Y Combinatorを卒業したばかりで、先日の発表イベントでTechCrunchの9つのお気に入りに選ばれたrct studioもそのうちの1つだ。テレビシリーズの中で描かれたWestworldは、非常にリアリティのあるアンドロイド(人間型ロボット)たちによって支えられている、はるか未来のテーマパークであり、訪問客たちは英雄的でサディスティックな夢想を、後腐れなく楽しむことができる場所だ。
一方、始めるために料金がかかるにもかかわらず、大きな売上を挙げているものの例は、「バトルロイヤル」ブームを引き起こした、PlayerUnknownの大人気作Battlegroundsである。これは1タイトルで10億ドルを稼ぎ出した。だがゲーム本体の売上とゲーム内少額課金の構成比率ははっきりしない。また驚くべきことに、5年前に発売されたゲームのGrand Theft Auto Vは、昨年およそ6億2800万ドルを生み出した(だがその売上の大部分は間違いなく、そのオンライン部分から得られたものだ)。
だがちょっと待った!Landmark Theatresの価値はさらに高いものだ!われわれが知っているように、Amazonは、Primeユーザーに対してムービー、テレビ、音楽を提供する、始まったばかりのメディアビジネスを抱えている。これにはAmazon自身のオリジナルコンテンツマシンであるAmazon Studiosが含まれている。これはTransparentのようなTV番組や、Manchester by the Seaのような映画を担当している。
VR向けヘッドマウントディスプレイで知られるOculusで昨年閉鎖された、オリジナルVRコンテンツ制作部門「Oculus Story Studio」の元メンバーが創業したFable Studio、チューリッヒ工科大学のプロジェクトがスピンアウトする形で設立されたRosieRealityにも出資。米国にも拠点を開設することで、海外のユニークな企業ともつながりができているという。
その一方で、マーベルやLucasFilm(スターウォーズ)のコンテンツが新サービス上で配信されるかどうかというのはまだハッキリしていない。本日発表された配信予定作品の中には、マーベルやスター・ウォーズの作品は含まれておらず、新サービス発表後に行われた業績発表の中では、これらの作品の扱い(サードパーティーへのライセンス or 新サービスへの統合)について未だ検討中との発言があった。
ディズニーはこれまで何十年もの間アニマトロニクスに新しい地平を切り拓いてきた(それぞれ1963年と1964年にさかのぼる、ティキルームの鳥と”Great Moments with Mr. Lincoln”にちなんだロボットプレジデント)。しかし、このナヴィ・シャーマンは表現力、動きの滑らかさ、そして観るものの心を吹き飛ばす力で、全く新しいレベルに到達したと言える。
Two Bit Circusが得意としているのは、最新技術にアートやエンターテイメントの要素を加えたプロダクトの開発だ。これまで同社は、イベントなどで展示されるプロダクトの受託開発を主に手がけていた。下の動画は、Verizonと共同で開発したアメリカンフットボールの世界を体感できるVRギアだ。
電通ベンチャーズのPedro Ao氏は、心を揺さぶるプロダクトの開発力こそ同社がTwo Bit Circusへの投資に踏み切った理由だと語る。「技術が普及するためには、それがただ生まれるだけでは不十分。そのためには消費者の感情に訴えかけることが必要になる。Two Bit Circusはそこが上手い。彼らには、新しい技術を消費者ウケするものに変える力がある」。
Two Bit Circusの事業領域は電通ベンチャーズがフォーカスする投資分野でもある。電通ベンチャーズは2016年9月、VRでスポーツ観戦ができるLiveLikeに出資。その3ヶ月後の2016年12月にはVRゲーム開発のSurviosに出資している。
Two Bit Circusは必ずしもVRだけにフォーカスした企業ではないが、VRをはじめ新技術を利用したエンターテイメントという共通点はある。「電通ベンチャーズがフォーカスする領域の1つがニューメディアだ。特に、VRは電通がもつ力が活かしやすい領域だと思っている」とPedro氏は話す。
電通ベンチャーズがTwo Bit Circusへの出資に加わったことで、将来的にアジア地域へのビジネス拡大も可能性がありそうだ。実際、電通ベンチャーズやKDDIがJiboに資本参加したあと、Jiboは東アジア地域への拡大を本格化している。それについてPedro氏は、「当面はアメリカ市場にフォーカスしていく予定だが、電通のリソースを利用することで将来的にはアジア地域への拡大もありうるだろう」と話す。Two Bit Circus側も、以前からアジア地域には興味を示していたようだ。
どれだけ業界から注目される新技術でも、ビジネスとして成り立つには、その技術を消費者の心に届くプロダクトへと落としこむことが不可欠だ。業界で注目されるVRにしても、今後どれだけ消費者を振り向かせるコンテンツを生み出せるかどうかが普及への鍵なのかもしれない。電通ベンチャーズがTwo Bit Circusに期待するのはその役割だ。