パリ市がキックスクーターや自転車のシェアリング企業に課税の方針

パリ市によると、市内には電動スクーターや自転車、オートバイのようなキックスクーターなど、あらゆる形態のシェアリング用の乗り捨てタイプの乗り物が1万5000台あるのだという。そしてパリ市は今日、乗り捨てシェアリングサービスを展開している企業に、展開規模に応じて課税する方針を発表した。

計画通り進んだ場合、自転車シェアリングサービスを運営している企業は自転車1台あたり年間20ユーロを支払わなければならなくなる。キックスクーターの場合だと、1台につき年間50ユーロ(約6300円)、オートバイのスクーターは年間60ユーロ(約7560円)だ。

Le Parisienによると、段階システムになっていて、一定のラインを超えるたびに、さらに払わなければならない。どういうことかというと、例えば500台目から999台目は支払額が10%増え、1000台目から2999台目までは20%増し、3000台目以降は30%増しとなる。

パリ市は小さな街だ。面積でいえばサンフランシスコよりも小さい。駐車したり、運転したりするのはかなり困難だ。だからこそ、パリに住む多くの人が車を所有しない。地下鉄や他の交通手段を利用する方がずっと速く移動できて安上がりだ。

それゆえに、自転車やキックスクーター、オートバイがもてはやされている。路上を走る車が少ないのは素晴らしいが、ここへきて予期しなかった問題が出てきた。

パリ市の自転車シェアリングシステムがネットワークのアップグレード期間中ほぼ使えなかったとき、自転車シェアリングサービスは大繁盛した。 GoBee BikeoBikeOfoMobikeなどこれらすべてがパリでサービスを開始した。しかし、結局すべて失敗に終わった。GoBee Bikeサービスを停止しOfoの自転車は数台まだあるがチームはいないMobikeは国際展開を縮小している。

これは乗り捨てのサービスにとって芳しくないスータートで、その結果、壊れた自転車が多くパリの路上でゴミとなっている。一方、ドック型の自転車シェアリングシステムVélibが現在展開されているが、ステーションは1200カ所以上あり、毎日数万もの利用があるなどうまくいっている。Vélibの自転車は街の至る所で見かける。

キックスクーターに関しては、現在パリでは9社がサービスを展開している。そう9社もだ。いずれもおかしな響きの名前ばかりだ。Lime、Bird、Bolt、Wind、Tier、Voi、Flash、Hive、Dott。

これらのサービスはかなり人気がある。というのも、パリには多くの自転車走行レーンがあるからだ。多くの人がいまだにヘルメットを着用せず、怪我も多い(しかしこれは別の問題だろう)。

他の都市と同様、キックスクーターが歩道を走行することについては、多くの人が苦情を言っている。もしあなたが車椅子やベビーカーの利用者だったり、視覚障害を抱えていたりすれば、このところ歩道を歩くのに困難に感じているかもしれない。

パリ市はそうしたシェアリングサービスを展開している企業に責任を持ってほしいと考えている。企業は実際に稼働しているキックスクーターの数を最大化するためにスクーターを管理する必要があり、壊れたスクーターは回収しなければならない。今後、この分野で事業の統合や破産が出てくるのはほぼ間違いないだろう。

オートバイに関しては、CityscootCoupがサービスを展開している。もちろん課税対象外となる理由はない。それらのオートバイが時々、自転車用の駐輪スペースを占領している。例えば以下の通りだ。

パリ市の対策がシェアリングの自転車やスクーターの散らかりを防ぐのに有効かどうかは、今後明らかになる。乗り捨てサービスは環境に大きく影響を及ぼしている。キックスクーターは数週間しかもたず、すぐに新しいものに代える必要がある。次々とキックスクーターを投入する、というのは解決策にならない。

原文へ

(翻訳:Mizoguchi)

Waymoは自動運転車両のさらなる路上投入を着々と準備中

Waymoはフェニックスエリアに、新たにテクニカルセンターを設ける。自動運転車両テクノロジースタートアップであるWaymoは商業車両を増やす準備を進めていて、新センター開所で同エリアでの収容能力が倍になる見込みだ。

85000平方フィートある新センターはメサに設けられ、今年後半に開所する予定となっている。フェニックス郊外チャンドラーにすでにある6万平方フィートの施設はそのまま残る。

前身はGoogleの自動運転プロジェクトで、スピンアウトしてAlphabet傘下企業となったWaymo2016年にアリゾナ州チャンドラーに初の施設を開所した。以来、Waymoはテストを強化し、アーリー・ライダープログラムを立ち上げ、そして商業展開へ向けて徐々に歩を進めてきた。20174月に始まったアーリー・ライダープログラムの参加者は、Waymoが最後に公開した数字では400人となっている。

昨年12月、Waymoは商業の自動運転車サービスとアプリのWaymo Oneの提供を開始した。このサービスはまだ広範で利用できるわけではなく、Waymoの訓練を受けたドライバーがまだ運転席に乗り込んでいる(Waymoはドライバーなしの車両をフェニックスの公道で走らせている)。

今回の新センター設置の発表は、おおよそ600平方マイルというフェニックスの広がりつつある中心地の大方をカバーするという最初の計画にWaymoがまだ取り組んでいることの表れだ。Waymoは最近ではチャンドラー、テンペ、ギルバート、メサで車両を展開している。これは、その地域の住人が今後、公道でさらに多くのWaymoの自動運転車両を目にすることを意味する。そうした体験は、一部の人にとってはすごく嬉しいものではなかったようだ(自動運転車両に腹を立てて過激な報復行動をとったという件がいくつか報告されている)。

Waymoが全世界で抱える車両は約600台で、その大半がフェニックスエリアにある。Waymoによると、新たなテクニカルセンターは2つめの派遣センターとしての役割を担い、車両のメンテナンスや清掃なども行う。

このセンター開所は、Waymoが今後数カ月内にさらに雇用することを意味する。Waymoが火曜日のブログで記したように、フェニックスでの運用拡大は今回が初めてではない。Waymoは昨年、チャンドラーのフルサービスセンターを6万平方メートルに拡張した。この施設は車両技術や車両派遣、乗客サポートなどを含む運営・サポートチームを抱えている。

原文へ

(翻訳:Mizoguchi)

トヨタは自動運転車でNvidiaの技術を大々的に採用

トヨタは自動車メーカーとしてNvidia(エヌビディア)との関係を深め、それにより同社の日本とアメリカの研究部門が自動運転車の開発事業を強化している。

NvidiaのCEOであるJensen Huang(ジェンスン・ファン)氏は米国時間3月18日に2019 GPU Technology Conferenceのキーノートで、トヨタの日本の研究部門Toyota Research Institute-Advanced Development(TRI-AD)が、Nvidiaの完全にエンドツーエンドな開発および製造技術を利用して、その自動運転車技術の開発と訓練と検証を行っていると発表した。そのパートナーシップはトヨタとの既存のコラボレーションをベースとするもので、Nvidiaと日本のTRI-ADと米国のToyota Research Institute(TRI)」の三者のチームにより行われている。

この新たな協定によりトヨタは、Nvidiaのプラットホームを利用してディープなニューラルネットワークの訓練やテストや検証などを経て、自動車への最終的な実装を行っていく。トヨタはまたNvidiaが最近リリースし、すでに顧客に提供されているAVシミュレーターのDrive Constellationも使っている。トヨタはConstellationを使う最初の企業で、それは、自動運転車の開発企業が仮想世界で技術をテストできる、クラウド上のプラットホームだ。

要するにトヨタは、自動運転車の開発工程の全体にわたってNvidiaの技術を使おうとしている。

Nvidiaの自動運転部門のシニアディレクターDanny Shapiro氏が3月18日にこう語った。「密接なコラボレーションこそがわれわれのビジネスモデルだ。協働してNvidiaのドライバーズプラットホームを築いていくのが、われわれのやり方だ」。

Nvidiaとトヨタはすでに数年間、コラボレーションしてきた。トヨタは2017年に、NvidiaのXavierプロセッサーを使用するスーパーコンピューターDrive PXを、今後の車に搭載する自動運転システムに採用する、と発表した。

Toyotaとその研究部門TRIおよび日本のTRI-ADは、自動運転技術に二重のアプローチを採用している。

トヨタは最終的にはそのChauffeur(ショーファー)と呼ばれるシステムで、高齢者や障害者に奉仕する完全な自動運転車をデプロイするつもりだ。しかし二重のもうひとつの部分であるGuardian(ガーディアン)は、人間が運転する車を必要に応じて支援するシステムだ。常に人が運転しているが、その間Guardianがたえずウォッチし、センスして、問題の発生に備えている。

トヨタがNvidiaのプラットホームをChauffeur(完全自動運転車)とGuardian(運転者支援システム)のどちらに利用するのか、それがまだ明確でない。

TRI-ADのCEOであるJames Kuffner氏は、声明の中でこう言っている。「死亡事故をゼロにし、すべての人に円滑な交通手段とモビリティを提供することが、弊社の自動運転車の究極のビジョンだ。Nvidiaとの技術協力は、このビジョンを実現するために重要だ。ソフトウェアの検証と試験に大規模なシミュレーションツールを使うことが、自動運転システムにとって重要と考える」。

NvidiaがスーパーコンピュータープラットホームDrive PXで自動運転車向けの最初のアーキテクチャを導入したのは2015年だが、それ以降パートナーシップを結んだ自動車メーカーはトヨタだけではない。その最初のプラットホームは車のカメラやセンサーからのデータをすべて処理し、AIのアルゴリズムを搭載したオペレーティングシステムと、クラウド上の高精細な3Dマップにより、現在位置や今後ありうるハザードなど、車の環境理解を助けることを目的としている。

画像クレジット: Kirsten Korosec

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

トランプ大統領曰く「自動運転車はクレイジー」、米国運輸省の立場とは正反対

ドナルド・トランプ大統領は自動運転車に懐疑的だ。これは自身の政権、なかでも米国運輸省とは対照的な立場である。

Axiosの最新スクープによると、トランプ大統領は自動運転車革命は「クレイジー」と考えていると非公式に話した。トランプ氏の考えは必ずしも驚きではない。飛行機が複雑になりすぎているという最近のツイートは、彼のラッダイト(技術革新反対者)傾向を示している。

興味深いのは大統領と運輸省の視点の違いだ。

つい先週テキサス州オースチンで行われたSXSWで、運輸省のイレーン・チャオ長官は非伝統的新興輸送技術委員会(NETT)の設立を発表した。新しいテクノロジーの導入を阻害する可能性のある法律や規制の隙間を埋めることを目的とした内部組織で、トンネル、ハイパーループ、自動運転車などによるイノベーションを対象としている。

「新しい技術は複数の輸送手段にまたがるものが増えてきているため、複合的に応用可能な革新技術を見渡す内部委員会を作るよう指示した」とチャオ委員長が声明文で語った。

一方、その他の自動運転車関連法案も、さまざまな検討段階にある。

米国時間3月15日、運輸省の幹線道路交通安全局(NHTSA)は、NuroaおよびGenral Motorsが提出した自動運転車に関する嘆願書が公開レビュー/コメントのための連邦広報掲載まで進んだことを発表した。

平行する両視点はまだ衝突していない。自動運転技術に対するトランプの個人的見解が運輸省の政策に影響を与えているという証拠はない。もちろん与えていないという意味でもない。

自動運転業界は不測の事態に備えて、大衆(そしてトランプ)を徐々に啓蒙しようとしている。 Partners for Automated Vehicle Education (PAVE、自動運転車啓蒙組織)はその一つだ。PAVEは、自動運転車と利害関係にある自動車メーカーおよびIT企業らが資金を出し合って1月に設立された。Audi、Aurora、Cruise、GM、Mobileye、Nvidia、トヨタ、Waymo、Zooxらが参加して、自動運転車の最新技術について情報を広めている。彼らのメッセージは次のとおり。「このテクノロジーは輸送手段を変革し、より安全、より持続可能にすることができる」。

Google傘下のWaymo はAAAとの提携によって、自動運転技術およびその安全性や人々の移動を手助けする可能性を広く伝えていく啓蒙活動も行っている。同プロジェクトは最近、自動運転車開発のメッカとして知られているアリゾナ州およびカリフォルニア州など7つの市場を管轄するAAAの地域組織(AAA NCNU)と提携したことを発表した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トヨタとパナソニックが東京五輪に提供する介助ロボットをデモ

2020年東京で夏のオリンピックとパラリンピックが開催される。日本の大企業の多くはこのチャンスをとらえて最新のテクノロジーをデモしたい考えだ。中でも観客のモビリティを改善するロボディクスに注目が集まっている。

今週開催されたプレスカンファレンス「東京2020ロボットプロジェクト」で、こうしたテクノロジーの一部が公開された。日本や他の国で高齢化が大きな課題となっているが、こうしたロボディクスは自力で移動することが困難な人々を助けることを目的としている。

副事務総長の古宮正章氏はイベントで「ロボットは人間を圧迫する存在ではない。ロボットは人間と有効的な関係を築き、協力する存在であるべきだ。これがわれわれが考えるロボットの未来だ」と述べた。

このイベントの主要スポンサーとなっているトヨタは、人間を介助するロボットの開発を以前から続けてきたことで知られている。今回発表されたのは観衆の移動を容易にする介助ロボット16種類だった。共同スポンサーのパナソニックは20種類の運搬ロボットを披露した。これには装着者が大重量を運搬することを可能にする外骨格装置が含まれている。

世界のメディアの注目が集まるオリンピックはこうしたテクノロジーをデモするのに理想的な場だ。今回発表されたテクノロジーはロボティクスの中でも普段はさほど注目されない地味な部分だけに、こうしたチャンスを利用することには大きな意味がある。日々の生活で切実に助けを必要としている人々の役に立つようなロボティクスが本当に役立つテクノロジーというべきだろう。

画像:KAZUHIRO NOGI

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ファーウェイがAndroidに代わるスマホOSを構築、米国との緊張激化に備え

米国とファーウェイの緊張関係は和らぐ気配がない。先週この巨大電子製品企業は、同社製品の使用禁止は“憲法違反”として米政府を訴訟した。一方、今週初めに米国は、ドイツがファーウェイの5G製品を使うことに関して同国の諜報機関を威嚇した

当然ながら同社は、関係のさらなる悪化に備えて、Androidに代わるモバイルオペレーティングシステムを内製しはじめた。同社が独自のモバイルOSを作っているという噂は1年前からあったが、今回は同社モバイル部門のトップRichard Yu(余承東氏)が、その新しい予備システムに言及した。

「独自のオペレーティングシステムを準備した。Androidを使えなくなったら、それに代わるB案がすでにある」とこの役員は言った。

ファーウェイはそのソフトウェアの構築を、米国がZTEを禁じた直後に開始した。GoogleやQualcomm(クアルコム)のような米国企業製のソフトやハードを中国のスマートフォンで使うと、両方の国で関税がどんどん増えていった。

ファーウェイが心配されているのは中国政府との結びつきだけでなく、イランの関税回避の嫌疑でも叩かれている。同社のCFOであるMeng Wanzhou(孟晩舟氏)は、それでカナダの拘置所にいる。もちろんこれまで、何があってもファーウェイのグローバルな成長は衰えない。懸念の高まりの中で同社は売上が50%増加した。

TechCrunchでは今、ファーウェイに確認を求めている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

電動スクーターのBirdが全従業員の5%を解雇

電動スクータースタートアップのBirdは全従業員の4〜5%を解雇した。The Informationが最初に報じた。最大900人の全従業員のうち40人ほどの解雇となる。このニュースは、Lyftがバイク・スクーター部門で最大50人を解雇したのに続くものだ。

「サービスを展開する都市に地元のサービスセンターを設置するのに伴い、従業員の配置は地理的に変化している」とBirdの広報はTechCrunchに対し語った。「我々は、サンタモニカの本部で効率的な運営構造を導入している一方で、世界で拡大しているサービスに対応するためにそうしたところで従業員を増やしている。今回の解雇は地理的需要のシフトと人材レビュープロセスを反映したものだ」。

TechCrunchが把握しているところでは、解雇はBirdの年1回行われる成績評価のプロセスの一環であり、米国拠点の従業員のみが影響を受ける。解雇された人たちは医療給付を含めた契約解除となる。従業員を解雇するにもかかわらず、Birdは全社で100以上のポストで求人を出している。

今月初め、Birdは起業家に自前のスクーターを管理させるプラットフォームをニュージーランドで公開した。Bird Platformは世界中にBirdのスクーターを展開するというミッションの一部であり、「我々が展開を考えていない地域の地元起業家にBirdの技術と乗り物で電動スクーターシェアリングプログラムを運営する権限を与えるもの」とBirdのCEOであるTravis VanderZanden氏は今月初めにTechCrunchに対し述べた。

Birdはこれまでに4億ドル以上の資金を調達していて、さらに3億ドルを調達中とみられている。

原文へ、翻訳:Mizoguchi)

Uberが来月にもIPO申請とロイターが報道

LyftがIPOを正式申請したのに続き、UberもIPO申請書類S-1を4月に提出する見込みだ、とロイターが報じている。Uberは昨年12月にIPOのための書類を内々に提出していた。

Uberはまた、IPOに伴う動きを始動させる見込みだ。株式公開の一環として、積極的に活動したり長期間働いていたりするドライバーに報奨金を提供して株式を与えることを計画している。

1カ月ほど前、Uberは2018年第4四半期の決算を発表し、ここでは売上30億ドル、損失8億6500万ドルを計上した。しかしこの数字は税制優遇適用後のものであり、適用前は損失12億ドルだった。調整後のプロフォーマベースでは2018年第4四半期の最終損失は7億6800万ドルだった。

この数字は前期からは若干改善した。2018年第3四半期はプロフォーマベースで9億3900万ドルの損失を計上し、税引き前純損失は9億7100万ドルだった。にもかかわらず、Uberの損失は第4四半期も続いたことになる。年間ベースでは、2018年の損失は18億ドルで、2017年は22億ドルだった。

競合するLyftは今月初めにS-1を提出したが、2018年の売上は22億ドルで損失は10億ドル近くだった。S-1でLyftは、2019年2月25日時点で最低2万回の乗車を提供した“優良”ドライバーに最大1万ドルの現金ボーナス給付を計画していることを明らかにしている。

Uberは今回のロイター報道についてのコメントは拒否した。

原文へ、翻訳:Mizoguchi)

Uberの自動運転車部門は月に22億円超を費やしていた

IPOの準備段階で、Uberの巨額の支出と巨大な野心の詳細が、裁判所への提出書類から明らかになった。

先週公開された裁判所の文書によれば、Uberは今年、路上に7万5000台の自動運転車を配備し、2022年までには13都市で無人タクシーサービスを運用する予定だったという。この野心的な目標を達成するために、今年後半に公開を予定している同社は、自動運転技術の開発に毎月2000万ドル(約22.3億円)を費やしていた。

2016年に遡るその数字が描き出すものは、その大胆すぎる自動運転の目標を必死で追い求め、そのためにはたとえ無謀であろうとも糸目をつけず支出を行う企業の姿である。Uberが今年後半のIPOを準備する中で、この新たに明かされた詳細は、同社がいまでも、創業者のトラビス・カラニック氏が提唱していた、Uberが未来に「生き残る」ため技術の開発を続けているという、困惑するような事実を思い出させるものかもしれない。

このレポートは昨年のWaymo(ウェイモ)との間の、特許及び企業秘密に係る窃盗訴訟のためにUber向けに書かれたものだ。この訴訟でWaymoは、元Googleの技術者だったアンソニー・レバンドウスキー氏が同社を辞めてトラックのスタートアップOtto(オット)を起業した際に、Googleの技術的な秘密を持ち出したと訴えた。Uberは2016年にOttoを買収している。Uberは、Waymoが被った経済的損害額に対するWaymo自身の18億5000万ドルという莫大な評価に対して疑問を投げかけるために、専門家の立場の証人として、レポートの著者であるウォルター・ブラティック氏を雇った。ブラティック氏のレポートは、Waymoの企業秘密と言われているものを独自に開発するためのコストは、60万5000ドルだと報告している。

Waymoは最終的にUberの株式の0.34%を受け取ることになった。これは最近の同社の評価額である900億ドルが正確であるなら、IPO後には3億ドル前後に相当するものとなる。

ブラティック氏のレポートは内部の詳細な分析を行い、Uberが2016年に行っていたProject Rubicon(プロジェクトルビコン)というコードネームのプロジェクトについて報告している。その年の1月のプレゼンテーションでは、2018年には無人車によってUberは利益を得ることができると予測していたが、それが2016年5月になると、Uberは2019年までには1万3000台の自動運転車を所有することになるだろうとしていた。そのたった4カ月後、その見積もりは7万5000台へと急増した。

現在のUberの自動運転技術の責任者であるエリック・メイホーファー氏は、Uberが2022年までに数十の都市に数万台の自動運転車を投入するという当初の想定は「非常に憶測的」な「仮定と見積もり」によるものだったと証言した。メイホーファー氏はそれ以外の数字の開示を拒否したが、以下のように語った「13カ所以上の都市を考慮する多くのシナリオを検討していた筈です。他のシナリオでは200、あるいは100もしくは300カ所の仮定をしていたかもしれません。それは目標を達成するためのパラメータを理解するために、回してみる必要のあったツマミ群なのです」。

当時Uberの自動運転車を担当していたエンジニアであるジョン・ベアーズ氏によって設定された、1つの具体的目標は、2020年までに人間のセーフティドライバーを不要にできるようにすることだった。同社の技術者たちは、Ottoとレバンドウスキー氏を獲得することでその進捗が劇的に進むと確信していたようだ。

「ある時点で、ジョン・ベアーズ氏と(元Googleのエンジニアである)ブライアン・マックレドン氏は、そのことで(自動運転車の開発が)12から24カ月早まると見積もったのです」と証言しているのは、Uber社の開発マネージャーの1人だ。

新たに開示された、2016年1月のレバンドウスキー氏とのミーティング議事録によれば、ベアーズ氏は単にレバンドウスキー氏と話すだけでも数億ドル分の価値があると考えていた:「彼は何を行うべきで、何を行うべきではないかについての、洗練されたアドバイスを提供してくれるでしょう。彼と1日過ごすことで私たちのチームは2020年に向けて何カ月もの節約をすることができるでしょう(1カ月==2000万ドルの支出)」。

TechCrunchの試算によれば、もしUberが2015年の初頭に始めたその自動運転プログラムに対して月々2000万ドルの経費をつぎ込み、そしてOttoの買収に2億ドルを使ったとすれば、Uberは自動運転車の研究に9億ドル(100億円)以上を使った可能性がある。対照的に、Waymoは2009年から2015年末までに、独自の自動運転車に対して11億ドルをつぎ込み、現在は毎年10億ドルを支出している可能性がある。

しかし、OttoとUberの新婚旅行の期間は短いものだった。訴訟の宣誓の中で、ベアーズ氏は、Ottoの買収によりUberの自動運転車への取り組みが進むとの期待は「2016年1月初頭から3週間から4週間」続いただけだったと述べた。2016年8月までには、彼の証言によれば、実際には後退であることが判明した:「私たちはそれを活かすことができませんでした。アンソニー氏の管理と指導が結果としてもたらしたのは私たちのスタッフに対する管理上の混乱でした」。

ブラティック氏のレポートには、Uberが自動運転車に投入していたスタッフの数が詳細に書かれている。2017年6月におけるUberのハードウェア部門の人数は155人であり、ソフトウェアには405人が取り組んでいたという。それよりも2カ月前に出た別のUberのレポートには、それよりも2倍多い1500人が自動運転ユニットで働いていると書かれている。とはいえこの数にはおそらくUberのテスト運用チームと車両操作担当者も含まれているのだろう。

今回新たに開示された文書では、Uberが行ったとされるWaymoの企業秘密の不正利用で、Uberは自動運転のテクノロジーを3年10カ月以上加速することができた、とWaymoが主張していたことも明らかにされた。

「これが意味することは、2022年までに13都市での商用運行を行うとするUberの想定を考慮すると、Uberは13都市での自動運転技術そのものの商用化の準備が2018年までには整っていなければならなかったということである」とブラティック氏は書いている。もちろんこれは実現していない。実際昨年3月のアリゾナ州テンペでの死亡事故の後、Uberはようやく最近になって、数少ない自動運転車を使う公道上のテストを再開したところだ。

Uberは2018年の第4四半期に8億6500万ドルの純損失を計上したが、これまで利益を挙げたことは一度もない。

画像クレジット: Uber

[原文へ]

(翻訳:sako)

フォードの自動運転車両プログラム、5番目の都市はオースティン

開発に詳しい情報筋によると、Ford(フォード)は2021年に自動運転タクシーと配達サービスを立ち上げるのを前にテストをさらに進めるため、オースティンでの自律走行車両プログラムを開始する準備をしている。

オースティンを拠点とする自律走行車両「マーケットスペシャリスト」の新たな求人が、その情報を裏付けている。このテストプログラムはすでに、デトロイト、マイアミ、ピッツバーグ、ワシントンD.C.で展開されていて、オースティンは5番目の都市となる。

Fordはオースティンが次の展開都市となることを肯定もしなければ否定もしなかった。

「我々が自動運転テクノロジーと事業試験の拡張を計画している次の都市は予定通り年末までに発表する。適切な時期により詳しい情報を提供する」とFordの広報は電子メールで述べた。

オースティンでの「自律走行車両マーケットスペシャリスト」の求人情報は以下の通りだ。

我々の成長中の自律走行車両(AV)事業チームに加わってくれる優れた人材を募集している。AVはFordの未来にとって重要な分野で、今後大きな成長を見込んでいる。クリティカル・シンキング、問題解決能力、そして自主性や連結性、モビリティ、分析、顧客体験においてFordをリーダーにするような戦略的決断をするのをサポートするような姿勢を備えている人が求められる。

Fordは米国で自律走行車両パイロットを立ち上げた他の企業とは少し異なっていて、2021年の商業展開の前にゆくゆくは連結される2本の路線を追求している。同社はAVビジネスモデルがどのようなものになるかテストする一方で、それとは別に自律走行車両テクノロジーを開発している。

Fordが2017年に10億ドル投資したピッツバーグ拠点のArgo AIはバーチャルドライバーシステムと、Fordの自動運転車両のための高解像度地図を開発中だ。一方、FordはWalmart(ウォルマート)Domino’s(ドミノ)、Postmates、そしていくつかの地元事業所といったパートナーとのパイロットプログラムを通じて市場開拓戦略を練っている。

Fordはこれまでの都市と同様の展開プランを始めることが予想される。Argo AIは最初にその都市の地図をつくるために自社のAV車両を使用する。一方、Fordはさまざまなビジネスケース(その多くはこれまでのケースでいえば地元の企業を巻き込むものだった)を試すために研究車両を使用する。

Fordはまた、自律走行車両テストプログラムを展開する各都市にターミナルを開設する。これらのターミナル、または営業センターはAVテスト車両が保管される場所になる。そしてメンテナンス施設とデータセンターとしての役割も果たす。

過去において、Fordはターミナルが完成する前に地図作成とテストを開始したことがある。テストを開始する少し前に自律走行車両営業ターミナルをまず完成させようとFordが試みるというのはありえることだ。

Fordはこのところ自律走行車両プログラムを強化していて、自律走行車両事業の構築に特化するために昨年創設されたLLCのもと、2023年までに40億ドルをつぎ込む計画だ。

Ford Autonomous Vehiclesは同社の自動運転システム統合、自律走行車両研究と高度なエンジニアリング、AV輸送サービスネットワーク開発、ユーザー使用体験、事業戦略、ビジネス開発のチームを抱える。40億ドルの予算の用途にはスタートアップArgo AIへの10億ドルの投資も含まれる。

LLCは、デトロイトにあるFordのCorktownキャンパスを主に拠点とし、Fordが持つArgo AIの株式を今後保有することになる。

イメージクレジット: Ford Motor

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

Uberが自動運転ビジネス強化のためソフトバンクなどから約1100億円を調達か

Uberが新しい資金調達ラウンドの実施を検討しているみたいだ。The Wall Street Journalが3月13日(現地時間)に伝えたところによると、同社は10億ドル(約1100億円)の資金を調達するためにソフトバンクのビジョン・ファンドなどを含む投資家との協議を重ねているという。今回の資金調達は同社の自動運転部門に対して実施され、その評価額は50億ドルから100億ドルになると見られている。

WSJによれば、この資金調達ラウンドは早ければ来月にもクローズするという。Uberは2018年にIPOに向けた申請を行っており、それを考えるとIPOと今回の資金調達ラウンドの時期は重なることになる。

Uberはこれまでに、デットとエクイティを含めて約200億ドルを調達済み。現在のバリュエーションは約700億ドルにのぼる。

[原文]

(この記事は米国TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

自転車シェアの中国Mobike、海外市場からの後退を親会社Meituanが認めた

TechCrunchは3月8日に、自転車シェアリングサービスを提供しているMobikeがアジア太平洋地域全体での事業を解体したと報じた。それは、国際的な事業を縮小するための長期計画に向けた重要な一歩だ。3月11日にMobikeの親会社のMeituanは、この中国の自転車レンタル業界のパイオニアが、ほとんどの海外市場から手を引こうとしていることを認めた。

「Mobikeの国際ビジネスは再編中で、ほとんどの国際市場から撤退することになるでしょう」と、Meituanの最高財務責任者、Chen Shaohui氏は、月曜日の電話会議でアナリストに明かした。

しかし、その後にMobikeはChen氏の発言を「最終的にMeituanは、Mobikeの残っている海外資産を売却し、その部門を決算から除外する」という意味だったと説明した。

3月11日にTechCrunchがMobikeの国際的な計画について尋ねると、Meituanはなぜか直接その自転車部門に尋ねるよう差し向けた。そしてMobikeの広報担当者は、「一部の市場は、特にいくつかのアジア諸国では」閉鎖するものの「北東アジア、ラテンアメリカ、それにヨーロッパでは、国際的な事業を継続します」と明言した。

「今後を見据えて、潜在的な戦略的パートナーと議論を続け、持続可能な国際ビジネスを維持しようとしています」と、担当者は付け加えた。

(関連記事:自転車シェアリングのパイオニアMobikeが国際事業をすべて閉鎖し中国に退却

Mobikeを国際業務から撤退させるという決定は、自転車部門の営業損失を削減しようというMeituanの計画によってなされたものだと、前出の責任者も語っている。「サービスのためのAmazon」を標榜するアプリを提供するMeituanが、2018年の4月4日に買収して以来、Mobikeは45億5000万元(約6億8000万ドル)もの損失を出した。Meituanの最新の決算報告によれば、その自転車サービスが同じ期間に生み出した収益は、15億元(2億2000万ドル、約250億円)に過ぎない。

海外市場から手を引くことは、中国に焦点を合わせることを優先するというMeituanの長年の戦略と一致している。北京を本拠地とするこの会社は、収益の大部分を、自国内で展開する食料品の輸送と、旅行予約サービスから得ている。国際市場への進出は、ほとんど考えていないように見える。

フィナンシャルタイムズ紙のこれまでの調査によれば、「Meituanにはいかなる形、名目の国際部門もなく、おそらく欲しいとも思っていない。Mobikeの買収によって、初めて国際市場に手を出したのだ」という。

アジア太平洋地域からのMobikeの撤退について、われわれに情報をもたらしたTipstersは、彼らの声明は「あいまい」で、大衆をなだめるためのジェスチャーではないかと見ている。アジア太平洋地域は、実際に貸し出している自転車の数と、倉庫に保管してある数を合わせた事業規模からすれば、Mobokeにとって最大の市場なのに、そこから得られる収益はヨーロッパよりも少ない、ということに注目する必要がある。つまり、アジア太平洋地域からの撤退は、増え続けるMeituanの損失を削減することで、この経費ばかりかかる非中核事業の縮小に拍車がかかるのを防ごうという、自転車部門の壮大な計画の表れなのだ。

Meituanの第4四半期の収益は、198億元(約29.4億ドル、約3283億円)となり、ほぼ倍増したものの、純損失は前年の22億元から34億元(約5億1000万ドル、約563億円)に拡大している。自転車シェアリングや配車事業といった「新たな取り組み」への投資は、同社の収益力の上昇を「和らげた」ことになる。その一方で、その中核事業である食料品の配送、レストラン所有者向けソフトウェアのような店内サービス、および旅行予約は、2018年に営業利益を上昇させている。

(関連記事:Meituan, China’s ‘everything app,’ walks away from bike sharing and ride hailing

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

イーロン・マスク弁護団「テスラの生産速度に関するツイートは法廷侮辱ではない」

Elon Musk(イーロン・マスク)氏の弁護団は、マスク氏がTesla(テスラ)の生産速度を公表したツイートは法廷侮辱であるとする証券取引委員会(SEC)の要求に対して、締切直前の米国時間3月11日の夜遅くに回答した。ニューヨーク市マンハッタンの連邦裁判所に提出された書類でマスク氏の弁護団は、先月投稿したツイートはマスク氏がSECと結んだ契約条項に違反していないと言った。

「マスク氏が発信した取るに足らない1回のツイートは、裁判所命令にもTeslaの『上級幹部情報管理ポリシー』にも沿っており、これについて民事的裁判所侮辱罪を要求する証券取引委員会の主張は、事実に照らしても法的にも正しくない」と提出書類にかかれている。同ポリシーは、マスク氏がTeslaの重要情報を含む可能性のある会話に関する事前承認されたポリシーに従うことを要求する裁判所命令に言及している。

問題のツイートは2月20日にマスク氏が投稿し、Teslaが今年中に約50万台の車を生産すると書かかれていた。その後マスク氏は同じスレッドの第2のツイートで、2019年末時点の年間出荷台数は推定約50万台、週に1万台だが、納車できるのは約40万台であることをはっきりさせた。

同氏の弁護団は、マスク氏はポリシーを守っており、彼が「事前承認が必要な情報が含まれているかどうかを決定する最初の事例であり、彼が自身で妥当な判断を下す」ことは許されていたと書いた。しかしその後Teslaの情報開示法律顧問と相談した結果、内容を明確にしたツイートを発信した。弁護団はこれを、SECとの和解条項を守ろうとする「彼の努力を示すもの」であると主張し、Teslaの2019年の生産予想と生産速度は、すでに「複数の文書で公に議論され、決算会見でも詳しく説明された」話題であることを付け加えた。

マスク氏は昨年8月、自社を非公開企業にするための資金を確保したとツイートしてSECの規則に抵触した。SECは、同氏とTesla取締役会が当初の和解案を拒否したあと、証券取引法違反の疑いを申し立てた。 10月に成立した和解の結果、マスク氏はTeslaのCEOに留まることは許されたが、取締役会会長の職は降りなくてはならなかった。さらにSECは、同氏とTeslaにそれぞれ2000万ドルの罰金を課し、Teslaがマスク氏のツイートに関する情報公開の管理と手続きを実行するよう要求した。

今日の裁判所への申立でマスク氏の弁護団は、10月の和解直前にツイートでSECを“the Shortseller Enrichment Commission”[空売り強化委員会]と呼んだ同氏は、それ以来和解条項を注意深く守り、「ツイート全般、特にTeslaに関するツイートの数を劇的に減らした」と書いた。

弁護団は「この自主規制は、裁判所命令に従いSECとの無用な争いを避けようという彼の決意の現れである」とも書いた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転車両開発のCruiseがDropboxの人事責任者をハント、エンジニア大量採用へ

GM Cruiseは今後9カ月で数百人を雇用する計画だ。TechCrunchが把握している範囲では、エンジニアリングのスタッフを現在の倍に増やす。自動運転車両技術を開発する同社にとって規模を倍増させる攻めの動きで、これにより年末までにロボタクシーサービスを展開するという取り組みを推し進める。Dropboxの拡大を支えてきたArden Hoffman氏はファイル共有やストレージのDropboxを去り、今後はCruise(クルーズ)で人事採用を指揮する。

1000人以上の従業員を抱えるこのGM子会社は成長に対応すべくサンフランシスコのオフィスを拡張中だ。GM Cruiseはサンフランシスコのブライアントストリート1201番地に本部をそのまま置く。同社はまたブライアントストリート333番地のDropbox本部を今年引き継ぐことになっていて、これによりCruiseのサンフランシスコオフィスのスペースは3倍になることが見込まれる。

「Ardenは過去4年間、Dropboxに多大な影響を与えた。彼女は、今日あるように2300人の会社に育てるために我々のチームやカルチャーを構築し、また拡大をサポートしてくれた。我々は彼女のリーダーシップや決断力、ユーモアのセンスを失うことを残念に思う。彼女が去るのは悔やまれるが、Cruiseのチームを成長させるという新たな挑戦で彼女が活躍することを心から願っている」とDropboxの広報は電子メールで述べた。

Dropboxに入社する前にHoffman氏はGoogleで3年間、人事ディレクターを務めた。

Cruiseの拡張とHoffman氏の採用は、最近あった役員の異動に続く動きだ。GMの会長Dan Ammann氏は12月にGMを離れてCruiseのCEOに就任した。Ammann氏は2014年からGMの会長を務め、2016年のCruise買収とGMへの統合における中心的な役割を果たした。

CruiseのCEOでテクノロジー責任者の立場にあった共同創業者のKyle Vogtは現在会長職とCTO職にある。

Cruiseは従業員がわずか40人という小さなスタートアップから、今日従業員が1000人になるまでに成長した。本部はサンフランシスコに置きつつも、人材を求めてシアトルにも進出した。Cruiseは昨年11月、シアトルに事務所を開き、そこにエンジニア200人を置くことを発表した。また最近のソフトバンクとホンダからの投資でCruiseの時価総額は146億ドルとなり、これが従業員の倍増につながっている。

ソフトウェアエンジニアリングやロボティックス、AIの経験を持つ資質ある人を探すのは、自動運転車の開発・展開を企業が競う中でヒートアップしている。カリフォルニア州で自動運転車両をテストする許可を同州車両管理局から得ている企業は60社超になる。

人材の獲得を巡る競争は、驚くほどの待遇を伴ったり、特殊な技術を持つ人を秘密裏に引き抜いたりと加熱している。

Cruiseの発表は、これまでになく厳しい状況にある人材マーケットにさらにプレッシャーをかけるものとなる。しかしCruiseは他の自動運転車両テクノロジー会社にはないものを持っている。それはたっぷりの資金だ。5月、Cruiseはソフトバンクのビジョンファンドから22億5000万ドルの出資を受けた。ホンダもまた新しい自動運転車両を開発するというGM・Cruiseとの独占協定の一環として27億5000万ドルを拠出した。

協定では、ホンダは今後12年間開発に20億ドルを投資する。ホンダはまたCruiseに対し7億5000万ドルの直接的エクイティ投資を行う。

Cruiseは従来のリクルート活動と、エンジニア1000人規模の企業の買収という2つの道を模索することが予想される。それはすでにCruiseが追求している戦略だ。昨年Cruiseはグローサリーや荷物のラストマイル配達に使われるロボットの開発を手がけるZippy.aiを買収した(買収額は非公開)。この買収は人材の獲得が目的で、Zippyのプロダクトや知的財産は含まれなかった。代わりにCruiseは共同創業者のGabe Sibley、Alex Flint、そしてChris Broaddusとそのチームに興味を寄せていた。

また2017年には、CruiseはLiDARセンサーメーカーのStrobeを買収している。当時、CruiseはStrobeが車両1台あたりのLiDARのコストを100%近く減らすのに貢献すると話していた。

イメージクレジット: Cruise

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

テスラが15億円相当の株式を発行しトレーラー購入、配車能力強化のため

Tesla(テスラ)は1300万ドル(約14.5億円)以上の株式を使って、自社の電動自動車を顧客に届けるトラックとトレーラーを入手しようとしている。同社が物流、配送サービスを改善するための最新の取組みだ。

テスラは現金で払う代わりに、1380万ドル(約15.6億円)ぶんの株式を発行したと、米国時間3月11日に公開された有価証券報告書に書かれている。Teslaは4万9967株を1株あたり最大277.05ドルで、2月12日にCentral Valley Auto Transportからトレーラーを購入するために使用した。

カリフォルニア拠点のCentral Valley Auto Transportは自動車運搬の専門会社。有価証券報告書内のTeslaの声明は以下の通り。

車両運搬能力を増やし、車両運搬時間を減らし、計画通りの配車日時を守るための物流戦略の一環として、Teslaは自動車輸送会社Central Valley Auto Transport, Inc.から車両運搬トラックおよびトレーラーを購入するために、Teslaの普通株を発行することに同意した。〈略〉

昨年11月、テスラのElon Musk (イーロン・マスク)CEOは、同社が「トラック輸送能力を手に入れた」ことをツイートした。これは12月31日以降に連邦税額控除が減額される前に同社のTesla Model 3の納車能力を強化するための行動だった。マスク氏も会社も詳細ば明らかにしていない。同社は買収に関する規制当局への申請資料を公開したことは未だかつてない。

マスク氏は後にTeslaがトラック会社を複数買収したほか、「前四半期のトラック不足の失敗を避ける」ために主要運送会社と契約を結んだとツイートした。

今回のCentral Valley Auto Transportからの購入が、昨年テスラが行った買収を反映しているのか、それとも追加の輸送能力なのかは明らかではない。ただテスラの第4四半期の株主宛てレターに、同社が「納車能力向上のために、今後も自動車輸送トラック能力を買い続ける」と書いていた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google系自動運転のWaymoが20兆円程度の評価額で外部資本導入か

Googleの持株会社Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転車を開発する企業Waymo(ウェイモ)が初めて、外部資本を調達するかもしれない。しかもそのとき望む評価額は、ジェネラルモーターズ傘下の自動運転車を開発するCruise(クルーズ)の150億(約1.67兆円)ドル近くの数倍以上だそうだ。米国時間3月11日のThe Informationが報じている

現在、TechCrunchの情報筋に確認しているが、Waymo自身はまだコメントの求めに応じていない。

Waymoは今年で創立10周年になるが、一貫してキャッシュ主体の企業だった。外部投資家からの資金調達は、CFOのRuth Porat氏が進めていると言われるが、同社の経費節減に貢献し、またAlphabetにとってはここ何年間かで初めての、Waymoの評価額を外部に示す機会になるだろう。しかしThe Informationの記事によると、Alphabetにはこの、かつて「Project Chauffeur」と呼ばれた企業の株式をそれほど多く外部に手渡す気はない。

Waymoは数年前に45億ドル(約5012億円)と評価されたことがあるが、しかしアナリストたちは今後の売上予測を根拠に、1750億ドル(約19.5兆円)よりも上と見ている。1000億ドルを超える評価額は、UberやTesla、GM、Fordなどを上回る。

現在時価総額が8170億ドルのGoogleならWaymoを支えられる。しかしこの検索エンジン企業は前にも、ほかならぬ自分自身が始めた突飛なアイデアの企業に自分の資本だけを投ずることをやめて、サードパーティの投資家を求めたことがある。それはGoogleが保有するライフサイエンスとエンジニアリングの企業Verily(バリリー)と、やはりGoogle Xから生まれた風力エネルギーの企業Makani(マカニ)で、それぞれその非公開株をSilver Lake(シルバー・レイク)とShell(シェル)に売った。

一方Cruiseは、2016年に5億8100万ドルでGMに買収されて以降、やはり外部資本を求めてきた。2018年半ばにはソフトバンク・ビジョン・ファンドがCruiseに22億5000万ドルを投資し、これによりソフトバンク・ビジョン・ファンドは、GMの自動運転車事業の20%を保有することになった。

Waymoは2016年にGoogleのプロジェクトから独立の企業になり、今ではCEO John Krafcik氏と上記Porat氏、そしてCTOのDmitri Dolgov氏らが経営にあたっている。同社は昨年、商用のロボタクシーサービス「Waymo One」を初めての営利事業としてフェニックス周辺で立ち上げてニュースにもなった。さらに最近Waymoは、電磁波ではなく光を使うレーダー(対象検知と距離検知)LiDARの同社独自製品を、自動運転車業界に限定されない一般向けに発売して、営利事業のレパートリーを広げた。

2030年のWaymoの売上は1140億ドルと予想されている

関連記事: WaymoのCTOが語る、会社の過去、現在、そして次に来るもの

[原文へ]

(翻訳:iwatani、(a.k.a. hiwa

自転車シェアリングのパイオニアMobikeが国際事業をすべて閉鎖し中国に退却

自転車共有に関する状況が変化する顕著な兆候の中、かつては何十億ドルもの投資を引き寄せたホットなスタートアップであるMobikeは、すべての国際事業を閉鎖して、中国に焦点を絞りつつある。

米国時間3月8日に、Mobikeはアジア太平洋地域の業務を担うチームをレイオフした。その中には、シンガポール、マレーシア、タイ、インド、そしてオーストラリアにまたがる15人以上の正社員、それよりずっと多くの契約社員、そして代理店のスタッフが含まれている。この状況を良く知る5人がTechCrunchに語ったところによると、当事者にも事業後退の理由は告げられることなく、会社はその地域でのビジネスを「縮小」することにしたという。

今回のレイオフは、国際拠点を閉鎖するというMobikeの最終的な目標に向けた重要なステップだ。というのも、アジア太平洋地域は、Mobikeの中国以外のビジネスの主要な部分を占めているからだ。さらなる人員削減が、アジア以外、おそらくヨーロッパや米国を含む地域でも差し迫っているという話が、2つの情報源からもたらされている。最終的にMobikeは、元来の中国でのみ事業を続けることになるだろう。そもそも、国際的に見ても、それがビジネス全体の大部分を占めている。

こうした戦略の変化は、この中国の自転車共有会社が、これまでの1年に経験した悪戦苦闘を集約したものだろう。それでもMobikeは、同類の会社の中では最も成功した方だと言われている。11カ月前に、中国の大手配送会社Meituanに27億ドルで最終的に買収されるまでの間に、Tencent、Foxconn、Hillhouse Capital、Warburg Pincusといった投資家から、9億ドル以上を調達していた。2017年には、自転車共有がホットな話題になっていたからだ。しかし結局のところ、競争は激しく、財務的にも苦しかったので、Mobikeは持続可能なビジネスモデルを見つけることができなかったのだ。

写真ソース:Mobike

従業員たちは、Mobikeの見通しは明るく、給与にも問題はなく、その他の財政的な懸念も見当たらない、という印象を持っていたので、金曜日の通告には困惑している。特にシンガポールでは、自転車共有用アプリが大人気で、この都市国家の環境改善に役立つものとして、政府とも密接に協力してた。

「私はショックを受けています。私から見れば、ビジネスは順調でした」と、情報源の一人はTechCrunchに語った。「しかし、1つの国でうまくいっているからといって、その地域全体が生き残るというわけでもないのです。Mobikeは、海外の地域の損益について多くの分析を行い、黒字に転じる方法はないという結論に達したのです」。

ほんの1年前まで展望は明るかった。中国で、近隣サービスのワンストップアプリを展開するMeituanがMobikeを買収したとき、それは、その若いスタートアップにとって大成功だと広く認められた。というのも、中国の同業のOfoは、独立した企業としてやっていくための折り重なるような財政的圧力に苦しんでいたからだ。Ofoは、昨年から、その国際業務を段階的に縮小し始めていて、近々破産の準備をしていると伝えられていた。

それから間もなく、Meituanはモビリティの分野で抑制を示し始めた。香港に上場するこの会社は、コスト削減の一環として、食料品の配達とホテル予約に集中し、ドックレスの貸自転車と配車業務の拡大は休止すると発表した。この自転車部門は、Hellobikeとの激化する競争にさらされていた。それはAlibabaが、中国の2輪車業界に殴り込みをかけるための会社だ。

こうした困難にもかかわらず、Mobikeのアジア太平洋地域の従業員は、海外事業は芽を出すものと信じていた、とTechCruchに語った。彼らは、ここ数ヶ月の間、会社の業務を効率化する仕事を任され、「大きなコスト削減と進歩」を達成していたからだ。

写真ソース:Mobike

そうした当事者は、じっくり考える時間も与えられず、会社の「一方的な」決定に対して、「取り乱し」て「混乱」した状態にある。それらのスタッフは、交渉の機会を与えられておらず、そのほとんどは4月中旬までに職を離れることになると、TechCrunchは把握している。そして、限られた数の「キーとなる」従業員が、その「減少」処理の完了まで留まることになる。退職に際しての手当は、解雇の日付によって異なるものの、契約が定める30日よりも前に通知が到着しているため、何の補償も受けられない社員もいる。

この地域のビジネスを閉鎖するというMeituanの決定は、この会社にとってリスクの高い動きと考えられる。Mobikeの中国外の市場として最大のシンガポールでは、この自転車共有会社が実際に撤退する前に、政府に退却の計画書を提出する必要がある。金曜日の時点でMobikeは、シンガポール陸運局にレイオフ計画を知らせていない、ということが2つの情報源から明らかになっている。ただし、すでに撤退の可能性については、運輸取締当局と協議していたとのことだ。Mobikeは、陸運局に公式に通知するまでは、従業員に人員削減について口外しないように指示した。

Meituanは、このことについてのコメントを拒否した。同社は月曜日に収益を報告する予定となっているので、その時点で状況がより明らかになるかもしれない。

画像クレジット:Facebook中のMobike

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

イーロン・マスクの次世代交通システム「Loop」、ラスベガスの地下へ

ラスベガス観光局は3月6日、イーロン・マスク氏が率いるボーリング・カンパニーを迎え高速の地下交通システム「ループ」をラスベガスに整備する意向を明らかにした。だがまだ承認されているわけではない。ラスベガス観光局は3月12日には取締役会を開き、投票によって可否を判断する予定だ。

もし承認されれば、このプロジェクトはラスベガスにとってダウンタウン、ラスベガス・コンベンション・センター、ラスベガス・ブールバード、マッカラン国際空港などを繋ぐ初の試みとなるという。

だが、当面は2019年1月「CES 2021」の開催までに規模を拡大中のラスベガス・コンベンション・センター周辺での展開となるようだ。

ラスベガス・コンベンション・センター周辺における「Loop」駅位置の試案:Courtesy The Boring Company

ボーリング社のスティーブ・デイビス氏いわく、「承認されれば、一年以内にラスベガス・コンベンション・センターの来場者が利用可能な状態にできる」とのこと。

承認された場合、ラスベガス観光局はボーリング社と正式な契約を締結し、具体的にデザインや建設面での計画を練る。そして6月には開催を予定しているという取締役会にて最終的な承認がされる予定だ。事業費はおよそ3500万から5500万ドルを見込んでいる。

テスラから新型スーパーチャージャー登場、充電時間を大幅短縮

Tesla(テスラ)は第3世代のSuperchargerを展開する。同社の電気自動車の充電時間を劇的に短縮して新しいライバルたちに差をつけようとしている。

同社のカリフォルニア州フリーモント工場で米国時間3月7日に披露されたV3 Superchargerは、ロングレンジバッテリーモデルのModel 3でピーク充電速度250キロワットに対応している。これは5分間で75マイル(120km)走行ぶんを充電できる速度だとTeslaは言っている

充電時間の改善は、同社が一番の売れ筋であるModel 3をより多く売るために不可欠だ。一部の人気Superchargerステーションでは待ち時間が長くかかることがある。古くからの利用者は待つことに寛容だが、新しいTeslaオーナーが増えるにつれて忍耐も衰えてくるかもしれない。

Teslaはこの改良によって、Superchargerネットワークが1日にサービスできる台数は、2019年末には今の2倍以上になるといっている。

V3は古い世代の改訂版ではない。これはアーキテクチャー変更であり、同社の蓄電装置製品と似た新しい1MWパワーキャビネットを使用し、液冷式ケーブルを使うことで1時間あたり最大1000マイル(1609km)走行分の充電が可能だ。TeslaはV2 Superchargerでは空冷式ケーブルを使用していた。

新しいパワーキャビネットは、4台のSuperchargerに250kWずつ同時に供給できる。これは、充電中に車同士で電力を分け合う必要がないことを意味している。

Teslaはブログ記事で別の改良点も発表し、Model SとModel Xの充電速度を改善した。V3 Superchargerと組み合わせると、充電にかかる時間は平均50%短くなるとTeslaは言った。

全車種向けに新しいソフトウェア「On Route Battery Warmup」も公開した。このアップデートによって、バッテリーパックが車のピークパワーをできるだけ長い間受け取れるように準備することで、平均充電時間を25%削減したと会社は説明している。

Teslaは2019年中V2およびV3 Superchargerを数千台開業する計画で、4月から利用の最も多い場所に設置を開始する。Teslaは北米、ヨーロッパ、およびアジアに計1万2000台以上のSuperchargerを配置している。

TeslaはV2 Superchargeも改訂して、1車両充電時に新たなピーク充電速度145 kWを提供する。

同社はV3 Superchargerを幅広い車種向けに展開する計画で、第2四半期にはロングレンジ M3だけではなく全Tesla車が利用できるようする。同社は第2、第3四半期に北米のV3設置台数を増やす計画だ。ヨーロッパおよびアジア太平洋地域では第4四半期から設置開始する。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

4.5km区間を自動運転バスが走る、名鉄が公道における実証実験開始

愛知県で自動運転バスの実証実験が始まる。愛知県内を中心に鉄道・バス網を持つ名古屋鉄道および名鉄バスは、群馬大学と共同で自動運転バスの実証実験を行うと発表した。4月8日から12日までの間で実施される。公道におけるバスの実証実験は、愛知県内ではこれが初となる。

自動運転バスの運行は、群馬大学などが所有する自動運転車(日野自動車製の「日野ポンチョ」をベースにした車両)や自動運転管制システムを利用する。自動運転の最中はテストドライバーが運転席に座り、安全な運行に支障をきたす場合は手動で運転する。

自動運転バスは尾張旭市にある名鉄尾張旭駅から、お隣の長久手市にある愛知医科大学病院を結ぶ4.5キロメートルの区間で運用される。ルートの中間地点にある大きな交差点は下の画像のような道路状況だ。

僕は偶然にも愛知県出身でこの道路もよく利用していたのでイメージをお伝えすると、運行エリアは都心部から離れているので道も広く走りやすいが、周辺は鉄道網が少なく交通量はピーク時には結構多くなる。同バスはその区間を9時30分から16時30分までの間で1日5往復する予定だ。

群馬大学は2016年12月に「次世代モビリティ社会実装研究センター」を設置し、企業や自治体と協働することで地域に根ざした自動運転サービスの創出を目指している。これまでには前橋市と共同で今回同様の実証実験を実施した。今後もこのような活動を続けていくことで、2020年には「技術的にも社会的にも自動運転に対応していく社会の実現、完全自動運転/無人自動運転移動サービス(レベル4)をはじめとする次世代モビリティの社会実装」を目指していくという。