オンライン学習サービスのDuolingoがラテン語講座を提供するワケ

Duolingoは、言語を学びたい人に向けた市場で最も人気のあるアプリの1つだ。そして今、同サービスはラテン語のコースを提供することで、ユーザーに本当の意味で 「その日を大切にする」(ラテン語でCarpe diem)方法を提供している。

Duolingoがなぜ8世紀以来あまり使われていない言語のレッスンを提供しているのか、疑問に思う人もいるだろう。ラテン語はさまざまなロマンス言語のバックボーンであり、英語を含む多くの言語の多くの単語の語源となっている。

つまり、ラテン語を勉強することで、他の言語の基盤を学ぶことができるのだ。

さらに、ヴェルギリウスの 「アエネイド」 やオヴィッドの 「メタモルフォーゼ」 、マルクス・アウレリウスの 「瞑想」 のような作品を、ラテン語の原文で読みたいと考える歴史家、言語学者、教授は多い。


Duolingoはミニゲームにより、ユーザーが言語を学習する手助けをする。ミニコースはコースを修了したユーザーに報酬を与え、ユーザーがミスをした場合には(ビデオゲームのように)ライフを奪う。同社はユーザーがコースを修了すると、その言語を読み、書き、話し、理解できるようになることを期待している。

さらにDuolingoには、人々が実際にどのようにして言語を学んでいるのかに関するデータが豊富にあり、機械学習を利用してそのデータに基づいてサービスを改良している。

Crunchbaseによると、Duolingoは2011年のローンチ以来、5ラウンドで1億ドル(約11億円)以上を調達している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

AirshipがA/Bテスト企業のApptimizeを買収

米国時間8月27日、AirshipはA/Bテスト企業のApptimizeを買収したと発表した。Apptimizeのクライアントには、Glassdoor、HotelTonight、ウォール・ストリート・ジャーナルなどがある。

Airshipの以前の社名はUrban Airshipで、のちに簡潔な社名に変更した。同社は、企業がSMS、プッシュ通知、メール、モバイルのウォレットなどにわたって顧客とコミュニケーションをとるためのプラットフォームを構築している。

同社は、Apptimizeの買収は企業から顧客に対するメッセージが与える影響をテストするのに役立つとしている。つまりApptimizeのテスト機能をAirshipのプラットフォームに統合するという意味だが、その一方でスタンドアローンのプラットフォームとしてのApptimizeも継続する。

Airshipの社長でCEOのBrett Caine(ブレット・ケイン)氏は発表の中で「Apptimizeのモバイルアプリとウェブのテスト機能、そして複数のチャネル、マーケッタ一、開発者をカバーするAirshipのカスタマーエンゲージメントに対する深い考察を組み合わせれば、最も重要な部分にイノベーションを集中させ、しかも顧客が真に望むシームレスなエンド・ツー・エンドの体験を作ることができる」と述べている。

買収の金銭的条件は明らかにされていない。Crunchbaseによると、ApptimizeはUS Venture PartnersやCostanoa Venturesなどからこれまでに1860万ドル(約19億7000万円)を調達している。

Airshipは、エンジニアリング、カスタマーサービス、営業部門にApptimizeの19人(Apptimizeのメンバーの3分の2弱)が合流すると発表している。

画像:Airship

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(翻訳:Kaori Koyama)

グーグルは2020年に求人サイトGoogle Hireを閉鎖

またひとつのサービスが、グーグル墓園に入る。

Googleの発表によると、同社がわずか2年前に立ち上げた求人サイトGoogle Hireを閉鎖する。

Googleは、雇う側の雇用プロセスを単純化するためにHireを立ち上げ、求職者の検索や面接のスケジューリング、内定者に関するフィードバックなどの作業を統合した総合的なワークフローを提供した。フィードバックはGoogle G Suiteの検索やGmail、カレンダー、ドキュメントなどに送ることができた。

それはどちらかというと中小企業向けのツールで、G Suiteのライセンスを要する社員数に応じて月額200ドルから400ドルという料金だった。

Hireは、Googleが2015年にBebopを買収した結果として生まれた。それはVMWareのファウンダーであるDiane Greene(ダイアン・グリーン)氏が始めた企業で、買収額は3億8000万ドルと報じられた。グリーン氏はのちにGoogleのクラウド事業部のCEOになったが、2019年の初めに去った

顧客へのメールでGoogleは以下のようにコメントしている。

Hireは好調でしたが、私たちは人材をGoogle Cloudのそのほかのプロダクトに向けなければならなくなりました。顧客の皆様には、これまでのご愛顧を深く感謝申し上げます。また、Hireを愛していただいたそのほかの皆様の、これまでの熱心なご支援にも、重ね重ね感謝申し上げます。

良いニュースとして、それは即死ではない。今後1年あまりは使い続けることができる。実際の閉鎖は、2020年9月1日だ。ただし、新しい機能が加わることはないだろう。

また、GoogleのサポートのFAQによると、次回の課金以降はGoogle Hireの利用は無料になる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google マップに自転車とライドシェアのオプションが追加、複数モードでの乗り換えを表示

Google(グーグル)は、ライドシェアと自転車のオプションを交通案内と組み合わせたコンボナビゲーションを導入する。米国時間8月27日から、Google マップで道順を検索して 「乗り換え」 をタップすると、最寄り駅への徒歩での移動がすこし遠い場合に、ライドシェアのオプションが表示されるようになる。同様に、特定の区間では自転車の提案があるルートも表示され、同一手段での乗り換えと一緒に表示される。

新しいハイブリッドナビゲーションのオプションには、ライドシェアの価格、待ち時間、交通状況などが含まれる。地域で利用可能なライドシェアのプロバイダを指定したり、希望の方法(つまり、安価またはエコノミー)を選択することもできる。

自転車利用者は、自転車が通るのに最適な道順を知ることができ、どちらの場合も、利用可能な情報はすべてETA(予測到着時間)から提供されるため、目的地にいつ到着する必要があるかにおうじて、どの経路や交通手段を利用するかを、十分な情報にもとづいて決定することができる。

Googleによると、乗り換え/ライドシェアの複合ナビゲーションは今日からAndroidとiOSの両方でロールアウトされ、自転車のオプションはiOSユーザーには今日から、Androidユーザーには数週間以内に提供される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

スポーツ×テクノロジーで世界を変えるスタートアップ発掘「SPORTS TECH TOKYO」成果発表会レポート

米サンフランシスコのオラクル・パーク。サンフランシスコ・ジャイアンツのホームでもあるこの球場を貸し切って、一風変わったイベントが開催された。スタートアップ支援プログラム「SPORTS TECH TOKYO」の成果発表会だ。

スポーツテック(Sports Tech)は、テクノロジーの進化をスポーツに応用したものだ。具体的には、スポーツ観戦をより面白くしたり、スポーツ選手の育成を支援したり、日常的な運動をサポートしたりする技術が含まれる。
このスポーツテックの分野で今、スタートアップ企業が多数登場し、注目が集まっている。「SPORTS TECH TOKYO」は、こうしたスポーツテックに携わるスタートアップ企業から、特に有望な企業を発掘するコンテストだ。

そして8月20日、その成果を発信する場として、オラクル・パークにて「World Demo Day」と題したイベントが開催された。12社のうち8社が、日本の企業やスポーツ組織と提携し、ビジネス展開することを発表した。

個性的なサービスを展開する12社

ファイナリストに選ばれた12社はどれもユニークな技術、コンセプト、ビジネスモデルを有している。彼らのピッチ(プレゼンテーション)をもとに、サービスをざっくり紹介しよう。

1.Misapplied Sciences:スタジアムディスプレイのパーソナライズ化(新国立競技場でデモ展示へ)
Misapplied Sciencesは他にはないディスプレイ技術を開発に挑んでいる。同社が標榜する「Parallel Reality」は、”同じ画面を見ているのに、人によって見えるものが違う”という世界だ。独自開発の特殊なディスプレイにより、見ている視点によって表示する内容を変えることができる。しかも、ARグラスやスマホは必要なく、肉眼視で実現した点がユニークだ。

同じディスプレイを何十人もが同時に見ていても、人の肩幅ほどの視点の差で、それぞれ異なる内容を表示できる。しかも、鏡越しでも動作するという。スマホやBluetoothビーコン、顔認識などを組み合わせれば、その人を特定して、表示する内容をパーソナライズできる。

Misapplied SciencesでCEOを務めるAlbert Ng氏

Misapplied Sciencesは現在、ディスプレイの先行量産段階に入っており、300個ほどの製品を作成し、開発者向けとして販売予定だという。そしてSPORTS TECH TOKYOでの成果として、12月21日開催される新国立競技場オープニングイベントにて、デモンストレーション展示を行う方向で議論を進めている。

Omegawave:ウェアラブル選手のトレーニング提案(トライアスロン日本代表で採用)
フィンランドを本拠とするOmegawaveが挑んでいるのは神経科学を応用したアスリート向けのソリューションだ。ウェアラブルデバイスを脳や心臓に貼り付け、活動電位を計測。ストレス反応などを見ることで、運動に適したコンディションであるかを判定する。すでに北米では個人向け販売も行っておりほか、UFC(Ultimate Fighting Championship、米国の総合格闘技団体)などプロアスリート団体も採用している。

そして今回、SPORTS TECH TOKYOを経て、東京オリンピックのトライアスロン日本代表(日本トライアスロン連盟)がOmegawaveのソリューションを採用することが決まった。サッカーのファジアーノ岡山、アメフトの電通キャタピラーズも実証実験を行う予定となっている。

OmegawaveでCEOを務めるGerard Bruen氏


3.SportsCastr:実況中継特化の生放送SNS(日本バレーボール協会が対応へ)
SportsCastrは、「試合の実況中継」に特化したライブストリーミングプラットフォーム。つまり誰でも解説者になれる生放送SNSだ。実況中継の声やコメントを、スポーツのライブ映像に重ねて表示し、好きな解説者とともにスポーツを楽しめるよう。旧来のスポーツだけでなく、eSportsにも対応したプラットフォームとなっている。

SportsCastrでCFOを務めるAndrew Schupak氏

同社は現在主に北米で展開しているが、SPORTS TECH TOKYOでのディスカッションを通して、OTTプラットフォーム事業者(社名非公開)との実証実験が決まったという。また、日本バレーボールの公式配信サービス「V.LEAGUE TV」の対応も検討されている。

4.DataPowa:スポーツクラブの”スポンサー価値を分析(電通と実証実験)
世界に数あるスポーツクラブ。そのスポンサーにとって、広告がどのような価値をもたらすか把握するのは容易ではない。DataPowaが提供するソリューションは、そんなスポーツクラブのスポンサーにとって役立つものだ。同社は各種SNSの浸透や放送、スポーツメディアや天候など60のデータセットを持ち、2.4兆ものデータポイントをAIにより解析。複雑な評価を1つの「スコア」として提供する。世界的に人気のあるクラブチームや、若者に評価が高いクラブチームなど、スポンサーの目的にあわせた最適なチームが一望できる仕組みだ。

DataPowaでCEOを務めるMichael Flynn氏

SPORTS TECH TOKYOを通して、DataPowaは電通との協業を検討。スポーツイベントのスポンサー価値定量ツールとして日本市場での販売に向けた実証を行う予定だ。

5.3D Digital Venue:3Dプレビューでチケット予約体験を向上(横浜Fマリノスが導入)
3D Digital Venueは、スポーツチケットの予約体験を向上させるソリューションを提供している。競技会場を3Dマップで再現し、予約した席から競技がどのように見えるのかを、分かりやすいグラフィックで表示できる。機能はAPIとして提供され、スポーツチームのアプリや予約サイトに組み込める。

仕組み自体は古くからあるものだが、ゲームエンジンのUnityを用いて、モデルの作成・更新を迅速化した点が強みだ。実際のところ、モデル作成より正確なデータを把握する方に苦心しているという(古いスタジアムでは詳細な設計図が残っていないことがある)。

D Digital Venue北米事業責任者を務めるSteve Stonehouse氏

3D Digital Venueのソリューションは、現在世界17か国で採用実績があり、FCバルセロナなど有力チームも導入している。日本では、ソフトバンクが経営する福岡ソフトバンクホークスやバスケットボール「B.LEAGUE」が導入済み。SPORTS TECH TOKYOを通じて、横浜Fマリノスのチケット販売ページへの導入が決定している。

Wild.AI:女性アスリート特有の課題をAIでサポート

Wild.AI(Wild Technologies AI)が挑むのは、女性アスリートのリプロダクティブ・ヘルスについての課題だ。身体的な発達期にある女性アスリートにとって、身体的に大きな負荷のかかるトレーニングは、月経不順や骨密度の低下などの問題を引き起こす可能性がある。

Wild.AiでCEOを務めるHelene Guillaume氏

Wild AIではこうした女性特有の課題に対応し、スポーツ医学に知見を持つメンバーがトップアスリートに個別のコーチングを行っている。このコーチングはスマートデバイスから得た情報と女性アスリートの月経周期や生活習慣などの情報を総合したもので、月経周期の調整にも活用できる。同社は今後、スポーツに携わるより多くの女性に対して適切なトレーニングプログラムを提案するプラットフォームの開発を目指している。

7.FitBiomics:腸内細菌を身体パフォーマンス向上に役立てるバイオテック

ハーバード大学発のスタートアップFitBiomicsは、身体パフォーマンスの向上に役立つ、独自のバイオテクノロジーを開発している。カギとなるのは「腸内細菌」だ。

腸内細菌はヒトの腸内に500〜1000種生息し、その分布は個々人によって大きく異なる。腸内細菌のバランスを整えることで、個人の健康や、運動のパフォーマンスを向上できるという。FitBiomicsの創業者たちは、腸内細菌の調整によってマラソンランナーのパフォーマンス向上を実現したという論文を発表している。

FitBiomicsでCEOを務めるJonathan Scheiman氏

 

FitBiomicsは現在、プロアスリートを対象としたサービスを提供している。具体的には、アスリート個人の腸内細菌を分析し、そのバランスを改善する腸内細菌が入ったサプリメントをオーダーメイド作成するという内容だ。同社は現在のところ、プロアスリートに限定して製品を提供しているが、今後は一般消費者のヘルスケアサプリメントなど、より幅広い対象に向けた製品の開発を目指している。SPORTS TECH TOKYOを通じて、人種、食文化や風土の違う日本のプロアスリートのサンプリング、研究開発に役立てているという。

8.Reely:試合のハイライトを自動生成

Reelyは、より魅力的なスポーツ中継を身近にするテクノロジーを開発している。彼らが提供するのは、長時間におよぶスポーツ中継の動画から、ハイライト動画を自動的に生成するソリューションだ。

ハイライト動画の作成は簡単。人間による操作はビデオを読み込ませ、スポーツの種類を選択するだけだ。動画の内容はAIにより分析、タグ付けされ、ハイライト動画として出力される。eSportsにも対応しており、Twitchの実況動画を読み込ませるだけで、League of LegendsやPUBGなどの人気ゲームのハイライトを自動で生成できる。

ReelyでCEOを務めるCullen Gallagher氏

9.Pixellot:無人カメラでスポーツ中継を民主化(日本展開などで電通と提携)

イスラエル発のスタートアップPixellotは”スポーツ中継を民主化する”無人カメラソリューションを提供している。Pixellotのカメラを体育館やテニスコートなどに取り付けると、そこで行われた試合を自動で撮影、記録して中継動画を作成できる。

カメラは動きのある場所に向けて自動的にフォーカスを変更するほか、映像内の文字認識にも対応する。スコアボードを読み撮って試合開始や終了を自動で判定し、試合ごとの動画クリップを作成したり、ゼッケンの数字を読み取って選手ごとのハイライトを自動生成したりできる。

Pixellot Head of US Youth DivisionのDavid Shapiro氏

Pixellotは現在、米国を中心に世界で4000台を販売。学校の体育館などを中心に導入が進んでいるという。放送局向けとして、8K映像出力や60fps対応のより高度なシステムも提供している。SPORTS TECH TOKYOをきっかけとして電通と提携し、事業開発や日本市場における販売などで支援を受けている。

10.ventus:スポーツチームを支援する電子トレカ(電通と長期パートナーシップ締結へ)

SPORTS TECH TOKYOのファイナリストで唯一の日本初スタートアップとなったventusは、トレーディングカードをデジタル化する製品を開発している。

ventusが手がけるカードソリューション「whooop!」は、オンライン上で発行される電子トレーディングカードだ。スポーツチームが数量限定で発行し、ファンはカードの購入を通して、チームを支援できる。電子トレカはソーシャルゲームのカードのようにコレクションできるほか、オークションによって他のファンに譲ることもできる。

ventusでCEOを務める小林泰氏

whooop!は現在、日本と韓国で展開。サッカーやラグビー、自転車競技チームなどで導入されている。SPORTS TECH TOKYOをきっかけに、電通との長期パートナーシップ締結向けた議論を進めている。

11.edisn.ai:プレイ映像からAIで選手を認識

インド発のスタートアップedisn.aiは、AIにより「スポーツ選手を認識する」というソリューションを手がけている。たとえばバスケットボールの試合で、映像から映し出されている選手を認識し、その選手にまつわるさまざまな情報を表示するというものだ。

放送局がedisn.aiのソリューションを使えば、ライブ映像に選手の情報テロップを自動的に追加できるほか、選手ごとのハイライトも用意に作成できる。また、スポーツチームのライブ中継アプリなら、選手の映像やプロフィール、ソーシャルメディア、選手ごとのグッズ販売情報まで提示することができる。

edisn.aiでCEOを務めるAshok Karanth氏

edisn.aiは、現在、NBAやIPL(インドのプロクリケットチーム)のチームと協力。eSportsでもアジアのプロチームと連携して展開している。

12.4DReplay:360度ハイライト映像を生成(CBCと東南アジア展開で提携)


4DReplayが展開するのは、360度から眺められるハイライト映像を作成するソリューションだ。試合会場に設置した多数のカメラをつなぎあわせ、印象的なシーンをさまざまな角度から視聴できる多視点映像を短時間で生成する。

韓国テレビ局のSBSやKBSなどがスポーツ中継に導入しているほか、日本企業ではKDDIの出資も受けている。今回、SPORTS TECH TOKYOのスポンサーとなっている商社CBCとの提携を深め、東南アジアでのセールス展開でパートナーシップ締結に向けた検討を行っている。

4DReplayでCOOを務めるHenry E. Chon氏

今後も協業に向けた協議は継続、スポーツテックの浸透につながるか

SPORTS TECH TOKYOを主催したのは、大手広告代理店の電通と、Scrum Ventures。Scrum Venturesはシリコンバレーに本拠を置き、世界中のスタートアップ企業のリサーチしている日系ベンチャーキャピタルだ。そしてこのプログラムは、伊藤忠、ソフトバンクなど多くの日系大企業が支援し、日本サッカー協会、パシフィックリーグマーケティング、DAZNなど多くのスポーツ関連団体の協賛を得ている。

SPORTS TECH TOKYOでは2018年に選考が開始し、数百社の応募の中から23カ国159社を選出。さらなる選考を経て、2019年4月、ファイナリスト12社が選抜された。参加企業にはスポーツやITに造詣の深い100以上のメンターがサポートし、多くの日本企業とのミーティングやスタートアップ同士での交流の場が設けられた。SPORTS TECH TOKYOのプログラム統括を担当したScrum VebtuersのMichael Proman氏は「SPORTS TECH TOKYOは世界最大のスポーツテックコミュニティだ」と紹介した。

SPORTS TECH TOKYOのプログラム統括のMichael Proman氏

スポーツ関連組織や大学、IT企業、ベンチャーキャピタルなどがメンターに

SPORTS TECH TOKYO参加企業は裾野が広いスポーツテックの主な分野を網羅している

選抜されたスタートアップ159社の半数は北米の企業。この割合にはスポーツテック分野のスタートアップ企業の世界分布が反映されているという

このプログラムが実施された背景には、スポーツテックに対する関心の高まりがある。Scrum Venturesの宮田拓弥代表は「スポーツビジネスは、アメリカ、日本で注目されている。ベンチャーキャピタルの業界でも資金調達が盛んで、アメリカで昨年250億ドルの投資を集めた。過去5年の4倍にもなる数字だ。そして日本を含むアジアでは15億ドル、これはなんと過去5年の40倍もの急速な成長だ」と語る。

電通でSPORTS TECH TOKYOを統括する電通 事業開発ディレクターの中嶋文彦氏は「電通は40年に渡りスポーツビジネスに携わってきた。日本で大きなイベントが開催される2020年、スポーツに注目が集まっている中で、新しい領域のビジネスを作っていきたい。そしてさらにその先の領域に取り組みたい」と抱負を語った。

Scrum Venturesの宮田拓弥代表

電通でSPORTS TECH TOKYOを統括する電通 事業開発ディレクターの中嶋文彦氏は「電通は40年に渡りスポーツビジネスに携わってきた。日本で大きなイベントが開催される2020年、スポーツに注目が集まっている中で、新しい領域のビジネスを作っていきたい。そしてさらにその先の領域に取り組みたい」と抱負を語った。

電通の中嶋文彦氏

そしてSPORTS TECH TOKYOの特徴は、スタートアップ企業と日本の大企業をつなぎ、実際のビジネスに結びつける場となっていること。4月以降、ファイナリスト12社とスポンサー企業が頻繁にミーティングを重ね、最終的にパートナーシップ締結などの成果に結びつけている。

日系企業にありがちな「スタートアップ視察と名のついた表敬訪問」とは一線を画しているというわけだ。Scrum Venturesの外村仁パートナーは「ファイナリスト選出からの3か月間で日本の大企業がパートナーシップ締結を決断するに至っている。このスピード感こそ、SPORTS TECH TOKYOの意義のある成果だ」と話す。

Scrum Ventures パートナーの外村仁氏

電通 取締役のTim Andree氏は、「今回の提携は氷山の一角。Demo Dayはマイルストーンでしかない。2020年をきっかけに、そしてその先にも更に素晴らしいチャンスが待っている」と語り、スポーツテック分野の発展に対する明るい見通しを示した。SPORTS TECH TOKYOに参加した159社とは、今後もパートナー企業との協業に向けた協議を継続していくという。

電通の取締役で電通イージス・ネットワークでCEOを務めるTim Andree氏

有望な投資家や見込み客を見つけるためのデータ収集分析を助けるPredictLeads

PredictLeadsを創ったスロベニアのファウンダーたちは最近Y Combinatorを卒業したが、彼らはこの名門アクセラレーターにこれまで5回も応募し、6回目にやっと入学を認められた。

同社はベンチャーキャピタル企業(VC)や普通の企業の営業チームが、有望な新興企業や見込み客を見つける手伝いをするが、2016年の創業以来、紆余曲折を経験してきた。そしてやっと今年の初めに、YCの3か月のアクセラレーター事業に参加できた。

PredictLeadsのCEOであるRoq Xever(ロク・ゼヴェル)氏は「2017年には資金が底をつき、銀行も相手にしないから母親に金を借りた。でも、そのころからやっと上向きになり、大きな商談をまとめて利益を上げられるようになった」とコメントしている。

彼の言うとおりだ。今の多くのスタートアップと違って、PredictLeadsは何がなんでも利益を出す必要があった。「資金を獲得するためにYCに入るとは、夢にも考えなかった。利益を出す以外、資金を得る方法がなかった」とXever氏は言っている。

ゼヴェル氏のほかにPredictLeadsを引っ張っているのは、マーケティング担当のMiha Stanovnik(ミハ・スタノブニク)氏とCTOのMatic Perovsek(マティック・ペロブセク)氏だ。ゼヴェル氏によると、YCが関心を持ったのは、自分たちのプロダクトはVCにも売れるとわかってきてからやっとだ。

同社のツールPredictLeadsは、関心を持った有望企業を投資家や営業が調べる手助けをする。そして企業の製品やサービスに人気が出てきて、売れ行きもアップしてきたらユーザーに通知し、その企業を見込み客や見込み投資先として再検討するよう勧める。投資家や営業にとってまったく未知だった企業を、推薦することもある。

関連記事:VCs double down on data-driven investment models(VCたちはデータドリブンな投資モデルを重視、未訳)

最近は、投資の決定や企業調査のためのデータを得るためにサードパーティのツールを使うVCがますます増えている。そしてそのために、データにフォーカスした企業という新しいタイプの企業が生まれつつある。たとえばSocial Capitalの共同創業者Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏は、彼のベンチャーキャピタルのファンドに軸足を置く家族企業からスピンアウトした。そして今のSocial Capitalの業態は、CaaS(Capital-as-a-Service) Technologies(サービスとしての資本のテクノロジー)だ、という。すなわち、データドリブンな知見をVC企業に提供することがその仕事だ。

一方スタートアップの方も、データの重要性を認識するようになった。やはり最近YCを出たNarratorも、このトレンドにでっかく乗ろうとしている。同社が望むのは、データサイエンスのためのオペレーティングシステムになり、一人のアナリストの費用で本格的なデータチームに相当するサービスが得られるソフトウェアを、企業に提供することだ。

そしてPredictLeadsは、見込み客や見込み投資先の判断のためのデータを、Webサイトやプレスリリース、ニュースの記事、ブログ、求人求職サイトなどなどから集めて、人間が監視する機械学習にかけ、それらのデータを構造化する。そうやって同社は今、2000万社の公開および非公開企業を追跡している。

また今や立派なYC卒業生だから、本社を米国に移そうとしている。ゼヴェル氏によると、候補地はニューヨークかサンフランシスコだ。当人は目下、そのためのビザの取得で悪戦苦闘している。

同社は米国時間8月26日、1000万ドルの評価額で150万ドルのシード資金を調達した。資金はファンドの定量分析と、営業チームを助けるためのSalesforceアプリの開発に投じられる。もちろん、そのためのチームの拡大にも。

関連記事:Y Combinator-backed Narrator wants to become the operating system for data science(データサイエンスのオペレーティングシステムになりたいNarrator、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

IMDb TVの無料ストリーミングサービスがモバイル端末にやってきた

IMDb TVは、今年はじめにAmazon傘下のIMDbが開始した広告支援型無料ストリーミングサービスだ(当初はFreediveと呼ばれていた)。このほど同サービスがモバイル端末で利用可能になった。iOSとAndroidのIMDbアプリがアップデートされ、ユーザーは今も増え続ける映画やテレビシリーズのライブラリをストリーミングできる。

IMDb TVを公開する前、同サイトはトレーラー、著名人のインタビュー、短編シリーズなどでビデオコンテンツを実験してきた。しかし今日の消費者は、定額サービスを契約するよりも一流コンテンツを無料で見ることへの関心が強い。IMDb TVのライバルであるWalmart(ウォルマート)傘下のVuduの「Movies on Us」やTubi、The Roku Channelなどがすでに無料サービスを提供している。

IMDb TVはサービス開始時点で「Fringe)(フリンジ)、「Heroes」「The Bachelor」「FBI 失踪者を追え!」などのテレビシリーズや、ハリウッド映画の「アウェイクニング」「フォックスキャッチャー」「メメント」「モンスター」「ラン・ローラ・ラン」「イリュージョニスト」「ラストサムライ」「トゥルー・ロマンス」などを提供した

この夏には、ワーナー・ブラザース、ソニー・ピクチャーズ、MGMスタジオなどと新たな契約を結んで作品ラインアップを拡大した。

その結果、「はじまりへの旅」「ラ・ラ・ランド」などの作品がサービスに加わった。後者はこの夏同サービスで最も多くストリーミングされた映画のひとつになった。ほかに追加された人気タイトルには、「ザ・エージェント」「プラクティカル・マジック」「ROCK YOU!」「ドライヴ」「マックス」「ミートボール&キャシー」「Mr.ズーキーパーの婚活動物園」「ネバーエンディング・ストーリー」などがある。。

さらに最近ではパラマウントやLionsgate Televisionとの契約によって、「世界にひとつのプレイブック」「アデライン、100年目の恋」「白鯨との闘い」、テレビシリーズの「ザ・ミドル 中流家族のフツーの幸せ」などがIMDb TVにやってきた。

IMDb TVのユーザー数は公表されていないが、Amazon Fire TVとの統合による恩恵を受けている。

今年、Fire TV担当副社長のMarc Whitten(マーク・ウィットン)氏は、Fire TVユーザーによる無料広告支援型サービスの利用は前年比300%以上増えたと語った。IMDb TVは、Fire TV画面の「アプリとチャンネル」欄にアイコンが置かれ、Prime Videoアプリの無料チャンネルとしても利用できることで、今後も利用が伸びていくことを期待している。

アップデートされたiOSおよびAndroidのIMDBアプリは、今日から公開される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

キュレーターが作品を推薦するコレクションズ機能をNetflixがテスト

Netflixは、ユーザーが観たいであろうテレビ番組や映画を推薦する新しい方法としてCollections(コレクションズ)機能のテストを開始した。現在はiOSデバイスでテストが行われている。すでにNetflixでは、視聴履歴をもとにしたテーマ別の推薦を行っているが、コレクションズはテーマだけに縛られない。Netflixによると、社内のクリエイティブ部門に属する専門家によって作品がキュレーションされ、ジャンル、雰囲気、ストリー、キャラクターの特徴など、類似の要素をもとにコレクションズに分類されるという。

人間によるキュレーションは、Netflixがこれまで行ってきた推薦方法とは違う。この配信サービスは、アクション、ドラマ、SF、ロマンスといった大まかなグループ分けを超えた、何百ものニッチなカテゴリーを有する高度な分類システムで知られているが、さらに絞り込んだサブカテゴリーによって、より正確にターゲットを絞った推薦が可能になる。

またNetflixは、サービス全体で人気の高い、または流行っているタイトルを常に追いかけ、他の人たちが何を視ているのかがわかるようにする。

この新しいコレクションズ機能は、最初にジェフ・ヒギンズ(Jeff Higgins)氏が発見し、この新機能のスクリーンショットを何点かツイートした。

コレクションズを試してみたい方は、アプリのホームページ右上に現れるオプションを選択して欲しい。これまでMy Listがあった場所だ。

https://platform.twitter.com/widgets.js
NetflixのCollectionsは、視たいものを探す新しい方法だ。しかも早く。

推薦作品は、“Let’s Keep It Light”(軽くいこう)、“Dark & Devious TV Shows”(暗くて悪辣なテレビ番組)、“Prizewinning Movie Picks”(賞を取った映画)、“Watch, Gasp, Repeat”(視て、息をのんで、その繰り返し)、“Women Who Rule the Screen”(画面を支配する女たち)などなど、数々の編集グループに分類される。

メインの画面からそのコレクションをフォローできる。タップすれば、このグループの作品をさらに調べることができる。

「好きなテレビ番組や映画が見つかる簡単な方法」

興味のあるコレクションをタップすると、画面が滑らかに切り替わり、コレクションの内容を説明するヘッダーの下に作品のサムネールが現れる。ここでそのコレクションをフォローしてもよい。すると、おそらくNetflixの通知システムとリンクされる。

https://platform.twitter.com/widgets.js
Netflix Collectionsで画面が滑らかに切り替わるところ。

この新機能にアクセスした人は、アプリのホームからもコレクションが選べるようになる。

「私たちは、私たちのファンと、みなさんが気に入るであろう作品とを結びつける新しい方法を常に模索していますが、そのひとつとして、Netflixの作品をキュレーションしてコレクションズにまとめるという新しい方法をiOSアプリで試しています」とNetflixの広報担当者はTechCrunchに話してくれた。「私たちのテストは、どれだけ続けるか、どの国で実施するかは毎回異なり、私たちのサービスの恒久的な機能になることもあれば、ならないこともあります」。

Netflixがコレクションズとして推薦作品の分類をあれこれ試すのは、これが初めてではない。同社のDVDサービス(そう、まだあったのです)は、その専用モバイルアプリにこれとよく似たコレクションズ機能を導入した。

今回のテストは、間もなく登場するDisney+やApple+といったライバルを含む競合サービスの増加を見込んで、現在の契約者を囲い込むための機能を開発する中で実施された。その関連で、先日発表された機能には、新タイトルや近く公開されるタイトルを常に把握できるというものがある。常に次の作品へ楽しみをつないでもらうための戦略だ。

Netflixによると、コレクションズはiOSのみの対応とのこと。テストなので、すべてのユーザーに提供されるわけではない。

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(翻訳:金井哲夫)

あなたの行動データと広告のリンクをコントロールできるフェイスブックの新機能

昨年、Facebook(フェイスブック)のCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は、サードパーティのウェブサイトやアプリがFacebookと共有するデータを削除する「履歴消去」機能を開発するつもりだと発表した。その機能がようやく現実のものとなった。現状では特定の地域のみで利用可能となっている。

とりあえず、その機能は「Off-Facebook Activity(Facebook外アクティビティ)」という名前で呼ばれている。Facebookのプライバシーおよびデータ利用チームを率いるプロダクトマネージメントの責任者、デイビット・ベイザー(David Baser)氏は、その名前は「的確にどのような種類のデータ」が見えるようになるのか、誰にとっても明らかなものでなければならない、と語った。

ベイザー氏がビデオでデモしたところによれば、ユーザーに関するデータをFacebookに送信してくるすべてのアプリやウェブサイトのリストがまず表示される。その中から、どれかをタップして選ぶと、そこで実際にどのようなデータが共有されているのかを見ることができる。これは共有されたくない、というデータをみつけたら、それをブロックすることができる。ブロックの指定は、ウェブサイトやアプリ単位でも、全面的にでも可能だ。

Facebookは、当然のこととして、ここ数年にわたってデータ共有に対する厳しい査察を受けている。それは、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のスキャンダルに端を発するもの。また、Facebook上で拡まる偽情報に対する懸念もあって、同社は透明性を確保するため、広告やコンテンツに関するいくつかの新しいツールを開発することにした。

今回のツールでは、ユーザーの行動に関してサードパーティが収集した情報をFacebookが削除しようというのではない。その代わり、そうしたデータと、Facebook上の個人情報との間の接続を切断するのだ。また、そのアカウントに付随する過去のデータも削除される。

関連記事:Facebookが広告ターゲティングの理由説明を改善

ベイザー氏によれば、Facebookの外でのアクティビティを切断すると、Facebookログインを使用したウェブサイトやアプリから、直ちにログアウトしてしまうという結果を招くという。広い目で見れば、そのような接続を維持することは、消費者と企業の双方にとって利益があるのだという。それによって、より関連性の高い広告の表示が可能となるからだ。もしユーザーが、小売店のウェブサイトで、あるタイプの靴を探していたとする。接続が維持されていれば、Facebookは、そうした靴の広告をタイムラインに表示できるのだ。

またベイザー氏は、「Facebookとしては、こうした活動が行われていることを、人々に知ってもらいたいのです」と述べている。そうしたオプションが、隠しメニューの奥深くにしまわれているのではなく、メインの設定ページからアクセスできるようになっていることに気付いてもらいたいのだと。

また彼は、このような「包括的な画面」を作成して、ユーザーがデータをコントロールできるようにした企業は他にはない、ということも示唆している。Facebookとしては、ユーザーを怖気づかせたり、混乱させたりしない、適切なアプローチを見つけ出そうとしているわけだ。また「この機能は、隅から隅まで、漸進的開示の原則に従って設計されたものです」と説明している。つまり、最初は概要だけが表示されるが、ツールの中を掘り進んでいくと、どんどん詳しい情報が見られるようになる。

Facebookによれば、この機能はプライバシーの専門家と協力して開発されたもの。その舞台裏では、そうしたデータをユーザーに開示し、コントロールもできるようにするために、これまでの保存方法を変更する必要もあったという。

最終的にFacebookは、購入履歴や位置情報など、データのタイプを指定してコントロールできるような機能を実現するつもりがあるのかどうかを尋ねてみた。しかしベイザー氏によれば、そのようなものが使いたいと思うほど、「データについて十分に理解しているのは、ごく少数の人だけ」ということが分かっているという。

「あなたの願望は理解できますが、私たちが得たフィードバックには、そのようなものはありませんでした」と彼は言う。そして、もしユーザーからの強い要望があるなら「もちろん検討してみます」ということだった。

このOff-Facebook Activityツールは、最初はアイルランド、韓国、スペインの各国で利用可能となっており、順次他の国にも展開されることになる。

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Disney+はファミリー向けタイトル豊富、4人が別番組を同時視聴可能

ウェブページを見るとそのサービスが目指すものがよく理解できることが多々ある。Disney + もそうだ。当面のターゲットは、ディズニー本体に加えてマーベル、スター・ウォーズなどグループレーベルのファンを対象としたコンテンツになるようだ。

11月の配信開始が近づくにつれ、その内容も次第に明らかになってきた。ストリーミングサービスで一番重要なのはなんといってもキュレーション、つまり配信タイトルの選択だ。Disneyの配信サービスのヘッドであるMichael Paull(マイケル・パウル)氏に対するインタビューでは「量より質」というモットーが何度も繰り返された。

今週開催されたディズニーのファンクラブイベント、D23 EXPOに参加して、このサービスのアプリについてもいろいろと体験してきたが、「量より質」というモットーはアプリ自体にはまだ厳密に適用されていない印象を受けた。デモで使われたアプリ(AppleTV版)はまだあちこちに改善の余地が残っていた。

もちろんコンテンツそのものは非常に質が高い。ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナル・ジオグラフィックの新旧のタイトルが勢揃いしている。これに「ザ・シンプソンズ」を始めとするFoxのコンテンツが加わる。ただこうしたメインのコンテンツ以外のタイトルを探そうとすると面倒だ。

また今年に入って製作が発注された「Diary of a Female President」(女性大統領日記)シリーズなどDisney+オリジナルシリーズを見ようとすると、サイドバーを開かねばならない。Huluにアップされているコンテンツを探してもムダだ。そもそもHulu自体、Disney+には含まれていない。またHuluとの統合ないし提携のプランも今のところないようだ。ディズニーがFoxの大部分を買収したことによりFoxの著作権はすべてディズニーが所有することになったが、個々のタイトルはディズニー本体とグループ企業とに分かれている(ミュータント・ニンジャ・タートルはマーベルのコーナーにある)。

またファミリー向けサービスということは、PG-13(13歳未満の鑑賞には保護者の検討が必要)までのタイトルしかないということだ。そのため通常のストリーミングにあるようなペアレンタルコントロールは存在しないが、7歳以下の児童向けのキッズモードを選ぶことができる。

小学生未満でまだテキストが読めない子供たちのために登場するキャラクター別にカテゴライズされているのがキッズモードの特色だ。子供向けモードでは画面は通常よりやや明るくと、自動再生はオフにされている。

当初、サービスの音声はオリジナルのままで数言語では字幕が提供される。吹き替えはサービスのロールアウト後に各国の状況をみて検討される。ディズニーでは最終的に世界中どこでもサービスが利用できるようにしたい考えだ。

アプリにはまだ多少荒削りなところはあるが、料金は月額7ドルと手ごろだ。しかも、1契約で家族4人までが同時に視聴できる。ビデオはすべて4K HDR、サウンドはDolby Atmosだ。1家族内に7種類のユーザープロフィールが設定できる。CNETによれば、これはNetflixに比べてDisney+が大きく勝っているところだという。Netflixではプロフィールは5つしか作れないうえに、家族が同時に異なったタイトルを視聴するにはもっと高いプランを契約しなければならない。

こうした点を考えてると7ドルのDisney+はNetflixの9ドルの標準契約ではなく16ドルのプレミアムアカウントと比較すべきだろう。

Disney+のユーザープロフィールのアバターにはお気に入りのディズニーキャラクターを選ぶことができる。またDisney+ではコンテンツをサービスから外す場合もシリーズのエピソードすべてを一度に配信停止にするのではなく、古いほうから順次消していく。

上でも述べたように、ディズニーは36年の伝統を誇るディズニーチャンネルに加えてピクサー、マーベル・コミックス、ルーカスフィルムを所有しているため優秀なコンテンツにこと欠くおそれはない。ディズニーという会社同様、Disney+の前途も大いに期待できそうだ。

画像: Mike Kemp/In PIctures / Getty Images

【Japan編集部追記】記事トップのリンクは日本語ページにジャンプする。プロンプトに従ってメールを登録すると最新情報が得られる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

HuluとAmazon PrimeがNetflixの牙城に挑む

Netflixは、eMarketerの最新レポートによると今もサブスクリプション型ストリーミングサービスのナンバー1だが、Amazon Prime、Huluなどのライバルもシェアに食い込み始めている。

同社のアナリストは、今年中に1億8250万人の米国消費者がストリーミングビデオサービスを定期購読すると予測している。これは人口の53.3%に相当する。Netflixは2019年に1億5880万人の視聴者を得てトップの座を守りなお成長を続けているが、定期購入者の総数が増加する中で市場シェアは減少するだろうとレポートに書かれている。

Netflixは、Q2の米国ユーザー数が10年近くぶりに 減少した発表したが、その後も順調な成長(前年比7.6%)を続けるだろうとeMarketerは言っている。これは「Orange Is the New Black」や「Stranger Things」などの人気番組の新シリーズ、アカデミー賞受賞監督マーティン・スコセッシ監督の新作「The Irishman」などが後押ししているのだろう。

しかしもはやNetflixはストリーミングビデオで唯一の選択肢ではない。2014年に90%だった市場シェアは、2019年に87%に減少する見込みだ。

1 1市場シェアの減少は、HuluやPrime Videoといったライバルの進出が理由だ。

例えば、Huluは今年米国内視聴者数が7580万人(シェア41.5%)に達した。視聴者数は2019年に17.5%増加したが、2018年の49.6%という成長率には及ばなかった。

AmazonのPrime Videoは、今も米国第2位のストリーミングビデオサービスであり、2019年の視聴者数は9650万人(シェア52.9%)、前年比8.8%増だった。

eMarketerは、Prime Videoの利用者が2021年に米国人口の3分の1に達すると予測している。

2Netflixの市場シェア独占は、新たな脅威にも直面している。中でも DisneyとHulu、ESPNのセットは、Netflixの米国標準価格と同じ料金で提供されている。

「Netflixはここ数年強力なライバルと視聴者を奪いあっており、ストリーミングビデオプラットフォームだけでなく、有料テレビやビデオゲームからの挑戦もある」とeMarketerの予測アナリスト Eric Haggstrom(エリック・ハグストローム)氏は「真の『Netflixキラー』は存在しないが、Disneyの『Disney+、Hulu、ESPN+』のセットはそれに近いところまで来ている。現在のNetflixの答えは、同サービスを市場リーダーに押し上げた戦略を続けること。すなわちライセンス、オリジナルのコンテンツに他社よりも多くつぎ込み、競争力のある価格を消費者に提供することだ」と語る。

新たなライバルはDisneyだけでもない。

Apple TV+は今年中のサービス開始を見込んでおり、コンテンツに60億ドル費やすと言われている。当初報じられた10億ドルをはるかに上回る金額だ。月額使用料も9.99ドルという競争力ある価格帯になるらしい。

NBC UniversalとAT&T Warner Mediaも市場参入を目指している。後者はHBO Maxと組む。また、CBSとViacomの合併に続き、新会社は自社プラットフォームであるCBS All Accessと広告支援型サービスのPluto TV に新たに獲得したコンテンツを加えて強化しようとしている。

「ストリーミングビデオの市場は、ハイエンドのオリジナルコンテンツと従来の有料TVに比べて安い月額使用料によって爆発的に広がった」とハグストローム氏は指摘する。「新しい番組や映画に対する視聴者の強い欲求が、NetflixやHulu、Amazon Prime Videoなどの視聴者を拡大し、市場全体を広げた」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

クラウドの購入を財務が判断して最適化できるDensifyのコスト分析ツール

Densifyは、エンジニアたちによるクラウドリソースのコスト効率の良い買い方を支援する企業だったが、最近同社は、そのクラウド支出データを財務にも利用してほしいと考えた。今週同社が発表したCloud Cost Intelligence(CCI)と呼ばれるプロダクトを使うと、財務部門が企業のクラウド支出の適否を明確に判断できるようになる。

DensifyのCEOであるGerry Smith(ゲリー・スミス)氏によると、同社のこの新製品の狙いは、クラウド支出に対する顧客としての理解を、実際にその料金を払っている部門すなわち財務にも持ってもらうことだ。同氏は「そのためにこれまでのプロダクトを改善して、エンジニアがクラウドを選ぶために利用するのと同じ情報を、財務部門も利用できるようにした」と語る。

CCI Screen

スプレッドシート提供:Densify

同社が発見したのは、多くの顧客企業に、リソースを買うエンジニアと、その料金を支払う財務の連中との間に断絶があることだ。でも結局彼らは、盲目的に金を払うだけでなく、自分たちが何を買ってるのかを知る必要があるし、その情報に基づいて、エンジニアたちに彼らのニーズに合った適正な買い物を推奨しなければならない。

スミス氏の説明では、財務は技術的要件を知らないままクラウドのベンダーと商談をすることが多い。例えば、技術チームが定期的に一定の構成を買っていると、それはCCIに載るから財務も見る。そして例えば、それを複数買いとか年間買いなどにして価格を下げさせたり、あるいは低価格バージョンがアップデートとして提供されていることを見つけたりするだろう。それらはいずれも、技術者たちが気づかないことだ。

同氏はさらに説明を続けて「財務は、単純に請求書を見るだけでなく、CCIを見てもっといい仕事ができる。CCIを見れば、どんな選択肢があって、それらの長所や短所も分かる。そうすると財務は、単純な費用配分以上のことができる。彼らはエンジニアに付加価値を付けることができ、たとえばもっとコスト効率の良いリザーブドインスタンスを使わせたりできる」と語る。

Crunchbaseによると、Densifyは本社をカナダのトロントに置き、これまでに3820万ドルを調達。1999年に創業したときはCirbaという社名で、主にデータセンターに対しストレージの需給に関するアナリティクスとソリューションを提供していた。同社のスポークスパーソンは曰く、「最初の最適化プロダクトの名前がDensifyだった。結局それが会社の名前になり、2017年には最適化にのみフォーカスした企業になった」。

関連記事:Densify announces new tool to optimize container management in the cloud(クラウド上のコンテナ管理を最適化するDensify、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ベライゾンが5Gの屋内到達対策としてBoingoのWi-Fiネットワークを利用

5Gの普及には時間がかかることは、みんなが前から知っている。でも、キャリアたちの実装着手が始まった今では、もっと具体的な問題が彼らを悩ましている。最大の問題の1つが、屋内における性能劣化だ。そう、それは、私たちの多く一番多くの時間を過ごす場所だ。

Verizon(ベライゾン)はこの問題を、Boingo(ボインゴ)とのパートナーシップで解決しようとしている。空港でWi-Fiを使おうとしたことのある人なら、この社名をご存知だろう。キャリアのVerizonはたまたまTechCrunchの親会社だが、このワイヤレスプロバイダーと組むことによって、スタジアムやオフィス、ホテル、そしてさっき挙げた空港など、5Gが届きにくい場所をカバーできるとしている。

同社は「VerizonはBoingoと協力して、大小さまざまな屋内スペースを5Gの到達圏域にできるための超高密度なネットワークを構築していく」とコメントしている。

しかし、いつ正式運用になるのかなど疑問は数多くある。Verizonがすでに5Gの提供を始めている都市から始まるのかもしれない。それはすでに10都市あり、大都市圏のフェニックスも入っている。実際には5G特有の制約があり、当初の供用地域は以下に限られている。

当初Verizon 5G Ultra Widebandサービスの供用地域は、フェニックス市中心部のいくつかのよく知られたランドマーク、すなわちPhoenix Convention Center(フェニックスコンベンションセンター)、Talking Stick Resort Arena(トーキング・スティック・リゾート・アリーナ)、The Orpheum Theatre(オルフェルム劇場)、CityScape(フェニックスシティスケープ)、およびChase Field(チェイスフィールド)球場の周辺に限定される。今後は、テンペ市のアリゾナ州立大学キャンパスでも利用できる。

米国時間8月23日、VerizonはGalaxy Note 10+ 5Gを期間限定で5Gデバイスの仲間に加える。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米通信キャリアが協力して「ロボコール」対策を約束、ただし期限は未定

米国の最大手4社(AT&T、Sprint、T-Mobile、Verizon)を含む通信キャリア12社は、一致協力してロボコール(自動勧誘電話)の防止に努めることを確約した。

米国時間8月22日に発表された声明は、51人の州検事総長が通信大手各社に対して、発信者番号偽装を防止するための暗号化を含むロボコール対策技術を導入するよう申し入れたのを受けたものだ。STIR/SHAKENと呼ばれるそのシステムは、全利用者の電話番号に一意のデジタルシグニチャーを設定し、それを通信ネットワークと照合することによって発信者が本物であることを検証する。通信会社はほぼ瞬時に通話を認証して受信者に繋ぐ。

ロボコールは違法だが、数十億ドル規模の産業でもある。そのほとんどが自動化されており、ロボットがダイヤルし、発信者の市外局番を偽装して疑うことを知らない犠牲者に電話を取らせようとする(訳注:米国の携帯電話番号は一般電話と同じ市外局番を使用している)。ロボコールはしばしば、必要のない商品を売りつけようとする。ひどいものは騙して現金を奪おうとする。

STIR/SHAKENにはほとんどのロボコールを追放することが期待されている。システムは本物の通話を検証し、毎年数十億回発信されている違法な偽装ロボコールを排除するはずだ。

現在までに、AT&TとComcastが新しい反ロボコールシステムをテストしており、AT&TとT-Mobileも協力して新技術を使用してロボコールと戦っている。しかし、システムが最大の効果を発揮するのは、全通信キャリアがテクノロジーを導入したときであり、そうすることによってネットワークを横断する通話のチェックも可能になる。Verizon(TechCrunchの親会社)、Sprintをはじめとする通信最大手が参加することによって、この協力体制がロボコールを劇的に減らすことを検事総長らは期待している。

CenturyLink、Charter、およびU.S. Cellularも協定に参加した。

ただし気になる点もある。期限は設定されておらず、各キャリアは新技術の導入にいくら時間をかけてもよい。これは、早急の改善を求める人々にとっていい知らせではないかもしれない。すでに全主要キャリアが新しい反ロボコールシステムのテストを進めているが、全米の利用者に向けてサービスを提供する正確な時期を公表しているところはほとんどない。

ワシントンポスト紙は木曜日の発表に先駆けてこのニュースを最初に報じた

今回の発表の数週間前、連邦取引委員会(FCC)と司法省が協力して、延べ10億回以上の違法ロボコールを発信した個人および会社に対して100件近くの法的措置をとった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

VMWareがCarbon BlackとPivotalを買収

米国時間8月22日、VMWareは、モダンクラウドネイティブシステムのセキュリティーに特化した上場企業のCarbon Blackを買収することを発表した。買収金額は約21億ドル(約2238億円)。

さらにVMwareは、Pivotalの買収も発表した。同社の会社価値は約27億ドル(約2877億円)。VMwareの前四半期の売上は24.4億ドル(約2600億円)だった。VMWareにとって記念すべき日となった。

「引き続き好調だった四半期を踏まえ、PivotalとCarbon Blackを買収する決断を下したことを発表する」とVMware CEO Pat Gelsinge(パット・ゲルシンガー)氏が本日の声明で語った。「この買収によって、我々はVMWareの事業にとって現在もっとも優先度の高い技術を導入する。エンタープライズ水準のモダンアプリケーションを構築すること、および企業のアプリケーションとクライアントを保護することだ。これらの契約によって、当社は契約者数拡大とSaaSサービスの提供を加速し、顧客のデジタル転換を推進するための能力を強化していく」。

実際、両社はまったく異なる分野の会社だが、Carbon Black、Pivotalともにモダンアプリケーションシステムに特化している。PivatalはCloud Foundryの経験と最近追加したKubernetesサポートを活かしてモダンアプリケーションの開発に集中している。一方のCarbon Blackはモダンアプリケーションとその基盤に必要なセキュリティー機能を提供している。、

今回の買収は、今年5月のBitnamiに続くもので、将来VM(仮想マシン)がソリューションの一部にすぎなくなるときに備え、VMWareのテクノロジーが必要としていた3社の買収がこれで完了する。

Carbon Blackは2002年に設立され、2018年に上場した。IPO当時の時価総額は約12.5億ドルだった。株価は今年始めに13ドルまで下がったが、21ドル以上まで盛り返している。VMwareは1株あたり26ドルを現金で支払う予定で、2020年1月末の契約締結を目指している。

「今日はCarbon Black、VMware、およびサイバーセキュリティー業界全体にとって記念すべき日だ」とCarbon BlackのCEOであるPatrick Morley(パトリック・モーリー)氏が発表文で語っている。「これで当社は、Carbon Blackのクラウドネイティブのエンドポイントセキュリティー機能をVMwareのあらゆるコントロールポイントに統合できる。IT業界、セキュリティー業界はこのような大胆な変化を長年心待ちにしていた。VMwareチームと協力してモダンセキュリティークラウド・プラットフォームを世界中の顧客に届けることを楽しみにしている。加えて、Carbon Blackの株主に大きな価値を提供できることを喜んでいる」

PivotalはもともとVMwareとEMC Corporationが育てた会社であり、今回の買収によって、アプリケーションの作成、テスト、展開が容易になるプラットフォームがVMwareにもたらされる。これまで開発ツールそのものよりも、インフラストラクチャーの提供を中心としてきたVMwareにとって、ストーリーを完結させる賢い行動だ。

「Kubernetesはマルチクラウドモダンアプリケーションのデファクトスタンダードになりつつある。我々はPivotalの開発プラットフォーム、ツール、およびサービスをVMwareのインフラストラクチャーと組み合わせることで、モダンアプリケーションの開発、運用、管理のための包括的Kubernetesポートフォリオを提供できる」とゲルシンガー氏は語る。「重要なのは、Pivotalをプラットフォームに加えることで、当社のAny Cloud、Any App、Any Deviceの適用範囲が広がりモダンなマルチクラウド・ITインフラストラクチャーのリーダーとしての当社の位置づけが強化されることだ」。

関連記事:VMwareがかつて同社をスピンアウトしたPivotalを買収か

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

PressReaderがNews360を買収しニュースプラットフォームのパーソナライズを目指す

PressReaderNews360を買収し、このデジタルニュース2社がタッグを組む。

PressReader1999にNewspaper Directとして設立された。現在は新聞や雑誌をデジタルフォーマットに変換するプラットフォームを運営している。ユーザーは月額29.99ドル(約3200円)のサブスクリプションで7000以上のタイトルに制限なくアクセスできる。

これに対しNews360は比較的新しく、設立は2010年だ。こちらもニュースアグリゲーションアプリを作っているが、今回の発表によれば、PressReaderはむしろ分析とパーソナライズをするNews360のNativeAI技術に関心があったようだ。

発表の中でPressReaderのCEO、Alex Kroogman氏は、News360の技術を活用して利用者のエクスペリエンスと発行者向けツールを改善していくことを示唆している。

ニュース疲れは現実問題として増えつつあり、メディアリテラシーは世界中で懸念されている。このような社会では、魅力ある環境で自分にとって必要であり信頼できるコンテンツにアクセスできることが、かつてないほど重要になっている。一人ひとりの関心を把握し、コンテンツ分析に関する先進的なデータサイエンスシステムを構築することで、我々は多くの読者が必要とする方法で、必要な時に、必要な場所で、読者が求める信頼性の高いメディアを提供できる。同時に、オーディエンスインテリジェンスをデータに組み込み、発行者やブランドとのパートナーシップを加速していく。

News360のチームはPressReaderにジョインし、PressReaderのバンクーバー本社で働く。

News360のCEO、Roman Karachinsky氏は筆者へのメールで、合併後の会社がNews360アプリを引き続きサポートし、「並行してPressReaderのアプリも開発する」と述べた。ただし「短期的には、News360の技術をPressReaderに追加することに集中する。したがって、これまでのようにはNews360アプリが大きく変わることはないだろう」とも書いている。

買収の金銭的な条件は明らかにされていない。Crunchbaseによれば、News360はOrdell Capitalなどの投資家からこれまでに合計で750万ドル(約8億円)を調達している。

画像:PressReader

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(翻訳:Kaori Koyama)

YouTubeのメッセージ機能終了に多くの子供が激怒

みんなYouTubeのビデオをシェアするのが大好きだ。2017年にYouTubeがアプリ内メッセージング機能を提供したのはそのためだ。YouTubeユーザーは、YouTubeモバイルアプリの専用タブの中で友達にビデオを送ったりチャットしたりできる。その機能を閉鎖すると同社Googleは発表した。9月18日以降、YouTube内で友だちにダイレクトメッセージを送る機能自体が消滅する。

この変更を最初に見つけたのは9to5Googleで、同サイトによるとYouTubeのメッセージ機能は昨年5月にウェブで最初に公開された。

YouTubeは、中止に関する発表の中で、この決定に関する詳しい事情を公表していない。

最近同社は公開対話機能に注力していると言っており、コメント、投稿、ストーリーなどを更新しており、なぜメッセージを重視しなくなったのかについては説明していない。

ありそうな理由は、もちろん機能が活用されていないからだ。多くの人々はMessengerであれ、WhatsApp、WeChat、iMessageなどであれ、それぞれお気に入りのメッセージングアプリに強く依存している。

一方Googleは、メッセージングのアプリや機能を作るのをやめる様子がない。YouTubeのメッセージ機能が公開された時点で、GoogleはAllo(終了)、Duo、Hangouts、Meet、Google Voice、Android Messages/RCSなどにも手を出していて、Gmail中のGChat(Google Talk)のユーザーをHangouts Chatに移行させるのに必死だった。

しかし、Googleの機能廃止の投稿に対する500件近い怒りのコメントを見る限り、YouTube Messagesは多くの若いユーザーに好まれていたようだ。

若い、というのは子供、という意味だ。

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コメントの多くは、YouTubeが友達とメッセージできる「唯一の場所」だと言って不満を訴えている。子供たちは携帯電話を持っていなかったり、他人に電話番号を教えてはいけないと言われたりしているからだ。

「ママと話す」ために使っていたり、ソーシャルメディアを使うことが許されていなかったから、と言っているユーザーもいた。

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どうやら、多くの子供たちはYouTubeのメッセージ機能を、親にブロックされた携帯電話の代わりに使ったり、タブレットやウェブ経由で(おそらく親に内緒で)連絡を取るために使っていたようだ。

それは今のYouTubeにとって都合が良い話ではない。現在同サービスを巡っては、子供向けの不適切なビデオ児童労働搾取、幼児虐待、規制などさまざまな問題が持ち上がっているからだ。

今年2月にYouTubeは、子供たちを幼児虐待の危機にさらしたことで非難の的になった。YouTubeのコメント機能を利用して児童虐待集団が連絡をとっていることが発覚した後、Googleは未成年が登場するビデオのコメント欄を閉鎖するはめになった。

現在FTCも、YouTubeが米国児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反しているという指摘を受けて捜査している。児童擁護団体や消費者団体はYouTubeに対して、13歳未満の子供たちをプラットフォームに誘惑し、親の許可を得ることなくデータを収集したり広告のターゲットにしていると批判している。

YouTubeメッセージを使ってチャンネルを宣伝したり、家族や友達とビデオをシェアする人もいるだろうが、主流ではなかったのは明らかだ。そうでなければ、YouTubeがやめるはずがない。

同機能にはスパム問題もあり(Google+と同様)、見知らぬ他人からの不快なリクエストが来ることがあった。

YouTubeによると、ユーザーは今でも「シェア」機能を使ってビデオを共有することは可能で、そこから他のソーシャルネットワークと繋がることができる。

Googleはフォーラム投稿に書いたこと以上のコメントはしていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中古マンションを仲介手数料なしで売買できる「すむたす直販」

不動産テックのスタートアップであるすむたすは8月22日、売り主からマンションを直接購入できる「すむたす直販」のサービスを開始した。

マンションの購入を売却を希望する再販業者と購入を希望するユーザーが、それぞれ仲介手数料なしで中古マンションを売買できるというサービス。中古マンションを購入する際、買い主は売り主と専属媒介契約もしくは一般媒介契約を結んだ不動産業者から購入することが多く、成約時にはマンション販売価格の3%程度を支払う必要がある。つまり、3000万円の物件の場合、実際に購入する際は約3100万円+登記費用などがかかるわけだ。

すむたす直販では、首都圏エリアを中心に8月22日現在で106件の中古マンションが揃っている。物件の所有者は、すむたすのほか、グローバルベイスやホームネットといった大手不動産買取再販会社で、9割は大手不動産買取再販会社の物件となる。同社によると2019年末までに、掲載物件を3倍の300件に、参画企業数を30社に、マッチング(内見問い合わせ)を60件という目標を目指すとのこと。将来的には中古マンションだけでなく、戸建てや土地などの対応不動産も増やす計画だ。

同社は、すむたす直販のサービス単体でのマネタイズは考えておらず、将来的にも買い主や売り主である不動産買取再販会社から手数料を取ることはないとのこと。このサービスを自社物件売買の活発化に繋げるのが狙いで、年間で20件ほどの自社物件を販売することを目指す。なお売り主として個人は想定しておらず、買取再販会社を中心とした法人を対象とする。

現在のところ買取不動産は、仲介が必要な一般的な中古不動産とまとめて大手仲介会社の物件情報サイトに掲載されており、買取不動産だけを一覧できるサービスは存在しないとのこと。一方、市場に流通している中古マンションの20%強が買取再販不動産であり、すむたすが仲介手数料がすべて無料の買取再販不動産のポータルを開設することで、これらの不動産の一覧性と認知度を上げる狙いもある。

すむたすは2018年10月に「すむたす買取」というサービスを開始。一般的に中古マンションは、売り主が仲介会社に売却を委託して買い主を探してもらう媒介契約を結び、売り主は仲介会社が査定した売却金額を基に実際の売値を決めて売り出すという流れだ。すむたすは中古マンション専門の買い取り業者として、不動産売買データベースであるREINS上の売買情報に加え、過去30年ぶんの首都圏の不動産取引のデータベース、独自のアルゴリズムを駆使して査定金額を最短1時間で算出する。

そして実際に売却を依頼されると最短で2日後には指定した銀行口座に現金が振り込まれるというのがすむたす買取のサービスだ。同社は、買い取り価格と販売価格の差額を利益としてマネタイズする。前述のグローバルベイスなどは買取不動産の配管までをフルリノベーションすることで1000万円以上の付加価値を付けて販売しているが、すむたすがリノベーションするのは壁と床と天井程度。同社は付加価値を上げることよりも物件の回転率を重視しており、平均190日ほどかかる買取再販不動産の売却期間を半分に圧縮し、所有物件を高回転で買取・売却するビジネスモデルを採っている。

BuzzFeedのMoodFeed機能は気分に合ったコンテンツを勧めてくれる

BuzzFeedは、読者がその日の気分に合ったコンテンツを見つけられるようにした。それは、ソーシャルメディアや検索の推奨リンクではないし、単純にブラウザーにBuzzFeed.comとタイプすることでもない。そうではなく、このMoodFeedと呼ばれる機能では、読者が今の気分を自覚し、その気分に合った記事のリストを得られる。

気分の種類は、今のところ6種類ある。面白いことを知りたい、ストレスがある、退屈だ、昔がなつかしい、嬉しい、そしてお腹が減っている。「おもしろいことを知りたい」(Curious)を選んだら、おかしな事実やライフハックなどに関するBuzzFeedの記事のリストが表示される。「昔がなつかしい」(Nostalgic)を選ぶと、ポップカルチャーの歴史に関する大量の記事が出てくる。自分の気分がよくわからない人は、ムードホィールというユーザーインタフェイスを回転させて、止まったところに決めればよい。

BuzzFeedのブランド管理担当副社長であるTalia Halperin(タリア・ハルペリン)氏によると、これはオーディエンスの参加性を増して、一風変わった方法でサイトを面白くするための実験の1つだ。チームはこれらの記事推奨リストを、気分と記事の相性を手作業で探りながら作っていったようだ。

BuzzFeedがこんなユーザーインタフェイスを提供するのはこれが初めてだが、ハルペリン氏によると、企業が顧客の気分に合わせて広告などのコンテンツを調整していることと同じだという。企業が記事をシェアしたり宣伝するときには、それに結びつく気分をいつも意識している。それは悲しみを、あるいは快活さをシェアする記事かなど。

MoodFeed

そこでBuzzFeedが作ったのは、コンテンツと気分を合わせるプロセスを自動化するAIツールだ。BuzzFeedのどのページにはどんな記事を合わせるべきか。不朽の名作に関する記事は、どんなときに登場させるべきか。どの記事を、どんな場合にシェアすべきかなど。

このMoodFeed機能に関してハルペリン氏があくまでも実験だと言うのは、記事のリフレッシュの頻度やBuzzFeedとして込めるべき戦略など、未着手の研究課題がまだ多いからだ。それにまた、気分の種類なども、もっと多くすべきだろう。

彼女は「拡張の方法や方向性がいろいろあって、そこがおもしろい。今は6つの気分しかないけど、もちろん、いろんな出来事にいろんな気分が伴う。だからたとえば、季節による気分の変化などにも合わせるべきだ」と語る。

関連記事:BuzzFeed teams up with Eko to create interactive recipes and other videos(BuzzFeedがゴミ箱をファッションにしたEkoとパートナー、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

データ分析大手のSplunkがクラウドモニタリングのSignalFxを1100億円超で買収

データ処理とアナリティクスを専業とする上場企業Splunk(スプランク)は米国時間8月21日、クラウドモニタリングのスタートアップであるSignalFxを約10億5000万ドル(約1120億円)で買収したことを発表した。そのほぼ60%はキャッシュ、40%はSplunkの普通株で支払われる。買収の完了は2020年の後半と予想されている。

2015年にステルスを脱したSignalFxは、リアルタイムのクラウドモニタリングや予測分析などのサービスを提供している。Splunkによると、今回の買収で同社は「企業のクラウド利用のすべての段階に対する観察とアプリケーションパフォーマンス管理で業界のリーダーになり、クラウドネイティブからオンプレミスの内製アプリケーションに至るまでその全環境をカバーできる」という。

確かにこの買収でSplunkはクラウド分野でより強力なプレーヤーになり、そのサポートをクラウドネイティブのアプリケーションと、それらが依存する現代的なインフラストラクチャとアーキテクチャにまで広げるだろう。

2019 08 21 1332

Crunchbaseによれば、この買収の前までSignalFxはトータルで1億7850万ドルを調達し、最近はシリーズEを終えたばかりだった。主な投資家は、General Catalyst、Tiger Global Management、Andreessen Horowitz、そしてCRVなどだ。顧客には、AthenaHealth、Change.org、Kayak、NBCUniversal、Yelpなどがいる。

Splunkの社長でCEOのDoug Merritt(ドグ・メリット)氏は本日の発表声明で「現代のビジネスはデータが燃料であり、SignalFxを獲得したことによってSplunkは、大規模なモニタリングとシステム観察における業界のリーダーになるだろう。弊社は長年顧客に、単一のプラットホームでエンタープライズアプリケーションの全ライフサイクルをモニタできる環境を提供してきたが、SignalFxはそれをさらに強化する。SignalFxのチームとリーダーシップにも感銘を受けている。その専門的能力とプロ精神は、Splunkファミリーにとって強力な支えになるだろう」とコメントしている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa