Netflixが独立系モバイルゲーム開発会社Boss Fightを買収

Netflix(ネットフリックス)は、テキサス州の独立系ゲーム開発会社であるBoss Fight Entertainment(ボス・ファイト・エンターテインメント)を買収したことをブログ記事で発表した。買収の金銭的条件は明らかにされていない。Netflixにとってこれで3件目となるゲーム会社の買収は、このストリーミングサービス企業が推し進めているゲームへの取り組みの一環だ。

Boss Fightは、Zynga Dallas(ジンガ・ダラス)とEnsemble Studios(アンサンブル・スタジオ)の元従業員によって、2013年に設立された。Netflixは、同スタジオのジャンルを超えたゲーム構築の経験が、Netflixユーザーにますます多くのタイトルを提供していくために役立つと述べている。Boss Fightのチームはダラス、オースティン、シアトルにある現在のスタジオで活動を継続していく予定だ。

「Boss Fightの使命は、プレイヤーがプレイしたい場所で、シンプルで美しく、楽しいゲーム体験を提供することです」と、Boss Fight Entertainmentの創設者であるDavid Rippy(デヴィッド・リッピー)氏、Bill Jackson(ビル・ジャクソン)氏、Scott Winsett(スコット・ウィンセット)氏は、声明で述べている。「広告のないゲームを、定額サービスの一部として提供するというNetflixの取り組みは、我々のようなゲーム開発者が、収益化を気にすることなく、楽しいゲームプレイの創造に集中することを可能にします。このような早い段階でNetflixの一員となり、自分たちの好きなことを続けながら、Netflixにおけるゲームの未来を一緒に形作る手助けができることに、私たちはこれ以上ないほどワクワクしています」。

3月初め、Netflixはフィンランドのモバイルゲーム開発会社であるNext Games(ネクスト・ゲームス)を総額6500万ユーロ(約87億円)で買収すると発表した。この無料でプレイできるモバイルゲームのパブリッシャーは、すでに「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」や「The Walking Dead(ウォーキング・デッド)」など、Netflixの最大の人気作に関連するタイトルを開発している。この買収は、2022年第2四半期に完了する予定だ。

また、2021年9月には「Oxenfree(オクセンフリー)」のようなストーリー重視のタイトルで知られる独立系ゲーム開発会社のNight School Studio(ナイト・スクール・スタジオ)を、Netflixは買収している。この取引の金銭的条件は明らかにされていない。Night School社の幹部は、同スタジオが「Oxenfree II」をはじめとするNight Schoolのタイトルに、引き続き取り組んでいくと発言していた。

今回の買収は、Netflixの動画カタログを補完するためにゲームコンテンツを充実させるという大きな戦略の一環である。

「私たちはまだ、Netflixメンバーシップの一部としてすばらしいゲーム体験を構築している初期の段階にあります」と、Netflixのゲームスタジオ担当バイスプレジデントであるAmir Rahimi(アミール・ラヒミ)氏は、声明で述べている。「世界中の開発者とのパートナーシップや、優秀な人材の雇用、そして今回のような買収を通じて、私たちは楽しくて深い魅力のある多彩なオリジナルゲームを、広告なし、アプリ内課金なしで、世界中の数億人の会員に提供できる、世界クラスのゲームスタジオを構築したいと考えています」。

Netflixは、2021年末に「ストレンジャー・シングス」をテーマにしたタイトルやカジュアルゲームを含む初期ラインナップを発表して以来、ゲームサービスの拡充を図ってきた。

それ以降、Netflixは他にもいくつかのタイトルを展開してきた。「Arcanium:Rise of Akhan(アルカニアム:ライズ・オブ・アカン)」「Asphalt Xtreme(アスファルト・エクストリーム)」「Bowling Ballers(ボウリング・ボーラーズ)」「Card Blast(カード・ブラスト)」「Dominoes Café(ドミノ・カフェ)」「Dungeon Dwarves(ダンジョン・ドワーフ)」「Hextech Mayhem:A League of Legends Story(ヘクステック・メイヘム:リーグ・オブ・レジェンド ストーリー)」「Knittens(ニット&キャット)」「Krispee Street(クリスピー・ストリート)」「Shooting Hoops(シューティング・フープス)」「Teeter (Up)(ティーター)」「Wonderputt Forever(ワンダーパット・フォーエバー)」などだ。先週初めには「Shatter Remastered(シャッター・リマスター)」と「This Is A True Story(真実の物語)」という2つのゲームを追加し、ラインナップを拡充している。Netflixはまた「Into the Dead 2:Unleashed(イントゥ・ザ・デッド 2:アンリーシュド)」という初のFPS(ファーストパーソン・シューティング)タイトルも予告している

同社は第4四半期の決算説明会で投資家に対し、これら初期のゲームの提供開始は、消費者が新サービスに何を求めているかを、よりよく理解するための準備であると説明している。ゲームのパフォーマンスについては、まだ詳細を明らかにせず、各ゲームタイトルのデイリーアクティブユーザーとマンスリーアクティブユーザーの両方が「増加」していると述べるに留めた。また、Netflixは、将来的にさらに大規模なゲームIPのライセンスを取得することに前向きであることも示唆している。

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルが支援する印Glance、NFTを推進するためにゲームプラットフォームGambitを買収

Google(グーグル)の投資を受けているGlance(グランス)が、モバイルゲーム製品の強化と同社のZ世代ユーザー層にNFTを提供開始することを目指し、インドのGambit(ギャンビット)を買収したことがTechCrunchによって確認された。

広告大手InMobi(インモビ)グループの共同創業者であり、GlanceのCOOであるPiyush Shah(ピユシュ・シャー)氏はこの買収を確認したが、取引の財務条件については言及を避けた。同氏はTechCrunchのインタビューで、この買収により、Jio Platformsも出資している同社はライブゲームショーやNFTベースのインセンティブをユーザーに提供し、ゲーム体験を豊かにすることができると述べている。

携帯電話メーカーと提携し、メディア、エンターテインメント、ニュースのコンテンツを携帯電話のロック画面に表示するGlanceは、最近、ゲームに注力している。4億台以上の端末で利用されているこのスタートアップは、2021年、同社のプラットフォームでカジュアルゲームを試験的に導入し、すぐにユーザーの間で受け入れられた。

近年、より若い企業であるRoposo(ロポソ)やShop101を買収したGlanceは、小規模な企業を買収し、Glanceのプラットフォームを広げながら提供するサービスを大幅にスケールアップすることで知られている。

「毎月約1000万人の人々が、Glanceでゲームのライブ配信を視聴しています。そこで我々が考えたのは、このプラットフォームでライブゲームショーも行うにはどうしたらいいか、ということでした」とシャー氏はいう。

NFTは、ユーザーにとって無数のメリットをもたらすと彼はいう。「デジタル仮想資産を所有することで、ユーザーがゲーム内で強いキャラクターを構築できるといった実用的な利点があると同時に、これらのNFTはNFTマーケットプレイスや取引所で出品・取引され、ユーザーの収益や所有に貢献することができます」と同氏は述べている。

シャー氏は、GlanceのWeb3の推進はまだ初期段階であることを指摘し、スタートアップがNFTを立ち上げるためにどのブロックチェーンを使用しているか、また提携を予定している組織について明らかにすることを避けた。しかし、Glanceは9カ月以上にわたってこの分野を評価してきたという。

同スタートアップは、ゲーマーやインフルエンサー、他のゲーム会社と提携する予定だという。同社プラットフォーム上のNFTは、ゲームのマイクロモーメントと高次元仮想アバターをキャプチャする、と彼は付け加えた。

「これによりクリエイター、ストリーマー、デベロッパーは、アセットやNFTベースのゲーム制作を通じて収益化を図るとともに、ゲーマーに好まれるユニークな体験を提供できる可能性があります」と、このスタートアップは述べている(Glanceは、インドの現地規制を理由に、Nostragamusを運営する設立6年のGambitが提供するファンタジースポーツの導入は回避する)。

Gambitの共同創業者であるYashashvi Takallapalli(ヤシャシヴィ・タカラパッリ)CEOは、声明で「GlanceとGambitの強みを組み合わせ、すべての人に合ったゲームが存在するという信念のもと、今後1年間でGlance Gamesの月間アクティブゲーマー数を2倍にすることを想定しています」と述べている。

Glanceは約17億ドル(約2076億円)の評価を受けており、Web3に進出するインドの最新の大手企業となる。

ファンタジースポーツ大手のDream11は、NFTスタートアップRarioの30〜40%の株式を約1億ドル(約122億円)で取得する方向で交渉中だと、この件に詳しい関係筋は述べている(インドの新聞Economic Timesは、先にこの取引の詳細を一部報じた)。Sequoia Capital Indiaが支援するNFTスタートアップFanCrazeは、ICCとの独占提携を維持しており、今週初めには資金調達ラウンドで1億ドル(約122億円)を調達したと発表している。

インドのゲーム開発会社SuperGamingは2月、暗号資産取引所WazirXの共同創業者であるSiddharth Menon(シッダールト・メノン)氏と提携し、TegroというWeb3ゲームマーケットを立ち上げた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Den Nakano)

Netflixがさらに2つのゲームを追加、初のFPSゲームも近日リリース予定

ストリーミングサービスのNetflixが、ゲームラインナップを再び拡充した。2タイトルを追加し、米国時間3月22日から配信が始まっている。新作は「Shatter Remastered」と「This Is A True Story(真実の物語)」というタイトルだ。両タイトルとも、iOSおよびAndroidユーザー向けの配信が始まっている。Netflixはこれとは別に、初のFPS(ファーストパーソン・シューティング)タイトル「Into the Dead 2:Unleashed(イントゥ・ザ・デッド 2:アンリーシュド)」も予告している。

新作ゲーム第1弾の「Shatter Remastered」は、ニュージーランドのデベロッパーPikPokが開発したレトロな雰囲気のレンガ崩しゲームだ。今回の製品は、ニュージーランドの開発会社Sidheが2009年にPlayStation 3で発売したゲーム「Shatter」のアップデート版だ。新しくなったモバイル最適化版は、グローバルリーダーボードを採用し、世界中のプレイヤーとハイスコアを競うことができる。

画像クレジット:Netflix

2作目の「This Is A True Story(真実の物語)」は、世界に安全な飲み水が確保されていない場所があることへの関心を喚起するゲームだ。このゲームは、Frosty PopがCharity Waterと共同で開発したものだ。Charity Waterは開発途上国の人々に清潔で安全な飲み水を提供するために活動する非営利団体である。このゲームは、サハラ以南に住むアフリカの女性が、家族のために水を得るために日々奮闘する実話を紹介している。実際の取材や体験をもとに創られたこのゲームの中で、プレイヤーは風雨を乗り越え、密猟者を捕まえ、ヤギと仲良くしながら、手描きの風景を探検していく。

「Into the Dead 2:Unleashed」については、Netflixは具体的な発売時期を明示せず「近日登場」としている。「Shatter Remastered」と同じく、PikPokが開発したタイトルだ。本作は、ゾンビアクションゲーム「Into the Dead(イントゥ・ザ・デッド)」の続編にあたる。ゲームでは、プレイヤーはゾンビの脅威をかわしながら、危険なエリアを越えていかなければならない。このゲームには、複数のチャプター、ステージ、チャレンジが含まれ、プレイヤーは武器、銃器、爆発物などを次々にアンロックすることができる。

画像クレジット:Netflix

Netflixの他のゲームと同様に、ユーザーはiOSとAndroidのNetflixアプリから新タイトルに移動する。Androidでは、Netflixアプリのメインナビゲーションにあるゲーム専用のタブなど、いろいろな場所でゲームを見つけることができる。iOSでは、ゲームは専用の列で紹介されます。ゲーム自体はNetflixのインフラではなく、各プラットフォームのアプリストアから提供されているが、Netflixのユーザーのみがプレイすることができる。インストール後、ゲームを開始するには、Netflixのアカウント情報を使って認証するよう促される。

Netflixは、2021年末に「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」をテーマにした複数のタイトルやカジュアルゲームなどの初期ラインナップを発表し、ゲームサービスの拡充を図ってきた。

その後、Netflixは「Arcanium:Rise of Akhan」「Asphalt Xtreme(アスファルト:Xtreme)」「Bowling Ballers(ボウリング ボーラーズ)」 「Card Blast(カードブラスト)」「Dominoes Cafe」「Dungeon Dwarves(ダンジョンドワーフ)」「Hextech Mayhem:A League of Legends Story」「Knittens(ニット&キャット)」「Krispee Street(クリスピーストリート)」「Shooting Hoops(シューティング フープス)」「Teeter (Up) (ティーター)」「Wonderputt Forever(ワンダーパット・フォーエバー)」 など、複数のタイトルをリリースしている(カタカナ名称はNetflix公式ページ掲載のもの)。

関連記事:Netflixが他では有料のRiot Games LoL音ゲー「Hextech Mayhem」を含むゲームを2作追加

画像クレジット:Netflix

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(文:Aisha Malik、翻訳:sako)

Netflixが「ストレンジャー・シングス」や「ウォーキング・デッド」のゲームを開発するフィンランドのNext Gamesを約83億円で買収

ロシアによるウクライナへのいわれのない侵攻を受け、フィンランドがNATOへの加盟を検討する中、フィンランドではまた新たなM&Aが進行している。米国時間3月2日、Netflix(ネットフィリックス)がフィンランドでモバイルゲームを開発するNext Games(ネクスト・ゲームス)を、総額6500万ユーロ(約83億円)で買収することを発表した。Next Gamesはヘルシンキの市場に上場しており、今回の買収は1株あたり2.10ユーロ(約268.1円)で全額現金による株式購入として行われる。この取引はまだ完結していないが、Next Gamesの取締役会はすでにこの取引を承認して株主に推奨しており、2022年第2四半期に完了する予定だ。

今回の契約は、ビデオカタログの補完としてゲームコンテンツを充実させたいNeflixの大きな戦略の一環であり、Next Gamesはまさにうってつけの相手なのだ。モバイル向け無料ゲームを提供するNext Gamesは「ストレンジャー・シングス」や「ウォーキング・デッド」など、Netflixの人気作品に関連するタイトルをすでに開発しているため、両社の絆はすでに強い。今回の契約により、その絆がさらに強まり、Next GamesのIP、人材、アプリ内課金の既存ビジネスがとりこまれるために、Netflixのマージンは、単にブランドのライセンス出しているとき以上に改善されることになる。

Netflixのゲーム担当副社長であるMichael Verdu(マイケル・バードゥ)氏は「Next Gamesは、経験豊富な経営陣と、エンターテインメントフランチャイズに基づくモバイルゲームの優れた実績、そして確かな運営能力を備えています」と声明で語っている。「Next Gamesが戦略的地域と重要な人材市場の中で中核スタジオとしてNetflixに加わり、社内のゲームスタジオの能力を拡大できることをうれしく思っています。ゲーム事業はまだ始まったばかりですが、Next Gamesとともに、世界中の会員のみなさまに喜んでいただけるワールドクラスゲームのポートフォリオを構築していけると確信しています」。

Next Gamesの従業員数は2021年末で120名、直近の年次決算では2020年の売上高は2720万ユーロ(約34億8000万円)となっている。この年の売上の約95%は、ゲーム内(アプリ内)課金によるものだった。今回の買収で、既存のタイトルをさらに充実させ、Netflixのカタログを充実させるための投資を行うことができる。

2013年にNext Gamesを設立し、CEOを務めるTeemu Huuhtanen(ティーム・ホーフタネン)氏は、フィンランドの幅広いゲームエコシステムで育った人間であり、長年にわたってゲームの新境地を開拓する上で大きな役割を担ってきた。Next Gamesの直前には、Angry Birds(アングリーバード)のパブリッシャーであるRovio(ロビオ)の重役を務めていた(当時はまだRovioがアプリストアの中で圧倒的な存在感を示していた頃だ)。その前に彼は約10年間Sulake(スレイク)にいた。約10年をSulakeで過ごし、Habbo Hotel(ハボホテル)(現在はHabbo[ハボ]と呼ばれ、その間に多くの論争を乗り越えた)を開発してオンライン仮想世界の先駆者となった。

ホーフタネン氏は声明で「私たちは、世界で最も愛されているフランチャイズをベースにした、真の、長期的なインタラクティブエンターテインメントを創造し、グローバルエンターテインメントビジネスのパートナーとなるというビジョンの実現に、変わらない焦点を当ててきました」という。「世界最大のストリーミングサービスであるNetflixと手を組むことで、世界中の人々が楽しめるインタラクティブな体験を創造するという当社の戦略を論理的かつ刺激的に継続する機会が得られます。Netflixとの緊密なコラボレーションによる『ストレンジャー・シングス:パズル・テイルズ』は、私たちがともに強力なパートナーシップを築くことができることを証明しています。これは、あらゆる面でスタジオをレベルアップさせ、ともに使命を果たしていくためのまたとない機会です」。

CrunchBaseのデータによると、Netflixは、その規模の割にこれまでわずか5回しか買収を行っていない。Next Gamesは、その中ではゲームに特化した最初の企業だが、その他に買収したものは、視覚効果スタジオ、若年層向けインタラクティブコンテンツメーカー2社、アニメコミックパブリッシャー、Roald Dahlの遺産であり、同社のM&A戦略には、常にゲームの側面があったことは間違いないと思われる。

また、ディズニーのような企業が、自社のストリーミングビデオ・プラットフォームの品揃えを充実させるために、主要なビデオコンテンツを引き上げてNetflixの足を引っ張り続けることができる時代にあっては、これはNetflixが自らのプログラムを充実させる一手段となっている。Next Gamesのような企業の買収は、自社専用の作品を制作または購入し、それをベースに複数の媒体や体験に展開する大きなフランチャイズを構築する戦略を明確にするものだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

Netflixが他では有料のRiot Games LoL音ゲー「Hextech Mayhem」を含むゲームを2作追加

ストリーミングサービスのNetflix(ネットフリックス)は、ゲームのラインナップを再び拡充し、2月1日午後5時(米国東部時間)から全世界で展開を開始する2作品を追加した。新たに加わったのは、Riot Games(ライアットゲームズ)の「Hextech Mayhem(ヘクステックメイヘム:リーグ・オブ・レジェンド ストーリー)」で、同タイトルはNintendo Switch、Steam、Epic Games Store、GOG.comなどのゲームプラットフォームやマーケットプレイスでも販売されており、他では9.99ドル(約1145円)の有料ダウンロードとして提供されている。もう1つの新タイトル「Dungeon Dwarves」は、カナダのデベロッパーHyper Hippo(ハイパーヒッポ)の作品。同社はClub Penguin(クラブペンギン)の共同設立者であるLance Priebe(ランス・プリーベ)氏が2012年に設立した会社だ。

1日にリリースされるタイトルは、いずれもNetflixにとって新たなゲーミングパートナーシップとなる。

Netflixによると「Hextech Mayhem」はハイスピードなリズム&ランナーゲームで、テスト市場であるポーランド、イタリア、スペイン、ブラジルですでにソフトローンチしていたが、今回、全世界の加入者に向けて提供開始される。注目すべきは、このゲームは、2021年11月に他のゲームプラットフォームでリリースされたばかりのかなり新しいゲームであるということだ。また、Netflixのゲームコレクションに初めて登場するメジャーなゲームフランチャイズでもある。しかし、他で販売されているゲームがNetflixに登場するのはこれが初めてではない。最近追加された「Arcanium: Rise of Akhan(アルカニアム: ライズ・オブ・アカン)」もプレミアムタイトルとして他のプラットフォームで販売されている。

一方、ダンジョンクロウルゲーム「Dungeon Dwarves」は、Netflix会員向けに配信が開始されたばかりだ。これは、Netflixサービスでローンチされた最初で唯一の放置系ゲームになる。

画像クレジット:Netflix

Netflixのユーザーは、他のゲームと同様に、iOSおよびAndroidの同社アプリを通じて新しいタイトルにアクセスすることができる。Android版では、アプリのメインナビゲーションにあるゲーム専用タブなど、複数の場所でゲームを見つけることができる。しかしiOSでは、ゲームはアプリ内で専用の列に表示される。ゲーム自体はNetflixのインフラではなく、各プラットフォームのアプリストアでホストされているが、プレイできるのはNetflixのユーザーのみだ。ゲームをインストールすると、ユーザーはNetflixのアカウント情報を使った認証を求められる。

Netflixは、2021年末に「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」をテーマにしたいくつかのタイトルや、その他のカジュアルなタイトルを含む初期のラインナップを発表して以来、ゲーミングサービスの構築を進めてきた。その後、パズルゲーム、レースゲームオープンワールドストラテジーなど、急速にサービス内容を拡大している。ゲーム自体は、Netflixが自社で開発したものではなく、Frosty Pop、Rogue Games、BonusXPなどのパートナーから提供されてきた。Netflixはこれまでに12のタイトルをリリースしているが、「Oxenfree」などのストーリー重視のゲームで知られるNight School Studiosを買収したことを、今のところ活かせていない。

Netflixは投資家に向け最近行われた第4四半期の決算説明会で、これらの初期ゲーム配信は、Netflixの新サービスに対する顧客の要望をより深く理解するための準備であると説明した。

NetflixのCOO兼チーフプロダクトオフィサーであるGreg Peters(グレッグ・ピーターズ)氏はその際、通話の中でこう述べている。「ここまで来ることができたのは、非常にエキサイティングなことです。というのも、このようなことができるようになるまでに、裏方の配管やすべての技術インフラを構築してきたからです。今後、これらのゲームから、発見パターン、エンゲージメントパターン、パフォーマンス、会員がNetflixサービス上のゲームに何を求めているかを学んでいくことができます」。

とはいえ、Netflixは同社ゲームのパフォーマンスの詳細についてはまだ明らかにしておらず、ゲームタイトルのデイリーアクティブユーザー数(DAU)およびマンスリーアクティブユーザー数(MAU)が「増加している」とのみ述べている。

また、Netflixは、将来的に人々に認知されるような大規模なゲームIPのライセンス取得に前向きであることを示唆しており「今後1年間で、そのようなことがいくつか起こると思います」と述べている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

AndroidのゲームをWindows上で楽しめる「Google Play Games for PC」がベータテスト開始、香港・韓国・台湾で

米国時間1月19日、Googlは同社が新たに発表したGoogle Play Games for PCプロダクトの非公開ベータテストを香港、韓国、台湾の3つの海外市場で開始する。PCアプリケーションGoogle Play Gamesは2021年12月のThe Game Awardsイベントで発表され、Google Playのゲームを、これまでのモバイルとタブレットとChromeOSに加えて、Windows PCでプレイできる。対応するPCはラップトップとデスクトップの両方で、Androidスマートフォンなど別のデバイス上で途中でやめたゲームをコンピューター上で再開することもできる。

同社は前に、そのPCアプリにアクセスできる最初の市場を発表しており、その時期は2022年の初めと予想されていた。しかし正確な日付は未発表だった。

ベータにアクセスできたテスターは、人気のモバイルゲーム「モバイルレジェンド:バンバン」や「サマナーズウォー」「State of Survival:The Joker Collaboration」「Three Kingdoms Tactic」などの人気モバイルゲームをトライできる。これらはすでに、1カ月のプレイヤー数が数億に達している。ベータテスターがアクセスできるのは、Googleによると約25のゲームだ。

そのPCアプリは、ユーザーがカタログを閲覧でき、ゲームをダウンロードして大型画面でプレイできる。しかも、マウスやキーボード入力の便利さは失われていない。一方、Googleの発表によると、ユーザーのゲームプレイがどこまで進んだかは複数のデバイス間で同期され、PCでプレイしても前からのプレイポイントは継続される。

 

このPCアプリのローンチの前には、Microsoft(マイクロソフト)によるWindows 11のAndroidアプリ対応があった。それはAmazon(アマゾン)との提携でAmazon独自のAmazonアプリストアを使うやり方で、クロスプラットフォームなゲームプレイの需要と要望の過熱に応える措置だった。しかし今回のGoogle Play Games for PCアプリケーションはMicrosoftとのパートナーシップはゼロで、あくまでもGoogle独自のアプリケーションであり、Google内で開発され配布される。またゲームストリーミングサービスでもない。プレイヤー自身がゲームを自分のコンピューターにダウンロードしてプレイするものだ。

関連記事:マイクロソフトがWindows 11ベータ版でAndroidアプリのテストを開始

ベータ版の公開にともない、GoogleはAndroidの開発者向けに、既存のゲームをWindows PCと互換性を持つように最適化するための詳細を公開するとしており、これによりPCアプリが提供する拡張アクセスを利用できるようになる。Googleは2021年12月、Windowsアプリの登場により、Google Playゲームは、プラットフォームを問わず、25億人の月間アクティブユーザーを抱えるゲームエコシステムに到達することができると発表していた。

Googleはベータ版への参加に関して、開発者向けウェブサイトを開設しベータ版の継続にともなうアップデートを受け取るためのオプトインができるようにしている。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Animoca、Galaxy Interactive、Polygonが印ゲーム企業nCoreのWeb3推進を支援

nCore GamesはWeb3サービスの開始に向け、新たな資金調達ラウンドで1000万ドル(約11億5000万円)を調達したと同社のトップがインド時間1月17日に発表した。

暗号資産分野で著名な投資家であるAnimoca BrandsとGalaxy Interactiveの2社が、今回の資金調達を主導した。また、イーサリアムL2スケーリングソリューションで有名なPolygon(ポリゴン)とHyperedge Capitalもこのラウンドに参加した。

他にも、Google(グーグル)の元上級副社長であるAmitabh Singhal(アミターブ・シンガル)氏 、Polygonの共同創業者であるSandeep Nailwal(サンディープ・ネイルワル)氏、Dell(デル)のプログラム管理ディレクターKanwaljit Bombra(カンワルジット・ボンブラ)氏、Sohil Chand(ソヒル・チャンド)氏、Ashish Chand(アシシュ・チャンド)氏、映画監督のRam Madhvani(ラム・マドヴァニ)氏、Rakesh Kaul(ラケッシュ・コール)氏、Mannan Adenwala(マンナン・アデンワラ)氏、Sanjay Narang(サンジェイ・ナラン)氏、Taj Haslani(タジ・ハスラニ)氏、Playfishの共同創業者Kristian Segerstrale(クリスティアン・セガーストラーレ)氏、Sanjay Gondal(サンジェイ・ゴンダル)氏、Vedant Baali(ヴェーダン・バーリ)氏、Kartik Prabhakara(カーティク・プラバカラ)氏、Peter Leung(ピーター・レオン)氏、Yashraj Akashi(ヤシュラージ・アカシ)氏、Akshay Chaturvedi(アクシャイ・チャトルベディ)氏など、多くのエンジェル投資家がラウンドに参加した。

nCore Gamesは、Studio nCore、Dot9 Games、IceSpiceなど、複数のゲームスタジオを擁している。同社のポートフォリオには、数千万のダウンロードを記録したマルチプレイアクションゲーム「Fau-G」や「Pro Cricket Mobile」などがある。

nCore Gamesの共同創業者であるVishal Gondal(ヴィシャール・ゴンダル)氏は、TechCrunchのインタビューで同社は2021年中にさらに多くのゲームを立ち上げ、投資することを計画していると語った。

しかし今回の資金調達では、メタバースへの展開がより大きな焦点になるとのこと。nCore Gamesは独自のNFTやトークンの発行を検討しており、それらは今後数カ月以内に立ち上げる可能性があるという。

インドは、ダウンロード数で世界最大のモバイルゲーム市場の1つとして浮上している。ニューデリーで禁止される前の「PUBG Mobile」は、インドで5千万人以上の月間アクティブユーザー(MAU)を獲得していた。だがゲーム会社は、アプリ内課金の普及率の低さや広告収入の少なさから、このユーザー層を効率的に収益化するのに苦労している。

Galaxy InteractiveのゼネラルパートナーであるSam Englebardt(サム・エングルバルド)氏は「インドにおけるゲーミングの成長はすでに否定できないものであり、市場はさらに大きな飛躍を遂げようとしています」と述べている。

ゲーム業界のベテランで、前身のベンチャー企業をディズニーに売却した経験を持つゴンダル氏は、特に企業が収益を得るために広告に頼ることが多かった発展途上国の市場では、ゲーム経済に変化が起きているという。同氏は、アプリ内課金の収益が高くないインドと似た市場であるフィリピンでのAxie Infinityの人気を例に挙げた。

ゴンダル氏は、インド、インドネシア、フィリピンの類似点を挙げ、多くの市場でいくつかのカテゴリーに進出しているWeb3の製品が、インドのゲーミングでも人気を博すだろうと楽観視している。同氏は、Web3はすべてのステークホルダーに適切なインセンティブ構造を提供できる位置にあると考えている。

「現在、ゲームをプレイしているときには、コミュニティの一員になることが最大のメリットでした。これからはゲームをプレイしている間に、ゲームの価値を自分のものとして所有するチャンスがあるのです」。

IceSpiceの最高経営責任者であるTejraj Parab(テジラジ・パラブ)氏によると、nCore Gamesは、同社のすべてのタイトルとパートナー企業のゲームがコミュニティに提供するユニバーサルトークンを作ることを検討しているという。また、同社の技術を他のゲームデベロッパーが活用できるようにしたいと考えているとのこと。

Studio nCoreのDayanidhi MG(ダヤニディ・MG)CEOはこう述べている。 「当社は、グローバルリーダーや大きな成功を収めているファンド、企業、業界ベテランの方々と一緒に、新しいトレンドやテクノロジーを取り入れ、飛躍的な成長を遂げてnCoreを次のレベルに引き上げることに興奮しています」。

Web3は、インドでも普及し始めている。Tiger GlobalとSequoia Capital Indiaが支援するインドのスタートアップFaze(フェイズ)は、2021年、クリケットの世界的な統括団体であるICCと提携し、クリケットファン向けのNFTを立ち上げた。この件に詳しい2人の関係筋によると、同スタートアップは現在、Insight Partnersから新たな資金調達を行うための交渉を行っているという。ボリウッドの有名人も、企業と提携して独自のNFTを立ち上げている。

Animoca Brandsで共同創業者及び代表取締役会長を務めるYat Siu(ヤット・シウ)氏は、声明でこう述べている。「nCORE Gamesは、経験豊富なゲーム業界の専門家によって設立された会社であり、大規模な成長が見込まれるゲーム市場を有するインドにおいて、最も有望な投資先の1つです。nCORE Gamesは、ゲームにブロックチェーンとNFTを活用して、プレイヤーにデジタル財産権を提供するための適切なチームを持っており、グローバルなオープンメタバースに向けて、多くの製品を成功させることを期待しています」。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

「フォートナイト」がiOSで復活(ただしApp Store経由ではない)

「Fortnite(フォートナイト)」がiOSに帰ってきた……まあ、言ってみればだが。NVIDIAのストリーミングゲームサービスGeForce NOWを通じて、iOSおよびAndroidのモバイルユーザーは、クラウドゲーミングを通じてタッチコントロール版のFortniteをプレイできるようになる。プレイヤーはNVIDIAサイトから、Fortniteの新しいモバイル向け回避策のクローズドベータテストに参加するためのウェイティングリストに登録できる。有料アカウントを持っていなくてもプレイすることは可能で、有料アカウントがあっても優先権は得られない。しかし、モバイルでFortniteを1時間以上プレイしたい場合は、アップグレードする必要に迫られるかもしれない。

Fortniteは2020年8月以降、iOSデバイスではプレイできなくなっている。アプリ内課金に対するApple(アップル)の30%手数料を回避しようとしたため、App Storeから追放されたのだ。その後、Fortniteの開発元であるEpic Games(エピックゲームズ)は、テック巨人が独占禁止法に違反していると主張してAppleを訴えた。9月、カリフォルニア州の裁判所は、Appleは開発者がApp Store以外の代替決済リンクを追加することを禁止できないという判決を下した。しかし、この判決では最終的にAppleが優位に立った。裁判所は、Epicが主張するような独占的な行為はAppleはしていないと判断したのである。

AppleもEpicもこの判決に満足しなかったため、両者は控訴した。また、Appleは、差止命令が発効するまでの時間を延期するよう控訴裁判所に認めさせた。これによりAppleは、当初の判決で裁判所が指示したApp Storeの変更を行う必要がなくなった。

Epic GamesのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)CEOは、相変わらずAppleに対し反体制派の旗手として声をあげているため、たとえ両社が合意に達したとしても、すぐにFortniteのiOSアプリが復活するかどうかは不明だ。

画像クレジット:Kyle Grillot/Bloomberg / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

Voodooは「Play-to-Earn」、遊んで稼ぐブロックチェーンモバイルゲームに約227億円超を賭ける

フランスのスタートアップVoodoo(ブードゥー)は、ブロックチェーンを活用したモバイルゲームに多額の投資を行う計画を発表した。同社は、今後数年間で2億ドル(約227億4000万円)規模の投資を行うことになると見積もっている。

2021年は暗号ゲームにとって重要な年となり、中でもAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)はPlay-to-earn(ゲームして稼ぐ、P2E)モデルを普及させた。Mythical Games(ミシカルゲームス)のように、大規模な資金調達ラウンドを行い、メインストリームのブロックチェーンゲームに取り組んでいる企業もある。

サイドノートとして、ファンタジースポーツのNFTゲームも暗号ゲームと考えられる。その分野では、ファンタジーフットボールのSorare(ソラーレ)が6億8000万ドル(約773億3000万円)のシリーズBラウンドを調達し、NBA Top Shotを開発したDapper Labsは2億5000万ドル(約284億2000万円)を調達してNFT分野でのさらなる発展を目指している。

関連記事:レアル・マドリードやリヴァプールなどと提携するファンタジーサッカーNFTゲーム仏Sorareがソフトバンク主導で約743億円調達

Voodooは現在、ハイパーカジュアルゲームで最もよく知られており、50億のダウンロード数と3億人の月間アクティブユーザー(MAU)を抱えている。同社のゲームには「Helix Jump」「Crowd City」「Hole.io」「Paper.io 2」などがある。

Voodooは自社スタジオを持つ一方で、サードパーティのゲームスタジオのパブリッシャーとしても活動している。Voodooの秘伝のソースは、配信、ユーザーあたりの平均収益、絶え間ないイテレーションを最適化する技術スタックだ。

そして、モバイルゲームのエキスパートであるVoodooは、暗号ゲームに関しても何もせずじっとしているつもりはない。Voodooはすでに10の社内スタジオでブロックチェーンベースのゲームに取り組んでいる。2022年には、さらに20の暗号ゲームに特化したスタジオを開設する予定だ。

2021年、Voodooは8社を買収した。つまり、新しい暗号ゲームのスタジオは、買収から生まれる可能性があるようだ。

VoodooのAlex Yazdi(アレックス・ヤズディ)CEOは、声明の中で次のように述べている。「複数の業界を変革するような技術的ブレイクスルーを経験することは、人生においてほとんどありません。プレイヤーはすでにデジタル資産を購入することに慣れているため、ブロックチェーンは特にゲームに影響を与えるでしょう。この技術により、プレイヤーは自分のデジタル資産の真の所有権を得ることができ、ゲーム内のデジタル通貨やゲーム資産の収集、取引、販売などを通してプレイヤー同士の交流が深まり、楽しさやエンゲージメントが向上します。またこれにより、プレイヤーは自分の資産から利益を得ることができるようになり、新たな『Play-to-earn』モデルにつながります」。

つまり、今後のVoodooのゲームでは、取引可能なNFTが期待できるということだ。ユーザーがオンラインマーケットプレイスでNFTを売買できるようになれば、ゲーム外でも経済的価値を持つことになる。

Voodooの既存のスタックに加えて、同社はトークンの管理、NFTの作成、ウォレットアドレスの作成、(イーサリアムのような)レイヤー1ブロックチェーンやレイヤー2のソリューションと統合して取引コストを削減するための再利用可能なブロックチェーンスタックに取り組む予定だ。

画像クレジット:Afif Kusuma / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

アプリストアの2021年消費者支出は過去最高約15兆円、新規インストールは1436億回を記録

アプリエコノミーは、2021年に再び新しい記録を打ち立てようとしている。米国時間12月7日に発表された、Sensor Towerによる2021年のグローバルアプリエコシステムのレビューによると、アプリの初回インストール回数は2021年、1436億回に達し、前年比0.5%増となったが、アプリでの消費者支出は同19.7%増の1330億ドル(約15兆円)と大幅に増加した。この数字には、Apple App StoreとGoogle Playにおけるアプリ内購入、プレミアムアプリ、サブスクリプションでの支出が含まれるが、中国にあるようなサードパーティのアプリストアは含まれない。

画像クレジット:Sensor Tower

この成長率は、消費者支出が21%急増して1111億ドル(約12兆6400億円)に達した2020年とほぼ同じだとSensor Towerは指摘する。

もちろん2020年には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の直接の影響を受けて消費者は自宅で仕事をしたり、オンラインで買い物をしたり、友人とバーチャルにつながったり、より多くの娯楽コンテンツをストリーミングしたり、オンラインで授業を受けたりと、さまざまな行動上の変化を余儀なくされたためだ。こうした変化は、2020年には消費者のアプリ利用と支出の面で現れた。パンデミックがモバイルアプリの世界に影響を与えたこともあり、世界のアプリ収入は2020年上半期に500億ドル(約5兆6900億円)にまで急増したと、当時TechCrunchは報じた。

画像クレジット:Sensor Tower

こうしたパンデミックに起因する個人消費の変化は、2020年の新型コロナによる政府のロックダウンを超えて、2021年のモバイルトレンドに影響を与え続けるだろうというシグナルが早くからあった。例えば米国では、iPhoneアプリでの消費者支出は、2020年の平均136ドル(約1万5500円)から2021年には平均180ドル(約2万500円)に達する見込みだと、Sensor Towerは指摘していた。しかし、最終的には165ドル(約1万8800円)にとどまったとのことだ。また、2021年上半期の消費者支出はすでに新記録を達成し、世界全体では649億ドル(約7兆3900億円)に達した。

Sensor Towerが発表したところによると、世界全体で1330億ドルという記録的な支出の内訳は、App Storeでの支出が851億ドル(約9兆6900億円)で、2020年の723億ドル(約8兆2300億円)に比べて前年比17.7%増となった。また、Google Playの消費者支出は479億ドル(約5兆4500億円)で、2020年の388億ドル(約4兆4200億円)から23.5%増加している。App Storeの売上高はGoogle Playの約1.8倍と引き続き上回り、これは例年通りだ。

ゲーム以外では、2021年に世界で売上最多だったアプリは、中国版Douyinを含むTikTokだった。ByteDanceの短編動画アプリの各バージョンを合わせると、2021年は11月までに20億ドル(約2280億円)の売上高を突破し、年末までに23億ドル(約2620億円)に達する見込みだ。これにより、累計売上高は38億ドル(約4330億円)に達する。

同アプリは、App Storeのグローバルの支出額でもトップだったが、Google Playでは、TikTokは消費者支出額で第4位にとどまった。Googleの自社サービスであるGoogle Oneが第1位だった。年末までにGoogle Oneの消費者支出は10億ドル(約1140億円)に達し、2020年の4億4850万ドル(約510億円)から123%増だ。

画像クレジット:Sensor Tower

一方、世界のアプリのダウンロード数は伸び悩み始めている。全体としては、2020年の1429億回から1436億回へと0.5%増えているが、これは主にGoogle PlayでのAndroidアプリのダウンロードの伸びによるものだ。Google Playでのインストール数は、2020年の1085億回から2.6%増の1113億回に達した。

しかし、AppleのApp Storeでは、新規アプリインストール数が減少した。2021年のダウンロード数は、2020年の344億回から323億回へと6.1%減少するとSensor Towerは予想している。

TikTokのインストール数は、2020年の9億8070万回から減少したものの、世界全体で7億4590万回となり、引き続き最もダウンロードされたアプリだった(Appleは先日、iPhoneの無料アプリチャートで、TikTokが米国で年間トップのダウンロード数を記録したことを明らかにした)。Google Playでは、Facebookが5億90万回でトップとなり、Androidが普及している多くの新興市場で、同アプリが人気を博していることを示している。しかし、2つのアプリストア合計で2021年のFacebookのインストール数は6億2490万回で、2020年の7億780万回に比べて12%減となる見込みだ。

関連記事:アップルが2021年の米App Store Award受賞者と年間最もダウンロードされたアプリを発表

画像クレジット:Sensor Tower

モバイルゲームは、例年通り世界のアプリ売上高の中で大きなシェアを占めている。2021年のモバイルゲームへの支出は、App StoreとGoogle Playを合わせて896億ドル(約10兆2000億円)に達し、2020年の796億ドル(約9兆620億円)から12.6%増となる見込みだ。

しかし継続的な流れとして、パイ全体に占めるゲームの割合は縮小している。2019年には、アプリ全体の支出のうちゲームが74.1%を占めていたが、2020年には71.7%に低下した。2021年は再び低下し、アプリ内支出全体の67.4%にとどまっている。この変化は、ゲーム以外のサブスクリプションベースのアプリの増加によるもので、2021年は特にパンデミックから経済的恩恵を受けたストリーミングやエンターテインメントアプリの成長が顕著だ。

画像クレジット:Sensor Tower

App Storeでは、ゲームの2021年の消費者支出は523億ドル(約5兆9540億円)で、2020年から9.9%増だ。iOSにおけるゲームマーケットを牽引するのは、Tencentの「Honor of Kings(王者栄耀)」で、2020年の25億ドル(約2850億円)から16%増の29億ドル(約3300億円)だった。

Google Playでは、最高の売上を記録したのはやはりMoon Activeの「Coin Master」で、前年比13%増の約9億1200万ドル(約1040億円)に達した。全体として、Google Playでのゲーム支出はグローバルで2020年の320億ドル(約3兆6400億円)から16.6%増の373億ドル(約4兆2480億円)となる。

画像クレジット:Sensor Tower

ゲームのインストール数は、他のモバイルアプリのインストール数と同様に、App Storeでは前年比で減少し、2020年の101億回から2021年は86億回に減った。中国版「Game of Peace」を含む「PUBG Mobile」は、最多のダウンロード数(4750万回)を獲得した。Google Playでは、ゲームのインストール数は、2020年の461億回から2021年は467億回へと1.3%増加し、Garena Free Fireがダウンロード数最多となった(2億1880万回)。

2021年のトレンドは、2020年に異常なほどの盛り上がりを見せた後、ある程度、少し正常化した。しかし、例えば、消費者支出のうちゲームが占める割合が減少していることや、ダウンロード数ではAndroidがiOSを上回っているが売上高ではそうではないことなど、その他の傾向は変わっていない。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

米Google Playベストオブ2021でメディテーションアプリ「Balance」が年間ベストに、「ポケモンユナイト」がベストゲームに

Google(グーグル)は米国時間11月29日、同社とユーザーが選んだ過去1年間のベストアプリとゲームを紹介する「Best of 2021(ベスト オブ 2021)」の受賞アプリを発表した。2021年はアワードのラインナップが拡大され、タブレットやWear OS、Google TV向けのアプリやゲームを対象とした賞も増設された。米国ではメディテーションアプリ「Balance(バランス)」が年間ベストアプリに、そして「Pokémon UNITE(ポケモンユナイト)」がベストゲームに選ばれた。一方、ユーザーの投票によって選ばれるユーザーズチョイス賞は「Paramount+(パラマウントプラス)」と「Garena Free Fire MAX(ガレナ・フリー・ファイア・マックス)」が受賞した。

2020年には、新型コロナウイルス感染拡大に見舞われた世界を反映し、ベストアプリに選ばれた睡眠アプリ「Loóna(ルーナ)」や、逃避的なゲームの「GENSHIN IMPACT(原神)」など、ストレスを抱えたユーザーがリラックスするために利用するようなアプリやゲームの人気が高かった。

コロナ禍の初期段階が過ぎた2021年は、リラックスや逃避ではなく、自己成長や創造性に焦点を当てたアプリも受賞作に含まれている。これもまた、我々の社会的な状況を反映しているように思われる。この1年、米国では、やりがいのない仕事や低賃金の仕事を自発的に辞めてもっと良い仕事を探す「大辞職」が起こり、情熱を追求する人々によるクリエイター経済のブームが巻き起こり始めた。

2021年の最優秀賞に選ばれた個人向け瞑想アプリのBalanceの他にも、受賞作には自己開発をテーマにしたアプリが多く含まれている。「月の満ち欠け周期に生活を調和させる」アプリの「Moonly(ムーンリー)」「コメディによるリラクゼーション」アプリの「Laughscape(ラフスケープ)」、女性向け催眠療法アプリの「Clementine(クレメンタイン)」、快眠アプリの「Sleep Cycle(スリーブ・サイクル)」、メンターシップコミュニティ「Mentor Spaces(メンター・スペイシズ)」、習慣追跡・計画ツール「Rabit(ラビット)」、喪失の悲しみを癒すアプリ「Empathy(エンパシー)」などだ。

その他の受賞作にも、音声チャットルーム「Clubhouse(クラブハウス)」や、スクリーンの使用時間を短縮する「Speechify(スピーチファイ)」のようなツール、自然とのつながりを取り戻すための「Blossom(ブロッサム)」など、我々がコロナ禍の生活にどのように適応しているかを示すものが含まれている。

ベストアプリのBalanceの他、米国版Google Play Best of 2021の各部門で受賞したアプリは以下の通り。

Best Apps for Good(生活向上アプリ部門)

Best Everyday Essentials(生活に必須なアプリ部門)

Best for Fun(楽しみのためのアプリ部門)

Best Hidden Gems(隠れた名作アプリ部門)

Best for Personal Growth (自己改善アプリ部門)

Best for Tablets(最優秀タブレット向けアプリ部門)

Best for Wear (最優秀ウェアブルデバイス向けアプリ部門)

Popular on Google TV(Google TV向け人気アプリ部門)

2021年のベストゲームは、クロスプラットフォームに力を入れた当てたポケモンユナイトが受賞した。

「ポケモンユナイトは、 The Pokémon Company(株式会社ポケモン)とTiMi Studios(ティミ・スタジオ)が共同開発した、ポケモン初のチーム戦略バトルゲームです。私たちは、MOBAというジャンルの良いところを抽出して、新しいゲームを作ろうとしましたが、正直いうと、それが世界中のプレイヤーに受け入れられるかどうかはわかりませんでした」と、ポケモンユナイトのプロデューサーである星野正昭氏は声明文に記している。「今回の受賞は、私たちのゲームがファンやメディアから好意的に受け止められていることを示しており、大変安心したと同時に、今後もポケモンユナイトが、プレイヤーのみなさまの期待に応えられるような、よりエキサイティングな体験を提供できるように、最善を尽くしていく決意を新たにしています」と、星野氏は続けている。

その他の受賞作には「世界で最も孤独な鳥」と友達になることに挑戦する、内省的な「Bird Alone(バード・アローン)」などのインディーズゲームも含まれている。Annapurna Interactive(アンナプルナ・インタラクティブ)の「Donut County(ドーナツ カウンティ)」は、物理ベースのパズルゲームとして評価された。

米国版Google Play Best of 2021の各部門で受賞したゲームは以下のとおり。

Best Competitive(対戦ゲーム部門)

Best Game Changers(ゲームチェンジャー部門)

Best Indies(インディー部門)

Best Pick Up & Play(ピックアップ&プレイ部門)

Best for Tablets(最優秀タブレット向けゲーム部門)

各国の受賞アプリやゲームは、Playストアに新たに表示される「ベスト オブ 2021」セクションに掲載されている。上記はGoogle Playの米国における受賞作だ。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

宝くじをユーザーの代わりにゲットしてくれるアプリ「Jackpocket」、購入者層も変化

これまで実際にその場へ出向いて行わなければならなかったことを、バーチャルでできるようにしたアプリは過去20カ月間のパンデミック渦で飛躍的な伸びを見せているが、そのうちの1つが米国時間11月9日、好調な成長を背景に大きな資金調達を発表した。Jackpocket(ジャックポケット)は250万人のアクティブユーザーを擁するアプリで、ユーザーが同アプリを通して米国10州で宝くじのチケットを購入できるというものだ。その同社が今回シリーズDラウンドで1億2000万ドル(約136億9000万円)を調達した。CEO兼創業者のPeter Sullivan(ピーター・サリバン)氏は、宝くじ販売というコアビジネスからより幅広いモバイルゲームへと事業を拡大し、他社との提携も見据えて米国内外のより多くの市場に事業を展開していく計画であると話している。

「第1四半期末までに少なくとも5つの州に新しく進出する予定です」とサリバン氏は意気込んでおり、テクノロジーへ投資してeコマース、サブスクリプション、モバイルウォレットサービスの世界からの「ベストプラクティス」を導入しつつ、他の形態のゲームも検討していると付け加えている。

「多くの人はご存じないでしょうが、宝くじの何パーセントかは慈善活動に使われています」と同氏。Jackpocketは新たにラッフル、懸賞、ビンゴ、ソーシャルカジノゲームなどの分野を開拓しようとしている。「より楽しいゲームプレイと勝利のチャンスを提供し、より多くをお返しできる方法を考えています」。

Jackpocket最新のピッチデッキによると、同社の拡大戦略は以下の通りである。

今回の投資はLeft Lane Capital(レフトレーンキャピタル)が主導しており、コメディアンのKevin Hart(ケヴィン・ハート)氏、Whitney Cummings(ウィットニー・カミングス)氏、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Manny Machado(マニー・マチャド)氏などが参加している他、Greenspring Associates(グリーンスプリング・アソシエイツ)、The Raine Group(ザ・レインル・グループ)、Anchor Capital(アンカーキャピタル)、Gaingels(ゲインジェルズ)、Conductive Ventures(コンダクティブ・ベンチャーズ)、Blue Run Ventures(ブルーラン・ベンチャーズ)などの以前からの支援者、そして新たにSanta Barbara Venture Partners(サンタバーバラ・ベンチャーパートナーズ)が出資している(Jackpocketはニューヨークで設立されているが、カリフォルニア州サンタバーバラからも事業を展開しており、CEO兼創業者のピーター・サリバン氏はここを拠点にしている。この記事のためにインタビューをさせてもらった際も同氏はサンタバーバラにいた)。

サリバン氏は今回のラウンドでの評価額を公表していないが、これにより同社の調達額は2億ドル(約228億1000万円)弱となった。

もう少し背景を説明しよう。PitchBook(ピッチブック)のデータによるとJackpocketが最後に資金調達を行ったのは2021年2月の5000万ドル(約 57億円)のシリーズCラウンドで、その時の評価額は1億6000万ドル(約182億6000万円)(ポストマネー)だった。しかしそれ以降も同社は成長を続けており、現在のアクティブユーザー数は250万人、過去8カ月で300%の増加となっている。

サリバン氏によるとJackpocketのアイデアは「ニューヨーク州の宝くじをいつも買っていたがパソコンには弱い、ブルックリン生まれのブルーカラー階級」というサリバン氏の父親から一部着想を得ているという。

時は2012年、テック界における当時の大きなテーマの1つは、それまでオフラインであったサービスをデジタル化するという「アプリの台頭」だった。もう1つの大きなテーマは、モバイルゲームへの関心の高まりだ。サリバン氏はこれらのトレンドを考慮して、宝くじを注文するアプリを作るチャンスがあると考えたのだ。従来はコンビニに行かなければできなかったことが、携帯でできるようになればと。

「私たちは自身を宝くじ版のUber(ウーバー)やInstacart(インスタカート)のような存在だと位置づけています」と同氏は話す。

Jackpocketは宝くじ売り場であると同時に、宝くじ体験全体を仮想化するものだと考えて良い。サリバン氏が説明してくれたように、ユーザーはモバイルアプリを使って宝くじを注文する。バックエンドではJackpocketが独自に開発したソフトウェアを使って、プレイヤーに代わって実際のチケット購入を行い、プレイヤーが注文した各チケットの「スキャン」を行っている。プレイヤーはそのチケットを見ることができ、チケットにはJackpocketが透かしを入れているため真正性も維持することができる。

他のリアルマネーオンラインゲームと同様に、Jackpocketは年齢や地理的位置(Jackpocketが運営されている州に物理的に位置していないと注文できない)など、さまざまな規制に対応するためにあらゆる対策を講じている。GPS技術を使ってユーザーの位置を特定するだけでなく、VPNを使用していないかどうか、あるいは他のアプリケーションを使ってコンピュータに接続していないかなどもチェックしているようだ。また、プレイヤーは本人確認と年齢確認のために身分証明書をアップロードする必要がある。

また、同社はギャンブル界でより「責任ある」プレイヤーになることを目指しており、ユーザーの支出を監視して1日あたり100ドル(約11400 円)を上限として設定しているが、それ以下の価格に自身で制限することも可能である。

ビジネスモデルは、顧客から入金された金額に対して9%の手数料を取ることを基本としている。つまりアプリにお金を入れてチケットを購入すると9%の手数料がかかるわけだが、獲得したお金を使ってプレイする場合に手数料はかからない。また、お金を引き出す際の手数料がかかることもない。

かなり明確な市場機会があったにもかかわらず(当時の最大の競争相手は、細分化されたコンビニ市場のみ)、当初は資金調達が非常に困難だったという。

サリバン氏は初期の頃にサンドヒル・ロードで各投資家を個別にまわった経験を振り返る。「当時はリアルマネーゲーミングを行うことはタブーとされていました」。2021年のシリーズCまでに調達した資金が約2500万ドル(約28億6000万円)と比較的少なかった理由の1つがこれである。「9年前投資家は見向きもしてくれませんでしたが、私は宝くじが鍵を握ると信じていました。宝くじは最大のリアルマネーゲームにして最大のネットワークであり、他のフォーマットとのクロスセルにも適しているのです」。

FanDuel(ファンデュエル)などのリアルマネーゲームの成功を受けて投資の流れが本格的に変わり始めたことで、宝くじ、そしてJackpocketにも変化が訪れた。業界団体であるNorth American State and Provincial Lotteriesが発表したところによると、消費者が宝くじに費やす年間の総額は856億ドル(約9兆7805億円)と推定されるという。これは、印刷およびデジタル書籍(18億ドル、約2057億円)、映画チケット(119億ドル、約1兆3597億円)、ビデオゲーム(315億ドル、約3兆5996億円)、コンサートチケット(104億ドル、約1兆1884億円)、スポーツイベント(177億ドル、約2兆226億円)など、他のレジャーカテゴリー消費額の合計を上回る額である。

「父が宝くじを買っているのを見たことはありますが、それがどのくらいの規模なのかは知りませんでした」とサリバン氏はいう。また、Jackpocketが把握している宝くじ購入者の層は変化しており、購入者の約70%が45歳以下であることにも注目したい。サリバン氏は「テクノロジーに精通した裕福な購入者が増えています」と話しており、これはアプリベースの体験にも最適な条件である。

過去2年間の特殊な状況も、Jackpocketのような企業に大きな影響を与えている。以前は宝くじなどを買うために街角の店を訪れていた消費者が、新型コロナウイルスの蔓延を避けるためにソーシャルディスタンスを保って自宅で過ごす時間を増やした他、営業を続けていた小規模店舗の多くも配送サービスに切り替えるなどしたため、チケットを買いに行くことが容易ではなくなったのである。

サリバン氏がいうような他のフォーマットの「クロスセル」は、今後重要な分野になるだろう。他のタイプの宝くじ体験を販売することだけでなく、例えばインスタント食料品配送のスタートアップなど、これまで宝くじの小売業の糧となってきたコンビニのデジタル拡張である企業や他のゲーム会社と提携する可能性もあるだろう。その可能性こそが、まさに今多くの資金を集めている理由の1つなのである。

Left Lane Capitalの創設者兼マネージングパートナーであるHarley Mille(ハーレー・ミル)氏は声明の中で次のように述べている。「モバイルゲームと宝くじは今、エキサイティングで前例のないレベルの成長と拡大を経験しています。Jackpocketがこの進歩の先頭に立ち、この業界でかつてないペースで革新を続けていることが我々には明白です。我々はこの歴史的瞬間に参加する機会を得たことに胸を踊らせており、この状況下でJackpocketの役割をサポートできることを楽しみにしています」。

画像クレジット:adventtr / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

短編動画アプリに一石、インタラクティブな映画体験ができる「Snax」

短編動画アプリには、TikTok(ティックトック)のような大きな成功例もあれば、Quibi(クイービ)のような大きな失敗例もある。今回「Snax(スナックス)」という新しいアプリは、人気のある縦型動画フォーマットに変化を加え、ユーザーがモバイルデバイスでミニムービーを見るだけでなく、それらとやりとりする方法を提供しようとしている。Snaxの定額制ストリーミングサービスには、拡大中の、伝統的な物語の要素とインタラクティブなゲームを組み合わせたオリジナルムービーのレパートリーを取り揃えている。ユーザーは、物語を進めるためのパズルを解いたり、殺人事件のシーンで手がかりを探したり、ゲームブック「Choose Your Own Adventure」のようなモードで登場人物の選択をしたり、360度動画の要素を利用したりと、さまざまなことができる。

この新しいタイプのインタラクティブな映画体験のアイデアは、パリを拠点とするアプリケーション開発会社であるMarmelapp(マーメラップ)から生まれた。Marmelappは、Alan Keiss(アラン・キース)氏、Stéphane Fort(ステファン・フォート)氏、Jérôme Boé(ジェローム・ボエ)氏が共同で設立した会社だ。Marmelappは、これまでに15のアプリをリリースし、そのダウンロード数は3000万を超え、アプリ全体で年間数百万ユーロ(約数億円)の収益を上げている。

Marmelappの最近のタイトルには、パーティゲームのPicolo(ピコロ)や、テキストベースのゲームブックスタイルのアプリBlaze(ブレイズ)などがある。このBlazeがSnaxの出発点になったと聞いている。

「Blazeの開発はとても楽しく、すばらしいフィードバックをいただきました。Blazeでは、75のオリジナルストーリーを開発・公開しました。枝分かれしていて複数のエンディングがあるため、実際にはかなりの数のコンテンツがありました」とSnaxのコンテンツ責任者であるJames Davies(ジェームズ・デイビス)氏は説明している。後にチームは、Blazeが単なるテキストだけでなく、ストーリーに沿ったミニフィルムなどを盛り込めば、もっと楽しいものになると気づいた。当初、彼らはそのコンセプトをBlazeに取り入れようと考えていたが、あまりにも複雑になってしまった。

「別のプロジェクトにする必要があることがはっきりしました」とデイビス氏はいう。そうして1年半ほど前にSnaxの開発が始まった。

画像クレジット:Snax

現在、このアプリは、縦長の動画として観ることができるひと口サイズのムービー(「Snax」という名前の由来)をウリにしている。各エピソードは約3〜5分で、ユーザーが何らかの形でコンテンツに関われるためのストップポイントが含まれている。ユーザーはパズルやクイズを解かなくてはいけないかもしれない。もしくは、部屋の中で何かを選択したり、隠されたアイテムを見つけたりする必要があるかもしれない。キャラクターとメッセージのやりとりをする必要があるかもしれない……などなど(困ったときには「ヒント」という選択肢もある)。

ユーザーは、選択肢をタップする以上のことをしなくてはいけないこともある。例えば、ある殺人事件のムービーでは、テキストボックスが表示され、そこに自由に答えを書き込んでいく。この機能を実現するために、Snaxは答えの候補とその誤字脱字をデータベース化し、ユーザーが正解したときに正しく判断できるように設計した。

画像クレジット:Snax

ムービー自体も、この種のエンターテインメントアプリとしては想像以上に高品質なものになっている。

Snaxでは、7人のチームが脚本の作成やインタラクティブ機能の追加を担当し、映像コンテンツの制作はプロの映像作家や提携した制作会社と協力して行っていると説明している。現在、これらの撮影には、1つのプロジェクトにつき10万ユーロ(約1280万円)の費用がかかっているが、Snaxは、同じチームが異なる脚本で複数のシリーズを連続して撮影することで、制作費の効率化を図っている。

画像クレジット:Snax

映像作家には、アプリが生み出すサブスクリプションの収入は分配されず、前払いとなっている。現在、Snaxは、週4.99ドル(約560円)、月8.49ドル(約960円)、年47.99ドル(約5450円)の定額制サービスを提供している。(試しに2、3のエピソードを無料で視聴することもできる)。

同社は、2021年初めにフランスでSnaxの提供を開始し、10月には米国、英国、カナダ、オーストラリアの英語圏の視聴者にもこのアプリを導入したばかりだ。現在のところ、このアプリには、英語に吹き替えられたフランス映画が掲載されているが、長期的な戦略として、今後は英語とスペイン語でのコンテンツ制作にも着手する予定だ。

サービス開始以来、Snaxのユーザーの約半数は英語圏の人たちだが、同社は近い将来にはこれが90%にまで増えると予想している。

画像クレジット:Snax

Snaxのユーザーは、18歳から24歳の若い世代が多く、男女の比率は均等だ。これまでのところ、特に米国のユーザーが多くアプリについて話したり、シェアしたり、アプリのコンテンツに反応を示している、とSnaxは確認している。

「私たちは、フランスのユーザーより、米国の男女のほうが、多くのコンテンツに関わろうとする傾向にあることに気づきました。エピソードを完成させたり、ストーリーを完成させたりする割合が、フランスよりもかなり高いのです」とデイビス氏はいう。「つまり、北米の視聴者に向けて作品を制作する必要があるのです」。

初期の作品には無名の俳優を起用したものもあったが、Snaxは現在、フランス第3位のYouTuberであるNorman、俳優でコメディアンのLudovik(ルドヴィック)、俳優のBastien Ughetto(バスティアン・ウゲット)など、フランスで知名度の高いスターを起用して制作を進めている。今後、米国での展開に合わせて、このような取り組みをさらに進めていく予定だ。

Snaxは現在、インタラクションのバリエーションを増やし、よりエキサイティングで、より深く楽しめるようにすることに取り組んでいる。また、スクリプトを作成するための独自のソフトウェアの開発も進めている。

Marmelappは、2022年にSnaxを独立させることを計画しており、その際には資金調達を検討する可能性がある。

画像クレジット:Snax

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

モバイルゲームでオーディオ広告を配信するAudioMobがシリーズAで約16億円調達、グーグルなどが支援

AudioMobは「押しつけがましくない」オーディオ広告をモバイルゲームに配信するスタートアップだ。ポップアップするようなちょっとした広告はプレイヤーの気に障るようなものではなく、AudioMobはそのメカニズムをどうにかして解明したようだ。

AudioMobは、Makers FundとLightspeed Venture Partnersが主導するシリーズAで1400万ドル(約15億9500万円)を調達した。Sequoia Scout ProgramとGoogleも参加した。これまでの調達金額の合計は1600万ドル(約18億2200万円)となった。

AudioMobは今後も実験的なオーディオテクノロジーの開発、複数の国での特許申請、ロンドンとアブダビにあるオフィスの拡大を続ける計画だ。同社は、評価額が1億1000万ドル(約125億3000万円)程度であると主張している。

筆者は2020年にCEOのChristian Facey(クリスチャン・フェイシー)氏とCTOのWilfrid Obeng(ウィルフリード・オベン)氏に会った。同社が活発に動き出し早期のトラクションを得て、Ed Sheeran(エド・シーラン)やNas(ナズ)、そしてIntel、Jeep、KitKatなどのブランドと協業したころだ。

AudioMobは現在、中国を除くすべての国のモバイルゲームにオーディオ広告を配信し、特にアラブ首長国連邦、ドイツ、カナダでは成長が目覚ましい。

フェイシー氏は「我々は、AudioMobのビジョンに対して長期的な成功と我が社の未来を期待する投資家の熱い思いに感動しています。我々はオーディオで業界全体に革新を起こそうとしています。業界を適切なやり方でディスラプトする技術とチームを作り、最終的にはテック業界の新たなユニコーンになるでしょう」と述べた。

オベン氏は「利用者は邪魔をされたくない、広告主は広告を聞いてもらいたい、ゲーム開発者はリテンションに影響を及ぼさずに収益を上げたいと考えるものです。我々はこの3つのニーズをすべて満たすプロダクトを開発しました」と述べた。

Googleは2021年6月に、ヨーロッパの黒人ファウンダー基金の対象とする30社のスタートアップの1つとしてAudioMobを選出した

画像クレジット:AudioMob、共同創業者のクリスチャン・フェイシー氏(左)とウィルフリード・オベン氏(右)

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

TikTokがモバイルゲームに挑戦、まずはZyngaとの提携で

TikTok(ティクトック)は手始めに、モバイルゲーム大手のZynga(ジンガ)と提携してゲームの実験を行う。Zyngaは米国時間11月8日、HTML5ベースの新しいゲーム「Disco Loco 3D」をTikTokプラットフォーム向けに展開する計画を発表した。このカジュアルゲームはプレイヤー1人のエンドレスランナーで、プレイヤーは友達に挑戦しながら自分のダンスを集め、障害物を避け、メダルを集めながらキャットウォークを歩くというものだ。Zyngaの「High Heels」に似ている。TikTokは、このゲームはアプリ内でのゲームに対するユーザーの一般的な関心を測るためのものだとしているが、他のゲームメーカーとの協議がすでに進行中であることを認めた。

HTML5ベースのモバイルゲームは、世界中の多くのユーザーにリーチするための一般的な方法となっている。特に、消費者が高価格帯の携帯電話を所有していなかったり、高速データプランを購入できなかったりする新興市場のユーザーに人気がある。例えば、Google(グーグル)は、HTML5ベースのゲームプラットフォームGameSnacksを立ち上げ、インド、インドネシア、ナイジェリア、ケニアなどの市場においてGoogle Chromeの新しいタブページで2021年展開した

しかしテック業界を見渡すと、ユーザーが娯楽や社交の場として利用するプラットフォームと、ゲーム専用のプラットフォームを結びつける動きが広がっている。Facebook(フェイスブック)は2020年、ウェブとAndroidでFacebook Gamingを立ち上げてクラウドゲーミングに参入した。また、Netflix(ネットフリックス)は、ゲームをエンターテインメントにおける新しい部門だと考えている、と述べ、世界中のユーザーに向けに独自のゲームサービスをAndroidで開始し、11月9日にはiOSでも提供を始めた。

そしていま、TikTokもそのコンセプトを模索することを大っぴらにしている。

Zyngaとの提携により、TikTokのコミュニティがどのようにゲームに関わっているかをより深く理解できるようになる、とTikTokは話す。同社は現在、カジュアルゲーマーとハードコアゲーマーを含むゲームファンを虜にしているが、こうしたユーザーが今回のようなゲーム統合に反応するかどうかはわからない、と指摘する。

ただし、これはTikTokにとって初めてのゲームではない。同社は2021年初め、非営利団体Feeding Americaとの提携で、チャリティ募金のための独自ゲーム「Garden of Good」を立ち上げた。これは、ゲームへのユーザーの関心に関する初期データをTikTokに提供したかもしれないが、ゲーム自体は異なるタイプの体験だった。このゲームでは、TikTokユーザーが自分の庭の手入れをしたり、ゲームをしている友人をサポートしたりする。そして、庭が成長すると、TikTokのポイントを使ってFeed Americaに寄付をすることができる。

統合するZyngaのものは昔ながらのゲームだが、現在は収益化されていないとTikTokは指摘する。例えば、アプリ内課金やゲーム収益に対する売上シェアなどはない。当面はTikTokユーザーのゲームに対する欲求を測ることに焦点を当てている。

@zynga

Disco Loco 3D is coming!

♬ original sound – Zynga

Zyngaとしては、TikTokを膨大なリーチを通じて新たなオーディエンスを獲得できるプラットフォームだと捉えているという。

「Zyngaは、プラットフォームのユニークなユーザー体験を活用してゲームを制作するという豊かな経験を持っており、いつでもどこでもエンターテインメントを得られる、プレイヤーの心に響く新鮮で楽しいコンセプトを提供しています」と同社の出版担当プレジデントBernard Kim(バーナード・キム)氏は声明でで述べた。

Disco Loco 3Dは現在TikTokでは配信されていないが、今後数週間内にiOSとAndroidの両方で北米市場で展開される予定だ。

Zyngaとの提携はおそらく、TikTokがモバイルゲームに関する広範な調査を行って生まれた最初のものだ。TikTokはTechCrunchに対し、他のゲームパートナーとも同様の契約について協議中だが現時点では詳細を発表できない、と話した。

今回のゲームのニュースはZyngaの第3四半期決算と同時に発表された。同社の売上高は前年同期比40%増の7億500万ドル(約803億円)、ブッキングは同6%増の6億6800万ドル(約761億円)だった。また、同社はブロックチェーンゲーム事業の責任者として、Coca-Colaの元幹部Matthew Wolf(マシュー・ウルフ)氏を採用したことも明らかにした。

画像クレジット:Zynga

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

NetflixがiPhone、iPadユーザーにもモバイルゲーム提供開始

先週、Netflix(ネットフリックス)は初のモバイルゲームのラインナップを全世界のAndroid(アンドロイド)ユーザーに提供した。本日、そのゲームの提供がiOSユーザーにも拡大された。「ストレンジャー・シングス」のゲーム2本と、その他いくつかのカジュアルゲームが含まれているラインナップは、Androidと同じ方法でiOSユーザーに配信さる。つまり、クラウドからストリーミング配信されるのではなく、App Store(アップルストア)から直接ユーザーの携帯電話やタブレットにインストールされる。

Android版のリリースにともない、Netflixは、ユーザーがカタログを閲覧してプレイしたいゲームを見つけることができる「ゲーム」タブをアプリ内に導入した。しかし、実際にゲームをプレイするには、Google Playにアクセスして、ゲームを端末にインストールしなければならない。最初の起動時に、ユーザーは、Netflixの認証情報を使ってゲームにサインインすることになる。

Netflixによると、iPhoneおよびiPadでのNetflixゲームの提供でも、同様のシステムを採用しているとのことだ。ただし、今回ゲームのダウンロードは、Google Playではなく、Apple(アップル)のApp Storeからになる。また、ゲームを開始する際には、Netflixの会員情報を使った認証が必要となる。

このシステムは、ゲームアプリに対してより寛容な内容に、2020年変更されたAppleのApp Storeのルールに準拠していると同社は考えている。

クラウドゲームサービスの増加に対応するために更新されたものだが、Appleのポリシーによると、開発者は、カタログ内の各タイトルが専用のApp Storeリストに掲載されている場合に限り、ゲームカタログへのアクセスを加入者に提供する集中型のアプリを提供することが認められている。これにより、Appleは各ゲームタイトルを個別に審査することができるという。このシステムは、定額制のゲームサービスGameClub(ゲームクラブ)が、会員のみがプレイできるクラシックゲームのタイトルをより幅広く提供するために開発したものだ

しかし、iOSでのNetflixゲームの実装と、Androidでの仕組みには、1つの違いがある。

Android版のNetflixユーザーには、アプリに専用の「ゲーム」タブがあるが、iOSユーザーにはない。その代わり、iPhoneユーザーには、アプリ内にゲーム専用の列が表示され、そこで任意のゲームを選択してダウンロードすることができる。一方、iPadユーザーには、(6番目に固定された)「ゲーム」タブが表示され、カテゴリのドロップダウンメニューからゲームにアクセスすることができる。

画像クレジット:Netflix

NetflixはTechCrunchに対し、AppleはNetflixのゲームにおいてすばらしいパートナーである一方で、ゲームタブが、独自の「アプリストア」を提供するアプリを禁止するApp Storeのポリシーに抵触するかどうかは、Netflixにとって完全には明らかではなかったと述べている。Netflixは、iOSユーザーにゲーム体験を提供する上でゲームタブは重要ではないと考え、ゲームタブなしでサービスを開始することを決定した。ただし、将来的にこの規則がより明確になれば、現在Androidで提供されているタブのように、iOSアプリに「ゲーム」タブを追加できるようになるかもしれない。

発売にあたってのゲームのラインナップは、Android版と同じだ。これには、BonusXP(ボーナスXP)の2つのタイトル「ストレンジャー・シングス:1984」と「ストレンジャー・シングス 3:ザ・ゲーム」の2タイトル、Frosty Pop(フロスティ・ポップ)の「ティーター」と「シューティング・フープス」の2タイトル、Rogue Games(ローグ・ゲームズ)の「カードブラスト」の1タイトルが含まれる。前者2作品は、Netflixの人気番組「ストレンジャー・シングス」のスピンオフ作品で、後者3作品はカジュアル作品だ。

長期的には、Netflixはこのカタログに他の追加要素やジャンルを加えて拡大する計画を持っている。例えば、同社は9月に「Oxenfree(オクセンフリー)」などのストーリー性のあるタイトルで知られる独立系ゲーム開発会社のNight School Studio(ナイトスクールスタジオ)を買収し、Netflixゲームのライブラリーをさらに充実させている。

Netflixは、ゲームへの関心を、直接収益を得る方法ではなく、加入者を楽しませ、維持するためのもう1つの方法であると説明している。現在のところ、ゲームは無料でダウンロードでき、広告もなく、アプリ内課金もない。同社は、カタログが充実してくれば、テレビ番組や映画だけでなく、同じアルゴリズムを使ってモバイルユーザーに新しいゲームを提案することも可能だとしている。

Netflixは「私たちは、ゲームを、オリジナル映画やアニメーション、台本のないテレビへの進出と同様に、当社のもう1つのコンテンツカテゴリーであると考えています」と2021年第2四半期の株主向けのお知らせで述べ、まずはモバイル機器向けの無料ゲームに重点を置くとしている。そして「オリジナル番組への進出から約10年が経過した今、会員のみなさまがゲームにどのような価値を見出しているのか、より深く知るべき時期に来ていると考えています」と述べた。

編集部注:US記事では全世界での開始となっているが、本稿作成時点(2021年11月10日)、日本でのiOS端末ヘの同サービスノ提供は確認できていない。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Niantic「ハリー・ポッター:魔法同盟」が2022年1月末にサービス終了

少年が活躍するNiantic(ナイアンティック)のARゲームが終わろうとしている。「ポケモンGO」を我々に届けた同社は、大ヒット作の「ポケモンGO」と同様の手法を用いた「ハリー・ポッター:魔法同盟」を2019年にリリースした。しかし人気の手法を利用し、それにARをプラスしたゲームが同じように成功するとは限らないという結果になった。

「ハリー・ポッター:魔法同盟」のプレイ停止は2022年1月31日で、2021年12月6日以降はすべてのアプリストアから削除される。アプリ内購入も12月6日以降はできないが、それまでにアプリ内で購入したゴールドなどは1月31日までゲーム内で使える。「法律で定められている場合を除いて」返金はできないと発表の中に書かれている(訳注:この日本語版記事制作時点で、日本語の発表には返金に関する記載がない)。

「ハリー・ポッター:魔法同盟」は最初のリリース以降、順調な数字を発表していたが、「ポケモンGO」と同レベルの成功に達していないのは最初から明らかだった。コロナ禍にもかかわらず「ポケモンGO」は2020年にそれまでで最高となる10億ドル(約1130億円)以上の収益を上げ、2021年は現時点でさらに前年を超える11億ドル(約1250億円)の収益となっている。

Nianticはブログの中で「永遠に続くゲームはありません。私たちはともに(ゴールを)達成し、2年間続いた物語はまもなく完結します」と述べている。

あいまいな筋書きがある程度の「ポケモンGO」よりも「ハリー・ポッター:魔法同盟」のほうがはるかに物語仕立てであることは確かだ。しかし2つのゲームにまつわる数字は「ハリー・ポッター:魔法同盟」が終了するもう1つの理由を語っている。

アプリ分析企業のSensor Towerによれば「ハリー・ポッター:魔法同盟」は2021年1月〜10月に世界で約73万9000回インストールされた。これは2020年の同期間で約170万回だったのと比べると57%の減少だ。同様にアプリ内購入の金額も2021年1月〜10月は前年同時期比で57%減っている。これまでに「ハリー・ポッター:魔法同盟」は推計で2030万回ダウンロードされ、3940万ドル(約44億8000万円)の収益があった。これに対して「ポケモンGO」は2021年1月〜10月に11億ドル(約1250億円)もの収益を上げている。

Nianticが任天堂とのコラボで開発した新ゲーム「ピクミン ブルーム」を10月下旬に発表したばかりのこのタイミングで「ハリー・ポッター:魔法同盟」の終了が発表された。NianticはユーザーがARで巨大ロボットを戦わせる「Transformers:Heavy Metal」も開発している。同社は米国時間11月2日のブログで、2022年に試験的に限定公開する予定のものも含めて9本のゲームとアプリを開発中であると記している。同社はTechCrunchに対し「ハリー・ポッター:魔法同盟」を担当していた従業員は他のプロジェクトに異動すると述べた。

NianticのCEOであるJohn Hanke(ジョン・ハンケ)氏は「ハリー・ポッター:魔法同盟」のリリースに際して2019年に実施したTechCrunchのインタビューで「ハリー・ポッター」に使用しているシステムは「ポケモンGO」と「Ingress」で開発したものだと述べていた。

その際にハンケ氏はTechCrunchに対し「我々が開発をするとき、特に「ポケモンGO」に関しては、他のゲームで再利用できるプラットフォームを構成するようなものを意図的に作りました。ソーシャルの機能はその好例です。ソーシャルの機能は『ポケモンGO』で使うために開発したものですが、他のゲームにも簡単に取り入れられるように作っています」と語った。

歩き回ってデジタルのオブジェクトを操作することは、ポケモンの世界では機能しているが他のプロダクトへのシームレスな応用はできないようだ。「ハリー・ポッター:魔法同盟」の終了は、おそらくそのことを明らかにしている。

画像クレジット:Niantic

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

NetflixのゲームがAndroidユーザー向けに全世界で提供開始、iOSユーザーへは数カ月以内に

Netflix(ネットフリックス)が、一部の市場での初期テストを終えたモバイル専用ゲームのデビューラインナップを、今週からAndroidデバイスを使う全世界のメンバー向けに展開することを発表した。7月にNetflixは、モバイルゲーム市場への参入を初めて発表し、ゲームを映画やテレビ番組と並んで購読者に提供する「新たなコンテンツカテゴリー」と呼んだ。発表以来Netflixは、カジュアルゲームや人気のオリジナルTVシリーズ「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」を題材にしたゲームなどを含む、広告やアプリ内課金のない無料ゲームを会員に提供しはじめ、その数は徐々に増えている。

Netflixは、以前からゲームへの投資を拡大していた。2019年に開催されたゲームカンファレンスE3で、Netflixは「Roblox(ロブロックス)」や「Fortnite(フォートナイト)」などの人気ゲームプラットフォーム上の一連のゲーム統合を詳述し、新しい「Stranger Things」のゲームを市場に投入する計画を発表した。モバイル向けには、その後、テキサス州にあるゲームスタジオBonusXP(ボーナスXP)と共同で、ゲーム「Stranger Things:The Game(ストレンジャー・シングス:ザ・ゲーム)」の開発を始めた。このタイトルはその後、後続のタイトルである「Stranger Things 3(ストレンジャー・シングス・スリー)」と区別するために「Stranger Things:1984(ストレンジャー・シングス:1984)」と改称されている。

この2つのゲームは、Netflixが2021年8月にポーランドでゲームのマーケティングを開始した際に、同社のAndroidアプリ内でテストされた最初のタイトルとなった。

また、Netflixは9月に「Oxenfree(オクセンフリー)」などのストーリー性のあるタイトルで知られる独立系ゲーム開発会社Night School Studio(ナイト・スクール・スタジオ)を買収し、ゲームライブラリをさらに充実させた。

また2021年10月には、Netflixがポーランドに加えて、スペインとイタリアのNetflix加入者に対して、Frosty Pop(フロスティー・ポップ)の「Shooting Hoops(シューティング・フープス)」と「Teeter Up(ティーターアップ)」、Rogue Games(ローグ・ゲームス)の「Card Blast(カード・ブラスト)」という3つの新しいカジュアルゲームを展開するニュースをお伝えした。

そして今回、これらの2本の「Stranger Things」と、3本カジュアルゲームのフルラインナップが世界のAndroidユーザー向けに提供されることになった。

タイトルにアクセスするには、Android版Netflixアプリの中で新しい「ゲーム」タブをタップすればゲームの一覧を見ることができる。そこでタイトルを選択すれば、他のアプリと同様にGoogle Play(グーグル・プレイ)ストアに移動し、ゲームをインストールすることができる。ただし、サインインしてゲームをプレイするには、Netflixの会員登録が必要だ。

ダウンロード後は、Netflixアプリ内やAndroid端末のホーム画面上でゲームをタップすることで、いつでもプレイすることができる。

画像クレジット:Netflix

テスト期間中は、Androidスマートフォンのユーザーのみがゲームを利用できた。Netflixによれば、今回のグローバルローンチにより、Androidタブレットを持っているメンバーも利用できるようになるとのことだ。新しいゲームの列(6番目の位置に固定されている)にゲームが表示され、Netflixアプリの「カテゴリー」ドロップダウンメニューにも表示されるようになる。

NetflixがTechCrunchに伝えた情報によれば、新しいゲームは米国時間11月2日よりGoogle Playストアで公開されるものの、NetflixのAndroidアプリへの展開は米国時間11月3日から開始されるとのことだ。このロールアウトが完了し、グローバル市場のすべてのNetflixメンバーがゲームにアクセスできるようになるまでには、数日かかるだろう。

Netflixは、いまのところゲームを直接収益化する計画を持っていない。現在、タイトルは無料でダウンロードでき、広告もなく、アプリ内課金もない。むしろ、同社はゲームのことを、加入者を増やしたり既存の利用者をつなぎとめたりするための手段であると考えている。対象となるゲームをダウンロードしても、Netflixの会員でない場合は、ウェブ上でNetflixのアカウントを作成するように誘導される(これは、アプリストアにおけるアプリ内課金の手数料を回避するための別の方法とも考えられる)。

NetflixのCOO(最高執行責任者)でチーフ・プロダクト・オフィサーのGregory Peters(グレゴリー・ピーターズ)氏は、第3四半期の投資家向け決算説明会で、Netflixがゲームに関心を持ったのは、会員のニーズに応えるためだと説明した。同氏は、加入者の「大多数」がモバイル機器でサービスを利用していることを明らかにした。そのためには、長編ビデオコンテンツだけでなく、さまざまな体験を提供する必要がある。この点については、Netflixは2021年、傘下で利用できるコンテンツの種類を増やすという目的を果たすために、「Fast Laughs(ファストラフス)」というTikTok風コメディー動画のショートフィードもモバイルで開始している

ピーターズ氏は、同社のモバイルゲームへの取り組みは、まだ「信じられないほど初期の段階」であると述べている。

彼は初期のモバイルゲームテストを振り返りながら「これまでに行ってきたことのほとんどは、システムがすべて期待どおりに機能しているかどうかを確認することが目的でした。つまり、私たちが望む方法で配信ができるかどうかを確認することが重要だったのです」と述べた。そして、より長期的には、現在のアルゴリズムが新しい映画や番組を提案できるように、プレイするゲームを会員にパーソナライズして提案できるようになる可能性があると付け加えた。

さらに続けてピーターズ氏は「私たちのサービスを非常に強力なものにした映画やテレビ番組のレコメンドが、優れたコンテンツ制作者と視聴者を結びつけることになりました。私たちはそれをゲームに対しても構築する必要があるのです」と述べた。

同社は「今後数カ月のうちに」iOSユーザー向けのダウンロード可能なゲームを展開する予定だとしている。

これは、Apple(アップル)のApp Store(アップストア)規則がAndroidよりも多少厳しく、アプリが他のアプリやゲームをホストできないようになっている事情を反映している。

しかし、Appleは2020年、ゲーム配信アプリが「カタログアプリ」を提供することを認めるようにポリシーを更新した。カタログアプリでは、顧客がサービスに加入すると、その中で複数の業者が提供する個々のゲームタイトルにリンクすることができる。このポリシーは、Xbox Cloud Gaming(エックスボックスクラウドゲーミング)やGoogle Stadia(グーグルスタジア)のようなサービスを対象としているが、もともとダウンロード可能なタイトルをサブスクライブするためのハブを提供しているGameClub(ゲームクラブ)のカタログが、このポリシーのヒントになったと思われる。

Netflixのカタログも、このガイドラインの下でうまくいくだろう。ただし、加入者候補がサインアップする際にメインのNetflixアプリを介し、さらにAppleに取り分を与える場合に限る。

Androidへのゲーム展開は、米国太平洋時間11月3日午前10時(日本時間11月4日午前2時)に開始される予定だ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

8カ月で2倍の5億DL、仏モバイルゲームパブリッシャーHoma GamesがシリーズAで約56.7億円を調達

Voodoo(ヴードゥー)がBeach Bum(ビーチ・バム)を買収した数日後に、別のフランスのモバイルゲーム会社からニュースが入ってきた。Homa Gamesは、Northzoneがリードして5000万ドル(約56億7000万円)のシリーズAラウンドを実施することを発表した。同社は、インディーゲームスタジオと提携し、パブリッシャーとして活動している企業だ。

現地時間10月10日の資金調達ラウンドには、Singular、King、FuboTVの創業者たち、そしてSpotify(スポティファイ)の共同創業者兼CEOであるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏のファミリーオフィスなどが参加した。今回のシリーズAラウンドは、同社がシードラウンド(HeadlineとEurazeoが主導)を調達してからわずか7カ月後に実施された。

特筆すべきは、2021年2月に、同社は2億5000万ダウンロードを達成できたと述べていた。その数は今では倍になり、5億回のインストールに達したという。

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モバイルゲーム会社Voodooがテーブルトップゲームやカードゲーム専門のBeach Bumを買収
「スカイローラー」などのハイパーカジュアルゲーム開発Homa Gamesが15.7億円調達

Homa Gamesは、ハイパーカジュアル、カジュアル、ボードゲームに特化しており、それらはモバイルゲーム業界の中でも、技術に裏打ちされた秩序あるアプローチを必要とする分野だ。同社は、各ゲームのパフォーマンスを最適化する独自の技術スタックを開発している。

ゲームデベロッパーは、Unityを使ってプロトタイプを作り、Homa Gamesに提出する。その後、Homa Gamesは各プロトタイプの可能性をテストし、さらに検討する価値があるかどうかを判断する。

同スタートアップが開発したオールインワンSDKは、開発者が分析やA/Bテストを通じてモバイルゲームを最適化し、収益性の高い事業にするのを支援する。このSDKでは、ゲーム業界で最も重要な指標である獲得コスト、リテンション、セッション時間を追跡し、改善することができる。もちろん、これはユーザー1人当たりの平均収益の向上にもつながる。

その後、Homa Gamesは、App StoreとPlay Storeでのゲームの公開を担当する。収益を得るためには、同社は広告に大きく依存している。

興味深いのは、最適なモバイルゲームを作るために何カ月または何年も費やす必要がないということだ。ハイパーカジュアルモバイルゲームの現状では、ゲームデベロッパーはユーザーが何度もゲームを起動せずにはいられなくなるような、1つのキーコンセプトに集中している。App StoreやPlay Storeで最もダウンロードされたゲームのトップ20に入ったHoma Gamesの成功作は、すべて8日以内で開発されている。

NorthzoneのPär-Jörgen Pärson(ペール=イェルゲン・ピアソン)氏は、声明の中でこう述べている。「Homaのプラットフォームは、あらゆるゲーム起業家やインディースタジオにスーパーパワーを与え、パブリッシング、分析、マーケティングツールを利用して、世界中の巨大ゲームスタジオと互角に競争することを可能にします。ダニエル(Daniel Nathan、ダニエル・ナタン)とオリヴィエ(Olivier Le Bas、オリヴィエ・ル・バス)は、ビジョンを持っているだけでなく、より重要なのは、彼らがゲームの中でまったく新しいカテゴリーを定義し、構築するのに役立つすばらしいエグゼキューションを実現できるということです」。

同社はこれまでに40本のゲームをリリースしている。しかし、Homa Gamesは、2021年末までにさらに20本のゲームをリリースする予定で、リリースペースを上げている。

そして今、同社はハイパーカジュアルゲームのサブジャンルに取り組んでいる。Homa Gamesはこれを「アーケードアイドル」カテゴリーと呼んでいる。多くのハイパーカジュアルゲームと同様に、テクスチャーのない棒人間キャラクターをデジタルワールドで動かすのが特徴だ。アイドルゲームのように、プレイヤーはリソースを集めて富を増やし、新しいレベルをアンロックする必要がある。

「Craft Island」「Farm Land」「Harvest It」で見るとこんな感じだ。

画像クレジット:Homa Games

Homa Gamesのブログ記事によると、同社はこれらのゲームをインタースティシャル広告、アプリ内課金、サブスクリプションによって収益化することを計画している。プレイヤーは、広告を視聴してより速く進むことを選択することもできる。

このようなイノベーションを称賛すべきかどうかはわからないが、モバイルゲームにはまだまだ多くのビジネスチャンスがあることは明らかだ。そして、Homa Gamesは重要なパブリッシャーになるための準備が整っているようだ。

画像クレジット:Naser Tamimi / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

モバイルゲーム会社Voodooがテーブルトップゲームやカードゲーム専門のBeach Bumを買収

フランスのスマートフォン向けゲーム会社であるVoodoo(ヴードゥー)が、カジュアルなモバイルゲーム市場における重要な買収を行った。同社は、イスラエルに拠点を置くゲームスタジオで、テーブルトップゲームやカードゲームを専門とするBeach Bum(ビーチ・バム)を買収すると発表した。

この買収では、Voodooは現金と株式の両方を提供し、リテンションボーナスも支払われるため、取引額について明確な数字を得ることは難しい。ある関係者によると、Voodooは総額で数億ドル(数百億円)を支払う可能性があるとのこと。Beach Bumが過去12カ月に7000万ドル(約77億7000万円)の収益を上げていることを考えれば、この取引の規模を察することはできるだろう。

Voodooは「Helix Jump」「Crowd City」「Hole.io」「Paper.io 2」などの、いわゆるハイパーカジュアルゲームでよく知られている。同社はゲーム開発会社であると同時に、パブリッシャーでもあり、他のゲームスタジオと提携して、配信やユーザー1人当たりの平均収益などを最適化する技術スタックを構築している。

これまでにVoodooは、Tencent(テンセント)やGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)から資金を調達している。最近では、Groupe Bruxelles Lambert(グループ・ブリュッセル・ランバート)が2億6600万ユーロ(約343億円)をVoodooに出資した。これにより同社の評価額は17億ユーロ(約2200億円)となっている。

Voodooは時間を無駄にすることなく、新たな資本を調達した直後から、外部成長の機会として買収対象を検討し始めていた。現時点における同社の従業員数は350名。Beach Bumで働く150名がそれに加わることになる。

米国時間9月30日に発表されたこの買収により、Voodooはそのハイパーカジュアルゲームのカタログに、いくつかのカジュアルゲームを加え、新たなセグメントに拡大することになる。Beach Bumは現在、App Storeで「Backgammon – Lord of the Board」「Spades Royale」「Gin Rummy Stars」という3つのゲームを配信している。

両社では、ビジネスモデルも少々異なる。歴史的に見て、Voodooはゲームの収益化をほとんど広告に頼ってきた。その一方で、Beach Bumは代わりにアプリ内課金に重点を置いている。このように、今回の買収は、Voodooの収益源を多様化させることになる。

「(Beach Bumは)今、さらに2つのゲームを開発中です。Voodooの意向は、Beach Bumをアプリ内課金への入り口にすることです。だからBeach Bumには、できるだけ多くのゲームを出してもらいたいと、彼らは考えているはずです」と、Beach Bum共同設立者の1人であるGigi Levy-Weiss(ジジ・レヴィ・ワイス)氏は筆者に語った。

レヴィ・ワイス氏は、VC会社であるNFXのゼネラルパートナーで、2015年にBeach Bumを共同設立した。同氏は現在、Beach Bumで運営上の役職には就いていないものの、取締役会の会長を務めている。

「イスラエルのゲーム業界は、ここ数年で大きく成長を遂げ、現在までに400社を数えるまでになりました。主に欧州やアジアのバイヤーによって、いくつかのイグジットが起きています。数カ月前には、イスラエルのゲーム会社であるPlaytika(プレイティカ)が110億ドル(約1兆2200億円)の評価額でNASDAQ(NASDAQ)にIPOしました」と、テルアビブを拠点とするシニア投資銀行家のAvihai Michaeli(アヴィハイ・マイケリ)氏は、筆者に話してくれた。

画像クレジット:James Yarema / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)