BBCが100万人の子どもたちに配布するプログラマブルマイコンボードmicro:bit、いよいよ一般予約の受付を開始

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イギリスの公共サービス放送局BBCが配布する、子どもたちがプログラミングを学ぶための小さなプログラマブルボードが、いよいよ一般公開予約を開始する。当初の配布予定台数は100万台だ。

このmicro:bitと呼ばれるマイコンボードは、Element14のWebサイトで予約を受け付け、配布は7月を予定している。

お値段は、ボードだけなら£12.99(12ポンド99ペンス)、miniUSBとバッテリーパックと4つのプロジェクトアイデア含むスターターキットは£14.99、これら10セットから成る‘BBC micro:bit Club’パックは£140だ。学校のクラスなど、複数の子どもを相手にプログラミング教室を開講する場合は、Clubパックを利用できる。

micro:bitプロジェクトのねらいは、定款により‘放送’だけでなく‘教育’も事業とするBBCの、‘Make it Digital’イニシアチブの一環として、“新世代にプログラミングとデジタル技術による創造力を涵養する”ことだ。デバイスの配布は、当初の100万台以降も継続的に行われる。

このボードは、最初からいろんなセンサーがついていて、センサーに対するプログラミングができることが特徴だ。Bluetoothをはじめ、多様なI/Oも用意されているから、ほかのデバイスやセンサーなどとの接続も容易だ。サポートソフトウェアはWebサイトから提供され、さまざまなコードエディターやチュートリアルを利用できる。

イギリスにはmicro:bitの大先輩、Raspberry Piがいる。これも最初の意図は、子どもたちがプログラミングを自力で学んでいくためのデバイス、だった。その後本格的なプロダクション用途が発達していったRaspberry Piと違ってmicro:bitはもっとシンプルで、メインのターゲットは11歳以上(イギリスの7学年以上)を想定している。

Piは2012年に世に出てから今日まで800万台以上も売れているが、結果的にメインのユーザーは学童ではなく大人のメイカーたちだ。そこでBBCは、micro:bitが伸びる余地がある、と見ている。

Piを子ども向けの教材プラットホームにしようと頑張っているKanoのような企業もいる。これらに対してBBCは、micro:bitはオープンソースであり、売れることより、たくさんの子どもたちのあいだに広まることが目的、としている。

このデバイスの設計や生産に協力したパートナーの数は、とても多い。企画のスタートから学校への配布開始まで1年半もかかったのは、パートナーの数が多すぎたためかもしれない。

いよいよ一般的に可利用となったmicro:bitは、Piのユーザー層よりも若い世代にねらいどおり広まり、多くの子どもたちにプログラミングの能力を育み、‘Raspberry Piの弟’と呼ばれるほどの成功を、果たして収めるだろうか。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

フランス生まれのユニークな‘プログラミング大学’42(フォーティトゥー)がシリコンバレーにも開校

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Xavier Nielの新しいプロジェクトは、シリコンバレーに作った意欲的なプログラミング大学42(forty-two)だが、それは授業料無料でSAT(大学進学適性試験)の成績を問わない。今後5年間で1万名の学生を教育することを目標にしている。

Nielがプログラミングの学校を作るのは、これが初めてではない。42も、フランスではすでにうまくいっている。このフランスの実業家が42を始めたのは2013年で、これまでに2500名の学生がパリでプログラミングを学んでいる。でも、42は他のプログラミング学校やコースとどこが違うのか?

まず、無料であること。Nielは合衆国の42に1億ドルを投じ、建物も新たに作った。それはカリフォルニア州Fremontに建てた20万平方フィートの校舎で、数千台のiMacを置き、日曜から土曜日まで毎日、24時間開いている。

第二に、42は18歳から30歳までなら誰でも、学生として受け入れる。申し込みはネットからできるが、そこからチャレンジが始まる。42のチームは、映画The Hunger Gamesのコンピューターサイエンスバージョンのようなものを作った。彼らがそれを水泳プールと呼んでいるのは、プールに人を投げ込むようにそこに入学志望者を放り込むからだ。彼らはそこで、泳ぐ代わりにプログラミングと論理の課題に挑戦する。

このプールで無理やり泳がされるのは4週間。月曜日から日曜日までの毎日、昼夜兼行でプログラムを書く。この猛烈に集中的な4週間が終わると、好成績の者が42に入学できる。

ふつうの大学との第三の違いは、42には教室とか教師が存在しない。標準の在学期間は3年ないし5年だ。そして学習は、ピアレビュー(学生同士のコミュニケーション)とプログラミングのプロジェクト、インターン制、さまざまなゲーミフィケーションを通じて行われる。モチベーションを3〜5年維持できれば、良質なソフトウェアエンジニアが一人完成する。

当然、コンピューターの前で過ごす時間は長い。申し込みの受付はすでに始まっており、11月に学課が始まる。

かなりクレージーなお話に聞こえるが、実際にクレージーだ。フランスのオランド大統領がNielに伴われてパリの42を訪ねたときは、一部の学生たちが廊下で寝ていた(下図)。

[ツイート訳: そのときこの男は、マットレスの上で静かに寝ていた。]

YouTube上に、42の紹介ビデオがある。その中では、SnapchatのEvan Spiegel, FacebookのDavid Marcus, TwitterのJack Dorseyなどなどテク界の名士たちが42を賞賛している。自分が目立つことが嫌いなXavier Nielは、ここでもまったく登場しない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

無料プログラミング教育のFree Code Campが15000名のユーザーにアンケート調査、国籍は200か国近い

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ネット上の無料のコースでプログラミングを勉強している人たちは、どんな人たちか? そんな自学自習サイトのひとつであるFree Code Campがこのほど、その15624名のユーザーにアンケート調査をした。質問には、年齢性別などだけでなく、プログラミング関連の項目も含まれている。

女性が少ない(調査対象者5人に1人)、という予想通りの結果もあれば、スタートアップで働きたい人はわずか18%という、意外な結果もある。UXやバックエンドなど、特定の分野に関心のある人は38%だが、もっと後に学びたいということかもしれない。国籍はきわめて多様で、トップが合衆国、次位がインドだが、ロングテールには167の国が並んでいる。

これだけでも十分に有益な情報だが、完全な調査報告書を見たい人はここからダウンロードできる。Free Code Campは数週間後に、調査結果の対話的な視覚化を提供する予定だから、それを待ってもよい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

StratumnはブロックチェーンのHerokuを目指す―通貨取引以外のアプリ開発にも大きなチャンス

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パリを本拠とPaaSのスタートアップStratumnに注目だ。このチームはブロックチェーン・アプリの開発に興味を持つデベロッパー向けにアプリを公開、共有できるプラットフォーム・サービスを開発中だ。

Stratumnを利用すれば、このプラットフォームにさまざまなアプリをアップロードして作動、共有させることができる。アプリはbitcoinのブロックチェーンと通信が可能だ。機能としてはHerokuによく似ている。ブロックチェーン開発者のためのHerokuといえるだろう。

Stratumnは最近、Otium Ventureとエンジェル投資家から67万ドル(60万ユーロ)を調達した。エンジェルには Ledger WalletのCEO、Eric Larchevêqueが含まれる。

本質的にいえば、bitcoinブロックチェーンというのは あらゆるトランザクションをタイムスタンプ付で安全、確実に記録する分散データベース・システムだ。非常に多数の開発者が暗号通貨とはほとんど関係ない分野でbitcoinのブロックチェーンを利用しようとしている。

たとえばStamperyはブロックチェーンのデータベース能力を利用して伝統的な公証人制度を変革しようとしている。このサービスではユーザーの権利、義務などに関わる重要事項について法的に有効な記録が提供される。ブロックチェーン・システムがこうした記録の正当性を保証する。

Stratumnはこうした現状を見て、さらに一歩先に踏み出そうとしている。Stratumnを利用すれば個々のアプリを苦労してゼロから作る必要はない。つまりデベロッパー側でブロックチェーンと通信するための面倒なプログラムを書く必要がなくなる。

この機能を実現するために、Stratumnが開発したのがオープン規格のChainscriptだ。簡単にいえば、Chainscriptはいくつかのデータを保持するJSONファイルを生成する。デベロッパーはStratumn.を通じてこのデータをブロックチェーン・システムに送る。Chainscriptを利用しているアプリはその後ブロックチェーンによるデータの認証を利用できる。

つまり前記のStamperyのようなデベロッパーは、Chainscriptを使ってStratumnプラットフォームの上に独自のアプリを構築できる。Stamperyが目的とする契約関係書類の公証も大きな分野だが、要するにStratumnは暗号通貨取引以外のブロックチェーン・アプリの開発全般にビジネス・チャンスを見出そうとしている。

現在利用されているブロックチェーンで最大のものは言うまでもなくbitcoinのブロックチェーンだ。しかし多くの研究機関や企業は他のブロックチェーンの可能性を探っている。Stratumnはスタートアップとしてもまだごく若い存在だが、もしbitcoin以外のどんなプロックチェーンにも対応できるプラットフォームを開発することに成功すれば、デベロッパーはブロックチェーン分散デーベースの公証能力を生かしたアプリを開発するにあたって大幅に労力を節約できるはずだ。これはブロックチェーンのユースケースとして非常に興味ある展開となるだろう。

画像: Jason Benjamin UNDER A Public Domain LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

BBCのmicro:bitは子どもたちがプログラミングを楽しむためのマイクロコンピュータボード、学校への配布がやっと始まる

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イギリスの子どもたちをプログラミングの世界に誘いこむための小さなコンピュータが、構想から半年を経た今日(米国時間3/22)やっと、学校に配布される。

micro:bitは、発表されたのが1年前だ。イギリスの放送局BBCには公益事業としての設立趣意書があり、その中には「教育」も目的として掲げられている。すなわち超小型コンピュータmicro:bitは、BBCの教育事業の一環として構想されたプロジェクトだ。放送局がコンピュータのハードウェアに手を染めるのはちょっと異様にも思えるが、実はBBCには、1980年代のBBC Microという前歴がある。

BBCは、micro:bitで“新しい世代がプログラミングを書き、構想し、デジタル技術と親密に触れ合う”ことにより、クリエイティブな人間になることを期待している。今は80年代と違ってモバイルコンピューティングデバイスが氾濫しているが、その上でDIYのプログラミングを楽しめる機種はほとんどない(ただしRaspberry Piマイクロコンピュータで成功しているイギリスは、他国よりは抜きん出ているが)。

BBCは昨年、2015年の秋には100万台のmicro:bitをイギリスの11歳の学童に贈る、と発表した。しかし時期は大幅にずれ込んで、学期半ばの今になってやっと、子どもたちの手に渡ることになった。そのため、その教育効果を心配する声もある。とくに先生たちはすでに、今年の授業計画を作ってしまっているからだ。

このmicro:bitプロジェクトは、パートナーの数が30社近くと、ものすごく多い。その中には、ハードウェアのメーカーやソフトウェアのメーカー、小売企業、教育機関など多様な顔ぶれがいる。船頭が多すぎたことが、遅れの原因かもしれない。

最初のロットを学童たちに手渡したあとは、BBCによると、 micro:bitのライセンスを管理する非営利団体を作り、そこが、micro:bitの製造を希望する企業にライセンスを提供していく。最初の3年間で500万台を売ったRaspberry Piの大成功を見ても、教育目的の‘クリエイティブコンピューティングデバイス’には。将来ますます需要がある、とBBCは考えている。その方面のスタートアップたちも、すでに登場している。

学校での展開に続いて、BBCの構想では、ハードウェアの仕様とmicro:bit用のソフトウェアの多くをオープンソースにし、デバイスはいろんなお店から買えるようにする。そして得られた販売利益は、“さらにもっと多くの人びとが‘プログラミング革命’に参加していけるための”企画に投入する、とBBCは言っている。

micro:bitのボードには、2列のLEDの集合、2つのプログラマブルなボタン、動きを検出するための加速度センサー、方位計(コンパス/磁石)、Bluetooth端子、そのほかの多様なI/O端子の集合がある。子どもたちが、自分がやってみたいいろんなデバイスやセンサーをつないでプログラミングできることを、ねらっている。プログラミングは子どもたちの新しい遊びである、というコンセプトだ。とても小さなボードだから、ウェアラブルにも十分挑戦できる。

また、micro:bitにはお助けWebサイトがあり、そこがいろんなコードエディターやチュートリアル、指導ビデオなどを提供している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コーディングブートキャンプが大学の(誰もが受講する)標準課程になる三つの理由

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[筆者: Drew Sing](エドテック(edtech,テクノロジー応用教育)分野のコンサルタント)

それは最初、それまでの大学教育に代わるもの(オルタナティブ)として始まった。それが今や、全国の大学の注目を集めている。

コーディングブートキャンプ(coding bootcamp, プログラミング特訓コース)は、終了者が企業ですぐに実践的な戦力になり(==job readiness, ジョブレディネス)、しかも比較的高給であることが関心を招(よ)んで、学生たちと中途転職者たちのトレンディな話題になっている。しかしコーディングブートキャンプに関心を示しているのは、これら就活者たちだけでなない。

大学もコーディングブートキャンプの成功に目をつけ、テクノロジー方面における、学生たちの効果的なスキルアップの方法として、その利用を検討し始めている。

今コーディングブートキャンプはとくに、Webデベロッパーになりたい人たちのための、教育の高速車線になっている。最初それは、今日のテクノロジー経済において、有能なWebデベロッパーの需要を満たすために作られたが、そういう一種のニッチ産業が今では、一般的全般的な高等教育の分野で増殖し、今や大学のコンペティタとも見なされている。コーディングブートキャンプは今では、プログラマーばかりでなく、データサイエンスやアナリティクスなど、そのほかの需要の多い技術分野の人材も、育てている。

Course Reportによると、2015年にはコーディングブートキャンプの市場が前年の2.4倍に成長し、推定卒業者数は16056名となった。対して2014年のコンピュータサイエンスの学部学生数は推定48700名だった。

学位を与えることを目的とする従来型の大学が、経済が求めるスキルの教育に特化したコーディングブートキャンプの価値を今や理解し始めているから、2016年の教育には大きな変化が訪れるだろう。

今大学は、コーディングブートキャンプに関して、主に次の三つのことをやっている:

ブートキャンプと大学のパートナーシップ

大学は今、コーディングブートキャンプ(の専業企業)とパートナーして学生たちに、これまでよりも多い技術教育を与えようとしている。

フロリダ州ボカラトンのリベラル・アーツ校Lynn Universityは、General Assemblyの大学が認めたコースの習得を、正規の履修証明(単位取得科目)に含めている。たとえばLynn Universityは、昨年9月に7000万ドルの資金を調達した技能ブートキャンプGeneral Assemblyの、16週のコースを終了した者に、一学期ぶんの履修証明を与えている。今現在はその制度を利用する最初の学生たちが、General Assemblyのコースを受講しているところだ。

雇用者が肯定的に認める大学とブートキャンプ的な教育訓練のセットが、一部の学生たちにアピールしている。

Lynn Universityの副理事長Gregg Coxはこう述べる: “学生たちが、労働市場が求めているスキルをすでに持っていることが重要だ。学生たちの全員が将来プログラマーになるわけではないが、今日の世界では、その技術を有することはどんなキャリア(職業的進路)にとっても有益である”。

Lynn Universityは、コーディングブートキャンプとパートナーした初めての大学ではない。昨年はミネソタ州セントポールのConcordia Universityが、コーディングブートキャンプThe Software Craftsmanship Guildとパートナーした。2013年には、合衆国の8つの都市でWeb開発とデータサイエンスをブートキャンプしているGalvanizeが、University of New Havenとパートナーしてデータサイエンスの修士課程を提供した。

大学が自力でコーディングブートキャンプをローンチしている

至近の3か月で、Northeastern, RutgersおよびUniversity of Central Floridaなどの大学が、ブートキャンプ屋さんとパートナーしないことを決定した。その代わりに彼らは、大学自身が作った独自のブートキャンプをローンチすることにした。

たとえばNortheasternのLevelプログラムは、学生たちにデータ分析の基礎を教える8週間のブートキャンプだ。今同大学は、この事業の第二期生をボストン校で教えており、最近はシアトル、シャーロット、シリコンバレーの3地区でもローンチした。

Level事業の創立ディレクターNick Ducoffによると、“Northeasternは全米のトップ50の大学の中で、初めてこのような没入的な学習事業を導入した。学生たちは、われわれのブートキャンプにはNortheasternの高い教育的クォリティがある、と感じて安心している”のだそうだ。

Rutgers Universityも昨年の10月に、独自のコーディングブートキャンプを発表した。それは今年の4月25日に開講する。University of Central Floridaは、3月の終わりに24週のコーディングブートキャンプをスタートする。

大学はブートキャンプとパートナーするのか、それとも独自の事業を開発するのか、あるいはブートキャンプではない別のやり方を見つけるのか?

Whartonを卒業したEdward LandoとAbhi Rameshは、在学中に、学部学生とMBAの学生たちにはプログラミングのスキルを提供する必要がある、と痛感したため、自分たちの母校である大学のためにブートキャンプ的なコースを開発した。そのコーディングブートキャンプは、University of Pennsylvaniaの夏休みを利用して、従来の夏季インターンシップと等価なオルタナティブを提供する。今後学生たちはプログラマーになり、テクノロジーのキャリア獲得に必要なスキルを、さらに深く幅広く理解していくだろう。

このような、最近の大学のブートキャンプは、正規の履修証明を与えるものと、そうでないものとの違いがある点が興味深い。

しかし履修証明(単位付与)のあるなしに関わらず、雇用者が肯定的に認める(ブランドイメージの高い)大学とブートキャンプ的な教育訓練のセットが、一部の学生たちにアピールしている。コーディングブートキャンプによる教育を提供するために必要なリソースは大学にすでにあるが、学生たちに要求しているものの内容やレベルは大学によってまちまちだ。それら大学独自のブートキャンプは、コーディングブートキャンプ専業企業のHack ReactorDev BootcampBlocなどと競合することになるので、大学ごとの方針ややり方の違いを見定めることが今後は重要だ。

合衆国教育省からの支援

2015年10月14日にオバマ政権は、EQUIP(Educational Quality through Innovative Partnerships, 革新的なパートナーシップによる教育のクォリティの向上と確保)と名づけたパイロット事業を発表した。

大学がこの事業への参加を申し込み、EQUIPのパートナーシップを認められると、コーディングブートキャンプ(専門企業)やMOOC(Massively Open Online Course, CourseraUdacityなど)とのパートナーシップを助成され、また参加する学生への学費援助と履修証明が与えられる。この2つのレベルの支援は、これまでのコーディングブートキャンプ(専業企業と大学自身どちらも)が提供できなかったものだ。

このパイロット事業は、ブートキャンプ教育に大きな変革をもたらすかもしれない。これまでのブートキャンプ専業企業は、政府からの財政的援助や大学の正規の課程としての認可を、得られなかったのだ。援助があれば企業や大学が奨学金制度を設けたり、単なる課程終了証明だけでなく、より具体的な就活に結びつける事業展開も可能になる。

大学は2015年10月14日以、EQUIPに申し込めるが、認可された大学が今度は、いくつかの高等教育機関に対する、彼らに合った独自の教育訓練計画を提供していくこともできる。

まだEQUIP認定の大学や学校は発表されていないが、中学は申し込みの締め切りが2015年12月14日とされている。教育省が申し込みを審査するのに時間がかかるだろうから、発表は年内のいつか、となるのかもしれない。

大学がコーディングブートキャンプに関心を持ってくると、今度は各大学の教え方の違い、そして学生に現れる成果の違いが出てくるので、どうやればうまくいくか、という研究が重要になる。

大学はブートキャンプとパートナーするのか、それとも独自のブートキャンプ事業を開発するのか、あるいはもっと幅広いSTEM職業と技能を目指す学生たちのために、ブートキャンプではない別のやり方を見つけるのか?

独自方式にせよ、ブートキャンプ企業とのパートナーシップにせよ、まだやってる大学はそんなに多くないから、学生と大学の管理者の双方が、今やっている彼らをよく見て学ぶことが重要だ。

ブートキャンプの導入に、大学によってスピードの差が生じるのには、いくつかの原因がある。学部の積極性や認可の手続きなど。最初の手始めは、履修証明とは関係のない、気軽な形でやるのが良いかもしれない。大学は今でも高等教育の黄金律だが、学生たちの卒業後の進路をより安定的なものにするためには、今、優れたコーディングブートキャンプが実現/実証していることを、大学は真摯に受け止めるべきである。

もうすぐコーディングブートキャンプは、“出るべきか出らざるべきか?”の域を後にするだろう。大学がそれに積極的に関与していくことにより、未来の学生たちは、“どの大学のブートキャンプが自分の高等教育のニーズにいちばんフィットしているか”、と問うようになるだろう。言い換えるとブートキャンプと呼ばれる実学を学生が履修することは、どの大学でも標準の課程になると思われる。

※参考写真: DEV BOOTCAMP/FLICKER(CC 2.0のライセンスによる)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アメリカのスキル危機を解決する鍵は必修一般教育へのコンピュータサイエンスの導入だ

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[筆者: Linda Moore](政策および政治に関する超党派ネットワークTechNetの議長でCEO。)

合衆国はグローバルな競争力において危機に直面しており、対策が講じられなければその危機が、私たちの国を今後数十年間にわたり、戦略的に不利な立場に置くだろう。わずか数年後には、国民のスキル不足により、180万の求人が満たされないまま放置されることになる。それは十分な数の個人が、必要とされる技術的技能に関して、訓練されていないからだ。

40億ドルをコンピュータサイエンスの教育に投ずるというオバマ大統領の予算案は歓迎すべき一歩だが、しかし率直に言えば、この根本的な問題を解決するためには、国をあげての戦略を必要とする。今日では、10の学校のうちわずか1つにプログラミングのクラスがあるが、これを変えなければならない。

本誌主催の表彰制度Crunchie Awardでもっとも社会的影響力が大きかった賞を取ったCode.orgのような団体が、この問題に真剣に取り組み、児童生徒たちにプログラミングを教えているが、私がここで指摘している国家レベルの問題は、政府と非営利組織と民間(私企業等)三者の、公私両方から成るパートナーシップを必要とする。

では、私たちは、国としてあるいは国民として、この問題にどのように対処していくべきか?

第一に、アメリカのすべての中等学校が、コンピュータサイエンスを必須学科とすべきである。そしてそれらのクラスは、今の高卒資格に必要とされている中核的な科学と数学を学科の一部として含むべきである。また、充実した持続的事業により高能力なコンピュータサイエンス教師を訓練し確保しなければならない。生徒たちはテクノロジーを利用するだけでなく、それを実際に自分で作って動かす技術も習得する必要がある。

コンピュータサイエンスは子どもたちを問題解決者とイノベーターに育てる。

第二に、コンピュータサイエンスの教育は、若い女性たちや、社会的不利益を被りがちなマイノリティも含め、すべての児童生徒に等しく提供されなければならない。メンタリング(mentoring)とプロジェクトの実体験を含む教育課程が、生徒たちの生き生きとした関心をかきたて、彼らをコンピュータサイエンスとSTEMのキャリアに自然に進ませるだろう。

US2020Million Women Mentorsのような事業が、児童生徒たちをエンジニアやテクノロジー業界のそのほかのリーダーたちに結びつけようとしている。私たちはテクノロジーへの関心の火花を点火し、生徒たちに、STEMのキャリアがさまざまな機会に満ちた世界への扉を開くことを、理解させなければならない。

第三に、私たちはデジタルのコンテンツやツールを活用して教室にイノベーションを持ち込み、個人化された、データ指向の学習を提供し、教育の結果を改良していかなければならない。今日では、教師たちはタブレットなどのデジタルツールやリッチメディアの、その上っ面(つら)だけを使っている。これからは、教室の中にデジタル学習のリソースおよび、学習とテクノロジーとの統合を、確実に持ち込む必要がある。

そしてさらに、5年以内に全米の教室に高速ワイヤレスブロードバンドを導入し、児童生徒たちがインターネットに高速に、容易に、そして安定的にアクセスできるようにしなければならない。高速のインターネット接続がなければ、デジタル教育は画餅に終わる。児童生徒たちがインターネット上の情報のライブラリの全体に、自分の指一本でアクセスしたり貢献できる状態を、維持する必要がある。また、豊富なリッチメディアを通じて、高度な実験などにもアクセスできなければならない。

私たちは、コンピュータサイエンスが万人必修の基礎学科である、と認める必要がある。合衆国のすべての児童生徒が、アルゴリズムや、インターネットの原理、アプリケーションの作り方などを学習すべきである。しかしさらに重要なのは、コンピュータサイエンスが子どもたちを問題解決者とイノベーターに育てることだ。児童生徒たちにそんなスキルが身につけば、ほかのあらゆる学科においても有利であり、教室ばかりでなく、それを超えた広い世界においても、万事に有益である。

これは、一朝一夕には実現しない。それは、一つの世代全体に課せられているチャレンジだ。しかし私たちは今から始める必要があり、コンピュータサイエンスとその他のSTEM学科を十分に学んだ生徒たちのプールを、大きくしていく必要がある。それは、次世代の優れたイノベーターがアメリカに存在し、何百万もの児童生徒たちがこれらの革新的な分野でキャリアを追求していけるためだ。

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Codecademyは創業5年になるのにユーザに課金しない、そのマイペース哲学をCEOのZach Simsに聞く

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今年で創業5年目を迎えるCodecademyは、テクノロジ分野の雇用に結びつくようなスキルを世界中の2500万人に教えているが、一部のテストを除いてはサービスの課金をしていない。CEOのZach Simsによると、今後もしばらくは“プロシューマー”ビジネスとしての成長に力点を置き、ほかのことは、そのあとで考えたい、という。

今日の市場では、そういう姿勢はきわめて珍しい。Codecademyはこれまで1250万ドルを調達しているが、ほかのオンライン学習プラットホームに比べると小額だ。たとえばサンフランシスコで創業6年になるオンライン学習/教育マーケットプレースUdemyは、これまで1億1300万ドルを調達している。

世界経済フォーラムが行われているDavosで、SimsにCodecademyの戦略について聞く機会があった。そんなに長く課金をしないことを、本人は気にしているか(今後の資金調達は?)、もっとお金の儲かるコーディングブートキャンプ(プログラミング特訓教育)に進出する気はないか?、など。

Sims自身は、Codecademyの生き残りと今後の繁栄のためには現状がベスト、と考えている。ほかの多くのスタートアップたちは、大量のお金を調達した挙句、企業の“正しいサイズ”を求めて苦労しているではないか、というのだ。

インタビューはわずか9分だが、Codecademyのビジネス談義だけに興味のある方は、4:15へスキップしていただきたい。

 

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ハードウェアのいろんなプロトタイピングを簡単にできる小さなボックス、TinyLab

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“Bosphorus Mechatronics”ほどクールな名前が、この世にほかにあるだろうか? ワイヤレスから回転機の入力まで、ありとあらゆるものを接続してトライできる小さなボックスも、それ以上にクールかもしれない。その、WindowsやLinuxからプログラミングできる基板はTinyLab(小さなラボ)という名前で、20以上のI/Oとストレージ、そしてArduinoをサポートしている、ハードウェアおたくの夢のプラットホームだ。

ファウンダのAhmet Sait Borlakはこう説明する: “Tinylabはとくに、楽をしたい人に向いている。ハードウェアいじりは好きだけど、ケーブルやシールドやハンダ付けなどで苦労したくない人なら、Tinylabを使うべきだ。プログラミングするだけだからね! Arduinoと完全互換のプラットホームだから、デフォルトのライブラリがそのまま使える。ディスプレイやボタン、リレー、センサーなど、よく使うものはすべて揃っている。IoTの世界で広く使われているいろんなモジュールのための、ソケットもある”。

このほか、XBeeとBluetoothによるワイヤレス通信もサポートしている。クラウドファンディング期間中のお値段は59ドル。発売は5月だ。

作ったのは、ベテランのハードウェアハッカーやメーカーたちだ(メイカーとも呼ばれる)。彼らはイスタンブールにショップと工房を合わせたようなものまで作り、それをMakerhaneと名づけている。彼らがTinyLabを作った動機は、いろんなものをトライしようとするたびに、Arduinoに毎回違うI/Oコネクタを付けて苦労しなくてはならない。毎回違うことをするのではなく、ひとつの標準的な基板を何度も何度も使えるようにしたい、と考えたからだ。

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Borlakはさらに話を続ける: “Arduinoは、ぼくらのヒーローだ。ほとんどのものを、Arduinoベースで設計しているから、よく使う共通的汎用的コンポーネントが、自然にできてくる。たとえばディスプレイの回路なんか毎回使うし、センサーのI/Oもだ。それなのに毎回新しい再利用性のないブレッドボードやスタッカブルシールドを使うのは、ほとんど拷問に近い。シールドを三つ以上重ねたいと思っても、ピンが重複していてできない。そんな苦痛をなくすために、Tinylabを考えたんだ。それは設計も自分たちでやり、実際に使ってみてとても気に入っている。だから、ほかの人たちとシェアしよう、と決めたんだ。教材としても、完璧だよ。MITのScratch言語と互換性があるから、学校の理科の実験なんかにも向いてるよね”。

かわいくて楽しいプロジェクトだし、しかも、とってもギークだ。前に紹介したUdooもそうだけど、ハンダ付けやシールドやコネクタ類と悪戦苦闘しなくても、ずっとおもしろいプロジェクトを作れる。つまり、プロトタイピングが容易にできるし、しかも、従来のやり方よりうんと楽しい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

子どもたちが友だちとのコミュニケーションをプログラミングできる仲良しブレスレットJewelbotsがCESに登場

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仲良しブレスレット(friendship bracelets)は今でも流行ってるのか、よく知らないけど、Jewelbotsはその21世紀バージョンを作ろうとしている。子どもたちがそれで、プログラミングの初歩を学ぶことができるのだ。同社は昨年の夏にKickstarterで資金集めに成功し、今行われているCESの、Hardware Battlefieldに出場した。

Jewelbotsのブレスレットは3本セットで69ドル、今春発売の予定だ。複数セット買うと割引もある。友だちと共有するものだから、複数買う人が多いだろう。

ブレスレットには4つのLEDとボタンが一つあり、iOSやAndroidのモバイルアプリとBluetoothで通信する。そしてボタンを押すと、相方の友だちにメッセージが送られる。そのブレスレットをした友だちが近くにいる(来る)と、アプリを通じて自分のブレスレットが反応するが、反応の仕方はユーザがプログラミングできる。

Jewelbotsはしかし、単なるブレスレットではない。

“MySpaceが女の子たちに人気だったころは、HTMLやCSSを知ってることがクールだった。今の子はMinecraftなんかが好きだから、自分で好きなものを作りたいと思ったらJavaね。Jewelbotsは、それをもっと簡単にしたいの”、Jewelbotsの協同ファウンダSarah Chippsはかつてそう語った。

たとえば、Instagramに新しいlikeが来たらブレスレットのLEDが点灯するプログラムを書ける。Twitterで新しいフォロワーができたら振動するプログラムでもよい。こういうのは単純なif/then文だから、子どもにも分かりやすい。でもif/thenは、プログラミングの基本中の基本だ。

ブレスレットの発売はまだ先になるので、予約をした者にはArduinoGemmaコントローラとLEDと電池、配線用ワイヤのセットが送られる。ブレスレットがなくても、これでプログラミングを試行できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

一日にわずか5分の‘授業’でソフトウェア開発技術を学ぶモバイル学習サービスEnki…既存デベロッパのスキルアップに最適かも

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職業教育といえば分厚く重いテキスト、という時代は遠くへ去ったようだ。今やますます、ネット上のコースが盛んになり、そのトレンドに乗じるスタートアップも増えてきた。一部の数字によると、全世界で社員教育に投じられる費用は5000億ドルを超えている(書籍、ビデオ、Twitter、ブログ、などなどすべてを含む)。Pluralsightは過去15か月で1億3000万ドルを調達し、Lynda.comは今年初めにLinkedInが15億ドルで買った。これら教育/学習サイトは多くのユーザを吸着しているが、しかしデスクトップが主体だ。モバイルの時代には、ネット上の教育プロダクトもモバイル化すべきであることは、火を見るよりも明らかだ。

しかし教育/学習の分野でそのネット化の欲求が増大すればするほど、スキルのギャップも大きくなり、またそれを填める手立ても、今日なお十分ではない。たとえば、社員をMySQLやExcelの名人にしたいと思っても、そのニーズをサポートする、日常的に使える適切なモバイルプロダクトはまだない。

エンジニアに厚くて重いテキストを与える方法は、今でも有効だが、ただしそのやり方はスケールしない。一方、今ある“軽量級の”ソリューションは、ほとんどすべて初心者のための入門編だ(たとえばCodecademy)。明らかに、この市場には「需」と「給」のあいだに大きなギャップがある。

したがってここには、日常的に使えて(==モバイルで)、ネットワーク効果によりスケールしていくようなソリューションへの需要、という機会がある。

ここでご紹介するEnkiは、その機会に乗じようとしている新進スタートアップのひとつだ。

技術系の社員はモバイル上でEnkiを使って、スナックを食べるときのように一口一口と、すこしずつ継続的に学習していく。この、少しずつ毎日々々というやり方では、コンテンツを短いサイクルで更新できるから、ソフトウェアエンジニアなどは、仕事に役立つ最新の情報に、つねにフレッシュに接することができる。

ロンドン生まれのEnkiは、協同ファウンダがKirill Makharinsky(元Slide Quid, Ostrovok)とBruno Marnette(元Winton Capital, Palantir Technologies)だ。彼らはブログで、Enkiについて説明している(この記事や、より詳しくはこの記事)。ProductHuntにも記事がある。

これまで資金はJohn Earner, Errol Damelin, Roger Dickey, Suranga Chandratillake, Learn Capital, Dave Hersh, Andy McLoughlin, Tracy Doree, Leila Rastegarなどの個人や機関から調達している。金額は公表されていないが、Kirillによると“8人のチームが2年間食えるぐらい”、だそうだ。

DuolingoやLumosityにヒントを得たEnkiでは、ソフトウェアデベロッパのための5分間の“課題(workout)”により、空き時間に重要なコンセプトを学ぶ。

予習復習など補助的手段として本やインターネット上のリソースを読んでもよいが、でもEnkiのこのやり方はソフトウェア開発以外のいろんな勉強にも応用できる。

ユーザはアプリに、よくできる/分かるようになりたい項目を指定する。そして数日分の課題を選び、それらをこなし、フィードバックを返す。一日に5分ずつだ。参考文献のリンクもある。ただ本や資料を読むことに比べると、Enkiのやり方には構造性があり、しかもコンテンツは個人化される。

これまで250名のソフトウェアデベロッパでテストした結果では、毎日使ってくれる人が70%だった。

類似の学習サービスとしてPluralsight, Lynda.com, Codecademy, Treehouse, Udacity, Khan Academyなどなどがある。でも、このような“一口サイズ”で学べるところは、ほかにない。

同社のマネタイズプランは、企業が社員のために授業料を払う有料プロダクトだ。デベロッパを職業とする人は世界におよそ1000万名いるから、売上のポテンシャルは20億から50億ドルはある。

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マイノリティの若者にテクノロジ企業への就業機会を与えるNPO CODE2040が120万ドルの寄付を得て育成事業を拡大

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Knight Foundationが、NPOのCODE2040に120万ドルを支援した。同財団の今朝(米国時間12/9)のブログ記事に、そう書かれている。

2012年にパイロット事業を立ち上げたCODE2040はこれまでに、その助成事業CODE2040 Fellows Program(奨学育成事業)により、数千人の黒人やラテンアメリカ系アメリカ人の学生生徒たちに技術習得の機会を与えてきた。また新しい事業であるTechnical Applicant Prep(技術職求職準備事業)では、学生生徒たちが上位テク企業のインターンに採用されるよう、そのために必要な知識と技術の下地を作る。

CODE2040のNadia GathersがKnight Foundationのブログに、“この支援により育成対象者をこれまでの倍以上に増やし、彼らの人生を良い方向へ変えていける”、と書いている。“それによりテク業界のあり方を変えることができるから、われわれの目標を高名なKnight財団に認めてもらえたことを、とても誇りに思う”、と書いている。

今年はCODE2040にとって、かなり良い年だった。1月にはGoogleが同NPOに77万5000ドルを助成金として提供し、3月にもGoogleはCODE2040のパイロット事業を支援して、マイノリティの起業家たちに1年分の生活費と、シカゴやオースチン(テキサス州)、ダラム(ノースカロライナ州)などで無料のオフィススペースを提供した。これらの努力の成果として2016年にはAppleが、同NPOで勉強した者10名をインターンとして招く。あっぱれめっぱれ、CODE2040さん。

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ハンガリー生まれのキャタピラー車Codieは子どもがプログラミングして動かすロボット、iOSやAndroidから操作

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子どもたちにプログラミングを教えるロボット企業Codie Labsが今日(米国時間12/8)の午後TechCrunch Disrupt Londonのステージに立ち、同社のプログラマブルな走行ロボットCodieを披露した。このロボットのプログラミングと操作(運転)はiOSやAndroidのアプリで行う。はるばるブダペストからやってきた同社は、最初この本誌主催コンペの展示場に小さなスペースを与えられただけだったが、来場者と本誌ライターが展示企業の上位に同社を選んだため、本会場の大舞台に立てることになった。

András Hollóが彼のいくつめかのスタートアップとして2013年2月に、友人のÁdám Lipéczと共に起業したCodie Labsは、6歳から15歳までの子どもたちに、プログラミング入門の機会を与える。プログラミングのためのインタフェイスは、さまざまなアクションを表しているカラフルなブロックをドラッグ&ドロップで積んだり並べたりするもの。まるで積み木のような感覚でプログラムを構築し、そのプログラムどおりにCodieロボットを動かす。

このロボットは表面はすべて木製、駆動はキャタピラー方式なので、やや凸凹しているところでも走行する。内部には近接センサやマイクロフォン、ラインリーダー(line reader, 線を読む)があり、このリーダーがさまざまなマークなどを読む。前面についている二つのLEDライトも、プログラミングにより色を変えられる。

おちびさんロボットCodieは、意外と走るのが速いが、動きは子どもが書くプログラムからコントロールできる。また画面に表示されるジョイスティックを操作して‘運転’もできる。

子どもたちは、表面に”move”、”turn”、”decide”、”wait”、”sound”などとアクションが書かれたブロックをドラッグしてプログラムを組み立てる。アクション以外の、スピードや距離、色、輝度なども、プログラムからコントロールできる。

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また、”if, then, else…”のような論理構造(条件分岐とループ)もこのプログラミング言語で表現できる。

ひとつのプログラムが完成したら、名前をつけて保存できるから、あとからの再利用も可能だ。

Codie Labsはハンガリーの機関投資家や個人のエンジェルからUSドル換算で25万ドルの資金を得ている。プラス、Indiegogoのクラウドファンディングで今年の春96000ドルを獲得し、予約販売で500台あまりのCodieが売れた。

Hollóによると、ただし現物を出荷〜発送できるのは今年のクリスマス、ないし、来年早々だ。お値段は199ユーロ。

来年は本格的にシード資金を調達して、マーケティングと流通チャネルの開拓に充てたい、と彼は言っている。

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プログラマの人的イメージ(白人、男)を変えるために女子プログラミング教育のNPO Girls Who Codeがモバイルゲームを利用

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女子をコンピュータサイエンスから遠ざけている大きな要因は、プログラマがもっぱら白人の男性である、という偏見的イメージだ。GoogleがGallupに依頼して行った調査の結果はそう言っている。そこで非営利団体Girls Who CodeはモバイルゲームのメーカーPixelberry Studiosとパートナーして、後者の売れ線ゲーム”High School Story”に、若い女子のプログラマに関するお話を入れてもらうことにした。

そのGabrielaという名前のプログラマは、”High School Story”では初めてのテク関連のキャラクターだ。Pixelberryによると、このゲームを合衆国の女子高生の30%以上がこれまでプレイしたそうだ。ストーリーは、Girls Who Codeを巣立った女の子たちがモデルになっている。そのストーリーではGabrielaが主役で、最後の決戦がハッカソンだ。そこでの目的は、モバイルアプリを作ること。これまでもHigh School Storyには、ネット上のいじめや、ボディーイメージ(body image, 身体像)*に関するストーリーがあった。〔*: body image, 自分の性的魅力の観点から自分の体やその部品を気にすること。〕

Girls Who CodeのCEO Reshma Saujaniのねらいは、プログラマに関するイメージを、狭いもの(白人男性)から広いもの(誰でも)に変えることだ。“女子たちに、プログラミングが自分のやりたいことを達成する手段であることを、理解させたい。コンピュータの伝統的文化像を変えて、それは女子にも作れる文化であり、むしろ女子に向いている創造的文化であることを伝えたい”、と彼女は語る。

“High School Story”はiOSとAndroidで遊べる無料のゲームだが、その中にアプリ内購入があって、自分を表すキャラクターのシャツを買ったりできる。今回のストーリーでは、それがGirls Who Codeの収益源になる。Girls Who Codeは合衆国の41の州で活動を展開しており、2012年の立ち上げ以来今日まで、1万名あまりの女子にプログラミングを教えた。

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あなたのRaspberry Piプロジェクトアイデアを楽に試作試行できる汎用ハードウェアアドオンTingbot

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超人気のマイコンボードRaspberry Piの応用製品がこのところイギリスで相次いでいる。それはまるで、一枚のパイを多くの人が切り分けるように。子どものためのDIYコンピュータKanoに倣って、今度は、デザインとテクノロジのスタジオNordが、 Piを使ったハードウェアアドオンとシンプルなソフトウェアプラットホームで、Kickstarter上のクラウドファンディングキャンペーンを展開している。

そのTingbot(ティンボット)と呼ばれるデバイスは、Piのアプリケーションを実行する小さなコンピュータだ。そのキモは、タッチスクリーンといくつかのプログラマブルなボタンが最初からついているから、子どもやホビイストやプロトタイピング段階のデベロッパが、Pi用のディスプレイなど、ハードウェアのセットアップをまったく省略できるところにある。ハードウェアの準備で苦労することなく、アイデアの実装に取りかかれる。製品としてのTingbotはキットで提供されるが、とてもシンプルなので組み立ては簡単だ。

Tingbotは常時onなので、あなたのアプリケーションもスクリーン上でつねに動いている。NordのKickstarterページには、“コンピュータと正面から向き合うのではなく、“ちょい見”する感覚、有意義な情報をそれとなく提供できるのがTingbotだ”、とある。とても小さくて、気軽な印象を与える。

Kanoと違うのは、子どもだけが対象でないこと。むしろ、Piでこんなことをやってみたい、と日ごろ思っていても、ハードウェアの準備が面倒なので二の足を踏んでいたクリエイティブな人たちによる利用を、ねらっている。

Piは単なる汎用のマイコンボードだから、プラグ&プレイですぐに使える製品ではない。子どもたちがプログラミングを勉強するときも、このような裸のハードウェアからスタートすると、コンピュータへの理解がより深まると考えられる。

でもまた、この、裸のマイコンの難しさというPiの特徴の副産物として、そこからもうすこし使えるもの、使いやすいものを作ろうという、多様なPiアドオン産業が生まれた。たとえばその中には、Piによるゲーム専用機などもあった。さらにPiで動くラップトップも登場した。Tingbotのねらいは、そうやって個別にさまざまなPiアドオンを構想&実装するのではなくて、原則としてどんなアイデアでもそこで試してみられる“汎用Piアドン”だ。言い換えると、Piによるオリジナル開発が、もっと楽にできるためのデバイス。

チームがKickstarter上で提案しているTingbotの使い方の例は、ある特定の場所(例:赤ちゃんベッド)からのライブのビデオフィード、天気予報の通知、などだ。バス停に次のバスが来ることを、お知らせしてもよい。Tingbotの上で動くいろんなアプリケーションを、Pythonで書ける。そのための簡単な開発環境とライブラリも、最初から提供している。

今後は、ユーザが自他のアプリケーションをシェアしていくためのアプリケーションストアも作る予定だ。

Nordのクラウドファンディング目標額は4万ポンドだが、すでにその目標に近づいている。プロジェクトをスタートできたら、発売は2016年5月の予定。おそらく今のペースなら、目標額をクリアできるだろう。

Tingbotを一台予約購入する、という形での支援は、50ポンド(75ドル)だ。“これがあればPiでいろんなアイデアをより楽に実現し、試作できる”、と、同製品にポジティブな感想を持たれた方は、ぜひ応援を。

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実習主体で企業の即戦力エンジニアを育てる新種のプログラミング校Holberton School

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今はプログラミングスクールがとてもたくさんあり、それらの多くはだいたい2か月ほどかけて新人プログラマを育てる。でも、その‘卒業生’たちが、プログラマとして給料をもらえる本格的なエンジニアになるためには、12週間のブートキャンプ(boot camp, 特訓コース)でも不十分だし、ネット上にもまだ本格的な上級コースはない。

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しかしここでご紹介する”Holberton School of Engineering“は、まったく新しいやり方でソフトウェアエンジニアを育てようとしている。Holbertonはネット上のWebサービスなどではなく、サンフランシスコに実際に建物がある学校で、ファウンダの三人のエンジニアたちはそれぞれ、AppleとLinkedInとDockerにいた人たちだ。Holbertonの教程は、2年間の受講プラス、半年間のインターン経験だ。同校は今、いちばん最初の入学生を募集している

Holbertonの協同ファウンダJulien Barbier(Dockerで成長(growth)とコミュニティを担当)によると、同校は従来の大学のような教科中心ではなく、プロジェクトを軸とし、大学に代わる新しい形の高等教育を目指している。

Holbertonの教育の中心は実習(演習)だ。公的資格のある教師はいない。その代わりに学生は、学生同士で学び合ったり、ファウンダたちが集めた多数のメンターたちから教わる。学生たちは、互いに教え/学び合うけれど、プロジェクトは一人でやる。

“実際の職場での経験から、この教え方/学び方がベストだと気づいたんだ”、とBarbierは語る。彼によると、今までの大学は、優秀な成績で卒業しても就職すると再教育が必要だ。でも現職のエンジニアをメンターに起用すれば、デベロッパとしての実際的なスキルが身につく、と彼らは期待している。

“学校の先生になってしまうと、仕事の現場から離れてしまうからね”、とBarbierは述べる。“でも世界は激しく動いているから、その動きについていけない人は古生代の恐竜になってしまう”。

Holbertonでは、入学の方式も独特だ。入学志願者は、まず最初に小さな宿題をいくつかやって、オンラインで提出する(締め切りはない)。次に、実際にWebサイトを作る大きな宿題をこなす。以上が、‘入学試験’だ。

入学を認められた学生が最初に勉強するのは、LinuxのシステムアドミニストレーションとC言語によるプログラミングだ。基本的なDevOpsの実践も体験する。そして2か月後には、Linuxのシェルを自分で書く、という課題をやる。

Barbierが強調するのは、最初からスタートアップを育てるのではなくて、学生たちが、今後スタートアップのファウンダになれるようなシステム力を身に付けることだ。

学生が卒業したら、デジタルの卒業証書がブロックチェーンに保存される。

最初の入学生は、無料で受講できる。学校自身がまだ試行錯誤の段階だから、まあ学生の方も、ベータテストの参加者に近い面がある。本格的に走りだしたときの学費はまだ未定だが、学費を払えない学生にも前向きに対応していきたい、とBarbierは言っている。

今、Holbertonの入学志願者は約1000名いる。定員はまだ決めていないが、最初の‘入学試験’を終えた者の23%は女性だ。そして二度目の課題を提出した者は、その40%が女性だった。

出だしは小さくても、将来的には一学年に3〜4クラスぐらいの規模を目指す。また、サンフランシスコ以外の都市でも開校していく予定だ。

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子どもが自作するDIYコンピュータKanoに専用ディスプレイが加わった…6歳児がハードウェアのセットアップを初体験するため

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子どもたちがコンピュータを自作しながらプログラミングを学ぶDIYキットKanoにこのほど、10.1インチのHDディスプレイが加わった。そのディスプレイは上図のように、これまでの、キーボード+Raspberry PiをベースとするDIYコンピュータキットと合わせてワンセット(スクリーンキット)になる。5月に同社はシリーズAで1500万ドルを調達したが、今回のスクリーンキットの開発にはその資金の一部が充てられた。ただし資金調達の本来の目的は、Kanoをクリエイティブコンピューティングのブランドとして確立することだ。

Kanoの最初のキットがそうであったように、このスクリーンキットも、ハードウェアのセットアップというDIY的プロセスを子どもたち自身に経験させるためのアクセサリだ。ハンダ付けのような本格的な工程を含まない、ディスプレイ組み立ててをコンピュータに接続するだけという簡単なプロセスだが、6歳ぐらいの子どものハードウェア操作初体験としては、この程度がふさわしい。

このスクリーンキットはHDMIでコンピュータ本体に接続するが、副読本の絵本にはその過程の説明とともに、付録の拡大鏡(虫眼鏡)を使って部品や画面上のピクセルを調べるやり方が載っている。スクリーンキットは、コンピュータに挿入するドライバボード、LCDディスプレイ、プログラマブルなボタン、ベース、ケーブル、…以上をセットにしたキットとして子どもたちの手に渡る。これらを組み立ててディスプレイとして使えようになるまでを、子どもたちは経験する。

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スクリーンキットの予約受付は9月に始まった。価格は129ドルだから、同じサイズのローエンドのAndroidタブレットよりはお買い得だ。しかもKanoでは、コンピュータとディスプレイのほかに、教材としての絵本や、おまけのステッカーなどがつく。

協同ファウンダのAlex Kleinによると、9月に始まった予約販売の売上台数は2600台あまりだった。

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JavaScript開発フレームワークMeteorが女子高生のプログラミング特訓に奨学金制度を立ち上げ

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JavaScriptの開発フレームワークMeteorが、プログラミング特訓学校Flatiron Schoolとパートナーして奨学金制度を立ち上げた。マイノリティなど恵まれていない層の女子高生に、コンピュータ科学を教えることが目的だ。並行して両社は、12週間のWeb開発/デザインコースに15名の生徒を無料で受講させる。その‘定価’1500ドルのコースでは、HTML5とCSS3、JavaScript、そしてUX/UIのデザインを学ぶ。コースの開始は2016年の2月、ニューヨークに住む13〜18歳の女の子が対象だ。

Meteorの協同ファウンダでCEOのGeoff Schmidtはこう語る: “今では世の中の動きや人間関係のかなりの部分に、ソフトウェアが深く関与している。だからこれからの世界では、どんな出自の人たちであれ、ソフトウェアを書く能力と、その使われ方を決めていく能力を持つべきだ”。

Flatiron Schoolがチャリティ的なコースを提供するのは、今回のMeteorの企画が初めてではない。今年の初めには、同校はWorkforce Development Corporationとパートナーして、大学を出ていないニューヨーク市民に22週の特設コースを無料で提供した。また、モデルのKarlie Klossとパートナーして若い女性にプログラミングを教えたこともある。

Flatiron Schoolのコースに対するMeteorの奨学制度に関心のある方は、ここで申し込める。締め切りは2016年1月20日だ。なお、2011年に創業されたMeteorは、これまで3120万ドルの資金を調達している。

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Raspberry Pi FoundationとイギリスのCode Clubが合併して世界中の子どもたちにプログラミング教育を展開

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さあ、‘Pi Club’様のご誕生だ。35ドルの世界的に大人気の超小型コンピュータボードRaspberry Pi日本語ページ)を作っている非営利団体Raspberry Pi Foundationと、イギリスで学校の放課後に子どもたちにプログラミングを教えているボランティアチャリティ団体Code Clubがこのたび合併し、後者が前者の傘下に入る形になる。

その目的は、両団体の中核的ミッションをさらに前進させるためだ。Piとしては、もっと多くの子どもたちにテクノロジの知識と能力をつけること。Piは2012年のローンチ以来、700万台も売れたが、その成功は主に、大人のメイカーたちがこの安いハードウェアでいろんなプロジェクトを作っていったところにある。

しかしPiの創始者(Eben Upton)のそもそもの動機が子どものテクノロジ教育にあり、Pi Foundationは今でも、学齢期の児童たちにこそ触ってもらいたいと願っている。

一方Code Clubの方は、2013年にローンチし、主に9〜11歳層の子どもたちにプログラミングによるものづくりの楽しさを教えようとしている。今イギリスでは44000名の子どもたちが放課後のクラブに参加していて、その約40%が女の子だ。

Code Clubのクラブはイギリスだけでも3150あり、ほかにブラジルやオーストラリア、ニュージーランドなどに1000あまりのクラブがある。

両団体とも、いくつかの慈善指向の出資者がついている。たとえばGoogleの場合は、次世代の労働者たちの多くがプログラミングのスキルを持っていれば、同社の事業もいよいよますます元気活発になれるだろう。

このほかCode Clubには、ARMやNesta、Samsung、それに英国内閣府もお金を出している。

Raspberry Pi FoundationのCEO Philip Colliganによれば、両団体は前にも一緒に仕事をしたことがあり、したがって今回の合体は‘当然の成り行き’だそうだ。

彼曰く、“両団体は活動分野がほぼ同じであり、目標も共通している。その達成を目指すやり方がすこし違うだけだ。しかし両者の能力の多くは、一緒にした方がより多くの人びとに到達できると思われる。両者が力を合わせれば、両方のスキルとリーチをを有効に組み合わせ、また投資を成長途上のCode Clubに振り向けることにより、世界中のすべてのコミュニティにクラブがある、という状態を作り出せるだろう”。

Code Clubの創始者の一人Clare Sutcliffe*はこう語る: “たしかにRaspberry Piにも世界中にすばらしいコミュニティがあり、その一部、たとえばこの国のRaspberry Piコミュニティは、すでにCode Clubのボランティアだ。したがってわれわれのねらいは、両者のコミュニティを刺激して世界中にCode Clubをスタートすることだ。そしてそれが、われわれの国際的な成長にも寄与するだろう。それも、ねらいの一つだ。Code Clubを世界のすべてのコミュニティに置くことが、われわれの計画だ”。〔*: もう一人の創始者。〕

“もはや、ぐずぐずしてるヒマはないね!”、とColliganは説く。

Pi FoundationとCode Club、どちらの団体にも、教師たちが子どもにコンピュータ科学やデジタルのメイカーへのなり方を教えられるようにするための、教師育成事業がある。イギリスではプログラミングが小中学校の必須科目になったが、しかし教師の数と能力が追いつかないのが最大の問題だ。(たとえば昨年イギリス政府は、教師にテクノロジ教育の能力を身につけさせるための補助事業…既存教育機関等への助成…に50万ポンドを支出した。)

“Piにも、教育者たちの強力なコミュニティがいくつかある”、とColliganは語る。“だから両団体の協働には理念だけではなく現実的な機会があり、これまでよりも、もっともっと多くの先生たちにリーチできる”。

もうひとつ両団体で共通しているのは、どちらも、プログラミングとデジタルのメイカースキルを勉強するための、無料のオンライン教材や学習サイトを、作ってきたことだ。

Colliganはこう述べる、“世界中の誰もが、自分の空き時間や学校の教程でわれわれの教材にアクセスし、それらを利用できる。両者が合体したことによってそれは、従来よりもずっとずっと強力なオンラインリソースになる”。

“Code Clubのやり方は、今のやり方で十分だが、イギリスでも世界でも対象人口を大きく広げたい”、と彼は話を締めくくった。

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仕事で使えるコンピューターサイエンスを身につけるには大学教育では足りない

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編集部記Mark EngelbergはCrunch Networkのコントリビューターである。Mark Engelbergは数学、コンピューターサイエンスの教師で発明家だ。ThinkFunの元プログラマーでもある。彼は6歳以上の子供たちがロジカルシンキングのスキルを習得するためのCodeMasterを開発した。NASAで仮想現実のプログラマーを務め、Hubble Space Telescopeの修繕ミッションにも携わった。

何かの専門家になるためには10年ほど熱心に勉強することが必要だと広く言われている。研究によると必要な年数は分野ごと、そして個人ごとに異なる。いずれにしろ、一つだけ明確なことがある。専門家になるためには時間がかかるということだ。

そこに問題がある。大学に入学し、コンピューターサイエンスを学ぶことを選択したほとんどの学生は、コンピューターサイエンスに関する予備知識が全くない、あるいはほんの少ししかない。また多くの大学では1年の時に一般的な内容の中核となる必修科目を受講することを求める。そのため、学生がコンピューターサイエンスに触れることになるのは1年目の後半か2年目以降となる。

つまり、学生は大学で3年から4年程度しか価値あるレベルの専門的な内容を吸収する時間がない。それでは時間が足りない。その問題に加え、多くの学生は最初の1年を終えた後は社会経験を求めインターンシップを行いたいと考えている。これはどこかで何かを犠牲にしなければならないような不都合な事態を引き起こす。

コンピューターサイエンスの学部は選択を迫られている。コンピューターサイエンスが何かという大枠が理解できるように基本的なスキルを教えることに注力するか、あるいは企業にとって即戦力となるようなスキルがつくように技術的なトレーニングに注力するかだ。どのコンピューターサイエンスの教授に話を聞いても、学部の中、さらにはコンピューターサイエンスを教える者たちのコミュニティーの中でこの問題に関する幅広く苦しい議論が多くなされていることが分かるだろう。

他の学部はどのようにこの問題を解決しているのだろうか?多くの学問は、学生が小学校から学んできた英語、数学、科学の知識を活用することができる。例えば、機械工学を専攻する学生は、微積分学を通じて数学を習得する機会があり、物理学も学んでいるだろう。大学に入るまで事前にそのような数学や科学の教養がない場合、機械工学者になるためには何年必要となるかを想像してみてほしい。コンピューターサイエンスの学部が直面している問題を身近に感じることができるだろう。

また、多くの学問は大学院や仕事をしながらもさらにそれを追究することが求められるが、コンピューターサイエンスにはそれがない。コンピューターサイエンスの分野は、市場が求める専門性と学生が企業に就職するまでに身につける専門性のレベルの乖離が大きいと言えるだろう。

大学は市場が大学に求めるレベルにまで学生を持っていくために必要なコンピューターサイエンス教育のための時間もリソースも足りないということだ。

でも、ちょっと待てよ。コンピューターサイエンスもエンジニアリングの領域なのだから、コンピューターサイエンスも他の科学やテクノロジーに関する学問のように、大学前までに学ぶ数学や科学の教育が役立つのではないのか、と疑問に思う人もいるだろう。残念ながら、そうはならない。 学校で学ぶ数学教育の最高峰と位置付けられる微積分学は、コンピューターサイエンティストが必要とする数学の分野とは最も関連が薄い分野なのだ。コンピューターサイエンティストに必要なのは豊富な離散数学の教養であり、この領域を学校で学ぶことは多少あるかないかだ。

また、大学はコンピューターサイエンスを専攻する学生に十分な教育を施すのに苦戦する中、さらにコンピューターサイエンスの入門編だけでも学びたいと思う学生数の増加にも対応しなければならない。コンピューターサイエンスの講義に強い大学は、この需要に追いつくことに苦戦している。コンピューターサイエンスの基本を教える講義はすぐに埋まってしまい、多くの学生は受講することができない。大学は全ての学生に対応しようとしても、どこかで折り合いを付けざるを負えないのだ。

例えばスタンフォード大学では、入門コースにペアプログラミングのアプローチを採用することを発表した。学生が二人組で学ぶことが素晴らしいアイディアだからということではなく、単純に大量のプログラムを採点する仕事量を削減できる方法を探していたからだ。二人組のプログラミング授業なら仕事量は半減する。

私の地元の大学におけるコンピューターサイエンスの講義の大半は、コンピューターサイエンスを専攻している学生しか受講することができない。コンピューターサイエンスを専攻するための競争は激しくなっていて、学生が1年目からコンピューターサイエンスの講義を受けられる機会は多くない。このようなことが続けば、専門的に学ぶ学生しかコンピューターサイエンスの知識を習得できず、他の学問を専攻する学生がコンピューターサイエンスを学ぶ機会はほとんどなくなる。

つまり、大学は市場が大学に求めるレベルにまで学生を持っていくために必要なコンピューターサイエンス教育のための時間もリソースも足りないということだ。この問題を明示することで、本質的な解決方法は一つしかないことが分かるだろう。コンピューターサイエンスをより早い段階から学べるようにすることだ。大学で学ぶ多くのコンピューターサイエンスと離散数学の内容は高校で学べるようにする。少数の高校で受講できるプログラミングの入門コースは中学校で学べるようにする。さらには中学校で触れるようなカジュアルで遊びの要素のあるプログラミングやコンピューター処理の考え方は、小学校で触れられるようにするということだ。

そうすれば学生がコンピューターサイエンスを学べる唯一の場所が大学に限定されず、大学がボトルネックではなくなるだろう。そして、大学のコンピューターサイエンスのカリキュラムは事前教養があることを前提に、学生が大学卒業までに真に専門的な教養を身につけられるようカリキュラムを見直すことができるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter