ロシア、国内でのフェイスブックへのアクセスを部分的に制限すると発表

ロシアのインターネット規制機関Roskomnadzorの発表によると、ロシア政府は現地時間2月25日、Facebook(フェイスブック)へのアクセスを「部分的に制限」し始めると発表した。

ロシアは、Facebookがテレビ局Zvezda、通信社RIA Novosti、ウェブサイトのLenta.ruとGazeta.ruのロシア国営メディア4社に対して独自の規制をかけたことを受けて、具体的には示されていないこのアクセス制限措置を実施すると主張した。

「2月24日、RoskomnadzorはMeta Platforms, Incの管理部門に、ソーシャルネットワークFacebookがロシアのメディアに課した制限を解除し、その導入理由を説明するよう要請した」とRoskomnadzorは説明し、そしてFacebookがその要請を「無視」したと付け加えている。

Meta Global Affairsの副社長Nick Clegg(ニック・クレッグ)氏はTwitter(ツイッター)でこの状況を詳しく説明し、ロシアの要求は、Facebookのファクトチェックの慣行か、国営メディアのアカウントにラベルを貼る方針のどちらかに反応したものであることを明らかにした。「ロシアの普通の人々は、自己表現し、行動を組織するために@Metaのアプリを使っています」とクレッグ氏は書いている。

Facebookは、ロシア政府の主張と、国営メディアに対してプラットフォームでどのような行動をとったかについて、TechCrunchのコメント要請に応じなかった。今のところ、部分的なアクセス制限がロシアのFacebookユーザーにとってどのような意味を持つのか、また、そうした制限がWhatsApp(ワッツアップ)やInstagram(インスタグラム)といったMeta(メタ)所有のプラットフォームにもおよぶのかどうかは不明だ。

ロシアが隣国ウクライナへの侵攻を深める中、何千人ものロシア人が戦争反対デモを行うために街に出ている。ほとんどの場合、大きな危険を冒してだ。ロシア政府は、オンライン上の反戦感情を抑え、米国が所有する最大のソーシャルネットワークの1つを皮切りに、戦争に関する物語をさらに形成しようとしている可能性がある。

Facebookのようなテックプラットフォームは、ロシアの偽情報の拡散を抑えるために、より強力な行動を取るべきだという考え方が米国では支持されている。2月24日に公開され、広く共有されているブログ記事では、ロシアのVladimir Putin(ウラジーミル・プーチン)大統領をヒトラーに例えて、プラットフォームに「どちらかの側につく」よう促し、オンラインで偽情報を流すロシアのプロパガンダアカウントの広大なネットワークを取り締まるよう促している。

「あなたはそれらのメディアがヒトラーへの援助を断つことを要求しますか、それともヒトラーが何百万という人の生活を破壊しようとするときでさえ、『言論の自由』といういくつかの混乱した概念に対するドイツ国家の権利を擁護しますか?」とTech Policy PressのCEO兼編集者であるJustin Hendrix(ジャスティン・ヘンドリックス)氏は、投稿の中でこう書いている。

「それがGoogle、Facebook、Twitterをはじめとする米国のテック企業が今直面している状況なのです」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

アンドパッド、「数年先の設計・施工DX」に先行し取り組む住宅実験プロジェクトANDPAD HOUSE検証発表

クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を運営するアンドパッドは2月21日、2020年10月に企画をスタートした未来の設計と施工のDX実験住宅プロジェクトによる「ANDPAD HOUSE」が完成したことを発表した。

同プロジェクトは、アンドパッドが施主となり、実験住宅の設計・施工を通して「数年先に実現する設計・施工のDX」を先行実証するために立ち上げられた。国土交通省が進める「令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(先導事業者型)」において、「木造建築における、BIMとクラウドサービスを用いたCDEとECIの効果検証・課題分析」に採択されている。

現在BIMの利活用は、大手ゼネコンや組織設計事務所といった一部企業の大規模物件だけに限られた状況となっているという。しかし近年、住宅・非住宅を問わずBIMの利活用の需要が高まっており、木造建築・住宅における利活用の効果を実証する必要があるとしている。

今回のプロジェクトで行った検証の結果として、アンドパッドは「移動時間ゼロ、合計300時間以上の移動時間を削減」「工期を3カ月以上短縮」の2点を報告している。

移動時間ゼロ、合計300時間以上の移動時間を削減

プロジェクト管理プラットフォームとしてANDPADを用い、BIMデータだけでなくプロジェクトに関わるすべての共有可能なデータについて、CDE(Common Data Environment)に取り組み、関係者全員がいつでもアクセスできる状態を実現した。

また会議はすべてリモートで行うことで、移動時間を削減するとともに、週1回の定例会議に関係者全員が参加し、意志決定スピードもアップさせた。

そのほか、ロボットやMRグラスなどを使った遠隔臨場にも取り組み、結果として余分な移動時間がゼロ、合計300時間以上の移動時間を削減できた。

工期を3カ月以上短縮

施工者の長谷萬が基本計画段階からプロジェクトに参画することで、施工・製造の効率化を図るECI(Early Contractor Involvement)の形式を採用。実施設計から作図を開始することで、工期をのべ1.5カ月短縮させた。

またウッドショックの影響により、追加で1.5カ月の工期延長を余儀なくされるところだったが、部材変更対応を迅速に行ったことで延長することなく工事を実施。合計で実質3カ月以上の工期短縮を実現できた。

シェア買いアプリ「カウシェ」、シェア買い成立に必要な人数を事業者が設定できる「大人数シェア買い機能」α版追加

カウシェは2月21日、同じ商品を2人以上で購入することでお得に買い物ができるシェア買いアプリ「カウシェ」(Android版iOS版)において、「大人数シェア買い機能」α版を追加したと発表した。同機能は、シェア買い成立に必要な人数(従来は2名以上)について、事業者側が自由に設定できるというもの。今回はα版のため30人もしくは50人の2パターンから設定する。

事業者にとっては、販売数をコントロールでき、ボリュームディスカウントの提供も可能となる。またユーザーにとっては、よりお得な価格で商品を購入できるようになるという。

カウシェは、友人や家族、もしくはSNS上の誰かとといった自分を含めて2人以上で購入する「シェア買い」が手軽に行えるアプリ。シェア買いの仲間を見つけるにあたって、買い物の醍醐味ともいえる、商品についての語り合いや一緒に購入する約束をオンラインで実現することにより「ショッピングの楽しさ」と「お得な買い物体験」を提供する。

出品する事業者側としても、シェア買いを成立させたいユーザーが自発的に商品情報拡散をSNSなどで行うことで、広告費を抑えられるとしている。

「大人数シェア買い機能」では、シェア買い成立人数を事業者側が独自に設定し、「○個販売する場合は、○円で販売可能」といった形で販売量と価格の調整によるボリュームディスカウントが可能となる。シェア買い成立までの人数集めの規模が大きくなるので、ユーザーがより多くの新規ユーザーを呼び込むことを期待できるという。ユーザーとしては達成までのハードルは上がるものの、よりお得な価格で商品を購入可能になるとしている。

2020年9月設立のカウシェは、「世界一楽しいショッピング体験をつくる」をビジョンとして掲げ、シェア買いアプリ「カウシェ」を運営。買い物客と、モノを売りたい事業者の双方がワクワクするようなショッピング体験を実現することで、「物を購入する」という目的に留まらず、楽しさを追求できる場所として、デジタルの買い物体験のアップデートを目指している。

Clubhouseに話すのが苦手な人にも参加を促すテキストチャット機能が登場

音声ファーストのソーシャルネットワークがついに、ずっと黙って聴いていた人に参加してもらう手段を導入した。Clubhouse(クラブハウス)は米国時間2月24日、ルームチャット機能を公開した。YouTubeやTwitchにあるように、ボイスルームにテキストチャット機能を追加するものだ。

ルームチャットはオプションで、Clubhouseでルームを始める際にこのオプションを会話中に有効にするかどうかを設定できる。有効にするとアプリの左下にチャット画面を開くボタンが表示される。「Share」(共有)ボタンの横にある、吹き出しのアイコンが付いたボタンだ。

画像クレジット:Clubhouse

Clubhouseはテキストチャットのオプションを、このプラットフォーム上にいるクリエイターとオーディエンスをつなぐ「もう1つのタッチポイント」と呼んでいる。2021年に追加されたダイレクトメッセージ機能と同様に、オーディオにピンポイントに特化したこのアプリの幅を広げる機能であることは間違いない。そしてもっと多くの人にとってClubhouseを利用しやすくする機能でもある。他の多くのソーシャルプラットフォームではコンテンツと同時にテキストチャットを利用できるので、成熟したプラットフォームに備わっていて欲しいと利用者が期待する機能とも言える。

コンテンツのモデレーションに関しては、誰でもユーザー名を長く押して報告、またはチャットからブロックすることができる。ルームを始めたユーザーがモデレーターを指名し、モデレーターにメッセージの削除や妨害する参加者の退室を担当してもらう方法もある。ルームを終了するときにオーディオコンテンツとともにテキストチャットもアーカイブされるが、ユーザーがルームの終了後もチャットに参加し続けることはできない。

Clubhouseによれば、この機能はiOSとAndroidの両方で公開されている。ひっそりと聴いている人に一歩踏み出してもらいたいと思っているなら、アプリを起動して試してみよう。

画像クレジット:Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Kaori Koyama)

デザイントークンやアセットを自動的に収集、保存、配布することでVIの統一を支援する「Specify」

Figma(フィグマ)とGitHub(ギットハブ)の共通言語を作るスタートアップ、Specify(スペシファイ)をご紹介しよう。Specifyは、あなたのデザイントークンとアセットのためのセントラルリポジトリとAPIとして機能する。言い換えれば、デザイナーは標準的なFigmaファイルを更新することができ、変更はGitHubリポジトリに反映される。

このスタートアップは、Eurazeoが主導する400万ユーロ(約5億1600万円)のシードラウンドを調達した。BpifranceのDigital Ventureファンド、360 Capital、Seedcampも同ラウンドに参加した。EurazeoのClément Vouillon(クレマン・ヴイヨン)氏やeFounderのDidier Forest(ディディエ・フォレスト)氏など、ビジネスエンジェルも出資している。

組織がデザインに本腰を入れ始めると、ボタン、アイコン、フォント、ロゴ、色など、統一したスタイルでデザインシステムを作りたくなるものだ。例えばログインページは、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Gmail、Pinterest(ピンタレスト)ではそれぞれまったく異なる印象を与える。

とはいうものの、デザイナーと開発者の双方がこれを手作業で行っていることが多いのが現状だ。デザイナーはConfluenceやNotionでデザイントークンやアセットを使ってドキュメントページを作成する。そして開発者は、手作業でドキュメントをチェックし、最新のエレメントを使用しているかどうか確認しなければならない。

画像クレジット:Specify

Specifyは、デザイントークンやアセットを保存するセントラルリポジトリとして機能する。ユーザーはまず、1つまたは複数のソースと1つまたは複数のデスティネーションでSpecifyを接続する。

例えばSpecifyを使い、Figmaファイルから情報やデータを直接取得することが可能だ。そしてデザイナーはFigmaで何かを更新することができ、その変更はSpecifyのリポジトリに反映される。Specifyは単一の真実のソースとして機能するわけだ。

だが、変更はアプリケーション内でより速く反映されることもある。何かが更新されると、Specifyは自動的にGitHub上でプルリクエストを作成することができ、コマンドラインインターフェイスもある。開発者はワンクリックで変更を受け入れることができる。このようにして、色、ロゴ、フォントなどが、手動で作業することなく更新される。

Specifyは、自社製品の対象をFigmaとGitHubに限定するつもりはないようだ。この先、Dropbox(ドロップボックス)やGoogleドライブなど、さらに多くのデータソースを導入する予定だ。そしてNotionなど、より多くのアップデート先に対応する予定もあるという。特に、1つのデザイン変更を複数の更新先にプッシュできる機能があれば便利だろう。

製品ビジョンは明確だ。Specifyは、デザインチームを一元化する接着剤になりたいと考えている。「当社のアプローチは、Segment(セグメント)とよく似ていますが、デザインのための製品だと考えています」と、共同創業者兼CEOのValentin Chrétien(ヴァランタン・クレティアン)氏は筆者に語った。

画像クレジット:Specify

画像クレジット:Balázs Kétyi / Unsplash (Image has been modified)

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(文:Romain Dillet、翻訳:Den Nakano)

上位100のサブスクアプリの2021年売上は前年比41%増の約2.1兆円

モバイルパブリッシャーが、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)のようなプラットフォームの手からサブスクリプション収入をより多く手にするために戦っているのは不思議ではない。新しいレポートによると、ゲーム以外のサブスクアプリトップ100の消費者支出額は、2020年の130億ドル(約1兆5000億円)から2021年には41%増加して183億ドル(約2兆1000億円)になった。

そしてこれは、アプリ分析会社Sensor Towerの最新データによると、2021年に総額1316億ドル(約15億2000億円)に上る、アプリとゲームの両方におけるアプリ内課金の全体収益のほんの一部(14%)だ。

しかし、ゲーム以外のサブスクアプリが占める割合は拡大している。ちなみに2020年、ゲーム以外のアプリのサブスク収入は、その年の消費者支出総額のわずか11.7%にすぎなかった。

画像クレジット:Sensor Tower

また、2021年のアプリ内課金売上高の前年比41%増は、2019年から2020年にかけての34%増より強い伸びを示していることもレポートで明らかになっている。

もちろん、ここには世界的な新型コロナウイルスの大流行が影響しているのかもしれない。2020年以降、世の中がロックダウン対策やバーチャルでの仕事や学校に適応し、買い物やイベントなど、これまで対面で行っていたことをオンラインで行うようになったため、消費者は買い物、エンターテインメント、ヘルス&フィットネス、仕事、教育などのためにますますアプリを利用するようになった。

サブスクにかかるモバイル支出に関しては、米国の数字が世界的な傾向を反映していることがデータで示されている。米国の消費者は2021年、トップ100のゲーム以外のサブスクアプリに85億ドル(約9800億円)使い、2020年の59億ドル(約6800億円)から44%増えた。前年の28%増を大幅に上回る成長だ。2021年の米消費者のアプリ内課金への支出は、合計で407億ドル(約4兆7000億円)に上った。

画像クレジット:Sensor Tower

サブスクはまた、アプリストアの収益を増やす主流手段でもある。第4四半期には、米国で売上高上位100のアプリのうち、90がサブスクを展開していた。この数字は、2020年第4四半期の91、2019年第4四半期の93からわずかに減少している。

サブスクの売上高に関しては、AppleのApp StoreがGoogle Playを引き続き上回っている。App Storeのゲーム以外のサブスクアプリのトップ100の2021年の売上高は135億ドル(約1兆5580億円)で、Google Playの48億ドル(約5540億円)の3倍近くだった。App Storeは2020年の103億ドル(約1兆1880億円)から31%増、Google Playは27億ドル(約3115億円)から78%増えている。

米国でも、やはり同様の傾向が見られた。App Storeの上位100のサブスクアプリの売上高は、2020年の45億ドル(約5190億円)から前年比で33%成長し、2021年には60億ドル(約6920億円)となった。一方、Google Playのサブスクアプリの売上高は、2020年の14億ドル(約1615億円)から79%増え、2021年には25億ドル(約2880億円)に達した。

画像クレジット:Sensor Tower

消費者支出に関しては、他のストリーミングや出会い系アプリと並んで、Googleのアプリが上位を占めている。Googleの定額制サービスGoogle Oneは2021年に、アプリを通じて世界で11億ドル(約1270億円)を売り上げ、そのうち6億9800万ドル(約805億円)は米国でのものだった。また、GoogleのYouTubeアプリは同年に12億ドル(約1380億円)を売り上げ、そのうち5億6650万ドル(約650億円)が米国でのものだった。

その他の米国で売上高上位のアプリには、Disney+、HBO Max、Tinderなどがある。世界的にはPiccomaがそのリストに加わる。

画像クレジット:Sensor Tower

2021年にアプリストアのビジネスモデルに対する規制当局の監視が強化されたことを考えると、このようなサブスク市場の分析は興味深いものだ。

韓国のように、AppleとGoogleのアプリ内課金に対する支配力を制限するための新しい法律まで成立した市場もある。現在、オランダの規制当局は、出会い系アプリの決済でAppleが独占禁止法に違反しているとして、同社と行き詰まった状態になっている。また、このデータはゲーム以外の動向を調べたものにすぎないが、アプリストアがゲーム会社から得る額も巨額だ。そのため、たとえばEpic Gamesは、自社の独占禁止法に関する裁判の判決を不服として控訴している

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Redditアプリが刷新、コミュニティを見つけるための「発見」タブと新しいナビを追加

Reddit(レディット)は米国時間2月24日、モバイルアプリに2年以上ぶりの大きな変更を加え、パーソナライズされたレコメンデーションを提供する新しい「発見」タブと、ユーザーがすばやくアクセスしてサブスクを整理したり、プロフィール設定にアクセスしたりできる新しいコミュニティおよびプロフィールメニューを含む刷新されたナビゲーションシステムの提供を開始した。

同社は、興味を探求するためのより良い方法が欲しいというユーザーの声を聞き、発見タブの導入を決定したという。

Redditには現在、10万を超える活発なコミュニティが存在するが、その多くはまだ十分に知られていない、と同社は指摘している。

「当社がここで解決しようとしているのは、深く関わりたいと思うサブレディットやコミュニティを見つけるのが難しいという大きな問題です」と同社のProduct for Content and Communities担当ディレクターのJason Costa(ジェイソン・コスタ)氏は説明する。「Reddit検索やGoogle検索で何か出てくるかもしれませんが.……それには作業が必要なのです。なかなか難しいことです。我々はそれを認めます。ですので、あまり知られていないコミュニティの発見をしやすくするために、新しい表面領域を作りたかったのです」とコスタ氏は説明した。

新しい発見タブは、iOSとAndroid用のRedditモバイルアプリのホームボタンのすぐ右側にくる。このセクションには、サブレディット(コミュニティ)のレコメンデーションが視覚的に魅力的な縦型フィードで表示され、新規Redditユーザーの場合は人気度に基づき、既存ユーザーの場合はエンゲージメントパターンに基づいて表示される。

具体的にはRedditは、ユーザーのサブスクリプションや最も長い時間を過ごす場所などを考慮して、レコメンデーションを作成する。例えば、あなたが野球のサブレディットをたくさん購読していて、サッカーのサブレディットでも少し時間を過ごしている場合、アプリは他のスポーツコミュニティを勧めるかもしれない。新規ユーザーの場合、Redditはその人の興味についてもう少し情報を得るまで、人気のあるコミュニティを勧める。

しかし、Redditはレコメンデーションのために、年齢、位置情報、性別など、ユーザーの属性を活用することはない。

発見タブをスクロールすると、写真、GIF、ビデオが小さな四角いボックスに入っていて、それらが代表しているコミュニティの名前が重なっている。豊富なマルチメディアを使用するというこの選択は、テキストが多くなりがちなRedditアプリに、より「視覚、聴覚、動作」をもたらすことを意図していると、コスタ氏は話す。新機能では、タイルを長押しして「このコンテンツをもっと表示する」「このコンテンツを少なくする」「このコンテンツを隠す」といったオプションを選択することで、表示される候補を絞り込むことも可能だ。

新しいセクションの上部には、テクノロジー、動物、スポーツ、歴史、趣味などのハイレベルなカテゴリがあり、ユーザーは今持っている興味以外の分野を直接探索できる。

ただし、すべてのコミュニティが発見ページで紹介されるわけではない。

コミュニティのコンテンツタグの評価システムに基づいて、NSFW(ノット・セーフ・フォー・ワーク)なコミュニティは推奨されない、とコスタ氏はTechCrunchに語った。また、禁止されたり隔離されたりしているコミュニティは推奨しない。そのような広範なレコメンデーションに適さないかもしれない、というシグナルだ。

この決定により、Redditの物議を醸すコミュニティは、トランプ支持のコミュニティ「The Donald」や「r/donaldtrump」に以前出されたような禁止措置にたとえ至らなくても、さらなる支持を得ることができなくなる。

最終的にRedditは、この新しい発見タブによって、ユーザーが購読したいコミュニティをより多く見つけ、Redditアプリをより頻繁に起動し、より多くのコンテンツと関わるようになることを期待している。これは、ひいてはRedditの収益を押し上げることにつながるかもしれない。一部のユーザーを対象にこのところ行われていたテストでは、5人に1人が発見タブを使用した後に少なくとも1つの新しいコミュニティに参加したことをRedditは確認した。

Redditは、モバイルアプリ(iOS 55% 、Android 45%)またはモバイルウェブでサービスを利用する70%のユーザーに焦点を当てるため、この新しいタブは現時点ではウェブでは利用できない(デスクトップでRedditを利用するユーザーの割合は30%だ)。

このタブは、これまでナビゲーションバー下部にあったサブスクリプションタブを置き換えるもので、今回の追加によりRedditはナビゲーションも見直す必要があった。現在、サブスクリプションは左側の新しいコミュニティメニューに収納され、そこで分類やカスタマイズができるようになっている。このコミュニティの引き出しには、「モデレーティング・エントリー・ポイント」、サブスクのための「あなたのコミュニティ」、あなたがフォローするユーザーのための「フォロー」「r/all」エントリーポイントの4 つのセクションがある。

また、右側には、自分のプロフィールにアクセスし、カスタマイズすることができる「プロフィール引き出し」が新たに追加される。

新機能は、5400万人のデイリーアクティブユーザーを抱えるiOSとAndroidのグローバルユーザーに現在提供されている。

画像クレジット:Reddit

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

17歳のTikTokトップスター、チャーリー・ダミリオ氏の一家が自撮加工アプリFacetuneで知られるLightricksに投資

Charli D’Amelio(チャーリー・ダミリオ)氏は、TikTokで最もフォロワー数が多く最も稼いでいるクリエイターだ。この17歳のスーパースターとその家族は、短い動画から得られる短期間の富よりもさらに先を見ている。米国時間2月23日、ダミリオファミリーはLightricksとのパートナーシップを発表した。LightricksはFacetuneVideoleapといった写真やビデオ編集アプリのメーカーで、アプリのダウンロード数は合計で5億回を超えている。

チャーリーと、姉で同じくTikTokのスターであるDixie(ディクシー)、コネチカット州上院の共和党候補だった父のMarc(マーク)、元モデルの母Heidi(ハイディ)のダミリオファミリーは、Lightricksの株式を取得し戦略アドバイザーとして参画する。Lightricksはファミリーの投資額を明らかにしていないが、ファミリーからの投資は同社が最近調達したシリーズDの1億3000万ドル(約149億5000万円)とは別であると認めた。ファミリーは資金面の支援の他、The247というエディトリアル記事サービスに限定コンテンツを提供する。

Lightricksはダミリオファミリーとのパートナーシップの発表に加え、リンク・イン・バイオに関してLinktreeBeaconsSnipfeedなどのプラットフォームの競合となるLinkInBioのサービスも発表した。LightricksのLinkInBioの利用は無料で、クリエイターがソーシャルプロフィールやウェブサイトへのリンク、そして重要なポイントとしてStripeを利用した投げ銭機能を追加してカスタマイズできる。もっとも、ライバルのリンク・イン・バイオプラットフォームはもっと洗練された収益化手段を提供している。例えばSnipfeedには、購入者向けにパーソナライズした非同期のタロット占いのようなデジタルグッズの販売機能がある。しかしそのトレードオフとして、高機能なプラットフォームはサブスクリプションの課金や売上手数料の徴収などをする傾向がある。

Lightricksの共同創業者でCEOのZeev Farbman(ゼエブ・ファーブマン)氏は報道発表の中で「(ダミリオ)ファミリーはクリエイターエコノミーのトップランナーであり、世界中の前途有望なクリエイターに常に刺激を与えています。一家が開発プロセスのあらゆるステップに携わることとなり喜ばしく思います」と述べている。

Crunchbaseのデータによれば、ダミリオファミリーとしてのスタートアップへの投資はこれが初めてだ。ただしチャーリー・ダミリオ氏自身は2021年にティーン向けバンキングサービスのStepが1億ドル(約115億円)を調達したシリーズCに参加している。セレブがスタートアップへの投資を通じて資産を増やそうとするのはめずらしいことではない。俳優のAshton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏も、ミュージシャンのThe Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ)も、女優のJessica Alba(ジェシカ・アルバ)氏もそうだ。しかしダミリオファミリーは、インフルエンサーから投資家へという新しいジャンルを体現している。

ダミリオファミリーはTechCrunchへのメールで「我々はスタートアップの分野に強い関心を持ち、起業家や新しい企業と出あうことを楽しみにしています。我々は今後数件の投資をして、すばらしいプロダクトやサービスを構築できると思われる企業を支援する予定です」と記した。

TikTokのクリエイターは、テニスプレイヤーのSerena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏やハリウッド俳優のRyan Reynolds(ライアン・レイノルズ)氏といったスターのように長く輝き続けることはできないと不安に思っているかもしれない。両親のサポートのもと、チャーリーとディクシーの姉妹はアパレルのHollisterリングライトの会社、さらにはHuluのリアリティ番組までさまざまなベンチャービジネスを手がけて、すでに知名度を高めている。

しかしティーンの億万長者の苦闘(そう、多くの苦闘だ)を描いた物語でもあるNetflixの「Hype House」と同様に、この「ダミリオショー」は常にオンラインで注目されることによるメンタルヘルスへの負の影響に姉妹がどう対処するかの意味合いも強い。Lightricksとのパートナーシップは疑問のある選択のようにも思える。LightricksのフラッグシップアプリであるFacetuneはレタッチツールとして使われることが多く、身体イメージの問題の一因と考えられてきたからだ。ティーンのメンタルヘルスに対するソーシャルメディアの負の影響は最近大きな議論となっているが、Facetune以外にもLightricksのツールは簡単にビデオを編集するだけの目的でよく使われている。米国時間2月22日にチャーリー・ダミリオ氏はニキビ(ティーンにはごく普通のことだ!)がはっきり写った自撮りを投稿した。レタッチツールは今後も存在するし、本来は邪悪なものではないが、問題はどのように(そしていつ)我々がそれを使うかだ。

画像クレジット:Lightricks

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

LinkedInが独自のポッドキャストネットワークを開始

LinkedIn(リンクトイン)が、ポッドキャストの世界により深く踏み込もうとしている。同社はLinkedIn Newsチームによる自社制作の番組や、業界の著名人による番組を配信するポッドキャストネットワークを開始すると発表した。

当然のことながら、番組はプロフェッショナルな視聴者を対象としている。テクノロジーについての理解、メンタルヘルスの管理、採用プロセスの解説などの分野に焦点を当てるとのこと。LinkedInの共同創業者で会長のReid Hoffman(リード・ホフマン)氏は、個人的な起業家精神をテーマにしたポッドキャスト「The Start-Up of You(自分というスタートアップ)」の共同司会を務め、今春に配信を開始する予定だ。

同社は、LinkedIn Podcast Network(リンクトイン・ポッドキャストネットワーク)は、LinkedIn Newsが制作し、ホストのJessi Hempel(ジェシ・ヘンペル)氏が進化する仕事のあり方を掘り下げるポッドキャスト「Hello Monday」の成功をベースにした試験的な取り組みであるとしている。番組は広告付きで、最初のスポンサーはEngadgetの以前の親会社Verizon(ベライゾン)だ。

このポッドキャストネットワークは、ニュースレター、ライブイベント、ビデオ、投稿など、LinkedInの他の製品と連携しており、ホストと視聴者が番組以外でも会話を続けられるようになるという構想に基づいている。リスナーは、ホストをフォローしたり、ニュースレターを購読したりすれば、そこからLinkedIn上で直接ポッドキャストを聴くことができる。またこれらの番組は、Apple PodcastsやSpotify(スポティファイ)など他のポッドキャストプラットフォームでも配信される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:mixetto / Getty Images

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(文:Kris Holt、翻訳:Den Nakano)

Netflix、短編動画フィード「Fast Laughs」をテレビに導入

Netflix(ネットフリックス)は、短編動画機能「Fast Laughs(ファストラフス)」をテレビの大画面に展開する。1年前に開始されたこのTikTok(ティックトック)にインスパイアされたおもしろい動画のフィードは、これまでモバイルデバイスでのみ利用可能で、Netflixユーザーが観たいと思う新しい番組、映画、コメディスペシャルを紹介する役割を担っていた。

スマートフォン版「Fast Laughs」は、Netflixアプリの目立つ位置にあり、現在は下部ナビゲーションバーの真ん中のボタンになっている。この配置は、TikTokや、今ではInstagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)のリールといったライバル動画アプリにユーザーのモバイルでの時間を奪われることをNetflixが懸念していることを示しているようだ。

TikTokと同様に、モバイルでの「Fast Laughs」はスワイプ可能な垂直のビデオフィードを提供し、反応、共有、またはコンテンツを保存するボタンが画面の右側にあった。しかし、Netflixの目的はソーシャルプラットフォームの開発ではなく、短いティーザー動画を見たユーザーが番組や映画、スペシャル番組をNetflixのウォッチリストに追加したり、すぐに作品のストリーミングを開始できるようにすることだ。

NetflixのTVプラットフォームでは「Fast Laughs」は少し違った働きをする。

オプトイン機能は、会員ページの6から12行目あたりに表示されるようになる。この場合、ユーザーが何か見たいものを探してスクロールしている時に、短編動画を提供するというアイデアだ。また、携帯電話のようにコンテンツを縦に移動するのではなく、画面右側の矢印からリモコンでクリックすることで、動画を閲覧することができる。

画面下部には番組名とレーティングが表示され「More Info」のボタンをクリックすると、そのタイトルのページに移動することもできる。

画像クレジット:Netflix

この機能は、大人向けコンテンツを紹介することもあるため、子どものプロフィールには表示されない(Netflixは、子ども向けの短編動画機能をモバイルでもテストしていた。しかし、そちらはまだテレビに展開していない)。ただし「Fast Laughs」は、設定されていれば、ユーザーの年齢設定を尊重すると、Netflixは述べてている。

発売当初、TV版「Fast Laughs」には「アーミー・オブ・ザ・デッド」「ファザーフッド」「キスから始まるものがたり」などのNetflix映画「ビッグマウス」「デッドトゥミー」「私の”初めて”日記」などのTV番組、さらにアリ・ウォン、ジョコイ、ジェリー・サインフェルドなどのスタンドアップ・コメディのクリップが収録される予定だ。

Netflixによると、テレビでの「Fast Laughs」はまだ当面はテストとみなされ、まず米国、カナダ、英国、アイルランド、ニュージーランド、オーストラリアなどの英語圏の市場で展開が開始されるという。これらの展開は2月22日に始まり、今後数日から数週間かけてゆっくりと継続される予定だ。

「Fast Laughs」は、同社が新機能を設計する際にソーシャルメディアアプリからコンセプトを借用した初めての例ではない。2018年、Netflixはプレビュー機能を導入する際に「Stories(ストーリーズ)」形式を採用した。そしてNetflixは、会員がカタログからコンテンツをよりよく発見できるようなアイデアを常に実験している。例えば、2021年、「ランダム再生」というシャッフルモード機能を立ち上げ、Netflixの体験にさらなる偶然の発見を可能にしようと試みた。この機能は、ユーザーの興味やこれまでの視聴行動に基づいて、サービスが好きそうだと思うタイトルを再生するものだ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Facebookリールが全世界で公開、新たな広告主・クリエイター向けツールも

2021年9月に米国で正式提供されたのに続き、米国時間2月22日、Facebook Reels(フェイスブック・リール)が世界150カ国以上で公開された。これはMeta(メタ)のTikTok(ティックトック)の脅威に対抗する主要部分をなす機能であり、クリエイターは短編動画コンテンツをFacebookでシェアしたり、Instagram(インスタグラム)のリールをクロスポストすることで、幅広い視聴者に届けることができる。この日の世界展開に合わせて、Facebookは新たなクリエイティブツールやクリエイターが広告やStars(スター)を通じてリールで収益をあげる新しい方法を導入した。

リールは当初、TikTokに直接対抗するためにInstagramアプリ内の一機能として登場したが、Metaはすぐに、Facebookを巻き込むことでより強力な反撃手段になることに気づいた。その結果同社は、2021年第4四半期の決算報告で、リールは「他を引き離して急成長しているコンテンツ」であると喧伝した。さらに、リールはInstagramの成長の最大の立役者であり、Facebookでも「非常に成長著しい」と同社は語った。

しかし、現在リールの収益化状況は、Instagramのフィードやストーリーなどのコンテンツ・フォーマットと比べて低い。それでもMetaは、時間とともに変わっていくと信じている。

それに関連して、同社はこの日、Facebook Reels Overlay Ads(フェイスブック・リール・オーバーレイ広告)のテストを米国、カナダ、およびメキシコの全リール・クリエイターへと拡大する。3月中旬までには、ストリーム内広告が利用可能な50か国以上のほぼ全域にテストを拡大する、とMetaはTechCrunchに語った。

ちなみに、ストリーム内ビデオ広告は現在Facebookビデオでのみ利用可能でリールでは使えない。これは、新しいオーバーレイ広告がリールに広告収益を直接もたらすFacebook初の試みであることを意味している。

画像クレジット:Meta

ストリーム内広告のテストに参加しているクリエイターは、2種類の広告フォーマットを試すことができる。バナーとスタンプ(stickers)だ。これらは非妨害的広告であり、ビデオを止めて広告を表示する代わりに、再生中のコンテンツに半透明に重ね合わせられる。バナー広告はリールの下部に半透明のオーバーレイとして表示され、スタンプは固定画像をリール画面内のどこにでも、ふつうのスタンプと同様に配置できる。Facebookは、視聴者に最も合うフレームに表示する広告を選択する。

テスト期間中、Metaは現在ストリーム内広告プログラムで実施しているのと同じ方式でクリエイターと収益分配するという。クリエイターが55%、Facebookが45%だ。しかし、これはテストの進行にあわせて変わる可能性がある。

すでにストリーム内広告プログラムに参加しているクリエイターは、デフォルトで自動的に新しいオーバーレイ広告テストにオプトインされる(過去数カ月間のオーバーレイ広告テストにはごくわずかな人数だけが招待された)。それ以外のクリエイターは資格を確認の上ここで参加できる。

さらにFacebookは、リール間の全画面広告と没入型広告を全世界で数カ月以内に開始する。これらのフォーマットは2021年10月からテストされていた。

ただしすべてのリールに広告が入るわけではない。Metaの説明によると、リールに広告が入るかどうかは、広告主のターゲット設定から視聴者にとっての広告の価値までさまざまな要素によって決まる。クリエーターは、個別のリールにバナー広告が入らないようにCreator Studio(クリエイター・スタジオ)で指定することもできる。

一方広告主も、Publiser Lists(パブリッシャー・リスト)、Blocklists(ブロックリスト)、Inventory Filters(インベント・フィルター)、Delivery Reports(デリバリー・レポート)などのブランド適合ツールを使ってバナーやスタンプ広告を選ぶことができる。

広告に加えて、クリエイターは近々Starsによるリールの収益化が可能になる。StarsはFacebook Live(ライブ)ですでに提供されているバーチャル投げ銭システムだ。さらに、成功しているクリエイターは直接的支払いも受けている。Metaの10億ドル(約1150億円)クリエイター・ファンドの一環であるボーナスプログラムのReels Play(リールズ・プレイ)は、巨額のボーナスを生むことがあり、毎月最大3万5000ドル(約402万円)受け取っているクリエイターもいる、と会社は言っている。しかし、クリエイター・ファンドの長期的な有効性についてはまだ議論の余地がある

ファンドが発表された2021年6月以来、リール・クリエイターに支払った金額について、Metaは公表を拒んでいる。

画像クレジット:Meta

収益化機構以外にもFacebookは、2021年発表したクリエイティブツールRemix(リミックス)、60-second Reels(シックスティ・セカンド・リール)、Draft(ドラフト)、およびVideo Clipping(ビデオ・クリッピング)を公開する。

リミックスはInstagramですでに提供中のツールで、TikTokのDuets(デュエット)に似ている。クリエイターは、Facebookで公開されている別のリール(あるいはその一部)と並べて自分のリールを作ることができる。今回この機能をFacebookのクリエイターも使えるようになった。

リールは、TikTokが動画の長さを最長60秒から3分に拡大して以来、遅れを取り戻そうと躍起になっている。Instagram Reels(インスタグラム・リール)は2021年、動画の最長時間を30秒から60秒に拡大しており、今回Facebookのリールも同じことをする。

DraftとVideo Clippingも近々追加される。Draftでは、クリエイターが作業中のコンテンツを保存して後に公開することができる。Video Clipping機能は数カ月後に公開予定で、通常ライブや長時間コンテンツを扱っているビデオ・クリエイターもリールを試しやすくなる。

Facebook Reelsへの大がかりな投資の一環として、同社はショートビデオをFacebook体験全体におけるより重要な位置づけにしようとしている。米国だけでなく、対象地域のクリエイターは、Instagram ReelsをFacebook上でおすすめとしてシェアできるようになる。

画像クレジット:Meta

今から数週間のうちに、FacebookはユーザーがリールをStories(ストーリー)でシェアできるようにし、FacebookのWatch(ウォッチ)タブでリールを見られるようにする他、リールとクリエイション・ツールをユーザーのニュースフィード(同社は最近の変更でニュースフィードを単に「フィード」と呼ぶようになった)上部に目立った位置に置く。一部の国では、フィードをスクロールしている途中で、ユーザーが気にいるかも知れないリールをおすすめすることもある。

リールはMetaにとって最大級の製品投資であり、同社はTikTokがもたらす脅威について公開の場で発言してる。MetaのCEO Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はTikTokについて「非常に大きなユーザー基盤を生かしてかなりの速さで」成長している強大なライバルであると評している

しかし、Metaの課題はTikTokばかりではない。Facebookは史上初のデイリーアクティブユーザー数の減少を第4四半期に発表した。これは人々が以前ほどFacebookを使っていないことを示すわかりやすい指標だ。それと同時に、Appleのプライバシー方針変更によって広告ビジネスが制約を受け、2022年のMetaの売上は100億ドル(約1兆1500億円)減少する見込みだ。Metaは、Facebookが成功を続けるためにはクリエイターを巻き込んで、ユーザーにソーシャル・ネットワーキング以外の行動を促す必要があることを認識している。それは動画を見たり音楽を聴いたりショッピングをしたりすることであり、いずれもここ数年投資している領域だ。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動接客ツールanybotを開発・運営するエボラニが3.4億円調達、ノーコード・ローコードのミニアプリの構築基盤化を加速

自動接客ツールanybotを開発・運営するエボラニが3.4億円調達、ノーコード・ローコードのミニアプリの構築基盤化を加速

接客用のチャットボットやミニアプリなどを構築できる「anybot」(エニーボット)を開発・運営するエボラニ(Evolany)は2月21日、合計3億4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リード投資家のネットスターズ、またAMD1号ファンド(プレミアグループ)、D4V1号投資事業有限責任組合、個人投資家や銀行。

ネットスターズ、プレミアグループ、既存株主LINE社などとともに、小売やサービス業を中心に、anybotのノーコード・ローコードのミニアプリの構築基盤を進化させ、従来より「早く・安く・ストレスのない」ソリューションを企業に届けることで、LINEミニアプリの普及および日本のDX化推進に貢献するとしている。また、世界に受け入れられるようなサービス提供へのチャレンジをスタートさせたいという。

anybotは、チャットボットやミニアプリ、電話自動応答のIVRといった接客ツールを、ノーコード・ローコードで実現できる構築基盤。すべてのデータを自動的にCRM(顧客関係管理)に保存しセグメント化を行うため、導入企業は、ユーザーとの間でLINE・メール・Messenger・Instagramなどにまたがったやり取りを実現できる。また、様々なステップ配信やセグメント配信も自動で行える。接客に必要な各種予約機能、会員証・ECや決済、クーポンといったキャンペーン機能も備えており、企業の集客からリピート率・ロイヤリティ向上、業務効率化などの課題解決を支援する。

エボラニは「最も役に立つ・感動する接客体験を。」をミッションに掲げ、2018年3月に設立。「町の店長に届けられる自動化社会へ。」をモットーとし、流通・サービス業の現場における集客および活性化の課題を解決するためプロダクトの改善を行ってきた。多様な業種の約3500社にサービスを提供しているという。

マニュアル&ナレッジ管理アプリtoaster teamを運営するnacoが1.3億円のプレシリーズA調達、新ブランド「n」推進

社内や現場でのマニュアルや各種情報を管理するアプリ「toaster team」(トースターチーム)を運営する「naco」は2月21日、プレシリーズAラウンドとして、J-KISS型新株予約権の発行による総額1億3000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はCoral Capital、Headline Asia(旧インフィニティ・ベンチャーズ)、アプリコット・ベンチャーズ。調達した資金はtoaster teamの新機能開発や、新たに展開するデジタルワークプレイスツール「n」ブランドの立ち上げ、中核人材の積極採用、マーケティング活動にあてる予定。

2017年5月設立のnacoは、「働く人たちが、いきいきと活躍できる社会を創る」をミッションに掲げ、働く人と組織をエンパワーメントするデジタルワークプレイスツールを開発・提供している。

その第1弾にあたるtoaster teamは、社内や現場における「知らない」「わからない」「できない」を解決するアプリおよびクラウドサービスとなっている。業務マニュアル、動画マニュアル、社内用語、日報、議事録、ニュースのクリッピングなど業務に関する様々な手順やノウハウを見える化し、社員・スタッフの即戦力化や業務効率化の向上を実現できるとしている。2020年7月のサービス提供開始以降、累計導入企業は2000社を突破した。

複数デリバリーサービスからの注文を一元管理できる飲食店向けSaaS「Camel」を提供するtacomsが3億円のシリーズA調達

デリバリー注文一元管理サービスCamelを提供するtacomsが3億円のシリーズA調達、採用・マーケ・プロダクト開発強化

デリバリー注文一元管理サービス「Camel」(キャメル)を提供するtacoms(タコムス)は2月22日、シリーズAラウンドとして総額3億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はXTech Ventures、ANRI。

調達した資金は、エンジニア・セールス・カスタマーサクセスなどの採用強化、マーケティングやプロダクト開発などの事業投資にあてる。「デリバリー・テイクアウトサービス、POSシステム等など外部サービスとの連携強化」「全国の飲食店舗への認知・導入拡大のための組織拡大」「導入店舗へのサポート体制の強化」を実現する。

昨今多くの飲食店では、コロナ禍などにより数々のデリバリーサービスの導入を進めているものの、すでに飲食店の現場・厨房内では各サービスごとの注文受注用端末があふれている状況にあるという。サービスごとの管理画面にログインし、注文対応状況やメニュー更新作業が必要などその管理が非常に煩雑となっているそうだ。

これに対してtacoms提供のCamelでは、連携する全デリバリー・テイクアウトサービスからの注文を1台のタブレット端末で一括で受注可能となっており、デリバリー業務に必要な店舗側の一連のオペレーションを簡潔化できる。新しくデリバリーサービスに出店する際もオペレーションが煩雑化することなく、管理コストの削減・売り上げの最大化を狙えるとしている。2021年5月の正式リリース以降、累計導入店舗は全国5500店舗を突破したという。デリバリー注文一元管理サービスCamelを提供するtacomsが3億円のシリーズA調達、採用・マーケ・プロダクト開発強化

また、店舗のPOSおよびOESとの連携により、デリバリーの注文が入ると自動的に注文のPOSプリンターから調理伝票が出力され、ハンディ端末への注文情報の再入力コストのカットも実現できる。デリバリー注文一元管理サービスCamelを提供するtacomsが3億円のシリーズA調達、採用・マーケ・プロダクト開発強化

評価が分かれる自動運転車初期のパイオニア、その最新ムーンショットは暗号資産を利用したピア・ツー・ピアの通信ネットワーク

ウェブサイト、Medium(ミディアム)の投稿、ホワイトペーパー、専用のsubreddit(サブレディット)、Discord(ディスコード)チャンネルという5つの要素を伴って、新しいモバイルデータネットワークが米国時間2月1日の夜遅くにサンフランシスコでひっそりとローンチされた。従来の通信事業者に頼らずに匿名で高速に、しかも安価にデータを交換する新しい方法が約束されている。Pollen Mobile(ポーレン・モバイル)と呼ばれるこのピアツーピアのオープンソース無線ネットワークは、サービスが最初に開始されるベイエリアで、ユーザーに暗号資産でインセンティブを与え、ミニ基地局の運営とネットワークカバレッジの構築を促していく。

Anthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキ)氏の自動運転車テクノロジースタートアップ、Pronto AI(プロントAI)がこのプロジェクトを立ち上げた。評価が大きく分かれる人物で、自動運転車業界の初期のパイオニアであるレヴァンドフスキ氏は、企業秘密を盗んだという罪で18カ月の禁固刑を受けた後、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領から2021年恩赦を受けた

なぜ自動運転車のスタートアップが、暗号資産によってインセンティブが与えられる分散型テレコムを作っているのであろうか?Pollen Mobileのきっかけは、Prontoの自動運転車に信頼性が高く手頃な価格のモバイル接続が必要だったことにある、とProntoのCEOであるレヴァンドフスキ氏はTechCrunchとのテキストメッセージで語った。Prontoは何カ月も前から自社のAVにPollenを採用している。

「理由はシンプルです。AVに信頼性が高く手頃な価格のモバイル接続を必要としていましたが、適切なものを見つけることができませんでした」と同氏は書いている。「そこで独自のものを構築し、それが他の人たちからも求められるものになるかもしれないと認識したのです」。その後に同氏は「必要は発明の母」と付け加えた。

数日中に最初のローンチを予定している分散型のPollen Mobileネットワークは、無線タワー、接続確認デバイス、携帯電話というデータ送信機のネットワークに依存している。それらは、やや奇妙に聞こえるが、flower(花)、bumblebee(マルハナバチ)、hummingbird(ハチドリ)といった呼称が付けられている。

Mediumへの投稿によると、2020年にFCC(米国連邦通信委員会)の規則が変更されたことで、自社の自動運転車が走行しているサイト向けに独自の基地局を建設し、小型モバイルネットワークを構築することが可能になったという。

「私たちは、人々が既存のモバイル企業に対して好ましく思っていない、他のすべてのことについて考えるようになりました。そして真に革命的な何か、つまり、私たちがモバイルネットワークの『黙示録の四騎士』と捉えている課題に立ち向かう何かを構築する機会を見出しました」とMediumのブログ投稿には記されている。ここでいう「黙示録の四騎士」とは「プライバシーと匿名性の欠如」「カバレッジの低さ」「コストの高さ」「ユーザーの声の欠落」である。

「flower」と呼ばれる小さな基地局は、ピザの箱ほどの大きさから高さ6フィート(約183cm)のものまであり、数ブロック(数百メートル)から1マイル(約1.6km)までの範囲をカバーしている。これらは「flowerのオーナー」が自宅やオフィスに設置し、インターネットに接続することで、他のPollenユーザーにカバレッジを提供する。同社がDiscordチャンネルに掲載した情報によると、flowerのオペレーターは、そのカバレッジ領域、サービス品質、送信データ量に応じて、ユーザーのコミュニティからPollenCoin(PCN、ポーレンコイン)を得る。

オペレーターは、この物理的なデータ送信ハードウェアの初期費用を負担する。最も安い(そして最も小さい)flowerで999ドル(約11万円)、最大かつ最もパワフルな送信機は1万ドル(約115万円)を超える。この高い初期費用を正当化するには、オペレーターがネットワークの成功を信じ、PCNの固定供給の価値が高まることを確信することが求められるだろう。

画像クレジット:スクリーンショット/Pollen Mobile

誕生したばかりのこの取り組みに対する多くの疑問点の1つは、ISPがどのように対応するか、あるいは対応するかどうかということだ。分散型ネットワークは、flowerのオペレーターの自宅のインターネットに乗って、それらのネットワークを通じてピアツーピアのデータを転送することになるのだろうか。

同社のネットワークトラッカーによると、同ネットワークは現在、ベイエリアで10を超える無線タワーを運用しているようだ。

Pollen Mobileは「bumblebee」と名付けられた小さなデバイスを提供しており、これによりネットワークカバレッジの強度に関するデータを収集する。これらのデバイスは「flower」のカバレッジを証明するもので、ユーザーが所有し、自身のクルマやドローン、自転車に搭載することもできる。Bumblebeeのオーナーは、毎日提供される独自のカバレッジ検証の数字に基づいて、PCNを獲得する。

最後に、Pollenネットワークを使用するモバイルデバイスである「hummingbird」が用意されている。同ネットワークに接続するにはeSIMをダウンロードする必要があり、ノートPCなどのデバイスは専用のアダプター(「Wing」と呼ばれる)を介して接続できると同社は述べている。ユーザーはPCNを使って接続料金を支払う。

最終的には、データネットワークの初期段階で料金を支払う意思のあるユーザーのネットワークを構築する上で、顧客データを販売したりログに記録したりしない、より匿名性の高いモバイルネットワークというビジョンを売り込む必要があるだろう。データ専用ネットワークでは通話もSMSメッセージもできないし、料金を支払っても電話番号はもらえない。

Pollenはこれまでのところ、Prontoの子会社として内部的に運用されている。レヴァンドフスキ氏によると、Pollenは自律分散型組織であるeDAOに移管される予定で、独立して運営されるようになるという。この組織が最終的に、ネットワークがどのように進化し、ユーザーがどのように、どこでカバレッジを構築するインセンティブを与えられるかを決定することになる。

「私たちはflowerの行き先を制御していません」とレヴァンドフスキ氏はTechCrunchに語った。「コミュニティと市場の力が報酬の流れる先を決定できるように、このネットワークを設計しました」。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Kirsten Korosec、Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)

アップルに5回目の罰金、出会い系アプリの決済めぐりオランダ独禁当局との対立続く

オランダの競争当局は、決済技術および同国の出会い系アプリに関する独占禁止命令に遵守しなかったとして、Apple(アップル)に科した罰金を再び引き上げた。

5回目の罰金として500万ユーロ(約6億4900万円)が科せられたことにより、Appleは2500万ユーロ(約32億3700万円)の支払い義務を負うことになり、命令に従っていないとみなされ続ければ、最大で5000万ユーロ(約64億7200万円)に達する可能性がある。このような状況の中、同社は、解決策を提示するどころか障壁を作り続けていると、いら立ちを隠せない様子の規制当局から非難された。

消費者市場庁(ACM)は、声明で次のように述べている。

過去1週間の間に、AppleからACMの要求を満たすような新たな提案は得られませんでした。そのため、Appleは5回目の罰金を支払う必要があります。つまり、すべての罰金の総額は現在2500万ユーロ(約32億3700万円)となります。

「当庁はAppleに対し、どのようにすればACMの要求事項を満たすことができるかを明確に説明しました。ですがこれまでのところ、Appleは真剣な提案をすることを拒否しています。特に、12月24日にACMの要求が裁判所で支持されたことを考えると、Appleの態度は遺憾です。Appleのいわゆる「ソリューション」は、独自の決済システムを利用したいと考えている出会い系アプリ業者にとって、あまりにも多くの障壁を設けています。

「Appleが支配的地位にある企業であることはすでに確立されました。それには、同社サービスの購入者、さらには社会全体に対する責任が伴います。Appleは、自社のサービスを利用すのに妥当な条件を設定しなければなりません。その文脈において、Appleは同社の支配的地位を濫用してはなりません。Appleの規約は購入者の利益を考慮したものでなければなりません。

規制当局の広報担当者は、先週の提案が「不合理」であると判断されて以来、Appleが新たな提案を行っていないことを確認した。

「Appleがこの命令に従うことを期待しています」と同担当者は付け加えた。「それができなければ、定期的な罰金支払いの対象となる、別の命令を下す機会となります」。

ACMからの最新の罰金に対するコメントをAppleに求めているが、同社の広報部門はここ数週間、罰金や告発の件数が増えていることから、これからの問題に備え静かにしているようだ。

Appleに収益の大部分を渡さずにデジタルコンテンツを販売したいと考えている一部のアプリからの苦情を取り締まろうとする、欧州の(小さな)一国の競争規制当局と、自らのエコシステムのコントロールを維持しようとする巨大プラットフォーム企業との間での争い。これは、EU(およびその他の区域)がデジタル巨人に対して、厳しい事前規制とそれに見合った罰則を採用(および施行)した場合にどうなるか、今後のはるかに大きな戦いを予見させるという点で有益だ。

例えば、導入が急がれているEUのデジタル市場法(DMA)案では「ゲートキーパー」と判断されたプラットフォームが、事前に設定された運用上の義務のリストに違反していた場合、全世界売上高の10%を上限とする罰金などの制裁措置が講じられる可能性がある。

そうなればAppleの場合は、2500万ユーロ(約32億3700万円)ではなく、2500億ユーロ(約32兆3700億円)に近い罰金が科せられることになる(クパチーノにとって、軽く見ることがより難しくなるのは確かだ)。

それでも、規制当局が、リソース豊富なテック巨人を自分たちの思うように踊らせようとするのは至難の業であることは明らかだ。

ACMの苦情に対するAppleの対応は、規制当局が不公平だと判断したからといって、儲かる収入源を簡単に放棄する気はないことを示しており、同社は代わりに事業を再構成して、ほぼ同じ手数料を取るための新しい方法を見つけることで、それに対抗しようとしている(Appleは、サードパーティの決済技術を利用するオランダの出会い系アプリに対して、App Storeの標準的な手数料30%に対して、売上の27%の手数料を請求すると述べている)。

関連記事:アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

収益に影響を与えるような規制上の制限を回避することに大きなインセンティブを持っている、高速なイテレーションを武器とするテック巨人を取り仕切ることは、我々がこれまで見てきたように、果てしない遅延に負けてしまいがちなゲームだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Den Nakano)

個人が不動産債権に投資できるプラットフォームGroundfloor、事業拡大に向け資金調達

クラウドファンディングは、企業が資金を調達する方法としてますます人気が高まっていて、投資家も注目している。不動産クラウドファンディングのプラットフォームとして初めて規制当局の認可を取得したGroundfloor(グラウンドフロア)は、2015年以来となる機関投資家からの資金調達を発表した。

Groundfloorは、モバイルネットワークの元幹部のBrian Dally(ブライアン・ダリー)氏と、超党派のJOBS(Jumpstart Our Business Startups)法の共同提案者であるNick Bhargava(ニック・バーガヴァ)氏によって2013年に創業された。アトランタを拠点とする同社は、JOBS法の下で新しいクラウドファンディングの規則が施行され、中小企業が商品を登録することなく非適格投資家から最大7500万ドル(約86億円)を資金調達できるようになった直後に、Fintech VenturesがリードしたシリーズAで500万ドル(約5億7000万円)を調達している

Groundfloorのプラットフォームは、15万人超のユーザーに不動産債権への投資を提供しており、最低投資額は10ドル(約1100円)となっている。CEOを務めるダリー氏は、プラットフォームで提供されるほぼすべての商品は非適格投資家に開放されている、と話す。Groundfloorのユーザーがこのプラットフォームを利用する理由はさまざまで、公開市場より安全な代替手段を求める新規投資家から、ブローカーを使うよりアプリを使った投資を好む経験豊富な投資家までユーザーは多岐にわたるという。

ダリー氏によると、機関投資家と同じようにリスク・リターンプロファイルにアクセスする機会を一般的な投資家に提供するためにGroundfloorを始めたとのことだ。同社はそうした投資家に「公募REIT(不動産投資信託)を買ったり、賃貸物件を丸ごと買って運用リスクや集中リスクを負ったりすることなく」不動産にアクセスする代替手段を提供している。

Groundfloor共同創業者のブライアン・ダリー氏とニック・バルガヴァ氏(画像クレジット:Groundfloor)

ダリー氏によると、同社の「秘策」は規制の枠組みの深い理解にある。「最初の製品を発売するのは、新薬の認可を待つような感じでした」と同氏は話し、最初の州で事業を行うために米証券取引委員会(SEC)から認可を得るのに2年という時間と約100万ドル(約1億1000万円)を要したと指摘した。同社は現在、米国50州のうち49州で証券を販売し、35州で不動産プロジェクトに資本を貸し出している。

Groundfloorは、融資を受ける不動産投資家の実績や経験を重視し、6つの要素でリスクを判断して各ローンにグレードを割り当てるアルゴリズムを使ってプラットフォーム上のローンを引き受けている、とダリー氏は説明する。そして、Groundfloorの投資家はこのスコアをもとに、自分のリスク許容度に見合った配分を決定することができると、同氏は続けた。

Groundfloorは、2021年秋に開始した貯蓄・投資アプリのStairsなど、新たな債務投資商品を追加してプラットフォームを拡大し、現在では投資資産2200万ドル(約25億円)を抱える。Stairsでは、ユーザーは基本的に当座預金として保有する現金に対して4%から6%の利息を得ることができる。Groundfloorは、Stairsのユーザーから得た資金をもとに不動産起業家への融資を行っていて、自社で短期間保有した後に投資家に売却しているとダリー氏はいう。Stairsのユーザーには常に流動性があり、好きな時にアプリから資金を引き出せる、とダリー氏は付け加えた。同氏によると、この斬新な仕組みがSECの承認を得るまでに9カ月かかった。

「これらはRegTechの大きな課題です。多くのリーガルエンジニアリングが必要です。そのため、プロセスには多くの時間がかかりますが、それだけの価値があると考えています」とダリーは述べた。

同社は2018年、自社プラットフォームと株式クラウドファンディングプラットフォームSeedInvestを通じて自社ユーザーからの資金調達を開始し、その後4回の公開株式調達で合計3000万ドル(約34億円)を調達した。現在、個人投資家がGroundfloorの約30%を保有しているとダリー氏は話した。

今回発表されたシリーズBは、2021年に売上高が114%増の1200万ドル(約13億円)に達するなど、Groundfloorが大きく成長した後に行われた。投資家は同年、同社のすべての不動産ローンで平均リターン10%を享受した、と同社は話す。

Groundfloorの不動産ローンクラウドファンディングプラットフォーム(画像クレジット:Groundfloor)

今回のラウンドでは、イスラエルの不動産会社Medipowerから株式で580万ドル(約6億円)、クラウドファンディングプラットフォームSeedInvestを通じてGroundfloorを支援する3600人超の個人投資家から720万ドル(約8億3000万円)の出資を受け、累計調達額は1億1800万ドル(約135億円)になった。また、個人86人がGroundfloorのアプリを通じて直接このラウンドに参加し、その投資は5ドル(約82円)の転換社債で構成されている。ダリー氏は、転換社債はGroundfloorの商品の中で唯一、非適格投資家が利用できないものであり、それは部分的には同社が転換社債をほとんど調達していないためだと述べた。

Groundfloorは、今回の資金調達のニュースの中で、ショッピングセンターと小売用不動産を専門とするMedipowerとの戦略的パートナーシップを発表した。Medipowerは2022年、最大1億ドル(約115億円)、2023年にはさらに最大2億2千万ドル(約252億円)をGroundfloor上のローンに投資する計画だ。テルアビブ証券取引所でティッカーシンボル「MDPR」で取引されている同社は、プラットフォーム上の個人投資家と同じ条件でこれらのローンに投資し、他の投資家が押し出されないよう投資額を制限する予定だ。この取引の一環として、Medipowerの創業者で会長のYair Goldfinger(ヤイール・ゴールドフィンガー)氏がGroundfloorの役員会に加わる。

Medipowerの投資額は、2022年末までにGroundfloorの運用資産の25%に達する可能性があるとダリー氏はいう。同氏は、Medipowerのローン投資を非希薄な資金源とみている。というのも、MedipowerがGroundfloorに投資することで組織に認めてもらうことになり、他のソースからの収益を引き寄せると期待しているからだ。

ダリー氏は「その資本の直接的な恩恵を受けるのは、全国で新しい建設プロジェクトを行い、住宅を建設している不動産起業家たちです」と語った。

Groundfloorは、今回のラウンドで得た資金で、現在約70人で構成されているチームに新たに50人を加える予定だ。同氏によると、新規採用のうち約40%はエンジニアで、同社の成長計画、特に製品面を支えることになる。

「16万人の投資家を、今後2〜3年で100万人にする準備をしています」とダリー氏は語った。

画像クレジット:krisanapong detraphiphat / Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

トランプ氏のTRUTH SocialがApp Storeに登場、しかし誰も利用できず

Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏のメディアグループは米国時間2月21日、米国でiOSアプリ「TRUTH Social(トゥルースソーシャル)」をリリースしたが、公開されているツールを使って同アプリのAPIをスキャンしたところ、すでに登録自体を締め切っていることがわかった(また、そのスキャンによると「独自アカウント登録マイクロサービス」は「Pepe」と名付けられているが、これは差別的な意味合いのあるミームの名前だ)。

TRUTH SocialはApple(アップル)のApp Storeで無料ダウンロードの1位になっているものの、ほとんどのユーザーはこのアプリに入ることができない。TRUTH Socialをダウンロードすると、Eメールアドレスと生年月日を入力するよう促され(ユーザーは18歳以上でなければならない)、その後、認証メールを待つことになる。しかし、そのプロセスのすべてのステップで、TechCrunchはエラーメッセージを受け取った。認証メールを受け取ると、そのリンクはさらにエラーメッセージを生み、アカウントを作成することができなくなった。10万人以上のユーザーとウェイトリストに入れられたというユーザーもいれば、認証メールを受け取れなかったり、認証ステップを通過できなかったりしたユーザーもいる。TechCrunchは、これらのサインアップの困難さについて、Trump Media & Technology Group(TMTG)にコメントを求めた。

トランプ前大統領は、2021年の国会議事堂襲撃事件後、ポリシー違反を理由に、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)から削除された後、自身のソーシャルメディア・プラットフォームをつくることに興味を持つようになった。TMTGは10月のプレスリリースで「リベラルメディア・コンソーシアムの対抗馬を作り、ビッグテック企業に反撃すること」をミッションとしていると書いている。

画像クレジット:TRUTH Social

TRUTH Socialの発表は、初期の困難に満ちていた。この新しいソーシャルネットワークは、Mastdon(マストドン)のオープンソースのコードを使いながら、そのコードを自分たちのものだと主張していた。

「利用規約には、このサイトは所有財産であり、すべてのソースコードとソフトウェアは彼らによって所有または管理されているか、彼らにライセンスされていると主張する心配な箇所がありました」と、Mastodonは当時書いていた。「注目すべきは、利用規約にも他の部分にも、Mastodonへの言及も、Mastodonのユーザーインターフェースにデフォルトで存在するソースコードへのリンクも一切含まれていなかったことです。Mastodonは、AGPLv3ライセンスの下で公開されているフリーソフトウェアで、これを使用するオーバー・ザ・ネットワーク・サービスは、そのソースコードとあらゆる変更に一般にアクセスできるようにすることを要求しています」。

12月、TRUTH SocialはついにMastodonのソースコードを、そのウェブサイトの「オープンソース」と書かれたセクションに追加した

「私たちの目標は、あなたの政治的信条が何であろうと、オープンソースコミュニティをサポートすることです。だからこそ、我々がすばらしいソフトウェアを見つけるために最初に行くのは『ビッグテック』ではなくそのコミュニティなのです」と、TRUTH Socialのウェブサイトには書かれている

12月には、Devin G. Nunes(デビン・G・ヌネス)下院議員(カリフォルニア州)が下院を去り、TMTGのCEOに就任した(トランプ氏は同社の会長を務めている)。

今週末のFox Newsとのインタビューで、ヌネス氏はTRUTH Socialの本格的なローンチは数週間後であると述べた、現在はiOSでのみダウンロード可能である。

「毎日我々はより多くの米国人にサービスを提供します、そしてできるだけ早くあなたにも」と、ヌネス氏はFox Newsで述べた。

画像クレジット:MANDEL NGAN / JOSH EDELSON/AFP / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Yuta Kaminishi)

中国当局がフードデリバリー会社に手数料の引き下げを指導

2016年から2020年の間に、中国でオンラインで食事を注文した人の数は4億人に倍増した。このブームの背景には、同国のフードデリバリー競合各社が、顧客や企業に対して気前よく補助金を配ったということもある。Meituan(メイトゥアン、美団)とEle.me(ウーラマ、餓了麼)の2社が市場を支配するようになると、彼らは加盟店の手数料を引き上げ始めた。しかし、新たな規制の変更は、彼らの利益モデルを阻害しようとしている。

中国当局のグループは現地時間2月18日、飲食業の運営コストを下げるために、フードデリバリープラットフォームはレストランに請求するサービス料をさらに引き下げるべきだという発表を行った。このニュースを受け、Meituanの株価は金曜日に15%以上下落し、250億ドル(約2兆9000億円)以上の市場価値が失われた。MeituanのライバルであるEle.meを運営するAlibaba(アリババ)の株価は約4%下落した。

この提案は、中国の国家計画機関である国家発展改革委員会が「苦境にあるサービス産業の回復を支援する」ことを目的とした指導だ。この新規制は、長期的にはインターネットの巨人たちの利益を先細りさせる可能性が高い。Meituanの2021年7月から9月期の収益において、手数料が占める割合は60%にも達している。同社は、ホテルなど他の業種からも手数料を徴収しているが、フードデリバリーは依然として最大の収益源だ。また、フードデリバリーは、Alibabaが2018年にEle.meを買収した後、同社の主要事業の1つにもなっているが、この巨大企業にとって最大の収益エンジンは、依然として電子商取引である。

中国のフードデリバリープラットフォーム各社は、収益性を低下させる可能性がある別の変化に関しても、対処を迫られている。2020年に注目を浴びた記事では、中国の何百万人ものフードデリバリー労働者を危険にさらす高ストレス環境が明るみに出た。効率を最適化するアルゴリズムは、人間の能力や道路の事故などを十分に考慮していないため、配達員はしばしば仕事を遂行するために信号を無視して走っている。

中国当局は、フードデリバリープラットフォームに対し、従業員の安全性を向上させるよう命じた。MeituanとAlibabaは、配達員のライダーに音声コマンド機能を備えたコネクテッドヘルメットの提供を開始し、配達員がスクーターで道路を駆け抜ける際に、携帯電話をチェックする必要がないようにした。配達時間の制限も緩和した。MeituanとEle.meの課題は、労働者の福利厚生と事業の収益性をいかに両立させるかということだ。

Meituanはすでに手作業への依存度を減らすことに取り組んでいる。最近ではフードデリバリー用のドローンを公開し、中国のいくつかの都市で小規模な試験を行っている。とはいえ、この飛行体はまだ製品化の初期段階であり、中国では低空飛行のドローンに対する規制がまだ具体化していない。また、ドローンによるフードデリバリーの経済的な実現性も未知数だ。

しかし、少なくとも自動化は、Meituanのような労働集約型のオンデマンドサービスを提供する企業にとって、より安全でコストを削減する未来を実際に試すための1つの方法である。

画像クレジット:Meituan Dianping

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

印タタ・グループが導入準備中の「スーパーアプリ」に問題あり、内部関係者が告白

インドのコングロマリットであるTata Group(タタ・グループ)は、早ければ2022年3月にも「スーパーアプリ」の発表を計画している。これは、同社が確立したサービスや最近買収した消費者向けサービスの多くを、初めて1つの大規模なアプリとして統合することによって、Jio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)やAmazon(アマゾン)などの企業に対抗しようというものだ。

Tataは当初、この「TataNeu(タタ・ニュー)」と名付けられたスーパーアプリを、2021年のうちに消費者向けに導入する予定で、数四半期前から同社の従業員を対象にテストを行っていた。2022年4月に開催されるIPLクリケットトーナメントでは、TataNeuのプロモーションのために大規模なマーケティング活動の展開が計画されている。

ただ、1つだけ問題がある。

本件に詳しい2人の関係者とTechCrunchに提供された資料によると、発表が遅れているにもかかわらず、TataNeuは決して現代的に見えるものではないようで、同社の幹部はどうすればこのスーパーアプリに消費者を惹き付けることができるか、いまだに悩んでいるという。

このアプリには、Tata Digital(タタ・デジタル)が2021年過半数の株式を取得したオンライン食料品店のBigBasket(ビッグバスケット)や、小売チェーンのCroma(クロマ)、エンターテインメントサービスのTata Play(タタ・プレイ)、富裕層向けオンライン通販サイトのTataCLiQ(タタクリク)、AirAsia(エアアジア)のフライトチケット、Taj(タージ)ホテルを運営するIHCL、タタ・グループとの合弁事業でインドに進出しているStarbucks(スターバックス)のフード&ビジネスなど、さまざまなサービスが含まれている。

さらにTataNeuは、個人間の送金、ブロードバンド、電気、水道、衛星テレビの料金の支払い、ローンなどの機能も提供する(支払い機能があることは興味深い。Tataは、インドで広く採用されているUPIに対抗できる、同国の新しい決済インフラの構築と活用を支援するためのNUEライセンスに入札している主要企業の1つでもある)。

しかし、このアプリは滑稽なほどバグが多く、恐ろしく遅くて、統合機能はさまざまなTataのサービスをアプリ内のブラウザを介して指し示すだけであり、しかも携帯電話なのに時々デスクトップ表示になることもあるという。

画像クレジット:TechCrunch

Tataが従業員を対象にしてテストしているこのアプリは、消費者向けに提供する予定のものと同じであり、大幅な改善には取り組んでいないと、この件に詳しい人物は語っている。

顧客へのインセンティブに、Tataは「NeuCoin(ニューコイン)」を報酬として提供することを計画している。1NeuCoinは1インドルピー(約1.54円)に相当する。同社は最終的に、BigBasketや1mg、その他のサービスが提供している異なる特典を段階的に廃止し、すべてのサービスでNeuCoinを統一的に使用するつもりだ。

この報酬は、幅広いカテゴリーで展開する自社サービスの「コネクティング・レイヤー」を構築しようとしているTata Groupにとって、大きな焦点の1つだ。これが成功すれば、155年の歴史を持つこの巨大企業グループは、国内最大のロイヤリティプログラムを構築することができる。

「TataNeuは、Tataの複数のブランドを結びつける統合プラットフォームで、これまでにないものです。スーパーアプリとして設計されたTataNeuは、食料品、電子機器、金融ソリューション、航空券、休暇旅行など、あらゆるものを提供します。TataNeuに掲載されている各ブランドは、NeuCoinという共通の特典でつながっています。NeuCoinは、オンラインでも実店舗でもすべてのブランドで獲得でき、同様に使用することができます」と、Tataは述べている。

しかし、Tataの現在の計画によると、顧客はBigBasketやその他のTataのサービスで直接買い物をすればNeuCoinsを蓄積することができ、そのためにTataNeuアプリを使用する必要はない。また、インドで数億人の消費者を相手に事業を行っているTataは、スターバックスをはじめ、所有権や提携関係が限定的な一部のブランドにも、新しいロイヤルティプログラムへの参加を全面的にあるいは部分的に認めさせようとして苦心していると、この件に詳しい人物は語っている。

Tataの消費者向けデジタルサービスには、多くの成果がかかっている。同社は2023年3月期のGMV(流通総額)で100億ドル(約1兆1500億円)を目標にしていると、インドのニュース・分析出版物であるCapTable(キャップ・テーブル)は2022年2月初めに報じた

2年前に同じインドのReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)が、デジタル・小売事業のためにMeta(メタ)やGoogle(グーグル)など多くの著名な投資家から270億ドル(約3兆1000億円)以上の資金を調達したように、Tata Groupもスーパーアプリのために資金調達を行っている。だが、関係者によると、主要な2つの投資家がすでに投資を見送る意向を示しているとのことだ。

Tata Digitalの広報担当者は今のところ、コメントの求めに応じていない。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)