Netflixの実写版「カウボーイビバップ」11月19日より世界配信決定、公式Twitterも始動

Netflix(ネットフリックス)による名作アニメ「カウボーイビバップ」の実写化は、アナウンスされてから今か今かと待ち望まれていたが、ついに配信日が決定した。全10話の第1シーズンは、2021年11月19日に配信開始となる。

Netflixはまだ予告編を公開していないが、初めて「カウボーイビバップ」をまともに見ることができる写真を多数公開した。それらの画像にはJohn Cho(ジョン・チョー、スパイク・スピーゲル役)、Mustafa Shakir(ムスタファ・シャキール、ジェット・ブラック役)、Daniella Pineda(ダニエラ・ピネダ、フェイ・ヴァレンタイン役)が扮するキャラクターたちと、かわいらしいコーギーの姿が写っている。

アニメ作品の実写化は、あまり評判がよくないことが多い(「攻殻機動隊」を原作にした「Ghost in the Shell」が頭に浮かぶ)。今回の「カウボーイビバップ」は、Netflixにとっても十分に作品の良さを伝えなければならないというプレッシャーがあるが、見る限り期待できそうだ。最初に公開された画像を見ると、主要キャストはとてもよく似合っているし、1998年の原作アニメに関わった主要なクリエーターたちも参加している。伝説的な作曲家で、オリジナルのサウンドトラックを担当した菅野よう子氏が復帰し、オリジナルアニメの監督を務めた渡辺信一郎氏も監修として参加した。

製作は2019年に開始されたが、ジョン・チョーが撮影現場で膝を負傷したため、8か月間中断された。撮影は最終的に、ニュージーランドで2021年3月に完了した。

画像クレジット:Netflix

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

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画像クレジット:Netflix

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(文:Kris Holt、翻訳:Aya Nakazato)

ウェブデザイン変更後のツイッターはアクセシビリティが不十分と専門家は指摘

米国時間8月12日、Twitterはウェブサイトとアプリのデザインを大幅に変更した。この変更は1月の新しいフォントの導入に続くもので、同社は今回の更新を「プラットフォームのアクセシビリティを向上させる」ためのものとしているが、アクセシビリティの専門家によると、これらの変更は的外れだという。

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最もわかりやすい変更点は、ツイートがTwitter独自の書体である「Chirp」で表示されるようになったことと、背景と文字のコントラストがより強調されたことだ。不要な仕切り線がなくなり、インターフェースもすっきりとした。弱視のユーザーにとって、コントラストの高いデザインではウェブサイトがより見やすくなるが、現在のコントラストレベルは高すぎて、負担になるユーザーもいる。プラットフォームのコントラストレベルは、障害者が利用しやすいウェブサイトの推奨事項を定めたウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン(Web Content Accessibility Guidelines、WCAG)の最低基準をはるかに超えている。しかし、ウェブアクセシビリティは一律ではない。高コントラストのディスプレイを必要とするユーザーもいる一方で、慢性的な偏頭痛に悩むユーザーにはもっとマイルドな表示が必要かもしれない。失読症の人は、コントラストの低いテキストの方が速く読めるという研究結果もある。

デザインリサーチャーであり、The Disabled Listの創設メンバーでもあるAlex Haagaard(アレックス・ハーガード)氏は次のように話す。「アップデート後のTwitterで、すぐに目が痛くなり、30分後には緊張性の頭痛に襲われました」「慢性的な苦痛がいくつもあるので、苦痛を悪化させるようなものを使うことはできません。痛みがますますひどくなるからです」。

2020年まで、Twitterのアクセシビリティチームはボランティアベースで、同社の社員が既存の仕事に加えてアクセシビリティのプロジェクトを担当していた(TechCrunchの記事を参照のこと)。アクセシビリティを考慮しない音声ツイート機能のリリースから数カ月後の9月、Twitterは社内に2つのアクセシビリティ専門チームを導入した。しかし、専門家は、新機能を検討する際には、最初から障害者をデザインの決定に関与させることが必要だと強調する。

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「Twitterは、この状況を変えるために、アクセシビリティや障害者の視点を設計プロセスにもっと取り入れると言っていましたが、今回の結果を見ると十分な仕事をしていないようです」とハーガード氏。「研究や構想の段階で障害者コミュニティのメンバーをコンサルタントとして関与させ、全体を把握できるようにすれば、テストの際にもはや手遅れであるような根本的な問題が生じるのを防ぐことができます」。

TwitterはTechCrunchの取材に対し「プロセスの最初から全体を通じて、障害のある人のフィードバックを取り入れてきました。人によって好みやニーズが異なるため、今後もフィードバックを集めてプラットフォームがより使いやすいものになるように改善していきます。集まったフィードバックを参考に、私たちは取り組みを続けます」と述べる。

Twitterのアクセシビリティチームは、アップデート後にユーザーから報告された眼精疲労や偏頭痛などの問題を認識している。現地時間8月13日午後、同社は、ユーザーからのフィードバックを受けて、すべてのボタンのコントラストを変更し、「目に優しい」デザインに変更したとツイートした。

Adobeのインクルーシブデザイン担当であるMatt May(マット・メイ)氏は次のように話す。「デザインの作成者の発表と同時にアクセシビリティ団体がそれについて発言するのは良いことです。両者が協力していることを意味するからです。重要なのは、常に目を凝らし、枠組みから外れてしまっているグループを見つけ、システムの別の部分で彼らを取り込むことです」。

メイ氏は、このような派手な(目に優しくない)アップデートは必ず反発を招くと指摘するが、その一方で「Twitterは通常は目立たない重要なアクセシビリティの向上を行っている」と話す。例えばTwitterは最近、ユーザーが動画にSRTファイルをアップロードして字幕を追加できるようにした。また、Twitter Spacesはライブキャプションをサポートしたが、Clubhouseのような競合他社はまだこの基本的なアクセシビリティ機能を備えていない。

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これまでユーザーが利用しやすいようにカスタマイズ機能を提供してきたTwitterが、なぜ(今回のコントラストの高いディスプレイや新しいデフォルト書体の導入に)カスタマイズ機能を追加しなかったのかは疑問だ。現在、ユーザーはデフォルトのライトモード、ダークモード、ブラックモードを切り替えたり、デフォルトのフォントサイズを変えたり、ボタンやハイパーリンクの色をパープル、オレンジ、ピンクなどに変更したりすることができる。現地時間8月12日のアップデート以前にも、ユーザーはTwitterのアクセシビリティパネルでより高いコントラストのモードを有効にすることができた。しかし、コントラストを下げたり、フォントを変更したりすることはできず、専門家はこれをデザイン上の欠陥であると指摘する。初の独自書体「Chirp」では、「感情を伝えやすくする」ことを目指していたが、ユーザーは「Chirp」以前に使用されていた「Helvetica」よりも読みにくいと報告している。

マサチューセッツ工科大学の研究者であり、WCAG基準の編集者、World Wide Web Consortium(ワールドワイド・ウェブコンソーシアム)のアクセシビリティ教育およびアウトリーチリーダーでもあるShawn Lawton Henry(ショーン・ロートン・ヘンリー)氏は「ウェブサイトは、ユーザーがフォントやコントラストレベルなどを切り替えられるカスタマイズオプションを備える必要がある」という。現在のWCAGの推奨事項にはこの件は含まれていないが、同氏は「今後のガイドラインの更新では、このようなオプションの設定が推奨されるようになる」と話す。

「主な問題は、デフォルトのコントラストがWCAG基準を満たし、ユーザーがそれを変更できるようにすることです。難しいことではありませんよね?」「デフォルトのフォントがあったとしても、それをカスタマイズできるようにする必要があります。(デフォルトのフォントが)一般的に最も読みやすいフォントであったとしても、個人差があります。変更できるようにすることが重要です」とヘンリー氏。

Twitterの広報担当者は、書体やコントラストレベルを変更するオプションに関する質問に対し「今すぐ共有できる具体的な計画はありませんが、私たちは常に使いやすさを向上させる方法を検討し、フィードバックに耳を傾けています」と回答する。

ハーガード氏は「Twitterがこの件をアクセシビリティの問題として捉えていることは残念ですが、これがブランドアイデンティティの確立につながることは明らかです」と話す。

CSS(スタイルシート)を使ってウェブサイトの設定を変更するユーザーもいるが、ヘンリー氏がWorld Wide Web Consortiumのために行った調査では、ウェブブラウザや電子書籍リーダーでは、ユーザーが設定をもっと簡単にカスタマイズできる機能を提供すべきと報告されている。CSSを書けるほどテクノロジーに精通しているユーザーは限られるし、アプリごとのアクセシビリティ設定を切り替える方が簡単なのだ。前例もある。Discordは6月、アクセシビリティの設定に彩度のスライダーを追加した。

「ウェブのメリットは、紙ではないこと、そしてそれを変えることができる、ということです」(ヘンリ画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

Mediumがパートナープログラムを改訂、新たな資格要件と紹介ボーナス制度を開始

編集方針の変更従業員の大量退職など、2021年になってさまざまな出来事が相次ぐ中、Mediumは米国時間8月11日、プラットフォーム上のライターらがコンテンツを収益化するためのMediumパートナープログラムの仕組みを大幅に変更することを発表した。

関連記事:CEOの「企業文化メモ」公開後、Mediumの従業員が大量退職

2012年に設立されたMediumがパートナープログラムを開始したのは2017年のこと。以来、同プラットフォームは20万人以上の寄稿者に2800万ドル(約31億円)を支払ってきた。当初Mediumは、同社の会員がライターのコンテンツを読むのに費やした時間に応じて支払いを行っていた。Mediumの会員は月額5ドル(約550円)または年額50ドル(約5500円)を支払えば、有料コンテンツを含むプラットフォーム上のすべての投稿を読むことが可能だ。さらに各会員の購読料の一部が彼らが読んだライターへと分配される仕組みで、例えば同社の会員があるライターの作品を読むのに10%の時間を費やした場合、そのライターは会員のレベニューシェアの10%を受け取ることになる。

読まれた時間に応じた収益はこれまでと変わらないものの、Mediumは今後、紹介プログラムによる新たな収益方法を開始する。

これまでは、あるライターの記事を読んでいた読者が30日以内に有料会員に移行した場合、そのライターには、その読者が作品を読んだ時間分のクレジットが付与されていた。新しいモデルでは、パートナープログラムのライターは個人用の紹介ランディングページを持つことになる。このページを経由してMediumの購読を購入した読者がいる場合、ライターはその会員が有料会員であり続ける限りその会員の購読料の半分を受け取ることができるという仕組みになる(そこから2.9%+0.30ドル[約33円]の支払い処理手数料が差し引かれる)。つまり、あるライターが自分を通して100人の読者がMediumの月額会員に登録したとすると、そのライターには月額227ドル(約25000円)の報酬が支払われることになる。

画像クレジット:Medium

ただし、パートナープログラムに参加するには100人のフォロワーがいること、Mediumで少なくとも1本の記事を公開していること、特定の地域に住んでいることなど、より厳しい条件が課せられることになる。また、こういった新しい資格要件を満たしていても、6カ月間何も新作を公開しなければパートナーの資格を失う可能性がある。それでも、これまでの仕組みではパートナーになっただけでは金銭的な報酬は保証されておらず、フォロワー数の少ないパートナーの中には毎月の収入が数円という人もいたというから、これはある種の改善である。既存のパートナーは2021年末まで現在のステータスを維持できるが、それまでにフォロワーが100人に達していない場合は削除されることになる。

またMediumは近い将来、最低支払額を10ドル(約1100円)に設定する予定だという。つまりライターが1カ月に10ドル未満しか稼げなかった場合、その分の報酬は翌月に繰り越され、最低10ドルが貯まってから支払われることになる。

Mediumはこれまで会員数について口を閉ざしてきたが、CEOのEv Williams(エヴァン・ウィリアムズ)氏はTechCrunchに対し11月、その会員数は「数十万人」であると述べている。Axiosによると2021年3月までのMediumの会員数は72万5000人とのことだが、Digidayは以前、Mediumが2020年までに100万人の会員数を達成したいと考えていたことを報じている。2017年に設立された競合のSubstackは、9月の時点で25万人の有料会員を抱えており、その2カ月後に6500万ドル(約71億円)のシリーズBラウンドを調達している。Mediumが最後にベンチャー資金を調達したのは2016年で、5000万ドル(約55億円)のシリーズCラウンドである。

Substackや新参のGhostのようなプラットフォームは、有料購読者の数に応じてライターに報酬を支払っている。Mediumの新しいレベニューシェアモデルも同様に、読者をプラットフォームに誘導することがライターのインセンティブになっているものの、Mediumの取り分は約50%である。ライターの個別ニュースレターへの直接購読に対しては、Substackは10%、Ghostは月9ドル(約990円)を受け取っている。SubstackやGhostの読者は複数の個別ニュースレターを購読しているかもしれないが、Mediumの購読者は月5ドルまたは年間50ドルの料金を支払うだけで、ウェブサイトの全コンテンツにアクセスが可能だ。

競争の激しいニュースレタービジネスの世界。6月にはFacebookが厳選された寄稿者によるBulletinというニュースレタープラットフォームを立ち上げ、2021年初めにはTwitterがRevueを買収。そして先週、QuoraがQuora+というマネタイズプラットフォームを発表している。会員費はMediumと同じ価格設定となっており、またMediumと同様、Quora+の購読者はライターが有料化を選択した全コンテンツにアクセスが可能。ライターはコンテンツへのエンゲージメントに応じて報酬を受け取ることができる。さらにライターはQuora上でユーザーが作成した出版物のようなSpacesに有料の記事を書くこともでき、Quoraはその支払いの5%を受け取っている。

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画像クレジット:Medium

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」が1.15億円調達、公務員や有資格者団体に対象拡大

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」が1.15億円調達、公務員や有資格者団体に対象拡大

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」(エール)を手がけるAILLは8月18日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による1億1500万円の資金調達を発表した。今回は、今後のサービス拡大を見越し、朝日メディアグループ1号投資事業有限責任組合(朝日メディアラボベンチャーズ)、名古屋テレビ・ベンチャーズ)といったメディア企業からの出資を受けることで、マーケティング、PR戦略のさらなる実行を目指した。

またAillは、これまで700社超の法人が利用しており、今回公務員と有資格者団体を対象に拡げることとなった。現在、都道府県庁でも加盟準備が進められており、さらに出会いの機会が広がるとしている。企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」が1.15億円調達、公務員や有資格者団体に対象拡大

Aillは、ウェルビーイングが浸透する社会を目指し、幸福度の高いワークライフシナジーを実現する一助として、公的・私的承認が満たされる重要性に着目。公的承認は仕事やボランティアなどの社会活動によって得られるものの、未婚率の上昇に裏付けられるように、仕事を頑張ることでプライベートの時間・出会いの機会が少なくなり、パートナーシップや家族との関りによって得られる私的承認が満たされにくいという状況が課題となっているという。

そんな時代に一石を投じるサービスとして、Aillは、勤務先企業を通じて審査を受けた安心・安全なユーザーが集まるコミュニティを形成し、AIが出会いとコミュニケーションに伴走することで、信頼をともに育むライフパートナーの縁結びを提供しているという。

 

アフターコロナでもバーチャルオフィス業界で独自の地位を確立しようとするNooks

分散したチームをターゲットにしたバーチャルワークスペースの空間を提供するNooksは、1年間のベータ運用を経て、数千人のユーザーを魅了し、ベンチャーキャピタルから数百万ドル(約数億円)の資金を引き寄せてきた。スタンフォード大学の学生が率いるこの有望なスタートアップがこのたび、シードラウンドでの500万ドル(約5億5000万円)を調達している。ラウンドを主導したのはTola Capitalで、出資者にはFloodgateの他、EventbriteのCEOであるJulia Hartz(ジュリア・ハーツ)氏と同会長のKevin Hartz(ケヴィン・ハーツ)氏、Awesome People Venturesの創業者Julia Lipton(ジュリア・リプトン)氏が名を連ねている。

この資金調達は「バーチャルオフィス」の領域で事業展開する企業に賭ける投資家のさらなる中核グループの兆候を示している。つまり、分散した従業員たちがZoomを卒業し、生産性とゲーミフィケーションを念頭に置いて作られた「メタバース」へと進む準備ができていると考える、スタートアップ数十社を含むコホートだ。ケヴィン・ハーツ氏が仮想HQ事業に投資したのは今回が2度目で、最初はGatherへの投資だった。現時点では、Sequoia Capital、Andreessen Horowitz、Menlo、Battery Ventures、Index Ventures、Y Combinator、Homebrew、Floodgateの各社が、それぞれ別のバーチャルオフィススタートアップに出資している。

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言い換えれば、投資家が資金を投入していてもなお、Nooksは資金調達に対して難しい仕事を抱えているということだ。

Nooksは2020年5月、スタンフォード大学の学生Daniel Lee(ダニエル・リー)氏、Rohan Suri(ローハン・スーリ)氏、Nikhil Cheerla(ニキル・チェルラ)氏、そしてRensselaer Polytechnic Institute(レンセラー工科大学)のAndrew Qu(アンドリュー・クー)氏によって設立された。予期せずにリモートワークの世界に飛び込んできた他の大半の人々と同様に、スタンフォードの学生3人組は学校や授業でZoomがもたらす疲労を体験した。彼らはほどなく、よりパフォーマンスの高いチームや同じ考えを持つコミュニティが一緒に仕事を楽しむことができる空間を作る必要性を感じた。

共同創業者たちは最初に、Nooksをスタンフォード大学内で試験運用し、夏のバーチャル授業の魅力的なレイヤーとして教員支援用に提供した。Nooksの初期のユースケースは、オフィスでの時間や宿題パーティーの様相を呈していた、とリー氏は語っている。学校で試験運用を行っていたNooksはその後、分散したチームの業務支援に注力するようになったが、その精神は一貫している。

「会議のような束の間の空間ではなく、より自然発生的なつながりを作ることができる場所を提供する、永続的な空間が必要です」とリー氏は語る。

Nooksの求心力の要素

ユーザーがNooksにアクセスすると、Slack風のインターフェイスが表示される。ただし、左側にあるチャンネルのパネルの代わりに、従業員は「スペース」への参加に招待される。各スペースの用途は、デスク周りのモックアップからビーチでのくつろぎ、企画や考案のハドルにいたるまで、さまざまだ。また、コードに現れるバグを取り除くための専用スペースが設けられている。プラットフォームへの最初の参入時点で、NooksのUXは他の競合他社とは一線を画していた。BranchやGatherのような企業は、生産性要素を備えたビデオゲームのような印象だが、Nooksはアバターのような雰囲気をまったく感じさせず、TeamflowTandemに近づいている。同社はビデオAPIを利用して、各ユーザーが小さなスペースを利用できるようにしている他、Googleドキュメント、YouTube、Asana、GitHubなどのプラットフォームとの統合も追加している。

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画像クレジット:Nooks

共同創業者であるスーリ氏によると、同社は会話の促進を図るために、クリック数を増やすことなく、よりシンプルな美意識を追求するようにしたという。

「誰かと話をするにあたって、ビデオゲーマーになる必要があるとは、私たちは考えていません。自分のアバターが周囲に存在し、会話をする相手に歩み寄るようなものです」とスーリ氏はいう。「部屋の中にいる彼らを見つけて、その部屋に入るのと同じくらい簡単であるべきです」。

画像クレジット:Nooks

当然のことながら、同社はそのシンプルさと魅力的な環境のバランスを取ることに力を入れており、スペースやBGMのカスタマイズもその一環だ。プレゼンテーションの最中に仲間同士が会話できる「ささやき機能」や、Nooksがトップセラーのリーダーボードを作成するバーチャルセールスフロア、アイデアの相互交流を促進するコワーキングスペースなどがある。

シンプルさは、自発性を犠牲にしてしまうこともある。他のバーチャルオフィスプラットフォームが空間的広がりのあるオーディオを使って「一過性」の感覚(他の同僚の近くにいるときは主張の声が大きくなり、離れているときは寡黙になる)を作り出しているのに対して、Nooksは、そのシンプルさを常に「ワンクリックで誰とでも話ができる」という目的で創出することで、即興のコラボレーションとカジュアルな会話を促進している、とリー氏はいう。

摩擦のないコミュニケーションは重要な機能だが、Nooksの唯一の求心力要素ではないようだ。SlackやHangouts、さらにはTwitterのDMのようなプラットフォームでは、ユーザーが誰かとコミュニケーションするのに必要なのはワンクリック(最大でも2クリック)だけである。いうまでもなく、Slackは自発性とライブコミュニケーションを中心とした一連のコミュニケーションツールをリリースしている。

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それでもNooksには現在、スタンフォード、Embroker、Workatoなどのチームや組織による、毎週何千人ものアクティブユーザーが存在する。同社によると、Nooksを利用するチームは1日平均6時間をNooksのプラットフォームに費やしているという。

ハイブリッドワークのバーチャル成長の難しさ

世界各地でパンデミックが収束するにつれ、Nooksのようなスタートアップは、リモートワーク中心の長い期間に及ぶ対応を経て、ハイブリッドチームの復帰に適応する方法を見つける必要があるだろう。これらのスタートアップにとっての新たな課題は、新しい仕事の文化にうまく組み込むためにどのように自らを位置づけるかである。

そして、近接性バイアスによってそれが難しくなる可能性もある

近接性バイアスとは、バーチャルで働く従業員よりも、対面で働く従業員の方が高く評価されるという考え方だ。ハイブリッドが大規模に成功するのを難しくしている現実の1つは、従業員のグループがオフィスに出向くことができるという理由だけで、より重要な存在として位置づけられたり、高く評価されたりすると、公平性が損なわれることだ。

バーチャルワークスペースのスタートアップ、特に職場の文化をオンライン化したいスタートアップは、在宅勤務者とオンサイト勤務者を誤って分断してしまう可能性がある。分断化は、少数民族や女性を含む、歴史的に見過ごされてきた個人に不相応な影響を与えてしまう。顕著なことに、現在のバーチャルオフィスのほとんどが男性によって構築、運営、資金提供されている。

近接性バイアスへの対処方法について尋ねると、リー氏は「リモートの従業員とより頻繁に、流動的でカジュアルな会話をすることで、チームの他のメンバーとより強い絆を築くことができます」と説明した。当然のことながら、バーチャルオフィススタートアップの多くは、オフィスにいる全員を同じデジタル世界に連れてくることを通して近接性バイアスの解消に乗り出したものだ、という主張もあるだろう。

最終的には、プレイフィールドを平等にするには積極的な意図が必要になる。スタートアップはどうすれば、会議室Aでの自然発生的な対面でのスタンドアップミーティングにバーチャルオフィスの従業員がアクセスできるようにすることができるだろうか。プラットフォームはどのようにして従業員に、場所に関係なく、意見を出したり、反対意見を述べたり、会議後の冗談を共有したりする機会を与えるだろうか。アバターは、拍手や親指を立てる以外にも、物理的なヒントを与え始めることができるだろうか。

私はこれらの機能が、長期的に見てバーチャルオフィススタートアップのムーンショットであり、サバイバルハックであると確信している。

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

Spotifyが1100億円を投じて自社株購入へ、なぜ?

音楽ストリーミングサービスのSpotify(スポティファイ)は現地時間8月20日、これから2026年4月21日までの間に最大10億ドル(約1100億円)を投じ、自社株を買い戻すと発表した。金額は同社の時価総額の2.5%弱に相当する。同日午前の同社の時価総額は410億6000万ドル(約4兆5160億円)。自社株買いのニュースを受け、株価は5.1%上昇した。

同社は以前、2018年にも同様の買い戻しプログラムを実施した

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公開企業が現金の一部を使い自社株の買い戻しを行うことは、何も新しいことではない。Apple(アップル)、Alphabet(アルファベット)、Microsoft(マイクロソフト)など、多くの公開企業が積極的な自社株買いプログラムを実施している。成熟した企業や成熟に向かう企業が、バランスシートの一部やフリーキャッシュフローの一定割合を自社株買いに充てることはよくあることだ。

こうした取り組みの目的は株主に現金を還元することだ。自社株買いは配当と並び、企業が株主に報いるための重要な手段である。また、企業は自社株を購入することで、個々の株式の価値を高めることができる。流通する株式数を制限することで、企業の株式数は減少し、その結果、理論的には1株あたりの価値が上昇する。1株あたりの企業の所有権の割合が増えるからだ。

Spotifyの株式は、過去1年間で1株あたり387.44ドル(約4万2600円)という高値で取引されてきたが、現在は本日の上昇分を含めても215.84ドル(約2万3700円)の価値しかない。その意味では、同社が現金を投入して自社株の買い戻しを行うことは理に適っていると言える。

しかし、上場したばかりの企業に余剰現金をどうするつもりかと尋ねても、通常、自社株買いという答えは返ってこない。例えば、TechCrunchはRoot Insurance(ルート・インシュアランス)のCEOであるAlex Timm(アレックス・ティム)氏に、最近の2021年第2四半期決算の後、手元現金で自社株を購入するつもりか聞いてみた。同社の株価はここ数カ月で下落しており、おそらく自社株買いによって株主に報いるには魅力的な時期だ。ティム氏はその考えを否定し、同社は長期的な視点で事業を展開しているのだと話した。それはこういう意味だ。現金を株主還元ではなく成長のために使う。

しかし、Spotifyは依然として成長企業ではないのだろうか。確かに、同社の価値は利益が重視された上で評価されているわけではない。例えば、2021年上半期、45億ユーロ(約5760億円)の売上高に対し、純利益はわずか300万ユーロ(約3億8400万円)だった。

もしSpotifyがまだ成長に力を入れる企業であるなら、独占的なポッドキャストのようなものへの投資に備え、資本を温存すべきではないだろうか。そうすれば、将来的に価格決定力を握ることができ、時間の経過とともにより強い売上高の成長と粗利益が可能になるかもしれないのだ。

その問いに答えるには、同社のバランスシートを確認しておく必要があるだろう。2021年第2四半期の業績から主要な数字を紹介する。

  • Spotifyは第2四半期を「31億ユーロ(約3970億円)の現金および現金同等物、制限付き現金、短期投資」とともに締めくくった。
  • また、第2四半期において、3400万ユーロ(約43億5000万円)のフリーキャッシュフローを生み出した。この数字は「一部のライセンサーへの支払い(第1四半期より延期)、ポッドキャスト関連の支払い、広告関連の売掛金増加にともなう運転資本増加」にもかかわらず、前年同期比で700万ユーロ(約9億円)増加した。

簡単に言えば、Spotifyが長期的に粗利率、ひいては純利益率の向上に重要だと一般に理解されている取り組みに資金を使っているにもかかわらず、同社はなお現金を投げ出すのだ。世界的に見て現金や同等の資産の価格が下がっているため、銀行口座に莫大な金額があってもほとんど稼げない状況の中、同社は資金の一部を自社株買いに充てる。

今後数年間で10億ドル(約1100億円)を投じても、同社のキャッシュポジションが大きく損なわれることはない。実際、同社は非常に豊富な現金を保有している。だがこの動きは、同社のバリュエーションを維持し、投資家を満足させるのに役立つかもしれない。さらに、最近の市場の評価より大幅に割り引いた金額で株式を購入するため、同社が自社事業の価値に長期的な信頼を置いていることを考えれば、ほぼ得をする結果となるのかもしれない。

現時点でのより良い質問は、株主のために富の一部を切り離すことを決めたSpotifyが奇妙な会社なのかどうかではなく、そこそこのキャッシュフローと肥大した銀行口座を持つ、損益分岐点に近いハイテク企業がなぜ同じことをしないのか、というものだろう。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターがプロフィール欄にRevueのニュースレターを掲載するテストを開始

Twitter(ツイッター)は2021年1月、ニュースレターのプラットフォームであるRevue(レヴュー)を買収したが、これまでTwitterへの統合は最小限に留まっていた。例えば、Twitterのスレッドを書こうとしたときに、ニュースレターのツールについて伝える「Hello, wordsmiths」というメッセージが表示されるのを目にしたことがあるだろう。

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米国時間8月19日より、TwitterはRevueのニュースレターをTwitter体験の中でより目立たせる機能のテストを開始する。ウェブやAndroidを使用している一部のTwitterユーザーは、ライターのプロフィール上で、Revueニュースレターがフォロワー数の下に表示されるようになる。「subscribe(保存する)」をクリックすると、サンプルを読むか、Twitterアカウントに登録されているメールアドレスで購読するかを尋ねるメッセージが表示される。Revueによると、この機能は近日中にiOSでも導入される予定だという。

今日、私たちはあなたのTwitterプロフィールから直接Revueのニュースレターを購読できる機能のテストを開始します。

この機能は、すべてのRevueクリエイターがすぐに利用できます。ただし、最初はTwitter上のテストグループにのみニュースレターは表示されます。

ニュースレターの市場は活気づいている。Medium(ミディアム)とQuora(クォーラ)は最近、新たな収益化の仕組みを発表した。Substack(サブスタック)は現在6億5000万ドル(約713億円)の評価を受けており、Facebook(フェイスブック)はBulletin(ブレティン)を起ち上げ、派手なニュースレターを配信している。Tumblr(タンブラー)さえも有料購読の文章で収益を上げようとしているものの、そのユーザー層はあまり歓迎していない。Twitterのプロフィールに目立つように組み込まれたことで、Revueも勢いを増すかもしれない。

RevueのライターであるJewel Wicker(ジェウェル・ウィッカー)氏は「私がRevueのプラットフォームに乗り換えた理由の1つは、私のニュースレターとTwitterのフィードをリンクさせることで、フォロワーが簡単に購読できるようになる可能性があったからです」とツイートしている。「今回、その展開が始まったことをうれしく思います」。

Revueはクリエイターの収益の5%を受け取る。さらに処理手数料として標準2.9%プラス0.30ドル(約33円)が請求される。つまり、誰かがあなたのRevueニュースレターを5ドル(約550円)で購読した場合、あなたは4.30ドル(約470円)を受け取ることになるというわけだ。これに対し、Substackでは作者の収益の10%プラス処理手数料を取っている。

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画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

不動産業務支援SaaS「いえらぶCLOUD」で1区画内の複数物件を扱える「多棟連動」がリクルート「SUUMO」に対応

不動産業務の総合支援SaaS「いえらぶCLOUD」が複数の売買物件・土地を多棟物件として不動産ポータル「SUUMO」に1クリックで掲載可能に

いえらぶGROUPは8月19日、不動産業務の総合支援SaaS「いえらぶCLOUD」において、リクルート運営の不動産ポータルサイト「SUUMO」への売買物件の多棟連動を開始したと発表した。

いえらぶCLOUDは、物件情報や広告の管理をはじめ、チラシや書類の作成から業務分析まで一気通貫で行えるという不動産業務向けクラウドサービス。

不動産会社が不動産ポータルサイトに物件を掲載する際、各媒体の広告掲載ルールに従ってそれぞれの管理画面で情報を入力する必要があることから、いえらぶCLOUDでは、一度入力した物件情報を一括で複数の媒体に連動させる「物件連動」機能を採用している。

また1つの区画に含まれる複数の売買物件・土地を多棟現場としていえらぶCLOUDに登録しておくと、不動産ポータルサイトに対してワンクリックで多棟物件として掲載できるほか、売買物件の多棟連動が可能になる。

いえらぶCLOUDの物件連動機能は30以上の不動産ポータルサイトに対応しており、SUUMOにおいても利用したいというニーズの高まりを受けたことから、今回のリリースに至ったという。

不動産業務の総合支援SaaS「いえらぶCLOUD」が複数の売買物件・土地を多棟物件として不動産ポータル「SUUMO」に1クリックで掲載可能に

いえらぶCLOUDの物件連動機能は、データベース内の全国の物件から公開情報を検索して物件情報を入力する「らくらく物件入力」、各ポータルサイトの仕様に合わせたコメントをAIが自動入力する「コメント自動生成機能」、AI画像認識により物件画像を自動でカテゴリー分けする「AI画像カテゴリ判定」などを利用できるという。

さらに、各ポータルサイトの広告掲載ルールや、不動産公正取引協議会連合会の定める「不動産の表示に関する公正競争規約」(不動産広告のルール)、「不動産業における景品類の提供に関する公正競争規約」に準拠した広告掲載ができているかを自動でチェック可能としている。

不動産業務の総合支援SaaS「いえらぶCLOUD」が複数の売買物件・土地を多棟物件として不動産ポータル「SUUMO」に1クリックで掲載可能に

いえらぶGROUPは「ITを使って不動産会社の業務を効率化する」「誰もが快適に住まいを探せる環境をつくる」という使命のもと、2008年に設立した不動産×ITサービスの運営会社。いえらぶCLOUDは1万2000社以上の不動産会社が利用しているという。また、近年深刻化する「空き家問題」に取り組むメディアの運営や、「おとり広告」を未然に防ぐ独自機能の開発などを通して、住まい探しをサポートしている。

ツイッターがダイレクトメッセージのシステムにいくつかの改善を実施

おもしろいツイートをTwitter(ツイッター)のDMで数人の友人と共有しようとしたとき、誤ってグループチャットを始めてしまったことはないだろうか?それはあなただけではない。

Twitterは米国時間8月19日、そのダイレクトメッセージのシステムに、Quality of Life(生活の質)を向上させるいくつかの改善を、今後数週間にわたって導入していくと発表した。それらの中には、一度に複数の人に向けて、個別の会話の中でDMを送る機能などが含まれる。研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏は2021年7月、Twitterがこの機能に取り組んでいることに気づいた。

今後数週間に、いくつかDMの改善が行われます。

ツイートの共有がより簡単になったり、会話中のナビゲーションが改善されたり、他にもいろいろと……

複数の人にツイートをDMで送ろうとしたときに、誤って(気まずい)グループチャットを始めてしまうことはもうありません。同じツイートを最大20件のDMで個別に送れるようになりました。

iOSとウェブでは導入されています。Androidでも間もなく導入予定です。

Twitterサポート

このアップデートの潜在的なマイナス面は、より多くのスパムを招いてしまう可能性があることだ。一度にメッセージを送れる相手は20人までだが、それでもかなりの人数になる。そしてメッセージを受け取った人は、それがグループ送信されたスパムかどうか、判断できない。個々のDMは、1対1のプライベートなメッセージのように見えるからだ。

Twitterによると、Androidユーザーがこの機能を利用できるようになるまでには、iOSやウェブ版よりも少し長く待たなければならないとのこと。現時点ではそれがいつになるかはわからない。過去にはiOS向けアプリに採用されたDMのアップデートが、Android版に導入されるまで何年もかかった例があるからだ。しかし、これは気休めかもしれないが、DMの会話中に上へスクロールしていった際に、下矢印ボタンを押すことでクイックスクロールし、最新のメッセージに戻ることができる機能は、AndroidとiOSの両方に導入されている。

TwitterのDMに関する他の2つの改善は、今のところiOSのみで展開されている。1つはメッセージが日ごとにグループ化されるようになるというもの。個々のDMには依然としてタイムスタンプが付与されるが、Twitterはこの変更により「タイムスタンプの乱雑さが軽減される」と述べている。

そしてもう1つの改善は、iOSユーザーはDMの中で、メッセージをダブルタップするほか、長押しするだけで「リアクションの追加」メニューにアクセスできるようになった。また、友人のメッセージを長押しすると、自分のアカウントでのみメッセージを削除したり、メッセージを報告したり、テキストをコピーしたりするオプションが表示される。

画像クレジット:Twitter(screenshot by TechCrunch)

また、Twitterは同日、Revue(レヴュー)が配信するニュースレターをユーザーのプロフィールに表示する機能のテストを開始することも発表した(Twitterは2021年初めにこのニュースレターのプラットフォームを買収している)。

Twitterは先週、より顕著なUIのアップデートを公開したが、アクセシビリティの専門家は、これによってかえって見づらくなったと指摘。このアップデートから2日経たないうちに、Twitterはボタンのコントラストを変更し、Windows上で独自フォントのChirp(チャープ)に問題があることを確認した。

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画像クレジット:Nina Riggio / Bloomberg / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)a

ユーザーの声紋と顔紋を収集するTikTokの危険な計画に上院議員が「待った」

ユーザーの生体データを収集するTikTok(ティックトック)の計画は、米国議員らの懸念を呼びおこし、収集する情報の詳細とデータの利用計画を正確に公表するよう要求されている。

2021年8月初めにTikTok CEO Shou Zi Chew(周受資)氏宛に送ったレターで、上院議員のAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)氏(民主党・ミネソタ州選出)とJohn Thune(ジョン・スーン)氏(共和党・サウスダコタ州選出)は「ユーザーが投稿したビデオ・コンテンツから身体的、行動的特徴を含む生体データを自動的に収集」を可能にするTikTokによる最近のプライバシーポリシー変更に不安を感じていることを訴えた。

TechCrunchは2021年6月、新プライバシーポリシーの詳細を最初に報じた。その時TikTokは「顔紋(Faceprint)と声紋(Voiceprint)」を収集するために法律で「必要な認可」を取得しようとしていると語ったが、それが連邦法なのか州法なのかその両方なのかは説明しなかった(米国で生体プライバシー法があるのはイリノイ州、ワシントン州、カリフォルニア州、テキサス州、ニューヨーク州などごくわずかな州のみ)。

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クロブシャー氏とスーン氏のレターはTikTokに対し「顔紋」と「声紋」の内容と、このデータがどのように使用され、いつまで保持されるのかを明確に説明するよう要求している。さらに両上院議員は、18歳未満のユーザーのデータを集めるのか、収集した生体データに基づきユーザーに関して何らかの推測を行うのかを問い、データをアクセスできる全サードパーティーのリストを提出するよう求めた。

「新型コロナウイルスのパンデミックで増加したオンライン活動によって、消費者のプライバシー保護の必要性は増大しています」とレターに書かれている。「これはTikTokのアクティブユーザーの32%以上を占め、友だちや大切な人とのやり取りやエンターテインメントやをTikTokなどのオンラインアプリケーションに頼っている子どもたちやティーンエージャーにとっては特にそうです」。

TikTokは議員らの質問に答えるために8月25日まで猶予を与えられている。TikTokの広報担当者はすぐにはコメントしなかった。

TikTokの過度なデータ収集計画が監視対象になったのはこれが初めてではない。2021年2月、TikTokがユーザーの生体データを違法に収集してサードパーティーに提供したと主張する集団訴訟で同社は9200万ドル(約100億9000万円)の示談金を支払った。これ以前にTikTokは、アプリが未成年のデータを収集するためには親の許可を必要とする児童オンライン保護法(COPPA)に違反したことで2019年にFTC(連邦取引委員会)から570万ドル(約6億3000万円)の罰金を課された

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画像クレジット:Greg Baker / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Nob Takahashi / facebook

​​​​アダルト系SNSのOnlyFansのポルノ禁止は暗号資産決済にとって千載一遇のチャンスとなる

米国時間8月19日、​​​​アダルト系SNSとして知られるOnlyFansは、2021年後半に「性的に露骨なコンテンツ」をアプリから禁止するという大規模な爆弾発言をした。OnlyFansは、アダルトコンテンツ業界を完全に破壊し、パフォーマーが購読料を通じてファンと直接つながれるようにすることで、パフォーマーにさらなる独立への道を与えていましたが、これは明らかに大きな変化だ。今回の閉鎖は、暗号業界にとっては千載一遇のチャンスでもある。暗号業界は、今回の閉鎖と、消費者に優しい暗号資産決済インフラが次々と登場する流れを利用して、決済業者の影響を受けても崩壊しないプラットフォームを作ることができる。

関連記事:アダルト系SNSのOnlyFansが「職場安全」なアプリを宣伝、約1098億円超の評価額で資金調達目指す中

OnlyFansは、ユニコーン企業の評価額で資金調達をしようとしており、巨額の収益を上げているにもかかわらず多くの問題を抱えているが、今回の根本的な変更の理由については明言していない。OnlyFansのニュースに関する声明では「これらの変更は、我々の銀行パートナーおよびペイアウトプロバイダーの要求に応じるためのものです」と述べられている。

大衆文化の中で、セックスワークやアダルトコンテンツに対する風当たりが強くなっているにもかかわらず、銀行機関は基本的に保守的で、これらのプラットフォームを経由して流れる資金を扱うことに慎重になっている。

プラットフォームを運営する企業の多くは、ある日突然、プラットフォームが金融機関の支持を失い、すべてを失ってしまうかもしれないという不安を常に抱えている。その一方で、多くのベンチャーキャピタルは「悪徳条項」によって、これらの分野での活動を禁じられており、これらのプラットフォームが成長資金を得ることができないようになっている。アダルトコンテンツのプラットフォームが、これらの金融機関と友好的な関係を築くことができないのは明らかであり、プラットフォームとそれを利用するクリエイターたちが前進する時期がきているのだろう。

多くの意味で、OnlyFansがポルノを捨てたことは、クリエイターのネットワークに対する明白な裏切りのように見える。クリエイターたちは、自分たちの後にどんな模倣者を受け入れる際に必ず覚えているだろう。支払いプロバイダーの行き詰まりにどう対処するかについて懐疑的になる可能性が高いが、野心的なプラットフォームが成長しても、これまでと異なる結果にはならないだろう。クリプトネイティブなプラットフォームではまた別の状況になる可能性も高いが、普及率が低いことを考えると、ファンがコンテンツへの支払い方法を知らない可能性のあるプラットフォームを採用することは、クリエイターにとって大きなリスクとなる。

ポルノ業界は、ゆっくりではあるが、暗号資産による支払いを受け入れている。2018年、Pornhubは初めて暗号資産による支払いの受け付けると発表した。2020年に話を進めると、VisaとMastercardはこのプラットフォームを捨てため、現在では暗号資産による支払いとACH送金が、唯一のプレミアムサブスクリプションサービスの支払い方法になっている。この分野には、CumRocketやSpankChainなど、ニッチな視聴者を対象とした暗号プラットフォームのプレイヤーがすでにいくつか存在しているが(おそらくリブランディングが必要)、OnlyFansのような絶対的な存在がいなくなったことで、既存プレイヤーや新興プレイヤーが革新を起こしてこの市場を獲得する余地が実際にあるかもしれない。

本当の課題は、従来のウェブ決済構造が非常に合理化され、無料のアダルトコンテンツが相変わらず大量に提供される中で、規制ガイドラインに準拠しながら、新しいプラットフォームと最初の暗号ウォレットの両方に新規ユーザーを簡単に組み込めるようにすることだ。暗号資産購入を検証するためにパスポートや運転免許証をアップロードするようユーザーに求める顧客(KYC)のガイドラインは、おそらく新しい暗号資産ポルノサイトを求める最も簡単なオンボーディング要求ではない。しかし市場が少し成熟し、最初のウォレットを設定するユーザーの課題がプラットフォームのオンボーディングプロセスから切り離されると、実現すべき多くの利点が出てくる。

ポルノは、常に新しいテクノロジーの発射台のようなものだ。ここ数カ月で暗号資産の人気が急上昇し、総資産が2兆ドルを超えようとしているが、人々が実際に使用しているアプリでの暗号資産普及率は極めて低いままだ。暗号資産の購入や送信を簡略化することを目的とした新しいソリューションやスタートアップが登場していることから、OnlyFansの撤退で空いた空白を埋めて、暗号資産に全面的に取り組むより革新的なプラットフォームを構築するために、ポルノ業界が最適な場所にいる可能性があるように思う。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)

デジタルツイン関連技術・サービスを展開する企業をまとめた「デジタルツイン 業界カオスマップ」2021年8月版

  1. デジタルツイン関連技術・サービスを展開する企業をまとめた「デジタルツイン 業界カオスマップ」2021年8月版公開

デジタルツインプラットフォームの開発・提供を行うSymmetry Dimensions(シンメトリー・ディメンションズ)は8月19日、2021年8月版「デジタルツイン 業界カオスマップ」を発表した。

2014年10月設立のSymmetry Dimensionsは、空間・都市向けデジタルツイン構築およびプラットフォーム開発を行う企業。空間や都市における人流・交通・IoT・BIM/CIMなど様々な種類のデータをプラットフォーム上で統合・解析することで、誰もが簡単にデジタルツイン上での仮説・検証・計画を行うことを可能にするとしている。

デジタルツインとは、物理空間に存在する場所や事象について、IoTデバイスなどを用いてデータ化しデジタル空間上に再現することで、分析・予測などを可能にする技術。データを活用した業務の最適化を行う方法として、製造業や建設業、スマートシティなど様々な分野での活用に注目が集まっているという。

同社は、2021年8月版「デジタルツイン 業界カオスマップ」とともに、デジタルツインの市場動向およびテクノロジーのうち、特にトレンドとなっている注目すべき重要なキーワードを解説している。

「オープンデータ」の加速

デジタルツインやスマートシティを構築する基盤として、世界中の国や自治体でオープンデータ化の取り組みが加速している。米国政府機関や州・都市などが保有する公共データを一元的に管理提供する「Data.gov」では、2009年の発足当初47件だったデータが、現在では6570倍の約31万件に増大。日本国内では2021年3月に公開された国土交通省の3D都市モデル「Project PLATEAU」(プロジェクト・プラトー)、静岡県の3D点群(Pointcloud)データベース「Virtual Shizuoka」など、3Dデータを中心としてオープンデータ化が進んでいる。

「製造」「建設」業界が先行するデジタルツイン

従来から3Dデータを利用していた製造・建設業界は、デジタルツイン化への対応も早く、これらのニーズに応じたデジタルツイン構築やサービス提供を行う企業が増加している。また、製造業界では自社開発でシステム化を進める企業が多く見られる一方、建設業界では外部テクノロジー企業との協業によるシステム化を進める傾向にある。建設業界においては、今後もスタートアップをはじめとした様々な企業からデジタルツイン開発への参入が活発になるとしている。

業界を横断した「汎用型」プラットフォーム(Cross-Industry)

スマートシティに代表される都市型デジタルツイン領域では、業界を横断した汎用型のデジタルツインプラットフォームが登場。これは、IoTセンサーの普及による現実空間のデータ収集が増大したこと、iPhoneをはじめ身近な製品がLiDARセンサーを採用するなど現実世界をデータ化する流れが加速していることで、従来は3Dデータを使用していなかった企業においてもデジタルツインの構築・利用が可能になってきたためという。

「マルチエクスペリエンス」

デジタルツインの活用では、企業や組織のあらゆる関係者が、場所を問わず、より迅速に現在の状況を把握・共有し、次の行動につながる意思決定を行う必要があるという。Symmetry Dimensionsは、そのためウェブブラウザー・スマートフォン・xR(拡張現実、複合現実)を組み合わせたマルチエクスぺリンス化が加速するとしている。ウェブブラウザーを基点としたクラウドベースのデジタルツインプロダクトは今後さらに増大するという。

デジタルとフィジカルの双方向での共有・連携

現実空間の位置情報に基づき、永続的に情報を保存し、ユーザー間での共有を可能にする技術である「AR Cloud」の進化と、コロナ禍により、あらゆる業務の「デジタルファースト」のプロセスが加速し、デジタルツインと物理空間の双方向でのデータ共有・連携が進むという。これによりデジタルツイン上で行われた意思決定の迅速な現場への反映と、最適化された従業員エクスペリエンスを提供をするようになるとしている。

NetflixがiPhoneとiPadで空間オーディオ導入へ、同業他社に対抗

もしあなたがAirPods ProあるいはAirPods Maxを使っているのなら、モバイル端末でのNetflix視聴がこれまでよりもう少し投入感ある体験になる。Redditユーザーによる発見を受け、Netflix(ネットフリックス)は米国8月18日、iOS 14で動くiPhoneとiPadで空間オーディオのサポートを開始したと認めた。

Netflixはこの機能の導入でHBO Max、Disney+、Peacockのようなストリーミング競合他社の仲間入りを果たす。その一方で、Amazon Prime VideoやYouTubeといった人気のアプリはまだこの機能を取り入れていない。ただし、同機能はすぐには導入されない、とNetflixは述べた。アップデートのお知らせがきたユーザーはコントロールセンターで同機能のオン・オフができるようになる。

直近では、Appleが空間オーディオを売り込んでいる。同社は2020年に開かれたWWDC会議でAirPods Proで空間オーディオを利用できるようにすると発表した。そして2021年のWWDC会議では、追加料金なしでApple Music購読者に空間オーディオとロスレスオーディオでストリーミングを提供すると明らかにした。この機能の追加ではダイナミックヘッドトラッキングもサポートしており、頭の動きに応じてサウンドを調整する。Apple MusicアプリのAndroid版も空間オーディオとロスレスオーディオをサポートしている。2021年2月にSpotifyはハイエンドなサブスクSpotify HiFiを展開すると発表した。このサービスはロスレスオーディオが利用できるものだが、発表以来新たな動きはない。

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Netflixは7月、オリジナルの映画やテレビシーリーズに加えて、モバイルゲーミングにも取り組み始めたことを明らかにした。すでに「Black Mirror:Bandersnatch」や「Stranger Things」ゲームのようなプロジェクトでインタラクティブエンターテインメントを実験している。

「当社は、オリジナルの映画やアニメ、台本なしテレビなどへの拡大と同じく、ゲーミングを新たなコンテンツ部門ととらえています」と同社は四半期決算発表で述べた。

空間オーディオはビデオゲームプレイヤーの間で人気だ。なので、今回のアップデートでiPhoneとiPadでのビデオストリーミング体験が向上する一方で、おそらくゆくゆくは同様の機能が今後展開される同社のモバイルゲームでも利用できるようになる。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックが「最も人気のある投稿のランキング」を発表するも得るものなし

Facebook(フェイスブック)は、同プラットフォームで最も人気のある投稿をまとめたレポートを新たに発行した。最も実績のあるコンテンツに関して同社が意図的に曖昧にしているとする批判をかわすためだ。

Facebookの新たな「widely viewed content reports」(よく見られたコンテンツのレポート)は四半期ごとに公開され、米国で最も多く閲覧されたニュースフィード記事が3カ月ごとに反映される。これは最新トレンドの観察に役立つであろうリアルタイムのデータモニタリングではない。

この新たなデータによってFacebookは、同社のアルゴリズムがブラックボックスの中で動作しているとする批判と戦おうとしている。しかし、誤解を招くことの多いブログでの反論や、同社がシェアしてきたいいとこ取りデータと同じく、今回の透明性に対する会社のポーズは、ないよりはましだが有用とはいえない。

では、ここから何が「わかる」のか?新しいデータセットによると、2021年第2四半期に米国で人々が見た投稿の87%は外部へのリンクを含んでいなかった。これは注目には値するがあまり意味はない、なぜならFacebookには毎日のようにリンクをシェアしたり見たりしている驚くほど多くの人々がまだいるからだ。

YouTubeは予想どおり、Facebookの選んだ指標である「contents viewers」(コンテンツ・ビュワー)のトップだった。これはニュースフィードで何らかのコンテンツを見たアカウントという定義なので、あまり役に立つ詳細データとはいえない。Amazon(アマゾン)、Gofundme(ゴーファンドミー)、TikTok(ティックトック)などもトップ10に入っておりこれも驚きはない。

Facebookが最も見られたリンクを分析し始めると、事態はより奇妙になる。トップ5リンクには、NFLのフットボールチームであるグリーンベイ・パッカーズのOB向けウェブサイトや、大麻製品CBDのオンラインマーケットプレイス、クリスチャンがテーマのグラフィックTシャツの有名とおぼしきポータル、reppnforchrist.comなどが入っている。親トランプ陰謀論その他の偽情報を拡散していることで知られるサイトEpoch Times(エポック・タイムズ)の購読ページが10位にはいっているが、2匹のネコがしっぽを交差させて歩いているTumblr(タンブラー)のリンクには負けている。

画像クレジット:Facebook

Yahoo(ヤフー)とABC News(エービーシー・ニュース)は、この形でデータを切り分けたトップ20に入った唯2つの主要メディアだ。さらにFacebookは、期間中人々が最もよく見た投稿を、ほとんど無害だが奇妙なミームのリストに沿って分類した。例えば「もしあなたのVAGINA(ネコのエモジ)またはPENIS(ナスのエモジ)が、最後に見たテレビ番組や映画にちなんで名付けれたのなら、何になりますか」など。

なぜFacebookがこの方法を選んでデータを集計、表示したのか不思議に思っているなら、それはこの会社があることを証明しようと必死だからだ。つまり、同社のプラットフォームは見出しを賑わすような政治的陰謀論や物議を醸している右翼活動家に侵略されていない、ということ。

このデータセットは、FacebookのNew York Times(ニューヨーク・タイムズ)Kevin Rose(ケビン・ローズ)記者との長年の戦いにおける最新の議論だ。同氏はTwitterアカウントを作ってFacebookの最もエンゲージメントの多い投稿を毎日紹介しており、測定はFacebook傘下のソーシャルメディアモニタリングツールであるCrowdTangle(クラウドタングル)が行っている。

エンゲージメント(いいね!、コメント、シェア、クリックなど)指標でみると、Facebookの米国での成績上位記事は、極右活動家やNewsmax(ニュースマックス)のようにFacebookが距離を置きたいであろう選挙陰謀論推進サイトによって日常的に占められている。

Facebookは、最もインタラクションの多い投稿は同プラットフォーム上のトップコンテンツを正確に表してはいない、と主張する。ある投稿を何人が見たかを測定するリーチデータの方が優れた測定基準だとFacebookは断言するが、エンゲージメントデータが同様あるいはそれ以上に有効でないという理由はない。

「最も多くの人に見られたコンテンツが、最も多くのエンゲージメントを得たコンテンツでもあるとは限りません」とFacebookは書いている。明らかにローズ氏への当てこすりだ。

会社はプラットフォーム全般において政治的コンテンツを目立たせたくない。ロシア偽情報の拡散、凶暴な極右民兵、1月に米国議会議事堂で死者を出す暴動を起こすきかっかけとなったStop the Steal(選挙泥棒を阻止せよ)運動など、これまでの歴史を踏まえれば驚くことではない。

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The New York Timesが以前報じたように、Facebookは同社のリーチデータを公開ダッシュボードで広く公開する計画を中止したことがある。「そのバージョン」のトップ投稿でさえ、状況を正しく反映しないことを恐れたためだった。

代わりに会社はそのデータのテイストを、紛らわしく凝縮された四半期レポートにして提供することを選んだ。その結果は不可解なジャンクコンテンツ(いや本当に、パッカーズのサイトが何なのだ?)ばかりで政治に関するものはない。Facebookの透明性に関するぞんざいな態度はともかく、Facebookが最も人気のあるコンテンツのより深淵で幅広いランキングを人々に見せることを妨げる理由はなにもないことは覚えておく価値がある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookSNS

画像クレジット:Sean Gallup / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターが改定されたAPIにTwitterスペースのサポートを追加

Twitter(ツイッター)は、新たに改定されたAPIに変更を加え、サードパーティーデベロッパーがオーディオチャットルームサービスのTwitterスペース専用のツールやソリューションを開発できるようにする。米国時間8月18日、同社はTwitter API v2にTwitterスペースをサポートする新しいエンドポイントを追加する。初期の目的はライブまたはスケジュールされたスペースを発見できるようにすることだ。後のAP改定によって、スペースのホスト向けツールをさらに開発できるようになるかもしれない。

2020年同社は、全面改訂されたAPIを公開し、その目標は自社のデベロッパープラットフォームを刷新するとともに、Twitterの新機能をすぐにサポートしやすくなることだった。今回のTwitterスペースをサポートする新APIはその計画の一環だ。

このAPI改定によってTwitterは、ユーザーが(Twitterの中でも外でも)スペースを見つけやすくなる新製品をデベロッパーが開発できるようになることを期待している、と同社はいう。こうしてTwitterスペースを利用しやすく、オーディオチャットを多くの人に普及させることは、ますます競争の激しくなるオーディオベースSNSの世界でTwitterが地位を築く一助になるかもしれない。現在Clubhouse(クラブハウス)と戦っているのはTwitterスペースだけではない。オーディオチャット体験は、Facebook(フェイスブック)、Discord(ディスコード)、Reddit(レディット)、Public.com(パブリック・ドット・コム)、Spotify(スポティファイ)他いくつかの小規模ソーシャルアプリも提供している。

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Twitterによると、デベロッパーは新たにSpaces lookupとSpaces searchという2つのエンドポイントを使えるようになり、ライブあるいはスケジュールされたスペースをSpaces ID、user IDあるいはキーワードなどの条件を用いて検索できる。Spaces lookupは、スペースに関連付けられた公開のメタデータと属性データを探すこともできる。参加者数、スピーカー数、ホストのプロフィール情報、使用されている言語、開始時刻、予定開始時刻、作成時刻、ステータス、およびスペースにチケットがあるかどうかなどだ、とTwitterがTechCrunchに話した。

どのTwitterスペース機能を最初にAPIに組み込むかを決めるにあたり、Twitterがデベロッパーと話したところ、ユーザーが興味のあるスペースを見つけ、参加するためのリマインダーを設定する手助けができる機能が欲しいと言われたという。自分のオーディオチャットがどのくらいうまくいっているかをスペースのホストがわかる仕組みも欲しいともデベロッパーはいう。しかし、そのようなオプションのほとんどは今回のAPI改定ではまだ利用できない。Twitterは他の機能を「検討している」とだけ語った。デベロッパーが自社製品にリマインダーを組み込む機能やAPIで利用できる属性値を見る機能、分析ダッシュボードを作れる機能などだ。

こうしたその他のエンドポイントのアイデアは、Twitterのデベロッパープラットフォームロードマップにもまだ載っていない。

Twitterは、デベロッパーがTwitterスペースのスタンドアロンクライアントアプリを作れるAPIエンドポイントを作る計画はなく、デベロッパーコミュニティも興味を示していないからだとTechCrunchに語った。

何人かのデベロッパーが、TwitterのスペースチームのDaniele Bernardi(ダニエル・バーナーディ)氏が毎週ホストしているスペースに参加しており、すでに今後のアップデートのヒントを得ていた。現在v2 APIを利用できるデベロッパーは、今日から新しいエンドポイントを使った開発を始められるが、今すぐ新しい体験を公開できるデベロッパーはいない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNSTwitter Spaces音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpotifyがラジオDJ風の番組フォーマットを拡大「Music + Talk」としてグローバル展開、日本でも利用可能

Spotify(スポティファイ)は2020年秋、音楽とスポークンワードコメンタリーを組み合わせた新しいフォーマットを導入した。これによりクリエイターは、再生しようとしている曲についてDJや音楽ジャーナリストが自分の見解を語ってくれるラジオのような体験を再現することができる。現地時間8月18日、同社はこのフォーマットを「Music + Talk」と名付け、ポッドキャスティングソフトウェア「Anchor」を通じて世界中のクリエイターに提供開始した。

このようなブレンドオーディオ体験を提供したいクリエイターは、Spotifyの7000万曲におよぶフルカタログへのアクセスを提供するAnchorの新しいツール「Music」を使い、スポークンワードオーディオ番組に曲を挿入できるようになった。Spotifyによると、この新しいタイプの番組では、Spotifyの他のプラットフォームと同様に、トラックがストリーミングされるとアーティストに報酬が支払われる。また、ユーザーは番組内の音楽コンテンツに対して、お気に入りする、曲の詳細情報を見る、保存する、共有するなど、通常の操作を行うことができる。

一方、番組自体は、Spotifyの無料会員とプレミアム会員の両方が視聴できる。有料会員はこれらの番組を聴く際にフルで曲を再生できるが、無料ユーザーの場合、ライセンス権の関係で30秒の曲プレビューしか聴くことができない。

このフォーマットは、2019年に導入された、同じく音楽とポッドキャストを組み合わせたPandora(パンドラ)の「Stories」をやや彷彿とさせる。ただしPandoraの場合は、アーティストが音楽に自らコメンタリー(曲のインスピレーションについて語るなど)を加えられるようにすることに重点が置かれていたが、Spotifyでは、誰もがお気に入りのプレイリストにオーディオコメンタリーで注釈を付けられるようにしている。

Spotifyによると、2020年のローンチ以来、ユーザーからのフィードバックを受けてこの製品には多少の調整が加えられたという。現在では、1つのエピソードの中で音楽とトークのセグメントを視覚的に明確に区別し、エピソードページに音楽のプレビューを掲載している。SpotifyはTechCrunchに対し、これまでにクリエイターがこのフォーマットを使って「何万」もの番組を制作したと述べているが、現時点では正確な数は明らかにしていない。

「Music + Talk」番組を制作する機能は今回のグローバル展開に先立ち、米国、カナダ、英国、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなど、一部の市場で提供されていた。

今回の拡大により日本、インド、フィリピン、インドネシア、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、オランダ、スウェーデン、メキシコ、ブラジル、チリ、アルゼンチン、コロンビアなど、多くの主要国のクリエイターが利用できるようになった。これにともない、SpotifyのMusic + Talkオリジナル番組のカタログもアルゼンチン、ブラジル、コロンビア、チリ、インド、日本、フィリピンの番組が新たに追加される。

またSpotifyは、独自のSpotify Original番組である「Music + Talk.Unlocked」を立ち上げ、この機能のマーケティングをより強力に開始する予定だ。同番組では、このフォーマットを試してみたいと考えているクリエイターにヒントやアイデアを提供していく。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotify音楽ストリーミングクリエイター

画像クレジット:Spotify

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

企業間でセキュアに顧客の記録を結びつけるプラットフォームInfoSumが約71.3億円を調達

ロンドンを拠点とするスタートアップで、異なる組織間でセキュアなデータ共有をする分散型プラットフォームを提供するInfoSumが、Chrysalis Investmentsが主導するシリーズBで6500万ドル(約71億3000万円)を調達した。

InfoSumは2020年9月にUpfront VenturesとIA Venturesが共同で主導したシリーズAで1510万ドル(約16億5500万円)を調達しており、それから1年経たないうちの調達となった。シリーズA以降にInfoSumは売上を3倍に、従業員数を2倍にし、AT&TやDisney、Omnicom、Merkleなど新規顧客を50社以上獲得した。

コロナ禍でリモートワークやクラウドベースのコラボレーションへの移行を余儀なくされたことが大いに影響して企業がデータのプライバシーに対する関心を強めたことから、InfoSumの成長が加速した。同社のデータコラボレーションプラットフォームは特許取得済みのテクノロジーを使って、データの移動や共有をすることなく2社、あるいは3社以上の企業間で顧客の記録を結びつける。企業はセキュリティに対する懸念を軽減でき、同社によればGDPRなど現行のすべてのプライバシー関連法を遵守しているという。

2021年前半にInfoSum Bridgeを公開したことで、同社のプラットフォームは強化された。InfoSum Bridgeは顧客IDをリンクする同社プラットフォームの機能を大幅に拡張する製品だという。広告識別子を独自に「蓄積した」データセットと関連づけ、ファーストパーティデータに基づく広告ターゲティングの運用を向上させるように設計されている。

InfoSumの会長でCEOのBrian Lesser(ブライアン・レッサー)氏は「企業が安全でセキュアに顧客データを比較できるテクノロジーは、プライバシーを気にする消費者と価値やコントロールを重視する企業のおかげでありがたいことに新しい段階に入っています。InfoSumはこの流れをリードしていることを誇りに思っています。企業はデータのコラボレーションに関する現在のフリクションや非効率性を解決するソリューションを求めています。InfoSumはこの発展を前進させる企業です」と述べた。

InfoSumは企業がプライバシーを重視するツールやソフトウェアを引き続き求めることから2021年に「急成長」する状況が整っているとし、今回の資金ですべての部門の人材を増やし、新たな地域へ進出し、プラットフォームの開発をさらに進める。

以前にビッグデータのスタートアップであるDataSiftを創業して率いたNick Halstead(ニック・ハルステッド)氏が、世界中のデータを共有せずに結びつけるというビジョンを持って2015年にInfoSumを創業した(創業当初の社名はCognitiveLogic)。米国、英国、ドイツに展開しているオフィスに現在80人の社員がいる。

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タグ:InfoSum資金調達プライバシーGDPR

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(文:Carly Page、翻訳:Kaori Koyama)

売り手に買い物相談ができるソーシャルコマース「pippin」のEC-GAINが6500万円調達

売り手に買い物相談ができるソーシャルコマース「pippin」のEC-GAINが6500万円調達

ソーシャルコマースプラットフォーム「pippin」(ピッピン、Android版iOS版)を運営するEC-GAIN(イーシーゲイン)は8月18日、6500万円の資金調達を発表した。引受先はCoral CapitalとGxPartners。この資金で、pippinのプロダクト開発と人材採用、組織体制の強化を行う予定という。

pippinは、口コミやレビューを見るだけでなく、セレクトショップを運営する2500人を超える特定ジャンルの専門家や有識者に「お買い物相談」ができるというネットショッピングアプリ。EC-GAINによると、販売者は好きな商品だけを集めてセレクトショップを立ち上げて販売できることから、「当たりか大当たりしかない」ソーシャルコマースプラットフォームだという。

pippinは、サービス利用者と流通総額が増加しているとのことだが、EC-GAINでは、コロナ禍で変化した購入者(巣ごもり需要が急増)、販売者(対面販売が困難になりネットショップに注目)、専門家(ステイホームによる空き時間の活用を模索)の3者のニーズを満たすプラットフォームを以前から提供してきたことが、pippinに注目が集まった理由だと分析している。

沖縄県那覇市に本社を置くEC-GAINは、東京事業所を開設し、人材採用を強化するとのこと。

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Salesforceが約3兆円で買収したSlackとの初の統合を発表

2020年12月にSalesforceSlackを277億ドル(約3兆300億円)で買収したとき、Salesforceには大きな計画があるはずだと思わずにはいられなかった。米国時間8月17日、Salesforceは同社顧客の利便性を向上させる統合の第一歩を発表した。

SalesforceのSlack担当シニアバイスプレジデントであるRob Seaman(ロブ・シーマン)氏は、Slackは同社を前進させるコミュニケーションプラットフォームであると考えている。シーマン氏は「Slackを、Salesforceユーザーとそのコミュニケーション、業務、ワークフロー、プロセスとアプリにおけるメインのエンゲージメントの場にしたいと真剣に考えています」と語る。

同氏は「我々が今回発表するのは、セールス、サービス、マーケティング、分析に適したSlackのビジョンに対応する新しい機能です。こうした分野のために我々が取り組んでいるのは、この新しい世界においてセールス、サービス、マーケティングの組織をどのような形にできるか、どのような形にすべきかをベストプラクティスと体系化の両方に関して明確に示すことです」と述べた。

外部のエンタープライズアプリを統合できるSlackの優位性を活かすことで、連携してSalesforceのさまざまなタスクの高速化と自動化を図り、状況に応じて切り替えをしなくてもすばやく簡単に使えるようにすることを目指している。

手始めとして、Sales Cloudに専用のディールルームが設けられる。これは財務などの社内部門や製造チーム、外部パートナーなど、コンプレックスセールスに携わるあらゆる人がセールスサイクル全体を通してSlack内に集まり、販売活動全体の動きに関して常に最新情報を把握できる場だ。

シーマン氏は次のように説明する。「ディールルームは、SalesforceからSlack内で顧客やパートナーも含めて誰もがつながって効果的に業務ができる、とてもシンプルな方法を表したものと考えています。このような場面でSlack Connectは(外部パートナーを接続することができ)極めてパワフルです。結果としてセールスサイクルを劇的に短くできると思います」。Slack Connectは2020年に発表されたサービスで、これを利用するとSlackユーザーが社外の人とつながることができる。

統合すれば、複雑な取引に関わっているセールスチームのメンバーが日々最新情報を得ることができる。情報は自動でSlackに集められ、これには各人の日々のタスクリスト、ミーティング、取引の優先度などが含まれる。

サービスチームは、Salesforceがスウォーム(「群れ」の意)と呼ぶ部屋に集まり、具体的な質問や問題についてお互いに助け合うことができる。取扱製品が多い企業では、回答をすばやく得ることができて特に役に立つだろう。SalesforceのAIプラットフォームであるEinsteinで関連するコンテンツを推奨することはできるが、もっと具体的な質問があってそれに関する知識を持つ人がいるならスウォームが有用だろう。サービスチームのメンバーは、すばやく質問に答えたり問題を解決したりすることのできる専門家を検索してスウォームに招待することも可能だ。

マーケティング部門にも恩恵があり、Salesforceが2018年に買収したDatoramaを活用してインテリジェントなインサイトを得られる。マーケティングキャンペーンに変更があれば、マーケッターはSlack内で定期的に最新情報を把握できる。

そして、Salesforceが2019年に157億ドル(約1兆7200億円)で買収したTableauとの統合もある。こうして改めて見るとSalesforceは買収に貪欲な企業だ。マーケッターがキャンペーンの最新情報を把握するのと同様に、Tableauで重要と思われるデータがアップデートされるとすぐにSlackがアップデートされる他、重視している指標に関するその日のまとめもSlackで見ることができる。

シーマン氏は、今回の発表は第一歩でSlackとのさらなる統合は2021年9月に開催される顧客向けカンファレンスのDreamforceで、そして今後数カ月間で公表すると約束した。同氏は「これはほんの始まりで、今回発表したセールス、サービス、マーケティング、分析の4つの分野に関するSalesforceとSlackの統合は今後広がり続けます。そしてさらにSalesforceの(製品ファミリーである)あらゆるクラウドや業界向けソリューションも統合に取り組んでいます」と述べた。

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

ツイッターはユーザーに新型コロナと選挙の誤情報報告を依頼

Twitter(ツイッター)は米国時間8月17日、ユーザーが同サービス上で遭遇した誤情報を報告し「誤解を招きやすい」ことを会社に警告できる新しいテスト機能を導入した。テストは米国、オーストラリア、韓国の大部分のユーザーに同日公開される。

この新しいテストでTwitterは、ツイートの右上隅にある3ドット「…」のコンテキストメニューに 「report tweet」(ツイートを報告)を追加し、ユーザーは誤解を招くツイートを報告するオプションを選べるようになる。次のメニューでは、ツイートが「政治」「健康」「その他」のいずれに関して誤解を招きやすいかを指定する。「政治」を選んだ場合は誤解を招く政治的ツイートが選挙に関するものかどうか、健康を選んだ場合は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するものかどうかを指定できる。

Twitterは以前、ユーザーが選挙関連誤情報を報告する方法を追加したが、その時のオプションは各国の選挙にリンクされた一時的な機能だった。2019年、同社は投票に関する誤解を招くツイートを報告して選挙の安全を守る機能をヨーロッパとインドで公開している。

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その意図は、選挙とパンデミック関連の誤情報という同社が力を入れている2つの話題に関する既存ポリシーに違反するツイートを、ユーザーが報告できるようにすることだ。このユーザー報告システムはTwitterの人力と自動を組み合わせた潜在的危険情報事前検出システムと連動する。現時点でユーザーは自分が報告した誤解を招くツイートがどうなったかについて会社からフィードバックを得ることはないが、将来機能が追加されるかもしれない。

新たな報告機能はかなり広範囲で利用可能だが、同社はこれを「実験」であると説明しており完成した機能ではない。Twitterは、ユーザーが誤情報報告ツールをどう使うかを観察してその効果を見極めようとしているが、いつ機能を全面公開するのかあるいはテスト機能を削除するのか、具体的時期は示されていない。

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今のところTwitterはユーザーが新機能を乱用する心配はあまりしていないようで、これは新しい報告オプションが実績のある管理システムと直接つながっているからだ。それでも、ユーザーが会社に「誤解を招く」ツイートを知らせるというアイデアは、すでに誤情報を拡散しがちなプラットフォームのさまざまな場所から検閲を求める新たな声を誘発することは間違いない。

誤解を招くツイート警告するオプションは新しいものだが、報告されたツイートはTwitterの既存の実行フローに合流し、そこには健康と政治の誤情報に関する確立されたルールがあり、人力とアルゴリズム混合による方法で実施されている。

そのプロセスでは報告されたツイートを優先度に応じて分類してからレビューする。フォロワーの多いユーザーのツイートや、非常に高いレベルのエンゲージメントを生み出しているツイートはレビュー行列の前の方にくる。選挙と新型コロナに関するツイートというTwitterが誤情報監視に関して力を入れている2分野についても同様だ。

新しいテストは、Twitterが自身のコミュニティに頼って誤情報を検出しようとする最新の取り組みだ。この路線におけるTwitterの最も野心的な実験がBirdwatch(バードウォッチ)で、これはクラウドソーシングを使ってユーザーがツイートにコメントと事実確認を追加し、他のユーザーがアップ / ダウン投票できる仕組みだ。今のところBirdwatchはパイロットプログラムにすぎないが、同社が監視機能の分散化に興味を持っていることは明らかであり、これはツイートを報告する方法を追加するだけよりもはるかに論点の多い実験だ。

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(文:Taylor Hatmake、翻訳:Nob Takahashi / facebook