自動運転のWaymoがサンフランシスコでロボタクシーサービスを開始

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転スタートアップWaymo(ウェイモ)は、サンフランシスコで限定利用者向けにロボタクシーサービスを開始した。

米国時間8月23日、同社はWaymo One Trusted Tester(ウェイモ・ワン・トラステッド・テスター)プログラムを同市で正式に開始した。Waymoの第5世代自動運転システムを搭載した全電動車、Jaguar I-PACEの車団を使用する。この自動運転システムWaymo Driver(ウェイモ・ドライバー)というブランドが付けられており、公道での自動運転2000万マイル、シミュレーションで100億マイル以上の走行実績から情報を得ている。

Waymo One Trusted Testerと呼ばれるこのプログラムは、数年前に同社がアリゾナ州フェニックスで開始した最初の商用ライドシェアリングサービスの戦略を踏襲している。Trusted Testerプログラムは、Waymoが2017年4月にフェニックス都市圏でスタートした「Early Rider」プログラムの再ブランド版だ。4年以上の時を経てその乗客(Rider)たちはもはや「Early」ではないことから名称変更に至った、とWaymoの広報担当者は言っていた。

フェニックスでは、WaymoはEarly Rider参加者の一部をWaymo Oneサービスに移行するよう招待した。ユーザーはサービスの印象を公に発表することが可能で、以前のプログラムに参加していない友人や家族を招待することもできた。その後Waymoはサービスを全員に向けて公開した。

サンフランシスコ市民はWaymo Oneアプリをダウンロードして、プログラムへの参加の意志を表明できる。同サービスでは開始時のグループを、車椅子の利用など輸送におけるさまざまなニーズをもつ多様な背景の人々で構成する、とWaymoは言っている。最初のグループに何人参加するのか、何台のJaguarが街を走りまわるのかは公表していないが、利用者には利用に関する詳細なフィードバックを数多く返すこと、および守秘義務契約に署名することを求めている。

Waymoはテスト参加者に対し、自動運転サービスを日々の移動ニーズに利用するよう推奨している。現時点で利用は無料で、サンフランシスコのサンセット、リッチモンド、パシフィック・ハイツ、ノイバレー、カストロ、ヘイト・アシュベリーなどの地区を対象地域として開始される。サービスは週7日、1日24時間利用可能だと広報担当者がTechCrunchに語った。

同社はいわゆる “autonomous specialists”(自律運転スペシャリスト、セーフティドライバーの新たな名称)を運転席に同乗させ、運行状況の監視と安全な体験の確保を行う。このセーフティドライバーは契約労働者でフランス企業のTransdev(トランスデヴ)に雇用されている。Waymoは運行スタッフの派遣を長年Transdevに依頼している。

Waymoの乗客サポートチームとは、乗車中に質問があった時、車載画面のボタンをタップするか、アプリを経由していつでも連絡がとれる、と広報担当者は言った。

Waymo初のライドシェアリング・サービスはフェニックスで開始されたが、そのルーツはカリフォルニア州、それもマウンテンビューのシリコンバレー飛び地にある。大サンフランシスコ湾岸地域では10年以上テストを続けている。

2021年初めに同社は、従業員向けに自律運転乗車を提供してロボタクシーサービスのテストを開始した。

Trusted Testerプログラム開始のニュースの1週間前、Waymoはテキサス、アリゾナ、カリフォルニア3州の自律運転トラック事業を拡大すること、およびテキサス州ダラス郊外にトラック・ハブを建設していることを発表した。同社はクラス8トラック向けの第5世代Driverのテストをテキサス州で開始しており、J.B. Huntなどの運送会社の貨物を運んでいることから、このDriverシステム最新の応用は、Waymoが完全無人運転の推進に成功していることの証か、あるいは最近調達した25億ドル(約2746億円)を有効活用していることを示す兆候のどちらかだ。

関連記事:Waymo Viaがテキサス、アリゾナ、カリフォルニア州で自動運転トラックのオペレーションを拡大中
画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転のWaymoがサンフランシスコでロボタクシーサービスを開始

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転スタートアップWaymo(ウェイモ)は、サンフランシスコで限定利用者向けにロボタクシーサービスを開始した。

米国時間8月23日、同社はWaymo One Trusted Tester(ウェイモ・ワン・トラステッド・テスター)プログラムを同市で正式に開始した。Waymoの第5世代自動運転システムを搭載した全電動車、Jaguar I-PACEの車団を使用する。この自動運転システムWaymo Driver(ウェイモ・ドライバー)というブランドが付けられており、公道での自動運転2000万マイル、シミュレーションで100億マイル以上の走行実績から情報を得ている。

Waymo One Trusted Testerと呼ばれるこのプログラムは、数年前に同社がアリゾナ州フェニックスで開始した最初の商用ライドシェアリングサービスの戦略を踏襲している。Trusted Testerプログラムは、Waymoが2017年4月にフェニックス都市圏でスタートした「Early Rider」プログラムの再ブランド版だ。4年以上の時を経てその乗客(Rider)たちはもはや「Early」ではないことから名称変更に至った、とWaymoの広報担当者は言っていた。

フェニックスでは、WaymoはEarly Rider参加者の一部をWaymo Oneサービスに移行するよう招待した。ユーザーはサービスの印象を公に発表することが可能で、以前のプログラムに参加していない友人や家族を招待することもできた。その後Waymoはサービスを全員に向けて公開した。

サンフランシスコ市民はWaymo Oneアプリをダウンロードして、プログラムへの参加の意志を表明できる。同サービスでは開始時のグループを、車椅子の利用など輸送におけるさまざまなニーズをもつ多様な背景の人々で構成する、とWaymoは言っている。最初のグループに何人参加するのか、何台のJaguarが街を走りまわるのかは公表していないが、利用者には利用に関する詳細なフィードバックを数多く返すこと、および守秘義務契約に署名することを求めている。

Waymoはテスト参加者に対し、自動運転サービスを日々の移動ニーズに利用するよう推奨している。現時点で利用は無料で、サンフランシスコのサンセット、リッチモンド、パシフィック・ハイツ、ノイバレー、カストロ、ヘイト・アシュベリーなどの地区を対象地域として開始される。サービスは週7日、1日24時間利用可能だと広報担当者がTechCrunchに語った。

同社はいわゆる “autonomous specialists”(自律運転スペシャリスト、セーフティドライバーの新たな名称)を運転席に同乗させ、運行状況の監視と安全な体験の確保を行う。このセーフティドライバーは契約労働者でフランス企業のTransdev(トランスデヴ)に雇用されている。Waymoは運行スタッフの派遣を長年Transdevに依頼している。

Waymoの乗客サポートチームとは、乗車中に質問があった時、車載画面のボタンをタップするか、アプリを経由していつでも連絡がとれる、と広報担当者は言った。

Waymo初のライドシェアリング・サービスはフェニックスで開始されたが、そのルーツはカリフォルニア州、それもマウンテンビューのシリコンバレー飛び地にある。大サンフランシスコ湾岸地域では10年以上テストを続けている。

2021年初めに同社は、従業員向けに自律運転乗車を提供してロボタクシーサービスのテストを開始した。

Trusted Testerプログラム開始のニュースの1週間前、Waymoはテキサス、アリゾナ、カリフォルニア3州の自律運転トラック事業を拡大すること、およびテキサス州ダラス郊外にトラック・ハブを建設していることを発表した。同社はクラス8トラック向けの第5世代Driverのテストをテキサス州で開始しており、J.B. Huntなどの運送会社の貨物を運んでいることから、このDriverシステム最新の応用は、Waymoが完全無人運転の推進に成功していることの証か、あるいは最近調達した25億ドル(約2746億円)を有効活用していることを示す兆候のどちらかだ。

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画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マスク氏が完全自動運転システムは「すばらしいものではない」と発言、単一スタックを問題点として認める

Tesla(テスラ)が「AI Day」を開催してからまだ1週間も経っていない。技術的な専門用語が飛び交うこのライブ配信イベントは、同社が自律走行を実現するために最も優秀なAIおよびビジョンエンジニアを誘致することを1つの目的としていたが、すでにElon Musk(イーロン・マスク)CEOは「完全自動運転(Full Self-Driving、FSD)」技術について、ホットテイクを提供している。

関連記事:ロボット、チップ、完全自動運転、イーロン・マスク氏のTesla AI Dayハイライト5選

米国時間8月24日に投稿されたツイートで、マスク氏は次のように述べている。「FSD Beta 9.2は、私が思うに実際にはすばらしいものではありませんが、オートパイロット・AIチームは、できるだけ早く改善するために結集しています。我々は高速道路と市街地の両方で単一の技術スタックを持とうとしていますが、それには大規模な(ニューラルネットワークの)再トレーニングが必要です」。

これは重要なポイントだ。自律走行の分野では、多くの人が同様の発言をしている。Kodiak Roboticsの共同設立者兼CEOであるDon Burnette(ドン・バーネット)氏は、今のところ同社はトラック輸送に特化しているが、それはより簡単に解決できる問題だからだという。最近のExtraCrunchのインタビューで、バーネット氏は次のように述べている。

当社の技術のユニークな点は、特定の目的のために高度にカスタマイズされていることです。トラックの高速道路走行性能と都市部の乗用車の高密度走行性能の両方を、同じスタックやシステムで維持するというような要件が常にあるわけではありません。理論的には、すべての運転、すべての条件、すべてのフォームファクターに対応する汎用的なソリューションを作ることは可能ですが、それはよりはるかに難しい問題です。

TeslaはLiDAR(ライダー)やレーダーを使わず、光学カメラのみを使用しているため、ニューラルネットワークの「大規模な」トレーニングが必要である、というのは決して控えめな表現ではない。

マスク氏のツイートに間違いなく心を痛めているであろうAI・ビジョンチームには同情するが、これは同氏にとっては稀有な、明晰で正直な瞬間だ。通常、私たちはTeslaの自動運転に関するニュースを、特別に微調整されたでたらめメーターでフィルタリングしなければならないが、そのたわ言メーターは「完全自動運転」技術について言及されるたびに激しくビープ音が鳴る。念のため言っておくが、これは「完全」な自動運転ではなく、高度な運転支援であり、将来的にはより優れた自動運転を実現するための基礎となり得るものだ。

マスク氏はツイートのフォローアップとして、FSD Beta 9.3を使用しパサデナからロサンゼルス空港まで運転したところ「はるかに改善されていた!」と語っている。これを信じるべきだろうか?同氏は常に楽観主義者だ。2021年8月初め、マスク氏はTeslaが2週間ごとにカリフォルニア時間深夜にFSDの新バージョンをリリースすると述べていた。そして Beta 9は「隙のない」ものになると約束し、レーダーが会社の足かせとなっていたが、ピュアビジョンを完全に受け入れた今、進歩ははるかに速くなるだろうと語った。

おそらくマスク氏は、FSDシステムに関する悪評が相次いでいることから、その矛先をそらそうとしているのだろう。先週、米国の自動車規制当局はTeslaのオートパイロット機能に関する予備調査を開始し、駐車中の救急車両にTesla車両が衝突した11件の事故を挙げた。なぜ救急車両なのか、それはわからない。しかし、米国道路交通安全局(NHTSA)のウェブサイトに掲載されている調査資料によると、事故のほとんどは日没後に発生している。夜間視力の低下は多くの人間のドライバーに当てはまるが、自律走行の世界でそのような事故は許容できることではない。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)

GMがシボレー・ボルトのリコール損失約1100億円をLG Chemに請求すると表明

米国の自動車メーカーであるGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)は米国時間8月20日、バッテリーの製造上の欠陥による火災の危険性を理由に、電気自動車(EV)であるChevrolet Bolt(シボレー・ボルト)のリコールを拡大した。そしてGMは、バッテリーセルの製造パートナーであるLG Chem(LGケム)に、10億ドル(約1097億円)相当の損害賠償を求めることも発表している。

関連記事:GMがシボレー・ボルトEVに3度目のリコール、欠陥バッテリーから火災のおそれ

GMがこの車両に対して行った3回目のリコールのニュースを受けて、LG Chemの株価は米国時間8月23日に11%下落し、60億ドル(約6582億円)の市場価値を失った。またGMの株価は市場終了時に1.27%下落した。

LG Chemのバッテリーが自動車メーカーのリコールにつながったのは、今回が初めてではない。2021年初め、現代自動車(Hyundai)が同様のバッテリー発火の危険性があるとして8万2000台のEVをリコールたが、その費用は約8億5190万ドル(約934億7000万円)に上ると推定されている。現代自動車の共同バッテリー事業は、9月の新規株式公開(IPO)を準備しているLG Chemの、バッテリー専門部門であるLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)とのものであったが、専門家によれば今回のリコール費用のためにIPOが延期される可能性があるという。

GMが行ったバッテリーの不具合調査では、陽極タブの破れや曲がったセパレーターなどの、バッテリーセルの不具合が見つかっている。今回のリコールは、LG Energy Solution製のバッテリーを搭載したフォルクスワーゲンAG ID.3 EV で火災が発生して1週間後から始まった。2021年に入ってから、フォルクスワーゲンやテスラは、LG Chemブランドのパウチ型リチウムイオンバッテリーセルから、CATLやサムスンSDIのようなプリズム型のバッテリーセルに移行する動きを始めている。

このリコールによって、GMには北米で販売できる完全な電気自動車がなくなり、電気自動車の販売が伸びているTesla(テスラ)や他の自動車メーカーに対抗することができなくなる。販売台数の減少、安全面でのリスク、さらにはより優れた技術が登場する可能性があることから、GMは他のビジネスに向かうかもしれない。

だが今はまだ、一緒にやるべきことが残されている。GMは、シボレー・ボルトEVおよびEUVに搭載されている欠陥のあるバッテリーモジュールを、新しいモジュールに交換すると発表しており、これが10億ドル(約1097億円)の損失の原因になっているとしている。これは、2020年11月に発生したボルトのリコールのためにGMがすでに支出している8億ドル(約877億8000万円)に加えての支出となる。エネルギーストレージの調査会社であるCairn ERA(ケアンERA)のデータによれば、バッテリーパックは電気自動車の中で最も高価な部品であり、平均して1kWhあたり約186ドル(約2万円)かかっている。GMは1kWhあたり約169ドル(約1万9000円)を支払っており、ボルトは66kWhのバッテリーパックを搭載している。

なお、LG ChemとGMが問い合わせに回答していないため、4月に両社が発表した、米国2カ所目のバッテリー工場をテネシー州に建設する計画を、進めるつもりがあるのかどうかは不明だ。この合弁会社はUltium Cells(アルティウム・セルス)という名で、70GWh以上のエネルギー生産を目指すとされていた。

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画像クレジット:Veanne Cao

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

フォードが完全EV版に先駆けてハイブリッドの「2021 F-150」発表、オプション満載モデルから見える同社のEVトラック戦略

フルサイズのピックアップトラックは、米国自動車業界の中核を成し、非常に注目を集める部門である。この部門では、Ford(フォード)F-150が販売台数で首位に立ち、Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)とRam(ラム)のピックアップトラックが急速にシェアを伸ばしている。

しかしトップへの道は厳しい。トラックに関しては、自動車メーカー各社がオプション機能と標準機能をパッケージ化して、目の肥えた顧客を獲得しようと激しくしのぎを削っていることはあまり知られていない。そして現在、これらのパッケージ化されたバンドルは、これまで以上に車載技術に大きく依存している。

トップセラーであるフォードは、最も目の肥えたお得意様を失うことなく、オプション機能を追加しなければならない。最近の試乗で気づいたのだが「2021 F-150」はこの取り組みを象徴しており、今後発表される完全EV版ピックアップトラック「F-150 Lightning(ライトニング)」に何が搭載されるかを示唆している。

筆者は同モデルが開発・製造された場所から約32キロ離れたデトロイト郊外で、3.5L V6 PowerBoost Full Hybrid(パワーブースト・フルハイブリッド)エンジンを搭載した2021 4×4 SuperCrew Lariat(スーパークルー・ラリアット)を試乗した。

ピックアップトラックの細部へのこだわりは、自動車メーカーのカスタムパッケージング技術によって実現している。目がくらむような数のオプションパッケージがあるのもそのためだ。筆者が試乗したF-150も例外ではなかった。F-150では、6つの異なるパワートレイン、3つの荷台の長さ、3つのキャブオプション、8つのトリムレベル、二輪駆動と4輪駆動オプションを用意している。

こうしたオプション重視の戦略は、フォードのような自動車メーカーには良い結果をもたらした。しかし自動車メーカーが技術やソフトウェアを追加することにより、最も忠実な顧客に混乱を招くリスクがある。

スクリーンセーバー

フォード2021 F-150の車内(画像クレジット:Ford Motor Company)

コアとなる顧客にとって機能的テクノロジーは非常に重要である。F-150がそのラインナップの他の車両と一線を画しているのはそのためだ。筆者が試乗した新しいモデルでは、標準装備のインフォテインメントシステム「Sync4」を搭載した12インチディスプレイがダッシュボードと顧客体験の中心に据えられている。

Sync4は、Mustang Mach-E(マスタング・マックE)と新型のFord Bronco(フォード・ブロンコ)に導入された。Syncは、2007年のリリース以来、よりシンプルなユーザー体験を実現するために着実に改善されてきた。Sync4では、計算能力が倍になり、無線でのソフトウェア更新が導入された。

同システムは、2万の都市と150の国の交通、工事(ミシガン州の夏では常に行われている)、天候、駐車場の空き状況に関して、INRIXからデータを入手している。

同システムで使用されている自然言語処理は、音声ベースの問い合わせや受信したSMSメッセージに対して、かなり正確に応答した。1つ注意すべき点は、筆者の試乗車両は直近の数週間、複数のドライバーによって使用されたため、機械学習アルゴリズムの良し悪しを判断するのが難しかったことだ。

インフォテインメントについては、筆者はどの試乗でも大抵、呼び出しやすいApple CarPlay(アップル・カープレイ)をAndroid Auto(アンドロイド・オート)とともに利用している。Apple CarPlayはF-150にワイヤレスで接続し、不注意運転を最小限にしてくれるからだ。2014年にCarPlayが、2015年にAndroid Autoが量産車両に搭載され始めて以来、AppleとGoogleがミドルウェアのインフォテインメントシステム競争で優位に立つのは避けられないように思われてきた。

Syncでは、サポート対象のアプリであるWaze(ウェーズ)とFord+Alexa(フォード+アレクサ)も設定できる。

関連記事:フォードが同社全体のデジタルトランスフォーメーション推進のためGoogle Cloud採用

運転技術

フルサイズのトラックを初めて運転するときは不安を覚えるかもしれないが、フォードはカメラ技術を使用して大型トラックを操作しやすくしている。画面が分割されているため、気弱なドライバーでも自信を持って狭い空間を移動できる。

5台の車載カメラがハンドル操作と駐車を支援するガイドとして機能する。上部からの360度ビューに組み込まれた鮮やかなグラフィックにより、ミラーでは不十分な位置の確認が可能だ。

ハンドルの後ろには約30センチのデジタルクラスタがある。筆者の心の片隅には、クラシックなピックアップトラックの昔ながらの計器を懐かしむ気持ちがあるが、それはフォードが目指している方向ではない。フォードが目指しているのは、Mustang Mach-EのAppleデザインにインスパイアされた美学に象徴される、未来志向の雰囲気である。

フォードは車内のデザインを通して、フォードが第一にテック企業であり、第二に120年の歴史を誇る自動車メーカーであることを主張しようとしている。このように熱心に美学を印象付けようとすることは、時間の経過とともに製品が古くなると、少々鼻につくようになるかもしれない。

フォードは「Active Drive Assist(アクティブドライブアシスト)」と呼ばれていた先進運転支援システム「Blue Cruise(ブルークルーズ)」を、ソフトウェアの自動アップデートにより2021年後半に車両に導入する予定だ。このシステムは、筆者が6月に試乗したモデルではまだ有効になっていなかった。ただしハードウェアは塔載されていた。

フォードによると、このシステムは、北米の道路16万キロの区間でハンズフリー運転を可能にし、Ford Co-Pilot360 Active 2.0 Prep PackageオプションでF-150 Limited車両に標準搭載される。またLariat(ラリアット)、King Ranch(キングランチ)、Platinum(プラチナ)の各モデルのオプションとして販売される。このシステムでは、GMのSuper Cruise(スーパークルーズ)に対抗して、ドライバーの方を向くカメラを使用して視線の方向と頭部の位置を追跡し、集中力を監視する。

最も重要な装置

2021フォードF-150車内の作業台(画像クレジット:Ford Motor Company)

長さ約30センチのスクリーンの下には昔ながらのノブやスイッチがある。これは顧客が依然としてさまざまな操作を手動で行うことを好んでいることを、フォードが知っているからだ。その下にはシフトレバーがあり、折り畳むと約38センチの作業スペースになる。筆者はそのスペースでノートパソコンを使っていた。

車内には豊富な充電ステーションとワイヤレス充電設備がある。F-150室内は広々としており、隅々まで配慮が行き届いている。シートはフラットにできるため、車内で快適に昼寝をしたり、積み荷スペースを広げたりできる。

ダークグレーの革製シートは、特にフル装備の車両の場合、高級感よりも実用性が重視されているように感じられる(運転の楽しさと内装の美しさでは、ライバルのラムがフォードを凌ぐ傾向にある)。外装・内装とも機能性そのものを重視している。筆者は2つのカヤックを後ろに積み込んだとき、トラック荷台のバンジーコードにつなげるためのフックを見つけた。これは気が利いている。

トラック荷台の後部には240ボルトのコンセントが多数あり、車内にもさらに2つのコンセントが搭載されている。荷台のテールゲートには、メートル単位とインペリアル単位の両方の計算ができる便利な定規が組み込まれている。ハイブリッドモデルには、2.4キロワットの発電機が標準装備されており、オプションで搭載できる7.2キロワットの発電機は満タンのガソリンで32時間稼働する。

筆者はF-150の牽引能力をテストしなかったが、トラック運転手にとってはこの数字は不可欠だ。積載量は約961キロで、最大約5760キロを牽引できる(この数字は荷台の長さとドライブトレインによって多少異なる)。またトレーラーとの連結をサポートするバックアップ牽引アシスト機能も備えている。筆者が運転したモデルの価格は6万8095ドル(約749万円)で、基準価格の5万980ドル(約560万円)から大きく跳ね上がっている。その一方で、フォードはよりハイエンドなF-150トリムであるLimitedを生産しており、その価格は7万3000ドル(約800万円)からとなっている。

優れた機能性

完全に電気自動車に移行するまでの間、すでにハイブリッドモデルを販売しているラムやシボレーと競争できるようにフォードを後押しするのがハイブリッドパワートレインだ。ハイブリッドオプションは、2022年に発売予定の完全EV、F-150 Lightningを受け入れる準備ができていない顧客向けの理にかなった妥協策である。すでに注目を集めていて、予約台数は12万台に達している。筆者の試乗では約37キロメートル / 3.8リットルを記録した。これはガソリン車よりも良い記録で、ディーゼル車以外のクラスでは最高の数値である。しかしこの数値でも、優れた排出量報告には遠く及ばない。だからこそF-150 Lightningが非常に重要になる。

関連記事:フォードの電動ピックアップトラックF-150 Lightningの予約が12万件超え

新たなEV顧客を獲得するために、フォードは、現在道路で目にするあらゆる種類のトラックを購入する既存の顧客を満足させる必要がある。ピックアップトラックには2種類の顧客がいる。毎日の仕事や週末にピックアップトラックの機能を使いたい人たちと、災害時に役立つ機能を求める人たちだ。筆者が試乗したトラックは、その両方にアピールすることができる。

F-150はこれまでも、家の修繕計画、アウトドアの趣味、牽引を目的とする購入者に適していた。またピックアップトラックは頑丈で機能的な車両を必要とする労働者もサポートする。フォードがこのモデルに何か新しい機能を導入するときは、大々的に宣伝して、こうした顧客がマイナーチェンジをどのように感じるかについて大きな賭けをする。

黒で統一された2021 F-150 Lariat車内(画像クレジット:Ford Motor Company)

6月下旬にF-150を借りているとき「安全を求める買い手」という言葉が頭に浮かんだのだが、最後にそのことについて書こうと思う。実は、筆者の試乗期間中に夏の嵐がミシガン州を直撃し、主要な高速道路は閉鎖され、何日も立ち往生した車もあった。

嵐の前、大きくゆったりしたハンドル操作、幅広い旋回、ハイブリッドエンジンの回生時に起きる静けさのリズムに慣れるために、筆者は街を疾走していた。

嵐が来たとき、筆者はスロットルを緩め、安定した確実なペースで、手を2時と10時の位置に置いて運転した。ロッジフリーウェイでは、乗用車と、F-150より性能の劣るクロスオーバーSUVが約60センチの水に浮かんでいた。F-150は、泥の中を何事もないかのように突き進んだ。筆者は横滑りやエンストは経験しなかったが、筆者の友人は、Uberのドライバーが立ち往生してしまい、歩いて帰らなければならなかった。F-150は、自然災害時に安全を確保したい人にとって試験台のようなモデルだ。F-150には発電機が装備されているため、気持ちがさらに落ち着く。

フルサイズのトラックはドライバーに無敵感を与える資質がある。それが結局のところ、F-150が人々に愛される理由であり、フォードが「Ford tough(フォードはタフ)」というキャッチフレーズを多用している理由である。フォードは、余分な飾りのないシンプルさを備えながら、力強さと実力、心の平安を感じさせるトラックを顧客にとって魅力的な価格で提供するという、絶妙なバランスを保っている。

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画像クレジット:Tamara Warren

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

モントレー・カーウィーク開催、未来のEVと高性能ハイブリッド車が注目を集める

現地時間8月15日(日曜日)に閉幕したMonterey Car Week(モントレー・カー・ウィーク)では、ペブルビーチにコンクール・デレガンスが戻ってきた。太平洋を望むペブルビーチ・ゴルフコースで開催され、2021年で70回目を迎えるこのショーでは、黒の1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurierがベストショーの栄冠に輝いた。しかし、2021年目立ったのは、ビンテージカーではなく、EVハイパーカーや高性能ハイブリッド車である。

絵画のように美しいモントレー半島一帯で、自動車レース、展示、パレード、販売を中心としたさまざまな催しが一週間以上も開催されるモントレー・カーウィーク。このペブルビーチのイベントは年を追うごとに華やかになり、2020年は中止となったが、2021年は(新型コロナウイルスの蔓延が懸念されていたにもかかわらず)シャンパンが振る舞われた。

デルタ型変異ウイルスの懸念を受け、2021年8月初めにニューヨークモーターショーの中止が決定した際には、モントレー・カーウィークも中止になるのではないかという憶測が流れた。しかし、秋に向かって先行き不透明なパンデミック禍でもショーを行う必要があることから、カーウィークは事実上のショーとして開催された。

2021年8月15日、ペブルビーチで開催された「2021年ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で、ベスト・オブ・ショーを受賞した1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurier(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

コンクール・デレガンスまでの数日間、カーメルやモントレーの街は静かで人通りも少なく、走行しているビンテージカーも少ないように感じられた。駐車スペースでは、ランボルギーニやベントレー、フェラーリなどのモダンカーがスタンバイしていた。霧のような雨と低い気温にもかかわらず、ほとんどが屋外で行われたイベントでは、多くのゲストがマスクをつけたり外したりしていた。日曜日になると、大勢の観客がやってきて、コンクールは例年のような賑わいとなった。

メインイベントであるペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、かつては戦前のレストアされたビンテージカーを対象としたイベントだったが、世代や嗜好の変化に伴い、会場のゴルフコース上には新車も登場するようになった。来場者の年齢層が若くなったことから、今では高性能なスポーツカーが数多く展示されている。

8月13日(金曜日)の夜に行われたGooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークションでは、1995年式マクラーレンF1が2000万ドル(約22億円)という記録的な高値で落札された。一方、自動車メーカー各社は、高額なスーパーカーの限定モデルを、メディアやプライベートイベントに参加している上顧客に向けて、慌ただしく発表した。

Lamborghini(ランボルギーニ)のCTOであるMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)氏は「ペブルビーチは要です」と話す。「ペブルビーチのイベントは、車の美しさという側面で、人々が何を好んでいるかを教えてくれます」。

注目すべきは、現地時間8月11日(水曜日)、Audi(アウディ)が未来的なSkysphere conceptを展示したことだ。金曜日にはMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)が、カリフォルニアスタイルの新しいコンバーチブルSLをプレビューしたが、このモデルは9月まで正式には発表されない。Aston Martin(アストンマーティン)は、ペブルビーチのゴルフコースを見下ろす広々としたスタンドで「Valkyrie」と「Valhalla」のモデルを展示したが、モデルを間近で見ることができたのはメディアと十分に吟味された顧客のみだった。

Rimac Automobili(リマックアウトモビリ)とLucid Group(ルシードグループ)の両社は、最も高価なEVパワートレインに投資する余裕のある潜在顧客と接触するためにペブルビーチに登場。Rimacは台座の上に圧倒的なスピードを誇るスポーツカー「Nevera」をデビューさせた。2021年のモントレー・カーウィークは、モダンカーと新しいプレイヤーが、周りの古い車を追い抜いてしまったように見えた。

超高級車に対する1年越しの鬱積した需要の高まりの中で、モントレーやカーメル周辺のレーストラック、道路は、パンデミック禍で購入したすべての車を披露できる最高の舞台だ。オークション価格が高騰し、7桁台(日本円では1億円以上)のスポーツカーが完売する中、ハイパフォーマンスカーへの情熱が衰えていないことが明らかになった。今回、ペブルビーチでお披露目された新車には、高価格、スポーツカーテクノロジーの集結、生産台数が少ないという共通点がある。以下、ハイライトを紹介する。

Aston Martin

画像クレジット:Tamara Warren

ここ数年、何度か延期されていたAston Martin Valkyrie Spiderだが、新CEOのTobias Moers(トビアス・ムアース)氏によってすでに完売したと発表された。Valkyrieは、取り外し可能なルーフパネルを備え、最高速度は時速350kmにも達する。パンデミック中にCEOに就任したムアース氏は、同社の生産方法を大幅に改良している。

ムアース氏は、新しい車載技術を加えることはブランドの将来にとって不可欠であり、それによって前世代のメルセデス・ベンツの技術から脱却できると話す。Astonのブースでは、ハイブリッドパワートレインを搭載したValhalla(2024年モデル)も展示されていた。

Audi Skysphere

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」(カリフォルニア州カーメル)に出展されたEVコンセプトカー「Audi AG Skysphere」(画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg)

自動運転のコンセプトカー「Skysphere」は、ビンテージカーのコンクールというよりも、CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)に出展されているような印象を受けたが、ペブルビーチで発表された車の中で、最も興味深い車として注目を集めていた。Audiによれば、グランドツーリングモードとスポーツモードでホイールベースを変化させられるとのこと。

Bentley Flying Spur Mulliner

Bentley Flying Spur Mulliner(画像クレジット:Bentley)

Bentley Flying Spur Mullinerの豪華なインテリアは、贅沢なレザーで賛辞を集めたが、Bentley(ベントレー)にとって重要な意味を持つのはハイブリッドパワートレインを搭載するというニュースだ。

Bugatti Bolide

2021年の「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」でBugatti Bolideの横に立つBugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)のプレジデント、Stephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏(画像クレジット:Bugatti)

Bolideはペブルビーチではなく、金曜日にザ・クエイルで開催されたプレスカンファレンスで発表された。超高級自動車メーカーにとって、新型車は大きな意味を持つが、特に最後のガソリン車となるモデルは重要である。Bugattiによれば、Bolideは40台製造され、価格は1台400万ドル(約4億4000万円)。最高速度は時速480kmにもなるという。

Lamborghini Countach LPI 800-4

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された「Lamborghini SpA Countach」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

デビュー50周年を記念し、初代モデルをオマージュしてデザインされたCountach。ボンネットの中には2.8秒で時速100kmに達するというハイブリッドパワートレインを搭載した、まったく新しいモデルである。

Acura NSX Type S

Acura NSX Type S(2022年モデル)。(画像クレジット:Acura)

Acura(アキュラ)は、現行最後のスーパーカー「NSX」の最終モデルとして、ハイエンドのハイブリッドバージョンを発表した。350台限定生産を予定し、価格はおよそ17万1000ドル(約1900万円)から。

Rimac Nevera

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された高級EVスーパーカー「Rimac Nevera」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

Rimacは、244万ドル(約2億7000万円)のEVスーパーカー「Nevera」を米国でデビューさせ、モントレーにその名を刻んだ。Rimacによると、Neveraはフル充電で最大400マイル(約640km)走行可能で、最高速度は時速258マイル(約410km)とのこと。モントレーでのRimacの華やかな存在感は、かつてはビンテージカーの象徴だったペブルビーチで、競争相手を凌駕する新たなEVプレイヤーが求められていることを示している。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

電気自動車のバッテリー交換サービス拡大に向けENEOSも出資するAmpleが176億円調達

サンフランシスコを拠点とするAmple(アンプル)は、バッテリー交換サービス拡大に向けシリーズCで1億6000万ドル(約176億円)を調達した。電気自動車(EV)の使用方法を全面的に見直したいと考える8年目のスタートアップである同社にとって、これまでで最大のラウンドとなる。

Ampleのアプローチは比較的単純だ。同社のモジュール式バッテリーパックを搭載した車が、Ampleの自動充電ポッドのある場所に行き、消耗したバッテリーをフル充電されたバッテリーと交換する。交換されたバッテリーはポッドの中で充電され、別の車に再装着される。

Ampleのバッテリー交換モデルは一見シンプルだが、同社はEVのバッテリーをまったく別の方法で考えることを提案している。同社はEVのバッテリーを、iPhoneのように充電が必要なものではなく、デジタルカメラのバッテリーのように交換可能なものにしたいと考えている。

米ドルで9桁の資金調達は、投資家が注目していることの表れだ。今回のシリーズCでは、Moore Strategic Venturesがリードし、タイの国営石油・ガス会社であるPTTとDisruptive Innovation Fundが参加した。既存の投資家から、日本の石油・エネルギー会社であるENEOS、シンガポールの公共交通機関であるSMRTも参加した。Ampleの資金調達総額は2億3000万ドル(約253億円)となった。

「我々は、電気自動車に大きな問題があることに気づきました」とAmpleの共同創業者John de Souza(ジョン・デ・スーザ)氏は話す。

業界の対応としては、DC急速充電器のような技術が開発され、充電時間を20~30分に短縮することに成功した。だがデ・スーザ氏は、充電時間の短縮は根本的な問題を解決するものではないという。「急速充電は大量の熱を発生させます。送電網はそれをサポートしていません」と同氏は語る。「仮に5分で充電できるバッテリーができたとしても、非常に強力な充電器が必要ですし、そのためにはあらゆる場所に発電所が必要になります」。

現在、Ampleはフリートに取り組んでいる。ベイエリアでは、Uberのドライバーが参加する5つのバッテリー交換ステーションを運営している。またニューヨークでは、タクシーやラストマイル配送向けEVレンタル会社であるSallyと提携した。だがAmpleは、このバッテリー交換サービスが一般消費者にも適していると考えている。Ampleの共同創業者であるKhaled Hassounah(カレド・ハスナ)氏は、バッテリー交換が、アパートに住む人など、充電設備が整っていない個人消費者にも有効だという。「私たちは、すでに製造されたEVではなく、これから発売される車により力を入れます」と同氏は付け加えた。

関連記事:10分で満充電にできるEVバッテリー交換のAmpleがENEOSと日本国内での交換インフラ展開、運営で提携

Ample. Ampleの共同創業者であるジョン・デ・スーザ氏とカレド・ハスナ氏

Ampleはモジュール式システムを採用しているため、ドライバーは必要な分だけバッテリーを持ち歩けばよいという。これは、同社にとって、バッテリーの無駄遣いを減らし、車両の重量を減らすことを意味する。

Ampleのビジョンの多くは、自動車メーカーの賛同を得られるかどうかにかかっている。例えば、個人が自動車を購入する際、自動車メーカーは固定式バッテリーか、Ampleのバッテリーシステムを搭載した車両のいずれかを提供することになるとAmpleは想像している。

同社によると、このアプローチは、自動車メーカーと直接連携して10種類の車種で検証しており、いずれも車両の改造を必要とするものではないという。電圧ケーブルや冷却ラインなど、バッテリーと車の間に変更が必要なインターフェースがないわけではないが、実際のEVのアーキテクチャーは思ったよりもシンプルだ。

「自動車メーカーのマーケティング部門は、『これは超高性能バッテリーで、車と非常によく統合されており、切り離すことはできない』と言いたがります」とハスナ氏は話す。「実際のところは、完全に別個に作られています。テスラを含む自動車のすべてのバッテリーがそうです」。

「私たちは、システムをさまざまな車両とのインターフェースが容易になるよう開発し、バッテリーコンポーネントを車両からいわば抜き出しました」と同氏は付け加えた。

現在、Ampleは自動車メーカー5社と提携しており、その中には「世界最大級の自動車メーカーも含まれています」とデ・スーザ氏は話す。「フリートからの需要の高まりは、車の販売に熱心な自動車メーカーとの対話と密接に関係している」と付け加えた。

EVのコストの多くをバッテリーシステムが占めるため、これは魅力的な提案となるだろう。中国の自動車メーカーNio(上海蔚来汽車)は、このアイデアを市場に導入した。同社では、車両にバッテリーがある・なしを選んで購入できるオプションを提供している(後者の場合、Nioはバッテリーをリースする)。リースの場合、車両価格を7万元(約118万円)安くできる。創業者のWilliam Li(ウィリアム・リー)氏は5月「Nioはすでに中国のドライバーのために240万台以上のバッテリーを交換した」と語る。

関連記事:中国EVメーカーNIOが国外初のマーケットとしてノルウェーに進出

今後の展望として、Ampleは純粋に拡大に力を入れている。新しい都市で大規模な顧客と一緒に展開するということだ。興味深いことに、デ・スーザ氏は、EVへの移行を望むが必要な充電インフラがない国の政府から多くの関心が寄せられていると話す。

「問題は、インフラ整備よりも、どうやって走行距離を伸ばし、自動車をより電気的にするかということです」とハスナ氏は語る。「100万台の急速充電器を設置しても、誰も使わないのであれば、何も達成したことにはなりません」。

画像クレジット:Ample

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがシボレー・ボルトEVに3度目のリコール、欠陥バッテリーから火災のおそれ

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、バッテリーセルの欠陥により火災のリスクが高まる可能性があるとして、さらに多くの電気自動車「Chevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)」のリコールを行っている。この最新のリコールは、米国時間8月20日にGMから発表されたもので、同社がユーザーにBolt EVのリコールを通達するのは、これが3度目となる。

7月に出された2度目のリコールは、2017年から2019年型のBolt EVが対象だった。今回はそれがさらに拡大され、新たに2019年型のBolt EVが9335台と、2020~2022年型のBolt EVおよびBolt EUVが6万3683台、対象に含まれた。

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「GMに供給されたこれらの車両用バッテリーには、まれに同一バッテリーセル内に、破損した陽極タブと折れたセパレーターという2つの製造上の欠陥が存在する可能性があり、これによって火災の危険性が高まる」と、GMはニュースリリースで発表した。この問題については、バッテリーセルのサプライヤーである韓国のLGと協力しているとのこと。

GMでは、これまでのリコール対策費用としてすでに見積もられている8億ドル(約878億円)に加え、今回のリコールによりさらに10億ドル(1098億円)の費用がかかると見込んでいる。

同社は2021年8月初めの決算説明会で、Boltに搭載された欠陥バッテリーの修理に関連する費用が、前四半期の保証費用13億ドル(約1427億円)の大半を占めていると述べていた。

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GMはBoltのドライバーに対して、充電を最大90%に制限するとともに、航続可能距離が70マイル(約113キロメートル)以下にならないようにしておくことを推奨している。また、火災の危険性があるため、充電が済んだらすぐに屋外に駐車し、屋内で一晩充電したままにしないように勧めている。米運輸省高速道路交通安全局は、Boltのドライバーに向けて、火災のリスクを減らすために、車を家から離れた場所に駐車するようにと、独自の勧告を発表した。

画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロモビリティシェア大手Birdが約25万円の一般向け電動アシスト自転車を発売

電動マイクロモビリティのシェアリングサービスを提供するBird(バード)は、新たにコンシューマー向けのeバイク(電動アシスト自転車)を発表した。これは、同社がシェアモデルではなく、個人向けの車両を販売する初めての試みだ。

この自転車の名称は、2021年6月にリリースしたばかりのシェア方式電動アシスト自転車と同じ「Bird Bike(バードバイク)」。シェアモデルと同様に自社で設計しているが、製造パートナーは明らかにしていない。数量限定で、Stealth Black(ステルスブラック)とGravity Gray(グラビティグレー)の2色を用意し、米国時間8月19日から2299ドル(約25万2000円)で販売している。Birdは、この電動アシスト自転車の初期オーダーをどの市場から納品するかは明らかにしていないが、2021年の秋には米国各地の小売店で広く販売したいと考えているという。

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電動自転車市場は、2026年までに680億ドル(約7兆5000億円)近くに達すると予想されているのに対し、バイクシェア市場は同年までに138億ドル(約1兆5000億円)程度にとどまると予想されていることから、Birdの発表はそうした財政的な理由によるものと考えられる。2021年5月に提出されたSPAC書類では、収益が大幅に悪化し、その結果、純損失を計上していたため、同社はマイクロモビリティの有名企業としての地位を活用し、事業内容を多様化することで収益性の向上を図ろうとしているようだ。

バード社のS-4 SEC提出書類によると、この新しい電動アシスト自転車はBirdの事業の約10%を占める消費者向け製品ポートフォリオの一部となっているが、同社はなぜ消費者向け事業を立ち上げることにしたのかという説明を求めるリクエストには答えなかった。とはいえ、Birdが手を広げようとするのは今回が初めてではない。2019年に、Birdはeスクーターの月額制サブスクリプションサービスを発表したが、それが軌道に乗ることはなかった。

Birdの創業者兼CEOであるTravis VanderZanden(トラヴィス・ヴァンダーザンデン)氏は声明の中でこう語った。「交通手段の未来はオール電化です。Birdの消費者向け製品とシェア製品を電動アシスト自転車だけでなくeスクーターも含めて拡大することで、5マイル(約8km)以下の年間数十億回の移動のために、当社は環境に優しい交通手段への革命をリードするユニークな立場にあります。今回の新しい電動アシスト自転車によって、当社が今日シェアードサービスを提供するために提携している300都市を超え、人々がマイクロEVを受け入れる機会を増やしていきます。当社の電動アシスト自転車は安全性と耐久性に優れ、スタイリッシュな美しさと高度な技術を備えており、渋滞の原因となるガソリン車に代わる楽しい乗り物を提供します」。

VanMoof X3と同程度の価格のBirdの電動アシスト自転車は、LGセルを採用した12.8Ahのバッテリーを搭載し、最大50マイル(約80km)の航続距離を実現しているという。ステップスルーとステップオーバー両方のアルミ合金フレームから選べ、Kenda社製の耐パンクタイヤを採用している。ペダルアシストは時速20マイル(約32km)まで可能で、厄介な坂道にはサムスロットルが用意されている。ハンドル下の液晶パネルには、速度、距離、バッテリー残量が表示され、BirdアプリとのBluetooth接続により、LEDライトの点灯・消灯、バッテリー残量、走行距離の確認が可能だ。

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画像クレジット:Bird

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)

GMとAT&Tが2024年モデルから一部の車両に5G接続機能を提供すると発表

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)とAT&Tは、2024年モデルから、Chevrolet(シボレー)、Cadillac(キャデラック)、GMCの一部の車両に5G接続を導入する予定だと発表した。両社によると、これによりソフトウェアアップデートの信頼性が向上し、ナビゲーションやダウンロードが高速化され、道路上でのカバレッジも向上するとのこと。

5Gアーキテクチャーの導入は2019年モデル以降の4G LTE搭載のGM車にもメリットをもたらすと、経営陣はメディア向け説明会で述べている。一部のモデルの所有者は「利用可能になった時点で、新しいネットワークインフラに簡単に移行できる」と両社はニュースリリースで述べた。

GMのグローバルコネクテッドサービス担当VPであるSantiago Chamorro(サンティアゴ・チャモロ)氏は、米国時間8月18日に行われたメディア向け説明会で「AT&Tがインフラを改善することでパフォーマンスが底上げされ、2019年モデルイヤー以降の4G機能を搭載した車両も、パフォーマンス向上を実感できるようになるでしょう」と述べた。

5G技術は、さまざまな産業分野で速度の向上とレイテンシの低減を約束するものとして、多くの誇大広告を生み出した。この次世代技術は、今よりはるかに早く世界を変えるだろうと誰もが考えていた。しかし、ネットワークの展開が予想以上に遅かったこともあり、実際にはまだ実現していない。今回の発表は、少なくともAT&Tが、2024年までに「数百万台」のコネクテッドカーに対応できるだけの5Gネットワークを構築すると考えていることを示す明確なシグナルであるといえる。

GMのグローバルコネクテッドサービス担当エグゼクティブディレクターであるTom DeMaria(トム・デマリア)氏は、この性能向上のためにGMが車両に大幅なソフトウェアアップデートを強いる必要はなく、車両は「シームレスに移行される」と付け加えた。

多くの自動車メーカーの市場計画では、より高速で信頼性の高いコネクティビティが鍵を握っている。これらの計画では、オーディオシステムから(EVの場合は)バッテリーまで、すべての機能を維持するために、ほぼ全面的に複雑な車載ソフトウェア機能とワイヤレスネットワークでの無線アップデートが必要となる。また、先進運転支援システムのような、自動車メーカーがドライバーに対して差別化を図るためのもう1つの重要な手段となりつつある技術にとっても、コネクティビティは重要な鍵となる。

GMは、SAEレベル2の機能を備えた「Super Cruise(スーパークルーズ)」と呼ばれるシステムを開発中だ。このシステムは、一定の条件を満たし、ドライバーが常に注意を怠らなければ、一時的に車両をコントロールすることができる。これは、Tesla(テスラ)のAutopilot(オートパイロット)に対するGMの回答と考えられるが、Autopilotと同様、決して「自動運転」ではない。これらの技術に加え、インフォテインメントなどの機能はすべて、GMがビークルインテリジェンスプラットフォームと呼ぶ、基盤となるハードウェアアーキテクチャーの下で動作する。

「ネットワーク接続は、GMがハードウェアとソフトウェアの両面で行っていることをうまく補完してくれるイネーブラーです」とチャモロ氏は付け加えた。

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バイデン大統領のEV販売目標達成に向けて、自動車メーカーが政府の投資拡大を要請
画像クレジット:zf L / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

バイデン大統領のEV販売目標達成に向けて、自動車メーカーが政府の投資拡大を要請

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は、2030年までに米国の新車販売台数の半分を低エミッションまたはゼロエミッション車にするという意欲的な新目標を発表するが、この計画について、ビッグ3の自動車メーカーは、政府による多額の支援が必要であるとしながらも、一定の支持を表明している。

General Motors(ゼネラルモーターズ)、Ford(フォード)、Stellantis(ステランティス、旧Fiat Chrysler)の3社は現地時間8月5日に共同声明を発表し、10年後までに新車販売台数に占める電気自動車の割合を40~50%にするという「共通の目標」を掲げた。ただし、この目標は「ビルド・バック・ベター(より良い復興)プランで政府が約束した一連の電化政策が適切に展開される場合にのみ達成できる」と注記されている。

具体的な投資としては、消費者へのインセンティブ、米国全土の「十分な量」のEV充電ネットワーク、研究開発への資金提供、製造・サプライチェーンへのインセンティブなどが挙げられている。

現地時間8月5日に大統領令として発表される予定のバイデン大統領の目標は、拘束力はなく、完全に自主的なものだ。この目標には、バッテリー、水素燃料電池、プラグインハイブリッドを搭載した車両が含まれる。

ホワイトハウスで開催される新しい目標に関するイベントには、自動車メーカー3社の幹部と全米自動車労働組合の代表者が出席。Elon Musk(イーロン・マスク)CEOのツイートによると、テスラは招待されなかったようだ。

ホワイトハウスが同日発表したファクトシートによると、バイデン大統領は、トランプ大統領の任期中に緩和された2026年までの乗用車および中・大型車の新しい燃費基準も強化する。この新基準は、米国運輸省と米国環境保護庁の管轄下で策定されるが、自動車メーカーにとっては驚きではない。この新基準は、すでにバイデン大統領の、いわゆる「Day One Agenda(初日のアジェンダ)」に含まれており、気候変動への取り組みの基礎となっている。

新基準は、2020年カリフォルニア州で可決された、自動車メーカー5社(BMW AG、Ford、本田技研工業、Volkswagen AG、Volvo AB)の連合体と協力して決定された基準を参考にしていると思われる。これらの自動車メーカーは8月5日、ホワイトハウスの排出量削減計画を支持するとした別の声明を発表したが、ビッグ3と同様、排出量削減目標を達成するためには、米国政府による「大胆な行動」が必要であるとしている。

2030年への道のり

Edmunds(エドモンズ)のインサイト担当エグゼクティブディレクターであるJessica Caldwell(ジェシカ・コールドウェル)氏は、声明の中で、バイデン大統領の拘束力のない命令は象徴的なものに過ぎないが、目標は達成可能であると述べ、自動車業界のリーダーたちは、誰が大統領であろうと、電化に関しては「以前から『壁に書かれた文字(不吉な警告の意味)』を見てきた」と続ける。

製品開発のリードタイムが比較的長いこともあり、大手自動車メーカーの多くが、少なくともこの10年の半ばまでは、EV(電気自動車)やAV(自動運転車)に数十億ドル(数千億円)規模の投資を行うことをすでに発表している。General MotorsFordは2025年までにそれぞれ350億ドル(3兆8000億円)、300億ドル(約3兆3000億円)の投資を発表しており、Stellantisも同様の発表を行っていることはいうまでもない。フォルクスワーゲンはバッテリーの研究開発に数十億ドル(数千億円)を投じており、さらにVolvo Cars(ボルボ・カーズ)は2030年までに全車を電気自動車に移行するとしている。

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これらの膨大な数字は、自動車メーカー各社の販売目標に沿ったもので、ほぼバイデン大統領の目標と一致している。

一方で、燃費規制については、これまで自動車メーカーの反応は芳しくなかった。General Motors、Stellantis(当時はFiat Chrysler)、トヨタ自動車の3社は、カリフォルニア州が独自の排ガス規制を設定する権限を剥奪しようとするトランプ大統領時代の訴訟を支持していたが、各社とも最終的には180度方針転換し、バイデン大統領は2021年、独自の基準を導入できることとなった。

本質的には、バイデン大統領の発表は気候変動と同様に地政学的な意味合いが強い。彼もまた、電気自動車に関しては「不吉な警告」を見ているのだ。バイデン政権は、ファクトシートの中で、電気自動車や電気自動車用バッテリーの材料について「中国が世界のサプライチェーンを支配しつつある」と指摘し「(中国を筆頭とする)各国は、電気自動車の販売目標を明確に設定することで、部品・材料から最終組立に至る製造部門に民間投資を呼び込む存在となっている」と述べている。

国際エネルギー機関(IEA)によると、米国では2020年、2016年の3倍の電気自動車が登録されたものの、電気自動車の市場シェアではヨーロッパや中国に後れをとっている。

このニュースにはさまざまな反応があり、その中には政権側にもっと断固とした行動を求める環境保護団体もある。Ceres(セレス)の交通部門シニアディレクターCarol Lee Rawn(キャロル・リー・ローン)氏は、将来的な規制は、二酸化炭素排出量を60%削減し、2035年までに電気自動車の販売を100%にするという「明確な軌道」を目指すべきという声明を出している。

現地時間8月5日にホワイトハウスでバイデン大統領と同席する全米自動車労働組合は、Ray Curry(レイ・カリー)会長が声明を出し「(同組合は)厳しい期限やパーセンテージではなく、米国の中産階級の心と魂を支えてきた賃金と福利厚生を維持することに焦点を当てている」と述べた。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

Waymo Viaがテキサス、アリゾナ、カリフォルニア州で自動運転トラックのオペレーションを拡大中

Alphabet(アルファベット)の自動運転部門であるWaymo(ウェイモ)は、テキサス州、アリゾナ州、カリフォルニア州での自動運転トラック事業を本格的に拡大するために、ダラスにトラック専用のハブを建設し、車両マネジメントサービスでRyder(ライダー)と提携するという2つの動きを行っている。

このニュースは、Waymoが自動運転プラットフォームWaymo Driver(ウェイモ・ドライバー)とそのチームの継続的な成長のために、25億ドル(約2754億円)の資金調達を発表してからわずか2カ月後のことだ。同社の広報担当者によれば、Waymoは、クラス8のトラック(約15トン以上)に搭載した第5世代のDriverのテストを強化していて、テキサス州ヒューストンとフォートワースを結ぶ州間高速道路45号線に沿ってJ.B. Hunt(J.B.ハント)などの運送業者の貨物を運搬し、Daimler Trucks(ダイムラートラック)と協力して堅牢なレベル4車両プラットフォームを開発しているという。Society of Automotive Engineers(自動車技術者協会)によると、レベル4の自動運転とは、あらかじめ設定されたエリア内限定なら人間がいなくても、車が自動運転可能であることを意味している。

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Waymoは、国内で最も忙しい地域の1つにサービスを提供するために、ダラス・フォートワースに、同社の自動運転トラック事業であるWaymo Via(ウェイモ・ビア)専用の9エーカー(約3万6000平方メートル)の新しいトラック輸送ハブの建設をすでに開始している。このハブは商用利用のためにデザインされており、同社がこの地域で規模を拡大し、より大規模で複雑な自動運転テストを実施する際には、何百台ものトラックを収容することが期待されている。Waymoは、このハブはテキサス州での事業をI-45(高速45号線)に沿って、I-10とI-20の間に展開するのに役立つとしている。この場所は、州境を越えた長距離路線をサポートし、Waymoのフェニックスのオペレーションセンターと連携するのに適した場所だ。Waymoは、来年の前半にこの施設に入居する予定だという。

ここで、Ryderとのパートナーシップの出番だ。ダラスのハブは、Waymo Driverのテストを行うだけでなく、Waymo Driverが幹線道路を走って、人間のドライバーがファーストマイルとラストマイルの配送を担当できるようにするための、自動運転と手動運転を組み合わせた高速道路の近くにあるトランスファーハブモデルをテストするための中心的な拠点となる。このモデルを拡大するには、高度な組織化が必要だが、Ryderの車両マネジメントサービスと、500以上の施設で標準化された車両メンテナンス技術が、その役目を果たしてくれるはずだ。

このパートナーシップには、新しいダラスの施設を含むWaymo Viaのすべてのハブとテストサイトにおける車両のメンテナンス、検査、ロードサイドアシスタンスが含まれている。Ryderの規模と影響力、そしてWeymoの自動運転車両データへのアクセスを使って、両社は自動運転トラックのメンテナンスと最適化されたパフォーマンスの青写真作りにも取り組んでいく。

Ryderのチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)で新製品開発責任者でもあるKaren Jones(カレン・ジョーンズ)氏は「このパートナーシップは、当初は車両メンテナンスに焦点を当てていますが、自動運転トラックの大規模展開を成功させるために、自動運転トラックの運用面で協力する機会はたくさんあると考えています」と述べている。「すでに、トラックのサービス性や、近い将来に計画しているトランスファーハブモデルに最適化できるように、Waymoのダラスの新施設のレイアウトやデザインについて協力しています。クラス8トラックの自動運転技術は急速に展開していて、Ryderはトラックの整備だけでなく、自動運転にともなう独自の物流管理においてもリーダーとなる準備を進めています」。

関連記事:Waymoは「自動運転」という表現をもう使わないと宣言するが業界には賛否両論

画像クレジット:Waymo

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

ドライバー監視システム需要を喚起する米国の新しい飲酒運転規制条項

2702ページに及ぶ10億ドル(約1106億4000万円)規模のインフラストラクチャ構築法案に、ドライバーがビールを2、3杯飲んだかどうかを検知するテクノロジーを新車に組み込むことを義務付ける条項が新しく追加され、ドライバー監視テクノロジーの開発に取り組んでいるメーカーにとって追い風となる可能性がある。

2021年に導入されたReduce Impaired Driving for Everyone Actと呼ばれる超党派の法律に追加されたこの条項により、米国運輸省は、各自動車メーカーに対して、テクノロジー安全基準を3年以内に確立するよう指示することになる。これを受け各メーカーは、その後2年以内に、同基準に従って、飲酒運転の検知 / 予防テクノロジーを実装することになる(ロイター通信社の記事による)。

この条項には、どのようなテクノロジーを組み込むことが求められるのかまでは明記されていないが、業界の専門筋によると、カメラベースのドライバー監視システム(DMS)を開発しているメーカーが最も有利になるという。DMSシステムはすでに自動車業界では成熟した技術であり、自動運転開発の副産物として生まれたものだ。自動車業界は将来的に死亡事故を大幅に減らす方法として自動運転車の開発に取り組んでいるが、提唱者や規制当局は、この技術には、飲酒運転や不注意運転など、存在する問題を解決する方法として利用する余地があると唱えている。

「今週上院で起こったことは、カメラベースのリアルタイムソリューションへの道を開く可能性を秘めています。今回の新条項の追加で、米国の自動車メーカーは初めて、飲酒によって人体に生じる生理的な変化をリアルタイムで監視する技術を保有し、それを要求されることになります」とSeeing Machinesの科学イノベーション最高責任者のMike Lenné(マイク・レンネ)博士はTechCrunchのインタビューに答えて語った。「飲酒後は、人が周囲の環境をスキャンする方法、目が刺激に反応する方法が信頼できるレベルで明らかに変化します。警察が飲酒の疑いのあるドライバーに「指の動きを追わせる」テストを実施しているのもそのせいです」。

こうしたシステムには、ドライバーの動きを監視して機能障害を検知し、検知されたら車の動きを予防 / 制限するタイプ、BAC(血中アルコール濃度)が法的上限値以上に達しているかどうかを調べ、必要なら運転を強制的に禁止するタイプ、両者を組み合わせたタイプがある。

近年登場した飲酒運転ソリューションはカメラを使ったものだけではない。

Automotive Coalition for Traffic SafetyとNational Highway Traffic Safety Administration(NHTSA)が共同で開発したDriver Alcohol Detection System for Safety(DADSS)プログラムでは、呼気または接触ベースのアプローチを使ってBACレベルを決定する方法を提唱している。接触ベースのアプローチでは、ドライバーの指先に赤外線を当てることで皮膚の表面を介してBACを計測する。DADSSによると、呼気ベースのアプローチは2024年までに、接触ベースのアプローチは2025年までクルマに搭載可能となる予定だ。

レンネ氏によると、BACレベルは上昇するまでに数分かかる可能性があるため、呼気や接触ベースのアプローチよりもカメラベースのアプローチのほうがはるかに精度が高いという。理論的には数杯飲み干した直後に運転しても、数値に現れるまでに数分はかかる。あるいは、運転中にアルコールが分解されてしまう可能性もある。それに、BAC検知では、薬物による運転能力の低下はまったく検出できない。

欧州と米国の比較

欧州では、カメラベースのDMSアプローチを使った飲酒運転検知テクノロジーを搭載するよう各自動車メーカーを促す動きがすでに始まっている。しかし、米国では、この種のテクノロジーに関する議論の大半は、ごく最近まで、運転支援およびレベル2以上の自動運転のためのDMSに重点が置かれていた(Society of Automotive Engineersによると、レベル2の自動運転とは、ステアリングや加速などの機能は組み込まれているが、ドライバーも運転に参加している必要があるというレベルである)。

DMS分野は、GMやフォードなどがハンズフリーの高度なドライバー支援システムを実装するなど、近年成長を遂げているが、上記の条項により、この成長が加速される可能性がある。

「組み込みという観点からすると、今回のテクノロジーは、現在OEM各社が、カメラベースのDMSで不注意運転や居眠り運転を防止するために行っていることとほどんど変わりありません。チップに新たな機能を提供するアルゴリズムが追加されるだけです」とレンネ氏はいう。

今すぐ使えるテクノロジー

「自動運転を実現するテクノロジーの開発にはすでに数十億ドル(数千億円)が費やされていますが、まだ実現には程遠い状態です」とMothers Against Drunk Driving(MADD、飲酒運転根絶を目指す母親の会)の政府業務担当最高責任者のStephanie Manning(ステファニー・マニング)氏はTechCrunchのインタビューに答えて語った。「しかし、その過程で、自動車メーカーは命を救うという意味で今すぐに使えるたくさんのテクノロジーを開発しました。この法案が通過すれば、救われる人命の数という点で米国国家道路交通安全局(NHTSA)がこれまでに行った最大の安全性規則が制定されることになります。今が絶好のタイミングです。これ以上待ったり、策定を遅らせたりすれば、それだけ死者の数が増えるだけです」。

このテクノロジーが市場に出るのはそれほど先ではない、とレンネ氏はいい、その点を認識している。Seeing Machinesは、GMのハンズフリー高度ドライバー支援システムSuper Cruiseで使用されているDMSを提供している。Super CruiseはCadillac(キャデラック)の1つのモデルのみで採用されていたが、機能拡張されてGMの製品ラインに組み込まれ、今ではキャデラックCT6、CT4、CT5、エスカレード、シボレー・ボルトでも採用されている。Seeing Machineのテクノロジーは、メルセデスベンツのSクラスおよびEQSセダンでも使用されている。

「これが規制化されれば、トップダウンで需要が生まれることになるため、この市場への参入企業が増えると予想されます」とレンネ氏はいう。「消費者の需要があるからではなく、すべてのクルマが一律にこうした安全性機能を備える必要が生じるため、市場規模は劇的に拡大し、ビジネスチャンスも広がります」。

IndustryARCによると、世界のDMS市場は、2021年から複合年間成長率9.8%で成長し、2026年までには21億ドル(約2323億円)を超えると予想される。こうしたインフラストラクチャ法案による規制によって生じるトップダウンの需要によって確実に需要は増大するものの、それによって問題の解決が容易になるわけではない。

「人の頭の中で起こっている反応を査定しようとするわけですから、30メートル前方にあるモノを見る前向きのレーダーとはまったく異なります」と同氏はいう。「ある人が安全に運転できるかどうかを判断しようとするわけですから、極めて難しい技術的な問題です。当社は創業21年になります。Smart Eye(スマートアイ)は創業10年以上になります。市場規模は急激に拡大しているものの、新規参入組にとってはハードルの高い難題です」。

新規参入組は、Seeing Machinesやスマートアイ(スウェーデンのコンピュータービジョン企業で業界筋によるとフォードと提携しているというが、フォードはこの点について明言を避けている)などの実績のある大手サプライヤーとの競争に直面することになる。IndustryARCは、他にも、Faurecia、Aptiv PLC、Bosch、Denso、Continental AGといったこの分野の主要プレイヤーの名前を挙げている。その一方で、イスラエル本拠のCipia(旧称Eyesight Technology)、スウェーデン本拠のTobii Techといった新興企業も市場への参入を図っている。

市場の成長余地

市場に参入する企業が増えるとテクノロジーの進歩が加速する。スマートアイが最近、感情検知スタートアップAffectiva(アフェクティバ)を7350万ドル(約80億円)で買収した事実は、将来、乗用車に搭載されるDMSがどのような形になるのかを示唆している。現在DMSが対象としているのは、不注意運転、居眠り運転、飲酒運転のみだが、数年以内に、薬物による身体機能障害、(アルツハイマーなどの)認識機能障害、さらには(あおり運転などの)ロードレイジも対象になると考えられる。

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アイトラッカーテクノロジー企業Tobii(トビー)は、先ごろ、DMS市場への参入を宣言した。DMS分野は、まず欧州、そして米国で法改正が行われる中、ここ数年、同社が研究を進めてきた分野だ。

トビーは、自動車分野へは新規参入組だが、アイトラッキング分野には2001から存在しており、マーケティング、科学研究、バーチャルリアリティ、ゲームなどの業界で事業を展開してきた。トビーの部門CEOであるAnand Srivatsa(アナンド・スリーヴァッサ)氏はTechCrunchに次のように語った。「最も難しいのは、目の形の異なるさまざまな民族を含め、さまざまな人口層にまたがって規模を拡大していくことです。当社は、自動車業界での経験はほとんどありませんが、こうした多様な需要に対応するという点では有利だと思います」。

「当社は創業以来の長い経験を経て、コンポーネントレベルからエンドソフトウェアまで、すべてをカバーする完全なソリューションの実現に必要な要素を備えています。当社の他の業務でこうした要素をこなしてきたからです」とスリーヴァッサ氏はいう。「自動車業界の当社の一部のパートナー企業は、この点をトビー独自の能力とみなしてくれています。例えば当社は独自のasix(モーションセンサー)やセンサーを作成しているため、アイトラッキングに必要なコンピューターについて説明することができます。当社はエンドユーザーソフトウェアも自社開発しているため、スタックの各構成部分が他に及ぼす影響や制約についても把握しており、それらを操作してより革新的なソリューションを実現することもできます。私はそれこそがこの分野で極めて重要な点になるのではないかと思っています。つまり、ソリューションの総コストを削減しながら、すべての車種に効率的にスケールさせるにはどうすればよいか、という点です」。

スリーヴァッサ氏はまた、アイトラッキングによって生成されるバイオメトリクスまたは生理的なシグナルは他の分野に応用する余地があることも指摘する。こうしたシグナルを使えば、外の道路の状況や車内で発生していることに基づいて情報を再構成し、ドライバーが道路状況に意識を集中できるようにシステムを最適化できる。

「私が理想としているのは、前方衝突警告、死角警告、車線逸脱警告などによって最も必要としているときにドライバーを支援してくれるテクノロジーです。つまり、ドライバーが独り善がりになったり、疲れたり、注意散漫になっていないかを察知し、そのときの状況に応じてシステムの動作、警告のタイミングなどを調整してくれる、そんなテクノロジーです」と Consumer Reportsの車両インターフェイス試験プログラムマネージャー兼車両接続 / 自動化担当責任者のKelly Funkhouser(ケリー・ファンクハウザー)氏はTechCrunchのインタビューに答えて語った。「と同時に、ドライバーが集中しているときに邪魔をしたり、うるさく言ってイライラさせたりしないテクノロジーにしたいと思っています。例えば歩道の歩行者に接触しないように意識的にレーンからはみ出して走行することはよくありますから」。

レンネ氏によると、車内で起こっていることを察知してドライバーの好みに合わせた快適な運転体験を提供するドライバー監視システムには大きな可能性があるという。

「こうしたシステムを作るには、より良い運転体験が描けることが何より重要です」と同氏はいう。「そうでなければ、消費者に受け入れられない危険を犯すことになります」。

既存のADAS(先進運転支援システム)の進歩

各自動車メーカーは、長年、飲酒運転テクノロジーに関していろいろと話題を提供してきた。2007年には、日産が飲酒運転コンセプトカーを発表した。これはアルコール臭センサー、表情監視、運転操作などによってドライバーの異常を検知するものだ。

同じ年、トヨタも同様のシステムを発表し、2009年までに搭載するとした。最近では、ボルボが2019年に、ドライバーが飲酒運転または不注意運転をしていないかを監視し、必要に応じてシグナルを送信して運転に介入できるようカメラとセンサーを搭載すると発表したが、このテクノロジーはボルボSPA2のハンズフリー運転アキテクチャー用に設計されたもので、まだリリースされていない。要するに、飲酒運転の防止と検知を義務付ける法律が制定されていない現状では、メーカーは、システムの構築に必要な大半の構成ブロックはすでに用意できているものの、実装のゴーサインを出すまでには至っていないということだ。

マニング氏は、これは安全機能を搭載するなら、何らかの見返りが欲しいというメーカー側の思惑があるからだと考えている。

「メーカー側は公道で最新テクノロジーを搭載した自社の車両をテストしたいが、飲酒運転の撲滅に金と時間とエネルギーを使いたくないのです。それは自分たちの責任ではないと感じているからです。彼らはこうしたルール作りには否定的なのです」と同氏はいう。「彼らはこのルール作りの過程で我々と必死で戦うつもりだということが十分に予測できます」。

GMやフォードの広報担当のコメントは得られなかったが、DADSSプログラムについてNHTSAと協力しているAlliance for Automotive Innovationの社長兼CEO John Bozzella(ジョン・ボゼラ)氏は「自動車業界は、路上の安全を脅かす飲酒運転の脅威に対応するための国と民間企業によるあらゆる取り組みを支援することに尽力しています」と答えた。

「我々は、連邦規制の選択肢としてNHTSAにすべての潜在的なテクノロジーの評価権限を与え、Motor Vehicle Safety Actに従って特定のテクノロジーが乗用車向けの規格を満たしているかどうかを十分な情報に基づいて判断できるようにする、議会指導者やその他の利害関係者による法律制定の取り組みを評価しています」。

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画像クレジット:Volvo Car Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

テスラの「完全」自動運転という表現に対し米上院議員がFTCに調査を要請

2人の民主党上院議員が、今度の連邦取引委員会(FTC)の議長に、Tesla(テスラ)のオートパイロットとフルセルフドライビング両システムの自動運転能力に関する、同社の声明を調査するよう求めた。上院議員Edward Markey(エド・マーキィー)氏(民主党・マサチューセッツ州)とRichard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)氏(民主党・コネチカット州)は、クルマに完全な自動運転能力があると顧客に誤解させかねないTeslaの文言に対して特に懸念を表明している。

「Teslaのマーケティングは、自社の自動車の性能を繰り返し誇張しており、こうした表現は、自動車運転者や他の道路利用者に対する脅威となっています。したがって私たちはTeslaの運転自動化システムの広告およびマーケティングにおける欺瞞的で不公正な行為の可能性について調査を開始し、道路上のすべてのドライバーの安全を確保するために適切な執行措置をとることを強く求めます」と両議員はFTCに対して述べている。

FTCの新議長Lina Khan(リナ・カーン)氏に宛てた書簡で両氏は、Teslaが2019年にYouTubeの同社チャンネルにポストしたビデオを問題視している。Teslaの自動運転を見せるそのおよそ2分のビデオは「Full Self-Driving」(完全な自動運転)と題され、1800万回以上視聴された。

両議員によると「同社の主張はTeslaのドライバーと、旅をするすべて人たちを重傷や死の危険にさらしている」という。

Teslaと公式の調査は、雨が降れば土砂降りになるといった関係だ。例えばこの書簡が発表されたわずか2日前には、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が、Tesla車が駐車している緊急車両に衝突した事件の予備調査を開始している。

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リナ・カーン氏は、これまで最も若いFTCの議長だ。彼女は多くの人たちから、反トラスト法で学位を持つことなどから、近年で最も先進的な起用だと考えられている。しかしFTCがTeslaを調査することになったら、そのケースは反トラスト法と何ら関係がなく、むしろ消費者保護に該当することになる。製品に関する企業の、偽のあるいは誤解を招きかねない主張の調査は、確かにFTCの守備範囲だ。

Teslaの主張に対してFTCに公開調査を求めた著名人や機関は、今回が初めてではない。2018年には、2つの特定利益団体Center for Auto SafetyとConsumer Watchdogが、やはり同委員会にAutopilot機能のマーケティングに関して書簡を送った。2019年には上記交通安全局がFTCに、TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏によるModel 3の安全に関する主張が「不公正または欺瞞的に相当しないか」調査するよう主張した。

Teslaの「Full Self-Driving」(完全自動運転)は、代価の一部またはサブスクリプションとして1万ドル(約110万円)を課金される。現在、同社はそのバージョン9のベータテストを数千名のドライバーで行っているが、上院議員たちはベータも対象にしている。「ベータ9へのアップデートの後でドライバーたちはビデオをポストしたが、それによると、アップデートされたTesla車は予想外の動作をして、衝突を防ぐためには人間の介入を必要とした。マスク氏がソーシャルメディア上に目立たないように置いた生ぬるい警告は、ドライバーを誤導し、路上の全員の命を危うくしたことの言い訳にはならない」という。

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タグ:民主党Tesla自動運転FTCオートパイロット

画像クレジット:Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

LG Energy Solutionが豪州企業とニッケルとコバルトの購入契約を締結、EV用バッテリー製造のため

韓国のLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)は、豪州の鉱山会社と6年間にわたるコバルトとニッケルの購入契約を締結し、電気自動車用バッテリーの製造に必要な主要鉱物の安定供給を確保した。

LG Chem(LG化学)の子会社であるLG Energyは、2024年末からAustralian Mines Limited(オーストラリアン・マインズ・リミテッド)から7万1000ドライメトリックトンのニッケルと7000ドライメトリックトンのコバルトを購入する。これは、1回の充電で310マイル(約500キロメートル)以上の走行距離を持つ130万台のEV用のバッテリーを作るのに十分な原材料だ。

LGエナジーソリューションのCEOであるJong-hyun Kim(ジョンヒョン・キム)氏は「近年、世界中で電気自動車の需要が高まる中、重要な原材料を確保し、責任あるバッテリーサプライチェーンを構築することは、業界内での支配力を高めるための重要な要素となっています」と述べた。

この材料は、Australian Minesがクイーンズランド州で15億豪ドル(約1200億円)を投じて開発中のスコーニプロジェクトから調達する。このプロジェクトでは、ろ過した尾鉱を保管するために「ドライスタッキング方式」を採用している。鉱石を地域の水源に投棄したり、地下の採石場に埋めたりするのではなく、ドライスタッキングによって廃棄物から水分を取り除き、砂状の物質にして管理施設で安全に保管する。

LG Energyは声明で「ドライスタッキング法は、建設費や維持費などがかかるため、従来の方法に比べてコストは高いものの、環境に優しい原料採取方法だと考えられています」と述べた。

本契約の唯一の条件は、Australian Minesが2022年6月末までに本プロジェクトの建設資金を確保することだ。融資が確保された場合、この契約は同サイトの予想生産量のすべてを占めることになる。

なお、両社は相互の合意により、契約をさらに5年間延長するオプションを有している。

LG Energyは、世界最大級のバッテリーおよびバッテリー材料メーカーであるLG Chemの子会社だ。同社は2021年7月にバッテリー事業、特に負極材、分離膜、正極バインダーの生産に6兆ウォン(約5570億円)を投じたと発表した。また、2021年夏の初めには、Queensland Pacific Metals(クイーンズランド・パシフィック・メタルズ)と、10年間にわたり年間7000トンのニッケルと700トンのコバルトを購入する契約を締結した。契約は120億ウォン(約11億円)の価値があるとされている。

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LG Chemは、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、General Motors(ゼネラルモーターズ)、Tesla(テスラ)などを顧客としている。LG Chemは、世界のバッテリー市場が今後数年間で拡大し、2021年には39兆ウォン(3兆6200億円)、2026年には100兆ウォン(9兆2800億円)になると予想している。

原材料確保を目指すのは大手企業だけではない。Teslaはバッテリー原料を独自に確保するため、7月にコモディティ生産大手のBHPと西オーストラリア州の鉱山からニッケルを調達する契約を結んだ

また、LG ChemとGeneral Motorsとの合弁会社であるUltium Cells(アルティアム・セルズ)のように、OEMメーカーがバッテリーメーカーと提携してバッテリーを開発するケースもある。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

EVスタートアップCanooがオクラホマの工場で量産準備を進める

EV(電気自動車)スタートアップのCanoo(カヌー)は、数百名の従業員を雇用し、生産開始に向けての準備を進めているが、バッテリーサプライヤーの決定などの重要なマイルストーンが残っていることが、第2四半期の業績報告書で明らかになった。

Canooは業績報告に数週間先立って、初めてIRイベントを開催し、オランダの VDL Nedcar(VDLネドカー)をライフスタイルビークルの製造委託先として発表していた。この発表の際には、CanooはVDL Nedcarの施設で、2022年には欧米市場向けに最大1000台を生産し、2023年には1万5000台を目標にするという見積もりを出していたが、米国時間8月16日の業績報告会では、CEOのTony Aquila (トニー・アクイラ)氏が、現在は2023年に2万5000台の生産を見込んでいると述べた。

またCanooは、ピックアップトラックと多目的配送車の生産のために、同社が「メガ・マイクロファクトリー」と呼ぶ工場を、米国に工場を建設する計画の最新情報についても説明した。6月に同社は、オクラホマ州に最初の工場を建設する計画を発表していた。オクラホマ州は、この施設と生産の第2段階を支援するために、3億ドル(約327億6000万円)分の非希釈性の投資を約束している。

関連記事:電気自動車のCanooがオクラホマに工場を建設、2023年から生産開始

「この2つの目立った戦略が重要なのは、いくつかの理由があります」とアクイラ氏は業績報告会で述べた。「新しいOEMのNedcarと協力することで、生産プロセスを洗練させることができます。またオクラホマ州の製造工場に展開される生産の専門性を強化すると同時に、製造業務を地理的に多様化し、変化する市場の需要に適応するために、コミットメント、製品、数量を増やし、販売における柔軟性を作り上げることができるようになります」。

アクイラ氏によると、オクラホマ州からの投資額の約3分の1が最初の36カ月間で利用可能になるという。これらの資金は、Canooがローンチに向けて準備を整えることを意味する「ガンマ」フェーズに移行する際の会社の進捗を支えることになる。前年比で、Canooの従業員は230人から656人に増え、そのうちの70%がハードウェアとソフトウェアのエンジニアだ。スタートアップの運営費は、前年同期比で1980万ドル(約21億6000万円)から1億430万ドル(約113億9000万円)に増えているが、その増加分の大半は研究開発費によるものだ。

収益計上前の費用が増加していることは、Canooが生産目標に向けて邁進していることを示しているが、オクラホマ工場の建設を開始するまでには、まだ課題が残っている。アクイラ氏によると、現在Canooは建築マネージャー、設計家、建築会社の最終選定を行っており、来四半期までには工事の進捗状況を詳しく報告する予定だという。

また同社は、第3四半期中にバッテリーのパートナーを最終決定することを目指しているが、これは、多くの既存メーカーがバッテリー合弁会社を設立してサプライチェーンをコントロールしようとする中で、ますます重要になってきている動きだ。そしてCanooもまた、他の業界同様、半導体のサプライチェーン問題に悩まされているが、製造プロセスの合理化により、より少ないチップで自動車を機能させることができるとしている。

IRイベント当日、Canooは50万マイル(約80万5000km)のベータテストを終えたことを発表した。6月30日の時点で、アクイラ氏は「ガンマ」ビルドを開始するためのエンジニアリングとデザインを決定したと語った。

「また、第1四半期は74%だった部品の調達率は87%となっていて、バルク材を除くと95%の調達が完了しています」とアクイラ氏は述べている。「当社のCTOとそのチームは、ライフスタイル・ビークルの部品の67%についてエンジニアリングデザインを完了し、それらの製造準備に移行しました」。

アクイラ氏によると、Canooは第4四半期中にライフスタイル・ビークルの標準生産プロセスへのカウントダウンを開始するという。おそらくライフスタイル・ビークルの生産は近付いているものだと思われるが、アクイラ氏によると、返金可能な9500件の予約のうち、最も人気があるのは、Canooの他の2つの車であるピックアップトラックと多目的配送車だという。

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画像クレジット:Canoo

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

オール電化のアウディ2022年モデル「e-tron GT」と「RS e-tron GT」は未来ではなく今を見据えるグランドツアラー

ラグジュアリー、テクノロジー、そして豪華さは、しばしば密接に結びついている。億万長者が宇宙を旅する時代において、最新の質の高い一流のガジェットは、未来から来たように見えるものではないかと、多くの人が考えているかもしれない。

Audi(アウディ)の観点からはそれは当てはまらない。2022年モデルのAudi e-tron GTとRS e-tron GTは、2060年から来たもののようには見えない、高貴な雰囲気を持つオール電化のグランドツーリングカーだ。見た目は洗練されたガソリン車のようだが、その外観の下には、一見したところのデザインでは想像できないほどのパワー、技術的なポップさ、そして品格が秘められている。

2022年型Audi e-tron GTとRS e-tron GTは、低めのルーフライン、広いトラック、長いホイールベースを備えている。e-tron GTとRS e-tron GTはどちらもAudi R8と並行して生産されており(ルーフラインはR8よりも低い)、その象徴的なデザインからいくつかのものを拝借しているが、これらの電気グランドツアラーは、まったく独自の、1対の馬力のある車種といえる。

基本概要

Porsche(ポルシェ)のTaycanと同じ800ボルトのアーキテクチャーをベースにしたe-tron GTは、前後輪に動力を供給する永久磁石式同期電動機(PMモーター)により、総出力469HP(オーバーブースト時最大522HP)を生み出している。RS e-tron GTは同じモーターで590HP(オーバーブースト時637HP)を出力し、Audiによると3.1秒で時速60マイル(約96km)に達するという。

どちらのクルマも能力に優れ、信頼性が高く、スピードも速く、山道や長い高速道路のような長距離走行でも停滞しない。多くの電気自動車と同じように、加速はほとんどシームレスだ。

トルクベクタリングシステムを搭載したAudiの電動「quattro」によるAWD(全輪駆動)の効果で、両車とも、車輪がきしみ始めても、安定した走行性と適切な配分を実現する。このシステムでは、急なコーナリングや車線変更、滑りやすい状態での走行時に、スリップした車輪に可変量の動力を送ることができる。

筆者が試乗した車には夏用タイヤが装着されていた。そして、ロサンゼルスのダウンタウンから北東50マイル(約80km)にあるアグアダルシーエアパークの閉鎖されたスラロームコースで、急な車線変更のテストを最後に行った。RS e-tron GTを3回連続でコーンを通過させてシステムの感触を確かめ、そのたびにクルマは安全で、しっかりと接地し、制御されていると感じた。

ステアリング、スピード、航続距離

2022年型Audi RS e-tron GT(画像クレジット:Audi)

e-tron GTとRS e-tron GTには、後輪ステアリングもオプションで付いている。時速30マイル(約48km)以下では、後輪は前輪と反対方向に最大2.8度旋回し、e-tron GTとRS e-tron GTの旋回半径を小さくする。時速30マイル以上では後輪は前輪と同じ方向に旋回する。このシステムはPorsche Taycanのシステムに類似している(回転角度が小さい)。

エアパークの平坦な滑走路では両車両のオーバーブーストを試すことはできなかったが、RS e-tron GTの起動制御を使って0-100mph(0-160km/h)の加速を連続して行ったところ、ジャーナリストの集団の中で2番手につけ、0-60を3.24秒、0-100を7.29秒で記録した。39度の暑さの中、コールドタイヤでのこの数字はかなり印象的だ。滑走路の終わりまでに、速度が時速120マイル(時速193マイル)に近づいているのを確認した。これは電子的に制限された最高時速155マイル(約249km)より32マイル(約51km)短い速度だ(e-tron GTの電子的に制限された最高時速は152マイル[約244km])。その後ブレーキを踏んだ。フル充電されたRS e-tron GTは、連続して3回走行した後、20マイル(約32km)の航続距離を失っただけだった。

RS e-tron GTのEPAによる推定航続距離は232マイル(約373km)であるのに対し、e-tron GTの推定航続距離は239マイル(約384km)である。

充電性能

2022年型Audi e-tron GT(画像クレジット:Audi)

これらのEPAの推定航続距離は、低い位置に搭載されたの93kWhバッテリーパック(両車とも同じ)の成果であり、Audiによると270ボルトの充電器(DC急速充電)では23分で最大80%を充電できるという。

価格は、e-tron GTが9万9000ドル(約1088万円)から、RS e-tron GTが13万9900ドル(約1537万円)からとなっている(いずれも1045ドル[約11万円]のdestination charge[輸送費]を除く)。この価格には1回限りの限定特典が付いている。

AudiはElectrify Americaと提携し、3年間無料で無制限の公共充電サービスを提供する(時間制限がない)。Qmeritを利用した家庭用充電ステーションもある。e-tron GTとRS e-tron GTには、標準のデュアル充電ポートと、240ボルト対応の9.6kW充電システムを装備しており、オーナーはあらゆる場所で充電が可能となる。Electrify Americaは、Dieselgateのスキャンダルを受けて、Audiを所有するVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)が立ち上げた。

充電器を見つけるには「MMI」と呼ばれるインフォテインメントシステムと、センターコンソールに搭載された10.1インチのタッチスクリーンを利用する。ナビゲーションに進み、プラグと充電器のリストが表示されたアイコンをクリックすると、充電器の一覧が表示される。

筆者はワンデイドライブで充電器を探す機会はなかったが、Audiによると、同社のMyAudiアプリ(スマートフォンとデスクトップで利用可能)とMMIの両方を通じて、EA(Electrify America)の充電器とそのステータス、可用性を簡単に確認できるという。ドライバーは好みの充電レベル(レベル1からDC急速充電器)でソートし、Audiの車載インターフェイスを離れることなく充電器にアクセスできるとAudiは述べている。

ドライバーはEAのアプリやMyAudiアプリを使ってスマートフォンで検索を行い、現在利用可能なワイヤレスのCarPlayや、筆者が運転したe-tron GTやRS e-tron GTでは利用できなかったが、プロダクションモデルに搭載されるワイヤレスのAndroid Auto経由で車に道順を送ることができる。中央のアームレストにあるUSB-Cポートを介してスマートフォンに接続することも可能だ。

筆者はオーナーではないため、MyAudiアプリを使うことはできなかったが(プライバシー確保のために車両のVINをアプリに接続する必要がある)、ドライバーはMyAudiアプリでルートを計画することができ、システムが自動的に途中で充電停止を行い、十分なバッテリーを確保して確実に到着するようにするとAudiは説明している。

完全電動式の高級車にシームレスに移行するために、もう少しサポートを受けたいと考えている高級車購入者に向けて、Audiはe-tron GTとRS e-tron GTを含むEV向けのAudi Careをローンチする。参加ディーラーでは、オーナーは追加で999ドル(約11万円)と税金を支払うことで、ワイパーやブレーキパッドなどの消耗品、サービスアポイントメントのための係員の送迎、モバイルサービス(タイヤ交換、基本的なメンテナンス)の提供を受けることができ、オーナーが必要とすれば年に10回までAudiセンターに無料で行ける。Audiはまた、e-tron GTまたはRS e-tronを購入すると、Silvercar by Audiの7日間の無料レンタルも提供する。

バーチャルコックピットはもちろん優れもの

2022年型Audi e-tron GT(画像クレジット:Audi)

e-tron GTとRS e-tron GTは、e-tron (SUV) とAudi R8の両方の機能を融合させたもので、どちらのGTにもデュアルスクリーンが搭載されており、ドライバーと同乗者に多くの機能を提供する。ドライバーの前にある12.3インチのバーチャルコックピットは、現在の大部分の現代的なAudiに見られるように、高度にカスタマイズ可能だ。マップ・ビューからバッテリーステータスへのアクセスまで、ハンドルからのわずかなインプットで提供される。

このシステムはナビゲーションを簡単にする。ドライバーや同乗者はステアリングの操作ボタンを押すだけで目的地を音声で設定でき、クルマに住所や目的地、都市を伝えることができる。

この音声システムは驚くほど堅牢で、筆者が使ったときにはやや遅れ気味だったものの、自然言語のインプットを認識し、特定の言葉を発するよう話者に促す。ルートをキャンセルして目的地の変更を入力する操作を運転しながら行うか、一時停止するかという2つの選択肢にさらされるような時に使える。自分の意図をシステムに認識させるために、何度も試さなければならなかったことは一度もなかった。

センターコンソールに搭載された10.1インチのインフォテインメントシステムは、ドライブモードの選択から特定のAudiアプリ、ナビゲーションオプション、オプションのマッサージ、ヒートおよびクールシートなど、あらゆるものを提供する。

Audi MMIの中央画面はタッチ式静電容量方式で、ユーザーはアイコンをドラッグ&ドロップして自由にホーム画面をカスタマイズできる。同乗者が望む場合(そして適切な機器を持っていれば)、シートヒーター、クーラー、マッサージをすべてMMIから同時に実行することも可能だ。

豪華さはそれほど必要ない?

2022年型Audi e-tron GT(画像クレジット:Audi)

どちらのGTも10万ドル(約1100万円)程度を提示しており、そのためにもう少し華やかなものを求める買い手もいるかもしれない。

発売年は、高価だが特別なオプションとしてRS e-tron GTのワンイヤーパッケージを提供する。2万350ドル(約224万円)の「カーボンパフォーマンス」パッケージには、カーボンファイバー製のトリム、照明付きドアシル、黒のバッジ、後輪のステアリングの他、21インチの特殊ホイール、赤のセラミックブレーキキャリパー、赤のシートベルト、内側の赤のステッチなどが含まれている。

高級ブランドとしての名声、パワー、そして先進テクノロジーを手に入れたい方に、豪勢なものは一切搭載していない(必ずしも必要ではない)が、高貴な雰囲気を持つ電化されたグランドツアラーとして、2022 Audi e-tron GTとAudi RS e-tron GTは最適といえよう。どちらも現在販売中である。

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画像クレジット:Audi

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

米当局がテスラのオートパイロット機能を調査開始、駐車中の緊急車両との衝突事故受け

米国の自動車規制当局は、Tesla(テスラ)の先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」について予備調査を開始した。これは、同システムを作動させていた際に、駐車されていた救急車両に車両が衝突した11件の事故を理由としている。

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)のウェブサイトに掲載された調査資料によると、衝突事故に関与したテスラ車は、オートパイロットまたは「Traffic Aware Cruise Control(トラフィックアウェア クルーズコントロール)」と呼ばれる機能を作動させていたことが確認されたという。事故の多くは日没後に発生しており、緊急車両のライトや道路のコーン、ドライバーに車線変更するよう知らせる照明付き矢印板などの「現場管理措置」にもかかわらず発生していた。

「今回の調査では、ダイナミックな運転タスクに対するドライバーのエンゲージメントをモニターし、支援し、強化するために使用される技術と方法を評価します」と資料には記載されている。

調査の対象となるのは、現在販売されているすべてのモデルを含む約76万5000台のテスラ車だ。14-21年型のTesla Model Y(モデルY)、Model X(モデルX)、Model S(モデルS)、Model 3(モデル3)が対象となる。11件の事故または火災により、17名の負傷者と1名の死亡者が発生した。これらの事故は2018年1月から2021年7月の間に発生した。

Teslaのオートパイロットが米国の自動車安全規制機関であるNHTSAの監視下に置かれたのは、今回が初めてではない。2017年、同局は2016年に起こった死亡事故を調査したが、その事故ではEVメーカーである同社に過失はないとされた。NHSTAはこれまで、TeslaのADAS(先進運転支援システム)が関与した事故をさらに25件調査していると、AP通信が米国時間8月16日に今回の調査に関する記事で報じた。

NHTSAは2021年6月、ADASまたはレベル3~5の自動運転システム搭載車の衝突事故の報告を自動車メーカーに義務付ける命令を出した。

「NHTSAは、現在市販されている自動車の中に自動運転が可能なものはないことをあらためて国民のみなさまに指摘します」と、NHTSAの広報担当者は16日にTechCrunchに語った。

TechCrunchは、メディアリレーション部門を解散したTeslaにコメントを求めた。同社から回答があれば記事を更新する。

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画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

地方航空路線に最適な9人乗り電動航空機「P3」をPykaが披露

2019年に突如現れたPyka(パイカ)は、無人農薬散布機という一風変わった電動航空機を発表した。その最初の航空機の成功を受け、同社は次にP3の開発に着手した。P3は9人乗りの航空機で地域間のフライトを安くシンプルにすることを目的とし、まったく独自のプロペラ機構を採用した。早ければ2022年にも飛ぶ可能性がある。

Zipcar(ジップカー)やFord(フォード)、Maven(メイブン)などで活躍したDan Grossman(ダン・グロスマン)氏が新社長に就任した。同氏がもつ運輸セクターのDNAは、Pykaが地方航空路線の立ち上げに必要なネットワークや提携関係を構築するのに役立つだろう。

P3は、155ノット(時速約280キロメートル)で200海里(約370キロメートル)までの飛行を想定している。つまり長時間ドライブではなく、1時間程度の短時間飛行だ。現在、地方路線には大型で高価な航空機が使用されているが、座席の半分しか埋まっていないことも多く、経済的には少々厳しいものがある。だが、Pykaの試算によると、小型で運用コストの低い航空機を使えば、地方のハブ空港間で、満席のフライトを1日にもっと多く実現することができるという。

「150マイル(約160キロメートル)の距離をクルマで移動することが難しい場所が対象となります」と創業者でCEOのMichael Norcia(マイケル・ノルシア)氏は語る。「人々がこのような地方路線を維持するのに費やす金額は数十億ドル(数千億円)という驚異的な額であり、人々はそれに満足していません」。

既存の小型機は非常に高価だが、P3は1日のフライト数と目的地の数を増やし、バルク運賃に匹敵する価格を実現できるとノルシア氏は考えている。

機体自体は極めてオーソドックスだが、よく見ると、翼の前後にプロペラが付いている。

画像クレジット:Pyka

「これまでになかったものです」とノルシア氏はいう。その理由を簡単に説明する。

このような小型機では、離陸時と上昇時にはプロペラのピッチ(角度)を変え、巡航時にはさらに別のピッチでプロペラを動かす必要がある。そのためにはプロペラの羽根を傾ける必要があるが、これが簡単ではない。

「通常の航空機のあらゆる局面で最適な動作をするためには、プロペラにそうした非常に複雑な機構を搭載することが理にかなっています」とノルシア氏は話す。「電気の推進力により航空機を大幅に簡素化することができます。前方のプロペラは離陸と上昇のために、後方のプロペラは巡航のために使われます」。

重く、複雑で高価な従来のエンジンで、離陸時に可変ピッチのプロペラを使わないとすれば、プロペラの数を倍に増やす必要があるが、それは馬鹿げている。しかし、軽く、シンプルで安価な電動エンジンでは、見た目は変わっていても、それが意味をなす。

前後のプロペラが同時に動くのは離陸時と上昇時のみで、離陸後は前側のプロペラを折り畳み、巡航時には後側のプロペラがフルに作動する。重いヒンジ(丁番)や油圧装置を使わず、機械的にもシンプルだ。実際、プロペラを収めることで、効率が10%ほど向上するとノルシア氏はいう。「かなりクールだ」と同氏は付け加えた。そして彼らは特許を申請している。

だがP3の全体的な大きさと形状はよく見るものであり、それは偶然ではない。

画像クレジット:Pyka

「私たちは白紙の状態からスタートしました」ノーシア氏は話す。型破りなプロペラがそれを物語る。「しかし、この航空機へのアプローチは、顧客や規制当局と話し、彼らが何を求めているかを知ることでした。答えは、9人乗りの飛行機でした」。

規制が求める要件がその理由の1つだ。一定の重量や乗客数をもつ飛行機は、簡易で寛容な規制の下にあり、それは9席以下で飛行する航空会社にも当てはまる。従い、最もシンプルな道筋は、乗り物を再発明することではなく、効率性と価格の面で大きく前進が可能な9人乗りの飛行機のようだ。

さらに、P3を夢のある構想から実際に飛ぶ機械へと移行するために、P3を無人の貨物輸送機、つまり中型の貨物用ドローンから始めた。限られた市場しかないが(無人の小型航空機は通常の陸上貨物ルートを飛行できない)、P3を合法的に飛行させ、より重要な旅客機の認証を目指す前に、規制当局とともに物事を前に進めるためだった。

画像クレジット:Pyka

2022年末までにP3を飛行させることが目標だが、新しい航空機としては非常に果敢な時間軸だ。だがPykaはすでに2機の航空機を出荷している。農薬散布機のプロトタイプであるEgretと量産機のPelicanだ。

「私たちがこの会社を設立したのは、電動航空機が移動手段を根本的に変え、より良いものにすると考えたからです」とノルシア氏はいう。「電動航空機にとっては前例のない時代ですが、ほとんどの会社は、たとえその機体が、今後10年のうちに認証を受ける可能性があるという状況でも予約を受け付けています。私たちはこの3カ月で2機のPelicanを出荷しました」。

グロスマン氏は、そのことが同氏が入社し、会社の規模拡大に貢献するという選択をした大きな要因になったと話す。「Pykaは今まさに出荷を進めており、来年は月に1機のペースで出荷する予定です。信じられないほど効率的にお金を稼いでいます」。

もちろん、新しい航空機を売るには費用がかかる。ノルシア氏は、生産規模の拡大とフルサイズのP3を飛ばすため、大規模な資金調達の最中だという。すべてがうまくいけば、旅客機は早ければ2025年には空を飛ぶことができるだろう。

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タグ:電動航空機Pyka

画像クレジット:Pyka

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

ランボルギーニカウンタックLPI800-4は802馬力のハイブリッドスーパーカー

編集部注:著者のIgor Bonifacic(イゴールボニファシック)は、 Engadget寄稿者である。

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様々なリークや焦らし情報のあと、ランボルギーニはついにその新しいハイブリッドエンジンのカウンタックを発表した。

ありがたいことに、車について知りたいことのほぼすべてが、LPI800-4というモデル名に集約されている。

最初の部分(LPI)はLongitudinale Posteriore Ibridoの略で、これはエンジン機構が「縦置き」「後方」「ハイブリッド」だという事実を表現したものだ。

一方、2つの数字は、カウンタックのV12 6.5リッターエンジンと48ボルトの電気モーターが合わせて出力できるのが約802馬力であることと、4輪駆動であるという事実を示している。

画像クレジット:ランボルギーニ

それらが合わさって1台のパワフルな車が生まれた。このカウンタックは、時速0マイルから時速60マイル(約97キロ)までを3秒未満で加速し、時速0マイルから時速124マイル(約199.6キロ)までを9秒弱で加速することができる。最高速度は時速221マイル(約355.7キロ)、最大トルクは531lb-ft(約720N・m)だ。

画像クレジット:ランボルギーニ

カウンタックの電気モーターに電力を供給するのは、同じ重量のリチウムイオン電池と比較して3倍の電力を供給できるとランボルギーニが主張しているスーパーキャパシターだ。ランボルギーニは、V12エンジンから得られるパワー伝達の感覚を保持するために、ギアボックスに直接電気モーターを取り付けたという。

カウンタックLPI800-4のシャーシと外装の大部分をカーボンファイバーが占めている。「70年代と80年代の象徴的なカウンタックが、ここ10年間のカウンタックににどのように影響を与え進化させたかを想像させてくれます」とランボルギーニ社は、元のモデルよりもアヴェンタドールを彷彿とさせる今回のデザインについて語っている。内部には、CarPlay(カープレイ)統合が行われ「Stile」(スタイル[イタリア語])というラベルの付いたボタンを持つ、8.4インチのタッチスクリーンディスプレイがある。そのボタンを押すと「カウンタックのデザイン哲学が、その特権的な顧客に対して説明される」のだ。

特権的な顧客と言ったが、ランボルギーニはこのカウンタックLPI800-4を112台しか製造しない。自動車メーカーが送ったプレスリリースには価格さえ言及されていない。ランボルギーニも熱心に取り組んでいるようだが、カウンタックはあまりにも重要なので、限定といえども無視するわけにはいかなかった。

編集者注:この投稿は元々Engadgetに掲載された

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(文: Igor Bonifacic、翻訳:sako)