テスラ車がソフトウェアの最新パッチでドライバープロフィールをクラウドと同期可能に

Tesla(テスラ)は、レンタルか個人保有かを問わず、ユーザーのドライバープロフィールの車歴と設定データ内に、あらゆる車種を加えるようだ。同社は最新のソフトウェアでCloud Profilesというセクションを設け、「Enable Vehicle Sync」オプションでドライバーのプロフィールTesla Software Updates reportsをバックアップする。以前、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はクラウドと同期するプロフィールを開発中と述べていたため、このニュースに大きな意外性はない。

Teslaのようなテクノロジー指向の自動車企業が顧客に、自分の過去と現在の複数のクルマのセッティングを簡単に調べることができる方法を提供することは、理に適っている。特にHertsがレンタカーとして10万台のTesla車を購入すると発表して以来、現実味を帯びてきている。マスク氏はすぐ、まだ受注していないと指摘しているが、Tesla車を誰でも簡単にレンタルできる世界を想像することは困難ではなくなった。Tesla車はガソリン車に比べてメンテナンスが容易だろうし、Model 3はすでに、多くのラグジュアリーカーより安価だ。

本当の上級者は、クラウド上のプロフィールによって複数の車両の設定を容易に同期することができる。Tesla Software Updatesによると、同期できる設定はディスプレイの輝度や、オートパイロットとナビゲーションのオプションなどとなる。さらにStopping Modeも同期すると、Tesla車のブレーキ機能の変化にも対応できるだろう。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のDevindra HardawarはEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Tesla

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(文:Devindra Hardawar、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フォードの電動ピックアップトラック「F-150 Lightning」の予約が16万台突破

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、全電動ピックアップトラック「F-150 Lightning」の予約が16万台を突破したことを明らかにした。

同社はF-150 Lightning発表以降、返金可能な前金100ドル(約1万1000円)での予約を受け付けている。予約開始初日には2万件を受け付け、その数は2日目には4万4千件となった。6月末までに12万件の予約が入り、同社は消費者の関心の高さを目の当たりにした。

6月に行われた第2四半期決算説明会で、CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は、そうした予約の75%近くが新規顧客だと述べた。

また、内燃機関搭載のトラックを下取りに出す予定の人が約40%いたことから「フルサイズトラック(バッテリー搭載の電気自動車)への移行が、我々の楽観的な想定よりも少し早く進むことを示しています」と述べた。

こうした予約状況を受けて、Lightningの年間生産能力を向上させるために、2億5000万ドル(約285億円)を追加で投入し、450人の人員増強を行うと発表した。Lightningは2022年春に販売される予定だ。

Lightningは4種類のモデルが用意されており、車両の大部分を電気自動車に移行するという同社の戦略において重要な役割を果たす。9月にR1Tトラックの生産を開始したRivian(リビアン)のような新規参入企業と同様、Fordはピックアップトラック部門に狙いを定めている。F-150は、米国で最も売れているトラックだ。同社は2020年に78万7422台のFシリーズトラックを販売したと明らかにした。Lightningの基本バージョンは3万9974ドル(約455万円)から、ミッドシリーズのXLTモデルは5万2974ドル(約603万円)からだ。

関連記事:【レビュー】Rivianから待望の電動トラック、2022 Rivian R1Tにはたくさんのお気に入り機能と工夫が溢れている

画像クレジット:Ford

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

持ち運びも簡単なスーツケースサイズの電気自動車用パワーバンク「ZipCharge Go」

ZipCharge(ジップチャージ)は、航続距離で不安を感じている人にガソリン車から電気自動車(EV)への乗り換えを納得させることができるかもしれない新しいタイプのEV用充電プロダクトを発表した。英国のスタートアップZipChargeは、Cop26気候サミットでZipCharge GoというEV用のパワーバンクを披露した。ZipCharge Goは、スーツケースほどの大きさで、重さは約50ポンド(約22キロ)。車輪と格納式ハンドルが付いているので、ユーザーはトランクに入れておいて、充電したいときには簡単に取り出すことができる。

同社によると、車にGoを30分間つなげると、最大20マイル(約32キロ)の走行が可能になる。さらに容量を増やしたバージョンでは、最大40マイル(約64キロ)走行分を給電できる。このデバイスは、タイプ2のソケットを備えたプラグインハイブリッド車とEVに対応し、30分から1時間で車をフル充電することができる。デバイスそのものの充電はコンセントに差し込むだけで簡単に行うことができる。また、ユーザーはアプリを使ってデバイスの操作やモニタリングを行い、充電をオフピークの時間帯に予約して電気代を安く抑えられることができる。

航続距離への不安は最近ではあまり問題にならなくなっているが、それでもまだEVへの乗り換えに踏み出せないでいる人がいる。この問題を解決するために、Gogoro(ゴゴロ)はスクーター用の交換可能なバッテリー技術を開発したが、EVのバッテリーは通常、交換できない。SparkCharge(スパークチャージ)にはRoadieというポータブルEV充電システムがあるが、Goのように持ち運びは簡単ではない。

とはいえ、ZipCharge Goはまだ発売されていない。InsideEVsによると、ZipChargeは、4kWhと8kWhのバージョンをリリースし、2022年の第4四半期に発送を開始する予定だという。最低月額49ポンド(約7600円)でリースすることができるが、1台分のお金を払うことを気にしないEV所有者や、充電設備を設置していないホテルなどの事業者は購入することもできる。ZipChargeはまだ価格を明らかにしていないが、The Sunday TimesのDrivingセクションによると、7.2kWの家庭用充電ポート設置と同程度の価格での販売を目指しているとのことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:ZipCharge

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

完全自動運転ソフトウェアエラーでテスラが1万1704台をリコール

米国道路交通安全局(NHTSA)の発表によると、Tesla(テスラ)は、前方衝突警告の誤作動や自動緊急ブレーキシステムの予期せぬ作動を引き起こす可能性のあるソフトウェアエラーを特定し、1万1704台を自主的にリコールした。

リコールの対象となった車両はすべて、同社が開発した先進運転支援システム「Full Self-Driving Beta」にいち早くアクセスしていた。このシステムはまだベータ版であり、ドライバーは常に注意を払う必要があるが、ここ数週間で何千人もの顧客に公開された。Teslaによると、このソフトウェアエラーによる事故や負傷者は報告されていないとのことだ。

10月23日に公開された無線によるファームウェアの更新では、規制当局が「ソフトウェア通信切断」と呼ぶものを2つのオンボードチップの間に導入した。翌日、顧客からの指摘を受け始めた、とTeslaは述べた。

「この通信切断により、そのチップ上で作動するビデオニューラルネットワークの動作が予想よりも安定しない可能性がある」と安全性リコール報告書には記載されている。「この不整合により、他の車両が存在する場合に物体速度の検出値が負の値となり、誤った『前方衝突警告』や『自動緊急ブレーキ』が発生する可能性がある」。

リコール対象車両は、2017年~2021年に生産された一部のModel S、Model X、Model 3、および2020年~2021年に生産された一部のModel Yだ。Teslaはこの問題に対処するため別の無線ソフトウェアアップデートをリリースし、車両オーナーには問題と解決策を通知する手紙が送られる。

同社は「数時間のうちに報告内容を調査し、潜在的な安全上のリスクを軽減するための措置を講じました」と話す。

今回の正式なリコールは、同社のこのところのNHTSAとのやりとりとは大きく異なるものだ。リコールにはAutopilotシステムで見つかった別のバグ向けの10月のソフトウェアアップデートも含まれる。このバグではTeslaはリコールを行わず、NHTSAは2021年10月12日、同社に対してリコールを実施しなかった理由を尋ねる書簡を送った。

「Teslaも気づいている通り、安全法は自動車および自動車機器の製造者に対し、製造した自動車または機器に自動車の安全性に関わる欠陥があると判断した場合、または適用される自動車安全基準に適合していないと判断した場合に、NHTSAに通知してリコールを開始する義務を課しています」とNHTSAは記している。

当局は、Tesla車が駐車中の緊急車両に衝突した12件の事故を確認した後、2021年8月にオートパイロットに関する別の調査を開始した。

今回のリコールについてNHTSAは「あらゆる安全上の欠陥が速やかに認識され、対処されるよう、Teslaとの対話を継続する」と述べた。

画像クレジット:Toru Hanai/Bloomberg / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏、Hertzが実際にはまだテスラEV10万台を発注していないとツイート

米国時間10月25日のHertz(ハーツ)のプレスリリースによると、同レンタカー大手はレンタル用にTesla(テスラ)Model 3を10万台発注したとのことだった。しかし11月1日、イーロン・マスク氏は「まだ契約は結ばれていない」と述べ、注文が確定したとは言い難いことをツイートしたと米Gizmodoが報じた。

Hertzの発表では、次のように述べられていた。「北米最大のEVレンタルフリートを提供るための重要な投資を行いました…【略】これには、2022年末までに10万台のTesla車を初期発注することが含まれています」。この発表とBloombergの報道は、欧州での販売に関する他の良いニュースと相まって、投資家のモチベーションを高め、Teslaの価値を1兆ドル(約113兆円)の大台に押し上げたかもしれない。

Hertzはつい4カ月前に、不良債権処理会社のKnighthead Capital Managementなどに60億ドル(約6800億円)で買収され、破産を脱したばかりだ。そのため、約42億ドル(約4780億円)相当のEV10万台を購入するという発表は、明らかに人々を驚かせた。

しかし、Gizmodoが指摘するように、Hertzは厳密には車両の契約書や発注書に署名したとは言っていない。「2022年末までに10万台のTesla車を初期発注」という表現は、2022年末までに車両の納入ではなく、発注そのものを意味するとも考えられる。Tesla自体は、この最初のニュースに関しては何もコメントしていなかった。

マスク氏のツイートは、ツイッターユーザー「Tesla Silicon Valley Club」に返信する形で投稿されたもの。元の投稿は、最近のTeslaの株価上昇に感謝していた。しかし、マスク氏は、Hertzとの契約が同社の売上や収益に影響を与えることはないと述べ、誇大広告を抑えようとしているように見えた。

「Teslaは生産台数よりも需要の方がはるかに多いため、Hertzに対しては消費者向けと同じマージンでしかクルマを販売しません。Hertzとの取引が、当社の経済力に与える影響はゼロです」と同氏は述べた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Tesla

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

電気自動車メーカーRivianが新規株式公開で最大約9585億円調達へ

電気自動車メーカーのRivian(リビアン)が新規株式公開で最大84億ドル(約9585億円)の資金調達を目指していることが、11月1日に掲載された規制当局への提出書類で明らかになった。

Amazon(アマゾン)から出資を受けているRivianは、1億3500万株を57〜62ドル(約6500〜7075円)で提供する予定だと書類の中で述べている。また、引受人は2025万株まで追加で購入できるオプションを持っている。引受人がこのオプションを行使した場合、Rivianは96億ドル(約1兆950億円)もの資金を調達することになる。

発行済み株式数に基づくと、同社の市場評価額は約530億ドル(約6兆448億円)になる。従業員のストックオプションやその他の制限付き株式を考慮すれば、評価額は600億ドル(約6兆8431億円)にもなる。

Rivianは10月1日に米国での株式公開を申請した。その際、S-1書類では目標株価を開示していなかった。11月1日に提出された修正文書には新たな情報が盛り込まれ、その中にはRivianに繰り返し出資しているAmazonと新規出資者のBlackstone(ブラックストーン)が関心を寄せていることが含まれていた。

Amazon、T. Rowe Price Associatesのアドバイスを受けたファンドや口座、Coatue Management、Franklin Templeton、Capital Research Global Investors、D1 Capital Partners LP、Third Point LLC、Blackstone Alternative Asset Management に所属するファンド、Dragoneer Investment Group LLC、Soros Fund Management LLCに所属する一部の事業体が、最大50億ドル(約5703億円)のクラスA普通株の購入に関心を示している。

Amazonが最近提出した書類によると、同社はすでにRivianの株式20%を保有している。

Rivianの新規株式公開申請は2021年最も期待されていたものの1つで、現在はNASDAQ証券取引所での公開に注目が集まっている。同社はティッカーシンボル「RIVN」で取引される。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラが初めてスーパーチャージャーネットワークを他のEVに開放

Tesla(テスラ)は、オランダで10カ所のSupercharger(スーパーチャージャー)をTesla車以外の電気自動車(EV)に初めて開放するパイロットプログラムを展開中だ。

Tesla以外のEVユーザーがスーパーチャージャーを利用するには、まずTeslaのアプリをダウンロードしてアカウントを作成する必要がある。Teslaのオランダのウェブサイトによると、そこから「Charge Your Non-Tesla」を選択し、場所を検索して支払い方法を追加すれば充電することができる。

Tesla以外のEVを運転するドライバーは、完全シームレスな充電体験ができるわけではない。Teslaドライバーはプラグを差し込んだり外したりするだけでよいが、Tesla以外のドライバーは、充電の開始と停止をアプリで指示する必要がある。また、Teslaドライバーは電気料金が変わらない一方で、Tesla以外のドライバーには「多数の異なる車への充電に対応し、他ブランドの車に適するようにするための追加コスト」が発生するという。

このパイロットプログラムに参加できるのは、CCS規格接続のEVのみだ。米国では、Teslaのスーパーチャージャーは独自のコネクタを使用しているが、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は7月の第2四半期決算説明会で、北米の充電拠点でアダプターを販売・提供し、これにより米国でネットワークがオープンになる可能性を示唆していた。

今回の試験運用で「経験を積み、ローダーでの流れを監視し、ユーザーからのフィードバックを収集する」とTeslaはウェブサイトで述べた。同社は、ドライバーに10カ所の拠点を通常通り利用するよう呼びかけているが、これは同社のメーンユーザーがどのような影響を受けるか、適切なデータを得られるようにするためだと思われる。また、Tesla以外の車がテスラ車よりも遅く充電される場合、充電時間が遅くなることの影響も今回の試験では測定するようだ。

マスク氏は以前から、同社が「Non-Tesla’s Supercharger Pilot」と呼んでいるこのようなプログラムをいずれ導入する可能性を示唆していた。7月には、年内にTesla以外のユーザーにもネットワークを開放することを認めており、今回のパイロットはまだ始まったばかりのようだ。同社はウェブサイトで「近い将来」プログラムに参加する国を追加する、と述べている。

Teslaのスーパーチャージャーネットワークは2万5000台以上の急速充電器を有し、自動車メーカーが所有・運営するネットワークとしては世界最大だ。

「より多くのドライバーにEVへの乗り換えを促すために、スーパーチャージャーネットワークをTesla以外のEVにも開放することを常に目指してきました」とTeslaは話す。

同社のパワートレイン・エネルギーエンジニアリング担当上級副社長のAndrew Baglino(アンドリュー・バグリーノ)氏は7月の決算説明会で、Tesla以外のEVにスーパーチャージャーネットワークを開放することで、全体的に電気代が安くなるかもしれない、と説明した。

「ネットワークの利用率を高めることでコストが削減され、顧客のために充電料金を下げることができます。そして、ネットワークの収益性が高まり、ネットワークをより早く拡大することができます」と述べた。「何としてでも、ネットワークのキャパシティを引き続き積極的に拡大し、充電速度を向上させ、イーロンが述べたようにダイナミック・プライシング(変動料金制)を用いて充電施設の混雑を防ぐための旅行計画ツールを改善していきます」。

画像クレジット:Tesla

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

TenwaysのCGO 600は通勤に最適な都市向けベルトドライブ式電動アシスト自転車、価格約20万円から

ホンダがモバイルバッテリーをシェアサイクルに活用、電動自転車の「電池切れ」解消へ

E-Bike(電動アシスト付きスポーツ自転車)メーカーのTenways(テンウェイズ)は先頃、最初のモデルである「CGO 600」を、クラウドファンディングサイトのIndiegogo(インディゴーゴー)で発表した。価格は約20万円と、e-bikeとしては比較的手頃な価格帯の製品だが、目の肥えた顧客でも満足できそうな多くの特長を備えている。

本題に入る前に言っておかなければならないのは、CGO 600が出品されているIndiegogoのようなクラウドファンディング・プラットフォームでプロモーションされている新製品を購入するには、常に固有のリスクがあるということだ。

しかし、良いニュースは、Tenwaysがこの自転車の生産をすでに開始していると断言していることであり、それは明らかに事実のようだ。確かに、筆者に送られて来た試乗用モデルは、サイトに掲載されている最終的な仕様のハードウェアがすべて搭載されており、この主張を証明するものになっている。さらに、TenwaysはIndiegogoをマーケティング的に利用している企業であり、製品を開発・製造するための資金を集めるというよりは、製品を宣伝するためという意味合いが大きい。

画像クレジット:Tenways

では、この都市向け電動アシスト自転車は購入を検討する価値があるだろうか?短く答えれば「イエス」だ。

長く答えるなら次のようになる。

まず最初に、都市環境に最適化されたE-Bikeというものについて話しておきたい。

確かに、CGO 600は都市向けに作られているように見える。電気モーターとバッテリーは一般的なE-Bikeよりも目立たず、それによってメッセンジャーバイクを思わせるクールなスタイリングに仕上がっている。また、金属チェーンに代わりカーボンベルトドライブシステムを採用しているため、静粛性が高く、給油や調整も不要のメンテナンスフリーに近い。同様に、油圧式ディスクブレーキシステムも、それほど頻繁なメンテナンスを必要としない。

画像クレジット:Tenways

乗り心地もよく、重量は15kgと軽いので、階段を昇ったり降りたりするときにも楽に持ち運べる。スロットルはなく、ペダルアシストはトルクセンサーによって作動する仕組みだが、これがうまく機能している。

250Wのモーターは、坂道や平坦な道を走るときに十分な力を発揮して乗り手をアシストするが、さらにその出力レベルは3段階から選ぶことができる。

画像クレジット:Tenways

バッテリーは比較的小さな252Whで「理想的な条件」では1回の充電で130kmの走行が可能だとTenwaysは主張する。これはおそらく楽観的な数値だろう。しかし、130kmもの距離を通勤で走る人がどれだけいるだろうか?結局のところ、これはそういう使い方のために設計されている自転車なのだ。充電のためにバッテリーを取り外すのは簡単ではないため、自転車をそのままプラグにつないで充電する方がシンプルだろう。

Tenwaysは9月からCGO 600の出荷を始めているという。「都会的」なヒップスターであれ、平均的な通勤者であれ、このような特長を備えたルックスの良いE-Bikeを欲しくない人はいないだろう。

画像クレジット:Tenways

メーカーが公表しているTenways CGO 600の技術仕様は以下のとおりだ。

適応身長:2サイズ用意、165cm~200cmをカバー
重量:15kg
バッテリー使用可能距離:70km~130km
充電時間:100%充電まで2.5時間
最高速度:25km/h
保証期間:2年
コントロールモード:車載スマートLCDコントローラーまたはスマートフォンアプリ

車体
フレーム:航空宇宙用アルミ合金6061
フォーク:航空宇宙用アルミ合金6061
ベルト:Gates(ゲイツ)社製CDXカーボンドライブベルト、 3万kmの寿命を実現
ブレーキ:油圧式ディスク
タイヤ:CST製700C×35mm耐パンクタイヤ

電装品
モーター:カスタムデザインのリアハブモーター、最高出力250W / 最大トルク40Nm
コネクティビティ:Bluetooth
バッテリー:7Ah、252Wh
充電器:カスタムデザインの36V / 3A充電器
モバイルアプリ: iOSおよびAndroid
デジタルコントローラー:ハンドルバー搭載、3段階のペダルアシスト、パスワードによるセキュリティ電源
価格:Indiegogoでは1万4033香港ドル(約20万6000円)から

画像クレジット:Tenways

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

電動ボートのスタートアップ企業Arcにウィル・スミスやケビン・デュラント、ショーン・コムズが出資

10カ月前に設立されたArc(アーク)は、30万ドル(約3400万円)の限定版ボートを皮切りに、水上のあらゆるものを電動化するという野望を抱くスタートアップ企業だ。同社はエンターテインメント業界の大スターたちから、注目と資金を集めている。2月にVC会社のAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が主導するシードラウンドを完了させたこのスタートアップは、Will Smith(ウィル・スミス)のDreamers VC(ドリーマーズVC)、Kevin Durant(ケビン・デュラント)とRich Kleiman(リッチ・クライマン)のThirty Five Ventures(サーティファイブ・ベンチャーズ)、Sean “Diddy” Combs(ショーン・”ディディ”・コムズ)の「Combs Enterprises(コムズ・エンタープライゼス)」など、複数の新しい投資家を迎え入れた。

共同創業者兼CEOのMitch Lee(ミッチ・リー)氏が戦略的なラウンドと表現するこの新たな投資により、Arcの資金調達額は700万ドル(約8億円)を超えた。同社のシードラウンドでは、Chris Sacca(クリス・サッカ)氏のLowercarbon Capital(ロアーカーボン・キャピタル)とRamtin Nami(ラムティン・ナミ)氏のAbstract Ventures(アブストラクト・ベンチャーズ)が出資した。

「これらの人々は、それぞれの分野で世界的に活躍しているだけでなく、ブランドの構築や製品のマーケティング、さらにはコミュニティの育成など、多くの経験をお持ちです」と、リー氏はTechCrunchによる最近のインタビューで語った。

要するに、コムズ、デュラント、スミスの3人は、Arcが目指す市場に影響を与える力を持っているということだ。しかし、リー氏によれば、最初に発売する30万ドルのボートが属するアッパーラグジュアリーセグメントは、Arcの最終目標ではないという。

リー氏は、SpaceX(スペースX)の元エンジニアであるRyan Cook(ライアン・クック)氏とともに、さまざまな価格帯やユースケースに向けた電動の水上の乗り物を開発・販売する計画を持ってArcを設立した。10人以上の従業員(その多くはSpaceXに長く勤務していた人たち)が働くこの会社は、まず船体から始めることにしたと、リー氏は説明する。

電動ボートは、より静かで、より速く、より信頼性が高く、メンテナンスコストも低いにもかかわらず、3つの課題のために普及していないとリー氏は語る。同氏によれば、これまでは、ボートに必要なバッテリーのサプライチェーン、適切な高電圧の電気システム、そして大きなバッテリーパックに必要な重量と容積を考慮して設計された船体が存在しなかったという。

リー氏は「私たちがこれに取り組んだとき、専用の船体と専用のバッテリーパックを用意するところから始めて、ゼロから作り上げても理に適ったレイアウトにしようと考えました」と語り、船体と高電圧電気システムの開発には、SpaceX出身の優秀なエンジニアたちが重要な役割を果たしたと述べた。

同社は現在「Arc One(アーク・ワン)」と呼ばれるボートのアルファ版プロトタイプを製作している。この24フィート(約7.3メートル)のアルミ製ボートは、475馬力の出力を発揮し、1回の充電で3〜5時間の走行が可能。Arc Oneの生産台数は25台以下になる予定だという。

リー氏によると、Arc Oneは美的に完成の域に達することよりも、船体、電気系統、バッテリーパックの設計に重点が置かれているという。しかし、このボートはちゃんと動く。最近、チームはこのボートで水上スキーをしたそうだ。Arc Oneの量産は来月から開始され、来年初めには最初の顧客に届けられる予定だ。

アークの計画では、今回の投資家から得た資金をもとに生産規模を拡大し、内燃機関のボートと競合できる価格のボートを開発することを目指している。つまり、Tesla(テスラ)が自動車でやっている戦略と同じだ。

「私たちはこのボートを大量に製造することは計画していませんが、これは市場における電動ボートのあり方を示すものとなり、私たちにとって新たな錨を降ろすものになります。まあ、これはしゃれのつもりですが」と、リー氏は語る。Arcはその後、2022年末までに大衆向けウォータースポーツ市場をターゲットにした新型ボートを発表し、販売を開始したいと考えている。次のボートの価格はまだ決まっていないが、内燃エンジンのボートに対抗するためには、15万ドル(約1700万円)から20万ドル(約2300万円)程度に抑えることが必要だろう。

次のボートを手がけるタイミングは、Arcが追加資金を調達する時期と金額によると、リー氏は語る。今のところ、同社はこの1号機のボートが将来の電動製品の需要を喚起することを期待している。

画像クレジット:Arc Boats

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

MITの研究者による自動運転の水上タクシーが、アムステルダムの運河で初航行

確かに、自動運転の水上タクシーが実用化されている都市は多くないが、アムステルダムはそのうちの1つになるかもしれない。先に、MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)とSenseable City Laboratory(センサブル・シティ・ラボラトリー)の研究者たちは、自律的に航行する完全自動運転型のロボットボートを初めて進水させた。彼らはこのボートを「Roboats(ロボート)」と呼び、現地時間時間10月28日、運河で初航海を行った。

このボートは5人が十分に乗れるほどの大きさで、開発チームは廃棄物の回収や商品の配送などの、人間が操縦するボートで行っている作業にも使えると考えている。映画「Blade Runner(ブレードランナー)」から出てきたようなこの船は、バッテリーで駆動し、ドックに収まっている時にはワイヤレスで充電できる。チームの主張によれば、10時間の運行に十分な電力を搭載しているという。

自律的に進路を決定し、物体への衝突を避けるために、ロボートはLiDARと360度の視界を可能にする多数のカメラを使用している。ナビゲーションは、一般的な自動車のカーナビと同じように、GPSを使って現在地から目的地までの安全なルートを把握する。

アムステルダムの運河を順調に航行中のロボート(画像クレジット:Roboat)

「認識機能、ナビゲーション、制御システムの精度と信頼性が向上し、ラッチングも可能な近接接近モードなど新機能の導入や、 自動船位保持システムが改善されたことにより、今やこのボートは現実世界の水域を航行できるようになりました」と、MIT教授でCSAIL所長のDaniela Rus(ダニエラ・ルス)氏は語る。「ロボートの制御システムは、ボートに乗っている人の数に適応します」。

ロボートの設計で賢明な点の1つは、ユニバーサルプラットフォームを採用していることだ。これはバッテリーや推進システムの収容と併せて多目的に使用できる船体で、トップデッキを交換することによって、さまざまな用途に合わせて活用できる構造となっている。

「ロボートは24時間365日、船長がいなくても業務を遂行できるため、都市にとって大きな価値があります。しかし、安全上の理由から、レベルAの自動運転に到達することが望ましいかどうかは疑問です」と、プロジェクトの主任研究員であるFábio Duarte(ファビオ・ドゥアルテ)氏は語る。「陸にいるオペレーターが、コントロールセンターから遠隔操作でロボートを監視するシステムになるでしょう。1人のオペレーターが50台以上のロボートを監視することで、円滑な運用が可能になります」。

Roboat.orgでは、この技術が作動している様子を見ることができる。

画像クレジット:Roboat

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンがEVメーカーRivianのIPOを前に20%の同社株式保有を公表

米国時間10月29日、Amazon(アマゾン)が2021年10月初初旬にIPOを申請した電気自動車メーカーRivianの株の20%を保有していることを公表した。

9月30日の時点でこのeコマース巨大企業は、約20%の所有権を表すRivianの優先株を含む非公開株投資を行っていたことが、文書に示されている。その持ち株の「簿価」は38億ドル(約4329億8000万円)で、2020年12月31日現在の27億ドル(約3076億4000万円)から上がっていた。

その公表は規制当局への提出文書により明らかとなり、Rivianの将来がAmazonと密接に結びついていることがうかがわれる。RivianのIPO文書によると、Amazonは同社に13億4500万ドル(約1532億5000億円)を投資している。Amazonはまた最近、Rivianの4億9000万ドル(約558億3000万円)の転換社債を購入し、それは一定の価格規定によりIPO後にクラスAの株式に転換される。

Amazonは、Rivianの投資者であるだけでなく顧客でもある。2019年9月の協定によりRivianはAmazonに、10万台の電動デリバリーバン(配達車)を供給する。2021年10月初めにRivianは、2021年12月に少なくとも10台を納車する予定であることを公表した。残りの9万9990台は2025年までに納車される。

RivianのIPO文書により、AmazonがRivianという宇宙の大きな部分であることが明らかとなった。たとえばRivianのS-1文書には、Amazonの名が81カ所で言及されている。投資家でもあり顧客でもあるというAmazonの二重性格により、登場機会が多くなっている。

その時点ではAmazonはRivianの少なくとも5%を保有していると思われたが、最終的な数字はまだ得られていない。Amazonからの公表によると、同社の保有株はもっと多いようだ。

TechCrunchが以前報じたように、Amazonとの強い結びつきはRivianにとって好機とリスクの両方である。RivianのS-1のリスク要因の部分には、こう書かれている。

弊社の初期の売上の大きな部分が、弊社の主要株主の1つに関連する1つの顧客に由来する。弊社がこの関係を維持できなかったり、この顧客の購入が現在弊社が予期するより相当少ないか、皆無であれば弊社の事業と将来性と財務状況と操業の結果およびキャッシュフローは著しく悪化するだろう。

画像クレジット:撮影ROBYN BECK/AFP/Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラとHertzの契約で切り開かれるEVメーカーの新境地

レンタカー大手のHertz(ハーツ)は今週、伝えられたところによると42億ドル(約4785億円)でTesla(テスラ)車10万台を購入するというニュースを発表し、倒産からの復活を市場に強くアピールした。その2日後、HertzはUber(ウーバー)がその注文の最大半分を自社のドライバーに貸し出すことを約束したと発表し、再び話題となった。

しかし、この取引で最大の勝者となるのは、結局のところTeslaかもしれない。Teslaは、レンタル市場での先発的な優位性と、他の自動車メーカーが直面している在庫の制約を利用して、増えつつあるEV(電気自動車)に興味を持つドライバーを取り込めるかもしれない。

Edmunds.comの自動車アナリストIvan Drury(イヴァン・ドラリー)氏は、今回の契約の規模について次のように説明する。「レンタカー会社は、EVを大量に購入しているわけではありません。従来の車両注文のような大量発注の話ではありません」(Hertz、Enterprise Holdings、Avis Budget Groupの3社は、自社の車両に占めるEVの割合を公表していない)。

「Hertzが10万台のTesla車を購入し、さらに5万台をUberのドライバーに向けるというのは、これまでのレンタカー会社とはまったく異なる動きです」とドラリー氏は付け加えた。

TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は認めたが、今回の車両販売は明らかに定価でのものであり、同社が2022年末までにModel 3の大規模注文に応える準備ができていることを示す明確な指標でもある。一方、従来の自動車メーカーは、新規顧客向けのEV予約の未処理に悩まされているのではないかとCox Automotiveのアナリスト、Michelle Krebs(ミッシェル・クレブス)氏は話す。「自動車メーカーは、パンデミックとそれにともなうチップや車両の在庫不足の間、レンタカー会社への販売を行わず、一般消費者への小売販売に注力してきました」と述べた。

大規模な「買う前に試す」

メリットは金銭的なものだけではない。Enterprise Rent-A-Car、National Car Rental、Alamo Rent A Carの親会社であるEnterprise Holdingsが2015年に実施した調査によると、回答者の約62%が特定のモデルのレンタル体験が良かったことで、自分でも購入を検討するようになった、と答えた。

従来のレンタカー市場では、EVはこのような潜在的な消費者の関心に応えることができていなかった。これまでは、EVをレンタルして旅行を楽しみたい人々のために、スタートアップがそのギャップを埋める役割を果たしてきた。ドイツのNextmoveとFuture.renは、EVのみを扱うレンタカーサービスを提供しており、米国のP2P(ピア・ツー・ピア)レンタカー市場であるTuroはEVと内燃機関のモデルを組み合わせてサービスを提供している。

少なくとも、P2Pレンタル・マーケットプレイスのTuroによれば、需要はあるとのことだ。Turoでレンタル用にリストアップされているTesla車両の数は、過去5年間で爆発的に増えているという。2014年にTuroのマーケットプレイスに掲載されていたTesla車は67台だったが、2021年はこれまでのところ2万1599台に急増している。EV全体では、同時期に196台から2万6956台に増加している。

Turoに車を登録している人の多くは、自分のTesla車を旅行用ではなく、長期の試乗用として貸し出しているという。Turoの広報担当者は「多くの人にとって、(試乗のために)Tesla車に乗るのに1時間では十分ではありません」と話す。「購入を検討している人の中には、航続距離に不安があり、Tesla車で長距離の移動を試してみたい人もいます。多くのホストは、ゲストが車両を長期間所有できるようTuroでTeslaを試していると話しています」。

HertzによるTesla車レンタル市場には、旅行中のTesla車オーナーだけでなく、Tesla車に試乗してみたいと思っている消費者や「EVに興味がある」消費者も含まれるとクレブス氏は話す。

「広告を買わないTeslaにとって、これはすばらしいマーケティング状況です」と同氏は付け加えた。「その代わり、Hertzはスーパーボウルで7回優勝しているTom Brady(トム・ブレイディ)氏を使って広告を出しており、Teslaはその尻尾に乗っているのです」。もちろん、Teslaはクルマを販売するのに伝統的な広告を使っているわけではく、マスク氏はツイッターで5400万人のフォロワーを抱え、自分(と会社)の名前を売り込むのに長けていることは注目に値する。

ドラリー氏はまた、自動車メーカーがレンタカー会社を、最も高機能なクルマを売り込むためのマーケティング手段として利用することが多いと指摘する。「ですのでTeslaにとっては、レンタカー会社が試乗センターになるのです」

反レンタル偏見のリスク

もちろん、濡れ手で粟ではない。ドラリー氏によると、Teslaにとっての主なリスクは、Model 3がレンタカーや、場合によってはUberの乗車に使用されるクルマは、非レンタカーのクルマよりも価値が低いという認識の犠牲になることだ。「レンタルの汚名を着せられてしまうのでしょうか、それとも、今回の取引でそれが払拭されるのでしょうか」。

Hertzは、TeslaのEVに対して「プレミアムで差別化されたレンタル体験」を提供するとしており、レンタル価格はHertzの既存のラグジュアリーセグメントに匹敵するものになるとして、プレミアムなイメージを維持できる可能性を示唆している。Uberで予約したTesla車は、プレミアムサービスであるUber Blackに限定されず、UberXで予約した人も利用できるようになる。

また、最終的には、中古市場での販売台数が増えれば、Tesla車のリスクになる可能性もある。Edmundsの2017年のレポートによると、レンタカーとして使われた中古車は、そうでないものに比べて中古市場での販売価格が9%低くなっている。これはTeslaにとって重要なことだ。というのも、Hertzに販売される10万台のModel 3は、最終的にオークション(またはHertzとの新たな契約によりCarvana)にかけられ、中古車市場が飽和してブランドや特定のモデルの価値が下がってしまう危険性があるからだ。今回の注文は、そのような事態を招くほどの台数ではなさそうだが、それでもTesla Model 3と中古車市場の間に、これまでにはなかった新たな力学が生まれる

一般的な認識がどうなるかは別にして、今後、大手自動車メーカーがトラックやSUVなどセダン以外の部門の生産台数を増やすにつれて、そうした車両のEVを注文する際に同様の取引が行われる可能性がある。

画像クレジット:Hertz

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

トヨタの新型EV「bZ4X」はスバルとの共同開発、一充電走行距離460kmでルーフソーラーパネルも選択可能

2021年4月、トヨタ自動車は、2025年までに発売する7台の「Beyond Zero(ビヨンド・ゼロ)」完全電気自動車の第1弾であるbZ4X(ビー・ズィー・フォー・エックス)を発表した。その際、スバルと共同でSUVを開発していることや、次期パワートレイン「e-TNGA」を搭載することを明らかにした以外、同社はbZ4Xの詳細については多くを語らなかった。しかし、金曜日、トヨタはその状況を一変させ、その市販車版を発表した。

bZ4Xには、FWD(前輪駆動)とAWD(全輪駆動)の2種類のモデルがある。前者は、150kWの出力を持ち、8.4秒でゼロから100km/hまで加速することができる。また、WLTC基準では、71.4kWhのバッテリーを搭載したFWDモデルの1回の充電での走行距離は約500kmとされている。なお、この数値は、米国環境保護庁によるテストが行われた後に減少することが予想される。なお、この数値は日本仕様のものであり、トヨタが米国で発売するモデルとは異なる仕様になる可能性がある。

画像クレジット:Toyota

このバッテリーは150kWのDC急速充電に対応しており、約30分の充電で充電切れの状態から80%まで回復することができる。AWDモデルでは、80kWのモーターを2つ搭載し、それぞれの車軸に1つずつ、合計で160kWの出力を実現する。ゼロから時速100kmまで7.7秒で加速することができる。トヨタは、AWDモデルの1回の充電での走行距離として、460kmを想定している。両モデルとも、バッテリーをシャーシに内蔵することで、低重心化とシャーシ剛性の向上を図っている。

また、bZ4Xには、いくつかの便利な機能を搭載する予定だ。その1つがルーフソーラーパネルで、約1120マイル(約1800km)分の電力を無料で供給できるという。また、ステアリングホイールと前輪の間のメカニカルな結合のないステアバイワイヤシステムも搭載する。これらの機能は一部のモデルに搭載される予定だ。

bZ4Xは、2022年半ばに米国およびその他の市場でデビューする。

画像クレジット:Toyota

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Yuta Kaminishi)

アウディが旧モデルの「e-tron」にソフトウェアアップデートを実施、航続距離が最大20km増加

Audi(アウディ)が、電気自動車SUV「e-tron(イートロン)」の2019年および2020年モデルに対して、バッテリーの航続距離を最大20km伸ばすソフトウェアアップデートを実施した。

航続距離の向上は、わずか20kmということで、大したことないと思うかもしれないが、これは自動車メーカーがソフトウェアを使って、旧型の電気自動車を改良できることを示している。今回のケースでは、アウディはソフトウェアを更新することで、既存のバッテリーの使用可能な容量を拡大し、実質的な効率を向上させたということだ。また、同社によれば、このソフトウェア・アップデートによって、フロントの電気モーターの制御も最適化され、バッテリーの熱管理システムの効率も改善するという。

2019年および2020年モデルの「Audi e-tron 55 quattro(アウディ・イートロン55クワトロ)」は、95kWhのバッテリーを搭載しているが、今後はそのうち86kWhを使用できるようになる。これによって一度の満充電で走行可能な航続距離は、現行モデルの最大441km(WLTPサイクル基準)に近づくはずだ。

このソフトウェアアップデートは、2018年9月中旬(モデルイヤー2019年)から2019年11月末(モデルイヤー2020年)の間に製造されたすべての量産モデルのAudi e-tron 55 quattroに無料で提供される。ただし、Wi-Fiにアクセスできる場所であればどこでも無線でソフトウェア・アップデートを起動できるTesla(テスラ)とは異なり、アウディではお近くのサービスセンターを訪れる必要がある。

このソフトウェアアップデートを受けることで、旧モデルのe-tronは、ソフトウェアとハードウェアが改良された2020年および2021年モデルのe-tronやe-tron Sportback(イートロン・スポーツバック)に遅れを取らずに済むようになる。

なぜアウディは最初から、それだけのバッテリー容量を使えるようにしなかったのかと、思う人もいるかも知れない。アウディをはじめとするEVに初めて参入する自動車メーカーは、劣化を避けるために慎重を期して、当初はバッテリーの使用可能容量を制限していたのだ。

テスラに続き、他の自動車メーカーも、機能の追加や改善のために、OTA(Over-the-Air、無線による)ソフトウェア・アップデートを採用し始めている。Volvo(ボルボ)は2月、欧州で電気自動車「XC40 Recharge(XC40リチャージ)」に初のOTAソフトウェア・アップデートを実施。そして10月には、バッテリー管理システムとプレコンディショニング・タイマーの改良により走行距離を伸ばすOTAをリリースした。同社はまた、ドライバーがバッテリーから最大限の航続距離を引き出せるよう支援する「Range Assistant(レンジ・アシスト)」というアプリの提供も開始している。

画像クレジット:Audi

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本初、SkyDrive「空飛ぶクルマ」eVTOLの型式証明申請を国土交通省が受理・2025年大阪ベイエリアでのサービス目指す


空飛ぶクルマ」(eVTOL)および「物流ドローン」を開発するSkyDrive(スカイドライブ)は10月29日、「空飛ぶクルマ」の型式証明申請が国土交通省に受理され、型式証明活動を開始したと発表した。「空飛ぶクルマ」として国土交通省に型式証明申請が受理されたのは、日本で初めて。型式証明の審査対象は2025年の事業化を目指している機体にあたり、同社は2025年に大阪ベイエリアでのサービス開始を計画している。

型式証明とは、新たに開発された航空機について、その型式ごとに設計・構造・強度・性能などが航空法に基づく所要の安全基準および環境基準に適合していることを国土交通省が証明するもの。この証明のためには強度試験や飛行試験など、各種審査が行われる。

2018年7月設立のSkyDriveは、「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、空飛ぶクルマや物流ドローンを開発している。空飛ぶクルマの開発においては、国内で唯一有人飛行試験を実現し、官民協議会の構成員として制度設計にも関与している。また、30kg以上の荷物を運搬可能な物流ドローンは、山間部を中心とした作業現場で活用されているという。

自動運転技術シミュレーターの効果を高めるために、Auroraが元ピクサーのベトラン技術者たちを招聘

来週Nasdaq(ナスダック)に上場を予定している、自動運転車技術のスタートアップ企業であるAurora(オーロラ)は、自動運転システムのテストやトレーニングに使用するコンピューター・シミュレーション・ツールをより現実世界に近いものにするために、Pixar(ピクサー)のベテラン・チームを起用することになった。

これまでステルスで活動してきた3人組のコンピュータ・グラフィック映像スタートアップ、Colrspace(カラースペース)がAuroraの知覚技術チームに参加する。Auroraは、ColrspaceのIP(知的財産)、具体的にはCGIと機械学習を組み合わせた技術も得ることになる。Colrspaceの3人、Michael Fu(マイケル・フー)氏、Allen Hemberger(アレン・ヘンベルガー)氏、Alex Harvill(アレックス・ハーヴィル)氏は、写真や画像から3Dのオブジェクトやマテリアルを再構築する技術を開発した。この技術はシミュレーションをより「現実的」にすることができるため、Auroraをはじめとする自動運転走行車の開発者たちは、テストの効果が高まると主張している(下の動画はColrspaceの作品のサンプル。TechCrunchがMP4をGIFに変換した)。

フー氏、ヘンベルガー氏、ハーヴィル氏は、Auroraの知覚技術チームに加わるが、このチームには元Pixarのソフトウェア・エンジニアだったMagnus Wrenninge(マグナス・レニンゲ)氏が設立したシミュレーション・スタートアップ、7D Labs(7Dラブズ)の人々が既に参加している。Auroraは2019年に7D Labsを買収した。

Auroraをはじめ、Argo AI(アルゴAI)、Cruise(クルーズ)、Waymo(ウェイモ)といったその競合他社は、閉鎖されたコースや公道で現実世界におけるテストを定期的に行っているものの、コンピューター・シミュレーションは、彼らの自動運転車技術をテスト、トレーニング、検証するための不可欠なツールであると考えられている。シミュレーションは、自動運転システムが様々なシナリオをテストしたり、現実世界で起こったことを再現するために役立つ。そして最終的にはソフトウェアを訓練し、評価することで、現実世界での安全性を確保することにつながる。

大手の自動運転車開発企業では、毎日数千回から何百万回ものシミュレーションを行うことも珍しくない。例えば、Auroraのシミュレーターは、5万台以上のトラックを連続して走らせるのに相当すると推定されている。この「Virtual Testing Suite(バーチャル・テスティング・スイート)」と呼ばれるAuroraのコンピューター・シミュレーターは、公道を走る車両に搭載される前にエラーを早期発見するために、多様な走行条件に加えて、一般的なシナリオと異常なシナリオ(エッジケース)を実行する。公道を走行中に取得したデータもこのシミュレーターにフィードバックされる。

今年、Auroraはシミュレーション・プログラムの規模拡大に向けて、より多くの努力と資源を投入している。今月の発表によると、同社は今年末までに90億マイル(約145億キロメートル)以上の走行距離に相当するシミュレーションを完了する見込みだが、そのうち60億マイル(約97億キロメートル)は2021年に入ってから現在までに記録したものだという。

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画像クレジット:Aurora
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メルセデス車は2022年からDolby Atmosオーディオをオプション提供

より没入感のあるDolby Atmos(ドルビーアトモス)を搭載したクルマが欲しいときに、Lucid Air(ルーシッドエア)を買う必要はなくなる。メルセデスは、最新のSクラスに搭載された最新のインターフェースMBUX、またはオプションの「Burmester(ブルメスター)3D/4Dサウンドシステム」を採用した全モデルに、アトモスオーディオを搭載する。実際に運転する機会があるかどうかはともかく、同レベルの音楽を立体的に拡大された音場で聴くことができる。その音質はメルセデスが主張する「ライブコンサート」のようなサウンドではないかもしれないが、通常のステレオ再生よりもワンランク上のサウンドになるはずだ。


4Dシステムには31個のスピーカーが搭載されており、そのうち6個のスピーカーが上方から3D効果を生み出す。また、フロントシートには4つの「耳近傍」スピーカーが設置されていて、4つのシートにはそれぞれ2つのサウンドトランスデューサー(別名エキサイター)が設置されている。まあ1750Wの総出力(18.5Lのサブウーファーを含む)が投入されれば、オーディオ処理方式に関係なく満足できる可能性が高いだろう。

ただ、すぐにアトモス搭載車を買いに走ることはできない。この装備は、2022年夏にまずメルセデス・マイバッハ(Mercedes-Maybach)に搭載され、その後すぐにSクラスにも搭載される予定だ。他のモデルも追随するだろうが、アトモスを搭載したAクラスの販売はすぐには期待できないだろう。

編集者注:本記事の初出はEngadget。執筆者のJon Fingas氏はEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Daimler

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(文:Jon Fingas、翻訳:sako)

マイクロモビリティシェア大手Birdの日本展開に向け、国内プラットフォームパートナーのBRJが4億円調達

電動キックスクーターシェアリングサービス「Bird」(バード)の日本展開を予定しているBRJが10月28日、4億円の資金調達を実施したことを発表した。調達した資金は、運営メンバーの確保と車体数の拡充、そしてさらなるテクノロジー検証の強化に投資する。

Birdは、Bird Ridesが世界250以上の都市で提供している、電動キックスクーターによるマイクロモビリティサービス。「特定エリアでの最大速度制限」「走行可能エリア外での自動停止機能」「車体に複数のセンサー搭載でのデータ連携」「車両不備検知機能」「自動緊急ブレーキ機能」などを備えており安全・安心で快適な利用が可能という。今回の資金調達は、これら安全・安心を最優先とした、移動課題解決の将来性を評価され実現した。

2020年12月に発足したBRJは、Bird Ridesとライセンス契約を締結している日本のプラットフォームパートナー企業。Birdで利用されている「機体」「テクノロジー」「運営ノウハウ」「戦略支援」の提供を受け日本でのマイクロモビリティーサービス展開を予定している。これにより地域住民の移動課題を解決し、人々の生活向上を目指す。

デルタ航空が生体認証による手荷物預けを開始、TSA PreCheckと提携で

米国時間10月27日、デルタ航空は、TSA(米国運輸保安庁)PreCheck(プレチェック)との提携によって、バイオメトリクス(生体認証)の利用を拡大し、乗客が顔を見せるだけで手荷物を預け、保安検査を通り、飛行機に乗ることができるようにすることを発表した。最も新しいサービスであるPreCheckのバッグドロップ(手荷物預け)が行われているのは、現段階ではアトランタ空港のみで、デルタ航空のマイレージプログラム「スカイマイル」の会員でTSA PreCheckにも登録している利用客を対象とした試験的なものだ。


このプロジェクトは、デルタ航空がハブ空港であるデトロイトやアトランタ空港の国際線で行ってきた作業をベースに、さらに発展させたものだ。そこに、顔認証を利用したバッグドロップも可能にしたのが今回の取り組みだ。

デルタ航空とTSAがこの試験を実施しているアトランタでは、デルタ航空のマイレージプログラム「スカイマイル」の会員で、TSA PreCheck会員でもある乗客は、セルフサービスのPreCheckバッグドロップエリアを利用できるようになった。このプログラムを利用する乗客は(フライトにチェックインするたびに、デルタ航空のアプリで利用指定を行う必要がある)、新しい手荷物預け入れ機の前に行き、顔をスキャンする。するとTSAのデータベースを通じて本人であることが確認され、手荷物ラベルが印刷される。ラベルを貼り付けた後、スーツケースをコンベア上に置くと、新しい自動手荷物預け入れ機がスーツケースの重量を量り、カメラがサイズを確認する。

画像クレジット:デルタ航空

デルタ航空のエアポートエクスペリエンス担当マネージングディレクターであるGreg Forbes(グレッグ・フォーブス)氏は、正式公開に先立つプレスイベントで「目標は30秒です」と語った。「これを実現するために、私たちは技術開発を行うだけではなく、アプリを立ち上げたり運転免許証を探したりといった特定の振舞を行わないだけでもなく、似たようなスタイルで移動する乗客を集めることにしました」。

フォーブス誌は、このサービスは通常のローラーバッグ、スーツケース、ダッフルバッグにしか使えないと指摘している。これは基本的に、自分が何をしているかを知っているフリークエント・フライヤーのためのバッグドロップエリアなのだ。

画像クレジット:TechCrunch

フォーブス誌は「サーフボードやゴルフクラブをご持参のお客様には、建物の外で車寄せがあるチェックインカウンター(カーブサイド)のSkycap(スカイキャップ)の方がお勧めです。またもし2年生の遠足で子どもが30人いて、それぞれチケットにひと悶着ある場合にも、おすすめできません」という。

現在、アトランタを起点とするデルタ航空の利用者の約4分の1が、この方法で荷物を預ける資格をすでに得ている。この体験はスカイマイルのアカウントと連動しているため、デルタ航空のマイレージプログラムへの登録を促すことにもなり、その結果、デルタ航空はマイレージプログラムの利用者に向けた新たなマーケティング手段を得ることになる。

実際に体験してみたところ「30秒でバッグドロップ完了」という約束は、十分実現可能なものに思えた。マスクをちょっとずらして行う顔認証は数秒で完了する。ラゲッジタグを手で貼り付ける方がよほど時間がかかる。

現段階では、デルタ航空はこのために機械が4台だけが置かれた小さなスペースを設けているが、フォーブス誌によると、処理能力が問題になった場合には、空港内の別の場所に2つ目のバッグドロップエリアを設ける計画がすでにあるとのことだ。

また、目の不自由な乗客のための設備や、本人確認に問題が起きた場合の搭乗券読み取り装置も設置されている。

バッグドロップした後は、PreCheckの列に並び、そこでまた顔面スキャンを受け、さらに搭乗口でも再び顔面スキャンを受ける。すべてが順調にいけば、搭乗券や身分証明書を出す必要はない(もちろん身分証明書は持っていくべきだが)。

画像クレジット:TechCrunch

一般的には、バイオメトリクスを使用すると、プライバシーに関する問題が発生する。デルタ航空は、画像は本人認証のためにTSAに送るだけだということを強調している。そもそも、乗客がPreCheckやGlobal Entry(グローバル・エントリー)を選択した段階で、TSAはすでに乗客の顔と旅行スケジュールを把握しているのだ。フォーブス誌はまた、デルタ航空自身は生体データには一切触れず、その技術を提供するパートナーに任せているとも述べている。彼らの技術の安全性は政府によって検証されているが、100%安全であると保証されたシステムは存在しないことはご存知の通りだ。

個人的には、2021年に入ってから何度も米国境を越えていて、そのほとんどはGlobal Entryを利用している。Global Entryも現時点では完全に顔認証に依存している。最初は少し奇妙な感じもしたが、国土安全保障省はすでに私の情報をすべて把握しているので実際には問題ということはなく、単に接続までの時間を短縮することができた。またデルタ航空のシステムを使った、上述のカーブサイド経由の搭乗も、かなり似ていると感じた(何も触らなくていいというのは、コロナの時代にはありがたい特典だ)。

しかし、すべての人がこのようなトレードオフを望んでいるわけではない。そうした人たちにとっては何も変わらないままだ。結局これらはオプトインであることに変わりはない。

今のところ、少なくとも現在のパイロットプログラムでは、これはデルタ航空とTSAとの間の独占的なパートナーシップで運営されている。もちろん他の航空会社もすでに同様の取り組みを行っていることだろう(ユナイテッド航空の場合はCLEARとの提携だが、次に導入する可能性が高い)。デルタ航空が空港内のさまざまな顧客接点でこれを展開し、他の企業もすぐに追随することを期待している。

画像クレジット:Delta

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

グッドイヤーとポルシェ投資部門が自動車が道路を「感じる」ようにするバーチャルセンシングTactile Mobilityに戦略的投資

イスラエルのスタートアップであるTactile Mobility(タクタイル・モビリティ)は、既存の車両センサーデータを利用して、自動車が道路を「感じる」ことを可能にし、クラウドプラットフォームを介して自動車と道路の両方に関する情報を提供している。同社は米国時間10月27日、2700万ドル(約30億円)のシリーズCを発表した。CEOのShahar Bin-Nun(シャハール・ビン-ナン)氏によると、同社はこの資金を、バーチャルセンサーのさらなる開発、製品ラインナップの拡大、クラウドプラットフォームの強化のために使う。目標を達成するために2021年、研究開発部門で最大20人の新規採用が必要になるという。


今回の資金調達により、Tactileの資金調達総額は4700万ドル(約53億円)になった。今回のラウンドはDelek Motorsが主導し、Goodyear Ventures(グッドイヤーベンチャーズ)とPorsche Venturesが戦略的投資を行い、Union Group、The Group Ventures、Zvi Neta(AEV)、Giora Ackerstein(ジョラ・アッカースタイン)氏、Doron Livnat(ドロン・リヴナト)氏も参加した。

ビン-ナン氏は「当社は基本的に、データの取得とデータの収益化の2つの部分に分かれています」とTechCrunchに語った。「データの取得は、シャシーのエンジンコントロールユニットに搭載されているTactile Processor(TP)と呼ばれる非常にユニークなソフトウェアで行います。TPを使用することで、安全性、パフォーマンス、運転の楽しさを向上させる、視覚に頼らない多数のバーチャルセンサーをOEMに提供することができます」と話す。

Tactileの2つめのビジネスモデルは、Tactile Cloud(TC)と呼ばれるクラウドプラットフォームを中心に展開されている。ここにバーチャルセンサーからのデータがアップロードされ、車両のDNAまたは路面のDNAを記述した触覚マップが作成される。これらのマップは、OEM、交通局、自治体、保険会社、タイヤ会社などに販売される。

ビン-ナン氏によると、Tactileが車両に搭載している23のバーチャルセンサーのうち、同社が取り組んだ主要なものはBMWとのタイヤグリップ推定で、これはクルマが走行している間に車両と道路の間のグリップを測定するというものだ。同氏によると、TactileのTPは年間250万台のBMW車に搭載されており、数百万台のクルマが受動的に路面をマッピングしていることになる。

タイヤのグリップ力を測定して道路をマッピングすることで、Tactileは道路の穴やひび割れ、滑りやすさ、降雪などをマッピングすることができる。これらの情報はリアルタイムに収集され、特定の地域を走行する他の車両にダウンロードされる。これにより、ドライバーは前もって劣悪な道路状況を知ることができ、安全性の向上につながる。また、分析結果は地図会社、道路管理者、車両管理者などの第三者が、道路のひどい場所を特定するためのレポートを介して共有することもできる。

Tactileは、クラウド上で収集したあらゆるデータで収益をあげるために、提携するOEM企業との売上高シェアモデルを採用している。ビン-ナン氏によると、Tactileはこれまでに自動車メーカー7社と30件以上の概念実証やパイロット試験を行ってきたが、量産レベルに達したのはBMWだけとのことだ。

「これまでは25人の会社でしたが、現在は40人になり、事業を拡大するには少し限界がありました」とビン-ナン氏は話す。「小さな会社がBMWのプロジェクトを進めていると、BMWへの実装や統合、要求を満たすためのテストなどで、すっかり忙しくなってしまうことが想像できるでしょう。これからは多くのOEMと並行して仕事ができるようにしたいのです」。

これは、より多くのサービスや知見を顧客に提供できるよう、他のセンサーも開発することを意味する。例えば、一部のOEMメーカーはタイヤの健康状態に関心を持っている。Tactileによれば、センサーは走行中のタイヤの溝の深さを極めて正確に測定することができ、タイヤの交換が必要かどうか、タイヤの種類や地形に応じてドライバーがどのような運転をすべきかをOEMに伝えることができるという。

「Goodyearがこの会社に投資した理由でもありますが、もう1つ重要なことはタイヤが硬すぎるかどうかを正確に測定できることです」とビン-ナン氏は話す。「彼らは今回のラウンドで投資した直後に、我々とテストを行いました。ですから、タイヤの健全度を測るバーチャルセンサーは、私たちが開発するバーチャル・センサーの中でも重要な種類のものであることは間違いありません。他のOEMは、重量推定や重心位置などを求めますが、これらは当社のバーチャルセンサーが感知し、機械学習や信号処理を使って多くのノイズを除去しています」。

その他のセンサーとしては、重量推定、アクアプレーニング、車両のヘルスセンサー、マイクロ衝突などがある。今回のシリーズCの資金調達により、Tactileはこれらのセンサーを構築し、OEMメーカーにアピールできるようにしたいと考えている。Tactileの目標は、すべての主要な自動車メーカーに入りこむことだ。そうすることで、大量のデータを収集、分析、収益化することができ、自律走行車など急成長中の技術との連携を図ることができる。

Goodyear VenturesのマネージングディレクターであるAbhijit Ganguly(アビジット・ガングリー)氏は声明文で「コネクテッドドライビングと自律走行は、ヒトとモノの移動の未来にとって重要な鍵となります。コネクテッドかつ自律走行の安全性と効率性を向上させるためには、タイヤデータが鍵となります」と述べた。

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画像クレジット:Tactile Mobility

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi