世界でもっとも権威あるスタートアップ・スクールの2016年夏学期デモ・デーの2日目に発表を行った48チームを一挙に紹介する。2日目のジャンルはナノ粒子アナリティクス、配送ロボット、B2B、バイオテック、エンタープライズ、エドテック、フィンテック、ハードウェアだ。昨日のデモ・デイ1日目で発表が行われた44のスタートアップについてはこちらの記事を参照いただきたい。またこちらはTechCrunchが選んだトップ7社という記事だ。今日(米国時間8/23)のスタートアップは以下のとおり。
主催者:YC International
デモ・デーに登場したあれこれのスタートアップだけからトレンドを読み取ろうするなら徒労に終わるだろう。真の勝者はトレンドに先んじているものだ。たとえばTechCrunchは2013年に発表されたAirwareのドローンOSは時代より早すぎるのではないかと思った。しかしAirwaveは早すぎはしなかった。今やYCには多数のドローンのスタートアップがひしめき合っており、7000万ドルの資金調達に成功したAirwareの後を追って激しい競争をしている。
Justin Kan、Twitchの共同ファウンダー、 Y Combinatorのパートナー
Y Combinatorのプレジデント、Sam Altmanは「あるデモ・デーで最高のスタートアップはデモ・デーが望む最高の会社というわけではない。2019年の環境に最高にフィットする会社こそデモ・デーが望む最高のスタートアップだ」と説明する。
Altmanはアラン・ケイの有名な言葉、「未来を予言するために一番良い方法はそれを発明することだ」を引用して次のように付け加える。「私はこの言葉に多少の異議がある。未来は本質的に予言できないものだと感じている。しかしYCのスタートアップで私が好きなのは、未来について考えるのではく、自然にそれを発明している点だ」
今回のクラスについてこれまでと違っているのは、30%がアメリカ以外の国から来ている点だ。 これは過去最高の割合だった。
YCのパートナー、Justin Kanは「われわれのプログラムは長い間続いてきたので世界のあらゆる国々の優秀なスタートアップを援助してきた。ファウンダーたちは『YCはインドネシアの、あるいはタイのスタートアップも援助するのか?』と尋ねてきた。しかし今では世界各地にわれわれが援助して成功した数多くのスタートアップが存在し、ファウンダーたちのロールモデルとなっている」と説明する。
「スタートアップのマインドセットはシリコンバレー以外の土地にも浸透した。スタートアップが世界的現象となりつつあるのが真に驚くべき点だろう」とAltmanは言う。ただし、世界でもっとも価値が高い企業のトップ5社のうち4社はアメリカ西海岸のテクノロジー企業だ。しかしAltmanはいつまでもそうであるとは限らないと考えている。だからこそYCは世界のスタートアップを援助するわけだ。
というわけで以下は Y Combinatorの2016年夏学期のデモ・デー2日目で発表を行った48のスタートアップのすべてだ。
ApolloShield – 脅威を与えるドローンを安全に着陸させるシステム
ドローンはセキュリティーにとって深刻な脅威となっている。毎年、違法物質の密輸から旅客機とのニアミスまでドローンが関係する何千件ものセキュリティー侵害が発生している。ApolloShieldはセキュリティー上の脅威となる可能性のあるドローンをコントロールするデバイスだ。これはドローンと操縦者との接続を切断し、ドローンを安全に着陸させることができる。現在のところ、このハードウェアは市場にあるドローンの約半分に効果があった。チームでは法執行機関は平均してデバイス5台を必要とするとしている。年間コストは1台3万ドル程度という。
ApolloShieldについてのTechCrunch記事
Ohmygreen – B2Bのウェルネス・サービス
オフィスで消費されるスナックだけで年商十億ドルの市場だということはあまり知られていない。Ohmygreenの狙いはここにある。このスタートアップはオフィスに健康的なスナックを提供しようと考えている。同社はすでにLyftやAmazonなどの大企業を顧客に持ち、55%の粗利益を上げている。Ohmygreenへの反復注文は月間80万ドルだ。同社は毎月平均700件以上の配送を行っている。しかし「われわれの本質はロジスティクスだ」とCEOのMichael Heinrichは言う。 同社は注文のスナックに応じて配送ネットワークとサプライチェーンを最適化している。「このためわれわれは非常に高い粗利益率が可能になっている。55%という利益率は業界標準の3倍から5倍で、クラウド通信企業のTwilioと等しい」とHeinrichは述べた。
Emote – 生徒の行動分析
生徒の成績は学習の成果であると同時に心身の健康状態にも大きく影響される。 Emoteは生徒が教室に入ってくる前の段階からですら、教師に詳細な行動分析を提供することを目標としている。同社によれば、毎日30万人の生徒が助力を必要とする問題を抱えてるという。Emoteでは行動分析により教師が生徒を助け、脱落を防ぐたための計画を立てることを援助する。9月末までにEmoteは33校、来年1月までに135校での採用を目指している。Emoteによれば、わずか3週間のビジネスですでに130万ドルに相当する売上の計上が可能だったとしている。
Flutterwave – アフリカにおける支払処理サービス
アフリカにおける支払処理は非常に細かく断片化されている。アフリカでは 276もの支払ウォレットがあり、500行の銀行、7種類のクレジットカード網が参加している。Flutterwaveは支払処理の共通APIを提供することによりウォレットの相互運用性を高め、市場の効率化を図ろうとしている。同社はすでに過去3カ月で2000万ドルの支払を処理しており、0.3%の手数料収入を得ているという。先月だけでFlutterwaveは処理額を倍増させている。アフリカのモバイル支払サービス市場は年額3600億ドルにも上る。現在ナイジェリアとガーナでサービスが提供されているが、今年末までにさらに9カ国が追加される予定だ。
Instrumentl – 科学助成金申請を簡単に
科学者にとって助成金の申請は重荷だ。この惑星で最も教育を身につけている人々が、書式に書き込み、そして助成金の供給源を捜して時間を過ごすことはただ無意味である。Instrumentlは大学と研究協会へ、連邦、州、そして企業からの助成金データベースへのアクセスを提供する − 費用は1プロジェクトあたり月35ドルだ。けれどもInstrumentlはただのデータベースではない。適用可能な研究に対して適切な交付金を識別し、推薦してくれる機械学習アルゴリズムに力を入れている。科学者が、ただプラットホームを使ってプロジェクト説明を記入すれば、プラットホームが残りの面倒をみる。ハーバード大、エール大そしてテキサスA&M大がすでにプラットホームを使っていて、同社は年間20万ドルの経常収益を上げている。
People.ai – セールスチーム分析
People.aiを率いるOleg Rogynskyyと彼のチームは、販売チームが日単位で何をしているのかを、企業が理解するのを手助けしたいと考えている。People.aiはカレンダー、電話、電子メールを統合し、そして商談をまとめるに至ったセールス活動を記録する。セールスチームがトッププレイヤーのベストプラクティスを知ることで、もっと多くの商談をまとめることができるようになるというのが、背後にあるアイデアだ。100以上の会社が過去4カ月の間に、1アカウント1カ月50ドルの提携をPeople.aiと結んでいる。
TechCrunchによるPeople.ai関連記事
Revlo – ライブストリームを行うゲーマーのための聴衆マネジメント
ビデオゲームセッションのライブストリーミングは夢のような職業のように見えるかもしれないが、興味のある視聴者に働きかけるためには多大な努力が必要だ。Revloはストリーマーのための聴衆マネージメントプラットホームだ。初期のユーザーでは、視聴時間が40%伸び、新しい視聴者の残留率が2倍に増えている。現在1万6000人のアクティブストリーマーがプラットフォームにいて、そのチャットボット、ハイスコア管理そして利用者を増やすための仮想通貨を使うために、月に10ドルを支払っている。
Queroの教育 – ブラジルの大学での空き講義を埋める
Quero Educationはブラジル発のエデュテックである。ブラジル内の大学の講義に対する学生の登録不足問題を解消することを狙っている。日々教官と寄宿舎の不足に悩まされていた学校を経験してきた私たちの大部分が思うだろうことに反して、ブラジルの学校では利用可能な講義の定員を埋めるために2倍の登録が必要である。同社のプラットフォームは、大学をまたがる情報を提供すると同時に、ブラジルの3分の1以上の学校が提供するディスカウントを提供する。Queroは国で平均して1年に3000ドルである授業料の12%を得て、年5倍の成長率で700万ドルの収入を生み出した。
TechCrunchによるQuero Educationの記事
Fellow – 運転資金調達のためのAPI
多くの企業が、最も需要が高まる際の運転資金の確保に苦労している ‐ 月末になって従業員や契約先に支払いをしなくてはならなくなる時などだ。Fellowは企業の負担を取り除くインボイス融資のためのAPIだ。APIはインボイスに対し、保証と融資を行う。3週間で4つの会社がFellowを使ってスタートし、およそ12万ドルが運転資金として融資されている。これまでは、銀行から融資枠を貰うためには、莫大な収入があるか、何カ月もの事務と審査をこなさなければならなかったのだ。
HiOperator – サービスとしてのカスタマーサービス
HiOperatorの目的は、規模に関わらずカスタマーサービスを欲している企業を助けることである。同社は電話、電子メール、そしてチャットサポートを、システムに組み込みやすい使っただけの料金モデルで提供する。既存のサービスが多額の契約金を必要とするのとは対照的だ。10社が既にHiOperatorを使っており、月に1万1000ドルの経常収益を挙げている。HiOperatorのサービスは主要なカスタマーサービスプラットフォームに統合し、全ての情報を1つのプラットフォームに集中化することができる。
Innov8 – インドのコワーキング・スペース
Innov8はインドにコワーキング・スペースを大規模に普及させようとしている。このグループはすでにインド国内に2つのセンターを開設しており、入居率は100%で、さらに200人が待機リストに載っているという。運営されているスペースはデザイン、設備に十分な注意が払われており、入居者に対してかなりの月額料金を納得させるものとなっている。信頼できるインフラを備え、個別に賃貸契約するより安上がりなコワーキング・スペースはインドで急成長中だ。 Innov8は入居者に平均月額150ドルを課金するが、これは個別契約にくらべて約半額だ。
Vidcode – 生徒が教室で楽しくコンピュータ科学を学べるオンライン・サービス
CodeAcademyのようなオンライン学習サービスが数年前から大人気だ。Vidcodeは教室で生徒にコンピューターを学んでもらうのが目的だ。コース内容は高校生以下の若い層をターゲットにしている。Vidcodeはソーシャル写真共有サイトのSnapchatと提携し、生徒にSnapchat向けフィルターを作らせる。生徒はJavaでポケモンやインターネット・ミームをゼロをから自作することができる。このスタートアップはニューヨーク市の公立学校と大規模な契約を結ぼうと努力している。ローンチ以来、Vidcodeは毎月40%の成長を続けてきた。ビジネスの対象は学校区や個別学校でプラットフォームを利用する生徒1人あたりの料金は50ドルだ。
VidcodeについてのTechCrunch記事
Polymail – プラグインなしのオフィスで利用できるメール
現在ではメールの生産性を決めるのはメール・クライアントそのものより、後からインストールされるプラグインの能力になってしまった。レシートの数字を読んだり、スケジュールを書き込んだり、コンテンツを管理したりするのはすべてプラグインだ。Polymailはこうした機能をすべてメールサービス本体の中に組み込でんでいる。コミュニケーションをOutlookのような伝統的メール・クライアントに全面的に依存している企業がこのチームのターゲットだ。デザインは優秀で、1日あたりのアクティブ・ユーザーはすでに7300人に上り、2000社がテスト利用している。Slackの先例にならって、このサービスも当面無料だ。今後のアップグレードおよび顧客管理機能の追加などに伴って課金していく計画。
Vetcove – 動物クリニックのサプライ
動物病院では毎週大量の資材を何十社ものベンダーから購入しなければならない。Amazonは多様な品目を一括購入できるサービスを20年前からスタートしているが、Vetcoveでは必要とする資材を獣医師が間違いなく購入できるようにする計画だ。資材ベンダーと提携することによりVetcoveは利益率の向上を図っている。動物医療に必要な資材に関するビジネスに長らく携わってきたため、ファウンダーたちはきわめて広汎なコネを持っており、昨年はこのサービスに1600箇所の動物病院を組織することに成功している。これはアメリカ全土の動物病院の7%に上る。Vetcoveでは先週86万ドルの資材購入を必要とするほど顧客ベースが拡大している。
Whyd – 音声操作可能なスピーカー
音楽関係のオンライン・サービスは専門化が著しい。楽曲再生ならSpotify、保管はコンピューターとスマートフォン、ストリーミングするにはbluetooth、音声で再生コマンドを入力するならEchoのAlexaという具合だ。
Sonosのようなメーカーはストリーミングを楽しむ世代にスピーカーの機能を一歩進めた。ここで紹介するWhydは音声認識をスピーカーそのものに組み込むことでさらにその先を行こうとしている。Whydはオーディオ機器の有力メーカー、JBLやHarman Kardonと提携して開発を行っている。今週だけでWhydのテクノロジーを組み込んだスピーカーが5万台も売れたという。
WhydのTechCrunch記事
Meesho – インドの企業向けソーシャル通販
インドの通販ビジネスは主としてWeChatのようなモバイル・プラットフォームを原動力として発達している。WeChatには5000万のスモールビジネスが出店している。Meeshoはインドのスモール・ビジネス向けeコマースのプラットフォームだ。おそらくWeChatからヒントを得ているだろう。出店しているショップは購入希望者と直接にチャットができる。Meeshoを利用したビジネスは1月以内に売上を30%も伸ばしているという。このスタートアップはインドにおけるチャット機能を利用するモバイル通販の急成長といいうトレンドに乗っているが、インドの通販全体のデジタル化も急速だ。インドのeコマースはは向こう4年で10倍に成長することが期待されている。
Read more about Meesho on TechCrunch.
RoseRocket – トラック運送会社間の協調作業プラットフォーム
RoseRocketはトラック運送会社同士が協調するためのシステムだ。開発チームによれば、トラック会社向けサービスは数多く存在するが、いずれも互いに敵対的な競争をしているという誤った前提に立っているという。しかし実際には配送会社同士は緊密に協力しており、荷物は複数の配送会社のネットワーク間をリレーされて目的地に到着するのが普通だ。アメリカでは常の300万台のトラックが動いており、配送の50%はいずれかの時点で受注者以外の運送会社にアウトソースされる。RoseRocketのソフトウェアの利用料金はトラック配送会社1社1カ月あたり1万ドルだ。同社では月額利用料に加えてメンバー運送会社ごとに平均5万ドルの手数料収入があるという。
Proxy – スマートフォンがアクセスカードになる
割引きセールのクーポン利用やモバイル支払機能はスマートフォンで可能になった。それなのにわれわれは今だに勤務先オフィスへの入退室管理に使うアクセスカードを持ち歩かねばならない。ProxyはこのRFIDカードをスマーフォンで置き換えようとしている。Proxyはスマーフォンに接続できるドア用センサーを開発した。このシステムのセンサーはスマーフォンそのもののを認証に用いる。アプリの操作は一切必要とせず、スマートフォンを携帯しているだけでスムーズに建物に出入りできる。社員にとって便利であるだけでなく、システムオフィス内にいる社員数や滞留時間などの貴重なを情報も収集できる。
ProxyのTechCrunch記事
Seneca Systems – 地方自治体向けソフトウェア
地方自治体は時代遅れの電話機やスプレッドシートやメールを使って、ごみ収集、警察の指令、交通信号等々全米で年間1.1兆ドル以上の予算を管理している。Seneca Systemsは、地方自治体のあらゆる部門を結びつけるソフトウェアシステムを提供し、住民や職員からの要望に適切な対応ができるようにする。既にヒューストン、シカゴ、サンノゼ、ボストンといった大都市と契約を結び、職員1人当たり60ドルでSaaSを提供しており、月々の売上は毎月100%のペースで伸びている。全米には地方自治体職員が1050万人おり、西海岸の47都市が既にSeneca Systemsのネットワークに入っている。つまりSeneca Systemsの前には巨大な市場が開かれている。もし地方自治体システムの基盤を支配できれば、さらに多くのITサービスを提供できるようになるだろう。
Legalist — アルゴリズムを利用した訴訟費用支援
投資家にとって新しい資産区分がある ― それは訴訟だ。投資家は配当の見返りに訴訟費用を負担する。2016年にはこれが30億ドル市場になると、LegalistのCEO Eva Shengは言う。アルゴリズムによるリスク評価のスタートアップ、Legalistが狙うのはそこだ。Legalistは1989年に遡って裁判データを収集し、裁判結果に関連づけられた58種類の変数を分析して、個別の訴訟についてリスクや裁判期間等を推定する。これは基本的に裁判結果の定量分析であるが、「ピーター・ティールがハルク・ホーガンの訴訟費用を負担する話とは違う」とShengは言った。
CoinTent – アドブロッカーで失った収益を取り戻す
昨年ウェブパブリッシャーは、広告ブロックのために2200万ドルを失った。米国ユーザーの22%がアドブロッカーを使っており、利用者は毎年50%増えている。CoinTentを使うと、パブリッシャーはアドブロッカーを使っているユーザーを検出し、アクセスを拒否するか、1ドル払って広告なしでアクセスさせることがてきる。CoinTentは、失った収益の平均25%を取り戻し、取り戻した金額の30%を受け取る。最終的には、広告なしブラウジングのためのウェブ横断購読サービスを構築したいと考えている。アドブロッキングが急速に普及する中、パブリッシャーはソリューションを必要としており、CoinTentはそれに答えようとしている。
Amberbox — 銃撃犯を検知する安全センサー
火災報知器はどこにでもあるが、その先に大きなチャンスがあるとJames Popperは言う。Amberboxのゴールはそこにある。Amberboxは火事だけでなく、銃撃検知システムを使って狙撃者を見つけることができる。既存の市場だけでも260億ドル規模だが、Amberboxは新たな定期購読モデルを目指す。デバイスを互いに接続し、大きいシステムを構成することで管理者や警察にすばやく通報して施設全体を封鎖することもできる。装置の利用料金は月間50ドルで、3階建てのビルで1250ドル程度。3カ月ほどで装置の費用が回収できるとPopperは言っている。
Robby – 自動運転配達ロボット
米国では毎年120億個の食料やパッケージが配達されている。しかし、料理・食料品のオンデマンド配達業界は配達員のコスト高のために停滞している。Robbyは歩道を通って戸口まで無人で運ぶ、自動運転ロボットを作った。1件当たり5~10ドルの配達コストが1~2ドルに下がる。MITのPhDが作ったこのロボットたちは、既に50件の配達を済ませており、Instacartと協同でパイロットプログラムを始めるところだ。もしRobbyが消費者にとっての配達コストを下げることができれは、オンデマンド経済の成長に大きく貢献するだろう。
Eventgeek – イベントのROIや物流のトラッキング
ほとんどの企業が、適当な時期にイベント開催を企画する。それが従業員の結束を高めるためのものであろうと、新しい顧客を惹きつけるためのものであろうと、いずれにせよ企業にとっては多額の出費である。そしてこうしたイベントの直接的な成果を管理する強力なツール群が存在していなかったため、イベントの成果は必ずしも明らかというわけではなかった。それこそがEventgeekが解決しようとしている課題である。新しいフォロワーやセールス情報を追跡するために、SalesforceやTwitterなどの複数のチャンネルにプラグインを行う。CEOのAlex Patriquinによれば、年間1万ドルをチャージする同社には、25万社を対象とする市場に25億ドルの可能性があるということだ。同社は、対前月比で48%成長した。
RocketLit – 適応型学習プラットフォーム
米国の8年生の66%が、その学年レベルで期待される読解力を持っていない。それが意味するのは、彼らが勉強するためのテキストを読めないということであり、したがって遅れてしまうのだ。RocketLitは7つの異なる読みレベルで教科書を書き直し、生徒に適切なバージョンを提供する。パイロット版では、低成績の生徒が理科の試験で9割を得点し、すべての生徒が1年で2段階の読みレベル上昇を果たした。RocketLitはパイロット版のセットアップに100万ドルを費やし、140億ドルの教科書市場に波乱を起こそうとしている。オンラインのすべてがユーザーに適応するなら、教育もそうあるべきだ。
Jumpcut – まるで映画のようなオンラインコース
昨年LinkedInは、オンライン学習プラットフォームLynda.comに15億ドルを費やした 。オンライン教育自体が巨大な市場となっている。しかし、JumpcutのCEOであるKong Phamによれば、コースの修了率と残留率はとても低いようだ – なぜなら単純に講義があまりにも退屈だからだ。彼が狙っているのは、どのようにネットワークを使い、ソーシャルメディアを使いこなすかを学ぶといった、プロフェッショナルネットワーキングビデオの提供から始めて、「スピルバーグのような 」オンラインコースに基づく会社になることだ。同社は、月に8万5000ドルの収入を上げており、月額17ドルのサブスクリプションモデルで対前月比の倍増を果たしている。確かにこれは挑戦である:コンピュータ科学や数学のようなタフなテーマに対する、高度な映画的ビデオを作る方法を見つけ出すのは難しいことだろう。しかし、以前バイラル動画の会社を設立したPhamと彼のチームは、市場に切り込むことができると期待している。
CrowdAI – スマートな画像認識
企業が画像をCrowdAIに送信する、すると同社は顧客にその画像の中に何があるかを正確に回答する。農地、工場、石油掘削装置、その他沢山のものを認識することができる。ある会社は、港の衛星写真で輸送コンテナの数を検出するためにそれを使用し、そのデータをヘッジファンドへ売った。大企業は人間による正確なタグ付けに大金をはたく一方で、小さな企業は不正確かもしれないコンピューターに依存している。CrowdAIは正確かつ安価な画像認識を提供するために、人間と機械の画像スキャンをブレンドしている。CrowdAIはすでにPlanet Labsならびに、自動運転車企業Cruiseと提携している。共同設立者の技術チームと共に、CrowdAIは医療用画像や軍事産業などの支援で成長する可能性がある。
OneChronos – 次世代金融取引所
株式市場での取引は、最速の賢いアルゴリズムを構築する軍拡競争となっている。OneChronosは、そうした軍拡競争をより健全な取引システムへと導く、オンライントレーディングのための新しい取引メカニズムを持ち込むことによって、市場に乗り出そうと考えている。同社はネット越しの競争の必要性を取り除くために原子時計と同期し、トレーダーが公正な価格でより多くの取引を行うためのツールを構築している。そしてまた、金融機関に対するコストの削減に加えて、このシステムは顧客に自身のコードを直接取引所内で実行させる。CEOのKelly Littlepageは、既に6つの趣意書にサインしたという ‐ 収益の可能性は700万ドルに及ぶ – しかしSECへの申請も含め来年の発足に向けての障害は多い。しかしもし上手く行けばOneChronosは新しい次世代NASDAQ交換所となるだろう。
Validere – ハンドヘルド産業用検査機器
石油、ガス、化学企業は原料の検査を行うために、結果が出るのが遅くて高価なラボにサンプルを送る必要がある。Validereが作っているのは、訓練を受けた技術者なしに、より安くより速く結果を得られるハンドヘルドデバイスだ。Validereが提供する1回につき50ドルのテストは、ラボに比べて5分の1の価格である。これは液体の性質指標を、コンピュータービジョンアルゴリズムおよび化学的性質の公開データベースと組み合わせて利用しているおかげだ。Validereはパイロットプログラムで既に75万ドルの収入を挙げ、220億ドル企業を目指している。ハーバードやその他のエリート校から集まったスタートアップチームは、単にラボ機器を縮小することで問題を解決しているだけではなく、トラック運転手にも容易に使えるようにしているのだ。
OOHLALA – 大学のためのモバイルOS
キャンパスライフで必要になるすべてのことを把握することは難しい、それがお互いに電話番号を知っているかもしれない新しい学生の知り合い間のメッセージにせよ、あるいは学校の提供するリソースへの支払い方法にせよ。OOHLALAは、同社CEOのDaniel Jameelが言うところの「学校のためのモバイルOS」提供し、学生がキャンパスライフに必要とするツールの完全なリソースを構築しようとしている。これはかなり広い範囲をカバーするものに聞こえるかもしれないが、それを適用する大学も増え始めているようだ。同社は、年間経常収益で約150万ドルを上げており、1年で3倍の成長を遂げている。全部で6万校にアクセス可能な市場で、OOHLALAは各校に対して5万ドルをチャージしている。潜在的には30億ドルのマーケットである。Jameelによれば、同社は現在7カ国に150校の顧客を抱えている。
Opsolutely – ソフトウェア開発チームのためのディプロイ自動化ツール
ディベロッパーはコードを書くのにGitHubを使い、サーバーはAWSを利用し、モニタリングにはNew Relicを使っているが、未だ書いたコードをディプロイする際のツールを必要としている。Opsolutelyは、お金がかかり、汎用性に乏しく、間違いが起きやすい社内のスクリプトやHerokuの代わりに、開発者がコードを詳細にインフラ上に反映できるような専用のソフトを開発している。GitHubやEeroは既に同社の有料サービスを利用しており、料金は月々ウェブサービスひとつ当たり100ドルに設定されている。企業によっては何百から何千という数の社内向けウェブサービスを運営しており、Opsoutelyはそのような企業をターゲットとして30億ドル規模の市場に参入しようとしている。
Livement – スタジアムのチケット・売店サービス
南米でチケットを購入しようとすると、Ticketmasterなどのチケットサービスを利用する以外にも追加での作業が発生する。Livement CEOのRoberto Noveloは、イベントによってはTicketmasterの利用者が実際に店舗を訪れて紙のチケットを受け取らなければならない場合もあると語っていた。Livementを使えば、オンラインでチケットを購入できるだけでなく、スタジアムの売店で売っているものをアプリ経由で購入することができる。購入時にはチケット代金に加えて7%の取引手数料とチケット1枚あたり25セントの料金がかかり、Noveloによれば同社は月に合計50万ドル分のチケットを販売している。現在Livementは6つのチームと契約を結んでおり、南米の消費者が感じている不満を解決するところからビジネスを展開していこうとしている。
SmartPath – 一般家庭向けのフィナンシャル・アドバイザー
人間や機械のフィナンシャル・アドバイザーがアメリカ市民の15%を占める富裕層の懐事情の面倒を見ている一方、1億人におよぶ一般家庭はそのようなサービスを利用できないでいる。しかしSmartPathを使えば、支出管理やお金に関するオンライントレーニングの受講、さらには報酬を受け取ることができるのだ。現状、利用者はオンライントレーニングを受講することでギフトカードを受け取ることができるが、Smartpathは最終的にローン利率の低減を報酬にしたいと考えている。サービス内容は退屈に感じるかもしれないが、利用者の67%が同サービスを利用し続けており、ユーザーベースは月に30%のペースで拡大している。また、SmartPathは雇用主に対して従業員ひとり当たり月々1〜5ドルの料金をチャージしている。雇用主をターゲットとしているのには、従業員の生活を安定させて生産性を向上させるために、彼らが既に8億ドルものお金を使っていることが背景にある。
SmartPathのTechCrunch記事
PatientBank – 医療データの収集・共有プラットフォーム
次回の通院のために30ドルで自分のメディカルレコードが入手できるとしたら購入するだろうか?これがまさにPatienBankのやろうとしていることで、旧来のプロセスではメディカルレコードを手に入れるには実際に病院を訪れたり、電話して取り寄せる必要があった。このモデルを利用して、PatientBankは既に2300軒もの病院から1万人分のレコードを取り寄せ、ローンチから2カ月で約4000ドルの週間売上を記録した。アメリカ国民は毎年合計で10億回以上も病院を訪れていることから、メディカルレコードをまとめて管理することの重要性が高まってはきているものの、医療従事者間での情報共有は困難を極める。PatientBankはもっと患者中心のアプローチをとっているようで、今後このモデルが成功を収めるか見守っていきたい。
Saleswhale – アジアをターゲットにした営業チーム養成ボット
営業社員はメールをパーソナライズしたり、ディシジョンメーカーを判別して連絡をとるのが下手な場合が多く、メールの返信率は平均3%以下と言われている。Saleswhaleはそんな企業のメールを分析し、日頃の業務に反映可能な改善策を提案するサービスを提供しており、ある企業で行われたパイロットテストでは、メールの返信率が6%から31%にまで上昇した。同社はGrabなどアジアの大企業と既に取引を開始しており、料金は月々営業社員1人あたりで75ドルに設定されている。現在のところSaleswhaleはセールステック業界がアメリカに比べて5年遅れていると言われているアジアにフォーカスしながら、世の中にいる多くの営業社員を即座にスマートにしようとしているのだ。
SaleswhaleのTechCrunch記事
Selfycart – セルフチェックアウト用モバイルアプリ
買い物をしていて1番面倒なのが支払のプロセスだ。セルフチェックアウトの機械は複雑で代替手段といえばレジ担当者を置くくらいしかなく、これまではこの2択から選ぶしかなかった。Selfycartはそこに携帯電話での会計という3つ目のオプションを追加しようとしている。 同社のアプリは商品をスキャンして、アプリを通じて支払いをするという極めてシンプルなものだ。小売店は大規模な会計オペレーションにかかる費用を支払う代わりにSelftycartへ2%の手数料を支払うだけでよく、チェックアウトマシーンの代わりに支払いを認証する店員を1人おくだけで済む。SelfycartのユーザーはApple Payのほか、クレジットカードやPayPalを使って支払いができる。
SelfycartのTechCrunch記事
Lendsnap – 借入書類作成自動化サービス
ローン申請には500ページに及ぶ書類をまとめる必要があることから、利用者の80%がひとつめにみつけた会社から借り入れを行っており、彼らは最適な利率でお金を借りることができていない。Lendsnapは、ローン利用者のオンラインアカウントを通じて銀行のステートメントや税申告書類の情報を入手し、30種類におよぶ書類の作成のサポートをしている。利用料金はローン一本あたり100ドルに設定されており、同社は18億ドル規模の市場でビジネスを展開している。Lendsnapは最終的にユーザーの情報を文書に仮まとめすることで、ローンマーケットプレイスをつくろうとしているのだ。一般の消費者にとってはそもそも近寄りがたい存在であるローンだが、Lendsnapは少なくともそのプロセスを簡素化しようとしている。
BulldozAIR – 建設プロジェクト用のタスクマネジメントソフト
様々な建設現場で、プロジェクトの問題点のトラッキングが悩みの種になっている。BulldozAIRは、モバイル端末を使って作業員が完了したタスクを視覚的に確認できるようなツールを開発しようとしている。ユーザーが配線など問題が発生している箇所の写真を撮り、技術的な情報をアプリに入力すると、その情報がネットワーク全体に共有されることとなる。作業員1人当たり年290ドルの料金からBulldozAIRは今月2万ドルの月間経常収益を計上しており、来月にはこの数字を3万6000ドルに伸ばそうとしている。現在同社はヨーロッパのみをターゲットとしているが、CEOのAli El Haririによればその市場規模は37億ドルに及ぶ。
Nova Credit – グローバル信用情報レポート
経済の健全性を担保する上でもっとも重要な点のひとつが、信用取引やお金を借りてモノを購入できるようにするということだ。しかし、アメリカにやってきた移民は国内でのクレジットヒストリーがないことから、信用取引を行うことができないことがある。そこに目をつけたNova Creditは、移民が国外に保有しているクレジットヒストリーのデータをアメリカの債権者に提供し、借越枠を設定できるかどうかの判断を手助けすることで、両者のギャップを埋めようとしているのだ。クレジットヒストリーは、アパートを借りたりローンを利用したりする際にも同じくらい重要になってくる。1回当たりの情報取得料は30ドルに設定されており、アメリカ国内には1000万人の移民が生活していることを考慮すると、既にそこには数十億ドル規模の市場が存在するとNova Credits CEOのMisha Esipovは言う。これから2カ月の間に同社はインド、カナダ、ドイツの企業と提携しようとしており、1年間でアメリカにいる移民の90%をカバーする予定だ。
Nova CreditのTechCrunch記事
NeoWize – ECサイトのパーソナライズ
ECサイトのほとんどが新商品やお値打ち品、人気商品などを目立つ箇所に表示しているが、NeoWizeはクリックやマウスオーバー、スクロールなどユーザーの行動を解析し、表示される商品をパーソナライズしている。パイロットテストでは、この仕組みの効果で10〜30%の売上増加が確認されている。今ではNeoWizeの機能がAbanteCartに組み込まれており、スケールのためにひとつひとつの店舗ではなく他のECプラットフォームをターゲットとしている。同社は毎週70%のペースで拡大を続けており、現在1300ものオンラインストアで利用されている。パーソナライズされたサイトでなければ消費者はバウンスしてしまうことから、NeoWizeは彼らが本当に欲しいものをブラウザ上に表示しようとしているのだ。
YesGraph – アプリの普及を支えるソーシャルグラフAPI
友人に新たなプロダクトを試してもらおうとすると、そのプロセスはどうしても不恰好なものになってしまうだろう。お願いするにふさわしい人を連絡先のリストから探し出す必要があり、もしも宣伝したいプロダクトがアプリであれば、なかなか質の高いユーザーをみつけるのは難しい。2年間に渡ってDropboxの成長に貢献していたIvan Kiriginは、新たなアプリやプロダクトを紹介するに最適な人を選び出すため、機械学習の技術を利用して各人のソーシャルグラフ(連絡先やメール情報を含む)を作成しようとしている。まずはB2B企業を対象にサービスを提供し、YesGraphはメールアドレスのドメインや役職、位置情報のほか様々なデータを使って、新製品に関する連絡をすべき相手をランク付けしようとしている。YesGraphが(ひそかに)集める利用者のソーシャルグラフや行動に関するデータ量が増えるほど、全てのデータポイントに基づいたターゲティングの精度が向上し、ほかの利用者にとっても顧客獲得に向けた解析結果の質が向上することになる。
YesGraphのTechCrunch記事
TL Biolabs – より良い家畜管理のためのゲノム情報分析サービス
もしも農家の人が、生まれてすぐの牛の病気に対する耐性や必要な食料の量など、個体に関する情報が分かるとすれば家畜の管理が楽になる。しかしTL Biolabs CEOのFred Turnerによれば、Illuminaといった企業にそのような検査を依頼すると、100ドル近い料金がかかってしまい利幅に影響を与えてしまう。そこでTL Biolabsは独自の技術を使い、検査コストを(15ドルへ)下げようとしているのだ。彼らのプロジェクトが成功すれば、農家は自分たちが保有する牛をベストな状態に保てるよう日々の作業を最適化することができる。現在同社はスコットランド政府の協力のもとパイロットテストを行っており、今年生まれた牛の20%(100万ドル規模)が対象になっているとTurnerは語っていた。
Sway – 自動記帳ツール
アメリカ企業は年に610億ドルもの資金を人間による記帳作業に費やしているが、コンピューターの方が同じ作業をもっと上手く、早く、そして安く行うことができる。Swayが開発した自動記帳ツールは、StripeやPayPalなどのインフラシステムに接続して必要なデータを抽出することができるのだ。スプレッドシート上に人が10時間かけて手作業でデータを入力する代わりに、Swayは同じ作業を10分でこなすことができる。月額99ドルのサービスで、Swayは50万社もの企業の記帳作業を簡略化しようとしている。記帳という仕事は今後10年間でなくなってしまうと考えられており、Swayがその変化のスピードを加速させようとしているのだ。
Elemeno Health – 病院向けチェックリスト
医療ミスはアメリカにおける死因の第3位とされており、その一部は治療法の一貫性のなさが原因となっている。つまり、医者や看護師が医療行為の一部を忘れてしまうことがあるのだ。Elemeno Healthは、病院でのベストプラクティスをもとにチェックリストを作り上げ、医療従事者がどの作業も忘れていないか確認できるようなツールを提供している。UCSFで行われたパイロットテストでは、300営業日で3人の命を救い、110万ドルのコスト低減を行うことができた。Elemenoの共同設立者は、情報収集のために医療現場の前線で働き、そこから培った確かなプロセスを全国の医療従事者へ提供しようとしている。
UtilityScore – 公共料金データのAPI
家を購入するとき、いつも住宅ローンと並んで大きなコスト要因となるのが公共料金だ。しかし、特にZillowなどを使って家探しをしていても公共料金を見積もるのはなかなか難しい。UtilityScoreは、8200万世帯におよぶ単一家族向け住宅の概算公共料金を備えたバックエンドツールを、住宅販売関連企業向けに開発しており、家の購入を検討している人は実際に購入に関する決断をするときに今よりも多くの情報を考慮することができる。設立者のBrian Gittによれば、同社が提供する情報は7000ものソースをもとにしており、例えばソーラーパネルを販売している会社が、見込み顧客に対して商品を利用することでどのくらい節約できるかを可視化し、営業に役立てることができる。これはそのほかの修繕業者や公共料金の低減を売りにしている企業にとっても便利なサービスだと言える。市場規模は合計で15億ドルに達し、UtilityScoreのライセンス料は年間9万5000ドル程に設定される予定だ。
WorkRamp – 企業向けトレーニングソフト
リクルート活動は高くつくものの、最適な人材の採用は企業の成功に絶対的に欠かすことのできない要素である。しかしつい見過ごされがちなのが、既に雇われた人も時間をかけて学習を続けることで企業内での自分の価値を高めることができるということだ。WorkRampはPayPalやSquareといった企業を相手にし、従業員のトレーニングをサポートすることで、彼らの社内での影響力を時間と共に高めようとしている。営業社員を例にとれば、彼らはWorkRamp上で自分のプレゼン内容を録画することで、同僚や上司から受け取ったフィードバックをプレゼンの改善に繋げることができる。これは単なる一例に過ぎず、トレーニングは各企業のニーズに合わせてパーソナライズすることができる。WorkRampはそのような企業から既に12万ドルにおよぶ年間経常収益を計上している。
RigPlenish – 救急車発出時の書類作成ツール
救急車が到着するまでにかかる時間の3分の1が書類作成に使われてしまっているという。しかしRigPlenishによれば、同社のサービスを使うことで救急車1台あたりにかかる40分におよぶ書類作成時間を4分にまで短縮することができる。RigPlenishに月々2000ドルの利用料を支払うことで、チェックリストやコンプライアンス関連書類の作成が自動化でき、さらには救急車のハブと病院間のやりとりも改善することができる。同社は既に1社と契約を結んでいるほか、さらに2社と基本合意書を交わしており、3社合計で年間440万回も救急車を出動させている。アメリカ全体で5万5000台の救急車が存在する中、RigPlenishは13億ドル市場に参入しようとしている。同社は次にバックエンドソフトを改良することで、消防車やパトカーにも対応しようとしている。これによって各隊員は書類作成ではなく、人命救助に時間を使うことができるのだ。
GTrack Technologies – ナノ粒子を用いた油井・ガス井分析サービス
GTrackは、油井やガス井に注ぎこんだナノ粒子を分析することで、採掘可能な油量やガス量を調べることができる。同社のサービスを利用すれば、オイル・ガス企業は採掘場所についての示唆が得られることとなる。パイロットテスト内で、ある企業はGTrackを2万ドルで利用してすぐに50万ドルにおよぶ清掃作業を行わなくてよいことがわかった。GTrackのチームは、7年間に渡ってナノマテリアルの研究を行い、3つの特許を保有している。オイル・ガス企業は既に1年あたり125億ドルを生産量の分析に使っており、GTrackは次のターゲットとして地熱、鉱業、地下水浄化、汚染水浄化を行う企業を考えている。どんな液体の流れでもGTrackのナノ粒子を使うことでトレースでき、地下で何が起きているか分析することができるのだ。
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(翻訳:滑川海彦 / Sako / Nob Takahashi / Atsushi Yukutake)