家庭の電力利用をよりスマートにすることを使命とするSpan、新しいEV充電器Span Driveをリリース

エアコンや洗濯機、乾燥機などの電化製品が家庭で主役を務めた時代は終わった。最近は、EV(電気自動車)充電器、太陽光発電パネル、蓄電ソリューションなどにより、家庭の電力利用状況はますます複雑度を増している。Spanは、そうした状況にスマートさを組み込もうとしている会社の1つだ。同社がこのたびリリースしたSpan Driveは、さまざまなルールに基づいてEVをさらにパワフルな存在にするEV充電器だ。

米国の家庭はますます電化が進み、とりわけ最新の電化製品は古い設計の家では想定されていないような大量の電力を消費する。エアコン、ヒーター、ヒートポンプ、給湯器、洗濯機、乾燥機、電気コンロ、電気オーブン、EV充電器、蓄電装置などは、多大な電力を消費する可能性がある。それに加えて、ソーラーパネルを設置する家庭が増えたため、大量の電力が家庭に入ってくるようになった。こうした状況の中、米国家庭の電力状況は複雑度を増し、電力を大量消費するようになっているが、実際には、こうした電化製品をすべて同時に使用することはまずない。これは、最近の電子設計が直面している難題である。つまり、家庭に送電網から送電されてくる電力が最大100Aで、家庭にある電化製品の消費電力の合計が180Aであっても、実際にはそれらの電化製品をすべて同時に使用することはおそらくない。問題は、一時的に、すべての電化製品の電源を同時にオンにした場合、少なくともブレーカーが上がるまでは、電力会社にとって厳しい状況になるという点だ。

Spanはこうした問題を解消してくれる。Spanは5月に、家庭用スマートブレーカーパネルをリリースし、その数カ月前に2000万ドル(約22億8000万円)の資金調達ラウンドを発表した。同社はこのたび、500ドル(約5万7000円)のEV充電器Span Driveをリリースし、それに合わせて、3500ドル(約40万円)のブレーカーパネルは、今家庭で最大の電力を消費する装置である電気自動車向けにスマート性能が強化された。

「当社は、家庭でアンペアを100から200、200から400に上げる際のコストや時間をかけることなく、電化製品を追加し続けることができるようにしたいと考えています」とSpanのCEO Arch Rao(アーチ・ラオ)氏はいう。

「ブレーカーパネルをアップグレードするというより、家庭内の電化製品の使われ方を基本的に考え直して、電源管理を改善し、クリーンエネルギーと電化製品の統合を強化したいと考えています。従来のブレーカーパネルは安全装置としては大変優れていました。家庭に入ってきた電気はこのパネルを経由して家庭内の各装置と回路に分配されます。回路の動作状況が危険なレベルに達すると、回路は遮断されます。これがブレーカーの仕事であり、その仕組みは約100年間進歩していません。つまり、受動的な安全装置として機能しているのです」とラオ氏は説明する。「ブレーカーパネルが設置されている場所こそ、まさしくイノベーションが必要な場所です。ブレーカーパネルはグリッドと家庭内のすべての電化製品の交差点に位置しています。電化製品だけではなく、ソーラーシステム、電気自動車、蓄電システムなども、ブレーカーパネルに接続されています。当社が開発した新しいパネルは、グリッドと安全に遮断または再接続するための装置であるという点で、単なる安全装置としての機能よりもはるかに多くの仕事をします」。

グリッドとの接続とグリッドからの遮断は、グリッドに依存して生活している人たちにとって重要な点だ。家庭を、少なくとも電気的には、島に変えることができるというのが、将来的な観点から見たときのSpanのシステムの興味深い点の1つだ。また、Spanのパネルを使用すれば、停電時に従来よりも長く自力で電力を供給できる。蓄電ソリューションが設置されている家庭では、このパネルはよりスマートに動作する。停電を検出すると、不要な電気製品の電源が落とされる。例えばサーモスタットをオフにして、食品が腐らないように冷蔵庫や冷凍庫をできるだけ長く稼働させる。

Span Driveはしゃれたデザインの低価格EV充電器で、Span製パネルの機能を拡張する(画像クレジット:Span)

このシステムはアプリで制御できる。このアプリで家の電気の使い方に関する「ルール」を設定できる。例えば太陽光発電でまかなえるときだけエアコンを稼働するよう選択できる。48Aを電気自動車に接続して高速充電するよう選択する場合は、他の大量に電力を消費する電化製品の電源を落として、総電力消費量を100A以下に抑えるようにする。逆のケースもある。つまり、できるだけ高アンペアで高速充電しているときに、乾燥機、エアコンが同時に稼働し、電気オーブンと電気コンロで料理を始めると、Span Driveは充電に使用する電流を下げ、子どもたちが食事を済ませ、衣類がすっかり乾いてみんなでハグできるようになったら元に戻す。

あるいは、電気自動車の充電を太陽光発電でのみまかなうようSpan Driveをプログラムすることもできる。Tesla(テスラ)のオーナーは信号待ちから静かに発信させてフェラーリを抜き去りたいといつも考えているようだが、Span Driveのこの機能でそうしたオーナーの自己満足度は何倍にもなるに違いない。

もちろん、Spanのパネル自体から回路をオン / オフすることもできるが、このパネルは各回路に分配されている電力量を把握しているため、家電製品が増えてもより細かい制御が可能になる。これにはおそらくAmazon(アマゾン)のアイデアも一部入っているのだろう。アマゾンはSpanの最近の投資ラウンドに参加し、Alexaとの互換性を実現することも発表した。

ある意味、Spanは、従来家庭内でスマートさを欠いていた部分に多くのスマートな機能を組み込んだように感じる。電力はそのままではローテクだが、電化製品のスマート性が向上し、IoTの波が日常的に使う多くの電化製品にまで押し寄せる中、Spanは家庭全体に、マイクログリッドを構築しているように思われる。それは、孤立したゾーンであり、まだ誰も使い方を知らない強力な機能を備えている。SpanのCEOもその点を認識しており、同社は家庭の未来の争奪戦の真っ只中にいることに同意する。

「ブレーカーパネルには、他のどんな製品にもない永続性があります。今後30年は、現在と変わらず壁に設置されたままでしょう。もちろん、将来を見据えた設計についても考えています。現在当社が提供している機能は、競合他社が提供するどのような機能とも一線を画すものです。未来に重点を置くことで、現行のさまざまなソリューションを基本的な部分で凌駕していると思います」とラオ氏は話す。

画像クレジット:Span

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

イランに支援されたハッカーがランサムウェアでインフラ分野の組織を標的に、米政府が警告

米政府は、オーストラリア、英国の政府とともに、イランの支援を受けたハッカーが米国の重要インフラ分野の組織を標的にしており、一部のケースではランサムウェアを使用していると警告した。

イランとランサムウェアを結びつける珍しい警告は、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)、連邦捜査局(FBI)、オーストラリア・サイバーセキュリティセンター(ACSC)、英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)が現地時間11月17日に発表した共同勧告に盛り込まれている。

この勧告によると、イランの支援を受けた攻撃者が、少なくとも3月以降Fortinetの脆弱性を、10月以降はMicrosoft Exchange ProxyShellの脆弱性を悪用して、米国の交通機関や公衆衛生分野の重要インフラ組織、およびオーストラリアの組織にアクセスしているという。ハッカーの目的は、最終的にこのアクセスを利用して、データ流出、恐喝、ランサムウェアの展開などの後続作業を行うことにある。

例えば、2021年5月、ハッカーはFortigateを悪用して、米国の地方自治体のドメインを管理するウェブサーバーにアクセスした。その翌月にCISAとFBIは、ハッカーがFortinetの脆弱性を悪用して、米国の小児医療専門病院のネットワークにアクセスしたことを確認している。

今回の共同勧告は、Microsoft(マイクロソフト)が発表したイランのAPTの進化に関する報告書と併せて発表された。イランのAPTは「資金を集めるため、あるいは標的を混乱させるためにランサムウェアをますます利用している」。報告書の中でMicrosoftは、2020年9月に始まった攻撃でランサムウェアを展開し、データを流出させている6つのイランの脅威グループを追跡している、と述べている。

同社は、Phosphorusと呼ぶ(APT35としても知られる)、特に「攻撃的」なグループを取り上げている。以前はスピアフィッシング電子メールを使って、2020年の米選挙の大統領候補者などを含む被害者を誘い出していたが、Microsoftによると、このグループは現在、ソーシャルエンジニアリング戦術を採用して被害者との信頼関係を構築してから、Windowsに組み込まれたフルディスク暗号化機能であるBitLockerを使ってファイルを暗号化しているとのことだ。

CISAとFBIは、イランの攻撃者がもたらす脅威を軽減するために、OSのアップデート、ネットワークセグメンテーションの実施、多要素認証と強力なパスワードの使用など、一連の行動をとるよう組織に呼びかけている。

画像クレジット:Scott Olson / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

ロシアの対衛星兵器実験により追跡可能なだけでも1500個以上のデブリが発生、ロシア人飛行士も滞在のISSに襲来

ロシアの対衛星兵器実験により追跡可能なだけでも1500個以上のデブリが発生、ロシア人飛行士も滞在のISSに襲来

NASA

11月15日、国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士はスペースデブリの接近のためステーションにドッキング中の帰還用カプセルに避難しなければなりませんでした。ISSは90分周期でこのデブリ空域を通過したため、飛行士は何度も退避を余儀なくされたとのこと。

このようなデブリが発生したことに関して、米国国務省はロシアがミサイル実験によって同国の人工衛星を破壊し、ISSが通過する低軌道上に追跡可能なだけで1500個以上のデブリを撒き散らしたことだとしています。国務省のネッド・プライス報道官は「ロシアの行為はISSに滞在する宇宙飛行士やその他の有人宇宙飛行へのリスクを著しく高めるものだ」と述べ「ロシアの危険で無責任な行動は宇宙空間における長期的持続可能性を危機にさらし、宇宙の平和利用を掲げるロシアの声が弱々しくしかも偽善であることを明確にしている」と非難しました

一方、NASAのビル・ネルソン長官は、ロシアの対衛星兵器事件で発生したデブリのために、ISS滞在中の飛行士は安全確保の緊急手順の実施を強いられた。アントニー・ブリンケン国務省長官とともに「私もこの無責任かつ危険な動きに憤慨している。有人飛行の長い歴史を持つロシアがISSに滞在中の米国やパートナー国、さらに自国の飛行士までもを危険に晒すことは考えられない。彼らの行動は無謀でなおかつ危険であり、中国の宇宙ステーションやそこに滞在する飛行士までも脅かしている」と強く批判。さらに「あらゆる国は対衛星兵器によるデブリの意図的な発生を防止し、安全で持続可能な宇宙環境を育成する責任がある」としました。

米国はこの事態に対応するため、同盟国と協力していくと述べています。一方ロシアはこの件について沈黙したままです。

NASAとRoscosmosは、2007年にも中国がミサイルの実験のために破壊した人工衛星の破片を避けるために、ISSの位置をずらすなどの対応をさせられてきました。普段我々はその存在を忘れてはいるものの、当時に発生した破片はいまも継続して追跡されており、先週にはそのうちのひとつがISSに衝突する可能性があることがわかり、やはりISSを移動させる措置を強いられています。現在追跡されているデブリの数は約2万個に及んでいます。

今回のロシアの行為もこうした継続監視しなければならないデブリを大量に発生させる行為であり、ISSに自国の飛行士を滞在させている国として理解に苦しむ行動と言うほかありません。

(Source:ReutersAPNASAEngadget日本版より転載)

バイデン大統領、ファーウェイやZTEなど国家安全保障上の脅威になりうる通信機器に対する規制強化法案に署名

バイデン米大統領、ファーウェイやZTEなどなど国家安全保障上の脅威になりうる通信機器から政府を保護する規制強化法案に署名

Barcroft Media via Getty Images

バイデン米大統領が、国家安全保障上の脅威になりうる通信機器から政府の「機器認可プログラムおよび競争入札プログラムによる通信サプライチェーン」を保護するための「Secure Equipment Act」に署名しました。この法律によってHuaweiやZTEといった米連邦通信委員会(FCC)の「対象リスト」に掲載されている企業に対してFCCは免許の発行や審査プロセスを実施できなくなります。

FCCコミッショナーのブレンダン・カー氏は「我々はすでにこれらの企業の機器が国家安全保障に受け入れがたいリスクをもたらすと判断しており、これは私が “ファーウェイの抜け穴 “と呼んでいるものを粛々と、適切に塞いでいるということだ」と述べました。

2020年にFCCはHuaweiとZTEを国家安全保障上の脅威とみなし、中国政府(中国共産党)と緊密な関係にあると確認しました。しかし、米国の連邦予算が関与しない部分においては、それら企業は依然として通信機器としてのライセンスを申請できる状態にあり、カー氏はその”抜け穴”をなくすために今回の法制定を呼びかけていました。FCCは2021年より19億ドルの予算を投じて、米国内の通信企業がHuaweiやZTEの機器をリプレースための補助金プログラムを実施しています。

今回のSecure Equipment Actの成立に対し、2社は記事執筆時点でコメントを出していませんが、2020年にはFCCが提出した法改正案に対しHuaweiが「見当違いかつ不当に懲罰的だ」としていました。

FCCは今回成立した法律以外にも、すでに機器に付与されているライセンスを取り消し可能にする新たな法律を提案しています。また先月には、FCCが国家安全保障上の懸念を理由としてチャイナテレコムの米国子会社の米国内事業許可を取り消すことを決議しています。

(Source:ZDNetEngadget日本版より転載)

【コラム】中国の次世代ハッカーは犯罪者ではない、それが問題だ

中国には、犯罪者たちが国家に代わってサイバースパイ活動を行ってきた長い歴史がある。犯罪者から政府のハッカーになった者が、中国の国家安全部(MSS)に所属することで訴追から守られ、中国のスパイ活動の多くを行っている。驚くべきことだが、これは今に始まったことではない。例えば2020年米国司法省が発行した起訴状によると、2人の中国人ハッカーによる同時多発的な犯罪・スパイ活動が、2009年にまで遡ることができるという。また別のケースでは、MSSハッカーの別働隊であるAPT41が、2012年に犯罪組織として始まり、2014年以降は国家スパイ活動を並行して行うように移行したとサイバーセキュリティ企業であるFireEye(ファイアアイ)が主張している。ともあれ、それ以降、中国は変化のための基礎を築いてきたと考えられるのだ。

2015年に始まった相次ぐ政策により、中国は契約を結んだ犯罪者たちを、大学からの新しい血で置き換えるようになった。2015年における中華共産党(CCP)の最初の取り組みは、大学のサイバーセキュリティ学位を標準化することだったが、このとき参考にされたのが米国の人材パイプラインを改善するための国立標準技術研究所(NIST)のフレームワークである「National Initiative for Cybersecurity Education」(NICE、サイバーセキュリティ教育のための国家プログラム)である。その1年後、中国は新たに「National Cybersecurity Talent and Innovation Base」(国家サイバーセキュリティ人材・イノベーション基地)を武漢に建設することを発表した。基地のすべての構成部署を合わせると、年間7万人がサイバーセキュリティのトレーニングと認証を受けることができる。

同様に、2017年には、中国のサイバースペース中央管理局が“World-Class Cybersecurity Schools”(世界レベルのサイバーセキュリティ学校)」という賞を発表した。このプログラムは、米国の一部の政府機関が大学をサイバー防衛や運用における”Centers of Academic Excellence”(優秀アカデミックセンター)として認定しているのと同様に、現在11校を認定している。しかし、犯罪に手を染めていない新たな人材を確保したからといって、中国の作戦が変わる理由にはならない。

国家のハッキングチームを専門化する取り組みは、習近平国家主席の政治的目標である汚職の削減にも直結している。習近平氏が最近行った中国の国家安全保障機関の粛清は、政府の資源を利用して役人が私腹を肥やすことのリスクを示したものだ。契約ハッカーとその指示者との関係そのものがまさに、習近平氏が徹底した反腐敗キャンペーンの対象としてきた私腹を肥やす行為なのだ。

熾烈が増す環境の中で、国際的な反感を買ったり、海外で訴追されるようなオペレーションを行っている役人は、ライバルに寝首をかかれる可能性がある。内部調査員に狙われた職員は「黒監獄」に収監されてしまうかもしれない。中国の国家保安機関は、腐敗官僚を排除し、ハッカーを直接雇用することで、地下のハッカーとの関係を切り捨てていくだろう。

これらの施策の意味するところは、世界の企業や諜報機関が防御を続けてきた中国のハッカーたちが、10年後にははるかにプロフェッショナルな存在になっていることを示唆している。

より有能となった中国は、現在の中国とは異なる行動をとるだろう。中国公安部は、その犯罪行為やスパイ活動を隠すために不正なハッカーに依存していることから、一部のサイバー犯罪者の中国での活動が問題になっているにもかかわらず、それを容認している。犯罪行為が常態ではなくなれば、中国の国家保安機関はこれらの活動を組織内に移すことができるようになる。なぜなら政府のスパイ活動は国際関係上認められた行動だからだ。その結果、中国公安部はサイバー犯罪者に対してより多くの作戦を行うことが可能になる。アナリストは、戦術の変化を示す良い指標となる、内部に焦点を当てたこのような反犯罪活動の強化に注目すべきだろう。

このような中国のサイバー能力の変化は、標的となる国や団体のリストが増えるにつれて、海外でも感じられるようになるだろう。国家ハッカーの数が増えれば、長い間低迷していたスパイ活動が再び注目されることになるだろう。中国のハッキングチームはすでに最高レベルに達しているので、これらの作戦は過去のものよりも「洗練」されたものにはならないだろう。しかし、その頻度は高くなるだろう。

中国の保安機関に支えられたハッキングが着実に犯罪性の皮を脱ぎ捨てていく中で、今後10年間は、契約ハッカーや国家と関係する者が行うサイバー犯罪は減少していくことが予想される。しかし、このような凶悪な行為からの脱却は、スパイ活動や知的財産権の窃盗の増加と対になっている。あとから振り返れば、中国が犯罪者ハッカーに頼っていたことは、腐敗していて素人同然だった古い体質のMSSの名残のように見えるだろう。

この変化は徐々に進むと思われるが、保安機関内での取り締まりの噂や、犯罪グループの消滅や起訴の報告などの、一定の兆候を見ることができるだろう。時間の経過とともに、既存の犯罪者とハッキングスパイチームの間で、技術的な内容が徐々に分離されていくことが予想される。

しかし、スパイ行為そのものはルール違反ではないので、米国の政策立案者は、政府機関、防衛産業基盤、重要インフラ事業者などのサイバーセキュリティに引き続き優先的に取り組む必要がある。ホワイトハウスはすでにこの方向に進んでおり、2021年8月にはサイバー政策についてNATOの同盟国を集め、50万人分のサイバーセキュリティ関連の求人が必要であることを確認した。その一部として、米国国家安全保障局(NSA)が、システム全体のサイバーセキュリティを高めるために、2021年の初めに「Cybersecurity Collaboration Center」(サイバーセキュリティ協力センター)を立ち上げている。米国ではすでに、CyberPatriot(サイバーパトリオット)のようなコンテストを利用して、学生たちをよく整備されたサイバーセキュリティの人材パイプラインに送り込んでいる。サイバーディフェンスの認定を受けたコミュニティカレッジでの、再教育を目的とした新しいプログラムを作ることは、既存のリソースを活用することになるものの、米国内で幼稚園から高校までの教育を受けてこなかった新しい学生も惹きつけることになるだろう。

何よりも、政策立案者は警戒を怠ってはならない。中国が犯罪者を利用しなくなったからといって、その脅威がなくなったわけではない、ただ変化しただけだ。米国政府は、中国の次世代ハッカーに対抗するために、あらゆる選択肢を真剣に検討する準備をしなければならない。

編集部注:著者のDakota Cary (ダコタ・カリー)氏は、ジョージタウン大学のCenter for Security and Emerging Technology(CSET)のリサーチアナリストで、同センターのCyberAI(サイバーAI)プロジェクトに従事している。TechCrunch Global Affairs Projectは、ますます密接になっているハイテク分野と世界の政治との関係を検証している。

画像クレジット:ilkaydede / Getty Images(画像修正済)

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(文:Dakota Cary、翻訳:sako)

数週間を1〜2日で、オンデマンドの家庭用修理サービスを提供するPuls Technologiesが約17億円調達

家に住んでいると、必ず何かが壊れるもの。そして、誰に連絡すればいいのか、修理費用を負担できるのかを把握するのは難しい。そこで、Puls Technologies(パルス・テクノロジーズ)の出番となる。

Hanaco Venture Capital(ハナコ・ベンチャー・キャピタル)から1500万ドル(約17億円)の出資を受けたPulsは、カリフォルニア州リバモアを拠点とし、モバイルアプリを使ってオンデマンドの住宅修理サービスを提供している。また、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、オーブンなどの家電製品を対象とした、月額約29ドル(約3300円)からの家電製品保証オプションを開始し、住宅保険市場も狙っている。

Pulsは、予測アルゴリズムを利用して技術者と仕事をマッチングさせることで、手間をかけずにタイムリーに修理を行い、通常は数週間かかるところを1〜2日で完了させることができる。同社は、米国の20都市で7000人以上の審査済みの技術者と連携している。

同社は当初、2015年に携帯電話の修理サービスとしてスタートし、2020年にビジネスモデルを会員制に転換する経営転換を行ったと、PulsのCEOであるGabi Peles(ガビ・ペレス)氏はメールで語っている。

従来の住宅保証サービスに関して顧客から寄せられる年間数千件の苦情を目の当たりにしただけでなく、米国人の61%もが予期せぬ出費として1000ドル(約11万3900円)も確保する経済的余裕がないことを知り、家電保証を狙うことにしたのだそうだ。

「高額な料金、細かい文字、費用のかかる問題の除外、作業員の派遣の遅れなどが、従来の保証プランの限界を表しています。Pulsは、ユーザーがリーズナブルな価格で、ほとんどの家庭用電化製品に対してより多くの保証を得ることを可能にします。また、技術者の体験を向上させ、1日にアクセスできる仕事の量を増やし、アップセルやクロスセルによる収入の機会を提供することで、新規ビジネスを促進するプラットフォームを提供することにも取り組んでいます」とペレス氏は述べている。

以前の経営体制では、Pulsは2018年に遡って5000万ドル(56億9600万円)のラウンドを含む9600万ドル(約109億円)を調達した。今回の1500万ドル(約17億円)は、同社の新たな経営陣のもとでは最初のものだとペレス氏は述べている。

Puls Technologiesのアプリ(画像クレジット:Puls Technologies)

同社は、過去1年間で従業員数を約2倍の60人に増やすなど、過去6カ月間で100%成長した。その中には、世界的な大流行により、人々が家で過ごす時間が長くなったことで、家の修理の必要性が高まったことに関連した需要もあったという。

ペレス氏の説明によると、平均的な冷蔵庫のドアの開閉回数は1日20回だが、家にいる時間が長くなると100回以上になり、ドアの修理依頼が増加するそうだ。

Pulsは、今回の資金調達を機に、40都市以上に拠点を拡大し、2022年末までに従業員を100名以上にする予定だ。

一方、Hanaco Venture Capitalのゼネラルパートナー兼共同設立者であるLior Prosor(リオール・プロソール)氏は、Pulsは、市場規模が大きいだけでなく、何十万もの異なるサービスプロバイダーによって断片化されている米国の住宅修理・メンテナンスサービス市場を狙っているとメールで述べている。

その状況のせいで、技術者と住宅所有者の両方がサービスを受けられずにいる。技術者は自分の仕事を向上させるためのツールを持たず、住宅所有者は精彩を欠いたサービスを受けなくてはいけなくなっているのだと彼は付け加えた。Pulsは、スケジュール管理、価格設定、請求書作成、顧客サービスを行うことで、技術者が顧客に専念できるようにする。

「私たちは、2020年に向けて、会社のオペレーティングモデルの変革をさらに推し進める絶好の機会を得ました。私たちは、Pulsの資産を活用して、インシュアテック市場で最高のホームケア企業を構築できるというガビ氏のビジョンに強い確信を持ちました」とプロソール氏は語る。

「この事業は、持続可能な成長軌道を示す、増加していてエキサイティングな事業指標を牽引している新しい会員制商品や保証商品の導入によって、明らかな転換期にあります。同プラットフォームは、費用対効果が高く、プロジェクトベースの仕事と『クリック& フィックス』サブスクリプションサービスの両方において、製品市場への適合性が証明されており、保証と住宅保険の新商品も期待されています」と付け加えた。

画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Amazonプライム・ビデオにクリップ共有機能、オススメ作品のシェアが簡単に

Amazon(アマゾン)が、ユーザーが、テレビ番組や映画のビデオクリップを共有できるPrime Video(プライム・ビデオ)の新機能を展開中だ。ソーシャルメディア上やダイレクトメッセージで、クリップを共有することができる。現在、米国のiOSユーザーのみ利用できる。また、当面はテレビ番組に関しては「The Boys」のシーズン1と「The Wilds」「Invincible」「Fairfax」だけとなる。

これら4つの番組では「Share a clip」(クリップを共有する)ボタンをクリックして30秒のクリップを作ることができる。ボタンをクリックするとストリーミングサービスが番組をポーズして、ビデオをクリップして編集する画面になる。それにより観ていたシーンのクリップが作られるが、前や後にずらして調整することもできる。また、共有前にクリップのプレビューもできる。そして「Share」ボタンを押し、InstagramやFacebook、Twitter、iMessage、Messenger、WhatsAppなどにアップロードしたりシェアする。

画像クレジット:Amazon

Amazonによると、今後は同社のオリジナルムービーや連続番組からもクリップをシェアできるようになる。他のストリーミングサービスは、番組や映画からのクリップを共有する機能がないため、Amazonのこのやり方は独特なものだ。NetflixやDisney+、Huluなどは、ユーザーがコンテンツのスクリーンショットを取ることすら禁じており、それをやろうとすると画面が暗くなる。

Amazonのこの最新の機能は、同社がコンテンツの共有に関して他社とは違った考え方であることを示している。ユーザーにクリップの共有を奨励すれば、プライム・ビデオの視聴率の向上も期待できるかもしれない。友だちやフォロワーの人たちはクリップを見て、そんなオリジナルコンテンツがあることを知り、観たいなと思うだろう。

画像クレジット:Amazon

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Uberの乗車「待ち時間」料金を課す行為が障がい者差別と米司法省が同社を提訴

米司法省は、配車大手のUber(ウーバー)が障がいを持つ乗客を差別しており、障がいを持つアメリカ人法(ADA)違反だと主張し、Uberを提訴した。

この訴訟は、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に11月10日に提出された。Uberが障がいのある乗客に「待ち時間」料金を課す行為が、差別にあたると主張する。障がいのために乗車に通常より多くの時間を要する可能性があるからだ。Uberは2016年4月に待ち時間ポリシーを開始した。ポリシーでは、Uberの車が指定のピックアップ場所に到着した2分後から料金を請求する。

待ち時間料金はアプリで自動的に計算されるが、Uberは、待ち時間料金を免除する裁量をドライバーに与えていない。

司法省は、Uberが障がいのある乗客に十分な乗車時間を与えず、公平な運賃を提示していないため、ADAに違反していると指摘する。訴状によると、車いすや歩行器のように分解する必要がある移動補助器具や、その他の無数の理由により、障がいのある乗客が車に乗り込むのに2分以上を必要とする可能性がある。

訴状には「乗客A」「乗客B」2人の体験が載っている。乗客Aは、四肢麻痺で手動式の車いすを使用する52歳の女性で、Uberで予約した車に乗るのに、平均して5分以上かかっていた。乗車するたびに待ち時間料金が発生していたが、他の交通手段が限られていたため、毎日Uberを使い続けた。彼女は返金を要求しようとしたが拒否された。

脳性麻痺をもつ34歳の男性である乗客Bも、手動式の車いすを使用しており、アプリを通じてほぼすべての乗車について待ち時間料金を請求された。Uberは当初、料金を返金していたが、その後「返金額の上限に達した」と本人に伝えた。

訴状によると「乗客Aや乗客Bと同様、米国中の他の障がい者が、障がいを理由にUberから待ち時間料金を請求されるという差別を受けている」。

ADAは、1990年に議会で制定された画期的な法律だ。Uberは民間企業だが、司法省は、ADAには民間企業が提供する交通サービスにおける差別に対処する権限があるとしている。

訴状は「Uberやその他の類似業者が、従来のタクシーサービスに代わってオンデマンド輸送の主要な選択肢として人気を博している。そのような状況で、Uberは、同社のサービスに頼って移動することを選択した、あるいは単純に頼らなければならない無数の障がい者の自立を確保する上で重要な役割を果たしている」としている。

TechCrunchはUberにコメントを求めており、同社から回答があれば記事を更新する。

訴訟番号は3:21-cv-08735。

画像クレジット:Matthew Horwood/Getty Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】米国によるテックの「中国排除」は利益より害の方が大きい

地政学的な意味よりも、成長のほうをはるかに重視するテクノロジー分野では、米中間の「分離」を推進することは、回避できない脅威をもたらす。分離という概念があいまいであるため、その危険性は増すばかりだ。

米国の中国不信、とりわけテクノロジー分野における不信は今に始まったことではない。10年ほど前のオバマ政権時代に、議会は、Huawei(ファーウェイ)とZTEを米国の通信市場から締め出す処置を取った。

しかし、ジョージ・W・ブッシュとバラク・オバマ政権時代には、中国との対話が広く推進され、2大経済大国で妥協点が見いだされた。中国がグローバル経済のリーダーとして台頭し、米国の重要な貿易相手として地位が高まると(1989年には米国輸入総額における対中国貿易量は2.5%だったが、2017年には21.6%とピークに達した)、中国を米国主導のグローバル貿易システムに組み込もうとする動きが出てきた。2005年には、国務副長官Robert Zoellick(ロバート・ゼーリック)氏が、グローバルな貿易システムへの中国の参入を受け入れることによって、このシステムは機能し続けるという仮定の下で「責任あるステークホルダー」としての中国という考えを提唱した。

その少し前、米国は中国の世界貿易機関(World Trade Organization)への2001年加盟に同意した。この時期は転換点として見られることが多いようだが、実際には単なる通過点に過ぎなかった。その年、米国の総輸入額に占める中国の割当はすでに9.0%に達していた。さらに、中国製品の輸入額の増大は、アジア貿易のリバランスに大きな影響を与えた。1989年から2017年の間に、米国総輸入額に占めるアジア諸国(中国も含む)の割当は42.3%から45.2%に増大したに過ぎなかったのだから。中国の相対的な成長は日本やマレーシアなどの国々のシェアを奪う結果となり、アジアにおける勢力バランスが書き換えられた。この変化は、標準的な貿易会計処理によって誇張もされた。中国で完成し、中国の付加価値を10%しか含まない製品でも、貿易統計では100%中国製とみなされるからだ。

製造国がどこであれ、重要なのは十分に成熟したアジアのサプライチェーンに中国が主要プレイヤーとして組み込まれたということだ。しかし、関係は深まっていたが経済システムがまったく異なるため、米中間の隔たりは蓄積していった。トランプ政権下では、新たな貿易障壁のほうが優先され,、対話は後回しにされた。米国が中国からの輸入品に数千億ドル(数十兆円)の関税を課すると、中国側も米国製品の関税を引き上げて対抗した。トランプ政権の関税政策は当初、最終的な政治目標を達成するための一時的な手段とみなされていたが、トランプ政権内部には、2国間の貿易量が減少することに価値を見いだしていた有力な政策立案者もいた。

トランプ政権で国家安全保障顧問代理を務めたMatthew Pottinger(マシュー・ポティンガー)氏は後に次のように書いている。「主要な米国機関、とりわけ財務およびテクノロジー関連の各機関は、数十年に渡る『深い関係性』(つまり、何よりもまず経済協力と貿易を優先する対中政策)によって自己破壊的な習慣に陥ってしまったのです」。そして、そこから抜け出すには「ハイテク分野で主導権を握るという中国の野心をくじくために」大胆な策を取るべきだとしている。バイデン政権は最近、長期に渡る検証の結果、トランプ政権の関税政策を維持すると発表し、議会はテクノロジー面での脱依存を支援するイニシアチブへの資金供給を後押ししている。中国への依存、とりわけテクノロジー面での依存を減らそうとするこうした動きは、広い意味で中国との「分離」になると考えられる。

米中間の分離を求める新たな声が強まっている現状を見ると、分離という言葉は明確に定義されていると思うかもしれない。だが、少し考えてみれば、この言葉は明確さに欠けることが分かる。もちろん、上記の関税障壁によって米中間の貿易量は減少する方向へと向かうだろうが、そもそもこの政策の着地点はどこなのだろう。

分離とは、米国が海外からの、および海外への直接投資を控えるということなのか。米国債の購入などポートフォリオ投資も禁止するのか。米国は中国企業によって製造された最終製品の輸入を回避するべきという意味なのか。中国で生産活動をしている欧州の企業についてはどうするのか。中国国外で製造しているものの、中国製の部品を使用している欧州や米国の企業はどうするのか。あるいは、中国市場で販売しているため、おそらく、中国の影響を受けていると思われる企業についてはどうするのか。

米中2大経済大国間の広範に渡る経済関係を考えてみれば、この2大国を完全に切り離すことなど不可能だということがわかる。中国を排除しようとしても、おそらく、勢力関係のリバランスが起こるだけで、中国がサプライチェーンから消えることなどありえない。これは、EU各国などグローバルな経済大国が、中国との分離など、たとえ漠然であっても考えてないことからも、間違いのないところだ。

このように米中の分離というものの性質が漠然としていることは、テクノロジー分野にとってとりわけ大きな脅威となっている。数十年に渡って、規模の経済性を活かし、製造コストを下げることを追い求めた結果、テクノロジー分野では製品のグローバルな製造が高度に統合されていった。特に、半導体など、最近登場した競争の熾烈な分野では、大規模な投資を事前に行う必要がある。そのため、急激なルール変更の影響を特に受けやすい。政策立案者たちは、サプライチェーンの中断という困難な時期に(分離という)疑わしい概念に実体を与えようと躍起になっている状況だ。議会が提案しているいくつかの法案のように、そうした分野に膨大な補助金を支給するという政策は魅力的に思えるが、日本などの国が同じように自国の企業に補助金を支給して対抗してくると、その効果は失われる。

米国が上記の質問に対して過激な答えを返し、中国との分離について絶対主義的な立場を取れば、米国は自国の技術力を損ない、グローバルな部品調達競争への参戦を自ら拒否し、他国に力を与えることになるだろう。現時点で政治的に実行可能な唯一の代替策として考えられるのは、米国が穏健な立場をとり、中立的な立場を模索するというものだ。そうなると、ルールは常に進化し予測不能となる可能性が高い。

いずれにしても、米中分離の支持者たちはこうした動きは非生産的であると気づくことになるだろう。その結果、戦略的政策に関する懸念を解決するどころか、米国のテクノロジー分野でのリーダーシップの翳りが真っ先にもたらされることになるだろう。

編集部注:本稿の執筆者Phil Levy(フィル・レビー)博士は、Flexportのチーフエコノミスト。それ以前は、ホワイトハウスや国務省で国際経済政策を担当していた。

画像クレジット:xPACIFICA / Getty Images

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(文:Phil Levy、翻訳:Dragonfly)

米議会、自動車に飲酒運転防止技術を義務化

米議会は、バイデン大統領の巨大なインフラ法案とともに、飲酒運転撲滅のために過去最大の後押しをしている。以前の報告にあったように、その条項の1つは新車への飲酒運転防止技術の搭載を義務付けることが含まれていた。現在、Autoblog(オートブログ)が報じたところによると、インフラ投資・雇用法はこの措置をそのまま残して議会を通過し、近日中に大統領の署名が行われる見込みだ。この法案の一環として、自動車メーカーは早ければ2026年までに、飲酒運転を検知して停止させる技術を搭載しなければならなくなる。

しかしまずは、運輸省は飲酒運転を抑制するための最善の解決策を決定しなければならない。具体的には、この法案は「運転者に影響があるかどうかを正確に識別するために自動車の運転者のパフォーマンスを受動的に監視する」ことが求められている。Guidehouse Insights(ガイドハウスインサイト)の主席モビリティアナリストであるSam Abuelsamid(サム・アブエルサミド)氏は、この法案は、GMや日産などがすでに採用している赤外線カメラソリューションに似ているとAP通信に語った。もちろん、飲酒運転の罰則として使用されている飲酒検知器よりも高度なものが必要であることはいうまでもない。

国家道路交通安全局によると、米国では毎年約1万人が飲酒運転による事故で亡くなっている。より高性能なセンサーと、ドライバーの行動を監視するための多くのカメラ技術を手に入れた今、この種の事故を防ぐためのソリューションを検討することは理に適っている。10年以内には、シートベルトのように当たり前のものになるはずだ。

このインフラ法案には、シートに子どもを残したままにしている親に通知するリアシートリマインダーなど、他の安全対策も含まれている。また、議会は自動緊急ブレーキや車線逸脱警報など、多くの新車がすでに搭載している機能も義務化する予定だ。真の自動運転車がいつ実現するかは不明だが、それまでは、少なくとも人間のドライバーは、事故を防ぐための方法が増えることを楽しみにできる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。寄稿者のDevindra HardawarはEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:SoCalShooter / Getty Images

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(文:Devindra Hardwar、翻訳:Yuta Kaminishi)

NASAがアルテミス有人月面着陸を2025年に延期、ブルーオリジンによる訴訟で

Blue Origin(ブルーオリジン)がNASA(米航空宇宙局)を相手取って起こした有人着陸システム(HLS)に関する訴訟が先週判事によって却下されたこと、中国の宇宙開発計画が進展していることが、米国時間11月9日に行われたNASAのアルテミス計画に関するブリーフィングで、NASA関係者が最も気にかけていたことだった。

NASAのBill Nelson(ビル・ネルソン)長官は、この訴訟について強い言葉を残した。HLSを巡る訴訟で「7カ月近くを失った」と述べた。その結果、今後予定されている2つのミッションが1年以上も延期されることになった。現在、アルテミス2が2024年5月に、女性と有色人種の初の月面着陸を目指すアルテミス3が2025年までに実施されることになっている(アルテミス1は、NASAのスペースローンチシステムとオリオンカプセルを使用した初めての無人ミッションで、2022年初めに予定されている)。

アルテミス計画は、アポロ計画以来、人類を月に戻すためにNASAが計画してきた野心的な一連の打ち上げだ。HLSは、宇宙飛行士を月面に運ぶ最後のカプセルとなる。

Blue Originは、HLSをSpaceX(スペースX)に発注したNASAの決定について、米会計検査院への申し立てに失敗した後、8月にHLSの発注をめぐってNASAを提訴した。同社は、NASAによる提案の評価が「違法かつ不適切」であると主張し、他の抗議活動でも単一の契約を結んだことが反競争的であると述べていた。

しかし、Blue Originとの法廷闘争が、ミッション遅延の唯一の理由、あるいは支配的な理由であるかどうかは不明だ。例えば、ネルソン長官は、トランプ政権が第3ミッションの目標を2024年としていたことについて「技術的な実現可能性に拠っていない」とし、議会が複数の有人着陸システムの開発を支援するための十分な資金を計上していないことも指摘していた。

上院予算委員会は、NASAがHLSプログラムの開発者を2社選ぶことを望んでいることを極めて明確にしていたが、そのために追加で計上した予算はたった1億ドル(約113億円)だった。

「この6カ月間よく調べてみた結果、私にとって明らかになったのは、プログラムの長期的な成功のためには、NASAが真剣に変化する必要があるということだ」と長官は述べている。

また、サプライチェーンの混乱や労働力へ影響を与えている新型コロナウイルス感染症も、遅れの原因の1つだと指摘している。

ネルソン長官「我々は、非常に積極的で優れた中国の宇宙プログラムに直面している」

ネルソン長官はまた、急速に進歩している中国の宇宙計画を繰り返し取り上げ、中国が宇宙飛行士を月に着陸させる能力は「ますます高まっている」と指摘する。同氏は、NASAが安全かつ技術的に実現可能な方法により「ブーツで月面に降り立ち、競争相手を打ち負かす 」ために、できる限り積極的に取り組むと誓った。

中国の宇宙開発はここ数年、驚異的なペースで進んでおり、2021年初めには、独立した宇宙ステーションの最初のコアモジュールを迅速に打ち上げた。2022年までに予定されている11回の打ち上げのうち、3回目の打ち上げだった。また、中国は米国以外で唯一、火星に探査機を着陸させており、10年後までにより複雑なサンプルリターンミッションを計画している。

ネルソン長官は「中国の宇宙計画や中国軍の発言は、彼らが非常に積極的になろうとしていることを示唆しています」と述べた。

画像クレジット:NASA

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

さまざまな便利機能が使えるツイッターの有料サブスク「Blue」が米国とニュージーランドでも提供開始

Twitter(ツイッター)の有料サブスクリプションサービス、Twitter Blueが米国時間11月9日から米国とニュージーランドで始まる。Twitterに最も魅せられているユーザーにアピールするさまざまな機能を提供する。同サービスはiOS、Android、ウェブのいずれにおいても月額2.99ドル(約340円)で利用可能。Twitter Blueは2021年の夏、まずカナダとオーストラリアに登場し、ブックマークを整理したり、Twitterスレッドをきれいなフォーマットで読んだり、ツイートのタイプミスを投稿される前にすばやく修正するなど、さまざまなツールをサブスクライバーに提供した。今回の提供範囲の拡大にともない、Twitter Blueのユーザーは最近公開されたTwitter Labsを通じていくつかの新機能を早期に利用できる他、数百社のパブリッシャーが提供する無広告のニュース記事を読めるようになる。後者はScroll(スクロール)の買収によって可能になった。

そして、追加のボーナスとして、TwitterはScrollのニュース集約サービス、Nuzzel(ナッツェル)を「Top Articles」という名称の新機能として復活させる。

Nuzzelには少数ながら熱心なユーザーベースがおり、TwitterがNuzzelの親会社であるScrollを買収した後、同サービスを終了させたことを残念がっていた。同サービスはTwitterに欠けているツイートの集約レイヤーとして振る舞い、ユーザーのTwitterでつながっている人たちがプラットフォーム上で何を読み、何をシェアしているかを見せてくれる。Twitterのトレンドをただスクロールしていくのと比べて、何が話題になっているのかをよりパーソナルな形で提供する。

画像クレジット:Twitter

この日Twitterは、これと同じ機能をTop ArticlesとしてTwitter Blueサブスクライバーに提供すると発表した。ユーザーは過去24時間に自分のネットワークでもっともよくシェアされた記事を知ることができる。

他にも、保存したツイート(別名「ブックマーク」)をフォルダーで整理して見つけやすくしたり、Twitterのテーマのカスタマイズや、カスタムアプリアイコンの選択、Twitterの長いスレッドをワンタッチで読みやすくフォーマットされた形で閲覧する方法などがTwitter Blueで標準提供される。

画像クレジット:Twitter

そしてもちろん、Twitter Blueは、Twitterで一番求められてきた機能である「edit」(編集)ボタンに最も近いものとして、「Undo Tweet」(ツイートを取り消す)ボタンをサブスクライバーに提供する。これは、ツイートの投稿が完了する前にユーザーがタイプミスを見つけて修正できるもので、すでに公開されたツイートを修正することはできない。

画像クレジット:Twitter

Twitter Blueにはパーソナライズ機能もいくつかある。テーマの変更、カスタムアイコンに加えて、アプリ下のナビゲートタブを、Twitteスペース、ブックマーク、Top Articles、Monetization(収益化)など、好みのTwitter機能に変更できるようになった。これによってユーザーはTwitterがよりパーソナライズされたと感じられるだろうが、Twitterにとっては、今後推奨したい新機能を目立つ場所に設置する機会が制限を受けることになる。

画像クレジット:Twitter

BlueのサブスクライバーはTwitter Labsも利用できる。Twitterが初期段階の機能をまず実験する場所だ。Twitter Labsは当初、10分間の長いビデオをウェブからアップロードできる(一般ユーザーは最大2分)機能と、気に入ったダイレクトメッセージ(DM)の会話を受信箱のトップにピン留めする機能を提供する。いずれも以前発表されたものだ

画像クレジット:Twitter

他に、Twitterにシェアされているニュース記事を、広告や邪魔なものを見ることなく読める機能が追加された。この機能も、TwitterがScrollを買収したことで実現したもので、Scrollがやっていたのと実質的に同じように動作する。同社は数百社のパブリッシャーと提携して、リンクをクリックしたTwitter Blueサブスクライバーに、高速読み込み、広告無しの閲覧体験を提供する。主な参加パブリッシャーには、The Washington Post、BuzzFeed / BuzzFeed News、Rolling Stonre、Variety、Deadline、The Hollywood Reporter、IndieWire、Huffpost、The Atlantic、Insider、USA Today、MacRumors、BGR、Slate、Daily Beast、Miami Herald、Stylecaster、TV Line、Salon、Mother Jones、 The Sacramento Bee、The Philadelphia Inquirer、SEJなどがいる。

Twitter Blueメンバーが対象サイトにリンクされたニュースをクリックすると、広告のない閲覧体験を、Twitterではなく、パブリッシャー自身が提供する。現在300社の米国拠点サイトがTwitter Blue上にあり、今後「もっと増える」とTwitterは言っている。

画像クレジット:Twitter

高速読み込みや邪魔の入らないニュース閲覧は、FacebookのInstant ArticlesやGoogleのAMPなど他のテック巨人も提供している機能だ。しかしこれらの取り組みは、パブリッシャーを特定のフォーマットに縛り付けることで、プラットフォームにおける発見性を支配しかなねい、として議論になっている。プラットフォームが収益の増額などの約束を守らない、あるいはパブリッシャーに提供するユーザーデータが限られているなどという批判を受けたこともある。

しかしTwitterは、同社のニュース閲覧機能はサブスクライバーがお気に入りのサイトを支援する方法の1つであり、Twitter Blueのサブスクリプション料金の一部は協賛パブリッシャーに直接支払われると強調した。アプリには、ユーザー自身が閲覧したことでどのサイトが支払いを受け取ったか、いくら収益を上げたかがわかるグラフもある。

このプランは、少額支払いが広告よりも多くの収益を生むようにするためのものだとTwitterは言っている。

「私たちのゴールは、各サイトがユーザー1人あたり、その人に広告を配信するよりも50%多く収入を得られるようにすることです」とTwitterのプロダクト担当シアニディレクターのTony Haile(トニー・ヘイル)氏が新機能の紹介で語った。「Twitterでは、すぐれた公共の場での対話には、ジャーナリズムエコシステムの繁栄が必要であることを認識しています。そのためにBlueでは、サブスクライバーにとってのよりよいインターネットだけでなく、ジャーナリズムにとってもよりよいインターネットを実現しようとしています」と付け加えた。

しかしこうした少額支払いは、読者にサイトを直接訪れさせることで、広告だけでなくサイトが提供するその他のプロモーションや取り組みと出会うことから得られる潜在収益を完全に置き換えるまではいかない可能性がある。サブスクリプションや無料 / 有料ニュースレター、チケットなど、パブリッシャーが読者に見せたいものはいろいろある。Twitter Blueの読者は、一般ウェブ読者のようにサイトを再訪問できなくなり、総合的なエンゲージメントがを減らす可能性もある。

画像クレジット:Twitter

Twitterは、Twitter Blueの機能の一部は、開始当初、地域やプラットフォームによって変わる可能性があると語った。

Top Articlesは、Androidおよびデスクトップでまず提供される。アプリアイコンやテーマなどのパーソナライゼーション機能、カスタムナビゲーションとDM対話のピン留めはiOSのみだ。長時間ビデオのウェブからのアップロードは、当然、デスクトップのみ。

この日の公開によって、Twitter Blueは米国、カナダ、オーストラリア、およびニュージーランドで利用できるようになった。同社は今後このサブスクリプションを他の市場でも提供する予定だが、現時点では計画についてコメントできないという。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米司法省がテック企業Kaseyaを攻撃したハッカーを起訴、別件の身代金6.9億円も押収

米司法省は、米テクノロジー企業Kaseya(カセヤ)に対する7月のランサムウェア攻撃を指揮した容疑で、ランサムウェアREvilのギャングに関係する22歳のウクライナ人を起訴した。また、悪名高いランサムウェアグループの別のメンバーに絡む600万ドル(約6億8000万円)超の身代金を押収した。

Merrick Garland(メリック・ガーランド)司法長官は11月8日の記者会見で、Yaroslav Vasinskyi(ヤロスラフ・ヴァシンスキー)容疑者が10月に米政府の要請を受けてポーランドで逮捕され、現在、米国への身柄引き渡し手続きの最中だと発表した。ヴァシンスキー容疑者は見つからないようネット上で別名を使用していたが、今はなきランサムウェアREvilの長年関与しており、世界中の企業に対する2500件の攻撃を展開したとして告発されている。

身代金要求額が7億6700万ドル(約868億円)に上るとされるヴァシンスキー容疑者は中でも、米企業1500社超に影響を与え、身代金7000万ドル(約79億円)を要求したKaseyaへの攻撃に関与したとされていることで有名だ。

また、別のREvilアフィリエイトであるロシア人のYevgeniy Polyanin(エフゲニー・ポリアニン)容疑者は、3000件のランサムウェア攻撃を行い、被害者から約1300万ドル(約14億円)を脅し取った容疑で告発されており、米当局はこのハッキングに関連する610万ドル(約6億9000万円)を押収した。ヴァシンスキー容疑者とポリアニン容疑者は、マネーロンダリング、詐欺、保護されたコンピュータへの意図的損害の容疑で起訴されている。

「司法省は、ランサムウェアを使って米国を攻撃した者を特定し、裁くためにあらゆる手段を講じています」とガーランド氏は述べた。

米政府が狙っているのはハッカーだけではない。財務省は11月8日、身代金の取引を促進したとして、暗号資産取引所のChatexに対する制裁を発表した。

さらに、国務省は「Sodinokibi / REvilランサムウェア亜種の多国籍組織犯罪グループで重要な指導的立場にある個人の特定または居場所の特定につながる情報」に対して最大1000万ドル(約11億円)の報奨金を、またREvil亜種のランサムウェア事件に参加した個人の逮捕または有罪判決につながる情報に対して最大500万ドル(約5億6000万円)の報奨金を発表した。

先週は、5月に米国の大手燃料プロバイダーColonial Pipeline(コロニアル・パイプライン)を数日間にわたって操業停止に追い込んだ、いわゆるDarkSideランサムウェアの背後にいるハッカーに関する重要な情報に対して、同様の報奨金を発表した。この前に米国は、Colonial Pipelineがランサムウェアギャングに支払った身代金のうち230万ドル(約2億6000万円)を回収している。

司法省の取り組みにより、過去5カ月でREvilのアフィリエイト7人が逮捕された。欧州の法執行機関であるEuropol(欧州刑事警察機構)は11月8日、REvilランサムウェアを使って5000人を感染させ、恐喝しようとしたハッカー2人がルーマニアで逮捕されたことを発表した。Europolによると、身代金支払いで50万ユーロ(約6500万円)を懐に入れた氏名非公表の2人は11月4日に逮捕された。同日、クウェート当局もランサムウェアREvilの3人目のアフィリエイトを逮捕した。

10月に母国からポーランドに入国しようとして逮捕されたヴァシンスキー容疑者の他にも、2月と4月に韓国でREvilのアフィリエイトと思われる2人の人物が逮捕されたことを当局が11月8日に初めて明らかにした。

Europolは「2021年2月以降、この2つのランサムウェア・ファミリーに関連する計7人の容疑者が逮捕されました。容疑者らは合計で約7000人を攻撃した疑いがあります」と説明した。

今回の逮捕は、17カ国の法執行機関、Europol、Eurojust(欧州司法機構)、Interpol(国際刑事警察機構)が参加した「Operation GoldDust」の成果だ。この作戦には、Bitdefender、KPN、McAfeeなどサイバーセキュリティ業界からの支援もあった。Bitdefenderの研究者は、捜査を通じて技術的な見解を提供するとともに、ランサムウェア攻撃の被害者が身代金を払わずにファイルを復元できるよう、復号化ツールを提供した。

Europolによると、REvil復号化ツールは、ランサムウェア攻撃を受けた1400超の企業のネットワークの復号化を支援し、サイバー犯罪者への支払いを4億7500万ユーロ(約623億円)以上減らした。米当局によると、ランサムウェアREvil全体では、活動を開始してから2億ドル(約226億円)以上を回収した。

今回の逮捕は、ランサムウェア活動を標的とした法執行機関の一連の活動の中で最新のものだ。Europolが10月に主導した作戦では、LockerGoga、MegaCortex、Dharmaなどのランサムウェア攻撃の背後にいると考えられていたウクライナとスイスの容疑者12人が逮捕された。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国との関係は競争ではない、戦争だ。書評「The Wires of War: Technology and the Global Struggle for Power」

ここしばらく、自由市場経済に取り組んでいるように見えた中国だったが、2021年、その幻想は完全に打ち砕かれた。3年前、憲法から自らの任期の制限を撤廃した習近平(シュウ・キンペイ)国家主席は、自国のハイテク企業の権限を突然奪い、今までよりも厳しいメディア検閲を行うように指示した(任期制限の撤廃については、当時NPR[旧称ナショナル・パブリック・ラジオ]が指摘したように、中国はいずれにせよ「何千年もの間、絶対君主によって支配されてきた」国であり、任期制限は1980年代に初めて導入されたものも、短期間の実験的なものであった)。

ブルッキングス研究所の中国戦略イニシアチブ共同議長であり、スタンフォード大学サイバーポリシーセンターの元シニアアドバイザー、Google(グーグル)の元ニュースポリシーリード、さらには米国大統領選挙運動中に米国運輸長官のPete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)氏の顧問を務めたJacob Helberg(ジェイコブ・ヘルバーグ)氏は、米国、特にシリコンバレーは、習近平国家主席の権力の強化にもっと注意を払う必要があると指摘している。ヘルバーグ氏は「The Wires of War:Technology and the Global Struggle for Power(戦争への引き金:テクノロジーと世界的権力闘争)」と題された新著の中で、中国の「テクノ全体主義」体制が中国国民(本の中では「最初の犠牲者(first victims)」と表現されている)に与える影響、そしてインターネットのソフトウェア / ハードウェアをさらにコントロールしようとしている中国の取り組みが、なぜ米国やその他の民主主義諸国にとって、確かに現存し、急速に拡大する危機なのかを説明している。

ヘルバーグ氏は、米国の民間企業と米国政府が一体となって抜本的な対策を講じなければ、2020年中国政府からサイバー攻撃という脅しを受けたと推測され、2000万人規模の都市で停電が発生したインドと同じことが米国でも起こると話す。現地時間10月13日、TechCrunchはヘルバーグ氏にチャットによる取材を申し込んだ。以下は要約であるが、興味があれば詳細をこちらで確認して欲しい。

TC(TechCrunch):あなたは、2016年の米国大統領選挙の直前に、Googleでグローバルなニュースポリシーを扱う職に就いていますね。当時、ロシアとその疑惑のキャンペーンに注目が集まっていたことを考えると、米露関係についての本ではなかったことに驚きました。

JH(ジェイコブ・ヘルバーグ):この「グレー」の戦争には、実際には2つの戦線があります。まず、人々が見るものをコントロールするというフロントエンドのソフトウェアの戦線です。ここにはさまざまなプレイヤーが存在しますが、ロシアは他国への干渉という領域で最初に動きを見せた国の1つです。そして、物理的なインターネットとその物理的なインフラに焦点を当てたバックエンドのハードウェアの戦線があります。本書が主に中国に焦点を当てることになった理由の1つは、この戦争で最も決定的な要素は、物理的なインターネットインフラをコントロールすることにあるからです。インターネットのインフラを支配すれば、その上で動くあらゆるものをコントロールしたり、危害を加えたりすることができます。バックエンドをコントロールすれば、フロントエンドも併せてコントロールすることが可能です。だからこそ、私たちはバックエンドにもっと注意を払うべきなのです。

バックエンドとは、携帯電話、衛星、光ファイバーケーブル、5Gネットワーク、人工知能などですね?

人工知能もソフトウェアとハードウェアの組み合わせなので興味深いところですが、基本的には光ファイバーケーブル、5G衛星、低軌道衛星などです。

この本では、中国が2020年インドをサイバー攻撃したとされる事件が早速取り上げられています。この事件では、列車や株式市場が停止し、病院は非常用発電機に頼らざるを得なくなりました。米国にも、私たちが中国による攻撃だとは気づかなかったサイバー攻撃があったのでしょうか?

グレーゾーン戦争の特徴、つまり米国政府がこれほどまでに新たなグレーゾーン戦術に力を注いでいる理由の1つは、(攻撃者の)帰属(アトリビューション)を明らかにすることが非常に難しいという点にあります。米国では民間企業がインターネットの多くを運営しています。中国とは異なり、米国の民間企業は政府から完全に分離されています。このような民営化されたシステムにより、民間企業には、市場的にも法的にも、サイバーセキュリティ侵害を過少に報告する一定の動機が存在します。サイバーセキュリティ侵害を受けた企業は、被害者であると同時に、場合によっては過失と見做され責任を問われる可能性もあります。そのため、企業はサイバーセキュリティ侵害の報告に非常に慎重になることがあります。

また、(攻撃者の)帰属を明らかにすることが非常に難しい場合もあります。米国でもインドと同様のサイバー攻撃が行われた可能性がないわけではありません。米国もかなりの規模のサイバー攻撃を受けていることは事実であり、多くの情報機関が米国のエネルギーグリッドが無傷でいられるかどうかを懸念しています。人事管理局がハッキングされたことは明白ですが、これも重要な問題です。というのも、中国は現在、極秘情報にアクセスできる多くの政府職員のリストを持っているということになるからです。サイバー攻撃は数え上げるときりがありません。

あなたはインドのハッキングは米国への警告だったと考えていますね?

インドへのハッキングが歴史的に重要な意味をもつのは、もしこのグレーゾーン戦争が激化すれば、独立戦争以来初めて、米国が他国の攻撃者によって物理的に破壊されるような戦争になる可能性がある、という最初のシグナル(危険信号)だったからです。内戦だった南北戦争や9.11を除けば、外国勢力が実際に米国に上陸して大量破壊を行ったことはありませんでした。しかしながら、今回のインドへのサイバー攻撃を考えると、中国との関係が悪化した場合には(米国内の)原子力発電所の安全性を確認しなければならない、というシナリオも考えられますね。

こういった脅威に私たちはどのように対応すべきですか?米国政府は、米国内にインフラを構築しようとしているHuawei(ファーウェイ)に対し、非常に強い姿勢で臨んでいます。あなたは、Zoom(ズーム)のような企業には多くの中国人従業員が在籍し、中国の諜報機関に(米国の情報が)さらされる可能性があると指摘していますね。どこで線引きをすべきですか?(これらの問題に対応しながら)企業の権利を保護するには、政府はどうすれば良いでしょうか?

特に中国が台湾に侵攻するリスクが迫る中、これは私たちが現在直面している危機的局面における非常に重要な問題です。私は米国政府が対米外国投資委員会(CFIUS)の枠組みを構築することを強く支持しています。現在、米国政府には国家安全保障を理由として外国からのインバウンド投資を審査し、(危機を)阻止することができる枠組みがあります。この考え方の基本に則り、アウトバウンド投資にも同じ枠組みを適用すると良いでしょう。米国政府が国家安全保障に基づき、米国から米国外への投資、特に中国への投資を審査する手段をもつ、ということです。ここまでの話からもわかるように、米国企業が中国に何十億、何千億ドル(日本円では何千億円、何十兆円)もの資金を投入すれば、時として深刻な問題を引き起こす可能性があります。

中国に進出し続ける企業がもつ経済的なインセンティブ(動機)を考慮すると、アウトバウンド投資への枠組みはどの程度現実的だと思われますか?

私の提案に類似した、アウトバウンド投資への枠組みを目指す法案がすでに議会で検討されています。ですから、このアイデアが実現する日もそう遠くはないと思います。この問題が差し迫ったものになり、議会で優先的に審議され、大統領に署名してもらうために必要な支持を得られるのはいつなのか、という点については、実際の危機というきっかけが必要なのかもしれません。(私たちがこれまで観てきたように)残念ながら、ワシントンでは実際に危機が起こって初めて多くのことが決定されるからです。

米国の銃規制のように、イエスでもありノーでもある、ということですね。あなたが、米国vs中国の競争であるというアイデアを捨て、この問題を(戦争として)提起したことは興味深いと思います。(米国、中国間には)これまでルールがあったかのように見えたとしても、実際には相互で守るべきルールが存在しない、ということですね?

競争には負けても良いという意味が内包されます。競争には、勝つか負けるかという余裕があるからです。商業的にはドイツや日本と常に競争していますが、トヨタがゼネラルモーターズよりも多くの車を販売していても、実際にはそれほど大きな問題ではありません。それが市場であり、お互いが守るべきルールに基づいて、同じ土俵で活動しているからです。一方、現在の中国との関係において「戦争」という言葉がはるかに正確で適切な表現である理由は、これが政治的闘争であり、その結果が私たちの社会システムの政治的な存続に関わるからです。また、これは「戦争」なので、これに打ち勝つために優先順位を上げ、十分な決意と緊急性をもって対処する必要がある、ということが理解しやすくなるというのもその理由です。

もう1つの理由は、戦争であれば、結果を出すために短期的なコストを負担することもできるという点にあります。第二次世界大戦では、ゼネラルモーターズが戦車や飛行機を製造し、国中が動員されました。Apple(アップル)に空母を作れとは言いませんが、私たちはサプライチェーンを中国から中国国外に移動する際にかかる短期的コストを真剣に考え始める必要があります。多額の費用がかかり、手間もかかる難しい問題ですが、サプライチェーンが利用できなくなることで生じる潜在的なコストは莫大です。手遅れになる前に労力やエネルギー、時間を費やして移動を実現する価値があります。その方がコストもかかりません。

あなたは本の中で、このように国家安全保障を目的として経済外交を中断すれば、冷戦時代に戻ると指摘したうえで、アウトバウンド投資へのCFIUSプログラムの適用と、すべてのサプライチェーンを中国国外に移すことを提案しています。民間企業が中国を切り捨てるために、あるいは巨大な市場機会としての中国への関心を減らすために、他にどのようなインセンティブが必要だとお考えですか?

過去に成功したプログラムの多くは、要は「アメとムチ」です。私は中国への機密性の高い投資を行う投資家や企業に一定の罰則を適用する一方で、米国や民主主義にリスクを及ぼさない他国との取引などの行動にインセンティブを与えるという組み合わせであれば、おそらく成功し、経済界の共感を得ることができると思います。

米国が戦争をしているのは権威主義的な中国政府であって、中国の人々ではないという違いを指摘していますね。大変残念なことに、この指摘が伝わっていない人もいるようです。

「グレーゾーン戦争」について語るとき、さらに中国との問題について国家的な議論をするときには「これは中国国民や中国文化に対するものではなく、中国の政治体制や中国共産党に対するものだ」と繰り返す価値はあると思います。

中国との関係において、私たちが正しいことをしているとする理由の1つは、最初の犠牲者、つまり中国共産党によって最も苦しんでいる人々が中国国民であるという事実です。三等国民として扱われているウイグル人やチベット人、政治的反体制派の人々も中国国民であることを忘れてはいけません。また、中国国営のニュースメディアは「中国に対して強硬な態度をとることは中国に対する人種差別である」というストーリーを流布しようとすることが多々あります。これも覚えておく必要があります。

画像クレジット:Simon & Schuster

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

米国務省がランサムウェアグループDarkSideの情報提供に対し報奨金約11億円

米国務省は、悪名高いランサムウェアグループDarkSideのリーダーの特定や追跡に役立つ情報提供者に、最高1000万ドル(約11億円)の報奨金を提供し、ランサムウェア対策を強化する。

国務省によると「DarkSide亜種のランサムウェア事件の陰謀に加わったり、または関与しようとした」者の逮捕または有罪判決につながる情報に対しても、500万ドル(約5億6000万円)の報奨金を提供するとのことだ。これは、ランサムウェアグループのメンバーがランサムウェアDarkSideのカスタムバージョンを受け取り、身代金支払いの利益から多額を獲得するという、同グループのアフィリエイトプログラムを考慮してのものだろう。

「報奨金を提供するなかで、米国は世界中のランサムウェア被害者をサイバー犯罪者による搾取から守るというコミットメントを示しています」と国務省はいう。「米国は、ランサムウェア犯罪者を匿っている国が、ランサムウェア被害を受けた企業や組織に進んで正義をもたらすことを期待しています」。

ランサムウェアグループDarkSide指名手配のFBIのポスター(画像クレジット:FBI)

国務省によると、2021年初めにDarkSideがColonial Pipeline(コロニアル・パイプライン)を攻撃し、米東海岸で使用される燃料の45%を運ぶ長さ5500マイル(約8850キロ)のパイプラインを停止させたことを受けて、この懸賞金を開始した。

DarkSideは、サーバーがハッキングされた直後に活動を停止し、その後、BlackMatterというブランドに変更した。BlackMatterは9月に日本の大手テクノロジー会社オリンパスや、米国の食品・農業部門の2社を含む重要インフラとみなされる「複数の」組織を攻撃した。BlackMatterは今週、法執行機関からの圧力を受けて活動を停止するとも発表した。

今回の1000万ドルの報奨金は、国務省の国際組織犯罪報奨プログラム(TOCRP)の枠組みの中で提供される。TOCRPは、国際的な犯罪組織を崩壊させ、解体するための政府の取り組みの一環として、連邦法執行機関のパートナーとともに国務省が管理している。国務省によると、このプログラムが1986年に設立されて以来、1億3500万ドル(約153億円)の報奨金を支払ったという。

BreachQuestのCTOであるJake Wiliams(ジェイク・ウィリアムズ)氏は、国務省の多額の報奨金は、DarkSide以外へも波紋を広げるだろうとTechCrunchに話した。「これほど多額の報奨金があれば、犯罪者たちがお互いに敵対する大きな動機となります。おそらく、DarkSideへの具体的な影響よりも重要なのは、この行為がサービスとしてのランサムウェアのアフィリエイトモデル全体の信頼を損なうことだ。

「これは、法執行機関による最近のREvilへの潜入に乗じた動きで、殊更良いタイミングです。7月に行われたREvilに対する法執行機関の行動は、すでにオペレーターの間で大きな信頼問題を引き起こしていました。今回の動きは、そのくさびをさらに深くし、DarkSide以外にも影響を及ぼすものになるでしょう」。

報奨金は、増大しているランサムウェアの脅威を取り締まるためにバイデン政権が行っている一連の取り組みの中で、最新の動きだ。直近では財務省が、身代金支払いを助長したとしてSuexに制裁を科し、暗号資産(仮想通貨)取引所を取り締まった。

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

次期ニューヨーク市長エリック・アダムズ氏が最初の3回の給与をビットコインで受け取ると表明、マイアミ市長に対抗か

次期ニューヨーク市長エリック・アダムズ氏が最初の3回の給与をビットコインで受け取ると表明、マイアミ市長に対抗か

ThaiMyNguyen via Getty Images

次期ニューヨーク市長エリック・アダムズ氏が、Twitterで市長としての最初の3回の給与をBitcoinで受け取りたいと発言しました。これはおそらく、11月2日にマイアミ市長のフランシス・スアレス氏が次の給与はBitcoinで受け取ると述べたことに対して「ならば自分は向こう3か月分を」とばかりに意気込んだ発言と考えられます。

なぜ両市長がこれほどまでにBitcoin推しなのかといえば、両市はいま、米国における暗号資産のメッカとしての地位を得ようとしているから。

マイアミ市は今年8月、米国の市として初の独自暗号資産「MiamiCoin」を創設しました。MiamiCoinは採掘されるとその70%が採掘者に、30%がマイアミ市に収められるしくみで、Washington Postによればマイアミ市はこれまでに710万ドル(約8億円)を超える金額をMiamiCoin採掘から得たとされます。

また今年はじめには、スアレス市長がBitcoinでの税金の支払いや、暗号資産による市職員の給与引き出しを推進する計画を発表、さらに暗号資産に関するカンファレンス「Bitcoin 2021」を開催するなどして業界の注目を集めており、こうした動きに対する期待感からか、暗号資産取引所やスタートアップ/ベンチャー企業のいくつかがマイアミにオフィスを構えたり移転をし始めています。

一方、ニューヨーク市はといえば、これまではBitcoinや暗号資産に対しては消極的な姿勢を示していました。今年はじめの段階では、ニューヨークは市内でのBitcoin採掘を3年間禁止することで温室効果ガス排出の変化を確認する環境アセスメント実施法案を議会で揉んでいたほどです。

しかしこのほど次期ニューヨーク市長に選出されたアダムス氏は、6月に市長選における民主党からの指名を得たときには、ニューヨーク市を「Bitcoinの中心」、また「すべての技術の中心」にしたいと抱負を語り、新たなビジネスの育成を公約に掲げました。そしてBitcoinや暗号資産への政策についてもマイアミを追撃したいとの考えを述べています。

ただ、世界最大の金融都市として知られるニューヨーク市とはいえ、暗号資産でその覇権を握るには先行しているマイアミ市よりも強力に暗号資産の推進をしていく必要があります。アダムズ氏はBloomberg Radioでスアレス氏とともに「切磋琢磨」して行きたいと述べたものの、市長が3回分の給与をBitcoinで受け取ったところで、それほど大きな影響を及ぼすとは考え難そう。またニューヨークに帝国(エンパイアステート)を築いてきた金融企業たちとも、どのように折り合っていくのかが気になるところです。

ちなみに、米国以外では、たとえばエルサルバドルなどはすでにBitcoinを法定通貨として定めています。また中国は国家として独自の暗号資産「デジタル人民元」を推進するためか、全てのBitcoin取り引きを違法とする措置を講じています。

(Source:CNBC。Via The VergeEngadget日本版より転載)

バイデン政権が米連邦政府機関に数百のセキュリティバグ修正を指示

米国のBiden(バイデン)政権は、ほぼすべての連邦政府機関に対し、数百におよぶセキュリティバグを修正するよう命じた。それらの中には、10年ほど前に発見されたものも含まれている。

サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)から米国時間11月3日に発令された新たな拘束力のある運用指令では、連邦政府の各機関に対し、ネットワークに「重大な危険」をもたらすと認定された300以上のセキュリティ脆弱性を、6カ月間で修正するよう求めている。ただし、2021年に入ってから見つかったより新しいバグについては、わずか2週間しか修正するための期間が与えられていない。

CISAによると、これらのセキュリティバグは、2014年や2015年にさかのぼるものもあり、連邦機関を狙うサイバー犯罪者にとって「頻繁に攻撃のベクトル」になっているという。

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)が最初に報じたこの指令は、ほとんどの連邦民間機関に適用されるが、軍が運営するネットワークや、国防総省や情報機関の下で運営されるネットワークについては、例外として別個に管理されることになっている。

連邦政府機関は、セキュリティパッチの展開など、サイバーセキュリティへの取り組みの主な管理を任されている。2015年以降、連邦政府機関はまず「重要な」セキュリティバグを公開後1カ月以内に修正することが義務付けられていた。2019年にはそれが拡大され、深刻度の高いバグの修正も含まれるようになった。

しかし、米政府の監視機関は、一部の連邦政府機関がいまだにサイバーセキュリティの基本的な知識を身につけていないと述べている。The Wall Street Journalによると、今回の指令に含まれるバグの多くは、これまで対象となっていなかったもので、一見影響が少ないように見えるバグでも、悪用されれば大きな損害や混乱を引き起こす可能性があることを暗に示している。

「この指令は、連邦民間機関が脆弱性管理を改善し、サイバー攻撃に対するリスクを劇的に減らすために、ただちに行動を起こすべき明確な要件を示しています」と、CISAディレクターのJen Easterly(ジェン・イースタリー)氏は述べている。

「この指令は各連邦民間機関に適用されますが、重要インフラ事業者を含む全国の組織が、同じ脆弱性を利用した攻撃の標的とされていることがわかっています。したがって、すべての組織がこの指令を適用し、CISAの公開目録に挙げられている脆弱性を優先的に緩和することが重要です」と、イースタリー氏はいう。

国家軍事委員会のサイバー小委員会のメンバーであるJim Langevin(ジム・ランゲヴィン)下院議員は、今回のCISAの指令について「ネットワークセキュリティの強化と連邦政府のサイバー衛生の向上に大きく貢献するだろう」と述べている。

画像クレジット:Busà Photography / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォードの電動ピックアップトラック「F-150 Lightning」の予約が16万台突破

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、全電動ピックアップトラック「F-150 Lightning」の予約が16万台を突破したことを明らかにした。

同社はF-150 Lightning発表以降、返金可能な前金100ドル(約1万1000円)での予約を受け付けている。予約開始初日には2万件を受け付け、その数は2日目には4万4千件となった。6月末までに12万件の予約が入り、同社は消費者の関心の高さを目の当たりにした。

6月に行われた第2四半期決算説明会で、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は、そうした予約の75%近くが新規顧客だと述べた。

また、内燃機関搭載のトラックを下取りに出す予定の人が約40%いたことから「フルサイズトラック(バッテリー搭載の電気自動車)への移行が、我々の楽観的な想定よりも少し早く進むことを示しています」と述べた。

こうした予約状況を受けて、Lightningの年間生産能力を向上させるために、2億5000万ドル(約285億円)を追加で投入し、450人の人員増強を行うと発表した。Lightningは2022年春に販売される予定だ。

Lightningは4種類のモデルが用意されており、車両の大部分を電気自動車に移行するという同社の戦略において重要な役割を果たす。9月にR1Tトラックの生産を開始したRivian(リビアン)のような新規参入企業と同様、Fordはピックアップトラック部門に狙いを定めている。F-150は、米国で最も売れているトラックだ。同社は2020年に78万7422台のFシリーズトラックを販売したと明らかにした。Lightningの基本バージョンは3万9974ドル(約455万円)から、ミッドシリーズのXLTモデルは5万2974ドル(約603万円)からだ。

関連記事:【レビュー】Rivianから待望の電動トラック、2022 Rivian R1Tにはたくさんのお気に入り機能と工夫が溢れている

画像クレジット:Ford

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

米国がスパイウェア「Pegasus」問題でセキュリティ企業NSOグループとの取引を禁止

監視ソフトウェア開発のNSO Groupは、今後非常に厳しい道のりを歩むことになるかもしれない。米商務省は、NSO Groupをエンティティリスト(輸出規制対象リスト)に追加し、同社との取引を事実上禁止した。これにより、米国企業は明確な許可を得ない限り、NSOと取引できなくなった。この規則では、輸出でのライセンスの例外は認められておらず、米国は審査を拒否することが基本となっているため、取引はほぼあり得ない。

NSOとイスラエル企業のCandiru(こちらもエンティティリストに入っている)は、権威主義政府による敵対的なスパイ活動を可能にしたとして非難されている。これらの企業はNSOのPegasusのようなスパイウェアを「権威主義的な政府」に提供し、そうした政府は反体制派を潰そうと活動家やジャーナリスト、その他の批判者を追跡するのにスパイウェアを使った、とされている。商務省によると、今回の措置はバイデン・ハリス政権が人権を米国の外交政策の「中心」に据えようとしていることの一環だという。

今回、ハッキングツールの販売で告発されたロシア企業Positive TechnologiesとシンガポールのComputer Security Initiative Consultancyにも取引禁止措置が適用される。

EngadgetはNSOグループにコメントを求めたが、同社の公式メディア連絡先ではエラーが表示された。同社は、殺害されたジャーナリストJamal Khashoggi(ジャマル・カショギ)氏を標的にするのにペガサスが使用されたことを否定するなど、過去に悪用を可能にしたという主張を強く否定してきた。NSOは、過去の不正行為のためにアクセスを遮断し、さらには名誉毀損を専門とする弁護士を雇いさえした。この弁護士は調査報道を行うジャーナリストとそのパートナーが誤った解釈と根拠のない仮定をしていると非難した。

しかし商務省は、NSOの行動の証拠を持っていると主張している。正味の影響は同じだ。NSOは必ずしも絶望的ではない。しかし、禁止リストに載っているHuawei(ファーウェイ)のように、これまで利用していた米国のパートナーにアクセスできず、事業運営に苦戦することになるかもしれない。

米国東部時間11月3日12時更新:NSO Groupの広報担当者がEngadgetに語ったところによると、同社は今回の決定に「落胆」しており、同社のツールは「テロや犯罪を防ぐ」ことで米国に貢献していると主張している。NSOは、禁止措置の撤回を求め「世界で最も厳格な」人権およびコンプライアンスシステムを有していることを改めて主張した。声明の全文は以下のとおりだ。

NSO Groupの技術がテロや犯罪を防止することで米国の国家安全保障上の利益や政策を支えていることを考えると、今回の決定には失望しており、この決定が取り消されるよう働きかけていきます。深く共有する米国の価値観に基づいた、世界で最も厳格なコンプライアンスおよび人権プログラムをNSO Groupがいかに有しているか、そしてこれによりすでに当社製品を悪用した政府機関との接触を複数回解除していることについて、全容を明らかにすることを楽しみにしています。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:JOEL SAGET / Contributor

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Amazon Music、米国でポッドキャストに「文字起こし」機能を搭載

Amazon Music(アマゾンミュージック)は米国時間11月2日より、米国のユーザーを対象に、一部のポッドキャストで自動生成された同期トランスクリプト(文字起こし)の提供を開始する。iOSおよびAndroidのAmazon Musicアプリの最新版では、Amazon Originals(アマゾンオリジナル)とAmazonが所有するネットワークのWondery(ワンダリー)が提供する一部のポッドキャストの最新エピソードの文字起こしが提供される。また、American Public Media(アメリカンパブリックメディア)、audiochuck(オーディオチャック)、Cadence13(ケイデンス13)、The New York Times(ニューヨークタイムズ)、Stitcher(スティッチャー)、TED(テッド)が提供する「My Favorite Murder(マイフェイバリットマーダー)」「Crime Junkie(クライムジャンキー)」「Modern Love(モダンラブ)」「This American Life(ディスアメリカンライフ)」などの一部の番組でも文字起こしが利用できるようになる。

2020年9月にAmazon Musicにポッドキャストを追加して以降、この文字起こしは同アプリが実装した初めての大きなポッドキャスト機能だ。Spotify(スポティファイ)は、5月にSpotify Exclusive and Original(エクスクルーシブアンドオリジナル)の番組に対して同様の機能をベータテストした。Apple Podcastのクリエイターは、番組ノートに文字起こしを記載することができ、それをアプリ内で検索することができるが、今回のAmazon Musicのように音声と同期していなかった。

画像クレジット:Amazon Music

リスナーはアプリ内でパラグラフ形式の文字起こしを読むことができ、ホストがいう言葉がハイライトされているのをみながら一緒に聞くこともできる。この機能は、ポッドキャストの特定の場所を探すのにも役立つ。カーソルをドラッグすると、ビデオのサムネイルのプレビューを見るように、話されている言葉のプレビューを見ることができる。

音声のみのメディアであるポッドキャストにとって、聴覚に障害のある視聴者にも楽しんでもらうために、文字起こしは不可欠なものだ。多くのポッドキャストは、すでにウェブサイトに文字起こしを掲載しているが、この機能は、番組を体験するための別の方法を提供する。ライブオーディオの場合、ライブキャプションはアクセシビリティに不可欠な機能だ。Twitter Spaces(スペース)はこの機能を提供しているが、Clubhouse(クラブハウス)はまだこの機能を実装していない。

画像クレジット:Amazon Music

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Yuta Kaminishi)