Alphabet、EU制裁金27億ドルをよそに売り上げは好調

Alphabetの広告ビジネスは、EUから課せられた巨額の制裁金をよそに恐ろしいペースで成長を続けている ―― しかし、兆候のすべてがGoogleの完璧な未来を指しているわけではない。

EUは、 Googleのショッピング比較検索が反トラスト法に違反しているとして、6月末に27億ドルの制裁金を課した。Googleは今日の第2四半期決算にそれを盛り込んでいるが、売上は前年比20%増で「有償クリック数」も52%跳ね上がった ―― 基本的に有償クリックはGoogle広告を見る人口だ。利益以外の部門は予測を上回った。

しかしGoogleの決算報告には見過ごされがちなものがある。「トラフィック獲得コスト」(TAC)がGoogleの売上に占める割合は前年より増えている。昨年第2四半期は広告売上の21%だったが、今年は22%だ。わずかな違いに思えるかもしれないが、TACの増加は良くない兆候でありウォール街に対するネガティブな信号になりかねない。

決算報告が発表された後すぐ株価は最大3%下落した。同社株は今日1000ドルを越えたが、今後伸びていくためにはこうした課題を解決するシナリオが必要だ。先月は多少困難があったにもかかわらず、今年に入ってGoogleの株価は25%以上値上がりしている。

TACの増加は徐々にではあってもGoogleの今後にとってリスクになりうる。たとえ有償クリック数が増え続けたとしても、コスト増はバランスシートを圧迫する要因だ。Nestなどの新事業による「その他の賭け」(Other Bets)を追求する今も、Alphabetを推進するのはGoogle本体だ。Googleは今、副次的プロジェクトの無駄を省き、真のビジネスへの転換をはかっている。

Googleの第2四半期の経費は昨年の81億ドルから100億ドル以上へと膨れ上がった。売上は21%伸びたものの、コストがそれ以上に増えている。いずれも小さな兆候だが、Googleの未来を適切に見積ろうとするウォール街が見逃すことはない。

それでもGoogleはEUの制裁金を利益に織り込むことで将来予測を確定したかった。ウォール街はそのレンズを通して今日のGoogleの決算報告を見ている。同社の1株当たり利益は5.01ドル、売り上げは260億ドルで、アナリストの予測はそれぞれ4.46ドルと209億ドルだった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

キャッシュマッチングと債権回収作業の効率を、機械学習で最大70%向上させるRimiliaが2500万ドルを調達

現在大企業では、キャッシュマッチングと、債権の回収という仕事を行なうために、大規模な会計チームを必要としている。これは大きく手作業に依存する作業だ。一部のERPベンダー(特にSAP)はこのための独自のモジュールを持っているが、この世界の大規模なプレイヤーとしては、ドイツ国内とSAPのエコシステムに焦点を当てたHanse Orgaや、米国のHighRadiusBilltrustなどが挙げられる。しかし、こうした仕事の大部分は機械学習で実行可能なものだ。ということで、会計士たちは要注意だ、何故なら新顔がやってきて仕事を奪い取るかもしれないのだ。

Rimiliaは、プロセス全体をほぼ自動化しながら、キャッシュマッチングと債権回収の質とスピードを向上できると主張している。そしてその拠点はシリコンバレーでもなく、ロンドンでもない。2008年にブートストラップして以来、収益を上げて経営してきたが、今回成長資金として2500万ドルを調達した。このラウンドは、ロンドンを拠点とするファンドであるKennet PartnersEight Roads Venturesによって、主導されたものだ。両ファンドとも成長資金ラウンドでは知られた存在だ。

調達資金は、ヨーロッパと米国で拡大するために使用される。またこの調達資金の一部を使ってチーム規模を倍にする計画もあり、かつ経験豊かなSAASプレーヤーであるKarl Campbellを取締役会のチェアマンに迎えた。

Rimiliaの主力製品であるAlloc8 Cashは、機械学習を使用して、請求書と受け取った支払いの照合を行い、必要とされる手作業を軽減する。もう1つの製品であるAlloc8 Collectは、どの顧客の支払いに着目すべきかの優先度付けを行う予測分析を用いて、未回収の債権残高を管理する。Rimiliaは、どちらの製品も効率を最大70%向上させると主張している。

Avis、日立、Santander、そしてTravis Perkinsを含むヨーロッパと米国各地に広がる顧客のために、同社は現在英国のBromsgrove中部イングランドの本社に、70人以上の従業員を雇用している。

取締役会に加わる予定のKennet PartnersのディレクターであるHillel Zidelは、次のように述べている「Rimiliaは外部資金を調達しないまま、設立以来急速に成長してきたブートストラップの成功例です。各企業は、インテリジェントな自動化への投資の優先順位をますます高めています。私たちRimiliaがオートメーション分野のグローバルリーダーになる絶好のチャンスを握っていると確信しています」。やはり取締役会に参加するEight Roads Venturesの欧州本部長であるDavor Hebelは、次のように述べている「Rimiliaは、中部イングランドに設立され本物の問題を解決している、英国テクノロジーシーンの隠された宝石です」。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: GMUTLU/ISTOCK

Nexarが80ヵ国以上で撮影された5万5000枚の路上写真を、自動運転技術加速のためにリリースした

Nexarは、自動運転技術開発のために、地理的に多様な画像が含まれている、(同社が言うところの)世界最大の写真セットを、その主催するオープンコンペティションのために公開した。さまざまな照明や気象条件の下、80カ国以上で撮影された5万5000枚のタグ付き写真がセットには含まれている。それぞれの写真は、Nexarのコミュニティベースの、iOSならびにAndroid用アプリ、V2V dashcamを使って路上で撮影されたものだ。このリリースの目的は幅広い天候状況や道路や国ごとの違いに対応可能な自動運転知覚モデルを開発を助けることだ。

NEXETと呼ばれるNexarの画像セットのリリースは、同社によって研究者たちに提示された挑戦の一部だ。それは様々な状況下、異なる地理的条件の下で、常に一定のパフォーマンスを発揮できる自動運転車のための知覚システム開発を促す挑戦である。

Nexarは、彼らの目標を、現在の多くの研究が内在する大きなギャップ、すなわち現実世界の非常に限定された領域や、シミュレーションや、実験室環境の映像を訓練のために使用している状況にアプローチすることだと語っている。ソフトウェア開発者なら誰でも、現実の状況に対処するときにのみに遭遇する問題があることを認識している。そしてそれは自動運転車のシステムを訓練する場合でも全く同じだ。いまなお、エッジケースを扱う上で大きなハードルがある。iPhoneアプリなら例外的なユースケースであっても被害はそれほど大きくはない、しかし運転の場合には、生死を分ける違いとなる可能性がある。

Nexarの全体目標は、世界各地の民生機器を介して集められた複数のストリームデータを組み合わせた、Advanced Driver Assistance System(先進的運転支援システム)を構築することだ。そして今回のコンペティションはその試みをさらに押し進めることができるようにデザインされている。しかし、最終的な業界へ価値も明らかだ。そしてこれだけの量と種類のデータセットに普通に出会うことは難しい。

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(翻訳:Sako)

NASA、「静かな超音速旅客機」の開発プロジェクトをスタートへ

NASAは国際線の飛行時間を大きく減らせるような超音速旅客機の実用化に乗り出す計画だ。騒音レベルでコンコルドを下回ることもNASAが提示した超音速旅客機が実現を狙う目標のひとつだ。

Bloombergの記事によれば、NASAはこの8月から超音速旅客機のフルスケールモデル製作のため競争入札を開始するという。採用された場合、向こう5年間で4億ドルの予算が予定されるプロジェクトだ。

ビジネスがグローバル化し、仕事が世界に分散化する中、 航空旅客運輸の高速化のニーズが高まっている。NASAは新しい商用超音速機の開発によってにこれに応えたいとしている。NASAでは開発された航空機デザインを利用してロッキード・マーチン、ゼネラル・ダイナミクス、ボーイングのような巨大企業からコロラドのBoom Supersonicのようなスタートアップまでが広く製造に参加することを期待している。

私は今年に入って、コロラド州のBoom Supersonicを取材し、CEOのBlake Schollにインタビューしたことがある。Schollは現在開発中の機体の目標の一つは騒音の大幅低下であることを認めた。現在アメリカ合衆国の陸上を超音速旅客機が飛行することが規則で禁止されている理由の大きなものが騒音問題だ。Boomでは当初の空路をすべて洋上に設定し、この問題を避けようとしている(コンコルドの場合もアメリカについてはニューヨークの空港を利用する大西洋横断ルートのみが設けられていた)。

Bloombergの記事によれば、NASAではロッキードで開発されたデザイン(トップ画像)をベースとして高級車が高速道路を走行する程度の騒音レベルを達成しようとしている。これは60dBから65dB程度であり、Concordeの90dBよりはるかに静かだ。

NASAでは2022年までに人口密集地帯の上空飛行を含む本番テストを実施したい考えだ。アメリカにおける超音速旅客機の飛行を制限する規則を変えるためにこの結果を使う計画だという。Boomでは実証機の飛行を来年にも開始する。この10年ほど休眠状態だった超音速旅客機の実現に向けていよいよ競争が始まることになりそうだ。

画像: Lockheed Martin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookがコンテンツクリエイターへの収益配分のために、コンテンツ権利管理スタートアップのSource3を買収


Facebookは、独立したコンテンツクリエイターたちが、ニュースフィードを通して作品を共有するように誘惑しようと、強いプッシュを行っている。しかしFacebookは、同時にクリエイターたちに対して、権利侵害の蔓延を許すことなく、コンテンツの収益化を助けることができることを証明する必要がある。それこそがコンテンツ権利管理スタートアップSource3のチームと技術を、Facebookが買収した理由だ。

スタートアップの説明によれば「Source3は、ユーザーが作成するコンテンツの中にある、ブランド化された知的財産を認識、整理、分析することに着手しています。そしてスポーツ、音楽、エンターテイメント、ファッションなどさまざまな分野でプロダクトの識別に成功しています」ということだ。その技術は、ユーザーが作成したコンテンツや、商品取引市場内でのブランドIPを認識し、ブランドの露出度を測定したり、著作権や商標を侵害した者に対して行動を起こすことを可能にする。

Facebookの広報担当者であるVanessa Chanは、次のように語る「私たちはSource3チームと共に働き、彼らが知的財産権、商標権、そして著作権に関して作り込んできた専門知識を学ぶことを、とても楽しみにしています」。Source3はこの取引についてサイト上で発表し、その内容がRecodeによって取り上げられた。同社は「私たちはFacebookと共に旅を続けることを決めました」と書いている。そしてそのチームは、FacebookのNYC事務所で働く予定だ。

Source3はこれまでに400万ドル以上を調達しているが、その大部分はContour Venture Partnersが主導した2015年のシードラウンドによるものだ。 共同創業者であるのPatrick F. Sullivan、Benjamin Cockerham、そしてScott Sellwoodは、以前音楽著作権管理プラットフォームRightsFlowをGoogleに販売したことがある。Source3は、元々3Dプリンティングの著作権管理会社として、2014年にニューヨークに誕生した。しかし、消費者市場における3Dプリンティングが停滞した後、そのスコープをデジタルエンターテインメントへと広げたようようだ。

そのチームと技術は、FacebookのRights Managerソフトウェアを拡張することになるだろう。このソフトウェアはYouTubeのContent IDのように動作し、クリエイターが自分の動画を識別できるようにした上で、Facebookへの許可されていないアップロードをブロックしたり、その非公式なコピーから利用料を回収したりすることができるようにする。Source3は、Rights Managerを通じて、ブランドやクリエイターが承認されていないコンテンツやIPの露出を特定することを助けることが可能だ。

先月のVidConで、Facebookは、クリエイターがファンとコンテンツを共有するための特別なスタンドアロンアプリを開発中であると発表した。Facebookは既に、月間20億人という最大のオーディエンスを抱えている。今やFacebookはクリエイターたちにとって、ソーシャルネットワークが、彼らの努力を投じる場所としてふさわしい場所である収益の上がる場所だということを証明しなければならない。

1つの方法として、Source3の技術を使用して、Web有名人が着用または使用しているブランドを認識し、それらを当該ブランドまたは同様のものに結びつけて、スポンサードコンテンツまたは商品注文へと誘導する方法が考えられる。Facebookはこうした取引の一部を報酬として受け取ることが可能になり、これによってクリエイターたちのコンテンツのマネタイズを、これ以上煩わしい広告を投入することなしに実現することが可能になる。

Vineの終了、Snapchatのゆっくりとした成長、そしてPewDiePieスキャンダルによるYouTubeの混乱の中で、FacebookとInstagramはファンにリーチしようと考えるクリエイターたちに対して、中心的なハブになることにできる絶好の位置にいる。問題は、友人のたちの写真やニュースリンクを見るために作られたFacebookが、明日のモバイルミニ映画スターのユニークなニーズに応えることができるかどうかということだ。

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(翻訳:Sako)

FordのMustang GT 2018年モデルは、0~60マイル加速で4秒を切る


Fordの Mustang GT最新モデルは史上最高速だ ―― 新たに搭載されたDrag Stripモードを使うと、0~60 mph(96 k/h)までわずか4秒で到達する。これはPorsche 911を始めとする多くのスポーツカーよりも速い。Drag Stripモードは、最新の加速を実現するために最適なトルクとトランスミッションを設定するもので、ミシュランのPilot Sport 4 Sタイヤを装着してこの4秒を切るタイムを達成した。

この新たなスピード記録には、Mustangの10速オートマチックトランスミッション、SelectShiftの新型も貢献している。Mustangのチーフエンジニア、Carl Widmannが言うように、「ギアをシフトすればタイムが犠牲になる」からだ。

  1. 2018-mustang-gt-can-go-0-60-in-under-4-seconds-with-new-10-speed-automat.jpg

  2. ford-mustang-gt-drag-strip-mode-in-12-inch-digital-cluster.png

この車のエンジンはV8 5.0 L、460馬力、最大トルクは569 N・mで、Fordがこの2018年型Mustangのために一から再設計した。Drag Stripモードは新モデルでドライバーが利用できる5つのモードのうちの1つで、ほかにも様々な運転シナリオに応じたモードが用意されている。

新型Mustangのオプションや価格については、Fordのウェブサイトで明日から公開され、車は今秋からショウルームで見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

物流業務プラットフォームの「オープンロジ」が7.3億円調達、冷蔵倉庫や海外展開も視野に

左からEight Roads Ventures Japanの村田純一氏、オープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏、取締役CTOの五十嵐正人氏

物流業務プラットフォーム「オープンロジ」を展開するオープンロジは7月25日、Eight Roads Ventures Japan(リード投資家)、Spiral venturesInfinity Venture PartnersSMBCベンチャーキャピタル(いずれも既存投資家)および個人投資家から総額7億3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。同社はこれまで累計で10億円の資金を調達している(前回のラウンド前々回のラウンド)。なお今回の調達にともない、Eight Roads Ventures Japanの村田純一氏がオープンロジの社外取締役に就任する。

オープンロジの設立は2013年12月。2014年3月にサービスをローンチしている(2014年11月にはイベント「TechCrunch Tokyo 2014」のスタートアップバトルにも登壇した)。通常倉庫会社と契約する場合、個別見積もりをしたのちにスペース単位での価格が設定される。さらにそこから、梱包、在庫管理といった作業が必要になる。大企業ならまだしも、中小のEC事業者にはこういった一連の作業が大きな負担になっていた。オープンロジは自ら倉庫会社をネットワーク化し、独自開発のシステムで運用することで、アイテム単位の課金で安価に利用できる物流業務のアウトソーシングプラットフォームを手がけている。

これまでノンプロモーションながらユーザー数は2500アカウント以上。金額は非公開ということだが、売上は前年比730%増になっているという。当初は中小事業者をターゲットにしており、現在でもユーザーの8割は月間出荷件数数百件程度だが、その一方では1万件以上の月間出荷件数を誇るユーザーもいるという。すでに47都道府県からの利用に加えて、海外事業者の利用実績もあるという。

今後は冷蔵倉庫対応や海外展開も

提携する倉庫数も十数拠点まで拡大したが、今後は国内外合わせて60拠点まで拡大する予定だという。海外展開に関しては、まず今秋にも米国オレゴン州への進出を予定。「オープンロジを使えば現地の倉庫を簡単に契約ができて支払いもワンストップ化される。Amazon.comやeBayでの越境ECを促進することができるようになる」(オープンロジ代表取締役社長の伊藤秀嗣氏)。今後は中国やアジア圏の倉庫を増やしていく予定だという。

オープンロジでは今回の資金調達により、サービスの体制基盤の強化や国内外の各種EコマースサービスとのAPI連携などを強化していく。さらに、冷蔵や定温倉庫との連携も進める。「空調管理が必要な分、保管料や配送料は常温に比べて高くなるが、それでもオープンロジを通すことでこれまで敷居が高かった倉庫の利用ハードルを下げ、中小規模の事業者のコストダウンが図れるようになる」(伊藤氏)。これに加えて、年内にはオムニチャネル向けの新規事業を展開する予定だ。

新しいAppleの広告は、The RockとSiriの掛け合いでボイスファーストインターフェイスの有用性を伝える

目に見えないインターフェイスの使い方を、あなたは他人にどのように教えているだろうか?Appleにとって、Siriが最初の大規模大衆向け音声アプリケーションとなったときから、それは常にマーケティング上の問題として居座り続けている。

Appleはそれを教えようと何度も挑戦してきた。もしSiriを起動して何も話かけずにいたら、画面にSiriからの助言(「こんな風に話しかけてください」)を表示する。テレビスポット、ツールチップ、App Storeのプロモーション、そして読んだことがあるかどうかは知らないがインタビューなどで、どれほどの努力がSiriに注がれたかを知ることができる。それらは皆、単に時刻を尋ねたり、天気について聞くこと以上の使い方を促そうとするものだ。

そして、さらに最近は、AppleはiPhoneユーザーを、Siriがその声から連想される性格を超えて、AppleのAI(人工知能)とML(機械学習)に関連する様々なアプリケーションを代表するものなのだという考えを吹き込もうとしている。

世間では「電話機で何かを尋ねること」というSiriへの認識は大きく広がっているものの、その理解はとても浅いままだ。そう、日々の中で役立ち続けることが、人びとをプラットフォームに引き寄せるために大切なことなのだ。

平たく言えば:Appleに必要なのは、Siriが如何に日々の生活の中でユーザーを助けてくれる力があるのかを伝えることだ。

今回は、The Rockの異名で知られる、アクション映画の帝王かつ将来の大統領候補のドウェイン・ジョンソンが、それを伝える役割を託された。

この3分のスポット広告(今朝(米国時間7月23日朝)のジョンソンによるツイートに基いて、どこかのサイトでは「映画」として誤って伝えられているらしい)はYouTubeで公開される。本質的には短いエピソードを集めたものなので、テレビやアプリな視聴のためには簡単にショートバージョンを作ることが可能だろう。

今朝Twitter上で寄せられたジョンソンからのレスポンスによれば、このスポットは、AppleとSeven Bucks Productionsとの共同制作である。Seven Bucks Productionsはジョンソンがダン・ガルシアと共同設立した制作会社だ。

話の内容はジョンソンの正気の沙汰ではないようなスケジュールに、さらなる棺桶リスト(死ぬまでに実現したいToDoリスト)である「人生のゴール」を付け加えて、複雑化させつつも、Siriの助けを借りて全てをこなしていくというものだ。テンポがよく、どのパートを見ても極めて楽しく、全体としても素敵な仕上がりになっている。ジョンソンが2016年に世界で最も出演料の高い俳優だったということは勘定に入れなくても、とてもお金がかかっているように感じる。

早い段階での誤解はともあれ、それは立派な広告であり映画ではない。そして広告としては、かなり効果的なものだと思われる。Siriの使われ方は、とても明白で良く知られたものから、ややわかりにくいが便利なものに到るまで、広い範囲をカバーしている。

ボイスファーストインターフェイスに対しては、驚くほど強気な沢山の人びとがいるが、個人的には流行が進みすぎるのは危険だと感じている。なぜなら人びとにそうしたインターフェイスが必要不可欠であると納得させることはできないからだ。

AmazonのEcho、Google Assistant、そしてSiriのようなボイスファーストインターフェイスは、大衆の意識に浸透するにつれ、どのようにすれば人びとにその有用性を理解させ、それを継続的に使う気にさせることができるのかが、いわば何か素晴らしいことを起こそう(make “fetch” happen)と狙う企業たちにとって、最も関心の高いことになっていくだろう。

スポット広告はYouTubeにアップロードされている

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(翻訳:Sako)

現代自動車とKiaの車に、Kakaoが音声認識技術を搭載する

韓国のハイテク企業であるKakaoが、その配車事業をスピンアウトする計画を発表してから1ヶ月も経たないうちに、今度は韓国第2位の自動車メーカー現代自動車ならびにその子会社であるKiaとの間に、車載のハンズフリーシステム搭載に関する契約を結んだ

Kakaoは、韓国内のスマートフォンの95%以上にインストールされているトップメッセージアプリ、カカオトークを運営していることでよく知られている。しかしそれはチャットの枠を越えて他の領域にも手を伸ばしていて、AIもそのうちの1つだ。

9月には、同社のAIテクノロジーである”Kakao I”が、現代とKiaの特定の車種に統合されて、当初は車内で音声認識技術が提供される。双方の自動車企業は、運転者がレストラン、サービスステーションなどの情報を、声で検索できるハンズフリー機能の”One Shot”などのサービスの開発に協力してきた。

同社によれば、それ以外にも、Kakao Iは、音声認識、画像認識、テキスト音声変換、自然言語処理、チャットボットをサポートしているという。Kakaoはプラットフォームをサードパーティに開放し、車内の運転者をより快適にする多くのサービスと機能を提供しようとしている。

Kakaoは昨年9月に自動運転技術の開発を開始したと発表していたが、今回の提携はそれとは関係していない。

現代自動車は、自動運転車に早い段階から取り組んでいる会社の1つで、実際三星(Samsung)に先んじて、韓国で初めてのライセンスを取得している。同社はプロトタイプを先の12月に発表しており、また当初の予定より早く半自動運転機能を出荷しようとている

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(翻訳:Sako)

サンフランシスコ市、LyftとUberに運行データ提出の裁判所命令を発行

サンフランシスコ市法務官、Dennis Herreraは、UberとLyftの両社に対してドライバーの安全、身障者対応、その他の運用に関する記録の公開を求める裁判所命令の発行を検討している。先月同法務官は本件に関する召喚状を発行していた。

6月4日にHerreraが発行したその召喚状は、両社のドライバーが、「公衆の安全に対する脅威、あるいは差別などの違法行為による社会的迷惑」を生まないことを目的としていた。

具体的には、ドライバーの走行距離と時間、乗客を求めて他の都市からサンフランシスコに通ってくるドライバーのインセンティブ、訓練、障害者の利用できる車両の数、および利用経路についての記録4年分の提出を求めている。

市法務官によると、Lyftは当局に協力しようとはしたが、「最終的には理不尽な条件を要求し、納得のいく合意に達しようとする意志が見られなかった」と報道資料に書かれている。一方Uberは一切の協力を拒否した、と法務官は言っている。

「Uberは締切の6月20日まで待ってから、情報提供を拒否する旨の書簡を市に送り『Uberの懸念事項に関して対話する』用意はあると言った。その後Uberの担当者はなかなか会おうとせず返事も遅く曖昧な態度を取っていた。結局Uberは召喚要求に従わなかった」と法務官事務所は言った。

先月、サンフランシスコ群交通局は、先週のサンフランシスコの交通量の15~20%をUberとLyftが占めていたことがわかったと発表した。問題は、推定4万5000人といわれるUberとLyftのドライバーが、同市にマイナスの影響を与えているとみられることであり、Herrera法務官は現状のよく把握したうえで、両社が法を順守することを望んでいる。

「残念ながら、Uberはいつも通りの行動をとっている。問題を引き起こし、すぐに腰を上げず、常に法律を軽視している」とHerreraが声明の中で言った。「名誉のために言うとLyftの方が対応はよかった。しかし結局はLyftも理不尽な妨害行為をした。両社は最低限の文書を提出し、それ以外の要求は無視する態度に出た。そして現時点で彼らは、正当な企業秘密を守るための守秘契約を結んでいない。

アップデート 12:49pm PT。Uberからのコメント:
「当社は法務官事務所の懸念を正しく理解するために、協力して作業している」とUberの広報担当者がTechCrunchにメールで伝えた。「当社は問題解決のために情報を提供する意志があることを先方に伝えた。機密情報に扱いについても合意できることを願っており、この重要な問題に協力して取組んでいくことを約束する」。

Lyftの広報担当者は、同社がHerrera法務官と協力して取組むつもりだと言っている。

「昨晩も、市当局と建設的な会話をしたところ」と広報担当者は言った。「しかし、膨大な量の個人情報 ―― 同社が運行する他のどこの都市よりも多い ―― の提出を求めながら、この個人データを保護する基本的な手順を踏もうとしない当局のやり方は前例がなく、不可解であり、あまりにも非現実的だ。今も当社はサンフランシスコの輸送事情を全体的アプローチによって改善しようとする市のリーダーたちと協力していく意志を持っている」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

シカゴのポケモンGOイベント、技術的問題で参加費払戻しへ

NianticのポケモンGO FESTに参加しようと、シカゴのグラントパークに向かった約2万人のポケモンGOプレーヤーたちは、全員同じことを心配していた。天気予報によると嵐がやってくるというのだ。

結果的に天気はよかったが、それ以外のほとんどが問題だった。

さきほどNianticは、参加費を払戻した上でさらに100ドルのゲーム内通貨(ポケコイン)をプレーヤーに付与すると発表した。Nianticの推計によるとイベントには1.5~2万人の人々が参加していた。

(アップデート:Nianticが自動的に払戻しをするのか、申し出た人だけなのか現時点では明らかになっていない。参加者には詳細をメールするとNianticは言っている)

何よりも問題なのは、ゲームそのものが機能しなかったことだ。最初の参加者がグラントパークに入ってから数分後に携帯ネットワークが不安定になった。正式に門が開いてから20分以内にネットワーク全体がダウンした。私はこの10年間かなりのライブログを担当してきたので、ネットワークの混雑を回避して何とかすることには慣れていた。しかし、今回はどうしようもなかった。

ネットにつながってもポケモンGO自身に問題があった。モンスターをタップして捕らえようとしてもエラー画面が出るだけだ。ポケモン図鑑をコンプリートしたくて遠方からやってきた多くのプレーヤーにとってこれは特にショックが大きい。公園では特別なレアモンスターたちが生まれることになっていたのだから。Unown[アンノーン]やHeracross[ヘラクロス](通常はごく限られた地域でしか見られず、もちろんシカゴ中心部にはいない)をタップするとゲームはクラッシュした。

一方で現実世界も問題だらけだった。イベント開始の何時間も前からブロックの周りには行列ができた。3時間後、列の大部分は外に残されたままだった。公園内のジムを支配しているチームを示すために用意された数多くのディスプレーは消えていた。

NianticのJohn Hankeがステージに立つと、数千人の聴衆に迎えられ、その多くがこう叫んでいた、「ゲームを直せ」「プレイができない」。さらに過激な参加者の中には、壇上に登って不満をぶちまける者もいた。

現地時刻の午後2時現在、Nianticは問題が解決することを願ってイベントを予定通り続けようとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

これがスピルバーグの新作”Ready Player One”の予告編だ

もしスティーブン・スピルバーグが一体どのようにReady Player OneのディストピアとVR中心の世界を描き出したのかに興味があるのなら、その最初の片鱗を上の予告編(San Diego Comic Conで公開されたバージョン)の中に垣間見ることができる。

この映画は、アーネスト・クラインの小説に基づいた作品だ(原題同じ、小説邦訳のタイトルは「ゲームウォーズ」)。この本はVRとゲームを描いた最高のフィクションだと何度も周りに勧められていた(申し訳ない、まだ読めていない!)。

ストーリーの主な要素の1つは、OASISという仮想世界だ。予告編の中に見るOASISは際立って視覚的特徴を持つものではないかもしれないが、とても楽しく派手な内容のように見える。あらゆるポップカルチャーのごった煮だ。

私はまた、途中登場した売り文句に何度か笑わされた、映画の予告編としてはありがちだとしても、随分大げさな煽りだったからだ。スピルバーグは受賞歴のある監督というだけでなく「映画を根本的に変革する者」(cinematic game-changer)だそうだ。そして、Ready Player Oneは単なる人気作ではなく「ポップカルチャーの聖杯」(holy grail of pop culture)だそうである。

ハリウッドレポーターによると、スピルバーグはComic Conでこの映画について、「私が熱心に関わっていた80年代と、私たちが好むか否かに関わらず、私たちを待ち受けている未来の間を、フラッシュバックしながら同時に描き出して行くのが素晴らしい」と語った。

ともあれ、判断は留保中ではあるが、期待はしている。なにしろスピルバークだ。The Matrixは別格として、VR映画の難易度はかなり下がっている。

Ready Player Oneは主役のウェイド・ワッツをタイ・シェリダンが務め、脚本はクラインとザック・ペンによるものだ。2018年3月30日に公開予定である。

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(翻訳:Sako)

iOSのビデオ作成アプリ「Clips」に、ディズニーとピクサーのキャラクターが登場

Appleの超簡単ビデオ編集アプリのClipsが、4月の公開以来初めて大きく改訂された。追加された中で最大の目玉はコンテンツだ ―― 何といってもDisney/Pixarの世界から数多くのライセンス付きキャラクターが加わった。あのミッキーやウッディーがオーバーレイやトランジションのアニメーションになって登場する。

コンテンツは、簡単で失敗のないUIと並ぶClipsの大きなセールスポイントであり、Appleは常に新しいコンテンツを追加して鮮度を保つことを約束していた。ディズニーを始めトイ・ストーリー、インサイド・ヘッドなどの映画から伝説的キャラクターを多数迎えたことで、昔ながらのフィルターやオーバーレイのアプリより多くのユーザーを引き付けることができるだろう。これは、Apple Watchの文字盤にミッキーマウスが加わったことに続く、Apple、Disneyの大物二社による最新のコラボレーションだ。

開発チームは、踊るミニーマウスや、インサイド・ヘッドの弱虫ビビリのアニメーションを見事にオーバーレイに取り入れた。私自身はアップデート版をまだ試していないが、作られたビデオに加えられたダイナミックなタッチはすばらしく感じた。

DisneyとのタイアップはClipsにとって良いタイミングだった(ただし先週のスターウォーズ満載のD23イベントには間に合わなかった)。公開当初の関心は時間がたつにつれ薄れていたようで、本誌も報じたように、Clipsは公開直後の4日間で100万ダウンロードを記録したが、App Annieによるとその後は急激に順位を落としている。

競争の激しい写真・ビデオのカテゴリーでアプリの牽引力を高めるには、継続的なアップデートが効果的だ。Appleは5月に小さなアップデートを実施したが、ちょっとした機能変更や安定性向上などが主なものだった。

今回の1.1アップデートでは、Apple製のオーバーレイやポスターが追加されたほか、Clipsで最も強力な機能ともいえる音声変換字幕機能を使いやすくするLive Tile編集ボタンもついた。なおディズニーキャラクターはアップデートをインストールするだけでメニューに現れるが、音楽データは個別にダウンロードする必要がある。これはアプリのサイズを小さくするためだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、企業の採用活動をサポートする新サービス「Hire」を公開

Googleは7月18日、新しいサービスHire公開した。このサービスにより、企業は採用プロセスをより効果的に管理することができる。Hireは包括的に応募者を管理するためのサービスで、G Suiteとも深く統合している。このサービスで企業は採用候補者とのやり取りや面接の進行具合を簡単に追跡することが可能になる。

2017年6月、Googleは求職者が各自にマッチした仕事を見つけるためのGoogle for Jobs構想やGoogle検索を使った求人検索機能を公開した。そして今回のは、企業が採用候補者の管理をするためのツールだ。ここまで揃うと残るピースは、企業が求人広告を掲載する際の管理ツールや、Google検索の新しいジョブ・ウィジェットに直接求人を掲載する機能だろう。しかし、AIによる求人検索エンジンを発表した際にも説明したように、Googleはこのような機能を自社で追加することは考えてなく、そこは代わりに大手のオンライン求人サイトと協力していくという。

Hireは、企業が採用候補者の管理する手間を省くためのものとGoogleは説明する。「HireG Suiteは、連携して機能するように作ってあります。なので、採用担当者はツール間のデータの受け渡しのためにコピー&ペーストをするなどの余計な作業をする必要はなくなり、本当に重要な作業に集中することができるようになります」とGoogleのプロダクトマネージャーであるBerit Johnsonは発表の中で述べている。

Hire自体も十分面白いのだが、Googleがここ数年で開発したG Suiteのツールやバックエンド・サービスを使って特定の分野の問題を解決しようと考えていることも興味深い。土台が揃った今、Googleが今後さらにこのようなプロジェクトを投入してきても不思議ではない。

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YouTubeがISIS志願者を説得反論するビデオツールRedirect Methodを立ち上げ…広告のターゲティング技術を応用

テロにデジタル技術で対抗するGoogleのビッグな実験が今日から始まる。この実験は同じAlphabet傘下のシンクタンクJigsawと協力して、YouTube上のISIS関連のプロパガンダを葬り去ろうとする。これからは、ISIS志願者が特定のキーワードを使って既知の過激派のコンテンツを検索すると、テロリスト集団を批判し彼らに対抗するビデオへリダイレクトされる。このプロジェクトは、Redirect Methodと名付けられている。

Redirect Methodのホームページにはこんな説明がある:

“Redirect Methodは、Adwordsのターゲティングツールと、厳選されたYouTubeビデオを使って、ネット上の過激主義に対抗する。それらのビデオは、世界中の人びとからアップロードされたものだ。その主な対象は、ISISのメッセージに感化されやすい一部のオーディエンスで、彼らを、ISISの誘い言葉の嘘をあばく厳選されたYouTubeビデオへリダイレクトする。このオープンな方法はISISの離脱者たちへのインタビューに基づいて開発され、ユーザーのプライバシーを尊重し、そのほかのタイプの暴力組織の募兵談話対策にも利用できる。”

Redirect Methodはこれまでの8週間のパイロット事業で32万のビューワーに対応し、ISIS志願者が検索する事柄や、プロパガンダへの反論として有効/無効な語り口等に関し、重要なインサイトが得られた。たとえば、ドキュメンタリービデオや市民ジャーナリズムの作品は、ISISを称揚する説話を打ち砕く効果が大きく、また宗教をめぐるディベートや、ISISの離脱者たちが登場するビデオも効果があった。

リダイレクトされるきっかけとなる検索キーワードは、“Baqiyah wa Tatamadad (“留(とど)まれ、そして広がれ”)や、尊敬と名誉を意味する“Al Dawla Al Islameyah”など、信仰精神を鼓舞するものが多い。

Googleの本質は本来、巨大広告企業なので、ISISの志願者に到達するためのターゲティングなんか、お手のものだ。消費者へのターゲティングと、方法は変わらない。

Jigsawから孵化したRedirect Methodは、オープンな青写真として一般公開されているから、Google以外の企業や団体が過激派対策に利用してもよい。

イスラム(と名乗る)過激派以外の、もっと多様なタイプのテロや暴力賞賛行為への応用性について、今Googleに問い合わせているから、コメントが得られ次第この記事をアップデートしよう。〔Redirect Methodのホームページに答はある。〕

YouTubeのチームはブログにこう書いている: “Redirect Methodの実際の効果は、コンテンツへのエンゲージメントの大きさで分かるだろう。近くその結果を発表する予定なので、お楽しみに。”

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

マクドナルド、デリバリー客にバーガー絵柄のホームウェアをプレゼント

McDonaldは北米全域でUberEATSによる配達サービスを提供しているが、薄暗いすみかを15分間離れるエネルギーを蓄える代わりに、デリバリーを頼むことの意味を全面的に享受したいという人のために、ブランド名入りホームウェアのスペシャルコレクションを提供する。そこにはこう書かれている「私はこのオンデマンド・ビッグマックを苦しみとセルフネグレクトの中で手に入れた」。

このコレクションは、ジョギングパンツ、フード付きパーカー、バーガー枕、ビーチサンダル、ワンジーなどからなり、一部店舗で7月26日の一日に限って入手可能。その日のデリバリー客へのサプライズギフトとして配られる。完璧だ。なぜならその日は私の誕生日でもあり、在宅マック中毒マラソンで祝う予定だからだ。

どうせいつもはファーストフードの捨てた包装紙を身にまとうので、ベトベトのロウ紙と泥だらけの段ボールで身を守る代わりに本物の服を着られるのはいい気分転換だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IT企業トップ5の時価総額合計はいよいよ3兆ドル

(編集部)この記事の寄稿者はAlex Wilhelm

Alex WilhelmはCrunchbase Newsの編集長、TechCrunchのベンチャーキャピタル・ニュース専門のポッドキャストEquityの共同ホスト。 これまでの投稿:

Google Financeのデータによれば、今日(米国時間7/20)、テクノロジー企業のトップ5の時価総額の合計が3兆ドル〔336兆円〕を超えた。市場のテクノロジー・ブームは新たな段階に入ったと言えそうだ。

2000年のドットコム・バブルを象徴したのがNasdaq指数が5000を記録したことだった。New York Timesによれば、テクノロジー企業のビッグ5の時価総額が今や3兆ドルに達したことは、この分野が湧きたち、あらゆる面で新記録が生まれていることの表れだという。

現在の株式市場はテクノロジー市場といってもいい。まずはいくつかの数字を確認し、ここまで来た経緯を振り返ってみよう。

3兆ドルを超えて上昇中

Google Financeの数値をベースにCrunchBase Newsが作成したスプレッドシートによれば、ビッグ5(Apple、Alphabet、Amazon、Facebook、Microsoft)の時価総額合計は3.03兆ドルとなった。Yahoo Financeのデータでは3.002兆ドルだった。

なおWolfram Alpha(これについては後述)では2.978兆ドルという結果を出した。多少の誤差はあるものの全体として3兆ドルかそれ以上という点に間違いないようだ。

この額に達するまでにビッグ5はかなり波乱に満ちた経過をたどってきた。直近52週の最安値と比較すると、現在の株価の上昇率は以下のとおりだ。

  • Apple: 56.63%
  • Amazon: 44.61%
  • Facebook: 44.55%
  • Microsoft: 39.54%
  • Alphabet: 33.45%

52週の最高値と比較するとAppleは3.59%安、.Alphabetは0.24 %安となっているが、全体としてテクノロジー企業の株価が新たな水域に入ったことは間違いない。

さてここに問題はあるだろうか?

影響を考える

冒頭で述べたように、新記録というのはなんらかの頂点を表すことが多い。つまり普通でない事態だ。そしてテクノロジー分野ではこれが起きている。

私は5月にブログでこの点について書いたが、引用してみる。

ビッグ5は急速に13桁〔兆〕の領域に近づいている。テクノロジー企業のトップが現在のマーケットの勢いに乗って記録を更新するなら、あらなNasdaq
5000となるかもしれない。2000年のテクノロジーバブルのとき、この指数はある種の心理的なハードルとして意識されるようになった。テクノロジー・ビジネスが復調してNasdaq 5000が全く過去のものとなったは比較的最近だ。

それからわずか3ヶ月で1兆ドルは実現した。

もちろんテクノロジー企業にはネガティブなニュースもあった。これまで絶好調をうたわれてきた企業が閉鎖されたり、 大規模なレイオフを実施sたりしている。Theranosは危機が続いている。株式を上場したユニコーン・スタートアップの一部は、Blue Apronは苦戦している。しかし全体としてみればテクノロジー市場は好調だ。【略】

ここで。ビッグ5の時価総額の推移のWolfram Alphaのチャートをお目にかけよう。ご覧のように最近一度1兆ドル近くまで行ったが、実際に到達したのは今回が初めてだ。

とりあえずは良いニュース

私がテクノロジー・ビジネスについてCrunchbase Newsで書いてきた記事は非公開企業とそれに対するベンチャー投資に関するものが主だったが、公開企業に動向はこの市場全般を理解する上でも大いに参考になると思う。【略】

非公開企業の会社評価額と上場企業の時価総額はますます乖離していく傾向だ。このため上場に踏み切るユニコーン・スタートアップの数は予想より少なくなるだろう。また上場のためには会社評価額引き下げる必要も出てくるかもしれない。市場が過熱ぎみのときに上場するのは有利だが、これは同時に市場が乱高下したときに多大の損害を被る可能性があることも示している。

時価総額合計1兆ドルという事態は、説明も簡単でしないし今後の予想も難しいが、ビッグ5にとっては大きなマイルストーンとなったのは間違いない。

われわれCrunchbase Newsでは今後もビック5の動向を追っていく。当面、利食い売りが入るまでに株価がどこまで上がるか注目だ。

イラスト: Li-Anne Dias

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleの、すばらしい友達なき新フィード

それはまるでFacebookからあの面倒な「友達」を取り除いたもののようだ。他人が興味を持っている奇妙なもの、例えば子供の写真などを見せられる代わりに、Googleは私が興味を持っている奇妙なものを見せてくれる ―― ゼルダの伝説やElon Muskなど。

これは、明示的な選択に基づく収集から、過去の行動した暗黙の好みに基づく収集へとシフトするコンテンツ消費の根本的変化だ。

今日(米国時間7/19)Googleは、iOSおよびAndroidのメインアプリで「ニュースフィード」を正式に公開した。テクノロジーはついに、ソーシャルグラフやパーソナリティー・クイズを使うことなくパーソナライズされたニュースを届けるまでに進化を遂げた。実際には、Googleはその日の重要なニュースに、ユーザーが以前検索したことに関するニュースを組み合わせる。後者は個人的データの不正流用だと気味悪がる人もいるだろう。しかし、ひとたびスクロールをしてみると、この再利用された洞察は極めて有意義であることがわかるだろう。

Google Plusをダメにした問題を解決する工夫に富んだやり方

誰とも友達にならないので、Facebookのようにフィルターに囲まれた世界に閉じこもる問題は起きない。ニュースサイトを手動でフォローすることもないので、Twitterと異なり政治志向のどちらか一方を選ぶ必要もない。そして、コンテンツに「いいね!」しないので、罪悪感や同情や社会的義務感から何かを支持するプレッシャーはない。

その代わりに、Google feed(小文字?)はあなたの町や世界で人気の事柄に目を向け、コミュニティーとあなたを結び付ける。議論を呼ぶ話題にはスライド式選択ツールが現われるので、複数のニュースソースを見比べて見識の幅を広げることができる。そしてGoogleは、人の興味が時間と共に増減することを知っているので、何かを検索するのをやめると、アルゴリズムはあなたのフィードからその話題を消滅させることができる。

リンクに対する友達の推薦がないということは、気にかけていない記事をクリックするよう説得されないことを意味する。何人かの友達の作るフィルターから、単一のフィルターへの転換だ。しかし、ソーシャルコンテンツを自然に発見できる場所はいくらでもある。昨年12月からGoogleがテストしているシングルプレーヤーフィードは、アプリの世界に新しい何かをもたらしている。

Googleはソーシャル分野での弱点に焦点を当てるかわりに、ユーザーのオンライン行動をすべて知っている強みを生かそうとしている。検索、メール、カレンダー、マップ、YouTube、さらにはAndroid OSを握っているおかげだ。Google Nowブランドは消えつつあり、交通情報や予定に関する実用的なアラートはGoogleアプリの補助的機能へと追いやられている。しかし、Googleアプリエコシステムからデータを引き出すテクノロジーは、ユーザーが求めているニュースやエンターテイメントを知るヒントとしてうまく活用されている。

Googleは意図的にゴーストタウンを作った。

Google feed最大の欠陥は奥行きがないことだ。Facebookは毎日3500件程度の記事の中から最適な200件を選んで表示していると自慢する。それができる理由の一つは何年にもわたってユーザーの好みを学習しているからだ。Google feedを何度か縦にスワイプすると、Googleはあなたの検索履歴と最新ニュースとの結び付けに困難を覚えるようになりフィードの関連性は急落する。しかし、Googleアプリは少なくとも問題を認識しているようで、先頭10個のリンクを見た後は、永久にスクロールさせる代わりに「その他の記事」ボタンを押させる。

全体的に見てこのフィードはGoogle Plusをダメにした問題を解決する工夫に富んだやり方と言える。中身もないのにニュースフィードの猿真似をするよりも、Googleは意図的にゴーストタウンを作って中身がないことをバグではなく仕様の一部にすることを選んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Cloud、新しいネットワーキングアルゴリズムでスループット向上へ

今日(米国時間7/20)Googleは、google.comやYouTubeなどのネットワークスループットを全世界で約4%改善した新しい輻輳制御アルゴリズム、TCP BBRを、Cloud Platformユーザーにも開放すると発表した

基本的な考えは、既存のインターネットトラフィック用輻輳制御アルゴリズムを改善することにある。現在使われているのは 1980年代からあるもので、パケットロスのことしか考慮していなかった(ネットワーキングバッファーがいっぱいになると、ルーターは新しいパケットを捨てる)。こうしたアルゴリズムは過負荷にならないためにはデバイスがどれだけ速くネットワークにデータを送ればよいかを決定する。最終目的地に到達しないデータパケットの存在にシステムが気づくと、データをゆっくり送る。理想的にはこれで輻輳を減らすことができる。これを実現する(そしていずれはまたスピードアップする)ためのアルゴリズムは数多く存在するが、核となる部分はみな同じパターンを踏襲している。

Bottleneck Bandwidth and Round-trip propagation time”[ボトルネック帯域幅往復伝搬時間]を意味するBBRは、異なるアプローチをとる。パケットロスだけでなく、ネットワークが実際にデータを届ける速さを考慮する。「あるネットワーク接続について、ネットワーク転送速度および往復時間の最新データを使って、この接続で利用できる直近の最大帯域幅と、最低往復遅延時間を含む明示的モデルを構築する」とGoogleは説明する。次にBBRがこのデータを利用してデータを送る速さを決める。

その結果、このアルゴリズムは与えられた時間内に(パケットロス無しに)より多くのデータを送ることができる。長距離のリンクでは特に顕著だ。Googleは、あるベンチマークでスループットが2700倍になったと言っているが、もちろんそれは人工的なベンチマークの極端なケースだ。

GoogleがBBRについて公の場で話したのは昨年の論文が最初で、その後プロトコルをオーブンソース化した。GoogleはLinuxのカーネルTCPスタックにも貢献している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

警護ロボ「K5」が池に身投げ――アシモフのロボット工学3原則破り

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ワシントンDCにあるショッピングモールが導入した警備ロボットが、仕事中に突然、施設内にある池に身を投げて動かなくなってしまいました。ロボットの自殺はアシモフのロボット工学3原則に違反する行為です。

自殺を図ったと伝えられるのはKnightscope社製の警護ロボット「K5」。身長およそ152cm、重さは136kgもある、そこそこ大型のロボットです。このロボットはショッピングモールに導入されてからは施設内を動き回り、なにか異常を発見すれば警備室もしくは警察に通報する仕事を任されていたとのこと。

ロボットの雇い主であるショッピングモールの管理者は、普段のK5について特に変わったところはなかったとしており、なぜ身を投げたのかは記事執筆時点では明らかになっていません。

ただ、この4月にはシリコンバレーで同じKnightscope K5が深夜勤務中、近くにいた酔っぱらいに転倒させられるという事件があったばかり。幸いにも、転倒させられたK5は自ら警察へ通報し、すぐに犯人の酔っ払いを逮捕することができました。とはいえ、Boston Dynamics製ロボットとは違って転倒させられると手も足も出ないK5シリーズは、もしかするとそのことを気にしていたのかもしれません(?)

一方、K5のレンタル派遣料金は1時間あたり7ドルしかなく、合衆国が定める最低賃金よりもさらに25セントも安く雇われていたことが、ひょっとしたら不満の募るところだった可能性も(?)

SF作家アイザック・アシモフはロボット工学3原則の第3原則として、人に危害を加える恐れがない場合、もしくは人に命令されたのでない場合は自己を守らなければならないと定めました。もしK5がロボット工学三原則を遵守して作られているのなら、ロボットが守るべき原則を破ったことになります。

……真面目に話をすれば、今回の事故は何者かによるいたずらの可能性も指摘されています。ただ、落ちたのが池だったのは、原因が何であれ不幸中の幸いでした。もしこれが普通の人が通る階段だったら、135kgもあるロボットに跳ね飛ばされて大けがをする人が出ていた可能性もあったはずです。

Engadget 日本版からの転載。