フォックスコンからの出資も受けたLightのミニマリスト向け携帯の新機種が350ドルで登場

Light Phoneとその後継機について議論するとき、なんとか割り切らなければならない、やっかいなジレンマがある。私たちがテクノロジーから足を洗えるようにするという明確な目的で開発されたテクノロジーは、本質的に皮肉を含んでいるということ。しかし今は2019年なのだから、そのような内在する皮肉があるのは当然のことだろう。

Lightには、間違いなくそれなりのサポーターがいる。同社の発表によれば、新製品Light Phone IIを、Indiegogoの出資者に向けて出荷し始め、サイト直販でも350ドル(約3万7400円)で予約注文の受け付けを開始した。さらに、今回初めて、これまでに受けた出資についても明らかにした。この記事の執筆時点で、同社は1230万ドル(約13億1487万円)を調達しているという。

もちろん、クラウドファンディングによる資金調達は周知の事実だった。最初の製品は、Kickstarterで堅実に40万ドル(約4280万円)の資金を調達した。2番目の製品は、Indiegogoによるキャンペーンで先行予約を重視し、それをはるかに上回る350万ドル(約3億7415万円)の売り上げを確保した。その際、いくつかのVCも行動を起こしていたことが判明した。シード段階で840万ドル(約8億9796億円)を調達していたのだ。Hinge Capital、Bullish、White Bay Group、Able Partners、Product Co-Op、HAXなどが、資金を寄せ合っていた。しかし、リーダーとなっていたのは、さらに興味深い会社だった。

最大の投資をしたのは、Foxconn(フォックスコン)だったのだ。この製造大手は、当然のこととして、Lightの携帯電話の開発を手助けし、現状のオンライン販売だけでなく、Lightが小売チャンネルにも販路を拡大できるよう、補佐している。

「彼らには、2、30年にわたって、スマートフォンを開発してきた経験があります」と、Lightの共同創立者であるKaiwei Tang(カイウェイ・タン)氏はTechCrunchに語った。「彼らに見せた最初のLight Phoneは、シンプルな音声通話のみのデバイスでした。それについて説明した後、セールス担当の副社長にこう言われました。『やあKai、そのLight Phone、今すぐ欲しいよ。僕の人生はスマホのせいでめちゃくちゃになっている。もう子供にも話しかけてもらえないんだ』とね」。

他のいくつかの有名なエンジェル投資家も、同じように、そのシンプルなデバイスという考え方に惹きつけられた。本当に必要な機能だけを提供して、ユーザーのスマホ依存を解消することができるかもしれないと。LyftのJohn Zimmer(ジョン・ジマー)氏、Michael Mignano(マイケル・ミニャーノ)氏、AnchorのNir Zicherman(ニール・ジッチャーマン)氏(Anchor)、MomentのTim Kendall(ティム・ケンドール)、AdobeのScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏などが、こぞって出資したのだ。

オリジナルのLight Phoneと同様、この新しいバージョンも、その開発者に、ある種の内包されたパラドックスを突きつける。基本のアイデアが、携帯電話としてのコアな機能以外を取り除くというものである以上、いくつかの新機能を追加した第2段を導入するというのは、ある意味逆行なのではないかということ。

新しいモデルには、ライドシェア(パートナーについては未発表)、音楽再生(おそらく最初は内蔵ストレージの音楽ファイル再生のみ)、道案内、紛失したデバイスの発見、といった機能が追加されている。とはいえ、こうした機能も、E Inkを採用したディスプレイによる制限を受ける。電話機能そのものは、2GからLTEに飛び級で移行した。ユーザーは、AT&T、Verizon、あるいはT-MobileのSIMを利用できる。

「たとえ話で表現すれば、1つのことだけがうまくできる、美しいデザインのネジ回しを提供するのです」とタン氏は言う。「E Inkの画面を採用し、サイズも小さいLight Phoneには、ユーザーにとって明らかに制約があります。もちろん、ユーザーにビデオを再生したり、映画を観たりすることは勧めません。しかし、電話をかけたり、タクシーを拾ったり、音楽を聴いたり(ちなみに、ヘッドフォンジャッン内蔵だ!)、音声メモを録音したりするのにはぴったりです。また将来的には、リマインダー付きのカレンダー機能も加わるでしょう。みんなシンプルなツールです。それが明確な目標なのです」。

Light Phone IIは、私がTechCrunchでレビューした製品の中で、おそらく最も見栄えのしないものだろう。小さいくせに厚みはあって、電子書籍リーダーを、実際には本が読めないくらいまで縮めたような感じだ。毎回何時間もスマホを使うような人にとっては、そこから開放してくれるのではないかと期待させるだけの、十分な機能を備えている。

Lightによれば、これまでに「数万台」のユニットを販売したという。第1世代については、すでに1万5000台を出荷し、まだ出荷していない予約分を含めて、なんとか4万台近くまでは届いている。同社は、こうしたユーザーをLight Phone IIに移行させたいと考えている。ちなみに、この第2世代のデバイスには、現在およそ1万件の予約注文がある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米CDCが電子たばこの使用を控えるよう警告、関連が疑われる肺疾患が増加

電子たばこが原因とみられる肺疾患が広がる中、CDC(米国疾病予防管理センター)は、原因調査が行われている間、電子たばこ製品を控えるよう警告した。メディアブリーフィングで当局は、約450人が罹患したとみられ、少なくとも5人が死亡したと述べた。

本件を担当するCDCのインシデントマネージャーDana Meaney Delman(ダナ・ミーニー・デルマン)氏は、次のように状況を要約した。

CDC、州、および他の関係者が鋭意調査中だが、これまで決定的な原因は特定されていない。すべてのケースに関連が認められる特定の電子たばこの機器または物質があるわけではなく、また電子たばこにはさまざまな化学物質や添加物が含まれている。これらの製品に何が含まれているのか、消費者が知っているとは限らない。

これまでの臨床的および実験的証拠に基づき、化学物質への暴露がこれらの病気に関連している可能性が高いとみている。しかし、強調しておきたいのは、どの製品または物質が関係しているか判断するには、もっと多くの情報が必要だということだ。

9月第1週初めにあったいくつかの報告では、蒸気にする過程で生成されるビタミン複合体の副産物であるビタミンEアセテートが原因である可能性を示唆した。デルマン氏はその見方に慎重であり、その関連性を指摘した複数の研究施設と連絡を取り合っているが、まだ何も特定されていないと述べた。

しかし、注目に値する傾向の1つは、ニコチン製品のみが関わっているケースはほとんどないということだ。疾患に苦しんでいるユーザーのほとんどは(大麻に含まれる有害成分である)、THC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール)を単独で、またはニコチンと一緒に使用していたとの報告がある。ただし、症状には多くの要因が関係している可能性があるため、様々な報告を鵜呑みにしないほうがいい。

最初の死亡例は8月下旬にインディアナ州で報告された。イリノイ州、ミネソタ州、カリフォルニア州、オレゴン州でも、疑わしい症例における死亡が報告されているとワシントン・ポストが報じた。一方CDCは、3件の死亡例を確認し、また1件の症例は調査中であるとコメントした。症例の報告数は急増しているが、これは疾患そのものが急激に増えたのではなく、州の保健当局と病院からより精度の高い情報が報告されるようになった結果である可能性が高い。

当局からの勧告はただ1つ、電子たばこと専用喫煙具の使用、特に改造した喫煙具や自家製の原料を避けることだ。専用喫煙具の内部でどのような化学物質が生成されるのか現在まだ解明されておらず、有毒物質が含まれている可能性がある。

調査が行われている間、各個人が電子たばこの使用中止を検討するようCDCから勧告する。現在のところ、それがこのタイプの重度の肺疾患を予防する主要な手段だからだ。そしてもちろん、電子たばこの使用は、青少年、若い成人、妊婦にとって決して安全ではない。

電子たばこ製品を使用する人は、自身の症状(咳、息切れ、胸痛、吐き気、嘔吐など)に注意し、健康上の懸念がある場合は直ちに医師の診察を受ける必要がある。進行中の調査に関係なく、電子たばこ製品を使用する人は、製品を路上で購入したり、電子たばこ製品を改造したり、メーカーが想定していない物質を加えるべきではない。

CDCは、この疾病の原因を特定するために多数の州当局およびFDAと協力しており、最初の53症例に関する詳細な調査報告を医学誌のThe New England Journal of Medicineに近々公開する。この報告は、医師その他の医療従事者にとって有用なものになるはずだ。医師らが直面する症例が電子たばこに起因する肺症状なのかどうか、判断する助けになるだろう。

ノースカロライナ州のウェイクメッド病院のDaniel Fox(ダニエル・フォックス)氏は、診察した症状が「リポイド肺炎」であるとの初期的診断を示した。

我々が診察した症例から報告したいのは、本日報告される予定の5つの症例だ。これらの各症例は、比較的若い人の肺疾患であるという特徴がある。ここノースカロライナでみた症例における患者の年齢は18歳から35歳だった。患者の症状は息切れや発熱に加え、吐き気や嘔吐の消化管症状がみられた。

すべてのケースに共通して発見されたこととして、患者が電子たばこ喫煙具で蒸気にした物質を使用していたことが挙げられる。胸部X線検査で異常が認められ、大量の酸素も必要になった。

すべての患者について臨床的な検討を行い、その結果、特定の非感染性肺炎が認められた。リポイド肺炎と呼ばれるものだ。基本的にリポイド肺炎は、脂質を含む物質または油のいずれかが肺に入ったときに発症することがある。

これは、ビタミンEアセテート仮説と一致する。ビタミンEアセテートは油性であり、蒸気と混合されて肺に入り滞留する可能性がある。医師や専門家に電話したが、誰も正式に関連があるとはコメントしなかった。

一部の患者は気管支炎またはウイルス感染症と誤診された。あなたや知人の体調が悪く、かつ電子たばこ製品を頻繁に使用している場合は、診察の際に電子たばこを使用していると伝える価値はある。

デルマン氏は、できることはすべて行っていると強調して、ブリーフィングを締めくくった。

CDC、FDA、州、および臨床関係者が懸命に働いて、病気の原因究明に取り組んでいることを理解してほしい。我々は、分かっていることと分かっていないことを公表し続け、医療部門、臨床医、人々がこの深刻な状況に対応できるよう支援していく。

自身の健康や、電子たばこ製品を使用しているあなたの愛する人の健康が心配な場合は、医療機関または地元のポイズンコントロールセンター(1-800-222-1222)に問い合わせを。

画像クレジット:Rapeepong Puttakumwong / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

伊藤穰一氏がMITメディアラボの所長を辞任、資金調達の不正処理で

MITの理事長L.Rafael Reif(L・ラファエル・ライフ)氏の声明によると、今論争のさなかにあるM.I.T.Media Lab(MITメディアラボ)の所長である伊藤穰一氏が辞任した。このニュースを最初に報じたThe New York Timesは、伊藤氏が学長のMartin A. Schmidt(マーティン・A・シュミット)氏に送ったメールのコピーを入手した。

今や元所長になった伊藤氏のメールには「この件については何日も何週間も熟考してきましたが、今では、私が本学のメディアラボの所長職と教授職および職員を今ただちに辞任することが最良と考えています」と書かれていた。

上記ライフ氏の声明には、伊藤氏が本学の教授職を辞任したことも明言されている。

メールが言及している「この件」とは、伊藤氏のJeffrey Epstein(ジェフリー・エプスタイン)との関わりが報道されたことだ。未成年者を性的につけ狙ったとして逮捕されたこの富豪投資家は、収監から1カ月後の8月10日に拘置所で首つり自殺した

この不名誉な億万長者と関係があるとされる著名人や有力な人物は何人もいたが、彼の逮捕後にはそれらの人々にも報道機関が注目。そしてその中に伊藤氏の名前もあった。それらの記事には、MITメディアラボと伊藤氏個人がエプスタインから資金を受け取ったとあり、それについて彼は8月15日の書簡で謝罪した

しかしさらにその後、The New YorkerのRonan Farrow(ロマン・ファロー)氏の記事が、伊藤氏とエプスタインはもっと深い仲だった、とすっぱ抜いてから、嫌疑は一晩で濃くなった。ファロー氏が見つけたメールや文書によると、伊藤氏とメディアラボの開発部長であるPeter Cohen(ピーター・コーエン)氏の二人が協力して、MITの資金調達中央事務局からエプスタインの寄与貢献を隠し、それらを匿名の寄付にしたり、彼の名前を開示文書から消したりした。

伊藤氏は、これまでずっとエプスタインとの関係をめぐる事実は正しく報道されていない、と言い張っていた。Timesへのメールで同氏は、New Yorkerの記事は「事実に関する間違いが多い」と言っている。

MITの理事長であるライフ氏は本日の声明でFarrowの記事について「その記事に書かれている非難は極めて重大なので、緊急かつ徹底的な、そして独立の調査を要する。今朝私はMITの法務部に優秀な法律事務所と契約してこの調査の計画と実施をしてもらうように求めた。その検証作業は迅速に行われてほしいし、また、報告書が私とMITの統治機関であるExecutive Committee of the MIT Corporationに渡されることを望んでいる」とコメントしていた。

MITメディアラボは高名な研究機関であり、科学とテクノロジーとイノベーションに長年貢献してきた。Ito氏に代わる者の名は、まだ挙がっていない。

伊藤氏は、The New York Times Companyの取締役でもある。彼はこの取締役会で、監査委員を務めている。

以下は、伊藤氏が10年あまり前に書いた、資金調達に関する不朽の名言だ。

関連記事:After Epstein, it’s time for the Valley to find a moral view on capital(資本にもモラルが必要だ、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アリババ子会社UCWebがインドでeコマース事業を開始する計画

中国のIT大手アリババグループの子会社、UCWebは、今後数カ月のうちにインドでeコマース事業を開始する予定だ。

TechCrunchに宛てた声明の中でUCWebの広報は、インドのコンテンツプラットフォームに関連するeコマース事業を構築する計画だと述べた。インドの既存のeコマース企業と競合する意図はなく、アリババグループはこの事業の開発を監督していないと付け加えた。

UCWebは人気のモバイルブラウザ「UC Browser」で知られている。同社は「インドにおける広範囲のユーザーコミュニティ」を活用してeコマース事業を構築するという。広報は「新しいサービスは、ユーザーとクライアントの双方の体験を豊かにするという当社の戦略に沿ったものだ」と述べている。

UC Browserは世界中で4億3000万人以上に使われている。インドには1億3000万人以上のユーザーがいて、このアプリの重要な市場のひとつだ。第三者の調査会社であるStatCounterによると、UC Browserはインドのモバイルブラウザ市場で23%以上のシェアを獲得し、Google Chromeに次ぐ位置につけている。なお近年、Google Chromeは63%にまでシェアを伸ばしている。

アプリの調査会社であるSensorTowerによると、UC BrowserはGoogle Playストアからのダウンロード数が現在もインドのトップ15に入っている。

近年、UCWebはUC Browserを強化してモバイルブラウジングにとどまらない製品へと成長させている。現在、12万人以上のブロガーおよび700社以上のメディアと連携してコンテンツを制作し、UC Browserのユーザーに提供している。

最近では、UCWebはウェブからビデオをダウンロードしたいユーザーのためのアプリをいくつもリリースしている。このような機能を提供するUCWebのアプリ「Vmate」は、親会社のアリババから1億ドル(約107億円)のコミットメントを得ている。

9月5日にインドで開催されたアリババのイベントの際、UCWeb Global BusinessのバイスプレジデントでありHuaiyuan Yang(ホワイエン・ヤン)氏は通信社のPTIに対し、同社がこれから展開するeコマース事業では既存のプレイヤーと協力するつもりであると述べた。アリババは、インドで電子決済とeコマースを手がけるPaytmの約30%を所有している。

ヤン氏はPTIに対し「我々にはアリババのeコマースの遺伝子がある。我々はまさに革新的なeコマースのビジネスモデルを始めようとしている」と述べた。

画像:VCG/VCG / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

eコマース向けフルフィルメントサービス提供のHubooが1.3億万円調達

さまざまな規模のeコマース向けフルフィルメントサービス(商品の注文から配送までの業務)を提供する英国のスタートアップであるHuboo(ハブー)が、シードラウンドで100万ポンド(約1億3000万円)を調達した。本ラウンドの大半を支えたのはロンドンのベンチャーキャピタルのEpisode 1で、そのほかに多くの個人投資家も参加した。

Hubooは、Martin Bysh(マーティン・バイシュ)氏とPaul Dodd(ポール・ドッド)氏が2017年11月に創業したが、2人は創業前にeコマースビジネスに関して研究を重ねた。Hubooは、オンラインストアのほとんどが直面するフルフィルメントに関する問題の解決を目指している。このサービスは、オンラインストアの在庫を保管し、彼らの顧客からの注文に応じて自動的に商品選別、梱包、そして配送まで行う。

狙いは、オンラインストアがフルフィルメントをアウトソーシングすることにより、自社のビジネスにとって最も付加価値の高い部分である開発・販売すべき商品の選択や顧客サービスなどに集中できるというものだ。

Hubooの創業者らによると、大規模なeコマースストアを除いてこの分野のニーズはまったく満たされていない。ほとんどのフルフィルメントプロバイダーは高額で、中小企業向けサービスに関心がない。別の選択肢として唯一考えられるのは、Amazonの「フルフィルメント・バイ・アマゾン」だ、と彼らは言う。しかし、このサービスはAmazonから値引きが受けられるものの、Amazonで商品を販売する場合にのみ利用可能だ。

「eコマースの研究をしている時に苦痛だったのは、郵便局で箱を梱包して行列に並ぶことだった。そういうことを自分でやっていると、毎日何時間も無駄にしてしまう。どうしても自分でやらなければならないなら、eコマース研究プロジェクト自体を終わりにしようと思った」 とバイシュ氏は言う。

「こういったフルフィルメントに関する問題というのは、世の中では幸いにも解決済みの問題だと我々は思っていた。しかし、いくつかのフルフィルメントプロバイダーに電話してみると、彼らが我々のビジネスに関心がないことがわかった。我々が扱っていた商品は安すぎたし、ボリュームも少なすぎた。彼らはテクノロジーに詳しくなく、多くはサードパーティの倉庫管理ソフトウェアを使ってビジネスを行っていた。(中小企業のフルフィルメントサービスに対するニーズはあったが散在していて)市場がほとんど形成されていなかった」。

2人は方向性を変えることにした。eコマースそのもののビジネスチャンスを探すのはやめた。代わりにeコマースの研究で得たヒントを足掛かりに、「従来のフルフィルメントの収益性に関する常識を打ち砕く」方法を見つけることにした。上手くいけば、バイシュ氏が「まだ競争がほとんどなく、しかも数千億円規模に上る」とみるこの業界の大部分のシェアが手に入るはずだ。

「調査した結果、おおむね競争がないと言えるフルフィルメント業界の規模は、英国だけでも約10億ポンド(約1300億円)はあると判断した」とバイシュ氏は言う。

重要なのは柔軟なシステムを作ることだった。それは、販売する商品の種類や量、また、新規販売か再販かに関係なく、サービスがうまく機能する柔軟性だ。「我々の顧客には1日に2、3アイテムしか出荷しない業者もいれば、数千アイテムを出荷する業者もいる。アイテムの価格も数ポンドから数百ポンドにわたる」とバイシュ氏は説明する。

Hubooが扱っている商品は多様で、ビタミン材、CBDオイル、ヘッドフォン、ビンゴチケット、電子バグパイプ、アンティーク、コーヒー、電子機器、衣服(新品または古着)、美容品などだ。顧客には、スタートアップ、サブスクリプションビジネス、個人でニッチな品物やブティック品を販売する業者がいる。

バイシュ氏によると、フルフィルメント業界の中でもこのタイプのビジネスは、カスタマイズされたテクノロジーとアルゴリズムの組み合わせによって可能になる。その組み合わせが「プロセスを圧倒的に最適化」する。Hubooの顧客は、SaaSそのものの機能のみならず、オンボーディングなどのサポートも受けながら管理コストを削減することができる。

しかし、テクノロジーによって最適化したプロセスだけが売りではない。Hubooが顧客に提供する価値には、もっとシンプルな要素も貢献している。その1つが、同社が倉庫管理のために設計したモジュラーアプローチで、顧客にはハブと呼ばれる顧客別の倉庫内専用スペースと、顧客のビジネスを理解しているハブマネージャーが割り当てられる。

収益モデルという点では、Hubooは自社の利益と販売業者の利益を一致させようとしている。同社は、倉庫に新しく入ってくるすべての商品について、2カ月間は保管料を取らない。したがって、商品が滞留しなければ、販売業者は保管料を払う必要がない。

「販売業者が商品を売る際に、我々の作業が発生する。すなわち、販売業者が我々に支払うのは、主に収益を上げる時だ。我々は収益の80%をそのように得ている」とバイシュ氏は説明する。

また、Hubooは、管理業務を対象とするサブスクリプションサービスや梱包などのオプションサービスも小さい割合ながら収益源としている。オプションサービスは、今年末までに予定している「Hubstore」立ち上げに伴って伸びると見込む。Hubstoreでは、アップグレードとカスタマイズがワンクリックで行えるほか、新規販売チャネルの開拓と売上増加を支援するサービスなども提供する予定だ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Uberが一部の運転手に小規模ローン調査、独自の金融商品開発か

6月にUberは、ニューヨークで大規模な採用活動を実施し、少なくとも100人の金融技術関連の技術者を雇用した。表面上は、銀行などを含むユーザーやドライバーのロイヤルティとエンゲージメントを高めるための製品開発を検討していると言われているが、憶測も飛び交っている。Recode/Voxのレポートによると、現在Uberは運転手に直接ローンを提供することで、このような金融商品を開発するための第一歩を踏み出しているようだ。

この記事は、「新しい金融商品」に関するアプリ内での調査依頼が一部のドライバーに送られたことに基づいている。この調査はその後、ドライバーの過去3年間の融資額が1000ドル以下であるかどうかを問う内容となった。「どのくらいの金額を要求する可能性が高いですか?」と尋ねた後、「100ドル以下で」「100ドルから250ドルの間で」「250ドルから500ドル」「500ドル以上です」の中から最上位の選択肢を与えた。

現時点では、運転手への少額ローン商品提供のタイミングは示されておらず、Uberはこの調査の存在について公式にコメントしていない。

しかし、Uberはすでにこの分野で存在感を示している。同社はカリフォルニア州とミシガン州のドライバーに前払いプログラムを提供しているが、一部では「給料日貸付」と批判されている。同社は過去にも運転手に新車のリースを提供しており、現在はVisaとの共同ブランドのクレジットカードとUber Cashのデジタルウォレットを利用者に提供している。

Walmart(ウォルマート)をはじめとする大企業が既に従業員に有利な給与の前払いやローンを提供していることを考えれば、従業員に少額の現金ローンを提供しているのはUberだけではない。

しかし、非常に大規模なフィンテックチームを抱えているという事実は、Uberのこの分野への暫定的な参入について聞くのは、これで終わりではないことを示唆している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Rokuがテレビライセンスプログラムをヨーロッパに拡大

Roku TVは現在、米国で販売されるスマートテレビの3分の1以上を占めており、また同社はテレビのライセンスプログラムをヨーロッパ市場に広げる。ベルリンで開催された家電見本市のIFAで、Rokuはメーカーが同社のテレビ向けリファレンスデザインのライセンスを取得し、Roku OSを使ってヨーロッパでスマートテレビを製造し販売できるようにすると発表した。また、中国のHisense(ハイセンス)がヨーロッパでのRoku TVの初めての提携相手となる。

今日のコネクテッドテレビ市場は、テレビセットのHDMIポートに接続するドングル、スティック、およびストリーミングメディアプレーヤーに限定されなくなった。

RokuやGoogle(グーグル)、Amazon(アマゾン)などのトップ企業も、コンシューマー市場でのシェア獲得を目指して、OSやリファレンスデザインをテレビメーカーに提供している。Apple(アップル)はtvOSを搭載した独自のテレビを開発していると噂されている。

Rokuは2014年のConsumer Electronics ShowでRoku TVプラットフォームを最初に発表して以来、自国市場のこの分野で成功を収めている。また、Hisenseはこの取り組みの最初のパートナーのうちの1社だった。2019年には北米で10以上のブランドから100以上のモデルが発売され、Roku TVは米国のスマートTV OS市場でトップになったと同社は推定している。

テレビプラットフォームでヨーロッパをターゲットにしているのはRokuだけではない。Amazonは今週、20種類以上の新しい Fire TVデバイスを発表したが、そのうちの15モデルはAmazon Fire OSのライセンスを受けたテレビで、その多くは現地ブランドや小売業者との提携による、ヨーロッパの消費者向けのものだった。

新しいHisenseのRoku TVのモデルは、4K Ultra HD解像度とHDRに対応し、最大65インチまでのサイズが用意されると、Rokuは伝えている。これらのモデルは第4四半期に英国で発売される予定だ。

「消費者はRoku TVのシンプルさと先進的な機能を好む一方、テレビメーカーは製造コスト、さまざまな技術の選択肢、Rokuのサポートといった恩恵を受ける」とRokuのCEOで創設者のAnthony Wood(アンソニー・ウッド)氏は声明を出した。「Rokuが定期的にアップデートしエンターテイメントを提供することで、最先端のスマートTV体験を素早く市場に提供する能力は、テレビビジネスにおいてテレビメーカーに競争力と優位性を与える。我々はRoku TVのライセンスプログラムをヨーロッパに導入することを嬉しく思っており、今年にHisense Roku TVが初めて市場に登場することを楽しみにしている」

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(翻訳:塚本直樹Twitter

悪意あるDDoS攻撃を受け、Wikipediaが欧州の広範囲と中東の一部でダウン

Wikipediaが米国時間9月6日にサイバー攻撃を受けて、いくつかの国でアクセスができなくなった。

downdetector.comによると、欧州の広範囲および中東の一部のユーザーが、英国夏時間9月6日午後7時(日本時間9月7日午前3時)の直前から停止に遭遇している。

WikimediaのドイツのTwitterアカウントは「Wikimediaサーバーは、現在大規模で非常に広範囲なDDoS(distributed denial of service)攻撃で麻痺しています」と投稿している。

サイトは次の声明を発表した

本日Wikipediaは悪意のある攻撃に見舞われ、いくつかの国で断続的にオフラインになりました。攻撃は進行中であり、私たちのサイト信頼性エンジニアリングチームは、攻撃を食い止め、サイトへのアクセスを回復させるために懸命に取り組んでいます。

世界で最も人気のあるサイトの1つとして、Wikipediaは時に「悪意ある者」をひきつけてしまうことがあります。他のウェブ同様に、私たちは脅威が絶えず進化を続ける、ますます高度で複雑な環境の中で運営を行っています。このため、WikimediaコミュニティとWikimedia財団は、リスクを定期的に監視して対処するための専用のシステムとスタッフを用意しています。問題が発生した場合には、私たちは学び、改善し、次回はより良く対処するために準備を行います。

この種の攻撃を私たちは糾弾します。それらはWikipediaをオフラインにするだけではありません。妨害攻撃は、情報に自由にアクセスして共有する、すべての人にとっての基本的な権利を脅かします。Wikimedia運動と財団に関わる私たちは、すべての人のためにこれらの権利を保護することに、献身的に取り組んでいます。

現在、世界中のどこであろうともWikipediaへのアクセスを回復できるように、作業を続けています。続報は随時お知らせします」。

英国の大部分とポーランド、フランス、ドイツ、イタリアでサイトがダウンしていることが報告されている。

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(翻訳:sako)

ソフトバンクが巨額投資したカーシェアリングのGetaroundがユニコーンに

TechCrunch DisruptのNew York 2011で優勝したGetaround(ゲットアラウンド)は、カーシェアリングのプラットホームだ。同社は今年、新株によるほぼ2億ドルの資金を調達し、ユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場スタートアップ)の仲間入りをするだろう。

PitchBookの推計によると、これで2009年創業のGetaroundは評価額が17億ドル(約1820億円)になる。これに対し同社は「資金に関する憶測」にはコメントしないという社則を引用した。

本誌の質問に対する8月29日朝の同社スポークスパーソンは「Getaroundとその投資家たちは密接に協力して成長戦略を進めており、今後の適切な時期により詳しいお話ができるだろう」と語る。

このニュースの前には同社はフランスのカーシェアリングスタートアップであるDrivyを3億ドルで買収した。Drivyはパリに本社があり、ヨーロッパの170の都市で営業している。

Getaroundは昨年3億ドルのシリーズDを完了したが、このラウンドはソフトバンクがリードしてトヨタ自動車が参加した。携帯電話から1時間5ドルで車を借りられる同社のサービスを会員数20万人にまで育てたこれまでの投資家にはMenlo VenturesやSOSVがいる。

近未来に2億ドル(約213億円)の投資があると想定すると、Getaroundのこれまでの調達総額は6億ドル(約640億円)あまりになる。

Getaroundのこの前の資金調達にソフトバンクが参加したかは不明だ。しかし、ソフトバンクはこれまでカーシェアリング市場に積極的に投資しており、代表的な例としては中国のライドシェアDidi Chuxing、Uber、自動運転のCruiseなどが挙げられる。これらについてソフトバンクはコメントをくれなかった。

Getaroundの共同創業者であるSam Zaid(サム・ザイド)氏は昨年の取材で、モビリティへの投資家としてのソフトバンクの能力を強調して「ソフトバンクのいいところは、とても長期的な視野を持っていることだ。だからモビリティの未来に対する考え方もすごくいいし、すべての車が共有車になる、といううちのビジョンを彼らも持っているんだ」と語った。

この前の資金調達でGetaroundは国際進出をすると期待されていた。そして実際に同社は、フランスとドイツ、スペイン、オーストリア、ベルギー、そして英国に「Drivy by Getaround」というブランドで進出した。ただしノルウェーでは「Nabobil」になった。

同社が2011年にカーシェアリングサービスを始めたときは、主にギグワーカーたちに頼り、彼らが自分の車をGetaroundのマーケットプレースに載せて、借りられる頻度により月に500〜1000ドルを稼いでいた。しかしその後は、同じビジネスモデルによる競合他社が続出した。例えば、TuroやMavenは一流のVCたちから資金を得ているカーレンタルサービスだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドの月面探査機、着陸ミッション中に信号途絶

インドによる無人探査機を初めて月の南極に軟着陸させる試みは失敗に終わったと、同国の宇宙機関は米国時間8月7日に発表した。

月面から2マイル(約3.2km)未満の上空で、着陸機のVikra(ヴィクラ、インドの宇宙開発の父ことVikram Sarabhai、ヴィクラム・サラバイ氏にちなんだ名前)と管制室との通信がロストした。

インドのNASAに相当するISRO(インド宇宙研究機関)からのライブ中継は、管制室がランダーからの信号を受信できず、科学者たちが緊迫する様子を流した。

着陸の試みを見守っていたインド首相のNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)氏は、ISROにて同室した科学者と子どもたちに励ましの言葉をかけた。

「勇気を出して。ISROへの信頼は失われていない。その努力と旅路にはその価値があったことを誇りに思う。我々の宇宙開発の最良の瞬間はこれからなのだ」。

宇宙開発は難しい。月面は着陸を試みて失敗した宇宙船の破片でいっぱいだ。月の大気は非常に薄いためパラシュートは使えず、宇宙船はスラスタによって速度を調整するしかない。

Chandrayaan-2(チャンドラヤーン2号)は約1億4000万ドル(約150億円)をかけたミッションで、2008年に実施されたChandrayaan-1で発見された水が存在する月のクレーターの研究を目的としている。

ミッションが成功すれば、インドは月面への軟着陸に成功した4番目の国になっただろう。今のところ、これを成し遂げたのは旧ソ連、米国、中国だけだ。

7月15日にAndhra Pradesh(アーンドラ・プラデーシュ)州のSriharikota(シュリーハリコータ)にあるSatish Dhawan(サティシュ・ダワン)宇宙センターから打ち上げられた全長142フィート(約43m)のロケットは、オービター、ランダー(着陸機)、および六輪のローバー(探査車)を搭載していた。ランダーとローバーは2週間しか稼働しない予定だが、今週初めにランダーを分離したオービターは、少なくとも1年間稼働する。

ISROは、ロケットの部品を自転車で運び手で組み立てるなど、1960年初めから低コストの宇宙開発に特化した長い道のりがある。

2013年、ISROは初の惑星間ミッションとして7400万ドル(約94億円)で火星へとオービターを打ち上げた。これは、同じ年にNASAが火星へのミッションに費やした6億7100万ドル(約720億円)のほんの一部にすぎない。2017年、ISROはわずか18分で104機の人工衛星を宇宙へと打上げた。

ISROは今年初め、独自の宇宙ステーションを将来的に設置し、太陽と金星へのミッションを行う計画を明らかにした。英国からの独立75年を記念して、2022年にGaganyaan(サンスクリット語で宇宙輸送機の意味)と呼ばれる初の有人宇宙飛行ミッションを行い、その後宇宙ステーションの開発に着手する予定だ。インド政府はGaganyaanミッションのために、1000億ルピー(約1500億円)の予算を認めた。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Instagramのフォロワーも巻き込む、出会い系Facebook Datingが米国でスタート

米国人は、人との出会いの機会まで、Facebookを信頼するつもりなのだろうか?米国連邦取引委員会が、プライバシー保護に関する過失に対して、Facebookに記録的な50億ドル(約5345億円)の罰金を科し、ユーザーのプライバシーを扱う際の判断について、より重い責任を負うよう、企業としての構造改革までを課してから、まだほんの1カ月ちょっとしか経っていないというのに。このような歴史的なできごとに引き続いて、Facebookはまったく新たな出会い系サービスを全米で開始した。同社が保有しているユーザーの個人データを利用して分析することで、Tinder、Bumble、Matchなどといったライバルの出会い系アプリよりも、適切なマッチングを提案できるとされている。

今回米国で利用可能になったこのFacebook Datingでは、Instagramの投稿を出会い用のプロフィールに組み入れたり、Facebookの友達やInstagramのフォロワーを「Secret Crush」(秘密のパーティ)リストに追加できるようになった。

年末までに、Facebook Datingのユーザーは、自分でFacebookやInstagramストーリーを選んで、出会い用のプロフィールに追加できるようになる。

自分に合う人をFacebookに見つけてもらう

Facebook Datingにとって、米国は20番目の市場だが、このサービスにとって最も重要な国の1つには違いない。ちなみにFacebook Dating自体は、昨年のF8デベロッパーカンファレンスで初めて発表されたもの。

この新しいサービスは、Facebookを友達や家族ではない人とつながるためのツールにするための重要な一歩となる。

同社は今、この分野に多大な金額を投資している。毎月10億人が使用しているFacebookグループのサービスが、関連するグループとも連携して、似通った趣味を持っていたり、地理的に近いといった条件で、ユーザーを結び付ける。同社は数年前にもFacebook at Workを立ち上げ、企業がFacebookのインフラを利用して、独自のネットワークを構築できるようにしていた。

こうした取り組みはどれも、ユーザーのFacebookデータをすべて公開してしまうことに比べれば、さほどの信用を必要とするものではないのは確かだろう。そもそもFacebookは、ユーザーデータの不適切な利用で知られている会社なのだし、それで愛が見つけられるのなら安いものだ。

もちろんFacebookも、このようなサービスには潜在的なプライバシーの落とし穴があることは十分にわかっている。そこで同社は、Facebook Datingの機能を完全に隔離してしまうための対策も、いくつか用意している。家族や友達、あるいは会社の同僚や、仕事上の付き合いのある人、もっと言えば配偶者や伴侶にうっかりバレないようにするためだ。

まず、Facebookで友達になっている人は、Facebook Datingに表示されない。さらに、Facebook Datingに表示される人を、共通の友達がいない人だけに限定するような設定も可能だ。他にも保護機能はある。ユーザーは、自分のFacebook Datingのプロフィールが、特定の人からは見られないよう、先手を打ってブロックすることもできる。たとえば分かれた相手のプロフィールは絶対に表示されないようにしたり、逆にそうした相手から自分のプロフィールが見られないようにすることが可能だ。

そしてもちろん、Facebook Datingは明示的に希望した人だけが利用できるサービスだ。

ユーザーの出会い用プロフィールは、友達になっている人や、Facebook Datingに参加していない人からはけっして見えない。ニュースフィードにも表示されない。新たに利用可能となったInstagram統合機能でも、ユーザーの写真だけが表示され、Instagramのユーザーネームは表示されない。

ただし、Facebookの友人を「Secret Crush」に追加する方法は残されている。これは互いの関心が一致した場合にだけ表示される。利用可能な「Crush」は9個までに限られている。この機能の悪用を防ぐためだ。米国での公開に伴い、このようなポリシーはInstagramのフォロワーについても適用されるようになった。

Facebook Datingのサービスは、メインのFacebookアプリに組み込まれている。同じイベントに参加している人や、同じグループのメンバーになっている人ともつながることが可能だが、いずれの機能も初期状態ではオフに設定されていて、個別にオンにすることができる。

それ以外でも、Facebook Datingは、共通の友達がいるとか(その機能がオンの場合)、同じグループに入っているとか(その機能がオンの場合)、学校が同じとか、あるいはその他不明の要因によって、選ばれた人のプロフィールを提示する。

ここから先はちょっとビミョーな話になる。

そもそもFacebookは、友達を推薦するのに、不気味なほど的確なことがあるのは、みんな気付いている。そのため、何らかのスパイ的な機能があるのではないかと疑う人もいる。結局のところFacebookは、ユーザーが誰とつながりを持っているのか、ユーザー自身が気付いているよりも多くを知っているということなのだ。

Facebook Datingの推奨機能に関しては、ユーザーも知らないどんなデータをFacebookが利用するのか、まったくわからない。

公式には、Facebookは、マッチングの提案は「ユーザーの好み、興味を持っていること、またユーザーのFacebook上での行動」に基づくものだとしている。

Facebook Datingのプロダクト責任者、Nathan Sharp(ネイサン・シャープ)氏は、実のところFacebookは、どのようにしてプロフィールのマッチングをランク付けするか尋ねられたものの、システムの詳細について話すことはできないと述べた。

「私が言えるのは、プライバシーについては、あなたが見かけたり出会ったりした人は、どのような情報も漏らすことはないということです」と彼は説明する。「あなたと、テイラーという人が同じ大学に通っていたとして、あなたはそのことを出会い用のプロフィールに書いてなかったとしましょう。それを人に知られたくなかったとします。その場合、テイラーさんは、あなたがどの大学に行ったのかを知ることはないし、テイラーさんがどの大学に行ったのか、あなたが知ることもないでしょう」とシャープ氏は言う。

シャープ氏は、むしろFacebook Datingのチャット機能を使った会話を通じて、例えば母校が同じといった共通点を、自然に発見していくものだと述べている。

出会い系アプリのメーカーが、秘密のレシピについて口を閉ざすのは珍しいことではないが、Facebookがこの機能のために利用できるデータの量は、競合に比べて有利に働くだろう。ただそれだけに、Facebookが見えないところで扱っているプロフィールデータについて、ユーザーがどこまでコントロールできるのか、疑念を持たれる可能性もある。

例えばTinderでは、「ハイキングが大好き」と自分で書くことができるが、Facebookでは、ユーザーが実際にハイキング関連のグループやイベントに参加したかどうか、そしてその頻度までが考慮されるだろう。本当はもっと多くのことを知っているかもしれない。ユーザーがハイキングの場所にチェックインしたこと、山が写っている写真を投稿したこと、「ハイキング」というキーワードを含むコメントを書いたこと、ハイキングに関連するFacebookのページに「いいね」を付けたことなど、みんな筒抜けだろう。しかしFacebookは、この種のデータが使用されるかどうか、だとしたらどのように使われるのか、一切明らかにしない。

もしユーザーが、自身の個人データをFacebookがどのように使おうと構わないというのなら、このようなサービスのメリットはいくらでも挙げることができる。ただし、それは米国市場では、あまりありそうもないことだが。

Facebook Datingの大きな目標は、出会い系のサービスを、パーソナルなものと感じられるようにすることにある。つまり、表示されるプロフィールの背後には、現実の人がいることを意識させること目指している。そしてその出会いを、ゲームとして扱うことは意図していない。これは、出会い系アプリにはうんざりしているのに、使わずにはいられないという人にとっては、差別化の要因となるかもしれない。

これまでの出会い系アプリには、いろいろなつながりを築くために、長く使い続けようという気にさせるものが欠けているという問題があった。結局のところ、相手を見つけることができると、人は出会い系のサービスの利用を止めてしまうのだ。これは、アプリの収益にとって最悪だ。それでは、ユーザーが使い続けてくれるようにするためには、どうすればいいのだろうか?例えば、Tinderがやっているように、「独り暮らし」というライフスタイルを推奨すればいいのだろうか?

Facebookの場合、ユーザーが離れてしまうことは、それほど心配していない。なにしろFacebookには月間24億人のユーザーがいる。出会い系の機能を、単なるおまけとみなすだけの懐の深さがあるのだ。またその膨大なユーザー数は、出会い系アプリを使おうなどとは考えたこともない人を含めて、出会いの対象となりうる人の潜在的な予備軍を大量に抱えていることを意味する。

またFacebookは、魅力的なユーザー体験を構築する方法を知る企業であるという点でも優位に立っている。出来栄えの良さは、Facebook Datingの随所に見て取れる。たとえばセットアップの際に、性別を設定する画面にスムーズに移行するところとか、最初のデートの際に、安全のため、Messengerを使って信頼できる友達に現在の居場所を簡単に通知する機能など、よくできている。

さらにFacebook Datingでは、一般の出会い系アプリで問題になっている、勝手に写真を送りつけてきたりすることや、ポルノ系ボットによるスパムの送信を、厳重に禁止している。チャットを、テキストとGIFのやり取りのみに制限しているのだ。つまり、URL、写真、支払い要求、動画などをメッセージで共有することはできない。

また、年末までにストーリーも統合されることになっているので、出会い候補の飾らない投稿をチェックすることが、一種の流行になるかもしれない。

最後に言えるのは、これは少なくとも今のところ、出会い系の機能そのものを収益化するために存在しているわけではない。メッセージングや、以前にうっかり削除してしまったプロフィールに戻るなど、本格的な機能を備えたものながら、Facebookは無料で使えるサービスとして提供することができる。そのため、ユーザーからお金を搾り取ろうとするアプリに見られるような制限とは無縁でいられる。

とはいえ、Facebook Datingが、Tinderからあれこれ影響を受けることは避けられないようだ。たとえば、角の丸い「好き」「嫌い」のボタン(なぜそれ以外の選択肢がないのか?)、遺伝的に恵まれた人に有利な写真中心のプロフィール、プライベートなチャット機能、そしてInstagarmの統合といったものだ。

米国に加えて、Facebook Datingはすでにアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ラオス、マレーシア、メキシコ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、シンガポール、スリナム、タイ、ウルグアイ、ベトナムでも利用可能となっている。2020年初頭までにヨーロッパでも使えるようになる。

同社は、Facebook Datingに参加しているユーザーの数については明かすつもりはなさそうだが、今のところ「そこそこうまくいっている」とだけ述べている。

Facebook Datingは、米国時間9月5日から米国内で18歳以上のユーザーに公開された。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

シャオミが1億台のスマートフォンをインドで出荷

Xiaomi(シャオミ)は米国時間9月6日、同社の最も重要な市場であるインドにて、5年前にビジネスを開始して以来1億台以上のスマートフォンを出荷したと発表した。これは、調査会社のIDCによる数字を基にしている。

8四半期連続でインドのスマートフォンベンダーのトップの位置を維持している中国の巨人は、格安端末のRedmiとRedmi Noteが同国内で最も売れているスマートフォンだと伝えた。

インドは世界で最も急成長している世界第2位のスマートフォン市場であり、またほとんどの端末の価格は200ドル以下(約2万1000円)である。シャオミは高コスパなスマートフォンを提供しており、またインドでは初めから常に価格重視の市場をターゲットにしている。同社によると、販売されるハードウェア製品で5%以上の利益を設定することは決してないという。

シャオミの副社長で同社のインド事業のMDであるManu Jain(マヌ・ジャイン)氏は声明の中で、同社の今日のマイルストーンは「これは、創業以来から多くのMiファンに愛されてきた証拠だ。我々より先に市場に参入したブランドもあるが、我々が達成した驚くべき偉業からはほど遠い」と述べた。

インドだけで1億台のスマートフォンを出荷したことは、多くの市場でビジネスを展開するシャオミにとって大きな偉業である。同社は昨年、全世界で約10カ月(インドを含む)に1億台の携帯電話を出荷し、これもXiaomiの記録となった。

中国での競争が激化し、スマートフォンの出荷が世界中で鈍化または減少する中、シャオミにとって近年インドは最も重要な市場となった。同社がインドに進出した最初の2年間は、コスト削減のために主にスマートフォンのオンライン販売を利用していた。しかしそれ以降、シャオミは実店舗でのプレゼンスを確立しており、同国での販売の大半を占めている。ちなみにインドは、スマートフォンの出荷台数が伸び続けている数少ない国の1つでもある。

シャオミは先月、同社が年末までにインドにて1万店舗を設置する予定だと述べた。また同社は、それまでに店舗販売が売上の半分を占めると予想している。同社は、インドで2万人以上の雇用を創生し、その大半を女性が占めていると述べた。

スマートフォンがインドでの大きなビジネスであり続けているにもかかわらず、Xiaomiは他のハードウェア製品もインドで販売しており、現地向けのソフトウェアサービスを構築してきた。同社は投資家の役割もしており、Twitterなどから最近1億ドル(約110億円)を調達したローカルなソーシャルネットワークのShareChat、金融テックのスタートアップのKrazyBeeとZestMoney、そしてエンタメアプリ開発会社のHungamaを含む、いくつものスタートアップを支援している。

近日のTechCrunchとのインタビューで、シャオミの幹部はインドに専門のチームを作り、現地のスタートアップへの投資機会を丁寧に調査していると語った。

「これは新章の始まりにすぎず、今後も全てのMiファンのために、最高のスペックと品質、そして適正な価格で、より多くのカテゴリーと製品を提供する」と、ジェイン氏は述べている。

かつてインドのスマートフォン市場をリードしていたSamsung(サムスン)は、シャオミとの競争力を高めるため、さまざまな価格帯で数多くの端末を発売した。また、同社はインドでのマーケティング予算も増やしている。ただし、シャオミはマーケティングにほとんどお金をかけていないが、トップの座を維持している。

サムスンは10年以上前にインドに進出し、同国で1億台以上のスマートフォンを出荷したと、調査会社のCounterpointはTechCrunchに伝えている。「この偉業を達成したスマートフォンベンダーは、サムスンとシャオミだけである」とCounterpointでアナリストを務めるTarun Pathak(タルン・パタク)氏は述べた。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ニューヨーク州の司法長官がFacebookへの反トラスト捜査を指揮

米国ニューヨーク州の司法長官であるLetitia James(レティーシャ・ジェームス)市は米国時間9月6日朝、自らの指揮でFacebookの反トラスト問題を取り調べていると発表した。嫌疑は、Facebookがそのソーシャルメディアの支配を利用して反競争的な行為に関与したのではないか、というものだ。

ジェームス氏は「最大のソーシャルメディアプラットホームであっても、法を守り、消費者を尊重しなければならない。各州司法長官の党派を超えたチームを率いて、Facebookが競争を抑圧しユーザーを危険に陥れなかったか取り調べていることを、誇りに思う。われわれはあらゆる捜査ツールを広く利用して、Facebookの行動が消費者のデータを危険にさらし、消費者の選択の質を貶め、あるいは広告の価格を高騰させなかったかを調べたい」と語る。

発表によると、その各州司法長官のチームは、コロラド州、フロリダ州、アイオワ州、ネブラスカ州、ノースカロライナ州、オハイオ州、テネシー州、そしてコロンビア特別区の司法長官から成る。

Facebookはすでに6月に、反トラストで連邦取引委員会(FTC)の取り調べを受けていると発表した。それは、同じ日に発表されたプライバシー関連のFTCとの和解とは別だ。今、大手テクノロジー企業の多くが、FTCや司法省による反トラスト捜査に直面しているようだ。

新たな取り調べが発表されたあとの声明で、Facebookの州と地方ポリシー担当副社長のWill Castleberry(ウィル・キャッスルベリー)氏は「私たちが提供するどのサービスにも、複数の選択肢がある。私たちがイノベーションをやめれば、人々は自由にここを去ることができる。それは米国だけでなく世界的な競争に私たちが直面していることの証だ。もちろん私たちは州の司法長官たちに建設的に協力するし、私たちがその中にいる競争的な環境について、政策立案者のみなさまと会話することを歓迎する」と述べている

関連記事:Facebookが連邦取引委員会の捜査を受けていることを公表

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

9月8日からのキャッシュレス決済まとめ、13日まではJCB-QUICPay、14日以降はd払い

10月からの消費税10%適用に向けて、キャッシュレス業者各社の消耗戦が激しくなってきそうだ。9月の第1週(9月1日〜7日)は、20%還元で還元上限1万円という、JCBカード経由のQUICPay払いや、みずほ銀行のデビッドカード、アメリカン・エキスプレスのクレジットカードで決済するのが最もお得だった。

第2週(9月8日〜14日)もこの基本路線は変わらないが、JCBやみずほ銀行のキャンペーン期限は12月15日までと長いうえ、期間中の累計使用額から還元されるため、急いで使う必要はない。また、対応するクレジットカードやみずほ銀行の口座もっていない人は蚊帳の外だった。では第2週はどのように戦えばいいのだろうか、早速見ていこう。

9月13日まではJCB QUICPayをメインに

9月13日までは、JCBカードを紐付けたQUICPay決済で受けられる20%還元キャンペーンをメインに活用しよう。注意したいのは事前のエントリーが必要な点。

対象となるのはJCBが発行したJCBカードを所持している利用者。カード裏面のカード発行元がJCBであればOK。もしくは、JCBの会員サイト「My JCB」に登録・ログインできるカードであればOKだ。発行元がわからない場合、キャンペーンサイトにアクセスして応募できるかどうかをチェックすればいい。なお、LINE PayのJCBプリペイドカードは残念ながら対象外となる。

実際に還元が受けられるのは、JCBカードを紐付けたApple PayやGoogle PayでのQUICPay支払いのみで、JCBカード自体を使ったクレジットカード決済は対象外なので注意。

このキャンペーンの注目は家族会員のカードも対象になる点。夫婦の一方が家族カードを使っている場合、そちらのカードでもエントリーを済ませておけば20%還元を受けられる。つまり、本会員カードと家族カードでそれぞれ5万円ぶん使えば、それぞれ1万円の還元を受けられる。

もちろん、同様に20%還元を受けられる、アメリカン・エキスプレスのクレジットカード払いやみずほ銀行のデビッドカードを利用してもいい。これらの詳細は以下の関連記事を参照してほしい。

関連記事:9月のキャッシュレス決済まとめ、とりあえずPayPayとJCB-QUICPayを併用

10〜14時はスーパーでPayPay

PayPayが実施する月替わりの還元キャンペーン「ワクワクPayPay」の9月の内容は、毎日10~14時にスーパーマーケットで最大10%の還元が受けられるというもの。8月のキャンペーンに比べて開始時間1時間繰り上がり、実施時間が1時間伸びて4時間となった。

20%還元のJCBのQUICPayよりも還元率は10%と低いのだが、大手のスーパーマーケットでないとQUICPayが使えるところは少ないので、PayPayをいつでも使えるように準備しておきたい。

PayPayはスーパーマーケットでの利用に力を入れており、ここ最近だけでも西友やイトーヨーカドー、東急ストアなどの大手を取り込んでいる。なお還元が受けられるかどうかは店舗によって異なるので、事前にPayPayアプリで最寄り店舗が対象かどうかをチェックしておこう。

イトーヨーカドーや西友、ライフ、東急ストアなどもPayPayを利用できるようになった

適用条件はほかのコード決済に比べると複雑なので注意してほしい。金融機関の口座もしくはYahoo!マネー、Yahoo!カードからチャージした場合は5%の還元を受けられるが、Yahoo!カード以外のクレジットカードからチャージした場合は0.5%しか還元を受けられない。

最大の還元を受けるには、PayPay残高を金融機関の口座やYahoo!マネーからチャージしつつ、月額498円のYahoo!プレミアム会員に入会、もしくはソフトバンクかワイモバイルの回線を利用するという追加条件がある。この条件に適合すれば10%還元だ。

14日以降はd払いをメインに、エントリーは9日から

9月14日にドコモがまたしても大判振る舞いのキャンペーンを始める。1回の還元上限1000円、期間中の還元総額上限3000円の20%還元という内容だ。今回は期間が1カ月超と長く、10月14日23時59分に終了となる。ポイントは2020年2月16日まで使える期間・用途限定のdポイントして、2019年12月16日以降に順次還元される。毎回のことだが忘れてはならないのがエントリー。9月9日10時以降にdポイントクラブ会員のサイトにアクセスしてエントリーを済ませておこう。

さらに、金土曜にネット店舗でプラス5%の還元が受けられるキャンペーンを併用すると総還元率は25%となる。NTTドコモの回線料金をdカードで支払う、dマーケットを利用するなどの諸条件を満たすことで最大7%の還元を受けられる「dポイントスーパー還元プログラム」も利用可能だ。

対象店舗はd払いに対応するリアル店舗のほか、Amazonのオンラインショッピングサイトも含まれる。なお、オンラインストアでは、ラクマ(旧フリル)、無印良品ネットストア、はがきデザインキット、スマホで年賀状2019、宅配型収納CARAETO(カラエト)などは還元対象外となるので注意。

いろいろ考えるのが面倒なら、金土曜にネット店舗で5%還元アップになるキャンペーンにエントリーしたうえで、Amazonで5000円前後の商品を3個を1個ずつ分けて購入し、1回の上限額、期間中の累計上限額をすべて獲得してしまおう。使い切ったあとは、JCBのQUICPayをメイン決済に戻せばいい。

なお、d払いはドコモ回線を利用しているユーザーはもちろん、auやソフトバンク、MVMOの回線を利用しているユーザーでも利用できる。今回のキャンペーンとは別に、d払いを初めて利用する場合は1000円ぶんのdポイント還元が受けられるので、このタイミングで登録しておくといいだろう。

Google PixelユーザーはAndroid 10にアップデートしてはならない

私のように調子に乗ってAndroid 10にアップグレードしてしまうと、d払いアプリを使えなくなるので注意

AI解析によるカメラ性能や、値下げによるお買い得価格で人気に火が付いているGoogle Pixel。Androidの開発元であるGoolgeの端末だけあって、先日リリースされたAndorid 10の正式版をいち早くインストールできる端末でもある。しかし、Google Pixelシリーズの3、3XL、3a、3a XLを利用しているユーザーは、Andorid 10をインストールするとd払いアプリが正常に使えなくなるので注意が必要だ。NTTドコモは、10月末にAndroid 10に対応したd払いアプリをリリースする予定だが、おそらく今回の10月14日までのキャンペーン期間にはリリースは間に合わない。

ゲームの世界のビデオによるソーシャルネットワークMedal.tvが10億円近くを調達

最初からMedal.tvは、ゲーム世代のためのソーシャルネットワークを目指していた。

2月のデビュー以来、このゲーマーのためのクリッピングとメッセージングサービスは500万人のユーザーを獲得し、1日のアクティブユーザー(DAU)は数十万に達した。そして今回はHorizons Venturesがリードするラウンドにより、900万ドル(約9億6200億円)の資金を調達した。Horizonsは、香港の富豪Li Ka-shing(李嘉誠、り かせい)氏が設立したベンチャーキャピタルファンドだ。

関連記事:Medal.tv’s clipping service allows gamers to share the moments of their digital lives(Medal.tvのクリッピングサービスでゲームの決定的瞬間を共有、未訳)

Horizons Venturesの投資家Jonathan Tam(ジョナサン・タム)氏は「短編ビデオの共有が、今の世代の自己表現とエンターテインメントの手段になっている。そんな中でMedalのプラットホームは、ゲームそのものを超える対話的ソーシャル体験の基盤になるだろう」と語る。

Medalは、ソーシャルネットワークと、ゲームデベロッパーにとってのマーケティングのツールであることの両方に可能性を見出している。後者としてのMedalは、ゲーマーたちにとって新しい発見の場になるのだ。

Medalに投資したエンジェル投資家でヨーロッパのGoogle Play GamesのトップだったMatteo Vallone(マッテオ・バローネ)氏は、「友だちがゲーム発見の重要な契機だ。だからデベロッパーにとっては、共有できるゲームが有利だ。Medal.tvでは、ストリーミングにはない気軽さで友だちとゲームの共有ができる」と語る。

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一方、投資家たちが2000万ドルでも出すと言っているこのプラットホームのCEO Pim de Witte(ピム・デ・ウィット)氏は、「まだまだいろんなリスクがあるから、そんな大金には手を出せない」、と言っている。

むしろHorizonsや前の投資家Makers Fundからの900万ドルぐらいが、企業の堅実な成長のためにはちょうどいい。

ウィット氏は声明で「Medalで我々が信じているのは、次のビッグなソーシャルプラットホームはゲームから生まれるということだ。おそらく短編ビデオがそのベースになるだろう。またゲームの出版者たちが独自のゲームストアやシステムを作っていることも、その流れに貢献するだろう。後者によって市場にはソーシャルな分裂が生じるから、ますますMedalやDiscordのようなプラットホームのニーズが大きくなる。そこではいろんなゲームからやってきたゲーマーたちが、有意義な形で一体になれる」と語る。

ある特定の世代にとっては、デジタルゲームがもっとも好きなソーシャルメディアであり、消費者が仮想的体験を共有するためのツールがますます広まっている。この現象は、フォートナイトのマシュメロコンサートのようなイベントが普通になるにつれて、ますます加速するだろう。

Makers FundのRyann Lai(リャン・ライ)氏は「Medalには、仮想体験のソーシャルな交換をきわめて自然に気楽に行えるエキサイティングなパワーがある」とコメントしている。

画像クレジット: Marshmelloのライセンスによる

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

閉鎖される求人サービスGoogle Hireの後釜を狙うAgaveが移行促進キャンペーンを展開

求職応募者を追跡するシステムであるGoogle Hireが2020年に閉鎖することになり、企業の雇用担当者のためのツールを作るスタートアップに成長の機会が生まれた。SV AngelやBox Groupから100万ドルの資金を得たAgave(アガヴェ)も、まさにそんなスタートアップだ。

Agaveは無料の求人プラットホームで、そこに求人票をポストしたり、キャリアページを設けたりできる。顧客管理のツールもあり、APIも提供している。有料プランには、月額一人あたり2ドルと6ドルの2種類があり、後者にはメールによる自動化フォローアップサービスや面接のスケジューリング、求人書簡の書式などの機能がある。そのサービスは本日9月6日から利用できるが、当面は招待制だ。

Google Hireと同じく、Agaveも社員数20名から500名ぐらいまでの中小企業が主な対象となる。

Agaveの創業者Jared Tame(ジャレード・タメ)氏は次のように語る。「そのへん(20〜500名)がスイートスポットだね。社員数20名以上ともなれば、紹介だけに頼っていたのでは必要な人材は集まらない。もっと積極的なやり方を考える必要がある。メールなどを使っていても、ある点を過ぎるとATS(Applicant Tracking System、求職者追跡システム)を使わざるをえなくなるんだ」。

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タメ氏によると、彼が同社を初めたのは、自分自身が企業の雇用担当者だった経験があり、既存のプロダクトに不満を感じたからだ。

Google Hireの閉鎖は機会でも、Agaveのコンペティターはほかにもいる。例えば、7280万ドルを調達したLever(レーバー)や、1億1010万ドルを調達したGreenhouse(グリーンハウス)などだ。今は数社のスタートアップがAgaveを利用しているが、同社は顧客拡大のためにMedium上で、Google Hireからの移行勧誘キャンペーンを展開している。

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(翻訳:iwatani。a.k.a. hiwa

【スタートアップバトルへの道】「今秋には新発表も予定」2018 Finalist / エアロネクスト #2

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も1114日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。TC Tokyoで毎年最大の目玉となるのは、設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は916日、本登録は9月末まで

スタートアップバトルの応募はこちらから

連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年決勝に勝ち残ったスタートアップ、計8社に取材。バトル出場までの経緯や出場してからの変化について、登壇者に話を聞いている。

今回登場するのは、TC Tokyo 2018 スタートアップバトルファイナリスト、エアロネクスト代表取締役CEOの田路圭輔氏。2回に分けてお送りするインタビューの後半では、スタートアップバトル出場後の社内外の変化や今後の同社の展望について話を聞く。
(バトル出場までの経緯や準備などについて聞いた、インタビュー前半はこちらから)

バトル後にドローン関連のほぼ全企業からアプローチ

TC Tokyo 2018 スタートアップバトルでは、書類選考に通過した20社の中から、ファイナルラウンド進出6社に勝ち残ったエアロネクスト。同社は、ドローンの機体軸がブレることなく飛行するための重心制御技術「4D GRAVITY®」をはじめとした技術の研究開発を行っているドローンスタートアップだ。

中国・深センで開催された国際ピッチ大会に出場するため不在だった田路氏の代わりに、TC Tokyoでは、エアロネクスト 空力研究所 上席研究員の大河内雅喜氏が登壇。その模様を田路氏をはじめとした訪中メンバーは、リアルタイムのオンライン中継で応援していた。

前編でも紹介したとおり、エアロネクストは惜しくもTC Tokyoでは優勝を逃したのだが、バトルで大河内氏とともに戦い、最優秀賞を獲得したムスカの代表取締役CEO流郷綾乃氏について、田路氏は「すばらしいプレゼンだった」と感想を述べている。流郷氏とは、ほかの場面でも交流があるという田路氏は「その後の活躍もすばらしい」と続け、「彼女とは今でも交流があるが、TC Tokyoをきっかけに勢いがついた、ひとつの節目だったと聞いている」と明かす。

そんなエアロネクストも、バトル出場後に環境が「激変した」という。「国内開催の4つのピッチイベントに集中参加したことが、狙い通りに効果を上げた」と語る。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏

「僕らは技術と特許ポートフォリオの会社。メーカーではないし、サービスプロバイダーでもない。最終的なエンドユーザーは事業者だが、彼らに直接僕らの技術を売るわけではない。ドローンメーカーに採用してもらい、そのメーカーがつくった機体を使うサービスプロバイダーが、点検事業者や物流事業者にサービスを導入していくという構造だ。だからドローンメーカーに技術を採用してもらう必要はあるのだが、メーカーに技術を売りに行くのではなく、最終ユーザーである事業者に、僕らの技術が欲しい、必要だと言わせたかった。事業者からメーカーへ『4D GRAVITY®を搭載したドローンを早くつくってくれ』と言わせるための戦略が、ピッチで優勝することだった」(田路氏)。

ふたを開けてみると「本当にそうなった」と田路氏。「4つのピッチが終わった後、日本でドローンに関わる会社のほぼ全社から僕らのところにコンタクトがあった。『あなたのところの技術を搭載したドローンが買いたい』『どこにいけば買えるのか』という問い合わせがたくさんあって、結果としてドローンメーカーに対して『4D GRAVITY®を搭載したドローンを早く提供して欲しい』という空気になった」という。

「ドローン産業の中で僕らの技術が注目されたこと、スタートアップの中で注目され知名度が上がったこと。その点ではピッチの成果は非常にあった」(田路氏)。

ドローン大国・中国でも評価、資金調達にも影響

エアロネクストの技術を搭載したドローンをつくる企業は現在、複数社出ており、ちょうど4D GRAVITY®の採用製品が作られているとのこと。「来年ぐらいになれば、複数のドローンメーカーから僕らの技術を積んだドローンが出荷されることが見えている」と田路氏はいう。

さらにTC Tokyoと同日開催だった国際ピッチ大会での入賞の反響も大きく、今年5月には深センに現地法人を設立した。コンシューマードローンでは同じ深センのDJIが有名だが、産業ドローンでは科比特航空科技(MicroMultiCopter Aero Technology:MMC)が最大手のひとつ。このMMCがエアロネクストの技術を評価し、6月に戦略的提携も発表された。

「こうして、中国・深センでも僕らの技術を搭載したドローンがつくられ始めている。僕らが目指す『産業ドローンの標準技術として、僕らの重心制御技術が採用される』という流れは、日本のみならず、世界で最も進んだドローン大国である中国でも評価されるところまで来た」(田路氏)。

そのほか、資金調達にもピッチコンテストへの参加、入賞が影響していると語る田路氏。現在はシリーズAラウンドのクローズに向けて調達を進めているところで「大きな調達もでき、何とか次のステージへ進めるかな、というところ」だと述べている。

「守りの特許」から「技術を流通させるための特許」へ

TC Tokyoで紹介され、注目を集めたドローンの重心制御技術4D GRAVITY®。だがエアロネクストでは、それだけではなく、さらに次の展開を睨んでいる。「僕らは無人航空機という領域で、未来へ向けて何世代も先の機体フレームを発明している」という田路氏。「今年の秋ぐらいには、新しい機体フレームの発表を控えている」とのことで、新しい機体フレームの中には人が乗ることができるものも含まれるという。

「僕らのビジネスモデルではまず、発明がある。無人航空機の機体フレームの何十年か先を予測して、発明をし、特許を出願する。特許出願と同時にプロトタイプを開発し始め、世の中にプロトタイプを発表する頃には、コア特許がほぼ成立する見込みが立っている。プロトタイプが市場から評価され、量産したいという話になる頃には、技術をライセンスするのに必要な、およそ50〜100件ぐらいの特許がポートフォリオとして構築されていて、世界各国の企業にライセンス可能な状態になっている、という構造だ」(田路氏)。

田路氏は「僕らの会社は特許という経営資源の存在を、大きく変えようとしている」と語る。「これまでの特許は、自分たちの製品が他人から侵害されたり、刺されたりしないように取得する『守りの特許』だった。製品を作り続けるためのものなので、一度に1つか2つの特許しか取らない。僕らは特許を『技術をメタ化したもの』と捉えている。技術を流通させるには、時間がかかり、エネルギーがすごく要る。それを特許という形式にメタ化して、技術の流通スピードを高めることができる。技術を流通させるために特許を使う、というのが僕ら独特のアプローチだ」(田路氏)。

「だからビジネスモデルはライセンスになる」と田路氏。「僕がなぜライセンスというビジネスモデルが好きかというと、世界シェア100%が狙えるから。自分で製品を作ると100%シェアは絶対に起こりえないが、唯一100%シェアを達成できるのがライセンスモデル。実際にシェア100%というのは難しいかもしれないが、理論上シェア100%が実現可能な仕組みなので、好んでビジネスモデルに採用している」と述べている。

「ピッチの結果もあり、何とかいいところまで来た。ここからまた新しいチャレンジが続いていくが、チーム全員で頑張っていきたい」(田路氏)。

 

なお現在、スタートアップバトルの応募だけでなく、TechCrunch Tokyo 2019のチケットも販売中だ。「前売りチケット」(3.2万円)をはじめ、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)など。今年は会場の許容量の関係もあり、いずれも規定数量に達した際は販売終了となる。

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ポルシェがEVメーカーRimac Automobili株の持分を15.5%に増やす

Porsche(ポルシェ)は、電気自動車部品とハイパーカーの製造を手がけるクロアチアのRimac Automobili(リマック・アウトモビリ)の株式の持分を増やしつつある。ポルシェによる直近の持分増加は、電動モビリティ、特にバッテリーテクノロジーへのさらなる投資を意図している。

ポルシェがリマック株の10%を取得したのはわずか14カ月前のことだ。そしていまこのドイツ車メーカーは9月6日の発表によると、持分を15.5%に増やそうとしている。

ポルシェ執行役員会の副会長であるLutz Meschke(ルッツ・メッサー)氏は「バッテリーテクノロジー分野でのコラボレーションを強化する狙いがある」と話した。電動スポーツカーのTaycan(タイカン)を披露したばかりのポルシェは、2025年までに電動モビリティに60億ドル超を投資すると明らかにした。Taycanの開発には、工場の拡張を含め10億ドル超を費やした。

なじみのない人のために説明すると、リマックはMate Rimac(メイト・リマック)氏によって2009年に設立され、2018年にジュネーブ国際モーターショーでデビューさせた2シーター「C Two」のような電動ハイパーカーで知られている。

C Twoは驚異の1914馬力、最高速度は時速256マイル(約412km)、わずか1.85秒で時速60マイル(約96km)にまで加速できる。これはTesla(テスラ)CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が2017年11月に発表した次世代Roadsterプロトタイプよりも速い。Rimacのバッテリーはまた、フル充電で404マイル(約650km)の走行を可能にする。これは緩いNEDC基準に基づく数字だが、それでも市場に出回っている他のEVを凌ぐ。

しかし、ザグレブに拠点を置き、550人ほどを雇用するリマックはハイパーカーを生産しているだけではない。同社は高電圧のバッテリーテクノロジーにフォーカスし、また電動パワートレインのエンジニアリングと製造を行い、人とマシーン間のデジタルインターフェースの開発を行っている。同社はまた、電動自転車の開発と生産も手がけている。この自転車事業は姉妹会社Greyp Bikes(グリープ・バイク)という形態で2013年に設立された。

「株主にポルシェを迎えたことは我が社の歴史において最も重要なマイルストーンの1つとなった。ポルシェがいま、持分を増やしているという事実は我々のコラボレーションを表す最高の形であり、さらなる緊密な関係の基礎を表している」と創業者のリマック氏は発表文で述べた。「パートナーシップのまだ始まりにすぎないが、それでもすでに期待に応えるものになっている。将来、我々の暮らしに持って来たい多くの共同開発のアイデアを抱えている。基本的には両社にとってウィンウィンの状況をつくること、それからエキサイティングな電動化モデルを開発することで我々の顧客に付加価値を提供することにフォーカスする」。

リマックに関心を寄せていたのはポルシェだけではない。リマックはすでにRenault(ルノー)、Jaguar(ジャガー)、Aston Martin(アストン・マーティン)とも提携している。そして今年5月、韓国の現代自動車と起亜自動車がジョイントで8000万ユーロ(約95億円)をリマックに投資した。このディールでは、3社は高パフォーマンスの電気車両を共同開発することに合意している。

画像クレジット: VW

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(翻訳:Mizoguchi)

伊藤忠が米国のリサイクル会社TerraCycleと提携、持続可能なリサイクルビジネス参入へ

伊藤忠商事は9月6日、米国のリサイクル業者であるTerraCycle(テラ・サイクル)との資本・業務提携を発表。伊藤忠がリサイクルビジネスに本格参入することを表明した。

TerraCycleは、米国で2001年に2人の大学生が有機肥料の会社として立ち上げたことに始まる。大学のカフェテリアから出る食べ残しをミミズに与えてミミズの堆肥を作り、それを溶かして有機肥料を製造する事業を展開していた。しかし、設立当初は資金が限られていたため、肥料を入れて売る容器を調達できず、ゴミ箱から回収した炭酸飲料のペットボトルを使ったのが、リサイクル事業を始めるキッカケになった。

現在同社は、リサイクル困難な資源を回収し、さまざまな製品に再生する技術を擁する。大手消費財メーカー、小売業者、都市、施設などと連携することで、使用済みのおむつ、たばこの吸い殻、製品の空き容器、パッケージといった従来は埋立地に置くか焼却所で処分するしかなかったモノを回収・リサイクルする事業を米国や日本を含む21カ国で展開している。

具体的なリサイクル事例は国内でも進められている。日本法人であるテラサイクルジャパンは、オートバックスセブンとP&Gと組んで、使用済みの自動車用消臭芳香剤を反射板キーホルダーにリサイクルする活動を行っているほか、3Mのスポンジロクシタンの容器などを回収するプログラムもある。

最近では、スターバックス・コーヒーが2020年までにストローをプラスチック製から紙製に切り替える動きを見せるなど、処分に手間とコストのかかるプラスチックゴミを出さない取り組みも欧米を中心に進んでいる。伊藤忠商事は今回の提携により、TerraCycleが持つリサイクル技術やネットワークを活用して、日本やアジアにおけるリサイクル事業の展開を推進していく。

関連記事:TerraCycle introduces speakers made of candy wrappers, chip bags

TileとGoogleアシスタントの統合で忘れ物を探せるようになる

アップルが忘れ物タグを出すようだと噂されている中、米国時間9月6日、TileGoogleと協力し、AndroidデバイスなどでGoogleアシスタントから簡単に忘れ物を見つけられるようにすると発表した。初心者でも簡単に使えるTileは、鍵や財布、バッグなどに付ける小さなハードウェアアクセサリで、Bluetoothテクノロジーと、スマートフォンのTileアプリを利用するユーザーのネットワークで場所を追跡することができる。

今回発表されたGoogleアシスタントとの統合で、ユーザーは紛失したものに付けてあったTileを音声コマンドで鳴らせるようになる。Tileの「ダイレクトリング」テクノロジーにより、紛失したアイテムと直接接続し、音を鳴らせるという。

Googleアシスタントとの統合は、スマートホームのアクションと似たものになる予定だ。Tileは、この機能を年末までに提供するとしている。

TileのCEOであるCJ Prober(CJプロバー)氏は発表の中で「これはTileのお客様にとってビッグニュースだ。財布やリモコン、バッグなどが行方不明になったら、シンプルな音声コマンドでGoogleが捜索隊に参加してくれる」と述べた。

このタイミングでTileがGoogleアシスタントとの統合を発表したことは興味深い。

米国時間9月10日にiPhoneのイベントを開催するアップルがTileの競合製品を開発中であることがわかっている。最近、iOS 13の「探す」アプリに「アイテム」という新しいタブを参照するコードがあることも発見され、今後の登場を示唆している。

アップルがこうしたハードウェアをいつ公開するかは、もちろん不明だ。しかしTileは、アップルの発表に先駆けて、AndroidとGoogleアシスタントユーザーに向けて今回の発表をしたと思われる。

TileはBluetoothを利用する忘れ物タグのトップメーカーのひとつに成長している。2018年には2200万個を販売し、世界中の230の国と地域で毎日500万件を超える紛失物が探されている。

TileはBLEチップメーカーなどと協力して、さらに多くのコンシューマ向けデバイスを探せるようにと手を広げている。

そのうちの1社、ゼンハイザーは米国時間9月6日、ベルリンで開催されているIFA 2019でMOMENTUM ワイヤレスヘッドフォン(399ユーロ、約4万7000円)を発表した。このヘッドフォンにはTileのCommunity Fineテクノロジーが内蔵され、ユーザーはヘッドホンが見当たらなくなったときに探すことができる。

Tileによれば、ゼンハイザー以外にも20社以上と提携しているという。

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(翻訳:Kaori Koyama)