インド政府が再びインターネットを遮断、今回はアッサム州とメガラヤ州

インドでは、12月13日からアッサム州とメガラヤ州でインターネットが遮断され、日本時間12月14日午前3時で36時間に及んでいる。物議をかもしている広範な市民に関わる新しい法律への抗議を抑制するのが目的だ。

320万人が暮らすアッサム州とメガラヤ州で行われている今回のインターネットの遮断措置は、ウェブ上での人々のコミュニケーションや情報へのアクセスを阻止するという、世界のさまざまな政府に広がる憂慮すべき傾向の最新の事例だ。

しかもインドは、6億5000万人の利用者を擁する世界第2位のインターネット市場でありながら、世界のどこよりも長く遮断措置を続けている。

12月12日、インドのラム・ナト・コビンド大統領は、前日に議会を通過した市民権修正法案を承認した。この法律は、自国のイスラム教少数派ではなく、3つの隣国(アフガニスタン、パキスタン、バングラデッシュ)からの非イスラム教少数派移民に市民権取得の道を開くというもの。

この法律が可決されるや、以前から3つの隣国からの移民に悩まされてきたインド北東部のアッサムとメガラヤの2つの州で、街頭抗議行動が巻き起こった。メガラヤ州ではメッセージサービスも停止されている。

政府の市民権州政法案に反対するデモ隊が放火した車両の残骸ごしに見える兵士たち。2019年12月13日、グワーハーティーにて(写真:BIJU BORO/AFP via Getty Images)

この事態を沈めるために、インド政府は軍隊を送り込み、インターネットを遮断した。こうした措置は、過去に国連から人権侵害と断定されている。

アッサム州の当局者は、「Facebook、WhatsApp、Twitter、YouTubeなどのソーシャルメディア・プラットフォームは風評の拡散、感情を煽る写真、動画、文章などの情報の伝播に利用されるめに、法と秩序を乱す恐れがある」と話している。今のところ、この2つの州でインターネットがいつ再開されるかは、公式には発表されていない。

メディアの人間同士が情報交換をできなくする、あるいはニュースや情報への接触を禁ずる施策は、一部の国では状態化しているものの、その数はインドの足下にも及ばない。

2018年に国家によるインターネットの遮断措置が行われた回数

デジタル人権団体Access Now(アクセス・ナウ)は、今年の初めに、2018年に記録されたインターネット遮断件数196件のうち、インドだけで134件を占めると伝えた。ニューデリーに本拠地を置くデジタル権利擁護団体Software Law and Freedom Centre(ソフトウェアの法と自由センター)が運営するサービスInternet Shutdowns(インターネット・シャットダウンズ)によれば、今年はインドで91件のインターネット遮断措置が記録されているという。

ジャンムーとカシミールでは、8月にインド政府が大半のイスラム教徒自治区の自治権を剥奪した後、インターネットを133日間にわたり遮断した。しかし、いまだ一部しか再開されていない

関連記事:インドが政府による個人データアクセスを可能にする新法案を提案

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(翻訳:金井哲夫)

Pandoraが対話できる音声認識広告のテストを開始

音楽ストリーミングサービスを運営するPandora(パンドラ)は、リスナーの声に反応する新型広告のテストを開始した。この新しい広告では、質問の後に音が鳴り、リスナーは「イエス」と答えるよう促される。その後、広告は質問に即した製品やブランドの詳細を説明する。

この広告のテストに参加する最初の広告主には、Doritos(ドリトス)、Ashley HomeStores(アシュレイ・ホームストア)、Unilever(ユニリーバ)、Wendy’s(ウェンディーズ)、Turner Broadcasting(ターナー・ブロードキャスティング)、Comcast(コムキャスト)、Nestlé(ネスレ)などが名を連ねている。

広告はまず、どこの広告か、そしてそのように働くかを説明する。そして、簡単な短いメッセージの後に質問が伝えられ、リスナーの返答を待つ。

例えばウェンディーズの広告では、お腹が空いているかどうかをリスナーに尋ねる。「イエス」と答えると、何を食べたらよいか、お勧めのメニューを広告が教えてくれる。DiGiorno(ディジョーノ)のピザの広告では、ピザにまつわるジョークのオチを聞きたければ「イエス」と言ってほしいとリスナーにねだる。Ashley HomeStoresの広告は、良質な睡眠をとるコツを伝授する。などなどだ。

この新形式の広告は、Pandoraの音声技術を応用している。これは今年の初めにローンチされた同社のスマート音声アシスタントアプリであるVoice Mode(ボイス・モード)を支えている技術でもある。Voice Modeは、Pandoraのユーザーが手を使わずに声で音楽の操作ができるようにするためのものだが、この音声認識広告は、画面をタップしたり詳しい情報のリンクを開いたりすることなく、手を使わずにリスナーが広告に応対できることを目的にしている。

Pandoraでは、この種の広告は、リスナーの注意を強制的に惹引きつけることで説得力を高められると確信している。企業の広告主からすると、音声認識広告は、どれだけの人に広告がリーチできたかを直接計れる手段となる。従来の、クリックに対応しない言葉が流れるだけの広告では不可能だったことだ。

Pandoraは、このインタラクティブな音声認識広告のテストを、まずはサンフランシスコのアドテック企業であるInstreamatic(インストリーマティック)と行うと今年の4月に発表していた。そのとき、新形式広告のベータテストを第四四半期に行うと話していたが、そのとおりに実施されたわけだ。

この広告は、SiriやAlexaやGoogleアシスタントなどの音声アシスタントに話しかけることを一般の消費者が普通に感じられるようになった今の時期に登場した。Fire TVやAppleTVに話しかけて見たい番組を探したり、PandoraやSpotifyに好きな曲を流すよう声で依頼するといった、音声の命令に対応するサービスへの期待も高まっている。

しかし、インタラクティブな音声認識広告を消費者が喜ぶかどうかは、まだまだ未知数だ。Amazonですら、本来の使い心地が阻害されたと感じたユーザーが離反してしまうことを恐れて、Alexaプラットフォームでの音声認識広告制限している。Spotifyも今年、音声認識広告を行ったが限的的だ。

Pandoraの場合、ユーザーは質問に応じる必要がない。ユーザーが数秒間黙っていたり「ノー」と返事したときは、そのまま音楽の再生に戻るとのこと。

Pandoraは、この広告はPandoraアプリのごく一部のユーザーに米国時間12月12日から流されると話している。

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(翻訳:金井哲夫)

米国ではアップルとSpotifyのポッドキャストをEchoで聴ける

Amazon(アマゾン)のAlexaがApple(アップル)のポッドキャストを再生できるようになり、Amazonの一連のEchoデバイスは、AirPlayを使わずにアップルのポッドキャストをサポートする最初のサードパーティクライアントになった。これまで、このレベルのサポートはAppleのHomePodだけだった。Amazonによると、これによりAlexa対応デバイスはアップルが保有するの80万件あまりのポッドキャストライブラリにアクセスできることになる。そしてユーザーは、アップルのポッドキャストtをお気に入りに指定できる。

以前にも、最近は両ライバルのパートナーシップが見られるようになっていた。例えばAmazonのFire TVにApple TVアプリが提供されたし、Apple MusicがEchoデバイスFire TVでアクセスできるようになった。そしてAmazonの売り場では、Apple TVやiPad、iPhone、Apple Watchなどのアップル製品を扱うようになった。

Alexa対応デバイスでアップルのポッドキャストにアクセスするためには、Alexaのアプリの中でアップルの自分のIDをリンクする。そして聴きたいポッドキャストをAlexaに指示する。「次」や「早送り」などのプレーヤーコマンドも使える。デバイスを変えても、各エピソードの聴取位置が同期しているので、Alexaの続きをiPhoneで聴くこともできる。

Alexaアプリの設定アップルのポッドキャストをデフォルトに指定すると、Alexaのポッドキャストを要求するだけでアップルのポッドキャストからのストリーミングが始まる。

これに負けたくないSpotifyは、アメリカにおけるAlexa上のポッドキャストのストリーミングのサポートを米国時間12月13日に発表した。Spotify Premiumのユーザーは前からSpotify Connectを使ってEchoへストリーミングできていたが、本日からは米国の無料と有料の両方の顧客がAlexaにポッドキャストを頼めるようになり、Spotifyをデフォルトに指定することもできる。

AlexaのSpotifyポッドキャストのサポートは、シアトルで行われた例年のAlexaイベントでそのほかのニュースとともに9月に発表されていたので、アップルほどのサプライズはない。

そのときAmazonは、米国ではSpotifyのポッドキャストライブラリのサポートを加える。それによりAlexaから数十万のポッドキャストにアクセスできると語っていた。それにはSpotifyの数多い限定版ポッドキャストも含まれるので、それがSpotifyをデフォルトに指定する動機になるかもしれない。

シアトルでの発表の直後、Spotifyは有料だけでなく無料のサービスもAlexaデバイスにストリーミングできると表明していた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Huluが「広告なし」で視聴できる新広告フォーマットを導入

Huluは12月12日、「ビンジウォッチャー」向けの新たな広告の仕組みを導入した。ビンジウォッチャーとは、お気に入りの番組のいくつかのエピソードを続けざまに観る人、イッキ見視聴者のことだ。今回導入する「ビンジウォッチャー広告」は、視聴者がビンジウォッチを始めるタイミングを機械学習技術で予測し、イッキ見が行われていることを認識して関連広告を流す。これは、視聴者が3つ目のエピソードを観ようとする盛り上がっているタイミングで行われ、次のエピソードが広告なしで視聴できること、もしくはブランドパートナーから視聴者個人に提供されたものだと表示される。

ビンジウォッチ広告のコンセプトは、5月に開催されたHuluの年次プレゼンNewFrontsで発表されていた。NewFrontsでは広告主に新しい番組や機能、広告フォーマットを紹介する。Huluは、あまり目立たない方法でストリーミング視聴者に提供する新しい広告フォーマットを定期的に実験している。例えば、視聴者が一時停止ボタンを押したときにだけ現れる「一時停止広告」(Pause Ads)はすでに提供されている。

「お気に入り番組のイッキ見はかなり一般的なものになっているため、ビンジウォッチャーをターゲットにするのは理にかなっている」とHuluは話す。現在では米国の消費者の75%がイッキ見する。特にHuluでは広告入り番組の視聴時間の50%近くがイッキ見によるものだ。Huluは、3エピソード以上を続けざまに視聴することを「ビンジ」と定義している。

今回の新しい広告フォーマットでは、Huluの立ち上げ専門エージェンシーパートナーであるPublicis Media経由で、Kellogg’s、Maker’s Mark、そしてGeorgia-Pacificが最初の広告主となる。

Kellogg’sはビンジウォッチ広告でスナック菓子のCheez-It Snap’dを、Georgia-PacificはペーパータオルのSparkleを宣伝する。もちろんMaker’s Markはバーボンだ。

「マラソンスタイルの視聴中に消費者にアピールしたり報いたりする方法となることから、新フォーマットに興味を持った」と広告主である3企業は話す。また、現代の消費者によるテレビの楽しみ方にもフィットするというのも理由だ。Netflixのような広告がない購読制ビデオサービスの盛り上がりを受けて、ユーザーは視聴を邪魔する広告に対して許容的ではなくなりつつある。実際、視聴中に繰り返し広告を流すブランドに嫌気さえ感じている。

それにひきかえ新フォーマットでは、広告なしでエピソードを視聴できるようにし、ブランドがそのスポンサーになる仕組みになっているので、ブランドに対するポジティブな印象を視聴者に与えることができる。

現代のテレビの見方に合う新たな広告フォーマットの開発にフォーカスすることで、Huluはライバルを出し抜くことができるかもしれない。動画ストリーミングサービスでは数多くの形態があるが、広告が入るプロダクトはその1つで、Roku Channel、AmazonのIMDb TV、Sinclair’s Stirr、ViacomのPluto TVTubi、YouTube、VuduのMovies on Us (Walmart)、Plexなどたくさんの無料サービスとの競争にさらされている。

画像クレジット:Lars Niki / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

その場で購入できるインタラクティブ動画を5分で作成できるClideo

スペインのClideoは、インタラクティブなオーバレイを使って動画から直接買い物できるようにすることで、企業はよりスマートに消費者へリーチできるようになるという。

元Ki Groupの役員であり、イタリアのKPMGで合併や買収に携わったこともあるCEOのMichele Mazzaro(ミケーレ・マザーロ)氏は、動画には解決すべき大きな問題があると気づいた。「今のデジタルメディアでは、企業は多くの人とコミュニケーションできていない。大量のバナー広告やプリロール(本編開始前広告)やミッドロール(本編の途中広告)を視聴者に投げつけるだけだ。一人の消費者としても、この状態は好ましいものではない」という。

そこでマザーロ氏と共同創業者のNitzan Mayer-Wolf(ニッツァン・メイヤー-ウルフ)氏およびAndrea Iriondo(アンドレア・イリオンド)氏は、「どんな動画も発見の体験に変える」とマザーロ氏が呼ぶものを制作した。そのプロダクトは米国時間12月10日、Disrupt BerlinのStartup Battlefieldでプレゼンされた。

インタラクティブな動画と言ってもClideoは、EkoやNetflixが配信したBlack Mirror(ブラックミラー)の特別編「Bandersnatch」(バンダースナッチ)のような本編からの分岐ではなく、よくある動画に登場する製品を軸としており、その製品を買えたり、欲しい物リストに入れたり、ソーシャルメディアでシェアしたりする新機能が追加される。

マザーロ氏は「こういう機能があれば、企業はその製品に強い関心を持つオーディエンスがどんな人たちかを知ることができる」と主張する。「動画の予算をゴミ箱に捨てるのはやめて、消費者がポジティブな関心を持つ理由を知るべきだ」と同氏。

Clideoの動画は専用のプレーヤーが必要になるため、YouTubeやソーシャルメディアで再生できないが、FacebookやTwitterなどにリンクを投稿し広められるとマザーロ氏はいう。制約があるにも関わらず、マドリッドに本拠地を置く同社はすでに、スペインのModalia.comなどのeコマースサイトでテストされており、33%という高いコンバージョン率を出している。

インタラクティブでショッパブル(買い物できる)な動画は新しいアイデアではないが、マザーロ氏によると、これまではクリエイティブエージェンシーなどがごく一部のラグジュアリーブランドのために制作したものか、非常に限定的なインタラクティブ機能しかないビデオマーケティングプラットホームと称するものだったという。

マザーロ氏によると、Clideoは「クリエティビティを犠牲にせずにDIYでできるソリューション」だ。インタラクティブな動画をわずか5分で作ることも可能だという。

さらに彼のピッチ(セールストーク)によると、Clideoはビジネスモデルも独特だ。月額のサブスクリプションのほかに、企業は特別料金を支払うことで視聴者を買い物と決済のページに誘導できる。「私たちの目標と顧客の目標が同じサービスは、私たちだけだ」と同氏は自信を見せる。

Clideoはまだ自己資本だけで操業しているが、そのプロダクトはすでにグローバルで利用可能。初期の顧客はスペインとイタリアとイスラエルの企業になりそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

セールスフォースの新しい社長兼COOはカリスマエンジニアのブレット・テイラー

Salesforce(セールスフォース)は米国時間12月12日、Bret Taylor(ブレット・テイラー)氏を同社の社長兼COOに任命したことを発表した。今回の昇進に先立ち、テイラー氏はすでに社長兼最高製品責任者(CPO)を務めていた。

画像クレジット: Salesforce

新しい役職で同氏は、セールスフォースのグローバルな製品ビジョン、エンジニアリング、セキュリティ、マーケティング、コミュニケーションのリードなどの、多くの責任を負うことになる。これは重責である。そのため、彼はMarc Benioff(マーク・ベニオフ)会長に対して直接報告する立場になる。

テイラー氏は、ここ数年にわたってその責任を増やしており、同社が毎年開催する大規模な顧客会議のDreamforceでは、セールスフォースからの最も重要な発表の多くをリードしている。実際、ベニオフ氏は声明の中で、テイラー氏はすでに本日の昇進以前の段階でも、製品のビジョン、開発、市場投入戦略を担当していたのだと述べた。

「彼の責任のポートフォリオが拡大することで、急速な成長と拡大を実現しつつ、顧客のみなさまのさらなる成功と革新を推進することができるのです」とベニオフ氏は声明で述べている。

同社を設立当初から見守っていた、CRM Essentialsの創業者であるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、これは今後の事業継承の計画の一部になり得ると感じていると言う。この昇進は、ベニオフ氏と共同創業者のキース・ブロック氏が将来引退を考えたときに、テイラー氏が継承できるように準備を整えるサインなのかもしれない。

「将来のどこかの時点で大きな椅子に就けるように、彼のために準備が整えられているように感じます。彼は現在のリーダーたちの次の世代ですが、スタートアップでの彼の経験と象徴的な企業での象徴的なテクノロジーの創出の経験は、セールスフォースのような会社の中で彼に独特の地位を与えました」とリアリー氏はTechCrunchに語った。

Constellation Researchの創業者であり主席アナリストのRay Wang(レイ・ワン)氏は、テイラー氏はセールスフォースの新星であると述べている。「Facebookの「いいね!」ボタンやGoogleマップ、その他のイノベーションを発明した人物として、彼はテクノロジーチームをさらに発展させるための『選ばれし人物』(Chosen One)です」とワン氏は言う。

ワン氏は、テイラー氏の強みは、アイデアを市場へ投入するための現実的な道筋を迅速に決定することであることと同時に、複雑さを単純化する能力でもあると付け加えた。「これはセールスフォースにとって良い動きであり、彼らのチームが持つ人材層の厚さを示しています」と彼は言う。

2016年8月にセールスフォースが7億5000万ドル(約822億円)でQuipを買収したときに、テイラー氏はSalesforceに入社し、その後2017年11月に社長兼最高製品責任者(CPO)に昇進した。Quipを立ち上げる前は、彼はFacebookの最高技術責任者(CTO)だった。

関連記事:Salesforceがワードプロセッサアプリを提供するQuipを約822億円で買収

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(翻訳:sako)

米国で出生証明書の申請データ75万件が流出

米国政府が発行する出生証明書および死亡証明書の写しを提供するオンラインサービス会社が個人情報を含む大量の申請データを外部に流出させた。出生証明書の写しの申請書75万2000件以上がAmazon Web Service(AWS)のストレージバケットで見つかった(バケットには死亡証明書の申請9万400件もあったがこちらはアクセスやダウンロードができない状態だった)。当該バケットはパスワードで保護されておらず、容易に推定できるウェブアドレスを知っている人ならだれでもデータをアクセスできる。

申請プロセスは州によって異なるが、行われる作業は同じだ。利用者は州の記録管理部門、通常は州保健局に申請して出生証明書の写しを入手する。本誌が見た申請データには、申請者の氏名、生年月日、現在の住所、メールアドレス、電話番号、個人記録履歴のほか、過去の住所、家族の名前、申請理由(パスポートの申請、家系の調査など)が書かれていた。

カリフォルニア、ニューヨーク、テキサスを含む多くの州の出生証明書の写しの申請データがネットに流出した(画像:TechCrunch)

申請の日付は2017年後半に遡り、バケットは毎日更新されていた。同社は週当たり約9000件の申請データをバケットに追加していた。英国の侵入テスト会社であるFidus Information Securityがデータ流出を発見した。TechCrunchは住所氏名を公開記録と比較してデータを検証した。

FidusとTechCrunchは記事を公開する前にデータの流出について複数回警告を送ったが、自動返信メールを受け取っただけで何の行動も起こされていない。TechCrunchは会社名の公表は行わない。Amazonに問い合わせたところ、介入するつもりはないが顧客である会社に伝えると語った。

TechCrunchは地域のデータ保護当局にも連絡してセキュリティー不備を警告したが、すぐにコメントは得られなかった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

育児サービスマッチングのKinsideが累計約4.4億円を調達

育児は、米国の家庭のもっとも大きな出費項目のひとつになっている。しかもその影響を受けるのは家族だけではない。育児による米国経済の生産性損失額は年間44億ドル(約4800億円)と見積もられ、さらに離職率にも影響を与えている。Kinside(キンサイド)は、育児のための支援を最大限に活用でき、自分たちの子どもに最適なサービス提供者を探すなどの子育て支援プラットフォームで育児に協力したいと考えている。Kinsideは米国時間12月12日、プラットフォームの一般公開と、Initialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)主導の新規投資ラウンドによる300万ドル(約3億3000万円)の資金調達を発表した。

これにより、18カ月前に創設されたKinsideが調達した資金の総額は400万ドル(約4億4000万円)となった。Initialized Capitalのほかに参加した投資会社は、Precursor Ventures(プレカーサー・ベンチャーズ)、Kairos(カイロス)、Jane VC(ジェーンVC)、 Escondido Ventures(エスコンディード・ベンチャーズ)となっている。

Shadiah Sigala(シャディア・シガラ)氏、Brittney Barrett(ブリトニー・バレット)氏、 Abe Han(エイブ・ハン)氏によって設立されたKinsideは、昨年夏、Y Combinatorに参加している間に、10人のクライアントによるプライベートなベータテストを開始した。昨年中に入社した人の数が1000人を超えるなど、子育て支援の需要の大きさが伺える。

「雇用主たちとの面談の約束はすぐに取れました」とCEOのシガラ氏はTechCrunchに話してくれた。「『従業員の育児を支援をしたいですか?』と件名に書きさえすれば、すぐに返事がきます。私たちはツボにはまったのです。そして実際に会って話を聞くと、雇用主たちがいちばん頭を痛めているのが、育児を助けてくれる人が見つからず従業員たちが困っている点だとわかったのです」。

写真に向かって左から、Kinsideの共同創設者である、シャディア・シガラ氏、ブリトニー・バレット氏、エイブ・ハン氏

米国は先進国の中で唯一、育児休暇を保障する国の法律を持たない国だ。Microsoft(マイクロソフト)、Netflix(ネットフリックス)、Deloite(デロイト)といった企業には、人材募集や離職予防のために手厚い福利厚生の制度があるが、中小企業の場合、これに匹敵する制度の導入は非常に厳しい。その結果、多くの従業員、特に女性は仕事を続けたいと思っていても育児退職を余儀なくされる。

「より大規模な成長した企業での最悪のパターンは、仕事への復帰が遅れることです。生産性の低下によって、最終損益に大打撃が加えられるからです。しかし、さらに大きな痛手は、女性がいなくなることです」とシガラ氏。「専門職の43&の女性は、子どもを生んでから1年か2年のうちに戦力から離れると報告されています」。

小さい子どもの育児に特化し、最近資金調達に成功したスタートアップにはほかにも、育児サービス提供者を探せるWinnie(ウィニー)、自宅に保育所を開設したい人を支援するWonderschool(ワンダースクール)、ロンドンの育児プラットフォームKoru Kids(コルキッズ)がある。

Kinsideを立ち上げる前、シガラ氏はスモールビジネスやフリーランスのための経営管理プラットフォームであるHoneybookを共同創設している。妊娠を機に同氏は会社の家族向け福利厚生の制度作りを開始し、小さな企業が直面する福利厚生の問題に精通するようになった。

Y Combinatorに参加したときに、育児費用のための扶養家族のフレキシブル支出口座(育児費用などを給与天引きで貯蓄できる福利厚生の一種)や税引前給付金など、請求方法が非常に複雑で、制度をフルに活用できるのはほんの一部の対象家庭のみであることを知り、もっと簡単に利用できるようにする方法の考案に専念した。Kinsideは、今でもフレキシブル支出口座の管理者と協力して、口座を持つ両親の手助けしている。現在Kinsideのアプリでは、自宅で開設されている保育所からもっと大規模な保育園まで、事前に選別された幼い子ども向けの育児サービス提供者の全国ネットワークも利用できるようになった。

Kinsideは、予約した施設との事前交渉や利用者への割り引き料金の提供、育児の専門家からなるコンシェルジュの相談サービスを行っている。親は、地域、料金、育児に対する考え方などを基準にサービス提供者を検索できる。シガラ氏によれば、彼らは多くの育児サービス提供者には20%から30%の空きがあることを知り、空きを埋める管理方法や、そこを利用したい家族の紹介などで協力をしているという。また、このアプリに加えて人材システムとの統合も計画している。

Initialized Capitalは、Reddit(レディット)の創設者でもあるAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)が共同創設者になっている。彼は、有給育児休暇制度の導入を熱心に訴える人物でもある。この投資会社が力を入れている分野にファミリーテックがある。そのポートフォリオには、仕事に復帰したい母親のための就職情報プラットフォームのMom Project(マム・プロジェクト)も含まれている。

Initialized CapitalのパートナーであるAlda Leu Dennis(アルダ・ルー・デニス)氏は、Kinsideに投資した理由を電子メールでこう教えてくれた。「職場や家庭での不均衡に部分的に起因する男女不平等という根本的な問題があります。男女間の給与の格差や家事労働の問題もあり、いまだに母親に大きな負担がかかっています。男女の格差問題を解決することで、つまり、安価で質の高い育児サービスを提供することで、この状況を改善できると私たちは考えました」。

デニス氏はさらに「そのプロセスに雇用主も加えるというKinsideが提案するビジネスモデルの改革によって、従業員の家庭生活に安心と安定がもたらされ、結果として従業員の生産性も向上します」と話している。

シガラ氏はKinsideを、有給育児休暇、ひいてはすべての働く親のための総合的な子育て支援を含む、利益の公正性を求める運動の一環だと見ている。Kinsideのプラットフォームの利用者は男女比が均等で、子育て支援の需要は男女の垣根を越え、家庭全体に影響を与えていると彼女は強調する。

「複雑な問題です。私たちの生活基盤と社会は、今でも一人の稼ぎ頭が家庭を支える形が基本になっています。しかし、ほとんどの家庭の経済状況は、両方の親が働いてやっと請求書の支払いができる状態です」と彼女は言う。「これは運動だと思っています。今がそのときです」。

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(翻訳:金井哲夫)

Fbメッセンジャーにスター・ウォーズのスタンプとARエフェクトが登場

Facebook Messengerにスター・ウォーズがやってきた。米国時間12月12日、Facebookはスター・ウォーズをテーマにした新機能をMessengerユーザーに提供開始したことを発表した。チャットテーマ、リアクション、スタンプ、ARエフェクトなどがある。ディズニーとの提携によって、近日公開の映画「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」のプロモーションの一環として行われる。映画は12月20日に日米同時公開される。

スタンプとリアクションでは、フォースの両サイドのキャラクターを使ってユーザーの気持ちを表現できる、とFacebookは言っている。例えば、フィンのように笑い、レイのように驚き、C-3POのように泣き、カイロのように怒りを表したり、BB-8にサムズアップをストームトルーパーにサムズダウンしたりできる。さらにディズニーは、写真や自撮り、ビデオ通話などで使用できる限定版のARエフェクトも作成した。

例えば、ライトスピード・エフェクトは、ハイパースペースに飛び込むように見せることができる。コックピット・エフェクトでは、レジスタンスの一員となってポー・ダメロンのXウィングに乗って銀河系を飛び回る。ダーク vs ライト・エフェクトでは、フォースのどちらのサイドかを選ぶことができる。

スター・ウォーズのチャットテーマもある。Messengerスレッドの設定から選ぶことができて、メッセージがまるで宇宙を飛んでいるようになる(設定画面はスレッド名をタップすると出てくる。通常はチャットメンバーの名前だが、誰かが名前を変更している場合もある)。どの機能も無料で使える。

日本語版では設定画面の「カラー」からテーマを選べる

ディズニーが主要IT企業と提携してスター・ウォーズの大型マーケティングを行うのはこれが初めてではない。2015年に ディズニーはGoogleと組んでGmail、YouTube、Googleマップ、Chromeなどのアプリで、ライトサイド・エフェクトかダークサイド・エフェクトのテーマを作る新しいツールを開発した。同じ年にFacebookも、プロフィール写真をスター・ウォーズのテーマに変えて、ダークサイドのクロスガード・ライトセーバーかライトサイドのブルーを選んでポーズを取れるようにした。

そして2017年、GoogleはARスタンプアプリを開発し、ライセンスされたスター・ウォーズのキャラクターを使って「最後のジェダイ」のプロモーションを行った。Appleも例外ではない。Clipsアプリの改訂版で、同じく「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のミレニアム・ファルコンやメガスター・デストロイヤーなどを使った「自撮りシーン」を提供した。

この手のコラボレーションは双方にとってメリットがある。今回のMessengerパートナーシップで、ディズニーはMessengerの10億人以上のユーザーに新作映画を宣伝できる。一方Facebookは、競争の激しいメッセージングアプリ市場で自社のMessengerアプリの利用を促進し定着率を上げることができる。過去のパートナーシップと同じく、金銭のやり取りは発生していない。

新しいスター・ウォーズ機能は、米国時間12月12日からMessengerで利用できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Atlassianがサーバーレス込みのクラウド開発プラットホームを立ち上げ

Atlassianには、Bitbucket、Jira、Confluenceなどのデベロッパーツールがある。また、何千ものアドオンをマーケットプレースで提供している。しかし、これまでは独自の開発プラットホームというものを欠いていた。米国時間12月12日、Forgeプラットホームの発表でそれが変わる。

同社はこの新しいツールを発表するブログ記事に「Forgeを使うと、デベロッパーの能力が増幅され、Atlassianのプロダクトを統合したエンタープライズ向けクラウドアプリケーションをより容易に作れるようになる」と記載している。

このプラットホームには大きな柱が3つある。まず、サーバーレスのFunction as a Service(FaaS)により、Forgeを使うデベロッパーはアプリケーションを、それらを動かすために必要な低レベルのインフラストラクチャをいっさい気にせずに作り、ホストすることができる。Forgeのそのツールは、AWSのFaaSやAWS Lambdaを使っている。

これによりインフラストラクチャの管理という難題がなくなるので、もっと多くのデベロッパーが仕事をできるようになる。上記ブログ記事はこう書いている: 「FaaSのプラットホームにより、認証やアイデンティティ、スケーリング、テナンシー(マルチテナント問題)などの、一般的によくある痛点を回避できる」。

次に重要な柱が、ウェブやデバイス上にユーザーインタフェイスを作るためのUI、Forge UIだ。Forge UIは宣言型言語を使うので、ユーザーインタフェイスの構築が楽になり、ファンクションの場合と同様にデベロッパーの工程を簡素化する。ユーザーインタフェイスの構築に関わるセキュリティの問題はすべてAtlassianが扱うので、その点でもデベロッパーは苦労から解放される。

これについて同社は「UIのレンダリングの雑務を抽象化の背後に隠してしまい、それらを相手にしないで済むようになったデベロッパーには、アプリケーションの表現のされ方や、ユーザー生成コンテンツや個人を特定する情報など機密データの送られ方に関して強力な保証が得られる」と語る。

最後の重要な柱が、コマンドラインインタフェイスForge CLIだ。それは、Bitbucketで継続的デリバリーのパイプラインを作り、コマンドラインで動かすことに関連している。

以上の3つの柱を合わせるとかなり包括的な開発環境になり、アプリケーションの機能性からユーザーインタフェイスの設計までも含んだツールセットのほかに、コマンドラインから管理的操作もできることになる。

プラットホームサービスは今やいろいろあるのでAtlassianは競合に直面することになるが、Atlassianのマーケットプレースに向けてアプリケーションを作ることを計画しているデベロッパーにとっては、このツールがとても便利に思われるだろう。多くのデベロッパーにとって、人気のプラットホームになるかもしれない。

関連記事:AtlassianがJira Service Deskの多部門利用に応え、テンプレートとワークフローを専用化

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonがインドでオーディオ短編の無料アプリを提供

Amazon(アマゾン)がインドのリスナーをさらに取り込もうと、新たなサービスを展開する。昨年インドで有料のAudible(オーディブル)を立ち上げた同社だが、今度は「エンターテイメント、啓発、学習のための何百時間ものオーディオ」を無料で利用できるAudible Sunoというサービスを導入した。リスナーの関心をひくために、インドのセレブを登用している。

インドのユーザーのみが利用できるAudible Sunoは、他では視聴できない60以上のオリジナルエピソード(長さは各20〜60分)をヒンディー語と英語で提供する。世界最大のオーディオコンテンツ販売・制作会社のAudibleによると、Sunoは通勤や日課の合間の「空いた時間」を埋めるためのものとのことだ。

Audible Sunoは専用のAndroidアプリとiOS Audibleアプリで利用でき、広告は入らない。インドでのAudible Suno立ち上げはAmazonがインドに注力していることを示している、とAudible創業者でCEOのDon Katz(ドン・カッツ)氏は話す。Amazonはこれまでにインドに55億ドル(約6025億円)超を投資した。今では同社のインドでの事業は、eコマース、決済、オンラインチケット、ビデオ・オーディオストリーミング、そしてVCディールなど多岐にわたる。

「私は話し言葉の変革力にずっと情熱を抱いてきた。多方面で活躍する有名人の声で文化的な共鳴を呼ぶジャンルを無料で、そして広告や利用制限なしで提供できることを嬉しく思う」とカッツ氏は話した。

声を提供する有名人は誰かと思うだろう。以下がリストだ。

  • Amitabh Bachchan
  • Katrina Kaif
  • Karan Johar
  • Anil Kapoor
  • Farhan Akhtar, Mouni Roy
  • Anurag Kashyap
  • Neelesh Misra
  • Tabu
  • Nawazuddin Siddiqui
  • Diljit Dosanjh
  • Vir Das
  • Vicky Kaushal

Audible Sunoは現在、ホラーやロマンス、サスペンス、コメディシリーズなどさまざまなジャンルのオーディオを提供している。ノンフィクションシリーズには、インドの超有名人とのインタビュー、そしてメンタルヘルスや性教育、LGBTQI+コミュニティの権利といった社会的テーマのものが含まれる。

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(翻訳:Mizoguchi)

グーグルがTransfer Serviceでクラウドへのデータ移行を容易に

Google(グーグル)は米国時間12月12日、オンプレミス(自社運用)システムからクラウドへとデータを移行したい企業のための新サービスこと、Transfer Serviceを発表した。この新しいサービスは、数十億単位のファイルやペタバイトサイズの大規模なデータを転送するためのものだ。これはグーグルの同様のサービスを補完し、ハードウェアアプライアンスやFedEx経由でデータセンターにデータを送ったり、SaaSアプリケーションからGoogleのBigQueryサービスへのデータ転送を自動化したりできる。

Transfer Serviceではデータをクラウドに移行する際に、すべてのデータの整合性を検証する。エージェントは自動的に障害を処理し、使用可能な帯域幅を最大限に使用して、転送時間を短縮する。

この処理の際には、オンプレミスサーバーにエージェントをインストールし、コピーしたいディレクトリを選択して、サービスにジョブを実行させるだけだ。また、Google Cloudのコンソールから転送ジョブを監視および管理することができる。

明確な使用例は、アーカイブと災害復旧だ。さらにグーグルは、ワークロード(とそれに伴うデータ)やアナリティクス、機械学習のユースケースを改善し、システムをシフトさせたい企業もターゲットにしている。

Google Cloudが最近ローンチしたサービスの多くがそうであるように、Transfer Serviceも企業顧客に焦点を当てている。グーグルは企業に対してワークロードをクラウドに移行しやすくしたいと考えており、またほとんどのワークロードでは大量のデータの移行も必要になる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

グーグルのリアルタイム翻訳ツールがスマホにも登場

今年初めにスマートスピーカーとディスプレイ向けに配信された後、Google(グーグル)のリアルタイム翻訳モードがついにモバイル対応となった。この機能は米国時間12月12日から、世界中のAndroidとiOS端末に配信される。

この機能はGoogle アシスタントと連携して動作する。「ねぇGoogle、私のドイツ語の翻訳者になって」や、「ねえGoogle、タイ語を話すの手伝って」と話しかければこの機能が起動し、リアルタイムで翻訳されたトランスクリプト(書き起こし)と音声が表示される。この機能では会話を続けるのに役立つ、GmailにおけるSmart Reply(返答の推測)も表示される。

スマートディスプレイやスピーカーで利用可能な29言語から拡大され、この機能は44言語(全リストはこちら)で利用できる。機能はGoogle アシスタントに統合されており、追加の翻訳アプリをダウンロードする必要はない。この機能とGoogle レンズを組み合わせることで、グーグルのアプリは旅行向けアプリとして急速に有用性を高めている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

グーグルのリアルタイム翻訳ツールがスマホにも登場

今年初めにスマートスピーカーとディスプレイ向けに配信された後、Google(グーグル)のリアルタイム翻訳モードがついにモバイル対応となった。この機能は米国時間12月12日から、世界中のAndroidとiOS端末に配信される。

この機能はGoogle アシスタントと連携して動作する。「ねぇGoogle、私のドイツ語の翻訳者になって」や、「ねえGoogle、タイ語を話すの手伝って」と話しかければこの機能が起動し、リアルタイムで翻訳されたトランスクリプト(書き起こし)と音声が表示される。この機能では会話を続けるのに役立つ、GmailにおけるSmart Reply(返答の推測)も表示される。

スマートディスプレイやスピーカーで利用可能な29言語から拡大され、この機能は44言語(全リストはこちら)で利用できる。機能はGoogle アシスタントに統合されており、追加の翻訳アプリをダウンロードする必要はない。この機能とGoogle レンズを組み合わせることで、グーグルのアプリは旅行向けアプリとして急速に有用性を高めている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

海外ショッピング時のVAT還付手続きをテクノロジーで合理化するInovat

欧州旅行で買い物をしたことがあるなら、出国時に付加価値税(VAT)が払い戻されることをご存知だろう。VATは居住者のみが課税されるからだ。ただVATの払い戻しを実際に申請するかどうかは、手続きが簡単かどうかによる。普通、払い戻し手続きは紙ベースなので、かなり面倒だ。Inovat(イノバット)は、手続きをシンプルかつデジタル化して煩わしさから解放し、本来受けられる払い戻しに扉を開く。

Inovatは、モバイルまたはデスクトップのアプリでこれを実現する。光学式文字認識(OCR)と機械学習でレシートの写真を読み取り、購入額に対するVATの金額を計算する。空港に置いてあるような、税関職員にまたはオンラインで提出する必要書類も準備してくれる。

Inovatの共同創業者であるIlya Melkumov(イリヤ・メルクモフ)氏とSonya Baranova(ソーニャ・バラノバ)氏がアイデアを思いついた。両氏はそれぞれロシア国民とウクライナ国民として、欧州旅行で買い物のたびにVATの払い戻しの問題に直面してきた。プロのeスポーツプレーヤーであるメルクモフ氏は、オン​​ラインでゲームをしているときにInovatのCTOであるIgor Titov(イゴール・ティトフ)氏に出会った。

メルクモフ氏とバラノバ氏は、時代遅れの手続きをテクノロジーの力で改善できると考えた。現状では、払い戻し代行に高額の手数料がかかったり、レシートの管理や紙の申請書類の準備に多くの手作業を必要とする。金融業界などの分野でさまざまな改善や合理化に利用されているテクノロジーが使えると考えたのだ。両氏は利用可能なソリューションを洗い出し、税金払い戻しの分野で利用されていないものを見つけた。そしてすぐに実際のプロダクトの構築に取りかかった。

「7月に集まり、9月にはプロダクトの最初のバージョンが出来上がり、テストを始めた」とメルクモフ氏はインタビューで筆者に語った。「それから、一部の機能の自動化に取りかかった。スケーラビリティを解決する必要もあった。スケーラビリティを保ちながら、レシートから情報をスキャン・抽出する方法を考える必要があった」。

そこでティトフ氏が登場し、銀行などのクライアント向けの仕事の経験を生かし、技術面から実現を可能にした。開発したアプリは使いやすく、苦痛を伴う複雑なプロセスを、買い物のとき写真を撮るのを忘れないようにするだけの簡単なものに変えた。従来の方法に比べて最大50%も多くの払い戻しをユーザーにもたらすことができるという。

「店でレシートを受け取ったら写真を撮る」とメルクモフ氏は説明した。「アプリがレシートを分析しデジタルフォームを作る。買い物で受け取ったすべてのレシートがQRコードにリンクされた1つのデジタルフォームに集約される。税関職員が、または機械でスキャンすれば、すぐに手続きできる」。

Inovatは現在、英国に専念しており、プロダクトは英国での払い戻し手続き専用に設計されている。メルクモフ氏は、この市場だけでも43億ドル(約4700億円)に相当するため、今のところは英国市場だけでも十分だと考えている。だが同氏は、その先の拡大にしっかりと目を向けていると付け加えた。

「欧州市場は約200億ドル(約2兆2000億円)であり、複数の欧州政府から税金払い戻しのデジタルソリューションを開発するよう連絡を受けている」とメルクモフ氏は説明した。「我々の次のステップは、間違いなく他の欧州諸国への拡大となる」。

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(翻訳:Mizoguchi)

都市のブロック単位で大気汚染を監視するHawa Dawa

都市の行政機関がブロック単位で大気汚染の状況を把握できるとしたら、行政の判断は変わるだろうか?これがHawa Dawaの背景となっている発想だ。同社は、TechCrunch Disrupt Berlinのスタートアップバトルフィールドでトップパッターとして登場した。衛星や専用の大気観測装置などのデータを組み合わせて大気汚染のきめ細かいヒートマップを作成し、これをサブスクリプションのAPIとして都市や企業に販売している。

同社は、このサービスはハードウェアに依存しないが、企業や都市に大気を測定するセンサーがまだない場合には独自のIoTセンサーを用意すると説明している。

ところでHawa Dawaとは不思議な名前だが、共同創業者のKarim Tarraf(カリム・タラフ)氏によれば、これはスワヒリ語、トルコ語、ペルシャ語など多くの言語で「空気のきれいさ」または「航空医療」の言葉にだいたい似ているそうだ。

こうしたデータを基に、都市行政では特に大気汚染のひどい道路で車の排出ガスを減らすために交通のルートを変更したり、そのような変更が大気に実際にどの程度影響があるかを監視したりすることができるだろう。不動産会社なら、喘息などの肺の問題を抱える顧客にその界隈で空気が最もきれいなところにある物件を紹介できるかもしれない。海運会社はこのデータを使って、排出ガスの影響を最小限に抑える海上ルートを計画できる可能性もある。

Hawa Dawaは現在、ドイツ、スイス、英国で20以上の都市に対応している。同社はこれまでに120万ユーロ(約1億4500万円)以上を調達し、近々また別の「プレシリーズA」ラウンドを終了する計画だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Wotchがクリエイターに優しいビデオプラットフォームを構築中

Wotchのチームが、新しいソーシャルビデオプラットフォームを構築した。おっと、呆れるのはちょっと待ってほしい。

「明らかに、新しいインターネットビデオ共有プラットフォームを作ったという人は世の中にあふれています」と言うのは、共同CEOのScott Willson(スコット・ウィルソン)氏だ。「それを聞かされると、だれでもうんざりするに違いありません」。

それでもとにかく、ウィルソン氏と彼の共同創業者で共同CEOのJames Sadler(ジェームズ・サドラー)氏はそれを試みて米国時間12月11日、Disrupt BerlinのStartup Battlefieldに参加して競っているのだ。彼らはわずか22歳だが、サドラー氏によれば、彼らはeラーニングプラットフォームの開発を含むプロジェクトで、過去数年間協力してきたのだと言う。

彼らがWotchの作成を触発されたのは、最近多くのYouTuberたちが広告を通じて動画を収益化することができなくなったデマネタイゼーション問題や、作者確認システムの再構築をはじめとするその他の論争などがきっかけだった。

ウィルソン氏は、YouTubeは「コミュニケーションの観点からみて、クリエイターたちを置き去りにしてきたのです」と語り、やがて論争が拡大するにつれて、2人は「もっと良い方法が必要だ」と考えた。

サドラー氏が付け加えたのは、大事な点はその過程で、ビデオクリエーターたちに、より大きな発言の機会を与えていることだ。「私たちはクリエイターの皆さんと、緊密に仕事を進めています。自動メールを送信するだけではありません」。

実際、彼らはクリエーターたちにWotchの株式を購入して会社の成功に出資できる機会を与えている。彼らはまた、会社の方針についての意見を聞くための、クリエイターボードを任命している。

Wotchクリエイターは、サブスクリプション、商品、広告を販売することで収益を上げることができる。またよく見られるようなプレロール広告やミッドロール広告(ウィルソンは「いらつかせるもの」と表現していた)ではなく、ブランド製品やメッセージをビデオに組み込むパートナーシップを提供する。

これが広告主とクリエイターの間に、YouTubeが苦労しているものと同様の緊張を引き起こす可能性があるかと質問されたウィルソン氏は、「広告主とクリエイターを正しくマッチングさせることになるでしょう」と主張した。「限界に挑戦する」ビデオ作成者に協力することに特に関心がない広告主もいる。彼らは自分たちが関わろうとしているものがどんなものかを知りたいだけだ。

サドラー氏はまた、Wotchはクリエイターたちに対して、最も忠実なファン、最も熱心なファン、そして最初の「Wotchers」(視聴者を意味するWatcherと、プロダクトのWotcherをかけたもの。英単語の「Wotcher」は「やあ」といった挨拶のスラングでもある)を特定するなどの、より多くのデータを提供すると語った。

また、このサイトは、コンテンツモデレーションに他とは異なるアプローチを採用する。コミュニティによるモデレーションはもちろん、ビデオフレーム分析などの技術を使用して「危険な」コンテンツを特定するのだ。サドラー氏は、他のプラットフォームような「独裁」アプローチではなく、「コンセンサス」アプローチになると語った。「私たちは、これらのプラットフォームをきれいに保つ作業を助けてくれるユーザーに報奨します」と彼は付け加えた。

Wotchはサインアップしたと言っている大物クリエイターの名を挙げてはいないが、サドラー氏によれば、同社は主に新興市場に焦点を合わせていて、ブラジル(YouTubeが巨大なユーザーを抱えていて時々有害な問題が起きている)と南米全域ですでに25人のトップクリエイターを確保したと言う。これらのクリエイターたちはWotchだけに投稿するというわけではないが、Wotch専用の動画を作成する。

サドラー氏は、視聴者を惹きつけるのはクリエイター自身だと語る。「消費者はプラットフォームではなくクリエイターに忠実なのです」。そして、彼らが引き付けられると彼らはまた「よりソーシャルなプラットフォームの体験することになります。あなたの友人が『wotchしている』ものを見て、あなたのお気に入りのクリエイターが『wotchしている』ものを見ることになるからです」。

スタートアップは、インフルエンサーマーケティング会社であるGleam FuturesのCEOであるDominic Smales(ドミニク・スメルス)氏、Bidstackの共同創業者であるSimon Mitchell(サイモン・ミッチェル)氏。Melody VRの創業者兼COOのSteve Hancock(スティーブ・ハンコック)氏らから資金を調達した。スメルス氏は、クリエイターボードの議長も務めている。

Wotchのベータ版はすでに公開されているが、サドラー氏とウィルソン氏は来年初めにサービスの改良版を公開する予定だ。プロモーションコード「TECHCRUNCH」を使えば、早期プレビュー版にアクセスできる。

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(翻訳:sako)

ウェブ版TwitterにアップロードしたJPEG画像は今後それ以上劣化しなくなる

Twitter(ツイッター)はアップロードされる画像の処理方法を変更し、この新しいシステムは写真を共有するフォトグファラーにもに大いに歓迎されるだろう。TwitterエンジニアのNolan O’Brien(ノーラン・オブライエン)氏によると、ウェブ版のTwitterに写真をアップロードする際に、JPEGの圧縮が変更されずに保存するようになる。この問題はフォトグラファーや愛好家を大いに悩ませてきた。

ただし、画像のサムネールは再圧縮される。しかし、ユーザーがそれをクリックすれば、アップロードした画像がJPEGである限り、圧縮されていない(少なくとも再圧縮でない)画像が表示される。

Twitterは、一部のアプリケーションで読み取れるEXIFデータ(いつ、どのようにして、どこで撮影され、あるいは編集されたかなどの詳細情報)も引き続き削除する。Twitterでは以前からこのデータの削除をしており、それが継続されるのはよいことだ。なぜなら、フォトグラファーはこのから写真の絞り値やISO設定などをチェックしたり、著作権情報を埋め込んだりできるが、一方では位置情報などを読み取りたい悪意ある人に使われる可能性もあるからだ。

オブライエン氏が投稿した上の例は、TwitterがJPEG写真を再圧縮しなかった場合に、どのようにその品質が維持されるかを示している。これは小さな改良だが、Twitterプラットフォームにとっては素晴らしい機能であり、将来的にはTwitterがより写真にフレンドリーなプラットフォームになることを期待したい。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Disrupt BerlinでのStartup Battlefieldファイナリスト5社が決定

現地時間12月11日、ドイツ・ベルリンで開催されたDisrupt Berlinのステージに14社のスタートアップが立ち、ライブのデモと彼らの起源とビジネスモデルに関するプレゼンテーションを行い、業界のエキスパートである審査員たちの質問に答えた。そこからTechCrunchは、審査員たちの意見も参考に、5社のファイナリストを選んだ。彼らの製品は、生産性ツールから大気汚染に至るまで実にさまざまだ。

これらのファイナリストたちは明日12月12日の決勝のステージで、新たな審査員を前に再びプレゼンを行う。その実況はTechCrunchのウェブサイトでも見られる。そして優勝チームは5000ドルの賞金と、由緒あるDisrupt Cupを1年間管理する権利を勝ち取る。以下が、そのファイナリストだ。

Gmelius


Gmeliusは、Gmailの中に作業スペースを作り、チームが次々と新しいソフトウェアを導入するのではなく、既存のさまざまなツールで仕事ができるようにする。GmeliusはGmailの作業スペースに、受信トレイの共有やヘルプデスク、アカウント管理、オートメーションツールなどさまざまな機能を加える。関連記事はこちら

Hawa Dawa

Hawa Dawaは、衛星や大気質監視ステーションなどからのデータを組み合わせて大気汚染のヒートマップを作り、そのマップをAPIのサブスクリプションとして都市や企業に売る。データの利用はハードウェアを特定しないが、同社は大気質センサーを装備していない企業や都市のために、独自のIoTセンサーを作って提供している。関連記事はこちら

Inovat

Inovatは、旅行者に対する付加価値税の還付手続きを容易にする。アプリとOCRと機械学習を併用してレシートを解釈し、取られすぎの税金を計算して、正しい形式の申告書類をオンラインで、または税関に直接提出する。関連記事はこちら

Scaled Robotics

Scaled Roboticsのロボットは、建築現場の3D進捗マップを数分で作る。精度は高く、梁の1〜2cmのずれでも見つける。現場監督はそのマップを見て細部の状況をチェックできる。現場に残された残骸が多すぎるという検知もできる。関連記事はこちら

Stable

Stableが提供するソリューションは自動車保険並にシンプルだ。同社は世界中の農家を、価格変動から護る。このスタートアップを利用して、小さなスムージーショップからコカコーラのような大企業に至るまで、何千種類もの農産物や包装資材、エネルギー製品などに保険を付けることができる。関連記事はこちら

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Spotifyの誕生ストーリーがNetflixでドラマ化

Facebookの創立の過程はアーロン・ソーキン脚本、デビッド・フィンチャー監督で「ソーシャル・ネットワーク」という映画になった。ハリウッドの大物プロデューサーであるジェフリー・カッツェンバーグが準備中のQuibiはSnapchatの立ち上げ取り上げるという。米国時間12月11日、Netflixが発表したところによれば、世界最大の音楽ストリーミングサービスのストーリーがドラマ化される。

製作のきっかけとなったのはスウェーデンのDagens Industriに掲載されたSven Carlsson(スベン・カールソン)氏とJonas Leijonhufvud(ジョナス・レイホンフフヴド)氏による Spotify Untold(知られざるスポティファイ)という記事だったという。これはSpotifyの創立と、同社の10年が人々の音楽の聞き方を一変させた過程を描いたものだった。

Netflixの北欧オリジナル担当ディレクターであるTesha Crawford(テシャ・クロフォード)氏は「Spotify創立のストーリーはローカルなスタートアップの創立が世界に大きな影響を与えることになるという驚くべき例だ。Netflixはこのエキサイティングな成功物語をドラマ化しようと取り組んでいる。我々はPer-Olav Sørensen(パー-オラフ・ソレンセン)監督と英国のYellow Bird UKのチームと引き続き協力していく」と述べた。

フランスの独立系スタジオのBanijay Groupに属するYellow Bird UKは、Netflixで近く公開される刑事ヴァランダーの活躍を描くドラマ「Young Wallander」の製作にもあたっている。まだタイトルが決定していないSpotifyの物語の製作もYellow Bird UKが担当する予定だ。製作総指揮となるBerna Levin(ベルナ・レビン)氏はYoung Wallanderの製作にも当たっている。

物語はスウェーデンのテクノロジー起業家であるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏、Martin Lorentzon(マーティン・ロレンツォン)氏のコンビが海賊版音楽の横行する時代に無料かつ合法的な音楽サービスを構築するところに焦点を合わせている。Netflixでは「無名の起業家を信念と固い決意がいかに助け、現状を打破して巨大な夢を実現させたかを描く」という。シリーズは英語版、スウェーデン語版の双方で提供される。

製作総指揮のレビン氏は「タイムリーかつエンタテインメント性の高い物語をNetflixに提供できるものとと期待して興奮している。スウェーデンのテクノロジー・コミュニティの数人のメンバーが世界の音楽業界に革命を起こすに至ったかというストーリーだ。音楽の作られ方も聞き方もSpotify以後は一変した。これはまぎれもなく実話だ。この10年でSpotifyは我々の生活を変えたが、それは同時に世界をデジタル化するという文化的、経済的な苦闘の過程でもあった」と語った。

Netflixの声明によれば、テクノロジーの動きは極めてに速いため、スタートアップの物語をドラマ化するのは大変難しいという。Spotifyは現在でも変化を続けている。ドラマが放映されるときはさらに変化を遂げているに違いない。

「Spotifyをテーマにすることでスウェーデンのリアルな生活を描けると期待している。これはスウェーデンのウィズキッズが世界の音楽シーンを永久に変えてしまったという現代版シンデレラ・ストーリーであり、今もなお展開中だ」とソレンセン監督は述べた。

Netflixではリリース日時はまだ明かしていない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook