Twitterの音声ルームSpacesに共同ホストの新機能、モデレーションがしやすく

Fleet(フリート)は長く続かなかったが、Twitter(ツイッター)のプロダクトチームは同社の音声ルームであるSpaces(スペース)に新たな要素の追加という点で減速したりはしていない。同社は2020年に限定テストでClubhouseのコピーであるSpacesを導入し、5月に少なくとも600人のフォロワーを抱える人へと同サービスの提供を拡大した

関連記事:Clubhouse対抗の「Twitter Spaces」が2021年4月一般公開へ、専用ツイートの可能性も

そしていま、TwitterはSpaceのホストが共同ホスト2人を加えることができるようにする。共同ホストは招待システムを通じて参加できる。Spacesではメーンのホスト1人、共同ホスト2人、そして最大10人のスピーカーが利用できるようになる。共同ホストはスピーカーのリクエストを調べたり、スピーカーに声をかけたり、Space 内にいる人を追い出したりできるため、モデレーション業務がより管理しやすいものになる。

Fleetがなくなり、SpacesはTwitterアプリのメーンフィード上で現在使用できる唯一のライブ機能だ。InstagramのStoriesをそっくり真似ているそのバーチャルのルームは、Twitterがユーザーに最初にチェックして欲しいものへと目を移している。Twitterはまた、Spacesを見つけやすくす専用タブの展開も開始し、リアルタイムにライブ音声ルームが中央部分に表示されるようになっている。

Clubhouseの爆発的な勢いを目の当たりにし、数多くの大手アプリがライブ音声チャットルームを自社プラットフォームに取り込んだ。6月にSpotifyは最大1000人が参加可能な音声イベントを開催できる独立アプリGreenroomの提供を開始した。もちろん、Facebookも6月にLive Audio Roomsという独自のライブ音声ルームを立ち上げた。音声ベースのチャットではすでにリーダーであるDiscordは3月にClubhouseのような独自イベントチャンネルを追加した。TwitterはSpacesでトレンドを踏襲したが、Fleetsと違って同社は比較的新しい機能であるSpacesのサポートを継続する計画のようだ。

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タグ:TwitterTwitter Spaces音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Twitter

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

クラウドインフラ市場は2021年第2四半期も成長を続け、売上高は約4.6兆円に到達

野球で、高い天井が見込めるなどという。若い選手の伸び代が大いにあるということだ。同じことがクラウドインフラストラクチャの市場にも言えるかもしれない。この市場は成長を続け、今後すぐに成長が鈍る兆候は見えない。主要ベンダーの第2四半期の売上合計は420億ドル(約4兆6000億円)に達し、第1四半期より20億ドル(約2200億円)増加した。

Synergy Researchのレポートによると売上は39%のペースで増えており、4四半期連続で増加している。これまで通りAWSがトップだが、Microsoftが急速に成長しGoogleも勢いを維持している。

AWSは依然として市場の論理をものともせず、前四半期をさらに5ポイント上回る37%の成長を見せた。成熟した市場を持つAWSとしてはすばらしい伸びだ。Amazonのクラウド部門の売上は148億1000万ドル(約1兆6300億円)でランレートは600億ドル(約6兆6000億円)近くに達し、市場シェアは33%でトップを走っている。シェアはここ数年このあたりにとどまっているが、市場規模が大きくなっているので売上も伸び続けている。

Microsoftの成長は51%とさらに急速だ。Microsoftのクラウドインフラストラクチャのデータを確実につきとめるのはいつも難しいが、Synergy Researchによると市場シェアは20%で売上は84億ドル(約9220億円)と、前四半期の78億ドル(約8560億円)から増加している。

GoogleもThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏のリーダーシップのもとでゆっくりと着実に成長を続けている。第2四半期の売上は42億ドル(約4610億円)で54%の増加となった。市場シェアは10%で、Google Cloudのシェアが2桁台のパーセンテージになったのはSynergyが四半期ごとのデータを調査するようになってから初めてだ。前四半期の売上は35億ドル(約3840億円)だった。

画像クレジット:Synergy Research

ビッグ3に続くAlibabaは前四半期と同じくシェア6%と堅調で(ただし発表はまだで近日中の予定)、IBMは前四半期よりも1ポイント落として4%となった。IBMはハイブリッドクラウドマネジメントへと移行する中で純粋なインフラストラクチャとして苦戦しているためだ。

SynergyのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、ビッグ3はこの成長を加速するために多額の資金を投じているという。同氏は発表の中で「Amazon、Microsoft、Googleの合計で、四半期あたり通常250億ドル(約2兆7500億円)以上の投資をしており、その多くは340カ所以上のハイパースケールデータセンターの建設や設備のためです」と述べた。

一方、Canalysの分析も同様の数字を示しているが、市場全体の売上をSynergyをやや上回る470億ドル(約5兆1500億円)としている。Canalysの調べによる市場シェアは、Amazonが31%、Microsoftが22%、Googleが8%となっている。

CanalysのアナリストであるBlake Murray(ブレイク・マリー)氏は、クラウドベンダーがその巨大なデータセンターの運営にあたって再生可能エネルギーの利用を増やしていることから、企業の業務がクラウドへと移行している理由の1つは環境に対する持続可能性のゴールを達成するためだと述べている。

マリー氏は発表の中で「クラウドベンダーが利用するベストプラクティスとテクロジーは、業界の他の部分にも今後広がっていくでしょう。一方、顧客は環境に対する責任の一端を果たし持続可能性のゴールを達成するためにクラウドサービスの利用を増やしていくでしょう」と述べた。

企業はデータセンタービジネスから離れてクラウドに移行しているのか、あるいはビッグ3の持続可能性の取り組みに便乗したいのかに関わらず、着実にクラウドに移行している。世界全体でのクラウド利用率は25%との推計もあり、特に米国外では多くの市場が未開拓であることから今後も成長を続ける可能性は高い。

このことはビッグ3や、市場シェアに食い込んで売上を大きく伸ばそうとしているビッグ3より小規模の事業者にとっては良い兆候だ。Synergyのディンスデール氏は「ビッグ3より小規模でターゲットを絞っているクラウドプロバイダにとってはまだ大いにチャンスがありますが、ビッグ3の目の飛び出るような数字から目を離せるほどの状況にはならないでしょう」と述べた。

確かに今のところ、ビッグ3が天井にぶつかるとは考えにくい。

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タグ:クラウドストレージクラウドコンピューティングSynergy ResearchAWSMicrosoft AzureGoogle CloudAlibaba Cloud

画像クレジット:Jorg Greuel / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

フェイスブックがニューヨーク大学研究者からのアクセスを遮断、議員から反発を受ける

Facebook(フェイスブック)は米国時間8月3日、2人の学術研究者のアカウントを停止し、世界最大のソーシャルネットワーク上における政治広告や誤報を研究する力を奪った。

Facebookは、2人の研究者が「不正なスクレイピング」を行い、同社のプラットフォーム上でユーザーのプライバシーを侵害したと非難した。しかし、この主張に対し、Facebookの多くの批判者は、透明性に関する研究を阻止するための薄っぺらい口実だと酷評している。

Facebookが行動を起こした相手は、ニューヨーク大学の「Cybersecurity for Democracy(サイバーセキュリティ・フォー・デモクラシー)」プロジェクトに所属する著名な研究者で、以前からFacebookと対立していたLaura Edelson(ラウラ・エデルソン)氏とDamon McCoy(デーモン・マッコイ)氏の2人。この措置により、2人は「Ad Library(広告ライブラリ)」(これまでFacebookが行ってきた唯一の重要な透明性確保の取り組みだ)にアクセスできなくなり、さらにFacebookのモニタリングサービス「CrowdTangle(クラウドタングル)」から得られる人気投稿に関するデータも利用できなくなった。

Facebookとエデルソン氏やマッコイ氏との間には、過去に因縁がある。同社は2020年の米国大統領選挙の数週間前に、2人が作成した「Ad Observer(アド・オブザーバー)」と呼ばれるオプトインのブラウザツールを無効にして調査結果も公表しないように求める停止命令を送っていた。Ad Observerは誰でもインストールできるブラウザツールで、Facebookを1兆ドル(約110兆円)規模の企業に成長させた広告が、誰をどのようにターゲットにしているかを、研究者が知ることができるようにするものだ。

「この数年間、私たちはこのアクセスを使用して、Facebook広告ライブラリのシステム上の欠陥を明らかにし、選挙システムに不信感を植え付ける多くの政治広告の誤報を特定し、Facebookが党派的な誤報を明らかに増幅させていることについて調査してきました」と、エデルソン氏はTwitter(ツイッター)で述べている。

「Facebookは、私たちのアカウントを停止することで、これらすべての研究を事実上終わらせました。また、Facebookは、私たちのプロジェクトを通じてFacebookのデータにアクセスしている他の20数名の研究者やジャーナリストたちへのアクセスも、事実上遮断しました。それらの中には、Virality Project(バイラリティ・プロジェクト)と共同で行っているワクチンの誤報に関する調査や、私たちのデータを利用している多くのパートナーが含まれます」。

この事件をきっかけに、Facebookがより危険な行動におよぶ可能性において、透明性よりも不透明性を重視する姿勢が改めて批判されることになった。

翌8月4日になると、Facebookの行動は一部の連邦議会議員からも注目を集めた。民主党のRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員(オレゴン州選出)は、Facebookがユーザー保護の名目で研究者を罰する決定を下したことについて、同社が習慣的にプライバシーを侵害してきた長い歴史に照らし合わせて批判した。また、ワイデン上院議員は、Facebookが研究者のアクセス権を剥奪したのは、過去にユーザーのプライバシーを侵害したとして連邦取引委員会から出されたプライバシーに関する命令を遵守するためであるという同社の主張を「はったり」であると言い放った。

ロン・ワイデン
長年にわたってユーザーのプライバシーを侵害してきたFacebookが、その問題点を暴露する研究者を取り締まる口実として、プライバシー侵害という言葉を利用するのは、馬鹿げています。私はFTCに、この言い訳がインチキであることを確認するよう求めました。

ラウラ・エデルソン
今夜、Facebookは私のFacebookアカウントと、ニューヨーク大学のチームであるCybersecurity for Democracyに関連する数名のアカウントを停止しました。これにより、私たちはFacebookのAd LibraryデータやCrowdtangleへのアクセスができなくなりました。

民主党のマーク・ワーナー上院議員(バージニア州選出)も、Facebookの最新の論争について、この決定を「深く憂慮すべきもの」と意見した。ワーナー上院議員は、独立した研究者たちが「有害で搾取的な活動を明らかにすることで、ソーシャルメディアプラットフォームの品位と安全性を改善し続けている」と讃えている。

ワーナー上院議員は「詐欺や不正行為の主な原因となり続けているオンライン広告の影の世界に、より高い透明性をもたらすために、議会が行動を起こすべき時はとっくに来ています」と語った。

Firefox(ファイヤーフォックス)の開発元であるMozilla(モジラ)は4日、Ad Observerを擁護し、同社のストアフロントでこのブラウザ拡張機能を推奨する前に「コードレビューと同意フローの検証の両方を行って、2回レビューした」と強調した。Mozillaのチーフセキュリティオフィサーは、ブログ記事の中で、Facebookの主張は「まったく筋が通っていない」と述べている。

同日には、多くの独立した通信社、研究者、誤報専門家もFacebookの決定を非難した。The Markup(ザ・マークアップ)のJulia Angwin(ジュリア・アングイン)氏とNabiha Syed(ナビハ・サイード)氏は「Facebookのプライバシーに対するぞんざいなアプローチが、同社がこれほどまでに支配的になることを可能にしました」と、共同声明の中で書いている。

「しかし今、独立した研究者たちが、同社のプラットフォームとその影響力を調べようとすると、Facebookはユーザーのプライバシーを盾にして隠れようとしているのです」。

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タグ:FacebookSNS透明性ニューヨーク大学プライバシーFacebook広告ブラウザ機能拡張

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

急成長中の「ポイ活」アプリ、進むビジネスでの位置情報活用

近年、ビジネスにおける位置情報活用が進んでいる。位置情報関連サービスの中で特に成長著しいのが、移動に応じてユーザーがポイントを貯める「ポイ活」関連のサービスだ。スマホアプリ市場でも注目を集めている。地図DXサービスを提供するData InsightでCAOを務める伊達慶明氏は「主要なポイ活アプリのユーザー数は増え続けています」という。同氏がポイ活アプリの市場動向と主要プレイヤーの動きを解説する。

本記事は位置情報DXカンファレンス 2021July中のセッションを編集・再構成したものとなる。

「ポイ活」とは何か?

位置情報を活用したサービスは数多くある。BtoBではGoogleやゼンリンによる地図提供サービス、広告ソリューション、位置情報の分析 / 解析ソリューション、位置情報で顧客を誘導するOMOソリューション、ビーコンを使ってユーザーにプッシュ通知を送るようなIoTソリューションがある。BtoCでは地図サービス、乗り換えをサポートする交通案内サービス、行った場所を記録する記録サービス、IngressやポケモンGOのようなゲーム、チェーン店の位置情報を提供するマッピングサービス、ユーザーの移動に応じてポイントを付与するポイ活サービスがある。

ポイ活サービスは大きく2つに分けることができる。1つ目は「ショッピングのポイント還元を求める活動」。2つ目は「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」だ。伊達氏は今回、後者を中心にポイ活を解説する。

主要ポイ活アプリのMAU(月間アクティブユーザー)の過去2年ほどのCAGR(年平均成長率)は299%と高い

さまざまな種類があるポイ活アプリ

「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」のポイ活アプリだが、さらに2つのパターンに分かれる。「ユーザーに移動してもらうポイ活アプリ」と「ユーザーにデータを提供してもらうポイ活アプリ」だ。

前者は移動した距離に応じてポイントを稼ぐものと、店舗などの特定の場所に行ってポイントを稼ぐものがある。後者はレシートやイラスト用の画像を投稿することでポイントを集めるもの、アンケートに回答してポイントを集めるものなどがある。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリでは、広告動画視聴やヘルスケア情報の利用でマネタイズを行い、店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリは店舗からの送客フィーでマネタイズし、画像を投稿するポイ活アプリではレシートデータやイラスト用写真を企業に売却することでマネタイズを行う。また、アンケート型のポイ活アプリでは回答を企業に売却したり、マーケティングに活用する。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリには、トリマやaruku&がある。ユーザーには30〜50代の男性が多く、アクティブ率が高い傾向にある。休眠ユーザーは30%程度だ。ユーザーは類似のアプリを併用することが多い。

店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリの例は、楽天チェックだ。こちらもユーザーは30〜50代の男性が多い。しかし、移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリに比べ、アクティブ率が低い。

画像を投稿するポイ活アプリには、ONEやCODEがある。ユーザー層の中心は30代女性。アクティブ率は高く、ユーザーは類似アプリを併用する傾向がある。

アンケート型のポイ活アプリの例としてはマクロミルが挙げられる。中心的ユーザーは40代男性と30代女性。アクティブ率が高く、ヘビーユーザーが30%と多い。こちらもユーザーは類似アプリを併用する傾向が強い。

成功に必要な差別化と併用による共存共栄

伊達氏はポイ活アプリの重要成功要因として「ついで感」と「高還元」を挙げる。中でも成功しているのが「トリマ」と「マクロミル」だ。

同氏によると、トリマはポイントが貯まっていることを視覚的に感じられるタンクのデザインが生かされており「移動中にお金を稼げている」という感覚を感じやすくなっているという。さらに、広告動画視聴でもポイントを付与しており、これが高いアクティブに繋がっていると考えている。また、マクロミルはアンケートに回答するたびに10円分のポイントが付与され、高還元になっている。

伊達氏は「ポイ活アプリ市場は一見魅力的ですが、後発参入者はアプリの差別化が必須になります。とはいえポイ活アプリ市場は急成長しており、主要5アプリの直近1年のMAUは計1000万人以上増えています。また、多くの場合、ユーザーはあるアプリをインストールすると同様のアプリはインストールしませんが、ポイ活アプリユーザーは類似のアプリを併用することが多いので、新規参入者にとっても『共存共栄』できる環境です。成功するポイ活アプリを目指すのであれば、先ほど挙げた『ついで感』と『高還元』を重視し、ユーザーがストレスフリーにポイントを集められる仕組みが重要になるでしょう。主要ターゲットは30代、40代なので、それを意識したUI設計も必要です」と分析する。

これからポイ活アプリに参入するには、差別化が重要になるが、具体的には何が差別化要因になり得るのだろうか。伊達氏は「データと地図の組み合わせ」が鍵になると見ている。その根拠は食べログとInstagramだ。

食べログは2020年、アップデートを行い、地図上で飲食店を検索できるようにした。これにより、ポジティブなレビューが増えてきた。一方Instagramはこれまでハッシュタグが主な検索が方法だったが、人気の飲食店などを地図上で検索できるように2021年5月からベータ版が実装された。この機能はまだ一部でしか利用できないが、話題になっている。これからポイ活アプリに参入しようとしている企業は参考にしてみると良いかもしれない。

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タグ:位置情報地図ポイ活アプリ

農家のための恋活・婚活アプリ「あぐりマッチ」が農業女子と就農希望男性をつなぐサービスを開始

「農業と自然が好きな人のための恋活・婚活マッチングアプリ」(Android版iOS版)を提供するあぐりマッチは8月5日、好きな伴侶と家業の農業を継ぎたい女性と、就農したい非農家男性とを結ぶ新サービスの開始を発表した。あぐりマッチは、これまで農家の男性に非農家の女性を結ぶサービスを展開してきたが、この新サービスで農業や自然が好きな人たちの出会いの場をさらに活性化するという。

平成27年(2015年)の国勢調査では、日本の農業従事者のうち男性は124万人、女性は84万人となっている。また農水省の「令和元年新規就農者調査」によると、実家を継いで農業をする人が減っているものの、従業員として農業に従事する人や、農業で起業する人が増えており、このことから、農業に関心のある若者が増えていることがわかるとしている。一方、パートナーがなく、女手ひとつでは農業を継げないために離農する女性も少なくないという。

そこで、あぐりマッチは、そんな悩みを抱える農家の女性に、就農したいが単独ではハードルが高いと考えている男性の架け橋となるべく、このサービスを開始した。基本的に、サービスが「ジェンダーレス」になったということだ。新サービスのおもな内容は次の4つ。

  • 会員プロフィールで「農家」または「非農家」が指定できる
  • 「農家」を選ぶと、行っている農業に関する詳しい情報を登録し、相手に公開できる
  • 「一緒に農業をしたい!」のようなメッセージ付きの「いいね」が送れる
  • 普段の生活を見てもらえるタイムライン機能が追加
会員は農家か非農家かを選択でき、それによって使える機能や表示項目を切り替える可能。農家モードはサービス登録時に選択します。編集したい際には、プロフィール編集ページの「農家モード」にて切り替えられる

会員は農家か非農家かを選択でき、それによって使える機能や表示項目を切り替える可能

「農家」を選ぶと、行っている農業に関する詳しい情報を登録し、相手に公開できる

「農家」を選ぶと、行っている農業に関する詳しい情報を登録し、相手に公開できる

普段の生活を見てもらえるタイムライン機能が追加

普段の生活を見てもらえるタイムライン機能が追加

あぐりマッチは2021年7月1日に設立したばかりだが、2021年末には登録者数7000人を目指し、将来的には、「農家だけでなく田舎や自然、地方への観光が好きなすべての方向けにサービスを展開する予定」とのこと。

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タグ:あぐりマッチ(企業)農業 / アグリテック(用語)マッチングアプリ / デートアプリ(用語)日本(国・地域)

TikTokがユーザーがコメントもできるストーリー機能のパイロットテストを実施中

Twitterは、そのストーリー機能である「Fleets」(フリート)を閉鎖したようだが、一般に「ストーリー」と呼ばれる投稿機能はその他のソーシャルプラットフォームを今後も侵略し続けるだろう。TikTokは米国時間8月4日、TikTok Storiesという新機能のパイロット版をテスト中であることを確認した。TikTokのコミュニティは、この機能を使って自分たちのクリエイティブなアイデアの、また別の表現形式を探求することができる。

同社によるとこの新機能は、ビデオやデュエット、Stitch、LIVEなどと並ぶ投稿形式の1つとなり、他のものに置き換わるわけではない。

ただしこのパイロット版のテスト期間は発表されていないし、最終的に必ず本番ローンチするとも同社は言っていない。テストがすでに数日間行われていることは確かだが、数週間や数カ月ではない。利用できるのはごく一部の、米国以外の市場でであり、TikTokユーザーの反応を見たりフィードバックを得ることが目的だ。

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現在の機能たちがそのまま一般公開されるものになるかはわからないため、注意が必要だ。

本機能は、ソーシャルメディアのコンサルタントMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が発見した。ソーシャルメディアの新機能を最初に見つけるのは、だいたい彼だ。今回は、数名の情報筋が彼のところにTikTok Storiesのスクリーンショットと称するものを持ち込んだが、それは偽情報かもしれなかった。

しかし、そのタイミングが絶妙だった。Twitterがフリートを閉鎖したばかりだし、それはストーリー機能(寿命が短いコンテンツ)をソーシャルプラットフォームに持ち込む試みにおいて、かなり大きく目立った失敗だった。しかもSnapchatやInstagram、Facebookそれに最近ではPinterestなど、その他の人気アプリではほぼ成功していた機能だ。

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TikTok Storiesが動いているところのスクリーンショットや動画を見ると、その感触は他のプラットフォームのストーリー機能とよく似ている。

画面左側の新しいナビゲーションバーの上にあるカメラボタンをクリックして、初めてのストーリーの作成を開始する。テキストやステッカーを加えたり、音を挿入したり、コンテンツにエフェクトを適用することもできる。他のプラットフォームと同様、ユーザーはビデオを録画したり写真をアップロードできる。写真の場合TikTokではユーザー自身の大きなカメラロールを利用するので、ビデオの場合よりはコンテンツが豊富になる。

TikTok Storiesが他と違うのは、クリエイターのコンテンツにユーザーがコメントできることだ。説明によると、コメントは公開制であるため、友だち同士でお互いのコメントを見ることができるし、今、どのストーリーを何人見ているかわかるタブがある。それらのユーザーを自分がフォローしているか、いないかもわかる。ボタンをクリックして、自分もその人をフォローすることもできる。

TikTok Storiesも24時間で消える、とアプリのチュートリアルにある。

他のクリエイターのStoriesを見たければ、新たなサイドバーをスクロールして、お目当てのクリエイターのアバターをタップする。これではまるで、Twitterのフリートバーの縦バージョンだ。クリエイターのプロフィール写真の周りにあるブルーのリングまで同じだ。

StoriesをTikTokに追加すると、頻繁にTikTokに投稿しない人やまったく投稿しない人でも、簡単なわかりやすい方法でTikTokを使い始めることができる。またクリエイターには、自分の本格的な作品としてのビデオの合間に、ファンと気軽に対話できる方法が提供される。

TikTokにとっては、広告スペースが増えるというメリットがあるが、Storiesではコンテンツが短時間で消えるため、コミュニティガイドラインを出し抜く企みがいろいろ登場するかもしれない。また、そのあたりの調整は難しそうだ。

FacebookがオーナーであるInstagramは、ReelsでTikTokをもろにコピーしようとしたため、それに対する反撃の意味もありそうだ。

TikTokは、TikTok Storiesが狙う市場については、何も述べていない。スクリーンショットや説明の言語は英語であり、Androidのスマートフォンだけだ。

StoriesはTwitterでは失敗したが、そもそもそれは、TikTokのようなリッチでクリエイティブなツールを使えるプラットフォームではない。対してTikTokは、今後も、ユーザーが自己表現のために使える、いろいろなツールを探求していくだろう。もちろん表現形式も、ビデオやライブストリーミング、他のユーザーとの対話などさまざまであり、今度はその中に、寿命の短い短編のコンテンツが加わったのだ。

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タグ:TikTokSNS

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

なんとフェイスブックがまたもプライバシー設定を変更

ユーザーへの思いやりを忘れないFacebook(フェイスブック)は、ものごとを明確で見つけやすくするためにはプライバシー設定を少々いじる必要があると判断した。そのために同社は「プライバシー設定」の設定項目をさまざまなカテゴリーへといたずらっぽく分散させた。

「当社はモバイルアプリの設定メニューを全面的に改訂して目的のものを見つけやすくしました。設定を20近い画面に分ける代わりに、1カ所からアクセスできるようにしました」と変更を知らせるブログ記事でFacebookで述べた。

おっと失礼。これは2018年の記事だった。さまざまな場所に分散化することに関する本日の投稿は「これだ」

「設定は6つの大項目に分類され、それぞれに、関連のある設定がいくつか入っています。Account(アカウント)、Preferences(設定)、Audience and Visibility(共有範囲と公開範囲)、Permissions(アクセス許可)、Your Information(あなたの情報)、Community Standards and Legal Policies(コミュニティ規定、利用規約およびポリシー)。プライバシー設定のカテゴリーを分解して、これまで入っていた設定を他のカテゴリーの中に移動しました」。

acebookがプライバシー設定を新たなカテゴリーに分解

このうちどのカテゴリーにプライバシー設定が属していると思うだろうか?Facebookは「人々のメンタルモデルによく合うように名称変更しました」と述べているので、明白であるに違いない。あなたのメンタルモデルを使うだけだ。

あなたの答えが「おそらく全部」だったら、おめでとう、そのとおり!今後プライバシー設定を変更したいとき、必要なのは新しいカテゴリーとサブカテゴリーをすべて訪れることだけだ。どのカテゴリーの中にも重要なトグルが入っているかもしれない。まるで宝探しだ。

Facebookの設定画面、最古(左)から最新(右)まで。どれがお好き?(画像クレジット:TechCrunch)

冗談はさておき、Facebookは「Privacy Checkup」(プライバシー設定の確認)項目もこのアップデートで目立たせた。この「guided review」(ガイド付きで確認)は、ユーザーを騙すダークパターンを使って、(会社にとって)より望ましくないプライバシー選択からユーザーを遠ざけるチャンスを会社に与える可能性もあるが、実際多くの重要な設定を巡り、ユーザーはそこで設定変更できる。

「新しい設定ページによってみなさまが設定ページを訪れ、必要な項目を見つけ、望んだ変更を行うことが簡単になることを確信しています」とFacebookはいう。新デザインがiOS、Android、モバイルウェブ、FB Liteそれぞれにいつ公開されるのかはすぐにわかるだろう。

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タグ:FacebookSNSプライバシー

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

クラウド型建設プロジェクト管理の「アンドパッド」が建設現場の短時間工事に特化した稼働管理アプリをローンチ

クラウド型建設プロジェクト管理の「アンドパッド」が建設現場の短時間工事に特化した稼働管理アプリをローンチ

クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を運営するアンドパッドは8月5日、建設現場の稼働管理アプリ「ANDPADボード」をローンチしたと発表した(ANDPAD施工管理とは別サービス。ANDPAD施工管理契約済みのユーザーは別途契約が必要)。

ANDPADボードは、1日程度の短期間で工事が完了する業務向けに開発された稼働管理アプリ。作業員の日程調整から現場情報の共有、作業完了報告までワンストップで実現することで情報を一元管理可能という。このため、出先・事務所で予定を調整している社員や、現場に向かう工事担当者も簡単操作で効率的な稼働管理を実現できる。特に、「流通」「メーカー」「修繕メンテナンス」「原状回復」「サッシ・建具工事」「看板サイン工事」「給湯器工事」などの修繕・取り付け・設置工事分野で利用しやすいとしている。

設備設置工事や看板サイン工事など施工時間が短い工事の日程調整や現場管理には、職人や現場担当者へのスピーディーな情報共有が重要であるにもかかわらず、ホワイトボードや付箋などアナログなツールで情報管理されていることが多く、リアルタイムの情報共有が難しいという課題があるそうだ。

アンドパッドは、従来のガントチャート形式工程表よりシンプルに使え、稼働管理もできる機能がほしいという要望を受けていたことから、ANDPADボードの開発・ローンチに至ったという。

ANDPADボード概要

  • ホワイトボードをクラウド化、より円滑な情報共有で稼働管理を改善:メール・FAX・紙・電話で連絡しホワイトボードで行っていた職人・協力会社の稼働管理・スケジュール情報を、クラウドで一括管理。出先での急な日程変更が発生しても、すぐにANDPADボードで編集・共有できる。PC、スマホ、タブレットで工事予定が閲覧・編集できるため営業、事務、協力会社の全員がいつでも、どこでも最新情報を確認可能。また、現場情報の確認から作業報告までアプリですべて完結するため、事務所へ確認に戻る手間などを削減できる
  • 現場での使い勝手追及、柔軟な権限設定で他拠点展開にも対応:現場での使いやすさを追求し、今週や明日の予定をスマホで確認できる。当日予定している工事の段取り情報の確認もカレンダーをタップするだけ、作業の完了報告もホーム画面から作成可能。また、管理者ユーザーは、ユーザーごとに各カレンダーの閲覧・編集権限を自由に設定できるため、支店別や社内外などさまざまなな構成での管理が可能

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タグ:ANDPAD(企業)建設 / 建築(用語)SaaS(用語)日本(国・地域)

TikTok風のショート動画サービス「YouTube ショート」がクリエイターへの報酬支払いを開始

TikTok風のショート動画サービス「YouTube ショート」がクリエイターへの報酬支払いを開始

YouTube

YouTubeが、7月13日に開始したTikTok風の短尺動画サービス「YouTube ショート」のクリエイターに対し、報酬の支払いを開始しました。これはYouTubeがクリエイター向けの支払いのために設立した1億ドル規模の「YouTube Shorts Fund」からのもので、YouTubeは報酬支払いに関する詳細をヘルプページで解説しています

YouTubeは今後2022年までに数千人の「適格な」クリエイターをYouTube ショートに招待する予定としています。報酬に関しては動画の視聴数やその他指標に応じ、月額で下は100ドル(約1万1000円)から、上は1万ドル(約110万円)までになるとのこと。また、報酬はYouTubeパートナープログラムに参加しているクリエイターに限らず、ショート動画投稿者なら誰でも受け取る資格があります。

もちろん投稿した動画は支払い対象になるためにYouTubeのコミュニティガイドラインや著作権に関するポリシーを遵守しなければなりません。またGoogleは他の同種のサービス、たとえばTiktokやSnapchatなどにすでに投稿、公開されている動画の再アップロードは求めておらず、それらサービスの透かしロゴ入りの動画を投稿した場合も、報酬の支払い対象外になります。

TikTokなどは、昨年から最大で2億ドルのファンドをクリエイターのために展開しています。これはYouTube ショートのファンドの倍の規模のものですが、クリエイターたちにはさらに評価が高くなるような作品の提出が求められました。

もちろんクリエイターにとってはパフォーマンスに見合う以上の収益が欲しいところであり、ショート動画ひと筋で勝負するつもりならTikTokのほうが良いかもしれません。しかしYouTubeにはショート動画以外にも収益化のための方法が9種類もあるのが大きな利点です。

ちなみに、ショート動画似限って言えば、、Facebookもまた最近10億ドル規模のプログラムを立ち上げ、メインのFacebookサービスだけでなく、Instagramにもクリエイターを引き入れようとしています。Facebookは2022年まで収益のマージンを取らない(つまり収益分はすべてクリエイターの懐に入る)としており、Facebook / Instagramがこの分野での遅れをカバーしようとしていることがわかります。

TikTokのすでに得ている人気と、金にものを言わせるFacebookの間で、YouTubeはクリエイターに報酬を分配する手段を提供し続ける必要があります。YouTubeは今回の1億ドルの基金の支払い開始に関してYouTube ショートを収益化するための最初の一歩だとしています。

TikTok風のショート動画サービス「YouTube ショート」がクリエイターへの報酬支払いを開始

(Source:YouTubeEngadget日本版より転載)

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大切な人の遺灰をダイヤモンドに、オースティンのEternevaが約11億円調達

愛する人を失うというのは、人生の中でも最も辛い体験の1つだろう。

誰かの死を追悼するというと、葬儀の計画や、棺や墓石の選定などが一般的な行動である。そしてこれらは通常、葬儀屋の助けを借りて行われることが多い。

オースティンを拠点とするEterneva(エターネヴァ)は、終末期分野では珍しいダイレクト・トゥ・コンシューマー・ブランドを構築している企業だ。創業4年目となる同社は、火葬された人やペットの灰や髪の毛からダイヤモンドを製造している。非常に珍しい事業ではあるが、死後も大切な人の一部を身近に置いておきたいという人々の共感を得ているようだ。

CEO兼共同創業者のAdelle Archer(アデル・アーチャー)氏によると、Eternevaは創業以来売上高が3桁の成長を遂げており、2020年には収益が2倍以上になったこともあるという。そして2021年7月下旬、Tiger Management(タイガー・マネジメント)が主導し、Goodwater Capital(グッドウォーター・キャピタル)、Capstar Ventures(キャスパー・ベンチャーズ)、NextCoast Ventures(ネクストコースト・ベンチャーズ)、およびダラスの億万長者であるMark Cuban(マーク・キューバン)氏が参加した「超過応募」となった1000万ドル(約11億円)のシリーズA資金調達ラウンドを発表した。ちなみにTiger Managementは、Julian Robertson(ジュリアン・ロバートソン)氏のヘッジファンドかつファミリーオフィスであり、Tiger Global Managementの大元である。

「非常に競争の激しいラウンドでした」とアーチャー氏はTechCrunchに語っている。「3つのタームシートを受け取り、オールスターの投資グループを編成することができました」。この投資グループには、Capstar(キャップスター)のマネージングディレクターであり、Eternevaの取締役にも就任したKathryn Cavanaugh(キャサリン・カバノフ)氏Softbank(ソフトバンク)で1000億ドル(約11兆円)規模のVision Fundを統括する女性トップパートナーのLydia Jett(リディア・ジェット)氏、Upfront Capital(アップフロント・キャピタル)のマネージングパートナーであり、VCファンドでマネージングパートナーになった初の女性の1人であり、女優のNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)氏とともにAngel City(エンジェル・シティ)を共同設立したKara Nortman(カラ・ノートマン)氏が含まれている。

アーチャー氏と共同創業者のGarrett Ozar(ギャレット・オザー)氏は、BigCommerce(ビッグコマース)でともに働いた後、2017年の第1四半期にEternevaを立ち上げた。同社設立の背景にあるストーリーはアーチャー氏にとって非常に個人的なものだ。同氏の親しい友人であり、ビジネスメンターでもあったTracey Kaufman(トレーシー・カウフマン)氏が膵臓がんと診断され、47歳の若さでこの世を去った。近親者のいないカウフマン氏は、火葬された遺灰を叔母と親友、そしてアーチャー氏に残していったのだ。

「私たちはさまざまな選択肢を検討し始めましたが、見つけたウェブサイトはどれも精彩を欠き、パッとしないものばかりでした」とアーチャー氏は振り返る。「トレーシーはとてもすばらしい人でした。すばらしい人を失ったときには、その人を称えて追悼するためのもっと良い選択肢が必要だと感じました」。

当時、人工的なダイヤモンドを開発するスタートアップに取り組んでいたアーチャー氏。ダイヤモンドの研究を行う科学者と食事をしながら恩師の死について話していた時、その科学者が「知っていると思うけど、灰には炭素が含まれているからトレーシーの遺灰から炭素を取り出してダイヤモンドを作ればいいんだよ」と言ったのだ。

この言葉にアーチャー氏は度肝を抜かれた。

「これは必ずやらなければいけないと感じました。トレーシーは輝きに満ちた人だったので、ぴったりだと思いましたし、常に彼女の一部を身に着けることができるのです」。

Eternevaの共同設立者であるギャレット・オザー氏とアデル・アーチャー氏(画像クレジット:Eterneva)

これが同社が作った初のダイヤモンドだ。自身の製品の顧客となる機会を得たことが、その後の顧客体験を構築するために大いに役立ったとアーチャー氏は考えている。この事業こそ悲しむ人々に向けて「輝きと癒しをもたらし、愛する人を称える美しい方法」だと感じ、同氏はすぐにこのアイデアにコミットするようになった。

創業以来、Eternevaはこれまでに1000人以上の顧客のために約1500個のダイヤモンドを製作。無色はもちろん、ブラック、イエロー、ブルー、オレンジ、グリーンなど、ほぼすべての色に対応している。同社のダイヤモンドは2999ドルから(約33万円)で、サイズや色によって値段が上がっていくシステムだ。同社の事業の約40%をペットが占めている。

「私たちはこの分野において、他とはまったく逆の考え方を体現していると思います。多くの事業は終末期のプランニングやロジスティクスを解決しようと取り組んでいますが、私たちは人々が前進するのを支援し、人生を祝福するためのプラットフォームを構築することを目的としています」。

アーチャー氏によるとダイヤモンドの制作過程は複雑で、7〜9カ月の期間を要するという。ビデオや写真で各段階のプロセスをその都度共有することで、顧客に制作過程も体験してもらうというのが同社の考えだ。

「私たちは、顧客の悲しみが癒えるプロセスの段階とともにあるのだと感じています。初めは大きな孤独を抱えていますが、完成する頃には心のあり方が変化しています」。

新たな資本活用計画の1つは、制作過程においてより多くの人に直接参加してもらえるようにすることだ。例えば機械加工を始めたり、宝石デザイナーに大切な人の話をして、その人の人生を表すような細やかなディテールをあしらったカスタムデザインを考えたりできるようにするというものである。

またこの資金を利用して、企業との提携による葬儀社チャネルプログラムの全国展開や、オースティンにおける需要に対応するための運営とキャパシティの拡大を計画している。

同社は、より多くの人々が「従来の葬式を望まなくなっている」という事実に着目している。

「人々はカスタム性と意味合いを求めています。将来的にはさまざまなサービスや製品を提供するプラットフォームへと進化していきたいと考えています」。

同社はブランドの認知度も高めていきたいと考えており、最近では同社のダイヤモンドに関する十数本のTikTok動画が話題になったとアーチャー氏は話している。

シリーズA以前にEternevaは、エンジェル投資家や機関投資家から合計670万ドル(約7億4000万円)を調達している。そのシードラウンドは、2020年にオースティンを拠点とするSpringdale Ventures(スプリングデール・ベンチャーズ)が主導した300万ドル(約3億3000万円)だ。マーク・キューバン氏が最初に同社の投資家になったのは、アーチャー氏とオザー氏がリアリティ番組の「Shark Tank(シャーク・タンク)」に出演したときのこと。キューバン氏は60万ドル(約6600万円)の投資と引き換えに、同社の9%の株式を取得したのだ。同社が詐欺であるという主張があったにもかかわらず、キューバン氏はその背後にある科学を支持し、最新のラウンドにも資金を投入している。

Eternevaのダイヤモンドは「大切な人との繋がりを維持するための、ユニークで社会的に責任のある方法」だとキューバン氏は TechCrunchへのメール中で語っている。

「同社にはまだまだ成長の余地があり、前途有望です。それが今回の投資の理由です」。

愛する人の髪の毛や遺灰からダイヤモンドを作るというのは「とても個人的な思い入れが強い行為」だと同氏はいう。

「Eternavaは非常に感情的で困難な時間を、他の誰にも真似できないような信頼できる方法で、人々が人生を歩み続ける手助けをしているのです」とキューバン氏は付け加えている。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

Discordのモバイルアプリでもユーザープロフィールのカスタマイズが可能に

Discord(ディスコード)は、モバイルユーザーのために、一般的なソーシャルアプリで見られるような機能を新たに追加する。同社は米国時間8月3日、iOSとAndroid向けのアプリで、ユーザーが自分のプロフィールをカスタマイズできるオプションの提供を開始した。デスクトップ版のDiscordでは、6月下旬に同様の機能がすでに導入されている。

この新オプションは、Discordのユーザー設定メニューに追加された「ユーザープロフィール」にある。ここでは、リンクや絵文字を含めて、190文字以内で自分の紹介文を書き込むことができる。また、Discordが割り当てた新しいデフォルトのプロフィールカラーが自分のイメージに合わないと思ったら、好みのプロフィールカラーを選択することもできる。まだこのオプションが見当たらない場合は、この機能が広く導入されるのを待ってからもう一度チェックしてみよう。

カスタムプロファイルの追加に合わせ、月額有料版「Nitro(ナイトロ)」の加入者には、プロフィールバナーとして画像またはアニメーションGIFを選択できるオプションも提供された。このオプションはデスクトップ版では以前から提供されていたものだが、今回のカスタマイズ機能の追加により、主にiOSやAndroidでDiscordを使用している人も、ちょっとしたスパイスを効かせることができるようになった。

今回の機能追加は小規模なものではあるが、このチャットアプリが、よりプロフィールを重視するソーシャルネットワークに近いものになるための一歩と言えるだろう。これまでDiscordは長い間、サーバーと呼ばれるチャットルームにのみ力を注いできたが、この数カ月でQuality of Life(生活の質)を向上させる機能を次々と導入している。

2021年4月にはClubhouse(クラブハウス)のような音声イベントスペースを展開できる機能や、最近ではスレッド化された会話を作成して自動的にアーカイブする機能が追加された他、AIを利用してネット上の嫌がらせや攻撃的な発言からユーザーを守るソフトウェアを開発したSentropy(セントロピー)という企業を7月に買収している。

Discordはすでに、コミュニティ主導の音声・テキストチャットでキラーサービスとなっているが、今回の機能追加により、ゲームをルーツとする当初の小さな枠をはるかに超えて、より多くのユーザーを惹きつけることができるようになるだろう。

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画像クレジット:Discord

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

WhatsAppが写真とビデオを「1回だけ見られる」機能を提供開始

6月にWhatsApp(ワッツアップ)は、消滅する写真と動画を送れるようにすると発表した。そして今週、その機能が全ユーザーに公開される。Facebook傘下のメッセージングアプリのユーザーは、写真またはビデオを「view once」(1回閲覧)モードでシェアできるようになる。1回見るとそのメディアは「フッと」消え去る。view onceモードでシェアされたメディアは、しかるべき視聴者が覗いた後は「開封済み」として表示される。

会社は新機能について、試着した服の写真やWi-Fiのパスワードを送るなどさまざまなニーズに応えるもので、決してヌードを送るためではないと述べている。注意書きでは、写真やビデオが消滅するからといって誰かがスクリーンショットを撮れないわけではない(撮ったかどうかもわからない)と念押ししている。

Facebookによると、この新機能はユーザーに「プライバシーの制御を高める」力を与えるという、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が2019年に唱えて以来続いている「プライバシー中心のビジョン」の一環だ。それ以来Facebookは、人々にオンラインプライバシーの制御を渡す姿勢をいくつか見せており、メインアプリの公開範囲制御を整備した他、WhatsAppで消えるメッセージをサポートした。

Facebookは、将来の相互接続を計画している傘下の全メッセージングサービスにエンド・ツー・エンド暗号化を導入するという大事業も予定している。WhatsAppは 2016年に暗号化を完了しているが、Messenger(メッセンジャー)とInstagram(インスタグラム)でこの重要なプライバシー機能を提供するのは数年先と言われている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

最後のフリートを急げ!ツイッターの消滅型ストーリー機能がもうすぐ終了

なくなってみて初めて存在を知るものがある。

その性格にふさわしく、Twitter(ツイッター)は刹那的ストーリー機能のFleets(フリート)を早々と終了する。登場したのは2020年11月だった。

2020年3月、TwitterはFleetsのテストを開始した。自分の思いを半永久的フォーマットのプラットフォームに投稿することに躊躇する人たちを「低プレッシャー」タイプのツイートで引きつけられるだろうと会社は考えた。多くの主要プラットフォームが何らかの消滅型コンテンツを提供している今、Twitterも試してみることは理にかなっていた。しかし、公開から8カ月後、Twitterは同機能を消滅させた。

Instagram(インスタグラム)Stories(ストーリー)と同様、Fleetsはタイムラインのトップで専用の位置を占めていた。Fleetsの退場とともに、TwitterのClubhouse(クラブハウス)ライクなオーディオルーム、Spaces(スペース)が同じ位置に入る。

会社はFleetsが新しいユーザーを呼び寄せてくれることを願っていたが、新機能を本格的に採用したのはヘビーユーザーだけだったようだ。同社は、Twitterの参加者を増やす方法を一から出直して考えると語った。Fleetsはその現実の不運な犠牲者だった。Fleetsを開発したプロダクトチームの何人かが、同機能の消えゆく日々をTwitterに綴った。

「もしアプローチを進化させることなく機能を終わらせることを繰り返していたなら、それは十分大きな賭けに出ていなかったということです」とTwitterのコンシューマープロダクト担当副社長Ilya Brown(イリヤ・ブラウン)氏がブログで言った。

Fleetsという名称はたまたまゲイ・セックス商品と一致してしまった。

会社にとって悔やまれるのは、早い撤退が、これまで以上に同機能のへの注目を集めていることだ。Fleetsの死を発表したTwitterのツイートは、「We’re sorry or you’re welcome」と書かれたパーカーが作られるほど象徴的だった。Fleetsは必然的にその存在を忘れるまで私たちの心に生き続けるだろう。それが何よりの賛辞だ。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクGも出資するインドのオンライン保険アグリゲーターPolicybazaarがIPOを申請

インドのオンライン保険アグリゲーターであるPolicyBazaar(ポリシーバザール)は、8億900万ドル(約880億円)の資金調達を目指す新規株式公開を申請し、インド市場でこの2カ月の間に公開市場を開拓した4番目のスタートアップ企業となった。

PolicyBazaarは、インドの市場規制当局に提出した書類の中で、5億400万ドル(約550億円)を新株発行によって調達し、残りは既存の投資家による株式の売却によって調達したいと述べている。

SoftBank Group(ソフトバンクグループ)、Falcon Edge Capital(ファルコン・エッジ・キャピタル)、Tiger Global(タイガー・グローバル)、InfoEdge(インフォエッジ)から支援を受ける創業12年目のスタートアップは、IPO前のラウンドで約約1億ドル(約110億円)の調達を検討する可能性があるという。ソフトバンクは2億5000万ドル(約275億円)分の価値の株式を売却する予定で、PolicyBazaarの創業者たちは5270万ドル(約57億4000万円分)の価値の株式の売却を検討していると、書類には書かれている。

PolicyBazaarは、生命保険、健康保険、旅行保険、自動車保険、不動産保険などの保険契約を、従来の代理店を通さずにウェブサイト上で比較・購入できるアグリゲーターとしてサービスを提供している。同社はインドの他中東で事業を展開している。

画像クレジット:PolicyBazaar

インドでは現在、13億人の中で保険に加入している人はごく一部にすぎないものの、このようなサービスを大衆に提供するためには、デジタル企業が重要な役割を果たすとアナリストたちは分析している。格付け会社のICRAによると、2017年の時点で保険商品が行き渡っているのは、インドの人口の3%にも満たないという。

World Bank(世界銀行)によると、平均的なインド人の年収は約2100ドル(約23万円)。2017年に保険商品を購入したことのあるインド人が支払った金額は、平均50ドル(約5500円)に満たないと、ICRAは推定している。

「インドの生命保険市場は、良好なマクロ指標、金融商品やサービスに対する意識の高まり、商品やプロセスのデジタル化と簡素化、オンライン販売網、商品のイノベーションとカスタマイズ、政府の政策や規制による後押しが原動力となり、年率18.8%で成長し、2030年度には31.9兆ルピー(約46兆8000億円)に達すると予想される」と、PolicyBazaarはこの書類の中で述べている。

Bernstein(バーンスタイン)のアナリストは、2021年初めのレポートで、PolicyBazaarはインドのオンライン保険販売市場で90%のシェアを占めていると推定している。このプラットフォームは、インドではAcko(アコ)やAmazon(アマゾン)と競合しており、ローンやクレジットカード、投資信託も取り扱っている。同社によると、毎月100万件以上の保険を販売しているという。

「インドは保険市場が浸透していません。その中で、Policybazaarのようなウェブ・アグリゲーターを通したデジタル販売は、業界の1%未満です。これは大きな成長の余地があるということです」と、Bernsteinのアナリストは顧客に向けて書いている。

7月に上場して見事な成果を収めたZomato(ゾマト)をはじめ、フィンテック企業のPaytm(ペイティーエム)やMobiKwik(モビクイック)も、ここ数週間以内に株式公開を申請している。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイッターがAP通信、ロイターと提携して誤情報の拡散防止を強化

米国時間8月2日、Twitter(ツイッター)はニュース配信機構のThe Assosicated Press(AP通信)およびReuters(ロイター)と提携し、同プラットフォーム上のニュースや情報の信頼性を強調する取り組みに力を入れることを発表した。新たな契約を通じてTwitterのCuration(キュレーション)チームは、提携企業の専門知識を活用してTwitterで流通するニュースやトレンドにこれまで以上に多くの背景情報を付加したり、注目の集まるイベントにおける公共広告の利用、誤情報へのラベル付けなどに役立てることができる。

現在Curationチームは、トップトレンドに載ったコンテンツやExplore(「もっと探す」)タブにあるその他のニュースに追加情報を付加する作業を進めている。また同チームは、検索結果がどうランキングされるかを調べ、Twitterで特定のキーワードやハッシュタグが検索されたときに検索結果のトップに高品質のコンテンツが現れるよう対策する。

また同チームは、ホーム画面のExploreタブに表示される公衆衛生の緊急事態(たとえばパンデミック)や選挙などの大きなイベントに関連したプロンプトにも取り組んでいる。そのプロンプトは、問題はあるがTwitter上での表示は許されるコンテンツに、信頼できる情報源から得た情報をともなう誤情報ラベルを付加するために使用される。たとえば操作されたメディア選挙の公正性あるいは新型コロナウイルス(COVID-19)などに関するTwitterのルールに違反するツイートがそこに含まれる。

しかし同チームは、ツイートがTwitterのガイドラインに違反しているかどうか、あるいは削除、停止などの罰則を決定するTrust and Safety(信頼と安全)チームとは別に活動している。Twitterは、APとロイターは両社ともこの種の強制行動には関わっていないことを確認した。

画像クレジット:Twitter

AP、ReutersというFacebook(フェイスブック)ともファクトチェックで提携しているニュース会社と直接業務を行うことで、ツイートやその他のコンテンツに追加情報を付加するスピードとスケールを高められる、とTwitterはいう。具体的には、ニュースが速報され、報道が進むにつれて事実が議論の的になっているそのときに、Twitterの社内チームが信頼のおける情報源と迅速に接触できることで、Twitter上の会話によりよいコンテキスト情報を付加できるようになる。

これは、誤解を招くツイートを修正するための事実を待つことなく、誤情報がバイラルに流布されるのを防ぐのにも役立つ。

クラウドソーシングを用いたTwitterの新しいファクト・チェッキング・システムであるBirdwatch(バードウォッチ)も、Birdwatch参加者が共有した情報の質を決定するためにAP通信とReutersからのフィードバックを利用する予定だ。

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この取り組みは、Curationチームと報道機関による共同作業が、記事や会話に情報を付加するだけでなく、どの記事に情報を付加する必要があるかの見極めにも役立つだろう、とTwitterはTechCrunchに語った。追加情報はTwitter内のさまざまな場所に付加される。「ツイート」「検索」「もっと探す」および「モーメント」と呼ばれるまとめも対象だ。

Twitterは誤情報の扱いにしばしば苦慮してきた。リアルタイムという性質に加えて、著名人が自らの利益のために真実を操作するという利用方法もある。これまでにも、誤情報の拡散を緩和あるいは阻止するためにさまざまな機能を実験してきた。ワンクリックによるリツイートの禁止からファクトチェックの追加、 アカウントの禁止 などだ。Birdwatchはツイートにメモを付加する最新の取り組みだが、このシステムは誤情報の扱いを分散化しようとい試みであり、信頼できるパートナーに頼るものではない。

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「APにはTwitterやその他のプラットフォームと緊密に仕事をしてきた長い歴史があります。事実報道を広めることが目的です」とAPのグローバル事業開発担当副社長、Tom Januszewski(トム・ジャヌスゼウスキ)氏が提携を伝える声明で語った。「この業務は当社のミッションの中核をなすものです。オンライン会話にコンテキストを付加するためにAPのスケールとスピードが活用されることは特に楽しみです。事実を容易にアクセスできることによる恩恵を受けることができます」。

「信頼と正確と公正は、日々数十億の人たちが賢明な決断を下すのに必要な情報を提供しているReutersの核心です」とReutersのUGCニュース収集の責任者、Hazel Baker(ヘイゼル・ベイカー)氏が付け加えた。「これらの価値は、誤情報の拡散を阻止する当社の取り組みを後押しするものでもあります。Twitterと提携することによって、公共の会話に信頼できる情報を提供するために、世界や地域における当社の専門知識を活かせることを楽しみにしています」とベイカー氏は言った。

共同作業では当初Twitterの英語コンテンツのみに焦点を合わせるが、今後他の言語や地域にも対応するつもりだと同社は言っている。Twitterは今回の初期フェーズで、多言語に対応できる協力者を評価するつもりだとTechCrunchに話した。

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タグ:Twitter誤情報ロイターAP通信ファクトチェック

画像クレジット:Josh Edelson / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Zoom爆撃訴訟で和解金約93億円の支払いにZoomは同意

ユーザーのデータを許可なくサードパーティと共有し、Zoombombing(Zoom爆撃)を引き起こしたことでユーザーのプライバシーを侵害したと提訴されていた裁判で、ビデオ会議大手のZoom(ズーム)は和解金として8500万ドル(約93億円)を支払うことに同意した。

パンデミックでZoomの使用が爆発的に増えるなかでTechCrunchが2020年に造り出した言葉「Zoombombing」は、招待されていない人がZoomコールに侵入して攻撃的な画像を共有したり、増悪に満ちたメッセージを拡散するためにバックグラウンドを使ったり、あるいは人種差別的で冒とく的な表現をまくしたてることでコールを台無しにすることを指す。

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2020年3月にカリフォルニア北部地区の米連邦裁地方判所におこされた裁判では、ZoomがFacebookやGoogle、LinkedInなどを含むサードパーティと個人的なユーザーデータを共有していたことも非難した。

和解金8500万ドルに加え、もし裁判が集団訴訟の扱いになれば、Zoomはサブスクリプション料金25ドル(約2700円)の15%を顧客に返金することになる。そして同社は、会議への乱入を防ぐためにさらなる予防措置を講じると話した。ここには、会議のホストあるいは他の参加者が会議でサードパーティのアプリを使うときにユーザーに警告したり、プライバシーやデータの取り扱いに関して従業員に特別な訓練を提供することが含まれる。

「Zoomにとってユーザーのプライバシーとセキュリティは最優先事項であり、顧客が当社におく信頼を真剣にとらえています」と同社は声明で述べた。「プラットフォームに加えた改善を誇らしく思っており、プライバシーとセキュリティを最前線で刷新し続けることを楽しみにしています」。

訴訟の和解が最終的に成立するにはカリフォルニア州サンノゼ地方裁判所の裁判官Lucy Koh(ルーシー・コー)氏の承認を得る必要がある。

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タグ:Zoomビデオ会議プライバシー裁判

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

Instagramが10代ユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に、広告や望まない大人からの接触を制限

Instagram(インスタグラム)は米国時間7月27日朝、若年層のアクセス拡大に向けて、同社のアプリを10代のオンラインユーザーにとってより安全な場所にするため、いくつかのアップデートを発表した。同社によると、ユーザーが16歳未満(EUを含む一部の地域では18歳未満)の場合、サインアップの際、デフォルトで非公開アカウントに設定される。

また、16歳未満の既存ユーザーがまだアカウントを非公開に切り替えていない場合は、非公開に設定するように促す。加えて同社は、他の10代のユーザーからブロックされたり報告されたりした大人からの迷惑なコンタクトを抑制することを目的とした新しいテクノロジーを導入するとともに、広告主が10代のユーザーにリーチする方法も変更する。

若年層のユーザーにとって最も注目すべき変更は、非公開アカウントへの移行だ。

これまで、ユーザーがInstagramの新規アカウントを登録する際には、公開アカウントか非公開アカウントのどちらかを選択するよう求められていた。しかし、Instagramによる調査の結果、若年層ユーザーの10人中8人が登録時に「非公開」を選択していたことが判明したため、今後は16歳未満のユーザーに対しては「非公開」をデフォルトにするという。

画像クレジット:Instagram

ただし、16歳未満のユーザーに「非公開」であり続けることを強制するものではない。登録時を含め、いつでも公開アカウントに切り替えることができる。既存の公開アカウントを持つユーザーには、非公開にすることのメリットや変更方法がアプリから通知されるが、Instagramは、非公開への変更を強制するものではないとしている。

2021年1月、ライバルプラットフォームであるTikTok(ティックトック)も18歳未満のユーザーの非公開設定をデフォルトとする更新を発表しており、Instagramの今回の変更は、その動きに追従するものだ。TikTokの場合は、13歳から15歳までのユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に変更しただけでなく、コメント、動画のダウンロード、デュエットやスティッチなどTikTokの他の機能を含め、10代のユーザーのアプリ利用方法に関連するコントロールも強化した。

Instagramは、10代のユーザーにデフォルトのアカウントタイプを提案するに留まり、その他の設定を制限するまでには至っていないが、未成年者が使用するアプリに大人が参加することで生じる問題に対処するための措置をとっている。

同社は、新しいテクノロジーによって、最近10代のユーザーからブロックされる、または迷惑行為が報告されるなど「不審な行動」を取るアカウントを特定するという。これは、Instagramが不審な行動を特定するために使用する数多くのシグナルの1つに過ぎないが、同社は、このシステムをいたずらに利用されたくないため、他のシグナルについては公表しないとしている。

そして「不審」と判断された場合、Instagramはそういった大人のアカウントが若年層のアカウントとやり取りできないように制限する。

まず、Instagramは、そういった不審な大人のアカウントの「発見」「リール」、および「おすすめ」機能に対して、若年層のアカウントを表示しないという措置をとった。また、たとえ大人が検索で若年層のアカウントを見つけても、そのアカウントをフォローすることはできない。そして、若年層のユーザーが他のユーザーの投稿に付けたコメントを見たり、若年層のユーザーの投稿に自分のコメントを残したりすることもできない。

(Instagramによると、10代のユーザーが親の目を逃れるために自分の親を報告したりブロックしたりしても、制限をかけるアルゴリズムは複数のシグナルを組み合わせて使用するため、そういった目論見は上手くいかないという)。

この新しい制限は、2021年初めにInstagramが導入した、10代のユーザーにフォローされていない大人がそのユーザーにコンタクトを取ることを制限するテクノロジーに基づいている。これにより、10代のユーザーは、家族や家族ぐるみの友人との交流を保ちつつ、知らない大人からの不要なコンタクトを制限することが可能になった。

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TikTokやYouTube(ユーチューブ)などでは、若いユーザーら(多くの場合、大人の男性から性的なからかい嫌がらせの対象となる少女たち)の動画に、不適切なコメントが残されることが多いが、問題のある大人を10代の若者のコンテンツから切り離すという今回のInstagramの措置は、他のソーシャルネットワークでの対策よりもさらに進んだものだ。YouTubeのコメント欄にはかつて小児性愛者のグループが集まっていたこともあり、YouTubeは未成年の子どもが登場する動画へのコメントを全面的に無効にした。

Instagramでは、コメント欄を全面的にブロックするのではなく、悪質なユーザーを特定し、未成年者が作成したコンテンツを見つけにくくすることで、悪質なユーザーを排除している。

今後数週間のうちに実施されるもう1つの大きな変更は、18歳未満(一部の国ではそれ以上)の若年層をターゲットとした広告の掲載を希望する広告主に影響がある。

画像クレジット:Instagram

10代のユーザーの興味、あるいは他のアプリやウェブサイトでの閲覧に基づく情報など、広告主は、これまで利用可能だったターゲティングオプションが利用できなくなり、代わりに、年齢、性別、位置情報に基づいたターゲティングのみが可能となる。これは、Instagram、Facebook(フェイスブック)、Messenger(メッセンジャー)で実施される。

同社によると、若年層は、インタレストベース広告のオプトアウトに関連する意思決定を適切に行えない可能性があるという、若年層支援団体からの提言を考慮し、今回の制限に至ったという。

しかし実際には、Facebookの10億ドル(約1100億円)規模のインタレストベース広告ネットワークは、規制当局競合他社からの圧力を受けており、同社は、事業の潜在的な変化が間近に迫っていることを想定して、広告以外にもeコマースなど、収益の多様化に取り組んできた。

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ついにアップルが導入開始した「アプリのトラッキングの透明性」について知っておくべきこと

例えば、Apple(アップル)は最近のiOSアップデートにおいて、Facebookがサードパーティ製アプリからデータを収集することを制限するために、ユーザーがデータトラッキングをオプトアウトできる機能を追加した。すると、ほとんどのユーザーがトラッキングに対して「拒否」を選択したという。一方、若年層支援団体などは、現行の児童オンラインプライバシー保護法などですでに保護されている13歳未満の子どもだけでなく、テック企業は18歳未満の子どもに対してもパーソナライズド広告をオフにすべきだと主張し、同業界に対する圧力を強めている。

その一方で、Instagramは、13歳未満の子どもたちにアプリを公開することを検討してきた。今回の一連の変更によって、若年層ユーザーの安全に配慮した上で事業を拡大していることを規制当局に示すことができるのではないか、と同社は期待している。

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この点についてInstagramは「ユースアドバイザー」グループを拡大し、Stiftung Digitale Chancen(シュティフトゥン・デジテイル・チャンセン)のJutta Croll(ジュッタ・クロール)氏、Sangath(サンガス)およびIt’s Okay To Talk(イッツ・オーケー・トゥ・トーク)Pattie Gonsalves(パティ・ゴンサルベス)氏、ParentZone UK(ペアレントゾーン・ユーケー)のVicki Shotbolt(ヴィッキー・ショットボルト)氏、AAKOMA Project(エイコマ・プロジェクト)のAlfiee M. Breland-Noble(アルフィー・エム・ブレランド・ノーブル)氏、ノースイースタン大学のRachel Rodgers(レイチェル・ロジャース)氏、コーネル大学のJanis Whitlock(ジャニス・ホイットロック)氏、Future of Privacy Forum(フューチャー・オブ・プライバシー・フォーラム)のAmelia Vance(アメリア・ヴァンス)氏などの専門家を新たに加えたと発表した。

また、Family Online Safety Institute(FOSI、ファミリー・オンライン・セーフティ研究所)、Digital Wellness Lab(デジタル・ウェルネス・ラボ)、MediaSmarts(メディアスマート)、Project Rockit(プロジェクト・ロックイット)、Cyberbullying Research Center(サイバーブリング・リサーチ・センター)などの団体も参加している。

同社はまた、年齢認証や親の同意の基準についても議員らと協力しており、今後数カ月のうちに詳細を発表する予定だ。Instagramは今回の発表に関連して、ユーザーの年齢を推定するAIテクノロジーを使用していると述べている。例えば、あるユーザーが別のユーザーに対して「誕生日おめでとう」や「15歳、おめでとう」と送ったメッセージをシグナルとして検出し、それによってユーザーの年齢を絞り込むというものだ。このテクノロジーは、今回発表された新たな制限を含め、一部の大人が若年層のアカウントにコンタクトすることを阻止するためにすでに使用されている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

著名人対象に公式3D CGモデル「デジタルツイン」を制作・管理・キャスティングするサービス開始、2023年までに500人制作

著名人対象に公式3D CGモデル「デジタルツイン」を制作・管理・キャスティングするサービス開始、2023年までに500人制作しタレント活動促進

サイバーエージェントは8月2日、タレントやアーティストなど著名人の公式3D CGモデルを制作し、著名人の「分身」となるデジタルツインをキャスティングするサービス「デジタルツインレーベル」を芸能事務所および著名人向けに開始した。デジタルツインモデル1人目は、世界的トップモデルの冨永愛さん。2023年までに著名人500人のデジタルツインの制作およびキャスティングを目指し、デジタル空間における様々な活動を促進する。

冨永さんの分身となるデジタルツインは、顔のみならず冨永さんの全身を3Dスキャンしたものという。表情豊かな静止画だけでなく、バーチャルファッションショーでウォーキングをしたり、本人の音声を合成したりするなど、動きのある映像出演も可能。メタヴァース空間での新たなブランディング構築に挑戦するとしている。

著名人対象に公式3D CGモデル「デジタルツイン」を制作・管理・キャスティングするサービス開始、2023年までに500人制作しタレント活動促進

サイバーエージェントは、AI・CG技術の進化によりデジタル空間における活動の幅が今後さらに拡がると考えられる中、新しい価値を生み出す「人のデジタルツイン」の可能性を追求し、デジタル空間だからこそ作ることができる表現に挑戦するとともに、企業のマーケティング活動の拡大に貢献するとしている。同社は公式3D CGデータ制作に加え、広告プロモーションなどへのCGキャスティングや、デジタルツインを起用した企画立案などを実施する。フィジカル空間での本人の活躍に加え、デジタル空間でのデジタルツインのタレント活動が正しく成立する活躍の場を拡大するとともに、新しい価値づくりに取り組む。

著名人側は、デジタルツインを制作することで、本人同士の対談やドラマやCMなどにおいて未来・現在の姿での映像共演ができるようになるほか、アスリートの場合であれば世界中を巡り試合を行っているオンシーズンでもCM撮影ができるなど、物理的な制限から解放されたタレント活動が可能になるとしている。ダンスや音楽の演奏など本人のスキルを拡張した表現などもCG技術で実現可能という。

同時にサイバーエージェントは、健全なマーケット作りを目的に、ディープフェイクの悪用を検知する研究にも積極的に取り組んでいるそうだ。公式3D CGモデルはガイドラインに則って制作・管理を実施、著名人の偽物を発見する技術に投資しフェイクデータの検知・摘発を行うことで、著名人の著作権や肖像権の保護、各メディアの信頼性の確保、技術の正しい社会実装および発展に努めるとしている。

デジタルツイン制作過程では、事前に著名人の全身の3D CGデータを3Dスキャン技術を用いて取得し、身体的特徴を捉えるモーションデータ・音声データなどと合わせて、本人の「分身」となる高精細なデジタルツインを制作。これを高クオリティで実現するには、顔・体を高精細に表現するコンピューターグラフィックス技術、コンピュータービジョンによる高品質な人物キャプチャ技術、本人らしい声を自在に再現する音声信号処理技術、映像と音声を一致させて動作を表現するリップシンク技術など、最先端の機械学習手法を取り入れた高度なAI映像表現の技術が重要という。

このため公式3D CGモデルは、同社AI技術研究組織「AI Lab」と、子会社でフォトグラメトリー技術やデジタルヒューマンなどCG制作を強みとするCyberHuman Productionsとがともに制作している。

AI技術の研究開発に加え、高精細な3Dフェイシャルスキャン撮影が可能な出張型3DCGスキャンカー「THE AVATAR TRUCK」「全身3Dスキャンシステム」、カメラやセンサーによって顔や身体の動きの特徴をとらえる「モーションキャプチャシステム」と、それらで取得した大量の人物データと技術を組み合わせることが鍵となるとしている。サイバーエージェントの多岐にわたる技術資産を活かし、さらなる高クオリティな表現を目指すそうだ。

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製造業・建設業・設備管理業など現場特化SaaS「SynQ」を手がける福岡発のクアンドが1.2億円を調達

製造業・建設業・設備管理業など現場特化SaaS「SynQ」を手がける福岡発のクアンドが1.2億円を調達

製造業・建設業・設備管理業などにおいて、遠隔地にいる管理者と現場担当者をつなぐビデオ通話ツール「SynQ Remote」(シンクリモート)を提供するクアンド(QUANDO)は8月2日、第三者割当増資による総額1億2000万円の資金調達を発表した。引受先は、ALL STAR SAAS FUND、UB Ventures、ドーガン・ベータ、F Venturesおよび個人投資家。今回の資金調達が外部投資家からの初回エクイティファイナンスという。調達した資金は、採用活動およびSynQ Remoteの新規機能開発や販路拡大、「SynQ」シリーズにおける新プロダクトの開発にあてる予定。

2017年4月設立のクアンドは、「地域産業・レガシー産業のアップデート」をミッションに掲げ、現場向け情報共有プラットフォーム「SynQ」(シンク)を提供する福岡発スタートアップ。

これまで同社は、原子力発電所向けバルブ製造メーカーとクラウドメンテナンスシステムの共同開発や、鋼材機器メーカーと遠隔制御AIシステムの事業化など、レガシーな産業の現場のDXを手がけており、SynQはその経験を通して感じた「現場特有のコミュニケーションや情報共有の課題」に対するソリューションという。第1弾として、現場仕事に特化した遠隔支援ビデオ通話アプリ「SynQ Remote」をリリースしており、建設業・製造業・メンテナンス業・行政など累計67社・584アカウント(2021年7月31日時点)が利用しているそうだ。

SynQ Remoteは、ビデオ通話機能をはじめ、音声テキスト化機能も採用。現場仕事の多くは、騒音環境下にあることが多く、音声だけでの会話では現場側では「聞こえない」といった状況が発生しやすい。このため、テキストで相手に指示できるようにしているという。

また、現場で図面を見ながら会話できるようにする「画面共有」機能、対象物を指さしながらコミュニケーションをするような現場型のコミュニケーションを実現する「ポインター」機能、撮影した写真に直接・絵を書いて相手に指示を送れる手書きメモ機能を採用。遠方にいる人が任意のタイミングで写真を撮影できる「遠隔撮影」も搭載している。

遠隔にいるベテラン技術者が現場の新人作業者に指示している場面。ポインタ機能を使うことで口頭では伝わりづらい作業手順を遠隔から指導でき、限られたベテラン技術者の労働力をレバレッジ

遠隔にいるベテラン技術者が現場の新人作業者に指示している場面。ポインター機能を使うことで口頭では伝わりづらい作業手順を遠隔から指導でき、限られたベテラン技術者の労働力をレバレッジできるという

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ウォルマートがAdobeと提携し自社のeコマーステクノロジーを他の小売業者に提供

Walmart(ウォルマート)は、実店舗を中心とした小売事業から、対面販売とオンラインショッピングを融合したビジネスへの転換を図るために投資してきたソフトウェアや小売テクノロジーを、初めて他の小売業者にも提供すると、米国時間7月28日に発表した

ウォルマートは、新たに提携を結んだAdobe(アドビ)との戦略的パートナーシップを通して、Walmart Marketplace(ウォルマート・マーケットプレイス)へのアクセスや、さまざまなオンラインおよび店舗におけるフルフィルメントやピックアップに関するテクノロジーを、Adobe Commerce Platform(アドビ・コマース・プラットフォーム)に統合する。

これらテクノロジーは、Adobe Commerceと(アドビが買収した)Magento Open Source(マジェント・オープンソース)のどちらの顧客も利用できるようになると、アドビは述べている

これはつまり、ウォルマートは数千もの中小規模の小売業者に、世界最大級の小売業者が事業運営に使用しているのと同じツールを、実質的に利用できるようにさせるということだ。

この提携により、アドビの顧客である小売業者は、商品を受け取れる店舗や時間をオンラインで表示することができ、カーブサイド(道路の路肩)や実店舗内など、複数の受け取り方法を提供することが可能になる。店員にモバイルツールを供給して、注文の受け取りや商品選択の確認、代替品の取り扱いなどができるようにしたり、商品を注文した顧客がカーブサイドに到着する時間を店員に知らせるなど、受け取り注文に関して顧客とのコミュニケーションを図るさまざまなツールを利用することができるようになるわけだ。

また、今回の提携によって小売業者は、ウォルマート・マーケットプレイスに自社の商品を配給して販売することもできるようになる。

この提携は、小売テクノロジーによる新たな収益源を提供し、ウォルマートの収益に貢献することを目的としているだけでなく、ウォルマートがAmazon(アマゾン)とオンライン小売の覇権を争う上での新たなツールとして機能する可能性もある。

小売業者は、Adobe Commerceプラットフォームを利用して、ウォルマート・マーケットプレイスに商品を掲載し、全米各地に2日で商品を配送するウォルマートのフルフィルメント・サービスを活用することで、これまでよりも広い顧客を相手に商売できるようになる。

そしてウォルマートにとっては、これまでアマゾンに大きく水をあけられている、マーケットプレイスで販売可能な商品数を増やすことができる。

ウォルマートのマーケットプレイスは、第三者機関の推計によると、新型コロナウイルス感染流行の影響によるオンラインショッピングの急増により、2020年には推定7万人の出品者数を抱えるまでに成長した。これは2019年に比べて2倍以上の増加だ。Marketplace Pulse(マーケットプレイス・パルス)のデータによると、現在ウォルマートのマーケットプレイスの出品者数はさらに増えて10万人を突破しているとのこと。一方、アマゾンのマーケットプレイスは、全世界で推定630万人の総出品者を数え、そのうち150万人が現在アクティブに活動していると推定されている。

ウォルマートがマーケットプレイス事業を拡大する上で問題となっている可能性があるのは、売り手にとっての使いやすさに関することだ。ウォルマートのマーケットプレイスは、アマゾンに比べてはるかに使いづらく、プラットフォームで販売が承認されたかどうかについて、ウォルマートから返事が来るまで何カ月も待たされるという苦情が、多くの中小販売業者から寄せられている

アドビとの提携は、このような問題の解決に役立つ可能性がある。

アドビは、他のチャネルソリューションを単一の統一された拡張機能に統合することにも取り組んでおり、顧客の小売業は、アカウント設定やカタログの編纂が容易な統合されたツールを使用して、アマゾンを含む複数の販売チャネルで販売することができる。

ウォルマートが自社の小売テクノロジーを他の企業に提供するのは、これが初めてだと同社は述べている。また、この新しいパートナーシップがどのような収益をもたらすかということについては、まだ予測していないとのこと。しかし、アマゾンも最近は、AIやコンピュータービジョンを活用したキャッシャーレス決済「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」システムのような、斬新な小売イノベーションの投資収益率を最大化することを追求している。ウォルマートの動きはこれに続くものと言えるだろう。

「Scan & Go(スキャン&ゴー)などのチェックアウト技術や、AIを活用したスマートな代替品推奨機能、ピックアップ&デリバリーなど、あらゆるアイデアの中心には、人々が金銭的負担を減らし、より良い生活を送るための手助けをするという私たちの中核的な使命があります」と、ウォルマート・インクの最高技術責任者および最高開発責任者を務めるSuresh Kumar(サレシュ・クマーシュ)氏は、声明の中で述べている。そして「コマースエクスペリエンスを提供するアドビの強みと、当社の比類なきオムニカスタマーの専門知識を組み合わせることで、私たちは他の企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させることができます」と続けた。

両社の発表によると、米国においてアドビの顧客の小売業者は、2022年初頭からウォルマートのテクノロジーを自社のストアフロントに統合できるようになるとのこと。価格やその他の詳細については、導入時期が近づいたら発表される予定だ。

今回の発表は、チャネルパートナーとしてアドビと提携することで技術の再販に役立てるというものだが、ウォルマートには小売業者を直接対象とするGoToMarket(ゴートゥマーケット)チームもある。

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画像クレジット:Nicholas Kamm/AFP / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)