物流管理のハブを目指すShipwellが約38億円を調達

トラック物流管理プラットフォームのShipwellが3500万ドル(約38億円)を調達した。サービスのラインアップを増やし、物流管理のフルサービスハブを目指す。

Georgian Partnersがリードしたラウンドは、Shipwellが荷物の追跡管理ツールを拡張し、FedExの小包配送サービスと統合したタイミングで行われた。CEOの Gregory Price(グレゴリー・プライス)氏によると、今後数カ月で海上輸送への進出も計画している。

オースティン拠点の同社は、物流サービスのユニコーンであるFlexportなど複数のサービスプロバイダーと提携しているものの、本業は荷主と運送会社をオンラインでつなぐマーケットプレイスおよび貨物の管理ツールの提供だ。Amazonを大成功に導いた独自の物流管理ツールキットを小売業者に売り込んでいるところだ。

最後の資金調達は1年前だった。それ以来、Shipwellは複数の地域にまたがるサプライチェーンを擁して、月間4000件を超える顧客にサービスを提供するまでに成長した。現在、カナダ、メキシコ、ヨーロッパ全体で事業を展開している。

調達した資金により、同社はシカゴに新しいオフィスを、またオースティンで2番目の拠点を開設する。

同社はまた、トラック以外の輸送手段の物流も管理できる新しいAPIを発表した。プライス氏によると、現在約20社がベータテスト行っており、11月には公開の予定だ。

画像クレジット:Thatree Thitivongvaroon

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(翻訳:Mizoguchi)

Uberが料理教室やコース料理などの体験をUber Eatsで試験提供

Uberは、オンデマンドのフードデリバリーアプリUber Eatsに新たにMomentsというタブを設け、料理教室や高級コース料理など、食にまつわる体験を販売する。「小規模のテストを現在サンフランシスコで展開している」とForbes(フォーブス)が報じた。

それによると、サンフランシスコのUber Eatsユーザーに11月17日までUber Momentsを予約できる、と電子メールで案内があった。手始めに予約できるのは、餃子作りクラス(75ドル)とナイジェリア料理ディナー5コース(55ドル)だ。

Forbesにパイロット事業について尋ねられたUberの広報は「我々は常にEatsの体験をより良いものにすることを考えている」と話した。

このテストは、Airbnb過去3年間オンデマンドの宿泊予約プラットフォームに盛り込んで展開してきた「体験」のコンセプトに似ている。食に関する体験、そしてガイド付きのハイキングツアー、グランピング、動物との触れ合い、舞台芸術クラスなど、人々がやってみたいと思うあらゆることを網羅する数万もの「体験」を提供している。

配車サービス大手のUberが、空腹を素早く満たすのが使命であるフードデリバリーの部門に、手の込んだ食事を準備するレッスンという料理体験を持ってこようとしているのは奇妙に聞こえるかもしれない。しかし同社は、 CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏が先月「毎日の暮らしのためのオペレーティング・システム」と表現したものを構築しようとしている。

6月にTechCrunchは、ユーザーが毎日の決断を行いやすいよう、Uberが複数のサービスを1つのアプリに統合する計画を公表する前に、Eatsをメインアプリに盛り込むテストを開始したことを報じた。究極的にはUber Momentsは、Uberが展開する配車サービスからマイクロモビリティ、雇用、オンデマンド配達といったサービスの一環となる。

ちなみに、雇用もまたUberにとって関心のある分野だ、今月初めにUberはシカゴで派遣会社と提携してシフト業務ファインダーアプリを立ち上げた。同社はこのアプリを「すぐに他のエリアにも拡大する」ことを表明している。

そのほか、新たなサービスの立ち上げも大いにあり得る。しかしまずは現在展開しようとしているサービスを収益の上がるビジネスモデルにする必要がある。

もしUberが旅行に今後フォーカスしていくのなら、Uber MomentsがUber Stays、Uber Trips、Uber Coverなどを、オンデマンドのホームサービスに注力するのならUber Clean、Uber Care、Uber Fixなどを展開すると想像できる。

先月Uberは、計画している「なんでもアプリ」につながる新サービスを開発するためにインキュベーターを立ち上げた。アプリは「Uberが提供できる全てのサービスへのワンクリック・ゲートウェイ」になる、とコスロシャヒ氏は加えた。ただし、人々が欲しいと思うどういうサービスを提供できるかは今後明らかになる。

Uberの評判はこのところ低迷している。今年初めにいくつかのスキャンダルがあり、また乗客の安全に関する疑念は今も渦巻いていて、Uberが自社のカルチャーの改革や、消費者がUberを頼りたい、より利用したいと思うようなブランドにするための取り組みを十分に進めているかは不明だ。

もしUberの配車サービス事業で問題のあるドライバーをまだ排除できていないのなら、Uberが日々の暮らしにおける幅広いサービスを提供したとしても消費者がUberを信頼するとは考えにくい。

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(翻訳:Mizoguchi)

当座預金サービスを提供するモバイルバンキングアプリCurrentが約22億円を調達

親が管理する10代向けのデビットカードとして始まったモバイルバンキングアプリのCurrent(カレント)は、今年初めに個人向けに当座預金口座を提供し始めた。現在、50万件を超える口座を抱える。今後の成長をにらみ、シリーズBで2000万ドル(約22億円)を調達したことを明らかにした。

ラウンドには新たに、Wellington Management Company、Galaxy Digital EOS VC Fund、CMFG Venturesが参加した。CMFG Venturesは、信用組合や1億2000万人の個人会員に金融サービスを提供する相互保険会社CUNA Mutual Groupのベンチャーキャピタル部門。既存株主からは、QED Investors、Expa、Elizabeth、Street Venturesが参加した。

2017年にサービスを開始したCurrentの最初のバージョンは、子供にお手伝いの報酬やお小遣いを与える現代的な方法を親に提供することが目的だった。時とともに10代向けの銀行口座という側面を持ち始め、昨年末には銀行番号と口座番号が付与された。働く10代の若者は、従来の銀行と同様に給料をCurrentに振り込んでもらうことが可能になった。

今年に入ってCurrentは個人用当座預金サービスを開始した。10代向け銀行口座と同じテクノロジーを基盤としている。入金振り込み、ガスホールドクレジットやマーチャントブロック(ガソリンスタンドやホテルなどのサービス提供側が優先設定できるクレジット枠)などの機能が含まれている。当座貸越手数料や「隠れ」手数料はなく、最低預入残高も求められない。

10代向け当座預金口座ユーザーの平均年齢は15歳だが、新しい個人当座預金サービスユーザーの平均年齢は27歳だ。

個人当座預金サービスの開始は1月下旬だったが、すでにCurrentの口座の約半分を占めている。18歳になったCurrentのユーザーが、自分の銀行アプリを持つため個人当座預金に移行する効果も大きい。同社によれば、10代の約98%が一定の年齢に達すると個人用当座預金アプリに移行する。

実質的な銀行口座サービスに参入することにより、Currentはより競争の激しい市場に身を置くことになる。若いモバイル世代は実店舗のある銀行より現代的で機能豊富なアプリを好む。多くのバンキングアプリが彼らをターゲットにしている。ライバルには、Step、Cleo、N26、Chime、Simple、Stashなどのアプリがある。

この分野の多くの企業と同様、Currentは実際のところ銀行ではない。同社の銀行サービスはChoice Financial GroupとMetropolitan Commercial Bankが運営している。そのため、最大25万ドルのFDIC(米連邦預金保険公社)保険に加入している。それに対し多くの銀行アプリは、提供できる機能とユーザーエクスペリエンスに焦点を当てている。

Currentの2つの製品には、Currentの口座に紐づいたVisaのデビットカード機能がついている。さらにCurrentとVisaが発表したマーケティングパートナーシップによって、Currentにとっては新しい顧客を獲得するチャンスが拡がった。

創業者兼CEOであるStuart Sopp(スチュアート・ソップ)氏は「誰もが自分の人生をより良くするために手頃な価格の金融サービスにアクセスできるべきだと考えている。Current Coreによって再構築した金融インフラでそれを実現した。お金のやりとりを扱う新しい方法を提供する多くの製品を開発することもできる。50万を超える口座を抱えるに至ったこれまでの急速な成長からも、当社の製品とコスト削減が財務的に結果を出していることは明らかだ。2020年半ばまでに100万人以上の顧客に我々のサービスの利便性を体験してもらえると見込んでいる」と述べた。

さらに機能を拡充する計画だ。来年第1四半期には、小売業者とのキャッシュバックシステムを加える予定。クレジット商品やビットコイン投資なども検討している。だが、これらを実行するには、さらなる教育と慎重な注意が必要だ。

「貧しさは高くつく。本当にそうだ」とソップ氏は言う。「お金がないとクレジットに30%〜35%の利率を負担しなければならないが、金持ちの場合は5%で済む。世界というのは逆転していて、あなたを押さえつけているようなものだ。だからクレジット商品を提供するなら正しい方法で実行する」とソップ氏は述べた。

短期的には、使いやすい予算管理ツールと、ユーザーがお金を節約できる方法を提供することに注力する。Currentの若いユーザーが最も必要とするものだとソップ氏は主張する。

これまでにCurrentは4500万ドル(約49億円)の資金を調達した。

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(翻訳:Mizoguchi)

アマゾンとの入札競争に勝ったマイクロソフトは米国防総省の1兆円相当のクラウドを作る

米国防総省は米国時間10月25日、Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI、防衛基盤統合事業)クラウドの入札競争でMicrosoft(マイクロソフト)が契約を勝ち取ったと発表した。それは10年間で最大100億ドルにもなる事業契約だ。これに関しマイクロソフトは、ペンタゴンの事業とミッションの実施の双方でインフラとプラットホームサービスを提供する。

国防総省のCIO(情報担当最高責任者)を務めるDana Deasy(ダナ・ディジー)氏は、関連する発表で「(2018年の)国家防衛戦略は、我が国の制服を着た女性と男性に現代的な技術能力を開発装備する速度と実効性を向上すべきことを命じている。国防総省の(2019年の)デジタル近代化戦略は、この至上命令を支持するために作成された。今回の契約裁定は、デジタル近代化戦略の執行における重要段階である」と述べている。

マイクロソフトはこの巨額な入札競争の最終ラウンドでAmazon(アマゾン)を破った。それより前のラウンドではIBMやOracle(オラクル)のような競合企業が2社に敗退した。多くの識者は、アマゾン有利と見ていた。

アマゾンのスポークスパーソンは「この結果は意外である。AWSは明確にクラウドコンピューティングのリーダーであり、互いに競合する分野の詳細比較では、これとは異なる結果に導いていた。弊社は今後も、このまだ新しいデジタルの戦場のためのイノベーションに深く関わっていくつもりであり、そこではセキュリティと効率と自己回復力とリソースのスケーラビリティが成功と失敗を分かつであろう」とコメントしている。

ここに至るまでの過程は「複雑でない」とはとうてい言えない。さまざまな訴訟があり、土壇場の棄権あり、 そのほかの論争や議論もあった。ある時点では大統領の介入もあった。

まだ残っている問題は、マイクロソフトの社員がこれにどう反応するかだ。昨年は、何人かの社員が、会社がこの入札に参加しないことを求める公開書簡を発表した。さらに最近では、GitHubの総額20万ドルと比較的小額な、合衆国移民関税執行局との契約に同社の社員が抗議した。こんな背景がある以上、同社がペンタゴンの契約を勝ち取ったことも同様の抗議に遭うだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オープンソースプロダクトをより使いやすくするツール開発のGrafana Labsが26億円超を調達

オープンソースのデータ可視化・グラフ化ソフトウェアであるGrafana(グラファナ)の商用利用をサポートするGrafana Labsが、シリーズAで2400万ドル(約26億円)の巨額を調達した。Lightspeed Venture Partnersがラウンドをリードし、Lead Edge Capitalが参加した。

CEOで共同創業者のRaj Dutt(ラジ・ダット)氏によると、同社はオープンソースのGrafanaツールに商用のレイヤーを提供するスタートアップとしてスタートしたが、今ではオープンソースのモニタリングツールであるLokiなど、そのほかのプロジェクトもサポートしている。LokiはPrometheusに似ているが、Grafana Labsの自作ソフトウェアだ。

同社はこれらのサービスを動員してデータソースに接続し、データをモニタしている。ダット氏は「Grafanaは、データがどこにあってもそれらに接続する。独自のデータベースであっても、オンプレミスのデータベースであっても、あるいはクラウド上のデータベースでもだ。Grafanaが同時に接続できるデータソースは42種類以上ある」と説明する。

でも同社は、それ以上のものに成長した。同社によるとそのプロダクトセットは「さまざまなプロダクトを単一の提供物へと統一している。それは、世界初のユーザーが自由に編成できるオープンソースの観測プラットホームであり、Grafanaを主軸としてメトリックスやログ、トレースなどのデータを一元的に扱える」。

実は、モニタリングとロギングの伝統的なツールであるElasticやNew Relic、Splunkなども、今年はそんな一元的な方向へ進もうとしている。メトリックスやロギング、トレーシングなどを一体化したデータ分析や可視化のことを観測ないし観測性(Observability)という言葉で呼んでいる。

Grafana Labsはオープンソースプロジェクトの商用部門で、その上に構築した2つのプロダクトがある。まずGrafana Enterpriseにはエンタープライズにフォーカスしたデータコネクターと、強化された認証とセキュリティ、そしてオープンソースよりも充実したエンタープライズクラスのサポートがある。

GrafanaのSaaSバージョンもあり、それは完全な管理を伴い、オープンソースのダウンロードやインストール、管理、アップデート、パッチなどに伴う面倒がない。面倒はすべて月額料金でSaaS側が見てくれる。

ダット氏によると、最初の5年間では外部資金を400万ドルを導入しただけだが、社員数100人、顧客数500社にまで成長できた。彼の自慢はキャッシュフローが現状でとんとんであることだ。

そして近年Grafana Labsは、そろそろ大きな資金を得て成長を加速すべき段階だ、資金がなくてできなかったこともできる、と決意した。ダット氏は「オープンソースのコミュニティとそのマインドシェアにより、企業価値創成の善循環ができている。それは、持続可能なビジネスを築けた、ということだ。今後はその循環を加速していきたいので、思い切った資金調達を行なった」と語る。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

TechCrunch Tokyo「ボイスメディア」パネルにVoicyの緒方氏が登壇決定

Voicy代表取締役CEO、緒方憲太郎氏

今年は11月14日と15日に渋谷ヒカリエで開催される、日本最大級のスタートアップとテクノロジーの祭典、TechCrunch Tokyo 2019。本日は、「ボイスメディア」パネルの開催、そして同パネルにVoicyの代表取締役CEO、緒方憲太郎氏が参加することが決定したので、皆さんにお知らせしたい。

緒方氏は2015年、医療ゲノム検査事業のテーラーメッドを創業し、3年後に事業売却。2016年には、ボイスメディア「Voicy」を運営するVoicyを創業した。Voicyはビジネスの専門家やミュージシャン、インフルエンサーなどの「声のブログ」や、ニュースならびに天気予報のような情報、加えて事業会社のオリジナルチャンネルを含む、250チャンネル以上を無料で放送してきた。

以前、ドライブシェアアプリ「CREW」を運営するAzitがVoicyをつかった「社内ラジオ」のような取り組みを行なっていることがダイヤモンドに報道されるなど話題になったが、Voicyは10月21日、同メディアの可能性を更に広げるため、企業向け音声ソリューションの「VoicyBiz」をリリースした。同ソリューションでは聞きてを限定できるため、社外や社内への情報発信のほか、採用広報、コミュニティ形成などに活用できる。

なお、同パネルには緒方氏の他に、米VC、Betaworks Venturesのパートナー、Matthew Hartman氏の参加も決定している。Zoomでミーティングを行なった際、Hartman氏は「ほぼ常に」AirPodsを着用し、ポッドキャストなどを聞き漁っていると話した。Betaworks VenturesはSpotifyに買収されたAnchorやGimletなどに投資しており、2017には音声テクノロジーを追求するスタートアップを集めた「Voicecamp」を実施。また、1月からはオーディオ領域を追求する「Audiocamp」を開催する予定だ。

以前、CNET Japanの山川晶之記者は「完全ワイヤレスイヤホンは音楽再生デバイスの域を超え、『各社のサービスを音声で利用するためのウェアラブルインターフェイス』いう色合いが濃くなってきている」と綴っていたが、全くその通りだと思う。緒方氏、Hartman氏には、そんな新時代、ボイスメディアにはどのようなポテンシャルがあり、どのような進化が見込まれるのか、詳しく話を聞きたい。また、個人的にはマネタイズを含む配信者(社)にとってのメリットや、誤情報の拡散の恐れについて、両者がどのような考えを持っているのか、記者として気になっているところだ。

現在発売中のTechCrunch Tokyo 2019のチケットは後述のとおり。

  • 学生向けの「学割チケット」(1万8000円)
  • 5人以上の団体向けの「団体チケット」(2万円×5枚以上)
  • 「前売りチケット」(3万2000円)
  • 専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)
  • 設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1万8000円)
  • 設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)

チケット購入はこちらから

百貨店の“人手不足”や“職場復帰”の課題を解決するデイワークアプリ「ワンデイワーク」、Wakrakと三越伊勢丹HDが共同開発

左から、ワンデイワーク代表取締役社長の飯島芳之氏、Wakrak代表取締役の谷口怜央氏

デイワークアプリの「ワクラク」を運営するWakrakは10月25日、三越伊勢丹ホールディングスの子会社ワンデイワークと協業し、同じくデイワークアプリである「ワンデイワーク」を開発し、11月1日よりサービス提供を開始することを発表した。

ワクラクは「1日単位のワーク探し」「面接なしで雇用契約締結」「給与振込申請」が行えるデイワークサービスだ。ワンデイワークは三越伊勢丹ホールディングスが10月に100%子会社として設立した。

TechCrunch JapanではWakrak代表取締役の谷口怜央氏、ならびにワンデイワーク代表取締役社長の飯島芳之氏に、新サービス、そして協業の狙いについて話を聞いた。

ワンデイワークの狙いは百貨店、小売業にける慢性的な人手不足の解消

ワンデイワークいわく、百貨店や小売業は慢性的な人手不足に悩まされている。代表取締役社長の飯島氏によると、アパレルの販売員は結婚や出産を機に、30歳くらいで職場から離れるケースが多い。

派遣社員やパートタイムのメンバーだけでは人手不足問題を解消できなくなりつつあったが、もう一方で、百貨店や小売業のOGやOBの多くはより「柔軟な条件」で勤務することを前提に「再度同じ職場で働きたい」と考えていた。「働きたい意欲を持つ方の力を十分に活用しきれていないという課題があった」と飯島氏は言う。

だが、家庭の事情や育児、家族の介護などを理由に退職してしまった従業員が、再び単日や短時間で働き始めたいと思っても、最適な仕事を見つけるのが難しいという状況が顕在化していた。飯島氏いわく、従業員が復帰する際には「週5勤務」を求められるケースが多く、そのような条件は多くの人たちにとって厳しい。そこで飯島氏が目をつけたのが、「デイワーク」だ。

ワンデイワークでは、単日や短時間で働きたい人をより柔軟に人材確保を行いたい雇用主を繋ぐ。求人検索(求職者募集)、申し込み、契約書締結、給与の受け取り(支払い)などの手続きがアプリ上で完結する。まずは関東近郊で三越伊勢丹が運営する百貨店の店舗や事業所を中心にワンデイワークを導入し、販売経験をもつOGやOBなど「眠っている労働力」を活用する。その後は他の商業施設や小売り業態にも拡大していく予定だ。11月中にはAndroid版ならびにiPhone版のアプリも提供開始される。

飯島氏いわく販売員の約7割が女性。そのため、「家庭の事情や育児、家族の介護などを理由に退職してしまった」女性がワンデイワークのメインターゲットだと思われる。同サービスでは2020年度中に約1万ユーザーの稼働を目指す。

ワンデイワークとの協業、Wakrakの狙いは

Wakrakもデイワークアプリ「ワクラク」を運営しているが、同社にとってワンデイワークとの協業にはどのようなメリットがあるのだろうか。

Wakrak代表取締役の谷口氏は「僕たちには入っていけない業界もある」と話す。だが、ワンデイワークスは三越伊勢丹ホールディングス子会社社のため、「百貨店名の力」がある。そのため、Wakrakがリーチできないエリアへのアプローチをしていただける、というのが協業に至った一番の理由だ。

「僕たちにはWakrakというサービスを広めていくというミッションがある一方、デイワークという働き方も普及させていかなければならない。協業という形で他企業と連携し、対応できる業界を広げていきたい」(谷口氏)。

Wakrakは現在、飲食業界を中心に、物流、小売、アパレル、エンタメ、農業、オフィスワークなど、様々な業界の課題解決している。そして前述の通り、今後はワンデイワークに続く「協業企業」を募集していくことで、業界の幅を広げていく。谷口氏いわく「ユーザーとユーザーのリアルタイムのマッチングはあったものの、法人とユーザーをリアルタイムで繋げるものは今までになかった」ため、デイワークアプリの立ち上げは難しい。だが「僕たちにはそれなりの知見があるため、ゼロイチで作るよりも、僕たちが入り込むほうが初期の立ち上げはしやすいのではないか」と加えた。

また、谷口氏いわく、Wakrakの強みは「どのような人に仕事を表示するのか、またはしないのか」などといった、法人とユーザーを繋げるアルゴリズムの部分。「企業は『安くて優れた人材』が欲しいと考えているが、価格(安さ)で勝負をしてしまっても仕方がない。そのため、どれくらい相性の良い人をお送りできるかというところを技術的な強みとして持っていたい」(谷口氏)。

谷口氏は以前の取材で、資格やスキルが必要となる業界でのワクラクの活用、専門性が必要となる仕事でもワクラクを通して求職できることを目指すと説明し、以下のように述べていた。

「A社で自分が築き上げた価値や役職は、B社に移った瞬間にまた1から積み上げなければならない。だが、アプリやサービスの中に自分の評価が溜まっていくならば、どこで働こうが関係がない。ブルーカラーだけではなくてホワイトカラーも、ありとあらゆる仕事をこのサービスを通して行える、かつ、やりたくないことをやめられる。そのような世界観を僕たちは持っている」(谷口氏)。

そして本日Wakrakとの協業を明かしたワンデイワークの飯島氏も同様に考えている。販売職から培われる専門性の高いスキルは他業種でも活かせるのではないか、という考えだ。

「我々のワンデイワークも含めて、谷口氏が考える『デイワーク』というフィールドに一度戻ってきていただくと、その人の将来がより広がるようにしていきたい、と考えている。我々の販売というフィールドだけではなく、(ワンデイワークのユーザーが)ワクラクが扱っているような案件に繋がっていくように、将来的にはしていきたい」(飯島氏)。

Apple TVアプリがAmazon Fire TV Stickに搭載へ

Apple TV+サービスの開始を11月に控えるApple(アップル)は、Apple TVアプリを自社のストリーミングメディアプレイヤーであるApple TVやMac、iOS以外のプラットフォームにも提供しはじめている。Rokuデバイスには今月すでにApple TVアプリが登場した。そして米国時間10月24日、Fire TV StickとFire TV Stick 4Kにもアプリがやってくる。

具体的には、Fire TV Stickの第2世代およびFire TV Stick 4Kの米国、カナダ、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、インドのユーザーに米国時間10月24日から提供される。

Fire TV Basic Editionの世界50カ国以上のユーザーもAmazonアプリストアで新アプリをダウンロードできる。Fire TV Cube(第1、第2世代)、Fire TV(第3世代のペンダントデザイン)、および東芝とInsignia(インシグニア)のFire TV内蔵スマートTV、Nebula(ネブラサウンドバーでも近日中の利用できるようになる。

「Fire TVの第1、第2世代およびFire TV Stickの第1世代では新アプリを利用できない」とAmazonは表明している

このアプリはApple TV+を視聴するために必要だが、できることはそれだけではない。Apple TVアプリはiTunesライブラリへのアクセスが可能で、購入あるいはレンタルした番組や映画を見ることができる。ただし、新しいコンテンツを見るには、まずアップル製デバイスで購入/レンタルしておく必要がある。アップルがAmazonのプラットフォームに自社アプリを載せるまでには何年もの交渉が必要だった。

アップルはストリーミングメディアや関連デバイスへの関心が高まるにつれ、自らのクローズドな戦略に変更が必要であることを認めざるを得なかった。2017年に CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は、Prime VideoアプリがApple TVに搭載されることをついに発表した。それ以来両社は互いの製品に対する制限を徐々に緩和していった。

翌年Amazonはアップル製品の在庫を拡大し、Apple TVだけでなくiPad、iPhone、Apple Watch、Beatsヘッドホンなどを扱い始めた。さらにAmazonは同社のFreeTime UnlimitedアプリをiOSでも提供し、一方Apple MusicもEchoスピーカーで利用可能になった。今年3月には、Apple MusicもFire TVに対応した

そしてApple TV+が始まれば、アップルはいっそうAmazonとのライバル関係が激しくなる。AmazonもストリーミングサービスのPrime Videoを運営している。

ただしApple TV+のコンテンツは「Dickinson」「The Morning Show」「See」「For All Mankind」 などまだ数は多くない。これらの番組が視聴者にどう受け入れられるのかまだわからないが、アップルは新しいアップルデバイスを購入した人に1年間無料でApple TV+を提供している。これによって、最初の試みがいくつか失敗したとしても、基盤を築く時間を得られるかもしれない。

Amazonによると「他のデバイス向けのApple TVアプリが公開されたらTwitterで公表する」とのこと。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンが2年ぶりの利益未達で時間外株価7%減

Amazon(アマゾン)は米国時間10月24日の決算報告で、2年ぶりに利益目標に届かず時間外取引で約7%、118.38ドル株価を下げた。

証券アナリストらは、翌日配達(one-day shipping)がAmazonの利益をむしばむと予測していたが、そんな警告にもかかわらず投資家は時間外取引で同社株を叩いた。最も重要なホリデーシーズンを含む同社の第4四半期予測が芳しくなかったこともいい影響を与えなかった。

悪いニュースの中でにあって、Amazonの売上が伸びていることは明るい知らせだ。同四半期にAmazonは700億ドル(約7兆6000億円)を売上げ、アナリスト予測の688億ドル(約7兆4700億円)を上回った。

しかし、利益は21億ドル(約2300億円)、1株当り4.23ドルで、アナリストが予測した4.62ドルにおよばなかった。そして、今年は売上が伸びたにも関わらず、1株当たり利益は昨年同期の5.75ドルから減少した。MarketWatchが指摘しているように、同社の利益が減少したは2017年以来初めてだった。

Screen Shot 2019 10 24 at 2.24.19 PM投資家にとってもうひとつの注意信号は、同社のウェブサービス事業の売上が90億ドル(約9800億円)と、アナリストらが予測した約92億ドル(約1兆円)に届かなかったことだ。事業(前年同期より順調に35%伸びてはいる)が競争のために伸び悩むようだと、AWSの売上で他の出費を賄っている同社の株価に悪影響を及ぼす可能性がある。

Amazonは年間を通じて新サービスの提供に多額の資金を投入している。無料翌日配達サービスの拡大は、Amazonの第2四半期に8億ドル(約8700億円)以上の出費をもたらした。

同社創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、声明の中で翌日配達への移行を擁護した。

「顧客はプライムサービスが翌々日から翌日に変わったことを大いに喜んでいる。今年になってから数十億ドルの注文を翌日配達で受け付けた。これは大きな投資であり、顧客にとって正しい長期的決断だった」とベゾス氏は語った。「しかも、直感に反するかもしれないが、最速の配達は炭素排出量を最小限に抑える。商品が顧客に非常に近い配送センターから出荷されるからだ。長距離の空路や陸路を利用することはもはや実用的ではない。

来たるべきホリデーシーズンについて、Amazonは売上高800~865億ドル(約8兆7000億〜9兆4000億円)、営業利益12~29億ドル(約1300億〜3150億円)を見込んでいる。昨年同期の営業利益は38億ドル(約4130億円)だった。アナリストらは売上870億ドル(約9兆4540億円)以上と予測している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Netflixが月440円のモバイル専用プランをマレーシアで提供開始

Netflix(ネットフリックス)は、インドで展開しているモバイル視聴限定の低価格プランをグローバルマーケットに拡大する。米国のオンデマンドビデオストリーミング大手Netflixは米国時間10月24日、新価格のサービスをマレーシアで開始した。月額17リンギット(約440円)で視聴できるというものだ。

この新プランは月額7.8ドル(約850円)からで利用できる既存のプランと並行して提供される。既存プランではモバイル端末からのアクセスは1台に限定され、コンテンツは低画質で提供されている(標準解像度は480p)。このプランの購読者はコンテンツをテレビやラップトップPCで閲覧することはできない。

Netflixは低価格のモバイルプランのテストを昨年、マレーシアを含む多くのマーケットで開始した。「真にモバイルファーストの国であるマレーシアにおいて新プランはNetflixへのアクセス増に貢献するだろう」と同社は語っている。

産業推計によると、マレーシアの88%超の人がスマートフォンを保有していて、一方でインターネットユーザーは78%だ。およそ3200万人がメディアコンテンツをストリームしたりダウンロードしたりしている。

Netflixでプロダクトイノベーションを担当するディレクターであるAjay Arora(エージェイ・アローラ)氏は発表文で次のように述べている。「マレーシアのNetflixユーザーはスマートフォンやタブレットで番組を観るのが好きだ。東南アジアで初となるモバイル限定プランで、マレーシアの人々はすべてのNetflixの番組や映画をストリームしたりダウンロードしたりしやすくなる」。

インド同様、NetflixはマレーシアでもiFlixやDimsum、playTV、Astro Goといった攻めの価格設定をしている多くのサービスと競合する。そしてほかのマーケットでもそうだが、マレーシアの視聴者によりいいものを提供しようとオリジナルコンテンツの制作に投資している。今後提供されるシリーズThe Ghost Brideはマレーシアで撮影・制作された。コメディシリーズのPolis EvoとJagatもまたマレーシアの視聴者の間では人気だ。

TechCrunchがこれまでに指摘したように、Netflixの標準価格では世界のあらゆるところで利用してもらえない。多くのライバルが低価格でサービスを提供しだすようになってからは特にそうだ。この点についてNetflixは公に認めるようになっている。先週の四半期決算発表時、「同社の役員は月額2.8ドル(約300円)のモバイル限定プランがインドで受け入れられていることは喜ばしい」と述べた。

「価格面での我々のアプローチはこれまでのところ売上につながっている。インドでのモバイルプランの利用と浸透は当初のテストを上回っている。これにより我々はさらに顧客の満足度を高めるため、インドのコンテンツにより投資できる。全購読者ベースにおける割合は小さいが、他のマーケットでもモバイル限定プランのテストを継続している」と述べた。

Netflixのプロダクト責任者Greg Peters(グレッグ・ピータース)氏は「他のマーケットでさまざまなプランや「機能バリューベネフィット」を開拓して視聴者の反応を見極める」としている。いくつかのマーケットでは、週単位のプランのテストを行った。

今回のマレーシアでのモバイル専用プランは、Netflixが発展国での価格を少しずつあげている中で発表された。例えば、米国では今年最も人気の月額サービスの価格を13ドル(約1400円)に改定した。いまやテック大企業やケーブルネットワーク、スタジオが自前のサービスを展開しようとしていて、世界中の人々が疑問を抱えている。「暮らしの中で一体いくつのビデオアプリが必要なのだろうか」。

Netflixは先週、2四半期連続で購読者数が予想を下回ったことを明らかにした。7〜9月に新たに680万人の購読者を獲得したが、目標の700万人には届かなかった。680万人のうち、アナリスト予想の600万人を超えた630万人は米国外の利用者だった。

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

マイクロソフトの2019年9月締め四半期は絶好調だがAzureの成長率は下降が続く

Microsoft(マイクロソフト)の2020年会計年度の第1四半期(2019年7〜9月)の結果はアナリストの予想を大きく超えたが、しかしAWSと競合するAzureの成長率は引き続き減少している。

第1四半期の同社の売り上げは前年同期比で14%伸びて331億ドル(約3兆6000億円)になった。純利益は21%増の107億ドル(約1兆1600億円)、1株あたり1.38ドル(約150円)だ。

Office製品やLinkedInなどを含むMicrosoftのProductivity and Business Processes(生産性とビジネスプロセス)部門の売り上げは13%増えて111億ドル。LinkedInの売り上げは25%増加した。

一方、同社のIntelligent Cloud(インテリジェントクラウド)部門の売り上げは27%伸びて108億ドルだ。サーバープロダクトとクラウドサービスは30%伸びた。同社によると、Azureの売り上げは59%増加したが、この成長率は前年同期の76%に比べると落ちている。成長率はそれ以降落ち込みが続き、前四半期の成長率64%よりさらに下がっている。パーソナルコンピューティング部門は4%増加して111億ドルの売り上げだった。

同社の予想では、第2四半期(2019年10〜12月)0の売り上げは351億5000万ドル(約3兆8200億円)から359億5000万ドル(約3兆9000億円)の間だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleが通知スパムを受信箱に放り込むアプリなど複数の実験アプリを公開

Google(グーグル)は昨年のデベロッパーカンファレンスであるGoogle I/OでAndroid用のデジタルウェルビーイングツールを発表したが、その後さらに機能の拡張に努めて子供のいる家族のためのFocusモードやペアレンタルコントロールの改良などを導入した。そして、今回また新しいことをやろうとしている。今回のは「実験的な」アプリの集まりと呼ばれ、ユーザーが自分のデバイスの使われ方をよく知り、そのスクリーンタイムを減らすことが目的だ。

それらのアプリはDigital Wellbeing Experimentsと呼ばれる新たなプラットホームに属し、これまでの標準的なスクリーンタイムのコントロールとは大きく異なっている。「すべてオープンソースのプロジェクトで、型にはまらない考え方をユーザーに促す」となっているが必須のツールとはいえない。

それらの実験の1つであるUnlock Clockは、スマートフォンをアンロックする頻度を数える。

Screen Shot 2019 10 23 at 6.08.37 PM

そしてWe Flipは、友だちのグループや家族などの全員をテクノロジーから切り離し、しかし誰かが自分のスマートフォンをアンロックすると全員のその状態が終わる。スクリーンタイムが、家族の対戦スポーツになるみたいだ。

一方Desert IslandMorphは、アプリを軸にしてスクリーンタイムの減少を目指す。Desert Islandは本当に必要なアプリだけで1日を過ごすようにし、Morphは1日の各時間に合ったアプリだけを使えるようにする。

Screen Shot 2019 10 23 at 6.29.32 PM

そんなアイデアは何年も前からAndroid用のランチャーのCoverEverythingMeAviateなどにもあった。それらの場合は、どの時間にユーザーが何をしているかによって、ホーム画面の構成やウィジェットが変わった。しかしそれでもスマートフォンの状態をニーズに合わせて個人化するという考え方は、あまり普及しなかった。「同じことがiOSではできないから」だったかもしれない。Apple(アップル)は、ユーザーによるカスタマイズをかなり制限している。

Post Boxはかなり面白い。それは通知を特定の時間になるまで消さずに保持する。

通知スパムは、スマートフォンのユーザーになることがうっとおしい最大の理由のひとつだ。あまりにもひどいので、アップルもグーグルもOSのレベルでユーザーが再通知をコントロールできるようにした。

今年の早い時期にアップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は「自分のiPhoneの通知機能を無効にした」とさえ言った。iPhoneにはそんな奇跡のようなこともできるという自慢だったが、実際にはアップルの通知システムの設計に欠陥がある。デベロッパーは、しつこくて無意味な割り込みを繰り返し何度でもかけられるようなアプリを平気で作れてしまうのだ。

通知を唐突で無礼な割り込みからメールの受信箱(Post Box)のようなものに変えてしまうPost Boxアプリの実験はもっと前からあってもいいような機能だが、それがあるとスマホのアプリが今ほど増加しなかったかもしれない。そして今回の発表の中では最も奇抜な実験がPaper Phoneアプリだ。

このアプリは、その日の重要な情報や、必要なときすぐ見つけたいコンタクト、地図、会議のスケジュール、仕事の締め切り、天気予報などなどをプリンターでプリントして小冊子にしてくれる。

paper phone

つまりスマートフォンのスクリーンタイムがゼロ、スマホにまったく触らないで、重要な情報にアクセスできる。スマホ以前の世代にとっては過去へのタイムトラベルみたいだし、スマホ依存症の世代には、ちょっとした自由時間をプレゼントする。

このDigital Wellbeing Experimentsプラットホームは誰でも作品を提供できる。テクノロジーに過度に依存しない生活のための知恵や工夫をどんどん投稿しよう。

グーグルは「これらの実験がデベロッパーやデザイナーを啓発して、テクノロジーを構築するときにはデジタルのウェルビーイングが頭の中で常に最優先されるようにしたい。このプラットホームに参加する人が増えれば増えるほど、みんなにとってもっといいテクノロジーを誰もが作れるようになるだろう」とコメントしている。

その気になった人は、ガイドブック「Hack Pack」とオープンソースのコードをこの実験のウェブサイトからダウンロードできる。また、実験アプリはAndroidのみでGoogle Play Storeからダウンロードできる。

この実験はグーグルの既存のプロダクトの改良というより、お楽しみの要素が強いが、グーグルにはほかにも、スクリーンタイムとウェルビーイングの仕組みがある。それらは、Android本体のウェルビーイング機能や、YouTubeの「休憩」のおすすめ、そのほかのスクリーンタイムコントロール、Google アシスタントの息抜きルーチン、自動リプライや後で送るのGmail機能、Google Family Link(ファミリー リンク)などだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Mediumがライターへの分配金を読まれた時間で計算する方法に変更

Mediumはパートナープログラムに関して大きな変更点を発表した。パートナープログラムとは、サブスクリプションの費用を支払うと限定コンテンツにアクセスでき、ライターに売上が分配されるプログラムだ。

最大の変更点は、今後ライターは拍手ではなく「主に」読まれた時間に基づいて支払いを受けるということだ。MediumのEmma Smith(エマ・スミス)氏は投稿の中で、読まれた時間は「質と読者からの反響を測る、より正確な指標である」と説明している。つまり「 を忘れずにクリックした人たちだけではなく」読者全員の関心と行動が反映されるということだ。

スミス氏の投稿によれば、Mediumはこれまでに3万人のライターに対して合計600万ドル(約6億5000万円)以上を支払ったという。

2017年にパートナープログラムが開始された直後、CEOのEv Williams(エヴァン・ウィリアムズ)氏は筆者に対し、拍手(読者がストーリーを気に入ったことを簡単に表明する方法)と読まれた時間を統合した発展的な方式だと説明していたが、今は読まれた時間が重要な指標だと判断したようだ。

スミス氏は「読まれた時間は、読者がMediumから得る重要な価値を表すと考えている。価値を完璧に測定するものではないかもしれないが、指標として有力と判断した」と書いている。

具体的には、Mediumはアクティブに読まれた時間に基づいて支払い金額を決めるため、誰かがウインドウを開きっぱなしにして数分間離れていたらカウントされないとスミス氏は述べている。

スミス氏は、読まれた時間を2種類の方法で見ているとも説明している。「メンバーがそのストーリーを読むのに何分かけたか」(これにはそのストーリーを見つけ、30日以内に購読した読者も含まれる)は直接的な指標だが、そのほかにメンバーがそのライターのストーリーを読むのに費やす合計時間の割合も測定しているという。後者は「独自のトピックについて書き、熱心なユーザーとつながっているライターを支援する」ためのものだという。

分配金の計算方法の変更に加え、Mediumは計算の頻度も毎週から毎日に変更する。Mediumがライターと共有する読者データには「収入に関する新しい指標」が含まれる。

このように変更されるが、拍手はなくならず、引き続き重要なものであるとスミス氏は言う。「拍手は読者が気に入ったストーリーを応援する優れた方法だ。読者が拍手を送れば、ストーリーがより多くの人々に広まる。そして多くの人がストーリーを読み、多くの収入を得られる」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

公開データからエンジニアのスキルを可視化するLAPRASがフリーランス・副業マッチングの新サービス

オープンデータを用いてエンジニアのプロフィールを自動生成する「LAPRAS」や企業向けのAIヘッドハンティングサービス「LAPRAS SCOUT」を展開するLAPRAS(旧scouty)は10月24日、フリーランスや副業エンジニアと企業をマッチングする新サービス「LAPRAS Freelance」のベータ版を公開した。

LAPRAS FreelanceはLAPRASで蓄積された人材データベースを活用して、フリーランスや副業スタイルで働きたいエンジニアと企業をつなぐサービスだ。

LAPRASは以前から紹介している通りGitHubやSNS、個人ブログなどインターネット上に公開されているエンジニアのオープンデータを収集し、スキルを独自のスコアで可視化するとともにユーザーのプロフィールを自動で生成するというもの。4月より各ユーザーが自身のページを閲覧できるようになったほか、まだ自分のページが存在しない場合にはログインすることで作成できる仕様になった。

LAPRASで生成されるプロフィールページ。独自のLAPRASスコアが算出されるほか、個人のアクティビティのログ(参加したイベントなど)も自動でまとめられる。このページを名刺代わりにボタン1つで共有できる機能も7月に実装された

現在は約143万人のデータが自動で収集されていて、そのうち約5000人が自らデータベースにログイン(オプトイン)している状態。7月からは正社員、副業、フリーランス、インターンシップの中から興味がある雇用形態を選択できる機能が加わり、54%が副業、34%がフリーランス(重複あり)を希望しているという。

LAPRAS Freelanceでは担当者が企業側の要望を聞いた上で、LAPRASに自らログインしていて、なおかつ副業やフリーランスに興味を示しているエンジニアの中から要件に合った人材を提案。企業とのマッチングを図る。

特徴の1つは「企業は求人票の作成、ユーザーは履歴書や経歴書の作成」の必要がないこと。そのためユーザーは登録したその日から紹介を受けるチャンスを得られる。そもそもLAPRASではscouty時代から企業の採用要件にマッチした人材をレコメンドするエンジンを磨いてきているため、今回のサービスでもその技術を活用していく形だ。

企業の利用料金は初期費用無料の完全成果報酬型。1名の採用につき一律で30万円の成果報酬が発生するが、設立登記から3年未満のスタートアップに関しては15万円で利用ができる。またエンジニアに対して不当に低い金額での業務発注を防ぐために案件の最低時間単価は5000円にしているそう。こちらも上述した条件に当てはまるスタートアップの場合は最低3500円から提案が可能だという。

エンジニアのスキルをスコア化した上で、それを副業やフリーランスのマッチングに活用するという観点では6月に紹介した「Findy」の取り組みとも近しい。ただ両社ではスキルを算出するためのソースが異なるほか(FindyではGitHubを解析してスコアを出す)、求職者側との面談の有無や最低単価の仕組みなど、サービスの設計面でも違いがありそうだ。

「正社員採用が主であるLAPRAS SCOUTを運営する中で、フリーランスや副業で働くことを希望しているエンジニアが想定よりも多いことに気づきました。まだ正社員採用をメインとする企業が多いものの、働く側の組織にとらわれない働き方のニーズは増え、業務委託やフリーランス人材を活用する企業も急速に増えてきたように思えます。そういった背景を受け、LAPRAS SCOUTとは切り分けた別のサービスとしてLAPRAS Freelanceをローンチしました」(LAPRAS代表取締役の島田寛基氏)

前々から島田氏が話していたように、今後はエンジニアに限らず人事、マーケティング、コーポレート、デザイナーなど対象となる職種を拡大していく構想。「誰でもアウトプットさえ出していけば副業の誘いのような新しい機会に出会うことができる環境を作っていきたい」という。

CommercetoolsがeコマースAPIのInsightから約160億円を調達

世界の小売業のeコマースは今年25兆ドル(約2700兆円)規模になると見込まれている。

大企業が自社のeコマースサイトを構築する際に役立つツールを展開するCommercetools(コマースツール)が、10月21日に大きな資金調達ラウンドを迎えた。同社は大企業向けにeコマースのためのAPIを提供するドイツのスタートアップで、Insight Partnersがリードするグロースラウンドで1億4500万ドル(約160億円)を調達した。情報筋によるとバリュエーションは約3億ドル(約330億円)とのことだ。

今回の資金調達は、ドイツの小売および観光サービスの巨人であるREWEがCommercetoolsをスピンアウトしたことに伴うものだ。REWEは2015年にCommercetoolsを買収した(買収金額は未公表)。

買収された後にCommercetoolsがたどった道は、非テクノロジー企業に買収されたテクノロジースタートアップにとって珍しくないものだった。「REWEはeコマーステックを社内に持ち込む戦略の一環としてCommercetoolsを買収したが、Commercetoolsは外部のクライアントから受注を続けており毎年約110%成長していた」とCEO兼共同創業者のDirk Hoerig(ダーク・ホリグ)氏はインタビューで述べた。

クライアントとして、Audi、Bang&Olufsen(バング&オルフセン)、Carhartt(カーハート)、ヤマハ、その他小売製品とサービスの有名企業(米国の主要な通信会社やメディアブランドを含む)を抱える。外部の資金を注入し独立したスタートアップとして事業をスピンアウトして、その成長をさらに加速させるという決定が最終的に下された。REWEは今後も主要な株主であり続ける。

ホリグ氏によると、買収前のCommercetoolsの調達額は約3000万ドル(約33億円)にすぎなかった。

eコマース業界は過去数年で成長はしたものの、経済の先行き不透明感が広がる中、近年の勢いは落ちている。個々の小売ブランドは消費者と直接関係を構築する方法を模索している。Amazonなどサードパーティのマーケットプレイスがオンラインマーケットを支配するようになったが、それには頼らない方法を探しているのだ。

eコマースを始めるのに必要なツールを非テクノロジー企業に提供する会社にとっては追い風だ。そうしたツールは、すでにあるフロントエンドシステムに接続する「ヘッドレス」ツールとして提供される。

偶然にも同じくInsightから公開前に出資を受けたShopifyは中小企業にeコマースのAPIを提供し、今では約80万人の顧客を持つに至る。対照的にCommercetoolsは「売上高が年間約1億ドル(約108億円)を超える大企業に重点を置いている」とホリグ氏は説明した。

Commercetoolsは中小企業に手を拡げる気はないようだ。「Shopifyと競合するつもりはない」とホリグ氏は言う。eコマースのもう1つの重要な要素である物流に進出する戦略もない。

同社が競争の激しい分野でビジネスをしていないというわけではない。ホリグ氏は、SAP、Oracle、IBMなどは典型的な競争相手であり、大企業の既存ベンダーであることが多いと指摘した。クラウドでAmazon(アマゾン)と激しく競争しているMicrosoft(マイクロソフト)は企業向けのeコマースビジネスを拡大している。Commercetoolsの競合ツールを使っている企業が「よりモダンな」アプローチが必要だと判断する時が、Commercetoolsのようなツールに替える時だ。

全体として、eコマースツールの広大な市場は非常に細分化されている。「SAPですら2%のシェアだ」とホリグ氏は述べた。

Commercetoolsは幅広いサービスを提供している。ウェブショップやモバイルサイトの基盤を強化するAPIから始まり、IoTサービス(ホリグ氏いわく「機械から購入する機械」)、さまざまな機能を支援するチャットボット、マーケットプレイスを運営するためのアーキテクチャ、ソーシャルコマースサービス(例えば、Instagramを介した販売の強化)、拡張現実(AR)まで。Commercetoolsは現在、Adobe、Frontastic、Bloomreach、Magnoliaと統合されている。

Commercetoolsは、調達した資金で北米だけでなく世界の他の地域でも事業を拡大し、B2B2B、つまり企業が他の事業に販売するためのツールも開発する予定だ。Alibaba(アリババ)のような企業が非常に強い分野だ(Amazonも事業を拡大している)。第三者が運営するマーケットプレイスを補完したり完全に代替する目的で企業が自社のサイトを構築したりする際に使えるツールを、Commercetoolsが提供するというのが構想だ。

Commercetools自身が競争優位を勝ち取れそうな他の領域として見込むのは、オンラインツーオフライン(インターネットなどのオンラインから店舗などのオフラインへ消費者を呼び込む施策)技術の開発だ。

InsightのRichard Wells(リチャード・ウェルズ)氏とMatt Gatto(マット・ガット)氏の両者が今回のラウンドを機に取締役会に加わった。

ウェルズ氏は声明で「我々には小売ソフトウェアのリーダーに投資してきた確かな実績がある。Commercetoolsに投資し、同社の国境を超える拡大を支援する機会を得ることができてうれしく思う。Commercetoolsはエンタープライズコマースソフトウェアの分野で次に来る波の象徴であり、eコマースセクターで強力なイノベーションと成長を実現する可能性を秘めている」と述べた。

画像クレジット:Ruslan Grumble /Shutterstock

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(翻訳:Mizoguchi)

Snapchatの第3四半期は収入50%アップで躍進、株価はわずかに下落

一時困難が伝えられていたSnapchatのカムバックが続いている。 このほど発表された親会社、Snapの3四半期決算(pdf)の収入はアナリスト予想を大幅に上回ったが、株価はわずかにダウンした。

好調の原因は、今四半期のDAU(1日あたりアクティブユーザー)がプラス700万人となり、前年比13%増の2億1000万人に達したためだ。これにより売上は4億4600万ドルを記録、対前年比50%増となった。1株当たり0.04ドルの損失だ。ブルームバーグによればウォールストリートのアナリストの予想は、4億3790万ドルの収益、1株当たり0.05ドルの損失だったからこれを大きく上回る結果となった。

Snapは損失も削減され、収益性の改善が続いている。 純損失は、前四半期の2億5500万ドルから2億2700万ドルに改善された。赤字も2018年第3四半期に対して今期は9800万ドル減少した

CEOのEvan Spiegel(エヴァン・スピーゲル)氏は用意された声明で市場はSnapchatの株価をさらに高く評価すべきだとして「我々は急成長企業であり、営業力は強力であり、収益性への明確な道筋を持っている。将来に対するビジョンも明確で、長期的成長のための投資能力も有する」と述べた。

好調な四半期だったにもかかわらずSnapの株価は4%ダウンの14ドルの終値となった。時間外取引では4.6%ダウンの13.35ドル(現在は13.18ドル)で、上場時の17ドルを依然下回っている。しかし今年に入っての成長が目覚ましいために昨年12月の底値4.99ドルから大幅に回復している。

Snapchat DAU Q3 2019

黒字化がなかなか達成できない原因の一部は、ユーザーあたりの売上と比較してSnapの成長にかかる平均コストが高いためだ。ユーザー数はすべての地域で成長したが、700万人の新しいユーザーのうち500万人が米国以外からで、北米とヨーロッパでの増加は100万人に過ぎなかった。

リニューアルされたAndroidアプリの成長とユーザー保持率が予想を上回ったのはグッドニュースだった。インドではヒットした。しかしSnapchatは高解像度ビデオコンテンツにあれほど力を入れているにもかかわらず、米国以外の地域における平均収入はわずか1.01ドルしかない。同社は引き続きARPU(ユーザー1人当たりの売上)を成長させると同時に、米国以外での売上を伸ばしていく必要がある。

Snapchatの決算報告では以下のような点も目立った。

  • 2019年第3四半期の営業キャッシュフローは、対前年同期で5600万ドル改善し、7600万ドルの損失
  • フリーキャッシュフローは、対前年同期で7500万ドル改善し、今期は8400万ドルのプラスとなった
  • 手元現金および有価証券は23億ドルだった

Snapchat ARPU Q3 2019

スピーゲル氏が「今期、Snapchatのユーザーアクティビティが前年比で増加したが、これにはストーリーの投稿と閲覧の増加も含まれている」と述べたのは興味深い。Snapchatはこの2年間というものStoriesの成長について触れることがなかった。今年に入ってカムバックするまでSnapchatが縮小サイクルに落ち込んだのはInstagram Storiesなどのクローンによる激しい攻撃が大きかった。

StoriesはSnapchatの広告売上にとって非常に重要な部門なので、今後アナリストはさらに詳しいデータを知りたいと望むだろう。 Snapはアプリの利用回数について、2018年7月の1日25回から1日30回に増加した述べた。これをみればSnapchatのユーザーエンゲージメントは高く、写真などを連続送信する会話に強く好まれていることが推測できる。

Snapchatの他の主要広告分野の1つはDiscoverで、総視聴時間は対前年比で40%増加した。今四半期には、数少ないヒットでビューを稼ぐのではなく、100件以上のDiscoverチャンネルで1カ月あたり1000万人以上の視聴者を得た。InstagramのIGTVは失敗だったが、DiscoverはSnapchatのサービスを差別化する優れたプロダクトとなり、売上に貢献している。同社は今後もDiscoverの改善とプロモーションに力を入れていくべきだろう。

またInstagramは「親しい友達限定」のサービス、Threadでチャットに力を入れ始めた。Snapchatも「メッセージがすぐに消えるチャットサービス」を売り物にしていくだけでは差別化が難しくなるだろう。
3 TikTok Ad

TikTokのSnapchat広告はユーザーを奪おうとする試みか?

ライバルがSnapchatで広告を出し続けることができる理由について尋ねられたとき、スピーゲル氏は「TikTokは間違いなく友人だと考えている」と述べたのには驚かされた。たしかにこれらのアプリは別物だ。Snapchatがメッセージ交換に特化し、ユーザーの日常の一部となるソーシャルメディアであるTikTokは事前によく準備されたビジュアルエンタテインメントを拡散することに重きを置いている。

しかしこの「友情」はSnapchatにとって高くつくものとなりかねない。TikTokはユーザーがSnapchatのDiscoverに滞在する時間を盗むかもしれないからだ。TikTokがソーシャルエンタテインメントで地位を確立すればSnapchatはそこから締め出されるだろう

第4四半期について、決算報告のガイダンスはは「DAUは2億1400万から2億1500万人、収入は5億4千万から5億6千万ドル」としている。また調整後EBITDAについては、ブレークイーブンからプラス2000万ドル程度を期待している。クリスマス商戦を含む第4四半期の予測について、Snap自身のガイダンスがアナリスト予測を下回っていたことが株価低迷の一因となった。

Snapの黒字化まで道のりは、まだかなり長い。黒字化を達成できれば、長期的ビジョンに基づくプロジェクト、特にカメラ内蔵メガネのSpectaclesにもっと投資する資金が得られる。スピーゲル氏は「拡張現実メガネがメインストリームのプロダクトとして消費者に受け入れれられるまでには10年はかかるだろう」と述べている。つまり、Snapがこの分野で、Apple、Facebook、Magic Leapなどの有力ライバルと戦いたいなら、まずそれだけの期間を生き残らねばならないということを意味する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Amazonの店内荷受けサービス「Counter」が全米数千店に拡大

Amazon(アマゾン)の店内荷受けサービスAmazon Counter(アマゾン・カウンター)はこの夏、米国のドラッグストア大手であるRite Aid(ライト・エイド)の100の店舗でスタートした。それが今や拡張路線に入った。米国時間10月24日に同社は、GNC、Health Mart(ヘルス・マート)、Stage Stores(ステージ・ストーリーズ)などをパートナーに加えて数千店に広げると発表した。

GNCは健康と栄養で知られているドラッグストアチェーンで商品はAmazonでも売っている。Health Martは個人薬局のネットワークだ。Stage Storesは、ディスカウントストアのGordmans(ゴードマンズ)やBealls(ビールス)、Goody’s(グッディーズ)、Palais Royal(パレ・ロワイヤル)、Peebles、デパートメントストアのStage(ステージ)などを傘下に収めている。

Amazon Counterは、目下成長中のAmazon Hubネットワークの一部だ。それは荷受け店舗のほかにLockers(ロッカーズ)と呼ばれる何千もの荷受けポイントも含んでいる。このシステムは、留守が多い、場所が安全でないなどの理由で家への配達が好ましくない顧客に喜ばれている。

Amazonの特殊な配達サービスはAmazon CounterやAmazon Lockersのほかにもいろいろある。Key by Amazonは家や車へのキーレスエントリー、Amazon Dayは指定日配達だ。Amazon Counterは、お店の商売の邪魔にならないよう注意が払われている。顧客はバーコードを店員に見せるだけで荷物を受け取れる。

これまでAmazonのネット販売にやられっぱなしだった小売企業が、こうやってAmazonとパートナーするのは驚きかもしれない。でも結局のところ、Amazonはオフラインのトラフィックにも貢献できるのだ。

例えば、デパートチェーンのKohl’s(コールズ)は、Amazonとのパートナーシップの最初の試行で売り上げが増えたため、Amazonの返品を受け付けるというサービスを全店舗1150店に広げた経営不振だったStein Mart(ステイン・マート)も、最近では200店にAmazon Lockersを導入して店舗の活性化を狙っている。Amazon Counterの今度のパートナーも、同じメリットを享受できるだろう。

Amazon HubのワールドワイドディレクターであるPatrick Supanc(パトリック・スパンク)氏は「Counterは今年始めに導入以来、顧客とパートナーの両方に大受けしている。荷受け場所(ピックアップポイント)のネットワークで顧客の受け取りが早くなるうえ自由度がある。そして便利になっている。一方パートナーは、店内にCounterがあることで生まれる強力なエンゲージメントとお客の増加を喜んでいる」と語る。

Amazonは公式にコメントしていないが、ここで言っておくとCounterのパートナーの一部は薬局の実店舗だ。Amazonはすでにオンラインの薬局であるPillPack(ピルパック)を買収しヘルスケアのジョイントベンチャーをBerkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)やJP Morgan(JPモルガン)と組んで立ち上げた。Amazonは今後、薬に深入りするつもりだ。今回、薬局の小売店とパートナーしたことも、それを助けるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AmazonのFire TVとタブレットにニュースまとめアプリが登場

米国時間10月22日からAmazon(アマゾン)は、米国のFire TVユーザーにニュースまとめアプリを提供する。このアプリは、さまざまなニュース媒体からのニュースをカスタマイズ可能な形でサービスする。それらはCBSやロイター、Sports Illustrated、HuffPost(ハフィントンポスト)などの大手を含めて20社近いが、一部はYahoo系だ。以下が、そのニュースソース。

  • CBS News
  • Reuters(ロイター)
  • Huffington Post(ハフィントンポスト)
  • Bloomberg(ブルームバーグ)
  • Yahoo News
  • Yahoo Finance
  • Yahoo Sports
  • Yahoo Entertainment
  • AOL News
  • Al Jazeera(アルジャジーラ)
  • People
  • Entertainment Weekly
  • Sports Illustrated
  • Cheddar
  • Newsy
  • Wochit

いくつかの大手が欠けている。The New York Times(ニューヨークタイムズ)、The Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)、NPR、CNNなどなどだ。でも、このようなコンテンツの契約は難しい。一部に有料のコンテンツもあるし、速報ニュースなどをスマートアシスタントにどうやって送るのかという問題もある。でもAmazonは「今後はニュースコンテンツの選択の幅をもっと広げる」と言っている。

ユーザーは好みのニュースソースを選び、Alexaにニュースを頼む。Alexa対応のFireタブレットにも、近くこのアプリが載る予定だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

TikTokがインドで教育コンテンツサービスを開始

現地時間10月17日、中国のTikTokはインドで教育プログラムのサービスを開始した。TikTokはショートビデオアプリとして人気だが、世界最大のマーケットのひとつであるインドでコンテンツを増やし、地元当局にアピールしようとしている。TikTokの広報はTechCrunchに対し、このようなプログラムの導入は世界初だと述べた。

世界最大のスタートアップであるBytedanceが運営するTikTokは、インドで多くのコンテンツクリエイターや制作会社と連携して教育用ビデオのプラットフォームを作っていると語った。学校で学ぶ内容の科学や数学から新しい言語の習得まで、幅広いトピックの短いビデオがそろっている。心身の健康のヒントや啓発的な内容もある。

TikTokはインドで1カ月に2億人以上に利用されている。教育プログラムは「インドのデジタルコミュニティにおける学びの民主化」を目指しているとしている(TikTokの今年4月の月間アクティブユーザーは1億2000万人だった)。

VedantuToppr、Made Easy、Gradeupといった教育テックのスタートアップが協力して、TikTok用の教育コンテンツを制作する。ソーシャル企業のJosh TalksやNudge Foundationとも連携してインド全体で5000人を指導する(こうした連携の一部は数カ月前に明らかにされていた)。Josh Talksの幹部は、TikTokでは2カ月足らずでほかのプラットフォームより多い3500万人以上にリーチすることができたと語る。

TikTokのセールス・提携担当ディレクターのSachin Sharma(サチン・シャルマ)氏は、教育分野への進出はユーザーの需要に応えるものだと言う。同氏はニューデリーでの記者会見で、世界的に見て教育ビデオは人気がありエンゲージメントが高いと語った。

シャルマ氏によれば、ここ数カ月で1000万本以上の教育ビデオが制作され、TikTokで共有されて480億ビュー以上を記録したという。同氏は、クリエイターとのパートナー契約に関する財務構造は明らかにしなかった。

低価格のデータ通信とAndroidデバイスの急増によりインドでモバイルビデオ視聴のブームが起きており、インド国内の教育テックの数も増えてオンラインでコンテンツを配信している。

学習アプリを提供している創業8年のスタートアップのByju’sは、ここ数年でカスタマーベースを大幅に増やしている。同社の評価額は57億5000万ドル(約6200億円)で、7月時点のユーザー数は3500万人だ。

教育コンテンツは広告主にとっても魅力がある。教育コンテンツはTikTokが効果的なマネタイズの方法を探るのに役立つだろうとアナリストは見ている。

eラーニングへの進出は、地元当局に対するTikTokのブランドイメージの向上にも役立つだろう。TikTokはこれまでに数回、インドで問題となっている。今年の4月には、ポルノなどの違法なコンテンツを公開し促進しているとしてインドの裁判所がTikTokを禁止した。この禁止措置はその後解除された。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft 365への移行促進のためマイクロソフトがMoverを買収

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間10月21日に、カナダのMoverを買収したことを発表した。買収金額は公表されていない。Microsoft 365への移行をできるかぎり容易するる目的でMoverを手に入れたようだ。

Microsoft 365は、Office 365やMicrosoft Teams、セキュリティツール、ワークフローなどを収めたバンドルソフトだ。その考え方は、前菜からデザートまでフルコースの生産性パッケージを顧客にクラウドから提供することだ。Moverは、別のサービスのファイルをMicrosoft 365に容易に持ち込めるようにする。

Office担当のコーポレートバイスプレジデントであるJeff Tepper(ジェフ・テッペ)氏が、買収を発表するMicrosoftの公式ブログで「顧客にできるだけ迅速かつ円滑にマイクロソフトのクラウドへ移行していただくことが目的だ」と言っている。彼は「MoverはBoxやDropbox、Egnyte、Google Driveなど10あまりのクラウドサービスプロバイダーからOneDriveやSharePointへの移行をサポートし、 OfficeやMicrosoft TeamsなどMicrosoft 365のすべてのアプリケーションとサービスの上でのシームレスなコラボレーションを可能にしている」と語る。

テッペ氏によると、Moverには優れたマイグレーションツールがすでにあるだけでなく、同社チームの専門的技術力もマイクロソフトが活用できるようになるという。

Real Story Groupの創業者で主席アナリストのTony Byrne(トニー・バーン)氏によると、異なるシステム間のファイルの移行は、どんなやり方にせよ極めて困難なこともある。ファイル転送のメカニズムもその困難の一部だ。「オンプレミスのシステムや競合するクラウドサプライヤーから365への移行は『移行』という単純な言葉では言い表せない。むしろそれは再構築であり、UXもアドミンのかたちも各種のサービスもオペレーションの構造も、すべてをマイクロソフトのクラウドに合わせて変えなければならない」とバーン氏は説明する。

Moverはカナダのエドモントンにあり、創業は2012年で、Crunchbaseのデータによるとこれまで100万ドルを調達している。顧客には、AutoDesk、Symantec、BuzzFeedなどの著名企業もいる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa