GMがアップグレードした自動運転支援システムSuper Cruiseを2022年に6車種に搭載へ

GM(ゼネラル・モーターズ)は自動の走行レーン変更やの牽引サポートなど3つの大きなアップグレードをハンズフリー自動運転支援システムSuper Cruiseに加え、2022年に発売するGMC Hummer EVを含む6車種で利用できるようにする。

GMは2017年の導入以来、着実にSuper Cruiseを改良してきた一方で、ここ何年も同社のラグジュアリーなブランドCadillacへの搭載に限定してきた。機能改良と搭載車両の追加は、ChevroletとGMCブランドのピックアップトラックの所有者にテクノロジーを使って機能を販売する同社の意欲、そしておそらく準備が整ったことを示している。

GMがSuper Cruiseを立ち上げたとき、利用できたのはCadillacのフルサイズのCT6セダンのみで、使用は中央分離帯のある高速道路に限定されていた。それは同社がSuper Cruiseの提供を拡大すると発表した2019年から変わり始めた。そしていま、Super Cruiseは米国の長さにして20万マイル(約32万km)超の道路で利用できる。

そしてGMはさらに拡大する計画だ。2023年までに同社は今後発売するEV、Cadillac LyriqやGMC Hummer SUVを含む22種の車両にSuper Cruiseを搭載することを目指している。

同社は米国時間7月23日、ドライバーの介入なしに作動する自動レーン変更機能をSuper Cruiseに加えると明らかにした。改良されたSuper Cruiseのこの機能は、2022 Cadillac Escalade、Cadillac CT4、Cadillac CT5、Chevrolet Silverado、GMC Hummer EV Pickup、GMC Sierraで利用できるようになる見込みだ。同社はまた、ドライバーがボートやキャンピングカーを牽引しながらハンズフリーアシスタンスシステムを利用できるようにする新機能も開発し、導入する。この牽引機能は牽引能力を持つ2022年モデルの車両でのみ提供される。そしてSuper Cruiseが使える高速道路をドライバーに示す車載ナビゲーションをアップデートした。

Super CruiseはLiDARマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンダー、そしてハンドルを握っている人が注意を払っていることを確認するドライバーアテンションシステムで構成される。TeslaのAutopilotドライバーアシストシステムと異なり、Super Cruiseのユーザーはハンドルに手を置く必要はない。だが、視線は進行方向に向けている必要がある。

Super Cruiseの自動車線変更機能ではドライバーは道路を見ておかなければならない。システムがオンのとき、ドライバーは車線を変更する意思を示すためにウィンカーを操作しなくてもいい。代わりにシステムがドライバーに知らせ後に車線を変更する。システムはゆっくり走る車両を追い越すのにも他のレーンを使う。

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ボートやキャンピングカー、トレイラーを牽引するときはドライバーが介入する自動レーン変更がデフォルトとなる。

こうしたアップデートのすべてはVIP(vehicle intelligent platform)というGMの新しいデジタル車両プラットフォームで可能になっている。VIPはこれまで以上の帯域幅とデータ処理力を提供し、エンジニアがSuper Cruiseの能力に追加できるようにしている。VIP電動アーキテクチャを備えた車両は無線ソフトウェアアップデート経由でSuper Cruiseに機能を加えることが可能だ。つまり、一部の2021年モデル、具体的にはCadillac Escaladeはこうしたアップデートを取り込める。

VIPを搭載していないために、2022年Chevrolet Bolt EUVなどいくつかの車両はSuper Cruiseの異なるバージョンを持っている。結果として、Bolt EUVはこうしたアップデートは受けられない。

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タグ:GM自動運転Super Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラが高まるニッケル需要に備え鉱山大手BHPと供給契約を締結

Tesla(テスラ)は、鉱業資源の巨人BHPからのニッケル供給を確保した。今後10年で需要の急増が見込まれている原材料の直接提供元を確保しようとする同社の最新行動だ。

BHPのNickel Westディビジョンは、オーストラリア西部の同社鉱山から非公表の量のニッケルを提供する。両社はバッテリーサプライチェーンの持続可能性の向上、および再生可能エネルギーと組み合わせたエネルギーストレージを使ってそれぞれの事業運用における炭素排出量削減方法でも協力する。

ニッケルはリチウムイオン電池の主要な鉱物であり、Teslaの次世代バッテリー化学の主役だ。リチウムイオン電池の多くがニッケル、マンガン、コバルトから成るカソードを使っているのに対して、Teslaは異なる戦術を取っている。TeslaのBattery Day 2020カンファレンスでElon Musk(イーロン・マスク)氏は、一部のモデル向けに、ニッケルが多くコバルトを使わないカソードに投資すると語り、エネルギー密度を高くするためであることを理由に挙げた。

Teslaは、次の10年にバッテリー生産を増強する意向に迷いがない。2022年までに100ギガワット時、2030年までには年間3テラワット時相当のバッテリーを生産する計画だ。

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それに向けて同社は、ニッケル生産最大手との購入契約締結にすばやく動いている。2021年Teslaは、フランス領ニューカレドニアのニッケル製造企業との提携を発表した。そのわずか数カ月後、TeslaのRobyn Denholm(ロビン・デンホルム)会長は、同社がオーストラリアからだけで年間約10億ドルのバッテリー用鉱物を購入するつもりであることを認めた。

マスク氏は、鉱山会社にもっとニッケルを生産するよう再三要請してきた。7月の投資家向け電話会見で同氏は生産者に対して「Teslaはニッケルを効率よく、かつ環境を重視した方法で採掘する会社と長期の大型契約を結びます」と語った。Battery Dayカンファレンスでも同氏は同じ立場を繰り返した。「スケーリングするためには当社のニッケル総入手量が制約を受けないようにする必要があります」と彼は言った。「実際私は世界最大の鉱山会社のCEOに『もっとたくさんニッケルを作ってください、非常に重要なのです』と言ったほどです」。

しかし、環境に優しいニッケル供給源を見つけるのは容易ではない。現在の回収、精錬技術特有の問題も関係しているし、採掘会社が直接管理可能な問題もある。例えば世界最大の金属生産国であるインドネシアのニッケル採鉱事業は、石炭への依存と廃棄物処理技術に関して非難の的になっている。

BHPは同社の活動は世界最大級に持続可能だと謳っており、Teslaがパートナーとしてこの会社を選んだことはその事実を裏付けるものと見ることができる。同社は2021年2月に、あるニッケル精錬所の使用電力の50%が太陽エネルギー由来であると述べている。

現在、世界のニッケル供給の大部分が鉄鋼産業によって消費されている。現在のEVとエネルギー貯蔵分野のニッケル需要は比較的少ないが、International Energy Agency(国際エネルギー機関)は2020年の81トンから2040年には3352トンへと、今後20年間に4000%以上増加すると予測している。

歴史的にNickel Westは、BHPの鉄鉱、銅、および石油事業と比べて全事業のごくわずかな部分でしかない。BHPは2015年前後にNickel Westを数度に渡って売却しようとしたが、EVとエネルギーストレージ分野の需要の高まりから方針転換したようだ。

業界アナリストのBenchmark Minerals(ベンチマーク・ミネラルズ)は、Teslaとの契約は年間1万8000トンのニッケルに相当する価値があると推測した。

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タグ:TeslaニッケルBHPバッテリー再生可能エネルギー持続可能性リチウムイオン電池

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

商用電気自動車のArrivalが米国アナハイムで走る電動バスを製造

商用電気自動車メーカーで、従来の自動車製造ラインをAIを活用したマイクロファクトリーへと刷新しているArrivalが、カリフォルニア州アナハイムの電動バス製造業者に選ばれた。

アナハイムは2019年に連邦公共交通局から200万ドル(約2億2000万円)の支援を受けている。米国時間7月22日に同市の交通ネットワークは、2025年までにカリフォルニア州では初めてバスをすべて電動にするというゴールを達成するためにArrivalと連携する計画を発表した。

英国を拠点とするArrivalは、ディズニーランドなどの人気施設を行き来する交通サービスがあるアナハイムについて、同市が軽量バッテリーバスの最初の顧客になる予定だと述べた。Arrivalはまず40台のバスを納品する予定だが、運用開始や台数追加の時期に関する詳しい情報提供の求めには応じなかった。

アナハイムで走るバスは、サウスカロライナ州ロックヒルにある米国初のArrivalのマイクロファクトリーで製造される。Arrivalのマイクロファクトリーはノースカロライナ州シャーロットにもあるが、同社は2024年末までに全米に31のマイクロファクトリーを設置したい意向だ。

Arrivalの発表によると、同社とAnaheim Transportation Networkとの連携には人材開発プログラムも含まれる。電気系と機械系のエンジニアリングに関する課程のある地元コミュニティカレッジの学生は、インターンとしてゼロエミッション交通に携わる経験を得ることができる。

Arrival AutomotiveのCEOであるMike Ableson(マイク・アベルソン)氏は「Arrival Busが公道に導入されれば公共交通機関の様相が変わるでしょう。米国公共交通機関からの初の受注はほんの始まりにすぎません」と述べた。

SPACとの合併によって最近上場したArrivalは、注目のパートナーシップをすでに多数獲得している。2020年には、UPSに電動の配達用車両を2024年までに1万台展開する契約を交わした。2021年5月にはライドシェア用EV製造に関してUberと提携した。そしてつい先日の2021年7月15日には、オランダの「Car-as-a-Service」企業であるLeasePlanから最初の3000台のEVを受注したと発表した。

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タグ:Arrival電気自動車バスアナハイム

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

メルセデス・ベンツが2030年までにEV専門メーカーに、8つのバッテリー工場を建設

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は現地時間7月22日、2030年までに電気自動車(EV)だけを生産する自動車メーカーになるための400億ユーロ(約5兆2000億円)の計画を明らかにした。この計画で同社は垂直統合し、従業員を訓練し、そしてプロダクトを動かすのに必要なバッテリーを確保する。

同社はすでに行動を起こしている。英国拠点の電動モーター会社YASAを買収し、200ギガワットアワー超の年間生産能力が必要と結論づけたことを発表した。そうした需要をまかなうためにメルセデスは電池セル生産でパートナーと8つのバッテリー工場を建設する計画だ。

米国に立地するものも含め、新しいプラントはすでに計画されているバッテリーシステム構築のための9つの工場で構成されるネットワークに追加される。未来のセルとモジュールを開発し、効率的に生産するために欧州の新規パートナーとチームを組む、とメルセデスは述べた。その「欧州のパートナー」の目的は戦略的なもので、欧州が車産業の中心であり続けることを確保するためのものだ。

メルセデスは、次世代バッテリーの改良をサポートするためにシリコンバレーのバッテリー材料スタートアップSila Nanoと提携したと述べた。Sila Nanoは2021年初めに5億9000万ドル(約650億円)を調達した。具体的には、Sila Nanoはアノードにシリコンとカーボンの複合物を使うことでメルセデスがエネルギー密度を高めるのをサポートする。エネルギー密度の向上は航続距離を伸ばし、充電時間の短縮に貢献する。

メルセデスはまた、全固体電池テクノロジーにも注目していて、さらにエネルギー密度が高く安全なバッテリーを開発するためにパートナーと協議中だと述べた。

7月22日に発表された計画は、これまでよりも多くのEVを生産して販売するという以前の目標に則ったものだ。同社は2017年に全ラインナップを2022年までに電動化すると述べた。これはガソリンハイブリッド、プラグインハイブリッド、バッテリー式EVを意味する。そして同社は、2022年までに展開しているすべての部門でバッテリー式EVを提供すると述べた。

EVのみを生産する計画はそこから加速する。2025年までにEV専用の車両アーキテクチャ3種類を新たに導入する。同社は全電動とハイブリッドの車両の全販売に占める割合が以前のガイダンスの25%よりもアップし、50%となると予想する。顧客は同社が生産するあらゆるモデルで全電動のオプションを選ぶことができるようになる。

Daimler AGとMercedes-Benz AGのCEOであるOla Källenius(オラ・ケレニウス)氏は同社の目標が「完全な資本の再配分」となる、と述べた。多額の投資と内燃機関エンジンからのシフトにもかかわらず、ケレニウス氏は同社の収益性の目標が守られ、そして達成されると強調した。

目標を達成するために、メルセデスはすべての新車両の基礎を形成するEV専用のアーキテクチャ3種を立ち上げる。MB.EAと呼ばれるプラットフォームは中型〜大型の乗用車に使用され、AMG.EAはMercedes-AMG車両を支える。そしてVAN.EAは電動乗用ミニバンと小型商用車向けの​​アーキテクチャだ。同社はすでにMMAとして知られる「電動ファースト」のコンパクトカーのアーキテクチャが2024年までに車両に使われると発表している。

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タグ:Mercedes-Benz電気自動車バッテリー工場全固体電池

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Rivianがコロラド州に続きテネシー州の56の州立公園にEVチャージャーを設置

Rivian(リビアン)の電気自動車(EV)充電ステーションがまたも州立公園に導入される。同社は「ウェイポイント」と呼ばれるチャージャーをテネシー州の56の州立公園に設置すると明らかにした。同社は4カ月前にコロラド州との同様の提携を発表したばかりだ。

同社にとって、レベル2ACチャージャー1万基超のネットワークを2023年末までに構築するというのが計画の次のステップだ。州立公園やその他あちこちでのチャージャー設置はRivianのブランド戦略にとって鍵を握る要素だ。同社は自らを、Rivianの車を所有しているかどうかにかかわらずアウトドア派にとってエコフレンドリーな車メーカーとして位置付けようとしている。ウェイポイントチャージャーは一般開放され、J1772プラグ搭載のすべてのEVが利用できる。

テネシー州環境保全局との提携の一環として、Rivianは無料でチャージャーをデザイン・設置し、サービスやメンテナンス、アップグレードにかかる費用を10年間負担する。また、たとえば電気サービスパネルやトランスフォーマーの改良など、チャージャー設置に関係する必要なユーティリティアップグレードの費用ももつ、と同社は話した。

画像クレジット:Rivian

Rivianは早ければ秋にもチャージャーの設置を開始できそうだ。レベル2チャージャーは最大11.5キロワットで給電できる。これはR1TピックアップトラックとR1S SUVであれば、1時間つなぐと25マイル(約40キロ)の走行が可能になる。高速道路や交通量の多い道路沿いにあるチャージャーだと、バッテリー充電のために何時間も待つというのは理想的ではないが、公園であればドライバーは「日帰り旅行や宿泊キャンプを楽しむ間に走行可能距離を伸ばすことができる」と同社は話す。

差し当たり充電は無料で利用できるが、将来のコストは州が電気代をどのようにまかなうかによると同社は指摘した。

Rivianウェイポイントは、同社の顧客専用の3500超のDC急速チャージャーを設置するという計画のAdventure Networkとは別物だ。DC急速チャージャーは20分の充電で140マイル(約225キロ)の走行を可能にする。

Rivianの創業者、RJ Scaringe(RJ・スカリンジ)氏は辺鄙なところを含む充電ネットワークを構築するという願望をオープンにしてきた。これは便利な場所、そしてハイエンドな場所にもあるSuperchargerネットワークを所有するTeslaのような企業とは大きな違いだ。

「州間高速道路ではないところにRivian充電ロケーションを設置する機会に興奮しています。こうした充電ロケーションは、充電インフラのために通常EVを招いたり歓迎したりしない場所にあなたを誘ったり、あなたが訪れることができるようにします」とスカリンジ氏はTechCrunchのKirsten Korosec記者との広範にわたるインタビューで話した。「関心に基づいてルートを選べるという、キュレートされたドライブをどのようにクリエイトできるかについて、我々はかなりの時間をかけて検討してきました。旅の途中で1、2マイル、あるいは5マイルのハイキングのために車を停めたいのなら、あなたが取りたいルートがあり、その横に充電ロケーションがあります」。

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タグ:Rivian充電ステーション電気自動車アメリカ

画像クレジット:Rivian

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラのスーパーチャージャー充電ネットワークを2021年後半に他社EVにも開放とマスクCEO

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、2021年後半に同社のグローバルな充電器ネットワークを他社の電気自動車も利用できるようにすると、米国時間7月20日にツイートした。マスク氏は以前より、テスラがこのアイデアに前向きであることを示唆する発言を繰り返していた。

これまで、同社が2万5000台の充電器からなる「Supercharger(スーパーチャージャー)」ネットワークを、いつ、どのように開放するのか、詳細は明らかになっていなかったが、現時点でもわかっている情報は少ない。例えば、最初にどこの充電ステーションを開放するのか、どの自動車メーカーがテスラと合意しているのか、テスラのオーナーが優先されるのか、などの詳細は依然として不明だ。しかし、マスク氏は2021年末までに開始すると述べ、ようやくタイムラインのようなものを明らかにした。

さらに、別のツイートでは、テスラが充電器を設置しているすべての国で、最終的には他社のEVにもネットワークを開放すると述べている。テスラのスーパーチャージャー充電器は北米、アジア、欧州に加え、中東のアラブ首長国連邦とイスラエルにも設置されている。

多くの人が、なぜテスラは他社のEVと互換性がない独自の充電コネクタを作ったのかと、疑問を抱いているのはおかしなことです。イーロン・マスクが技術を進歩させていたときに、サポートしなかったのはどういうわけでしょうか。彼のチームはフリートを充電できる信頼性の高い手段を作り出したというのに。対処してください!

テスラティーノ

当時はまだ規格がなく、航続距離の長い電気自動車を製造するメーカーはテスラしかなかったので、私たちは独自のコネクターを作ることにしました。

低電力充電と高電力充電の両方に対応した、非常にスリムなコネクターです。

とはいえ、2021年の後半には我々のスーパーチャージャーネットワークを他のEVにも開放する予定です。

イーロン・マスク

テスラのスーパーチャージャーの技術を共有するか、あるいはその充電ネットワークを他の電気自動車にも開放するかということについて、マスク氏は何年も前から語ってきた。2014年の時点では、業界全体で使用できる互換性のある規格を構築するために、設計をオープンにしても構わないとマスク氏は語っていた。これが実現すれば、テスラと競合する他社の電気自動車が、スーパーチャージャーネットワークで充電できるようになる。

マスク氏はそれ以来、さまざまなイベントや決算説明会で、この件についてあれこれ発言してきた。2018年には、決算説明会で質問に答えて「スーパーチャージャーネットワークは壁に囲まれた庭ではない」と述べ、他のEVが使えないように設計されているわけではないということを表現する意味の発言をした。しかし、現時点でスーパーチャージャーが他社のEVと互換性がないことには注意する必要がある。

「壁に囲まれた庭にするつもりはないと、私たちは常に言い続けてきました。私たちは喜んで、他の自動車メーカーを支援し、当社のスーパーチャージャーステーションを利用してもらうようにしたいと思っています」と、マスク氏は2018年に語っている。「他の自動車メーカーは、使用量に応じた費用を負担するだけでいいのです。ただし、我々の充電出力を受け入れることができる性能や、あるいは少なくとも我々の充電コネクターに対応するソケットまたは変換アダプターを備えている必要があります。このように、私たちはすっかり受け入れる用意があるのですが、今までのところ、それを望む他の自動車メーカーは1社もありません。しかし、これは私たちが反対したからではありません。けっして壁に囲まれた庭ではないのです」。

電気自動車の急速充電に使用される一般的なコネクターには、CCS(Combined Charging System、通称コンボ)とCHAdeMO(チャデモ)の2種類がある。CCSは、欧州や北米で近年普及が進んでいるオープンな国際規格の直流コネクタだ。

テスラは独自のコネクタを採用しているため、他社のEVがスーパーチャージャーネットワークを利用するためには、メーカーがそのEVのオーナーにアダプターを提供または販売する必要がある。しかし、欧州では事情が異なる。テスラは欧州で販売する「Model 3(モデル3)」には、CCS直流コネクタを採用している。つまり、欧州に設置されているテスラのスーパーチャージャー充電器は、CCSに対応したケーブルがすでに用意されているのだ。そのため、テスラが最初にスーパーチャージャーネットワークを開放する地域は、欧州になる可能性が高い。

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タグ:Tesla電気自動車Elon Musk充電ステーション

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラがオーナーを使い安全ではない自動運転ソフトのテストを行っているとコンシューマーレポートが懸念

サンフランシスコの交通量の多い道路で、自動運転モードのTesla(テスラ)が中央車線から左折する。車両は意図していないバスレーンに飛び込んでしまう。角を曲がったところで駐車中の車の列に突っ込みそうになり、ドライバーがハンドルを握ることになる。これらのシーンは、自動車評論家のAI Addict(AIアディクト)氏が撮影したもので、他にも同様のシーンがYouTubeにアップされている。これらは、携帯電話で話し中の人間なら誰でもやってしまいそうなミスだというかもしれない。しかし、私たちはAIがもっと頼りになることを期待している。

2021年7月初めから、テスラはこれまでのADAS(先進ドライバー・アシストシステム)が行っていたような、カメラとレーダーの利用ではなく、カメラだけを使ったADASであるFSD(Full Self-Driving)バージョン9ベータ の配信を開始した。

無防備な左折などの危険な運転をしている映像や他のテスラのオーナーからの報告を受けてConsumer Reports(コンシューマーレポート)は、米国時間7月20日に声明を発表した。それは今回のソフトウェアアップグレードは、公道での安全性に問題があると考えられるというもので、必要なソフトウェアアップデートが行われた後、同社が所有するSUV「Model Y」で独自にソフトウェアアップデートの内容をテストするとしている。

試作品のソフトウェアを動かすことは、大変だが楽しみでもあります。修正すべき多くの既知の問題を抱えていたので、ベータリストは遅れていました。

ベータ9では、ほとんどの既知の問題には対処できていますが、未知の問題もありますので、ご利用時にはこれ以上ない細心の注意を。

テスラは常に安全性を最優先しています。

コンシューマーレポートは、テスラが既存の所有者とその車両を、新機能をテストするためのモルモットとして利用しているのではないかと懸念している。テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社の立場を強調するように、ドライバーに対して「未知の問題もありますので、ご利用時にはこれ以上ない細心の注意を」と、運転中に気を抜かないように呼びかけた。テスラ車のオーナーの多くは、フィードバックのためにベータ版ソフトウェアを提供するテスラのアーリーアクセスプログラムに登録しているので、自分が何をしようとしているのかを理解しているが、それ以外の一般の道路利用者たちはそのような試験に同意していない。

テスラのアップデートは、全国のドライバーに向けて配信されている。コンシューマーレポートはテスラに対して、各州の個別の自動運転規制を考慮しているかどうかについての詳細な情報を求めたが、回答は得られていない。29の州が自動運転に関連する法律を制定しているが、それらは州によって大きく異なっている。Cruise(クルーズ)、Waymo(ウェイモ)、Argo AI(アルゴAI)などの他の自動運転技術企業は、コンシューマーレポートに対して、私有地でソフトウェアをテストするか、訓練を受けたセーフティドライバーを監視役として使用していると回答している。

コンシューマーレポートの安全政策担当マネージャーのWilliam Wallace(ウィリアム・ウォレス)氏は声明の中で「自動車技術は本当に急速に進歩しており、自動化は多くの可能性を秘めていますが、政策立案者たちは強力で意味のある安全規制を導入するために踏み出す必要があります」という。「さもないと一部の企業が、安全に対する責任を負わないまま公道を私的な実験場のように扱うことになります」。

2021年6月には米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が、SAEレベル2のADASまたはSAEレベル3、4、5の自動運転システムを搭載した車両の製造者および運用者に対して、衝突事故の報告を義務付ける命令を発令した。

NHTSAの管理代行者であるSteven Cliff(スティーブン・クリフ)博士は、声明の中で以下のように語っている「NHTSAの最大の使命は安全です。衝突報告を義務付けることで、NHTSAは重要なデータにアクセスできるようになり、これらの自動運転システムに現れる可能性のある安全上の問題を迅速に特定することができます。実際、データを集めることで、連邦政府が自動運転車の安全性をしっかりと監視しているという国民の信頼を得ることができるのです」。

FSDベータ9ソフトウェアには、ドライバーの監視下で交差点や市街地を巡航するなど、より多くの運転タスクを自動化する機能が追加されている。しかし、他の道路利用者と車の位置関係や、スクーターに乗った女性が通り過ぎる様子まで詳細に表示される優れたグラフィックによって、ドライバーは肝心な時に支援してくれるはずの技術そのものに注意を奪われてしまうかもしれない。

コンシューマーレポートのAuto Test Center(オートテストセンター)のシニアディレクターのJake Fisher(ジェイク・フィッシャー)氏は、次のように述べている。「テスラがドライバーに注意を払うように求めるだけでは十分ではありません。システムが作動しているときにドライバーが集中しているかを確認する必要があるのです。適切なドライバーサポートなしに、自動運転システムの開発をテストすることは、死亡事故につながる可能性があるというだけでなく、実際に悲劇が起きることもわかっています」。

フィッシャー氏は、テスラはドライバーが道路を見ていることを確認するための車内ドライバーモニタリングシステムを導入すべきだという。これは 2018年にフェニックスで、道路を横断していた女性をはねて死亡させたUberの自動運転テスト車両のような事故を防ぐことが目的だ

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タグ:テスラ自動運転イーロン・マスク

画像クレジット:Bloomberg / 投稿者許諾済

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

GMが3モデル目の電動ピックアップトラックを開発中、GMCラインナップに追加

GM(ゼネラルモーターズ)はGMCラインナップにフルサイズの電動ピックアップトラックを加える。2025年までに世界で電気自動車(EV)100万台超を販売すべく、2020年の一連のEV発表に続くものだ。

EVピックアップはメディア向けプレゼンテーションでのスライドの中で共有され、その後同社はTechCrunchに開発の事実を認めた。グローバルのBuickとGMCの副社長であるDuncan Aldred(ダンカン・アルドレッド)氏は車両についての詳細や、いつ生産に入るのか明らかにしなかった。

GMブランドはすでに2021年第4四半期にGMC Hummer EVの生産を開始することを目指している。デトロイトとハムトラムクにある同社のFactory ZERO組立プラントで生産されるGMC Hummer EVは航続距離350マイル(約563km)で、最高出力は1000HP、最大トルクは1万1500ポンドフィートだ。価格は8万ドル(約876万円)〜となっている。

今回の発表の3カ月前に、GMは電動のChevrolet Silveradoピックアップトラックを生産すると発表した。こちらもFactory ZEROプラントで組み立てられる。Chevrolet Silverado EVピックアップは同社のUltiumバッテリープラットフォームをベースにし、フル充電での推定航続距離は400マイル(約643km)超だ。

GMの社長であるMark Reuss(マーク・ルース)氏は発表時に、Chevroletフルサイズピックアップを消費者と商業の両マーケット向けと位置づけている、と述べた。同社はさまざまなオプションやコンフィギュレーションがある小売バージョンとフリートバージョンのSilverado電動ピックアップを提供する計画だ。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi)a

コロナ禍でモビリティも変化、いま押さえておくべき5つのトレンドとは?

人の移動を支えるモビリティは、日々変化している。移動のあり方、移動のニーズも変わってきた。Frost & Sullivan(フロスト&サリバン)でアジア太平洋地区モビリティ部門担当アソシエイト・パートナーを務めるVivek Vaidya(ヴィヴェック・ヴァイジャ)氏は「コロナ禍はモビリティトレンドを変化させました」と語る。

ヴァイジャ氏が明かす、5つのモビリティトレンドとは何か。本記事はフロスト&サリバン主催『インテリジェントモビリティサミット2021 ゼロへのイノベーション』中のセッションの一部講演を編集、再構成したものとなる。

「三密回避」で広がった「脱通勤」のライフスタイル

ヴァイジャ氏が最初に挙げる最初のトレンドは「脱都市化」だ。新型コロナウイルスが広まってからというもの、三密回避のために多くの人が「家で働く」ライフスタイルを始めた。企業のマインドセットも変わり、ワークライフバランスの定義も変わった。

同時に、在宅ワークを可能にするツールの活用が進み、働くためのオフィスは必須ではなくなったため、オフィスの縮小やシェアオフィスの活用も進んでいる。生活エリアとして都市部ではなく、郊外を選ぶ人も出てきている。

通勤が必要なくなると、移動の目的が変わり、移動の形にも影響する。また、公共交通機関の需要も変わる。

ヴァイジャ氏は「通勤が減ると、公共交通機関で運ばれる人数が減ります。そのため、シェアードモビリティなど、需要に合わせて運用できるソリューションの必要性が高まります。さらに、より細かな目的に即したモビリティの需要が高まり、自転車やバイクなど、規模の小さな移動手段の需要も出てきます」と語る。

モビリティの競争が変革される

2つ目のトレンドは「新しい価値創造モデル」だ。

現在、モビリティ周辺の競争のありようは変化しており、ティア1企業は現状より広い役割を果たそうとしている。スタートアップの競争も激化している。さらに、製品の差別化要素はクルマ自体のパワーから、コネクティビティと自動運転へと変化しているという。

ヴァイジャ氏は「モビリティにおける競争の中心は製品そのものではなく、サービスやソリューションに移り変わっています」と指摘する。

また、テクノロジーのライフサイクルはどんどん短くなりながら、そのコストは上がってきている。研究に対するリソースの重要性は増し、自動車メーカーにとって規模の経済の重要性は増すばかりだが、同時に成功の不確実性は高まっている。

「この状況を打開するには、競合企業の協力が不可欠です。コネクティビティと自動運転はバリューチェーンとテクノロジーの中で進化していますが、競合企業同士が手を組むことで、さらに成長しようとしているのです」とヴァイジャ氏。

「新しい価値創造モデル」は、こうした競合企業同士の協力関係の構築から生まれているという。多様なバリューチェーンが集結し、企業の垣根を越えたコラボが活発化している。

モビリティもサブスクリプションモデルへ

3つ目のトレンドは「ビジネスモデルの改革」だ。

これまでの自動車産業では、クルマを販売した自動車メーカーの利益、自動車メーカーに部品を販売したティア1企業の利益というように、バリューチェーンの1つ1つがそれぞれで利益を出していた。しかし、この形に問題が生じてきている。

ヴァイジャ氏は「まず、バリューチェーンの利益が圧力にさらされています。サービスや部品に対する利益が縮小。さらに在宅ワークが増え、通勤が減ったことなどの影響で、これまでの自動車を徐々に買い替え、車種のグレードを上げていくような消費スタイルが変化しつつあります。それにともない自動車メーカーはビジネスモデルを変革する必要があるのです」と問題を指摘する。

では、どのように変革していけば良いのか。ヴァイジャ氏は「サブスクリプション型サービスの導入が鍵です」という。

実際、自動車メーカーはAndroidベースのOSや独自OSを導入してハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションのシームレスな統合を果たそうとしている。こうした統合ができれば、自動車メーカーは顧客と長期間、直接的な関係を持つことができる、

ヴァイジャ氏は「例えば、顧客がクルマを買って、そこに駐車アプリがインストールされており、そのアプリに対してサブスクリプション料金が発生するといったモデルが可能です」という。

では自動車メーカーとティア1企業は何をすべきなのか。サブスクリプション型モビリティビジネスの鍵はコネクテッドカーとサービスだ。自動車メーカーはコネクテッドカーに焦点を当て、コネクテッドカーの普及率上昇に務める必要がある。

「コネクティビティのための装置や関連するコストは、コストではなく投資と捉えるべきです。これがあれば自動車メーカーもティア1企業も顧客とつながり続けることができ、マネタイズの機会を持ち続けられます」とヴァイジャ氏。

このような装置から得られたデータを活用し、適切なアプリケーションを提供することで、自動車メーカーとティア1企業はアプリケーションをインストールした車両から継続的なキャッシュを手にすることができる。

ヴァイジャ氏は「こうした方法で既存のビジネスモデルのリスクを回避し、キャッシュフローを改善することができます」と話す。

「自動車産業」のマインドセットから「モビリティ」のマインドセットに

4つ目のトレンドは「カスタマーインターフェイスの再構築」だ。

現在、自動車メーカーはカスタマーインターフェイスをコントロールできる立場にいる。そのため、自動車メーカーは自社のブランドの特徴などを意のままに世に送り出すことができる。しかし、EV(電気自動車)が広まることで新しいプレイヤーが市場に登場し、伝統的な自動車メーカーに挑むようになってきた。さらに、シェアードモビリティやMaaS関連企業がカスタマーインターフェイスの主導権を握ろうとしている。その上、顧客がこれまで「運転すること」で得てきたブランド体験を、自動運転車がなくそうしている。

ヴァイジャ氏は「この状況に対応するには、まず『自動車産業』のマインドセットから『モビリティ』のマインドセットに切り替えることが必要です。これはつまり、製品中心の考えから、サービス中心の考えに移行することです。スタートアップとコラボレーションし、新しいバリュープロポジションに投資し、技術と自動運転を受け入れて独自のサービスを提供することで、サブスクリプション型のビジネスに変化することができるでしょう」と対応方法を提示した。

あらゆる『ゼロ』が唯一の未来

5つ目のトレンドは「ゼロカーボンフットプリント」だ。これを推進しているのはスマートシティだ。「自動車メーカーはこれを無視することはできない」とヴァイジャ氏はいう。再生可能エネルギーへの投資額は上昇し、持続可能性は無視できないテーマだからだ。

「ICE(内燃エンジン車)も2040年くらいまでには使われなくなるでしょう。あらゆる『ゼロ』が唯一の未来です。カーボンフットプリントもゼロ。事故もゼロ。死者もゼロ。100%でリサイクルのゴミもゼロ。欠陥ゼロ。リコールゼロ。100%ESGに則る。企業は倫理を問われているのです。紹介した5つのトレンドを見直し、『何が問われているのか』『何をみられているのか』を考えながら、今後のモビリティを前進させてください」とヴァイジャ氏は語った。

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​​Rivianが電動車両R1TとR1Sの納車時期を9月以降へとさらに延期

​​Rivian(リビアン)は待望の電動ピックアップトラックR1Tと電動SUVのR1Sの納車をさらに数カ月延期する。CEOのRJ Scaringe(RJ・スカリンジ)氏が顧客に送ったレターによると「パンデミックの連鎖的な影響」、特に現在も続く半導体チップ不足によって生産が遅れているためだ。R1Tの納車は2021年9月に始まり「ほどなくして」R1Sも続く、とスカリンジ氏はレターに書いた。

「電動アドベンチャー車両」の最初のシリーズの発売を記念した特別バージョンであるR1Tローンチエディションの納車は1カ月の延期を経て7月に始まる予定だった

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​​世界的なチップ不足に苦慮している自動車メーカーはRivianだけではない。GM(ゼネラル・モーターズ)や Ford(フォード)、トヨタ、そして実質的には他の自動車メーカーすべてが減産したか、チップで動く特定の機能を搭載せずに車両を生産している。たとえばGMはいま、世界的な半導体チップ不足のためにスマホワイヤレス充電機能なしの中型・フルサイズのSUVを生産している。

十分なインバウンド収益がある有名メーカーと異なり、​​Rivianは電動ピックアップトラックをマーケットに持ってくる初のメーカーになろうとしている新規参入企業だ。Fordは電動のF-150 Lightningピックアップトラックを2022年春にマーケットに投入する計画だ。GMC Hummer EVピックアップの生産は2021年後半の開始が見込まれている。

関連記事:フォードが同社電気自動車計画の柱となるEVピックアップトラック「F-150ライトニング」を発表

TechCrunchが確認したスカリンジ氏のレターは以下の通りだ。

注文したクルマに乗るのが待てないのは承知しております。この夏の初め、納車が7月に始まる、と当社は発表しました。しかしながら、R1Tの最初の納車の時期は9月にずれ込み、R1Sはそのすぐ後の秋となります。直に私からお知らせさせていただきます。

当社の生産が予想よりも長くかかっているのにはいくつかの理由があります。パンデミックの連鎖的な影響が予想以上に増幅しました。施設の建設から設備の導入、車両部品の供給(特に半導体)に至るまで、すべてがパンデミックの影響を受けました。これらの予期せぬ障害に加えて、複数の車両に対応する生産プラントを準備しながら3種の新しい車両を立ち上げるというのは、相互に関連した活動の複雑なオーケストラであり、小さな問題がさらなる遅れにつながります。

スカリンジ氏は、現在7000人超を雇用していることなど、同社の状況についてさらに詳細を明らかにした。同氏によると、イリノイ州ノーマルにある同社の工場には2つの生産ラインがある。1つはR1車両向け、もう1つは商業バン向けだ。

同社は2019年に自社のスケートボードを使ってAmazon(アマゾン)の電動配達バンを開発している、と発表した。Amazonはこうしたバン10万台を発注し、納車は2021年開始だ。2021年初め、Amazonはロサンゼルスとサンフランシスコで電動配達バンのテストを開始した。

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Rivianは「認証プロセスの一環として数百台の車両を生産し、これらの多くはユニークなビニールカバーで覆われたままになっている」とスカリンジ氏は話した。同氏はまた、そうした車両がなぜ顧客に届けられていないのかについて「社の長期的な成功と、立ち上げたプロダクトの質と頑強性がブランドに期待しているものを真に方向づけている、というあなたの究極的な満足にとって重要」だと考えているからだ、と説明した。

同氏はまた、納車についての詳細をどのように案内するかという点でRivianが改善する必要があることも認めた。

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タグ:​​Rivian電気自動車トラック

画像クレジット:Rivian

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMが商用EV向けのフリート充電サービスを開始、自宅での充電も支援

GMとその新たな法人向けEV事業部門であるBrightDrop(ブライトドロップ)は、商用車のコネクテッド化と電動化を促進するために、新しいフリートチャージングサービスを開始すると発表した。

このサービスは、GMの将来に向けたEV計画の基盤となる新開発の電気自動車アーキテクチャーとバッテリーにちなみ「Ultium Charge 360(アルティアム・チャージ360)」と名付けられており、配送、販売、モータープールなどの事業者が必要とするさまざまなツールを提供する。その中には、商用車のドライバーが自宅で充電できるようにするために家庭用充電器を追加する取り組みも含まれる。

この充電サービスは、1月に設立されたBrightDropによる最新の取り組みだ。同事業部門は、FedEx(フェデックス)をはじめとする法人顧客に、電動車およびコネクテッド車のエコシステムを提供する。BrightDropはまず、2つの主要製品から展開を開始すると述べている。「EV600」と呼ばれる航続距離400キロメートルの電動商用バンと「EP1」と名付けられたポッド型の電動パレットだ。GMは2025年までに全世界で100万台のEV販売を達成するという目標を掲げており、BrightDropはそのための一環として設立された。

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GMとBrightDropは、商用バンに適切な電力を供給するための必要なインフラを提供できる企業として、Duke Energy(デューク・エナジー)のeTransEnergy(eトランスエナジー)、EVgo(イーブイゴー)、In-Charge Energy(インチャージ・エナジー)、Schneider Electric(シュナイダーエレクトリック)の4社とともにこの充電サービスを開始する。

家庭用充電器については、既存のQmeritt(キューメリット)との提携を拡大するとしている。

GMのEVインフラ担当主任設計者であるAlex Keros(アレックス・ケロス)氏が記者会見で述べたように、このサービスはフリート事業の車両管理者にツールを提供することを目的としている。それは市場の重要な成長セグメントであり、電動化というパズルを完成させるための重要なピースでもある。

GMは「適切な顧客体験をどのように提供するか」について検討したと述べている。「例えば、フリートと呼ばれる法人所有車の中には、従業員が自宅に乗って帰る車両もあります。であれば我々は、このような企業や従業員が、自宅で充電する方法を解決するための支援を行わなければなりません」。

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タグ:GM電気自動車充電ステーション

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動運転開発AuroraがSPAC合併で上場へ、評価額は約1.4兆円

2020年12月にUber(ウーバー)の自動運転部門を買収した自動運転車両スタートアップのAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は特別買収目的会社(SPAC)であるReinvent Technology Partners Yとの合併を通じて上場する。

米国時間7月15日に発表されたこの取引は、LinkedIn共同創業者Reid Hoffman(リード・ホフマン)氏とZynga創業者Mark Pincus(マーク・ピンカス)氏、マネージングパートナーのMichael Thompson(マイケル・トンプソン)氏によって立ち上げられたSPACとAuroraが最終的な協議を行っているという6月のTechCrunchの報道のとおりだ

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NASDAQにティッカーシンボル「AUR」で上場する合併会社の想定される評価額は130億ドル(約1兆4275億円)だ。Uberの自動運転部門の買収後のAuroraの評価額は、100億ドル(約1兆980億円)だった。

合併取引を通じて、 ​AuroraはBaillie Gifford、Counterpoint Global (Morgan Stanley)やT. Rowe Price Associates, Inc.が管理するファンドや口座、PRIMECAP Management Company、Reinvent Capital、XN、Fidelity Management and Research LLC、カナダ年金制度投資委員会、Index Ventures、Sequoia Capitalといったプライベート投資家、並びにUber、PACCAR、Volvo Groupからの戦略的投資で10億ドル(約1100億円)を調達する。

合併会社は、クロージング時に現金約25億ドル(約2745億円)を保有することを見込んでいる。当局に提出した書類によると、ここには2021年3月18日に完了したIPOで調達したReinventの信託口座にある9億7750万ドル(約1070億円)が含まれる。

「当社にとってこれは大きな次なるステップです」とCEOで共同創業者のChris Urmson(クリス・アームソン)氏は7月15日のインタービューで述べた。「明らかに我々のプロダクトをマーケットに持ってくる必要があります。しかし我々はこの上なく当社のチーム、そしてこの取引がもたらすリソース、そしてパートナーにこの上なく胸躍らせています」。

Auroraは4年という期間で、話題を振りまくスタートアップから上場企業になった。同社は2017年にSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏,、Drew Bagnell (ドリュー・バグネル)氏、アームソン氏によって創業された。3人とも自動運転車両テクノロジーに取り組んできた経歴を持つ。

2020年12月に同社はUberの自動運転部門、Uber ATGを複雑な取引で買収することでUberと合意し、これにより合併会社の評価額は100億ドルになった。買収条件により、AuroraはUber ATGに現金を払わなかった。Uber ATGはトヨタ、デンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから2019年に10億ドルの出資を受けたのち、評価額は72億5000万ドル(約7960億円)だった。米証券取引委員会に提出された書類にとると、現金の代わりにUberは合併会社の株式26%を受け取った。

買収後、AuroraはUber ATG従業員の統合にここ数カ月を費やし、現在の総従業員数は約1600人だ。Auroraはつい最近、北米向けの自動運転セミトラックを共同開発することでVolvoと合意に達したと述べた。少なくとも数年は継続すると予想されているこの提携は、VolvoのAutonomous Solutions部門を通じて、Volvoの顧客のためにハブ間の高速道路を自動運転で走行するトラックの開発と展開に注力する。

大規模なベンチャーキャピタル

ホフマン氏、ピンカス氏、そしてトンプソン氏は、彼らが「大規模なベンチャーキャピタル」と呼ぶコンセプトを促進してきた。これまでSPACはそのスケールに達するためのコンジットだった。3氏は白紙小切手会社であるSPAC3社を組成した。

それらSPACのうち2社は非公開企業との合併を発表した。Reinvent Technology Partnersは2月に電動垂直離着陸機を開発するJoby Aviationとの合併取引を明らかにした。Joby Aviationは2021年後半にニューヨーク証券取引所に上場する。Reinvent Technology Partners Zは住宅保険のスタートアップHippoと合併した。

3氏の3つめのSPACはAuroraと合併するReinvent Technology Partners Yで、このSPACはIPOで8億5000万ドル(約930億円)を調達するために8500万株を1株10ドル(約1100円)とした。そして割り当て超過をカバーするために追加で1270万株を発行し、調達総額は9億7700万ドル(約1070億円)となった。同社はNASDAQに上場していて、ティッカーシンボルRTPYUで取引されている。

多くの点で、AuroraとReinvent SPACの合併は理に適ったものだ。

Auroraはすでにホフマン氏と接点があった。2018年2月に同社はGreylock PartnersとIndex Venturesから9000万ドル(約100億円)を調達した。Greylockのパートナーであるホフマン氏とIndex VenturesのMike Volpi(マイク・ボルピ)氏はシリーズAラウンドの一環でAuroraの役員会に加わった。そして2019年にAuroraはSequoia Capital、Amazon、T. Rowe Price AssociatesがリードしたシリーズBラウンドで5億3000万ドル(約580億円)超を調達した。このラウンドにはLightspeed Venture Partners、Geodesic、Shell Ventures、Reinvent Capital、既存投資家のGreylockとIndex Venturesも参加した。

SPAC取引の両面からホフマン氏とReinventが現れたのは、前例のないことではないが、ありふれたことでもない。アームソン氏は、潜在的な利益相反を避けるためにホフマン氏がこの協議に加わらなかった、とTechCrunchに語った。

「一方でリード(ホフマン氏)の理解と会社との付き合いを考えると、リードは今回の機会を理解するのに最も適した人物の1人です」とアームソン氏はインタビューで述べた。そして、利益相反を回避するために、ホフマン氏はAurora、Reinveintどちらのサイドででも協議に加わらなかった、とも語った。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Aurora Innovation自動運転SPAC

画像クレジット:Aurora

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

トヨタのウーブン・プラネットが高精細地図スタートアップCarmeraを買収

トヨタ自動車が自動運転などの将来に向けた交通技術に投資し、開発を進め、最終的に商業化するために設立した企業であるWoven Planet Holdings(ウーブン・プラネット・ホールディングス)は、高精度地図のスタートアップ企業であるCarmera(カーメラ)を、非公開の金額で買収すると発表した。2021年4月末にウーブン・プラネットは、Lyft(リフト)の自律走行車部門であるLevel 5(レベル5)を5億5000万ドル(約604億円)で買収することで合意に至ったと発表したばかりだ。

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また、これは6月に発表されたNVIDIA(エヌビディア)によるDeepMap(ディープマップ)の買収に続く、高精度地図スタートアップの買収でもある。

今回の買収により、Carmeraはウーブン・プラネットの完全子会社となる。ウーブン・プラネットの代表取締役CEOであるJames Kuffner(ジェームズ・カフナー)氏によれば、Carmeraで働く50人のチームはニューヨークとシアトルのオフィスを維持し、最終的にはウーブン・プラネットの1000人を超えて成長を続ける事業形態に統合されるとのことだ。

Carmeraは、ウーブン・プラネットの事業会社で東京に本社を置くWoven Alpha(ウーブン・アルファ)の米国拠点となり、同社のAMP(Automated Mapping Platform、自動地図生成プラットフォーム)チームと協業する。Carmeraの共同設立者兼CEOであるRo Gupta(ロー・グプタ)氏は、AMPを統括するMandali Khalesi(マンダリ・カレシー)氏の直属となる。

Carmeraは、商用フリート会社に無料で提供しているサービスから収集したデータを、主要な地図製品の維持・拡大に利用するバーター型のビジネスモデルとして、2015年に設立された。Carmeraの主要かつ最初の製品は、自動車メーカーやサプライヤー、ロボタクシーなど、自動運転車を手がける顧客向けに開発された高精細な地図である。自動運転車開発のスタートアップであるVoyage(ヴォヤージュ)は、2021年3月にCruise(クルーズ)に買収されたが、Carmeraの初期の顧客だった。また、Baidu(百度、バイドゥ)はCarmeraの技術を使って、オープンソースの自動運転基盤「Apollo(アポロ)」におけるマッピングプロジェクトをサポートしている。

Carmeraは、車両やドライバーのリスク管理や安全性の向上を図りたいフリート事業者のために、テレマティクスおよびビデオを使ったモニタリングサービスを提供しており、それら多数のフリート車両から得られたクラウドソースのデータを、自動運転に役立つ高精細地図の更新に利用している。カメラを搭載した人間が運転するフリート車両は、都市部で日常業務を行う際に得た日々新たな道路情報を、自動運転用地図に提供しているというわけだ。

これまでCarmeraは、時間をかけて製品ラインアップを進化させてきた。自動運転用地図にリアルタイムイベントや変更管理エンジンを追加し、都市および市街地計画者向けに空間データや街路分析などの製品を開発した。2020年、同社はいわゆるChange-as-a-Service(サービスとしての変更)プラットフォームを発表した。これは、変化を検出して他のサードパーティの地図に統合できる一連の機能を備えた製品群だ。

リサーチ&アドバイザリ企業のGartner(ガートナー)でVPアナリストを務めるMike Ramsey(マイク・ラムゼイ)氏は「高精細地図の会社で常に問題となるのは、このような機能を持っているのはすばらしいことだが、それをどのように拡張し、提供し、更新し続けるかを考えないと、『誰かに売れそうなソフトウェアのよくできた一部分を持っているだけ』という状態に陥ってしまうことです」と述べている。「今回の買収は、Carmeraの拡張に関する問題を解決するものです」。

画像クレジット:Carmera

Carmeraはウーブン・プラネットに比べて規模も資本も小さいが、業界を注視してきた人はこの合併を予測していたかもしれない。

Carmeraは、ウーブン・プラネットの前身となったToyota Research Institute-Advanced Development(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)と、3年前から協業してきた。このスタートアップが最初に参加したのは、日本で行われた実証実験で、車載カメラを使って都市部や路面の高精細地図を自動生成する方法を開発した。このパートナーシップは2020年に拡大し、日本だけでなくミシガン州のデトロイトなどの道路の地図作成も行われている。

「この関係に多くの投資をすることは実に簡単なことでした」と、グプタ氏は2018年にCarmeraがトヨタと初めて提携したときのことを振り返る。「ビジョンが非常によく似ていたのです。5年前に考えた我々のシードデッキと、ウーブン・プラネットの全体的なビジョンや、地図の自動生成に対する彼らのビジョンを比べると、あまりにも似ていて不気味なくらいでした」。

ウーブン・プラネット(ひいてはトヨタ)は、すでに衛星を使って作成した地図と、現在走行中の何百万台もの車両から得られる膨大なデータを持っている。Carmeraは、ウーブン・プラネットのポートフォリオに、ダイナミックな地図の変更と、フリート事業者や安全性に関するビジネスの経験をもたらすことになる。

「Carmeraとはすでに一緒に実証実験に取り組んできた、近い将来に利用可能なアプリケーションがあります。これらは、まだ発表していませんが、安全性や自動運転の分野に応用できます」と、カフナー氏は語っている。そして、この自動車メーカーの新型Lexus LS(レクサスLS)とToyota Mirai(トヨタ ミライ)に、高精細地図を利用した「Teammate(チームメイト)」と呼ばれる先進運転支援技術が搭載されたことに言及し「私はこれらの次世代の製品にとても期待しています。特に商用フリート車両では、高精細地図には多くの用途があります」と語った。

ウーブン・プラネットが織りなすもの

画像クレジット:Woven Planet/Toyota

LyftとCarmeraの買収は、ウーブン・プラネットが2021年1月に設立されてから行ってきたさまざまな活動の一端を表すものだ。それはトヨタ自動車が、既存のライバル企業や新興企業に対して、特にソフトウェア面での競争力を高めようとしていることも示している。トヨタ自動車の子会社で東京に拠点を置くウーブン・プラネットには、Woven Alpha(ウーブン・アルファ)とWoven Core(ウーブン・コア)という2つの事業会社と、Woven Capital(ウーブン・キャピタル)というVCファンドを擁している。また、この持株会社は、あるゆるモノやサービスが相互接続されたスマートシティのプロトタイプとして、新技術の実験場となるWoven City(ウーブン・シティ)と呼ばれるプロジェクトをてがけている。トヨタは2021年2月、富士山麓にある静岡県裾野市の東富士工場跡地で、このWoven Cityの建設に着工した。

2つの事業会社であるウーブン・アルファとウーブン・コアは、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメントの事業をさらに発展・拡大するために、新体制に移行して設立された。ウーブン・コアは地図作成ユニットを含む自動運転技術に焦点を当てており、ウーブン・アルファはWoven Cityを含む新しいコンセプトやプロジェクトの開発を担当している。

そしてウーブン・キャピタルは、これらの次世代モビリティ・イノベーションに投資を行う。このVC部門は、2021年3月に8億ドル(約880億円)規模の新たな戦略的ファンドを起ち上げ、その第一号案件として、無人自動運転車による配送に特化したロボティクス企業であるNuro(ニューロ)に出資すると発表した。6月には、カーシェアリング、ライドシェアリング、自動運転技術企業などの車両管理を支援するためのプラットフォームを開発した交通ソフトウェアのスタートアップ、Ridecell(ライドセル)に非公開額の出資を行っている。

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タグ:トヨタ自動車Woven Planet買収地図自動運転

画像クレジット:Carmera

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

半導体ウェハメーカーのSK SiltronがEVサプライチェーン強化へ米国で330億円投資

国際クリーン交通委員会(ICCT)の調査によると、電気自動車(EV)の生産と浸透という点で米国は特に2017年から2020年にかけて中国と欧州の後塵を拝してきた。しかし米国が主権を握っているパズルの重要なピースの1つが、スマートフォンからコンピューター、EVに至るまであらゆるものに使われている半導体の生産だ。そしていま、米国はその強みをさらに強化することになりそうだ。

韓国の半導体ウェハメーカーであるSK Siltron(SKシルトロン)の部門SK Siltron CSSは米国時間7月14日、ミシガン州ベイ郡に3億ドル(約330億円)投資し、高給技能職150人を雇用すると発表した。ベイ郡は米国の初の車産業集積地であるデトロイトからクルマで北に数時間のところに位置する。SK Siltronはすでに近くのオーバーンに拠点を持っていて、新しい工場は従業員の数を倍増させることになる。向こう3年間で投資はEV向けの高度な材料の生産とR&Dに充てられると同社はいう。

SK Siltron CSSの最高経営責任者であるJianwei Dong(ジャンウェイ・ドン)氏は、最初にこのニュースを報じたロイターに「当社は周辺のコミュニティにエンドカスタマーを抱えるため、3億ドルの投資はミシガン拠点の米国内EVサプライチェーンを構築するのに役立ちます」と述べた。

この新たな投資は、General MotorsFordといった老舗企業、TeslaそしてRivianなどの新規企業を含む米国の自動車メーカーがこれまでになく次々に新しいEVを発表し、電動化に投資している中でのものだ。

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また、中国と米国の貿易戦争が膠着状態にあるという要素もある。

中国は2010年から2020年にかけて世界中で生産されたEV車両の44%を担ったが、米国は半導体の手綱を握り絶えず中国が他のチップメーカーを買収するのを阻止してきた。ICCTのレポートによると、EV生産に投資して需要を刺激するという強固な政策は中国と欧州で成功した。バイデン政権のEV補助金と充電ネットワーク拡大のための1740億ドル(約19兆円)という予算は、米国が遅れを取り戻すのに役立つかもしれない。

「より持続可能な未来に向け、企業や末端消費者をサポートするためには確固たる新サプライチェーンを米国に構築することが重要です」と米商務長官のGina M. Raimondo(ジーナ・M・ライモンド)氏は声明で述べた。「自動車産業はEVの台頭で絶好の機会を手にしていて、SK Siltron CSSのような企業がクリーンな未来に向けた移行のサポートを拡大するのを楽しみにしています」。

SK Siltron CSSの事業拡大は州政府と地元自治体からの承認を得る必要があると同社は話したが、抵抗にあうというのは考えにくい。ミシガン州経済開発公社は、同州がEV関連の雇用を創出すべく、過去2年で90億ドル(約9890億円)を投資に注ぎ、EVトランジッション絡みで1万人超の雇用を生み出した、と述べた。SK Siltronは従業員の雇用で州と地元の当局と連携していて、70%が技能職の従業員、残りがエンジニアになると話した。

ウェハ101

ウェハは集積回路を作るのに使われる半導体の薄いスライスで、半導体チップを小さく、そして速くするのに役立つ。ウェハは半導体の残り部分のベースとなり、プロセス全体にとって重要な役割を担っている。半導体はバッテリーを高ボルテージで動かし、パワートレインを駆動させ、そしてタッチスクリーンのインタラクティブ性のような現代の車の機能をサポートするため、EVは半導体を必要としている。

SK Siltronのウェハは炭化ケイ素でできていて、通常のシリコン製よりも高パワーに対応でき、熱伝導もいい、と同社は話す。

「EVシステム部品で使われるとき、こうした特性によってバッテリーからモーターへの電力伝送がより効率的になり、EVの航続距離を5〜10%伸ばします」と同社は声明文で述べた。

ウェハはまた、5G通信装置にも使うことができ、SK Siltron CSSは追加の投資を検討しているとDong氏はロイターに話した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:SK Siltron電気自動車半導体ミシガン投資

画像クレジット:SK Siltron

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告

Chevrolet Bolts(シボレー・ボルト)のニュースが再び届いた。幹線道路交通安全局(NHTSA)は新たな消費者向け警告を発行した。同様の問題に関するリコールからまだ1年も経っていない。

NHTSAは、2017~2019年型Boltのオーナーに対し、火災の恐れがあるため家の外に駐車するよう推奨した。対象となっているのは、2020年11月に後部座席下のバッテリーパックに火災の可能性があるためにリコールされたのと同じ車種だ。そのリコールは2017~2019年型Chevrolet Bolt、5万932台に影響を与えた。

しかし今回の警告は、前回のリコールの一環で修正されたはずの車両で最近起きた2件の火災事故がきっかけだとGeneral Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)がウェブサイトに書いている。

「慎重を期して、先のリコール対象だった2017~2019年型Chevrolet Bolt EVのオーナーのみなさまには、当社が調査している間、車両を充電後は直ちに屋外に駐車し、終夜にわたっての充電を行わないようお願いいたします」。

GMは、このバッテリー異常の修復方法を発見しており、対象のBoltディーラーで対応すると述べている。2019年型Boltのオーナーは去る4月29日から、2017年および2018年型Boltのオーナーは5月26日からこの改修を受けることが可能になっている。GMがこの異常を見つけるために使用している診断ソフトウェアは2022年型Boltおよびそれ以降のGM車両に標準搭載される、と同社は言っている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Chevrolet電気自動車火災GMNHTSA

画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

LG化学がEV用バッテリー生産拡大へ向け2025年までに5770億円を投資

韓国のLG Chem(LG化学)は、バッテリー材料事業の構築に今後4年で6兆ウォン(約5770億円)を注ぐ。この投資は、クルマの発明以来、モビリティ産業において最も変革的なものになるであろうシフトの中で、自動車メーカーや米規制当局が内燃エンジン車両から移行する目標を設定したことを受けてのものだ。

投資はアノード材料、分離膜、カソードバインダー、その他の重要なバッテリー部品の生産強化に注がれる。この投資には、韓国・クミ市での巨大なカソードプラントの建設計画が含まれ、工場が完成すれば同社の現在4万トンのアノード生産能力が2026年までに26万トンへと7倍になる。2019年7月に発表したように、LG化学はすでにクミ市に建設するプラントに5000億ウォン(約480億円)投資するとことに同意している。

同社はまた、リチウムイオンバッテリーのパフォーマンスを高めるのに使われる高度な材料であるカーボンナノチューブ(CNT)の生産能力を2021年の1700トンから2025年までに3倍超に拡大する計画だ。それを達成するために、CNTプラント2での生産を拡大し、3つめのCNTプラントの建設を2021年開始する計画だ。

サプライチェーンの面では、バッテリー部品に必要なメタルや他の原材料の供給で鉱業会社と合弁会社を立ち上げるとLG化学は述べた。同社は声明文で「金属調達の競争力を強化するために鉱業、製錬、精製のテクノロジーを持つ企業との、さまざまな方法での協力を積極的に追求する」としている。

LG化学はすでにバッテリーとバッテリー部品製造における最大メーカーの1社であり、Volkswagen(フォルクスワーゲン)やGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)、Tesla(テスラ)などを顧客に抱える。しかも世界のバッテリー材料市場は拡大するばかりで、マーケット規模は2021年の39兆ウォン(約3兆7470億円)から2026年までに100兆ウォン(約9兆6060億円)へと成長することが見込まれている。

バッテリーへの投資とともに、LG化学は追加で3兆ウォン(約2880億円)を生分解性ポリマーや植物ベースの生体材料のような持続可能な石油化学製品に、1兆ウォン(約960億円)を医薬品開発事業のラインに注ぐ、と明らかにした。

CEOのHak Cheol Shin(シン・ハクチョル)氏は、同社が持続可能な事業ポートフォリオにシフトさせるさらなる機会を模索している、と話す。「これは、LG化学の価値と持続可能性をアップグレードする、会社創立以来、最大の革命的変化となります。目に見える変化は2021年下期から出てくるでしょう」と述べた。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

Electrify Americaが電気自動車の市場投入増加に合わせ北米で充電ステーション倍増へ

Volkswagen(フォルクスワーゲン、VW)が、ディーゼル車の排ガス不正問題に関する米国の規制当局との和解の一環として設立したElectrify America(エレクトリファイ・アメリカ、EA)は、2025年末までに米国とカナダにおける電気自動車用急速充電ステーションの数を倍増すると発表した。

この取り組みが成功すれば、それまでに1800カ所の急速充電ステーション(充電器にして1万台)が設置・運用されることになる。その大部分(約1700ステーション)は米国に設置され、残りはカナダに設置される予定だ。これは、2021年末までに米国内に約800カ所の充電ステーションと約3500台の充電器を設置するというEAの計画に基づいている。7月13日現在、Electrify Americaは米国内に635カ所の充電ステーションを設置している。

この計画は、親会社であるVWグループが米国時間7月12日に発表した、北米、アジア、欧州における公共の充電インフラを増やすことの一環だ。この拡大で、150キロワットと350キロワットの充電器、つまり急速充電器の数を増やすことを目指す。VWとEAは、この新計画達成に向けどれだけ資金を費やすのかを明らかにしていない。しかし、EAの広報担当者は、20億ドル(約2200億円)を上回る金額を投じると認めた。これは以前同社が、2017年に始まる10年間のクリーンエネルギーインフラへの投資として約束した金額だ。

Electrify Americaの社長兼CEOであるGiovanni Palazzo(ジョバンニ・パラッツォ)氏の声明によると、北米での充電インフラを2倍にするという決定は、ほぼすべての自動車メーカーが電気自動車に関して見込む急速な成長が背景にある。

EV市場は、かつてはテスラや日産リーフ、GMのシボレー・ボルトEVなどが主役だった。現在、道路を走っている自動車の大半はガスやディーゼルエンジンを搭載しているが、フォード・マスタング・マッハE、ポルシェ・タイカンとクロスツーリスモシリーズ、ヒュンダイ・コナ・エレクトリック、ジャガー・Iペース、リヴィアンのR1TピックアップトラックとR1S SUV、VW ID. 4など、市場に登場した、あるいは登場しようとしている他のEVモデルが増えている。

Electrify Americaの当初の計画では、10年間で20億ドル以上(約2200億円)をクリーンエネルギーのインフラや教育に投資することになっていた。そのうち約8億ドル(約880億円)は、北米最大のEV市場であるカリフォルニア州に割り当てられた。今回の投資は、カリフォルニア州をはじめとする米国のEV地域での充電器増設に加え、ハワイ、ノースダコタ、サウスダコタ、ウェストバージニア、ワイオミング、バーモントなど新たな州への進出にも使われる。

また、中西部の高速道路にも充電器を設置し、国をまたいだ移動を促進する取り組みも行っている。子会社のElectrify Canadaは、サスカチュワン、マニトバ、ニューブランズウィック、ノバスコシア、プリンスエドワード島を含む9つの州にネットワークを拡大する。また、Electrify Canadaは、すでに進出しているブリティッシュ・コロンビア、アルバータ、オンタリオ、ケベックにもステーションを増やしていく。

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画像クレジット:Electrify America

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ニューヨークの電力網に負担をかけずに電動モペッドの電力を供給するためにRevelはゲーム化したアプリを利用

Revel(レベル)が、ニューヨーク市の電力網に負担をかけずに3000台以上の電動モペットへの充電を行うために、エネルギー使用をゲーム化したアプリを利用する。

ブルックリンを拠点とするこのスタートアップにとって、電気は重要な要素だ。最近同社のサービスは、電動モペッドの共有だけでなく、電動バイクのサブスクリプション急速充電インフラ、さらには電気自動車(EV)の配車サービスにまで拡大している。Revelが運用コストを可能な限り低く抑えるためには、単なる電力の利用だけでなく、電力を利用するタイミングも管理することが不可欠だ。

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そこで、登場したのがLogical Buildings(ロジカル・ビルディング)だ。このソフトウェア会社は、利用者が毎月のエネルギー消費量を減らし、それによって、現金報酬を得ることができるアプリGridRewards(グリッドリワーズ)を開発した。このアプリの「仮想発電所」ソフトウェアは、Revelが保有する車両の充電スケジュールを動的に調整し、ニューヨーク市の電力網の弾力的運用をサポートするのに役立つと両社は述べている。

RevelのCOOで共同創業者のPaul Suhey(ポール・スヘイ)氏は「当社は電動モビリティ製品を拡大していく中で、電力網の負債ではなく資産となることを計画しています」と述べる。「私たちのEVインフラと充電オペレーションは、ニューヨーク市がよりクリーンな電力網に移行する際に大きな役割を果たすことができます」。

電気自動車の導入やマイクロモビリティの共有サービスが増加しているため、多くの業界関係者がバッテリーと電力網間でのエネルギーを転送を模索している。EVのバッテリー交換を行うAmple(アンプル)は、同社の交換ステーションを緊急時のバックアップ電源として利用できるとしている。また、フォードの新型ピックアップトラック「 F-150 Lighting」も、停電時に自宅の電力を供給することができる。

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Revelの場合、電力網の解放が即座に必要な場合には、迅速に充電ステーションからの負荷を軽減する「デマンドレスポンス」(需要反応)オペレーションのようなサービスを提供したいと考えている。これは同社が先にニューヨークで実施したような運用だ。6月28日の猛暑の中で、Revelは需要のピーク時を避けるために、車両群の充電スケジュールを調整したのだ。

Revelによれば、エネルギー需要が高い時には、発電所から単位電力あたり2倍の二酸化炭素と20倍の窒素酸化物が排出されるため、ピーク時の需要を避けることで、よりクリーンな電力網の構築にもつながるという。

Revelまた、完全EV配車サービス用にTesla(テスラ)も所有しているが、このサービスは、市でのハイヤー新規導入に上限が設けられたため、サービスの停止を余儀なくされている。しかし現時点では、同社がこの技術を適用するのは電子モペッドに限定されている。

Logical Buildingsの業務担当副社長であるDavid Klatt(デビッド・クラット)氏は「交通機関の電化が進む中、電気モビリティ会社は電力網の弾力性を高めるための充電スケジュールを立てることが重要です」という。「Revelは、ニューヨーク市の円滑な電化と脱炭素化に道を開く、インテリジェントな充電オペレーションのリーダーとなるために必要な措置を講じています」。

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タグ:ニューヨーク電力網電動モペッドRevel電気自動車充電ステーション

画像クレジット:Revel

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

街中での商業利用に求められる静かなエアタクシーを開発するWhisper Aeroが脱ステルス

ドローンを使った配達や電動垂直離着陸機が、夢のような話から商業化に移行しようとしている今、多忙で騒々しい空が始まる日の前夜だ。NASAの元エンジニアで、Uberのエアタクシー部門を任されていた人物が開発しているのは、空の交通から騒音を取り除く技術だ。

後にJoby Aviationに買収されたUber Elevateの技術部長だったMark Moore(マーク・ムーア)氏は、Whisper Aeroと呼ばれる彼自身の会社を立ち上げた。今週ステルスを脱したこのスタートアップは、デリバリードローンやeVTOLから出るノイズをバックグラウンドレベルにブレンドして、人間の耳が気づかない程度の音にしてしまう電動スラスターを開発している。

これが本当だとすると、恐るべき挑戦だ。ノイズという問題の解決方法は、単純に音量を下げればいいものではない。ノイズと呼ばれる音のプロファイルには、周波数など音量以外の変数がある。たとえばヘリコプターにはメインローターとテールローターがあり、2つが異なる周波数を生み出す。それによって人間の耳は、単一の周波数よりもうるさく感じてしまうとムーア氏は最近のTechCrunchインタビューで話した。

eVTOLは、状況をさらにややこしくする。eVTOL企業が作っているものは、これまでとはまったく違うタイプの航空機で、ヘリコプターのような従来の回転翼航空機とは異なる音響プロファイルを生み出す。米国陸軍が最近行った研究調査によると、eVTOLのローターは、ヘリコプターが生成するトーナルノイズ(単一音調)ではなく、一般にブロードバンド(広帯域)と呼ばれるようなタイプのノイズであることが確認された。それぞれのeVTOL企業が独自の設計を開発しているため、すべての電動航空機が同じレベル、同じ種類のノイズを出すわけではない。

ところがWhisperは、全業界から採用してもらえるようなスケーラブルな製品を設計している。

ムーア氏によると、そのアイデアが形を成すまでに数年を要したという。彼と同社COOで、Elevateで戦略とシミュレーションを指揮していたIan Villa(イアン・ヴィラ)氏は数年前に、ノイズをなんとかしないかぎり、エアタクシーの商用化はありえないと悟った。

「はっきりしてのは、ノイズが最も重要だということです。最も突破困難な障壁です。しかし、解決しようと時間とリソース、マインドシェアを費やしている開発者の数はほとんどいませんでした」とヴィラ氏は語る。

WhisperのCEOマーク・ムーア氏(画像クレジット:Whisper Aero)

ヘリコプターはあまり頻繁に使われないため、あのひどいノイズもあまり問題にならない。しかしJoby AviationのようなeVTOL企業のプロダクトは、利用頻度が桁違いに多い。ムーア氏がいち早く指摘したのは、Joby(2020年末にElevateを買収)のような企業はすでにヘリコプターよりずっと静かな航空機を開発しており、その開発の方向性は正しいということだ。

しかしながらムーア氏は「彼らの現状は、大量に採用されるほどのレベルに達しているだろうか?その疑問から、我々はスタートしました」と語る。

Whisperはその電動スラスターの詳細について口をつぐむが、すでにLux CapitalやAbstract Ventures、Menlo Ventures、Kindred VenturesそしてRobert Downey Jr.(ロバート・ダウニー・Jr)氏のFootPrint Coalition Venturesなどから約750万ドル(約8億3000万円)の投資を獲得している。同社はまた、2022年にはその暫定特許を国の正規の特許にしたい意向だ。

今後同社はまず小型のドローンを2023年に発売し、それから徐々にエアタクシーのサイズへスケールしていきたいと考えている。ムーア氏によると、乗用機用のスラスターは2020年代に完成するという。第1世代のeVTOLが、Archer AviationやJobyがいうように2024年に市場に出現するなら、Whisperの製品の登場はeVTOLの第2世代になるだろう。

当面の間、Whisperはテストとまだ残っている技術的課題の解決努力を継続する。最終製品のコストを合理的な範囲内に収めることも、その課題の1つだ。同社はまた、テネシー州の本社で行なうスタティックなテストに加えて、風洞を使用する実動試験も準備しており、その一部については米国空軍の協力を求める。

「バックグランドノイズに溶け込むほど静かでなければなりません。私たちはそう自覚しており、そのための技術を開発しています」とムーア氏は語る。

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タグ:エアタクシーWhisper AeroeVTOLノイズ資金調達

画像クレジット:Whisper Aero

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

柔軟な処理能力を備えた自動運転技術の開発を進めるISEEがヤードトラックでハブの配送を自動化

ロボタクシーはまだ数年先になるかもしれないが、今日あるような自動運転車によって変革が可能な業界は他にもある。MITのスピンオフ企業であるISEEは、コンテナの仕分けや保管が行われている一般的な輸送ヤードで、その1つを見出した。このところ人間のドライバーの数が減ってきているが、今後は同社が専用に開発したロボット運転のヤードトラックがその作業を担うことになるかもしれない。新たな資金調達と大手荷主との提携により、ISEEは大きく成長を遂げる可能性がある。

船積場は物流業界の緩衝地帯だ。コンテナを満載した船からコンテナを降ろすとき、クレーンがコンテナを降ろした岸壁にコンテナをそのまま置いておくことはできない。時間に制約があるため、すぐにトラックアウトする必要があるが、あるコンテナは税関や検査を経て1週間施設に留まる必要があるかもしれない。あるいは、冷蔵保管されていて、電気と空気の接続が必要なコンテナもあるかもしれない。

このような状況はいずれも、プロのドライバーによって処理される。適切な場所まで数百メートルまたは数千メートルの距離を走る短距離トラックへの連結、電源のある空きスロットへの設置、長期保管、検査の準備に入るなどさまざまだ。しかし、ロジスティクスの多くの仕事と同様に、年々登録者が減少しているため、この仕事も人手不足に直面している。結局のところ、作業はかなり反復的であるが、特に容易というわけではなく、そしてもちろん、重い機器は危険をともなうことがある。

ISEEの共同創業者であるYibiao Zhao(イビャオ・ジャオ)氏とDebbie Yu(デビー・ユウ)氏は、物流業界はさらなる自動化を必要としており、特にコンテナヤードがその傾向にあると指摘する。「顧客と一緒に仕事をしていると、ヤードでの作業がいかに時代遅れなものかということに驚きます。基本的には人々が大声を上げているだけなのです」とジャオ氏はいう。「これを次のレベルに引き上げる大きなチャンスがあります」。

画像クレジット:ISEE

ISEEのトラックは完全にカスタム化されたものではなく、よくあるタイプのヤードトラックで、LiDARやカメラなどのセンサーを装備して360度の認識を持たせている。その仕事は、コンテナ(未処理のもの、そこが重要)をヤードのあちこちに運び、50フィート(約15m)のトレーラーを左右わずか1フィート(約30cm)のスペースしかない駐車スペースに戻すことだ。

「顧客は、まるで別のドライバーを雇うかのように、当社のソリューションを採用しています」とジャオ氏はいう。安全地帯を設ける必要はなく、ヤードで特別な配慮をする必要もない。ISEEのトラックは、障害物を避けながらインテリジェントに走行し、通り過ぎる作業員のために減速し、自動運転か人間による運転かにかかわらず、他のトラックのためのスペースを確保する。多くの産業機械や車両とは異なり、これらは安全を保ち、予測不可能な混沌とした交通の中で可能な限り安全に運転するように、現在の自動運転の状態を適応させることができるのだ。

人間のドライバーを超える自動化システムの利点は、こうした環境において特に顕著である。ヤードトラックのドライバーのやや特殊な制約の1つとして、運転席がキャビンの左側にあるため、十分によく見えるのは左側だけであり、トラックも左側にしか駐車できないことが挙げられる。もちろん、ISEEトラックにはそのような制限はなく、どちらの方向にも簡単に駐車できる。

画像クレジット:ISEE

効率性もまた、絶対確実な機械思考によって改善される。「ヤードには何百、何千ものコンテナがあります。人間は、何がどこにあるのか覚えていないことにより、ヤードを歩き回ってアセットを探すことに多くの時間を費やしてしまいます」とジャオ氏は説明する。だがもちろん、コンピュータは決して記憶を失わないので、ガソリンを無駄にしてヤードを回り、コンテナやそれを置く場所を探し回ることはない。

一旦駐車すると、別のISEE技術が電気や空気のために必要な接続を行うことができるが、これは悪い状況に置かれた人間のドライバーにとっては危険なステップとなり得る。

ロボットプラットフォームは一貫性も提供する。ユウ氏によると、人間のドライバーは訓練生の段階では能力が低く、慣れるまでに数年かかるという。「私たちは効率性について多くを習得しました」と同氏は語る。「これは基本的に顧客が最も気にかけていることであり、サプライチェーンはスループットによって左右されます」。

そのため、速度を調整することは興味深い課題であると同氏は指摘する。車両がより速く進むのは簡単だが、障害物があるときだけでなく、行き止まりのコーナーなどを注意して走行しなければならないときにも、必要に応じて減速できるようにするための意識が必要だ。

これは自律性を開発するための完璧な訓練の場だと言えるだろう、そしてそれこそが同社のアイデアである。

「今日のロボットは、極めて制約の厳しい環境下では、事前定義されたルールに従って動作します。しかし将来的には、自律走行車がオープンな環境で走行するようになるでしょう。私たちは、ロボットや自律走行車が不確実性に対処できるようにするための技術的なギャップを認識しています」とジャオ氏は述べている。

ISEE創業者(画像クレジット:ISEE)

「私たちは、複雑な人間の行動をともなう、比較的制約のない環境を必要としていました。コンテナヤードは、実際に理想的な関係を築くもの、つまり当社が提供する柔軟な自律性と敷地の組み合わせを実現するものであることに気づきました」と同氏は続けた。「ヤードは私有地であり、規制はなく、すべての車両はそこにとどまり、子どももいないし、ランダムな人々もいません。公共の高速道路のような長距離道路や交通量の多い通りもありません。しかし、単純なものではなく、ほとんどの産業環境同様に複雑です。密集し、混雑しており、歩行者やトラックが行き来しています」。

MITからのスピンアウトであり、論文やコンピュータビジョンの研究に強い基盤を有しているが、これは理論上のビジネスではない。ISEEはすでに、Lazer SpotとMaerskという2つの主要な荷主と協働している。両社とも数百のヤードと約1万台のトラックを所有しており、その多くまたはほとんどがISEEによって自動化される可能性がある。

現時点で同社はパイロット段階を終えており、Maerskと協力して1ヤードで数台の車両を稼働させている。Maersk Growth FundもISEEに投資しており、その額は公表されていないが、近い将来に買収の可能性も浮上している。しかし、当面の計画としては、技術とサービスを拡大し、改良することに注力し、ISEEと将来の競合他社との差を広げることを目指している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:ISEE自動運転トラック物流

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)