米航空局がRocket Labに打ち上げ再開の許可、ミッション失敗から1カ月足らずで

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、20回目となるElectron(エレクトロン)打ち上げミッションが第2段燃焼中に失敗しペイロードを失った後、早くも米国連邦航空局(FAA)から打ち上げ活動再開の認可を得た。これはRocket Labの安全システム設計に対する信頼の表れであり、異常に遭遇してもすべてが意図した通りに機能したこと、つまり、ミッションが失敗したものの、地上の乗組員や一般の人々、他の軌道上の物体にリスクを与えることなく、安全に行われたことを意味している。

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だからといって、Rocket Labが実際すぐに打ち上げを再開するわけではない。FAAは今回の事故後も既存の打ち上げライセンスが有効であると判断しているが、Rocket Lab自身は原因究明調査を続けていく予定だ。Rocket Labの創業者兼CEOであるPeter Beck(ピーター・ベック)氏は、第2段エンジン停止の原因究明のための継続的な取り組みを「複雑で重層的な故障分析」と称しているが、すでにテストでエラーを再現していることにも言及した。

今後は、一連の出来事を正確に把握し、何が原因で安全装置が自動的に停止したのかを解明することに集中するという。この作業は「数週間以内」に完了する予定で、その時点で活発な飛行活動の再開を進めることになる。

Rocket Labは今回のアップデートで、2020年7月に発生した以前のミッションの失敗については言及していない。その際の異常は最終的に電気的な接続不良によるものと結論づけられたが、第2段エンジンの安全停止という同様の結果になった。

ただし、同社が打ち上げ後に回収したElectronロケットの第1段から得られた情報によると、その部分は計画通りに進行したことが確認されている。Rocket LabではElectronロケットの1段目ブースターの再利用性を高めようとしており、今回は新たに大気圏再突入と着水のプロセステストを実施し、そちらはスムーズに進んだ。また、今回のフライトで使用された新しいヒートシールドは意図した通りに機能したとし、今後は回収した第1段エンジンでエンジン燃焼試験(hot fire test、ホットファイア)を行い、その性能を確認する予定だという。

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タグ:Rocket LabElectron米国連邦航空局(FAA)

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

衛星コンステレーションから地球上の山火事の端緒を見つけ警告するOroraTech

山火事がかつてないほどの壊滅的な、しかも毎年のような現象になっている。そのため、早期発見と対応が世界共通の関心になっている。山火事の絶好の火の見やぐらは宇宙だ。ドイツのOroraTechは、小さな衛星のコンステレーションで、グローバルな山火事警報システムを作ろうとしている。同社は最近調達したばかりのおよそ700万ドル(約7億7000万円)のシリーズA資金を、そのために投じる気だ。

山火事は毎年、数千万エーカーもの森林を破壊し、人間と地球に多様かつ甚大な被害をもたらしている。しかもそれは、一定の大きさを超えると手に負えなくなるため、早期発見と早期消火が何にも増して重要だ。

山火事の発見と消火は、時間が勝負だが、数百マイル四方の広大で乾燥した森林のどこでいつ出火するかわからず、これまで行われてきたヘリコプターの巡回といった方法では火が広がる速さに対応できないこともある。しかも航空機は高価であるだけでなく、乗員や作業員にとって危険な場合も多い。

OroraTechの計画では、約100基の衛星コンステレーションに特製の赤外線カメラを搭載して、地球全体もしくは出火の可能性の高い地域をすべて同時に観測する。そして、30秒以内に10メートル以上に広がった火を見つけたら報告する。

画像クレジット:OroraTech

このバイエルンの企業は当初、すでに宇宙にある10数基の衛星を利用して地上からサービスを提供し、その有効性を証明しようとした。しかし、今回新たな資金が得たことにより、自分の鳥を空に飛ばすことに決めた。それは靴箱サイズの衛星に特製の赤外線センサーを搭載したもので、2021年中に衛星コンステレーション企業のSpire Globalが打ち上げる予定だ。また、その画像処理システムは機械学習による処理を行うため、下流の処理が単純になる。

2023年にはさらに14基の衛星を打ち上げ、それらによって必要不可欠な改良をほどこそうとしている。

CEOで共同創業者のThomas Grübler(トーマス・グリューブラー)氏は、プレスリリースで「将来もっと範囲を広げて早めに警報を出すことができるように、私たちが独自に設計した特製の衛星コンステレーションを軌道に打ち上げたいと考えています。高名な投資家たちが、その資金と技術的ノウハウで私たちの計画の実現を支えてくれるのは、とてもうれしいことです」と述べている。

画像クレジット:OroraTech

その高名な投資家たちとは、この投資ラウンドをリードしたFindus VentureとAnanda Impact Ventures、そしてこれにAPEX VenturesとBayernKapital、Clemens Kaiser(クレメンス・カイザー)氏、SpaceTec Capital、およびIngo Baumann(インゴ・バウマン)氏らとなる。同社は、創業者たちのミュンヘン工科大学時代の研究がルーツであり、同大学も一部の株式を有している。

APEXのWolfgang Neubert(ウルフギャング・ノイベール)氏は、次のように述べている。「限られた財源で彼らがこれまで成し遂げたことは、本当にすばらしいものです。人の気持ちをワクワクさせるような意欲的で斬新な宇宙プロジェクトに参加できることは、とても誇らしいことです」。たしかに、最先端の宇宙データサービスが、お金もなく衛星もないという状態から起業したことは感動的だ。ただし1年前には、わずかな投資があったようだ。

地球の表面の赤外線撮影は、同社以外にも行っている。たとえばSatelliteVuは最近資金を調達して独自のとても小さなコンステレーションを打ち上げようとしているが、こちらは広大な森林ではなく、都市をはじめとした人間の関心が高い領域が対象だ。そしてConstellRは、収量の精密管理のために農地をモニターすることが目的だ。

資金を得たOroraは、拡張してその改良版の火災検出サービスを提供できるはずだ。しかし残念ながら、今年の北半球の山火事シーズンが始まるまでには、アップグレードできそうもない。

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カテゴリー:宇宙
タグ:OroraTech衛星コンステレーション火災資金調達ドイツ

画像クレジット:OroraTech

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フェルミ研究所暗黒エネルギーサーベイチームが宇宙におけるダークマター分布の最大・詳細なマップを発表

フェルミ研究所暗黒エネルギーサーベイチームが宇宙におけるダークマター分布の最大・詳細なマップを発表

N. Jeffrey et. al/Dark Energy Survey Collaboration

米フェルミ研究所の暗黒エネルギーサーベイ(DES)チームが、宇宙における暗黒物質(ダークマター)の分布について、最大かつ最も詳細なマップを発表しました。

ダークマターとは宇宙の85%を占めるとされる「質量はあるものの光学的に観測できない」物質のこと。あくまで仮説上のものでありながら、それが存在しなければ一部の天文学的な現象が説明できない重要な物質です。ダークマターそのものは観測できないものの質量があるため、遠くの星の光を歪ませる作用があります。また歪みが大きければ大きいほど、その間に存在するダークマターの濃度が高いと考えられます。

DESが発表した新しい宇宙マップは、2013年から2019年にかけ、チリにあるビクター・M・ブランコ望遠鏡を使って1億個の銀河を分析した結果として発表されました。この地図は、暗黒物質が宇宙にどのように分布しているかを示しています。

研究では弱い重力レンズ効果を拾うことで宇宙の比較的近い部分にある暗黒物質の大きな分布を分析しました。そしてその結果は現在もっとも信頼される理論で予測されているよりも、ダークマターの分布がわずかに滑らかで、より拡散していることを示しています。またそれは、アインシュタインの一般相対性理論から逸脱しているように見えることから、天文学者たちに驚きと混乱をもたらしています。

マップ作成に関わったパリ高等師範学校(École Normale Supérieure:ENS)のNiall Jeffrey博士は、この結果は物理学にとって「非常に問題」であると述べ「もしこの(一般相対性理論との)不一致が正しければ、アインシュタインが間違っていたことになります。これは物理学が壊れてしまうことを意味するかもしれません。しかし、物理学者たちにとってこれはエキサイティングなことでもあります。なぜなら宇宙の真の姿についてなにか新たな発見があるということも意味するからです」としました。

一方、アインシュタインらの理論をもとにして現在の宇宙理論を構築した科学者のひとり、ダラム大学のカルロス・フレンク教授はこの結果が自ら「人生を捧げて研究してきた理論が崩壊させられるのは見たくない」としつつ「しかし私の頭の中では、測定結果は正しかったのだから、新しい物理学の可能性に目を向けなければならないと考えている」と述べました。そして「私たちは、宇宙の構造に関する根幹的な何かを発見したかもしれません。現在の理論は、砂で作った非常にいい加減なつくりの柱に基づいています。そして、私たちが目にしているのは、その柱のひとつが崩れ落ちるところです」としています。

DESの結果はまた、ダークエネルギーが一定であるという現在の理論をほぼ裏付けています。しかし今回発見された矛盾点は、研究者らにこれまでの認識を改めさせるかもしれません。実際の宇宙は、実はこれまで科学者が考えていたようには振る舞わない場面がある可能性があります。このダークマターの分布を記すマップから、これまでの仮定を覆すような新しいモデルの発見にもつながるかもしれません。

チリにあるビクター・M・ブランコ望遠鏡。Photo: Reidar Hahn、Fermilab

チリにあるビクター・M・ブランコ望遠鏡。Photo: Reidar Hahn、Fermilab

(Source: Nature、Via:FelmilabEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:ダークマター / 暗黒物質(用語)

スペースXが初の海上スペースポートを建設中、2022年にStarship打ち上げを予定

SpaceX(スペースX)は、同社初の浮体式スペースポート(宇宙港)プラットフォームの建設をすでに進めており、早ければ2022年に打ち上げを開始する予定だという。SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、同社が開発中の再使用型ロケット「Starship(スターシップ)」の浮体式発射・着陸施設に改造するために2021年初めに購入した、石油掘削リグ2基のうちの1つである「Deimos(ダイモス)」の進捗状況についてその詳細を共有した。

SpaceXが2021年1月に購入した2基の掘削リグは、火星の月にちなんで名付けられた2つの浮体式スペースポート「Deimos(ダイモス)」と「Phobos(フォボス)」を建設するためのものだった。これらの港は、Starshipの打ち上げ活動のための海上拠点として機能する。最終的な計画では、Starshipが地球と赤い惑星との間で人と物の両方の輸送を行うことになっているため、このネーミングは適切といえるだろう。

マスク氏とSpaceXはこれまでに、Deimosのようなスペースポートが世界中の主要ハブからアクセスしやすい場所に配置され、北京からニューヨークまで30分程度で移動できるStarshipを使った極超音速ポイントツーポイント飛行の世界的ネットワークを実現するというビジョンを語ってきた。しかしSpaceXはその前にまず、まだ開発中のStarshipとそれに付随するブースター「Super Heavy(スーパーヘビー)」の軌道上での飛行テストを行うことを目指している。

マスク氏は2021年初め、早ければ2021年末には海上プラットフォームからロケットを飛ばし始めることができると語っていた。今回の新しいスケジュールは、当初のバラ色の予想が裏切られたことを示しているが、これは複数企業のCEOである同氏に関しては珍しいことではない。しかし、テキサス州の開発拠点である「Starbase(スターベース)」での高高度の打ち上げ・着陸テストに成功するなど、同社のStarship計画は最近、順調に進んでいる。

SpaceXは現在、StarshipをSuper Heavyの上に載せて初めて飛行させる軌道飛行テストと、試験後にStarshipがハワイ沖で着水した後に回収する準備を進めている。また、次の大きなマイルストーンに向けて、燃焼時間がより長いRaptor(ラプター)エンジンの地上試験を行っている。

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画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

JAXAが有人与圧ローバー実現に向け変形型月面ロボットによる月面データ取得の実施決定、タカラトミー・ソニー・同志社大と共同開発

JAXAが「有人与圧ローバー」実現に向け変形型月面ロボットによる月面データ取得の実施を決定、タカラトミー・ソニー・同志社大と共同開発

変形型月面ロボット(左:変形前、右:変形後)

JAXAは5月27日、月面での人の移動に使われる「有人与圧ローバー」の実現に向け、月面でのデータ取得を行うと発表した。これには、JAXA、タカラトミー、ソニー、同志社大学と共同開発する変形型月面ロボットが使われ、月面投入はispace(アイスペース)が2022年に打ち上げを予定している月着陸船が使われる。

JAXAは、2019年から有人与圧ローバーの概念検討を行っており、自動運転技術や走行技術の詳細を検討するためには月面の画像データなどが必要だと判断した。そこでispaceの月着陸船で変形型月面ロボット1機を月面に送り込み、レゴリス(月面の砂)の挙動や画像データを月着陸船経由で地上に送ることを決めた。取得したデータは、有人与圧ローバーの自己位置推定アルゴリズムの評価、走行性能へのレゴリスの影響評価などに用いられる。ispaceの月着陸船は、変形型月面ロボットを月に送り込みデータ通信を行わせる目的で、競争入札により選定され2021年4月に契約を締結したもの。

ispaceの月着陸船

変形型月面ロボットは、2016年に実施された第1回JAXA宇宙探査イノベーションハブ(Tansax)の研究提案公募でタカラトミーによって提案された重量約250gの自走型の超小型ロボット。月着陸船には、直径約8cmの球状になって搭載され、月面に展開された後に走行用の形状に変形して活動を行う。

2016年よりJAXAとタカラトミーが筐体の共同研究を開始し、2019年にソニー、2021年に同志社大学が参加した。タカラトミーと同志社大学の筐体の小型化技術、ソニーによるSPRESENSEを使った制御技術、JAXAの宇宙環境下での開発技術と知見がそれぞれ生かされている。

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タグ:ispace(企業)宇宙(用語)SPRESENSE(製品・サービス)Sony / ソニー(企業)JAXA / 宇宙航空研究開発機構(組織)タカラトミー(企業)同志社大学(組織)日本(国・地域)

無重力空間でも機能する冷蔵庫をパデュー大学の研究チームが開発中

国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士は、定期的な補給品の打ち上げによって比較的新鮮な食料を手に入れているが、火星まで行くとなると補給品の入手は不可能だ。もし人類が他の惑星に行くのなら、宇宙でも壊れない冷蔵庫が必要になる。パデュー大学の研究者たちは、そのテストに励んでいる。

普通の冷蔵庫だって宇宙で使えないことはないと思う人もいるかもしれない。熱を吸って、冷気を送り込む。単純なことではないか?しかし、一般的な冷蔵庫は、温度を調整するコンプレッサーにオイルを送り込むのに重力を利用している。そのため、重力のない宇宙ではこれらのシステムが機能しなかったり、すぐに壊れてしまったりするのだ。

パデュー大学のチームとパートナーメーカーのAir Squared(エア・スクエアド)が追求しているソリューションは、重力の方向や大きさに関係なく機能する、従来の冷蔵庫のオイルフリーバージョンだ。その開発は、NASAが有望な中小企業や実験に資金を提供し、ミッションへの準備を促進させるSBIRプログラムによって行われている(このプログラムは現在、フェーズIIの延長期間中)。

2年間の開発期間を経て、チームはついに飛行可能な試作機を完成させた。2021年4月にはパラボリックフライト(放物飛行)で模擬した微小重力環境でテストするところまでこぎ着けた。

最初のテスト結果は期待が持てるものだった。冷蔵庫はきちんと機能した。

研究チームの博士課程学生であるLeon Brendel(レオン・ブレンデル)氏は「微小重力環境下におけるテストで、明らかな問題もなく冷蔵サイクルが継続的に作動したことは、我々の設計が非常に良いスタートを切ったことを示すものです」と、述べている。「我々が認識していなかったことで、微小重力が冷蔵サイクルに与えた変化はないというのが、我々の第一印象です」。

もちろん、短時間の微小重力下(試作機が無重力に近い状態に置かれたのはわずか20秒間でしかなかった)では限定的なテストにしかならないが、研究者たちが取り組んでいた装置の問題点を解消することには役立った。次のテストでは、ISSに長期的に設置されることになるかもしれない。ISSの住人は、きちんと作動する冷蔵庫をきっと欲しがっているはずだ。

冷たい飲み物や(フリーズドライではない)冷凍食品はもちろん魅力的に違いないが、それだけでなく、標準的な冷蔵庫があれば、あらゆる科学的な作業にも利用できる。現在、低温環境を必要とする実験は、複雑で小規模な冷却機構を使用するか、絶対零度に近い宇宙環境を利用するかのどちらかしかない。だからこそ、NASAは「Flight Opportunities(フライト・オポチュニティ)」プログラムの一環として、開発チームを微小重力シミュレーターに搭乗させたのだ。

今回のフライトで収集されたデータの分析は現在進行中だが、最初の大きなテストの成功は、この宇宙用冷蔵庫の研究と実行の両方が、正しいことを立証するものだ。次の課題は、宇宙ステーションの限られたスペースと継続的な微小重力の中で、どのように機能するかを検証することになる。

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カテゴリー:宇宙
タグ:冷蔵庫パデュー大学NASAISS

画像クレジット:Purdue University

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本の宇宙企業ispaceの月着陸船がカナダ宇宙庁とJAXAからペイロード輸送を受託

東京に本社を置くispace(アイスペース)は、カナダと日本のローバー(探査車)を月面まで届ける任務に選ばれた。2022年と2023年に予定されているミッションでは、最近公開された同社の月着陸船が使用され、SpaceX(スペースX)のロケットで打ち上げられる予定だ。

カナダ宇宙庁(CSA)は、それぞれ別の科学的ミッションを担当するカナダの民間企業3社を選定した。Mission Control Space Services(ミッション・コントロール・スペース・サービス)、Canadensys(カナデンシス)、NGCの3社は、いずれもCSAによるLunar Exploration Accelerator Program(LEAP、月探査促進プログラム)の一環であるCapability Demonstration(能力実証)プログラムで受賞した最初の企業だ。2020年2月にカナダ政府が発表したLEAPは、5年間で1億5千万ドル(約165億円)を計上し、カナダの民間企業が宇宙空間で行うデモンストレーションや科学ミッションを支援する。

ispaceは、2022年に予定されている「ミッション1」で、アラブ首長国連邦のThe Mohammed Bin Rashid Space Centre(ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター、MBRSC)が開発した重量約10キログラムの月面探査ローバー「Rashid(ラシッド)」を月に届ける予定だ。このローバーには、宇宙ロボティクス企業であるMission Control Space Servicesの人工知能フライトコンピューターが搭載される。同社の人工知能は、深層学習アルゴリズムを用いて、Rashidが月面を走行する際に取得する画像から月の地質を認識することができる。

また、ispaceはCanadensysのために「ミッション中の重要な事柄を撮影する」カメラを月面へ輸送し、さらにNGCが開発する自律航行システムのデモンストレーションのために、月面の画像データを取得する。

「CSAに選ばれた3社すべてが、それぞれ月面での活動を実現するための役割を、ispaceのサービスに託してくれたことを光栄に思います」と、ispaceの創業者でCEOである袴田武史氏は声明で述べている。「これは、ispaceがCSAとの間に築いてきた過去数年間の信頼の証であり、北米市場においてispaceが認められたものと考えています」。

ispaceはまた、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、変形型月面ロボットの「月面輸送・運用・データ取得」契約も締結したと発表。2023年に予定されている月面探査ミッション「ミッション2」で収集されるデータは、JAXAが研究している有人与圧ローバーの設計に活用される。

JAXAの月面ロボットは、展開形状に変形する前は直径が約80ミリメートル、重さは約250グラムしかない。ispaceは、競争入札で獲得したこの契約の金銭的条件を明らかにしていない。

画像クレジット:JAXA

JAXAは、このロボットを月面で走行させ「レゴリス(月の表面を覆う砂)の挙動や月面での画像データ等を月着陸船経由で地上に送信します。取得したデータを用いて、有人与圧ローバの自己位置推定アルゴリズムの評価や走行性能へのレゴリスの影響評価等に反映する予定です」と、ニュースリリースで述べている。

ispaceは2020年7月に、この月探査プログラム「Hakuto-R(ハクトアール)」で使用するランダー(着陸船)のデザインを公開した。Hakuto-Rは、人類初の月面探査レース「Google Lunar XPRIZE(グーグル・ルナ・エックスプライズ)」から生まれたプロジェクトだ。このレースは、探査機を月に送り、500メートル以上の距離を走行させ、写真や動画を地球に送り返すことを競うというものだったが、Hakutoを含む5つのファイナリストがいずれも期日内に打ち上げを完了させることができず、優勝者がないまま2018年に終了した

MBRSCとJAXAのローバーは、それぞれ異なる展開機構を持つはずだが、米国時間5月26日に行われたメディア発表会で、袴田氏は詳細を明らかにしなかった。

袴田氏によると、ランダーはドイツで組み立てられており、組み立ての段階は始まったばかりだという。「だからこそ、私たちはこのスケジュールを達成できると確信しています」と、袴田氏は付け加えた。

ispaceの長期的な目標の1つは、月面における水資源の活用だ。それによって将来的には持続性のある活動を実現するための能力を高めていきたいと袴田氏は語る。

ispaceのHakuto-Rプログラムは、SpaceXのロケットで打ち上げられるいくつかの月面ミッションのうちの1つに過ぎない。2021年4月、米航空宇宙局(NASA)は、そのArtemis(アルテミス)計画の一環で、月面に人間を送る有人着陸システムの開発企業に、SpaceXを選んだと発表。その受注総額は28.9億ドル(約3175億円)に上る。SpaceXはFirefly Aerosapce(ファイアフライ・エアロスペース)からもペイロード輸送を受注しており、2023年に同社の月面着陸船を運ぶ予定だ。

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画像クレジット:ispace

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

宇宙関連メディア運営や宇宙ビジネス支援を行うsorano meが1000万円を調達

宇宙に特化した伴走型事業支援を行うsorano meは5月27日、FGN ABBALabファンド(ABBALabスタートアップファンド投資事業有限責任組合)から1000万円の資金調達を完了したと発表した。調達した資金は、伴走型支援事業拡大に向けた人材基盤構築、コミュニティ醸成・人材育成を推進するために活用する。

sorano meは「わたしたちの日常を、宇宙ビジネスで豊かにする。」をミッションとし、大手衛星メーカーやロケットメーカー経験者、大学教員、メディア業界経験者、コンサルティング会社出身者などが集まって創業したスタートアップ企業だ。また、全員が副業という形でプロジェクトに携わっている。

現在sorano meは、宇宙ビジネスメディア「宙畑-sorabatake-」や宇宙広報団体「TELSTAR」などの複数メディア運営、そして人工衛星から得られるデータや通信インフラなど、様々な宇宙アセットを利用した新規事業開発支援を推進している。さらに、海外宇宙スタートアップのビジネスモデルを解説したコンテンツを複数展開している。

それ以外にも、新規事業を担う宇宙ビジネス人材基盤構築事業として、コミュニティ醸成・人材育成を行っている。また日本航空宇宙学会 宇宙ビジネス共創委員会委員として、アカデミックとビジネスを繋ぐセミナーの企画運営も実施している。

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カテゴリー:宇宙
タグ:資金調達(用語)sorano me(企業)日本(国・地域)

次世代の月面探査車をGMとロッキード・マーティンが共同で開発中

人類が前回(1972年)、月を訪れたときには、比較的シンプルなバッテリー駆動の乗り物で移動した。NASAは次の有人月探査に向けて、月面探査車のアップグレードを検討している。

Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)とGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ)は米国時間5月26日、次世代の月面車を共同で開発していると発表した。これは以前の月面探査車よりも、より速いスピードで、より長い距離を走れるように設計されているという。このプロジェクトがNASAに採用されれば、この月面車は今後のアルテミス計画で使用されることになる。その最初のミッションは、無人で地球から月まで往来する飛行試験で、2021年11月に予定されている。

5月26日のメディア向け発表会で幹部が語ったところによると、提案申請書は2021年の第3四半期か第4四半期に発行されるだろうとのこと。NASAは提出された提案書を評価した後、契約を締結することになる。

前回のアポロ計画で使用された月面車は、着陸地点から約8キロメートル以内しか移動できなかったため、宇宙飛行士が月の北極や南極などの遠く離れた地点で重要なデータを収集することはできなかった。ちなみに月の円周は1万921キロメートルだ。2社はこれらの性能の大幅な向上を目指していると、ロッキードで月探査を担当するバイスプレジデントのKirk Shireman(カーク・シャイアマン)氏は語ったが、新型月面車に使用される素材や航続距離などの性能は、まだ正確に確定しているわけではないと言及した。

GMはこの月面車用の自律走行システムも開発する予定で、これにより安全性が向上し、宇宙飛行士がサンプルを収集したり、その他の科学的研究を行う能力が高まると、幹部は水曜日に語った。

GMは電気自動車や自律走行車の技術に、2025年までに270億ドル(約3兆円)以上を投資しており、その研究を月面車プロジェクトに活かすことを目指していると、GM Defense(GMディフェンス、GMの軍事製品部門)の成長戦略担当バイスプレジデントであるJeffrey Ryder(ジェフリー・ライダー)氏は語っている。「私たちは現在、これらの能力をどのようにアルテミス計画に関わる特定のミッションやオペレーションに適用するかについての調査を始めたところです」。

GMは地球上で行っているバッテリーや駆動システムの研究も、月面車の開発に活かしていくという。ライダー氏は、この月面車プログラムが他の市場機会につながることを期待している。

両社はこれまでにも、月面探査を含むNASAのミッションに技術を提供してきた。自動車メーカーのGMは、アポロ時代に使用された月面車のシャシーや車輪などの開発に協力。アポロ計画全般における誘導・航法システムの製造と統合も担当した。大手航空宇宙企業のロッキード・マーティンは、すべての火星探査を含むNASAのミッションで、宇宙船や動力システムの製造に携わっている。

両社は、今回の協業を「いくつかの取り組みの1つ」としており、今後も他のプロジェクトについて、さらなる発表が予定されているという。

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タグ:GMロッキード・マーティン探査車NASAアルテミス計画

画像クレジット:Chris Jackson / Staff / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ターンキー宇宙サービスを目指すPhantom Spaceが衛星プログラムのStratSpaceを買収しさらに前進

2021年の打ち上げ回数は新記録になる勢いだが、需要は急速に伸びている。Phantom Space Corporation(ファントム・スペース・コーポレーション)のような会社は、これまで宇宙産業で見たことのない量産技術を使ってその需要を満たそうとしている。このほど同社は、衛星プログラムのデザインと管理を行うStratSpace(ストラトスペース)を買収したことを現地時間5月25日に発表した。これは、宇宙輸送・製造のターンキーサービスを構築するための重要な一歩である、とPhantom Spaceの共同ファウンダーであるMichal Prywata(マイケル・プライワタ)氏がTechCrunchに話した。

「StratSpaceは、宇宙船を運行するために必要なノウハウ、ツール、衛星構成、通信システムをすべてもっています」と同氏は説明した。「これは当社にとって極めて重要です。なぜなら私たちはスタートからフィニッシュまであらゆる宇宙サービスをカバーする最初の企業になろうとしているからです」。買収の条件について会社は公表を拒んだ。

Phantom Spaceの狙いは、ロケット量産戦略に買収を組み合わせることで「ワンストップショップ」となり、宇宙へのアクセスをコストダウンすることだ。同社は最大450kgの貨物を低地球軌道に運ぶ専用打ち上げを400万ドル(約4億4000万円)で提供することを目指している、とプライワタ氏は語った。

「私たちは年間何百、もしかした数千回という話をしています」、と会社の目標打ち上げ回数についてプライワタ氏は語った。「現時点で、市場は間違いなく年間数百回の打ち上げを支えています」。

まだロケットモデルの飛行テストすら始めていない会社としては壮大な願望だ。Phantom Spaceは、同社がエンジンや航空電子機器など開発に何年もかかるような部分を外部調達していると語った。その他の部分やサービスについては、買収戦略を利用するつもりだ。

「買収に非常に積極的なのはそれが理由です。今こそ必要なテクノロジーと企業を1つの傘の下に集め、アイデアを採用して宇宙へ持っていくことのできる会社の総合インフラストラクチャーを作り始めるチャンスだと思っています」と彼は言った。そこには衛星の開発、統合、打ち上げ、データ通信が含まれている。「私たちは全方位をカバーすることを目指しています。そうすることで宇宙に持ち込みたいと思っているアプリケーションをもつ他の会社を助けることができます。そのために必要な要素を私たちはすべて持っているからです」。

Phantom Spaceは、2023年第1四半期に、2段式ロケットDaytona(デイトナ)を最初に打ち上げることが目標で、ステージレベルのテストは2022年に開始予定だ。同社の「働き手」となる打ち上げ機であるDaytonaは、高さ18.6mで、8基のエンジンを使って450kgを低地球軌道に運ぶことができる。Daytonaは完全に使い捨てだが、同社の大型モデルのロケットLaguna(ラグナ)は再利用する計画だ。

会社はカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地の第5発射施設に入る権利を取得しており、ここが最初の打ち上げの場所になる可能性が高い。同社は最近アラスカ州のパシフィックスペースポートコンプレックスとの契約にも署名した。そこではAstra(アストラ、こちらもロケット量産を目指している企業)が打ち上げを行っており、最終的にフロリダ州のケープ・カナベラル宇宙基地と打ち上げ契約を結ぶ計画だ。

しかし、仮に飛行テストが順調に進んだとしても、年間数百、数千もの打ち上げを行うことは、この国の宇宙基地の数を考えると現状では不可能だ。

「打ち上げを米国内で行うだけでは十分ではありません、なぜならこれら3カ所だけで年間数百回に到達することは不可能だからです」とプライワタ氏はいう。そこでPhantom Spaceはスウェーデン北部、オーストラリア北部、およびブラジルで発射場所を探している。同社は米国の連邦航空局とも、水平打ち上げに限定されている宇宙基地で垂直打ち上げを可能にするライセンスについて交渉している。

Phantom SpaceによるStratSpaceの買収は、数多い買収の始まりにすぎない、とプライワタ氏は述べた。「私たちはまだ小さいので、成長するために貪欲になろうとしています」と彼はいう。「そのために、小さいけれども私たちの全体戦略を可能にする非常に重要な買収から始めています」、

カテゴリー:宇宙
タグ:Phantom Space Corporation買収民間宇宙飛行

画像クレジット:Phantom Space Corporation

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Firefly Aerospaceの月着陸船は2023年にSpaceX Falcon 9で月に飛ぶ

Firefly Aerospaceは、ロケットを開発しているだけでなく、並行して、同社の初めての月着陸船Blue Ghostを作っている。Blue Ghostは2023年に、別の打ち上げ企業SpaceXのロケットに乗って旅をする、と今日(米国時間5/20)同社が発表した。

Firefly Aerospaceも自社の打ち上げ機を開発中だが、最初の軌道飛行を目指しているAlphaロケットは、大きなペイロードを月に運べるロケットではない。一方SpaceXは、まだFalcon 9を月へのミッションで送り出したことはないが、そのほかのミッションでは何度も成功している。その仕様では月への配達も可能であり、商用月着陸船のそのほかの開発企業も、多くが打ち上げ機として同機を選んでいる。

関連記事: NASA issues new call for lunar payload deliveries from its commercial moon lander partners(未訳)

FireflyのBlue Ghostは、わずか2年後に旅立ち、NASAの月への商用ペイロードサービスであるCommercial Lunar Payload Services(CLPS)のために10個のペイロードを運ぶ。NASAはその事業を利用して、月面に実験装置を運ぶミッションを民間企業に与える。その一部は、人間による月探検と究極的には長期居住を目的とするArtemisミッションの準備でもある。

SpaceXが選ばれた理由の一部は、Falcon 9の性能仕様ではBlue Ghostが自分の燃料を多く節約でき、着陸船が約150kgの積荷を運べるからだ。他の多くのCLPSプロバイダーと同じくFireflyも、他の民間企業からNASAの実験装置と並ぶペイロードを奪い、節約で生じたスペース(積載量)を売上増に結びつけたいからだ。

CLPSの下(もと)での最初の着陸船の打ち上げは、今年の第四四半期を予定している。現在は計6社が選ばれているが、それらの打ち上げの予定は2023年内だ。

関連記事: As launch market matures, space opportunities on the ground take off(未訳、有料記事)

(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Firefly Aerospace

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「宇宙旅行」が賞品のディスカバリーの新リアリティ番組「Who Wants to Be an Astronaut?」

Discovery(ディスカバリー)は、2022年に放送予定の新しいリアリティ番組を発注した。この新番組は、Axiom Space(アクシオム・スペース)の商用ミッションで国際宇宙ステーション(ISS)への旅行に参加するチャンスを競う。全8話のコンテストシリーズとなる。優勝者は、AxiomがAX-1に続いて完全に民間の宇宙旅行者グループをISSに輸送する2回目のミッションとなるAX-2のクルーに加わる。AX-1は早ければ2022年1月に実施される予定だ。

AxiomとNASAは、2021年5月初めに行われたプレスブリーフィングでAX-1について詳しい説明を行った。このミッションは8日間にわたり、4人の有料顧客を軌道上の科学ステーションに連れて行き、短期間滞在するという。この特典のためにNASAに支払われる価格は169万ドル(約1億8000万円、この中にAxiomが輸送サービスによって提供する現物支援は含まれていない)となっている。

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AxiomはAX-1では、SpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)とCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船を使用して、民間宇宙飛行士の顧客をISSに輸送する予定だ。「Who Wants to Be an Astronaut?」シリーズの最初のプレス資料では、優勝者を受け入れるAX-2ミッションに使用される宇宙船は明記されていないが、これまでに活動している唯一の完全な民間宇宙旅行会社であることから、このミッションにもSpaceXが採用されると考えるのが妥当だろう。

このリアリティ番組シリーズで行われる実際の選考プロセスについて、Discoveryは次のように説明している。

宇宙へ飛び立つ憧れの席を獲得するには何が必要なのか?そのプロセスは過酷であり、厳しい選考を通過するのは選ばれた数人だけです。このシリーズでは、宇宙飛行士に最も必要とされる資質を試すために、様々な過酷な課題に挑戦し、宇宙飛行や宇宙ステーションでの生活に必要な訓練を受ける候補者たちを追っていきます。

そして最終的には、専門家の審査員によって適性があると判断されたラッキーな候補者1名が、これまで経験したことのない冒険へのチケットを手にすることになります。このシリーズでは、離陸から再突入、そして帰還まで、重要な瞬間を記録していきます。

このコンテストは「ありふれた普通の人々」に公開されており、参加したい場合、応募フォームに30~60秒の短い動画を添付する必要がある。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Discovery国際宇宙ステーション民間宇宙飛行Axiom SpaceNASA

画像クレジット:NASA

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

ブルーオリジンの初の商業宇宙フライトチケット入札は2.1億円超えで続行中

Blue Origin(ブルーオリジン)はNew Shepardロケットでの初の商業宇宙フライトの座席販売で斬新な方法を取っている。最も高い額で落札した人に座席を提供するというオークションだ。同社はコンテストの第1パートとして非公開の入札を行い、最高入札額を発表した。そして米国時間6月10日まで公開のオンライン入札を行う。

非公開入札には136カ国から5200人が参加し、誰もが欲しい座席のこれまでの最高入札額は140万ドル(約1億5200万円)だ。Blue Originは自社ウェブサイトでオークションを公開し、高額の札(記事執筆時点ですでに200万ドル[2億1800万円]となっている)は誰の目にも留まるよう表示される。

6月12日に最終のライブオンラインオークションが開催され、登録した最終参加者の中から喜んで高額を提示する人が参加する。そして落札者が7月20日に予定されている初フライトの座席を手に入れる。このフライトには、Blue Originによって選ばれ、今後名前が明らかになる他の乗客も含まれる。

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏の会社であるBlue Originは長い間、この瞬間に向けて取り組んできた。しかしこの入札で得る座席代金は商業宇宙フライトを今後展開する同社の懐に入るわけではない。子どものSTEM教育促進に取り組んでいる非営利組織Club for the Futureに寄付する。

7月20日のフライトはBlue Originの初の有人宇宙フライトで、少なくとも1座席を一般人に提供するという事実は軌道周回しない再利用可能なNew Shepard打ち上げシステムの信頼性に極めて自信を持っていることを意味する。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Blue OriginNew Shepard民間宇宙飛行オークション有人宇宙飛行

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

小型人工衛星打ち上げサービスFirefly Aerospaceが2021年6月の初飛行前に約82億円調達

Firefly Aerospaceは、10億ドル(約1094億円)を超える評価額で獲得したシリーズAの7500万ドル(約82億円)と、Fireflyの筆頭投資家Noosphere Venturesの保有株の売却からなる1億ドル(約109億円)の二次取引で合計1億7500万ドル(約191億円)を調達した。人工衛星を打ち上げるスタートアップである同社は、2021年6月に予定している最初のAlphaロケットの打ち上げの後、さらに今年後半に3億ドル(約328億円)を調達すると発表した。

Fireflyは、SpaceXやRocket Labの後を追って商用の打ち上げプロバイダーになろうとしているスタートアップたちの1つだ。目標は、現在成長中の小型衛星の打ち上げ市場に貢献することで、同社はこれまでの数年間、Alphaロケットを開発してきたが、すでにNASAやGeneral Atomicsなどから商用および政府非軍事部門の打ち上げ契約を獲得している。テキサスを拠点とする同社はこれまで、最初に立ち上げたFirefly Space Systemsの破産をはじめ、挫折も経験しているが、その後はFirefly Aerospaceと改名してNoosphere Venturesが全資金を提供する完全保有ベンチャーになった。

同社の2度目の命には、Alphaロケットを改造して打ち上げ容量を大きくしたことも含まれる。現在は、低地球軌道で1000kg、太陽同期軌道で600kgを運ぶことができる。また、NASAのCommercial Lunar Payload Services(CLPS)プログラムの一環として、月へのペイロードデリバリーサービスを提供するために「Blue Ghost」と呼ばれる月着陸船も開発している。

Fireflyは、カリフォルニアのヴァンデンバーグ空軍基地の施設で、打ち上げ機の準備がかなり進んでいるため、実際の飛行にこれまでになく近づいているようだ。初飛行を予定している2021年6月は近づいており、同社はそのデモ打ち上げの成功の勢いに乗り、同社がすでにその意図を表明している次の巨額調達(3億ドル)への関心が大きくなることも期待している。しかも同社は、シリーズAのラウンドが「申込過多」だったという。

シリーズAはDADA Holdingsがリードし、Astera InstituteとCanon Ball LLCなどが参加した。Fireflyによると、Noosphereの持ち株売却による二次調達にはシリーズAの参加社も含まれていた。

カテゴリー:宇宙
タグ:Firefly Aerospace資金調達

画像クレジット:Firefly Aerospace

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

スペースXがStarlink衛星60基を追加打ち上げ、予約注文は50万件以上

SpaceX(スペースX)は、ブロードバンドインターネット衛星のStarlink(スターリンク)60基を追加で打ち上げた。その日はまさしく「Star Wars Day(スター・ウォーズ・デー)」であり、同社最後の打ち上げからわずか5日後だった。これで同社は2021年3月始め以来420基のStarlink衛星を打ち上げた。おそらくこの数字にSpaceXのCEOは気づいていない、なぜなら知っていればツイートしていたに違いないから。

打ち上げはフロリダ州ケープ・カナベラルで東海岸時刻午後3時01分(日本時間5月5日午前4時1分)に行われ、再利用されたそのFalcon 9ブースターロケットは過去8回飛行している。今回もブースターは大西洋に浮かぶドローン・シップに軟着陸し、SpaceXの再利用飛行プログラムのブースター回収で2021年3月に打ち立てられたばかりの記録に並んだ。これは同社にとって115回目のFalcon 9打ち上げだ。

SpaceXは、ブロードバンドサービスのために衛星群との信号送受信に使用されるStarlink消費者向けハードウェアに関する最新データも公開した。同社はこのサービスの事前予約を「50万件以上」受けつけた。予約にはハードウェアの前払金が必要だ。

この強い需要は、Starlinkの受注残がなぜあんなに多いのか説明している。同サービスを利用したい顧客は、SpaceXのStarlinkウェブサイトに登録し、Starlink受信機、ルーター、電源、自宅に設置するためのマウントが含まれているキットを予約注文する。

現在同サービスは、オーストラリア、ニュージーランド、英国、メキシコ、米国、およびカナダ6カ国のベータ版ユーザーに提供されているが、目標は提供範囲を拡大し、2021年末までにほぼ全世界でサービスを利用できるようにすることで、2021年いっぱい何回かの追加打ち上げが予定されている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXStarlink

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国連邦航空局がスペースXのStarshipのテストを3回分承認、早ければ今週打ち上げ

SpaceX(スペースX)はStarship宇宙船のテストと開発プログラムのペースを順調に維持しているが、米国時間4月29日午後、米国連邦航空局(FAA)よりテキサス州ボカチカの発射場から3回のテスト飛行を行う許可を得た。これまでの打ち上げテストの承認は単発的なものだったが、FAAは声明の中で「スペースXはロケットにほとんど変更を加えておらず、FAAが承認した一般の人々のリスクを計算する方法論にもとづいている」ため、一括して承認すると述べている。

スペースXは早ければ今週にも試験用StarshipのSN15を打ち上げる予定だが、その際にはFAAの検査官がボカチカの施設に立ち会うことが条件となる。FAAは米国時間4月29日到着予定の検査官を派遣したと述べており、今後数日のうちに打ち上げを試みる可能性が開けるかもしれない。

スペースXがボカチカから最後に試験飛行を試みたのは、2021年3月末に行われたSN11の打ち上げだった。約3万フィート(約9キロメートル)の高度までの最初の上昇とフリップマヌーバに成功した後、動力着陸を制御するラプターエンジンの1つにエラーが発生して爆発するという最悪の結末を迎えた。

FAAは次の3回のテストの認可に関する声明の中で、SN11で起きたこととその不幸な結末についての調査はまだ進行中であると指摘したが、それでもFAAは問題に関連する公共の安全上の懸念が緩和されたと判断したと付け加えた。

3回の打ち上げ許可にはSN15に加えてSN16、SN17の飛行が含まれているが、FAAはSN15の打ち上げで新たな「災難」が発生した場合には、次の2回の飛行では実際に離陸する前に追加の「修正措置」が必要になる可能性があると指摘している。

スペースXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、Starshipの開発で同社が追求している反復とテストの迅速なペースに対して、FAAが十分な柔軟性と対応力を持っていないと批判していた。一方で米連邦議会の議員らは、FAAがStarshipの初期のテスト事故を独自に調査するにあたって、必要なほど徹底していなかった可能性があると示唆している。しかし、最終的に公共の安全に対する影響がないことは、これまでの同計画が成功していることを示していると政府は主張している。

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カテゴリー:宇宙
タグ:FAASpaceXStarship

画像クレジット:SOPA Images / Contributor / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

「歴史上最も孤独な男」月に降りなかったアポロ11号クルーのマイケル・コリンズ飛行士が逝去

「史上最も孤独な男」月に降りなかったアポロ11号クルーのマイケル・コリンズ飛行士が逝去

Heritage Images via Getty Images

1969年、ニール・アームストロング飛行士とバズ・オルドリン飛行士が人類初の月面着陸を果たしたとき、アポロ11号司令船内にとどまって2人のサポート役に回った宇宙飛行士、マイケル・コリンズ氏が90歳で死去しました。コリンズ氏はしばらくがんを患い闘病していました。

遺族は本人の公式Twitterアカウントで「マイクは人生に対して常に優しさと謙虚さを持って臨んでいました。そして最後の挑戦にもまったく変わらずに立ち向かいました。私たちは彼が去ったことを非常に悲しく思います。しかし、私たちは、マイクが彼がどれほど非常に幸運な人生を生きられたと感じているかをわかっています」と述べています。

コリンズ氏は、アームストロングとオルドリンが月へ向かったあと、コリンズ氏は着陸船に問題が発生したときに備えて月軌道をひとりで周回しました。そのためコリンズ氏は「最も孤独な男」「忘れられた宇宙飛行士」などとも呼ばれています。

司令船で待機中は地上や月との位置関係で地上や着陸船との通信が途絶えることが何度もありましたが、その間、コリンズ氏は月面やその向こうにある地球の写真を撮影しました。そのなかには、おそらく誰もがどこかで目にしたことのある1枚も含まれています。

「史上最も孤独な男」月に降りなかったアポロ11号クルーのマイケル・コリンズ飛行士が逝去

NASA NASA / Reuters

コリンズ氏はこのミッションの翌年に飛行士を引退、国務省に務めた後、1978年にスミソニアン国立航空宇宙博物館のトップに就任しました。

NASA長官代理のスティーブ・ユルチク氏は「今日、われわれは真の先駆者で人生の探求者であったマイケル・コリンズ宇宙飛行士を失いました。コリンズ氏は、アポロ11号の司令船のパイロットとして、「歴史上最も孤独な男」とも言われましたが、同僚が初めて月面を歩く傍らで、この国の決定的な出来事の達成に貢献しました。彼はほかにもジェミニ計画や空軍のパイロットとして活躍しました」「NASA​​は、人間の可能性の限界を拡大しようとするすべての人の友人である、熟達のパイロットにして宇宙飛行士の喪失を悼みます。舞台裏か表舞台かに関わらず、彼の遺したものは常に、アメリカの宇宙への第一歩を踏み出したリーダーの一人として存在するでしょう。そして、私たちがさらなる深遠に向かって冒険するとき、彼の精神は私たちと共にあります」と声明で述べました。

なお、アポロ11号の船長だったニール・アームストロング氏は、2012年にこの世を去っています。

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:アポロ11号(用語)NASA(組織)マイケル・コリンズ

スペースXがStarlink衛星60機を追加打ち上げ実施、累計1500機以上が宇宙に

SpaceX(スペースX)はStarlink衛星を新たに打ち上げ、軌道上のコンステレーションに60機を追加した。これは24回目のStarlinkの打ち上げで、同社は現在1500機以上のStarlink衛星を打ち上げており、そのうち約1438機がまだ運用中である。今回は米国時間4月7日以来のStarlinkの打ち上げだったが、驚くべきことにこれは久々の打ち上げとなる。

スペースXは低軌道上のブロードバンドインターネットネットワークの可能性、品質、カバレッジの拡大を目指しており、2021年の打ち上げカレンダーはStarlinkの打ち上げが中心となっている。同社は2021年に入りStarlinkの提供を開始したが、現在はネットワークの容量や地域的な能力よりも、消費者向けの受信端末の供給がほぼ制限されているようだ。

Starlinkの打ち上げが数週間空いたことに関しては、スペースがその間に停滞していたわけではない。先週には国際宇宙ステーション(ISS)に向かう第2陣の宇宙飛行士を打ち上げた。さらに、2021面5月にも2、3回のStarlinkの追加打ち上げが予定されている。

今回の打ち上げは、米国時間4月29日水曜日の東部時間午後11時44分(日本時間4月30日午前1時44分)にフロリダ州のケープカナベラルから実施され、Starlinkの4回の打ち上げを含む過去6回のミッションで使用された、飛行実績のあるFalcon 9の第1段ブースターが使用された。

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タグ:SpaceXStarlink

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ブルーオリジンが弾道飛行ロケットでの商業フライトチケットを5月5日に発売

直近のミッションで宇宙飛行士を乗せてリハーサルを行ったBlue Origin(ブルーオリジン)は、有料顧客を乗せての弾道飛行ロケットNew Shepard(ニューシェパード)打ち上げにかなり近づいているようだ。同社は米国時間4月29日、初の商用飛行の搭乗チケットを5月5日に発売すると明らかにした。

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏の宇宙会社の初の商用有人飛行に関しては「いつ、いくら」という疑問が依然として残っている。Blue Originは過去数年、人間が乗り込んで使用する宇宙船のテスト、開発、フライト認証に取り組んできた。そして前述のリハーサルのような直近のミッションでは本質的に最後の仕上げにフォーカスし、2021年初めに行ったフライトでは客室の快適性や、通信・コントロール機能のテストにフォーカスした。

TechCrunchはBlue OriginのCEOであるBob Smith(ボブ・スミス)氏にこれまでに幾度となくフライトの価格について尋ねたが、スミス氏は「数十万」ドル(数千万円)のレンジになるだろう、とだけ述べて具体的な回答を断っていた。乗客が完全無重力の環境で数分過ごすことができる、再利用可能なNew Shepardカプセルによる宇宙への旅行が含まれることを考えると、そのチケット価格は驚くものではない。カプセルには宇宙からの地球の眺めを取り込めるだけの十分な数の窓もある。

Blue Originは最初の乗客のチケットを売り出す来週に何を発表するか、差し当たってはさほど情報を共有していないが、さらに詳細が明らかになると述べた。乞うご期待。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Blue Origin民間宇宙飛行有人宇宙飛行New Shepard

画像クレジット:Blue Origin

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

NASA

4月24日、日本人飛行士の星出彰彦氏ほから4人を乗せたSpaceX Crew Dragonが、再利用された宇宙船として初めての国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功しました。このCrew-2ミッションは、再利用されたFalcon 9ロケットによる初の有人ミッションでもあります。

また、ISSで星出飛行士を迎えた野口聡一らが乗り込んで打ち上げられたときにCrew Dragonに登場したのはNASAと宇宙航空研究開発機構(JAXA)の飛行士でしたが,今回はそれに欧州宇宙機関(ESA)の飛行士も加えた3機関の飛行士が同時にCrew Dragonに搭乗した初のミッションであり、初物づくしのミッションになっています。

なお日米欧の宇宙機関の飛行士が同時にSpaceXの宇宙船でミッションを行うのもこれが初めて。NASAにとっても20年ぶりのことです。さらに言えば、日本の飛行士が2名同時にISSに滞在するのは、2010年の野口飛行士と山崎直子飛行士以来の出来事です。

今回のドッキングでISSに搭乗した4人を加えて、現在ISSには11人の飛行士が滞在していることになります。これもまた、スペースシャトルが現役だったころ以来の人口密度。ただし、Crew-1ミッションでこれまでISSに滞在していた野口飛行士ら4人は、約6か月の滞在を終えて28日に地球へ帰還の途に就く予定。ISSは星出飛行士が船長に就任します。

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

NASA TV

再利用宇宙船によるISSへの人員輸送成功は、民間企業による宇宙飛行がさらに一般的になってきたことを示すものです。SpaceXは、2022年1月には民間だけでの宇宙飛行ミッションAX-1を計画しており、さらISSへの人員輸送も、すでに2023年までの予定が組まれているとのことです。

ちなみに、JAXAのリリースによると星出飛行士のISS滞在中の任務としては「次世代水再生システム構築に向けた技術実証、筋萎縮予防に貢献可能なバイオ素材の有効性検証や細胞内の重力感知メカニズムに関する宇宙実験、船内ドローンロボットを使ったプログラミング競技会」などが予定されています。

(Source:NASAJAXASpaceXEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:Crew Dragon(製品・サービス)JAXA(組織)SpaceX / スペースX(企業)NASA(組織)Falcon 9(製品・サービス)