ドローンの飛行データをブロックチェーンに保存するサービス「Red Cat」

Red Catはドローンの飛行データをブロックチェーンに保存して不変性を保証しようとしているスタートアップだ。米国時間3月6日、ドローンデータ・プラットフォームの第2ベータテストを発表した。

2017年にRed CatのCEOのJeff Thompson氏は、商用ドローンビジネスの普及を妨げているものは何かと探ったところ、ブラックボックスのようなシステムが必要であると認識した。いわゆるブラックボックスとは飛行機のフライトに関するデータを追跡するフライトレコーダーのことだ。彼はブラックボックスの機能をドローンで再現するためのプラットフォームを作り、ブロックチェーンの不変性という特長を生かしてそこにデータを保存すればよいと確信した。

「事故の責任を持ち追跡できる能力を必要とする人々はわれわれの情報を活用できる。規制当局であれ保険会社であれ、大きな損害を与えたときに小切手を書かなくてはならない人々だ」とThompson氏はTechCrunchに話した。

このツールは、墜落や飛行機とのニアミス、あるいは昨年ロンドンの ガトウィック空港閉鎖を引き起こしたドローンのような事故があったときの関係者に役立つはずだ。利用者はRed Catの記録を調べることで、見ているデータが正確でいかなる改ざんも受けていないことを確信できる。

Flight logs in Red Cat / Screenshot: Red Cat

この業界が成熟して他の商業航空交通と空域を共有していくためには、このようなシステムが不可欠だとThompson氏は信じている。しかし同社はデータ追跡システムを作るだけでは満足していない。ドローンがさまざまな目的地を訪れたとき、この先何が起こるのかを知るための詳細な洞察をドローン会社に提供したいと考えている。

最終目標は、企業がドローンの飛行を制御、監視しどのように利用されているかを理解できるようにすることだ。現在同社はこのすべてを改善し続けているところだ。今回のベータは2度目で、第1ベータは200人が利用した。第2ベータの目的はドローンコミュニティーからさらにフィードバックをもらうことであり、ドローン会社、パイロット、規制当局、保険会社などRed Catに保存されたデータを利用することの恩恵を受けられる人たちが対象だ。

Red Catはプエルトリコに拠点があり、これまでに220万ドルを調達している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

世界戦略への第一歩、革新的ドローン開発のエアロネクストがグローバルCMOを招聘

エアロネクストは3月1日、音響機器メーカーのティアックで執行役員/マーケティング本部CMO(Chief Marketing Officer、最高マーケティング責任者)を務めていた伊東奈津子氏を、グローバルCMOと迎えたことを明らかにした。

エアロネクストは、TechCrunch Tokyo 2018の「スタートアップバトル」でファイナリストに選出され、最終の6社にまで残ったスタートアップ。2018年には、B Dash CampやIVSのピッチイベントでは優勝を飾るなど注目度は高い。

同社が開発中のドローン「Next」シリーズは「4D Gravity(R)」と呼ばれる技術を採用しており、プロペラ、モーター、アームといったドローンの飛行部と、カメラ、積載物といった搭載部を物理的に切り離し、機体を貫通するジンバルを1本通すことで機体バランスを制御しているのが特徴。

また経営陣として設立当初から、CEOやCTOだけなく知的財産を統括する責任者としてCIPOを設置するなど、経営陣を経験豊富なエキスパートで固めているのも特徴だ。

グローバルCMOに就任する伊東氏は、新卒でNTTに入社。その後、外資系広告会社、米国音響メーカーであるBoseの日本法人、仏化粧品メーカーのクラランスの日本法人などでマーケティング業務に従事。15年以上在籍したBoseでは、消費者用・業務用製品のマーケティング統括責任者としてブランド認知度向上などに務めた。ティアックでは執行役員CMOに就任し、マーケティング本部を立ち上げてマーケティング基盤を構築。先月2019年2月に退任したばかりだった。

伊東氏は、エアロネクストのコア技術である「4D Gravity(R) 」のグローバルにおけるブランド構築と価値向上、グローバル事業展開を推進していくという。

同社は先日、岡山を拠点とする農機具メーカーの小橋工業とドローンの量産化に向けた提供も発表
このたびグローバルCMOを迎えたことで、世界に向けた挑戦がまた一歩進んだ。

人間が操縦する飛行機に随行するボーイングのWingmanドローン

オーストラリアには1つ以上の意味で明日が来ている。もちろん、まずは現地はもう27日だということ(元記事は米国時間26日に公開された)だが、それ以外の明日も来ている。戦闘機と一緒に飛行するAI自動操縦ジェット機を開発中なのだ。どうして私たちはそれを思いつかなかったのだろう?それはボーイングオーストラリアの共同プロジェクトである。だがおそらく米国の業者に製造委託を行うはずだ、そうなれば情報を得ることはできる。知り合いもいることだし。

現在開発中で2020年に初飛行を予定しているその航空機は、軍の任務で飛行するパイロットの忠実な僚機となることを目指している。その名前、「Loyal Wingman」(忠実な僚機)から、それがどのようなものかは想像できるだろう。正式名称は「Boeing Airpower Teaming System」なので、その頭字語はBATSとなる。だが実際にはコウモリ(Bats)のようには見えないので、この略称が流行ることはないだろう。

本質的には、これらは他の飛行機に随行し、編隊で飛行して防御能力を提供するドローンなのだ。これは軍事力を強化するものであり、空軍により多くの投資を重点的に行う他国ほど、十分な数のパイロットや主力機(すなわち最新型戦闘機)を揃えられない政府にとって重要な意味をもつ。

ボーイングインターナショナルの社長であるMarc Allen氏は、声明の中で、この飛行機の国際展開の側面を、(当然のことながら)次のように強調している。

この航空機はボーイングにとって歴史に残る試みです。それは米国外で開発されているだけでなく、私たちのグローバルなお客さまが、ご自身の国特有の要求を満たすために、ローカルなコンテンツを統合することができるようにも設計されているのです。Boeing Airpower Teaming Systemは防衛機能の側面に変革的をもたらします。そしてオーストラリアが主導する当社のお客さまたちは、ハイテク労働力を含む、国家を強化する能力と共に、私たちのプログラムの強力なパートナーとなるのです。

言い換えれば、米国外で投資を行うことで、ポートフォリオを少々多様化させることができて嬉しいということだ。

本日(豪州時間2月27日)、フルサイズのモックアップがオーストラリア国立航空ショーでお披露目された。

かっこいい。

Loyal Wingmanの長さは38フィート(11.6メートル)で、航続距離は2300マイル(3701キロメートル)である。それは自律操縦で飛ぶことになるが、もちろん遠隔操縦をすることも可能だ、そして様々なセンサーパッケージや、その他の装備を搭載することができる。とはいえ私は、これらが空中戦に参加するとは思わない。それらは、例えば研究用や貨物用の航空機では実施が困難な、偵察と監視の使命を、支援し実施することを目的としている。

とにかく、軍事の世界での単独調査ドローンの人気を考えれば、この種の「追加の目」機能には大いに意味があり、避けられないもののように思える。ボーイングのアプローチが世界各国の政府で採用されるものになるかどうかは、もちろん出来栄えにかかっているので、Wingmanが実際に飛行を始める2020年には再びこの話題を取り上げたいと考えている。

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(翻訳:sako)

Drone Fundがスペースリンクに出資、急速充電と大容量を両立した蓄電池の量産化が加速

Drone Fundは2月25日、キャパシタ(蓄電池)開発のスペースリンクへの出資を発表した。Drone Fund1号(千葉道場ドローン部1号投資事業有限責任組合)とDrone Fund 2 号(千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)からの出資となる。Drone Fundのほか、リアルテックファンド、加賀電子、デンソー専務取締役の加藤光治氏が第三者割当増資の引受先となり、スペースリンクの調達総額は1.3億円、累計で9.5億円に達した。

スペースリンクが開発した「グリーンキャパシタ」は、急速充電が得意なキャパシタの特性を生かしつつ、カーボンナノチューブとグラフェンを利用したことで従来の5〜10倍となる大容量化に成功。さらに、不燃性の電解液によってリチウムイオン電池の欠点である発火リスクをなくしたほか、形状の自由度も高いという利点もある。カーボンナノチューブは耐久性が非常に高いので、繰り返し使用による劣化も抑えられるという。

同社は今回の資金調達によって、このグリーンキャパシタの量産化を進め、2021年に量産販売を開始したいとしている。なおスペースリンクは、経済産業省の官民共同のスタートアップ集中支援プログラム「J-Startup」の特待生企業として選定されている企業だ。

Drone Fundは、「ドローンやエアモビリティの社会実装を進めるためには、バッテリーテクノロジーの進化が不可欠です。スペースリンクのグリーンキャパシタが実装されると、短時間での安全な充電が可能となり、ドローンやエアモビリティの運用に変革をもたらします」とプレスリリースで述べている。

テラドローンの使命は「世界で勝つ」こと、徳重社長のグローバル戦略は?

「近年、日本ではソニーは復活したと言われている。だがグローバル基準だと、本当に復活しているかというと、僕はそうではないと思う。利益は出せているが、イノベーションを起こせているかというと疑問だ」

そう語るのは国内外にてドローン事業を行うテラドローンの代表取締役社長、徳重徹氏だ。

徳重氏は「今の日本のやり方で本当に世界で勝てるのだろうか、イノベーションを起こせるのだろうか。ポテンシャルはあるが、やり方には疑問がある」と話し、「日本人がダメなのは、無茶を言わないところ。枠にはめられているイメージがある」と加えた。

「僕はその枠を取っ払いたいと思っている。だが、実績を出さずに口で言うだけでは意味がない。僕が今、無茶をやっている理由はそれだ。誰かが突破すれば視野が広がるはずだ」(徳重氏

テラドローンは2016年3月の設立で、同社いわく、「日本が世界に誇る技術分野で、設立当初からグローバル市場で戦う事を前提に創業された企業」だ。本社を東京におき、全国7支社とAPECやEU、 アフリカ、オーストラリアなど世界で10支社以上を構える。

テラドローンの代表取締役社長、徳重徹氏

ここ最近ではグローバルな展開に特に注力しており、グループとして世界的な拡大を加速させている。2018年11月には欧州を中心に産業向けドローン関連サービスを提供するSkyeyeの過半数株式を取得し、Terra Drone Europeを設立したと発表。

直近では昨日2月21日、Terra Drone Indiaを設立しインド市場に進出したと明かし、本日2月22日、ロシア国内において産業向けドローン関連サービスを提供するUnmanned Technologyに出資し、Terra Drone Russiaを設立することとなったと発表した。

「『今、海外でどのように勝つのか』というテーマに関して、まだ結論は出ていないが、かなり良い線まで来ている」と徳重氏は語る。

同社の海外進出戦略は、「優れた起業家を見つけグループに入れる」こと。「100%買収だと、まだまだ黎明期だというのもあり、起業家のやる気がなくなる。2割だとグループにならず、単なる出資になる。だが、黎明期の優秀な起業家に対して、50%とか51%といった株式比率を取ってグループにするのは、新しいビジネスモデルだと思っている」と徳重氏は説明。

そのモデルを見つけるまでには挫折もあった。オーストラリアでの事業展開は、1年かけて準備し、現地に人材を2人送り込み、時間もお金もかけたが、不発に終わった。だが、次に向かったインドで、現在の事業展開モデルにつながる“キッカケ”が起こる。

徳重氏は当時4億円ほどの売り上げがあったという、RedBayという政府の仕事の多くを受け持つドローン会社と面談を重ねた。徐々にテラドローンに関心を寄せ始めたRedBayは、徳重氏に対し、「51%の株主が、インドのローカルの建設の会社で、最新技術に理解がなく、スピードも遅いため、進めていくのが大変だ。経営を変わってくれ」と提案。現地法人名を決めるときにも、徳重氏はTerra RedBayやRedBay Terraなどの企業名を推奨したが、「Terra Drone Indiaで行こう」と逆提案されたのだとか。

急ピッチでグループを拡大してきたテラドローンだが、今年はPMI(Post Merger Integration/M&A後の統合プロセス)のような形で、インテグレーションを行う計画だ。3月にはほとんどのグループ会社トップが東京で一堂に会し、ノウハウや方針のシェアリングをする予定だという。

英国、来月から空港周辺のドローン飛行禁止ゾーンを5キロに拡大

英運輸省は、3月13日から空港周辺のドローン禁止ゾーンを5キロ以内へと拡大することを今日発表した。

制限ゾーン内でドローンを飛ばしたり、飛ばそうとした人には罰金と懲役が科せられる。

飛行禁止ゾーン1キロは十分ではないとの批判を受け、政府は先月、空港周辺でのドローン飛行に関する制限を厳しくすると明らかにしていた。この批判は、飛行禁止ゾーンを拡大することでドローンの誤使用から空港を守ることになる、との考えに基づいている。

空港周辺1キロでドローンを排除し、ドローンの飛行高度を最大400フィートとする制限は昨年7月に導入されたばかりだった。しかし英国で2番目に大きいガトウィック空港で連続してドローンが目撃され、それにより滑走路が一時閉鎖されて何千人もの旅行客がクリスマス直前に混乱に陥ったドローン騒動で、大臣は厳しい批判を浴びた。

英国で最も混雑するヒースロー空港でも先月ドローンが目撃され、一時的に離陸を停止する措置が取られた。

「法律では、空港周辺でのドローン飛行は重大な犯罪行為であることが明確に示されている。そして我々はいま、空港と空の安全確保を維持するために飛行禁止ゾーンを拡大する」と運輸相のChris Graylingは声明文で述べた。

「我々はまたルールの啓発にも取り組んでいる。空港周辺でドローンを飛ばす人は無責任な行動をとっているだけでなく、犯罪行為を行なっているということ、そして懲役刑が科せられることを知っておくべきだ」。

政府と英国民間航空局は、新ドローン規制の周知と“責任あるドローン使用”を促すため、国レベルの啓発キャンペーンの一環として、オンライン小売のJessopsとパートナーシップを結んだことを発表した。

政府はまた、新ドローン法案の取り組みも続けているとしている。しかしながら計画された法制化はすでにスケジュールから1年も遅れていて、しかもまだ導入は“そのうちに”という状態だ。

計画されている立法では、400フィート以上、あるいは空港から5キロ以内で悪意を持ってドローンを使用したと疑われる人を警察は捜索できるようになる、と政府は説明している。

また、この新法案では、令状に基づいてドローンに保存された電子データにアクセスすることができるようになるなど、ドローンや小型無人航空機の誤使用を警察が厳しく取り締まれるようにもする。

警察にさらなる権限を持たせるというのは、政府が最初にドローン法案を持ち出した2017年に明らかにされている。政府は、ガトウィック空港騒ぎを受けて先月、ドローンの誤使用に取り組む警察の権限をアップする意向を改めて発表した。

政府は今日、内務省が「ドローンに対処するためのテクノロジーのテストと評価も含め、英国の重要な国家インフラを最大限守るための方策を検討する」と記して、内務省が悪意あるドローン使用に対処するアプローチについてレビューを行なっていることも付け加えた。

今月あった関連ニュースとして、ドローンメーカーDJIが欧州全域でジオフェンスシステムをアップグレードするというものがあった。このアップグレードは、マッピングデデータのプロバイダーを米国拠点のAirMapから英国拠点のAltitude Angelへと変更し、空港と他の要注意敷地の周辺に今まで以上に厳しく細かな制限を適用する、というものとなっている。

イメージクレジット: Getty Images

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

水中ドローンによる船底点検の実証実験、人間の代替として「実用性あり」

ドローンの販売事業などを手がけるセキドは2月19日、商船三井やMOLマリンと共同で、MOLマリンが運行管理するケーブル敷設船の海面下の状況を水中ドローンを用いて確認する実証実験を開始したと発表した。

船の速度の低下や燃費の悪化等を防ぐため、船外機器や船底は定期的に点検や清掃を行う必要がある。従来では人間のダイバーがそのような点検作業を行っていたが、今回の実証実験ではそれをドローンに置き換える。航路以外ではない岸壁での水深は東京湾で16mほどだという。そのような場所では船と海底との距離が50cm程度になることもあり、潜水作業には高いリスクがある。

この実証実験において、セキドは水中ドローンによる破損状況の確認作業に実用性があるかどうかを検証。実験に利用したのは、価格が40〜60万円と商用水中ドローンのなかでは比較的低価格だという「BlueROV2」と「CCROV」だ。この実証実験の結果、セキドは「水中ROV(ドローン)の操作性や撮影した画像の精度を確認し、従来のダイバーによる確認と代替可能な手段として効率的かつ安全・確実な方法であることが確認できました」とコメントしている。

下の動画を見ると、おそらく船に太陽の光が遮られているのと水の濁りでかなり視界が悪いこと、そしてドローンの撮影動画がかなり鮮明であることが分かる。気になる読者は一度見てみてほしい。

画期的ドローン開発のエアロネクスト、量産化に向け農業機械メーカーの小橋工業と強力タッグ

独自の重心制御技術「4D Gravity(R)」を搭載するドローン「Next」シリーズを開発しているエアロネクストは2月19日、農業機械メーカーの小橋工業との業務提携を発表した。

写真左から、エアロネクスト代表取締役/CEOの田路圭輔氏、小橋工業代表取締役社長の小橋正次郎氏

エアロネクストは、2018年に開催されたTechCrunch Tokyo 2018の「スタートアップバトル」ファイナリスト。最終選考に残った6社のうちの1社だ。そのほか、同年10月に開催されたB Dash Campの「PITCH ARENA」、12月に開催されたInfinity Ventures Summit 2018の「LaunchPad」ではいずれも優勝するなど、2018年のスタートアップ業界で最も注目された企業といえる。

小橋工業で製造予定の原理試作機「Next DELIVERY(R)」

同社が開発中のドローン「Next」シリーズの特徴は、プロペラ、モーター、アームといったドローンの飛行部と、カメラ、積載物といった搭載部を物理的に切り離し、機体を貫通するジンバルを1本通すことで機体バランスを制御している点。従来のドローンは主にソフトウェア制御で機体のブレを制御していたが、「Next」シリーズは構造上軸がぶれないため、容易に安定飛行が可能となっている。

現在のところ、VR撮影用ドローン「Next VR(R) 」、水平輸送を可能にする宅配専用ドローン「Next DELIVERY(R) 」、対象物への接近や狭い空間への侵入が可能な「Next INDUSTRY(R) 」の3機種が発表されている、同社が公開している動画を見るとその構造がよくわかる。

今回の小橋工業との業務提携の狙いは「Next」シリーズの量産化にある。出合いは、小橋工業が「千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合」(Drone Fund2号)へ出資したタイミングだったそうだ。その後、両社で産業用ドローンの市場創造について意見交換を重ね、ドローン前提社会を実現する戦略パートナーとして、商品化・量産化を目的とした提携にいたったという。実際に連携が始まるのは2月末で、共同で商品の企画・開発・製造・販売などを進めていくとのこと。

Drone Fund2号は、投資家の千葉功太郎氏が率いるドローン特化型ファンド。金額は公表されていないが、小橋工業は同ファンド最大の出資者でファンド総額は37億円。そのほかの出資者としては、みずほ銀行、KDDI、マブチモーター創業家、セガサミー、大和証券グループ、電通、松竹、そしてプロサッカー選手の本田圭佑氏などが名を連ねている。

 

小橋工業は岡山を拠点とする農業機械メーカー。1910年に鍛冶屋として創業し、1960年に現社名で設立。主力製品として、耕うん爪、トラクタ用ロータリー、トラクタ用代かき機、野菜収穫機などがある。2018年5月には、田んぼで水と土を混ぜてならす代かき作業の度合いを検知できるセンサーを販売するなど、農業の効率化を推進している。

池井戸 潤氏の小説「下町ロケット ヤタガラス」編のモデルになった企業でもあり、テレビドラマ放映を記念して限定500台で発売されたオートあぜ塗り機のコラボモデル「下町ロケットモデル ガイア」が記憶に新しいところだ。オートあぜ塗り機とは、田と田の間で土がもり上がっている部分である「あぜ」を整備して水もれを防ぐための「あぜ塗り」作業に特化した農業機械。

オートあぜ塗り機「下町ロケットモデル ガイア」(写真はXRS751R)

今回の提携にあたりTechCrunchでは、エアロネクスト代表取締役/CEOの田路圭輔氏に話を聞いた。

TechCrunch:提携先に小橋工業を選んだ理由を教えてください。
エアロネクスト田路氏:まず、エアロネクストが目指す「ドローンと共生する社会の実現」と「新しい空域の経済化」に共感していただけたことです。さらに当社取締役CTO鈴木が初めて小橋工業を訪問したとき、同社のものづくりへの真摯な姿勢と品質、安全性への強いこだわり、そしてその思いを実現するのに十分な技術力と施設に対し「量産するならここしかない!」と高く評価をいたしました。

我々が地上から150mまでの空域という今まで手付かずの領域に価値を見出し耕しているように、小橋工業の小橋社長も「地球を耕す。」というビジョンをお持ちです。我々の考え方の方向性は一致していると感じています。何より小橋社長の決断力や物事を判断するスピードの速さ、オーナー企業であることから長期のパートナーシップが期待できることが大きな理由となりました。

TC:Nextシリーズのどのようなタイプを量産するのですか?
田路氏:小橋工業は、エアロネクストが発表した原理試作を設計、製造するパートナーです。今回小橋工業で作るのは物流用の「Next DELIVERY(R)」が主体となります。

TC:量産化のメド、時期を教えてください。
田路氏:2019年6月までに量産試作機を発表、年内には量産を開始する見込みです。

TC:エアロネクストがドローンで解決したい社会的な問題を教えてください。
田路氏:多くの社会的問題が解決できると考えています。例えば、低炭素社会の実現、高齢化社会における移動や配送の問題、省人化・省力化に関わる産業課題の解決などです。

TC:今後の展開を教えてください。資本提携なども考えていますか。
田路氏:今回の小橋工業との業務提携以外にも、エアロネクストからライセンスを受けて「4D Gravity(R)」を搭載したドローンを製造する複数社との話し合いが進んでいます。小橋工業との資本提携については現時点ではお答えできる段階にはありませんが、前向きであるとお答えさせてください。

TC:小橋工業は今回の提携でどれぐらいの人員を割り当てるのでしょうか。ドローンの製造拠点(工場)はどこに置くのでしょうか。
田路氏:製造拠点は小橋工業本社がある岡山県岡山市になりますが、詳細は現在検討中です。

個人的には、2018年10月に開催されたB Dash CampのPITCH ARENAで「4D Gravity(R)」のテクノロジーを初めて知り、これまでのドローンの常識を覆す機体構造に衝撃を受けた。まずは仕様を確認するための原理試作機の製造となるが、物流向けのNext DELIVERY(R)の量産化が進めば、各地で実証実験が進められている山間部の荷物配送におけるドローンの実用化がかなり前進するはずだ。

今度はドバイの空港がドローンで機能停止

今朝(米国時間2/15)、ドバイ国際空港が、近傍を飛行するドローンを目視したため約30分、フライトを閉鎖した。出発便は午前10時13分から午前10時45分まで“ドローンと疑われるアクティビティ”のため停止したが、到着便は着陸できた。

空港のソーシャルチームはTwitterで状況をアップデートし、“無許可で飛行するドローンはUAEの法律により有罪になると当局は警告した”、と述べている。

[無許可ドローンによる30分弱の遅れののち常態を回復した]

DXBはつねに、世界で旅客数の最も多い空港のトップスリーに入っている。2018年には、同空港は8800万人あまりの旅客を数えた。最近世界の空港は一連の恐怖を経験したが、その中には個人のドローンが商用空港の至近を飛行したケースもある。昨年のホリデーシーズンの最中には、ロンドンのガトウィック空港が同様の懸念で1日半閉鎖した。

このようなアクティビティの増加によりドローンのメーカーの対応も求められ、法律によるドローンの規制を求める声も大きくなっている。

DXBによると、同社は地元当局と連携してこの事件に対応している。“ドバイ空港は適正な機関と密接に協力して空港運用の安全を確保し、顧客へのいかなるご不便をも最小化すべく努力している”、と同空港はThe New York Timesに載った声明で述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

KDDIなどが五島をマグロ養殖基地化するIoTシステムの実証実験に成功

長崎大学大学院工学研究科システムファイブKDDI長崎県五島市は1月22日、五島市における「マグロ養殖の基地化」の実現を目的としたIoTシステムの実証実験に成功したことを発表。海水の採水から赤潮検知、漁業者への通知までの時間を約98%削減することを実現したという。具体的には、海水の採水から赤潮検知、漁業者への通知までの所要時間を約15分に短縮した。

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    海水採水の試験
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    海水サンプリング画像収集ロボットシステム「AKABOT II
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    画像解析による有害プランクトンの識別および計数
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    リアルタイム通知システム
五島市は「マグロ養殖の基地化」を目指してクロマグロの養殖に取り組んでいる。クロマグロはほかの魚種に比べて赤潮に対する脆弱性が約10倍高く、死滅を防ぐためには赤潮の早期検知が重要とされている。しかし、赤潮を検知する既存の計測方法では簡易的な計測しかできず、精度や時間的観点から迅速な赤潮への対応が困難という問題があった。

今回の実証実験では、ドローンを使った多地点・多深度採水、およびディープラーニングを用いた画像解析による有害プランクトンの判別、ドローンによる空中からの赤潮分布状況の把握、クラウド経由での漁業者への赤潮状況の早期通知を実現。今後はこの取り組みを推進し、マグロ養殖における赤潮被害の低減を目指すという。なおこの実証実験は、2018年度総務省IoTサービス創出支援事業の一環として実施されている。2019年度以降には、AIを活用した「赤潮予報」の提供を考えているとのこと。

IoTシステム構成図

Facebookがソーラー発電のインターネット・ドローンをテスト中。エアバスと提携

昨年Facebookは世界中にインターネットを広げるソーラー発電ドローンを開発するという野心的計画を中止したが、コンセプトは終わっていなかったようだ。ソーシャルメディアの巨人は、航空機の巨人Airbusと組みオーストラリアでドローンをテストしていると、ドイツのNetzPolitikの最新記事が伝えた。

NetzPolitikは、オーストラリアの情報公開法を利用して昨年両社が2018年11月と12月に協力してテスト飛行を実施する計画を検討していたという情報を掴んだ。以前にも両社は衛星ドローンの通信システムで協力したことがある

その実験(実際に行われたかどうか定かではない)には、「防衛、人道、および環境ミッション」のために設計されたAirbusのZephyrドローンが関わっている。ZephyrはFacebookの中止されたAquilaドローンによく似ている。ソーラー電力を用いて「数ヶ月間」飛行可能なHAPS(高高度疑似衛星)だ。

Facebookが選択したModel Sは翼長25メートルで高度20 kmまで操作可能。ミリ波無線を使用して地上ど通信する。

The Zephyr Model S and Model T as displayed on the Airbus website

FacebookとAirbusは、ソーシャルネットワーク側の貨物(インターネット通信機器に間違いない)をテストする計画だが、プロジェクト文書にはテスト飛行前の計画やミーティングについても書かれているが、成果や結果についてはわかっていない。

「当社は提携先と共に高高度プラットフォームシステム(HAPC)を利用した通信の作業を進めていく。現時点で公表できる詳細情報はない」とFacebook広報担当がNetzPolitikに語った。

TechCrunchはFacebookに追加コメントを要求したが(06:55 am EST)、本稿執筆時点で返答はまだない。

Facebookには全世界のインターネット利用を促進することを目的としたプロジェクトがたくさんある。このドローンプロジェクトはその中でもっとも野心的であり、遠隔地にインターネット接続を提供することが狙いだが、ソフトウェアと既存のインフラを使ってより低価格でインターネットを使えるようにする方法も推進している。

そこには賛否を呼んだInternet.org が関わっていて、同プロジェクトはインドで利用可能なウェブサイトとアプリを限定することがネット中立化に反するとして、違法となった。名称をFree Basicsに変更(インドでの敗北がきっかけに違いない)したあと一部の市場で規模が縮小されたが、それでもFacebookの昨年の発表によると、現在までに1億人近い人々をカバーしていると。この数字以外に同サービスの詳細はほとんどわかっていないが、有償プランもあるはずだ。

なお、Facebookはほかにも公衆プライベートWi-Fiプログラムを運用中で、インターネット利用者が外出したときのためのホットスポットを増やそうとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ドローン画像と機械学習を利用する果樹園精密農業は果樹の個体管理ができる

テルアビブ生まれのSeeTreeは、ドローンと人工知能を使って果樹園に精密農業を持ち込む。同社は今日(米国時間1/17)、Hanaco VenturesがリードするシリーズAのラウンドで1150万ドルを調達した、と発表した。これまでの投資家Canaan Partners Israel, Uri Levineと彼の投資グループ(iAngelとMindset)らも参加した。これで同社の総資金は、1500万ドルになる。

同社はカリフォルニアとブラジルにもオフィスがあるが、ドローンを使う精密農業はこれまで、果樹のような永年作物には合わなかった。SeeTreeのCEO Israel TalpazTheは次のように語る: “精密農業というコンセプトが生まれてからこれまでの20年間、その技術の適用も結果の計測(定量化)も、大きな成功を得られなかった。とくに、永年作物では、精密農業にある、とされた約束が、実現しなかったんだ”。

彼によると、精密農業の未来は、農園をもっと全体的に見ることから育つ。またこれまでのやり方ではデータの整備が雑だったので、永年作物の果樹園を経営している農家に具体的なアクションのリコメンデーションを提示できなかった。

そこでSeeTreeは、ドローンから得られた画像から果樹個体のデータを拾い上げ、それに機械学習を適用して分析する。それによりたとえば、この個体は元気がないから別の木にリプレースしよう、などの知見が得られる。画像から果実の大きさや、その成長過程などを見て、収穫の正しいタイミングも分かる。またそれらのデータを総合して、灌水や施肥の計画も立てられる。

Talpazは語る: “これまで大規模農家は、肉眼による小規模な試験で、直感的に意思決定をやってきた。だから、間違いも多かった。SeeTreeを使えば、重要な意思決定をデータに基づいて正確に行える。そして、やったこととその結果を、正確に知ることができる”。

ファウンダーのTalpazは、イスラエルの起業家の多くがそうであるように、国の諜報サービスで働いていた。また、以前my6senseを起業したBarak Hachamovと、画像処理と通信システムの企業でR&D担当役員だったGuy Morgensternも、SeeTreeの創業に参加した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

CES:IndemnisからDJIドローン用パラシュート――群衆空撮用に正式認可

現在多くの場所で商用ないしホビー用ドローンは密集した人々の上空を飛ぶことを禁止されている。危険防止の立場からは当然だ。 今回のCESに登場したIndemnisのドローン用パラシュートがこれを変えることになる。アラスカのスタートアップ、Indemnisのパラシュートを装着したドローンは合法的に(比較的小人数の)人々の上を飛ぶことができる。こうしたデバイスが正式に認可を受けたのはこれが最初だ。

IndemnisのNexusはDJIの空撮用ドローンのためのパラシュートだ。オレンジ色の筒型ランチャーにパラシュートが収められており、センサーがドローンの飛行に異常を検知するとパラシュートが発射される。

認可を得るためにIndemnisは 5種類の異常シナリオに基づく45回の実機テストを含む多数のテストを繰り返してきた。テストの目的はセンサーが確実に異常を検知し即座にパラシュートを開傘できることの確認だった。

Indemnisはプレスリリースでこう述べている。

Nexusは火薬発射式パラシュート・ランチャーであり、ドローンの飛行パターンに異常を検知すると自動的に作動する。センサーはドローンが突然傾いたり落下したりするなどを検知する。ランチャーは0.03秒で作動し、ドローンの時速は144キロまでカバーする。円筒形のランチャーはパラシュートを高速で発射する。これはパラシュート・コードがドローン本体やプロペラに絡まないよう遠くに離すためのデザインだ。今日、IndemnisはNexusパラシュート・パッケージを発売した。これはDJI Inspire 2向けキットで、Matrice 200、Matrice 600の両シリーズ向けキットも2019年後半にリリースする計画だ。

ドローンの安全性を確保するデバイスは何社かが開発しており、パラシュートも一つのオプションとして検討されており、こうしたプロダクトは下にいる人々とドローン自身を守ろうとデザインされている。DJI自身はまだパラシュートを組み込んだドローンを発売していない。

CES 2019 coverage - TechCrunch

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滑川海彦@Facebook Google+

英国警察、空港ドローン事件の容疑者を解放。ドローンが存在しなかった可能性を認める

謎のドローンが英国第二の空港でフライトを妨害し14万人のクリスマス旅行計画を大混乱させた事件から一週間足らず、警察は実際にはドローンなどいなかった可能性があることを認めた。

一日間の閉鎖のあとガトウィック空港は再開したが、捜査員らは実際何が起きたのかを解明するにはほど遠いままだ。

The Guardianによると、警察は拘束していた容疑者カップルを解放し容疑を晴らしたが、上級広報官は、「そもそもドローンの飛行活動はなかった可能性がある」と語った。

警察は目撃者——正確には67名——に頼っている状態で、証言を組み合わせて何が起きたかを探っている。先週BBCは、水曜日遅くに2台のドローンが「境界のフェンスを越えて滑走路付近」に侵入するところを通行人が目撃し、木曜日午前に3台目も発見されたと報じた。滑走路は水曜日の晩から木曜日の午前まで約6時間にわたって閉鎖され、3台目のドローンが目撃されたとされたあと、完全閉鎖された。

日曜日の晩、警察は容疑者のエレイン・カーク氏とポール・ゲイト氏を事件に無関係であると結論を下し解放した。この逮捕によって英国の新聞や解説者は、送検すらされる前からふたりを非難した。The Mail on Sudayは彼らが「クリスマスを台無しにした」と責め、テレビ司会者で元タブロイド記者のPiers Morganは、カークとゲイトに「道化師」のレッテルを貼ったことを謝罪させられた。

誤認逮捕で道を誤った警察は、空港北部で墜落し破損したドローンが回収されたあとも多くの仕事が残っている。現在は誰が操縦していたのかを示す痕跡を調査しているところだと The Guardianは書いている。

先週解説したとおり、英国には空港近くでドローンを飛ばすことに関する専用の法律があるが、正確に何が起きたかは未だ明らかになっていない。

英国は今年、空港から1 km 以内でのドローン飛行を違法とする修正を現行法に付け加えた。

5ヶ月前の安全に焦点を当てた法改訂でも、高度400フィート(120 m)以上のドローン飛行機を禁止している。ドローン所有者の登録構想も来年計画されている

現行の英国法では、航空機または航空機に乗っている人間を危険にさらす行為を行ったドローン操縦者は、最大5年の懲役か無制限の罰金あるいはその両方が課せられる。

しかし、ガトウィック空港の事例では単に滑走路付近でドローンを飛ばすことが、法的に航空機を危険にさらす企てに相当するかどうか明確ではない。安全を重視する空港が危険を冒さないことから、実際この事象が旅行者らに大きな混乱を与えたらことが明らかであってさえそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ドローン出現で閉鎖の英ガトウィック空港が再開

付近でドローンの飛行が継続的に確認されたために丸一日閉鎖されていた、英国で2番目に大きいガトウィック空港が今朝早く滑走路の使用を再開した。


今朝8時(グリニッジ標準時)に発表されたメディア向けの声明文では、同空港は午前6時に滑走路の使用を再開し、“限られた数”の飛行機が離発着を行なっている、としている。

滑走路使用の頻度は1時間あたり数回と“かなり制限されている”とも警告している。

警察部隊が特定されていないドローン操縦者(ら)の捜索を昨日から続けているが、これまでのところいまだ不明だ。昨夜はドローン操縦者探しに軍も投入された。

ガトウィック空港は、搭乗予定の人に対し、空港に来る前に航空会社に運航状況を問い合わせるようアドバイスしている。

ガトウィック空港は、滑走路を再開してもいいかどうか、そして最優先事項である乗客の安全の確保を図るために、政府、そして軍と夜通し作業を行なった、としている。

「我々は引き続き、影響を受けて空港にとどまっている乗客へのサポートと情報提供を続けていて、一晩中チームが対応にあたった。今日、我々が優先することは、人々がクリスマスにいるべきところに行けるよう空港を正常に戻すことで、日中を通してなるべく多くの情報をアップデートしていく」と付け加えた。

Guardianは運輸大臣Chris GraylingがBBCの番組Breakfastで今朝述べたコメントを伝えている。彼は「空港が閉鎖されている間、“少数のドローン”と思われるものが40回ほど目撃された」と語っている。

「このような形で空港が大混乱するのは、世界でも前代未聞だ。今回起きたことから早急に学ばなければならないだろう」ともGraylingは述べた。

「何が起きたのかを共有するため、そして何を学ぶ必要があるのかを理解するため、国中の空港関係者を呼んで会議を開く。そしてこのような事態が二度と起こらないよう、とれる全ての対策を実行する」。

航空大臣のBaroness Suggは今回の事態をめぐり、昨日上院で厳しい質問責めにあった。

ロボティクス専門家もまた、政府はドローンがいかに誤って使用され得るかという懸念に何年も耳を傾けてこなかった、と述べて政府のテクノロジーについての独りよがり的な姿勢を酷評した。

英国は今年法改正し、空港から1キロ以内と上空400フィートの領域での飛行を禁じるなどドローンに制限を加えた。

違反してむやみにドローンを飛行させたり、航空機や搭乗している人を危険にさらすような行為には、最大禁錮5年の刑、または制限のない罰金、もしくはこの両方が科される。

しかし、批評家は規則があまりにも弱く、広範にわたるインフラやサービスを混乱させるのにドローンが使用されることがないよう、より踏み込んだ措置が必要、と指摘している。

Image Credits: Derek Croucher / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

マレーシア発のドローンスタートアップ、エアロダインが日本進出

マレーシアを拠点とし、ドローンを利用したインフラ点検サービスなどを提供するエアロダインは12月21日、北海道伊達市にある風力発電機の保守点検を実施した。これが同社にとって日本における初オペレーションとなり、この市場における日本進出を果たした。

従来、風力発電機の点検は人間の作業員が行っており、作業時間と人件費の削減が大きな課題となっていたという。また、背の高い風力発電機の保守点検は危険を伴う。そんななか注目されているのがドローンによるインフラ点検サービスだ。

エアロダインは2014年にマレーシアで設立されたスタートアップで、ドローンによるインフラ点検を行うほか、インフラ設備点検と建築現場のモニタリングに特化したクラウドプラットフォームをSaaSとして提供している。ドローンで撮影した風力発電機の表面の画像を取り込むことで、AIが欠陥を自動で判定したり、通信タワーの点検では3Dモデリングを作成して細かな欠陥箇所を検出したりすることが可能だ。

そのエアロダインは2018年7月に日本法人であるエアロダインジャパンを設立。今回の風力発電機の点検オペレーションで本格的なジャパンエントリーへと舵を切った。エアロダインにとって、日本が16番目の海外拠点になる。

海外を含むエアロダイングループ全体では、現在までに世界7ヶ国で2000基以上の点検作業を受注しているものの、日本におけるドローンを活用した風力発電機の点検はまだ欧米や中国に比べて進んでいないとエアロダインジャパン代表取締役の伊藤英氏は語る。「現在日本には2253基の風力発電基が設置されているが、この数字は欧米や中国などの風力発電先進国からすると、大手の風力発電事業者1社がもっている規模感以下になる」と語り、そのことから、この市場に参入しようとするドローン事業者が少ないことを理由にあげた。

このような背景や、日本におけるドローン関連の法規制の問題から、エアロダインジャパンは当面のあいだ海外にアセットをもつ日本企業向けの営業を中心にビジネスを展開していくという。すでに、日本の大手ゼネコンが海外で進める建築プロジェクトのモニタリングを、3年契約で受注予定だという。

ホンダジェットの国内第一顧客は、千葉功太郎氏、堀江貴文氏、山岸広太郎氏と発表

ホンダが提供する国内ビジネスジェット界の期待の星「ホンダジェット」。7人乗りの小型ビジネスジェット機で、巡航速度は時速782キロメートル、航続距離は2265キロメートルという性能を誇る。主翼の上部にエンジンを配置する独自の設計や、一体成型複合材胴体などホンダの独自技術がふんだんに採用され、2017年には小型ビジネスジェット機として納入数が世界1位となった。

そのホンダジェットは12月7日に国内の型式証明(航空機の型式の設計が安全性および環境適合性の基準を満たしていることを証明するもの)を取得。12月20日にその授与式を行った。ホンダジェットはすでに北米、欧米、中南米、アジア各国で納入を開始していたが、本日の授与式で国内における第一顧客をはじめて発表した。

僕は会場でびっくりして思わず声を上げてしまったのだけれど、その第一顧客はTechCrunch Japanにも度々登場するDrone Fund代表パートナーの千葉功太郎氏だ。ホンダエアクラフトカンパニーCEOの藤野道格氏の話によれば、千葉氏は下のTV CMを観て購入したのだという。藤野氏は「TV CMを観てビジネスジェット機を購入するという例はなかなかない」とコメントしていた。

一方の千葉氏は「毎週日曜日に『イッテQ』を観ているのだが、そのときにホンダジェットのCMがよく流れていて、欲しいなと思ったのがきっかけ」とコメント。すでに練習用の飛行機を1機購入し、飛行練習もしているのだとか。ちなみに、ホンダジェットの価格は日本円にして約5億8000万円と言われている。

千葉氏はホンダジェットの性能について、「風切り音がすごく少ない43000フィートまで上昇でき、すごく安定性もある。ホンダジェットのチームのみなさんの“こだわりの塊”だと感じた」と高く評価。しかし一方で、「航空会社ではなく、個人が気軽に航空機を利用する『General Aviation』を日本で実行するのはまだ難しい。滑走路、航空機の学校などがまだまだ不足している」と日本における個人の航空事情が抱える問題について語った。

じつは、この国内第一号ホンダジェットのオーナーは千葉氏だけではない。千葉氏のほかに、元ライブドア社長の堀江貴文氏、慶応大学発のVCである慶応イノベーション・イニシアティブ代表の山岸広太郎氏など数名が「共同オーナー」としてホンダジェットを所有するという。

その理由について、千葉氏は「General Aviationはもちろん、個人で『ちょっと飛行機を使ってみる』というライフスタイルをインフルエンサーが発信することで、日本の空がもっとオープンになるのではないかと思った」と話した。

千葉氏がDrone Fundで注力するドローン業界にとっても、日本のオープンな空は必須事項。千葉氏らが所有するホンダジェットがその空を実現するための大きな足がかりとなるかもしれない。

このドローンは状況に応じて縮む

チューリッヒ大学EPFLの研究者が、隙間の大きさに応じて縮むことができるという、救出活動に最適かもしれない機能を持つロボットを開発した。研究者はまず初めに、カメラ1つを使って人工の隙間を査定して数秒で通り抜けられるドローンをつくった。今回追加された機能ー飛行中のドローンを縮ませるためのハサミのようなシステムーはドローンをより全能的なものにし、現実世界にある大小の隙間に対応できるようになった。

「クワッドローターの隙間飛行に取り組んだ後に、このアイデアを思いついた」と博士号取得を目指しているDavide Falangaは語る。「我々のラボのゴールは、将来的には災害直後に使用することができるドローンを開発することだ。たとえば、地震のような災害で、生存者を探すために倒壊した建物のわずかな裂け目や開き口から建物内に入ることができるというものだ。我々のこれまでのアプローチでは、かなり積極的な操縦を必要としたため、高速で飛ぶことなく狭い隙間をくぐり抜けるというタスクをこなす別のソリューションを模索した。そして思いついたのが、タスクに応じて形を変えられるクワッドローター、折りたたみ可能なドローンだった」。

このシステムは、隙間の大きさを測定し、外部から処理を行うことなく形を変える。かなりエキサイティングな偉業だ。処理は全てドローン搭載のシステムで行われ、必要に応じて自動に切り替えることもできる。開発チームはこのドローンを、いつでも買えるような3Dプリントされたパーツで作った。

「普通のドローンと我々のドローンの最大の違いは、アームとボディの接続の仕方だ。各アームは自動制御モーターを通じてつながっていて、このモーターは本体とアーム間のポジションを変えることができる。これによりロボットは文字通り、アームを本体のまわりで曲げることができ、つまり潜在的にはどんな形態でもとることができる。適応制御装置がドローンの形態を認識し、形態にかかわらず絶えず安定した飛行になるようにする」とFalangaは話した。

研究チームはこの開発についてのレポートをRobotics and Automation Letterで発表した。IEEEが指摘しているように、これは飛ぶドラゴンドローンではなく、もっとシンプルでクールで効率的なプロダクトだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Audi, Italdesign, Airbusの三社が自動運転飛行タクシーを設計し実動プロトタイプをテスト

ドイツの自動車メーカーAudi, ヨーロッパの航空機メーカーAirbus, そして自動車専門のイタリアのデザイン企業Italdesignの三社が、火曜日(米国時間11/27)に、彼らの未来のビジョンの縮尺バージョンをプレゼンした。それは、タクシーを自動運転電気自動車から外して、目的地へ飛び去っていくドローンだ。

三社は、アムステルダムで行われたDrone Weekで火曜日に、その空飛ぶタクシーのコンセプトを披露した。

そのデモのさまざまな段階を、下のビデオで見ることができる。

正確に言うと、三社が見せた“Pop.Up Next”は実物の1/4サイズの実動プロトタイプで、小さすぎて人間は乗れない。

しかしそれでも、彼らは将来に関して楽観的で、10年後には実用供用される、という。

“空飛ぶタクシーはもうすぐ実用化される。Audiでわれわれはそれを確信している”、とAudiの部品調達とIT担当取締役で、Audiの子会社Italdesignの社長Dr. Bernd Martensが声明で言っている。“ますます多くの人びとが都市へ移り住み、そして自動化によってますます多くの人びとが都市内移動をするようになる。未来には、高齢者や子どもたち、そして運転免許証のない人たちが、便利なロボットタクシーを使おうとするだろう。それらのトラフィック(交通量)を、道路と空域の両方にスマートに割り当てることに成功したら、人間と都市の両方が大きな福利を得るだろう”。

AudiはYouTubeのビデオで、空飛ぶタクシーの供用開始は次の10年以内に十分可能、と言っている。

そのときに備えてAudiは、Airbusの子会社Voomの協力により、オンデマンドフライトサービスのあるべき形をテストしている。メキシコシティやサンパウロでは顧客がヘリコプターのフライトを予約できるが、そのときAudiがヘリポートと自宅などとの間の交通機関を担当する。

“このような実用サービスを実施することによって、顧客のニーズをよりよく理解できる。未来には空飛ぶタクシーがさまざまな都市住民にアピールしなければならない。われわれのPop.Up Nextでわれわれは、技術的に可能なことと、顧客のニーズの両方を探求している。次のステップは、フルサイズのプロトタイプの試験飛行と運用だ”、とMartensは言っている。

Audiは、インゴルシュタットの飛行タクシープロジェクトUrban Air Mobilityも支援している。これは、Audiの敷地で行なう飛行タクシーの運用試験の、準備のための企画だ。

画像クレジット: Audi

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ドローンが初めて臓器移植用の腎臓を運び結果は良好

ドローンを使う配送に実用性があるのは、二つの分野だけではないだろうか: テイクアウトと臓器移植だ。どちらも、荷重が比較的軽いし、しかも時間要件がきわめて厳しい。そして確かに、冷蔵ボックスに収めた腎臓を運ぶボルチモアでの実験は、うまくいった。このぶんでは、良質な装具に収めたあなたの昼食のパッタイも、無事に早く届くだろう。

このテスト飛行を行ったのは、外科医のJoseph Scaleaが指揮するメリーランド大学の研究者たちだ。Scaleaは、空輸では十分な柔軟性が得られないことに不満を感じていた。そして、そのいわゆる‘最後の1マイル問題’の当然のようなソリューションが、ドローンだと思った。

Scaleaと彼の同僚たちはDJI M600ドローンを改造して冷蔵ボックスを運べるようにし、飛行中の臓器の状態をモニタするためのバイオセンサーを設計した。

数か月待って、彼らの研究に腎臓が与えられた。それは、テスト用には十分だが、移植用には使えない、という状態のものだ。チームは、ボルチモアに到着したそれをコンテナに収め、距離と条件がさまざまに異なる14の旅程ミッションを実行した。最長は、病院までの距離が3マイル(約5キロメートル)、最高速度は時速67.6キロメートル(42マイル)だった。

腎臓の生検は飛行の前後に行われ、また小型の航空機による参照飛行のあとにも行われた。小型航空機は、中距離の臓器輸送によく使われている。

画像クレジット: Joseph Scalea

結果は良好だった。風や、ドローンのモーターの熱などが心配されたが、モーターと回転翼が離れているドローンを選ぶなどで対応し、ボックスの温度は冷凍よりやや高い摂氏2.5度が維持された。ドローンの振動や機動によるダメージは、見受けられなかった。

ドローンにも、そして臓器の輸送方法にも規制があるので。このような配送方法が近日中に実用化されることはないだろう。しかしこのような研究が、規制の改定の契機になると思われる。リスクが定量化されれば、腎臓や肝臓、血液などの組織や、そのほかの重要な医療用品を、この方法で輸送できるようになる。多くの場合、一分一秒を争う状況で。

とくに有益なのが、災害現場だろう。航空機はもちろん、陸上車両もそこへ行けない状況がありうる。そんなとき、ドローンは必要な品物を届けられるだろう。しかしそうなる前には、飛行によって血液が凝固しないなど、実用化に向けての十分な研究が必要だ。

この研究の詳細は、IEEE Journal of Translational Engineering in Health and Medicineに載ったペーパーに書かれている。

画像クレジット: Joseph Scalea/メリーランド大学ボルチモア校

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa