テスラが長寿命低コストのバッテリーを開発中、EVの価格をガソリン車と同等に

Tesla(テスラ)のCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、将来のバッテリー技術の改善を吹聴し、次の同社のイベントは「バッテリーデー」になる、とまで公言していた。そして5月14日ロイターは、テスラが最新バッテリー技術を発表する計画であることを報じた。開発したテクノロジーは、同社の電気自動車の動力源として「100万マイル」の使用に耐え、低コストで生産できるという。これは同社が同等のガソリン車と同じかそれ以下の価格でEVを販売できることを意味している。

これが本当なら同社にとって大きな転換点だ。ロイターによると、この技術は中国企業のContemporary Amperex Technology(寧徳時代新能源科技股份有限公司)との共同研究開発から生まれたもので、マスク氏が電力ストレージの経済変革を起こすために集めた選りすぐりの学界出身者からなるテスラバッテリー技術研究チームの成果に基づいている。

バッテリー容量と製造コストは、電気自動車の製造コストに関わる長年の阻害要因であり、EVの販売価格が高額になる主要な原因だ。通常自動車メーカーは、テスラも含め生涯の燃料費節約と地域や州、国が提供する税優遇を、EVの生涯コストをガソリン車と同等あるいは低くする緩和要素として示してきた。しかし、同社の新しいバッテリー技術はこの状態を変え、EVの価格をガソリン車よりも低くする可能性を秘めている。そうなればEV普及の大きな原動力になる。

テスラは新バッテリーをまず中国で、Model 3を皮切りに採用する予定だとロイターは書いている。その後、他の市場へも展開し、最終的に新しい製造プロセスでバッテリーを生産する。新プロセスは労働コストを下げ、生産量を上げるためのもので、ネバダ州にある今のギガファクトリーの30倍の広さの、いわゆる「テラファクトリー」で使用される。

「テスラが開発しているバッテリー技術には、低コバルトおよびコバルトフリーの化学物質を使用するものや、新たに開発された材料と内部コーティングによって活性物質へのストレスを減らして、利用可能期間を延ばすものもある」とロイターは伝えている。

同社は提携しているContemporary Amperex Technologyが開発した新システムも導入する。最終的なバッテリーパックに搭載する前にバッテリーセルをまとめる手順を省略することで、パッケージの重量とコストを下げる。ほかにも、バッテリーの部品を最終的に他のエネルギー製品で使うことで実用年数を延ばす新たなリサイクル技術を開発している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

持続可能なマイクログリッドがクリーンエネルギーの未来を作る

気候変動や日常化しつつある自然災害に対抗するために必要不可欠なツールとして、持続可能なマイクログリッドが米国中に作られ始めている。ハリケーン、地震、山火事に襲われた多くの地域では、従来型の電力網による電力供給の維持が難しくなり、停電が発生すれば地域経済は停滞し、究極的には人の命が危険にさらされる。

マイクログリッド(災害時には広域の電力網から独立して運用できるように設計された電力供給設備)が生まれて数十年になるが、21世紀に入るまで発電はもっぱら化石燃料に頼っていた。ソーラーパネルとバッテリー容量のコストが十分に下がって持続可能なマイクログリッドが経済的な現実味を帯びるようになるまでに、そこから20年を要した。しかし、このところの注目度の高まりや設置件数の増加を見るにそれは変曲点に達し、未来のクリーンエネルギーとしての可能性が大いに高まったと言える。

サンタバーバラの例を見てみよう。同郡では、全学校に設置できるマイクログリッドの研究と設計のために50万ドル(約5400万円)を割り当てることについて、11月に統一学区が全員一致で賛成票を投じた。Clean Coalition(クリーン・コーリション)は、予備調査で18の学校の敷地には太陽光で15MW(メガワット)以上を発電できる可能性を割り出している。

こうしたソーラーパネルとバッテリーを組み合わせた「ソーラー・プラス・ストレージ」型のマイクログリッドを適切な学校に設置すれば、自然災害や、昨年10月に数十万人もの住民に損害を与えたカリフォルニアの電力会社PG&Gの停電事故のようなときに、地域社会に貢献できる。こうしたサイトは、重要な緊急援助サービス、痛みやすい食料の保存、照明、電気、インターネット絶続を非常時に供給する場にもなる。

マイクログリッド設置の実現性の調査は6月に完了する。最終的な費用は4000万ドル(約43億円)ほどと見積もられているが、長期の電力販売契約(PPA)を結ぶことで、学区はサイトを無料で設置し、通常の電気料金と同じ形で料金を長期支払いにできる(価格は電力会社の電気よりも安い)。このような契約は、ここ数年の間に再生可能エネルギーの発電コストが継続的に低下し、経済的な有効性が認められて初めて可能となった。そしてこれが、マイクログリッド・ブームの中心的な牽引力になっている。

1月末に、Scale Microgrid Solutions(スケール・マイクログリッド・ソリューションズ)は、投資会社のWarburg Pincus(ウォーバーグ・ピンカス)から3億ドル(約320億円)の投資を受けた。現在のマイクログリッドは、個々の顧客の特別な状況に合わせて設計され設置されるのが普通だ。だがScale Microgrid Solutionsは、運送用のコンテナの中にソーラーパネル、バッテリー、制御装置、バックアップ用のガス発電機を組み込んだモジュール式のマイクログリッド・インフラストラクチャーを提供している。

このモジュールは素早く設置でき、1500万ドル(約16億円)程度の予算でマイクログリッドの設備が欲しいと考える顧客や施設に適したオプションだ。最初のモジュール型マイクログリッドは、2019年5月、高度なクリーンエネルギー技術への投資に特化した金融会社であるGenerate Capital(ジェネレート・キャピタル)の資金援助で設置されている。

一方、米国の反対側、米国自治連邦区プエルトリコでは、自然災害の連続によりソーラー・プラス・ストレージ型マイクログリッドの有効性が証明されている。2017年にハリケーン・マリアがこの地の集中型の電力網に壊滅的な被害を加え、大勢の人たちが1年以上もの期間にわたって電気のない生活を強いられていた。

Rocky Mountain Institute(ロッキーマウンテン研究所)、Save the Children(セーブ・ザ・チルドレン)、Kinesis Foundation(キネシス財団)は、プエルトリコの中心地である山岳地帯の10の学校にソーラー・プラス・ストレージ型マイクログリッドを設置した。学校内の図書館、厨房、水道ポンプが停電の間、無期限で使えるように作られている。設置は2019年12月に完了した。ただでさえ経済復興が停滞していたプエルトリコを危機にさらした1月の群発地震発生の直前だ。ロッキーマウンテン研究所の島しょ緊急事態プログラムが専門情報サイトMicrogrid Knowledge(マイクログリッド・ナレッジ)に話したところによると、いくつもの学校で電力網の電気が止まったが、マイクログリッドは見事に機能し続け、重要なサービスを提供できたという。

マイクログリッドの利用は学校に留まらない。いくつかの地域社会では、自宅に設置したソーラー・アンド・ストレージ・システムをリンクさせているところもある。インバーターや制御装置は、この2年ほどで効率が向上し、電力網を補完して、またはそこから独立して参加者同士で電気を融通し合う「コミュニティー・マイクログリッド」の構築コストが、ようやく手の届く範囲になってきたという。

1月、オーストラリアのスタートアップであるRelectrify(リレクトリファイ)は、バッテリーの寿命を最大で30%も延ばし、同時に運用コストも削減するというインバーターとバッテリーの管理技術の継続的な改善にシリーズA投資450万ドル(約4億8000万円)を獲得した。Relectrifyの技術はまた、電気自動車に使われていたが、自動車用としての安定性が低下しすぎたバッテリー(Teslaの大人気の製品も含む)を再利用することもできる。これにより、需要が高まるマイクログリッドに大量の中古バッテリーを転用する道が開かれる。

これらの事業が魅力的に感じられるのは、電力網の回復力や電力網からの独立が化石燃料に依存することが多かったからでもあるが、エネルギー消費者にとって、どんどんコストが下がる安価なオプションになってきたという理由もある。プエルトリコの家庭用電力の価格は、2019年時点で1キロワット毎時(kWh)あたり27セント(約29円)と高額だ。これに対して、家庭用のソーラー・アンド・ストレージ・システムの価格は、条件がよければ24セント(約26円)まで下がる。

ソーラーパネルの設置費用は、調査会社Wood Mackenzie(ウッド・マッケンジー)の調べでは、この10年間で90%も下落した。同時に、地球温暖化とそれに起因する自然災害による早期の影響が、それでなくとも通常の維持管理や高まる需要の対応に苦しんでいる米国のエネルギーインフラに負担をかけ始めている。多くの大手電力会社が老朽化する集中型の電力網に依存する天然ガスやその他の部分的なソリューションに目を向ける中、災厄を経験した社会はすでにマイクログリッドの価値を実感し、競って導入するようになっているのだ。

これらの初期型のサステナブルなマイクログリッドが与える最大のインパクトは、近隣住民に電力を届ける非常用電源としての役割を超える。発電方法と電気の使い方に関する地域社会とエネルギー消費者の考え方を劇的に変化させるきっかけが、そこにはある。地域社会のマイクログリッド・システムでは、住民は電力源との間に具体的で明確なつながりを持つことができ、需要に対して十分な電力が行き渡るように友人や近所の人たちと協力し合うことが求められる。

このようなシステムは、あるかないかの社会的または技術的な制約のために、ピーク需要に合わせて環境にもっとも悪い燃料を常に燃やし続けるよう発電所に要求する現在の電力網とは、まったく対照的だ。持続可能なマイクログリッドは、ついに完全に誰の手にも届く価格にまでなってきた。そしていつの間にかマイクログリッドは、エネルギー消費と復元力に対する私たちの考え方を変え始めた。

【編集部注】著者のAlex Behrens(アレックス・ベレンズ)は、運輸、エネルギー、自動化、分散化における未来のテクノロジーを専門とする調査分析家でありブロガー。Fortune 500に選ばれた企業や技術系スタートアップでのデータおよび運用業務を経験。Seeking Alpha、Spend Matters、Metal Minerといったパブリッシャーのレギュラー寄稿者。

画像クレジット:Will Lester/Inland Valley Daily Bulletin (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

「iPodの父」が支援するAdvanoの駆動時間を10倍にするバッテリー部品

ルイジアナ州ニューオリンズ拠点のスタートアップであるAdvanoは1850万ドル(約20億円)を調達して、シリコンスクラップを原料にした今よりも強力で小さくて長持ちするバッテリー部品を製造しようとしている。

そのテクノロジーは、ルイジアナのスタートアップが著名なアクセラレーターであるY Combinatorへの参加を許されるほどで、戦略パートナーである三井金属と「iPodの父」として知られるデザイナーで、スマート・サーモスタット会社NestのファウンダーでもあるTony Fadell(トニー・ファデル)氏の注目を浴びるにふさわしいほどの革新だった。

三井のSBI Material Innovation Fundとファデル氏の投資会社であるFuture Shapeに加えてPeopleFund、Thiel Capital、Data CollectiveおよびY Combinatorが計1850万ドル(約20億円)を出資して、Advanoの製造能力拡大とシリコン負極材料の販売を支援する。

「シリコンをリチウムイオン電池に付加することで駆動時間を10倍にできる。『バッテリー不安』が解消されたところを想像して欲しい。電気自動車は増え、CO2は減る。しかし、そのための4つの重要な課題である材料の膨張、サイクル寿命、コストおよび迅速な製造スケーラビリティーを同時に解決できた者はいない」とファデル氏は声明で語る。「Advanoのバッテリー技術者たちはその取り組みに最初に成功した。Advanoが持つ複数の技術を応用した斬新なアプローチによって、製造メーカーが必要とするバッテリーのカスタマイズを可能にする。さらに彼らは、持続可能なシリコンを原料にすることで、あらゆるものを電化するという我々の変遷が環境に与える影響とも戦っている」

Advanoは、最新の材料科学プロセスを活用することでシリコンスクラップの再利用に成功した。Advanoのファウンダー・CEOであるAlexander Girau(アレクサンダー・ジロー)氏はルイジアナ州のテュレーン大学在学中に初めてこの技術を開発した。

Sila Nanotechnologiesをはじめとする他社も、膨大な資金を投入してバッテリー製造にシリコンを活用する方法を開発している。

関連記事:Sila Nano’s battery tech is now worth over $1 billion with Daimler partnership and $170 million investment

基本的にバッテリーは、電流が送り込まれる「正極」、電気を伝える「電解質」および電流が送り出される「負極」からなる。リチウムイオン電池の場合、正極は一般にグラファイトで作られるが、グラファイトには充電量に関係する制限がある。グラファイトの代わりにシリコンを用いることで、バッテリーが蓄積できるエネルギーが増え、必要な材料が減り、その結果コストとサイズを小さくできる、とAdvanoは言う。

ジロー氏は、分子工学の研究を開始すると、まず遺伝子治療に取り組んだ。最初に開発したテクノロジーは、ナノ粒子の表面機能化を生み出し、粒子にまったく新しいふるまいをさせるものだった。

革新的だったのは、その生物学研究を材料科学とバッテリー開発に持ち込んだことだ。機能性ナノ粒子をつくり、シリコンに付加するためには通常いくつかの段階が必要だが、CEOによると、Advanoはそれを一段階プロセスで行う方法を開発した。

Advanoにとっての鍵は、反応性ナノ粒子をシリコンスクラップが破砕される時にシリコンに付加することだ。このプロセスを用いることで、同社は機能性シリコンの製造が可能になったとジロー氏は説明した。

「どんなリチウムイオン電池の性能も改善できる。我々はまず消費者向け電池メーカーと仕事をしている。生産量が少なく、早く顧客に届けられるからだ」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トヨタが中国CATLとEV用バッテリー供給と技術開発で提携

トヨタ自動車が電気自動車の野心的な世界売上目標を達成するには、バッテリーの安定供給だけでは足りない。競争力を維持するためには、より高品質なリチウムイオン電池を利益率を圧縮することなく手に入れる必要がある。

同社は中国の電気自動車バッテリーサプライヤーのCATLに答えを求めた。米国時間7月17日に両社は、製品品質の向上およびバッテリーの再利用とリサイクルを目指し、新技術の開発から供給の確定までバッテリーエコシステムをのさまざまな範囲をカバーする提携を発表した。

6月にトヨタは、CATL(Contemporary Amperex Technology、徳時代新能源科技)および電気自動車メーカーのBYDとバッテリー購買に関する提携を結ぶ計画を発表した。 今回の新しい契約は、両社の関係を拡大するものだ。

両社はこの提携について、バッテリーの安定供給は不可欠でありバッテリー技術はもっと発展、進歩しなくてはならないという共通認識から生まれたと語った。CATLは自社のバッテリー開発・供給能力をトヨタの電気自動車とバッテリーの開発技術を融合するつもりだと共同発表の中で両社は言った。

すでにパナソニックは、トヨタにハイブリッドおよびハイブリッドプラグイン向けにバッテリーを供給している。しかし、事実上あらゆるメーカーがポートフォリオミックスに電気自動車を加えていることを踏まえると、EVの目標を達成するためにはそれだけでは足りない。かつて電気自動車を生産していた主要企業はTesla(テスラ)と日産の2社だけだったが、今はそうではない。アウディとジャガー・ランドローバーは新しい全電動自動車を発表した。そして大きな動きがすぐに続く。フォルクスワーゲンは、2025年までに20車種以上の全電動モデルを開発し100万台以上販売する計画を持っている。

一方トヨタは2025年までに全世界売上の半分を電気自動車が占めると発言した(これは年間の電気自動車売上約550万台に相当する)。こうしたEV計画はレクサスなど他のトヨタブランドや他の自動車メーカーにも波及している。

同社は、2025年までにレクサスの全モデルに電動バージョンを作ると発表した。6月にトヨタとスバルは、中・大型乗用車のバッテリー電動車向けプラットフォームの共同開発、およびCセグメント(中小型実用車)電動SUVモデルを共同開発し、それぞれのブランドで販売する計画を発表した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

EnergizerのP18K Popはスマホ付き18000 mAh大容量バッテリー

これこそが、みんなが求めていた機能だ。

スマートフォンのレビュー記事を読むとき、最初に知りたいことの一つはバッテリーの持続時間が自分の利用形態に合っているかだ。もしスペックの中で意味があるのはバッテリー寿命だけだったらどうなるだろう?

バルセロナで行われているMWCで、携帯電話メーカーのAvenir TelecomはEnergizerブランドの強烈なパンチ力をもつ巨体で注目を集めている。

P18K Popには18000 mAhという超大型バッテリーが組み込まれている。メーカーは丸2日間動画を見続けてもバッテリーがなくならない、と言っている。ちなみに今読者のポケットの中にある携帯電話のバッテリーは2500~3500 mAhくらいなので、ふつうの使い方なら数日間もちそうだ。

消費者は、果てしなく端末を薄くしたいというメーカーの欲求に必ずしも興奮していない。もちろんいちばん薄い部分の厚さが18 mmのP18K Popにとってそんな問題はない。ふしぎなことにここまで厚くしたのに、ヘッドホンジャックをつける余裕はなかったようだ

この大きな図体にどの程度の市場があるのかまったくわからないが、パリ拠点のAvenir Telecomは、この夏には消費者向けに出荷を始めると言っている。

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バッテリーの命が難民の命、スマホに依存する難民の実情

[著者:Ziad Reslan]

人間の寿命とバッテリーの寿命を同じに考える人は少ないと思うが、戦争や飢餓から逃れてきた大勢の難民たちにとっては、わずか1パーセントのバッテリー残量が、適時に適切な情報を与えてくれる生命線となる。それがなければ、生き残ることはできない。

現代のスマートフォンは、移住を余儀なくされた人たちの旅の必需品となっている。Google Mapを頼りに中央アジアの山岳地帯を歩いたり、WhatsAppで故郷の家族とつながったり、スマートフォンは難民のあり方を変えた。しかし、良いことばかりではない。

電子1個も無駄にできない

東ヨーロッパでは、ハンガリーから入国を拒否された難民たちが、セルビア側の国境沿いに建ち並ぶ廃ビルに身を寄せている。生活必需品はボランティアが運んでいるが、その中には、自動車のバッテリーを再利用したスマートフォン用の充電器も含まれている。

ハンガリー国境から2キロと離れていない廃ビルの中では、難民たちがひとつの自動車用バッテリーを取り囲み、スマートフォンに充電している。彼らはみな、スマートフォンのバッテリーの大切さをよく認識している。コンセントが使えない場所で充電を行うための、ポータブル充電器を欲しがる人も大勢いる。彼らは常に、どのアプリがいちばん電気を食うかを報告し合ったり、使っていないときはアプリを閉じるように声を掛け合ったりしている。

パキンスタンから逃れてこの建物で避難生活を送っているNashidは、この遠く離れた辺境の地でいちばん求められるのは、スマートホンに充電する方法だと話している。電気が自由に使えないため、バッテリーの充電はボランティアの訪問だけが頼りだ。次の訪問のときまでは、なんとかバッテリーを持たせるよう、さまざまな工夫を凝らしている。そのひとつに、夜寝るときと昼寝をするときは、かならず電源を切るというものがある。画面の明るさも最低に設定してある。空になったバッテリーを取り出して繰り返し振り続けると、数分間、スマートフォンが使えるようになるとも話していた。

東ヨーロッパから西ヨーロッパを目指して旅する難民たちにとって、ハンガリーとセルビアの国境が最後の壁になっている。ハンガリーに入れさえすれば、そこはEU26カ国が加盟するシェンゲン圏なので、国境検査を受けることなく、西ヨーロッパ内の目的地に楽々と行くことができる。しかし反面、ハンガリー国境では警備が厳しくなり、入国がかなり難しい状態になっている。多くの難民たちは、ようやく国境を通れるようになるまでの間、何十回も拒否され押し返されている。

Nashidは、この8カ月間、セルビアからハンガリーへの入国を試み続けている。妻と2人の子どもを含む家族をパキスタンに残し、彼はヨーロッパに旅立った。彼によれば、WhatsAppを使って家族と、そしてパリに住む従兄弟と連絡を取り合っているという。パリは彼の最終目的地だ。バッテリーの制限はあるものの、ただ待つだけの日々の中で、スマートフォンがよい気晴らしの道具にもなっていると彼は言う。1曲か2曲、こっそり歌を聞いたり、ウルドゥー語の動画をYouTubeで見たりしているそうだ。

ひとつの旅に無数のアプリ

この数年間、セルビアは西ヨーロッパに渡ろうと試みる難民たちの、主要な経由地点という役割を担ってきた。セルビアの首都ベルグラードにあるRefugee Aid Miksalište Center(ミクサリステ難民救済センター)は、NGOによって1日24時間開かれていて、移動中の難民が立ち寄ってサービスが受けらるようになっている。一歩中に入ると、ここでも電源タップの周りに人が集まり、スマートフォンに充電をしている。また、無料Wi-Fiの設備もあるので、故郷の友人や家族と、ソーシャルメディアやSkypeを使って連絡を取り合っている。

スマートフォンに充電するために、電源タップの周りに集まるセルビアの難民たち(写真:Ziad Reslan)

難民が集まるたびに、同じ光景が繰り返される。今、世界中には、強制的に国を追い出された人たちが7000万人近くおり、避難場所を求めて何千キロメートルも旅をしなければならない状態にある。その半数以上が、シリア、アフガニスタン、南スーダンのわずか3カ国から逃げて来た人たちだ。強制的に国を追い出された人たちの中でも、突出して多いのがシリア人だ。アレッポから西ヨーロッパへ向かう途中のセルビアとハンガリーの国境地帯までだけで、平均して2200キロメートル以上もの距離を移動しなければならない。

方向を知るために、言葉を学ぶために、ちょっとした気晴らしに、スマートフォンは、難民たちにとって、何カ月間にもおよぶ過酷な旅を生き抜くための必需品となっている。少なくとも、故郷に残してきた愛する人たちと話ができることが、心の支えになる。

2015年夏、残虐な内戦から逃れて100万人のシリア人難民がヨーロッパに押し寄せるという難民危機が頂点に達したころ、FacebookとWhatsAppのチャットグループがいくつも立ち上がり、難民たちの間で旅の進行状況、どの仲介者が信用できるか、交渉費用はどれほどか、といった情報がリアルタイムで交わされるようになった。GPSピンを使って、Google Map上で安全なルートが示された。地中海で難民を乗せた船が沈没した際には、彼らのスマートフォンから送られたGPS信号によって沿岸警備隊に救われたということもあった。

難民たちは、ドイツ語、フランス語、英語などの言語学習アプリをスマートフォンにダウンロードし、目的地の生活に馴染めるようにと、移動中に勉強している。ブルガリア語、セルビア語、ハンガリー語で書かれた道路標識は、Google翻訳で読んでる。旅で家族と生き別れてしまった難民たちには、スマートフォンが家族とつながる唯一の手段だ。

強制的に国を追い出された難民たちの通信接続性を重視したUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、2016年にConnectivity for Refugees(難民のための接続性)イニシアチブを立ち上げた。これは、難民のためのインターネット接続の権利を支援するもので、難民へのデータ通信サービス提供の交渉、デバイスの購入援助、インターネット接続センターの設置、スマートフォンをフルに活用できるようにする訓練の提供などを行っている。開始から2年が経った今、UNHCRでは人員を増やし、先行して支援を行なっていた国々に加えて、ヨルダン、ギリシャ、チャド、マラウィ、タンザニア、ウガンダでも接続支援の計画を展開する予定だ。

難民の援助に力を入れるスタートアップもある。コロンビアで建築学を学ぶ2人の学生、Anna StorkとAndrea Sreshtaは、LuminAidを共同設立した。そこで彼らは、太陽電池で充電ができ、照明としても使える携帯電話用充電器PackLite Max 2-in-1を開発し、難民たちに無料で配っている。難民の収入の3分の1がインターネット接続のために費やされていると見積もったUNHCRは、難民たちが無料でデータ通信ができるよう、Phone Credit for Refugees(難民のための電話代クレジット)プログラムを開始した。そのほかにも、GeeCycleのように、世界中から中古のスマートフォンを回収して、紛争地帯から逃れてきた難民たちに配っている団体もある。

デマとの戦い

無料Wi-Fiや充電などのサービスを提供するRefugee Aid Miksališteの外では、セーブ・ザ・チルドレン・セルビアなどのNGOが活動している(写真:Ziad Reslan)

しかしスマートフォンは、難民の旅を良いものにするばかりではない。ソーシャルメディアの匿名の情報源に依存すれば、彼らの弱みに付け込んだ人身売買業者などの悪質な連中のもとに導かれてしまう恐れもある。親戚から入手した情報でさえ、結果的に間違っていたということもあり、悲惨な結果を招きかねない。

セーブ・ザ・チルドレン・セルビアの権利擁護マネージャーJelena Besedicは、アフガニスタンからバルカン諸国へ保護者なしに旅をする子どもが増えている原因に、デマがあると話している。セルビアで足止めを食っている、8歳ほどの幼い子どもたちの親は、子どもが無事に西ヨーロッパに入れたなら、親を呼び寄せる資格がもらえるという偽情報を信じていた。

難民の旅を楽にするという類のデマは、難民たちをどんどん危険な方向に導いてしまう。その結果は、目的地に到着したときに現実を知らされて絶望するだけだ。こうした偽情報に対処しようと、国際移住機関などの団体は、難民を送り出す国々に対して、西欧諸国へ旅立つことの危険性を周知させる情報キャンペーンを開始した。さらに、ハンガリーやイタリアのような国粋主義的な傾向を増している国々は、難民のスマートフォンに向けて、まずは自国に来ないように忠告するテキストメッセージを発信している。

難民が家族から感じる圧力は、ずっと以前からあっただろうが、スマートフォンを使うようになってからは、その圧力にひっきりなしに晒されることとなった。セルビアとハンガリーの国境地帯で足止めされているNashidは、パキスタンからフランスまでの約6500キロメートルにも及ぶ旅の途中で自分がどんな目に遭うかを知っていれば、決して出発しなかったと振り返っている。しかし、パキスタンにいた間も、パリの従兄弟から、とても簡単に入国できたこと、フランスには仕事がたくさんあることなどを伝えるメッセージが止むことなく送り続けられていた。そして、Nashidがパキスタンを出発すると、今度は妻と2人の子どもから、パリに着いたかどうかを絶え間なく尋ねられるようになった。そのため、故郷に帰るという考えを捨てざるを得なくなった。

この会話の最後に、Nashidは、WhatsAppで彼が知った噂の真偽を私に尋ねてきた。スマートフォンのバッテリーを100時間まで持たせることができる個人用のポータブル充電器があるというのは本当なのか? と。そんな充電器があれば、コンセントから何キロメートルも離れたこの場所で暮らす自分の人生が変わると、彼は語気を強めていた。

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(翻訳:金井哲夫)

Apple、昨年iPhoneのバッテリーを保証外で交換したユーザーに50ドルのクレジットを提供

昨年、保証期間の過ぎたiPhoneのバッテリーを有償で交換した人は、Appleから50ドル[5600円]の返金を受けられるかもしれない。今週Appleは、サポートページでiPhone 保証対象外バッテリー交換クレジットを発表した。対象となるのは正規修理拠点で行われた交換。

今回の措置は、旧モデルのiPhoneでバッテリー寿命を延ばすために処理速度を落としていたことを同社が認めたことを受け、今も続いている補償プログラムの一環だ。昨年末Appleは、この問題をユーザーに告知していなかったことを謝罪し、今後は透明性を高めることを約束した。

その後間もなく、Appleは通常より50ドル安い29ドルのバッテリー交換プログラムを提供開始した。今回のクレジットは2017年中この割引サービスが始まる前にバッテリー交換を行った人が対象だ。

同社は7月27日までに対象者全員にメールを送り、ユーザーのアカウントでクレジットを受け取る手順を通知することを約束した。通知は来ないが対象者であると信じる人は、今から年末までの間に直接Appleに連絡されたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、MacBook Proの一部を対象にバッテリーを無料交換

Appleは、13インチMacBook Pro(Touch Bar非搭載モデル)ノートパソコンの不良部品を含む可能性のある機器を対象にバッテリーの無料交換を行う。

最近同社は、同機種の少数の個体で部品不良のために内蔵バッテリーが膨張する可能性があることを発表した。Appleはこれを安全性の問題ではないとしているが、無料バッテリー交換によってできるだけ早く問題を解決したい意向だ。

問題の起きる可能性があるのは2016年10月から2017年10月の間に製造されたモデルだ。

自分のMacBook Proが対象になるかどうかを知りたい人へ:
Appleは交換プログラムのウェブサイトを用意しているのでユーザーは機器のシリアル番号を入力すれば交換の対象になっているかどうかを確認できる。

Appleがバッテリー交換プログラムを提供するのはこれが初めてではない。昨年同社は、古いバッテリーを保護する目的で旧型iPhoneの速度を低下させていることがユーザーに発覚し、苦境に立たされた。AppleはiPhoneのバッテリー交換を29ドルで提供することで対応した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、iPhoneとiPad向けにiOS 11.3をリリース――ARKitが1.5に、アニ文字もクール

さきほど、AppleはiPhoneとiPad向けにiOS 11.3をリリースした。このアップデートでは多数のバグ修正が行われただけでなく、新機能も含まれている。われわれが以前に報じたiPhone X向けアニ文字も今回のリリースで4種類が追加された――オリエンタルなドラゴン、クマ、ライオン、ドクロだ。

しかし新機能はアニ文字だけではない。Appleは数ヶ月前にベータ版を公開しているが、11.3にはARKitのメジャー・アップデートとなるARKit 1.5が含まれている。Appleの拡張現実はさらに多くの対象物やその表面の質感を認識できるようになった。

iOS 11.3では待望のバッテリー駆動時間の改良も実施された。設定からさらに詳しいバッテリー情報が得られる(ベータ)。現在のバッテリーの容量や交換時期について教えてくれる。

古いバッテリーを保護するためにiPhoneのパフォーマンスを絞るという仕組みはあちこちで批判を浴びたため、Appleはこの機能をユーザーが無効にできるようにした。ただしこれもベータ版だとい。

AppleはiPhone向けヘルスケア・アプリに新機能を導入した。ユーザーはすべての健康関連情報をこのアプリにまとめることができる。各種の情報を得るためにいちいちそのアプリを開く必要がない。

またAppleはメッセージ・アプリにカスタマーサポートとの会話機能を導入した。ショップやレストランはメッセージを通じて注文や席の予約などを受け付けることが可能になる。Discover、Hilton、Lowe’s、Wells
Fargoは初期ユーザーとしてすでにこの機能を利用し始めている。ただいヘルスケアとメッセージのビジネス機能は当面アメリカでベータ公開となる。

You’ll also see a new privacy icon across the operating system. A new website to export all your data is coming in May as well. Apple needs to add those features to comply with GDPR.

Apple Musicにはビデオクリップのセクションが追加された。App Storeのアップデートのタブにはアップデートのサイズが表示される他、さまざまな目立たない改良が実施されている。セキュリティーに関してもデバイスを常に最新の状態に保っておくのが最上の策だ。残念ながらiOS 11.3ではまだiCloudにiMessageがサポートされていない。

アップデートをインストールする前にパソコンないしiCloudにデータをバックアップしておくことをお勧めする。あとは「設定」アプリで「一般」を開き、ソフトウェア・アップデートを選択するだけでよい。この他macOS、watchOS、tvOSのアップデートも今日公開された。

〔日本版〕iOS 11.3は日本でも公開済み。最初に起動する際に個人情報の保護に関するAppleのポリシーが表示される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

TeslaがModel Xの死亡事故について知っていること

Tesla は、先週起きたModel Xの火災を伴う死亡事故について追加情報を公開した。今夜のブログ記事でTeslaは、事故が起きる直前に何が起きたのかまだ明らかになっていないと言った。Teslaは事故の原因についてもわかっていないと言った。

Teslaは、同社のデータによると2015年に自動制御システムを発売して以来、Tesla車は国道101号線の同じ区間を約8万5000回オートパイロットモードで走行していることを指摘した。今年に入ってからTeslaドライバーはこの区間を2万回問題なく走ったとTeslaは言っている

「この事故がこれほど重大な結果を招いたのは、コンクリート壁に衝突した際の衝撃を緩和するために設置されるクラッシュ・バリアーと呼ばれる安全柵が、事故当時取り除かれていたか、あるいは事故の前に壊れて置き換えられていなかったことが原因だ」と同社は書いている。

下の写真は、安全柵の本来あるべき状態と、事故の前日の状態とを比べている。

Teslaはこの最近の写真を、定期的にこの区間を走っている目撃者の車載カメラから入手したと言っている。同社は「Model Xがこれほど激しく損傷を受けたのを見たことはこれまでにない」と言った。

すでに報じられているように、この事故は火災も引き起こした。Teslaのバッテリーパックは、火災が起きた際に乗っている人が車の外に出るための時間を確保するように設計されていると同社は言っている。

「目撃者によると、火災が被害を及ぼす可能性のあった時点でModel X社内には誰も乗車していなかった」とTelsaは言う。「この種の大事故が起きると車の種類に関わらず火災が起きるうる。Teslaの数十億マイルに上る実走行データによると、米国ではガソリン車の方がTesla車より火災が起きる可能性は5倍高い」

Teslaのオートパイロットシステムの使命は自動車事故を減らすことだ。同社のブログには、米国政府の実施した独立した審査によると、オートパイロットによって事故率は40%減少した、とTeslaが書いている。もちろんそれは、このテクノロジーがあらゆる事故を防ぐ完璧なものであるという意味ではない。

本日(米国時間3/27)National Transportation Safety Board(国家安全運輸委員会)は、運転手が死亡し火災を起こした同事故を捜査していると発表した。

[NTSBの調査員2名だ2018年3月23日にカリフォルニア州マウンテンビュー付近で起きたTeslaの死亡事故について現地調査を実施している。事故当時自動制御装置が働いていたかどうかは不明。調査対象の問題は、衝突後の火災、現場から車両を安全に取り除く手順など。]

「当社の顧客および家族のプライバシーを尊重し、調査が完了するまでこれ以上詳しい情報を公開する予定はない」とTeslaはブログ記事に書いた。「お客様のご家族、ご友人に深い哀悼の意を捧げたい」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電池切れ直前のスマホでないと使えないチャットアプリDie With Meはデジタルアートだった

【抄訳】
今人類は、過度のスマートフォン中毒だろうか? その疑問はとりあえず置いておき、ここではチャットアプリの形をしたアート、Die With Me(一緒に死んで)をご紹介しよう。この有料アプリは、お互いのスマートフォンの電池残量が5%以下になると、チャットができる。

作者の一人Dries Depoorterによると、このアプリは“アートのプロジェクト”だ。アートの部分を担当したのが彼で、もう一人の作者David SurprenantはWeb開発を担当した。

ペアの二人がどちらもたまたま、テクノロジー中毒者のためのソリューションに出くわすことがありえる。それがたとえば、非常に限られた時間内にしか使えないアプリだ。

特定のアプリにアクセスできる時間帯を制限することは、たとえば子どもに勉強をさせたい親がOSの設定でできる。

でも、なぜ電池がチャットアプリを制限するのか? Die With Meのアイデアは一体どこから出てきたのか?

Depoorterはこう言う: “ぼくはテクノロジーを使うアーチストなんだ。ぼくの作品は、ネット上の監視やソーシャルメディアやプライバシーに関するものが多い。こういうテーマについて何かを語りかけているような、オリジナルなアイデアをひねり出そうと、いつも努力している”。彼が成功作のひとつと言う、もうひとつの作品は、宝くじの自動販売機で、くじに当たるとその人のInstagramやTwitterのアカウントに最大25000の偽造フォロワーができる。

彼によると、よく知らない都市にいるときスマートフォンの電池が切れてホテルへの帰り方が分らず途方に暮れたことが何度もある。“スマートフォンを使ってる人は誰もが、そんな状況になったことがあると思う。ぼくにとってそれは、作品のアイデアのひらめきだったけど”、と彼は言う。

“ぼくはアーチストだから、この感覚はアートになる、と思った。電池が5%以下になったときだけ使えるアプリ、というアートのアイデアをこれまでずっと追ってきた”。

“でも、おもしろいアプリのアイデアがなかった。そして最近、一般公開のチャットルームがおもしろそうだ、と思えてきた”。

なぜそのアイデアがスマートフォンユーザーに受ける、と思えたのか。彼曰く、“そんなアプリはこれまでなかったし、だれもが知ってるけど新しい感覚でもある。電池があと少ししかない、という感覚。自分たちがテクノロジーに依存している、という感覚だ”。

iOSでもAndroidでも0.99ドルと有料ダウンロードなのは、チャットサーバーの費用を捻出するためだ。電池が5%以下になったら、ニックネームでアクセスして、あと数分、という同じ感覚を共有する。お話できる時間はだいたい4分ぐらいだが、残量が5%弱のバッテリーパックを用意しておくと、もっとお話できる。

【中略】

彼のお気に入りの会話の例が、これだ:

– Malk (4%): ほんと、ちょっと悲しいね。朝の目ざましをセットしてあるんだけど、電池が死んだら自力で起きて充電してセットしないといけない。

– Pablo(3%): 忘れるなよ!

– Malk(4%): うん

– Pablo(3%): 明日(あした)仕事をクビになるぞ!

– Malk(4%): 仕事はしてないよ

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iPhoneの29ドルのバッテリー交換はほとんど無条件になった

Appleの‘29ドルでバッテリー交換’は、ルールがゆるい。結局のところ同社は、ほかのあらゆることを後回しにして、そいつをやりたいようだ。50ドルの値引きで買った保証期限切れのiPhoneはどうなるのか、とご心配のあなた、その心配は今やご無用であります。

同社が最初に言っていた条件は、“iPhone 6以降でバッテリー交換を要するもの”となっていた。同社で調べてOSのバージョンを確認し、電池残量が80%未満だったら交換を勧めるはずだった。しかし実際には、バーはずっと低くて、調査の結果がどうであれ、交換してくれるのだ。

このことに最初に気づいたのはiGenerationで、彼らはAppleの社内的メモを見た。その後、このことをMacRumorsも確認した。今本誌はAppleに確認を求めているので、公式の声明等が得られ次第この記事をアップデートしよう。どうやらAppleは、摩擦をできるだけ減らしたいようだ。なにしろ、ヘタをすると、同社の不名誉になりかねない事件だからね。

現に、競合他社の多くが、この餌に食いついた。Samsung, HTC, LG, Motorolaなどはこぞって、うちはそんなこと(OSの低性能化)はしない、と宣伝した。また、Appleと同じく29ドルのバッテリー交換を発表した修理サービスiFixitは、Appleの慰謝行為と違って、iPhone 6より古い機種にも対応した。

Appleのこのサービスは、今年の12月までだ。詳しくはAppleのサイトへ。ここでは、Genius Barの予約もできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

今日からAppleのiPhoneバッテリー交換は29ドル――性能劣化問題で事実上の謝罪

保証期間切れのiPhoneバッテリーを29ドルで交換するというAppleの約束が実行に移された。iPhone 6以降でバッテリー問題を抱えているユーザーが対象となる。Appleでは 当初特別価格でのバッテリー交換プログラムの開始時期を1月後半としていたが前倒しになった。Appleがバッテリー劣化によりiPhoneの旧モデルの性能を低下させているという問題を認めたことから、同社に対して激しい非難の声が上がっていた。

先週末TechCrunchに送られたコメントでAppleは「われわれは準備にまだ少し時間を必要とする。顧客に対する〔修理費用の〕引き下げはただちに実施する。ただし交換用バッテリーの供給は当初多少制限されるものと思われる」と述べていた。

つまりユーザーとしてはかっこうの機会を逃すな、ということだ。保証が切れた機種のバッテリー交換で50ドルのディスカウントというのはAppleとしては稀な公の謝罪とみていい。大勢のユーザーがこのチャンスにバッテリーを交換し、iPhoneの旧モデルの寿命を少し伸ばすことになるだろう。ライバル・メーカーはこのスキャンダルを最大限に活用しようとしている。Samsung、HTC、LG、Motorolaなど主要なライバルは一斉に「われわれはバッテリーに関してこうした〔計画的劣化という〕手法を採っていない」と主張している。

昨日、iFixitはこのニュースを受けて、iPhone用バッテリー交換キットの価格を29ドルに下げた。これはAppleのバッテリー交換費用と同額だが、iFixitのバッテリー交換キットの売れ行きは急上昇しているという。iFixitはAppleのバッテリー交換ブログラムでは待ち時間が長くなる可能性があることを注文殺到の理由に上げている。

実際、iPhoneの性能を計画的に低下させることを許したAppleの透明性の欠如した体質に加え、同社も認めているように、当初交換用バッテリーの供給が十分でない可能性があること、またAppleのジーニアスバーの予約を取らねばならないことがユーザーに大きなフラストレーションをもたらしている。また今日以前にバッテリー交換を申し込んでいる場合は50ドルの割引は適用されない。

とはいえ、バッテリー交換価格の大幅割引はよいことだ。あとはサプライチェーンが十分な量を供給できることを祈りたい。Appleではバッテリー交換に関してサイトに詳細を掲載している。

〔日本版〕Appleの日本サイトにはまだ特に発表がないもよう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

iFixitはAppleのお詫び料金に合わせて電池交換を29ドルに値下げ、Apple未対応の機種も

iFixitが、修理に関するAppleのポリシーを好感したことはない。それどころかAppleのガジェットは同社のサイトにおいてつねに、修理適性で低い得点をいただいていた。その同社が今日(米国時間12/29)は、当の巨大テクノロジー企業に対しまた辛辣な姿勢を見せ、その電池交換キットを29ドルに値下げした。それはAppleがiPhoneの低速化ポリシーに対する一種の慰謝料として、保証期間切れの電池交換に設定した料金と同額だ。

ご存知のようにAppleは、今週の初めから煮え湯を飲まされていた。同社は、電池の古いiPhoneの動作速度を落としたことを認め、それに関する透明性の欠如を詫びた。

同社がめったに発表することのない公開詫び状には、こう書かれている: “約1年前のiOS 10.2.1において弊社は、電源管理部分のアップデートを行い、iPhone 6, iPhone 6 Plus, iPhone 6s, iPhone 6s Plus, およびiPhone SEにおけるピーク負荷時の予期せざるシャットダウンを防ごうとした。しかしこれらの変更そのものが感知されることはなくても、場合によってはユーザーが、それまでよりも長いアプリの立ち上げ時間や、そのほかの性能劣化を経験することがありえる”。

iFixitによると、このお詫びがニュースで知れ渡って以来、電池交換の注文がそれまでの3倍に跳ね上がった。同社はAppleの情報公開の姿勢に対しお世辞を言うとともに、予防的な電池交換を熱心にユーザーに勧めた。

iFixitに電池交換を頼んでも安くはならないが、ちょっと頑張るだけでGenius Barの待ち行列に並ばずにすむし、さらに彼らの手にiPhoneを渡したあとの待ち時間にいらいらすることもない。しかもiFixitは、Appleが対応しない古い機種の電池も安く提供している。

今、Samsung, HTC, Motorola, LGなどのAndroid勢力は、これを宣伝の好機としてとらえ、Appleのように古い機種のスピードを下げたりしませんよ、と訴求している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

コロラド大学出身のスタートアップSolid PowerがBMWと組んで自動車用固体電池の商用化を目指す

自動車メーカーのBMWは、多くの他社とともに、ソリッドステート(固体)のバッテリーという、鼻先の人参を追うレースに参加している。今日(米国時間12/18)同社は、バッテリー技術の企業Solid Powerとのパートナーシップを発表し、その技術に基づく電気自動車用固体電池の開発と商業生産を目指すことになった。

Solid Powerはすでに、その方面の企業が開発した無機素材を使ってバッテリーを作っており、そのバッテリーセルは従来のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が高く、したがって一定サイズ(立方cm)あたりの出力が大きい。

またそれは、液体ベースのバッテリーに比べて安全性が高く、実用寿命も長い。と、良いとこずくめのようだが、この、コロラド大学ボウルダー校から生まれたスタートアップの研究開発成果が商用レベルで実用化されるまでには、まだまだ紆余曲折がありそうだ。

そんなタイミングでこのほど、BMWが支援の手を差し伸べた。BMWの人材と専門知識が加われば、商用化は加速されるだろう。バッテリーと電動自動車に関してはBMWにも長年の研究開発の蓄積があるので、これからの共同開発のためのベースも十分に分厚い。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LGがヨーロッパ最大のEV用電池工場を来年ポーランドにオープン

LGは、電気自動車用のリチウムイオン電池を生産するヨーロッパ最大の工場を建設する、と発表した。Reuters(ロイター)によると、そのLG Chem事業は2019年に、ポーランドのヴロツワフ近郊で生産を開始し、その翌年にはEV用バッテリーの年間生産能力10万に達する、とされている。

比較としては、Panasonicが中国に作った最新の電池工場は、年間20万台ぶんの電池を生産できる。またGigafactoryの最終目標は、年間の生産能力50万台ぶんだ。Gigafactoryの現在の生産能力はそこまで達していないが、それでも世界でもっとも多くの電池を生産している、とElon Muskは言っている。

自動車メーカー各社はこのところEVやハイブリッド車の生産に力を入れて、自動車の電動化を進めようとしているが、その足を引っ張りかねないのが電池の供給能力だ、と言われる。工場が増えることは歓迎だが、しかし長期的には原料の供給がさらに大きな阻害要因になるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

TeslaがEV用バッテリーの移動式交換装置で特許を出願、当面Model S, X用

Teslaは今でも、車のバッテリー交換をもっと簡単迅速にできる方法を探求している。5月に同社が出願したこの特許は、専門技師がバッテリーパックを15分未満で交換できる方法を示している。

このようなアイデアは、前からある。2014年にTeslaは、Model Sのバッテリーパックを90秒未満で入れ替える自動化システムをトライした(下図)が、Superchargerネットワークの展開によりお蔵入りになったようだ。

この特許に説明されているシステムは、サービスステーションや移動サービス車に装備できる。Model SやXはそこで台に乗り上げるか、つり上げられ、作業員がバッテリーパック交換機を操作する。

出願書には、これはModel SとModel X用だけれど、汎用化できる、と書かれている。Elon Muskは以前、Teslaが移動サービス車方式のバッテリー交換を探究するなら、トラックなどの業務用車両もサポートすることになる、と語ったことがある。

[2014年の自動化システム]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Teslaが台風避難のために隠しスイッチを使って、フロリダを走る一部の車の走行距離を伸ばした

Teslaはフロリダ州を走る車両の一部にOTA(通信経由)の更新を適用し、ほんの僅かだけその走行距離を伸ばした。このことは、その車の所有者がハリケーン・イルマの被害から、より遠くまで避難することを助けてくれる。

しかし、なぜそんなことが可能なのだろうか?

数ヶ月前まで、Teslaは60kWhバージョンのModel SとModel Xを販売していた。しかし実際には[/0}それらの車には75kWhのバッテリーが搭載されていたのだ。Teslaはフルレンジの75kWhバッテリーを必要としない人たちのために、より安価な60kWhを実際に提供することもできた。しかし物事をシンプルに保つために、Teslaは同じ75kWhのバッテリーを利用してそれをソフトウェアでロックしていたのだ。もし60kWhの購入客が、より長い走行距離が必要だということがわかり、アップグレードを希望した場合や…もしくはTeslaが緊急時にオーナーたちに走行距離の余裕をすぐに与えたい場合には、それが可能なのだ。

これが種明かしということだ。

RedditにいるTesla所有者が最初に気づいたように、同社は避難勧告地域内の60kWhモデルを75kWhにする「一時的なアップグレード」を配信した。

Elektrekによれば、このバッテリー増強によって、完全充電の下では走行距離が約50キロ伸びることになる。このような小さな距離でも、個人が怪我をすることを免れたり、大切な人たちを安全に救出したりすることを助ける。これはとても役に立つことだ。

しかし悲しいかな、このアップグレードは永遠に続くものではない —— Teslaは永久的アップグレードに対しては通常5000ドルを請求している。Tesla Motors Clubのファンフォーラムのメンバーたちは、この一時的な更新は9月16日に取り消されると報告している。

(もしハリケーンの中の道を走っているガソリン車の所有者がこのページに辿り着いた場合には:GasBuddyがフロリダの人びとの役に立てようと、近隣でまだ燃料をもっているガソリンスタンドを発見することを助けるツールを公開している。 そしてもし避難することができるなら、そうして欲しい)。

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(翻訳:Sako)

BMWがi3バッテリーをTorqeedoの電気モーターボート向けに供給

BMWのコンパクト電気自動車i3で使用されているi3大容量バッテリーには、BMW自身による適用を超えた応用例がある。同社は現在ドイツのボートエンジンシステム会社であるTorqeedoに対して、Deep Blue水中駆動システム向けに、i3バッテリーの供給を行なっているのだ。

Torqeedoシステムは、モーターボートに1〜160馬力のハイブリッドおよび電気推進機関を提供する。BMWによれば、Torqeedo社による技術の採用は、輸送効率観点からみた様々な応用に対応できる、同社の高電圧バッテリを製造する能力の証であると言う。現在のバージョンのi3バッテリーの容量は44kWhであり、以前の世代のバッテリーと同じサイズと重量で、50回以上多い充電が可能だ。

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BMWはi3電池を、電池の8つのモジュールのそれぞれの中にある12個のセルに加えて、筐体のコネクター、ケーブル、センサー、温度制御システムを備えた「プラグアンドプレイ」機能を持つように設計した。BMWは当初からこのバッテリーを幅広い応用が可能となるように意図していた。例えば、車両の動力源としてはもう使えなくなった後でも商用発電機のエネルギー貯蔵装置として利用できるといった用途だ。

最近の調査によれば、電気ボート市場は2027年までに200億ドルに達すると見込まれている。よってそれはBMWにとって大きな成長の可能性を秘めた市場であり、Torqeedoは幅広い船舶アプリケーションに技術を適応させるためのパートナーとなる。

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(翻訳:Sako)

Qualcommが電気自動車の走行中充電技術をデモ、フィジビリティスタディを開始

Qualcomm Technologiesは、電気自動車(EV)用のワイヤレス充電システムHaloを研究開発してきた。そして今日(米国時間6/15)同社が発表したのは、それをさらに一歩進めた製品、“無停車Halo”だ。それは正式には動的電気自動車充電(dynamic electric vehicle charging, DEVC)システムと呼ばれる技術で、充電器のそばを通っただけで電気自動車の充電ができる。

そのHalo DEVCと呼ばれる製品はまだ初期的段階で、Qualcommはそのための全長100メートルのテストコースをフランスのベルサイユに作った。そして2台のRenault Kangoo EVが、その充電器の受信装置を搭載している。テストでは、ハイウェイ走行時のスピードで最大20kWを、2台同時に充電できた。

この充電システムの充電器部分はFABRICと呼ばれる。それは、未来の電気自動車のための路上充電ソリューションの実現可能性(フィジビリティ)分析(FeAsiBility analysis and development of on-Road chargIng solutions for future electriC vehicles)の、まるでこじつけのような頭字語だ。単純に FABRICと命名して、それはフィジビリティスタディのために開発したんだよ、と言えばよかったのに。それを作ったのは、ベルサイユのVEDECOM社だ。

実はそのテストは、ほとんどの資金を欧州委員会(EC)が出しているフィジビリティスタディで、900万ドルを投じて、走行中に自動車を充電することは可能か、その路上施設と車上設備の経済性(要投資額など)は妥当か、ワイヤレスDEVCの環境への影響はどうか、などを調べる。全欧から計25社のパートナーがテストに加わり、テストは2017年内に完了する。パートナーは、自動車メーカー、部品メーカー、研究機関、インフラストラクチャ(道路建設など)専門企業などだ。

アメリカのハイウェイがすべてFABRICで舗装されることはありえないと思うが、将来自動運転の電気自動車が利用される都市部では、道路交通政策の一環としてFABRIC舗装が使われるかもしれない。共有車にプラグインするのも人手を要さず、また充電のための停車がなければ、走行可能時間も伸びるだろう。

今度のフィジビリティスタディでOKと出ても、実現はかなり遠い未来の話だけどね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))