ジョブズに、iTunesはスプレットシートみたいだと言ったという有名な話だ。ボノは、あれほどデザインにこだわっていたジョブズが、iTunesをもっと美しくしなかったことに驚いていた。正直なところ私に言わせれば、iTunesのルックスは数ある問題の中で最も小さなものだが、とにかく彼はジョブズと直接顔を合わせているので、世界はそれについて聞きたかったのである。

ジョブズは3年以上前に死んだが、IT業界に対する彼の影響は今後も長く続くに違いない。そしてWeb Summitが何かの兆候であるなら、この業界に多大なインパクトを与えた男に関する話を聞きたいというわれわれの欲求もまた、続くに違いない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Macが合衆国のPC市場で過去最高のマーケットシェアを達成

調査会社IDCによると、AppleのMacの合衆国におけるマーケットシェアは2014暦年の第三四半期でこれまでの最高を記録した。IDCが各四半期に発表するPCの市場動向調査によると、合衆国におけるApple MacのQ3の売上台数は234万台、マーケットシェアは13.4%となり、HP、Dellに次ぐ3位だった。これはAppleがPC市場でこれまでに達成した最大のマーケットシェアで、調査にはiPadなどのタブレットは含まれていない。

Macのマーケットシェアは前年同期2013Q3では12.9%、台数は207万台だった。合衆国の上位5位までのベンダは全員アップし、AcerとDellは成長率も上がったが、そのほかのベンダの計では売上は22.6%の減となった。全体では合衆国の市場は4.5%の増となり、マーケットリーダーたちがその他大勢の減少をカバーした形になっている。

グローバルベースではAppleの2014Q3のシェアは前年同期比で20.5%の成長、販売台数は551万台だった。それは全台数の6.9%で、全PCメーカー中、5位である。2013Q3のシェアは5.7%だった。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GoogleのDartプログラミング言語がやっとApp Engineでサポートへ

Googleの今年のI/Oデベロッパカンファレンスで、DartプログラミングをApp Engineでサポートする、という計画があまり目立たぬ形で発表された。そして、意外と長く待たされたあげく、今日(米国時間11/7)からやっと、Dartで書いたサーバアプリケーションをGoogle App EngineのManaged VMs(管理サービス付き仮想マシン)で動かせるようになった。

Dartは、Googleの“モアベターな”JavaScriptだとよく言われるように、基本的にはブラウザ上で実行されるクライアント言語だ。でもDartを発明したLars BakとKasper LundがI/Oのときに語ったところによると、Dartはあくまでも汎用言語として作ったのである、ということだ。

Dockerを利用してGoogle Compute EngineでDartを展開することは、すでに行われていた。でもデベロッパにとって機能が多いのはApp Engineの方だ。GoogleのData Store、キャッシングサービス、モニタリング、ロギングなどのツールが使える。デベロッパがやることは、アプリケーションを(たとえばDart言語で)書いてアップロードするだけ。あとはApp Engineがスケーリングやデータのストレージなどの面倒を見てくれる。トラフィックが急増すれば、自動的にスケーリングをやってくれるのだ。

Googleは、App EngineにおけるDartのサポートを、今後も続ける、改良していくと言っているから、たとえばApp EngineのもっといろいろなAPIがサポートされるのだろう。

この新たなサービスは今のところベータで、詳しい情報はここにある。

 

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がれきの中に生存者を見つける昆虫ロボットは微細な音を捉えるマイクロフォンを装備

昆虫型ロボットはときどき登場するが、今度のは本物の虫がオーディオセンサを搭載している。ノースカロライナ州立大学のAlper Bozkurt博士とMatt Shipmanは、小さな回路基板を生きたゴキブリに乗せ(載せ)、リード線を虫の脳に接続した。基板が脳に特殊な音を送ることにより、ゴキブリは右や左に曲がる。こうして虫は、リモートコントロールできるバイオロボットになる。

この不気味な軍団には二種類の虫がいる。ドローンとセンサだ。ドローンはリモートで受信した信号に基づいて右や左へ動き、センサはドローンに、聞こえる音の方向を教える。そして多数の虫を、たとえば瓦礫(がれき)の中へ送り込むと、センサが音を捉える。そして音が聞こえたら、ドローンたちが救出隊に知らせる。その虫を、食べてもよいかもしれない〔ジョーク〕。

電気工学と計算機工学の助教授Alper Bozkurt博士によると、“崩壊した建物の中では音が生存者を見つける最良の方法だ”。彼はこの救急ゴキロボに関する論文を、すでに二つ書いていて、その特徴は動きを制御する電子回路のバックパックを背負っていることだ。彼の研究チームが作った二つのタイプの特製バックパックは、どちらもマイクロフォンを装備している。そのうちの一つは、微細な音をとらえてワイヤレスでレスポンダへ送る。

また、虫たちの動きをコントロールすることによって、実質的に彼らの活動範囲を救助領域に限定できる。彼らの活動時間を長くするために太陽光発電セルを使うことも、試行中だ。

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世界中の無防備なWebカメラを見せるInsecam…パスワードに無関心なアドミンが多い

Insecamというおかしなサイトが、世界中の無防備なWebカメラ73000台を表示できる、と豪語している。その多くはCCTVやシンプルなIPカメラだが、それらに共通しているのは、一般的にアクセス可能なネットワークポートへストリーミングされていることと、デフォルトのパスワードをそのまま使っていることだ。だから誰でも、Webをクロールするロボットなどを使って、単純に”admin/admin”とタイプし、そのストリームにアクセスできる。

このサイトはカメラを機種と位置で分類しているが、カメラの多くは標準的なIPベースのカメラ(またはカメラ列)で、FoscamやPanasonicなどメジャーなメーカーの製品だ。このような“すきのある”カメラのリストは何年も前からあるが、このサイトはMotherboardが記事で取り上げたために、世界中に知られることになった。

このサイトで今、何が見えるのか? 大したものはなさそうだ。世界的に有名になってしまったために、多くのフィードが停止したのだろう。しかしNetworkWorldによると、Foscamのカメラはその多くが赤ちゃんカメラとして使われ、親たちに安心感を与えている。サイトのフロントページからのリンクで、ライブのカメラをいろいろ見ることはできるが、今は多くのストリームが死んでいる。

このサービスをロシアから提供しているらしい匿名のアドミンは、こう書いている:

“ときどき管理者は(たぶんあなたも)、監視システムやオンラインカメラやDVRなどの、’admin:admin’や’admin:12345’のようなデフォルトのパスワードを変えることを忘れる。そういうカメラは、実質的に世界中に一般公開されているのと同じだ。世界中のカフェやお店やモール、工場、そして寝室などに、何千というそんなカメラがある。カメラを閲覧するためには、国や機種を指定するだけだ。このサイトを作ったのは、セキュリティのための設定の重要性を、知らしめるためだ。あなたのカメラをこのサイトから消すためには、パスワードを変えてそれを非公開にするだけでよい。

わざわざ弱いパスワードを使ってWebカメラを一般公開でストリーミングする理由は、どこにもない。ITの連中は、8台のCCTVをセットアップする時、標準の”admin/12345″で楽をしたいと考えるかもしれないが、その怠慢に付け入るのは簡単だ。公開データにアクセスしても犯罪ではないから、プライバシーを守りたかったら、カメラのマニュアルをちゃんと読んで、まともなパスワードを使おう。

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Codecademyがそのほかのプログラミング教育サービスと共同で雇用促進事業ReskillUSAを立ち上げ

Codecademyは、プログラミングを勉強して次の求職活動を有利に運ぼう、というサイトだが、このほど同社は、ThinkfulThe Flatiron SchoolDev Bootcampなど、同社と同じようなプログラミング学習サービスと組んで、ReskillUSAと呼ばれる、もっと幅広い取り組みを開始した。

そのWebサイトにも書かれているように、ReskillUSAの目標は“技術教育と雇用とのあいだのギャップを填める”ことだ。

Codecademyの協同ファウンダでCEOのZach Sims(上図)によると、このサイトの対象層は主に二つある。ひとつは、今失業または低賃金職にあって自分の技術的スキルを向上させたいと考えている人たち。SimsによるとReskillUSAには、そこ一箇所にこれまでに登場した優秀な教育プロバイダが集まっているので、ユーザはより良い雇用への道を確実に築くことができる。

彼によると、複数のプログラミング教育サービスが協力することによって、そこの‘卒業者’に対する求人側の好印象が形成され、大学でコンピュータ科学の学士号を取っていない人でも前向きに検討してもらえる。

“一緒に組むことによって、この新しい形の教育への世間の、そして求人側の、認知度を高めたいのだ”、とSimsは言う。そこでReskillUSAの第二のターゲットは、一般世間、とりわけ求人市場だ。

つまり、今や彼らは、教育の傍流と見られることから卒業して、これまでのメジャーな教育(大学など)と肩を並べたいのだ。しかもReskillUSAは、一社の活動ではなく、有力なネット教育サービスの集合体だ。Simsによるとこの取り組みは、ホワイトハウスとの会話から生まれた。中でもとくに、合衆国のCTO(元Google)Megan Smithが、教育とスキル(職業技能)とのギャップについて述べたことがきっかけだ。なお、ホワイトハウスはこの事業に関与してはいない。

今のところReskillUSAは、参加している教育サービスの総合案内所だ。それらのコースをオンラインとオフラインに分類し、教科内容や授業料、履修期間などを紹介している。オフラインの教育サービスは、シカゴとデトロイトとロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、サンフランシスコをカバーしている。今後はたとえば補習のための共同コースなんかも提供するのか、とSimsに尋ねると、“もちろん”という答が返ってきた。“今はまだ、始まったばかりだからね”。

Codecademyはこのほか、GoogleやDonorsChooseと組んで、コンピュータ科学への女性の関心を喚起する取り組みも開始している。

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ネット上に常設の何でも鑑定団Gemrが$4.9Mを調達(コンピュータが鑑定人)

子どものころはいろんなものを集めていたけど、あるとき、同じものや似たものだけでまとめたら、それらが“がらくた”から“蒐集品”(コレクション)に変わることを知った。私は、ヴィンテージのカメラや、ユニコーンのフィギュア、Blythe dollwashi tape、自分が“Mad Men”のキャラクタになれるジュエリーなどなど、雑多なものを集めていた。私もほかの人たちと同じく、EtsyやeBayやもっと小さなストアで掘り出し物を見つけ、オンラインのフォーラムで同好の士に出会った。そうやってインターネットをサーフィンすることは十分役に立ったが、でもスタートアップのGemrは、求めるアイテムや仲間を、一箇所で簡単に見つけられるようにしたい、と考えている。

Gemrは今現在iOSアプリのベータのみで、Webサイトも今作り中だが、シリーズAで490万ドルを調達した。同社は独自の技術を使って、蒐集品の発見と値付けを助ける。今回の投資家はJames B. Hawkes(Eaton Vance Corp.の元会長でCEO)と協同ファウンダのGary Sullivanだ。SullivanはPBSの“Antique Roadshow”の鑑定人でもある。資金はiOSとAndroidアプリの完成と、Webアプリケーションの構築、そして全国マーケティングの展開に充てられる。

このアプリに登場するアイテムはeBayやEtsyにあるものと同じで、ヴィンテージのジュエリーや漫画の古書、家庭用品、などなどだ。いろんなものの蒐集家がそこにコミュニティ(同好の士の集まり)を作るためのプラットホームで、出されたアイテムは同社独自のCrowdScoreと呼ばれるアルゴリズムで値付けされる。そして売り手と買い手はリアルタイムで、ポストしたものの評価額を知ることができる。

ニューハンプシャー州のポーツマスで2013年に創業されたGemrはアプリとオンラインコミュニティをベータテスト中で、ローンチは2015年初めの予定だ。そのユーザベースとしては、1億人が見ていると言われるテレビの人気番組“Antiques Roadshow”や“American Pickers”の視聴者を想定している。

“これまでの蒐集家はいろんなWebサイトを飛び回ってアイテムを管理していた。売買ならeBay、コミュニケーションならFacebook、欲しいものを見つけるならPinterestとか。でも、一箇所で何でもできるところが、なかった。Gemrが、その問題を解決する”、とファウンダでCEOのTerry Andertonが、資金調達の声明文の中で言っている。

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ニーズに合った最適のクラウドサービスを見つけてくれるCloudScreenerが€600Kを調達

アプリケーションを、どのクラウドでホストすべきだろうか? クラウドは新規参入企業が日に日に多く、既存のサービスは次々と新しい機能を提供、しかも料金がころころ変わるから、この疑問に答えるのは難しい。そこでCloudScreenerは、あなたのニーズに関する二つの質問に答えるだけで、最適のクラウドプロバイダを見つけてくれる。そのために同社は、各クラウドサービスのパフォーマンスデータを集め、彼らの適性リストを作っている。

ユーザがホストしたいのはWebサイトか、ビジネスアプリケーションか、それともデータかに応じて、CloudScreenerは最適クラウドを見つけるための三つのウィザードを提供する。たとえば、ビジネスアプリケーションをホストする場所を探しているなら、利用者数やオペレーティングシステム、ユーザの所在、予算などをCloudScreenerに教える。すると、各サービスの適性やパフォーマンスや機能集合に100店満点で点をつけたリストが返ってくる。

このサービスは、料金に関しては毎日各サービスをスキャンしている。またパフォーマンスに関しては、各サービスのいろんなインスタンスに対して、6時間ごとに同社特性のベンチマークを動かす。そうすると、ライト/リードのスピードや、ネットワークのパフォーマンスとレイテンシ、CPUとメモリのパフォーマンスなどが分かる。ネットワークデータに関しては、CloudScreenerはCedexisとパートナーしている。

CloudScreenerはAnthony SollingerとNicolas Drouetの二人がパリで作った会社だが、Sollingerが今日のOpenStack Summitで語ったところによると、今現在同社は15のクラウドサービスをスキャンしている。今後はもっと増やしたいが、今のところはメジャーでグローバルな選手たちのみだ。

今後については、もっと細かい調査項目を加えた有料サービスを立ちあげたい、という。それはたとえば、コアの数やRAMの容量など、インフラの特性が詳細に分かる情報サービスだ。

資金はこれまで、60万ユーロをフランスのエンジェルたちから獲得している。その資金をもとに、マーケティングを含む陣容の拡大と、合衆国への進出を図りたい、と同社は構想している。

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