エンジェル投資家の役割ってどんなこと? TechCrunch Tokyoでコロプラ千葉氏とコーチ・ユナイテッド有安氏に聞く

スタートアップのエコシステムには、起業家だけでなく、彼らに資金や知見を提供する支援者がいるのは周知の通り。起業家が外部から資金を調達して事業のアクセルを踏む際に投資をするのは、ベンチャーキャピタルだったり事業会社だったりさまざまだ。

コロプラ取締役副社長 次世代部長の千葉功太郎

コロプラ取締役副社長 次世代部長の千葉功太郎

そんな支援者の中には「エンジェル投資家」と呼ばれる人たちがいる。TechCrunchの読者ならご存じかも知れないが、彼らは創業期のスタートアップに対しての投資を行う個人投資家たちだ。

一度自ら立ち上げた会社を上場させるなり売却するなりして利益を得た元起業家・元経営メンバーなどが、次の世代の起業家に対して資金を提供し、アドバイスを行い、人脈を紹介するというケースが多い。スタートアップ企業に投資をするだけでなく、ベンチャーキャピタルの手がけるファンドに対してLP出資するなどして、間接的に投資するケースも少なくない。ちなみにエンジェルという呼び名は、演劇業界における出資者からついているのだとか。

日本のネット領域では、ディー・エヌ・エー共同創業者の川田尚吾氏、ネットエイジ創業者の西川潔氏、現在クックパッド代表執行役兼取締役を務める穐田誉輝氏なんかの名前が挙がることが多い。ほかにも上場・事業売却した経営者らが若き起業家に支援をしているなんて話はちらほら聞くが、ここ数年のIPOやバイアウトによるイグジットで比較的若いエンジェル投資家が増えているのは確実な流れだ。

しかし、国内のエンジェル投資家がメディアなどに出て自分たちの存在をアピールすることは少ない。例えば僕たちがスタートアップの資金調達のニュースを書くときにも、「ベンチャーキャピタルの○○社および個人投資家などから資金を調達した」といった表現をすることがあるが、この「個人投資家など」は名前を非公開にしているエンジェル投資家であるケースも多い。クローズドな場を除いて大々的に自身の投資について語ることは少ない。

開催まで1週間弱となったスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」では、そんなエンジェル投資家をテーマにしたセッションを開催する予定だ。

コーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏の

コーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏の

このセッションにはコロプラ取締役副社長 次世代部長の千葉功太郎氏と、コーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏の2人が登壇する。いずれも本業では経営陣としての手腕を振るう一方、エンジェル投資家として積極的に若い起業家を支援している人物だ。

千葉氏は新卒でリクルートに入社したのち、ネット黎明期の2000年にサイバードに入社。様々なモバイルビジネスに関わったのち、2009年にコロプラ立ち上げに参画。同社を上場まで導いたのち、新卒採用や人材育成といった面で同社の成長を支えてきた。最近では子会社のコロプラネクストを通じて学生起業家への支援も積極的に行っているほか、個人でも多くのスタートアップに投資をしている。

一方の有安氏は新卒でユニリーバ・ジャパンへ入社したのち、2007年にコーチ・ユナイテッドを設立。語学や楽器レッスンのマーケットプレイス「サイタ」を運営してきた。2013年には同社をクックパッドへ売却。継続して事業を行いつつ、個人や「Tokyo Founders Fund(ノボット創業者の小林清剛氏や元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏ら経営者8人によるファンド)」での投資活動を行っている。

セッションではエンジェル投資家として活躍する2人に、その実態を語ってもらえればと思っている。投資を始めた理由やそのスタンス、支援したい起業家の人物像、支援の手段や本業との兼ね合いまで、いろいろ話を聞ければと思っている。興味がある人は、是非ともイベントに遊びに来て欲しい。

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ビジネスSNS「Wantedly」がいよいよオープン化、3つの機能が外部サイトでも利用可能に

ウォンテッドリー代表取締役の仲暁子氏(中央)とOpen APIを担当した相川直視氏(左)、坂部広大氏(右)

ウォンテッドリー代表取締役の仲暁子氏(中央)とOpen APIを担当した相川直視氏(左)、坂部広大氏(右)

ウォンテッドリーの提供するビジネスSNS「Wantedly」。6月に発表していたプラットフォームのオープン化がいよいよスタートした。同社は11月9日よりOpen APIの提供を開始。すでに発表されていたサイバーエージェント、クックパッド、ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の4社に加えて、採用管理システムを提供するジャパンジョブポスティングサービス、ワークス・ジャパン、イグナイトアイがローンチパートナーとしてOpen APIの導入を実施。また、本日よりすべての企業に機能を開放する。ウォンテッドリーでは年内に100 社の導入を目指す。

Open APIを利用することで、Wantedlyのサイト外であっても同サービスの機能を利用できるようになるが、今回提供されるのは「話を聞きに行きたいボタン」「会社フィードボックス」「フォーム自動入力ボタン」の3つの機能だ。Wantedlyの会社アカウントを作成し、自動生成されたJavaScriptを一行ホームページに挿入すれば、これらの機能を外部サイトに導入できるようになる。これによって従来の応募フローには乗って来なかった潜在転職者や、採用のフローが面倒で離脱してしまうような転職者とも出会えることが期待できる。

Wantedly には、「本選考へのエントリ-」というかっちりしたものエントリーフォームではなく、カジュアルに企業へ遊びに行きたいという意思を表示する「話を聞きに行きたいボタン」がある。これまでWantedly内のクライアント企業各社のページでのみの利用できたこの機能が、外部サイト(例えばクライアント企業のコーポレートサイトなど)にも設置可能になる。

VisitButton

「話を聞きに行きたい」ボタンのイメージ

「会社フィード」は、Wantedly上に日々の会社の様子を投稿して情報を更新できる機能。ユーザーは気になる会社フィードをフォローすることで、最新の企業情報を受け取ることができる。この会社フィードを外部サイトに表示するのが「会社フィードボックス」だ。

「会社フィードボックス」のイメージ

「会社フィードボックス」のイメージ

「フォーム自動入力ボタン」は、Wantedly上にプロフィールを登録するユーザーが、ワンクリックでその情報をほかのサイトのプロフィール入力フォームにコピーできる機能。例えば転職希望者がWantedlyで興味のある企業を見つけ、話を聞きに行ったあとでその企業の選考に正式にエントリーする場合、企業のエントリーページにこのボタンが設置されていれば、ワンクリックで情報を入力できるようになる。今まではコーポレートサイトにWantedlyの自社ページのリンクを用意するケースが多かったそうだが、今後はWantedly上の更新情報が直接コーポレートサイトなどから閲覧できることになる。

Wantedlyの月間ユーザー数は60万人。クライアントは1万2000社にまで拡大した。ウォンテッドリー代表取締役の仲暁子氏によると「もともと4000社くらいまではスタートアップが中心だったが、その領域はほぼ取り切って、そこからは中小企業や大企業、病院、学校、行政など利用企業の裾野が広がっている状況」という。

これは驚き! 『スターウォーズ・フォースの覚醒』の日本向け特別版予告編が公開された

2015-11-07-starwars

これは驚いた。普通、スターウォーズの予告編は公開される何日も前から世界中で話題になるものだ。今回の『スターウォーズ・フォースの覚醒』の場合も例外ではないはず。

しかしこの予告編はどこからともなく…現れた。われわれは「月曜の夜はフットボールの番組があるから予告編なんか見ていられない」というふりをする余裕もなかった!

そんなわけで、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンが黙ってYouTubeに公開した予告編には「同じシーンを順序を変えて切り貼りしただけだ」というような非難のコメントがついた。

しかしこの予告編には大量の新しいシーンが含まれている。文字どおり大量にだ。実際、クライマックスに危険なほど近く、ネタバレぎりぎりというシーンもある。そういうことに神経質な向きは要注意だ。

新しいシーンの例は以下の瞬間だ。 BB8がドロイド語を話す (0:27)、フィンとレイが出会う (0:56)、C-3PO (1:03)、チューイー(チューバッカ)が大爆発のスイッチを押す(1:20)、などに注目だ!

伝統に従って、この予告編も際限なく繰り返し再生されるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

TechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトル登場チームはこの12社だ

昨年は家庭用プリンタで電子回路を印字できる「AgIC」が優勝した

昨年は家庭用プリンタで電子回路を印字できる「AgIC」が優勝した

いよいよ再来週に迫ってきた「TechCrunch Tokyo 2015」。その目玉企画の1つが、100社以上がエントリーした一次審査を勝ち抜いたチームが自社プロダクトをプレゼンで競い合う「スタートアップバトル」だ。昨年は800人規模の会場で立ち見が出るほどの盛況ぶりだったが、今年は昨年同様かそれ以上の盛り上がりが予想される。11月18日の決勝大会に出場する12チームのプロダクトを手短に紹介しよう。

SmartHR(株式会社KUFU )
社会保険・雇用保険の手続を自動化するクラウド型ソフト。

Popcorn(クービック)
渋谷や恵比寿、六本木をはじめ都内中心に、当日予約できるサロンが見つかるアプリ。

One Tap BUY(株式会社One Tap BUY)
4タップで有名企業の株式を買えるアプリ。日本初のスマホ専門証券会社を設立準備中。

キャスタービズ(株式会社キャスター)
人事や経理などの事務作業をオンライン秘書に依頼できるサービス。

シェルフィー(シェルフィー株式会社)
店舗を出店・改装したい人と、デザイン・施工会社をつなぐプラットフォーム。

TANREN(TANREN株式会社)
動画を主体とした研修システム。属人的になりがちな社内教育を共有化できる。

WATCHA(株式会社WATCHA)
自分の好きな作品をもとに、オススメの映画、ドラマ、アニメを教えてくれるアプリ。

WealthNavi(ウェルスナビ株式会社)
世界中の機関投資家や富裕層が利用する国際分散投資をサポートする資産運用サービス。

BONX(チケイ株式会社)
スマホと接続して使えるウェアラブルトランシーバー。アウトドアでの利用を想定している。

SHOPCOUNTER(株式会社COUNTERWORKS)
物販やイベント用のスペースを貸し借りできるマーケットプレイス。

mijin(テックビューロ株式会社)
自社またはパートナー間のみ利用可能なブロックチェーン構築プラットフォーム。

VIDEO TAP(株式会社オープンエイト)
延べ4000万UUの女性向けプレミアムメディアを束ねるスマホ動画アドプラットフォーム。

以上の12社が、11月18日(水)に開催するスタートアップバトルに登場する。バトルの開始前には、家庭用プリンタで電子回路を印字できる「AgIC」を発表して昨年王者に輝いたAgICの清水信哉さん、同じく昨年のバトルに出場したダイエット家庭教師アプリ「FiNC」の溝口勇児さん、後付型スマートロック「Akerun」を手掛けるフォトシンスの河瀬航大さんが登場し、プロダクトのアップデートを語ってもらう予定だ。

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「gumiショック」からの復活は? TechCrunch Tokyoでgumi代表の国光氏に聞く

いよいよ開催まで2週間を切ったスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」。また新たな登壇者について紹介したい。今回登壇が決まったのはgumi代表取締役社長の国光宏尚氏だ。

gumi代表取締役社長の国光宏尚氏

gumi代表取締役社長の国光宏尚氏

国光氏率いるgumiは2007年の創業(当時の社名はアットムービー・パイレーツ)。当初は自社でSNS「gumi」を提供していた。

実はこのgumi、mixiやDeNA、GREEなどよりも早くオープン化を実施した先進的なSNSだったりするのだが、早すぎるオープン化は当時ユーザーに受け入れられなかった。その後同社はSNSからソーシャルゲームの開発へと事業をシフトするが、これまでに資金繰りに苦戦し、3度倒産の危機を迎えたのだという。

そんな苦労の末に2014年12月、見事東証マザーズ市場に上場するが、今度は上場から2カ月半で業績予想の下方修正を発表。2015年4月期の業績が営業利益13億円の黒字から4億円の赤字になると発表。追い打ちをかけるように無担保での30億円の銀行借入や韓国子会社での横領事件などがあきらかになったこともあって「gumiショック」なんて揶揄され、市場の投資家から厳しい批判を受けた。

今日時点の株価を見てもまだ上場時の価格には遠い状況だが、10月に完全子会社化したエイリムの新作タイトル「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」は好調のようだし、以前決算説明会などで発表していた新作タイトルなども続々リリースの予定。さらにはこれまで立ち上げてきた海外拠点での展開も加速するとしている。復活の準備は整ってきたようだ。

TechCrunch Tokyoではそんな国光氏に、上場後の振り返り、そしてgumiの今後の展開について語ってもらう予定だ。取材や講演の場ではことあるごとに「(総合エンターテインメント企業として)ディズニーを目指す」と語っていた国光氏。そのディズニーへの道に向けた新しい話もあるかもしれない。興味がある人は是非とも同氏のセッションを見に来て欲しい。

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エニーカラーの「hi!」は、恋人だけじゃなく友達探しにも使えるマッチングサービス

エウレカの「pairs」やネットマーケティングの「Omiai」をはじめとして、国内でも勢いを増しているマッチングサービス。この領域に新たなサービスが登場した。エニーカラーは11月5日、マッチングSNSアプリ「hi!」を公開した。App Storeより無料でダウンロードできる。

hi!はFacebookアカウントでログインし、ユーザーが自分の趣味や興味のある話題をタグとして登録。そのタグの情報をもとにして、人工知能(AI)で親和性の高いユーザーをレコメンド(またAIか…と思うかも知れないが、非公開ながら学術機関と連携してアルゴリズムを研究しているとのことだ)。その中から気に入ったユーザーに対して「いいかも」のボタンをタップしていき、お互いが「いいかも」を押した時点でマッチングが成立し、テキストやスタンプによるメッセージを送りあうことができる。

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サービスの利用は基本無料。いいかものタップもソーシャルゲームのように時間経過で自然回復する(10回分まで)が、それを追加購入する場合のみ料金(5回分で120円)がかかる。

hi!はレコメンドの範囲を異性だけでなく同性にも広げられるのだが、同性の友人探しにも利用されているという。サービスは10月からオープンテストを行っているが、その際には約3割が女性同士でマッチングしており、「趣味の合うママ友が見つかった」なんて事例もあったそうだ。

プロダクトのトーンも全体的に柔らかい雰囲気を出しているが、「生活をスパイスアップ(より面白く豊かなものにすること)することがテーマ。いかに女性ユーザーが安心して使ってくれるかを考慮している」(エニーカラー代表取締役の津倉悠槙氏)とのこと。いきなり「恋人探し」と意気込まなくても、気軽に趣味の合う友人を探すところからサービスを利用してもらうことでサービスの拡大を狙う。

今後は、リアルイベントなども開催してユーザー間の交流を図る。11月20日には神奈川県・川崎市で第1回の公式オフ会を開催する予定だ。

エニーカラーは2014年10月の設立。代表の津倉氏はエイベックス、Amazonで勤務後に米国でMBAを取得。その後帰国してコンサルティングファームやギルト・グループの立ち上げ、さらにはバンドのプロデュースなど、エンタメ・ITの領域でのビジネスを手がけてきた。同社は起業にあたり複数の個人投資家らから資金を調達しているほか、2015年8月にはベンチャーユナイテッドから資金を調達している。金額は非公開だが数千万円とみられる。

開催まで残り10日、TechCrunch Tokyoハッカソンはテーマ自由、チーム歓迎!

すでに告知させて頂いた通り、東京・渋谷のヒカリエで開催予定のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」に付随する形でハッカソンを行う。イベント本編は11月17日(火)・18日(水)だけど、ハッカソンはその直前の14日(土)、15日(日)にお台場で開催する。

2014年のTechCrunch Tokyoハッカソン

今年は審査員として、デザイナーでエンジニアでもあるコイニー・プロダクトストラテジストの久下玄氏、そして角川アスキー総合研究所所長で元「月刊アスキー」編集長の遠藤諭氏をお呼びしている。また特別参加エンジニアとして、昨年同様にIT芸人masuidriveことトレタCTOの増井雄一郎氏にもチーム参加いただくことになっている。

テーマは自由、プロトタイプ持ち込み可

これまでにTechCrunch Japanでは何度かハッカソンを開催してきたが、今回は少しルールが異なる。まず、参加資格はエンジニアかデザイナーであること。企画・ビジネスサイドの人には、今回ご遠慮いただいている。最近増えている「起業するためにコーディングを覚えた」というような人は歓迎だ。

今回はチームビルディングの時間を設けないのでチームでの参加が必須となっている。ただし、チームメンバーが1人というのはオッケー。1人で会場へ来てモクモクとハックして何かのプロトタイプを作るというのもチーム扱いで歓迎したい。実は2014年のTechCrunch Tokyoハッカソンで登場した「CFTraq」(クラウドファンディング・トラック)も1人チームの作品だ。

多くのハッカソンはテーマを設けるが、今回のTechCrunch Tokyo 2015 Hackathonでは、「TechCrunchに載ってもおかしくないようなもの」というモヤッとした方向性だけを設定したい。そのアイデアなら投資したいという事業性がほのかに感じられたり、ハックそれ自体が面白いなどといった作品を期待したい。作るのはハードウェアでもソフトウェアでもオッケーだ。

IoTであればモジュールの持ち込み、ソフトウェアなら自作ライブラリの利用など、プロトタイプレベルのものは持ち込み可としたい。いきなり何かのハードウェアモジュールを使うとなると、動作検証とか習作を作るだけで週末が終わる可能性があるので、ハッカソンの週末で一気に作り上げるのに必要な要素は、あらかじめ準備していただけると良いと思う。

ルールとして、もう1つ。サービス系、インフラ系のAPI提供スポンサーにご協力いただけることになっているので、いずれか1つAPIを利用してほしい。面白いサービスAPIもあるし、クラウドインフラや決済がある。サービス化の部分でAPIを組み込むと活かせるのではないかと思う。

APIスポンサー
楽天、KDDIウェブコミュニケーションズ、kii、アプレッソ、さくらインターネット、構造計画研究所、株式会社ぐるなび、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、PR TIMES、Microsoft、NTTドコモ、IBM

今回のハッカソンには優勝賞金のようなものはないが、各種スポンサー賞が用意されるほか、ハッカソン参加者は全員TechCrunch Tokyo本編にも無償招待させていただく。そして昨年同様にハッカソン発表作品の中から5作品(チーム)は、TechCrunch Tokyo 2015のセッションで各4分間のライトニングトークをしていただく予定だ。

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資料を軸にしたBtoBマッチングサービス「Boxil」運営のスマートキャンプが1.5億円の資金調達

サイトトップ

ビジネス向け資料を軸にしたBtoBビジネスマッチングサービス「Boxil(ボクシル)」を提供するスマートキャンプ。同社は11月4日、グリーベンチャーズ、ベンチャーユナイテッド、アーキタイプベンチャーズを引受先とした合計1億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。またこの発表とあわせてサイトをリニューアル。クラウドサービスに特化した資料共有・BtoBマッチングサービスを展開する。同社はこの調達をもとにマーケティングおよび人材の確保を進める。

スマートキャンプ代表取締役の古橋智史氏

スマートキャンプ代表取締役の古橋智史氏

Boxilのリリースは2015年4月。スマートキャンプは以前から資料作成特化のクラウドソーシングサービス「SKET」を展開していたが、そこで制作した資料を実際に掲載し、実際に売上向上やコスト削減に繋がるような場所を作ることを検討する中でBoxilの提供に至ったという。

Boxilではサービス提供企業がアップロードした資料(おもに営業資料)をダウンロードして閲覧できるという、よくあるホワイトペーパーサービスと同等の機能に加えて、専用のチャットで直接サービス提供企業の担当者とやりとりを行うことができるのが特徴だ。チャット上で直接受発注までに至るケースも多いという。サービス開始から半年弱、現在約200社が法人登録しており、商談発生件数は1000件以上(ただし成約数については確認できなかった)。

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今回の調達に合わせたリニューアル以降、Boxil上に掲載できる資料をクラウドサービスに限定する。「クラウドサービスがBoxil上で高いマッチング率だったこともあるが、特にクラウドサービスは機能が細分化されており、メリットが分からない、セキュリティに不安があるという声が多い。大企業への導入は進んでいるが、本来導入すべき個人や中小企業ではまだ導入が進んでいない。また単価が安いこともあって営業担当を多く置けない状況」(スマートキャンプ代表取締役の古橋智史氏)

将来的には資料のダウンロードやチャットだけでなく、レーティングやレビューの機能も導入することで、「クラウドサービスの価格コムにを目指す。クラウド未導入の個人事業主から中小企業経営者240万社がターゲットになる」(古橋氏)という。すでに海外ではG2 Crowdのようなクラウドサービスに特化したレビューサイトが存在する。

ホームページ作成サービス「ペライチ」運営のホットスタートアップがニッセイから4900万円の資金調達

pera

ホームページ作成サービス「ペライチ」を手がけるホットスタートアップ。同社は11月2日、ニッセイ・キャピタルを引受先とした4900万円の資金調達を実施したことを明らかにした。調達した資金をもとにサービスの機能追加・改善を進めつつ、プロダクトのスケールを検証するための施策を行う。

ペライチは会員登録をし、テンプレートを選択して写真やテキストを用意するだけで簡単にホームページを作成できるサービスだ。

この領域ではJimdoStrikinglyWIXなど海外発のサービスが先行しているし、日本語対応もしている。日本のスタートアップが提供するペライチの強みはどこにあるのだろうか? ホットスタートアップ代表取締役の橋田一秀氏に聞いたところ、「うまい、安い、早い(それぞれホームページが美しい、価格設定が安価、手早くできる、という意味だ)」が同社の強みだそうで、中でも「『早い』がユーザーに受けている。価格設定については海外サービスを意識しているし、無料でも使えるが、それ以上にシンプルなUIが評判だ」(橋田氏)とのことだった。リテラシーの低い層をターゲットにしており、「ほかのサービスではホームページが作れなかったがペライチで作ることができた」なんていうユーザーの声もあったそうだ。

ペライチの編集画面

ペライチの編集画面

これまでに公開されたホームページは1万ページ以上。ユーザーの属性は「モノではなくサービスを提供する事業者が15〜20%程度、次にEC。そのあとにリアル店舗やイベントの告知などが続く」(橋田氏)という。

ホットスタートアップ代表取締役の橋田一秀氏

ホットスタートアップ代表取締役の橋田一秀氏

ホットスタートアップは2014年4月の設立。橋田氏は新卒でNTTデータに入社してSEになるも、1年半で退社。その後は知人の会社社長の依頼で同社のウェブサイト(オーダースーツのサイトだったそうだ)のディレクションを担当。そこからウェブディレクターを目指すことになる。

未経験ということもありウェブディレクターとしての就職には苦戦したが、最終的にデータ入力や入札情報の検索サービスなどを展開するうるるに入社。そこでプログラマーとして正式なデビューを果たす。

「大学でも新卒の会社でも、プログラミングがまったく面白くなかったし、挫折した。うるるのCTOに『自分で作りたいモノを作れるようになればいいから、エンジニアを目指してみればいい』と言われてチャレンジした。半年でアウトプットが出ずにバイトに降格しても諦めずに続けて、その後社員に戻って仕事を続けた」(橋田氏)

「コーヒーミーティング」でスタートアップを知り、その後起業へ

橋田氏に転機が訪れたのは2011年。リクルートグループが手がける開発コンテスト「Mashup Awards」に参加。さらにはそのイベントを取り仕切っていた山本大策氏(後にレレレを創業)が提供する「コーヒーミーティング」で出会った人々を通じて、スタートアップについて知ることになったのだという。そしてインキュベイトファンドの起業育成プログラム「Incubate Camp」の4th(2012年開催)、5th(2013年開催)に参加。5thでプログラムの審査員らから反響のあったペライチで起業するに至った。その後社員3人プラス外部デザイナーという体制でペライチの開発を進めている「チームができて安定した。みんな特徴が違っていてバランスがいい」(橋田氏)

ラボ型オフショア開発などを手がけるエボラブルアジアが約6.5億円の資金調達

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エボラブルアジアは10月29日、Fenox Venture Capitalおよびヒトトキインキュベーター(日本たばこ産業(JT)とヒトメディアの合弁ベンチャーキャピタルだ)から第三者割当増資と株式譲渡により総額約6億4000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

エボラブルアジアは2007年の設立。オンライン旅行事業やオフショア開発事業などを展開。今回調達した資金をもとにこれらの事業拡大に注力する。

同社はベトナム・ホーチミンに子会社を立ち上げ、プロジェクトごとに一定期間の仕事量を補償してエンジニアを確保する「ラボ型」と呼ばれるオフショア開発なども手がけている。

このラボ型オフショアでは、成果が出たエンジニアチームを発注元の会社が買収したり、エボラブルアジアと合弁会社を作るかたちで独立性を高めたりする、というスキームもあると聞く。ヤフーが4月に立ち上げたベトナムの開発子会社も、同社のラボ型オフショアで開発していたチームがベースになっているそうだ。

話題のIoTスタートアップ、ソラコム創業者の玉川憲氏もTechCrunch Tokyoに来て話すぞ!

IoT関連のスタートアップは増えているが、今年いちばん話題をかっさらったのは9月末にサービスを一般公開したソラコムだろう。ソラコムは、AWSのエバンジェリストだった玉川憲氏が2015年3月にAWSを退職して設立したスタートアップ企業で、創業直後に7億円という大型のシードラウンドで資金調達をしたのも注目を集めた。そのソラコム創業者の玉川憲氏が11月17日、18日に渋谷・ヒカリエで開催予定のTechCrunch Tokyo 2015に登壇していただけることとなったのでお知らせしたい。

ソラコム創業者で代表の玉川憲氏

ソラコムが提供するのはソフトウェア的に制御可能で安価なMVNOサービス「SORACOM Air」だ。

SORACOM Airは、アマゾンがクラウドで果たした役割をモバイルネットワークで果たそうとしているように見える。AWSは、従来専用ハードウェアを用意しなければ実現できなかったサーバー、ネットワーク、ストレージといったものを仮想化して、いつでも好きなときに好きなだけ組み合わせて使えるようにした。API経由で制御できることで、それまでの常識とは異なるシステム構築を可能にして、小さく始めて大きく育てられる高いスケーラビリティや、高い可用性、柔軟性を実現した。

クラウド同様にSORACOM Airは「小さく始められる」サービスだ。従来通信サービスを含んだ「ソリューション」の開発・提供となると、まずSIMカードを数百枚単位で買ってきてというのがスタート地点だった。それがSORACOM Airなら1枚のSIMカードによるプロトタイプからスタートできるようになっている。また、SORACOM AirではAPI経由で制御可能としている。きめ細かに通信サービスを制御することで、従来は採算性が取れなかった新しいビジネスを構築できる可能性も感じられる。詳しくは、9月末に掲載した記事「ソラコムがベールを脱いだ、月額300円からのIoT向けMVNOサービスの狙いとは?」をみてほしいが、ソラコム創業者の玉川氏は、「かつてAWSがでてきて、その結果、InstagramやDropbox、Pinterest、Airbnb、Uberといったサービスが出てきたみたいに、ソラコムのようなプラットフォームによって、きっと面白いIoTが出てくるんじゃないかなと思います」と話している。

ソラコムは、提供する製品自体も注目だが、スタートアップ企業としての立ち上げ方も目を引いた。大型資金調達やメディアを使った大々的なローンチ発表もそうだし、ローンチ時にパートナー制度を開始して多くのハードウェアメーカーやシステムベンダーを巻き込んでいること、そもそも特定業界を中から見ている腕の立つエンジニアでなければ見つけられない起業アイデアをつかんだことや、半年ほどで専用ハードウェア相当の機能をクラウドで実装してしまったことなんかは鮮やかな垂直立ち上げだったというほかない。製品リリース後もリレーブログ開発者イベントの開催などの開発者を巻き込むB2Dも、もともと技術者コミュニティーを盛り立てるエバンジェリストだった玉川氏の面目躍如といった感じで「手慣れたもの」という印象すらある。

まだ大きく成長するのかどうかは分からないが、ソラコムがいまもっとも各方面からの注目が集まっているスタートアップであることは間違いない。TechCrunch Tokyo 2015のステージ上では、大手企業を飛び出して起業することや、チームやプロダクトの作り方、SORACOMの詳細と応用可能性、IoTの未来など、ざっくばらんに語っていただこうと思っている。

玉川氏は東京大学大学院機械情報工学科修士卒で、日本IBMの基礎研究所でキャリアをスタート。Amazon Web Servicesへの移籍前にはカーネギーメロン大学でソフトウェア・エンジニアリングとMBAの2つの修士号を取得している。

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車の健康診断を実現するスマートドライブの「DriveOn」、Makuakeで先行販売を開始

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車速やエンジン回転数といったデータ情報を取得するために自動車に備え付けられた「OBD-IIコネクタ」。そのコネクタに専用のデバイスを接続し、BLEでデータをスマートフォンのアプリに飛ばし、さらにアプリ経由でクラウドに保存。自動車の“健康診断”ができるサービスが登場している。

海外では「AUTOMATIC」「Dash」などいくつかのサービスがあるが、日本でこの領域に挑戦しているスタートアップがスマートドライブだ。デバイスで得られる情報をもとに燃費などを確認できるだけでなく、急加速や急ブレーキを判定して「危険運転」を知らせてくれるところから、将来的には渋滞や事故の予測・回避までを目指すという。そんな同社が10月28日、その専用デバイスである「SmartDriveデバイス」とサービスを組み合わせた「DriveOn」の先行販売をサイバーエージェントクラウドファンディングのクラウドファンディングサイト「Makuake」上で開始した。デバイスの価格は7500円から。商品は2015年12月にユーザーの手元に届く予定だ。

SmartDriveデバイス

SmartDriveデバイス

スマートドライブの設立は2013年10月。これまでにベンチャーキャピタルのANRI(シード)や産業革新機構(シリーズA:マイルストーン達成で最大6億6000万円)から資金を調達している。総務省主催の新事業創出支援プログラム「I-Challenge!:ICTイノベーション創出チャレンジプログラム」の1号案件に採択されているほか、アクサ損害保険との業務提携も実施。次世代型保険の共同開発に向けたトライアルも行っている(ドライバーの運転特性に応じて保険料が割引される「テレマティクス保険」の開発をしているのだろう)。

スマートドライブ代表取締役の北川烈氏によると、同社はすでに保険会社やディーラーなどの法人向けには試験的なサービスを進めているのだという。だがそれではせっかくのプロダクトも限られたユーザーしか利用できない。そこで2016年からは一般販売も予定しているそうで、今回それに先駆けてMakuakeで先行販売するに至った。

将来的にはECだけでなく家電量販店や自動車用品店などの店舗販売、保険のほかディーラーやガソリンスタンド、整備工場などを通じたBtoBtoCモデルでの販売も予定している。エンタープライズ向けのソリューション開発も進めているそうで、2016年以降は商用車やバス、タクシー、トラックなどもターゲットにプロダクトを開発していくという。

スマホ動画広告のオープンエイトがTBSなどから8億円調達、テレビ連動のサービスも

VIDEO TAPのイメージ

VIDEO TAPのイメージ

女性特化のメディアネットワークを持つスマートフォン向け動画広告サービス「VIDEO TAP」を運営するOPEN8(オープンエイト)がテレビ局を含んだ大型の資金調達を実施した。同社は10月27日、アイスタイル、エキサイト、ジャフコ(ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合)、TBSイノベーションパートナーズ(TBSイノベーション・パートナーズ1号投資事業組合)を割当先とした総額8億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

VIDEO TAPは2015年4月のリリース。@cosmeやウーマンエキサイトなど女性系のプレミアムメディアをネットワーク化しており、ユーザーの女性比率は90%以上、月間ののべユニークユーザーは4000万人以上を誇る。

ユーザー属性が明確なネットワークだということもあって資生堂やコーセーといった化粧品メーカーからトヨタやキリンNetflixなどナショナルクライアントの案件も多数獲得しており、半年での売上は8000万円(ネット計上)に上るという。

「クライアントによっては、DSPも使わないしリターゲティングを否定するということもある。それらブランドリフトよりブランドセーフティーを考えているから。我々はプレミアムメディアをネットワーク化していることが強み。動画の完全視聴率も高い」(オープンエイト代表取締役社長兼CEOの高松雄康氏)

とはいえ当然ブランドリフトにも貢献しているそうで、マクロミルを利用した自主調査によると、VIDEOTAPで動画に接触したユーザーは、非接触ユーザーと比較して商品認知比率で27%向上、購入意向比率で37%向上したという実績があるそうだ。

ちなみにVIDEO TAPはバナー型に画面占有型といくつかのフォーマットを用意しているが、画面占有型の動画広告に関しては媒体によってはユーザーからのクレームもあったこともあるそうで、高松氏によるとフリークエンシーコントロール(適切な頻度での広告表示の調整)のチューニングを続けているとのこと。

テレビ連携型の商品や動画ネイティブ広告を展開

オープンエイト代表取締役社長兼CEOの高松雄康氏

オープンエイト代表取締役社長兼CEOの高松雄康氏

スタートアップ投資に積極的なテレビ局であるTBSグループだが、動画広告の会社に出資するのは今回が初めて。オープンエイトでは今後、TBSグループのもつリソースと連携して新たな動画広告事業や通販メディア事業、動画メディア事業等の開発・推進を目指すという。その第1弾の施策として、テレビ番組とスマートフォン向け動画の連携サービスを開発する予定だ。TBSグループで制作したインフォマーシャルをウェブ上で二次利用する取り組みを行うという。

また今後は動画のネイティブ広告を展開する予定だ。@cosmeおよびウーマンエキサイトと協力し、インフィード広告と動画記事広告をセットにしたサービスを11月下旬から展開する。将来的にはコンテンツマッチング型の動画広告配信の仕組みを提供する予定だという。

同社ではニュースアプリ「Wanpick」を提供している。2015年度のグッドデザイン賞を取ったアプリだが、はっきり言って現状そのアプリ自体がビジネスになっているわけではない。しかしながらこのアプリでニュースをピックアップするため、オープンエイトでは1日15万記事の言語解析をしているのだという。今後はその仕組みを流用して、コンテンツマッチングの技術もブラッシュアップしていくとしている。

ちなみにオープンエイトは、11月17日、18日に開催するTechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルのファイナリストで、18日午後の決勝戦に登壇予定だ。

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ロボット資産運用アドバイザーの「ウェルスナビ」が約6億円を資金調達

リスク管理アルゴリズムに基づく資産運用アドバイスを提供するスタートアップのウェルスナビが今日、グリーベンチャーズIVP(インフィニティ・ベンチャー・パートナーズ)、SMBCベンチャーキャピタルみずほキャピタル三菱UFJキャピタルおよびDBJキャピタルと約6億円の資金調達に合意したと発表した。増資に伴ってグリーベンチャーズの天野雄介氏が社外取締役に就任している。

ウェルスナビは2015年4月に設立されたFintechスタートアップで、2015年7月に5000万円のシード資金をIVPから調達していたので、今回の6億円の資金調達はシリーズAということになる。実際のサービスである「WealthNavi」は2016年にリリースする予定。現在はWealthNaviのサイト上では資産運用のシミュレーションを使うことができる。正式版リリース時には、実際の取り引きができるようになる。現在のシミュレーションでは数個の質問に応える形で判定しているが、自分でリスク許容度を設定できるようにもなるようだ。

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WealthNaviは「世界水準の資産運用とリスク管理をすべての人に」がコンセプト。ウェルスナビが世界水準と呼んでいるのはリスク管理に基づいた国際分散投資のことで、ユーザーのリスク許容度に応じて最適なポートフォリオを提示する。人間のファンド管理者による作為的なポートフォリオ提示ではなく、分散投資理論に基いているのが特徴という。ウェルスナビ創業者の柴山和久氏は、東京大学法学部卒業後にハーバード大学で金融取引法を学んだ後、日英での9年間の財務省勤務を挟んで、経営大学院のINSEADで金融工学を学んだ金融の専門家でもある。創業前のマッキンゼー在職時に、ウォール街に本拠を置く機関投資家を1年半サポートして10兆円規模のリスク管理・資産運用プロジェクトに従事していた。この時の経験から、機関投資家やプライベートバンクを通して富裕層しか恩恵を得ることができなかった資産運用のノウハウを民主化する、というウェルスナビの創業アイデアに至っているそうだ。

こうした資産運用サービスは、アメリカでは「ロボットアドバイザー」もしくは短く「ロボアドバイザー」と呼ばれていて、WealthfrontBettermentといったスタートアップ企業が知られている。Wealthfrontは現在すでに約3150億円もの資金を運用していて、急速に成長している。

ちなみにウェルスナビは、11月17日、18日に開催するTechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルのファイナリストで、18日午後の決勝戦に登壇予定だ。

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締め切りまであと1週間!「TechCrunch Tokyo 2015」スタートアップ向けデモブース出展者募集中

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スタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」の開催まで、いよいよ1カ月を切った。これまでも登壇してくれるスタートアップの起業家たちを少しずつ紹介してきたが、ほかの登壇者も続々決まっているので、逐次紹介していきたいと思っている。

それとあわせてお伝えしたいのが、展示ブース「スタートアップ・デモ・ブース」の出展募集があと1週間で終了するということだ。

スタートアップ・デモ・ブースは、創業3年以内のスタートアップ企業に限定して、TechCrunch Tokyoの会場でプロダクトをお披露目できるスペースを提供できるというもの。昨年を振り返ると、TechCrunch Tokyoの来場者は約1700人。起業家や投資家といったスタートアップ関係者のほか、大手企業の新規事業担当者なども多く参加していた。こういった層に自社のプロダクトを紹介したい、というスタートアップに向けては非常に価値のある場所を提供できると思う。

また出展料には2人分のイベント参加チケットも含まれている。前売りチケットは1人1万9440円なので、実質的には2万円の出展料でイベント来場者にアピールできるわけで、それなりのお得感はあるはずだ。ただし前述の通り、このブースは創業3年以内のスタートアップに限定した優遇措置となっている。

スタートアップ・デモ・ブース申し込みはこちらから→

イベント名:TechCrunch Tokyo 2015(ハッシュタグ #tctokyo)
イベント開催日:11月17日(火)、18日(水)
会場:渋谷ヒカリエ(東京都渋谷区渋谷2−21−1)
出展料:5万8320円(税込み。2名分の参加チケットが含まれます)
販売数:30ブース
条件:創業3年以内の企業
主催:AOLオンライン・ジャパン株式会社
問い合わせ先:event@tc-tokyo.jp

イベントに参加したい、という人たちに向けては、現在前売りチケットも販売中だ。学生限定の学割チケットもあるため、学生の人は是非とも参加を検討いただければと思っている。

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元学生起業家の22歳、シード期特化ファンド「IF Angel」をスタート

22歳という恐らく国内最年少のVCが誕生した。

元学生起業家で、2014年7月から独立系インキュベイトファンドでアソシエイトとして活動していた笠井レオ氏が今日、「IF Angel」というファンドを立ち上げたことを発表して活動を開始した。LP出資するのはインキュベイトファンドで、IF Angelという名前が示すようにインキュベイトファンドから独立した形だ。ファンドサイズは1.5億円。笠井氏が単独の個人ジェネラル・パートナー(無限責任組合員)となっている。22歳が負うにはちょっと重たい借入を個人でしていて、笠井氏の自己資金もファンドに入っている。すでにインキュベイトファンドではIF Angelのように若手キャピタリストのファンドに対して出資(ファンド・オブ・ファンズ:FoF)してきていて、これまでに「プライマルキャピタル」や「ソラシード・スタートアップス」が設立されている。

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起業して大学を退学した元学生起業家

ぼくが初めて笠井レオ氏に会ったのは2年前のTechCrunch Schoolというイベントでのことだった。トークセッションが終わるなり、目をキラキラさせて、ものすごい勢いで手を挙げてくれたのが、当事学生起業家だった笠井氏だった。正確に言うと、そのときすでに「実は先週、休学していた学校を退学しました!」と発言していたので、すでに学生起業家そのものではなかったのだけど。

笠井氏は、2012年5月にProsbeeという会社を設立して読書関連サービス「Booklap」を世に問うた。起業は大学在学中の19歳のときのこと。1年間休学して、インキュベイトファンドやVOYAGE GROUPなどから投資を受け、最盛時にはフルタイムが5人、外部ライターなども全部入れると15人くらいのチームとなっていた。

「でも、事業は全然うまくいきませんでした。次の(資金調達)ラウンドに進むか、それとも残金を精算して会社をクローズするのかという岐路に立ったのが2014年6月でした」(笠井氏)

ユーザー数は少しずつは伸びていたものの、当初想定していた数十万UUには遠かった。Booklapは書籍の一部を引用してコメントする形でシェアできるソーシャルサービスだったが、すでに先行していた読書メーター(後の2014年9月にドワンゴが17億円で買収)などに対して勝ち目がないように見えたと笠井氏は振り返る。

Booklapのサービスで学んだことは、SEOがカギとなるサービスで勝つには2つの条件が必要だということだという。新しいキーワードが出てくることと、それが大きなトラフィックを生むこと。

「書籍の場合は、そもそも昔から多くのサイトがあってコンテンツが蓄積されています。どんどん新しい本も出てきていますが、ヒットとなる書籍は少ないのです。例えば、ニンジン、切りかた、という検索ワードで、今からクックパッドには勝てないのと同じです」

Booklapはソーシャル時代らしく実名制採用とか、コンテンツの一部を引用してコメントできるなど目新しい機能はあったが、先行サービスに対して差別化といえるほどのものではなかった。

間近でVCの仕事をみて、その存在意義に気付いた

2014年6月に会社を清算した。この時点では笠井氏は「次は何の事業で起業しようかと考えていた」という。リサーチャーとして独立系VCのインキュベイトファンドに入り、もう1度スタートアップをやろうと事業機会を探していた。

インキュベイトファンドで2014年7月にアソシエイトになって活動する中で、笠井氏は徐々に考えが変わって行った。起業したいという思いは変わらなかったものの、「VCとして起業しよう」という考えに至ったのだそうだ。VCのパートナーを間近で見るようになって、「起業家とあまり変わらないんだなと思った」というのが理由の1つという。

これは多くのスタートアップ業界関係者が言うことだが、独立系VCのパートナーたちの多くは「投資家という役割の起業家」だ。大手投資会社やCVC、あるいは事業会社などで修行を積み、その経験や知見、業界内で築いた人的な信用のネットワークを活かして自らファンドを組成。ファンド出資者にリターンを返すべく奔走する。このとき、多くのVCは自己資金をファンドに投資することで自らリスクを取る。それはコミットメントを示す意味もあるし、出資者と運用者のインセンティブを一致させる意味もある。アメリカではファンド規模の1%とか2%を、そのファンドのジェネラル・パートナーが自己資金として投資することが多い。十分なリターンが出せないと、投資家としての評価が下がって次のファンドが組成できないし、自分も経済的痛手を受ける。

IF Angelの強みは、笠井氏と同年代の若い起業家のネットワークに笠井氏自身が「中の人」として存在していること。優秀な起業家を発掘するというよりも、友だちの友だちという広がりの中から投資先を見つけるスタイルになるという。例えば、いま投資を検討している起業家は2年前からの友人だという。

VCを含む複数のスタートアップ業界の関係者に、若い人が独立VCの道を歩むことについて感想を求めると、「もっと事業経験を積んでからのほうがいい」という意見もあれば、「起業家と同じ目線でシード期に本気でコミットして伴走できるVCは、実は日本に多くない。そうした人材は極めて重要」という意見もあった。

IF Angelの1件あたりの投資額は1000万円程度になる見込み。インキュベイトファンドのほうはファンドが3号目となって、シード投資といっても大型案件が多くなっている。このため投資規模の違いで、IF Angelとインキュベイトファンドは相補関係にある。笠井氏はインキュベイトファンドのアソシエイトとしての籍も残してあるそうだ。

VCという起業で社会貢献がしたい

インキュベイトファンドは2010年の設立以来、これまでに累計で100社程度に投資してきている。笠井氏は新規投資に関わる一方で、6社ほどの投資先の経営会議にジェネラル・パートナーとともにオブザーバーとして出席することで「(VCが)裏方に徹して仕事をして、それで会社が伸びるのを見た」という。

photo03「最後は起業家を信頼して背中を押すんですが、いろんな業界を見てきたパートナーたちは、人や情報を集めてくることができる。あらゆる領域を全て知ることはできません。でも投資家には広いネットワークがあって、それで解決できることがあるんです」。

力強く成長するスタートアップ企業の創業者たちが、ユーザー視点で深く物事を考えていて、多くの試行錯誤を繰り返す中で少しずつ当てながら伸ばしていくという様子を見ることができたのは、気づきに繋がったという。

インキュベイトファンドは、もともとハンズオンを強くやるタイプのVCで、投資家と起業家がチームとなって事業モデルを構築することがある。むしろ事業ドメインを先に決めていて、起業家に対して一緒にやれるならやりましょうと提案するスタンスのこともある。例えば最近だと、ある自動車関連スタートアップでは約10カ月をかけて、5回ぐらい事業プランを変えて1億円ほどの投資を集めた例があるのだそうだ。

笠井氏は、インキュベイトファンドの4人のジェネラル・パートナーからの影響に加えて、シリコンバレーの名門VC、セコイア・キャピタルのジェネラル・パートナー、ダグラス・レオーネ氏の影響を強く受けているという。以下のTechCrunch創業者マーケル・アーリントンとのインタビュー動画は100回以上も見ていて、憧れのキャピタリストだという。実際にアメリカに行って本人にも会ってきたそうだ。

「ジムで走るたびに、ずっとこの講演を聞いています。もうダグの発言が全部そらで言えるぐらいに内容を覚えています。セコイアが運用してきた何千億円というファンドの80〜90%は非営利団体の資金です。大学系の基金で、そのリターンが奨学金になったりして、また大学へ還元される。ダグは、そういう仕事が誇らしいというんですね。そうやって投資家という立場から社会貢献をすることもできると知って、これをやりたいと思ったんです」

日本のエンタプライズソフトウェアの大手Work ApplicationsがクラウドERPプラットホームAI Worksで合衆国進出

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Work Applicationsは日本の大手エンタプライズソフトウェア企業の一つだが、合衆国ではまだ知られていない。この東京の企業がこのほど、人工知能を利用して速くて正確なデータ入力を可能にするクラウドベースのERPプラットホームAI Worksで、合衆国にもその名を知らしめようとしている。AI Worksは昨日(米国時間10/19)、ラスベガスで行われたHR Technology Conferenceで披露された。

同社のプロダクトは現在7000社が利用しているが、合衆国市場に食い込むためにはWorkdayやSAP、Oracleなどの強敵に勝てるだけの、強力な差別化が必要だ。

Work Applicationsは1996年に、アジアの企業にERPソフトウェアを提供すべく創業され、現在社員は4000名いる。CEOのMasayuki Makino(牧野正幸)によると、当時合衆国企業のプロダクトはローカライズされていないものが多く、言語だけでなく各国によって異なる財務の慣行(会計年度など)も問題だった。そこで同社は、アジア各国の特性に合わせたソフトウェアを作ることにより、当市場でのシェアを伸ばした。

そして今や日本のトッププレーヤーになったWork Applicationsは、アジア以外の市場に勢力を広げようとしている。Makinoによると、ERPソフトウェアのユーザ体験はここ20年あまり変わってないから、それがWork Applicationsにとっては好機になっている。

先月行ったインタビューで彼は、“日本におけるトップの座を守るという考え方を捨てて、画期的な技術でユーザの生産性を大きく上げるイノベーション志向の企業になりたい”、と述べている。

同社によると、AI Worksはスプレッドシートやメール、分析ツール、クラウドストレージなどを統合して文書作成におけるコラボレーションを支え、とくにデータ入力に要する時間を半減する。ユーザがGoogle Autocompleteなどで慣れているユーザインタフェイスにより、レスポンスタイムを100ミリ秒以下に抑えている。とくに会計や経理の方面に強くて、入力されるデータの予知能力が高く、またレシートなどほかのドキュメントから数値を自動的に取ってくることもできる。

Work Applicationsはアジア市場、とくにシンガポールや中国で今でも伸びているが、ITの世界でグローバルプレーヤーになるためには北米市場に挑戦する必要がどうしてもある、とMakinoは主張している。

ただしその北米市場で成功するためには、企業ユーザを、既存のERPソフトウェアからWork Applicationsにスイッチしてもらうための、多大な努力が必要だ。Makinoは、AI Worksのデモを見たらそそられる顧客が多いはず、切り替えコストも低い、と確信しているが、“合衆国でマーケティングを展開するのはこれが初めてだから、いきなり成功する保証もない”、とも語る。

しかし彼によると、日本ではOracleやSAPのユーザのAI Worksへの乗り換えにかなり成功している。その切り札はデモを見てもらうことで、AI Worksが実際に使われているところを見たらほとんどの人が、“このプロダクトの魅力に屈してしまう”そうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ブロックチェーンの正体

image編集部注この原稿は、森・濱田松本法律事務所パートナーの増島雅和弁護士 (@hakusansai)による寄稿である。増島氏は2000年に東京大学法学部を卒業し、2001年弁護士登録、森・濱田松本法律事務所入所。2006年に米国のコロンビア大学法科大学院を卒業し、シリコンバレーのウィルソン・ソンシーニ法律事務所に勤務。2007年ニューヨーク州弁護士登録。帰国後には2010~2012年まで金融庁監督局保険課兼銀行第一課で、法務担当課長補佐を務めた。日本ベンチャーキャピタル協会顧問、日本クラウドファンディング協会理事などを歴任している。

ブロックチェーンの「誤解」

ここのところ急速にブロックチェーンに対する注目度が高まっています。Overstockが開発した、ブロックチェーン技術を用いた非上場株式の取引プラットフォーム「」、ブロックチェーン技術を用いて中央清算機関なしに株式の仲介を実現することを目指してNASDAQと提携したChainなどがこれまで取り上げられてきましたが、三菱UFJフィナンシャル・グループが、ブロックチェーン技術を国際的な金融取引市場に応用することを標榜するR3CEVのプロジェクトに参加する22の銀行の1つとなることがアナウンス(発表PDF)されてから、日本のマーケットでもブロックチェーンまわりがざわついてきました。

日本では、ブロックチェーンというとビットコインを連想する人が多いと思います。「ビットコイン」とは仮想通貨の1つであるビットコイン(これは小文字でbitcoinと記載されるのが通例です)と、これを支えるブロックチェーン技術としてのビットコイン(これは大文字でBitcoinと記載されます)の2つを意味しており、ここで議論をしているのはブロックチェーン技術としてのBitcoinに関連するものです。しかし、この記事でご説明しようとしているブロックチェーンとは、Bitcoinそのものを意味するものではありません。日本のビジネス界では、まだブロックチェーンとはビットコインが採用しているブロックチェーン技術(Bitcoin)のことを意味しているものと捉えている人が多く、ブロックチェーンとBitcoinを混同してブロックチェーン(特にそのリスク)を論じるものが多く見られます。テクノロジー系媒体を代表するTechCrunchすらそのような記事を掲載していますので(「次の革命をもたらすのはブロックチェーンかもしれない」(原文))、ビジネス界でこうした記事にも目配りをしているビジネスパーソンの多くが、このような捉え方をされているのは無理からぬものがあります。

技術サイドの方には当然のこととして理解されていることなので改めて指摘するのも憚られるところですが、Bitcoinというのはブロックチェーン技術を応用した1つのプロトコルに過ぎません。技術を評価して応用する側にあるビジネス界の人々にとっては特に、ブロックチェーンとBitcoinを混同して理解し議論することは、ブロックチェーンの本当の破壊力を見誤るように思います。実際、ビジネスの観点からすると、Bitcoinはブロックチェーン技術の中ではかなり極端なシチュエーションを想定したプロトコルであり、ブロックチェーン技術の応用例としては例外の方に位置づけられるべきものであるともいえるように感じます。

この記事は、ビジネスサイドの人たちに、ブロックチェーン技術をどのように体系を立てて理解すればよいかについて、同じくビジネスサイドにいる筆者の考えを共有することを目的とするものです。そのうえで、ブロックチェーン技術がビジネスにどのように応用することができるのかについて、その見取り図を示そうとするものです(編注:ビットコインの解説にについては、「誰も教えてくれないけれど、これを読めば分かるビットコインの仕組みと可能性」も参照)。

なぜ、ビジネスサイドが、わざわざブロックチェーン技術について理解しなければならないのか、ブロックチェーン技術のビジネス応用について理解しておけば十分なのではないか、という考え方があるかもしれません。しかし、筆者の考えでは、これではブロックチェーン技術のビジネス応用を適切に評価・議論することができません。なぜなら、Bitcoinという、かなり極端なシチュエーションを想定したブロックチェーン技術のアイディアが先行して世の中に広まってしまったため、ブロックチェーン技術のビジネス応用を考える際に、Bitcoin固有の技術的な制約や限界に関する言説が、ブロックチェーン技術に対する評価を歪めてしまいがちであるためです。ブロックチェーン技術についての体系的な理解をすることなくそのビジネス応用について評価・検討しようとすると、技術的な側面からの誤った理解がこれを邪魔するということが起こりうるように思います。

説明を開始する前に1つ留保事項を述べておきます。ブロックチェーン技術は多義的な解釈が可能な技術です。インターネットとは何か、と問われたときに、それぞれの時代ごとに主流の捉え方があり、時とともにバージョンアップされていったのに似ているかもしれません。この記事では、現時点で筆者が一応納得している、ビジネス応用に関する初期的な検討に耐えると思われる、ブロックチェーン技術の体系的な理解を皆さんと共有したいと思います。ビジネス業界の外からは、別の解釈もあるでしょうし、ビジネス業界からも、時を経てより良い解釈の方法が提示される可能性も十分にあると思っています。ぜひとも皆さんの考えを教えて下さい(@hakusansaiにてお待ちしています)。

管理者の有無によるブロックチェーン技術の分類

テクノロジーサイドの論文を読んだり技術者の方々と議論したりした結果、ブロックチェーン技術は、下図のような体系で整理して理解すると、ビジネス応用について検討・評価する際の見通しが良いように思います。

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(*)ただし、管理者がいてノード参加が自由というものも作ることができる

まずは、管理者について、ブロックチェーン技術を採用し、ビジネスの用途でこれを管理するのは誰か、という点からブロックチェーン技術を見る視点です。ブロックチェーン技術については「管理者が存在しない」という事態も想定されており、その典型がBitcoinということになります。ブロックチェーンをビジネス用途に用いる場合、その導入を検討する企業はブロックチェーンを管理したいと考えるのではないでしょうか。管理の主体は、単体企業とすることもパートナーシップ関係にあるコンソーシアムによって担われるとすることも考えられます。管理主体を誰にするかは、ビジネスの戦略上はたいへん重要なポイントになりますが、ブロックチェーン技術という観点からはそれほど大きな問題ではありません。すなわち、ブロックチェーン技術としては、単体企業を管理者とするものとコンソーシアムを管理者とするもののいずれもが可能であり、それぞれに最適化したプロトコルを持ったサービスを採用するか、もしくは同一のプロトコルを用いて他の技術的な側面からそれぞれに最適化したサービスを採用するかということをビジネスサイドとしては考えることになります。

コンピューターシステムであれそれ以外のものであれ、およそ一定の仕組み・システムを運用するためには管理者が必要と考えられていました。企業内システムしかり、コーポレート・ガバナンスしかり、自治体や国家運営であってもしかりです。Bitcoinというのは、理論的にはこの管理者の存在を前提としないプロトコルを採用しています。管理者の存在を前提とする必要がないことから、Bitcoinは民主的な技術であるといわれ、その応用である仮想通貨(bitcoin)は、国家システム(なかんずく貨幣システム)に対する強力な代替案を提供しうるアプリケーションであるとして、驚きをもって受け止められました。しかしながらこのことは、ブロックチェーン技術は管理者が存在しないものでなければならないことを意味するものではありません。ブロックチェーンは分散型台帳技術であり(ブロックチェーンを「台帳」と解釈すべきかどうか自体についても諸説があり、ものの見方によって多義的な解釈が可能です)、それ自体は無色透明のものであって、管理者をどのように設定し、または設定しないことにするかは、プロトコルのアーキテクチャの問題にすぎないということができます。

誰でもノードとして参加できるか、管理者によるコントロールを可能にするか

ブロックチェーンはpeer to peer技術を応用したものなので、技術的にノードの存在が必要になります。このノードに誰がなることができるのかというのが次の視点となります。管理者が存在しないブロックチェーン技術の場合には、管理者が存在しないというその特性は、ノードの参加の可否を判断する者が存在しないということを意味し、したがって誰でもノードに参加することができるというアーキテクチャを採用することになります。ブロックチェーン技術を解説する際に「Trustless」という表現が出てくることがありますが、これは主としてこのことを述べたものです。

逆に、管理者が存在するブロックチェーンについては、ノードとなるかどうかについて管理者がこれをコントロールすることができるということになります。これには、エンドユーザーを直接ノードとするものや、エンドユーザーは誰かということと誰をノードとするかを分けて考えるものとがありますが、いずれにしても、ノードとなることができる主体を管理者がコントロールすることができること自体には変わりがありません(エンドユーザーが自動的にノードとなるものについては、そもそもそのエンドユーザーにアカウント開設を許可するかどうかを管理者がコントロールすることによって、ノードをコントロールすることができることになります)。この特性を表現するものとして、しばしば「Trusted」という表現が用いられています。

コンセンサスとプルーフの必要性

ブロックチェーン技術について、これをpeer to peer技術を用いて管理する分散型台帳であると見た場合、この台帳の書き換えをコントロールする方法が技術の中核を占めることになります。台帳の書き換えは、そこに何らかのトランザクションが起こることを意味していますが、このトランザクションに対する同意(コンセンサス)と、それが真に当事者によって行われたものであること、さらには対象が二重にトランザクションの対象となっていないことを確認(プルーフ)する作業が必要となります。

ブロックチェーン技術に、誰でもノードに参加することができるアーキテクチャを採用する場合、ノードには悪意のある者が参加する可能性があることを念頭に置いて全体を設計しなければならないことになります。すなわち、悪意のあるノード参加者が分散型台帳を改ざんしないことを確保する仕組みが必要ということになります。Bitcoinにおいては、これをproof of workと呼ばれる方法で、台帳の書き換えには一定の計算を行うことを要するものとすることで、解決しようとしています。計算が必要であるということは、コンピューターリソースとこれを動かす電力を必要とするということを意味していますが、これらの資源を提供することのインセンティブとしてbitcoin自身を資源の提供者(つまりマイナー)に付与することをあらかじめ約束することで、悪意のあるノード参加者にとって、台帳を改ざんするよりはマイニングに従事するほうが経済的に効率的であるという状態を創出しているわけです。これにより、悪意のあるノード参加者を想定しつつ、台帳の改ざんの懸念を払拭しているところに、Bitcoinというプロトコルの際立った特徴があるといえます。

逆にいうと、ブロックチェーン技術に管理者の存在を想定し、ノード参加者を管理者が選定することができるというアーキテクチャを採用した場合、そもそもそんなに悪意のあるノード参加者などというのを想定してガチガチなプルーフ作業を必須としなくても良いではないか、という発想がうまれうることになります。

どの程度のプルーフ作業を必要とするかは、分散型台帳の書き換えの速度、すなわちトランザクションの速度と深く関係することになります。厳格なプルーフ作業を要求する場合、これはビジネスにおいては取引の実行に要する時間が長くなることを原則として意味します。そうすると、その長さがすなわち決済速度ということになり、この点のブロックチェーンのアーキテクチャ、さらにはそのプロトコル自身が、ビジネス上、その取引にそのブロックチェーンが使えるかどうかという話に直結することになります。

このように、ブロックチェーン技術においては、厳格なプルーフ作業を求めること、ビジネス的に言うと台帳に対する悪意のある改ざんがなされないという信頼性を技術的に高く確保することと、トランザクション速度を高速化することの間には、一定のアンビバレントな関係があるといわれています。このバランスをどこに置くのか、ということを考える際に、悪意のある改ざんを防止するためにノード参加者自身をコントロールするという発想を持つことができる、管理者が存在するブロックチェーン技術とその存在を前提としていないブロックチェーン技術の間には、サービスの設計を考える上で、大きな差があるということだと思います。

さらに言うと、プロトコルをどうするかという問題は、ビジネスの応用に際して一定の制約を生むことになるとはいえますが、この点は提供される製品のアーキテクチャによって、一定程度解消されうるということであると思います。例えばBitcoinのプロトコルを用いたとしても、その上に何か別のレイヤーを設けて工夫することにより、トランザクション速度に関して何らかの改善を図ることができる余地はあるということかと思います(Bitcoinというプロトコルは、管理者の存在を前提とはしていないというだけで、このプロトコルを用いたサービスを設計する際に、管理者を置いた形のサービスを作ることができないということではまったくありません。)。但し、Bitcoinのプロトコルに本源的に存在する制約や限界が、これを用いたサービスの設計を窮屈にするということはありえるかもしれず、それによってサービスがビジネス上どの領域に利用することができるのか、ということに影響することはありうるのだと思います。

また、Bitcoinが完全なオープンソースであることに関連して、事業者が提供するサービスの中には、そのおおもとをBitcoinに由来するものが多くあります。これらはビットコインフォークと呼ばれ、Bitcoinが持つ特性を多かれ少なかれ引き継いでいることになります。ブロックチェーン技術を用いたサービスを一から開発する(すなわちコードを一行目から書いていく)ためには、peer to peerによる分散型合意形成技術、暗号技術、セキュリティ技術など異なる領域にわたる技術を開発陣が高いレベルで習得していなければならず、そのような開発チームを組織して、ビットコインフォークではない、特定のビジネス応用に最適化したサービスを作り上げるためには、かなりの時間と開発コストがかかると言われています。

ブロックチェーンには「トークン」は必須ではない

ブロックチェーン技術に言及する際には、しばしば「トークン」と呼ばれるシステム内の貨幣のようなものと、マイナーと呼ばれるトークンの発掘者の存在が指摘されることがあります。しかしながら、これらはブロックチェーン技術にとって必要不可欠の要素ではありません。ブロックチェーン技術を分散型台帳としてとらえる見方からすると、システム内でこの分散型台帳を適切に管理することができればよいわけであり、そのための設計として、トークンというものを導入するかどうか、またマイナーという仕組みを導入して分散型台帳の管理のためのリソース提供を動機付けするかどうかは、サービスのアーキテクチャないしその根本にあるブロックチェーンのプロトコルをどのようにするか、という問題に過ぎません。

同様に、台帳を誰が見ることができるかという点も、サービスの設計の問題ということになります。

ブロックチェーン技術の応用

ブロックチェーン技術を分散型台帳とみた場合、その応用としてビジネス界が着想するものとして決済分野があります。決済には資金や証券などの分野がありますが、資金は記録によりその価値の帰属者を法的に定めることができ、証券についても電子的な記録によりその保有者を法的に定めることができますので、ブロックチェーン技術を用いてトランザクションの実行を適切に記録する(誰と誰の間のいつ行われた何の移転に関する取引かを記録し、その認証を行うことで、二重譲渡のような事態を防止する)ことにより、ブロックチェーン技術に決済機能を発揮させることができそうです。

他方で、このような記録台帳による記載と資産の法的な所有の決定が必ずしも対応していないものも存在します。例えば債権の譲渡は、誰が現在債権者であるかについて対外的に主張することができるためには、債務者に対する通知や債務者による承諾が必要です。したがって、記録台帳による記載を債務者への対抗可能なものとするためには、債権の売買当事者間の合意とその認証のみではなく、債務者に対する通知がなされたことや債務者が承諾したことについての認証が必要になることになります。動産の場合には、売買当事者間の譲渡の合意のほかに、その動産が買主に引き渡されたことについての認証もなければ、記録台帳の内容のとおりの資産の所有関係があるということは言えません。不動産の場合にはその権利の取得や喪失について対外的に主張するためには登記が必要ということになりますので、ブロックチェーンによる記録と登記システムが何らかのつながりを持たなければならないことになります。そこで、もっとも先進的なアイディアとして、登記システムにブロックチェーンが組み込まれるべきであるという主張がなされているところです。技術的にはともかく現状の登記実務を念頭に考えると、それなりに超えるべきハードルがあると言わざるをえませんが、確かにそのような仕組みが採用された暁には、現在の中央集権的な登記システムの維持にかかるコストは劇的に減らせることになるでしょう。現に、債権については電子債権記録法という法律により、電子債権記録機関における記録によってその権利の発生と移転の法律上の効果を担保する仕組みができており、こうした新しい法律上の枠組みの制定により、資金や証券以外の資産の移転分野にブロックチェーン技術が応用されていく可能性はあると考えられます。

ブロックチェーン技術の捉え方として、これは台帳ではなく5W1Hが記載された記録簿であるという識者もいます。これを台帳と表現するか記録簿と表現するかは言葉の綾に過ぎないように思われますが、このような表現をされる人の中には、チューリング完全なブロックチェーン技術であれば、契約上の義務をデータレイヤーを取扱うチェーンと同じチェーンで取扱うことができ、これによりブロックチェーン上で契約関係を表現することができると同時に、その契約条件が整った際に契約上の支払の履行がなされることを確保するという仕組みをつくり上げることができるということを強調する人が多いようです。これを表現する単語として、「スマートコントラクト」という呼び方がなされることがあります。このようなスマートコントラクトにおいては、単純化して言えば、移転対象となる資産を移転する諸条件がブロックチェーン上に表現され、記述されたすべて条件の成就が認証された場合に資産が台帳上移転するという仕組みをブロックチェーンに織り込んでおくという発想がなされています。

このようなスマートコントラクトの考えは、ガバナンスないしモニタリングと呼ばれるものの考え方を変更するかもしれません。例えば取締役に対する株主のモニタリングについて、取締役の行動に様々な条件を課したうえで、それらの条件を成就した場合に報酬が付与されるものと考えた場合、これらの条件関係がブロックチェーン上に表現されていれば、その条件の成就が認証されないかぎり取締役に報酬が支払われないということになります。取締役のモニタリングを、判定が容易な複数の条件の組み合わせとその成就の認証行為としてとらえ、これを報酬と紐付けることで、コーポレート・ガバナンスの最重要の問題の一つであるところの取締役の行動規律を低コストで確保することができるのではないか、と考えることは、スマートコントラクトの延長上の議論として少なくとも成立し得るように思われます。

また、スマートコントラクトとIoTの関係にも着目する必要があります。スマートコントラクトでは、一定の条件が成就することをもって資産の移転が生じる(より正確には帳簿上の記載が変更される)ということをブロックチェーン技術によって自動的に発生させることができるわけですが、この「条件」が客観的な事象の発生そのもの、もしくはそのような事象と紐付いたものであることがあります。例えば、「午後10時までに帰宅する日が1週間のうち4日以上あったら5000円を支払う」という契約があった場合、「午後10時までに帰宅する」という条件が果たされたことを確認する方法として、本人が帰宅したことを申告させ、誰かが本人の自宅に電話して認証する方法がありえます。これに代わる方法として、本人が電子鍵で自宅ドアを解錠した場合にスマートロックからモバイル端末を経由して帰宅の事実とその時刻が送信されれば、その日に「午後10時までに帰宅する」という条件を満たしたことをブロックチェーン上で認証することができることになります。

こうしてみてみると、そもそもビットコインという仮想通貨システム自体が、これまでは国家がコストを掛けてメンテナンスしてきた貨幣システムのガバナンスに相当するものを、ビットコインというプロトコルの中で、法定通貨のガバナンスとコスト構造が全く異なる仕組みにより、実現したものととらえることも可能であるように思われます。すなわち、ビットコインという仮想通貨システムが成立していることそのものが、ブロックチェーン技術がこれまでのガバナンスとそのためのコストというものに対して、強烈な転換を迫るものたりうることの証左であるという見方もできるということです。

画像認識からデイトレへ、深層学習のAlcapaDBが意外なピボットで100万ドルを新規調達

「お前が一体なに言ってんのかも分かんねぇし、誰がこんなクソに金を払うのかも分からねぇよ!って、ピッチが終わった途端、開口一番にそう言われたんですよw」

デラウェア州で法人登記、満を持してのプロダクトリリース。渡米し、意気込んで多数のVC回りもした。そして東京で行われたSlush Asiaファイナルで、歯に衣着せぬ毒舌で知られる500 Startups創設者のデーブ・マクルーアに上記のように痛烈に批判され、プロダクトに根本的な問題があることに気がつく……。

と、そんな風にピボットを決める前の状況を振り返るのは、2013年2月にAlpacaDB(創業時の日本の法人名はIkkyoTechnology)を創業した横川毅CEOだ。

ディープラーニングを使った画像認識をサービスとして提供する「Labellio」をベータ版としてリリースしたのは2015年6月のこと。もともとAlpacaDBはデジタルデータの大半を占める非構造化データを処理する労働集約型の仕事を弱いAIで代替するという目標を掲げて創業していたので、画像認識領域でサービスを提供するのは自然なことだった。GPUが利用できるクラウド側で、ある程度汎用のディープラーニングの処理環境を用意してサービス開発者やエンジニアのプロトタイピング用途に向けて提供するというのがLabellioだった。

Labellioベータ版リリースのブログエントリはエンジニア界隈でちょっとした話題とはなった。ただ、いま振り返って読むと、すでにリリース時点で「用途が良く分からない」と当事者自らが語っているのは良い兆候ではなかったのかもしれない。画像のシーン解析や定点カメラの状態検知、SNS上の画像から特定プロダクトを認識する、などといった用途例を並べた後に、AlpacaDB自身が以下のように書いていたのだった。

「ただ、もちろん、用途は上記だけではないです。正直、プロダクトを作成した僕らもこのサービスで何を生み出すことができるのかわかっていません。画像認識をこれほど簡単にデザインできるプロダクトはこれまで存在しなかったので、これまで一部の人しかできなかったことが、だれでも利用できるようになったことで、たくさんの「新しい用途」が見つかるのではないかと思っています」

リリース数カ月で1200の画像認識分類器と800件のユーザー登録があったものの、確立された新しい用途を短期間で見つけ出すのは容易ではなく、結局ピボットすることに決めた。

横川CEOは、次のように振り返る。「ディープラーニングを活用した画像認識のスタートアップにはmetamindという会社もある。ただ、彼らも迷走している感がある。技術フォーカスじゃないとダメだと考えるあまり、そもそも(ユーザーがほしがるものを作れという)スタートアップの基本が欠けていた。テクノロジーアウトじゃなくて、誰が喜ぶのか考えろよということですよね」。

ならば、デイトレーダーのモデル化を助けるのに深層学習だ! えっ?

同じディープラーニングを活かして今度はデイトレーダー向けのトレーディングプラットフォーム「Capitalico」(キャピタリコ)を開発すべく、AlpacaDBは今日、総額100万ドルの資金調達をしたことを発表した。今回のラウンドで出資するのはイノベーティブ・ベンチャー・ファンドアーキタイプベンチャーズ、エンジェル投資家の木村新司氏、ビップシステムズだ。これまでにAlpacaDBはMOVIDA Japanから500万円のインキュベーション資金のほか、経産省の目利き事業による補助金や日本政策金融公庫の借入などで3000万円ほど資金を調達している。

さて、読者の99%くらいはデイトレーダーではないだろうから、このAlpacaDBのピボットに対して、「デイトレかッ!」というツッコミをしたくなる人が多いに違いない。ぼくはそうだった。

ただ、トレーディングにターゲットを絞ったのは、共同創業者を入れて7人いるメンバーで徹底して議論した末のことだという。

「6月から7月に社内で議論しました。これをやり続けるのならオレは辞めるというメンバーが出るほど議論をした。動画に技術を適用してカメラ監視に特化したらどうかという議論もあって、実際にリサーチも行った。ただ、それができたとしても嬉しくないし、いくらヒアリングしてもハラオチしなかったんです。でもトレーディングであれば、喜ぶ人がいるだろうと。少なくとも自分は嬉しい」

AlcapaDBは2015年7月から3カ月をかけてCapitalicoのMVPを作り、この10月初頭から少数の限定ユーザー向けにβ版を公開している。一般公開は2016年1月を予定している。ディープラーニングを使っているが、画像認識でCNN(Convolutional neural network)を使っていたのに対して、時系列データを扱いやすいRNN(Recurrent neural network)を使うように変更しているという。

横川CEOはもともと慶応大学卒業後に6年ほど大手投資銀行のリーマン・ブラザーズと野村證券にいて金融関連の仕事に就いていた。リーマン・ショック後に野村に移籍して2年ほど経った頃、家庭の事情で実家で仕事せざるを得ない状況となったことから退職。その後の3年間はフルタイムのデイトレーディングをやっていたという。デイトレーディングを生業とする人たちの中には、横川氏のように、ほかにできる仕事がないからという理由でやっている人もいるそうで、そういう人たちを助けたいという思いがあるそうだ。

Capitalicoは、ウェブ上でユーザーがプログラミングを一切必要とせずに自動取引アルゴリズムを生成できるプラットフォームだという。先物や為替取引のためのテクニカルのチャート分析を行うためのプラットフォームで、トレードの意思決定をするためのもの。

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機械学習で何をするかというと、これまでデイトレーダーがやっていた分析、例えば「バックテスト」と呼ばれるモデルの検証を助けること。チャート分析は、各種指標の時系列での動きを視覚化して、そこから法則性を導いて、これをアルゴリズムに落とすというような作業をする。何を指標として自分のダッシュボードにどう表示するかはトレーダーによって異なる。また、どういう時間軸で分析するかもトレーダー次第。

「チャートがこういう動きをしたときには、直後にはこういう値動きがあるのではないか」という仮説を立てて、これを過去のデータに当てはめて検証する。これがバックテストで、こうした解析はかつて簡単なプログラミングができる人たちだけが可能だったという。これをCapitalicoではノンプログラミングで行い、アルゴリズムが手元に溜まっていくようにしていくそうだ。以下は9月にNVIDIAが主催したGPU関連の技術カンファレンスのGTC JapanでAlpacaDBの林佑樹氏が行った説明のスライドだ。

 

「Capitalicoに似たテクニカル分析サービスとして、すでにQuantopianというのがあります。彼らはユーザーにPythonを書かせますが、ぼくたちはそこの部分が勝手にできるものを提供しています」

デイトレーディングは、ごくごく少数の人だけが儲けている上に、極めて投機的なギャンブルのようなもの。勝った、負けたは結果論でしかなく、常に大勝ちしている人がいるのはカジノと同じで単に確率の問題。上位1%とか2%の大金持ちにしたって運を実力だと思い込むギャンブラーと同じではないのか? ということを横川CEOに聞くと、次のような答えが返ってきた。

「デイトレで負けてる人はカンに頼っている人たち。ロジカルじゃないんです。ロジカルに分析して過去に遡って仮説を検証できるようにする。移動平均線のこういう位置関係にあったとき価格がこう動く、というアイデアがあるとき、それが本当なのか、確率はどのくらいなのか。これをノンプログラミングで分析するのがCapitalicoです」

どうして利益が出せるのかといえば、市場のプレイヤーにはいろいろな人がいて、異なる時間軸と思惑で値段を見て売り買いしているからだそうだ。例えば生命保険のALMをやってる人は為替から儲けようということは考えていなくて、ポートフォリオのバランスを取ってるだけ。だから決まった日に銀行に振り込むだけだし、1年単位で数字を見ている。デイトレーダーは1日単位、あるいはもっと短い5分単位のようなチャートを見て稼ぎを取りに行くことができる。

正直ぼくにはデイトレーディングにどういう本質的価値があるのか、そしてそれがどこまで大きくなるのか分からない。横川CEOは「特定のプロフェッショナルをサポートして彼らの業務を自動化していくサービスは経済的に意味がある」としていて、「みんなが特定の価値だけに縛られない生き方ができる世界を目指していて、人類によるお金への依存性が現状よりも少しでも減るような社会が実現されることで僕たちが思い描く世界に近づけるはず」と話している。

IngressのNianticラボ、新ゲームPokémon GOを開発―(株)ポケモン、任天堂、Googleから2000万ドルを調達

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現在コンピューティング・ナードの諸氏に大人気のゲーム、Ingressを作っているNiantic Labsが本体のGoogleからスピンアウトしたのはほんの2ヶ月前のことだ。先月、新生Niantic, Inc.はPokémon GOといいうプロジェクトに取りかかったことを発表した。

そして今日(米国時間10/15)、NianticはシリーズAラウンドで2000万ドルの資金調達に成功したことも公表した。投資家は株式会社ポケモン、任天堂、そして旧親会社のGoogleだ。Nianticが今後所定の条件をクリアすればさらに1000万ドルの追加資金が提供されるという(残念ながらその条件は明らかにされていない)。

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新会社が取り組んでいるPokémon GOはまだ完成していないが、未公開の「所定の条件」はおそらくこのプロジェクトの成否に関連しているのだろう。Pokémon GOが完成した段階で残る1000万ドルの支出が検討されるものと思われる。

ゲーム・スタートアップにとってはかなりの資金ではあるが、Nianticのファウンダー、CEOのJohn Hankeには驚くほどの金額ではないかもしれない。Hankeは、2001年に衛星画像処理システムKeyholeを開発し、これが後にGoogleに買収されてGoogle EarthのベースとなったHankeは引き続きGoogleで地図情報グループの指揮を取り、いわばその副産物としてIngressとNiantic Labsを現実化したわけだ。

Nianticへの投資について株式会社ポケモンのCEO、石原恒和社長は次のようにコメントしている。

PokémonがNianticに戦略的投資を行ったのは、ソーシャルかつモバイルな体験の普及に道を開くための絶好のチャンスと見たためだ。われわれPokémon Companyは今後もNianticやこれと同様のコミュニティーとイノベーションにコミットする精神に溢れた企業と提携していく。

正確に言えば、Nianticは新規に再編されたAlphabetからのスピンアウトではなかったが、現在は小さなスタートアップとしては驚くほどの特権を保持しており、優秀なゲーム・デベロッパーをコミュニティー・マネージャーを採用中だ。近い将来、没入的ゲームという新しいジャンルのパワーハウスとなる可能性は十分だ。

私はJohn Hanke〔JH〕に直接取材して独立企業としてのNianticの進路などについて詳しい話を聞く機会があった。

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TC: Googleからのスピンアウトについて詳しく聞かせて欲しい。
JH: 私はGoolgeで長年ジオ( Geo)グループにいた。それでNianticをスタートさせることができたわけだが、 Googleの友人たちが私にNianticを企業としてインキュベーションする機会を与えてくれた。当時われわれは位置情報とモバイル・テクノロジーを組み合わせて、足でリアルタイムで現実世界を動きまわる新しいアドベンチャー・ゲームの構築に取り組んでおり、新会社を作ることはたいへん理にかなっていると思えた。この夏になって、Ingressのコミュニティーには外部からのパートナーが参加することなり、プラットフォームの規模拡大の道筋が見えてきた。それで〔新会社は〕ますます理にかなっていることとなった。

TC: スピンアウトでいっしょにGoogleを出たメンバーはどのくらい?
JH: 相当の人数がいっしょに来た。現在われわれの会社には35人の社員がいるが、さらにサンフランシスコ、シアトル、ロサンゼルスで求人を行っている。.

われわれはIngressを「友達と足で歩いて体験する新しいアドベンチャー」と呼んでいる

— John Hanke


TC: その間、Googleはどのような援助を行ったのか?

JH: Googleは大きな助けになってくれた。特にリソーの提供の面だ。オフィスのスペース、Googleのさまざまな部門へのアクセス、コンピュータ・テクノロジー、それに人事管理まで全面的に援助してくれた。加えてGoogleの優秀な頭脳がさまざまな助言をしてくれた。それに長年慣れ親しんだ位置情報グループからスムーズに新会社に転換できたことは大きなメリットだった。

TC: Googleから独立した企業になったわけだが、新会社は今後どこに向かうのか?
JH: 独立企業になったことで、取締役会とのコミュンケーションを含め新会社の意思決定は迅速化される。仕事の進め方がまったく変わってくる。新しいプロダクトを作り出し、プラットフォームのスケール化、それにふさわしい販売チャンネルの構築を試みているとき、この意義は大きい。

【後略:原文参照】

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+